JP7227613B2 - 生活習慣改善のための介入システム - Google Patents
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Description
また、介入とは、情報通信技術を利用して、時間的、地理的制限を低減して、健康維持のための運動やリハビリテーションの介入を行うことを含む。この介入は、例えば、いわゆる遠隔介入をも含む用語である。
まず、急性冠症候群により冠動脈バイパス手術を受けた患者の、一般的な心臓リハビリテーションのモデルプログラムを図5に示した。
外科的手術の手術日から1~2週間は急性期(第1期)と呼ばれ、患者は、集中治療室や一般病棟に入院しながら、低下した心臓の働きを回復させ、医療スタッフの監視のもとで歩行等の動作を行うための運動トレーニングや検査等を行う。併せて、集団での講義や教育パンフレットなどによって、心臓病に対する正しい知識を身に付け、食事療法や禁煙等の生活習慣について指導を受ける。
そこで、本実施形態では、例えば図3に示す介入プログラムに沿って、回復期の健康指導プログラム(在宅リハビリテーション)を実施する。そしてこの介入プログラムを実施する場合を例にして、ここで提案される介入システム1について説明する。
介入システム1は、図2に示すように、医療情報記憶部10と、取得部20と、介入制御部30と、を備えている。これらの各構成要素は、相互に通信可能に接続されている。通信手段は、有線および無線の少なくとも一方の接続手段であってよい。また、通信手段は、例えば、インターネット等のオープンネットワークであってもよいし、イントラネット、エクストラネット等のクローズドネットワーク等であってもよい。また、医療情報記憶部10、取得部20、および介入制御部30は、地理的に離れた場所に設置されていてもよいし、近接した場所に設置されていてもよい。例えば、医療情報記憶部10、取得部20および介入制御部30の一部または全部は、同一のコンピュータ内に設けられていてもよいし、異なるコンピュータに設けられていてもよい。コンピュータの構成は特に限定されず、例えば、後述する情報通信端末40やセンサデバイス42等の外部機器との間で各種の情報を送受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(Central processing unit:CPU)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(Read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(Random access memory)とを備えるものが挙げられる。
医療情報記憶部10は、患者であるユーザについての医療情報を記憶する。医療情報記憶部10は、例えば記憶装置により構成されている。医療情報は、例えば、患者が入院した医療機関から得られるものや、患者が受診した医療機関(かかりつけ医を含む)などから得られるものであってよい。医療情報としは、具体的には、患者の名前、年齢等の個人特定情報(ID情報)と、これに紐付けられた、当該患者に施した手術や投薬等の治療内容、心臓機能や運動機能の評価検査、既往歴、血液検査,血圧測定,心拍測定等の検査結果などが含まれる。この医療情報は、例えばユーザが医療機関を受診するたびに、新たな医療情報が追加されたり、更新されてもよい。
取得部20は、ユーザの治療への主体的参加に関連する情報を取得する。取得部20は、例えばインターネット等の通信手段を介して、ユーザが操作する情報通信端末40やセンサデバイス42等と通信可能に構成されている。取得部20は、医療機関等の当該患者について医療データ記憶部等と通信可能に構成されていてもよい。情報通信端末40の構成は特に制限されない。情報通信端末40は、例えば、電話、ファクシミリ、ラジオ、タブレット端末、スマートフォン、パーソナルコンピュータ等であってよい。本実施形態における情報通信端末40は、タブレット端末である。取得部20は、情報通信端末40やセンサデバイス42等から送られるユーザについての情報を取得する。取得部20は、第1データ取得部21と、付加的な第2データ取得部22と、付加的な第3データ取得部23とを備えている。取得部20およびその各部は、回路やマイクロコンピュータ等のハードウェアによって構成されていてもよいし、CPUがコンピュータプログラムを実行することにより機能的に実現されるようになっていてもよい。
