以下に、本開示に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本開示の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等に合わせて適宜変更することができる。また、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。
以下では、配線器具として壁等の造営物に埋め込み設置されるコンセントを例示するが、これに限定されるものではなく、本開示の配線器具はコンセント以外のスイッチなどであってもよい。
図1は、化粧カバーと共に設置されたコンセント10の全体斜視図である。図2は、取付枠4に取り付けられたコンセント10の斜視図である。図2では、コンセント外側カバーと、コンセント本体カバーを構成する下部カバーとが取り外された状態で示されている。図1及び図2(他図でも同様)において、矢印Xは幅方向(または左右方向)を示し、矢印Yは前後方向(または奥行き方向)を示し、矢印Zは上下方向(または高さ方向)を示している。これらの3方向は互いに直交する。なお、これらの方向は例示であって、本開示に係るコンセントの構成を実質的に規定するものではない。
図1及び図2に示すように、コンセント10は、前方から見た正面視で縦長の長形状をなす直方体に形成されている。コンセント10の大きさは、JIS規格に規定される寸法に形成されている。コンセント10は、例えば、壁などに埋め込まれた状態で設置される。
コンセント10の前面の周囲は、矩形枠状をなす化粧カバー2が配置されている。化粧カバー2は、例えば、樹脂成型品で構成される。化粧カバー2は、コンセント10の前面周囲に設けられることで、コンセント10を壁に形成された穴や、この穴の中に設置された配線ボックスにコンセント10を取り付けるための取付枠4などを、外部から見えなくして見栄えを良くするための部材である。
図2に示すように、コンセント10は、取付枠4に組付けられた状態で壁面内側の配線ボックス(図示せず)に取り付けられる。取付枠4は、上側板部4aと、下側板部4bと、幅方向Xの両側において上下方向Zに延在して上側板部4aおよび下側板部4bに連結される一対の桟部4c,4dとを有する。取付枠4は、金属板を打ち抜き加工及び曲げ加工されて形成される。一対の桟部4c,4dは、断面L字状に曲げ加工されており、前後方向Yに沿った側面には複数の係合孔4eが上下方向に間隔をあけて形成されている。これらの係合孔4eによってコンセント10が取付枠4に固定される。これにより、取付枠4には、正面視で縦長の長方形状をなす開口部5(図16参照)が形成されている。コンセント10は、取付枠4の開口部5には嵌り込んだ状態で組付けられる。取付枠4へのコンセント10の組付けについては図16以降を参照して後述する。
図3は、コンセント10の分解斜視図である。図1ないし図3に示すように、コンセント10は、ケース16と、主カバー部材17と、コンセント本体カバー12とを備える。主カバー部材17及びコンセント本体カバー12は、ケース16の前面開口を覆って設けられる。また、コンセント10は、コンセント外側カバー14をさらに備える。主カバー部材17、コンセント本体カバー12及びコンセント外側カバー14は、いずれも樹脂成型品によって好適に構成される。
主カバー部材17は、前壁17aと、側壁17bとを有する。前壁17aは、幅方向Xの一方側において上下方向Zに延在している。側壁17bは、主カバー部材17において四方周囲を取り囲むように形成されている。また、主カバー部材17の前面には、前壁17aと側壁17bとの間に開口部19が形成されている。開口部19は、正面視で縦長の長方形状に形成されている。開口部19は、コンセント本体カバー12の上部カバー12aが嵌り込んで取り付けられるために形成されている。本実施形態においてコンセント本体カバー12の上部カバー12aは、主カバー部材17に取り付けられる副カバー部材に相当する。
主カバー部材17の前壁17aには、正面視で縦長の長方形状をなす開口部17cが形成されている。この開口部17cは、後述する開閉ユニット70の操作レバー71を露出させるために形成されている。また、前壁17aには、開口部17cの上方位置に操作片17dが片持ち形状で形成されている。この操作片17dを介して後述するスイッチ盤に実装された押しスイッチを押下操作することが可能になっている。
また、主カバー部材17の前面において、開口部19の下方には端子カバー部17eが設けられている。この端子カバー部17eは、ケース16に組付けられたとき、ケース16内に収納された端子部100を覆って設けられるが、端子カバー部17eに形成されている貫通孔を介して端子部100のねじ105とその周辺が露出するように構成されている。
さらに、主カバー部材17の側壁17bには、係止片21が幅方向の両側縁部に2つずつ、合計4つ形成されている。各係止片21は、側壁17bの端縁部から後方に突出して形成されている。また、各係止片21には、矩形状の係止孔がそれぞれ形成されている。これらの係止片21は、主カバー部材17がケース16に組付けられたとき、ケース16の側面に突設されている係合部22が係止孔に係合することによって、主カバー部材17がケース16に対して係止された状態で組付けられる。
さらにまた、主カバー部材17には、前壁17aの開口部19側の縁部に係止部23が後方に突出した形状に形成されている。この係止部23は、開口部19内にコンセント本体カバー12の上部カバー12aが嵌め込まれて組付けられたときに、上部カバー12aに係合して組付け状態を保持する機能を有する。主カバー部材17に対する上部カバー12aの組付けについては、図16等を参照して後述する。
