JP7230977B1 - 電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法、および、電磁鋼帯の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
「高Si鋼を溶接するに際し、Niを主成分とするフィラーワイヤを用い、あるいはNiを主成分とする粉末フィラーを供給して溶接金属の化学組成が下記 (1)式を満足するように溶接を行うことを特徴とする高Si鋼のレーザー溶接方法。
X=[%Ni]-[%Si]×2.5 -([%Cr]+[%Mo])×0.4 ≧0・・(1)
ただし、[%Ni]、[%Si]、[%Cr]および[%Mo]は、それぞれ、溶接金属中のNi、Si、CrおよびMoの含有量(重量%)を表す。」
が開示されている。
「先行板と後行板とを突合せてフィラーワイヤーを用いてレーザー溶接する方法において、溶接初期の前記先行板と後行板の突合せギャップ(Gap)と溶接金属の平均巾(DEPO)との比(Gap/DEPO)が0.3~0.8であることを特徴とするレーザー溶接方法。」
が開示されている。
「連続冷間圧延ライン上を搬送される特殊鋼からなる先行薄板と後行薄板とをレーザー溶接して形成された溶接部において、
冷間圧延によって母材の上面側に延び出た溶接金属からなる上側延出部の下側に存在する前記母材の最小厚みをL1とし、冷間圧延によって前記母材の下面側に延び出た溶接金属からなる下側延出部と前記上側延出部に挟まれた前記母材の最小厚みをL2とすると、L1及びL2の少なくともいずれかがゼロより大きいことを特徴とする薄板の溶接部。」
が開示されている。
また、本発明は、上記の電磁鋼帯の摩擦攪拌接合方法を用いた電磁鋼帯の製造方法を提供することを目的とする。
ここで、Ni当量およびCr当量は、それぞれ次式により定義される。
Ni当量 = [%Ni]+30×[%C]+0.5 × [%Mn]
Cr当量 = [%Cr]+[%Mo]+1.5×[%Si]+0.5×[%Nb]
式中、[%Ni]、[%C]、[%Mn]、[%Cr]、[%Mo]、[%Si]および[%Nb]はそれぞれ、溶接金属中のNi、C、Mn、Cr、Mo、SiおよびNbの含有量(質量%)である。
ここで、摩擦攪拌接合とは、回転ツールと被接合材との摩擦熱、および、被接合材の塑性流動を利用した固相接合である。すなわち、回転ツールにより被接合材の未接合部(接合予定領域)を摩擦攪拌する。被接合材の未接合部が摩擦熱により加熱されると、塑性流動が開始する。そして、塑性流動域と母材部との界面が大きく伸長される。これにより、酸化物の無い清浄な界面同士が接触し、被接合材が溶融することなく接合部が形成される。ここで、接合部は、回転ツールと被接合材との摩擦熱と塑性流動による熱間加工を受け再結晶組織となる領域であり、撹拌部と呼ばれる場合もある。また、接合部に隣接する領域には、摩擦熱と塑性流動による熱間加工の影響を受けるものの、温度や加工が不十分で再結晶に至らない組織となる領域が形成される。この領域を熱加工影響部という。さらに、被接合材には、摩擦熱と塑性流動による熱間加工の影響を受けない領域も存在する。この領域を母材部という。なお、摩擦攪拌接合に関する技術が、例えば、特許文献4~15および非特許文献1に開示されているが、これらはいずれも、電磁鋼帯のコイル接合に適用するものではない。
(d)上記(a)~(c)の問題を有利に解決するには、
・接合方式としていわゆる両面摩擦攪拌接合を適用し、
・そのうえで、回転ツールの肩部の直径D(mm)について、次式(1)の関係を満足させ、かつ、
・接合条件を適切に制御する、特には、回転ツールの回転数RS(回/分)、回転ツールの肩部の直径D(mm)および接合速度JS(mm/分)により表されるRS×D3/JSについて、次式(2)の関係を満足させる、
ことが重要である。
これにより、被接合材として電磁鋼帯を用いる場合であっても、コイル接合部の形状の劣化を招くことなくコイル接合部の機械的特性が高まり、製造ラインでのコイル接合部の破断発生が有効に抑止される。また、欠陥発生を抑制しつつ接合速度を高速度化することができるので、施工能率の点でも極めて有利である。
4×TJ ≦ D ≦ 10×TJ ・・・(1)
200×TJ ≦ RS×D3/JS ≦ 2000×TJ ・・・(2)
ここで、TJは、
未接合部が突合せ部の場合、第1の電磁鋼帯の板厚および第2の電磁鋼帯の板厚の平均値(mm)であり、
未接合部が重ね合せ部の場合、重ね合せ部の厚さ(mm)である。
これにより、被接合材として電磁鋼帯を用いる場合であっても、コイル接合部の形状の劣化を招くことなくコイル接合部の機械的特性が高まり、製造ラインでのコイル接合部の破断発生がより有効に抑止される。
Dsz ≦ 200μm ・・・(3)
Dhaz1 ≦ Dbm1 ・・・(4)
Dhaz2 ≦ Dbm2 ・・・(5)
0.9×(Hbm1+Hbm2)/2 ≦ Hsz ≦ 1.2 ×(Hbm1+Hbm2)/2 ・・・(6)
ここで、
Dszは、接合部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dhaz1は、第1の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dhaz2は、第2の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dbm1は、第1の電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dbm2は、第2の電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Hszは、接合部の硬さの平均値、
