JP7230105B2 - 錠剤印刷装置及び錠剤印刷方法 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、錠剤印刷装置及び錠剤印刷方法に関する。
錠剤に文字やマークなどの識別情報を印刷するため、インクジェット方式の印刷ヘッドを用いて印刷を行う技術が知られている。この技術を用いる錠剤印刷装置は、コンベアなどの搬送装置により錠剤を搬送し、搬送装置の上方に配置されたインクジェット方式の印刷ヘッドのノズルから、印刷ヘッド下方を通過する錠剤に向けてインク(例えば、可食性インク)を吐出し、錠剤に識別情報を印刷する。
通常、十分に乾燥しておらず水分を含んだ錠剤は、錠剤表面と、搬送路との間の摩擦力が高くなり、錠剤印刷装置の搬送路においてすべりが悪く、搬送路に沿って流れ難くなる。特に、大量に錠剤を流す供給装置、例えば、ホッパ、ダクト及びシュータにおいて、ダクトから搬送路の狭いシュータに錠剤を流す場合、その錠剤が十分に乾燥しておらず水分を含んでいると、錠剤のすべりが悪く、錠剤が流れ難くなるため、シュータで錠剤の詰まりが生じる。このため、錠剤の搬送量が下がり、生産性が低下する。
また、錠剤が十分に乾燥しておらず水分を含んでいると、その錠剤に対して印刷を行う場合、インクが錠剤に染み込み難くなる。したがって、錠剤上のインクは乾燥し難くなり、錠剤同士の接触や錠剤の表裏反転搬送などによって、錠剤や搬送路への印刷転写が生じることがある。このため、印刷品質が低下したり、また、装置汚染が生じたりする。
特開平7-081050号公報
本発明が解決しようとする課題は、生産性の低下、印刷品質の低下及び装置汚染の発生を抑えることができる錠剤印刷装置及び錠剤印刷方法を提供することである。
本発明の実施形態に係る錠剤印刷装置は、錠剤の表面にインクジェット方式で印刷する錠剤印刷装置であって、前記錠剤が搬送される搬送路と、前記搬送路において搬送される前記錠剤の表面にインクを吐出するヘッドと、前記ヘッドよりも前記搬送路の上流側において、前記錠剤を加熱する加熱装置と、を有し、前記加熱装置により加熱される前記錠剤の移動速度は、前記ヘッドが前記錠剤に印刷を行うときの前記錠剤の移動速度よりも遅いことを特徴とする
本発明の実施形態に係る錠剤印刷方法は、錠剤が搬送される搬送路において、前記錠剤を加熱装置により加熱し、前記加熱装置により加熱した前記錠剤に対し、前記搬送路において前記加熱装置の下流に位置するヘドにより印刷を行う工程を有し、前記加熱装置により加熱される前記錠剤の移動速度は、前記印刷工程において前記ヘッドが前記錠剤に印刷を行うときの前記錠剤の移動速度よりも遅いことを特徴とする
本発明の実施形態によれば、生産性の低下、印刷品質の低下及び装置汚染の発生を抑えることができる。
実施の一形態に係る錠剤印刷装置の概略構成を示す図である。 実施の一形態に係る供給装置の一部及び乾燥装置を示す図である。 実施の一形態に係る第1の印刷装置を示す平面図である。 図1の4-4線断面図である。 実施の一形態に係る搬送量を説明するための説明図である。 実施の一形態に係る転写率を説明するための説明図である。 実施の一形態に係る挿入管の変形例1を示す平面図である。 実施の一形態に係る挿入管の変形例2を示す平面図である。 実施の一形態に係る挿入管の変形例3を示す平面図である。 実施の一形態に係る挿入管の変形例3を示す側面図である。 実施の一形態に係る挿入管の変形例4を示す正面断面図である。 実施の一形態に係る挿入管の変形例5を示す正面断面図である。 実施の一形態に係る挿入管の変形例5を示す側面断面図である。 実施の一形態に係る挿入管の変形例6を示す側面断面図である。 実施の一形態に係る錠剤印刷装置の変形例を示す図である。 実施の一形態に係る乾燥装置の変形例を示す図である。
実施の一形態について図面を参照して説明する。本実施形態において、上及び下とは鉛直方向における上及び下を指す。なお、錠剤Tとしては、一例として、コーティング錠が用いられる。このコーティング錠としては、例えば、糖衣錠やフィルムコーティング錠などが挙げられる。
(基本構成)
図1に示すように、実施の一形態に係る錠剤印刷装置1は、乾燥供給装置10Aと、整列搬送装置10Bと、第1の印刷装置20と、第2の印刷装置30と、回収装置40と、制御装置50とを備えている。なお、第1の印刷装置20及び第2の印刷装置30は基本的に同じ構造である。錠剤Tは、後述するように錠剤印刷装置1の各構成要素である乾燥供給装置10A、整列搬送装置10B、第1の印刷装置20、第2の印刷装置30、回収装置40がこの順で配置された搬送路P(以下、符号Pを省略する)を搬送されながら錠剤供給、印刷、回収の一連の処理が行われる。つまり、搬送路とは、錠剤印刷装置1において錠剤Tが搬送される経路であり、本実施形態において搬送路の上流側は乾燥供給装置10A、下流側は回収装置40となる。
乾燥供給装置10Aは、供給装置11と、乾燥装置12とを有している。この乾燥供給装置10Aは、整列搬送装置10Bの一端側、すなわち錠剤Tの搬送方向A1(以下、単に搬送方向A1という)における上流の一端側に位置付けられている。乾燥供給装置10Aは、供給装置11内の錠剤Tを乾燥装置12によって乾燥させ、乾燥させた錠剤Tを整列搬送装置10Bに供給することが可能に構成されている。乾燥供給装置10Aは制御装置50に電気的に接続されており、その駆動が制御装置50により制御される。
供給装置11は、ホッパ11aと、ダクト11bと、振動フィーダ(シュータ)11cとを有している。ホッパ11aは、多数の錠剤Tを収容し、その収容した複数の錠剤Tをダクト11bに順次供給する。ダクト11bは、ホッパ11aの下面に接続されており、ホッパ11aから供給された各錠剤Tを振動フィーダ11cに供給する。振動フィーダ11cは、ダクト11bの下面から供給された各錠剤Tに振動を与えて錠剤Tの重なりを無くしつつ、整列搬送装置10Bに各錠剤Tを供給する。このような供給装置11においては、錠剤Tは自重によって落下して移動するが、本明細書では便宜上、供給装置11においても「錠剤Tを搬送する」と表現する。
この供給装置11において、例えば、一時間あたり10万錠(10万錠/H)の錠剤Tがホッパ11a内に投入されるが、ホッパ11a内に投入された全ての錠剤Tがすぐにダクト11b及び振動フィーダ11cを通過して整列搬送装置10Bに供給されるわけではない。ホッパ11a内やダクト11b内、振動フィーダ11c内には多数の錠剤Tが一時的にとどまることになる。
乾燥装置12は、図2に示すように、第1の乾燥部12aと、第2の乾燥部12bと、気体供給部12cとを有している。この乾燥装置12は、第1の乾燥部12a及び第2の乾燥部12bにより、気体供給部12cから供給された乾燥気体(例えば、乾燥エアー)を用いて、印刷前の錠剤Tを乾燥させる。乾燥装置12としては、乾燥気体により乾燥を行う装置以外にも、エアーなどの気体により乾燥を行う送風機、放射熱により乾燥を行うヒータ、あるいは、気体及びヒータを併用して温風や熱風により乾燥を行う送風機など各種の乾燥部を用いることが可能である。ただし、錠剤Tがコーティング錠である場合には、コーティング層の温度が上昇すると、コーティング層が溶けだす可能性があるため、コーティング層の温度を上昇させない乾燥手段を用いることが望ましい(以降の乾燥装置でも同様である)。
