JP7224158B2 - 光電変換素子 - Google Patents

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Description

本発明は、光電変換素子、および該光電変換素子に用いられる化合物に関する。
光電変換素子は、陽極および陰極を含む一対の電極と、該一対の電極間に設けられる活性層とを少なくとも備える素子である。光電変換素子では、いずれかの電極を透明または半透明の材料から構成し、透明または半透明とした電極側から活性層に光を入射させる。活性層に入射した光のエネルギー(hν)によって、活性層において電荷(正孔および電子)が生成し、生成した正孔は陽極に向かって移動し、電子は陰極に向かって移動する。そして、陽極および陰極に到達した電荷は、素子の外部に取り出される。
近赤外波長領域(波長700nm~2500nm)の光を用いて光電変換を行う光電変換素子(以下、近赤外光電変換素子という。)は、非可視光である近赤外光を検出することができるため、近赤外光検出器として利用することができる。
近赤外光電変換素子を近赤外光検出器として用いることにより、人間の目では取得できない情報を電気信号として得ることができる。そして、得られた電気信号を任意好適な情報処理技術によって処理することで可視化することができるため、3Dイメージング、血流等の生体情報に基づいた診断などの様々な分野への近赤外光電変換素子の応用が期待されている(例えば、非特許文献1および2参照。)。
また、近赤外光電変換素子の活性層の材料として、近赤外域に強い吸収を持ち、可視域に相対的に小さな吸収しか持たない材料の開発が試みられている(特許文献1参照。)。
特開2008-308602号公報
「近赤外グリッドパターンを用いたテクスチャ付き形状のワンショット計測手法」画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2011) 2011年7月 P.1494-1501. 「近赤外線を利用した生体の可視化」Medical Photonics No.7 P.53-57.
光電変換素子は、搭載される光検出装置の用途に応じて、光電変換すべき光の波長が異なる。たとえば、特許文献1に記載の光電変換素子は、吸収極大波長が700nm~800nmであるが、吸収極大波長が800nm以上の光電変換素子が求められる場合もある。また特許文献1に記載の光電変換素子のように、光検出装置の用途に応じて、可視光域の吸収が小さい光電変換素子が求められる場合もある。さらに、光電変換効率または暗電流等の光検出感度に影響する特性の向上も求められている。このように、光電変換素子およびそれに適用される活性層の材料には、搭載される光検出装置の用途に合わせた特性(可視光域での光透過性、特定の波長での吸収、光電変換効率および暗電流など)の向上が求められている。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を進めたところ、所定の構造を有する化合物を活性層の材料として用いる近赤外光電変換素子により、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。よって、本発明は、下記[1]~[13]を提供する。
[1]陽極と、陰極と、該陽極と該陰極との間に設けられる活性層とを含み、該活性層が、下記式(1)で表される化合物を含む、光電変換素子。
Figure 0007224158000001
(式(1)中、
Xは、窒素原子またはRを置換基として有する炭素原子を表し、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1~10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~10のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の1価の複素環基、またはシアノ基を表す。
Ar、Ar、およびArは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数6から10のアリール基、または置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の1価の複素環基を表し、ArはArおよび/またはArと直接結合して縮合環を形成している。
およびZは、互いに独立に、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素原子数6~10のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~10のアリールオキシ基、またはシアノ基を表す。)
[2]Xが、窒素原子である、[1]に記載の光電変換素子。
[3]ZおよびZが、フッ素原子である、[1]または[2]に記載の光電変換素子。
[4]Ar、Ar、およびArは、互いに独立に、置換基としてアルコキシ基を有するフェニル基、置換基を有していてもよいチエニル基または置換基を有していてもよいベンゾチエニル基である、[1]~[3]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
[5]前記活性層が、p型半導体材料およびn型半導体材料を含み、該p型半導体材料が、[1]~[4]のいずれか1つに記載の化合物である[1]~[4]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
[6]前記n型半導体材料が、フラーレンである、[1]~[5]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
[7]前記n型半導体材料が、C60フラーレンである、[6]に記載の光電変換素子。
[8]光検出素子である、[1]~[7]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
[9][8]に記載の光電変換素子を備える、イメージセンサー。
[10][1]に記載の式(1)で表される化合物であって、
Ar、Ar、およびArのうちの少なくとも1つが、置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の1価の複素環基であって、ArはArおよび/またはArと直接結合して縮合環を形成している化合物。
[11]Xが、窒素原子である、[10]に記載の化合物。
[12]ZおよびZが、フッ素原子である、[10]または[11]に記載の化合物。
[13]Ar、Ar、およびArのうちの少なくとも1つが、置換基を有していてもよいチエニル基または置換基を有していてもよいベンゾチエニル基である、[10]~[12]のいずれか1つに記載の化合物。
本発明によれば、近赤外光電変換素子が搭載される光検出装置の用途に必要とされる特性を有する光電変換素子、およびかかる光電変換素子に用いられる材料を提供することができる。
図1は、化合物1の溶液吸収スペクトルおよび化合物1の成膜吸収スペクトルを示す。 図2は、化合物2の溶液吸収スペクトルおよび化合物2の成膜吸収スペクトルを示す。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
ここで、本実施形態の説明において、共通して用いられる用語について説明する。
「水素原子」は、軽水素原子であっても、重水素原子であってもよい。
「置換基を有していてもよい」とは、その化合物または基を構成するすべての水素原子が無置換の場合、および1個以上の水素原子の一部または全部が置換基によって置換されている場合の両方の態様を含む。
「置換基」の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、1価の複素環基、置換アミノ基、アシル基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、置換オキシカルボニル基、アルケニル基、アルキニル基、シアノ基、およびニトロ基が挙げられる。
「ハロゲン原子」には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子が含まれる。
「アルキル基」は、特に断らない限り、直鎖状、分岐状、および環状のいずれであってもよい。アルキル基は、置換基を有していてもよい。直鎖状のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~20である。分岐状または環状であるアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~50であり、好ましくは3~30であり、より好ましくは4~20である。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソアミル基、2-エチルブチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-n-プロピルヘプチル基、アダマンチル基、n-デシル基、3,7-ジメチルオクチル基、2-エチルオクチル基、2-n-ヘキシル-デシル基、n-ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル墓、オクタデシル基、エイコシル基等のアルキル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、3-フェニルプロピル基、3-(4-メチルフェニル)プロピル基、3-(3,5-ジ-n-ヘキシルフェニル)プロピル基、6-エチルオキシヘキシル基等の置換基を有するアルキル基が挙げられる。
「アリール基」は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子を1個除いた残りの原子団を意味する。
アリール基は、置換基を有していてもよい。アリール基の具体例としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、4-ピレニル基、2-フルオレニル基、3-フルオレニル基、4-フルオレニル基、2-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、4-フェニルフェニル基、およびこれらの基がアルキル基、アルコキシ基、アリール基、フッ素原子等の置換基を有する基が挙げられる。
「アルコキシ基」は、直鎖状、分岐状、および環状のいずれであってもよい。直鎖状のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~40であり、好ましくは1~10である。分岐状または環状のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~40であり、好ましくは4~10である。
アルコキシ基は、置換基を有していてもよい。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、3,7-ジメチルオクチルオキシ基、およびラウリルオキシ基が挙げられる。
「アリールオキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6~60であり、好ましくは6~48である。
