JP7223021B2 - 選択された放出持続時間を有する医薬組成物 - Google Patents

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Description

2016年7月20日に出願の米国仮特許出願第62/364,701号および201 6年10月10日に出願の米国仮特許出願第62/406,062号に対する優先権を主 張する。
本発明の分野は、適合した送達持続時間を有する、ペプチドの持続送達および制御放出送達用の送達システム、およびこの組成物を生成するプロセスに関する。
多くのペプチド薬剤は、酵素によりインビボで容易に加水分解される、または分解されるので、安定してなく、循環半減期が極めて短くなる。したがって、ほとんどのペプチド医薬品は、通常一日あたり複数回の注射で投与されてきた。しかし、注射による投与は、痛みを伴い、極めて高価であり、不便である。患者の同意が非常に難しいことが多い。多くのペプチド薬剤、特にホルモン剤の場合、薬物は、長期間にわたり、制御された速度で連続して送達される必要があり、したがって、制御放出送達システムが望ましい。このようなシステムは、ペプチドを生分解性、生体適合性のポリマーマトリックスに組み込むことによって提供されることができる。生体適合性で生分解性のポリマーを薬物送達担体として用いて、生物活性物質の持続放出または遅延放出が提供されている。送達システムは、液体状剤、懸濁剤、固体インプラント剤、ミクロスフェア剤、マイクロカプセル剤、および微粒子剤を含む種々の注射可能なデポー形態で使用することができる。
1つのアプローチでは、ポリマーは、有機溶媒に溶解され、次いでペプチド薬剤と混合され、有機溶媒を取り除いて、マイクロカプセル剤、微粒剤、またはインプラント用ロッド剤の形態に作られる。ペプチド薬剤はポリマーマトリックス内に封入される。いくつかの製品、例えば、Lupron、Zoladex,Triptorelinなどは、微粒子剤および固形ロッドインプラント剤の形態で生分解性ポリマーを用いることで開発に成功してきた。これらの製品は、効果があるように見えるが、微粒子剤用の大量の懸濁溶液、または固体インプラント剤の外科的挿入などの弱点および制限がある。これらの製品は、患者に極めて優しくない。加えて、無菌で再現性のある製品を生成する製造プロセスは、複雑であり、製造コストが高くなる。組成物が容易に製造され使用できることが非常に望ましい。
別のアプローチでは、生分解性ポリマーおよびペプチド薬剤が生体適合性有機溶媒に溶解して、液体組成物をもたらす。液体組成物が体内に注射されると、溶媒が周辺水性環境に消散し、ポリマーは、固体デポーまたはゲル状デポーを形成し、そこから生物活性剤が長期間にわたり放出される。次の参考文献米国特許第6,565,874号;同第6,528,080号;同第RE37,950号;同第6,461,631号;同第6,395,293号;同第6,355,657号;同第6,261,583号;同第6,143,314号;同第5,990,194号;同第5,945,115号;同第5,792,469号;同第5,780,044号;同第5,759,563号;同第5,744,153号;同第5,739,176号;同第5,736,152号;同第5,733,950号;同第5,702,716号;同第5,681,873号;同第5,599,552号;同第5,487,897号;同第5,340,849号;同第5,324,519号;同第5,278,202号;同第5,278,201号;および同第4,938,763号は、この領域で代表的なものと考えられ、参照により本明細書に組み込まれる。ある程度の成功にもかかわらず、これらの方法は、そのようなアプローチにより効果的に送達されることができる多数のペプチド薬剤にとって完全に満足のいくものではなかった。
ポリエステルは、これまでに生分解性持続薬物送達システムで使用されてきた最も一般的なポリマーの1つである。例えば、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)またはポリラクチドは、進行前立腺癌の治療用のLupron Depot製品およびEligard(登録商標)製品で使用されているポリマー材料である。これらのポリエステルは、生体適合性であり、天然由来の代謝産物をもたらす加水分解および酵素分解などの一般的な生化学的経路によって分解される。製品安定性を維持するために、Eligardは、別々に包装され、注射直前に混合される生物活性物質および担体を必要とする。製品の臨床効果を損ない得る投与エラーの再構成および経路は、Eligardで報告されている[Canada Health Product InfoWatch-2017年1月]。
塩基性官能基を含む生物活性剤が生分解性ポリマーと相互作用してポリマーの分解を触媒し(または促進し)、ポリマーおよび/またはその分解生成物に結合することは当技術分野ではよく認識されている。基本的な生物活性剤とポリマー担体との間の相互作用/反応は以下のときに生じ得る:1)基本的な生物活性剤がポリマー担体に組み込まれる調製中、例えば、マイクロカプセル化、射出成形、押出成形、有機溶媒中ポリマー溶液と混合するなど、2)貯蔵中、および3)生分解のプロセス中、およびインビボでの生物活性剤の放出中。
米国特許第8,343,513号は、ミクロスフェア剤を調製するプロセスにおいて不純物を生み出す求核官能基を含有する生物活性剤と生分解性ポリマーとの間の反応物を除去する、または減少させるいくつかの方法を開示した。その記載によると、「ミクロスフェア中の不純物を除去するまたは減少させるためのあらゆる努力において、以下の一般的な考慮事項に留意すべきである。(i)PLGAミクロスフェア中のラクチド含有量が高いほど、関連物質の量が少なくなり、100%PLAから調製されるミクロスフェアは、関連物質の量が最も少なくなる、(ii)PLGA分子量が高いほど、関連物質も高くなり、PLGA中の標的負荷が高いほど、関連物質のレベルが高くなる、および(iii)PLGA中の抽出可能なオリゴマーのレベルが低いほど、関連物質のレベルが高くなり、疎水性PLGA(末端ブロックPLGA)は、親水性PLGA(遊離酸末端基)と比較すると、より多くの関連物質を生成することができる。」[米国特許第8,343,513号、第11欄第2段落を参照されたい]。全体的な教示は、かなりの追加量の低pKa酸添加剤またはオリゴマーを添加した酸末端基を有する低分子量のポリエステルを使用することである。酸添加剤の例には、PLGAにとってモノマービルディングブロックである乳酸およびグリコール酸が挙げられる。酸添加剤の量が過剰だと、ジクロロメタンおよびメタノールなどの薬学的に許容されない溶媒中で短時間(24時間)内に不純物の生成を成功裏に減少させることはいくらか限られる。加えて、酸添加剤は、分散相において低pHを生じる。低pHが組織の炎症の原因となることは周知である。したがって、このような分散相は、ミクロスフェアの製造で用いることはできるが、直接注射による患者への投与には適していない。
したがって、有機溶液中のペプチド薬剤とポリマーとの間の相互作用/反応を最小化または防止する医薬組成物を開発する必要がある。さらに、すぐに使用できる製品構成で満足のいく貯蔵保証期間を有し、安定し、所望期間にわたり制御放出薬物を提供できる医薬組成物を開発する必要がある。
強酸(例えば、塩酸またはメタンスルホン酸)で形成された塩の形態でペプチド薬剤を含む注射用生分解性ポリマー組成物は、弱酸(例えば、酢酸)で形成された塩の形態、または遊離塩基の形態のものよりも、はるかい高い安定性を示すことがこれまでにわかっている。そのようなペプチド薬剤の有益な塩は、任意のペプチドの塩基性基を強酸で中和することにより形成することができる。強酸で形成されたそのようなペプチド薬剤の有益な塩が注射用生分解性ポリマー組成物に調製されると、ペプチド薬剤とポリマーとの間の相互作用/反応は最小化または防止される。強酸で形成されたそのようなペプチド薬剤の有益な塩を用いることで、満足のいく貯蔵安定性を有したすぐに使える構成で単一シリンジにあらかじめ充填され安定した注射用組成物を調製することが可能になる。
このような組成物のポリマーが、水性環境下で一旦注入されると、弱酸で形成された塩を用いる組成物のポリマーよりも早く分解することがわかったのは予想外であった。これは意外なことである。強酸から形成された塩の形態でペプチド薬剤を含む組成物は、ペプチド純度およびポリマー分子量安定性の両方において、弱酸で形成された塩を用いて形成された組成物よりも、はるかに高い貯蔵安定性および有効期間を有するからである。この結果を用いて、適合した放出持続時間を有する製剤の組成物を調製することができる。