第1の乾燥部12aは、挿入管12a1を有している。挿入管12a1は、ダクト11bに対して略水平に貫通するように挿入されている。この挿入管12a1の一端は気体供給部12cに接続されており、その他端は閉じられている。ダクト11b内に位置する挿入管12a1の部分には複数の貫通孔(給気口)H1が形成されており、挿入管12a1はダクト11b内において気体通過性を有している。挿入管12a1の貫通孔H1はダクト11bの中心軸付近にも開口しているため、ダクト11bの中心軸付近を搬送される錠剤Tも乾燥気体に確実に接触することが可能であり、確実に乾燥させることができる。また、挿入管12a1は、乾燥気体を供給する貫通孔H1がホッパ11a寄りに位置するように配置されている。例えば、挿入管12a1は、ダクト11bの長手方向の1/2のよりもホッパ寄りに貫通孔H1が位置するように設けられている。そのため、ホッパ11a内の空間も第1の乾燥部12aにより乾燥気体で満たされるようになっている。
第2の乾燥部12bは、複数のノズル12b1を有している。各ノズル12b1は、振動フィーダ11cの周囲から乾燥気体を振動フィーダ11cの搬送路に向けて吹き出すように配置されている。なお、振動フィーダ11cの下面には、複数の貫通孔11c1が形成されており、乾燥気体が通過できるようになっている。各ノズル12b1の一端はそれぞれ気体供給部12cに配管(図示せず)を介して接続されており、それらの他端は給気口として開けられている。
気体供給部12cは、乾燥気体(例えば、乾燥エアー)を第1の乾燥部12a及び第2の乾燥部12bに供給する。気体供給部12c内の乾燥気体は挿入管12a1に供給され、挿入管12a1内を通過して各貫通孔H1から吹き出され、ダクト11b内に供給される。これにより、ダクト11b内及びホッパ11a内の各錠剤Tが乾燥する。また、気体供給部12c内の乾燥気体は、配管(図示せず)を介して各ノズル12b1に供給され、各ノズル12b1の給気口から吹き出されて、振動フィーダ11c内に供給される。このとき、振動フィーダ11cには、その周囲から乾燥気体が供給される。これにより、振動フィーダ11c内の各錠剤Tが乾燥する。
図1に戻り、整列搬送装置10Bは、整列フィーダ13と、受け渡しフィーダ14とを有している。この整列搬送装置10Bは、第1の印刷装置20の一端側、すなわち搬送方向A1における上流の一端側に位置付けられている。整列搬送装置10Bは、整列フィーダ13及び受け渡しフィーダ14によって錠剤Tを第1の印刷装置20に供給することが可能に構成されている。この整列搬送装置10Bは制御装置50に電気的に接続されており、その駆動が制御装置50により制御される。
整列フィーダ13は、供給された錠剤Tを二列に整列し、受け渡しフィーダ14に向けて搬送する。受け渡しフィーダ14は、整列フィーダ13上に二列に並ぶ各錠剤Tを、順次錠剤Tの上側から吸引して保持し、保持した各錠剤Tを第1の印刷装置20まで二列で搬送して第1の印刷装置20に渡す。なお、整列フィーダ13及び受け渡しフィーダ14としては、例えば、ベルト搬送機構を用いることが可能である。
第1の印刷装置20は、搬送装置21と、検出装置22と、第1の撮像装置(印刷用の撮像装置)23と、印刷ヘッド装置24と、第2の撮像装置(検査用の撮像装置)25と、乾燥装置26とを備えている。
搬送装置21は、搬送ベルト21a、駆動プーリ21b、複数(図1の例では、三つ)の従動プーリ21c、モータ21d、位置検出器21e及び吸引チャンバ21fを有している。搬送ベルト21aは、無端状のベルトであり、駆動プーリ21b及び各従動プーリ21cに架け渡されている。駆動プーリ21b及び各従動プーリ21cは装置本体に回転可能に設けられており、駆動プーリ21bはモータ21dに連結されている。モータ21dは制御装置50に電気的に接続されており、その駆動が制御装置50により制御される。位置検出器21eは、エンコーダなどの機器であり、モータ21dに取り付けられている。この位置検出器21eは電気的に制御装置50に接続されており、検出信号を制御装置50に送信する。制御装置50は、その検出信号に基づいて搬送ベルト21aの位置や速度、移動量などの情報を得ることができる。この搬送装置21は、モータ21dによる駆動プーリ21bの回転によって各従動プーリ21cと共に搬送ベルト21aを回転させ、その搬送ベルト21a上の錠剤Tを図1中の矢印A1の方向(搬送方向A1)に搬送する。
搬送ベルト21aの表面には、図3に示すように、円形状の吸引孔21gが複数形成されている。これらの吸引孔21gは、それぞれ錠剤Tを搬送ベルト21a表面に吸着する貫通孔であり、二本の搬送路を形成するように搬送方向A1に沿って平行に二列に並べられている。各吸引孔21gは、吸引チャンバ21fに形成された吸引路を介して吸引チャンバ21f内に接続されており、その吸引チャンバ21fにより吸引力を得ることが可能になっている。吸引チャンバ21fには、ポンプなどの吸気装置が吸気管(いずれも図示せず)を介して接続されており、吸気装置の作動によって吸引チャンバ21fの内部は減圧される。なお、吸気管は、吸引チャンバ21fの側面(搬送方向A1と平行な面)の略中央に接続されている。また、吸気装置は制御装置50に電気的に接続されており、その駆動が制御装置50により制御される。
検出装置22は、複数の検出部22a(図3の例では、二つ)を有している。検出部22aは、整列搬送装置10Bによって搬送ベルト21aにおける錠剤Tが供給される位置よりも、搬送方向A1の下流側であって搬送方向A1に水平面内で交差する方向(例えば直交する方向)に錠剤Tの搬送路ごとに一つずつ並べられ、搬送ベルト21aの上方に設けられている。検出部22aは、レーザ光の投受光によって搬送ベルト21a上の錠剤Tの位置(搬送方向A1の位置)を検出し、下流に位置する各装置のトリガーセンサとして機能する。検出部22aとしては、反射型レーザセンサなど各種のレーザセンサを用いることが可能である。各検出部22aは制御装置50に電気的に接続されており、制御装置50に検出信号を送信する。
第1の撮像装置23は、複数の撮像部23a(図3の例では、二つ)を有している。撮像部23aは、検出装置22が設けられた位置よりも搬送方向A1の下流側であって搬送方向A1に水平面内で交差する方向(例えば直交する方向)に錠剤Tの搬送路ごとに一つずつ並べられ、搬送ベルト21aの上方に設けられている。この撮像部23aは、前述の錠剤Tの位置情報に基づき、錠剤Tが撮像部23aの直下に到達したタイミングで撮像を行い、錠剤Tの上面を含む画像(印刷用の画像)を取得し、取得した画像を制御装置50に送信する。撮像部23aとしては、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)などの撮像素子を有する各種のカメラを用いることが可能である。各撮像部23aは制御装置50に電気的に接続されており、それらの駆動が制御装置50により制御される。なお、必要に応じて撮像用の照明も設けられている。