アリールオキシ基は、置換基を有していてもよい。アリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、1-アントリルオキシ基、9-アントリルオキシ基、1-ピレニルオキシ基、およびこれらの基がアルキル基、アルコキシ基、フッ素原子等の置換基を有する基が挙げられる。
「アルキルチオ基」は、直鎖状、分岐状、および環状のいずれであってもよい。直鎖状のアルキルチオ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~40であり、好ましくは1~10である。分岐状および環状のアルキルチオ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~40であり、好ましくは4~10である。
アルキルチオ基は、置換基を有していてもよい。アルキルチオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert-ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2-エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7-ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基、およびトリフルオロメチルチオ基が挙げられる。
「アリールチオ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6~60であり、好ましくは6~48である。
アリールチオ基は、置換基を有していてもよい。アリールチオ基の例としては、フェニルチオ基、C1~C12アルキルオキシフェニルチオ基(ここで、「C1~C12」は、その直後に記載された基の炭素原子数が1~12であることを示す。以下、他の基においても同様である。)、C1~C12アルキルフェニルチオ基、1-ナフチルチオ基、2-ナフチルチオ基、およびペンタフルオロフェニルチオ基が挙げられる。
「1価の複素環基」とは、複素環式化合物から、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちの1個の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。1価の複素環基には、「1価の芳香族複素環基」が含まれる。「1価の芳香族複素環基」は、芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち1個の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。1価の複素環基および1価の芳香族複素環基は、置換基を有していてもよい。ヘテロ原子の例としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子が挙げられる。
1価の複素環基および1価の芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、1価の複素環基、置換アミノ基、アシル基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、置換オキシカルボニル基、アルケニル基、アルキニル基、シアノ基、およびニトロ基が挙げられる。
芳香族複素環式化合物には、複素環自体が芳香族性を示す化合物に加えて、芳香族性を示さない複素環に芳香環が縮環している化合物が包含される。
芳香族複素環式化合物のうち、複素環自体が芳香族性を示す化合物の具体例としては、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、およびジベンゾホスホールが挙げられる。
芳香族複素環式化合物のうち、芳香族性を示さない複素環に芳香環が縮環している化合物の具体例としては、フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、およびベンゾピランが挙げられる。
1価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常、2~60であり、好ましくは4~20である。
1価の複素環基は、置換基を有していてもよく、1価の複素環基の具体例としては、例えば、チエニル基、ベンゾチエニル基、ピロリル基、フリル基、ベンゾフリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、およびこれらの基がアルキル基、アルコキシ基等の置換基を有している基が挙げられる。
「置換アミノ基」とは、置換基を有するアミノ基を意味する。置換アミノ基が有し得る置換基の例としては、アルキル基、アリール基、および1価の複素環基が挙げられる。置換基としては、アルキル基、アリール基、または1価の複素環基が好ましい。置換アミノ基の炭素原子数は、通常2~30である。
置換アミノ基の例としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(4-メチルフェニル)アミノ基、ビス(4-tert-ブチルフェニル)アミノ基、ビス(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)アミノ基等のジアリールアミノ基が挙げられる。
「アシル基」は、炭素原子数が通常2~20であり、好ましくは炭素原子数が2~18である。アシル基の具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、およびペンタフルオロベンゾイル基が挙げられる。
「イミン残基」とは、イミン化合物から、炭素原子-窒素原子二重結合を構成する炭素原子または窒素原子に直接結合する水素原子を1個除いた残りの原子団を意味する。「イミン化合物」とは、分子内に、炭素原子-窒素原子二重結合を有する有機化合物を意味する。イミン化合物の例としては、アルジミン、ケチミン、およびアルジミン中の炭素原子-窒素原子二重結合を構成する窒素原子に結合している水素原子が、アルキル基等で置換された化合物が挙げられる。
イミン残基は、通常炭素原子数が2~20であり、好ましくは炭素原子数が2~18である。イミン残基の例としては、下記の構造式で表される基が挙げられる。
Figure 0007224158000002
「アミド基」は、アミドから窒素原子に結合した水素原子を1個除いた残りの原子団を意味する。アミド基の炭素原子数は、通常1~20であり、好ましくは1~18である。アミド基の具体例としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、およびジペンタフルオロベンズアミド基が挙げられる。
「酸イミド基」とは、酸イミドから窒素原子に結合した水素原子を1個除いた残りの原子団を意味する。酸イミド基の炭素原子数は、通常4~20である。酸イミド基の具体例としては、下記の構造式で表される基が挙げられる。
Figure 0007224158000003
「置換オキシカルボニル基」とは、R’-O-(C=O)-で表される基を意味する。ここで、R’は、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、または1価の複素環基を表す。
置換オキシカルボニル基は、炭素原子数が通常2~60であり、好ましくは炭素原子数が2~48である。
置換オキシカルボニル基の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、2-エチルヘキシルオキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、3,7-ジメチルオクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、ペンタフルオロエトキシカルボニル基、パーフルオロブトキシカルボニル基、パーフルオロヘキシルオキシカルボニル基、パーフルオロオクチルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、およびピリジルオキシカルボニル基が挙げられる。
「アルケニル基」は、直鎖状、分岐状、および環状のいずれであってもよい。直鎖状のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2~30であり、好ましくは3~20である。分岐状または環状のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~30であり、好ましくは4~20である。
アルケニル基は、置換基を有していてもよい。アルケニル基の具体例としては、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、7-オクテニル基、およびこれらの基がアルキル基、アルコキシ基等の置換基を有している基が挙げられる。
「アルキニル基」は、直鎖状、分岐状、および環状のいずれであってもよい。直鎖状のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2~20であり、好ましくは3~20である。分岐状または環状のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常4~30であり、好ましくは4~20である。
アルキニル基は、置換基を有していてもよい。アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基、1-ヘキシニル基、5-ヘキシニル基、およびこれらの基がアルキル基、アルコキシ基等の置換基を有している基が挙げられる。
<光電変換素子>
本実施形態の光電変換素子は、陽極と、陰極と、該陽極と該陰極との間に設けられる活性層とを含み、該活性層が、下記式(1)で表される化合物を含む、光電変換素子である。
Figure 0007224158000004
式(1)中、Xは、窒素原子またはR1を置換基として有する炭素原子を表す。ここで、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1~10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~10のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の1価の複素環基、またはシアノ基を表す。
式(1)中、Ar、Ar、およびArは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数6~10のアリール基、または置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の1価の複素環基を表す。ArはArおよび/またはArと直接結合して縮合環を形成している。
式(1)中、ZおよびZは、互いに独立に、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素原子数6~10のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~10のアリールオキシ基、またはシアノ基を表す。式(1)で表される化合物の詳細については後述する。
本実施形態の光電変換素子は、近赤外域領(波長700nm~2500nm)に強い吸収を持つ近赤外光電変換素子である。
