JP7226125B2 - イオン発生装置 - Google Patents

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Description

本発明は、陰イオンと陽イオンとを発生するイオン発生装置に関する。
イオン発生装置は、例えば空気の浄化、殺菌、消臭等を行なうために用いられる。このようなイオン発生装置は、一般に、昇圧トランスを含むDC-DCコンバータ、針状のイオン発生用電極及びこれらを収める筐体で構成される。DC-DCコンバータで発生された高電圧がイオン発生用電極に印加されるとコロナ放電が生じて、この放電により発生するイオンが、筐体に孔設されたイオン放出口から放出される。
特許文献1には、正又は負の一方を第一極性、他方を第二極性として、第一極性の電圧が優位となるようにイオン発生用電極に高電圧を印加するように構成され、第一極性のイオン発生中においてイオン発生用電極に蓄積される第二極性の電荷を中和するために、高電圧の印加極性を一定時間反転させる極性反転機構が設けられたイオン発生装置が示されている。
なお、本発明に係る「イオン」とは、電離によって電荷を帯びた分子が微粒子や水分子の集団等と結合したものの意味で用いる。
特開2003-51366号公報
特許文献1に記載のイオン発生装置を含め、従来のイオン発生装置は、商用電源を入力電源として動作する装置であるので、接地電位を基準電位として動作させることができる。これに対して、例えば電池を電源として動作させる場合のように、基準電位が接地されない電源でイオン発生器を駆動する場合、大地に対するイオン発生装置の基準電位が次第に変位し、それに伴って、単位時間当たりのイオンの発生量が減少する。という問題があった。特許文献1に示されているように、イオン発生用電極に蓄積される電荷を中和すれば、イオン発生量が減少する要因を解消できる。しかし、中和のための動作中は本来の目的のイオンが発生せず、イオン発生装置全体としてのイオン発生効率が低下してしまう。
そこで、本発明の目的は、イオン発生用電極に蓄積される電荷を抑制し、かつ運用期間全体で高いイオン発生効率を維持できるイオン発生装置を提供することにある。
本開示の一例としてのイオン発生装置は、第1イオンを先端から発生させる第1イオン発生用電極と、第1イオン発生用電極に接続され、電池を電源にし、かつ当該電池の一方の極を基準電位にして第1イオン発生用電極に対して第1イオン発生用電圧を印加する第1イオン発生器と、第1イオンとは逆極性の第2イオンを先端から発生させる第2イオン発生用電極と、第2イオン発生用電極に接続され、電池を電源にし、かつ電池の一方の極を基準電位にして第2イオン発生用電極に対して第2イオン発生用電圧を印加する第2イオン発生器と、を備え、第1イオン発生器の基準電位と第2イオン発生器の基準電位とは、共通して電池の一方の極に接続され、第1イオン発生用電極と第2イオン発生用電極の先端の向きは互いに異なり、かつ、第1イオン発生用電極の先端方向への延長線と第2イオン発生用電極の先端方向への延長線とは交わらないことを特徴とする。
また、本開示の一例としてのイオン発生装置は、第1イオンを先端から発生させる第1イオン発生用電極と、第1イオン発生用電極に接続され、絶縁型AC/DC変換回路を電源にし、かつ当該絶縁型AC/DC変換回路の一方の極を基準電位にして第1イオン発生用電極に対して第1イオン発生用電圧を印加する第1イオン発生器と、第1イオンとは逆極性の第2イオンを先端から発生させる第2イオン発生用電極と、第2イオン発生用電極に接続され、絶縁型AC/DC変換回路を電源にし、かつ絶縁型AC/DC変換回路の一方の極を基準電位にして第2イオン発生用電極に対して第2イオン発生用電圧を印加する第2イオン発生器と、を備え、第1イオン発生器の基準電位と第2イオン発生器の基準電位とは、共通して絶縁型AC/DC変換回路の一方の極に接続され、第1イオン発生用電極と第2イオン発生用電極の先端の向きは互いに異なり、かつ、第1イオン発生用電極の先端方向への延長線と第2イオン発生用電極の先端方向への延長線とは交わらないことを特徴とする。
本発明によれば、イオン発生用電極に蓄積される電荷を抑制するための中和期間を特別に設ける必要がなく、運用期間全体で高いイオン発生効率を維持するイオン発生装置が得られる。
