JP7230977B1 - 電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法、および、電磁鋼帯の製造方法 - Google Patents

電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法、および、電磁鋼帯の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7230977B1
JP7230977B1 JP2021148995A JP2021148995A JP7230977B1 JP 7230977 B1 JP7230977 B1 JP 7230977B1 JP 2021148995 A JP2021148995 A JP 2021148995A JP 2021148995 A JP2021148995 A JP 2021148995A JP 7230977 B1 JP7230977 B1 JP 7230977B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel strip
electromagnetic steel
joint
friction stir
stir welding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2021148995A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2023041557A (ja
Inventor
宗生 松下
匠平 岩田
靖 木谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2021148995A priority Critical patent/JP7230977B1/ja
Priority to CN202280058841.0A priority patent/CN117881500A/zh
Priority to KR1020247006469A priority patent/KR20240035617A/ko
Priority to PCT/JP2022/029028 priority patent/WO2023037785A1/ja
Priority to TW111129658A priority patent/TWI815594B/zh
Application granted granted Critical
Publication of JP7230977B1 publication Critical patent/JP7230977B1/ja
Publication of JP2023041557A publication Critical patent/JP2023041557A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

Figure 0007230977000001
【課題】コイル接合部の機械的特性の劣化や形状の劣化による製造ラインでのコイル接合部の破断発生を抑止することができる、電磁鋼帯の摩擦攪拌接合方法を提供する。
【解決手段】回転ツールの肩部の直径D(mm)について、次式(1)の関係を満足させ、かつ、回転ツールの回転数RS(回/分)、回転ツールの肩部の直径D(mm)および接合速度JS(mm/分)により表されるRS×D3/JSについて、次式(2)の関係を満足させる。
4×TJ 10×TJ ・・・(1)
200×TJ RS×D3/JS 2000×TJ ・・・(2)
【選択図】図1A