印刷ヘッド装置24は、インクジェット方式の複数の印刷ヘッド24a(図3の例では、二つ)を有している。印刷ヘッド24aは、第1の撮像装置23が設けられた位置よりも搬送方向A1の下流側であって搬送方向A1に水平面内で交差する方向(例えば直交する方向)に錠剤Tの搬送路ごとに一つずつ並べられ、搬送ベルト21aの上方に設けられている。印刷ヘッド24aは、複数のノズル24b(図3参照:ただし、図示では四つだけ表示)を具備し、それらのノズル24bから個別にインクを吐出する。この印刷ヘッド24aは、ノズル24bが並ぶ整列方向が水平面内で搬送方向A1と交差するように(例えば直交するように)設けられている。印刷ヘッド24aとしては、圧電素子、発熱素子または磁歪素子などの駆動素子を有する各種のインクジェット方式の印刷ヘッドを用いることが可能である。各印刷ヘッド24aは制御装置50に電気的に接続されており、それらの駆動が制御装置50により制御される。
第2の撮像装置25は、複数の撮像部25a(図3の例では、二つ)を有している。撮像部25aは、印刷ヘッド装置24が設けられた位置よりも搬送方向A1の下流側であって搬送方向A1に水平面内で交差する方向(例えば直交する方向)に錠剤Tの搬送路ごとに一つずつ並べられ、搬送ベルト21aの上方に設けられている。この撮像部25aは、前述の錠剤Tの位置情報に基づき、錠剤Tが撮像部25aの直下に到達したタイミングで撮像を行い、錠剤Tの上面を含む画像(検査用の画像)を取得する。そして、撮像部25aは、取得した画像を制御装置50に送信する。撮像部25aとしては、前述の撮像部23aと同様、CCDやCMOSなどの撮像素子を有する各種のカメラを用いることが可能である。各撮像部25aは制御装置50に電気的に接続されており、それらの駆動が制御装置50により制御される。なお、必要に応じて撮像用の照明も設けられている。
図1に戻り、乾燥装置26は、印刷ヘッド装置24が設けられた位置よりも搬送方向A1の下流側に位置付けられ、例えば、搬送装置21の下方に設けられている。この乾燥装置26は、二列の搬送路に共通の乾燥装置であり、搬送ベルト21a上の各錠剤Tに塗布されたインクを乾燥させる。乾燥装置26としては、エアーなどの気体により乾燥を行う送風機、放射熱により乾燥を行うヒータ、あるいは、気体及びヒータを併用して温風や熱風により乾燥を行う送風機など各種の乾燥部を用いることが可能である。乾燥装置26は制御装置50に電気的に接続されており、その駆動が制御装置50により制御される。
乾燥装置26の上方を通過した錠剤Tは、搬送ベルト21aの移動に伴って搬送され、搬送ベルト21aにおける各従動プーリ21c側の端部付近の位置に到達する。この位置で吸引作用が錠剤Tに働かなくなり、錠剤Tは搬送ベルト21aに保持された状態から解放され、第1の印刷装置20から第2の印刷装置30に受け渡される。
第2の印刷装置30は、搬送装置31と、検出装置32と、第1の撮像装置(印刷用の撮像装置)33と、印刷ヘッド装置34と、第2の撮像装置(検査用の撮像装置)35と、乾燥装置36とを備えている。搬送装置31は、搬送ベルト31a、駆動プーリ31b、複数(図1の例では、三つ)の従動プーリ31c、モータ31d、位置検出器31e及び吸引チャンバ31fを有している。なお、第2の印刷装置30を構成する各要素は、前述の第1の印刷装置20の対応する構成要素と基本的に同じ構造であるため、その説明を省略する。第2の印刷装置30の搬送方向は図1中の矢印A2の方向(搬送方向A2)である。
回収装置40は、不良品回収装置41と、良品回収装置42とを備えている。この回収装置40は、第2の印刷装置30の乾燥装置36が設けられた位置よりも搬送方向A2の下流側に設けられており、不良品回収装置41により不良品の錠剤Tを回収し、良品回収装置42により良品の錠剤Tを回収する。
不良品回収装置41は、噴射ノズル41aと、収容装置41bとを有している。噴射ノズル41aは、第2の印刷装置30の吸引チャンバ31f内に設けられている。この噴射ノズル41aは、搬送ベルト31aにより搬送される錠剤T(不良品の錠剤T)に向けて気体(例えば、エアー)を噴射し、搬送ベルト31aから錠剤Tを落下させる。このとき、噴射ノズル41aから噴射された気体は、搬送ベルト31aの吸引孔(図3に示す吸引孔21gと同様である)を通過して錠剤Tに当たる。噴射ノズル41aは制御装置50に電気的に接続されており、その駆動が制御装置50により制御される。収容装置41bは、搬送ベルト31aから落下した錠剤Tを受け取って収容する。
良品回収装置42は、気体吹出部42aと、排出搬送装置(排出フィーダ)42bと、乾燥装置42cと、収容装置42dとを有している。この良品回収装置42は、不良品回収装置41が設けられた位置よりも搬送方向A2の下流側に設けられている。
気体吹出部42aは、第2の印刷装置30の搬送装置31内であって、その搬送装置31の端部(すなわち搬送ベルト31aにおける各従動プーリ31c側の端部)に設けられている。気体吹出部42aは、例えば、印刷処理中、常に搬送ベルト31aに向けて気体(例えば、エアー)を吹き出し、搬送ベルト31aから錠剤Tを落下させる。このとき、気体吹出部42aから吹き出された気体は、搬送ベルト31aの吸引孔(図3に示す吸引孔21gと同様である)を通過して錠剤Tに当たる。気体吹出部42aとしては、例えば、搬送方向A2に水平面内で交差する方向(例えば直交する方向)に延びるスリット状の開口を有するエアブローを用いることが可能である。気体吹出部42aは制御装置50に電気的に接続されており、その駆動が制御装置50により制御される。
ここで、不良品回収装置41を通過した錠剤Tは、搬送ベルト31aの移動に伴って搬送され、搬送ベルト31aにおける各従動プーリ31c側の端部付近の位置に到達する。この位置で吸引作用が錠剤Tに働かなくなるが、気体吹出部42aを設けることで、搬送ベルト31aから錠剤Tを確実に落下させて排出搬送装置42bに供給することができる。
排出搬送装置42bは、搬送ベルト31aの下面から落下した錠剤Tを受け取り、受け取った錠剤Tを収容装置42dまで搬送する。なお、排出搬送装置42bとしては、例えば、ベルト搬送機構を用いることが可能である。この排出搬送装置42bのベルトは、気体通過性を有する無端状のベルトである。気体通過性を有するベルトとしては、網状のベルトや複数の丸孔を有するベルトなど、複数の貫通孔を有する各種材質のベルトを用いることが可能である。排出搬送装置42bは制御装置50に電気的に接続されており、その駆動が制御装置50により制御される。
乾燥装置42cは、上乾燥部42c1及び下乾燥部42c2を有している。この乾燥装置42cは、乾燥気体(例えば、乾燥エアー)を用いて上乾燥部42c1及び下乾燥部42c2によって、排出搬送装置42bにより搬送される錠剤Tを乾燥させる。この乾燥装置42cは制御装置50に電気的に接続されており、その駆動が制御装置50により制御される。乾燥装置42cとしては、乾燥気体により乾燥を行う装置以外にも、エアーなどの気体により乾燥を行う送風機、放射熱により乾燥を行うヒータ、あるいは、気体及びヒータを併用して温風や熱風により乾燥を行う送風機など各種の乾燥部を用いることが可能である。
