JP7226735B2 - 移動式揚重装置 - Google Patents
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Description
なお、重量物等の持上げや移動を補助するための装置としてエアバランサーが知られている。エアバランサーは、空気圧縮装置(コンプレッサー)を動力源とした助力装置である。エアバランサーを使用すれば、重量物の移動を容易に行うことができる。すなわち、重機を使用せずとも、エアバランサーにより保持された重量物を作業員の人力で移動させることが可能である。このようなエアバランサーは、工場などで使用する定置式のものが主流であるが、移動手段を備えたエアバランサーを使用すれば、所望の位置において、作業を行うことができる(例えば、特許文献2参照)。
一方、エアバランサーは、省力で重量物の移動を容易にできる高い操作性を可能にするがゆえに、高い安全性が求められている。そのため、エアバランサーには高い据え付け精度が要求されている。例えば、水平性に対して、エアバランサー本体を取り付ける台座が、長期荷重条件での勾配が1/1000以下でなければ可動しないという厳しい制限が設けられた装置も存在する。
工場等の良好な環境下で定置式のエアバランサーを使用する場合には、安定した条件下で連続して使用することができる。一方、勾配を有する路面や整地されていない地面において、U字溝の設置や、施工現場内での資機材の運搬等にエアバランサーを使用する場合には、移動した地点で短時間に水平性を確保できる姿勢制御機構が求められる。
かかる移動式揚重装置によれば、第一台座と第二台座との二つの台座を利用して角度調整を行うため、助力装置の水平性を簡易に確保することができる。すなわち、例えば、道路軸方向の傾斜に対して第一台座により角度調整を行った後、道路横断方向の傾斜に対して第二台座により角度調整を行うことで、第二台座の上面における水平性を確保することができる。そのため、複数のジャッキなどを利用して水平性を確保する場合に比べて簡易である。また、台車を備えているため移動可能であり、助力装置による作業箇所が限定されることはない。ゆえに、勾配を有する場所や、整地されていない場所において、短時間に安定した水平性を確保することができる。
また、前記移動式揚重装置のジャッキは、前記第一台座と前記台車との間に介設されていて、前記傾斜検知器により前記第二台座の傾斜を検知した際に伸縮することで第二台座の傾斜を自動的に調整する。
助力装置2は、U字溝の持上げおよび移動をサポートするもの(揚重手段)であり、本体部21と、本体部21から延設されたアーム22とを備えている。また、助力装置2は、台車3により移動可能である。なお、助力装置2の構成は限定されるものではない。
アーム22(第二アーム24)の先端にはワイヤを介してフック22aが設けられており、このフック22aにはU字溝吊りクランプ22bが係止されている。U字溝吊りクランプ22bは、U字溝Gに係止可能である。また、助力装置2は、U字溝G(吊荷)の重さに応じてエアシリンダー25への圧縮空気の供給量を調整することで、U字溝Gの昇降動作および移動動作時のバランスを保持する。本実施形態の助力装置2の使用空気圧は0.49MPaである。なお、助力装置2の使用空気圧は限定されるものではない。
台車3(台車本体31)と助力装置2との間には、第一台座4と第二台座5が上下に積層されていて、助力装置2を水平に(助力装置2の回転軸21aが鉛直になるように)据え付けることが可能に構成されている。なお、台車本体31は、必ずしも板状である必要はなく、例えば、格子状や網状の部材により構成されていてもよい。また、タイヤ32の数は限定されるものではなく、例えば、3組以上のタイヤ32が配設されていてもよい。また、走行手段はタイヤ32に限定されるものではなく、例えば、クローラであってもよい。また、モーター33は、全てのタイヤ32に対して動力を付与してもよい。さらに、アウトリガー34の数及び配置は適宜決定すればよい。