コンセント本体カバー12は、コンセント10の前面を覆って配置されている。コンセント本体カバー12は、上部カバー12a及び下部カバー12bを含む。上部カバー12aは、ケース16内に収納された刃受ばねユニット40の前方を覆って設けられる。
上部カバー12aには、栓刃挿入部18a,18bが上下2段に配置されている。上段の栓刃挿入部18aには、差込プラグ(図示せず)の2つの板状栓刃が挿入される栓刃挿入口20a,20bが左右方向に並んで形成されている。また、下段の栓刃挿入部18bには、差込プラグの2つの栓刃が挿入される栓刃挿入口20a,20bが左右方向に並んで形成されるともに、栓刃挿入口20a,20bの間の下方位置に接地用の棒状端子が挿入される接地端子挿入口20cが形成されている。本実施形態では、一方の栓刃挿入口20aの開口縁部が正面視で略D字型の枠状に形成され、他方の栓刃挿入口20bの開口縁部が正面視で矩形枠状に形成されている例が示される。ただし、これに限定されるものではなく、各栓刃挿入口20a,20bの開口縁部は同じ形状に形成されてもよい。
コンセント本体カバー12の一部を構成する下部カバー12bは、ケース16内に収納された端子部100を覆って設けられる。下部カバー12bの表面には「アース」及び「あける」の文字、接地を表すマークなどが付されている。下部カバー12bは、上部カバー12aに対して着脱可能に取り付けられている。詳しくは、下部カバー12bに一体形成されている2つの取付ピン13を上部カバー12aに形成された取付穴15に挿入することによって取り付けられる。下部カバー12bをコンセント10から取り外すことで端子部100の接地用端子部のねじ105及びその周辺が露出する。これにより、コンセント10は、接地用外部電線を接続可能な状態になる。
コンセント外側カバー14は、前方から見た正面視でコ字状をなす形状に形成され、コンセント本体カバー12の上方、左側及び下方の三方外側に隣接して配置される。コンセント外側カバー14は、後述する開閉ユニット70の前面を覆って設けられる。コンセント外側カバー14には、縦長の長方形状をなす開口部14aと、この開口部14aの上方に位置する円形の貫通孔14bとが形成されている。開口部14aには、開閉ユニット70の操作レバー71が露出した状態で配置されている。また、貫通孔14bの内側(すなわち後方)には、後述するスイッチ盤に実装された押しスイッチが配置される。これにより、例えば細い棒状の工具やペンの先端などで貫通孔14bに挿入することで、主カバー部材17の操作片17dを介して押しスイッチを押下操作することができる。
コンセント外側カバー14において貫通孔の14bの上方には、「電源」及び「異常」の表示が付されている。表示「電源」の上の領域はコンセント10の電源供給時に例えば緑色に点灯する電源灯部分14cになっており、表示「異常」の上の領域はコンセント10の異常発熱時に例えば赤色に点灯又は点滅する異常灯部分14dになっている。なお、電源灯部分14c及び異常灯部分14dはコンセント外側カバー14の壁面を光が透過する透光部となっているが、それぞれ貫通孔からなる投光窓として形成されてもよい。
図4は、コンセント本体カバー12及びコンセント外側カバー14を取り外した状態で示すコンセント10の正面図である。図5は、図4に示すコンセント10において、ケース16を取り外した状態で示す分解斜視図である。
コンセント10は、ケース16を備える。ケース16は、例えば、樹脂成型品によって好適に構成される。ケース16は、図3及び図4に示すように、直方体状の外形をなし、後部に底面を有するとともに前方に開口した形状を有する。
図3及び図4に示すように、ケース16の長辺方向に沿った外面には、係合部22が突出して形成されている。係合部22は、各側面に間隔をあけて2つずつ設けられている。これらの係合部22に主カバー部材17の係止片21が係合することによって、主カバー部材17がケース16に取り付けられる。
図5に示すように、ケース16の底面24には、2つの柱部26が上下方向Zに間隔をあけて立設されている。これらの柱部26と幅方向Xの一方側のケース内面25aとの間に、開閉ユニット70を収容するための空間28が区画されている。また、上記柱部26と他方側のケース内面25bとの間に、刃受ばねユニット40及び基板120等を収容する空間30が区画されている。
また、ケース16の底面24の下部には、前方から見た正面視でL字状をなす仕切り壁部27が突出して形成されている。この仕切り壁部27によって、ケース16内において端子部100が収納される空間32が区画されている。
また、ケース16の底面24には、複数の支持突起部29が突出して形成されている。これらの支持突起部29の先端面によって、ケース16内に収納された基板120が支持されている。
図6は、図5に示すコンセントにおいて、ボディ部材とケースを取り除いた状態を示す斜視図である。図4ないし図6に示すように、コンセント10は、刃受ばねユニット40、開閉ユニット70、及び、基板120を備える。また、コンセント10は、端子部100に接地用端子部102を備えてもよい。
刃受ばねユニット40は、2つの刃受ばねブロック42a,42bと、これらの刃受ばねブロック42a,42bを支持するボディ部材44と、刃受ばねブロック42a,42bをボディ部材44に押さえ付けた状態で固定する固定部材46とを含む。ボディ部材44及び固定部材46は、絶縁性の樹脂成型品によって好適に構成される。なお、刃受ばねブロック42a,42bは、ボディ部材44に設けられた一対の爪部(図示せず)によって挟持されて保持又は固定されてもよく、この場合、固定部材46は省略されてもよい。