Description

本発明は、電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法、および、電磁鋼帯の製造方法に関する。
鋼板の製造ライン、例えば、酸洗、冷間圧延、焼鈍およびめっきなどの製造ラインでは、生産性の向上や歩留りを高くするために、いわゆるコイル接合を実施したうえで、鋼帯を通板することが一般的である。ここで、コイル接合とは、製造ラインにおいて、先行する鋼帯(以下、先行鋼帯ともいう)の端部(後端)と、先行鋼帯に続く鋼帯(以下、後行鋼帯ともいう)の端部(先端)とを接合するものである(以下、コイル接合により形成される接合部を。コイル接合部ともいう)。なお、先端は、製造ラインにおける鋼帯の進行方向側の端部である。また、後端は、製造ラインにおける鋼帯の進行方向反対側の端部である。このコイル接合を行うことにより、鋼帯の全長にわたり、張力を付与した状態で圧延等することが可能となる。また、鋼帯の先端や後端においても、板厚や形状を高精度に制御することが可能となる。
コイル接合では、従来、フラッシュバット溶接等が適用されることが一般的であった。しかし、レーザ溶接機の進歩に伴い、例えば、電磁鋼板やステンレス鋼板、高張力鋼板の製造ラインでも、コイル接合にレーザ溶接を適用することが主流となりつつある。
このような技術として、例えば、特許文献1には、
「高Si鋼を溶接するに際し、Niを主成分とするフィラーワイヤを用い、あるいはNiを主成分とする粉末フィラーを供給して溶接金属の化学組成が下記 (1)式を満足するように溶接を行うことを特徴とする高Si鋼のレーザー溶接方法。
X=[%Ni]-[%Si]×2.5 -([%Cr]+[%Mo])×0.4 ≧0・・(1)
ただし、[%Ni]、[%Si]、[%Cr]および[%Mo]は、それぞれ、溶接金属中のNi、Si、CrおよびMoの含有量(重量%)を表す。」
が開示されている。
特許文献2には、
「先行板と後行板とを突合せてフィラーワイヤーを用いてレーザー溶接する方法において、溶接初期の前記先行板と後行板の突合せギャップ(Gap)と溶接金属の平均巾(DEPO)との比(Gap/DEPO)が0.3~0.8であることを特徴とするレーザー溶接方法。」
が開示されている。
特許文献3には、
「連続冷間圧延ライン上を搬送される特殊鋼からなる先行薄板と後行薄板とをレーザー溶接して形成された溶接部において、
冷間圧延によって母材の上面側に延び出た溶接金属からなる上側延出部の下側に存在する前記母材の最小厚みをL1とし、冷間圧延によって前記母材の下面側に延び出た溶接金属からなる下側延出部と前記上側延出部に挟まれた前記母材の最小厚みをL2とすると、L1及びL2の少なくともいずれかがゼロより大きいことを特徴とする薄板の溶接部。」
が開示されている。
特開平5-305466号公報 特開2004-25284号公報 特開2011-140026号公報 特表平07-505090号公報 特許第3261433号 特許第4838385号 特許第4838388号 特再表2019-26864号公報 特再表2019-54400号公報 特許第5185103号 特開2015-127063号公報 特開2003-181655号公報 特開2003-290936号公報 特開2004-195480号公報 特開2011-115846号公報
Cui, L.; Fujii, H.; Tsuji, N.; Nogi, K. Scripta Mater. 2007, 56, p.637-640.
しかし、レーザ溶接は溶融溶接であるため、溶融および凝固時の不純物の偏析に起因する脆化や、水素侵入に起因する脆化が生じ、接合部(溶接部)の機械的特性の劣化を招く場合がある。特に、電磁鋼板の成分組成にはSiが多量に含有されているため、コイル接合部の機械的特性の劣化が顕著となり易い。そのため、特許文献1~3のように、電磁鋼帯のコイル接合としてレーザ溶接を適用すると、製造ライン、例えば、連続冷間圧延ラインにおいて、コイル接合部に破断が生じ、ライン停止などによる生産性の低下を招くという問題があった。
本発明は、上記の問題を解決するために開発されたものであって、コイル接合部の機械的特性の劣化や形状の劣化による製造ラインでのコイル接合部の破断発生を抑止することができる、電磁鋼帯の摩擦攪拌接合方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記の電磁鋼帯の摩擦攪拌接合方法を用いた電磁鋼帯の製造方法を提供することを目的とする。
さて、発明者らは、上記の目的を達成すべく、鋭意検討を重ねた。まず、発明者らは、電磁鋼帯のコイル接合としてレーザ溶接を適用する場合に、コイル接合部の機械的特性の劣化や形状の劣化が生じる理由を調査・検討したところ、以下の知見を得た。
(a)上述したように、電磁鋼板の成分組成には、Siが多量に、具体的には、2.0~5.0質量%程度含有されている。Siは、フェライト安定化元素である。そのため、電磁鋼帯のコイル接合に一般的なレーザ溶接を適用すると、溶融部であるコイル接合部のフェライト結晶粒、さらには、熱影響部のフェライト結晶粒が粗大化する。これにより、コイル接合部の機械的特性、特に、靭性や曲げ強度が大幅に劣化し、製造ラインでのコイル接合部の破断発生を招く。
(b)また、上記した特許文献1~3の技術では、オーステナイト安定化元素であるNiを主成分とする溶加材(フィラー)を用いる。そのため、コイル接合部では、主にオーステナイト相が得られる。しかし、上記した特許文献1~3の技術では、先行鋼帯と後行鋼帯との突合せギャップの変動をなくして溶融部(溶接金属)での溶加材の融合量と鋼板の融合量とを極めて厳格に管理し、溶融部(溶接金属)でのNi当量とCr当量とのバランスを常時適正に制御する必要がある。すなわち、溶融部(溶接金属)でのNi当量とCr当量とのバランスが適正に制御されないと、コイル接合部に硬く脆い組織であるマルテンサイト相が形成される。これにより、コイル接合部の機械的特性、特に、靭性が大幅に劣化する。また、熱影響部では、フェライト結晶粒の粗大化により、コイル接合部の機械的特性が大幅に劣化する。これらの理由により、製造ラインでのコイル接合部の破断発生を招く。
ここで、Ni当量およびCr当量は、それぞれ次式により定義される。
Ni当量 = [%Ni]+30×[%C]+0.5 × [%Mn]
Cr当量 = [%Cr]+[%Mo]+1.5×[%Si]+0.5×[%Nb]
式中、[%Ni]、[%C]、[%Mn]、[%Cr]、[%Mo]、[%Si]および[%Nb]はそれぞれ、溶接金属中のNi、C、Mn、Cr、Mo、SiおよびNbの含有量(質量%)である。
(c)さらに、上記した先行鋼帯と後行鋼帯との突合せギャップの変動は、溶接部の余盛高さに影響を及ぼす。例えば、溶接部の余盛高さが高くなり、溶接部が過度な凸形状となる場合、溶接部に負荷がかかると、溶接止端部に応力が集中する。そのため、上記した先行鋼帯と後行鋼帯との突合せギャップの変動は、この点でも、製造ラインでのコイル接合部の破断発生の原因となる。なお、溶接部の余盛は研削などにより除去することができるが、このような工程の増加は生産性の大幅な低下を招く。
上記の点を踏まえ、発明者らがさらに種々の検討を重ねたところ、発明者らは、電磁鋼帯のコイル接合として摩擦攪拌接合を適用することに着想した。
ここで、摩擦攪拌接合とは、回転ツールと被接合材との摩擦熱、および、被接合材の塑性流動を利用した固相接合である。すなわち、回転ツールにより被接合材の未接合部(接合予定領域)を摩擦攪拌する。被接合材の未接合部が摩擦熱により加熱されると、塑性流動が開始する。そして、塑性流動域と母材部との界面が大きく伸長される。これにより、酸化物の無い清浄な界面同士が接触し、被接合材が溶融することなく接合部が形成される。ここで、接合部は、回転ツールと被接合材との摩擦熱と塑性流動による熱間加工を受け再結晶組織となる領域であり、撹拌部と呼ばれる場合もある。また、接合部に隣接する領域には、摩擦熱と塑性流動による熱間加工の影響を受けるものの、温度や加工が不十分で再結晶に至らない組織となる領域が形成される。この領域を熱加工影響部という。さらに、被接合材には、摩擦熱と塑性流動による熱間加工の影響を受けない領域も存在する。この領域を母材部という。なお、摩擦攪拌接合に関する技術が、例えば、特許文献4~15および非特許文献1に開示されているが、これらはいずれも、電磁鋼帯のコイル接合に適用するものではない。
そこで、発明者らは、上記の着想に基づき、さらに種々の検討を重ねたところ、以下の知見を得た。
(d)上記(a)~(c)の問題を有利に解決するには、
・接合方式としていわゆる両面摩擦攪拌接合を適用し、
・そのうえで、回転ツールの肩部の直径D(mm)について、次式(1)の関係を満足させ、かつ、
・接合条件を適切に制御する、特には、回転ツールの回転数RS(回/分)、回転ツールの肩部の直径D(mm)および接合速度JS(mm/分)により表されるRS×D3/JSについて、次式(2)の関係を満足させる、
ことが重要である。
これにより、被接合材として電磁鋼帯を用いる場合であっても、コイル接合部の形状の劣化を招くことなくコイル接合部の機械的特性が高まり、製造ラインでのコイル接合部の破断発生が有効に抑止される。また、欠陥発生を抑制しつつ接合速度を高速度化することができるので、施工能率の点でも極めて有利である。
4×TJ 10×TJ ・・・(1)
200×TJ RS×D3/JS 2000×TJ ・・・(2)
ここで、TJは、
未接合部が突合せ部の場合、第1の電磁鋼帯の板厚および第2の電磁鋼帯の板厚の平均値(mm)であり、
未接合部が重ね合せ部の場合、重ね合せ部の厚さ(mm)である。
(e)また、上掲式(1)および(2)の関係を同時に満足させたうえで、接合部および熱加工影響部の鋼組織をフェライト主体の組織とし、かつ、接合部および熱加工影響部の鋼組織の微細化と、接合部と母材部の硬度差の低減とを同時に図る、具体的には、次式(3)~(6)の関係を同時に満足させることが好適である。
これにより、被接合材として電磁鋼帯を用いる場合であっても、コイル接合部の形状の劣化を招くことなくコイル接合部の機械的特性が高まり、製造ラインでのコイル接合部の破断発生がより有効に抑止される。
Dsz ≦ 200μm ・・・(3)
Dhaz1 ≦ Dbm1 ・・・(4)
Dhaz2 ≦ Dbm2 ・・・(5)
0.9×(Hbm1+Hbm2)/2 ≦ Hsz ≦ 1.2 ×(Hbm1+Hbm2)/2 ・・・(6)
ここで、
Dszは、接合部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dhaz1は、第1の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dhaz2は、第2の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dbm1は、第1の電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dbm2は、第2の電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Hszは、接合部の硬さの平均値、
Hbm1は、第1の電磁鋼帯の母材部の硬さの平均値
Hbm2は、第2の電磁鋼帯の母材部の硬さの平均値
である。
(f)加えて、接合方式としていわゆる両面摩擦攪拌接合を適用し、上掲式(1)および(2)の関係を同時に満足させることにより、撹拌能がより高まる。そのため、回転ツールの先端部を肩部のみから構成したプローブなしの回転ツール(以下、単にプローブなしの回転ツールともいう)を使用することが可能となる。すなわち、プローブ(ピン)は、一般的な回転ツール(以下、プローブありの回転ツールともいう)において、その先端部に肩部からの突出するようにして配置される。そのため、プローブには、肩部よりも大きい応力がかり、破損や摩耗が生じやすい。よって、プローブなしの回転ツールの使用は、回転ツールの耐久性や寿命延長、ひいては(回転ツールの磨耗や破損による)接合不良率の低減という点でも、極めて有利になる。ここで、プローブなしの回転ツールとしては、例えば、回転ツールの先端面(被接合材との接触面)を、平面、凸型の曲面、または、凹型の曲面としたプローブなしの回転ツールが挙げられる。
(g)また、プローブなしの回転ツールでは、回転ツールの先端面に、回転反対方向の渦状の段差部を設けることが好適である。これにより、塑性流動を促進して接合速度を高め、施工能率を一層向上することができる。
本発明は、上記の知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.連続冷間圧延ラインにおいて、第1の電磁鋼帯と、該第1の電磁鋼帯に続く第2の電磁鋼帯とを、互いに対向する一対の回転ツールにより接合する、電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法であって、
前記第1の電磁鋼帯の端部と前記第2の電磁鋼帯の端部との突合せ部、または、重ね合せ部である未接合部に、前記回転ツールを、該未接合部の両面から互いに逆方向に回転させながら押圧し、
ついで、前記回転ツールを接合方向に移動させることにより、前記第1の電磁鋼帯と前記第2の電磁鋼帯とを接合し、
また、前記回転ツールの肩部の直径D(mm)が、次式(1)の関係を満足し、かつ、
前記回転ツールの回転数RS(回/分)、前記回転ツールの肩部の直径D(mm)および接合速度JS(mm/分)により表されるRS×D3/JSが、次式(2)の関係を満足する、電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法。
4×TJ 10×TJ ・・・(1)
200×TJ RS×D3/JS 2000×TJ ・・・(2)
ここで、TJは、
未接合部が突合せ部の場合、第1の電磁鋼帯の板厚および第2の電磁鋼帯の板厚の平均値(mm)であり、
未接合部が重ね合せ部の場合、重ね合せ部の厚さ(mm)である。
2.前記第1の電磁鋼帯と前記第2の電磁鋼帯の接合により形成される接合部および熱加工影響部の鋼組織がそれぞれ、フェライト相主体の組織となり、かつ、次式(3)~(6)の関係を満足する条件で、接合を行う、前記1に記載の電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法。
Dsz ≦ 200μm ・・・(3)
Dhaz1 ≦ Dbm1 ・・・(4)
Dhaz2 ≦ Dbm2 ・・・(5)
0.9×(Hbm1+Hbm2)/2 ≦ Hsz ≦ 1.2 ×(Hbm1+Hbm2)/2 ・・・(6)
ここで、
Dszは、接合部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dhaz1は、第1の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dhaz2は、第2の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dbm1は、第1の電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dbm2は、第2の電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Hszは、接合部の硬さの平均値、
Hbm1は、第1の電磁鋼帯の母材部の硬さの平均値
Hbm2は、第2の電磁鋼帯の母材部の硬さの平均値
である。
3.次式(7)および(8)の関係を満足する条件で接合を行う、前記1または2に記載の電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法。
0.8×TbmL ≦ TszL ・・・(7)
TszH ≦ 1.3×TbmH ・・・(8)
ここで、
TszLは、接合部の厚さの最小値(mm)、
TszHは、接合部の厚さの最大値(mm)、
TbmLは、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯のうち、薄い方の電磁鋼帯の板厚(mm)、
TbmHは、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯のうち、厚い方の電磁鋼帯の板厚(mm)、
である。ただし、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯の板厚が同じ場合には、TbmL= TbmHとなる。
4.前記回転ツールの肩部間の隙間G(mm)が次式(9)の関係を満足する、前記1~3のいずれかに記載の電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法。