b.ユーザの生活習慣改善に対する健康リテラシー
c.ユーザの生活習慣改善に関する自己効力感
d.ユーザの指導への志向性
本発明者らの知見によると、病態認識の違いによって、その後のリハビリテーションへの参加意欲や、リハビリテーションへの取り組み姿勢に大きな違いが生じ得ることが明らかとなっている。例えば、患者の客観的な病態と患者の主観的な病態認識とが一致する場合は、大きな問題は生じない。しかしながら、患者の病態が重症であるにも関わらず、患者本人が軽症であると誤認しているとき、当該患者はリハビリテーションへの参加意欲が低かったり取り組み姿勢が悪かったりして、身体機能の回復が遅れたり、無理をして症状を悪化させたり心臓病を再発させたりする危険性が高くなる。例えば、心臓リハビリテーションの運動療法においては、自覚的運動強度が「11(楽である)~13(ややきつい)」となる運動負荷で運動することが適している。そして、これ以上の運動負荷を身体に与えると、血中の乳酸濃度が上昇し、疲労が蓄積されて心臓に負担が生じ得る。したがって、自己の病態を軽症側に誤認している患者には、自己の病態を正しく認識させるとともに、運動負荷を高めすぎることなく積極的に運動療法に取り組むよう、意識を改変させることが望まれる。また、患者の病態が軽症であるにも関わらず、患者本人が重症であると誤認しているとき、このような患者も悲観によりリハビリテーションへの参加意欲が低くなったり、恐怖心からリハビリテーションへの取り組み姿勢が悪くなったりし得る。したがって、このような患者にも、自己の病態を正しく認識させるとともに、安全な範囲で高い運動負荷による運動療法に積極的に取り組むよう、意識や行動を改変させることが望まれる。そのため、この介入システム1では、第1データ取得部21により、ユーザ(患者)の自己の病態認識についての情報を、取得するようにしている。
健康リテラシー(ヘルス・リテラシーや、医療リテラシーとも言う。)とは、健康面での適切な意思決定に必要な、基本的健康情報やサービスを調べたり入手して、理解し、効果的に利用する個人的能力の程度を意味する。
本発明者らの知見によると、患者の生活習慣改善に対する健康リテラシーの違いによって、その後のリハビリテーションへの参加意欲や、リハビリテーションへの取り組み姿勢に大きな違いが生じ得ることが明らかとなっている。例えば、生活習慣を改善することについて、ユーザの健康リテラシーが高い場合は、ユーザの興味のある正しい健康情報やサービス等をさらに提供することで、生活習慣の改善をさらに効果的に進めることができるために好ましい。一方で、例えば、生活習慣を改善することについて、ユーザの健康リテラシーが低い場合は、当該ユーザに必要な健康情報やサービス等を、負担にならない程度で提供し、生活習慣の改善に関心を持たせて、生活習慣の改善を効果的に進められるようにユーザの心理や行動を改変することが好ましい。したがって、この介入システム1では、第1データ取得部21により、ユーザ(患者)の生活習慣改善に対する健康リテラシーに関する情報を取得するようにしている。
自己効力感(セルフ・エフィカシー、Self-Efficacy:SE)とは、自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できるかという可能性の認知を意味する。換言すると、自己効力感とは、自身が持っている効力予期の程度であり、ある結果を生み出すために適切な行動を遂行できるという確信の程度を意味する。ただし、自己効力感は、心理学的要素を含む主観的指標であり、必要な行動を実際に行えるかどうかを保証するものではない。また、自己効力感は、自覚的運動強度とは明確に区別される。
本発明者らの知見によると、患者の生活習慣改善に対する自己効力感の違いによって、その後のリハビリテーションへの参加意欲や、リハビリテーションへの取り組み姿勢に大きな違いが生じ得ることが明らかとなっている。例えば、生活習慣を改善することについて、ユーザの自己効力感が高い場合は、他者からのサポートを必要とせずに自らの力で生活改善を行えることが多い。しかしながら、生活習慣を改善することについてユーザの自己効力感が低い場合は、何らかのサポートをして、無理なく生活改善を実行するようにユーザの心理や行動を改変することが好ましい。したがって、この介入システム1では、第1データ取得部21により、ユーザ(患者)の生活習慣改善に対する自己効力感に関する情報を取得するようにしている。