Hbm1は、第1の電磁鋼帯の母材部の硬さの平均値
Hbm2は、第2の電磁鋼帯の母材部の硬さの平均値
である。
本発明は、上記の知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。
1.連続冷間圧延ラインにおいて、第1の電磁鋼帯と、該第1の電磁鋼帯に続く第2の電磁鋼帯とを、互いに対向する一対の回転ツールにより接合する、電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法であって、
前記第1の電磁鋼帯の端部と前記第2の電磁鋼帯の端部との突合せ部、または、重ね合せ部である未接合部に、前記回転ツールを、該未接合部の両面から互いに逆方向に回転させながら押圧し、
ついで、前記回転ツールを接合方向に移動させることにより、前記第1の電磁鋼帯と前記第2の電磁鋼帯とを接合し、
また、前記回転ツールの肩部の直径D(mm)が、次式(1)の関係を満足し、かつ、
前記回転ツールの回転数RS(回/分)、前記回転ツールの肩部の直径D(mm)および接合速度JS(mm/分)により表されるRS×D3/JSが、次式(2)の関係を満足する、電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法。
4×TJ ≦ D ≦ 10×TJ ・・・(1)
200×TJ ≦ RS×D3/JS ≦ 2000×TJ ・・・(2)
ここで、TJは、
未接合部が突合せ部の場合、第1の電磁鋼帯の板厚および第2の電磁鋼帯の板厚の平均値(mm)であり、
未接合部が重ね合せ部の場合、重ね合せ部の厚さ(mm)である。
Dsz ≦ 200μm ・・・(3)
Dhaz1 ≦ Dbm1 ・・・(4)
Dhaz2 ≦ Dbm2 ・・・(5)
0.9×(Hbm1+Hbm2)/2 ≦ Hsz ≦ 1.2 ×(Hbm1+Hbm2)/2 ・・・(6)
ここで、
Dszは、接合部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dhaz1は、第1の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dhaz2は、第2の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dbm1は、第1の電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dbm2は、第2の電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Hszは、接合部の硬さの平均値、
Hbm1は、第1の電磁鋼帯の母材部の硬さの平均値
Hbm2は、第2の電磁鋼帯の母材部の硬さの平均値
である。
0.8×TbmL ≦ TszL ・・・(7)
TszH ≦ 1.3×TbmH ・・・(8)
ここで、
TszLは、接合部の厚さの最小値(mm)、
TszHは、接合部の厚さの最大値(mm)、
TbmLは、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯のうち、薄い方の電磁鋼帯の板厚(mm)、
TbmHは、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯のうち、厚い方の電磁鋼帯の板厚(mm)、
である。ただし、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯の板厚が同じ場合には、TbmL= TbmHとなる。
0.4×TJ ≦ G ≦ 0.9×TJ ・・・(9)
ここで、TJは、
未接合部が突合せ部の場合、第1の電磁鋼帯の板厚および第2の電磁鋼帯の板厚の平均値(mm)であり、
未接合部が重ね合せ部の場合、重ね合せ部の厚さ(mm)である。
該接合鋼帯に冷間圧延を施し、冷延鋼帯を得る工程と、をそなえる、電磁鋼帯の製造方法。
まず、本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法を、図1を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法を説明する概略図であり、図1Aは側面斜視図、図1Bは図1AのA-A矢視図である。
図中、符号1が第1の電磁鋼帯(被接合材)、2が第2の電磁鋼帯(被接合材)、3-1が回転ツール(表面側回転ツール)、3-2が回転ツール(裏面側回転ツール)、4が接合部、7が把持装置、9-1および9-2が先端部(肩部(ショルダー))である。なお、図1Aでは把持装置の図示を省略している。
また、図1Bでは、鉛直方向が板厚方向である。水平方向が、接合方向に垂直でかつ、板厚方向に垂直な方向(以下、接合垂直方向ともいう)である。紙面手前側の方向が、接合方向である。すなわち、図1Bに示す面内には、接合垂直方向と板厚方向とが含まれる。
連続冷間圧延ラインにおいて、第1の電磁鋼帯と、該第1の電磁鋼帯に続く第2の電磁鋼帯とを、互いに対向する一対の回転ツールにより接合する、電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法であって、