0.4×TJ ≦ G ≦ 0.9×TJ ・・・(9)
ここで、TJは、
未接合部が突合せ部の場合、第1の電磁鋼帯の板厚および第2の電磁鋼帯の板厚の平均値(mm)であり、
未接合部が重ね合せ部の場合、重ね合せ部の厚さ(mm)である。
5.前記回転ツールが、プローブなしの回転ツールである、前記1~4のいずれかに記載の電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法。
6.前記回転ツールの先端面が、平面、凸型の曲面、または、凹型の曲面である、前記5に記載の電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法。
7.前記回転ツールの先端面が、回転反対方向の渦状の段差部を有する、前記5または6に記載の電磁鋼帯の両面摩擦撹拌接合方法。
8.前記渦状の段差部が、前記回転ツールの先端面の中心から外周に向かって徐々に低くなる、前記7に記載の電磁鋼帯の両面摩擦撹拌接合方法。
9.前記渦状の段差部が、前記回転ツールの先端面の中心から外周に向かって徐々に高くなる、前記7に記載の電磁鋼帯の両面摩擦撹拌接合方法。
10.前記回転ツールの傾斜角度αが0°である、前記5~9のいずれかに記載の電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法。
11.前記1~10のいずれかに記載の電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法により第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯とを接合し、接合鋼帯を得る工程と、
該接合鋼帯に冷間圧延を施し、冷延鋼帯を得る工程と、をそなえる、電磁鋼帯の製造方法。
本発明によれば、被接合材として電磁鋼帯を使用する場合であっても、コイル接合部の機械的特性の劣化や形状の劣化が生じず、製造ラインでのコイル接合部の破断発生が有効に抑止される。これにより、電磁鋼板の生産性の一層の向上を図ることができ、産業上の利用価値は極めて大きい。また、欠陥発生を抑制しつつ接合速度を高速度化することができるので、施工能率の点でも極めて有利である。さらに、プローブなしの回転ツールを使用できるので、回転ツールの耐久性や寿命延長、ひいては接合不良率の低減という点でも極めて有利である。なお、ここでいう電磁鋼帯とは、主として中間成品を意味する。
本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法を説明する概略図であり、両面摩擦撹拌接合方法による突合せ接合の一例を示す側面斜視図である。 図1AのA-A矢視図である。 本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法で使用するプローブありの回転ツールの形状の一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法で使用するプローブありの回転ツールの形状の一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法で使用するプローブなしの回転ツール(先端平面回転ツール)の形状の一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法で使用するプローブなしの回転ツール(先端凸型回転ツール)の形状の一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法で使用するプローブなしの回転ツール(先端凹型回転ツール)の形状の一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法で使用するプローブなしの回転ツール(段差部を設けた先端平面回転ツール)の形状の一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法で使用するプローブなしの回転ツール(段差部を設けた先端凸型回転ツール)の形状の一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法で使用するプローブなしの回転ツール(段差部を設けた先端凹型回転ツール)の形状の一例を示す模式図である。 段差部を画定する渦が2つで、渦を等間隔に配置(描写)する方法を説明する図である。 段差部を画定する渦が3つで、渦を等間隔に配置(描写)する方法を説明する図である。 段差部を画定する渦が4つで、渦を等間隔に配置(描写)する方法を説明する図である。 段差部を画定する渦が5つで、渦を等間隔に配置(描写)する方法を説明する図である。 段差部を画定する渦が6つで、渦を等間隔に配置(描写)する方法を説明する図である。 階段状の段差部を設けた先端凸型回転ツールの一例を示す模式図である。 溝状の段差部を設けた先端凸型回転ツールの一例を示す模式図である。 溝状の段差部を設けた先端平面回転ツールの一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法により得られる、電磁鋼帯の接合継手の模式図である。
本発明を、以下の実施形態に基づき説明する。
[1]電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法
まず、本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法を、図1を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法を説明する概略図であり、図1Aは側面斜視図、図1Bは図1AのA-A矢視図である。
図中、符号1が第1の電磁鋼帯(被接合材)、2が第2の電磁鋼帯(被接合材)、3-1が回転ツール(表面側回転ツール)、3-2が回転ツール(裏面側回転ツール)、4が接合部、7が把持装置、9-1および9-2が先端部(肩部(ショルダー))である。なお、図1Aでは把持装置の図示を省略している。
また、図1Bでは、鉛直方向が板厚方向である。水平方向が、接合方向に垂直でかつ、板厚方向に垂直な方向(以下、接合垂直方向ともいう)である。紙面手前側の方向が、接合方向である。すなわち、図1Bに示す面内には、接合垂直方向と板厚方向とが含まれる。
本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法は、上述したように、
連続冷間圧延ラインにおいて、第1の電磁鋼帯と、該第1の電磁鋼帯に続く第2の電磁鋼帯とを、互いに対向する一対の回転ツールにより接合する、電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法であって、
前記第1の電磁鋼帯の端部と前記第2の電磁鋼帯の端部との突合せ部、または、重ね合せ部である未接合部に、前記回転ツールを、該未接合部の両面から互いに逆方向に回転させながら押圧し、
ついで、前記回転ツールを接合方向に移動させることにより、前記第1の電磁鋼帯と前記第2の電磁鋼帯とを接合し、
また、前記回転ツールの肩部の直径D(mm)が、次式(1)の関係を満足し、かつ、
前記回転ツールの回転数RS(回/分)、前記回転ツールの肩部の直径D(mm)および接合速度JS(mm/分)により表されるRS×D3/JSが、次式(2)の関係を満足する、というものである。
4×TJ 10×TJ ・・・(1)
200×TJ RS×D3/JS 2000×TJ ・・・(2)
ここで、TJは、
未接合部が突合せ部の場合、第1の電磁鋼帯の板厚および第2の電磁鋼帯の板厚の平均値(mm)であり、
未接合部が重ね合せ部の場合、重ね合せ部の厚さ(mm)である。
ここで、継手形式の好適な例としては、突合せ接合および重ね接合が挙げられる。
突合せ接合とは、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯の端面同士を対向させた状態で、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯の端面(突合せ面)を含む突合せ部に回転ツールを回転させながら押圧する。そして、その状態で、回転ツールを接合方向に移動させることにより、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯を接合するものである。
重ね接合とは、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯の端部の少なくとも一部を重ね合せ、重ね合せ部に回転ツールを回転させながら押圧する。そして、その状態で、回転ツールを接合方向に移動させることにより、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯を接合するものである。
突合せ接合と重ね接合は未接合部の形態が異なるだけで、その他の装置の構成は基本的に同じなので、ここでは、図1(図1Aおよび図1B)のような、両面摩擦撹拌接合により、突合せ接合を行う場合を例示して説明する。図1Aは側面斜視図、図1Bは図1AのA-A矢視図である。両面摩擦撹拌接合方法は、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯とを、互いに対向する一対の回転ツールを用いて接合する摩擦撹拌接合方法である。すなわち、互いに対向する一対の回転ツールを、未接合部の両面から互いに逆方向に回転させながら押圧し、その状態で、回転ツールを接合方向に移動させることにより、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯とを接合する。
両面摩擦撹拌接合では、例えば、互いに対向する1対の回転ツール、把持装置および回転ツールの動作を制御する制御装置(図示せず)をそなえる両面摩擦撹拌接合装置を用いる。制御装置では、例えば、回転ツールの傾斜角度α、回転ツールの先端部の位置および先端部(肩部)同士の間の距離、接合速度、押込み荷重、回転ツールの回転数、ならびに、回転トルク等を制御する。
両面摩擦撹拌接合では、摩擦撹拌接合装置の回転ツールを、被接合材である第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯の両面にそれぞれに配置する。なお、第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯の表面側(鉛直方向上側)に配置される回転ツールを、表面側回転ツールと称し、第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯の裏面側(鉛直方向下側)に配置される回転ツールを、裏面側回転ツールと称する場合がある。第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯は、図中に示した接合中央線に平行となるように配置され、それぞれ把持装置で把持される。そして、接合中央線上に位置する未接合部(接合予定領域)、つまり、第1の電磁鋼帯の端部(後端)と第2の電磁鋼帯の端部(先端)との突合せ部の両面にそれぞれ、回転ツールを回転させながら押圧する。ついで、その状態で、回転ツールを接合方向に移動させる。これにより、回転ツールと被接合材である第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯との摩擦熱により該被接合材を軟化させる。そして、その軟化した部位を回転ツールで撹拌することにより、塑性流動を生じさせて、被接合材である第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯とを接合する。なお、接合が完了した部分には、接合部が形成される。また、接合部に隣接して、熱加工影響部が形成される。
そして、本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法では、
・接合方式として、上記の両面摩擦攪拌接合を適用し、
・そのうえで、回転ツールの肩部の直径D(mm)について、次式(1)の関係を満足させ、かつ、
・接合条件を適切に制御する、特には、回転ツールの回転数RS(回/分)、回転ツールの肩部の直径D(mm)および接合速度JS(mm/分)により表されるRS×D3/JSについて、次式(2)の関係を満足させる、
ことが重要である。
これにより、被接合材として電磁鋼帯を用いる場合であっても、コイル接合部の形状の劣化を招くことなくコイル接合部の機械的特性が高まり、製造ラインでのコイル接合部の破断発生が有効に抑止される。また、欠陥発生を抑制しつつ接合速度を高速度化することができるので、施工能率の点でも極めて有利である。
4×TJ 10×TJ ・・・(1)
200×TJ RS×D3/JS 2000×TJ ・・・(2)
ここで、TJは、
未接合部が突合せ部の場合、第1の電磁鋼帯の板厚および第2の電磁鋼帯の板厚の平均値(mm)であり、
未接合部が重ね合せ部の場合、重ね合せ部の厚さ(mm)である。
すなわち、回転ツールの肩部の直径D(以下、単に肩径Dともいう)を、未接合部の厚さに応じて適切に制御することにより、回転ツールと被接合材である被接合材である第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯との間で生じる摩擦熱による温度上昇と、摩擦力によるせん断応力とを被接合材に有効に付与することができる。ここで、肩径Dが4×TJ(mm)未満になると、十分な塑性流動が得られない場合がある。一方、肩径Dが10×TJ(mm)を超えると、塑性流動が生じる領域が不必要に広がり、接合部に過大な熱量が投入される。これにより、接合部の再結晶組織の粗大化を招く。また、接合装置に過大な負荷がかかるおそれもある。そのため、肩径Dについて、上記式(1)の関係を満足させる。肩径Dは、好ましくは5.5×TJ(mm)以上である。肩径Dは、好ましくは8×TJ(mm)以下である。
なお、プローブなしの回転ツールの場合、肩径Dは、図3~図5に示すように、先端径ということもできる。先端径は、回転軸に垂直な面における回転ツールの先端面の直径(回転ツールの先端面を、回転軸に平行な方向へ投影したときの投影領域の直径)である。
また、RS×D3/JSは、単位接合長さ当たりの発熱量と相関するパラメータである。そして、RS×D3/JSの範囲を200×TJ~2000×TJとすることにより、回転ツールと被接合材である被接合材である第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯との間で生じる摩擦熱による温度上昇と、摩擦力によるせん断応力とを被接合材に有効に付与することができる。ここで、RS×D3/JSが200×TJ未満では、発熱量が不十分となる。そのため、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯の合せ面に冶金的に接合された状態の接合界面を形成することが困難となる場合がある。一方、RS×D3/JSが2000×TJを超えると、摩擦撹拌による発熱量が過大となり、接合部に過大な熱量が投入される。これにより、接合部のピーク温度(最高到達温度)が上昇したり、冷却速度が低下したりして、接合部の再結晶組織が粗大化を招く。そのため、RS×D3/JSについては、上記式(2)の関係を満足させる。RS×D3/JSは、好ましくは280×TJ以上である。また、RS×D3/JSは、好ましくは1600×TJ以下である。
なお、表面側回転ツールと裏面側回転ツールとで、回転ツールの回転数RSおよび肩径Dが異なる場合には、表面側回転ツールおよび裏面側回転ツールのそれぞれで、上掲式(1)および(2)の関係を満足させるものとする。
また、本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法では、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯の接合により形成される接合部および熱加工影響部の鋼組織がそれぞれ、フェライト相主体の組織となり、かつ、次式(3)~(6)の関係を満足する条件で、接合を行うことが好適である。これにより、被接合材として電磁鋼帯を用いる場合であっても、コイル接合部の形状の劣化を招くことなくコイル接合部の機械的特性が高まり、製造ラインでのコイル接合部の破断発生がより有効に抑止される。
Dsz ≦ 200μm ・・・(3)
Dhaz1 ≦ Dbm1 ・・・(4)
Dhaz2 ≦ Dbm2 ・・・(5)
0.9×(Hbm1+Hbm2)/2 ≦ Hsz ≦ 1.2 ×(Hbm1+Hbm2)/2 ・・・(6)
ここで、