製品の添付文書によれば、市販されている製品ELIGARD(登録商標)は、皮下注射用のロイプロリド酢酸塩の無菌ポリマーマトリックス製剤である。同製品は、1ヵ月間、3ヵ月間、4ヵ月間、または6ヵ月間の治療期間にわたり制御された速度でロイプロリド酢酸塩を送達するようにデザインされている。
ELIGARD(登録商標)は、2つの別々の無菌シリンジにあらかじめ充填され、供給される。1つのシリンジは、ATRIGEL(登録商標)送達システムが含まれ、もう一つにはロイプロリド酢酸塩が含まれる。ATRIGEL(登録商標)は、生体適合性溶媒のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に溶解した生分解性ポリ(DL-ラクチド-co-グリコリド)(PLGHまたはPLGA)ポリマー製剤からなるポリマー(ゼラチン非含有)送達システムである。
2つの別々のシリンジの含有物は、投与直前に混合される。2つのシリンジをつなげて、それが均質になるまでこの単回投与製品を混合する。この混合物は安定してないので、直ちに使用する必要があるが、30分以内に使用しない場合、廃棄されなければならない。ELIGARD(登録商標)は、皮下投与され、皮下でELIGARD(登録商標)は固体薬物送達デポーを形成する。
PLGAHポリマーは、1ヵ月期間製品で用いられるが、一方PLGAポリマーは、3ヵ月、4ヵ月、または6ヵ月期間製品で用いられる。PLGHコポリマー(DL-ラクチド対グリコリドを50:50のモル比で有する)は、ポリマーの分解を促進するカルボキシル末端基を含む。3ヵ月および4ヵ月期間製品用のPLGAコポリマーは、DL-ラクチド対グリコリドを75:25のモル比で有するが、一方6ヵ月期間製品用のPLGAコポリマーはDL-ラクチド対グリコリドを85:15のモル比で有する。PLGAコポリマーは、イニシエータとしてヘキサンジオールで製造され、両端にヒドロキシル末端基を有するPLGAコポリマーになる。
本発明者らは、ロイプロリド酢酸塩の代わりに強酸で形成されたロイプロリド塩を用いることにより、結果として生じる製剤の安定性がかなり改善され得ることを見出した。安定した最終製剤は、単一シリンジにあらかじめ充填されることができ、適切な貯蔵有効期間を有する。
しかし、ロイプロリドメシル酸塩または他の強酸塩を含有する製剤は、貯蔵中ロイプロリド酢酸塩または他の弱酸塩を含有する製剤よりもさらに安定しているが、ロイプロリドメシル酸塩含有製剤中のPLGAポリマーがインビトロおよびインビボ放出中、ロイプロリド酢酸塩含有製剤中の該ポリマーよりも早く分解したことが見出されたのは意外であった。この特性は直感でわかるものではなく、極めて予想外である。これらの特性を有利に用いて、良好で改善された製品を調製するように製剤を適合させ、微調整することができる。
したがって、本発明は、LHRHアゴニストまたはアンタゴニストのための経済的、実用的、かつ効率的な制御放出送達システムを形成するための安定した注射用生分解性ポリマー組成物を提供する。本発明は、製造方法およびそれを使用する方法も提供する。本発明によれば、薬物送達システムは、容易に生成され、哺乳動物またはヒトなどの対象に便宜に送達される。組成物は、強酸から形成されたペプチドの塩とともに組成物で使用される生分解性ポリマーの特定の組成に基づいて、所望の長期間にわたり治療量のペプチドを送達する。組成物は、生適合性であるとともに生分解性であり、ペプチド薬剤の投与量を送達した後、害を及ぼすことなく消失する。
本発明に従う組成物は、a)有機溶液中のペプチドとポリマーとの間の相互作用/反応を最小化または防止する強酸で形成されたLHRHアゴニストまたはアンタゴニストの塩と、b)生分解性ポリマーと、c)一緒に調製されると、LHRHアゴニストまたはアンタゴニストを1ヵ月間、3ヵ月間、4ヵ月間、もしくは6ヵ月間にわたり送達することができる薬学的に許容される有機溶媒とを含む。本発明によれば、医薬組成物は、任意に、ペプチド薬剤の最適な送達を達成するための賦形剤を含んでもよい。医薬組成物は、シリンジを用いて注入されることができるように、流体として動く粘性液体もしくは非粘性液体、ゲルまたは反固体であってよい。医薬組成物は、すぐに使用できる構成で製品を形成するために、1つのシリンジにあらかじめ充填されてもよい。
本発明に従う組成物は、a)強酸で形成されたLHRHアゴニストまたはアンタゴニスト塩と、弱酸で形成されたLHRHアゴニストまたはアンタゴニスト塩との混合物であって、強酸対アゴニストのモル比が1:1~2:1であり、該組成物がLHRHアゴニストまたはアンタゴニストに対する強酸を形成するために用いられる酸の他に過剰な酸を含まない、混合物と、b)生分解性ポリマーと、c)一緒に調製されると、LHRHアゴニストまたはアンタゴニストを1ヵ月間、3ヵ月間、4ヵ月間、もしくは6ヵ月間にわたり送達することができる薬学的に許容される有機溶媒とを含む。本発明によれば、医薬組成物は、任意に、ペプチド薬剤の最適な送達を達成するための賦形剤を含んでもよい。医薬組成物は、シリンジを用いて注入されることができるように、流体として動く粘性液体もしくは非粘性液体、ゲルまたは反固体であってよい。医薬組成物は、すぐに使用できる構成で製品を形成するために、1つのシリンジにあらかじめ充填されてもよい。
ロイプロリド、トリプトレリン、およびゴセレリンなどのLHRHは、2つの塩基性官能基、すなわち、適切な対イオンとイオン対を形成することができるヒスチジンとアルギニンを含む。強酸で形成されたLHRHアゴニストまたはアンタゴニストの塩は、2:1に等しい、強酸対LHRHアゴニストまたはアンタゴニストの化学量論的に正常な比率を達成することができる。LHRHアゴニストまたはアンタゴニストの塩も、強酸と弱酸の混合物を含むように調製され得るが、(強酸+弱酸)対LHRHアゴニストまたはアンタゴニストの比率は、2:1以下である。塩混合物の場合、強酸対LHRHアゴニストまたはアンタゴニストのモル比は、1:1~2:1である。塩混合物組成または比率を変えることによって、水性環境下またはヒト体内でのLHRHの放出プロファイルは、所望の貯蔵安定性および薬物送達持続時間を達成するように適合させることができる。本明細書に開示するLHRHアゴニストまたはアンタゴニストの塩は、3を超える、好ましくは4を超える、USP<791>方法で決定されるpH(50mg/mLで水に溶解した)値を有する。
本発明の一実施形態によれば、LHRHアゴニストまたはアンタゴニストは、ペグ化、アシル化などによって生成され得る親水性部分および/または親油性部分で共有結合的に修飾されるN末端一級アミン基、または側鎖一級アミン基のいずれかを有する。さらに、ペプチド薬剤のN末端一級アミン基および側鎖一級アミン基の両基も、ペグ化、アシル化などによって親水性部分および/または親油性部分と同時に共有結合的に修飾され得る。
強酸は、水中で3未満、好ましくは0未満のpKaを有する任意の酸であってよい。例えば、強酸は、これらに限定されるものではないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、有機硫酸、炭素数1~40のアルキル硫酸、硝酸、クロム酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、有機スルホン酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、臭化酢酸、クロロ酢酸、シアノ酢酸、2-クロロプロパン酸、2-オキソブタン酸、2-クロロブタン酸、4-シアノブタン酸、過塩素酸、リン酸、ヨウ化水素などからなる群から選択されてよい。好ましい強酸は、塩酸またはメタンスルホン酸のいずれかである。