台座本体41(第一台座4)の他端部は、支承8を介して、横軸(第一の横軸)を中心に回動可能となるように台車3(台車本体31)に取り付けられている。支承8は、台座本体41の下面に立設された第一板材81と、台車3の台車本体31の上面に立設された第二板材82と、第一板材81および第二板材82を貫通する第一軸材83とを備えている。第一軸材83は、第一の横軸を構成しており、第一台座4の上面と平行で、かつ、台車3の進行方向と直交している(動力が付与されるタイヤ32の回転軸と平行である)。本実施形態の支承8は、対向する2枚の第二板材82と、2枚の第二板材82の間に配置される第一板材81とを備えている。台座本体41と台車本体31との間には、支承8が介設されていることにより隙間が形成されている。なお、支承8は、台座本体41を第一の横軸を中心に回動可能に支持することが可能であればよく、支承8の構成は限定されるものではない。
第二台座5は、第二の横軸(第二軸材84)を中心に回動するため、第一台座4に対する第二台座5の角度調整が可能であり、したがって、道路の横断勾配により生じる助力装置2の傾斜を修正することができる。
第三軸材72は、ケース71の上部に回転可能に保持されている。振り子棒73の上端は第三軸材72に固定されている。すなわち、振り子棒73は、第三軸材72を介してケース71に回転可能に保持されている。パドル74は、板材からなり、板面が第三軸材72と平行となるように振り子棒73に固定されている。なお、ケース71には、液体78が貯留されていて、パドル74は、液体78内に沈められている。本実施形態では、液体78として油を使用する。そのため、パドル74は、液体78の粘性より、ケース71内においてゆっくり移動する。なお、液体78を構成する材料は限定されるものではないが、所定の粘性を有しているのが望ましい。測定棒75は、振り子棒73と平行となるように配置されている。測定棒75の上端は、第三軸材72に固定されている。すなわち、測定棒75は振り子棒73と同期して第三軸材72を中心に回転(回動)する。測定棒75が回動すると、検知部76が一対の検知手段77,77の間で移動する。傾斜検知器7は、検知部76と検知手段77との距離に基づいて第一の横軸に対する第二台座5の傾斜を検知する。
移動式揚重装置1を据え付けた後、道路の縦断方向での傾斜を修正する。具体的に、まず、縦断勾配自動調整装置9を起動し、傾斜検知器7による第一の横軸に対する傾斜(道路縦断方向での傾斜)を測定する。道路勾配等により、第二台座5が傾斜している場合には、図5に示すように、第二台座5が水平状態にある場合に比べて検知部76が一方の検知手段77に近づき、他方の検知手段77から遠ざかる状態となる。そして、傾斜検知器7は、検知部76と検知手段77との距離により道路の縦断方向での傾斜を検知する。傾斜検知器7により第二台座5(助力装置2)の道路縦断方向での傾斜が検知されると、制御盤91に信号が送信される。制御盤91が傾斜を検知した信号を受信すると、ジャッキ6に作動の信号が送信されることで、ジャッキ6が伸縮する。これにより、第一台座4の傾斜が調整され、助力装置2の道路の縦断方向に対する角度が調整される。例えば、検知部76と一方の検知手段77との距離が閾値以下となったらジャッキ6を伸ばし、検知部76と一方の検知手段77との距離が閾値以上になったらジャッキ6を縮める。
道路縦断方向および道路横断方向に対する傾斜を修正することで、助力装置2(第二台座5の上面)が水平となり、助力装置2の回転軸21aが鉛直になる。
助力装置2を水平に設置したら、図6に示すように、助力装置2によりU字溝Gを保持した状態で、所定の位置にU字溝Gを敷設する。まず、フォークリフトFに上載されたU字溝GにU字溝吊りクランプ22bを係止させる。次に、助力装置2のアーム22によって支持された状態のU字溝Gを、作業員Pが前後左右上下に誘導する。U字溝Gを所定の位置に配置したら、U字溝Gを下降させて載置する。U字溝Gは、アーム22によって支持された状態で、作業員Pが大きな力を要することなく移動させることができるため、位置決めや微調整が容易である。また、助力装置2の水平性を確保した状態(回転軸21aを鉛直にした状態)で作業を行うため、重量物を揚重した際の転倒に対する安全性が確保されている。助力装置2のアーム22の届く範囲でのU字溝Gの敷設が完了したら、移動式揚重装置1とフォークリフトFを移動させる。