一方の刃受ばねブロック42aは、コンセント10の端子部100に接続される電圧相(以下、L相という。)の外部電源線と電気的に接続される端子部材である。他方の刃受ばねブロック42bは、コンセント10の端子部100に接続される中性相(以下、N相という。)の外部電源線と電気的に接続される端子部材である。刃受ばねブロック42a,42bは、例えば、銅板等の金属板を打ち抜き及び折り曲げ等の加工を施すことによって製造される。
各刃受ばねブロック42a,42bは、同一形状のものを用いることができる。したがって、以下では一方の刃受ばねブロック42aの構成について主として説明し、他方の刃受ばねブロック42bについては援用によって説明を適宜に省略する。
刃受ばねブロック42aは、二対の刃受ばね48と、各刃受ばね48を機械的に連結するとともに電気的に接続する連結部50と、連結部50の縁部から前後方向に沿って折り曲げ形成された接続端子部52とを一体に有する。
L相用の刃受ばねブロック42aにおいて一対の刃受ばね48は、上部カバー12aの上段の右側に形成された栓刃挿入口20aの内側に配置される。もう一対の刃受ばね48は、上部カバー12aの下段の右側に形成された栓刃挿入口20aの内側に配置される(図2参照)。
N相用の刃受ばねブロック42bにおいて一対の刃受ばね48は、上部カバー12aの上段の左側に形成された栓刃挿入口20bの内側に配置される。もう一対の刃受ばね48は、上部カバー12aの下段の左側に形成された栓刃挿入口20bの内側に配置される(図2参照)。
図6に示すように、L相用の刃受ばねブロック42aの接続端子部52には、L相導線54aの一端がはんだ付け等によって接続されている。また、N相用の刃受ばねブロック42bの接続端子部52には、N相導線54bの一端がはんだ付け等によって接続されている。L相導線54aおよびN相導線54bは、例えば、絶縁被覆された編組銅線によって好適に構成される。L相導線54aおよびN相導線54bの各他端は、開閉ユニット70にそれぞれ接続されている。
また、刃受ばねブロック42a,42bの接続端子部52には温度センサ54がクリップ56によってそれぞれ設けられている(図11参照)。温度センサ54の取付構造については後に詳述する。温度センサ54は、刃受ばねブロック42a,42bの温度をそれぞれ計測して、その計測結果を信号線60a,60bを介して基板120に送信する。
基板120は、図示しないパターン配線が形成された回路基板である。基板120には、制御部122が実装されている。本実施形態では、基板120の裏面に制御部122が実装されている。制御部122は、温度センサ54から送信される計測結果に基づいて、刃受ばねブロック42a,42bの温度が所定閾値温度を超えていないか否かを判定する。そして、制御部122は、刃受ばねブロック42a,42bの少なくとも一方の温度が所定閾値温度を超えたとき、コンセント10が過熱状態であると判定し、後述する開閉ユニットに信号線60cを介して作動信号を送信する。
ここで、所定閾値温度は、例えば、100℃~150℃に設定することができる。所定閾値温度は、コンセント10のコンセント本体カバー12やボディ部材44を構成する樹脂材料の耐熱温度等に応じて設定され得るものである。また、所定閾値温度は、コンセント10が使用される環境温度(または周囲温度)に応じて変更されてもよい。また、基板120には、報知部の一部としてブザー装置が実装されてもよい。制御部122は、刃受ばねブロック42a,42bの少なくとも一方の温度が所定閾値温度を超えて発熱した過熱状態にあると判定されたとき、異常灯発光部136を点灯または点滅させるとともにブザー装置を鳴動させて、報知動作を行ってもよい。さらに、コンセント本体カバー12等のカバー部材やボディ部材44などを構成する樹脂材料として、例えば、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などが好適に用いられる。
本開示における制御部122は、コンピュータによって好適に構成される。コンピュータは、プログラムに従って動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現させることができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、又はLSI(Large Scale Integration)を含む1つ又は複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されてもよいし、複数の装置に備えられてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
図6に示すように、基板120の裏面からは、2本の信号線62a,62bが延出している。これらの信号線62a,62bを介して、温度センサ54による計測結果や開閉ユニット70の作動状態(閉路状態または開路状態)を示す信号がコンセント10の外部の電力制御装置や分電盤などに送信されてもよい。
なお、本実施形態では基板120は、コンセント10の過熱状態を異常として検知する機能を備える例について説明するが、これに限定されるものでない。コンセントは、所定震度以上の地震を異常として検知したとき電力供給を遮断する感震機能を備えるものであってもよい。この場合、震度は基板上またはコンセント内部の他の部分に設置された例えば、ジャイロセンサ等の加速度を検知可能な感震センサによって構成されてもよい。感震センサは、基板上のパターン配線又は、信号線を介して、基板上の制御部に接続される。制御部は、感震センサからの入力に基づいて所定震度以上の地震であると判定されたとき、開閉ユニット70に対して作動信号を出力する。また、本開示に係るコンセントは、このような感震検知機能と上述した過熱検知機能とを合わせて備えてもよいし、感震機能単独で備えてもよい。さらに、本開示に係るコンセントは、異常として漏電を検知したときに電流を遮断する漏電検知機能を上述した過熱や感震と組み合わせて或いは単独で備えてもよい。漏電を検知するためにコンセント内に電流センサを設け、刃受ばねブロックを流れる電流が所定閾値電流値を超えたときに開閉ユニットを作動させる構成とすればよい。