生分解性ポリマーは、あらゆる生体適合性ポリマーおよび薬学的に許容されるポリマーであり得る。生分解性ポリマーは、熱可塑性であってよく、加熱すると融解し、冷却すると凝固する。本発明の生分解性ポリマーは、実質的に水性液または体液に不溶であるが、実質的に水溶性有機溶媒に溶解または分散して、溶液または懸濁液を形成することができる。水性液と接触すると、水溶性有機溶媒は、本発明の組成物から拡散/消散し、これによりポリマーが凝固し、ペプチド薬剤をカプセル化するゲルマトリックスまたは固体マトリックスを形成させる。本発明によれば、生分解性ポリマーは、直鎖状ポリマー、もしくは分岐ポリマー、もしくはこの2つのポリマーの混合物であり得る。好ましくは、ポリマーはラクチドベースのポリマーである。ラクチドベースのポリマーには、乳酸もしくはラクチドモノマーのホモポリマー(ポリ(乳酸)もしくはポリラクチド、PLA)、および乳酸(もしくはラクチド)と他のモノマーとのコポリマー(例えば、グリコール酸、グリコリド(ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、PLGもしくはPLGA)など)が挙げられる。本発明に適しているポリマーの例には、これらに限定されるものではないが、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリ無水物、ポリウレタン、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリジオキサノン、ポリアセタール、ポリケタール、ポリカーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリホスファゼン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシバレレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンコハク酸、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(マレイン酸無水物)、およびコポリマー、ターポリマー、またはそれらの組み合わせもしくは混合物が挙げられる。乳酸ベースのポリマー、ならびにポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)とポリ(L-ラクチド-co-グリコリド)を含む乳酸およびグリコール酸のコポリマー(PLGA)を本発明において用いることが好ましい。いくつかの実施形態では、PLGAポリマーは、約2,000~約100,000の量平均分子量を有し、乳酸対グリコール酸のモノマー比が約50:50~約100:0である。本発明の好ましいポリマーは、6ヵ月間の制御送達のために11,000~約18,000の分子量を有するPLAと、3ヵ月間または4ヵ月間の送達のために80~90%のラクチド含有量を有し、分子量が10,000ダルトン~25,000ダルトンのであるPLGAとである。
薬学的に許容される有機溶媒は、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルアセトアミド、メトキシポリエチレングリコール、アルコキシポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールエステル、グリコフロール、グリセロルホルマール、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、カプロラクタム、デシルメチルスルホキシド、安息香酸ベンジル、安息香酸エチル、トリアセチン、ジアセチン、トリブチリン、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、トリエチルグリセリド、リン酸トリエチル、フタル酸ジエチル、酒石酸ジエチル、乳酸エチル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、ブチロラクトン、および1-ドデシルアザシクロ-ヘプタン-2-オン、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
本発明によれば、1つ以上の賦形剤を本発明の組成物に組み込んで、ペプチド薬剤の最適な送達を達成することができる。適切な賦形剤には、放出速度調整剤、バースト効果低減物質、緩衝物質、抗酸化剤などが含まれてもよい。
本発明によれば、適切な放出速度調整剤としては、これらに限定されるものではないが、両親媒性化合物またはコポリマー、例えばアルカンカルボン酸、オレイン酸、アルキルアルコール、極性脂質、界面活性剤、ポリエチレングリコールおよびポリラクチドまたはポリ(ラクチド-co-グリコリド)のコポリマー、ポロクサマー、ポリビニルピロリドン、ポリソルベートなど;モノカルボン酸、ジカルボン酸、およびトリカルボン酸のエステル、例えば酢酸2-エトキシエチル、安息香酸ベンジル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、グリセロールトリアセテート、ジ(n-ブチル)セバケートなど;ポリヒドロキシアルコール、例えばポリエチレングリコール、ソルビトールなど;脂肪酸;グリセロールのトリエステル、例えばトリグリセリド、中鎖トリグリセリド、例えばMIGLYOL810、812、818、829、840などが挙げられる。速度調整剤の混合物も本発明のポリマーシステムで用いることができる。
本発明によれば、適切な緩衝剤としては、これらに限定されるものではないが、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、ミリスチン酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、オレイン酸マグネシウム、パルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、炭酸亜鉛、水酸化亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、リン酸亜鉛、およびこれらの組み合わせを含む無機塩および有機塩が挙げられる。
本発明によれば、適切な抗酸化剤としては、これらに限定されるものではないが、d-α-トコフェロールアセテート、アスコルビルパルミテート、ブチルヒドロキシアニドール、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシキノン、ヒドロキシクマリン、ブチルヒドロキシトルエン、エチルガレート、プロピルガレート、オクチルガレート、ラウリルガレート、プロピルヒドロキシベンゾエート、トリヒドロキシブチロフェノン、ビタミンE、ペグ化ビタミンE、またはビタミンE-TPGSなどが挙げられる。
本発明は、さらに、このような組成物を生成し、使用する方法を提供する。例えば、このような組成物を生成する方法は、ポリマーと塩基性アミン基の相互作用/反応を最小化または防止するように、ペプチド薬剤の塩基性アミン基を中和することにより有益な塩を形成すること、有益な塩と他の成分および任意に1種以上の賦形剤を組み合わせることとを含む。好ましくは、ペプチド薬剤の有益な塩は、最初に形成され、次いで有機溶媒中で溶解されたポリマーと結合される。このような組成物は、微粒子形成または他のインプラント可能なマトリックス形成などの制御送達システムの作製プロセスの前およびプロセス中、物理化学的に安定している。好ましくは、そのような注射用組成物は、調製、貯蔵、およびそれに続く対象への投与の間、物理化学的に安定し、組織部位に投与されると着実な制御放出インプラント剤を形成する。本発明の組成物は、ペプチドの放出の持続時間が6ヵ月までの期間にわたり制御されるような、生分解性ポリマーを含む。
本発明は、さらに、一貫した制御放出デポーシステムを形成するための注射用組成物の投与用キットを提供し、該キットは、薬学的に許容される溶媒に溶解した生分解性ポリマーと、ポリマー溶媒中で溶解または分散された強酸で形成されたLHRHアゴニストまたはアンタゴニストの有益な塩と、任意に1種以上の賦形剤とを含む。すべての成分の均一な混合物は、1つの容器に包装される。好ましくは、容器はシリンジである。したがって、本発明は、すぐに使用できる構成で安定した製品を形成するためにシリンジに該組成物を充填するステップを含む方法も提供する。
本発明は、さらに、1ヵ月間、3ヵ月間、4ヵ月間、または6ヵ月間にわたり対象においてLHRHアゴニストまたはアンタゴニストの制御放出送達システムとして機能することができるインプラントをインサイチュで形成する方法を提供する。LHRHアゴニストまたはアンタゴニストは、好ましくは、インサイチュで形成されたインプラントに組み込まれ、続いてポリマーが分解すると、周辺組織液中に、次いで適切な体組織または器官に放出される。この方法は、本発明の注射用組成物をインプラント部位に、液体剤を適用するための任意に適した方法で、例えば、シリンジ、針、カニューレ、カテーテル、圧力アプリケーターなどの手段によって投与することを含む。
Eligard(登録商標)45mg放出と比較して、異なるポリマーからのロイプロリドメシル酸塩のインビトロ放出を示すグラフである。 単回皮下投与後の雄マウスにおける平均血清濃度-時間プロファイルを示すグラフである。 PLA/NMP溶液からのLAMSおよびLAAcのインビトロ放出を示すグラフである。 Eligard(登録商標)45mg放出と比較して、Eligard(登録商標)45mg溶液からのLAMS放出を示すグラフである。 PLAポリマーからの放出と比較して、異なるPLGAポリマーからのロイプロリドメシル酸塩のインビトロ放出を示すグラフである。 8515PLGAポリマーからのLAMSのインビトロ放出を示すグラフである。 PLGA/NMP製剤中のLAMSを注射した後の雄SDマウスの血清テストステロン濃度を示すグラフである。 pH7.4のPBS中、37℃での種々のPLA製剤からのロイプロリドのインビトロ放出を示すグラフである。 pH7.4のPBS中、37℃でのPLGA5050製剤からモル比1.6:1および2:1を有するロイプロリドメシル酸塩のインビトロ放出を示すグラフである。