前記第1の電磁鋼帯の端部と前記第2の電磁鋼帯の端部との突合せ部、または、重ね合せ部である未接合部に、前記回転ツールを、該未接合部の両面から互いに逆方向に回転させながら押圧し、
ついで、前記回転ツールを接合方向に移動させることにより、前記第1の電磁鋼帯と前記第2の電磁鋼帯とを接合し、
また、前記回転ツールの肩部の直径D(mm)が、次式(1)の関係を満足し、かつ、
前記回転ツールの回転数RS(回/分)、前記回転ツールの肩部の直径D(mm)および接合速度JS(mm/分)により表されるRS×D3/JSが、次式(2)の関係を満足する、というものである。
4×TJ ≦ D ≦ 10×TJ ・・・(1)
200×TJ ≦ RS×D3/JS ≦ 2000×TJ ・・・(2)
ここで、TJは、
未接合部が突合せ部の場合、第1の電磁鋼帯の板厚および第2の電磁鋼帯の板厚の平均値(mm)であり、
未接合部が重ね合せ部の場合、重ね合せ部の厚さ(mm)である。
突合せ接合とは、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯の端面同士を対向させた状態で、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯の端面(突合せ面)を含む突合せ部に回転ツールを回転させながら押圧する。そして、その状態で、回転ツールを接合方向に移動させることにより、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯を接合するものである。
重ね接合とは、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯の端部の少なくとも一部を重ね合せ、重ね合せ部に回転ツールを回転させながら押圧する。そして、その状態で、回転ツールを接合方向に移動させることにより、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯を接合するものである。
・接合方式として、上記の両面摩擦攪拌接合を適用し、
・そのうえで、回転ツールの肩部の直径D(mm)について、次式(1)の関係を満足させ、かつ、
・接合条件を適切に制御する、特には、回転ツールの回転数RS(回/分)、回転ツールの肩部の直径D(mm)および接合速度JS(mm/分)により表されるRS×D3/JSについて、次式(2)の関係を満足させる、
ことが重要である。
これにより、被接合材として電磁鋼帯を用いる場合であっても、コイル接合部の形状の劣化を招くことなくコイル接合部の機械的特性が高まり、製造ラインでのコイル接合部の破断発生が有効に抑止される。また、欠陥発生を抑制しつつ接合速度を高速度化することができるので、施工能率の点でも極めて有利である。
4×TJ ≦ D ≦ 10×TJ ・・・(1)
200×TJ ≦ RS×D3/JS ≦ 2000×TJ ・・・(2)
ここで、TJは、
未接合部が突合せ部の場合、第1の電磁鋼帯の板厚および第2の電磁鋼帯の板厚の平均値(mm)であり、
未接合部が重ね合せ部の場合、重ね合せ部の厚さ(mm)である。
Dsz ≦ 200μm ・・・(3)
Dhaz1 ≦ Dbm1 ・・・(4)
Dhaz2 ≦ Dbm2 ・・・(5)
0.9×(Hbm1+Hbm2)/2 ≦ Hsz ≦ 1.2 ×(Hbm1+Hbm2)/2 ・・・(6)
ここで、
Dszは、接合部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dhaz1は、第1の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dhaz2は、第2の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dbm1は、第1の電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dbm2は、第2の電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Hszは、接合部の硬さの平均値、
Hbm1は、第1の電磁鋼帯の母材部の硬さの平均値
Hbm2は、第2の電磁鋼帯の母材部の硬さの平均値
である。
0.8×TbmL ≦ TszL ・・・(7)
TszH ≦ 1.3×TbmH ・・・(8)
ここで、
TszLは、接合部の厚さの最小値(mm)、
TszHは、接合部の厚さの最大値(mm)、
TbmLは、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯のうち、薄い方の電磁鋼帯の板厚(mm)、
TbmHは、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯のうち、厚い方の電磁鋼帯の板厚(mm)、
である。ただし、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯の板厚が同じ場合には、TbmL= TbmHとなる。
0.4×TJ ≦ G ≦ 0.9×TJ ・・・(9)
ここで、TJは、
未接合部が突合せ部の場合、第1の電磁鋼帯の板厚および第2の電磁鋼帯の板厚の平均値(mm)であり、
未接合部が重ね合せ部の場合、重ね合せ部の厚さ(mm)である。
ここで、αは、接合方向と板厚方向(被接合材の表面に対して垂直な方向)とを含む面における、回転ツールの回転軸(以下、ツールの回転軸ともいう)の板厚方向(被接合材の表面に対して垂直な方向)からの傾斜角度である。なお、回転ツールの先端部が接合方向に対して先行する向き(の角度)を+とする。
