JP7229025B2 - 建具 - Google Patents
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Description
また、特許文献1に開示された扉によれば、火災時において、開閉板を閉鎖状態に維持する防火ダンパーがばねにより付勢された状態となっても、熱によって開閉板や防火ダンパーが変形して、入口と開閉板との間に隙間が生じ、火炎や煙が当該隙間を通過する可能性があるため、防火防煙機能に改善の余地があるという課題があった。
本発明によれば、火災時において熱を受けて膨張する熱膨張材料が回転中心軸に巻き付けられたので、火災時において熱膨張材料が熱を受けて膨張することにより、入口と開閉扉との間の隙間を塞ぐことができるようになる。また、熱膨張材料を回転中心軸に巻き付けるだけであるので、構造が簡単でかつ安価な建具となる。
即ち、本発明によれば、防火防煙機能に優れるとともに構造が簡単でかつ安価な建具を提供できるようになる。
図1,図2に示すように、実施形態1に係る扉(ドア)1は、一方空間としての室外2と他方空間としての室内3との間に位置される開口部4を開閉する扉1であって、室外2側の表面板(扉1の一方の面板)11に設けられた入口5と、室内3側の裏面板(扉1の他方の面板)12に設けられた出口6と、入口5と出口6とを繋ぐ通路構成体7と、通路構成体7に設けられて熱を受けた場合に膨張する熱膨張材料10とを備えた、例えば、玄関扉である。
尚、本明細書においては、扉1の上、下、左、右、表(前)、裏(後)は、図1,図2に示した方向と定義して説明する。
尚、表面板11及び裏面板12は、例えば鋼板等の金属板により形成されている。
また、上端面板13、左端面板14、右端面板15、下端面板16は、例えば鋼板等の金属板により断面凹形状に形成された長尺材(力骨)により構成される。
また、ドアハンドル17が設置されている部分の近傍において表面板11と裏面板12との間には、例えば鋼板等の金属板により断面凹形状に形成された補強用の長尺材18が、上下方向に延在するように設けられている。
尚、図2において、17aは主錠シリンダ、17bは補助錠シリンダである。
また、図3に示すように、建物の壁8に設けられた開口8Aに扉枠4Aが設置され、扉枠4Aの内側の開口部4を開閉する扉1の右側縁側、あるいは、左側縁側がヒンジ4Bを介して扉枠4Aに取付けられていることにより、扉1が開口部4を開閉可能なように扉枠4Aに取付けられている。
また、例えば、戸先となる左端面板14には、煙返し19(図1,図3参照)が取付けられている。
入口側開口11Aは、表面板11の上下間の中央位置よりやや下方でかつ左右間の中央位置に形成された、左右方向に長い矩形状の貫通孔により構成される。
ボス貫通孔11Bは、後述する円柱状のボス23を貫通させる貫通孔であり、表面板11における入口側開口11Aの左開口縁の近傍位置と表面板11における入口側開口11Aの右開口縁の近傍位置とにそれぞれ形成されている。
出口側開口12Aは、裏面板12の上下間の中央位置よりやや下方でかつ左右間の中央位置に形成された、左右方向に長い矩形状の貫通孔により構成される。
出口側開口12Aは、上開口縁が入口側開口11Aの上開口縁と同じ高さ位置に設けられて、下開口縁が入口側開口11Aの下縁よりも下方位置に設けられる。
即ち、出口側開口12Aは、左右方向の開口幅寸法が入口側開口11Aの左右方向の開口幅寸法とほぼ同じ寸法に形成され、かつ、上下方向の開口幅寸法が入口側開口11Aの上下方向の開口幅寸法よりも大きい開口に形成される。
また、表面板11に形成された入口側開口11Aの寸法は、入口5の寸法よりも大きく、かつ、入口枠板20の外形寸法よりも小さい寸法に形成されている。そして、入口側開口11Aの開口縁が室外2から目視されないようにするため、入口枠板20の枠部22の裏側に入口側開口11Aの開口縁が位置された状態となるように、入口枠板20が表面板11の表面に設置される。
入口枠板20の枠部22の裏面における左右側には、それぞれ、固定ねじ55が締結されるねじ穴56が形成されたボス23,23を備える。
また、入口枠板20の枠部22の裏面における上側の左右側には、後述する開閉扉31の回転中心軸38を固定するための軸固定部24,24を備える。
扉部33は、横幅寸法が入口5の横幅寸法に対応した寸法に形成されて、上下幅寸法が入口5の上下幅寸法よりも大きい寸法に形成された左右方向に長い矩形状の板により構成される。
扉部33は、入口枠板20の裏面側から入口5の内側に入り込めるように入口5よりも若干小さい寸法に形成された塞板35と、塞板35の下端縁から塞板35よりも後方に突出した後に下方に延長する規制板36とを備えた構成である。
規制板36は、塞板35が入口5の内側に入り込んで入口5が閉状態となった場合に、入口枠板20の枠部22の下側の裏面と面接触して塞板35が入口5より室外2に突出しないように規制する板である。