本発明は、1ヵ月間、3ヵ月間、4ヵ月間、または6ヵ月間にわたるロイプロリドの制御放出用の経済的、実用的、かつ効率的な放出送達システムを形成するための安定した注射用生分解性ポリマー組成物を提供する。本発明は、製造方法およびそれを用いる方法も提供する。
本発明の組成物は、a)有機溶液中のペプチド薬剤とポリマーとの間の相互作用/反応を最小化または防止する強酸で形成されたLHRHアゴニストまたはアンタゴニストの有益な塩と、b)生分解性ポリマーと、c)薬学的に許容される有機溶媒とを含む。本発明によれば、医薬組成物は、ペプチド薬剤の最適な送達を達成するために、任意に1種以上の賦形剤を含んでよい。本発明の注射用ポリマー組成物は、シリンジを用いて注入されることができるように、流体として動く粘性液体もしくは非粘性液体、ゲルまたは反固体であってよい。注射用ポリマー組成物は、すぐに使用できる構成で製品キットを形成するために、1つのシリンジにあらかじめ充填されてもよい。
本発明に従う組成物は、a)強酸で形成されたLHRHアゴニストまたはアンタゴニスト塩と、弱酸で形成されたLHRHアゴニストまたはアンタゴニスト塩との混合物であって、強酸対LHRHアゴニストまたはアンタゴニストのモル比が1:1~2:1であり、該組成物がLHRHアゴニストまたはアンタゴニストに対する強酸を形成するために用いられる酸の他に過剰な酸を含まない、混合物と、b)生分解性ポリマーと、c)一緒に調製されると、LHRHアゴニストまたはアンタゴニストを1ヵ月間、3ヵ月間、4ヵ月間、もしくは6ヵ月間にわたり送達することができる薬学的に許容される有機溶媒とを含む。本発明によれば、医薬組成物は、ペプチド薬剤の最適な送達を達成するために、任意に賦形剤を含んでよい。医薬組成物は、シリンジを用いて注入されることができるように、流体として動く粘性液体もしくは非粘性液体、ゲルまたは反固体であってよい。医薬組成物は、すぐに使える構成で製品を形成するために、1つのシリンジにあらかじめ充填されてもよい。
本発明の制御放出送達システムは、インプラント可能なポリマーマトリックス剤としてインビトロで形成されてもよく、あるいはゲル剤または固体インプラント剤の形態で、インサイチュで形成されてもよい。対象に投与されると、ペプチドの制御放出は、インプラント剤の組成に応じて所望の期間にわたり持続されることができる。生分解性ポリマーおよび他の成分を選択することで、ペプチド薬剤の持続放出の持続時間を1ヵ月間~6ヵ月間にわたり制御することができる。
本明細書で用いる場合、「a」、「an」、および「one」という用語は、「1つ以上」および「少なくとも1つ」と解釈されることを意味する。
本明細書で用いる場合、「安定した」という用語は、注射用ポリマー組成物中の成分の安定性の著しい改善を指す。これは、有望な製品を開発するために必要な安定した状態を達成するのに必要である。本明細書で用いる場合、「安定した注射用ポリマー組成物」という用語は、組成物の成分、例えばポリマーおよびペプチド薬剤が製造中、および適切な条件下で長期間、例えば数ヵ月間~数年間、好ましくは12ヵ月間を超える貯蔵後、それらの元の分子量、構造および/または生物活性の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%を保持することを意味する。
本明細書で定義する「制御放出送達」という用語は、投与後、所望の長期間、好ましくは1ヵ月間~6ヵ月間にわたるインビボでのペプチド薬剤の送達を指すことを意図する。
本明細書で用いる場合、「ペプチド」または「ペプチド薬剤」という用語は、一般的な意味で、通常は一般的に、本明細書では同じ意味で用いている「ペプチド」、「オリゴペプチド」、および「ポリペプチド」または「タンパク質」と呼ばれるポリ(アミノ酸)を含む。この用語は、ペプチド薬剤類似体、誘導体、アシル化誘導体、グリコシル化誘導体、ペグ化誘導体、融合タンパク質なども含む。「塩基性ペプチド薬剤」とは、本来塩基性であり、塩基性アミノ酸の存在から生じる、例えば、アルギニンもしくはリジン、またはペプチド薬剤のN末端から生じる、または任意に1つ以上の酸性アミノ酸基の存在下で単に、少なくとも1つの塩基性基を含むペプチド薬剤であるペプチドである。この用語は、ペプチドの合成類似体、塩基性官能性、または任意の他の導入された塩基性を有する非天然アミノ酸も含む。
「ペプチド薬剤」という用語は、これらに限定されるものではないが、例えば、代謝拮抗性特性、抗真菌性特性、抗炎症特性、抗腫瘍性特性、抗感染症特性、抗生物質特性、栄養素特性およびアゴニスト特性、およびアンタゴニスト特性を含む診断特性および/または治療特性を有する任意のペプチド薬剤を含むことを意味する。
具体的には、本発明のペプチド薬剤は、強酸と有益な塩を形成することができるあらゆるペプチド、特に、塩基性窒素原子、例えば、アミン、イミンまたは環窒素などの電子供与性の塩基性基を含むペプチド薬剤であってよい。ペプチド薬剤は、好ましくは、1つ以上の露出したプロトン化可能なアミン官能基を含む。本発明の組成物の調製において有用なペプチド薬剤には、これらに限定されるものではないが、オキシトシン、バソプレッシン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、プロラクチン、黄体形成ホルモン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRHアゴニスト、LHRHアンタゴニスト、成長ホルモン(ヒト、ブタ、およびウシを含む)、成長ホルモン放出因子、インスリン、エリスロポエチン(赤血球生成活性を有するすべてのタンパク質を含む)、ソマトスタチン、グルカゴン、インターロイキン(IL-2、IL-11、IL-12などを含む)、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、ガストリン、テトラガストリン、ペンタガストリン、ウロガストロン、セクレチン、カルシトニン、エンケファリン、エンドルフィン、アンギオテンシン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、腫瘍壊死因子(TNF)、副甲状腺ホルモン(PTH)、神経成長因子(NGF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、マクロファージ-コロニー刺激因子(M-CSF)、ヘパリナーゼ、血管内皮増殖因子(VEG-F)、骨形態形成タンパク質(BMP)、hANP、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、エキセナチド、ペプチドYY(PYY)、レニン、ブラジキニン、バシトラシン、ポリミキシン、コリスチン、チロシジン、グラミシジン、シクロスポリン(合成類似体およびその薬理学的活性フラグメントを含む)、酵素、サイトカイン、抗体、ワクチン、抗生物質、抗体、糖タンパク質、卵胞刺激ホルモン、キョートルフィン、タフトシン、サイモポエチン、サイモシン、チモスチムリン、胸腺液性因子、血清胸腺因子、コロニー刺激因子、モチリン、ボンベシン、ジノルフィン、ニューロテンシン、セルレイン、ウロキナーゼ、カリクレイン、サブスタンスP類縁体およびアンタゴニスト、アンギオテンシンII、血液凝固第VII因子および第IX因子、グラミシジン、メラニン細胞刺激ホルモン、甲状腺ホルモン放出ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、パンクレオザイミン、コレシストキニン、ヒト胎盤性ラクトゲン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、タンパク質合成刺激ペプチド、胃抑制ペプチド、血管作動性腸管ペプチド、血小板由来成長因子、ならびにそれらの合成類似体と修飾体および薬理学的活性フラグメントが挙げられる。
本明細書で用いる好ましいペプチド薬剤には、そのN末端が一級アミンでない、ペプチド薬剤が挙げられる。例えば、ヘプチド薬剤のN末端は、ピログルタミン酸、例えば、LHRH,およびロイプロレリン、ブセレリン、ゴナドレリン、デスロレリン、フェルチレリン、ヒストレリン、ルトレリン、ゴセレリン、ナファレリン、トリプトレリンなどのLHRHアゴニストであってよい。あるいは、N末端アミン基は、例えば、セトロレリクス、エンフビルチド、サイモシンα1、アバレリックスなど、キャップされてもよく、またはアシル化されてもよい。