本実施形態の光電変換素子は、活性層が式(1)で表される化合物を含むので、近赤外波長領域のうち、好ましくは波長800nm~1200nmにおいて高い光電変換効率を有し、より好ましくは波長850nm~1100nmにおいて高い光電変換効率を有する。式(1)で表される化合物は可視光波長域の光を透過させることができるため、本実施形態の光電変換素子は、可視光波長域の光に基づく信号を低減しつつ、近赤外波長域の光を効果的に検出することができる。
ここで、本実施形態の光電変換素子が備え得る構成要素について説明する。
(基板)
光電変換素子は、通常、基板(支持基板)上に設けられる。基板上には、陰極および陽極を含む電極が形成され得る。支持基板に接合するように陽極が配置される態様は順積層構造と称され、支持基板に接合するように陰極が配置される態様は逆積層構造と称される。本実施形態の光電変換素子は、いずれの態様をとることもできる。
基板の材料は、有機化合物を含む層を形成する際に化学的に変化しない材料であれば特に限定されない。基板の材料としては、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコンが挙げられる。不透明な基板である場合には、不透明な基板側に設けられる電極とは反対側の電極(すなわち、基板から遠い側の電極)が透明または半透明の電極とされることが好ましい。
(電極)
透明または半透明の電極の材料としては、例えば、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜が挙げられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、およびそれらの複合体であるインジウムスズオキサイド(ITO)、インジウム亜鉛オキサイド(IZO)、NESA等の導電性材料、金、白金、銀、銅が挙げられる。透明または半透明の電極の材料としては、ITO、IZO、酸化スズが好ましい。また、電極として、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体等の有機化合物が材料として用いられる透明導電膜を用いてもよい。透明または半透明の電極としては、導電性物質のナノ粒子、導電性物質のナノワイヤまたは導電性物質のナノチューブを含む、エマルション(乳濁液)やサスペンション(懸濁液)、金属ペーストなどの分散液、溶融状態の低融点金属等を用いて塗布法により形成してもよい。導電性物質としては、金、銀などの金属、ITO(インジウムスズ酸化物)などの酸化物、カーボンナノチューブ等が挙げられる。なお、電極は、特表2010―525526号に記載されているように、導電性物質のナノ粒子またはナノファイバーが、導電性ポリマーなどの所定の媒体中に分散して配置された構成を有していてもよい。
透明または半透明の電極は、陽極であっても陰極であってもよい。また、基板(支持基板)に接合するように設けられる電極は、陽極であっても陰極であってもよい。両方の電極が透明であれば、可視光波長域の光の透過性が高い光電変換素子を得ることができる。
一方の電極が透明または半透明であれば、他方の電極は光透過性の低い電極であってもよい。光透過性の低い電極の材料としては、例えば、金属、および導電性高分子が挙げられる。光透過性の低い電極の材料の具体例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、およびこれらのうちの2種以上の合金、または、これらのうちの1種以上の金属と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステンおよび錫からなる群から選ばれる1種以上の金属との合金、グラファイト、グラファイト層間化合物、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体が挙げられる。合金としては、マグネシウム-銀合金、マグネシウム-インジウム合金、マグネシウム-アルミニウム合金、インジウム-銀合金、リチウム-アルミニウム合金、リチウム-マグネシウム合金、リチウム-インジウム合金、およびカルシウム-アルミニウム合金が挙げられる。
(活性層)
本実施形態の光電変換素子は、活性層が、式(1)で表される化合物を含む。
活性層は、単層または複数の層が積層された形態をとりうる。単層の活性層は、電子受容性化合物(n型半導体材料)および電子供与性化合物(p型半導体材料)を含有している。
活性層が含み得るp型半導体材料およびn型半導体材料において、p型半導体材料およびn型半導体材料のうちのいずれであるかは、選択された化合物同士のHOMOまたはLUMOのエネルギー準位から相対的に決定することができる。
活性層は、式(1)で表される化合物をp型半導体材料として含むことが好ましい。
複数の層が積層された活性層は、例えば、p型半導体材料を含有する第1の半導体層と、n型半導体材料を含有する第2の半導体層とを積層した積層体から構成される。この場合、第1の半導体層は、第2の半導体層に対して陽極寄りに配置される。
活性層の材料として用いられるn型半導体材料は、後述する活性層の形成工程に適用できることを条件として、特に限定されない。
n型半導体材料としては、フラーレンおよびフラーレン誘導体から選ばれる1種以上が好ましい。特に活性層が、蒸着法により形成される場合にはフラーレンを用いることが好ましく、塗布法により形成される場合にはフラーレン誘導体を用いることが好ましい。
フラーレンの例としては、C60フラーレン、C70フラーレン、C76フラーレン、C78フラーレン、およびC84フラーレンが挙げられる。フラーレン誘導体の例としては、これらのフラーレンの誘導体が挙げられる。フラーレン誘導体とは、フラーレンの少なくとも一部が修飾された化合物を意味する。
フラーレン誘導体の例としては、下記式(N-1)~式(N-4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007224158000005
式(N-1)~式(N-4)中、Rは、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、またはエステル構造を有する基を表す。複数個あるRは、同一であっても互いに異なっていてもよい。
は、アルキル基、またはアリール基を表す。複数個あるRは、同一であっても互いに異なっていてもよい。
で表されるエステル構造を有する基の例としては、下記式(19)で表される基が挙げられる。
Figure 0007224158000006
式(19)中、u1は、1~6の整数を表す。u2は、0~6の整数を表す。Rは、アルキル基、アリール基、または1価の複素環基を表す。
C60フラーレン誘導体の例としては、下記の化合物が挙げられる。
Figure 0007224158000007
C70フラーレン誘導体の例としては、下記の化合物が挙げられる。
Figure 0007224158000008
フラーレン誘導体の具体例としては、[6,6]-フェニル-C61酪酸メチルエステル(C60PCBM、[6,6]-Phenyl C61 butyric acid methyl ester)、[6,6]-フェニル-C71酪酸メチルエステル(C70PCBM、[6,6]-Phenyl C71 butyric acid methyl ester)、[6,6」-フェニル-C85酪酸メチルエステル(C84PCBM、[6,6]-Phenyl C85 butyric acid methyl ester)、及び[6,6]-チエニル-C61酪酸メチルエステル([6,6]-Thienyl C61 butyric acid methyl ester)が挙げられる。
活性層の厚さは、通常、1nm~100μmが好ましく、より好ましくは2nm~1000nmであり、さらに好ましくは5nm~500nmであり、特に好ましくは20nm~200nmである。光電変換素子が、例えば太陽電池である場合には、活性層の厚さは、500nm~1000nmであることが好ましい。光電変換素子が、例えば光検出素子である場合には、活性層の厚さは、500nm~1000nmであることが好ましい。
(中間層)
本実施形態の光電変換素子は、光電変換効率などの特性を向上させるためのさらなる構成要素として、電荷輸送層(電子輸送層、正孔輸送層、電子注入層、正孔注入層)といった付加的な中間層を備えていてもよい。
このような中間層に用いられる材料としては、従来公知の任意好適な材料を用いることができる。中間層の材料としては、例えば、フッ化リチウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物、および酸化物が挙げられる。
また、中間層に用いられる材料としては、例えば、酸化チタン等の無機半導体の微粒子、およびPEDOT(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン))とPSS(ポリ(4-スチレンスルホネート))との混合物(PEDOT:PSS)が挙げられる。
本実施形態の光電変換素子は、陽極と活性層との間に、正孔輸送層を備えていてもよい。正孔輸送層は、活性層から電極へと正孔を輸送する機能を有する。
陽極に接して設けられる正孔輸送層を、特に正孔注入層という場合がある。陽極に接して設けられる正孔輸送層(正孔注入層)は、陽極への正孔の注入を促進する機能を有する。正孔輸送層(正孔注入層)は、活性層に接していてもよい。
正孔輸送層は、正孔輸送性材料であるp型半導体材料を含む。正孔輸送性材料の例としては、ポリチオフェンおよびその誘導体、芳香族アミン化合物、芳香族アミン残基を有する構成単位を含む高分子化合物、CuSCN、CuI、NiO、および酸化モリブデン(MoO)が挙げられる。
本実施形態の光電変換素子は、陰極と活性層との間に、電子輸送層を備えていてもよい。電子輸送層は、活性層から陰極へと電子を輸送する機能を有する。電子輸送層は、陰極に接していてもよい。電子輸送層は活性層に接していてもよい。
電子輸送層は、電子輸送性材料であるn型半導体材料を含む。電子輸送性材料の例としては、酸化亜鉛のナノ粒子、ガリウムドープ酸化亜鉛のナノ粒子、アルミニウムドープ酸化亜鉛のナノ粒子、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアルキレンイミンを主鎖として含み、エチレンオキシドが主鎖中の窒素原子に付加した変性体であるエトキシ化ポリエチレンイミン(PEIE)、およびPFN-P2が挙げられる。
(封止層)
光電変換素子は、封止層を含んでいてもよい。封止層は、例えば、基板から遠い方の電極側に設けることができる。封止層は、水分を遮断する性質(水蒸気バリア性)または酸素を遮断する性質(酸素バリア性)を有する材料により形成することができる。
(光電変換素子の用途)
本実施形態の光電変換素子は、電極間に電圧を印加した状態で、透明または半透明の電極側から光を照射することにより、光電流を流すことができ、光検出素子(光センサー)として動作させることができる。また、光センサーを複数集積することによりイメージセンサーとして用いることもできる。
また、本実施形態の光電変換素子は、光が照射されることにより、電極間に光起電力を発生させることができ、太陽電池として動作させることができる。太陽電池を複数集積することにより薄膜太陽電池モジュールとすることもできる。
(光電変換素子の適用例)