Dszは、接合部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dhaz1は、第1の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dhaz2は、第2の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dbm1は、第1の電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dbm2は、第2の電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Hszは、接合部の硬さの平均値、
Hbm1は、第1の電磁鋼帯の母材部の硬さの平均値
Hbm2は、第2の電磁鋼帯の母材部の硬さの平均値
である。
さらに、本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法では、次式(7)および(8)の関係を満足する条件で接合を行う、ことが好適である。
0.8×TbmL ≦ TszL ・・・(7)
TszH ≦ 1.3×TbmH ・・・(8)
ここで、
TszLは、接合部の厚さの最小値(mm)、
TszHは、接合部の厚さの最大値(mm)、
TbmLは、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯のうち、薄い方の電磁鋼帯の板厚(mm)、
TbmHは、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯のうち、厚い方の電磁鋼帯の板厚(mm)、
である。ただし、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯の板厚が同じ場合には、TbmL= TbmHとなる。
なお、被接合材(第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯)、接合部および熱加工影響部、ならびに、上掲式(3)~(8)などについての説明は、後述する[2]電磁鋼帯の接合継手に記載するとおりである。
さらに、本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法では、回転ツールの肩部間の隙間G(mm)が次式(9)の関係を満足することが好ましい。
0.4×TJ ≦ G ≦ 0.9×TJ ・・・(9)
ここで、TJは、
未接合部が突合せ部の場合、第1の電磁鋼帯の板厚および第2の電磁鋼帯の板厚の平均値(mm)であり、
未接合部が重ね合せ部の場合、重ね合せ部の厚さ(mm)である。
すなわち、両面摩擦撹拌接合では、接合時の欠陥発生を抑制しつつ接合速度の高速度化を達成する観点から、回転ツールの肩部間の隙間(すなわち、板厚方向における表面側回転ツールの肩部と裏面側回転ツールの肩部との離間距離)G(以下、単に肩部間隙間Gともいう)を適切に制御することが有利である。特に、肩部間隙間Gが0.4×TJ~0.9×TJの範囲内にあると、互いに対向する回転ツールの肩部が、被接合材の表面側および裏面側に十分な荷重で押圧され、接合部における発熱および板厚方向への塑性流動が十分に促進される。これにより、より良好な状態の接合継手が得られる。一方、肩部間隙間Gが0.9×TJを超えると、回転ツールの肩部が、被接合材の表面側および裏面側に十分な荷重で押圧されず、上記の効果が得られない場合がある。また、肩部間隙間Gが0.4×TJ未満になると、接合部の表面および裏面が過度な凹形となり、継手強度に悪影響を及ぼす場合がある。そのため、肩部間隙間Gは、0.4×TJ~0.9×TJの範囲とすることが好ましい。肩部間隙間Gは、より好ましくは0.5×TJ以上である。また、肩部間隙間Gはより好ましくは0.8×TJ以下である。
また、本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法では、回転ツールの傾斜角度αは特に限定されず、例えば、表面側回転ツールと裏面側回転ツールの両方において、0°≦α≦4°とすることができる。
ここで、αは、接合方向と板厚方向(被接合材の表面に対して垂直な方向)とを含む面における、回転ツールの回転軸(以下、ツールの回転軸ともいう)の板厚方向(被接合材の表面に対して垂直な方向)からの傾斜角度である。なお、回転ツールの先端部が接合方向に対して先行する向き(の角度)を+とする。
なお、両面摩擦撹拌接合方法で一般的に使用されるプローブありの回転ツールでは、表面側回転ツールと裏面側回転ツールの両方において、ツールの回転軸を傾斜させる、すなわち、0°<αとすることがより好適である。これにより、プローブの先端が接合方向に対して先行するので、回転ツールに対する負荷を、回転軸方向に圧縮される分力として、回転ツールで受けることができる。その結果、曲げ方向の力が低減され、回転ツールの破壊リスクが低減される。よって、プローブありの回転ツールを使用する場合、0°<αとすることがより好適である。また、α ≦ 2°とすることがより好適である。
一方、プローブなしの回転ツールでは、プローブの局部的な応力集中による破損を考慮する必要がない。そのため、表面側回転ツールと裏面側回転ツールの両方において、回転ツールの傾斜角度αを0°、すなわち、接合方向と板厚方向(被接合材の表面に対して垂直な方向)とを含む面において、ツールの回転軸が板厚方向と平行になるようにすることがより好適である。これにより、接合部の表裏面が凹形となり、被接合材の厚さに対する接合部の厚さの比が低下する。その結果、継手強度に悪影響を及ぼす傾向を回避できる。また、回転ツールの傾斜角度αを付与・設定するための装置の制御機構を省略できるなどのメリットもある。
上記以外の条件については、上掲式(1)および(2)の関係を満足する条件であれば、特に限定されず、常法に従えばよい。
例えば、回転ツールの回転数は、好ましくは300~9000r/min(回/分)である。回転ツールの回転数を当該範囲内とすることにより、表面形状を良好に保ちつつ過大な熱量の投入による機械特性の低下を抑制できるので、有利である。回転ツールの回転数は、より好ましくは400r/min以上である。また、回転ツールの回転数は、より好ましくは8000r/min以下である。
接合速度は、好ましくは800~5000mm/min(mm/分)である。接合速度は、より好ましくは1000mm/min以上である。接合速度は、より好ましくは4000mm/min以下である。
回転ツールの先端部の位置や押込み荷重、回転トルク、プローブ間の隙間などは、常法に従い、適宜、設定すればよい。
なお、図1に示すように、両面摩擦撹拌接合では、表面側回転ツールの回転方向と裏面側回転ツールの回転方向とを、被接合材の表面側(または裏面側)から見て逆方向とする。また、表面側回転ツールの回転数と裏面側回転ツールの回転数は、同じとすることが好ましい。これにより、表面側回転ツールと裏面側回転ツールから被接合材に加わる回転トルクを打ち消し合うことができる。その結果、一方の面から未接合部を押圧して接合する片面摩擦撹拌接合法と比較して、被接合材を拘束する治具の構造を簡略化することが可能となる。
また、表面側回転ツールの回転方向と裏面側回転ツールの回転方向とを、被接合材の表面側(または裏面側)から見て同方向とすると、一方の回転ツールに対する他方の回転ツールの相対速度はゼロに近づく。その結果、被接合材の塑性流動が均質状態に近づき塑性変形も小さくなる。そのため、材料の塑性変形による発熱も得られなくなるので、良好な接合状態を達成することが難しくなる。よって、良好な接合状態を達成するのに十分な温度上昇とせん断応力を被接合材の板厚方向に対して均質的に得る観点から、表面側回転ツールの回転方向と裏面側回転ツールの回転方向とを、被接合材の表面側(または裏面側)から見て逆方向とすることが有効である。
また、本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法で使用する回転ツールについても、上掲式(1)の関係を満足するものであれば、特に限定されず、常法に従えばよい。
例えば、回転ツールの先端部は、接合時に被接合材である第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯と接触する。そのため、回転ツールの先端部は、接合時に晒される高温状態において、第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯よりも硬い材質で形成される。これにより、接合時に回転ツールは、先端部の形状を保持したまま、第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯に変形を加えることができる。その結果、高い撹拌能を持続的に実現することができ、適正な接合が可能となる。なお、回転ツールの先端部、第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯の硬さは、高温ビッカース硬さ試験方法により測定して、比較すればよい。なお、回転ツールの先端部のみを、第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯よりも硬い材質で形成してもよい。また、回転ツール全体を、第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯よりも硬い材質で形成してもよい。
図2(図2Aおよび図2B)に、プローブありの回転ツールの例をそれぞれ示す。なお、図2示すように、プローブありの回転ツールは、回転ツールの先端部が、肩部(図中の肩径で示される範囲)と、該肩部に配置され、該肩部と回転軸を共有するプローブ(図中のピン径で示される範囲)と、をそなえる。
図2Aに示す回転ツールの例では、回転ツールの形状は、肩径D:13mm、ピン径:4mm、ピン長さ:0.6mm、凹面深さ(図示せず):0.3mmである。
図2Bに示す回転ツールの例では、回転ツールの形状は、肩径D:21mm、ピン径:6.7mm、ピン長さ:0.9mm、凹面深さ(図示せず):0.3mmである。
プローブありの回転ツールにおいて、肩部は、略平面または緩やかな曲面により形成された平坦な形状を呈する。肩部は、接合時に回転しながら、第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯と接触し、摩擦熱を発生させる機能を有する。また、肩部は、熱により軟化した部位を押圧することで材料の離散を防止し、回転方向への塑性流動を促進させる機能を有する。
プローブは、肩部と不連続な形状となり、被接合材(図示せず)へ向けて略垂直に突出した形状を呈する。プローブは、接合時に、第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯の軟化部において板厚中心方向へ侵入することにより、板厚中心部近傍の撹拌能を向上させる機能を有する。また、プローブは、通常、肩部の中心に位置する。
肩径D(mm)については、上述したように、上掲式(1)の関係を満足させる。また、回転ツールのピン径およびピン長さなどは特に限定されず、常法に従い、適宜設定すればよい。例えば、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯の板厚が異なる場合に突合せ接合する際には、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯の板厚の平均値を考慮し、常法に従った回転ツールのピン径およびピン長さなどを設定すればよい。また、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯を重ね接合する際には、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯の板厚の合計値を考慮し、常法に従った回転ツールのピン径およびピン長さなどを設定すればよい。
また、上述したように、プローブは、接合時に、第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯の軟化部において板厚中心方向へ侵入することにより、板厚中心部近傍での撹拌能を向上させる機能を有する。しかし、プローブには、肩部よりも大きい応力がかかる。この点、本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法では、接合方式としていわゆる両面摩擦攪拌接合を適用し、上掲式(1)および(2)の関係を同時に満足させることにより、撹拌能がより高まる。そのため、プローブなしの回転ツールを使用することが可能である。プローブなしの回転ツールは、プローブありの回転ツールと比較して、耐久性に優れる。従って、回転ツールの耐久性や寿命延長、ひいては(回転ツールの磨耗や破損による)接合不良率の低減という点から、プローブなしの回転ツールを使用することが好ましい。
図3~5に、プローブなしの回転ツールの例をそれぞれ示す。図3は、先端面が平面である、プローブなしの回転ツール(以下、先端平面回転ツールともいう)の例である。図4は、先端面が凸型の曲面である、プローブなしの回転ツール(以下、先端凸型回転ツールともいう)の例である。図5は、先端面が凹型の曲面である、プローブなしの回転ツール(以下、先端凹型回転ツールともいう)の例である。
図3~図5に示すように、プローブなしの回転ツールの先端部は、肩部のみから構成される。すなわち、プローブなしの回転ツールの先端部は、肩部と不連続な形状となり、被接合材へ向けて略垂直に突出した部位(プローブ)を有さない。回転ツールの先端面は、例えば、図3のような平面、図4のような凸型の曲面、図5のような凹型の曲面とすることが好適である。また、ツール回転軸に垂直な面における先端部の形状(回転ツールの先端面を、回転軸に平行な方向へ投影したときの投影領域)は、円形となる。
図3のような先端平面回転ツールでは、例えば、被接合材と接触する先端面が、ツールの回転軸と垂直な一の平面からなる。
図4のような先端凸型回転ツールでは、例えば、被接合材と接触する先端面が、プローブを有さない連続的な形状となり、略一様な傾斜面となる。より具体的には、先端面が、外周から中心に向かって突出する一つの曲面(放物面、長球面または球面)を構成する。また、図4のように、先端面の断面(回転軸を含み、かつ、回転軸に平行な断面)形状が略一様な曲率半径の曲線となる。加えて、曲面高さdv(mm)と肩径D(mm)について、次式(10)の関係を満足させることが好ましい。
dv/D ≦ 0.06 ・・・(10)
すなわち、dv/Dを0.06以下とすることにより、回転ツールの先端部が被接合材と接触する際に、流動部により有効に圧力を加えることができ、より有効に塑性流動を生じさせることができる。一方、dv/Dが0.06を超えると、接合部の表面および裏面が過度な凹状となり、接合部の厚さが鋼帯の厚さに対して小さくなる場合がある。このような場合、継手強度の確保が困難となるので、好ましくない。なお、dv/Dの下限は特に限定されるものではないが、流動部により有効に圧力を加える観点から、dv/Dは0.01以上が好ましい。
図5のような先端凹型回転ツールでは、被接合材と接触する先端面が、プローブを有さない連続的な形状となり、略一様な傾斜面となる。より具体的には、先端面が、外周から中心に向かって窪む一つの曲面(放物面、長球面または球面)を構成する。また、図5のように、先端面の断面(回転軸を含み、かつ、回転軸に平行な断面)形状が略一様な曲率半径の曲線となる。加えて、曲面深さdc(mm)と肩径D(mm)について、次式(11)の関係を満足させることが好ましい。
dc/D ≦ 0.03 ・・・(11)
すなわち、dc/Dを0.03以下とすることにより、接合中に、軟化した金属が先端部の凹型の曲面内に充満する。これにより、回転ツールの先端部が被接合材と接触する際に、流動部により有効に圧力を加えることができ、より有効に塑性流動を生じさせることができる。一方、dc/Dが0.03を超えると、流動部に有効に圧力を加えて十分な塑性流動を生じさせることが困難となる場合があり、好ましくない。なお、dc/Dの下限は特に限定されるものではないが、流動部により有効に圧力を加える観点から、dv/Dは0.01以上が好ましい。
また、材料流動をより促進する観点から、回転ツールの先端面は回転反対方向の渦状(螺旋状)の段差部を有することが好ましい。渦状の段差部は、例えば、回転ツールの先端面の中心、または、図6~8に示すように回転ツールの先端面の中心円(回転ツールの先端面の中心を中心とする、任意の直径の円)の周縁を起点として、回転ツールの先端面の外周縁まで伸びる放射状の曲線(渦)により画定される。なお、図6~8では、いずれも渦の数が4本である。