本明細書で用いる好ましいペプチド薬剤も、そのN末端一級アミンがペグ化、アシル化などによって親水性部分および/または親油性部分で共有結合的に修飾されているペプチド薬剤を含む。本明細書で用いるペプチド薬剤は、さらに、その側鎖一級アミン(複数可)がペグ化、アシル化などによって親水性部分および/または親油性部分で共有結合的に修飾されているペプチド薬剤を含む。本明細書で用いる好ましいペプチド薬剤は、さらに、そのN末端一級アミン基および側鎖一級アミン基の両基がペグ化、アシル化などによって親水性部分および/または親油性部分と同時に共有結合的に修飾されているペプチド薬剤を含む。
「親水性部分」という用語は、あらゆる水溶性直鎖状、または分岐オリゴマーもしくはポリマーを指し、これらに限定されるものではないが、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール、ならびに同様の直鎖状ポリマー、分岐ポリマーを含む。好ましくは、ポリマーの分子量は、約500ダルトン~約50,000ダルトンにわたる。本発明で用いる親水性ポリマーは、アミン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、またはチオール基を介して関心のペプチド薬剤への結合のために組み込まれた反応基を有し得る。
本明細書で用いる場合、「ペグ化」という用語は、可溶性ポリエチレングリコールのペプチド薬剤への共有結合を指す。ポリエチレングリコールは、標準プロトコルに従って、一端をメトキシ基で同様にキャップし、他端をペプチド薬剤での活性基との結合を容易にするために活性化させることで調製することができる。例えば、ポリエチレングリコールを調製するための種々の方法およびペグ化のためのそれらの使用は、当技術分野で記述されており[例えば、Roberts MJ,Bentley MD,Harris JM,Chemistry for peptide and protein PEGylation.Adv Drug Deliv Rev.2002 Jun 17;54(4):459-76.Veronese FM.Peptide and protein PEGylation:a review of problems and solutions.Biomaterials.2001 Mar;22(5):405-17および米国特許第6,113,906号、同第5,446,090号、同第5,880,255号]、これらすべては、参照により本明細書に組み込まれる。
「親油性部分」という用語は、水への溶解度が20℃で5mg/mL未満、好ましくは0.5mg/mL未満、より好ましくは0.1mg/mL未満のあらゆる分子を指す。そのような親油性部分は、好ましくは、C2~39-アルキル、C2~39-アルケニル、C2~39-アルカジエニルおよびステロイドの残基から選択される。「C2~39-アルキル、C2~39-アルケニル、C2~39-アルカジエニル」という用語は、直鎖および分岐鎖、好ましくは直鎖、飽和、一価不飽和、および二価不飽和の炭素数2~39の炭化水素を包含することを意図する。
親油性部分をそのペプチド薬剤に共有結合的に導入することにより、天然型分子と比較して、治療効果を改善し得る親油的に修飾されたペプチドがもたらされる。これは、通常、ペプチド薬剤中のアミン基を親油性分子中の酸基または他の反応基と反応させることにより行うことができる。あるいは、ペプチド薬剤と親油性分子との間の結合は、分解性または非分解性であり得る架橋、スペーサー、または結合部分などの追加の部分によって達成される。いくつかの例は、従来技術に開示されている[例えば、Hashimoto,M.,ら、Pharmaceutical Research,6:171-176(1989)、およびLindsay,D.G.,ら、BiochemicalJ.121:737-745(1971)、米国特許第5,693,609号、国際公開第WO95/07931号、米国特許第5,750,497号、および国際公開第WO96/29342、同第WO98/08871号、同第WO98/08872号、および同第WO99/43708号]。これらの開示は、親油性修飾ペプチドを記述するため、および同ペプチドの調製を可能にするために参照により本明細書に明示的に組み込まれている。
本明細書で定義する「強酸」という用語は、pKaが3未満、好ましくは0未満のあらゆる酸を含むことを意味する。本発明に適した強酸は、これらに限定されるものではないが、塩酸、臭化水素酸、硝酸、クロム酸、硫酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸(p)、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、臭化酢酸、クロロ酢酸、シアノ酢酸、2-クロロプロパン酸、2-オキソブタン酸、2-クロロブタン酸、4-シアノブタン酸、パモ酸、過塩素酸、リン酸、ヨウ化水素などからなる群から選択されてよい。
また、本発明の「強酸」には、炭素数1~40、好ましくは炭素数18未満、より好ましくは炭素数6未満のアルキル硫酸、アリール硫酸、またはアルキルアリール硫酸などのあらゆる有機硫酸、ならびに炭素数1~40、好ましくは炭素数18未満、より好ましくは炭素数6未満のアルカンスルホン酸、アリールアルカンスルホン酸、アレーンスルホン酸、またはアルケンスルホン酸などの有機スルホン酸が挙げられる。本明細書で定義する「弱酸」は、pKaが3を超えるあらゆる酸を含むことを意味する。本発明に適した弱酸は、これらに限定されるものではないが、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2-オキソグルタル酸、4-アセトアミド安息香酸、4-アミノサリチル酸、酢酸、アジピン酸、アスコビル酸(L)、アスパラギン酸(L)、安息香酸、樟脳酸(+)、カプリン酸(デカン酸)、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸(D)、グルコン酸(D)、グルクロン酸(D)、グルタミン酸、グルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸(DL)、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸(-L)、マロン酸、マンデル酸(DL)、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸(-L)、サルチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸(+L)、チオシアン酸、ウンデシレン酸などからなる群から選択されてよい。
本明細書で定義する「ペプチド薬剤の有益な塩」という用語は、強酸で形成さえたペプチド薬剤のあらゆる塩を含むことを意味する。ペプチド薬剤の有益な塩は、単純な酸および塩基の滴定または中和によって調製することができる。ペプチド薬剤の有益な塩は、その合成および精製プロセス中に調製されることができる。あるいは、有益な塩は、遊離塩基の形態でペプチド薬剤から調製されることができる。有機塩基は適切な液体培地に溶解させる。ペプチド薬剤のこの溶液を強酸の溶液と混合して、沈殿、ろ過または凍結乾燥などの適切な手段により溶媒を除去することで有益な塩を形成する。ペプチド薬剤が酢酸などの弱酸(すなわち、pKa>3)で形成された塩の形態で市販されている場合、弱酸は、凍結乾燥、沈殿または当技術分野で知られている他の方法などの一般的なイオン交換法により強酸に交換することができる。例えば、ロイプロリド酢酸塩は、適切な液体媒体、例えば水に溶解させる。このペプチド薬剤の溶液をメタンスルホン酸などの強酸の水溶液と混合する。ペプチド酢酸塩およびメタンスルホン酸などの強酸を水に溶解させると、強いメタンスルホン酸が弱い酢酸カルボン酸を置換するので、ペプチドはメシル酸塩イオンと結合する傾向がある。溶媒および遊離した酢酸(または他の弱酸だが揮発性カルボン酸)は、真空下または凍結乾燥下で除去することができる。したがって、混合溶液を凍結乾燥させて、水分および弱酸を除去し、有益な塩を形成する。ペプチド薬剤が低pH下で安定してない場合、ペプチド薬剤の有益な塩は、極めて低濃度の強酸に対する広範透析により調製されることができる。