本実施形態にかかる光電変換素子は、特に近赤外光波長域に波長選択性に優れた態様で大きな吸収を有し、かつ可視光波長域の吸収が小さい式(1)で表される化合物を活性層の材料として用いるので、近赤外光検出器として有用である。
本実施形態の光電変換素子は、3Dイメージング、VR(仮想現実)、拡張現実(AR)、MR(混合現実)向けのデバイスに適用される光検出素子、イメージセンサーとして好適に用いることができる。
<光電変換素子の製造方法>
本実施形態の光電変換素子の製造方法は、特に限定されない。本実施形態の光電変換素子は、既に説明した各構成要素を形成するにあたり選択された材料に好適な形成方法により製造することができる。
(電極の形成方法)
電極の形成方法としては、従来公知の任意好適な形成方法を用いることができる。電極の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、およびめっき法が挙げられる。
(中間層の形成方法)
中間層の製造方法は、特に限定されない。中間層が、既に説明した無機材料または低分子材料により構成される場合には、真空蒸着法、真空加熱蒸着法などの材料に応じた任意好適な方法により形成することができる。
また本実施形態の光電変換素子の中間層などの機能層が、溶媒に可溶である材料、特に高分子化合物により構成される場合には、インクを用いる塗布法によっても製造することができる。
本実施形態の光電変換素子の製造方法において適用される塗布法は、材料と、溶媒とを含むインクを塗布対象に塗布して塗膜を得る工程(i)と、該塗膜から溶媒を除去する工程(ii)とを含む。以下、塗布法に含まれる工程(i)および工程(ii)について説明する。
工程(i)
インクを塗布対象に塗布する方法としては、任意好適な塗布法を用いることができる。塗布法としては、スリットコート法、ナイフコート法、スピンコート法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、インクジェット印刷法、ノズルコート法、またはキャピラリーコート法が好ましく、スリットコート法、スピンコート法、キャピラリーコート法、またはバーコート法がより好ましく、スリットコート法またはスピンコート法がさらに好ましい。
インクは、光電変換素子およびその製造方法に応じて選択された塗布対象に塗布される。インクは、光電変換素子の製造工程において、基板または光電変換素子が有する機能層上に塗布されうる。よって、インクの塗布対象は、製造される光電変換素子の層構成および層形成の順序によって異なる。例えば、光電変換素子が、基板/陽極/正孔輸送層/活性層/電子輸送層/陰極の層構成を有しており、より左側に記載された層が先に形成される場合(順積層構造)であって、正孔輸送層を塗布法により形成する場合には、インクの塗布対象は、陽極となる。また、例えば、光電変換素子が、基板/陰極/電子輸送層/活性層/正孔輸送層/陽極の層構成を有しており、より左側に記載された層が先に形成される場合(逆積層構造)であって、正孔輸送層を塗布法により形成する場合には、インクの塗布対象は、活性層となる。
工程(ii)
インクの塗膜から、溶媒を除去する方法、すなわち塗膜から溶媒を除去して固化膜とする方法としては、任意好適な方法を用いることができる。溶媒を除去する方法の例としては、ホットプレートを用いて直接的に加熱する方法、熱風乾燥法、赤外線加熱乾燥法、フラッシュランプアニール乾燥法、減圧乾燥法などの乾燥法が挙げられる。
塗布法により機能層を形成する工程は、前記工程(i)および工程(ii)以外に、本発明の目的および効果を損なわないことを条件としてその他の工程を含んでいてもよい。
塗布法に用いられるインクは、溶液であってもよく、分散液、エマルション(乳濁液)、サスペンション(懸濁液)等の分散液であってもよい。本実施形態のインクは、所定の機能層形成用のインクであって、選択された機能性材料(p型半導体材料および/またはn型半導体材料)と、溶媒とを含み得る。
インクは、既に説明したp型半導体材料、n型半導体材料を1種のみ含んでいてもよく、2種以上を任意の割合の組み合わせで含んでいてもよい。
溶媒は、選択された材料に対する溶解性、乾燥条件に対応するための特性(沸点など)を考慮して選択すればよい。
溶媒は、置換基(例えば、アルキル基、ハロゲン原子)を有していてもよい芳香族炭化水素(以下、単に芳香族炭化水素という。)を含むことが好ましい。
このような芳香族炭化水素としては、例えば、トルエン、キシレン(例、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン)、トリメチルベンゼン(例、メシチレン、1,2,4-トリメチルベンゼン(プソイドクメン))、ブチルベンゼン(例、n-ブチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン)、メチルナフタレン(例、1-メチルナフタレン)、テトラリン、インダン、クロロベンゼンおよびジクロロベンゼン(o-ジクロロベンゼン)が挙げられる。
溶媒は1種のみの芳香族炭化水素を含んでいても、2種以上の芳香族炭化水素を含んでいてもよい。溶媒は、1種のみの芳香族炭化水素を含むことが好ましい。
溶媒は、好ましくは、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、プソイドクメン、n-ブチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、メチルナフタレン、テトラリン、インダン、クロロベンゼンおよびo-ジクロロベンゼンからなる群から選択される1種以上を含み、より好ましくは、o-キシレン、プソイドクメン、テトラリン、クロロベンゼンまたはo-ジクロロベンゼンを含む。
溶媒は、芳香族炭化水素以外の溶媒をさらに含んでいてもよい。このような溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、プロピオフェノン等のケトン溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸フェニル、エチルセルソルブアセテート、安息香酸メチル、安息香酸ブチル、安息香酸ベンジル等のエステル溶媒が挙げられる。
インクは、溶媒、p型半導体材料、n型半導体材料の他に、本発明の目的および効果を損なわない限度において、紫外線吸収剤、酸化防止剤、吸収した光により電荷を発生させる機能を増感するためのため増感剤、紫外線に対する安定性を増すための光安定剤といった任意の成分を含んでいてもよい。
(インクの調製)
インクは、公知の方法により調製することができる。例えば、選択された複数種類の溶媒を混合して混合溶媒を調製し、混合溶媒に既に説明した材料を添加して混合し、材料を溶解または分散させることにより、調製することができる。溶媒と材料とを、溶媒の沸点以下の温度で加温して混合してもよい。
溶媒および材料を混合した後、得られた混合物をフィルターを用いてろ過し、得られたろ液をインクとして用いてもよい。フィルターとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂で形成されたフィルターを用いることができる。
(活性層の形成方法)
本実施形態の光電変換素子の活性層は、後述する式(1)で表される化合物をp型半導体材料として用い、フラーレンをn型半導体材料として用いて製造することが好ましい。
活性層の形成方法としては、従来公知の任意好適な形成方法を用いることができる。活性層は、既に説明した中間層の形成方法と同様の塗布法により形成してもよい。
活性層の形成方法としては、従来公知の任意好適な形成方法を用いることができる。既に説明した材料を用いて形成される本実施形態の活性層の好適な形成方法としては、例えば、抵抗加熱蒸着法、電子線加熱蒸着法などの真空蒸着法が挙げられる。本実施形態の光電変換素子の活性層は、より具体的には、式(1)で表される化合物およびフラーレンを用いて、これらを同時に真空蒸着する共蒸着法またはフラッシュ蒸着法により形成することが好ましい。
<化合物>
本実施形態の化合物は、ボロンジピロメテン類縁体を母核構造として含み、この母核構造にさらに2個の縮環構造が縮環している化合物である。
本実施形態の化合物は、下記式(1)で表される化合物である。
Figure 0007224158000009
式(1)中、Xは、窒素原子またはRを置換基として有する炭素原子を表す。Xは、窒素原子であることが好ましい。
ここで、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1~10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~10のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の1価の複素環基、またはシアノ基を表す。
式(1)中、Ar、Ar、およびArは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数6~10のアリール基、または置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の1価の複素環基を表し、ArはArおよび/またはArと直接結合して縮合環を形成している。
置換基を有していてもよい炭素原子数6~10のアリール基としては、置換基としてアルコキシ基を有するフェニル基であることが好ましい。
置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の1価の複素環基はとしては、置換基を有していてもよいチエニル基または置換基を有していてもよいベンゾチエニル基であることが好ましい。ここで、置換基を有していてもよいチエニル基は、置換基の炭素原子数を含めて、炭素原子数が4~10であることが好ましく、置換基を有していてもよいベンゾチエニル基は置換基の炭素原子数を含めて、炭素原子数が8~10であることが好ましい。
ここで、Ar、Ar、およびArのうちの少なくとも1つが、置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の1価の複素環基であることが好ましい。
Ar、Ar、およびArのうちの少なくとも1つは、置換基を有していてもよいチエニル基または置換基を有していてもよいベンゾチエニル基であることが好ましい。
およびZは、互いに独立に、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素原子数6~10のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~10のアリールオキシ基、またはシアノ基を表す。
およびZは、ハロゲン原子であることが好ましく、フッ素原子であることがより好ましい。
本実施形態の化合物は、近赤外波長領域のうち、好ましくは波長800nm~1200nmにおいて高い吸収を示し、より好ましくは波長850nm~1100nmにおいて高い吸収を示す。また、本実施形態の化合物は、可視光波長域の光の透過性が高いことが好ましい。
本実施形態の化合物には、具体的には、下記(i)~(vi)の化合物が含まれる。
(i)Xが窒素原子であり、Ar、Ar、およびArのうちの少なくとも1つが、置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の1価の複素環基であって、ArとArとが縮合した化合物