回転中心軸38への取付部34は、塞板35の上端縁における左右両側に設けられる。
当該取付部34は、例えば塞板35の上端縁より上方に突出した後に後側下方に折返されるように形成された引掛部37を備えた構成である。
通路45の下面(下板42の上面)は、入口5側から出口6側に向けて傾斜して下る傾斜面に形成される。
前鍔部46は、上板41の前端縁より上板41の板面と直交する上方向に延長する上鍔部46aと、下板42の前端縁より上板41の板面と直交する下方向に延長する下鍔部46bと、左板43の前端縁より左板43の板面と直交する左方向に延長する左鍔部46cと、右板44の前端縁より右板44の板面と直交する右方向に延長する右鍔部46dとを備える。
同様に、後鍔部47は、上板41の後端縁より上板41の板面と直交する上方向に延長する上鍔部47aと、下板42の後端縁より上板41の板面と直交する下方向に延長する下鍔部47bと、左板43の後端縁より左板43の板面と直交する左方向に延長する左鍔部47cと、右板44の後端縁より右板44の板面と直交する右方向に延長する右鍔部47dとを備える。
前後の左鍔部46c,47cには、それぞれ、左の固定ねじ55を貫通させるねじ貫通孔49,49が形成され、前後の右鍔部46d,47dには、それぞれ、右の固定ねじ55を貫通させるねじ貫通孔49,49が形成されている。
出口枠板50の枠部52の左右側には、それぞれ、固定ねじ55を貫通させる貫通孔53,53が形成されている。
また、出口6の寸法と、裏面板12に形成された出口側開口12Aの寸法と、通路45の出口側開口45Aの寸法とがほぼ同じ寸法に形成されている。
そして、これら出口枠板50の出口6の開口縁と裏面板12に形成された出口側開口12Aの開口縁と通路45の出口側開口45Aの開口縁とが一致するように組み立てられる。
熱膨張材料10は、回転中心軸38における左右のトーションコイルばね39,39間において当該回転中心軸38に巻き付けるようにして設けられている。
回転中心軸38の右端側を左側から左の軸固定部24の貫通孔25に貫通させた後、この回転中心軸38を右端側から左右のトーションコイルばね39:39の中空部に通し、その後、回転中心軸38の右端側を右の軸固定部24の貫通孔25に貫通させて、当該回転中心軸38を左右の軸固定部24,24に接着剤などで固定する。
また、左右の軸固定部24,24より左右側に突出する回転中心軸38の左右の端部側に、開閉扉31の左右の引掛部37,37を引っ掛ける。
そして、左右の各トーションコイルばね39,39の一端を、それぞれ、回転中心軸38に固定し、左右の各トーションコイルばね39,39の他端がトーションコイルばね39の弾性によって塞板35の裏面に接触した状態、即ち、左右の各トーションコイルばね39,39の弾性による付勢力によって、開閉扉31が入口5を塞ぐ閉鎖状態に設定されるように構成される。
また、室外2側から入口5を介して当該開閉扉31に左右の各トーションコイルばね39,39の弾性による付勢力よりも強い力が加わった場合に、当該開閉扉31が回転中心軸38を回転中心として回転して、入口5が開く開状態に設定される。
また、左右のトーションコイルばね39,39間の回転中心軸38の周囲に、熱を受けた場合に膨張する熱膨張材料10を巻き付けるようにして設置する。
以上により、図6に示すような、入口枠板20の裏側に開閉扉31が回転可能に取付けられた入口開閉機構60が構成される。
入口開閉機構60の裏側に表面板11の入口側開口11Aを位置させ、入口開閉機構60の裏側に設けられたボス23,23をボス貫通孔11B,11Bに貫通させるとともに、軸固定部24,24及び回転中心軸38を入口側開口11Aを介して表面板11の後方に突出させた状態に設定する。
次に、前鍔部46の左右の鍔部46c,46dに形成されたねじ貫通孔49,49とボス23,23の貫通孔25,25とが一致するように、通路部材40を設置する。
そして、通路部材40の後鍔部47を構成する上下左右の鍔部47a~47dで囲まれた通路45の出口側開口45Aと裏面板12に形成された出口側開口12Aとが対応するように、通路部材40の後方に裏面板12を設置する。
そして、裏面板12の表面(室内3側の面)に出口枠板50を設置する。
そして、左の固定ねじ55の先端を、出口枠板50の左の貫通孔53、裏面板12の出口側開口12Aに形成された図外の貫通孔、通路部材40の前後の左鍔部46c,47cに形成されたねじ貫通孔49,49に通して、左のボス23のねじ穴56に締結する。
同様に、右の固定ねじ55の先端を、出口枠板50の右の貫通孔53、裏面板12の出口側開口12Aに形成された図外の貫通孔、通路部材40の前後の右鍔部46d,47dに形成されたねじ貫通孔49,49に通して、右のボス23のねじ穴56に締結する。
以上により、図7に示すように、通路構成体7が、表面板11及び裏面板12に組付けられた構成となる。