本発明の注射用ポリマー組成物は、0.01~40重量%の範囲でペプチド薬剤を含んでよい。一般に、最適な薬物負荷は、所望の放出期間およびペプチド薬剤の効力に依存する。明らかに、低効力、長期間放出のペプチド薬剤の場合、高レベルの取り込みが必要とされ得る。
「生分解性」という用語は、インサイチュで次第に分解し、溶解し、加水分解するおよび/または侵食する物質を指す。概して、「生分解性ポリマー」は、本明細書では主に加水分解および/または酵素分解によりインサイチュで加水分解性および/または生体侵食性であるポリマーである。
本明細書で用いる場合、「生分解性ポリマー」という用語は、ポリマーが水性培地または体液中で少なくとも実質的に不溶性であることを条件として、インビボで用いることができる、あらゆる生体適合性および/または生分解性の合成ポリマーおよび天然ポリマーを含むことを意味する。本明細書で用いる場合、「実質的に不溶性」という用語は、ポリマーの不溶性が水性培地または体液中でポリマーの沈殿をもたらすのに十分でなければならないことを指す。好ましくは、ポリマーの溶解度は、1重量%未満、より好ましくは0.1%未満である。水混和性または水分散性の有機溶媒中のポリマー溶液を水溶液と混合すると、ポリマーは沈殿して、有機溶媒が消散すると、固体マトリックスまたはゲル化マトリックスを形成する。適切な生分解性ポリマーは、例えば、米国特許第4,938,763号、同第5,278,201号、同第5,278,2012号、同第5,324,519号、同第5,702,716、同第5,744,153号、同第5,990,194号、および同第6,773,714号に開示されている。ポリマーのいくつかの非限定的な例として、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリカーボネート、ポリヒドロキシ酪酸、ポリアルキレンオキサレート、ポリ無水物、ポリエステルアミド、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリオルトカーボネート、ポリホスファゼン、ポリヒドロキシバレレート、ポリアルキレンコハク酸、ポリ(リンゴ酸)、およびポリオルトエステル、ならびにコポリマー、ブロックコポリマー、分岐コポリマー、ターポリマー、およびそれらの組み合わせもしくは混合物が挙げられる。
ブロックコポリマーには、A-B-Aブロックコポリマー、B-A-Bブロックコポリマー、および/またはA-Bブロックコポリマーおよび/または分岐コポリマーが挙げられる。好ましいブロックコポリマーは、Aブロックが疎水性ポリマーを含み、Bブロックが親水性ポリマーを含むものである。特に、前述のブロックコポリマーの1つを用いる場合、最も好ましいポリマーマトリックスは、Aブロックがポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ポリ無水物、ポリ(オルトエステル)、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、およびそれらの混合およびコポリマーであり、ならびにBブロックがポリエチレングリコールまたはメトキシポリエチレングリコールなどの単官能誘導体化ポリエチレングリコールであると定義する。これらの組み合わせの多くは、許容される熱可逆性ゲルを形成することができる。
ポリマーに適した分子量は、当技術分野の当業者により決定されることができる。分子量を決定するときに考慮され得る要素には、所望のポリマー分解速度、機械的強度、および有機溶媒中でのポリマーの溶解速度が挙げられる。通常、他の要素の中で、使用するポリマーの選択によって、ポリマーの量平均分子量の適切な範囲は、約2,000ダルトン~約100,000ダルトンであり、多分散性は1.1~2.5、好ましくは1.1~2.0、より好ましくは1.1~1.8である。
本発明の注射用ポリマー組成物は、10重量%~70重量%の範囲で生分解性ポリマーを含んでよい。本発明の注射用組成物の粘度は、使用するポリマーおよび有機溶媒の分子量に依存する。通常、同じ溶媒を使用する場合、ポリマーの分子量および濃度が高いほど、粘度も高くなる。好ましくは、組成物中のポリマーの濃度は、70重量%未満である。より好ましくは、組成物中のポリマーの濃度は、30重量%~60重量%である。
ポリ(乳酸)、およびポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)とポリ(L-ラクチド-co-グリコリド)を含む乳酸とグリコール酸のコポリマーは、本発明で好ましく用いられる。ポリマー(または熱可塑性ポリエステル)は、乳酸対グリコール酸のモノマー比が約50:50~約100:0であり、量平均分子量が約2,000~約100,000である。生分解性の熱可塑性ポリエステルは、当技術分野で知られている方法、例えば、重縮合および開環重合(例えば、米国特許第4,443,340号、同第5,242,910号、同第5,310,865号、これらすべては参照により本明細書に組み込まれている)を用いて調製されることができる。ポリ(DL-ラクチド-co-グリコリド)の末端基は、重合の方法に応じてヒドロキシル基、カルボキシル基、またはエステル基のいずれかであり得る。適切なポリマーは、単官能アルコールまたはポリオール残基を含んでもよく、およびカルボン酸末端がなくてもよい。単官能アルコールの例には、メタノール、エタノールまたは1-ドデカノールがある。ポリオールは、エチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、グリセロール、糖類、ソルビトールなどの還元糖などを含むジオール、トリオール、テトラオール、ペンタオール、およびヘキサオールであってよい。
乳酸とグリコール酸またはラクチドとグリコリド(PLGA)のコポリマーは、ポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)およびポリ(L-ラクチド-co-グリコリド)を含む。コポリマーは、乳酸対グリコール酸のモノマーモル比が約50:50~約100:0である。85:15のモル比を用いる場合、コポリマーが乳酸またはラクチドを80~90%、およびグリコール酸またはグリコリドを10~20%含むことを示す。75:25のモル比を用いる場合、コポリマーが乳酸またはラクチドを70~80%、およびグリコール酸またはグリコリドを20~30%含むことを示す。65:35のモル比を用いる場合、コポリマーが乳酸またはラクチドを60~70%、およびグリコール酸またはグリコリドを30~40%含むことを示す。50:50のモル比を用いる場合、コポリマーが乳酸またはラクチドを45~55%、およびグリコール酸またはグリコリドを45~55%含むことを示す。
多くの適切なPLGAは市販されており、PLGAの特定の組成物は、従来技術に従って容易に調製できる。PLGAの種々のモノマー比および分子量は、Boehringer-Ingelheim(Petersburg,Va,USA),Evonik(Birmingham,AL,USA),DURECT Corporation(Pelham,AL)から入手可能である。
組成物中に存在する生分解性ポリマーの種類、分子量、および量は、LHRHアゴニストまたはアンタゴニストが制御放出インプラント剤から放出される期間の長さに影響し得る。制御放出インプラント剤の所望の特性を達成するように組成物中に存在する生分解性ポリマーの種類、分子量、および量の選択は、単純な実験により決定できる。強酸から形成されたペプチドの塩(例えば、メシル酸塩)は、貯蔵中の製剤の安定性が向上したにもかかわらず、一旦水性環境下に注入されると、弱酸から形成されたペプチドの塩(例えば、酢酸塩)よりも早く生分解性ポリマーを分解させることを本発明の出願者らが見出したことは意外であった。
「薬学的に許容される有機溶媒」という用語は、水性液または体液中で混和する、または分散性であるあらゆる生体適合性有機溶媒を含むことを意味する。「分散性」という用語は、溶媒が水に部分的に溶解する、または混和することを意味する。好ましくは、単一の溶媒または溶媒の混合物は、0.1重量%を超える水への溶解度または混和性を有する。より好ましくは、溶媒は、3重量%を超える水への溶解度または混和性を有する。最も好ましくは、溶媒は、7重量%を超える水への溶解度または混和性を有する。適切な有機溶媒は、液体組成物が固まるまたは凝固するように、体液中に拡散することが可能でなければならない。このような単一溶媒および/または溶媒混合物は、使用されることができ、このような溶媒の適合性は、単純な実験により容易に決定できる。