このような感震検知機能や漏電検知機能を備えたコンセントにおいても、基板以外のコンセント構成部品を共用することができ、コンセントの生産性が向上するとともに、製造コストを抑制することができる。
図6に示すように、コンセント10は、スイッチ盤130を備える。スイッチ盤130には、押しスイッチ132が実装されている。押しスイッチ132は、コンセント外側カバー14の貫通孔14bの内側に配置されている(図1ないし図3参照)。これにより、貫通孔14bを介してコンセント10の外部から押しスイッチ132を押下操作することができる。スイッチ盤130は、基板120に信号線を介して接続されている。押しスイッチ132が押下操作されると、基板120から後述する開閉ユニット70に作動信号が送信される。これにより、開閉ユニット70が閉路状態から開路状態に切り替り、後述する異常灯発光部が点灯または点滅した状態となる。このように押しスイッチ132を押下操作することで、コンセント10が正常に作動するか否かをテストすることができる。また、押しスイッチ132を押下操作することで、過熱状態を報知するブザー装置を停止させることもできる。
スイッチ盤130には、電源灯発光部134および異常灯発光部136が実装されている。電源灯発光部134は、コンセント外側カバー14の電源灯部分14cの内側に対向して配置され、異常灯発光部136は、コンセント外側カバー14の異常灯部分14dの内側に対向して配置される(図2参照)。電源灯発光部134は、例えば、緑色に発光する発光ダイオード(LED)によって好適に構成される。異常灯発光部136は、例えば、赤色に発光する発光ダイオード(LED)によって好適に構成される。電源灯発光部134は、コンセント10が電源供給状態にあるとき点灯される。異常灯発光部136は、後述するようにコンセント10において過熱等の異常が検知されたときに点灯されるか又は点滅する。これらの発光部134,136の点灯状態がコンセント10の外部から視認可能になっていることで、発光部134,136は報知部の一部を構成する。
次に、図7及び図8を参照して開閉ユニット70について説明する。図7は、閉路状態にある開閉ユニット70の側面図である。図8は、開路状態にある開閉ユニット70の側面図である。図7及び図8において、開閉ユニット70は、幅方向外側のハウジング部材を取り外した状態で示されている。
図7に示すように、開閉ユニット70は、ハウジング72を有する。ハウジング72の前面には、操作レバー71が露出した状態で回動可能に設けられている。
開閉ユニット70は、ハウジング72内に、コイル73、可動鉄片74、トリガーレバー75、支持レバー76、作動板77、押圧ばね78、作動部材79、圧接ばね80,85、L相可動端子板81及びL相可動端子部82、N相可動端子板83及びN相可動端子部84、L相固定端子板86及びL相固定端子部87、並びに、N相固定端子板88及びN相固定端子部89を備える。
コイル73は、基板120からの作動信号を受けて電力供給される。これにより、コイル73は、磁力を発生する。可動鉄片74は、ハウジング72においてコイル73の後方(図7中では下方)に近接する位置で前後方向Yへ移動可能に設けられている。可動鉄片74は、N相可動端子板83の一端部83aに固定されている。N相可動端子板83の一端部83aには、N相導線54bの他端がはんだ付け等によって電気的および機械的に接続されている。
トリガーレバー75は、略L字状の形状をなし、ハウジング72の幅方向側壁面に軸部75aを中心に回動可能に設けられている。トリガーレバー75の一端部は、可動鉄片74と係合可能な位置に配置されている。
支持レバー76は、前後方向Yに延在する形状を有し、ハウジング72の幅方向側壁面に軸部76aを中心に回動可能に設けられている。支持レバー76の一端部は、トリガーレバー75の他端部に係合可能な位置に配置されている。
作動板77は、一端部が支持レバー76の他端の上に当接して支持されている。作動板77は、操作レバー71に一端が連結されている略U字状の押圧ばね78の他端が連結されており、この押圧ばね78の押圧力によって一端部が支持レバー76の他端上に圧接されている。
操作レバー71の回動中心の周りには、ねじりばね90が配置されている。後述するように開閉ユニット70が作動して電力遮断状態になったとき、操作レバー71はねじりばね90の付勢力によって回動して、図8に示すようにコンセント10の前面に突出した状態となる。
図7に示すように、作動部材79は、支持レバー76と作動板77とに隣接して配置され、ハウジング72の幅方向側壁面に軸部79aを中心として回動可能に設けられている。作動部材79の後端部(図7中の下端部)が圧接ばね80によって付勢されている。これにより、作動部材79は、圧接ばね80によって、図7中の反時計回り方向に回動する方向に付勢されている。
作動部材79は、前後方向Yの略中央部がL相可動端子板81と係合可能に設けられている。L相可動端子板81の一端には、L相導線54aの他端がはんだ付け等によって電気的および機械的に接続されている。また、L相可動端子板81の他端にはL相可動端子部82が例えばカシメ等によって固定されている。