本発明者らの知見によると、患者のリハビリテーションの指導形態に対する志向性には大きな違いがあり、患者に適した指導形態でリハビリテーションを行うことが、その後のリハビリテーションへの参加意欲や、リハビリテーションへの取り組み姿勢に大きな違いが生じ得ることが明らかとなっている。例えば、情報通信端末40の操作に強い抵抗を感じたり操作が不可能な患者や、自宅近くの外来リハビリテーション施設を利用できる患者にとっては、退院後に外来通院リハビリテーションによる指導を受けることが好ましい場合がある。したがって、この介入システム1では、第1データ取得部21により、ユーザ(患者)のリハビリテーションの指導形態に対する志向性に関する情報を取得することができる。
このように取得された共同意思決定のための情報Iaは、例えば、取得部20が備える記憶部に記憶される。
m.服薬の理解と継続の自信
n.睡眠の時間と質
o.減量の意思
p.喫煙・飲酒状況
q.発症時の胸の痛み
虚血性心疾患の治療薬には、大きく分けて、発作止めとして使われる薬と、予防を目的として使われる薬があり、いずれの薬も弱くなった心臓の機能を補うために継続的な服薬が重要である。したがって、ユーザの処方された薬への理解と、服薬の継続の自信の程度に関する情報を入手し、服薬の継続のための適切な指導を行うことが望ましい。ユーザの服薬の理解と継続の自信に関する情報は、これに限定されるものではないが、例えば、第3データ取得部23が用意した多肢選択式のアンケートにユーザが答えるかたちで収集することができる。この場合の質問としては、例えば、「提示された薬それぞれの効果を理解していますか」等のような薬効の理解を問うものとするとよい。これに対する回答の選択肢は、例えば、「十分理解している」、「やや理解している」、「あまり理解していない」、「ほとんど理解していない」等とするとよい。また、質問としては、例えば、「薬を飲み忘れないようにできると思いますか」等のような継続的な服薬の自信を問うものとするとよい。これに対する回答の選択肢は、例えば、「強く思う」、「思う」、「やや思う」、「あまり思わない」、「全く思わない」等とするとよい。
疫学調査においては、近年、睡眠時間が循環器疾患の関連因子であるとする研究結果が数多く報告されている。例えば、睡眠時無呼吸症候群の患者では、睡眠中の頻繁な呼吸停止による低酸素状態が動脈硬化を加速し、循環器疾患につながると考えられている。また、睡眠の質が低下することで、これに起因する睡眠不足や睡眠障害が高血圧や耐糖能に悪影響を及ぼし、循環器疾患や糖尿病のリスクを高めると考えられている。したがって、虚血性心疾患の患者については、病気の再発や悪化を防止するために、必要に応じてCPAP療法などの治療を行うことが望まれる。したがって、ユーザの睡眠の時間と質に関する情報を入手し、必要に応じて良質な睡眠のための適切な指導を行うことが望ましい。ユーザの睡眠の時間と質に関する情報は、これに限定されるものではないが、例えば、第3データ取得部23が用意したアンケートにユーザが答えるかたちで収集することができる。この場合の質問としては、例えば、「普段の睡眠時間は何時間ですか」等のような日常の一日あたりの睡眠時間を問うものとするとよい。これに対する回答は、睡眠時間を1~24までの適切な数字(時間)として選択するものであるとよい。また、質問としては、例えば、「睡眠で疲れはどの程度とれますか」等のような睡眠による回復度合いを問うものとするとよい。これに対する回答の選択肢は、例えば、「とてもとれる」、「ややとれる」、「あまりとれない」、「ほとんどとれない」等とするとよい。