上乾燥部42c1は、排出搬送装置42bの上方に、錠剤Tが通過できる隙間を空けて設けられており、排出搬送装置42bの上方位置から下方に向けて乾燥気体(例えば、乾燥エアー)を吹き出す。この上乾燥部42c1は、配管(図示せず)を介して気体供給部12c(図2参照)に接続されており、気体供給部12cから供給された乾燥気体を乾燥処理に用いる。上乾燥部42c1の筐体は、下面が開口する箱形状に形成されており、その下面が下方に向けられて排出搬送装置42bのベルト上面の搬送面に覆いかぶさるように設けられている。この上乾燥部42c1の筐体の中には、乾燥気体を吹き出すノズル(図示せず)が配置されており、ノズルから乾燥気体が排出搬送装置42bのベルト上面に向けて吹き出される。この乾燥気体は、排出搬送装置42bの搬送路に沿って排出搬送装置42bの上流端や下流端に向かって流れる。これにより、上乾燥部42c1の筐体内の空間は常に乾燥雰囲気に維持される。
下乾燥部42c2は、排出搬送装置42bの内部に設けられており、排出搬送装置42bの内部位置から上方に向けて乾燥気体(例えば、乾燥エアー)を吹き出す。この下乾燥部42c2も、上乾燥部42c1と同様、配管(図示せず)を介して気体供給部12c(図2参照)に接続されており、気体供給部12cから供給された乾燥気体を乾燥処理に用いる。下乾燥部42c2の筐体は、上面が開口する箱形状に形成されており、その上面が上方に向けられて排出搬送装置42bの内部に設けられている。この下乾燥部42c2の筐体の中には、乾燥気体を吹き出すノズル(図示せず)が配置されており、ノズルから乾燥気体が排出搬送装置42bのベルト下面に向けて吹き出される。この乾燥気体は、上乾燥部42c1から吹き出された乾燥気体と共に、排出搬送装置42bの搬送路に沿って排出搬送装置42bの上流端や下流端に向かって流れる。これにより、下乾燥部42c2の筐体内の空間は常に乾燥雰囲気に維持される。
ここで、前述の上乾燥部42c1の筐体の側面には、図4に示すように、側面カバー42c3が設けられている。この側面カバー42c3は、上乾燥部42c1の搬送方向A1に平行な両側面の全域に亘り設けられている。また、鉛直方向に排出搬送装置42bのベルト近傍まで延びて設けられている。このような側面カバー42c3によって、搬送方向A1に延びる空間が上乾燥部42c1と排出搬送装置42bとで形成される。この空間に吹き出された乾燥気体は、排出搬送装置42bの上流端や下流端に向かって流れやすくなる。このため、排出搬送装置42bの上流端や下流端に向かって流れる気流が容易に形成される。また、空間内には乾燥気体が供給され続けているため、空間内は乾燥気体で充満した陽圧雰囲気となっており、外部の湿度の高い空気の流入を抑制することができる。したがって、この空間内は常に乾燥雰囲気に維持される。なお、下乾燥部42c2についても同様である。
なお、前述の上乾燥部42c1及び下乾燥部42c2の筐体に配置されるノズルの形態はどのような形態でも良く、例えば、パイプの長手方向に並ぶように複数の開口を設け、それらの開口から乾燥気体を吹き出すパイプを一個以上配置することが可能である。パイプは、長手方向が搬送方向A1に沿うように設けられても良いし、長手方向が搬送方向A1に水平に交差するように(例えば、直交するように)設けられても良い。
図1に戻り、収容装置42dは、排出搬送装置42bの下流端、すなわち排出搬送装置42bにおける第2の搬送装置31側と反対側の端に位置付けられ、錠剤印刷装置1の筐体の外に設けられている。この収容装置42dは、乾燥装置42cによりインクが乾燥した錠剤Tを排出搬送装置42bから受け取って収容する。
制御装置50は、画像処理部51、印刷処理部52、検査処理部53及び記憶部54を備えている。画像処理部51は画像を処理する。印刷処理部52は印刷に係る処理を行う。検査処理部53は検査に係る処理を行う。記憶部54は処理情報や各種プログラムなどの各種情報を記憶する。このような制御装置50は、乾燥供給装置10Aや整列搬送装置10B、第1の印刷装置20、第2の印刷装置30、回収装置40を制御し、また、第1の印刷装置20や第2の印刷装置30の個々の検出装置22、32から送信される錠剤Tの位置情報、第1の印刷装置20や第2の印刷装置30の個々の撮像装置23、25、33、35から送信される画像などを受信する。
ここで、排出搬送装置42bの搬送速度(例えば、30mm/s)は、搬送装置21や搬送装置31の搬送速度(例えば、380mm/s)に比べて遅くなるように設定されている。例えば、排出搬送装置42bの搬送速度は、搬送装置21の搬送速度や搬送装置31の搬送速度の十分の一程度に設定されている。つまり、排出搬送装置42bにおける錠剤Tの移動速度は、印刷時の錠剤Tの移動速度よりも遅い。
(印刷工程)
次に、前述の錠剤印刷装置1が行う印刷処理及び検査処理について説明する。
まず、印刷に要する印刷データなどの各種情報が制御装置50の記憶部54に記憶される。そして、供給装置11のホッパ11aに印刷対象の錠剤Tが多数投入されると、錠剤Tはホッパ11aからダクト11bに流れ込む。ダクト11b内に流れ込んだ錠剤Tは、振動フィーダ11cにより整列フィーダ13に順次供給され始め、整列フィーダ13により二列に並べられて移動する。この二列で移動する錠剤Tは、受け渡しフィーダ14により第1の印刷装置20の搬送ベルト21aに順次供給される。搬送ベルト21aは、モータ21dによる駆動プーリ21b及び各従動プーリ21cの回転によって搬送方向A1に回転している。このため、搬送ベルト21a上に供給された錠剤Tは搬送ベルト21a上で二列に並んで所定の移動速度で搬送されていく。なお、搬送ベルト31aもモータ31dによる駆動プーリ31b及び各従動プーリ31cの回転によって搬送方向A2に回転している。
ここで、ホッパ11a内に多数(例えば、数十万錠)の錠剤Tが投入されると、ホッパ11a内に投入された全ての錠剤Tがすぐにダクト11b及び振動フィーダ11cを通過して整列搬送装置10Bに供給されるわけではなく、ホッパ11aやダクト11b、振動フィーダ11c内には多数の錠剤Tが一時的にとどまることになる。これらの錠剤Tは、第1の乾燥部12a及び第2の乾燥部12bによって乾燥させられる。つまり、ホッパ11aやダクト11b内には、乾燥気体が第1の乾燥部12aから供給され、ホッパ11aやダクト11b内の空間は、乾燥気体により満たされるような状態となり、その内部湿度(錠剤Tの周辺湿度)も低下し、ホッパ11aやダクト11b内の錠剤Tは乾燥する。このとき、ホッパ11aやダクト11b内の錠剤Tは、十数分から一時間程度、乾燥気体の空間内にとどまるため、確実に乾燥することになる。また、ダクト11bから振動フィーダ11cに移動した錠剤T、すなわち、振動フィーダ11c内の錠剤Tには、第2の乾燥部12bから乾燥気体が吹き付けられるため、錠剤Tの乾燥が促進される。
なお、乾燥気体の供給開始のタイミングは、錠剤Tを供給し始める前に錠剤印刷装置1の起動(ON)と同時に乾燥気体を供給し、錠剤Tが供給されるタイミングよりも前の段階で供給装置11内(ホッパ11a内、ダクト11b内及び振動フィーダ11c内)が乾燥状態になるタイミングである。