例えば、回転ツールの回転数は、好ましくは300~9000r/min(回/分)である。回転ツールの回転数を当該範囲内とすることにより、表面形状を良好に保ちつつ過大な熱量の投入による機械特性の低下を抑制できるので、有利である。回転ツールの回転数は、より好ましくは400r/min以上である。また、回転ツールの回転数は、より好ましくは8000r/min以下である。
接合速度は、好ましくは800~5000mm/min(mm/分)である。接合速度は、より好ましくは1000mm/min以上である。接合速度は、より好ましくは4000mm/min以下である。
回転ツールの先端部の位置や押込み荷重、回転トルク、プローブ間の隙間などは、常法に従い、適宜、設定すればよい。
例えば、回転ツールの先端部は、接合時に被接合材である第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯と接触する。そのため、回転ツールの先端部は、接合時に晒される高温状態において、第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯よりも硬い材質で形成される。これにより、接合時に回転ツールは、先端部の形状を保持したまま、第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯に変形を加えることができる。その結果、高い撹拌能を持続的に実現することができ、適正な接合が可能となる。なお、回転ツールの先端部、第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯の硬さは、高温ビッカース硬さ試験方法により測定して、比較すればよい。なお、回転ツールの先端部のみを、第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯よりも硬い材質で形成してもよい。また、回転ツール全体を、第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯よりも硬い材質で形成してもよい。
図2Aに示す回転ツールの例では、回転ツールの形状は、肩径D:13mm、ピン径:4mm、ピン長さ:0.6mm、凹面深さ(図示せず):0.3mmである。
図2Bに示す回転ツールの例では、回転ツールの形状は、肩径D:21mm、ピン径:6.7mm、ピン長さ:0.9mm、凹面深さ(図示せず):0.3mmである。
dv/D ≦ 0.06 ・・・(10)
すなわち、dv/Dを0.06以下とすることにより、回転ツールの先端部が被接合材と接触する際に、流動部により有効に圧力を加えることができ、より有効に塑性流動を生じさせることができる。一方、dv/Dが0.06を超えると、接合部の表面および裏面が過度な凹状となり、接合部の厚さが鋼帯の厚さに対して小さくなる場合がある。このような場合、継手強度の確保が困難となるので、好ましくない。なお、dv/Dの下限は特に限定されるものではないが、流動部により有効に圧力を加える観点から、dv/Dは0.01以上が好ましい。
dc/D ≦ 0.03 ・・・(11)
すなわち、dc/Dを0.03以下とすることにより、接合中に、軟化した金属が先端部の凹型の曲面内に充満する。これにより、回転ツールの先端部が被接合材と接触する際に、流動部により有効に圧力を加えることができ、より有効に塑性流動を生じさせることができる。一方、dc/Dが0.03を超えると、流動部に有効に圧力を加えて十分な塑性流動を生じさせることが困難となる場合があり、好ましくない。なお、dc/Dの下限は特に限定されるものではないが、流動部により有効に圧力を加える観点から、dv/Dは0.01以上が好ましい。
次に、電磁鋼帯の接合継手を、図17を用いて説明する。図中、符号1が第1の電磁鋼帯(被接合材)、2が第2の電磁鋼帯(被接合材)、4が接合部、4-1が熱加工影響部(第1の電磁鋼帯側)、4-2が熱加工影響部(第2の電磁鋼帯側)である。なお、図17は、電磁鋼帯の接合継手の板厚方向の断面図である。図中、鉛直方向が板厚方向である。水平方向が、接合垂直方向である。紙面手前側の方向が、接合方向である。すなわち、図17に示す面(ここでいう板厚方向の断面)内には、接合垂直方向と板厚方向とが含まれる。
第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯とを接合する、電磁鋼帯の接合継手であって、
該電磁鋼帯の接合継手は、接合部と、該接合部に隣接する熱加工影響部とをそなえ、
該接合部および該熱加工影響部の鋼組織はそれぞれ、フェライト相主体の組織であり、
次式(3)~(6)の関係を満足する、というものである。
Dsz ≦ 200μm ・・・(3)
Dhaz1 ≦ Dbm1 ・・・(4)
Dhaz2 ≦ Dbm2 ・・・(5)
0.9×(Hbm1+Hbm2)/2 ≦ Hsz ≦ 1.2 ×(Hbm1+Hbm2)/2 ・・・(6)
ここで、
Dszは、接合部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dhaz1は、第1の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dhaz2は、第2の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dbm1は、第1の電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dbm2は、第2の電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Hszは、接合部の硬さの平均値、