身体の機能や組織を健康に保つためには、適正なカロリーを守り、さまざまな栄養素を食事によってバランスよく摂取することが重要である。特に、虚血性心疾患の発症リスク因子の発現には脂肪細胞から分泌される様々な生理活性物質が関係していることが明らかとなっており、特に肥満症を併存する患者の重症化予防には減量が必須となっている。特に、男性の肥満が心筋梗塞を代表とする虚血性心疾患の発症の危険を増大させることが知られている。したがって、肥満症のユーザについては、減量の意思に関する情報を入手し、必要に応じて減量のための適切な指導を行うことが望ましい。ユーザの減量の意思に関する情報は、これに限定されるものではないが、例えば、第3データ取得部23が用意した多肢選択式のアンケートにユーザが答えるかたちで収集することができる。この場合の質問としては、例えば、「体重を3ヶ月で2~3kg減量するとしたら、できると思いますか」等のような適切な減量の達成の意思を問うものとするとよい。これに対する回答の選択肢は、例えば、「強く思う」、「思う」、「やや思う」、「あまり思わない」、「全く思わない」等とするとよい。
喫煙すると、ニコチンが交感神経系を刺激して血圧が上昇し、脈拍が増えるほか、血液中の酸素が不足気味となり、心臓への負荷も高まることが知られている。また、日々の飲酒量が多いほど、血圧の平均値が上がって、高血圧症になるリスクが高まることも知られている。したがって、喫煙や飲酒の習慣のあるユーザについては、喫煙・飲酒状況に関する情報を入手し、必要に応じて禁煙や飲酒の制限等の適切な指導を行うことが望ましい。ユーザの喫煙・飲酒状況に関する情報は、これに限定されるものではないが、例えば、第3データ取得部23が用意した多肢選択式のアンケートにユーザが答えるかたちで収集することができる。この場合の質問としては、例えば、「たばこに関する状況をお答えください」等のような喫煙の程度を問うものとするとよい。これに対する回答の選択肢は、例えば、「これまで吸ったことがない」、「吸っていたが、やめた(やめてからの年数:「 」年)」、「入院まで吸っていた(「 」本/日、「 」年間)」等とするとよい。また、「 」の欄には、1以上の適切な数字を選択するものであるとよい。また、例えば、「入院まで吸っていた」と答えたユーザについては、「退院後、禁煙できそうですか」等のように禁煙達成の意思について問うようにするとよい。これに対する回答の選択肢は、例えば、「強く思う」、「思う」、「やや思う」、「あまり思わない」、「全く思わない」等とするとよい。また、飲酒の状況に関する質問については、「お酒は飲みますか」等のような飲酒の状況を問うものとするとよい。これに対する回答の選択肢は、例えば、「全く飲まない」、「機会飲酒」、「習慣的に飲酒」等とするとよい。また、例えば、「習慣的に飲酒」と答えたユーザについては、飲酒の頻度や、そのお酒の種類および量について問うようにするとよい。また、例えば、「習慣的に飲酒」と答えたユーザについては、「退院後、飲酒量を以下の適正量に抑えることができそうですか」等のように飲酒量の制限の達成の意思について問うようにするとよい。これに対する回答の選択肢は、例えば、「強く思う」、「思う」、「やや思う」、「あまり思わない」、「全く思わない」等とするとよい。
本発明者らの検討によると、心臓病の発症時の胸の痛みと生活習慣の改善効果とには、一定の相関性が見られるとの知見が得られている。したがって、ユーザの心臓病発症時の胸の痛みの程度に関する情報を入手し、必要に応じて生活習慣の改善のための適切な指導を行うことが望ましい。ユーザの発症時の胸の痛みに関する情報は、これに限定されるものではないが、例えば、第3データ取得部23が用意した多肢選択式のアンケートにユーザが答えるかたちで収集することができる。この場合の質問としては、例えば、「発症時の胸の痛みはどの程度でしたか」等のような痛みの程度を問うものとするとよい。これに対する回答の選択肢は、例えば、「軽度、辛うじて気づく程度」、「中等度で、苦しい」、「重度で、不快感が強い」等とするとよい。
介入制御部30は、ユーザに対して生活習慣改善のための情報を提供する。介入制御部30は、例えばインターネットを介して、ユーザが操作する情報通信端末40と通信可能に構成されている。介入制御部30は、例えばユーザが操作する情報通信端末40に、生活習慣改善のための情報を送信する。介入制御部30は、資料提供部31と、運動指導部32と、生活指導部33と、を備えている。介入制御部30およびその各部は、回路やマイクロコンピュータ等のハードウェアによって構成されていてもよいし、CPUがコンピュータプログラムを実行することにより機能的に実現されるようになっていてもよい。また、情報通信端末40は、取得部20が情報収集のために通信した情報通信端末40と同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。例えば、情報通信端末40は、医師や医療スタッフが所有する情報通信端末40であって、患者教育のために使用する情報通信端末40であってもよい。