第1の印刷装置20では、前述の搬送ベルト21a上の錠剤Tが検出装置22によって検出される。これにより、錠剤Tの位置情報(搬送方向A1の位置)が取得され、制御装置50に入力される。この錠剤Tの位置情報は、記憶部54に保存されて後処理で用いられる。次に、搬送ベルト21a上の錠剤Tが前述の錠剤Tの位置情報に基づくタイミングで第1の撮像装置23によって撮像され、撮像された画像が制御装置50に送信される。第1の撮像装置23から送信された個々の画像に基づき、錠剤Tの位置ずれ情報(例えば、図3におけるX方向、Y方向及びθ方向での錠剤Tの位置ずれ)が画像処理部51により生成され、記憶部54に保存される。この錠剤Tの位置ずれ情報に基づき、錠剤Tに対する印刷条件(インクの吐出位置や吐出速度など)が印刷処理部52により設定され、記憶部54に保存される。
次いで、搬送ベルト21a上の個々の錠剤Tは、前述の錠剤Tの位置情報に基づくタイミング、すなわち錠剤Tが印刷ヘッド装置24の下方に到達したタイミングで、前述の印刷条件に基づいて印刷ヘッド装置24により印刷が実行される。印刷ヘッド装置24の各印刷ヘッド24aにおいて、各ノズル24bからインクが適宜吐出され、その錠剤Tの上面に文字(例えばアルファベット、片仮名、番号)やマーク(例えば記号、図形)などの識別情報が印刷される。
識別情報が印刷された錠剤Tは、前述の錠剤Tの位置情報に基づくタイミングで第2の撮像装置25によって撮像され、撮像された画像が制御装置50に送信される。第2の撮像装置25から送信された個々の画像に基づき、錠剤Tごとの印刷パターンの印刷位置を示す印刷位置情報が画像処理部51により生成され、記憶部54に保存される。その印刷位置情報に基づき、錠剤Tに対する印刷良否が検査処理部53により判断され、錠剤Tごとの印刷良否の結果を示す印刷良否結果情報が記憶部54に保存される。例えば、印刷パターンが錠剤Tの所定位置に印刷されているか否かが判断される。
検査後の錠剤Tは、搬送ベルト21aの移動に伴って搬送され、乾燥装置26の上方を通過する。このとき、錠剤Tに到達(着弾)したインクは、錠剤Tが乾燥装置26の上方を通過する間に乾燥装置26によって乾燥し、インクが乾燥した錠剤Tは搬送ベルト21aの移動に伴って搬送されていき、搬送ベルト21aにおける各従動プーリ21c側の端部付近に位置する。この位置で吸引作用が錠剤Tに働かなくなり、錠剤Tは搬送ベルト21aの下面に保持された状態から解放され、第1の印刷装置30から第2の印刷装置30に渡される。
第2の印刷装置30でも、前述と同じように印刷処理及び検査処理が行われる。検査後の錠剤Tは、搬送ベルト31aの移動に伴って搬送され、乾燥装置36の上方を通過する。そして、インクが乾燥した錠剤Tは不良品回収装置41に到達する。この位置で不良品の錠剤Tは、噴射ノズル41aによる気体の噴射により搬送ベルト31aの下面から落下し、収容装置41bによって回収される。一方、良品の錠剤Tは不良品回収装置41を通過し、良品回収装置42に到達する。この位置で良品の錠剤Tは、吸引作用が錠剤Tに働かなくなるとともに、気体吹出部42aによる気体の吹出しによって搬送ベルト31aの下面から落下し、排出搬送装置42bに引き渡される。
良品の錠剤Tは排出搬送装置42bによって搬送され、その搬送途中に錠剤Tが乾燥装置42cの上乾燥部42c1及び下乾燥部42c2により乾燥させられる。排出搬送装置42bのベルト上の錠剤Tには、上乾燥部42c1及び下乾燥部42c2から乾燥気体が吹き付けられるため、錠剤Tの乾燥状態が維持される。また、錠剤Tが排出搬送装置42bより上流の搬送路で湿気により水分を含んでも、その錠剤Tは排出搬送装置42bによる搬送中に上乾燥部42c1及び下乾燥部42c2によって確実に乾燥させることができる。排出搬送装置42bの上方において、側面カバー42c3(図4参照)により仕切られた仕切空間内は乾燥気体により満たされるような状態となるため、その内部湿度も低下し、仕切空間内の錠剤Tは乾燥する。このとき、排出搬送装置42bの搬送速度は、印刷時の搬送速度に比べて非常に遅くなっているため、仕切空間内の錠剤Tは、十数分程度乾燥気体の空間内にとどまることから、錠剤Tが確実に乾燥することになる。なお、これらのことは錠剤Tに印刷されたインクにも言え、乾燥したインクの状態を維持できるとともに、インクの乾燥が不十分であっても確実にインクを乾燥させることができる。
乾燥装置42cにより乾燥した錠剤Tは、排出搬送装置42bにより収容装置42dの上方まで搬送され、排出搬送装置42bの下流端から落下し、収容装置42dによって回収される。
このような印刷工程では、錠剤Tに対する印刷前に、錠剤Tは乾燥装置12によって確実に乾燥する。これにより、錠剤が十分に乾燥しておらず水分を含むことで、錠剤Tの表面と、他の錠剤Tや、供給装置11などの搬送路との間の摩擦力が高くなり、錠剤Tのすべりが悪くなって、錠剤Tが搬送路に沿って流れ難くなることが抑えられるので、搬送量の低下を抑制することが可能であり、生産性の低下を抑えることができる。また、錠剤Tは印刷前に乾燥装置12によって確実に乾燥するので、印刷時、インクが錠剤Tに染み込み易くなる。これにより、錠剤T上のインクは迅速に乾燥するため、錠剤同士の接触や錠剤の表裏反転搬送などによって、錠剤や搬送路への印刷転写が生じることを抑えることが可能となり、印刷品質の低下及び装置汚染の発生を抑えることができる。
また、印刷前の錠剤Tは、乾燥装置12により供給装置11内、すなわちホッパ11a、ダクト11b及び振動フィーダ11c内において乾燥する。この供給装置11内では、錠剤Tが十数分から一時間程度とどまることになるため、錠剤Tを確実に乾燥させることができる。つまり、供給装置11内、すなわち、印刷ヘッド装置24が錠剤Tに印刷を行うときの錠剤Tの移動速度より錠剤Tの移動速度が遅い位置で、錠剤Tが乾燥装置12によって乾燥することになるため、錠剤Tを確実に乾燥させることができる。
また、錠剤印刷装置1に錠剤が投入された後に乾燥供給装置10Aにより、錠剤Tは供給装置11内で乾燥雰囲気の中に収容されるので、錠剤Tが、錠剤印刷装置1に投入する前に十分に乾燥した錠剤であっても、滞留の時間の長い供給装置11内の空気により吸湿することを抑制し、錠剤Tが、錠剤印刷装置1に投入する前に水分を含んだ錠剤であっても、その錠剤Tを適切な乾燥状態に乾燥させることができる。すなわち、錠剤Tが錠剤印刷装置1に投入され、印刷されるまでの間に、適切に湿度管理された雰囲気内で乾燥状態に維持させることができる。
また、印刷前の錠剤Tは、供給装置11から第1の印刷装置20に至る搬送路において、大量に投入された錠剤Tを印刷時に整列させるために、ホッパ11aからダクト11bの間、振動フィーダ11cから受け渡しフィーダ14の間の空間など、上流よりも下流の方が搬送路が狭い空間を通過して搬送される。供給装置11内において、整列フィーダ13で整列される前に、乾燥装置12により錠剤Tを乾燥させることで、搬送路が狭い空間を通過する際に、錠剤Tの表面と、他の錠剤Tや、供給装置11などの搬送路との間の摩擦力が高くなり、錠剤Tのすべりが悪くなって、錠剤Tが搬送路に沿って流れ難くなることが抑えられるので、搬送量の低下を抑制することが可能であり、生産性の低下を抑えることができる。
また、印刷後の錠剤Tは乾燥装置26や乾燥装置36により乾燥され、その乾燥後、錠剤Tの乾燥状態は、乾燥装置42cにより維持される。これにより、錠剤が十分に乾燥しておらず水分を含むことで、錠剤Tのすべりが悪くなって、印刷後の錠剤Tと搬送路とのこすれあいによる搬送路へのインク転写、印刷後の錠剤同士のこすれあいによる他の錠剤Tへのインク転写を抑えることができる。