図1は本発明の第1の実施形態に係るイオン発生装置101の外観斜視図である。 図2はイオン発生装置101の筐体内部の構成を示すブロック図である。 図3(A)は陰イオン発生器11及び陰イオン発生部12Pの構成を示す斜視図である。図3(B)は陽イオン発生器21及び陽イオン発生部22Pの構成を示す斜視図である。 図4の上部は、陰イオン発生部12P内に設けられる基板の平面図であり、図4の下部は、この基板の下面図である。 図5の上部は、陽イオン発生部22P内に設けられる基板の平面図であり、図5の下部は、この基板の下面図である。 図6は第1の実施形態のイオン発生装置101の回路図である。 図7は、イオン発生装置101において、陰イオン発生用電極12の方向と陽イオン発生用電極22の方向との成す角度と、イオンの量との関係を示す図である。 図8は第2の実施形態に係るイオン発生装置の電源回路図である。
まず、本発明に係るイオン発生装置の幾つかの態様について記載する。
本発明に係る第1の態様のイオン発生装置は、第1イオンを先端から発生させる第1イオン発生用電極と、第1イオン発生用電極に接続され、電池又は絶縁型AC/DC変換回路を電源にし、かつ当該電池又は絶縁型AC/DC変換回路の一方の極を基準電位にして第1イオン発生用電極に対して第1イオン発生用電圧を印加する第1イオン発生器と、第1イオンとは逆極性の第2イオンを先端から発生させる第2イオン発生用電極と、第2イオン発生用電極に接続され、電池又は絶縁型AC/DC変換回路を電源にし、かつ電池又は絶縁型AC/DC変換回路の一方の極を基準電位にして第2イオン発生用電極に対して第2イオン発生用電圧を印加する第2イオン発生器と、を備える。そして、第1イオン発生器の基準電位と第2イオン発生器の基準電位とは、共通して電池又は絶縁型AC/DC変換回路の一方の極に接続され、第1イオン発生用電極と第2イオン発生用電極とは、それら先端の向きが互いに異なり、かつ、第1イオン発生用電極の先端方向への延長線と第2イオン発生用電極の先端方向への延長線とは交わらない関係に配置される。
上記構成によれば、第1イオン発生用電極から第1イオンが発生されることで第1イオン発生用電極に蓄積される電荷と、第2イオン発生用電極から第2イオンが発生されることで第2イオン発生用電極に蓄積される電荷とは逆極性であり、第1イオン発生器の基準電位と第2イオン発生器の基準電位は共通であるので、第1イオン発生用電極及び第2イオン発生用電極に蓄積される電荷は定常的に中和される。これにより、イオン発生用電極に蓄積される電荷を抑制するための中和期間を特別に設ける必要がなく、運用期間全体で高いイオン発生効率が維持される。また、第1イオン発生用電極と第2イオン発生用電極の先端の向きが互いに異なり、かつ、第1イオン発生用電極の先端方向への延長線と第2イオン発生用電極の先端方向への延長線とは交わらない関係であることにより、発生された第1イオンと第2イオンとの合体(結合)によるイオンの消滅が抑制され、要求されるイオンの発生効率を高く維持できる。
本発明に係る第2の態様のイオン発生装置では、前記第1イオン発生用電圧の絶対値が前記第2イオン発生用電圧の絶対値より大きい。このことによって、第1イオンを、要求される主たるイオンとして発生させることができ、第2イオンを、第1イオン発生用電極に蓄積される電荷の中和用に発生させるものとして扱うことができる。
本発明に係る第3の態様のイオン発生装置は、前記第2イオン発生用電極の近傍に配置され、基準電位が印加されて、前記第2イオン発生用電極との間に電界を発生させる補助電極を備える。この構造により、第2イオン発生器の駆動電圧を抑制しても、第2イオンを安定的に発生させることができる。また、第1イオン発生用電極の近傍に、基準電位が印加される補助電極が無ければ、第1イオンを、要求される主たるイオンとして高効率で発生させることができ、また、そのことによって全体の電力消費を抑制できる。