傾斜検知器7の検知部76は、ケース71内に貯留された液体78の粘性によりゆっくり移動するため、急激に移動することや細かく揺動することが防止されている。そのため、傾斜検知器7による傾斜量の測定が急激に変化することや一定の値に定まらないことによりジャッキ6の伸縮量が設定不能になることが防止されている。
例えば、移動式揚重装置1の使用箇所は、道路トンネルに限定されるものではなく、例えば、鉄道トンネルであってもよい。また、移動式揚重装置1の使用個所はトンネル坑内に限定されるものではない。例えば、資材ヤード等での資材の移動に使用してもよい。また、U字溝Gは必ずしもフォークリフトにより輸送する必要はなく、例えばトラック等により輸送してもよい。また、U字溝Gは、予め施工箇所近傍に仮置きしておいてもよい。
また、移動式揚重装置1の使用目的は、U字溝の敷設に限定されるものではなく、あらゆる重量物の移動や設置に使用可能である。
また、前記実施形態では、縦断勾配自動調整装置9により、縦断勾配に対する傾斜の修正を自動的に行う場合について説明したが、縦断勾配の調整は、手動で行ってもよい。このとき、台車3と第一台座4との間には、ジャッキ6に代えて勾配調整器51が介設されていてもよい。
また、前記実施形態では、縦断勾配に対しては自動で傾斜を修正し、横断勾配に対しては手動で傾斜を修正するものとしたが、横断勾配に対しても自動で傾斜を修正してもよい。このとき、横断勾配に対する傾斜を測定するための傾斜検知器7を設けるのが望ましい。
なお、傾斜検知器7は必要に応じて設置すればよい。
2 助力装置
3 台車
4 第一台座
5 第二台座
6 ジャッキ
7 傾斜検知器
71 ケース
72 第三軸材(第三の横軸)
73 振り子棒
74 パドル
75 測定棒
76 検知部
77 検知手段
8 支承
81 第一板材
82 第二板材
83 第一軸材(第一の横軸)
84 第二軸材(第二の横軸)
9 縦断勾配自動調整装置
91 制御盤
Claims (1)
- 台車と、
前記台車に上載された第一台座と、
前記第一台座に上載された第二台座と、
重量物の揚重に使用する助力装置と、
前記第二台座に固定された傾斜検知器と、
前記第一台座と前記台車との間に介設されたジャッキと、
前記第二台座に設置された傾斜計と、を備える移動式揚重装置であって、
前記第一台座は、第一の横軸を中心に回動することで前記台車に対して角度調整可能であり、
前記第一台座の一端部には、ジャッキ受けが形成されており、
前記第一台座の他端部は、前記第一の横軸を備える支承を介して前記台車に取り付けられていて、
前記第二台座は、前記第一の横軸と直交する第二の横軸を中心に回動することで、前記第一台座に対して角度調整可能であり、
前記第二台座の一方の側端には、勾配調整器が設けられており、
前記第二台座の他方の側端は、前記第二の横軸を備える支承を介して前記第一台座に取り付けられていて、
前記傾斜検知器は、前記第一の横軸と平行な第三の横軸と、前記第三の横軸を中心に回動可能な測定棒と、測定棒の先端部に形成された検知部と、前記検知部との間に隙間をあけた状態で当該検知部を挟んで対向する一対の検知手段と、を備えており、前記検知部と前記検知手段との距離に基づいて前記第一の横軸に対する前記第二台座の傾斜を検知し、
前記ジャッキは、一端が前記ジャッキ受けに回動可能に取り付けられていて、他端は前記台車の上面に回動可能に取り付けられていて、前記傾斜検知器により前記第二台座の傾斜を検知した際に伸縮し、
前記勾配調整器は、ハンドルを回転操作することにより伸縮して前記第一台座と前記第二台座との隙間の大きさを調整することを可能としており、
前記助力装置は、前記第二台座の上面に取り付けられていることを特徴とする、移動式揚重装置。
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