薬学的に許容される有機溶媒の例としては、これらに限定されるものではないが、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルアセトアミド、メトキシポリエチレングリコール、アルコキシポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールエステル、グリコフロール、グリセロルホルマール、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、カプロラクタム、デシルメチルスルホキシド、安息香酸ベンジル、安息香酸エチル、トリアセチン、ジアセチン、トリブチリン、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、トリエチルグリセリド、リン酸トリエチル、フタル酸ジエチル、酒石酸ジエチル、乳酸エチル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、ブチロラクトン、および1-ドデシルアザシクロ-ヘプタン-2-オン、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
種々の薬学的に許容される有機溶媒中の生分解性ポリマーの溶解度は、ポリマーの特徴および種々の溶媒とのそれらの適合性に応じて異なる。したがって、同じポリマーは、異なる溶媒中では同じ程度まで溶解しない。例えば、PLGAは、トリアセチン中の溶解度よりもN-メチル-2-ピロリドン(NMP)中での溶解度がはるかに高い。しかし、NMP中のPLGA溶液が水性液と接触すると、NMPは、その高い水混和性のために、極めて急速に消散して、固体ポリマーマトリックスを形成する。溶媒の急速な拡散速度は、固体インプラント剤をすばやくもたらすことができるが、しかし、高い初期バースト放出を引き起こすこともあり得る。トリアセチン中のPLGA溶液が水性液と接触すると、トリアセチンは、その低い水混和性のために、極めてゆっくりと消散する。溶媒の遅延拡散速度は、粘性液体から固体マトリックスに変換するのに時間が長くかかることがあり得る。最適なバランスがあり得、そのバランスで溶媒が拡散し、ペプチド薬剤をカプセル化するようにポリマーは凝固する。したがって、異なる溶媒を組み合わせて望ましい送達システムを得ることは有利になり得る。水混和性が低い溶媒と高い溶媒を組み合わせて、ポリマーの溶解度を改善し、組成物の粘度を調整し、拡散速度を最適化して、初期バースト放出を低減させることができる。
本発明の注射用ポリマー組成物は、通常、30重量%~80重量%の範囲で有機溶媒を含む。本発明の注射用組成物の粘度は、使用するポリマーおよび溶媒の分子量に依存する。好ましくは、組成物中のポリマーの濃度は、70重量%未満である。より好ましくは、溶液中のポリマーの濃度は、30重量%と60重量%の間である。
本発明の好ましい一実施形態では、液体組成物を用いて、ロイプロリド塩酸塩またはロイプロリドメシル酸塩の制御放出送達システムを調製することができる。そのような実施形態では、生分解性の熱可塑性ポリエステルは、好ましくは、ヒドロキシル末端基およびラウリルエステル末端を含む85/15ポリ(DL-ラクチド-co-グリコリド)であり得、組成物の約30重量%~約60重量%で存在することがあり得、約8,000~約50,000の平均分子量を有し得る。
本発明の別の好ましい実施形態では、液体組成物を用いて、ロイプロリドメシル酸塩の制御放出送達システムを調製することができる。そのような実施形態では、生分解性の熱可塑性ポリエステルは、好ましくは、2つのヒドロキシル末端基を含む85/15ポリ(DL-ラクチド-co-グリコリド)であり得、組成物の約30重量%~約60重量%で存在することがあり得、約8,000~約50,000、好ましくは11,000~25,000ダルトンの平均分子量を有し得る。
本発明のさらに別の好ましい実施形態では、液体組成物を用いて、ロイプロリドメシル酸塩の制御放出送達システムを調製することができる。そのような実施形態では、生分解性の熱可塑性ポリエステルは、好ましくは、ヒドロキシル末端基を含む85/15ポリ(DL-ラクチド-co-グリコリド)であり得、組成物の約30重量%~約60重量%で存在することがあり得、約8,000~約50,000、好ましくは11,000~25,000ダルトンの平均分子量を有し得る。
本発明のさらに別の好ましい実施形態では、組成物を用いて、ロイプロリドメシル酸塩の制御放出送達システムを調製することができる。そのような実施形態では、生分解性ポリマーは、好ましくは、ヒドロキシル末端基の有無にかかわらず100/0ポリ(DL-ラクチド)であり得、組成物の約40重量%~約60重量%で存在することがあり得、約8,000~約50,000、好ましくは11,000~25,000ダルトンの平均分子量を有し得る。NMPなどの薬学的に許容される有機溶媒で調製されると、製剤は、ロイプロリド酢酸塩よりも安定性が改善し、6ヵ月間にわたりロイプロリドを送達できる。
本発明のさらに別の好ましい実施形態では、組成物を用いて、ロイプロリドメシル酸塩の制御放出送達システムを調製することができる。そのような実施形態では、生分解性ポリマーは、好ましくは、カルボン酸末端基の有無にかかわらず85/15ポリ(DL-ラクチド-co-グリコリド)であり得、組成物の約40重量%~約60重量%で存在することがあり得、約8,000~約50,000、好ましくは11,000~25,000ダルトンの分子量を有し得る。NMPなどの薬学的に許容される有機溶媒で調製されると、製剤は、ロイプロリド酢酸塩よりも安定性が改善し、3ヵ月間または4ヵ月間にわたりロイプロリドを送達できる。
本明細書で用いる場合、「賦形剤」という用語は、組成物を形成するために用いられるペプチド薬剤または生分解性ポリマーは別として。組成物中のあらゆる有用な成分を含むことを意味する。適切な賦形剤には、放出速度調整剤、バースト効果低減物質、緩衝物質、抗酸化剤などが含まれる。
本発明によれば、適切な放出速度調整剤としては、これらに限定されるものではないが、両親媒性化合物またはコポリマー、例えばアルカンカルボン酸、オレイン酸、アルキルアルコール、極性脂質、界面活性剤、ポリエチレングリコールおよびポリラクチドまたはポリ(ラクチド-co-グリコリド)のコポリマー、安息香酸ベンジル、ポロクサマー、ポリビニルピロリドン、ポリソルベートなど;モノカルボン酸、ジカルボン酸、およびトリカルボン酸のエステル、例えば酢酸2-エトキシエチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、グリセロールトリアセテート、ジ(n-ブチル)セバケートなど;ポリヒドロキシアルコール、例えばポリエチレングリコール、ソルビトールなど;脂肪酸;グリセロールのトリエステル、例えばトリグリセリド、中鎖トリグリセリド、例えばMIGLYOL810、812、818、829、840などが挙げられる。速度調整剤の混合物も本発明のポリマーシステムで用いることができる。
放出速度調整剤は、インプラント後最初の24時間にポリマー組成物から放出されるペプチド薬剤の初期バーストを低減させるのに有効な量で注射用ポリマー組成物中に存在し得る。好ましくは、ポリマー組成物は、約1重量%~約50重量%、より好ましくは約2重量%~約20重量%の放出速度調整剤を含む。
本発明によれば、適切な緩衝剤には、これらに限定されるものではないが、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、ミリスチン酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、オレイン酸マグネシウム、パルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、炭酸亜鉛、水酸化亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、リン酸亜鉛、およびこれらの組み合わせを含む無機塩および有機塩が挙げられる。
緩衝剤は、分解プロセス中、インプラント剤内のpHを安定させるのに有効な量で注射用ポリマー組成物に存在してもよい。好ましくは、ポリマー組成物は、約1重量%~約30重量%、より好ましくは約2重量%~約15量%の緩衝剤を含む。
本発明によれば、適切な抗酸化剤には、これらに限定されるものではないが、d-α-トコフェロールアセテート、アスコルビルパルミテート、ブチルヒドロキシアニドール、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシキノン、ヒドロキシクマリン、ブチルヒドロキシトルエン、エチルガレート、プロピルガレート、オクチルガレート、ラウリルガレート、プロピルヒドロキシベンゾエート、トリヒドロキシブチロフェノン、ビタミンE、ペグ化ビタミンE、またはビタミンE-TPGSなどが挙げられる。