本発明に係る第4の態様のイオン発生装置は、前記第1イオン発生用電極と前記第2イオン発生用電極とが配置される2つ以上の面を有する筐体を備え、前記第1イオン発生用電極の数は前記第2イオン発生用電極の数よりも多く、前記第1イオン発生用電極が配置される前記筐体の面と、前記第2イオン発生用電極が配置される前記筐体の面とは異なる。この構造により、第1イオンを、要求される主たるイオンとして高効率で発生させることができ、かつ第1イオン発生用電極から発生される第1イオンの発生領域と、第2イオン発生用電極から発生される第2イオンの発生領域とがより重なりにくいので、発生された第1イオンと第2イオンとの合体(結合)によるイオンの消滅が抑制され、全体のイオン発生効率をより高く維持できる。
《第1の実施形態》
図1は第1の実施形態に係るイオン発生装置101の外観斜視図である。このイオン発生装置101は、直方体形状の筐体2の第1面S1(図1に示す向きで下面)に二つの第1開口H1が形成されていて、第2面S2(図1に示す向きで上面)に一つの第2開口H2が形成されている。後に示すように、第1開口H1から陰イオンが放出され、第2開口H2から陽イオンが放出される。本実施形態での「陰イオン」は本発明に係る「第1イオン」に相当し、本実施形態での「陽イオン」は本発明に係る「第2イオン」に相当する。
本実施形態のイオン発生装置101において、要求される主たるイオンは陰イオンである。本実施形態では、発生した陰イオンを下方へ放出させるために、筐体の第1面(下面)S1に第1開口H1が形成されている。また、本実施形態のイオン発生装置101において、陽イオンは、後に示す陰イオン発生用電極及び陽イオン発生用電極に蓄積される電荷を定常的に中和させるために発生される。
図2はイオン発生装置101の筐体2の内部の構成を示すブロック図である。このイオン発生装置101は、二つの陰イオン発生部12Pと、電池1を電源にし、かつ当該電池1の負極を基準電位にして陰イオン発生部12Pに対して陰イオン発生用電圧を供給する二つの陰イオン発生器11と、陽イオン発生部22Pと、電池1を電源にし、かつ電池1の負極を基準電位にして陽イオン発生部22Pに対して陽イオン発生用電圧を供給する陽イオン発生器21と、を備える。
電池1は、複数セルで構成される例えばリチウムイオン電池であり、12Vを発生する。陰イオン発生器11は例えば-6kVを発生し、陰イオン発生部12Pへ供給する。また、陽イオン発生器21は例えば+4kVを発生し、陽イオン発生部22Pへ供給する。
陰イオン発生部12Pは、先端から陰イオンを発生させる陰イオン発生用電極12をそれぞれ備える。陽イオン発生部22Pは、先端から陽イオンを発生させる陽イオン発生用電極22及び陽イオン発生用電極22との間に電界を発生させる補助電極23を備える。補助電極23は電池1の負極に接続され、基準電位となっている。
本実施形態では、被帯電物を陰イオンによって負に帯電させる装置であるので、発生された陰イオンは被帯電物の帯電によって奪われる。そのため、陽イオンより陰イオンの発生量は予め多くしている。上記被帯電物は、例えば霧状物、粉体、個体物等である。
上記陰イオン発生部12Pは筐体2の第1開口H1にそれぞれ設けられていて、陽イオン発生部22Pは第2開口H2に設けられている。つまり、陰イオン発生用電極12と陽イオン発生用電極22とは、それらの先端の向きが互いに異なり、かつ、陰イオン発生用電極12の延長線と陽イオン発生用電極22の延長線とは交わらない関係に配置されている。
また、陰イオン発生器11の電源電圧入力部及び陽イオン発生器21の電源電圧入力部は電池1に並列接続されていて、この例では、電池1の負極が基準電位として扱われている。つまり、陰イオン発生器11の基準電位と陽イオン発生器21の基準電位とは共通であり、同電位である。このように、陰イオンを発生する回路の基準電位と陽イオンを発生する回路の基準電位とが共通であるので、陰イオン発生用電極12から陰イオンが発生されることで陰イオン発生用電極12に蓄積される電荷と、陽イオン発生用電極22から陽イオンが発生されることで陽イオン発生用電極22に蓄積される電荷とは定常的に中和される。これにより、イオン発生用電極に蓄積される電荷を抑制(イオン発生用電極の帯電を抑制)するための中和期間を特別に設ける必要がなく、運用期間全体で高いイオン発生効率が維持される。
上述のことにより、陰イオン発生器11の基準電位と陽イオン発生器21の基準電位とは仮想接地電位と言うことができる。つまり、電池を電源として運用されて、大地に接地されないイオン発生装置でありながら、中和が可能となる。