資料提供部31は、医療情報記憶部10に記憶された医療情報と、第1データ取得部21により得られた共同意思決定のための情報Iaと、に基づき、ユーザに自己の病態重症度を適切に認識させ、かつ、ユーザに対応した健康指導プログラムへの参加意欲を高める教育資料を提供する。教育資料とは、例えば、心臓病に対する正しい知識と自己の病態重症度、運動療法、食事療法や、禁煙および服薬等の重要性と実行方法、日常生活の注意事項等について学ぶための資料である。この教育資料は、例えば、情報通信端末40の画面に、資料を表示可能なように、当該資料データを送信することにより提供することができる。
資料提供部31は、例えば、以下の項目について説明する資料の組合せを教育資料として作成するとよい。
(1)冠動脈の説明
(2)予防イベントの明確化
(3)病態認識リスク
(4)重症化リスク因子
(5)健康リテラシー
(6)自己効力感
(7)指導への志向性
(2)予防イベントの明確化の資料は、例えば、心臓病の症状と、当該ユーザの症状およびその治療目標とについて説明する。これにより、ユーザは、今後のリハビリテーションにおける自己の心臓病の治療目的について把握することができる。これらの資料は、例えば、全てのユーザに共通の資料として用意してもよい。
資料提供部31は、病態認識リスクについての説明資料として、例えば、標準的な表現の教育資料と、心臓病の危険性を強調した教育資料と、ネガティブな感情を与え得る表現を控えた教育資料と、ポジティブな感情を与え得る表現を控えた教育資料と、をそれぞれデータとして予め用意していてもよい。資料提供部31は、工程(S3a)に示すように、ユーザの医療情報と自己の病態認識(a)とを比較し、ユーザの病態認識が実際の病態と(a1)軽症で一致しているか、(a2)中~重症で一致しているか、(a3)悲観的であるか、(a4)楽観的であるかを判断する。そして、例えば、ユーザ病態認識が実際の病態と(a1)軽症一致していると判断されたユーザについては、標準的な教育資料を提供する。(a2)重症一致していると判断されたユーザについては、心臓病の危険性を強調した教育資料を提供する。(a3)悲観的と判断されたユーザについては、ネガティブな感情を与え得る表現を控えた教育資料を提供し、不安を取り除くようにする。そして(a4)楽観的と判断されたユーザについては、ポジティブな感情を与え得る表現を控えた教育資料を提供し、脅威を認識させるようにする。このように、ユーザの自己の病態認識の状態に応じて個別化し、各ユーザに適した教育資料を与えることで、ユーザの病態認識が実際の病態に近づくように矯正する。
資料提供部31は、重症化リスク因子についての説明資料として、例えば、再発または重症化のリスクの高い高リスクな患者向けの教育資料と、リスクが中程度の中シルクな患者向けの教育資料と、リスクが低い低リスクな患者向けの教育資料と、をそれぞれデータとして予め用意していてもよい。重症化のリスクの度合いは、例えば、医療情報を基に決定することができる。具体的には、重症化のリスクの度合いは、例えば、ユーザの有する重症化リスク因子の数によって区別してもよい。リスク因子としては、例えば、高血圧、糖尿病、脂質異常症、慢性腎臓病、肥満などの既往があること、Andersen-Tawil症候群の既往があること、虚血性心疾患やAndersen-Tawil症候群の遺伝があること、等が挙げられる。このとき、例えば、ユーザが有するリスク因子が0個の場合を低リスクとし、リスク因子が1~2個の場合に中リスクとし、リスク因子が3~4個の場合にハイリスクと個別化してもよい。資料提供部31は、工程(S3x)に示すように、例えば、ユーザの医療情報から、当該ユーザの重症化のリスクを(x1)高リスクか、(x2)中リスクか、(x3)低リスクか、を判断する。そして、例えば、(x1)高リスクと判断されたユーザについては、高リスクな患者向けの教育資料を提供する。また、(x2)中リスクと判断されたユーザについては、中リスクな患者向けの教育資料を提供する。(x3)低リスクと判断されたユーザについては、低リスクな患者向けの教育資料を提供する。このように、再発や重症化の原因因子を適切に認識させるとともに、ユーザの重症化リスクに応じて、生活習慣の改善により当該リスクを低減させることの重要性を認識させて、健康指導プログラムへの参加意欲を高めることができる。なお、リスク因子のカウントには、医療情報の他に、例えば、喫煙・飲酒の状況に関する情報等の介入関連因子情報Ibを考慮してもよい。