この受箱70の左右の側壁には、取出口71,71が形成されている。
出口枠板50を取付けない場合は、例えば、図4に示すように、出口枠板50の代わりにブラケット72を裏面板12の表面に設置して、このブラケット72を固定ねじ55で固定し、受箱70の左右上方の側面をねじ73を用いて当該ブラケット72にねじ止めするともに、受箱70の上側前端縁より下方に延長するように設けられた上側取付片、及び、受箱70の下側前端縁より上方に延長するように設けられた下側取付片を、それぞれ、ねじ74,75を用いて扉1の裏面板12に固定することで、受箱70を裏面板12の表面に取付けた構成とすればよい。
この場合、入口5を介して投函された郵便物等が通路45、出口6となる出口側開口45A及び出口側開口12Aを通過して受箱70内に落下するので、室内3側から受箱70内の郵便物等を取出口71,71を介して取り出すことができる。
また、当該熱膨張材料10が約10倍程度に体積膨張することにより、開閉扉31の塞板35の上端面と入口5の上開口縁との間の隙間、開閉扉31の塞板35の左右の端面と入口5の左右の開口縁との間の隙間、及び、開閉扉31の規制板36の前面と入口枠板20の裏面との間の隙間が塞がれる。
即ち、実施形態1に係る扉1によれば、火災時において熱膨張材料10が熱を受けて膨張することにより、入口5と開閉扉31との間の隙間を塞ぐことができるようになる。
つまり、防火防煙機能に優れた扉1を提供できる。
また、熱膨張材料10を設けるだけであり、特許文献1に開示された扉のような、多数の部品を関連付けた装置構成を不要とできるので、構造が簡単でかつ安価な建具を提供できる。
即ち、実施形態1によれば、防火防煙機能に優れるとともに構造が簡単でかつ安価な建具を提供できるようになる。
図8,図9に示すように、通路45の下面42aを形成する下板42に貫通孔65を形成し、熱を受けた場合に膨張して当該貫通孔65を塞ぐように、下板42の下面42aの裏側の面42uに熱膨張材料10を取付けた構成としてもよい。
例えば、図8に示すように、通路部材40の下板42の左右方向に沿って所定間隔を隔てて並ぶように複数の貫通孔65,65…を形成し、熱を受けた場合に膨張してこれら複数の貫通孔65,65…を塞ぐように、下板42の下面42aの裏側の面42uに左右方向に長い長尺矩形板状の熱膨張材料10を取付けた構成とする。
また、図示しないが、通路45の上面を形成する上板41、通路45の左面を形成する左板43、通路45の右面を形成する右板44に、貫通孔を形成し、熱を受けた場合に膨張して当該貫通孔を塞ぐように、上板41、左板43、右板44における通路45の裏側の面に熱膨張材料10を取付けた構成としてもよい。
即ち、通路部材40が通路45を形成する板41乃至44を備え、通路45を形成する板41乃至44のうちの1つ以上の板に貫通孔が形成され、熱膨張材料10が熱を受けた場合に膨張して当該貫通孔を塞ぐように通路45の裏側の面に取付けられた構成とすればよい。
実施形態2に係る扉1によれば、実施形態1と同様に、火災時において熱膨張材料10が熱を受けて膨張することにより、入口5と開閉扉31との間の隙間を塞ぐことができるようになるので、防火防煙機能に優れるとともに構造が簡単でかつ安価な扉1を提供できるようになる。
例えば、開閉扉31の裏面、あるいは、通路45の上面(上板41の下面)に、熱膨張材料10を取付けた構成としてもよい。
即ち、熱を受けた場合に膨張する熱膨張材料10が通路構成体7に設けられた構成であればよい。
また、本発明は、建具としての引き戸、窓等にも適用可能である。例えば、引き戸の一部や窓の一部に上述した入口、出口、通路構成体を備えた構成とすればよい。
即ち、建物の開口部に設けられる開閉機能を持つ建具であって、建具の一方の面板に設けられた入口と、建具の他方の面板に設けられた出口と、入口と出口とを繋ぐ通路構成体とを備え、通路構成体が、入口と出口とを繋ぐ通路を形成する通路部材と、回転中心軸と、当該回転中心軸を回転中心として回転して入口を開閉する開閉扉とを備え、熱を受けた場合に膨張する熱膨張材料が通路構成体に設けられた構成の建具であればよい。
5 入口、6 出口、7 通路構成体、10 熱膨張材料、
11 表面板(一方の面板)、12 裏面板(他方の面板)、31 開閉扉、
38 回転中心軸、40 通路部材、45 通路、65 貫通孔。
Claims (1)
- 一方空間と他方空間との間に位置される開口部を開閉する建具において、
扉の一方の面板に設けられた入口と、扉の他方の面板に設けられた出口と、入口と出口とを繋ぐ通路構成体とを備え、
通路構成体が、入口と出口とを繋ぐ通路を形成する通路部材と、回転中心軸と、当該回転中心軸を回転中心として回転して入口を開閉する開閉扉とを備え、
熱を受けた場合に膨張する熱膨張材料が回転中心軸に巻き付けられたことを特徴とする建具。
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