L相可動端子板81は、作動部材79によって、圧接ばね85の付勢力に抗して時計回り方向に回動した位置に押さえられている。これにより、後述するように作動部材79が圧接ばね80の付勢力によって反時計回り方向に回動したとき、L相可動端子板81は作動部材79による押さえが解放されることで、圧接ばね85の付勢力によって押し上げられるようになっている。
また、作動部材79は、N相可動端子板83の中間部分を押さえ付けている。N相可動端子板83の他端部には、N相可動端子部84が例えばカシメ等によって固定されている。後述するように作動部材79が反時計回り方向に回動したとき、N相可動端子板83が作動部材79の後端部(図7中の下端部)によって押し上げられてN相可動端子部84が前方(図7中の上方)に移動するようになっている。
図7に示すように、L相可動端子部82は、ハウジング72内に配置されたL相固定端子部87に当接して電気的に接続されている。L相固定端子部87は、L相固定端子板86の一端部に例えばカシメ等によって固定されている。L相固定端子板86はハウジング72の外部に延出している。
N相可動端子部84は、ハウジング72内に配置されたN相固定端子部89に当接して電気的に接続されている。N相固定端子部89は、N相固定端子板88の一端部に例えばカシメ等によって固定されている。N相固定端子板88はハウジング72の外部に延出している。
上記のように構成される開閉ユニット70では、基板120からの作動信号によってコイル73に電力供給されると、図8に示すように、可動鉄片74がコイル73の磁力によって吸着されて矢印A方向に移動する。
そうすると、トリガーレバー75が可動鉄片74によって一端部が押されることで時計回り方向に回動し、これに伴って支持レバー76がトリガーレバー75の他端部によって押されることで反時計回り方向に回動する。
そうすると、支持レバー76の上端に支持されていた作動板77の一端部が外れることで、作動板77は押圧ばね78の押圧力によって後方(図8中の下方)に傾斜した状態に押し込まれる。このとき、操作レバー71は、押圧ばね78の反力とねじりばね90の付勢力によって、コンセント10の前面に端部が突出した状態に回動する。
作動板77の支持レバー76による支持が外れたことで、作動板77によって時計回り方向に押されて支持されていた作動部材79が、圧接ばね80の付勢力によって反時計回り方向に回動する。これにより、圧接ばね85の付勢力によってL相可動端子板81が移動し、L相可動端子部82がL相固定端子部87から離間する。これと同時に、反時計回り方向に回動する作動部材79によって押されることで、N相可動端子板83が持ち上げられるように移動する。これにより、N相可動端子部84がN相固定端子部89から離間する。このようにL相可動端子部82及びN相可動端子部84がL相固定端子部87及びN相固定端子部89からそれぞれ離間することで、開閉ユニット70は閉路状態から開路状態に切り替る。その結果、刃受ばねブロック42a,42bへの電力供給が遮断され、コンセント10から差込プラグを介して家電機器等の負荷に供給される電力がオフされることになる。異常状態が解除されて、操作レバー71が図8に示す状態から図7に示す状態に手動操作で戻されると、開閉ユニット70の内部の各構成部材も図8に示す状態から図7に示す状態に復帰し、開路状態から閉路状態に戻すことができる。
なお、開閉ユニット70は、上述した構成のものに限定されず、公知の如何なる構成の電路遮断機構を用いてもよい。
図9は、コンセント10の端子部100を一部分解状態で示す斜視図である。コンセント10は、端子部100を備える。端子部100は、外部電源線が電気的及び機械的に接続される接続部である。
端子部100は、L相固定端子板86、N相固定端子板88、錠ばね92,94、及び、解錠部材96を備える。L相固定端子板86は、開閉ユニット70のハウジング72から延出した他端部にU字状に折り曲げられたL相接続部86aを有する。N相固定端子板88は、開閉ユニット70のハウジング72から延出した他端部にU字状に折り曲げられたN相接続部88aを有する。各相接続部86a,88aの内側には、錠ばね92,94がそれぞれ配置されている。これにより、各接続部86a,88aは、後方からL相およびN相の外部電源線の接続端子をそれぞれ挿入することで、迅速に接続可能ないわゆる速結端子となっている。
解錠部材96は、押し込み操作することで、錠ばね92,94を各相接続部86a,88aから離間させることができ、その結果、L相およびN相の外部電源線の接続端子を接続部86a,88aから取り外すことができる。
また、端子部100は、接地用端子部102を備える。接地用端子部102は、例えば、銅板等の金属板をパンチ加工および折り曲げ加工して形成された接地用端子板104を含む。接地用端子板104の一端部には、ねじ105が螺合されており、このねじ105を用いて接地用外部電線を接地用端子部102に接続することができる。接地用端子板104の他端には接地用刃受ばね106が形成されている。この接地用刃受ばね106はコンセント本体カバー12の上部カバー12aの下段に形成された接地端子挿入口20cの内側に配置されている。これにより、接地端子挿入口20cから挿入された差込プラグの接地用端子が接地用端子板104に接続されるようになっている。
図10は、コンセントの温度センサ取付構造を示す斜視図である。図11は、図10の温度センサ取付構造を示す一部切り欠き平面図である。図12は、刃受ばねブロック42a,42bとボディ部材44とを示す分解斜視図である。図10ないし図12において、刃受ばねユニット40を構成する固定部材46の図示が省略されている。
図10ないし図12に示すように、刃受ばねユニット40は、L相用の刃受ばねブロック42aと、N相用の刃受ばねブロック42bと、これらの刃受ばねブロック42a,42bを支持するボディ部材44とを備える。各刃受ばねブロック42a,42bは、刃受ばねユニット40の幅方向中心線であるB-B線に対して対称な形状を有する。以下では、刃受ばねブロック42aについて説明するが、刃受ばねブロック42bについても同様である。