段差部を画定する渦の数は、1つ以上であればよい。ただし、段差部を画定する渦の数が6つを超えると、材料流動を促進する効果が乏しくなるだけでなく、形状の複雑化により破損しやすくなるおそれがある。そのため、段差部を画定する渦の数は6つ以下とすることが好ましい。なお、図9~13はそれぞれ、段差部を画定する渦の数が2つ~6つの場合の例を示すものである。
また、材料流動を向上させつつ、回転ツールの先端部の破損を防ぐという観点から、段差部を画定する渦の数は、肩径に応じて調節することが好ましい。例えば、肩径が大きいほど段差部を画定する渦の数を多くし、肩径が小さいほど段差部を画定する渦の数を少なくすることが好ましい。具体的には、肩径が6mm未満の場合、段差部を画定する渦の数を2本以下とすることが好ましい。一方、肩径が6mm以上の場合、段差部を画定する渦の数を3~6本とすることが好ましい。
段差部を画定する渦が2つで、渦を等間隔に配置する場合、図9に示すように、点A、および点Bをそれぞれ起点として、線分A―Bを半径とする半円をそれぞれ描く。ついで、線分A―Bの2倍の長さの半径の半円をそれぞれ描く。ついで、線分A―Bの3倍の長さの径の半円をそれぞれ描く。これを繰り返すことで等間隔の渦を2つ描くことができる。
段差部を画定する渦の数nが3つ~6つで、渦を等間隔に配置する場合、図10~13に示すように、正n角形を描き、n角形の各頂点を中心として、正n角形の辺の長さに等しい半径の弧を辺の延長線と交わる点まで描く。ついで、先ほどの頂点の隣の頂点を中心として、正n角形の辺の長さの2倍の半径の弧を次の辺の延長線と交わる点まで描く。ついで、先ほどの頂点の隣の頂点を中心として、正n角形の辺の長さの3倍の半径の弧を次の辺の延長線と交わる点まで描く。これを繰り返すことで、等間隔の渦をn本描くことができる。
なお、図9~13の場合には、渦の数を1本としてもよい。また、図9、11および13の場合には、渦の数を2本とし、渦を等間隔に形成してもよい。図10および13の場合には、渦の数を3本とし、渦を等間隔に形成してもよい。
加えて、1本あたりの渦の長さは、先端面の周長の0.5周分以上2周分以下とすることが好ましい。渦の長さについても、肩径に応じて調節することが好ましい。例えば、肩径が大きいほど渦の長さを長くし、肩径が小さいほど渦の長さを短くすることが好ましい。
先端凸型回転ツールの一例において、段差部は、図14に示すように、渦間の領域ごとに高さ位置を階段状に変化させる、例えば、先端面の中心から外周に向かって徐々に低くする(先端凹型回転ツールの場合は、先端面の中心から外周に向かって徐々に高くする)によって、構成される。以下、このような段差部の形態を、階段状ともいう。段差部の段数は、1段以上であればよい。また、回転軸を含み、かつ、回転軸に平行な断面(図14の断面)において、各段差部は、例えば、略水平となるようにすればよい。
先端凸型回転ツールの別の一例において、段差部は、図15に示すように、渦の位置に先端面よりも窪んだ領域(以下、溝部ともいう)を設けることにより、形成される。これにより、先端面の中心から外周に向かって徐々に低くなる(先端凹型回転ツールの場合は、先端面の中心から外周に向かって徐々に高くなる)段差部が形成される。以下、このような段差部の形態を、溝状ともいう。また、溝部の断面形状としては、U字形状やV字形状、レ字形状などを例示できる。段差部の段数は、1段以上であればよい。
先端平面回転ツールの一例において、段差部は、図16に示すように、渦の位置に溝部を設けることにより、構成される。溝部の形状としては、U字形状やV字形状、レ字形状などを例示できる。段差部の段数は、1段以上であればよい。
上記のような段差部を設けることによって、回転ツールによる被接合材の押圧および撹拌時に、回転ツールの外側から内側へ向かって摩擦熱により軟化した金属材料を流動させる。これにより、回転ツールによる押圧部の外側へ金属材料が流出することを抑制できる。その結果、押圧部の塑性流動が促進される。また、接合部の厚さが母材に対して減少することを防止し、かつ、バリの無い美麗な接合部表面を形成することができる。
なお、回転ツールの先端部とは反対側の根元部分は、従来、一般的に使用される両面摩擦撹拌接合装置に取り付けられることができればよく、当該根元部分の形状は特に制限されるものではない。
[2]電磁鋼帯の接合継手
次に、電磁鋼帯の接合継手を、図17を用いて説明する。図中、符号1が第1の電磁鋼帯(被接合材)、2が第2の電磁鋼帯(被接合材)、4が接合部、4-1が熱加工影響部(第1の電磁鋼帯側)、4-2が熱加工影響部(第2の電磁鋼帯側)である。なお、図17は、電磁鋼帯の接合継手の板厚方向の断面図である。図中、鉛直方向が板厚方向である。水平方向が、接合垂直方向である。紙面手前側の方向が、接合方向である。すなわち、図17に示す面(ここでいう板厚方向の断面)内には、接合垂直方向と板厚方向とが含まれる。
上記の電磁鋼帯の接合継手は、
第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯とを接合する、電磁鋼帯の接合継手であって、
該電磁鋼帯の接合継手は、接合部と、該接合部に隣接する熱加工影響部とをそなえ、
該接合部および該熱加工影響部の鋼組織はそれぞれ、フェライト相主体の組織であり、
次式(3)~(6)の関係を満足する、というものである。
Dsz ≦ 200μm ・・・(3)
Dhaz1 ≦ Dbm1 ・・・(4)
Dhaz2 ≦ Dbm2 ・・・(5)
0.9×(Hbm1+Hbm2)/2 ≦ Hsz ≦ 1.2 ×(Hbm1+Hbm2)/2 ・・・(6)
ここで、
Dszは、接合部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dhaz1は、第1の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dhaz2は、第2の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dbm1は、第1の電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dbm2は、第2の電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Hszは、接合部の硬さの平均値、
Hbm1は、第1の電磁鋼帯の母材部の硬さの平均値
Hbm2は、第2の電磁鋼帯の母材部の硬さの平均値
である。
また、上記の電磁鋼帯の接合継手は、例えば、上述した本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法により得る(製造する)ことができる。
[被接合材(第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯)]
第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯は、被接合材である電磁鋼帯である。第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯の成分組成は、冷間圧延段階の電磁鋼帯(電磁鋼板)として一般的なものであれば特に限定されない。
このような電磁鋼帯の成分組成としては、Siを2.0~5.0質量%の範囲で含有する成分組成を例示できる。また、C:0.005質量%以下、Si:2.0~5.0質量%、Al:3.0質量%以下、Mn:2.00質量%以下、P:0.2質量%以下、S:0.01質量%以下、および、N:0.01質量%以下であり、残部がFeおよび不可避的不純物である成分組成を例示できる。なお、上記の成分組成には、質量%で、任意に、Sn:0.2%以下、Sb:0.2%以下、Ca:0.01%以下、REM:0.05%以下、および、Mg:0.01%以下からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有させることができる。さらに、上記の成分組成には、質量%で、任意に、Cr:1%以下、Ni:1%以下、および、Cu:1%以下からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有させることができる。
また、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯の成分組成は、同じであっても、異なっていてもよい。
第1の電磁鋼帯の板厚t1および第2の電磁鋼帯の板厚t2は特に限定されるものではないが、t1およびt2はそれぞれ、1.2~3.2mmが好適である。なお、t1およびt2は、同じであっても、異なっていてもよい。
また、被接合材である第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯において、摩擦熱と塑性流動による熱間加工の影響を受けていない領域を、母材部という。
また、母材部、ならびに、後述する接合部および熱加工影響部は、以下のようにして画定する。
すなわち、電磁鋼帯の接合継手を、図17に示す面(すなわち、接合垂直方向と板厚方向とが含まれる面)が切断面となるように、板厚(鉛直)方向に切断する。ついで、切断面を研磨し、ピクリン酸飽和水溶液、ナイタール(硝酸とエタノールの溶液)または王水(濃塩酸と濃硝酸を3:1の体積比で混合した溶液)でエッチングする。ついで、当該切断面を光学顕微鏡で観察しエッチングの度合いなどから、母材部、ならびに、接合部および熱加工影響部を画定する。
[接合部]
接合部は、回転ツールと被接合材との摩擦熱と塑性流動による熱間加工を受け再結晶組織となる領域である。
接合部は、フェライト相主体の鋼組織、具体的には、面積率で95%以上のフェライト相により構成される。フェライト相の面積率は100%であってもよい。また、フェライト相以外の残部組織の面積率は5%以下である。フェライト相以外の残部組織としては、例えば、マルテンサイト、硫化物、窒化物や炭化物などの第二相等を例示できる。残部組織の面積率は0%であってもよい。
なお、フェライト相の面積率は、以下のようにして測定する。
すなわち、後述する接合部の測定領域が観察面に含まれるように、電磁鋼帯の接合継手から試験片を切り出す。なお、観察面は、図17に示す面(すなわち、接合垂直方向と板厚方向とが含まれる面)とする。ついで、試験片の観察面を研磨後、3vol.%ナイタール、ピクリン酸飽和水溶液または王水でエッチングし、組織を現出させる。ついで、後述する接合部の測定領域内において、合計10視野を、光学顕微鏡により、倍率:500倍で撮影する。ついで、得られた組織画像から、Adobe Systems社のAdobe Photoshopを用いて、フェライト相の面積を10視野分算出する。ついで、視野ごとに算出したフェライト相の面積をそれぞれの視野領域の面積で除し、100を乗じる。そして、それらの値の算術平均値を、フェライト相の面積率とする。
また、接合部の鋼組織を微細化する、具体的には、接合部の鋼組織を構成するフェライト結晶粒の粒径(以下、フェライト粒径ともいう)を小さくして次式(3)の関係を満足させることが重要である。これにより、被接合材として電磁鋼帯を用いる場合であっても、コイル接合部の形状の劣化を招くことなくコイル接合部の機械的特性が高まり、製造ラインでのコイル接合部の破断発生が有効に抑止される。
Dsz ≦ 200μm ・・・(3)
ここで、
Dszは、接合部のフェライト粒径の平均値(μm)、
である。
ここで、Dszは、JIS G 0551に準拠して測定する。具体的には、以下のようにして測定する。
すなわち、電磁鋼帯の接合継手を、図17に示す面(すなわち、接合垂直方向と板厚方向とが含まれる面)が切断面となるように、板厚(鉛直)方向に切断する。当該切断面において、接合垂直方向をX軸、板厚方向をY軸とする。そして、接合垂直方向における接合部の中心位置(例えば、突合せ継手の場合には、突合せギャップの中心位置であり、重ね継手の場合には、重ね合せ部の中心位置である)で、かつ、板厚(鉛直)方向における被接合材の板厚中心位置(例えば、突合せ継手の場合には、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯のうち、板厚が小さい方の板厚中心位置であり、重ね継手の場合には、重ね合せ部の板厚中心位置である)を、X軸とY軸の原点とする。そして、X=-0.2×t~+0.2×t、Y=-0.2×t~+0.2×tの領域を測定領域とする。ここで、tは、第1の電磁鋼帯の板厚および第2の電磁鋼帯の板厚の平均値(mm)である。ただし、上記の測定領域に、熱加工影響部や母材部といった接合部ではない領域が含まれる場合には、当該領域を測定領域から除くものとする。なお、X軸およびY軸については、+および-を任意に設定すればよい。
そして、上記の測定領域内の任意の位置において、JIS G 0551「鋼-結晶粒度の顕微鏡試験方法」に準拠した切断法(試験線1mm当たりの捕捉した結晶粒数、または、交点の数Pによって評価する)により、接合部のフェライト粒径を計5回測定し、これらの平均値をDszとする。なお、接合部のフェライト粒径の測定領域を、以下、単に、接合部の測定領域ともいう。
また、接合部と母材部の硬度差を低減する、具体的には、次式(6)の関係を満足させることが重要である。これにより、被接合材として電磁鋼帯を用いる場合であっても、コイル接合部の形状の劣化を招くことなくコイル接合部の機械的特性が高まり、製造ラインでのコイル接合部の破断発生が有効に抑止される。
0.9×(Hbm1+Hbm2)/2 ≦ Hsz ≦ 1.2 ×(Hbm1+Hbm2)/2 ・・・(6)
ここで、
Hszは、接合部の硬さの平均値、
Hbm1は、第1の電磁鋼帯の母材部の硬さの平均値
Hbm2は、第2の電磁鋼帯の母材部の硬さの平均値
である。
ここで、Hsz、Hbm1およびHbm2は、JIS Z 2244に準拠して測定する。具体的には、それぞれ以下のようにして測定する。
すなわち、上記の切断面における上記の接合部の測定領域内の任意の5か所で、試験力:4.9Nの条件でビッカース硬さ(HV)を測定する。そして、これらの平均値をHszとする。
また、上記の切断面において、第1の電磁鋼帯の母材部の板厚中心位置±0.2×t1の領域(板厚(鉛直)方向)のレベル)内、および、第2の電磁鋼帯の母材部の板厚中心位置±0.2×t2の領域(板厚(鉛直)方向)のレベル)内の任意の5か所でそれぞれ、試験力:4.9Nの条件でビッカース硬さ(HV)を測定する。なお、接合垂直(水平)方向の位置については、母材部であればよく、任意に選択すればよい。そして、第1の電磁鋼帯の母材部および第2の電磁鋼帯の母材部で測定したビッカース硬さ(HV)の平均値をそれぞれ、Hbm1およびHbm2とする。ここで、t1およびt2はそれぞれ、第1および第2の電磁鋼帯の板厚である。
また、接合部の厚さは特に限定されるものではないが、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯の厚さとの関係を適切に制御する、具体的には、次式(7)および(8)の関係を満足させることが好ましい。これにより、被接合材として電磁鋼帯を用いる場合であっても、コイル接合部の形状の劣化を招くことなくコイル接合部の機械的特性がより高まり、製造ラインでのコイル接合部の破断発生を一層有効に抑止することができる。
0.8×TbmL ≦ TszL ・・・(7)
TszH ≦ 1.3×TbmH ・・・(8)
ここで、
TszLは、接合部の厚さの最小値(mm)、
TszHは、接合部の厚さの最大値(mm)、
TbmLは、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯のうち、薄い方の電磁鋼帯の板厚(mm)、
TbmHは、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯のうち、厚い方の電磁鋼帯の板厚(mm)、
である。ただし、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯の板厚が同じ場合には、TbmL= TbmHとなる。
なお、TszLおよびTszHは、例えば、電磁鋼帯の接合継手を、図17に示す面(すなわち、接合垂直方向と板厚方向とが含まれる面)が切断面となるように、板厚(鉛直)方向に切断し、当該切断面において、ノギスなどを用いて測定すればよい。
[熱加工影響部]
熱加工影響部は、接合部に隣接し、摩擦熱と塑性流動による熱間加工の影響を受けるものの温度や加工が不十分で再結晶組織に至らない領域である。また、熱加工影響部は、接合部に隣接して、第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯の両側に形成される。