(ii)Xが窒素原子であり、Ar、Ar、およびArのうちの少なくとも1つが、置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の1価の複素環基であって、ArとArとが縮合した化合物
(iii)Xが窒素原子であり、Ar、Ar、およびArのうちの少なくとも1つが、置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の1価の複素環基であって、ArとArとArとが縮合した化合物
(iv)XがRを置換基として有する炭素原子であり、Ar、Ar、およびArのうちの少なくとも1つが、置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の1価の複素環基であって、ArとArとが縮合した化合物
(v)XがRを置換基として有する炭素原子であり、Ar、Ar、およびArのうちの少なくとも1つが、置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の1価の複素環基であって、ArとArとが縮合した化合物
(vi)XがRを置換基として有する炭素原子であり、Ar、Ar、およびArのうちの少なくとも1つが、置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の1価の複素環基であって、ArとArとArとが縮合した化合物
上記(i)の化合物の具体例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007224158000010
上記(ii)の化合物の具体例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007224158000011
上記(iii)の化合物の具体例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007224158000012
上記(iv)の化合物の具体例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007224158000013
上記(v)の化合物の具体例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007224158000014
上記(vi)の化合物の具体例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007224158000015
<化合物の製造方法>
本実施形態の化合物の製造方法について具体的に説明する。
式(1)で表される化合物は、例えば、下記の工程(1-1)および工程(1-2)を経て得ることができる。
工程(1-1):下記式(101)で表される化合物に対して、下記式(102)で表されるホウ素化合物を反応させて、式(103)で表される化合物を得る。式(103)で表される化合物は、Ar、Ar、Arが互いに縮合していない、式(1)で表される化合物である。
Figure 0007224158000016
式(101)および式(103)中、Xは前記と同義であり、Ar、ArおよびArは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数6~10のアリール基、または置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の1価の複素環基を表す。式(102)中、Halはハロゲン原子を表し、ZおよびZは、それぞれ前記と同義である。式(102)で表されるホウ素化合物は、例えば、ジエチルエーテルなどのエーテルとの錯体の形態であってもよい。
工程(1-2):式(103)で表される化合物におけるArを、Arおよび/またはArと直接結合させて縮合環を形成し、式(1)で表される化合物を得る。
以下、工程(1-1)および工程(1-2)についてより具体的に説明する。
(工程(1-1))
工程(1-1)の反応は、適当な塩基の存在下で行うことができる。塩基の例としては、トリエチルアミンなどの三級アミンが挙げられる。
工程(1-1)の反応に用いられる溶媒の例としては、トリエチルアミンなどのアミン溶媒、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロベンゼンなどの塩素化炭化水素溶媒、およびこれらの溶媒の混合溶媒が挙げられる。
工程(1-1)の反応における反応温度は、例えば、0℃~100℃とすることができる。反応時間は、例えば、1時間~5時間とすることができる。
(工程(1-2))
工程(1-2)において、Arを、Arおよび/またはArと直接結合させて縮合環を形成する方法としては、下記の方法(1)、方法(2)および方法(3)が挙げられる。
方法(1):式(103)で表される化合物において、Arと、Arおよび/またはArとを、一段階の反応により縮合させる。
方法(2):式(103)で表される化合物において、Arおよび/またはArと縮合させるArを臭素化し、次いで臭素化されたArをArおよび/またはArと縮合させる。
方法(3):式(103)で表される化合物において、Arと縮合させる位置にあるArおよび/またはArを臭素化し、次いで臭素化されたArおよび/またはArをArと縮合させる。
方法(1)における反応条件としては、例えば、酸化的環縮合反応で用いられる条件を用いることができる。
具体的には、例えば、FeClなどのハロゲン化鉄の存在下で、式(103)で表される化合物を反応させることができる。
用いられるハロゲン化鉄の量は、式(103)で表される化合物に対して、例えば、10当量~80当量とすることができる。
反応溶媒の例としては、ジクロロメタン、クロロベンゼンなどの塩素化炭化水素溶媒が挙げられる。
反応温度は、例えば、0℃~100℃とすることができる。反応時間は、例えば、1分間~4時間とすることができる。
方法(2)および方法(3)における臭素化の反応条件としては、従来公知の任意好適な方法を適用することができる。臭素化試薬としては、例えば、N-ブロモスクシンイミド(NBS)、臭素(Br)が挙げられる。
臭素化試薬の量は、式(103)で表される化合物に対して、例えば、2当量~20当量とすることができる。
反応溶媒の例としては、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロベンゼンなどの塩素化炭化水素溶媒、およびこれらの溶媒を混合した混合溶媒が挙げられる。反応溶媒としては、塩素化炭化水素溶媒が好ましい。
反応温度は、例えば、0℃~50℃、好ましくは0℃~30℃とすることができる。反応時間は、例えば、1分間~10分間とすることができる。
方法(2)および方法(3)における縮合反応の条件としては、酸化的環縮合反応で用いられる従来公知の任意好適な条件を用いることができる。方法(2)および方法(3)における縮合反応の触媒の例としては、パラジウム(II)触媒(例、パラジウム(II)アセテート、パラジウム(II)アセチルアセトナート)が挙げられる。用いられる触媒の量は、式(103)で表される化合物に対して、例えば、0.1当量~10当量とすることができる。
方法(2)および方法(3)における縮合反応は、通常、塩基の存在下で行われる。塩基の例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの無機塩基、tert-ブチルアミン、ナトリウムメトキシドなどの有機塩基が挙げられる。塩基の量は、化合物(103)に対して、1当量~10当量とすることができる。
縮合反応においては、触媒に配位する配位子化合物を共存させてもよい、配位子化合物の例としては、トリフェニルホスフィン、tert-ブチルホスフィンが挙げられる。
縮合反応における溶媒の例としては、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロベンゼンなどの塩素化炭化水素溶媒、およびこれらの溶媒を混合した混合溶媒が挙げられる。溶媒としては、塩素化炭化水素溶媒が好ましい。
縮合反応の反応温度は、例えば、25℃~200℃とすることができる。反応時間は、例えば、1時間~48時間とすることができる。
(Xが窒素原子である式(103)で表される化合物の製造方法)
式(103)で表される化合物のうち、Xが窒素原子である化合物(式(103N)で表される化合物)は、例えば、下記の工程(N1)~(N3)により製造することができる。
工程(N1):下記式(104)で表される化合物を、酢酸アンモニウムの存在下で反応させることにより、下記式(105)で表される化合物を得る。
Figure 0007224158000017
工程(N2):式(105)で表される化合物を臭素化することにより、式(106)で表される化合物を得る。
Figure 0007224158000018
工程(N3):式(106)で表される化合物と式(107)で表される化合物とを、カップリング反応によりカップリングして式(103N)で表される化合物を得る。
Figure 0007224158000019
以下、工程(N1)~工程(N3)についてより具体的に説明する。
(工程(N1))
工程(N1)において、酢酸アンモニウムは、式(104)で表される化合物に対して、例えば、10当量~20当量を用いることができる。
工程(N1)において、反応溶媒の例としては、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール溶媒、酢酸などのカルボン酸溶媒、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロベンゼンなどの塩素化炭化水素溶媒、およびこれらの溶媒を混合した混合溶媒が挙げられる。溶媒としては、アルコール溶媒および酢酸が好ましい。
反応温度は、例えば、25℃~200℃とすることができ、用いられる溶媒の還流温度とすることができる。反応時間は、例えば、1時間~48時間とすることができる。
(工程(N2))
工程(N2)において、式(105)で表される化合物を臭素化する方法としては、従来公知の任意好適な方法を適用できる。臭素化試薬としては、例えば、N-ブロモスクシンイミド(NBS)、臭素(Br)などの任意好適な試薬を、適宜用いうる。
工程(N2)において、臭素化試薬は、式(105)で表される化合物に対して、例えば、2当量~2.5当量を用いることができる。
反応溶媒の例としては、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロベンゼンなどの塩素化炭化水素溶媒、およびこれらの溶媒を混合した混合溶媒が挙げられる。溶媒としては、塩素化炭化水素溶媒が好ましい。
反応温度は、例えば、0℃~50℃とすることができ、好ましくは0℃~30℃とすることができる。反応時間は、例えば1分間~10分間とすることができる。
(工程(N3))
工程(N3)において、式(106)で表される化合物と式(107)で表される化合物とをカップリング反応させる条件は、例えば、Suzukiカップリング反応の際に用いられる条件とすることができる。