刃受ばねブロック42aは、二対の刃受ばね48と、各刃受ばね48を機械的に連結するとともに電気的に接続する連結部50と、連結部50の縁部から前後方向Yに沿って折り曲げ形成された接続端子部52とを一体に有する。そして、接続端子部52には、温度センサ54が取り付けられている。
本実施形態では、温度センサ54は、押圧部材の一例であるクリップ56によって挟持されて固定されている。これにより、温度センサ54が温度計測対象である刃受ばねブロック42aに密接して配置されている。クリップ56は、一対の挟持片56aと各挟持片56aを連結する連結部56bとを一体に有する。
このように温度センサ54がクリップ56によって挟持されることで温度計測対象である接続端子部52に密接した状態で取り付けられる。これにより、温度センサ54による温度計測精度が向上する。また、温度センサ54をクリップ56で接続端子部52に取り付けた状態で刃受ばねブロック42a,42bをボディ部材44に容易に組付けることができる。
温度センサ54は、サーミスタ、測温抵抗体、及び熱電対の何れかで構成されるのが好適であり、この場合、クリップ56は、サーミスタ、測温抵抗体、及び熱電対の何れかを温度計測対象である接続端子部52に密接させて取り付けている。また、温度センサ54と接続端子部52との間に熱伝導部材が介在されてもよい。熱伝導部材は、例えば、熱伝導性を有するシートやグリスなどの柔軟で薄い部材で構成されるのが好ましい。このような熱伝導部材を設けることで、温度センサ54が温度計測対象により密接した状態になりやすく、温度計測精度の向上に寄与することができる。
なお、本実施形態では、温度センサ54を押圧して温度計測対象である接続端子部52に密接させるための押圧部材としてクリップ56を用いた例を上げたが、これに限定されるものではない。クリップ56に代えて、コイルばね、板ばね等の付勢部材を用いて温度センサを温度計測対象に押圧してもよい。
図13は、1つの刃受ばねブロック42aがボディ部材44に組付けられた状態を示す斜視図である。図14は、1つの刃受ばねブロック42aとボディ部材44とを示す分解斜視図である。なお、図13及び図14において、温度センサ54及びクリップ56の図示が省略されている。
図13及び図14に示すように、刃受ばねブロック42aは、二対の刃受ばね48と、各刃受ばね48を機械的に連結するとともに電気的に接続する連結部50と、連結部50の縁部から前後方向Yに沿って折り曲げ形成された接続端子部52とを一体に有する。刃受ばね48は互いに対向する一対の刃受片を含む。各刃受片の先端は、略V字状に開くように外側へそれぞれ屈曲されている。これにより差込プラグの栓刃を一対の刃受片の間に確実に受け入れるようになっている。
また、刃受ばねブロック42aは、一対の刃受片を含む刃受ばね48の両側に離間して設けられたU字状の屈曲ばね部49を一体に有している。屈曲ばね部49は、一対の刃受片の先端部と同じ側に屈曲部49aを有するとともに屈曲部49aから一対の刃受片の基端部側へ向かって延伸する一対の延伸部49bを有している。
刃受ばねブロック42aは、ボディ部材44に収納されて配置される。ボディ部材44は、4つの凹部45を区画するように形成されている。凹部45を区画する内壁面のうち、幅方向Xの中央側に位置する壁面には2つのリブ47aが間隔をあけて且つ前後方向Yに延伸して形成されている。これらのリブ47aによってボディ部材44の強度を増大させることができる。
また、凹部45を区画する内壁面のうち、上下方向Zに対向する内壁面にはリブ47bがそれぞれ対向して形成されている。これらのリブ47bは、図13に示すように、刃受ばねブロック42aがボディ部材44に組付けられたとき、刃受ばね48の上下方向Zの両側に位置する屈曲ばね部49の一対の延伸部49bによって挟持された状態になっている。また、屈曲ばね部49の屈曲部49aは、リブ47bの端部に当接している。
このように屈曲ばね部49の屈曲部49aがボディ部材44に形成されたリブ47bの端部に当接して組付けられることで、刃受ばねブロック42aをボディ部材44に対して正確に位置決めした状態に組付けることができる。また、屈曲ばね部49の一対の延伸部49bがリブ47bを挟持した状態となることで、刃受ばねブロック42aをボディ部材44に対して強固に組付けることができる。
また、コンセント10に挿抜される差込プラグに幅方向Xへの力が作用すると、一対の刃受片が異常に開くように塑性変形してしまって、栓刃と刃受片との接触圧が弱くなることがある。そうすると、接触不良による微小発光放電等が生じて、異常過熱の原因とあることがある。これに対し、本実施形態のコンセント10では、刃受ばね48と一体に形成された屈曲ばね部49にリブ47bが挟持されていることで、上記のような開き力が作用しても一対の刃受片からなる刃受ばね48が異常に開き変形するのを防止または抑制することができる。
なお、本実施形態では凹部45の上下方向Zに対向する2つの内壁面にリブ47bをそれぞれ形成して屈曲ばね部49で挟持する例について説明したが、これに限定されるものではない。凹部45の前後方向Yの内壁面(すなわち凹部45の底面)に突出形成されたリブを屈曲ばね部49の一対の延伸部で挟持してもよいし、または、この底面に突出形成したリブを一対の刃受片の基端部(すなわち先端部とは反対側の端部)によって挟持する構成としてもよい。