資料提供部31は、生活改善に対する健康リテラシーについての説明資料として、例えば、生活習慣の改善のための情報について、標準的な量の教育資料と、より多くの情報を得ることができる教育資料と、をそれぞれデータとして予め用意していてもよい。このとき、情報量の多い教育資料については、複数の追加資料を予め用意しておき、要求に応じて各追加資料にアクセスできるように、教育資料を階層化構造にしておいてもよい。例えば、心臓病と、薬、食事、喫煙、運動、趣味などについての追加資料がそれぞれ用意されていてもよい。資料提供部31は、工程(S3b)に示すように、ユーザの健康リテラシー(b)についての情報から、ユーザが(b1)健康リテラシーが低いか、(b2)健康リテラシーが高いか、を判断する。そして、例えば、(b1)健康リテラシーが低いと判断されたユーザについては、生活習慣改善のための情報量が標準的な教育資料を提供する。また、(b2)健康リテラシーが高いと判断されたユーザについては、生活習慣改善のための情報量が多い教育資料を提供する。このように、ユーザの健康リテラシーに応じて、適度な量の情報を提供してユーザの嗜好に応じた適切情報を適切な量で提供し、健康指導プログラムへの参加意欲を高めることができる。
資料提供部31は、生活改善に対する自己効力感についての説明資料として、例えば、生活習慣の改善ペースが速くてもよいことを示す教育資料と、遅くてもよいことを示す教育資料と、をそれぞれデータとして予め用意していてもよい。資料提供部31は、工程(S3c)に示すように、ユーザの生活習慣改善に関する自己効力感(c)についての情報から、ユーザが(c1)自己効力感があるか、(c2)自己効力感がないか、を判断する。そして、例えば、(c1)自己効力感があると判断されたユーザについては、生活習慣の改善ペースが速くてもよいことを示す教育資料を提供する。また、(c2)自己効力感がないと判断されたユーザについては、生活習慣の改善ペースが遅くてもよいことを示す教育資料を提供する。このように、ユーザの生活習慣改善に関する自己効力感に応じて、無理をすることなく、「これなら大丈夫」と思える自分のペースで進めればよいことを認識させる。
資料提供部31は、生活改善に対する指導への志向性についての説明資料として、例えば、本介入システムを利用することを勧める教育資料と、在宅通院リハビリテーションを利用することを勧める教育資料と、をそれぞれデータとして予め用意していてもよい。資料提供部31は、工程(S3d)に示すように、ユーザの生活改善に対する指導への志向性(d)についての情報から、ユーザが(d1)介入システムの利用に向いているか、(d2)介入システムの利用に向いていないか、を判断する。そして、例えば、(d1)介入システムの利用に向いていると判断されたユーザについては、在宅通院リハビリテーションを利用することを勧める教育資料を提供する。また、(c2)介入システムの利用に向いていないと判断されたユーザについては、本介入システムを利用することを勧める教育資料を提供する。このように、ユーザの生活改善に対する指導への志向性に応じて、無理をすることなく、適切なリハビリテーションを受けるように心理的にサポートすることができる。
なお、心臓病を発症した患者は、血管が狭くなったり心不全が生じたりし得るため、過度な運動等をすると病状が悪化してしまう。したがって、身体活動量や運動療法における運動強度は、患者の病態情報を踏まえて処方することが重要である。
また、運動指導部32は、健康指導プログラムの積極的介入期や後戻り予防介入期には、例えば、医療情報により把握される患者の病態および運動負荷試験の結果や、共同意思決定のための情報Iaおよび介入関連因子情報Ib等と、ユーザの生活情報とから、当該患者に最も適した運動強度や運動時間を決定した運動情報を提供することができる。