Hbm1は、第1の電磁鋼帯の母材部の硬さの平均値
Hbm2は、第2の電磁鋼帯の母材部の硬さの平均値
である。
また、上記の電磁鋼帯の接合継手は、例えば、上述した本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法により得る(製造する)ことができる。
第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯は、被接合材である電磁鋼帯である。第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯の成分組成は、冷間圧延段階の電磁鋼帯(電磁鋼板)として一般的なものであれば特に限定されない。
また、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯の成分組成は、同じであっても、異なっていてもよい。
すなわち、電磁鋼帯の接合継手を、図17に示す面(すなわち、接合垂直方向と板厚方向とが含まれる面)が切断面となるように、板厚(鉛直)方向に切断する。ついで、切断面を研磨し、ピクリン酸飽和水溶液、ナイタール(硝酸とエタノールの溶液)または王水(濃塩酸と濃硝酸を3:1の体積比で混合した溶液)でエッチングする。ついで、当該切断面を光学顕微鏡で観察しエッチングの度合いなどから、母材部、ならびに、接合部および熱加工影響部を画定する。
接合部は、回転ツールと被接合材との摩擦熱と塑性流動による熱間加工を受け再結晶組織となる領域である。
すなわち、後述する接合部の測定領域が観察面に含まれるように、電磁鋼帯の接合継手から試験片を切り出す。なお、観察面は、図17に示す面(すなわち、接合垂直方向と板厚方向とが含まれる面)とする。ついで、試験片の観察面を研磨後、3vol.%ナイタール、ピクリン酸飽和水溶液または王水でエッチングし、組織を現出させる。ついで、後述する接合部の測定領域内において、合計10視野を、光学顕微鏡により、倍率:500倍で撮影する。ついで、得られた組織画像から、Adobe Systems社のAdobe Photoshopを用いて、フェライト相の面積を10視野分算出する。ついで、視野ごとに算出したフェライト相の面積をそれぞれの視野領域の面積で除し、100を乗じる。そして、それらの値の算術平均値を、フェライト相の面積率とする。
Dsz ≦ 200μm ・・・(3)
ここで、
Dszは、接合部のフェライト粒径の平均値(μm)、
である。
すなわち、電磁鋼帯の接合継手を、図17に示す面(すなわち、接合垂直方向と板厚方向とが含まれる面)が切断面となるように、板厚(鉛直)方向に切断する。当該切断面において、接合垂直方向をX軸、板厚方向をY軸とする。そして、接合垂直方向における接合部の中心位置(例えば、突合せ継手の場合には、突合せギャップの中心位置であり、重ね継手の場合には、重ね合せ部の中心位置である)で、かつ、板厚(鉛直)方向における被接合材の板厚中心位置(例えば、突合せ継手の場合には、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯のうち、板厚が小さい方の板厚中心位置であり、重ね継手の場合には、重ね合せ部の板厚中心位置である)を、X軸とY軸の原点とする。そして、X=-0.2×t~+0.2×t、Y=-0.2×t~+0.2×tの領域を測定領域とする。ここで、tは、第1の電磁鋼帯の板厚および第2の電磁鋼帯の板厚の平均値(mm)である。ただし、上記の測定領域に、熱加工影響部や母材部といった接合部ではない領域が含まれる場合には、当該領域を測定領域から除くものとする。なお、X軸およびY軸については、+および-を任意に設定すればよい。
そして、上記の測定領域内の任意の位置において、JIS G 0551「鋼-結晶粒度の顕微鏡試験方法」に準拠した切断法(試験線1mm当たりの捕捉した結晶粒数、または、交点の数Pによって評価する)により、接合部のフェライト粒径を計5回測定し、これらの平均値をDszとする。なお、接合部のフェライト粒径の測定領域を、以下、単に、接合部の測定領域ともいう。
0.9×(Hbm1+Hbm2)/2 ≦ Hsz ≦ 1.2 ×(Hbm1+Hbm2)/2 ・・・(6)
ここで、
Hszは、接合部の硬さの平均値、
Hbm1は、第1の電磁鋼帯の母材部の硬さの平均値
Hbm2は、第2の電磁鋼帯の母材部の硬さの平均値
である。
すなわち、上記の切断面における上記の接合部の測定領域内の任意の5か所で、試験力:4.9Nの条件でビッカース硬さ(HV)を測定する。そして、これらの平均値をHszとする。
また、上記の切断面において、第1の電磁鋼帯の母材部の板厚中心位置±0.2×t1の領域(板厚(鉛直)方向)のレベル)内、および、第2の電磁鋼帯の母材部の板厚中心位置±0.2×t2の領域(板厚(鉛直)方向)のレベル)内の任意の5か所でそれぞれ、試験力:4.9Nの条件でビッカース硬さ(HV)を測定する。なお、接合垂直(水平)方向の位置については、母材部であればよく、任意に選択すればよい。そして、第1の電磁鋼帯の母材部および第2の電磁鋼帯の母材部で測定したビッカース硬さ(HV)の平均値をそれぞれ、Hbm1およびHbm2とする。ここで、t1およびt2はそれぞれ、第1および第2の電磁鋼帯の板厚である。