図15は、端子部の一部を拡大して示す斜視図である。図15に示すように、温度計測用のプリント基板110を備えてもよい。プリント基板110には、温度センサ112a,112bが実装されている。温度センサ112a,112bは、例えば、サーミスタ、測温抵抗体、及び熱電対の何れかによって好適に構成される。温度センサ112a,112bは、熱伝導部材によって被覆されてプリント基板110上に設けられてもよい。この場合、温度センサ112a,112bは、熱伝導部材を介して温度計測対象であるL相固定端子板86、及び、N相固定端子板88に接合されている。熱伝導性部材は、熱伝導性を有する柔軟性樹脂であることが好ましい。これにより、温度センサ112a,112bがより密接に温度計測対象に接触し、温度計測精度を高めることができる。また、温度計測対象であるL相固定端子板86とN相固定端子板88との間の電気的絶縁をより確実なものにするため、熱伝導部材は絶縁性樹脂であることが好ましい。具体例として、熱伝導部材は、低硬度のアクリル樹脂を用いることができ、例えば、3M社製のハイパーソフト放熱シート(登録商標)6500H,6510H,5578Hなどを用いることができる。
プリント基板110に実装された温度センサ112aはL相固定端子板86に接合されて設けられ、プリント基板110に実装された温度センサ112bはN相固定端子板88に接合されて設けられる。そして、温度センサ112aによって計測されたL相固定端子板86の温度は信号線114aを介して基板120の制御部122に送信される。また、温度センサ112bによって計測されたN相固定端子板88の温度は信号線114bを介して基板120の制御部122に送信される。
基板120に設けられた制御部122は、温度センサ112a,112bで計測された固定端子温度が所定閾値温度を超えていないか否かを判定する。そして、制御部122は、固定端子板86,88の少なくとも一方の温度が所定閾値温度を超えたとき、コンセント10が過熱状態であると判定し、開閉ユニット70に信号線60cを介して作動信号を送信する。これにより、開閉ユニット70が作動して開路状態となり、刃受ばねブロック42a,42bへの電力供給が遮断される。ここでの所定閾値温度は、上述した刃受ばねブロック42a,42bの温度センサ54によって計測された温度と比較されるものと同じ値を用いてもよいし、又は、それよりも高い値に設定してもよい。
なお、本実施形態のコンセント10では、刃受ばねブロック42a,42bと、固定端子板86,88の両方に温度センサを配置したが、刃受ばねブロック42a,42b又は固定端子板86,88の何れか一方だけに温度センサを配置してもよい。
次に、図16及び図17を参照して、本実施形態のコンセント10の取付枠4への取り付けについて説明する。図16は、取付枠4と、主カバー部材17及びコンセント本体カバー12の上部カバー12aとを示す分解斜視図である。図17(a)は主カバー部材17に上部カバー12aが組付けられた状態を示す断面図、図17(b)は主カバー部材17に上部カバー12aを組付けるときの様子を示す断面図である。
図16に示すように、主カバー部材17の側壁17bには、2つの突起31が幅方向Xの外面に突出して形成されている。突起31は、幅方向両側の側壁17bにそれぞれ形成さている。これらの突起31を取付枠4の一対の桟部4c,4dに形成されている係合孔4eに嵌め込んで係合させることによって、主カバー部材17を取付枠4の開口部5に取り付けることができる。このとき、主カバー部材17は、後方から開口部5に挿入することで取付枠4に取り付けることができる。
このようにして取付枠4に主カバー部材17を取り付けた後、主カバー部材17の開口部19に上部カバー12aを嵌め込んで取り付ける。ここで、上部カバー12aの幅寸法d1は、主カバー部材17の開口部19の幅寸法d2よりも大きく形成されている。そのため、上部カバー12aを幅方向に沿った向きでは主カバー部材17の開口部19に嵌め込むことはできない。
そこで、図17(b)に示すように、主カバー部材17の開口部19に対して、上部カバー12aを幅方向Xに対して斜めに傾けた姿勢で、上部カバー12aの幅方向一方端部33aを開口部19に後方から挿入する。そして、上部カバー12aの幅方向一方端部33aが開口部19の幅方向一方縁部から幅方向外側へ張り出した状態に配置する。
そして、この状態で、幅方向一方端部33aを基点として上部カバー12aの幅方向他方端部33bを回動させるように内側(すなわち後方)から押し上げる。このとき、上部カバー12aの幅方向他方端部33bは、開口部19の幅方向他方縁部に突設された係止部23に係合することがあるが、係止部23の先端面は傾斜したガイド面23aとして形成されている。そのため、係止部23のガイド面23aに接触した上部カバー12aの幅方向他方端部33bは開口部19の内側へ押されるようにガイドされて、図17(a)に示す状態まで回動されて組付けられる。
図17(a)に示す状態、すなわち、上部カバー12aの前面(図17(a)中の上面)が幅方向Xに沿った姿勢に組付けられると、上部カバー12aはその幅方向他方端部33bが開口部19の幅方向他方縁部または係止部23の側面と接触して係止される。そのため、上部カバー12aは、前方側から押し込まれる力を作用させない限り、主カバー部材17の開口部19に組付けられた状態で仮保持される。そして、基板120、刃受ばねユニット40、開閉ユニット70等を収納したカケース16を後方から主カバー部材17に組付け、ケース16の外側面の係合部22を主カバー部材17に設けた係止片21に係合させる。このようにすることで、上部カバー12aの下面が刃受ばねユニット40に支持され、当該上部カバー12aが、主カバー部材17の開口部19に強固に保持されるようになっている。