特に、錠剤Tが吸引保持されない搬送がされる場合、たとえば良品回収装置42などでは有効である。また、錠剤Tが吸引保持されていたとしても、搬送時の振動などにより錠剤Tがずれ動くことがある。このような場合でもインクの転写を抑制できる。さらに、乾燥装置26や乾燥装置36では、錠剤Tに印刷されたインクも乾燥させられる。しかし、錠剤Tの表面状態やインクの種類によっては、乾燥装置26や乾燥装置36では十分にインクが乾燥しないこともある。このような場合でも、乾燥装置42cによってインクの乾燥を促進させることができ、インクの転写を抑制することができる。
(搬送量及び転写率)
次に、複数の乾燥条件において、錠剤Tの搬送量及び転写率を確認し、その結果を図5及び図6に示す。図5には、各条件1~3において、投入錠剤放置環境湿度及び重量変化量ごとの搬送量が示されている。図6には、各条件1~3において、投入錠剤放置環境湿度及び重量変化量ごとの転写率が示されている。
この確認は、印刷できる数量が、印刷装置(20、30)に供給されて搬送される錠剤Tの数量に依存することから、印刷装置(20、30)における錠剤Tの搬送量(単位時間当たりの搬送数)を測定した。また、印刷したインクが十分に乾燥せず、他の錠剤Tや搬送部材等にインクが付いてしまうというインクの転写状態を、後述する転写試験により転写率を測定した。
この確認で使用する錠剤Tのサンプルは、所定の吸湿状態となった錠剤Tを準備した。これは、所定の湿度環境に錠剤Tを曝し、錠剤Tの吸湿状態が飽和するまで、所定時間毎の錠剤Tの重量を電子天秤で測定して、その変化が無くなるまで放置して作成したものである。所定の湿度環境として、相対湿度70%(RH70%)、相対湿度50%(RH50%)、相対湿度6%(RH6%)の各環境で重量が飽和した錠剤Tを準備した。所定の湿度環境は、高温恒湿庫により形成した。このようにして準備した錠剤Tの状態を「投入錠剤放置環境湿度」とし、各湿度%を付記することで示す。
また、この時の錠剤Tは、直径φ7mm、厚さ4.5mmの糖衣錠を用いた。この錠剤TのRH50%環境で飽和した重量(飽和重量)を基準重量とし、RH70%、RH6%の各環境で放置し飽和した時の重量の基準重量からの変化量を重量変化量とする。この重量変化量は、錠剤Tが含有する水分量の変化を示すことになる。
次に、錠剤印刷装置1において、印刷前に乾燥する乾燥装置12と印刷後に乾燥する乾燥装置26、36、42cを設置した。そして、印刷前の乾燥、印刷後の乾燥の有無を条件として、用意した各投入錠剤放置環境湿度の錠剤Tを印刷した。乾燥の条件として、後述の条件1~3の3条件とした。
各条件において、7万錠を印刷した。この時、1分間毎の印刷処理した錠剤数を10分間分(10回)計測しその平均値を算出した。この算出した測定結果から1時間当たりの搬送量を算出した。また、この印刷した各条件の錠剤Tから、30個を無作為に抽出し、ガラス瓶に入れて10回上下に振り、その後□0.1mm以上の汚れの有無を各錠剤目視で確認し、汚れのある錠剤Tの数を計測し、その計測値から転写率を算出した。
なお、印刷前乾燥は、図2に示す構成において、ダクト11b内に乾燥エアーを30リットル/分の流量で供給し、振動フィーダ11cにおいて、上下から各50リットル/分の流量で供給し、印刷後乾燥は、乾燥装置26、36は乾燥エアーを50リットル/分の流量で供給し、乾燥装置42cは、上乾燥部42c1、下乾燥部42c2ともに50リットル/分の流量で乾燥エアーを供給した。この時の乾燥エアーの相対湿度は、RH6%としている。
このようにして確認した結果を、前述のように図5及び図6に示している。図5、図6における、条件1は、印刷前乾燥及び印刷後乾燥が無い場合である。条件2は、印刷前乾燥が無く、印刷後乾燥が有る場合である。条件3は、印刷前乾燥及び印刷後乾燥が有る場合である。また、投入錠剤放置環境湿度とは、印刷に投入する錠剤を所定時間放置した環境の湿度である。また、重量変化量はRH50%の重量からの変化量で示され、Δ0%とはRH50%の重量から重量が変化していないことを示し、Δ0.9%とはRH50%の重量から0.9%だけ重量が増加したことを示し、Δ-1.0%とはRH50%の重量から1.0%だけ重量が減少したことを示す。この重量変化量は、錠剤Tが含有する水分量の変化を示すことになる。
なお、投入錠剤放置環境湿度がRH70%であり、重量変化量がΔ0.9%である場合、また、投入錠剤放置環境湿度がRH50%であり、重量変化量がΔ0%である場合には、投入される錠剤Tは十分に乾燥しておらず水分を含んでいる状態である。一方、投入錠剤放置環境湿度がRH6%であり、重量変化量がΔ-1.0%である場合には、投入される錠剤Tが十分に乾燥しており水分を含んでいない状態である。
図5に示すように、条件1、2において、投入錠剤放置環境湿度がRH70%であり、重量変化量がΔ0.9%である場合には、搬送量は一時間あたり25万錠(25万錠/H)である。条件3では、搬送量は一時間あたり30万錠(30万錠/H)である。また、条件1、2において、投入錠剤放置環境湿度がRH50%であり、重量変化量がΔ0%である場合には、搬送量は一時間あたり38万錠(38万錠/H)である。条件3では、搬送量は一時間あたり42万錠(42万錠/H)である。また、条件1、2、3において、投入錠剤放置環境湿度がRH6%であり、重量変化量がΔ-1.0%である場合には、搬送量は一時間あたり45万錠(45万錠/H)である。
前述のように、条件1と条件2とで、搬送量はどの投入錠剤放置環境湿度でも変わらない。このことは、印刷後乾燥は搬送量に関してほとんど影響しないことを示している。条件3では、投入錠剤放置環境湿度がRH70%、RH50%のときに、条件1、2に対して搬送量が増えており、RH6%ではどの条件でも搬送量は同じとの結果は、錠剤Tの乾燥状態によって搬送量は影響を受け、乾燥しているほど搬送量は増えることを示している。
すなわち、本発明の実施形態の印刷前乾燥を行うことで、投入する錠剤Tの乾燥状態が十分でない場合でも搬送量を増やすことができることがわかった。また、投入錠剤放置環境湿度がRH6%のサンプルに対応する水分を含む程度であれば、投入される錠剤Tが十分に乾燥していると言え、搬送量を低下させないことがわかった。これは、投入された錠剤Tが十分に乾燥することで、ホッパ11a、ダクト11b、振動フィーダ11cや整列フィーダ13などの錠剤Tを供給、搬送する装置において、錠剤同士が接触し合いながら、あるいは錠剤Tと搬送路とが接触しながら搬送される際、それぞれの間で生じる摩擦などが低減されて搬送抵抗が減りあるいは詰まりが抑制され、搬送量が増えたと考えられる。
なお、前述のように、錠剤印刷装置1において、受け渡しフィーダ14、第1の印刷装置20の搬送装置21、第2の印刷装置30の搬送装置31では、錠剤Tは吸引保持されて搬送される。したがって上述のような搬送抵抗などは関係せず、そのため印刷後乾燥での乾燥の促進は、搬送量において影響しなかったと言える。
図6に示すように、条件1において、投入錠剤放置環境湿度がRH70%であり、重量変化量がΔ0.9%である場合には、転写率は21%であり、条件2では転写率は10%であり、条件3では転写率は8%である。また、条件1において、投入錠剤放置環境湿度がRH50%であり、重量変化量がΔ0%である場合には、転写率は5%であり、条件2では転写率は3%であり、条件3では転写率は0%である。また、条件1において、投入錠剤放置環境湿度がRH6%であり、重量変化量がΔ-1.0%である場合には、転写率は0%である。