熱加工影響部は、接合部と同様、フェライト相主体の鋼組織、具体的には、面積率で95%以上のフェライト相により構成される。フェライト相の面積率は100%であってもよい。また、フェライト相以外の残部組織の面積率は5%以下である。フェライト相以外の残部組織としては、例えば、マルテンサイト、硫化物、窒化物や炭化物などの第二相等を例示できる。残部組織の面積率は0%であってもよい。フェライト相の面積率は、上述した方法と同様の要領で測定すればよい。
また、熱加工影響部でも、鋼組織を微細化する、具体的には、熱加工影響部のフェライト粒径を母材部のフェライト粒径以下にする、すなわち、次式(4)および(5)の関係を満足させることが重要である。
Dhaz1 ≦ Dbm1 ・・・(4)
Dhaz2 ≦ Dbm2 ・・・(5)
ここで、
Dhaz1は、第1の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dhaz2は、第2の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dbm1は、第1の電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dbm2は、第2の電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値(μm)、
である。
ここで、Dhaz1、Dhaz2、Dbm1およびDbm2は、JIS G 0551に準拠して、接合部のフェライト粒径の平均値であるDszと同じ要領で測定する。
また、第1の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の測定領域(以下、第1の電磁鋼帯側の熱加工影響部の測定領域ともいう)は、以下のように設定する。すなわち、電磁鋼帯の接合継手を、図17に示す面(すなわち、接合垂直方向と板厚方向とが含まれる面)が切断面となるように、板厚(鉛直)方向に切断する。上記の切断面において、接合垂直方向をX軸、板厚方向をY軸とする。そして、第1の電磁鋼帯の板厚中心位置(レベル)における接合部と第1の電磁鋼帯側の熱加工影響部との境界位置を、X軸とY軸の原点とする。X軸については、第1の電磁鋼帯側を+、接合部側を-とし、X=0~+0.4×t1、Y=-0.2×t1~+0.2×t1の領域を測定領域する。ここで、t1は、第1の電磁鋼帯の板厚である。なお、Y軸については、+および-を任意に設定すればよい。ただし、上記の測定領域に、接合部や母材部といった第1の電磁鋼帯側の熱加工影響部ではない領域が含まれる場合には、当該領域を測定領域から除くものとする。
上述のとおり、接合部は、回転ツールと被接合材との摩擦熱と塑性流動による熱間加工を受け再結晶組織となる領域をいう。熱加工影響部は、接合部に隣接する領域であり、摩擦熱と塑性流動による熱間加工の影響を受けるものの、温度や加工が不十分で再結晶に至らない組織となる領域をいう。母材は、摩擦熱と塑性流動による熱間加工の影響を受けない領域をいう。
同様に、第2の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の測定領域(以下、第2の電磁鋼帯側の熱加工影響部の測定領域ともいう)は、以下のように設定する。すなわち、電磁鋼帯の接合継手を、図17に示す面(すなわち、接合垂直方向と板厚方向とが含まれる面)が切断面となるように、板厚(鉛直)方向に切断する。上記の切断面において、接合垂直方向をX軸、板厚方向をY軸とする。そして、第2の電磁鋼帯の板厚中心位置(レベル)における接合部と第2の電磁鋼帯側の熱加工影響部との境界位置を、X軸とY軸の原点とする。X軸については、第2の電磁鋼帯側を+、接合部側を-とし、X=0~+0.4×t2、Y=-0.2×t2~+0.2×t2の領域を測定領域する。ここで、t2は、第2の電磁鋼帯の板厚である。なお、Y軸については、+および-を任意に設定すればよい。ただし、上記の測定領域に、接合部や母材部といった第2の電磁鋼帯側の熱加工影響部ではない領域が含まれる場合には、当該領域を測定領域から除くものとする。
また、第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の測定領域(以下、第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯の母材部の測定領域ともいう)はそれぞれ、上記の切断面における第1の電磁鋼帯の母材部の板厚中心位置±0.2×t1の領域(板厚(鉛直)方向のレベル)および第2の電磁鋼帯の母材部の板厚中心位置±0.2×t2の領域(板厚(鉛直)方向のレベル)とすればよい。なお、接合垂直(水平)方向の位置については、母材部であればよく、任意に選択すればよい。ここで、t1およびt2はそれぞれ、第1および第2の電磁鋼帯の板厚である。
なお、継手形式としては、突合せ継手や重ね継手を例示できる。
[3]電磁鋼帯の製造方法
次に、本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の製造方法を、説明する。
本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の製造方法は、
上記の本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法により第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯とを接合し、接合鋼帯を得る工程と、
該接合鋼帯に冷間圧延を施し、電磁鋼帯(冷延鋼帯)を得る工程と、をそなえる。
ここで、接合鋼帯は、好適には、第1の電磁鋼帯と、第2の電磁鋼帯と、上記の本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の接合継手とを有し、第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯が上記の本発明の一実施形態に従う電磁鋼帯の接合継手を介して接合されている。
また、冷間圧延条件については特に限定されず、常法に従えばよい。また、冷間圧延を行う前に、任意に、酸洗を行ってもよい。
以下、本発明の作用および効果について、実施例を用いて説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
表1に示す成分組成(残部はFeおよび不可避的不純物)を有する電磁鋼帯を被接合材(第1の電磁鋼帯および第2の電磁鋼帯)とし、表2および3に記載の条件の両面摩擦攪拌接合により、連続冷間圧延ライン上にあることを模擬して第1の電磁鋼帯(先行鋼帯)と第2の電磁鋼帯(後行工程)とを接合し、電磁鋼帯の接合継手を製造した。ここで、開先は被接合材である2枚の電磁鋼帯の端面に開先角度をつけないいわゆるI型開先とし、フライス加工程度の表面状態で2枚の電磁鋼帯を突合せ、接合を行った。なお、表1に、電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値、硬さの平均値およびエリクセン値を併記している。ここで、電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値および硬さの平均値は、上述の方法により求めたものである。また、エリクセン値は、JIS Z 2247で規定するエリクセン試験方法に準拠して測定した値である。なお、明記していない条件については、常法に従い、設定した。
上記の両面摩擦撹拌接合では、図1Aのように、鉛直方向上側に配置する表面側回転ツールの回転方向を鉛直方向上側から見て時計回りに回転させ、鉛直方向下側に配置する裏面側回転ツールを鉛直方向上側から見て反時計回りに回転させた。すなわち、それぞれの回転ツールの先端部を正面視した状態では、どちらも反時計回りに回転させた。また、図2~8に示した形状の回転ツールのいずれかを用いた。また、表面側回転ツールと裏面側回転ツールは、同じ断面寸法および形状の回転ツールを用いた。なお、これらの回転ツールはいずれも、被接合材よりも硬いビッカース硬さHV1090の炭化タングステン(WC)を素材としたものである。また、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯の板厚が異なる場合には、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯の突合せ部は裏面(裏面側回転ツールを配置する側の面)を段差のない状態とし、表面(表面側回転ツールを配置する側の面)を段差がある状態とした。
かくして得られた電磁鋼帯の接合継手について、上述の要領により、接合部、熱加工影響部および母材部を画定した。
また、上述の要領により、
Dsz:接合部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dhaz1:第1の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dhaz2:第2の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dbm1:第1の電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Dbm2:第2の電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値(μm)、
Hsz:接合部の硬さの平均値、
Hbm1:第1の電磁鋼帯の母材部の硬さの平均値
Hbm2:第2の電磁鋼帯の母材部の硬さの平均値
を測定した。
さらに、得られた電磁鋼帯の接合継手を、図17に示す面(すなわち、接合垂直方向と板厚方向とが含まれる面)が切断面となるように、板厚(鉛直)方向に切断し、当該切断面において、TszL:接合部の厚さの最小値(mm)およびTszH:接合部の厚さの最大値(mm)を測定した。
結果を表4および5に示す。なお、後述する表面欠陥および内部欠陥の確認において、欠陥が確認された場合には、上記の測定を省略した。また、表面欠陥が確認された場合には、内部欠陥の確認も省略した。
また、得られた電磁鋼帯の接合継手について、以下の要領で、(I)表面欠陥の有無および(II)内部欠陥の有無を確認した。結果を表6および7に示す。
(I)表面欠陥の有無
得られた電磁鋼帯の接合継手の接合部および熱加工影響部(レーザ溶接の場合は、溶接部および熱影響部)の表面および裏面において、未接合状態および割れの有無を目視により確認した。そして、以下の基準により、表面欠陥の有無を判定した。
表面欠陥無し:未接合状態および割れがいずれも確認されない。
表面欠陥有り:未接合状態および割れの少なくとも一方が確認される。
(II)内部欠陥の有無
得られた電磁鋼帯の接合継手を、図17に示す面(すなわち、接合垂直方向と板厚方向とが含まれる面)が観察面となるように、板厚(鉛直)方向に切断して試験片を採取した。なお、接合方向における切断位置は、接合(溶接)開始側の被接合材の端部から20mmの位置、接合(溶接)終了側の被接合材の端部から20mmの位置、および、被接合材の両端部の中間となる位置とし、当該切断位置での切断面が観察面となるように、合計3枚の試験片を採取した。ついで、得られた試験片の観察面を、光学顕微鏡(倍率:10倍)で観察した。そして、以下の基準により、内部欠陥の有無を判定した。
内部欠陥無し:3枚の試験片全てにおいて、接合部に未接合状態および割れがいずれも確認されない。
内部欠陥有り:少なくとも1枚の試験片において、接合部に未接合状態および割れの少なくとも一方が確認される。
また、得られた電磁鋼帯の接合継手について、以下の要領で、製造ラインでのコイル接合部の破断発生の抑止効果(以下、破断抑止効果ともいう)を評価した。
すなわち、得られた電磁鋼帯の接合継手から、接合部、第1の電磁鋼帯側の熱加工影響部および母材ならびに第2の電磁鋼帯側の熱加工影響部および母材が含まれるように、試験片を採取した。ついで、採取した試験片を用い、JIS Z 2247で規定するエリクセン試験方法に準拠して接合継手のエリクセン値を測定した。そして、母材部のエリクセン値に対する接合継手のエリクセン値の比率(以下、エリクセン値の比率ともいう)により、以下の基準で破断抑止効果を評価した。結果を表6および7に示す。
[エリクセン値の比率(%)]=[接合継手のエリクセン値]/[母材部のエリクセン値]×100
〇(合格):エリクセン値の比率が80%以上
×(不合格):エリクセン値の比率が80%未満
なお、第1の電磁鋼帯の母材部のエリクセン値と第2の電磁鋼帯の母材部のエリクセン値が異なる場合、母材部のエリクセン値は、第1の電磁鋼帯の母材部のエリクセン値と第2の電磁鋼帯の母材部のエリクセン値のうち小さい方の値とする。
また、以下の要領で、回転ツールの耐久性の評価を行った。
すなわち、回転ツールの破損や摩耗が生じると、内部欠陥による接合不良が高い確率で発生する。そこで、上記と同じ条件でそれぞれ、接合長0.5mの接合を繰り返し行い、得られた接合継手について、上記の「(II)内部欠陥の有無」に示した判定方法により、内部欠陥の有無を判定した。
そして、内部欠陥無しと判定される継手の数が全体の90%以上を維持する最大接合回数(以下、90%維持最大接合回数ともいう)により、回転ツールの耐久性の評価をした。なお、90%維持最大接合回数が15回以上の場合、回転ツールの耐久性(寿命)に優れているといえる。
ここで、90%維持最大接合回数とは、接合順に得られた接合継手の内部欠陥の有無を確認し、内部欠陥の有無を確認した接合継手の数をNとしたときに、
[内部欠陥の有無を確認した接合継手のうち、内部欠陥無しと判定された接合継手の数]÷[内部欠陥の有無を確認した接合継手の数]×100≧90 ・・・式(a)
を満足する、最大のNの値である。
例えば、1~4回目の接合で得られた接合継手では内部欠陥無しと判定され、5回目の接合で得られた接合継手で内部欠陥有りと判定された場合、
N=4では、
[内部欠陥の有無を確認した接合継手のうち、内部欠陥無しの接合継手の合計数]÷[内部欠陥を確認した接合継手の数N]×100
=4÷4×100=100≧90
となり、
N=5では、
[内部欠陥の有無を確認した接合継手のうち、内部欠陥無しの接合継手の合計数]÷[内部欠陥を確認した接合継手の数N]×100
=4÷5×100=80<90
となる。
すなわち、この場合では、N=4までは式(a)を満足し、N=5の際にはじめて式(a)を満足しなくなるので、90%維持最大接合回数は4となる。
また、1~10回目および12~19回目の接合で得られた接合継手では内部欠陥無しと判定され、11回目、20回目および21回目の接合で得られた接合継手で内部欠陥有りと判定された場合、
N=11では、
[内部欠陥の有無を確認した接合継手のうち、内部欠陥無しの接合継手の合計数]÷[内部欠陥を確認した接合継手の数N]×100
=10÷11×100≒90.9≧90
となり、
N=20では、
[内部欠陥の有無を確認した接合継手のうち、内部欠陥無しの接合継手の合計数]÷[内部欠陥を確認した接合継手の数N]×100
=18÷20×100=90≧90
となり、
N=21では、
[内部欠陥の有無を確認した接合継手のうち、内部欠陥無しの接合継手の合計数]÷[内部欠陥を確認した接合継手の数N]×100
=18÷21×100=85.7<90
となる。
すなわち、この場合では、N=20までは式(a)を満足し、N=21の際にはじめて式(a)を満足しなくなるので、90%維持最大接合回数は20となる。
なお、上記の(I)表面欠陥の有無または(II)内部欠陥の有無で欠陥有りと判定されたものは、90%維持最大接合回数は0となる。
Figure 0007230977000002
Figure 0007230977000003
Figure 0007230977000004
Figure 0007230977000005
Figure 0007230977000006
Figure 0007230977000007
Figure 0007230977000008
Figure 0007230977000009
Figure 0007230977000010
表6および7より、発明例ではいずれも、接合速度が1000mm/分以上の高効率な接合を行いつつ、欠陥がなく、優れた破断抑止効果を有する電磁鋼帯の接合継手が得られた。また、プローブなしの回転ツールを用いた発明例1~18では、回転ツールの耐久性(寿命)の点でも優れていた。
一方、比較例では、欠陥が発生するか、または、十分な破断抑止効果が得られなかった。
1 第1の電磁鋼帯(被接合材)
2 第2の電磁鋼帯(被接合材)
3-1 回転ツール(表面側回転ツール)
3-2 回転ツール(裏面側回転ツール)
4 接合部
4-1 熱加工影響部(第1の電磁鋼帯側)
4-2 熱加工影響部(第2の電磁鋼帯側)
7 把持装置
9-1、9-2 先端部