カップリング反応に用いられる触媒の例としては、パラジウム(0)触媒(例、パラジウムカーボン、パラジウム(0)テトラキス(トリフェニルホスフィン)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム)、パラジウム(II)触媒(例、パラジウム(II)アセテート、パラジウム(II)アセチルアセトナート、ジクロロビス(ジフェニルホスフィノフェロセン)パラジウム)、およびニッケル触媒(例、ニッケル(II)クロライド)が挙げられる。用いられる触媒の量は、式(106)で表される化合物に対して、0.1当量~10当量とすることができる。
工程(N3)の反応は、通常、塩基の存在下で行われる。塩基の例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの無機塩基、tert-ブチルアミン、ナトリウムメトキシドなどの有機塩基が挙げられる。塩基の使用量は、式(106)で表される化合物に対して、1当量~10当量とすることができる。
反応溶媒の例としては、メタノール、エタノールなどのアルコール溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル溶媒、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素溶媒、水、およびこれらの溶媒を混合した混合溶媒が挙げられる。
工程(N3)の反応は、用いられる触媒に配位する配位子化合物の存在下で行ってもよい。配位子化合物の例としては、トリフェニルホスフィンが挙げられる。
反応温度は、例えば、25℃~200℃とすることができる。反応時間は、例えば、1時間~24時間とすることができる。
式(104)で表される化合物は、例えば、下記の工程(n1)~(n2)により得ることができる。
工程(n1):下記式(108)で表される化合物と下記式(109)で表される化合物とをアルドール縮合させることにより、下記式(110)で表される化合物を得る。
Figure 0007224158000020
工程(n2):下記式(110)で表される化合物に、ニトロメタンをマイケル付加させることにより、下記式(104)で表される化合物を得る。
Figure 0007224158000021
以下、工程(n1)および工程(n2)について説明する。
(工程(n1))
工程(n1)の反応条件は、従来公知のアルドール縮合反応の反応条件を適用することができる。用いられる反応溶媒の例としては、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール溶媒、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロベンゼンなどの塩素化炭化水素溶媒、およびこれらの溶媒を混合した混合溶媒が挙げられる。反応に添加する塩基の例としては、水酸化カリウムなどの無機塩基、ナトリウムメトキシドなどの有機塩基が挙げられる。
反応温度は、例えば、25℃~200℃とすることができる。反応時間は、例えば、1時間~24時間とすることができる。
(工程(n2))
工程(n2)の反応条件は、従来公知の任意好適なマイケル付加反応の反応条件を用いることができる。反応溶媒の例としては、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール溶媒、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロベンゼンなどの塩素化炭化水素溶媒、これらの混合溶媒が挙げられる。反応に添加する塩基の例としては、水酸化カリウムなどの無機塩基、ジエチルアミン、ナトリウムメトキシドなどの有機塩基が挙げられる。
反応温度は、例えば、25℃~200℃とすることができる。反応時間は、例えば、1時間~24時間とすることができる。
(Xが-CR=である式(103)で表される化合物の製造方法)
式(103)で表される化合物のうち、XがRを置換基として有する炭素原子である化合物(化合物(103C))は、例えば、下記の工程(C1)~工程(C6)によっても得られる。
工程(C1):下記式(111)で表される化合物を臭素化し、次いで、式(102)で表されるホウ素化合物と反応させることにより下記式(112)で表される化合物を得る。
Figure 0007224158000022
工程(C2):下記式(112)で表される化合物と、下記式(113)で表される化合物とをカップリングさせるカップリング反応により、下記式(114)で表される化合物を得る。
Figure 0007224158000023
工程(C3):下記式(114)で表される化合物を臭素化して、下記式(115)で表される化合物を得る。
Figure 0007224158000024
工程(C4):式(115)で表される化合物と、下記式(116)で表される化合物とをカップリング反応によりカップリングさせて下記式(117)で表される化合物を得る。
Figure 0007224158000025
工程(C5):下記式(117)で表される化合物を臭素化して、下記式(118)で表される化合物を得る。
Figure 0007224158000026
工程(C6):下記式(118)で表される化合物と、下記式(119)で表される化合物とをカップリング反応によりカップリングさせることにより、下記式(103C)で表される化合物を得る。
Figure 0007224158000027
以下、工程(C1)~工程(C6)について説明する。
(工程(C1))
工程(C1)において、式(111)で表される化合物を臭素化する方法としては、公知の方法を適用することができる。臭素化試薬としては、例えば、NBS、臭素などを、用いることができる。
臭素化試薬の量は、式(111)で表される化合物に対して、例えば、2当量~2.5当量とすることができる。
反応溶媒の例としては、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロベンゼンなどの塩素化炭化水素溶媒、およびこれらの溶媒を混合した混合溶媒が挙げられる。反応溶媒としては、塩素化炭化水素溶媒が好ましい。
反応温度は、例えば、0℃~50℃とすることができ、好ましくは0℃~30℃とすることができる。反応時間は、例えば、1分間~10分間とすることができる。
工程(C1)において、式(111)で表される化合物を臭素化して得られた化合物に、式(102)で表されるホウ素化合物を反応させる条件としては、工程(1-1)において例示した条件と同様の条件を用いることができる。
(工程(C2))
工程(C2)において、式(112)で表される化合物と、式(113)で表される化合物とをカップリングさせて、式(114)で表される化合物を得る条件としては、工程(N3)において例示した条件と同様の条件を用いることができる。
(工程(C3))
工程(C3)において、式(114)で表される化合物を臭素化する条件としては、工程(C1)において例示した条件と同様の条件を用いることができる。
(工程(C4))
工程(C4)において、式(115)で表される化合物と、式(116)で表される化合物とをカップリングさせて、式(117)で表される化合物を得る条件としては、工程(N3)において例示した条件と同様の条件を用いることができる。
(工程(C5))
工程(C5)において、式(117)で表される化合物を臭素化する条件としては、工程(C1)において例示した条件と同様の条件を用いることができる。
(工程(C6))
工程(C6)において、式(118)で表される化合物と、式(119)で表される化合物とをカップリングさせて、式(103C)で表される化合物を得る条件としては、工程(N3)において例示した条件と同様の条件を用いることができる。
式(116)で表される化合物と式(119)で表される化合物とが同じ化合物である場合、工程(C3)における臭素化反応の条件を調整することにより、ピロール環の3位および4位が臭素化された化合物を得て、得られた化合物に対して式(116)で表される化合物(すなわち、式(119)で表される化合物)を4当量以上用いてカップリング反応を行うことにより、式(103C)で表される化合物を得ることもできる。
各工程(C1)~(C6)において得られた生成物は、再沈殿、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの公知の方法により精製することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示す。本発明は実施例に限定されない。
(I)NMR分析
NMR測定は、測定対象となる化合物を重クロロホルムに溶解させたサンプルを用いて、NMR装置(JEOL社製400MHzNMR装置、JNM-ECZ400S/L1)により実施した。
(II)UV-vis吸収スペクトル分析
測定対象となる化合物5mgをクロロホルム0.995gに溶解させ、溶解液Iを得た。得られた溶解液0.16gとクロロホルム0.84gとを混合した混合溶液IIを得た。得られた混合溶液I0.1gとクロロホルム4.9gとを混合した混合溶液IIIを測定溶液とした。
測定装置(Varian社製 Cary 5E UV-VIS―NIR Spectrophotometer)にて、測定溶液の300-1200nmの吸収スペクトルを測定した。得られたスペクトルを、溶液吸収スペクトルと称する。
溶解液Iを、スピンコート法により、ガラス基板上に成膜し、測定サンプルを得た。測定装置(Varian社製 Cary 5E UV-VIS―NIR Spectrophotometer)にて、測定サンプルの300-1200nmの吸収スペクトルを測定した。得られたスペクトルを成膜吸収スペクトルと称する。
<合成例1>(化合物1の合成)
まず、下記のスキームに従って、化合物1-aを合成した。
Figure 0007224158000028
具体的には、1-アセチル-5-メチルチオフェン(4.8g、34mmol)と、3,4,5-トリメトキシベンズアルデヒド(6.7g、34mmol)とをメタノール(17mL)に溶解させた溶液に、KOH(4.8g、85mmol)をメタノール(17mL)に溶解させた溶液を滴下した。
常温にて12時間攪拌後、析出物をろ取することで、黄色粉末として化合物1-aを得た(10.3g:収率91.1%)。H-NMRの結果を以下に示す。
H-NMR(300MHz、CDCl3):δ(ppm)=7.73(d,1H),7.70(d,1H),7.26(d,1H),6.86(d,1H),6.85(s,2H),3.93(s,6H),3.90(s,3H).
次に、下記のスキームに従って、化合物1-bを合成した。
Figure 0007224158000029
具体的には、化合物1-a(9.6g、30mmol)をメタノール(45mL)に溶解させた溶液に、ニトロメタン(16.1mL、300mmol)、ジエチルアミン(15.6mL、150mmol)を加え、6時間加熱還流した。その後、エバポレーターにて揮発成分を留去したのち、メタノールを加え0℃に冷却した。析出した粉末をろ取することで白色粉末として化合物1-bを得た(10.5g、収率92.0%)。H-NMRの結果を以下に示す。
H-NMR(300MHz、CDCl3):δ(ppm)=7.52(d,1H),6.81(d,1H),6.47(s,2H),4.83(dd,1H),4.70(dd,1H),4.70(dd,1H),4.12(quint,1H),3.88(s,6H),3.82(s,3H),3.32(dd,2H),3.25(dd,2H)2.55(s,3H).