一般的に、イオン発生用電極への印加電圧の絶対値が低くなり、例えば3.5kVを下回ると、イオンを発生しない期間が生じるという問題がある。これに対し本実施形態では、陽イオン発生部22Pに補助電極23を設け、補助電極23を電池1の負極に接続して仮想接地し、陽イオン発生用電極22との間に電界を発生させる構成としたことにより、陽イオン発生用電極22への印加電圧の絶対値が相対的に低くても陽イオンを安定的に発生させることができる。上記の構成によって、陰イオン発生用電極12に蓄積される電荷を定常的に中和することができる。一方、陰イオン発生部12Pには、仮想接地される補助電極が無いので、陰イオン発生用電極12への印加電圧の絶対値を相対的に高めても、陰イオンの発生に寄与しない漏れ電流(放電)が抑制され、結果的に陰イオンを高効率で発生させることができる。また、このことで、イオン発生装置全体の電力消費を抑制できる。
図3(A)は陰イオン発生器11及び陰イオン発生部12Pの構成を示す斜視図である。また、図3(B)は陽イオン発生器21及び陽イオン発生部22Pの構成を示す斜視図である。
陰イオン発生器11と陰イオン発生部12Pとは高圧リード15を介して接続されている。陰イオン発生器11には、図2に示した電池1が接続され、陰イオン発生器11は、基準電位に対して負の高電圧を発生する。この負の高電圧は高圧リード15を介して陰イオン発生部12Pに供給される。陰イオン発生部12Pは陰イオン放出口14を備え、この陰イオン放出口14から陰イオンを放出する。
陽イオン発生器21と陽イオン発生部22Pとは高圧リード25及び接地リード26を介して接続されている。陽イオン発生器21には、図2に示した電池1が接続され、陽イオン発生器21は、基準電位に対して正の高電圧を発生する。この正の高電圧は高圧リード25を介して陽イオン発生部22Pに供給される。陽イオン発生部22Pは陽イオン放出口24を備え、この陽イオン放出口24から陽イオンを放出する。
上記陰イオン放出口14は、図1、図2に示した第1開口H1に向く。同様に、陽イオン放出口24は、図1、図2に示した第2開口H2に向く。
図4の上部は、陰イオン発生部12P内に設けられる基板の平面図であり、図4の下部は、この基板の下面図である。基板SUBは例えばアルミナセラミック基板であり、表裏面に防湿用の保護膜CFが形成されている。基板SUBの上面に陰イオン発生用電極12が取り付けられていて、その取り付け部に高圧リード15の一端が接続される。陰イオン発生用電極12は、直径0.3mm以上、2.0mm以下程度であり、先端が先鋭化されたタングステン針である。
図5の上部は、陽イオン発生部22P内に設けられる基板の平面図であり、図5の下部は、この基板の下面図である。基板SUBは例えばアルミナセラミック基板であり、上面にU字状又はコ字状の補助電極23が、陽イオン発生用電極22を取り囲むように形成されている。この補助電極23に接地リード26の一端が接続される。接地リード26の他端は、電池1の負極につながっているため、補助電極23は仮想接地される。補助電極23の表面には防湿用の保護膜CFが形成されている。基板SUBの下面にも防湿用の保護膜CFが形成されている。この基板SUBの上面に陽イオン発生用電極22が取り付けられていて、その取り付け部に高圧リード25の一端が接続される。陽イオン発生用電極22は、直径0.3mm以上、2.0mm以下程度であり、先端が先鋭化されたタングステン針である。
図6は第1の実施形態のイオン発生装置101の回路図である。既に示したとおり、イオン発生装置101は、電池1、陰イオン発生器11、陽イオン発生器21、陰イオン発生用電極12、陽イオン発生用電極22及び補助電極23を備える。上記陰イオン発生器11及び陰イオン発生用電極12は2組備える。なお、この例では、電池1に直列接続されたスイッチとしてのトランジスタQ1及びその制御回路50も表している。
陰イオン発生器11は、定電圧化回路51、基準電圧発生回路52、自励発振回路53、出力電圧検出回路54、電圧モニター回路55、昇圧トランスT等を備える。
