JP7228238B2 - 化粧料容器 - Google Patents
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Description
前記パッドがフェルト素材からなり、
前記パッドの上面が下方に向けて押圧されると、前記パッドを復帰可能に下方に移動させるパッド移動機構を備え、
前記パッド移動機構は、前記容器本体の内面に対して摺動可能に構成された移動枠体と、当該移動枠体の上方に配置される固定枠体とで構成され、
前記移動枠体は、前記パッドの下面の周縁部分を下支えする円環状の底部の周囲にパッドの外周面に当接する内周壁面が上方に立設されてなる枠状のパッド装着枠と、前記パッドの周縁領域を保持する枠部の下面に前記容器本体の底面との間で圧縮される板バネを備え、
前記固定枠体は、前記板バネが復元状態にあるときに、下面が前記移動枠体の上面に当接して、前記移動枠体の前記パッド装着枠を所定の上下位置で制止させる、
前記パッド装着枠は、前記板バネを一体的に備えた樹脂からなる成形品であり、
前記板バネは、前記パッド装着枠の下方に突出して形成されてなる、
ことを特徴とする化粧料容器としている。
前記容器本体に収納される前記化粧料の粘度が、1cs以上1000cs以下である、
化粧料容器とすればより好ましい。
本発明の実施例として、粘度が極めて低い(例えば、1~1000cs)流体からなる化粧料が収納されるとともに、その化粧料をパフに移し取って使用できるようにした化粧料容器を挙げる。図1に実施例に係る化粧料容器1を構成要素ごとに分解したときの斜視図を示した。図1に示したように、化粧料容器1は、有底二段円筒状の容器本体2と、容器本体2の開口を密封する外蓋3と、容器本体2に着脱可能に装着される中蓋4とを備えている。ここで、二段円筒状の容器本体2の円筒軸100の方向を上下方向とするとともに、容器本体2の底部が下方であることとして上下の各方向を相対的に規定する。なお、外蓋3や中蓋4の上下方向や円筒軸100が貫通する位置は、容器本体2に装着された状態を基準にして規定することとする。すなわち、外蓋3や中蓋4は、容器本体2から取り外されていても、上下方向や円筒軸100の貫通位置は不変である。以下に、化粧料容器を構成する容器本体2、外蓋3、および中蓋4の構造について説明する。
上述した構成を備えた本実施例の化粧料容器1では、フェルト素材からなるパッド10を備えている。フェルト素材からなるパッド10は、メッシュ素材からなるネットのように大きく撓むことがなく、降伏応力よりも小さな荷重であれば、押圧されても表面が圧縮されて凹むだけであり、荷重が開放されれば、当初の形状に復元する。そして、実施例に係る化粧料容器1では、パッド10の気孔率と厚さが、収納部21に収納される化粧料5の粘度に応じて適切に設定されていることで、パッド10の下面12から含浸させた化粧料5をパッド10の上面11から取り出すことができ、かつ、化粧料容器1を倒立させても、パッド10が化粧料5の含浸状態を維持し、化粧料5が、パッド10の上面11から漏出しないようになっている。
ところで、フェルト素材を用いた他の器具(フェルトペン、アルコールランプなど)は、フェルト素材からなる棒状の芯の一端がインクやアルコール燃料に常に接している。それによって、芯が毛細管現象によって吸い上げたインクが芯の他端側にて紙面に転写されたり、芯が吸い上げたアルコール燃料が芯の他端側で揮発して燃焼したりする。一方、実施例に係る化粧料容器1では、化粧料5を使用するとき以外は、フェルト素材からなるパッド10が、化粧料5に接していないことを前提とし、化粧料5を使用する際に、一時的にパッド10に化粧料5を含浸させることとしている。これは、フェルトペンやアルコールランプなどでは、インクやアルコール燃料を芯に常時供給しておかないと、インクがかすれたり、火が消えたりするのに対し、化粧料容器1では、一回分の使用量の化粧料のみをあらかじめパッドに含浸すればよいからである。また、平板状のパッド10は、棒状の芯に対し、液体を取り出すための面積が極めて大きく、パッド10に含浸させた化粧料5が蒸発し易くなる。そのため、パッド10に化粧料5が常時接していると、収納部21に収納されている化粧料5が、パッド10に含浸されながら蒸発することになり、使用前に化粧料5の量が少なくなってしまう可能性がある。
上述したように、実施例に係る化粧料容器1では、化粧料5の粘度に応じてパッド10の気孔率や厚さが適切に設定されている。それによって、収納部21に収納された化粧料5をパッド10の上面11から取り出せるとともに、化粧料容器1を倒立させても収納部21内の化粧料5がパッド10の上面11から漏れ出すことない。そこで、以下では、化粧料5の粘度に応じたパッド10の気孔率および厚さの設定方法について説明する。
化粧料容器1に求められる必須の機能は、収納部21に収納された化粧料5をパッド10の上面11から取り出せることにある。そこで、実施例に係る化粧料容器1における化粧料5の取り出し易さ(化粧料取出性能)を評価するために、粘度が異なる各種液体と、気孔率や厚さが異なるパッド10を備えた化粧料容器1とを用意した。
WET(v/v)=[(B-A)/{(A/ρ)+(B-A)}]×100(%)
の計算式により求めることができる。なお、化粧料取出性能の評価に用いたパッド10は、ポリエステル(PET)と低融点ポリエステル(LPET)とからなる。
化粧料5には、ユーザーが外出先で使用するものもある。したがって、ユーザーが携行して使用する化粧料容器1には、倒立させても化粧料5が漏れない性能(漏出防止性能)も必要となる。そこで、実施例に係る化粧料容器1の漏出防止性能を評価するために、粘度が異なる各種液体と、気孔率や厚さが異なるパッド10を備えた各種化粧料容器1とを用意し、各種液体を収納した各種化粧料容器1を倒立させて液体の漏れ具合を確認する倒立漏れ試験を行った。