Claims (11)

  1. 連続冷間圧延ラインにおいて、第1の電磁鋼帯と、該第1の電磁鋼帯に続く第2の電磁鋼帯とを、互いに対向する一対の回転ツールにより接合する、電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法であって、
    前記第1の電磁鋼帯の端部と前記第2の電磁鋼帯の端部との突合せ部、または、重ね合せ部である未接合部に、前記回転ツールを、該未接合部の両面から互いに逆方向に回転させながら押圧し、
    ついで、前記回転ツールを接合方向に移動させることにより、前記第1の電磁鋼帯と前記第2の電磁鋼帯とを接合し、
    また、前記回転ツールの肩部の直径D(mm)が、次式(1)の関係を満足し、かつ、
    前記回転ツールの回転数RS(回/分)、前記回転ツールの肩部の直径D(mm)および接合速度JS(mm/分)により表されるRS×D3/JSが、次式(2)の関係を満足する、電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法。
    4×TJ 10×TJ ・・・(1)
    200×TJ RS×D3/JS 2000×TJ ・・・(2)
    ここで、TJは、
    未接合部が突合せ部の場合、第1の電磁鋼帯の板厚および第2の電磁鋼帯の板厚の平均値(mm)であり、
    未接合部が重ね合せ部の場合、重ね合せ部の厚さ(mm)である。
  2. 前記第1の電磁鋼帯と前記第2の電磁鋼帯の接合により形成される接合部および熱加工影響部の鋼組織がそれぞれ、フェライト相主体の組織となり、かつ、次式(3)~(6)の関係を満足する条件で、接合を行う、請求項1に記載の電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法。
    Dsz ≦ 200μm ・・・(3)
    Dhaz1 ≦ Dbm1 ・・・(4)
    Dhaz2 ≦ Dbm2 ・・・(5)
    0.9×(Hbm1+Hbm2)/2 ≦ Hsz ≦ 1.2 ×(Hbm1+Hbm2)/2 ・・・(6)
    ここで、
    Dszは、接合部のフェライト粒径の平均値(μm)、
    Dhaz1は、第1の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の平均値(μm)、
    Dhaz2は、第2の電磁鋼帯側の熱加工影響部のフェライト粒径の平均値(μm)、
    Dbm1は、第1の電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値(μm)、
    Dbm2は、第2の電磁鋼帯の母材部のフェライト粒径の平均値(μm)、
    Hszは、接合部の硬さの平均値、
    Hbm1は、第1の電磁鋼帯の母材部の硬さの平均値
    Hbm2は、第2の電磁鋼帯の母材部の硬さの平均値
    である。
  3. 次式(7)および(8)の関係を満足する条件で接合を行う、請求項1または2に記載の電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法。
    0.8×TbmL ≦ TszL ・・・(7)
    TszH ≦ 1.3×TbmH ・・・(8)
    ここで、
    TszLは、接合部の厚さの最小値(mm)、
    TszHは、接合部の厚さの最大値(mm)、
    TbmLは、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯のうち、薄い方の電磁鋼帯の板厚(mm)、
    TbmHは、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯のうち、厚い方の電磁鋼帯の板厚(mm)、
    である。ただし、第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯の板厚が同じ場合には、TbmL= TbmHとなる。
  4. 前記回転ツールの肩部間の隙間G(mm)が次式(9)の関係を満足する、請求項1~3のいずれかに記載の電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法。
    0.4×TJ ≦ G ≦ 0.9×TJ ・・・(9)
    ここで、TJは、
    未接合部が突合せ部の場合、第1の電磁鋼帯の板厚および第2の電磁鋼帯の板厚の平均値(mm)であり、
    未接合部が重ね合せ部の場合、重ね合せ部の厚さ(mm)である。
  5. 前記回転ツールが、プローブなしの回転ツールである、請求項1~4のいずれかに記載の電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法。
  6. 前記回転ツールの先端面が、平面、凸型の曲面、または、凹型の曲面である、請求項5に記載の電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法。
  7. 前記回転ツールの先端面が、回転反対方向の渦状の段差部を有する、請求項5または6に記載の電磁鋼帯の両面摩擦撹拌接合方法。
  8. 前記渦状の段差部が、前記回転ツールの先端面の中心から外周に向かって徐々に低くなる、請求項7に記載の電磁鋼帯の両面摩擦撹拌接合方法。
  9. 前記渦状の段差部が、前記回転ツールの先端面の中心から外周に向かって徐々に高くなる、請求項7に記載の電磁鋼帯の両面摩擦撹拌接合方法。
  10. 前記回転ツールの傾斜角度αが0°である、請求項5~9のいずれかに記載の電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法。
  11. 請求項1~10のいずれかに記載の電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法により第1の電磁鋼帯と第2の電磁鋼帯とを接合し、接合鋼帯を得る工程と、
    該接合鋼帯に冷間圧延を施し、冷延鋼帯を得る工程と、をそなえる、電磁鋼帯の製造方法。
JP2021148995A 2021-09-13 2021-09-13 電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法、および、電磁鋼帯の製造方法 Active JP7230977B1 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021148995A JP7230977B1 (ja) 2021-09-13 2021-09-13 電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法、および、電磁鋼帯の製造方法
CN202280058841.0A CN117881500A (zh) 2021-09-13 2022-07-27 电磁钢带的摩擦搅拌接合方法以及电磁钢带的制造方法
KR1020247006469A KR20240035617A (ko) 2021-09-13 2022-07-27 전기 강대의 마찰 교반 접합 방법 및 전기 강대의 제조 방법
PCT/JP2022/029028 WO2023037785A1 (ja) 2021-09-13 2022-07-27 電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法、および、電磁鋼帯の製造方法
TW111129658A TWI815594B (zh) 2021-09-13 2022-08-08 電磁鋼帶的摩擦攪拌接合方法、及電磁鋼帶的製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021148995A JP7230977B1 (ja) 2021-09-13 2021-09-13 電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法、および、電磁鋼帯の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP7230977B1 true JP7230977B1 (ja) 2023-03-01
JP2023041557A JP2023041557A (ja) 2023-03-24