陰イオン発生器11には電池1から入力電源電圧が入力される。その入力部には入力平滑コンデンサC0が接続されている。昇圧トランスTの二次コイルにはダイオードD1,D2、コンデンサC1,C2による倍電圧整流回路が接続されている。この倍電圧整流回路の出力が陰イオン発生用電極12に印加される。また、昇圧トランスTのモニター用コイルにはダイオードD3、コンデンサC3による整流平滑回路が接続されている。電圧モニター回路55は、この整流平滑回路の出力電圧の正常/異常を検出する。出力電圧検出回路54は倍電圧整流回路の出力電圧の分圧電圧を入力し、定電圧化回路51へ帰還信号を出力する。
定電圧化回路51は、基準電圧発生回路52が発生する基準電圧と、出力電圧検出回路54の出力電圧とを入力し、昇圧トランスTの二次出力電圧が規定電圧となるように、自励発振回路53を制御する。この自励発振回路53は昇圧トランスTの一次コイルへの入力電流を断続する。
陽イオン発生器21の回路構成は陰イオン発生器11と殆ど同様であるが、昇圧トランスTの二次側に接続されている倍電圧整流回路のダイオードD1,D2の極性が、陰イオン発生器11とは逆の関係となっている。
制御回路50は、三つの電圧モニター回路55の出力信号を基に、陰イオン発生器11の出力電圧又は陽イオン発生器21の出力電圧が異常になったとき、トランジスタQ1をオフさせて、イオン発生装置を保護する。
図2に示したとおり、陰イオン発生用電極12の方向と陽イオン発生用電極22の方向が異なるので、図6においも、陰イオン発生用電極12の方向と陽イオン発生用電極22の方向が異なるように描いている。
図7は、イオン発生装置101において、陰イオン発生用電極12の方向と陽イオン発生用電極22の方向との成す角度に対するイオンの量の関係を示す図である。イオンの量を測定する測定器は、陰イオン発生用電極12の先端の延長線上に配置し、陰イオン発生用電極12と測定器の間の空間に存在するイオンの量を測定した。縦軸は、測定された陰イオン(電荷を帯びた粒子)の個数であり、単位は万個/mlである。この個数はイオン発生装置の駆動開始から10分後の値である。実際には、イオン発生装置の駆動を開始してから1~2秒以内にイオンの量は飽和する。横軸は、陰イオン発生用電極12の方向と陽イオン発生用電極22の方向との成す角度である。但し、図7において、「非接地」と「接地」は比較例の値である。「非接地」は、陽イオン発生器21及び陽イオン発生用電極22を備えなくて、且つ基準電位が接地されていない場合での値である。また、「接地」は、陽イオン発生器21及び陽イオン発生用電極22を備えなくて、且つ基準電位が接地されている場合での値である。
図7において横軸の0°から180°は、陰イオン発生用電極12と陽イオン発生用電極22との成す角度である。但し、これらの例は、陰イオン発生用電極12と陽イオン発生用電極22とが同一平面内にあって、陰イオン発生用電極12の根元方向への延長線と陽イオン発生用電極22の根元方向への延長線とが交わる条件での例である。特に、「0°」は、陰イオン発生用電極12と陽イオン発生用電極22とが同方向を向いている状態を表している。「180°」は、陰イオン発生用電極12と陽イオン発生用電極22とが逆方向を向いている状態を表している。0°から180°のいずれの角度でも、陰イオン発生用電極12の先端方向への延長線と陽イオン発生用電極22の先端方向への延長線とは交わらない。
図7に表れているように、陰イオン発生用電極12の方向と陽イオン発生用電極22の方向との成す角度が180°に近づく程、測定されるイオンの量が増大する。これは、陰イオン発生用電極12の方向と陽イオン発生用電極22の方向との成す角度が小さいと、発生された陰イオンと陽イオンとの合体(結合)によって、イオンが実質的に消滅される割合が大きくなり、逆に、陰イオン発生用電極12の方向と陽イオン発生用電極22の方向との成す角度が大きいと、発生された陰イオンと陽イオンとの合体(結合)によってイオンが実質的に消滅される割合が小さくなるからである。
上記角度が0°であっても、陽イオン発生器が無い「非接地」のイオン発生装置に比べてイオンの量は多い。上記角度が180°のとき、「接地」のイオン発生装置と同程度のイオンの量が得られる。上記角度が180°~360°の範囲は、180°~0°の範囲と同じである。つまり、「180°」が最良である。
陰イオン発生用電極12と陽イオン発生用電極22とは、「ねじれの位置」関係であってもよい。