なお、投入錠剤放置環境湿度がRH6%であり、重量変化量がΔ-1.0%である場合には、条件1の転写率は0%となり、条件2、3の転写率も0%となると予想される。これは、投入錠剤放置環境湿度がRH6%であり、投入される錠剤Tが十分に乾燥しているためである。
転写率はインクの乾き易さを示している。上記結果は、投入錠剤放置環境湿度がRH6%の錠剤Tのように乾燥している場合、インクが非常に乾燥しやすく転写する問題を起こさないことを示している。転写率は、条件1>条件2>条件3の関係で低くなる結果であり、条件1と条件2において、投入錠剤放置環境湿度がRH湿度70%でも、投入錠剤放置環境湿度がRH50%でも、転写率は低減していることから、印刷後の乾燥を行うことが転写率を低減することに有効であることを示している。また、条件2と条件3において、投入錠剤放置環境湿度がRH70%でも、投入錠剤放置環境湿度がRH50%でも、転写率は低減していることから、印刷前の乾燥を行うことも転写率を低減することに有効であることを示している。
従来、転写率の低減は主に印刷後の乾燥によっていたが、印刷前の乾燥を行うことでさらに低減できることがわかった。これは、錠剤Tがある程度乾燥していると、インクが錠剤Tの表面に印刷された際に染み込む分が増えると同時に溶媒等の蒸発を速めることが起きると考えられる。条件3の転写率が他の条件1、2の転写率に比べて一番低い。つまり、印刷前乾燥及び印刷後乾燥の両方を行うことで、錠剤Tが十分に乾燥するため、転写率を抑えることができる。
ここで、投入錠剤放置環境湿度がRH70%より高くなると、錠剤Tやインクの乾きが悪くなり、転写率が増加することがある。また、投入錠剤放置環境湿度がRH6%より低くなると、錠剤Tの割れや欠けが生じやすくなり、搬送途中などで錠剤Tの割れや欠けが発生することがある。そこで、転写率の増加、さらに、錠剤Tの割れや欠けを抑えるためには、湿度が6%以上70%以下である環境に放置された錠剤Tを用いることが望ましい。つまり、湿度が6%以上70%以下である環境に存在した錠剤Tを乾燥させることによって、転写率の増加、さらに、錠剤Tの割れや欠けを抑えつつ、生産性の低下、印刷品質の低下及び装置汚染の発生を抑えることができる。
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、錠剤Tを乾燥させる乾燥装置12が設けられ、乾燥装置12により乾燥して搬送装置21により搬送される錠剤Tに対し、印刷が行われる。つまり、錠剤Tに対する印刷前に、錠剤Tは乾燥装置12によって確実に乾燥する。これにより、錠剤が十分に乾燥しておらず水分を含むことで、錠剤Tのすべりが悪くなって、錠剤Tが搬送路に沿って流れ難くなることが抑えられるので、搬送量の低下を抑制することが可能であり、生産性の低下を抑えることができる。また、錠剤Tは印刷前に乾燥装置12によって確実に乾燥するので、印刷時、インクが錠剤Tに染み込み易くなる。これにより、錠剤T上のインクは十分に乾燥するため、錠剤同士の接触や錠剤の表裏反転搬送などによって、錠剤や搬送路への印刷転写が生じることを抑えることが可能となり、印刷品質の低下及び装置汚染の発生を抑えることができる。
<他の実施形態>
前述の説明においては、印刷ヘッド装置24、34としてインクジェット方式の印刷ヘッド装置を例示したが、これに限るものではなく、例えば、転写ロールや転写パッドを用いた転写方式の印刷ヘッド装置も用いることが可能である。
また、前述の説明においては、直線形状の挿入管12a1を用いることを例示したが、これに限るものではなく、例えば、図7に示すように、平面視で十字形状の挿入管12a1や、図8に示すように、平面視で円環形状の挿入管12a1を用いることが可能である。なお、環形状としては、円環形状以外にも、例えば、三角環形状や四角環形状、楕円環形状などが用いられる。また、図9及び図10に示すように、平面視で十字形状の挿入管12a1をダクト11b内に設け、その十字形状の挿入管12a1と高さ位置を変えて直線形状の挿入管12a1をダクト11b内に配置し、それらの挿入管12a1が平面視で放射状になるように設けることも可能である。また、直線形状の挿入管12a1を二本用いて、それらの挿入管12a1をその高さ位置を変えてダクト11b内に配置し、それらの挿入管12a1が平面視で十字形状になるようにダクト11b内に設けることも可能である。なお、複数の挿入管12a1を高さ方向にずらして設けることによって、同数の挿入管12a1を同じ平面内に設けた場合よりも、各挿入管12a1が錠剤Tの搬送を妨げることを抑えることができる。
また、前述の説明においては、乾燥装置12の挿入管12a1を略水平に貫通するようにダクト11bに挿入することを例示したが、これに限るものではなく、例えば、図11に示すように、水平に対して斜めに貫通するようにダクト11bに挿入することも可能である。また、挿入管12a1をダクト11bの上部から鉛直方向に挿入することも可能である。また、より均等に乾燥させるには、挿入管12a1の数を増やしてもよい。挿入管12a1を鉛直方向に挿入する場合、例えば、ダクト11bの中央部と外縁部とに挿入配置すれば、より均等に錠剤Tの乾燥を行うことができる。また、挿入管12a1の断面形状としては、円形に限られず、錠剤Tが移動する方向で抵抗が少なくなるような挿入管12a1の形状としても良く、例えば三角形や楕円の形状としても良い。
また、前述の説明においては、乾燥装置12の挿入管12a1を略水平に貫通するようにダクト11bに挿入することを例示したが、これに加え、図12に示すように、挿入管12a1を枝分かれするように形成し、ダクト11b内の挿入管12a1の周面に複数の枝管12a2を設けるようにしても良い。各枝管12a2は挿入管12a1につながっており、各枝管12a2には、挿入管12a1と同様、複数の貫通孔(給気口)H1が形成され、各枝管12a2は気体通過性を有している。各枝管12a2は、図12及び図13に示すように、鉛直方向で挿入管12a1を間にして対向するように、さらに、図12に示すように、挿入管12a1の延伸方向(水平方向)に並ぶように設けられている。また、前述の枝管12a2の配置に加え、図14に示すように、各枝管12a2が水平方向で挿入管12a1を間にして対向するように設けられても良い。
なお、前述のような挿入管12a1の形状や配置は、錠剤Tの搬送の邪魔にならないものであれば良い。また、挿入管12a1の形状や配置は、一箇所のみに強く気体が吹き付けられるのではなく、よりまんべんなく気体がダクト11b内に供給され、多くの錠剤Tが乾燥し、それら多くの錠剤Tの乾燥状態が維持される時間が長くなるものが望ましい。
また、前述の説明においては、印刷前の位置として、供給装置11内の位置を採用することを例示したが、これに限るものではなく、例えば、整列搬送装置10B内の位置を採用することも可能である。例えば、図15に示すように、錠剤印刷装置1の全体をカバー1Aで覆い、さらに、乾燥供給装置10A及び整列搬送装置10Bをカバー1Bで覆い、カバー1B内の整列搬送装置10B側(整列搬送装置10B付近)に挿入管12a1を挿入して設ける。この挿入管12a1の挿入位置としては、整列フィーダ13の上方や受け渡しフィーダ14の下方が用いられる。なお、ホッパ11a内に挿入管12a1を設けることも可能である。