Family

ID=85380676

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021148995A Active JP7230977B1 (ja) 2021-09-13 2021-09-13 電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法、および、電磁鋼帯の製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP7230977B1 (ja)
CN (1) CN117881500A (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003181655A (ja) 2001-12-18 2003-07-02 Sumitomo Light Metal Ind Ltd 摩擦撹拌接合方法
WO2011024320A1 (ja) 2009-08-31 2011-03-03 三菱日立製鉄機械株式会社 両面摩擦攪拌接合方法、接合装置、冷間圧延設備の金属板接合方法及び冷間圧延設備
JP2011115846A (ja) 2009-12-03 2011-06-16 Kofukin Seimitsu Kogyo (Shenzhen) Yugenkoshi 摩擦攪拌接合方法
WO2019054400A1 (ja) 2017-09-13 2019-03-21 Jfeスチール株式会社 金属板の両面摩擦撹拌接合方法および両面摩擦撹拌接合装置
WO2019182020A1 (ja) 2018-03-20 2019-09-26 Jfeスチール株式会社 両面摩擦撹拌接合用回転ツール、両面摩擦撹拌接合装置、及び両面摩擦撹拌接合方法
WO2021060176A1 (ja) 2019-09-25 2021-04-01 Jfeスチール株式会社 両面摩擦攪拌接合方法、冷延鋼帯及びめっき鋼帯の製造方法、両面摩擦攪拌接合装置、並びに冷延鋼帯及びめっき鋼帯の製造設備

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7247996B2 (ja) * 2019-09-25 2023-03-29 Jfeスチール株式会社 両面摩擦撹拌接合用回転ツール及び両面摩擦撹拌接合方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003181655A (ja) 2001-12-18 2003-07-02 Sumitomo Light Metal Ind Ltd 摩擦撹拌接合方法
WO2011024320A1 (ja) 2009-08-31 2011-03-03 三菱日立製鉄機械株式会社 両面摩擦攪拌接合方法、接合装置、冷間圧延設備の金属板接合方法及び冷間圧延設備
JP2011115846A (ja) 2009-12-03 2011-06-16 Kofukin Seimitsu Kogyo (Shenzhen) Yugenkoshi 摩擦攪拌接合方法
WO2019054400A1 (ja) 2017-09-13 2019-03-21 Jfeスチール株式会社 金属板の両面摩擦撹拌接合方法および両面摩擦撹拌接合装置
WO2019182020A1 (ja) 2018-03-20 2019-09-26 Jfeスチール株式会社 両面摩擦撹拌接合用回転ツール、両面摩擦撹拌接合装置、及び両面摩擦撹拌接合方法
WO2021060176A1 (ja) 2019-09-25 2021-04-01 Jfeスチール株式会社 両面摩擦攪拌接合方法、冷延鋼帯及びめっき鋼帯の製造方法、両面摩擦攪拌接合装置、並びに冷延鋼帯及びめっき鋼帯の製造設備

Also Published As

Publication number Publication date
JP2023041557A (ja) 2023-03-24
CN117881500A (zh) 2024-04-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7099621B2 (ja) 両面摩擦攪拌接合方法、冷延鋼帯及びめっき鋼帯の製造方法、両面摩擦攪拌接合装置、並びに冷延鋼帯及びめっき鋼帯の製造設備
EP3653329B1 (en) Double-sided friction stir welding method for metal plate
CN111867777B (zh) 双面摩擦搅拌接合用旋转工具、双面摩擦搅拌接合装置以及双面摩擦搅拌接合方法
JP7230977B1 (ja) 電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法、および、電磁鋼帯の製造方法
WO2023037785A1 (ja) 電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法、および、電磁鋼帯の製造方法
JP7231130B1 (ja) 電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法、および、電磁鋼帯の製造方法
JP7230976B1 (ja) 電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法、および、電磁鋼帯の製造方法
WO2023100420A1 (ja) 電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法、および、電磁鋼帯の製造方法
JP7230975B1 (ja) 電磁鋼帯の接合継手および摩擦撹拌接合方法、ならびに、電磁鋼帯の製造方法
WO2023037786A1 (ja) 電磁鋼帯の接合継手および摩擦撹拌接合方法、ならびに、電磁鋼帯の製造方法
JP7279866B1 (ja) 電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法および電磁鋼帯の製造方法
JP7230978B1 (ja) 電磁鋼帯の接合継手および摩擦撹拌接合方法、ならびに、電磁鋼帯の製造方法
JP7347723B1 (ja) 電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法、電磁鋼帯の製造方法、摩擦撹拌接合装置および電磁鋼帯の製造装置
WO2023100419A1 (ja) 電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法、電磁鋼帯の製造方法、摩擦撹拌接合装置および電磁鋼帯の製造装置
WO2024042774A1 (ja) 電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法、電磁鋼帯の製造方法、摩擦撹拌接合装置および電磁鋼帯の製造装置
JP7173081B2 (ja) アルミニウム合金板と鋼板の摩擦撹拌接合方法
KR20240058192A (ko) 전자 강대의 마찰 교반 접합 방법 및, 전자 강대의 제조 방법
JP7347722B1 (ja) 電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法、電磁鋼帯の製造方法、摩擦撹拌接合装置および電磁鋼帯の製造装置
WO2024042773A1 (ja) 電磁鋼帯の摩擦撹拌接合方法、電磁鋼帯の製造方法、摩擦撹拌接合装置および電磁鋼帯の製造装置
KR20240058191A (ko) 전자 강대의 마찰 교반 접합 방법, 전자 강대의 제조 방법, 마찰 교반 접합 장치 및 전자 강대의 제조 장치
TW202408705A (zh) 電磁鋼帶的摩擦攪拌接合方法、電磁鋼帶的製造方法、摩擦攪拌接合裝置和電磁鋼帶的製造裝置
RU2792732C1 (ru) Способ двухсторонней ротационной сварки трением, способы производства холоднокатаной стальной полосы и стальной полосы с покрытием, устройство для двухсторонней ротационной сварки трением и установки для производства холоднокатаной стальной полосы и стальной полосы с покрытием

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221101

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20221101

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230117

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230130

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7230977

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150