なお、以上に示した例では、陰イオン発生部12Pには、陰イオン発生用電極12を設け、仮想接地電位の補助電極を設けない例を示したが、この陰イオン発生部12Pに、陰イオン発生用電極12と共に仮想接地電位の補助電極を設けてもよい。逆に、陽イオン発生部22Pに陽イオン発生用電極22を設け、仮想接地電位の補助電極を設けない、構成とすることも可能である。
また、図3(A)、図4に示した例では、補助電極を備えない陰イオン発生部12Pを示したが、陽イオン発生部22Pのように補助電極(23)を備えるイオン発生部を用い、補助電極を、陰イオン発生器の回路の基準電位、例えば電池の負極、へ接続しない構成であってもよい。
また、図6に示した例では、電池1の負極を陰イオン発生器11及び陽イオン発生器21の基準電位としたが、電池1の正極を陰イオン発生器11及び陽イオン発生器21の基準電位としてもよい。
また、以上に示した例では、要求される主たるイオンが陰イオンであり、中和用のイオンが陽イオンであったが、逆に、要求される主たるイオンが陽イオンであり、中和用のイオンが陰イオンであっても、同様に適用できる。
《第2の実施形態》
第2の実施形態では、絶縁型AC/DC変換回路を電源にして動作するイオン発生装置について示す。
図8は第2の実施形態に係るイオン発生装置の電源回路図である。この電源回路は、絶縁型AC/DC変換回路である。この絶縁型AC/DC変換回路は、ダイオードブリッジDB、コンデンサC11、トランジスタQ11、トランスT1、ダイオードD12及びコンデンサC12を備える。
ダイオードブリッジDBは商用交流電源AC Inから入力される交流電圧を全波整流する。コンデンサC11はこの全波整流された電圧を平滑する。トランジスタQ11はトランスT1の1次コイルに流れる電流をスイッチングする。トランジスタQ11にはスイッチング制御回路が接続されている。このスイッチング制御回路については図示を省略している。ダイオードD12はトランスT1の2次コイルに生じる電圧を整流する。コンデンサC12はその整流電圧を平滑し、直流出力DC Outを出力する。直流出力DC Outには、図2、図6等に示した陰イオン発生器11及び陽イオン発生器21が接続される。
トランスT1の1次コイルと2次コイルとは絶縁されていて、トランスT1の2次側(DC Out)は接地されていない。そのため、この直流出力DC Outで単に単一極性のイオン発生器を駆動する場合、電池を電源として動作するイオン発生装置の場合と同様の課題が生じて、単位時間当たりのイオンの発生量が次第に減少する。
本実施形態によれば、第1の実施形態で示したイオン発生装置と同様に、運用期間全体で高いイオン発生効率が維持される。
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形及び変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。
C0…入力平滑コンデンサ
C1,C2,C3,C11,C12…コンデンサ
CF…保護膜
D1,D2,D3,D12…ダイオード
DB…ダイオードブリッジ
H1…第1開口
H2…第2開口
Q1,Q11…トランジスタ
S1…第1面
S2…第2面
SUB…基板
T…昇圧トランス
T1…トランス
1…電池
2…筐体
11…陰イオン発生器(第1イオン発生器)
12…陰イオン発生用電極(第1イオン発生用電極)
12P…陰イオン発生部(第1イオン発生部)
14…陰イオン放出口(第1イオン放出口)
15…高圧リード
21…陽イオン発生器(第2イオン発生器)
22…陽イオン発生用電極(第2イオン発生用電極)
22P…陽イオン発生部(第2イオン発生部)
23…補助電極
24…陽イオン放出口(第2イオン放出口)
25…高圧リード
26…接地リード
50…制御回路
51…定電圧化回路
52…基準電圧発生回路
53…自励発振回路
54…出力電圧検出回路
55…電圧モニター回路
101…イオン発生装置

Claims (8)

  1. 第1イオンを先端から発生させる第1イオン発生用電極と、
    前記第1イオン発生用電極に接続され、電池を電源にし、かつ当該電池の一方の極を基準電位にして前記第1イオン発生用電極に対して第1イオン発生用電圧を印加する第1イオン発生器と、