0.8×TbmL ≦ TszL ・・・(7)
TszH ≦ 1.3×TbmH ・・・(8)
ここで、
TszLは、接合部の厚さの最小値(mm)、
TszHは、接合部の厚さの最大値(mm)、
TbmLは、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯のうち、薄い方の電磁鋼帯の板厚(mm)、
TbmHは、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯のうち、厚い方の電磁鋼帯の板厚(mm)、
である。ただし、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯の板厚が同じ場合には、TbmL= TbmHとなる。
熱加工影響部は、接合部に隣接し、摩擦熱と塑性流動による熱間加工の影響を受けるものの温度や加工が不十分で再結晶組織に至らない領域である。また、熱加工影響部は、接合部に隣接して、第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯の両側に形成される。
Dhaz1 ≦ Dbm1 ・・・(4)
Dhaz2 ≦ Dbm2 ・・・(5)
ここで、
Dhaz1は、第1の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dhaz2は、第2の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dbm1は、第1の電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dbm2は、第2の電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値(μm)、
である。
また、第1の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の測定領域(以下、第1の電磁鋼帯側の熱加工影響部の測定領域ともいう)は、以下のように設定する。すなわち、電磁鋼帯の接合継手を、図17に示す面(すなわち、接合垂直方向と板厚方向とが含まれる面)が切断面となるように、板厚(鉛直)方向に切断する。上記の切断面において、接合垂直方向をX軸、板厚方向をY軸とする。そして、第1の電磁鋼帯の板厚中心位置(レベル)における接合部と第1の電磁鋼帯側の熱加工影響部との境界位置を、X軸とY軸の原点とする。X軸については、第1の電磁鋼帯側を+、接合部側を-とし、X=0~+0.4×t1、Y=-0.2×t1~+0.2×t1の領域を測定領域する。ここで、t1は、第1の電磁鋼帯の板厚である。なお、Y軸については、+および-を任意に設定すればよい。ただし、上記の測定領域に、接合部や母材部といった第1の電磁鋼帯側の熱加工影響部ではない領域が含まれる場合には、当該領域を測定領域から除くものとする。
上述のとおり、接合部は、回転ツールと被接合材との摩擦熱と塑性流動による熱間加工を受け再結晶組織となる領域をいう。熱加工影響部は、接合部に隣接する領域であり、摩擦熱と塑性流動による熱間加工の影響を受けるものの、温度や加工が不十分で再結晶に至らない組織となる領域をいう。母材は、摩擦熱と塑性流動による熱間加工の影響を受けない領域をいう。
次に、本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の製造方法を、説明する。
本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の製造方法は、
上記の本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法により第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯とを接合し、接合鋼帯を得る工程と、
該接合鋼帯に冷間圧延を施し、電磁鋼帯(冷延鋼帯)を得る工程と、をそなえる。
ここで、接合鋼帯は、好適には、第1の電磁鋼帯と、第2の電磁鋼帯と、上記の本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の接合継手とを有し、第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯が上記の本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の接合継手を介して接合されている。
また、冷間圧延条件については特に限定されず、常法に従えばよい。また、冷間圧延を行う前に、任意に、酸洗を行ってもよい。
また、上述の要領により、
Dsz:接合部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dhaz1:第1の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dhaz2:第2の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dbm1:第1の電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dbm2:第2の電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Hsz:接合部の硬さの平均値、
Hbm1:第1の電磁鋼帯の母材部の硬さの平均値