次いで、下記のスキームに従って、化合物1-cを合成した。
Figure 0007224158000030
具体的には、化合物1-b(3.0g、8.0mmol)、酢酸アンモニウム(12.3g、160mmol)、1-ブタノール(53mL)を耐圧容器に加え、140℃で6時間加熱攪拌して反応させた。反応により得られた混合物からエバポレーターにて揮発成分を留去し、メタノールを加えることにより固体を析出させた。得られた固体をろ取することにより黒色粉末として化合物1-cを得た(453mg、収率16.9%)。H-NMRの結果を以下に示す。
H-NMR(300MHz、CDCl3,TFA):δ(ppm)=7.52(d,1H),6.81(d,1H),6.47(s,2H),4.83(dd,1H),4.70(dd,1H),4.70(dd,1H),4.12(quint,1H),3.88(s,6H),3.82(s,3H),3.32(dd,2H),3.25(dd,2H)2.55(s,3H).
次に、下記のスキームに従って、化合物1-dを合成した。
Figure 0007224158000031
具体的には、化合物1-c(0.45g、0.67mmol)をクロロホルム(23mL)に溶解させた溶液に、臭素(0.24g、1.5mmol)をクロロホルム(10mL)に溶解させた溶液を加え、2時間攪拌した。その後、1Mチオ硫酸ナトリウム水溶液(10mL)を加え、有機層を分液して、濃縮し固体を得た。得られた固体をメタノールで洗浄することにより、化合物1-dを得た(0.54g、収率97.4%)。H-NMRの結果を以下に示す。
H-NMR(300MHz、CDCl3):δ(ppm)=7.95(d,2H),6.98(s,4H),6.93(d,2H),3.93(s,6H),3.60(s,12H),2.63(s,6H).
次いで、下記のスキームに従って、化合物1-eを合成した。
Figure 0007224158000032
具体的には、100mL4つ口フラスコ容器内において、化合物1-d(0.45g、0.64mmol)、3,5-ジメトキシフェニルボロン酸(0.58g、3.2mmol)を、トルエン(22mL)およびTHF(10mL)に混合した。100mL4つ口フラスコ容器内を窒素ガス雰囲気下とし、得られた混合溶液に、Pddba(59mg,0.06mmol)およびt-BuPHBF(37mg、0.13mmol)を加え攪拌した。得られた混合溶液にさらに1Mリン酸カリウム水溶液を加え、加熱還流条件で8時間反応させた。反応後、有機層を分液し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、さらにエバポレーターで濃縮することにより、化合物1-eを含有する黒色混合物を得た。
次に、下記のスキームに従って、化合物1-fを合成した。
Figure 0007224158000033
具体的には、得られた化合物1-eを含む黒色混合物をトルエン(32mL)に溶解させ、トリエチルアミン(2.1mL、15mmol)、つづいてBFOEt(3.2mL、26mmol)を加え、60℃にて2時間反応させた。エバポレーターにて揮発成分を留去し、メタノールを加えて得られた析出物をろ別することにより黒色粉末として化合物1-fを得た(0.49g、収率77.2%)。H-NMRの結果を以下に示す。
H-NMR(300MHz、CDCl3):δ(ppm)=7.87(d,2H),6.77(d,2H),6.74(s,4H),6.48(dd,2H),6.44(d,4H),3.85(s,6H),3.72(s,12H),3.37(s,12H),2.45(s,6H).
最後に、下記のスキームに従って、化合物1を合成した。
Figure 0007224158000034
具体的には、化合物1-f(49mg、0.05mmol)をクロロホルム(10mL)に溶解させた溶液に、FeCl(250mg、1.5mmol)をニトロメタン(0.5mL)に溶解させた溶液を加え、2時間攪拌した。得られた溶液に炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機層を分液して、濃縮した後、クロロホルムを展開液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより、黒色粉末として化合物1を得た(34mg、収率69.4%)。H-NMRの結果を以下に示す。
H-NMR(300MHz、CDCl3):δ(ppm)=7.77(d,2H),7.71(s,1H),7.69(s,1H),7.31(d,2H),2.82(t,2H),2.75(t,2H),1.75-1.63(m,2H),1.40-1.25(m,13H),0.91-0.85(m,3H).
(II)に記載の方法に従って、化合物1の溶液吸収スペクトルおよび化合物1の成膜吸収スペクトルを測定した。その結果を図1に示す。
<合成例2>(化合物2の合成)
まず、下記のスキームに従って、化合物2-aを合成した。
Figure 0007224158000035
具体的には、2-アセチル-5-メチルチオフェン(5.1g、36mmol)と、5-メチルチオフェン-2-カルボキシアルデヒド(4.5g、36mmol)とをメタノール(18mL)に溶解させた溶液に、KOH(5.1g,90mmol)をメタノール(18mL)に溶解させた溶液を滴下した。
常温にて12時間攪拌後、析出物をろ取することで、黄色粉末として化合物2-aを得た(7.9g:収率88.6%)。H-NMRの結果を以下に示す。
H-NMR(300MHz、CDCl3):δ(ppm)=7.85(d,1H),7.63(d,1H),7.15(d,1H),7.03(d,1H),6.84(d,1H),6.74(d,1H),2.56(s,3H),2.52(s,3H).
次に、下記のスキームに従って、化合物2-bを合成した。
Figure 0007224158000036
具体的には、化合物2-a(8.2g、33mmol)をメタノール(50mL)に溶解させた溶液に、ニトロメタン(17.7mL、330mmol)、ジエチルアミン(17.1mL、165mmol)を加え、6時間加熱還流した。その後エバポレーターにて揮発成分を留去したのち、メタノールを加え0℃に冷却した。析出した沈殿をろ取することで白色粉末として化合物2-bを得た(10.2g、100%)。H-NMRの結果を以下に示す。
H-NMR(300MHz、CDCl3):δ(ppm)=7.54(d,1H),6.80(d,1H),6.71(d,2H),6.55(d,1H),4.80(dd,1H),4.66(dd,1H),4.38(quint,1H),3.36(dd,1H),3.28(dd,1H),2.53(s,3H)2.41(s,3H).
次いで、下記のスキームに従って、化合物2-cを合成した。
Figure 0007224158000037
具体的には、化合物2-b(7.7g、25mmol)、酢酸アンモニウム(38.5g、500mmol)、1-ブタノール(170mL)を耐圧容器に加え、140℃で6時間加熱攪拌した。かかる反応で得られた混合物からエバポレーターにて揮発成分を留去し、メタノールを加えることにより固体を析出させた。得られた固体をろ取することにより黒色粉末として化合物2-cを得た(4。3g、収率64.9%)。
次に、下記のスキームに従って、化合物2-dを合成した。
Figure 0007224158000038
具体的には、化合物2-c(0.64g、1.2mmol)をクロロホルム(50mL)に溶解させた溶液に、臭素(0.44g、2.8mmol)をクロロホルム(10mL)に溶解させた溶液を加え、2時間攪拌した。その後、チオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、有機層を分液して、濃縮し固体を得た。得られた固体をメタノールで洗浄することによって化合物2-dを得た(0.69g、収率83.4%)。
次いで、下記のスキームに従って、化合物2-eを合成した。
Figure 0007224158000039
具体的には、200mL4つ口フラスコ容器内において、化合物2-d(0.69g、1.0mmol)、3,5-ジメトキシフェニルボロン酸(0.55g、3.0mmol)をトルエン(40mL)およびTHF(10mL)の混合溶液に混合した。200mL4つ口フラスコ容器内を窒素ガス雰囲気下とし、得られた混合に、溶液Pddba(41mg、0.05mmol)およびt-BuPHBF(58mg、0.2mmol)を加え、攪拌した。得られた混合溶液に1Mリン酸カリウム水溶液をさらに加え、加熱還流条件で8時間反応させた。反応後、有機層を分液し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、エバポレーターで濃縮することにより化合物2-eを含有する黒色混合物を得た。
次に、下記のスキームに従って、化合物2-fを合成した。
Figure 0007224158000040
得られた化合物2-eを含む混合物を、トルエン(50mL)に溶解させ、得られた溶液に、トリエチルアミン(3.3mL、24mmol)につづいてBFOEt(5.0mL、40mmol)を加え、60℃にて2時間反応させた。エバポレーターにて揮発成分を留去し、メタノールを加えて得られた析出物をろ別することにより、黒色粉末として化合物2-fを得た(0.67g、収率78.6%)。H-NMRの結果を以下に示す。
H-NMR(300MHz、CDCl):δ(ppm)=7.88(d,2H),7.39(d,2H),6.73(s,2H),6.66(d,2H),6.58(t,2H),6.52(d,2H),3.79(s,12H),2.46(s,6H),2.42(s,6H).