    前記第1イオンとは逆極性の第2イオンを先端から発生させる第2イオン発生用電極と、
    前記第2イオン発生用電極に接続され、前記電池を電源にし、かつ前記電池の前記一方の極を基準電位にして前記第2イオン発生用電極に対して第2イオン発生用電圧を印加する第2イオン発生器と、
    を備え、
    前記第1イオン発生器の基準電位と前記第2イオン発生器の基準電位とは、共通して前記電池の前記一方の極に接続され、
    前記第1イオン発生用電極と前記第2イオン発生用電極の先端の向きは互いに異なり、かつ、前記第1イオン発生用電極の先端方向への延長線と前記第2イオン発生用電極の先端方向への延長線とは交わらないことを特徴とする、イオン発生装置。
  2. 前記第1イオン発生用電圧の絶対値は前記第2イオン発生用電圧の絶対値より大きい、
    請求項1に記載のイオン発生装置。
  3. 前記第1イオン発生用電極は、陰イオンを発生させる電極であり、
    前記第2イオン発生用電極は、陽イオンを発生させる電極であり、
    前記第2イオン発生用電極の近傍に配置され、基準電位が印加されて、前記第2イオン発生用電極との間に電界を発生させる補助電極を備える、
    請求項1又は2に記載のイオン発生装置。
  4. 前記第1イオン発生用電極は、陰イオンを発生させる電極であり、
    前記第2イオン発生用電極は、陽イオンを発生させる電極であり、
    前記第1イオン発生用電極と前記第2イオン発生用電極とが配置される2つ以上の面を有する筐体を備え、
    前記第1イオン発生用電極の数は前記第2イオン発生用電極の数よりも多く、
    前記第1イオン発生用電極が配置される前記筐体の面と、前記第2イオン発生用電極が配置される前記筐体の面とは異なる、
    請求項1又は2に記載のイオン発生装置。
  5. 第1イオンを先端から発生させる第1イオン発生用電極と、
    前記第1イオン発生用電極に接続され、絶縁型AC/DC変換回路を電源にし、かつ当該絶縁型AC/DC変換回路の一方の極を基準電位にして前記第1イオン発生用電極に対して第1イオン発生用電圧を印加する第1イオン発生器と、
    前記第1イオンとは逆極性の第2イオンを先端から発生させる第2イオン発生用電極と、
    前記第2イオン発生用電極に接続され、前記絶縁型AC/DC変換回路を電源にし、かつ前記絶縁型AC/DC変換回路の前記一方の極を基準電位にして前記第2イオン発生用電極に対して第2イオン発生用電圧を印加する第2イオン発生器と、
    を備え、
    前記第1イオン発生器の基準電位と前記第2イオン発生器の基準電位とは、共通して前記絶縁型AC/DC変換回路の前記一方の極に接続され、
    前記第1イオン発生用電極と前記第2イオン発生用電極の先端の向きは互いに異なり、かつ、前記第1イオン発生用電極の先端方向への延長線と前記第2イオン発生用電極の先端方向への延長線とは交わらないことを特徴とする、イオン発生装置。
  6. 前記第1イオン発生用電圧の絶対値は前記第2イオン発生用電圧の絶対値より大きい、
    請求項5に記載のイオン発生装置。
  7. 前記第1イオン発生用電極は、陰イオンを発生させる電極であり、
    前記第2イオン発生用電極は、陽イオンを発生させる電極であり、
    前記第2イオン発生用電極の近傍に配置され、基準電位が印加されて、前記第2イオン発生用電極との間に電界を発生させる補助電極を備える、
    請求項5又は6に記載のイオン発生装置。
  8. 前記第1イオン発生用電極は、陰イオンを発生させる電極であり、
    前記第2イオン発生用電極は、陽イオンを発生させる電極であり、
    前記第1イオン発生用電極と前記第2イオン発生用電極とが配置される2つ以上の面を有する筐体を備え、
    前記第1イオン発生用電極の数は前記第2イオン発生用電極の数よりも多く、
    前記第1イオン発生用電極が配置される前記筐体の面と、前記第2イオン発生用電極が配置される前記筐体の面とは異なる、
    請求項5又は6に記載のイオン発生装置。
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