Hbm2:第2の電磁鋼帯の母材部の硬さの平均値
を測定した。
さらに、得られた電磁鋼帯の接合継手を、図17に示す面(すなわち、接合垂直方向と板厚方向とが含まれる面)が切断面となるように、板厚(鉛直)方向に切断し、当該切断面において、TszL:接合部の厚さの最小値(mm)およびTszH:接合部の厚さの最大値(mm)を測定した。
結果を表4および5に示す。なお、後述する表面欠陥および内部欠陥の確認において、欠陥が確認された場合には、上記の測定を省略した。また、表面欠陥が確認された場合には、内部欠陥の確認も省略した。
得られた電磁鋼帯の接合継手の接合部および熱加工影響部(レーザ溶接の場合は、溶接部および熱影響部)の表面および裏面において、未接合状態および割れの有無を目視により確認した。そして、以下の基準により、表面欠陥の有無を判定した。
表面欠陥無し:未接合状態および割れがいずれも確認されない。
表面欠陥有り:未接合状態および割れの少なくとも一方が確認される。
得られた電磁鋼帯の接合継手を、図17に示す面(すなわち、接合垂直方向と板厚方向とが含まれる面)が観察面となるように、板厚(鉛直)方向に切断して試験片を採取した。なお、接合方向における切断位置は、接合(溶接)開始側の被接合材の端部から20mmの位置、接合(溶接)終了側の被接合材の端部から20mmの位置、および、被接合材の両端部の中間となる位置とし、当該切断位置での切断面が観察面となるように、合計3枚の試験片を採取した。ついで、得られた試験片の観察面を、光学顕微鏡(倍率:10倍)で観察した。そして、以下の基準により、内部欠陥の有無を判定した。
内部欠陥無し:3枚の試験片全てにおいて、接合部に未接合状態および割れがいずれも確認されない。
内部欠陥有り:少なくとも1枚の試験片において、接合部に未接合状態および割れの少なくとも一方が確認される。
[エリクセン値の比率(%)]=[接合継手のエリクセン値]/[母材部のエリクセン値]×100
〇(合格):エリクセン値の比率が80%以上
×(不合格):エリクセン値の比率が80%未満
なお、第1の電磁鋼帯の母材部のエリクセン値と第2の電磁鋼帯の母材部のエリクセン値が異なる場合、母材部のエリクセン値は、第1の電磁鋼帯の母材部のエリクセン値と第2の電磁鋼帯の母材部のエリクセン値のうち小さい方の値とする。
すなわち、回転ツールの破損や摩耗が生じると、内部欠陥による接合不良が高い確率で発生する。そこで、上記と同じ条件でそれぞれ、接合長0.5mの接合を繰り返し行い、得られた接合継手について、上記の「(II)内部欠陥の有無」に示した判定方法により、内部欠陥の有無を判定した。
そして、内部欠陥無しと判定される継手の数が全体の90%以上を維持する最大接合回数(以下、90%維持最大接合回数ともいう)により、回転ツールの耐久性の評価をした。なお、90%維持最大接合回数が15回以上の場合、回転ツールの耐久性(寿命)に優れているといえる。
[内部欠陥の有無を確認した接合継手のうち、内部欠陥無しと判定された接合継手の数]÷[内部欠陥の有無を確認した接合継手の数]×100≧90 ・・・式(a)
を満足する、最大のNの値である。
N=4では、
[内部欠陥の有無を確認した接合継手のうち、内部欠陥無しの接合継手の合計数]÷[内部欠陥を確認した接合継手の数N]×100
=4÷4×100=100≧90
となり、
N=5では、
[内部欠陥の有無を確認した接合継手のうち、内部欠陥無しの接合継手の合計数]÷[内部欠陥を確認した接合継手の数N]×100
=4÷5×100=80<90
となる。
すなわち、この場合では、N=4までは式(a)を満足し、N=5の際にはじめて式(a)を満足しなくなるので、90%維持最大接合回数は4となる。
N=11では、
[内部欠陥の有無を確認した接合継手のうち、内部欠陥無しの接合継手の合計数]÷[内部欠陥を確認した接合継手の数N]×100
=10÷11×100≒90.9≧90
となり、
N=20では、
[内部欠陥の有無を確認した接合継手のうち、内部欠陥無しの接合継手の合計数]÷[内部欠陥を確認した接合継手の数N]×100
=18÷20×100=90≧90
となり、
N=21では、
[内部欠陥の有無を確認した接合継手のうち、内部欠陥無しの接合継手の合計数]÷[内部欠陥を確認した接合継手の数N]×100
=18÷21×100=85.7<90
となる。
すなわち、この場合では、N=20までは式(a)を満足し、N=21の際にはじめて式(a)を満足しなくなるので、90%維持最大接合回数は20となる。
一方、比較例では、欠陥が発生するか、または、十分な破断抑止効果が得られなかった。
2 第2の電磁鋼帯(被接合材)
3-1 回転ツール(表面側回転ツール)
3-2 回転ツール(裏面側回転ツール)
4 接合部
4-1 熱加工影響部(第1の電磁鋼帯側)
4-2 熱加工影響部(第2の電磁鋼帯側)
7 把持装置
9-1、9-2 先端部
Claims (11)
- 連続冷間圧延ラインにおいて、第1の電磁鋼帯と、該第1の電磁鋼帯に続く第2の電磁鋼帯とを、互いに対向する一対の回転ツールにより接合する、電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法であって、
前記第1の電磁鋼帯の端部と前記第2の電磁鋼帯の端部との突合せ部、または、重ね合せ部である未接合部に、前記回転ツールを、該未接合部の両面から互いに逆方向に回転させながら押圧し、
ついで、前記回転ツールを接合方向に移動させることにより、前記第1の電磁鋼帯と前記第2の電磁鋼帯とを接合し、