<フェルト素材について>
上記実施例に係る化粧料容器1では、パッド10がPET、LPETからなる樹脂繊維で構成されていたが、ナイロンやアクリルなどからなる樹脂繊維であってもよい。もちろん、パッド10は、天然繊維を用いたフェルト素材で形成されていてもよい。なお、樹脂繊維のフェルト素材からなるパッド10であれば、パッド10の外周面13の繊維を互いに熱溶着させておいてもよい。それによって、パッド10に含浸された化粧量5がパッド10の放射方向に広がりつつ、パッド10の外周面13から漏れ出す経路が遮断され、より確実に化粧料5の漏出を防止することができる。また、一般的に、パッド10は、一枚の大面積のフェルト素材を裁断することで得られるため、フェルト素材を、レーザー光線を用いて裁断(レーザー切断)すれば、パッド10の裁断と外周面13における繊維の溶着処理とを同時に行うことができる。
樹脂繊維からなるパッド10であれば、パッド10をインサート部材として中蓋4の枠体41を射出成形することができる。それによって、枠体41の成形と同時に、二層構造の枠体41の底部44の層間にパッド10を配置させることができる。また、パッド10がレーザー切断以外の方法で裁断されていても、パッド10の外周面13における繊維を熱溶着させることができる。
実施例に係る化粧料容器1は、正立状態のままで、パッド10に化粧料5を含浸させる機構を備えていてもよい。この機構は、概略的には、図2(C)を参照すると、パッド10を復帰可能に下方に移動させて、パッド10の下面12を化粧料5の液面51に接触させるものである。図6と図7とにパッド10を下方に移動させるための機構(以下、パッド移動機構)を備えた化粧料容器(101、201)の縦断面を示した。図6、図7に示した化粧料容器(101、201)は、底部(111、211)に開口(112、212)を有して容器本体2の上方側に固定されている枠体(以下、固定枠体(110、210))と、パッド10が装着されて、当該パッド10を上下方向に移動させるための枠体(移動枠体(120、220))とによってパッド移動機構が構成されている。
5 化粧料、10 パッド、13 中蓋の開口、21 容器本体の収納部、
22 容器本体の首部、24 容器本体の内面、41 中蓋の枠体、
26 容器本体の底面、42 中蓋のフランジ、
44,441,442,443 枠体の底部、51 化粧料の液面、61,62 金型、
110,210 固定枠体、120,220 移動枠体、121 板バネ、
124,222 パッド装着枠、221 コイルバネ、
Claims (7)
- 上方に開口を備えて液状の化粧料を収納するための容器本体と、前記容器本体の開口を密封する外蓋と、前記容器本体の内部空間を上下に仕切る板状のパッドとを備えた化粧料容器であって、
前記パッドがフェルト素材からなり、
前記パッドの上面が下方に向けて押圧されると、前記パッドを復帰可能に下方に移動させるパッド移動機構を備え、
前記パッド移動機構は、前記容器本体の内面に対して摺動可能に構成された移動枠体と、当該移動枠体の上方に配置される固定枠体とで構成され、
前記移動枠体は、前記パッドの下面の周縁部分を下支えする円環状の底部の周囲にパッドの外周面に当接する内周壁面が上方に立設されてなる枠状のパッド装着枠と、前記パッドの周縁領域を保持する枠部の下面に前記容器本体の底面との間で圧縮される板バネを備え、
前記固定枠体は、前記板バネが復元状態にあるときに、下面が前記移動枠体の上面に当接して、前記移動枠体の前記パッド装着枠を所定の上下位置で制止させる、
前記パッド装着枠は、前記板バネを一体的に備えた樹脂からなる成形品であり、
前記板バネは、前記パッド装着枠の下方に突出して形成されてなる、
ことを特徴とする化粧料容器。 - 請求項1に記載の化粧料容器であって、前記容器本体における前記化粧料の最大収納量は、当該容器本体の開口が鉛直上方を向くように正立させたときに、前記化粧料の液面が、前記パッドの下面よりも下方となる量であることを特徴とする化粧料容器。
- 請求項2に記載の化粧料容器であって、前記容器本体には、前記化粧料の最大収納量に対応する液面位置を示す印が記されていることを特徴とする化粧料容器。
- 請求項1~3のいずれかに記載の化粧料容器であって、前記パッドは、樹脂繊維で構成されて、当該パッドの外周面では前記樹脂繊維が互いに熱溶着されていることを特徴とする化粧料容器。
- 請求項1~4のいずれかに記載の化粧料容器であって、前記容器本体に装着され、上下方向で対面する二層構造の環状の枠部が形成された枠体を備え、前記パッドは、二層構造の前記枠部の層間に配置され、二層構造の前記枠部の少なくとも一方の枠部には、前記パッドを層間に挿入するための切欠部が形成されていることを特徴とする化粧料容器。
- 請求項1~4のいずれかに記載の化粧料容器であって、前記容器本体に装着され、環状の枠部が形成された枠体を備え、前記パッドの周縁領域が前記枠部に溶着されていることを特徴とする化粧料容器。
- 請求項1~6のいずれかに記載の化粧料容器であって、
前記パッドは、厚さが1mm以上3mm以下であるとともに、WET(v/v)法によって求められる気孔率が70%以上90%以下であり、
前記容器本体に収納される前記化粧料の粘度が、1cs以上1000cs以下である、
ことを特徴とする化粧料容器。
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