なお、上記においては主カバー部材17に組付けた上部カバー12aが主カバー部材17に形成された係止部23によって係止される場合について説明したが、これに限定されるものではない。上部カバー12aの幅方向他方端部33bの外側面に係合部を突出して形成し、この係合部が主カバー部材17の開口部19の縁部に係合することによって上部カバー12aが主カバー部材17に係止された状態となってもよい。具体的には、図16に示すように、上部カバー12aには、上下方向Zの両端部に例えば各2つのストッパ部11aが突出してそれぞれ設けられ、幅方向他方端部33bの上端と下端に例えば2つのストッパ部11bが突出して設けられていてもよい。すなわち、ストッパ部11a,11bは、上部カバー12aの組付け時に回動の基点となる幅方向一方端部33a以外の端部に突出して設けられている。このようなストッパ部11a,11bがあることで、上部カバー12aが主カバー部材17の開口部19に嵌め込まれたときに各ストッパ部11a,11bが開口部19の縁部に当接する。その結果、上部カバー12aが主カバー部材17の開口部19から飛び出して外れてしまうのを確実に防止できる。
このようして主カバー部材17の開口部19に上部カバー12aが組付けられたとき、上部カバー12aの幅方向一方端部33aは、取付枠4の桟部4dの幅方向外側面よりも内側か面一に位置していることが好ましい。ただし、これに限定されるものではなく、上部カバー12aの幅方向一方端部33aが取付枠4の桟部4dの幅方向外側面からはみ出して取り付けられてもよい。
上記のようにして取付枠4に取り付けた主カバー部材17に上部カバー12aを組付けた後、基板120、刃受ばねユニット40、開閉ユニット70等を収納したケース16を後方から主カバー部材17に組付ける。具体的には、ケース16の外側面の係合部22を主カバー部材17に設けた係止片21に係合させる。これにより、ケース16が主カバー部材17に組付けられる。その後、コンセント本体カバー12の下部カバー12bやコンセント外側カバー14(図3参照)を組付けた後、取付枠4を介してコンセント10を配線ボックスに固定し、そして化粧カバー2(図1参照)を組付けることによってコンセント10の施工が完了する。
上述したように、本実施形態のコンセント10は、取付枠4の開口縁部から筐体の一部が幅方向外側に張り出して取り付けられる配線器具であり、筐体は、ケース16と、ケース16の前面開口を覆って設けられる主カバー部材17及び上部カバー12aとを備える。主カバー部材17は上部カバー12aが嵌り込んで取り付けられる開口部19を有し、上部カバー12aの幅寸法d1は主カバー部材17の開口部19の幅寸法d2より大きく形成されている。上部カバー12aは幅方向一方端部33a及び他方端部33bを有する。上部カバー12aは、幅方向一方端部33aが主カバー部材17の開口部19の一方縁部から張り出して配置された状態で、幅方向一方端部33aを基点に幅方向他方端部33bが回動されて主カバー部材17の開口部19の他方縁部に幅方向他方端部33bが係止されることにより取り付けられる。この構成によれば、取付枠4の開口縁部から筐体の一部である上部カバー12aが幅方向外側に張り出した状態で主カバー部材17及び上部カバー12aを取付枠4に容易に取り付けることができ、コンセント10の施工性が良好になる。
本実施形態のコンセント10において、上部カバー12aの幅方向一方端部33aは、主カバー部材17の開口部19に取り付けられたときに取付枠14の幅方向外側面よりも内側か面一に位置していることが好ましい。このように構成すれば、取付枠4に取り付けたコンセント10を複数隣接した状態で壁等に設置することが可能になる。
また、本実施形態にコンセント10において、主カバー部材17の開口部19の他方縁部、上部カバー12aの幅方向他方端部33bに、上部カバー12aを主カバー部材17の開口部19に係止する係止部が設けられていることが好ましい。これにより、上部カバー12aを、主カバー部材17の開口部19に組付けられた状態に保持することができる。
なお、本開示は、上述した実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において種々の変形や改良が可能であることは勿論である。
例えば、上記においては、上部カバー12aが、差込プラグの栓刃が挿入される栓刃挿入口22a,22bが形成されたコンセント用カバー部材である場合について説明したが、これに限定されるものではない。図18に示すように、主カバー部材17に組付けられる副カバー部材は、主カバー部材17に対して揺動可能に設けられる操作ハンドル12cであってもよい。操作ハンドル12cは、レバー部33cに挿通された軸部33bを中心に揺動可能に構成され、図示しない付勢部材によって内側から付勢されることで初期位置に保持される。このように本開示の配線器具は、副カバー部材が操作ハンドル12cであるスイッチ装置にも適用することが可能である。
また、図19に示すように、主カバー部材17の開口部19の他方縁部に、断面視で当該開口部19の前面側に向かって上部カバー12aの幅方向他方端部33bとの間が狭くなる形状の突条17fが、開口部19の周縁に沿って形成されていてもよい。このような突条17fが形成されていれば、上部カバー12aの幅方向他方端部33bと主カバー部材17の開口部19の周縁との間で上下方向Zに沿って形成される隙間Sをより狭くすることができる。その結果、コンセント10の美観が向上するとともに、隙間Sを介してコンセント10内への埃等の浸入を抑制できる。また、突条17fが断面視で開口部19の前面側に向かって上部カバー12aの幅方向他方端部33bとの間が狭くなる形状に形成されていることで、上部カバー12aを回動させて嵌め込む際に幅方向他方端部33bが突条17fに干渉しにくくなる。