さらに介入制御部30は、付加的な生活指導部33を備えていてもよい。生活指導部33は、少なくとも、医療情報記憶部10に記憶された医療情報と、第3データ取得部23により得られた介入関連因子情報Ibと、に基づき、ユーザに対応した生活習慣の改善のためのサブプログラムや助言を必要に応じて提供する。サブプログラムとは、例えば、安全に減量するための食事指導(減量)プログラムや、効果的に禁煙するための禁煙プログラム、無理なく飲酒量を低減するための飲酒量低減プログラム、等であり得る。また、助言とは、これらのサブプログラムを円滑に進めるための助言等であり得る。これらのサブプログラムや助言は、所定のアルゴリズムに基づいて、予め複数のパターンが用意されている。そして、介入制御部30は、少なくとも医療情報と介入関連因子情報Ibとに基づき、複数のサブプログラムや助言の中から、ユーザに適したサブプログラムおよび助言を選択して提供する。これらのサブプログラムや助言は、例えば、ユーザが操作する情報通信端末40の画面に表示可能なように、当該サブプログラムや助言についてのデータを送信することにより提供することができる。あるいは、医療スタッフが操作する情報通信端末40の画面に表示可能なように当該サブプログラムや助言についてのデータを送信し、表示されたサブプログラムや助言等の情報を医療スタッフがユーザに伝えることにより提供することができる。
10 医療情報記憶部
20 取得部
21 第1データ取得部
22 第2データ取得部
23 第3データ取得部
30 介入制御部
31 資料提供部
32 運動指導部
Claims (10)
- リハビリテーションのための介入システムであって、
ユーザの医療情報を記憶する医療情報記憶部と、
ユーザの治療への主体的参加に関連する情報を取得する取得部と、
ユーザに対してリハビリテーションのための情報を提供する介入制御部と、
を備え、
前記取得部は、
ユーザのリハビリテーションのための健康指導プログラムへの参加に関する共同意思決定のための情報を取得する第1データ取得部を備え、
前記共同意思決定のための情報は、少なくとも当該ユーザの主観的な病態認識に関する情報を含んでおり、
前記介入制御部は、
前記医療情報記憶部に記憶された医療情報と、前記第1データ取得部により得られた共同意思決定のための情報とに基づき、前記ユーザに対応した健康指導プログラムへの参加意欲を高める教育資料を提供する資料提供部を備える、介入システム。 - 前記共同意思決定のための情報は、当該ユーザの生活習慣改善に対する健康リテラシーに関する情報を含む、請求項1に記載の介入システム。
- 前記共同意思決定のための情報は、当該ユーザの生活習慣改善に対する自己効力感に関する情報を含む、請求項1または2に記載の介入システム。
- 前記取得部は、ユーザの生活情報を取得する第2データ取得部をさらに備え、
前記介入制御部は、前記医療情報記憶部に記憶された医療情報と、前記第1データ取得部により得られた共同意思決定のための情報と、前記第2データ取得部が取得したユーザの生活情報と、の少なくとも一つに基づき前記ユーザに適した運動情報を提供する運動指導部を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の介入システム。 - 前記取得部は、ユーザの介入に影響を与える介入関連因子情報を取得する第3データ取得部をさらに備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の介入システム。
- 前記介入制御部は、前記第3データ取得部により得られた介入関連因子情報に基づき、前記ユーザに適した運動情報を提供するように構成されている、請求項5に記載の介入システム。
- 前記介入制御部は、少なくとも、前記医療情報記憶部に記憶された医療情報と、前記第3データ取得部により得られた介入関連因子情報とに基づき、前記ユーザに対応したリハビリテーションのためのプログラムを提供する生活指導部を備える、請求項5または6に記載の介入システム。
- 前記プログラムとして、食事指導プログラムを含む、請求項7に記載の介入システム。
- 前記介入関連因子情報は、当該ユーザの生活習慣に関する情報、生活習慣を是正するための情報、精神的な不安に関する情報の少なくとも一つを含む、請求項5~8のいずれか1項に記載の介入システム。
- コンピュータを、請求項1~9のいずれか1項に記載の介入システムとして動作させるように構成されている、コンピュータプログラム。
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