また、前記回転ツールの肩部の直径D(mm)が、次式(1)の関係を満足し、かつ、
前記回転ツールの回転数RS(回/分)、前記回転ツールの肩部の直径D(mm)および接合速度JS(mm/分)により表されるRS×D3/JSが、次式(2)の関係を満足する、電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法。
4×TJ ≦ D ≦ 10×TJ ・・・(1)
200×TJ ≦ RS×D3/JS ≦ 2000×TJ ・・・(2)
ここで、TJは、
未接合部が突合せ部の場合、第1の電磁鋼帯の板厚および第2の電磁鋼帯の板厚の平均値(mm)であり、
未接合部が重ね合せ部の場合、重ね合せ部の厚さ(mm)である。 - 前記第1の電磁鋼帯と前記第2の電磁鋼帯の接合により形成される接合部および熱加工影響部の鋼組織がそれぞれ、フェライト相主体の組織となり、かつ、次式(3)~(6)の関係を満足する条件で、接合を行う、請求項1に記載の電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法。
Dsz ≦ 200μm ・・・(3)
Dhaz1 ≦ Dbm1 ・・・(4)
Dhaz2 ≦ Dbm2 ・・・(5)
0.9×(Hbm1+Hbm2)/2 ≦ Hsz ≦ 1.2 ×(Hbm1+Hbm2)/2 ・・・(6)
ここで、
Dszは、接合部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dhaz1は、第1の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dhaz2は、第2の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dbm1は、第1の電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dbm2は、第2の電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Hszは、接合部の硬さの平均値、
Hbm1は、第1の電磁鋼帯の母材部の硬さの平均値
Hbm2は、第2の電磁鋼帯の母材部の硬さの平均値
である。 - 次式(7)および(8)の関係を満足する条件で接合を行う、請求項1または2に記載の電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法。
0.8×TbmL ≦ TszL ・・・(7)
TszH ≦ 1.3×TbmH ・・・(8)
ここで、
TszLは、接合部の厚さの最小値(mm)、
TszHは、接合部の厚さの最大値(mm)、
TbmLは、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯のうち、薄い方の電磁鋼帯の板厚(mm)、
TbmHは、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯のうち、厚い方の電磁鋼帯の板厚(mm)、
である。ただし、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯の板厚が同じ場合には、TbmL= TbmHとなる。 - 前記回転ツールの肩部間の隙間G(mm)が次式(9)の関係を満足する、請求項1~3のいずれかに記載の電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法。
0.4×TJ ≦ G ≦ 0.9×TJ ・・・(9)
ここで、TJは、
未接合部が突合せ部の場合、第1の電磁鋼帯の板厚および第2の電磁鋼帯の板厚の平均値(mm)であり、
未接合部が重ね合せ部の場合、重ね合せ部の厚さ(mm)である。 - 前記回転ツールが、プローブなしの回転ツールである、請求項1~4のいずれかに記載の電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法。
- 前記回転ツールの先端面が、平面、凸型の曲面、または、凹型の曲面である、請求項5に記載の電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法。
- 前記回転ツールの先端面が、回転反対方向の渦状の段差部を有する、請求項5または6に記載の電磁鋼帯の両面摩擦撹拌接合方法。
- 前記渦状の段差部が、前記回転ツールの先端面の中心から外周に向かって徐々に低くなる、請求項7に記載の電磁鋼帯の両面摩擦撹拌接合方法。
- 前記渦状の段差部が、前記回転ツールの先端面の中心から外周に向かって徐々に高くなる、請求項7に記載の電磁鋼帯の両面摩擦撹拌接合方法。
- 前記回転ツールの傾斜角度αが0°である、請求項5~9のいずれかに記載の電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法。
- 請求項1~10のいずれかに記載の電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法により第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯とを接合し、接合鋼帯を得る工程と、
該接合鋼帯に冷間圧延を施し、冷延鋼帯を得る工程と、をそなえる、電磁鋼帯の製造方法。
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