また、前述の説明においては、印刷ヘッド装置24が錠剤Tに印刷を行うときの錠剤Tの移動速度より錠剤の移動速度が遅い位置として、供給装置11内の位置を採用することを例示したが、これに限るものではなく、例えば、整列搬送装置10B内の位置を採用することも可能である。また、整列前の位置として供給装置11内の位置を採用することを例示したが、これに限るものではなく、例えば、整列フィーダ13よりも上流の位置を採用することも可能である。
また、前述の説明においては、錠剤Tを二列で搬送することを例示したが、これに限るものではなく、その列数は一列、又は、三列や四列以上であっても良く、搬送路の数や搬送ベルト13a、21a、31aの数は特に限定されるものではない。また、搬送ベルト13a、21a、31aの吸引孔13f、21gの形状も特に限定されるものではない。
また、前述の説明においては、錠剤Tの搬送路ごとに印刷ヘッド24aを設けることを例示したが、これに限るものではなく、例えば、一つの印刷ヘッド24aによって二列以上の錠剤Tに印刷を行うようにしても良い。
また、前述の説明においては、インクジェット方式の印刷ヘッド24aとして、ノズル24bが一列に並ぶ印刷ヘッドを例示したが、これに限るものではなく、例えば、ノズル24bが複数列に並ぶ印刷ヘッドを用いるようにしても良い。また、搬送方向A1に沿って印刷ヘッド24aを複数並べて用いるようにしても良い。
また、前述の説明においては、第1の印刷装置20及び第2の印刷装置30を上下に重ねて配置して、錠剤Tの両面または片面を印刷することを例示したが、これに限るものではなく、例えば、第1の印刷装置20だけを設け、錠剤Tの片面だけを印刷するようにしても良い。
また、前述の説明においては、乾燥気体として、乾燥エアーを用いたが、これには限られない。例えば、窒素などでも良い。乾燥する対象の錠剤Tが、特に酸化を嫌う場合、酸素を含有しない気体を用いることが望ましい。また、アルゴンやヘリウムなどの不活性ガスでも良い。
また、前述の説明においては、乾燥装置26、36、42cを設けることを例示したが、その数は限定されるものではない。例えば、一つの乾燥装置26がなく二つの乾燥装置36、42cがあれば良く、また、二つの乾燥装置26、36がなく一つの乾燥装置42cがあれば良く、乾燥装置42cが無く乾燥装置26、36があれば良い。また、インク、錠剤Tの種類によっては乾燥装置を必要としないこともあるため、三つの乾燥装置26、36、42c全てが無くても良い。また、乾燥装置12においても、第1の乾燥部12aと第2の乾燥部12bを両方備えなくても良く、いずれか一方があれば良い。ただし、滞留時間がより長くなる第1の乾燥部12aを備えた方が錠剤Tの乾燥には好ましい。
また、新たに乾燥装置を設けることも可能である。例えば、図16に示すように、気体吹出部60及び気体吸引部70が乾燥装置として設けられる。気体吹出部60は、下面の略全面から搬送ベルト21aの上面に向けて乾燥気体を吹き出す。気体吸引部70は、吸気口71、排気口72及び内部流路73を有している。吸気口71は、印刷ヘッド装置24の直前領域(上流領域)の空間から空気を吸い込むための開口である。この吸気口71は、気体吸引部70における搬送ベルト21a側の面であって搬送ベルト21aの上面より高い位置に、錠剤Tの搬送方向A1に延びる長方形状(スリット状)に形成されている。排気口72は、気体吸引部70における搬送ベルト21a側の面であって搬送ベルト21aの下面より低い位置に、錠剤Tの搬送方向A1に延びる長方形状に形成されている。この排気口72は、吸引チャンバ21fの内部に接続されている。内部流路73は、吸気口71及び排気口72をつなぐ流路であり、気体吸引部70の内部に形成されている。
この乾燥装置では、気体吹出部60から印刷ヘッド装置24の直前領域に乾燥気体が吹き出される。また、吸引チャンバ21fの内部が吸引され、気体吸引部70の排気口72から空気が吸引される。そして、排気口72につながる内部流路73を介して吸気口71から、印刷ヘッド装置24の直前領域の空気が吸引される。すなわち、気体吹出部60により印刷ヘッド装置24の直前領域に乾燥気体を吹き出し、気体吸引部70により吸引することで、印刷ヘッド装置24の直前上流の一帯を乾燥領域にすることが可能になる。これにより、その乾燥領域を通過する錠剤Tを乾燥させることができる。
なお、上記実施形態において、乾燥気体の供給開始のタイミングは錠剤Tを供給し始める前としたが、これに限られない。ダクト11bと振動フィーダ11cとの間にシャッターを設け、供給した錠剤Tが一定時間ホッパ11aおよびダクト11b内にとどまるようにしたうえで、乾燥気体を供給するようにしても良い。
ここで、前述の錠剤としては、医薬用、飲食用、洗浄用、工業用あるいは芳香用として使用される錠剤を含めることができる。また、錠剤としては、裸錠(素錠)や糖衣錠、フィルムコーティング錠、腸溶錠、ゼラチン被包錠、多層錠、有核錠などがあり、硬カプセルや軟カプセルなど各種のカプセル錠も錠剤に含めることができる。さらに、錠剤の形状としては、円盤形やレンズ形、三角形、楕円形など各種の形状がある。また、印刷対象の錠剤が医薬用や飲食用である場合には、使用するインクとして可食性インクが好適である。この可食性インクとしては、合成色素インク、天然色素インク、染料インク、顔料インクのいずれを使用しても良い。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 錠剤印刷装置
11 供給装置
12 乾燥装置
21 搬送装置
24 印刷ヘッド装置
31 搬送装置
34 印刷ヘッド装置
P 搬送路
T 錠剤

Claims (4)

  1. 錠剤の表面にインクジェット方式で印刷する錠剤印刷装置であって、
    前記錠剤が搬送される搬送路と、
    前記搬送路において搬送される前記錠剤の表面にインクを吐出するヘッドと、
    前記ヘッドよりも前記搬送路の上流側において、前記錠剤を加熱する加熱装置と、
    を有し、
    前記加熱装置により加熱される前記錠剤の移動速度は、前記ヘッドが前記錠剤に印刷を行うときの前記錠剤の移動速度よりも遅いことを特徴とする錠剤印刷装置。
  2. 前記加熱装置は、前記錠剤に対して温風または熱風を供給する送風機を有することを特徴する請求項1に記載の錠剤印刷装置。
  3. 前記加熱装置は、前記錠剤に対して放射熱を供給するヒータを有することを特徴とする請求項1または2に記載の錠剤印刷装置。
  4. 錠剤が搬送される搬送路において、
    前記錠剤を加熱装置により加熱し、
    前記加熱装置により加熱した前記錠剤に対し、前記搬送路において前記加熱装置の下流に位置するヘドにより印刷を行う工程を有し、
    前記加熱装置により加熱される前記錠剤の移動速度は、前記印刷工程において前記ヘッドが前記錠剤に印刷を行うときの前記錠剤の移動速度よりも遅いことを特徴とする錠剤印刷方法。
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