最後に、下記のスキームに従って、化合物2を合成した。
Figure 0007224158000041
化合物2-f(425mg、0.5mmol)をクロロホルム(100mL)に溶解させた溶液に、FeCl(810mg、5.0mmol)をニトロメタン(20mL)に溶解させた溶液を加え、2時間攪拌した。得られた溶液に、炭酸水素ナトリウム水溶液をさらに加え、有機層を分液し、濃縮した後、クロロホルムを展開液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、黒色粉末として化合物2を得た(66mg、収率15.6%)。H-NMRの結果を以下に示す。
H-NMR(300MHz、CDCl):δ(ppm)=8.16(s,2H),7.82(d,2H),7.36(d,2H),6.85(d,2H),6.53(d,2H),4.03(s,6H),3.68(s,6H),2.75(s,6H)2.60(s,6H).
(II)に記載の方法に従って、化合物2の溶液吸収スペクトルおよび化合物2の成膜吸収スペクトルを測定した。その結果を図2に示す。
合成例1および合成例2で得られた化合物は、近赤外域に強い吸収を示し、可視光域に相対的に小さな吸収を示した。
<実施例1>
(近赤外光電変換素子の製造)
上記合成例1により得られた化合物1(p型半導体材料)を用いて近赤外光電変換素子を製造する。本実施例では、陽極、正孔輸送層(電子ブロック層)、活性層、電子輸送層(ホールブロック層)および陰極を含む。
具体的には、ITO層が設けられたガラス基板のうちのITO層をパターニングして陽極としたガラス基板を準備し、アセトン超音波洗浄、次いでUVオゾン洗浄を行う。
次に、ポリエチレンイミンを含む溶液を用いて、スピンコート法により当該溶液を、陽極が設けられている側に塗布し、塗布膜を加熱乾燥することにより、正孔輸送層を形成する。
次いで、正孔輸送層上に、上記合成例1により得られた化合物1であるp型半導体材料とn型半導体材料であるC60フラーレンとを真空加熱蒸着法により共蒸着して、活性層を形成する。
次に、活性層上に、酸化モリブデン(MoO)を真空加熱蒸着法により蒸着して、電子輸送層を形成する。
次いで、電子輸送層上に、Agを蒸着法により蒸着して陰極を形成することにより、近赤外光電変換素子を製造する。
陰極の形成後、上記各層を具備するガラス基板を大気に暴露することなくグローブボックス中に移送し、UV硬化型エポキシ樹脂を塗布したガラス板を貼り合わせ、UV光を照射することにより、UV硬化型エポキシ樹脂を硬化して、近赤外光電変換素子を封止する。
(近赤外光電変換素子の評価)
近赤外光波長領域における光電変換特性を評価するために、近赤外光電変換素子の分光感度を、分光感度測定装置(分光計器社製 、CEP2000)を用いて評価する。
暗電流特性を評価するために近赤外光電変換素子の電流値を真空プローバー(BCT22MDC-5-HT-SCUおよび半導体パラメータアナライザ(Keithley 4200-PA)を用いて評価する。
<実施例2>
(近赤外光電変換素子の製造)
上記実施例または合成例により得られた化合物1(p型半導体材料)を用いて近赤外光電変換素子を製造する。本実施例では、近赤外光電変換素子は、陽極、正孔輸送層、活性層、電子輸送層および陰極を含む。
具体的には、ITO層が設けられているガラス基板のうちのITO層をパターニングして陽極をとしたガラス基板を準備し、アセトン超音波洗浄、次いでUVオゾン洗浄を行う。
次に、ポリエチレンイミンの溶液を用いて、スピンコート法により当該溶液を、陽極が設けられている側に塗布し、塗布膜を加熱乾燥することにより、正孔輸送層を形成する。
次いで、正孔輸送層上に、上記実施例または合成例により得られた化合物であるp型半導体材料とn型半導体材料であるC60PCBMとを重量比を1:3(p型半導体材料:n型半導体材料)としてクロロホルムに溶解させた溶液を、スピンコート法により塗布して塗布膜を形成し、塗布膜を加熱乾燥することにより活性層を形成する。
次に、活性層上に、酸化モリブデン(MoO)を、真空加熱蒸着法により蒸着して、電子輸送層を形成する。
次いで、電子輸送層上に、Agを蒸着法により蒸着して陰極を形成することにより、近赤外光電変換素子を製造する。
陰極の形成後、上記各層を具備するガラス基板を大気に暴露することなくグローブボックス中に移送し、UV硬化型エポキシ樹脂を塗布したガラス板を貼り合わせ、UV光を照射することにより、UV硬化型エポキシ樹脂を硬化して、近赤外光電変換素子を封止する。
(近赤外光電変換素子の評価)
近赤外光波長領域における光電変換特性を評価するために、近赤外光電変換素子の分光感度を、分光感度測定装置(分光計器社製、 CEP2000)を用いて評価する。
暗電流特性を評価するために近赤外光電変換素子の電流値を真空プローバー(BCT22MDC-5-HT-SCUおよび半導体パラメータアナライザ(Keithley 4200-PA)を用いて評価する。
<実施例3>
(近赤外光電変換素子の製造および評価)
化合物1の代わりに、化合物2を用いた以外は、実施例2と同様にして、近赤外光電変換素子を製造し、評価する。
実施例1~3の近赤外光電変換素子は、800nm以上の近赤外波長領域における光電変換効率に優れ、可視光域における光電変換効率は低い。

Claims (13)

  1. 陽極と、陰極と、該陽極と該陰極との間に設けられる活性層とを含み、該活性層が、下記式(1)で表される化合物を含む、光電変換素子。
    Figure 0007224158000042
    (式(1)中、
    Xは、窒素原子またはRを置換基として有する炭素原子を表し、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1~10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~10のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の1価の複素環基、またはシアノ基を表す。
    Ar、Ar、およびArは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数6から10のアリール基、または置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の1価の複素環基を表し、Ar、Ar、およびArのうちの少なくとも1つが、置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の1価の複素環基であって、ArはArおよび/またはArと直接結合して縮合環を形成している。
    およびZは、互いに独立に、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素原子数6~10のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~10のアリールオキシ基、またはシアノ基を表す。)
  2. Xが、窒素原子である、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. およびZが、フッ素原子である、請求項1または2に記載の光電変換素子。
  4. Ar、Ar、およびArは、互いに独立に、置換基としてアルコキシ基を有するフェニル基、置換基を有していてもよいチエニル基または置換基を有していてもよいベンゾチエニル基である、請求項1~3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  5. 前記活性層が、p型半導体材料およびn型半導体材料を含み、該p型半導体材料が、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物である請求項1~4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  6. 前記n型半導体材料が、フラーレンである、請求項5に記載の光電変換素子。
  7. 前記n型半導体材料が、C60フラーレンである、請求項に記載の光電変換素子。
  8. 光検出素子である、請求項1~7のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  9. 請求項8に記載の光電変換素子を備える、イメージセンサー。
  10. 下記式(1)で表される化合物。
    Figure 0007224158000043
    (式(1)中、
    Xは、窒素原子またはRを置換基として有する炭素原子を表し、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1~10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~10のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の1価の複素環基、またはシアノ基を表す。
    Ar、Ar、およびArは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数6から10のアリール基、または置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の1価の複素環基を表し、Ar、Ar、およびArのうちの少なくとも1つが、置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の1価の複素環基であって、ArはArおよび/またはArと直接結合して縮合環を形成している。
    およびZは、互いに独立に、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素原子数6~10のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~10のアリールオキシ基、またはシアノ基を表す。)
  11. Xが、窒素原子である、請求項10に記載の化合物。
  12. およびZが、フッ素原子である、請求項10または11に記載の化合物。
  13. Ar、Ar、およびArのうちの少なくとも1つが、置換基を有していてもよいチエニル基または置換基を有していてもよいベンゾチエニル基である、請求項10~12のいずれか1項に記載の化合物。
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