抗酸化剤は、インプラント剤内で生成されるあらゆる遊離基または過酸化物を除去するのに有効な量で注射用ポリマー組成物中に存在してもよい。好ましくは、ポリマー組成物は、約1重量%~約30重量%、より好ましくは約3重量%~約15量%の抗酸化剤を含む。
一態様では、本発明は、a)有機溶液中のペプチドとポリマーとの間の相互作用/反応を最小化または防止する強酸で形成されたLHRHアゴニストまたはアンタゴニストの有益な塩と、b)生分解性ポリマーと、c)薬学的に許容される有機溶媒と、d)任意に、ペプチド薬剤の最適な送達を達成するための1種以上の賦形剤とを含む、LHRHアゴニストまたはアンタゴニストの経済的、実用的、かつ効率的な制御放出送達システムを形成するための安定した注射用生分解性ポリマー組成物を提供する。好ましくは、注射用組成物は、キットに包装され、すぐに使用できる構成でシリンジに該組成物を充填するステップを含む。キット中の組成物は、適切な期間、好ましくは少なくとも1年間にわたり安定しており、制御された貯蔵条件下で適切な貯蔵有効期間を有する。組成物は、好ましくは、インサイチュでインプラント剤を形成性するように対象に注入され、該インプラント剤からペプチド薬剤が所望の長期間にわたり治療有効量で放出される。
別の態様では、本発明は、a)強酸で形成されたLHRHアゴニストまたはアンタゴニストの有益な塩と、弱酸で形成されたLHRHアゴニストまたはアンタゴニストの塩の混合物と、b)生分解性ポリマーと、c)ペプチド薬剤の最適な送達を達成するように、薬学的に許容される有機溶媒とを含む、LHRHアゴニストまたはアンタゴニストのインビトロおよびインビボでの選択された放出持続時間を有する安定した注射用生分解性ポリマー組成物を提供する。LHRHアゴニストまたはアンタゴニストの所望の放出持続時間は、強酸で形成されたLHRHアゴニストまたはアンタゴニストの有益な塩と、弱酸で形成されたLHRHアゴニストまたはアンタゴニストの塩との混合物の適切な比率を選択することによって達成することができる。強酸で形成されたLHRHアゴニストまたはアンタゴニストの有益な塩と、弱酸で形成されたLHRHアゴニストまたはアンタゴニストの塩との混合物の比率は、1:0~0:1にわたる。好ましい比率は、1:0、1:1、3:2、7:3、4:1、17:3、9:1、10:1、11:1、12:1、14:1、16:1、18:1、19:1、20:1、30:1、40:1および50:1のうちのいずれであってもよい。LHRHアゴニストまたはアンタゴニストの放出持続時間は、1ヵ月間~9ヵ月間、好ましくは3ヵ月間、4ヵ月間、または6ヵ月間であり得る。
LHRHアゴニストまたはアンタゴニストは、強酸または弱酸のいずれかとともに塩を形成することができる。本発明で用いる塩は、LHRHアゴニストまたはアンタゴニストの塩を形成するために用いた酸のほかに過剰な塩を含まない。弱塩基および弱酸はイオン対を完全に形成することができないので、したがって、いくらかの弱塩基性基は遊離塩基の形で存在し得る。したがって、場合によっては、酸は、LHRHアゴニストまたはアンタゴニストの塩を形成するために化学量論的に用いられる酸よりも少なく存在することもあり得る。
本発明の安定した注射用生分解性ポリマー組成物は、LHRHアゴニストまたはアンタゴニストの有益な塩、生分解性ポリマー、薬学的に許容される有機溶媒、および任意に賦形剤を適切に組み合わせることにより調製することができる。投与のための組成物は、便宜に、投薬単位形態で提供されることができ、薬学技術分野で知られている任意の方法により調製することができる。本発明の組成物を調製する好ましい一方法は、最初に均一のポリマー溶液/懸濁液を得るように、生分解性ポリマーおよび/または賦形剤を薬学的に許容される溶媒に溶解させることである。次いで、LHRHアゴニストまたはアンタゴニストの有益な塩をこの溶液/懸濁液に添加する。均一の溶液または懸濁液を得るように、任意の適切な手段を用いて成分を完全に混合する。次いで、適量の溶液または懸濁液をシリンジに移して、すぐに使用できる製品を得る。
本発明の組成物における有益な塩およびポリマーの取り込みレベルは、LHRHアゴニストまたはアンタゴニストの成分の効力、薬剤の送達が望まれる期間、溶媒中でのポリマーの溶解度、および投与が望まれる注射用組成物の量と粘度に応じて、当然変化する。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、LHRHアゴニストまたはアンタゴニストのための経済的、実用的、かつ効率的な制御放出送達システムを形成するための安定した注射用生分解性ポリマー組成物は、約0.01%~40%のLHRHアゴニストまたはアンタゴニストの有益な塩、および約10%~70%のポリ(ラクチド-co-グリコリド)ポリマーを含む。組成物は、さらに約30%~70%の薬学的に許容される有機溶媒を含む。
本発明の好ましい実施形態では、組成物は、さらに、上記で定義する、放出速度調整剤、バースト効果低減物質、緩衝物質、抗酸化剤、組織輸送剤などを含む約1%~40%の適切な賦形剤を含む。
本発明によれば、注射用組成物は、注射投与に適した無菌の容器、例えば、シリンジに移される。容器は貯蔵のために包装され、組成物の成分は、製造プロセスおよび貯蔵プロセス中、または動物またはヒトなどの対象への投与前に、それらの元の分子量、構造および/または生物活性の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%を保持する。
したがって、本発明によれば、安定した組成物は、ペプチド薬剤の制御放出送達が望まれる対象に投与することができる。本明細書で用いる場合、「対象」という用語は、温血動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを含むことを意図する。
本明細書で用いる場合、「対象に投与される」という用語は、対象に対して、対象内の所望の部位に組成物(例えば、医薬製剤)の送達に適した任意の経路により、組成物を分配、送達、または適用することを指すことを意図する。好ましくは、本発明の組成物は、ペプチド薬剤による種々の病状の治療に関する既知のパラメータに基づいて所望の投与量をもたらすように注射によりおよび/または皮下インプラントで、筋肉内に、腹腔内に、もしくは皮内に投与されることができる。
本明細書で定義する「制御放出送達」という用語は、投与後一定期間、好ましくは少なくとも数週間から1年間にわたるインビボでのペプチド薬剤の継続的な送達を指すことを意図する。薬剤の持続的制御放出送達は、例えば、薬剤の経時的な継続する治療効果により実証することができる(例えば、LHRH類似体の場合、類似体の持続送達は、テストステロン合成が経時的に継続して抑制されることで実証することができる)。あるいは、ペプチド薬剤の持続送達は、薬剤の存在をインビボで経時的に検出することで実証することができる。
投与される注射用組成物の量は、通常、制御放出インプラントの所望の特性に依存する。例えば、注射用組成物の量は、ペプチド薬剤が制御放出インプラントから放出される期間の長さに影響し得る。
好ましい実施形態では、対象に注入されることになる本発明の注射用組成物の容積は、0.1mL~2.0mL、好ましくは0.2mL~1.0mL、より好ましくは0.3mL~0.5mLの範囲である。
本発明は、さらに、a)有機溶液中のペプチド薬剤とポリマーとの間の相互作用/反応を最小化または防止する強酸で形成されたLHRHアゴニストまたはアンタゴニストの有益な塩と、b)生分解性ポリマーと、c)薬学的に許容される有機溶媒と、d)任意に、LHRHアゴニストまたはアンタゴニストの最適な送達を達成するための1種以上の賦形剤とを含む、注射用組成物の有効量を対象に投与すること、相分離により液体組成物をデポーに変えるために、溶媒を周辺水性環境下に消散させることとを含む、対象にインプラント剤をインサイチュで形成する方法を提供する。デポーは、粘性ゲル、半固体、または固体マトリックスであってよい。デポーは、多孔性または非多孔性であってもよい。デポーは、そこからLHRHアゴニストまたはアンタゴニストが所望の長期間にわたり放出される、送達システムとして役立つ
別の好ましい実施形態では、本発明の注射用組成物は、デポーシステムを形成するために、体腔に適合させて投与してもよい。そのような体腔は、外科手術後形成された体腔、または膣、肛門などの自然の体腔を含む。
別の態様では、本発明は、a)LHRHアゴニストまたはアンタゴニストと有機溶液中 ポリマーとの間の相互作用/反応を最小化または防止する強酸で形成されたLHRHアゴニストまたはアンタゴニストの有益な塩と、b)生分解性ポリマーと、c)有機溶媒と、d)任意に、ペプチド薬剤の最適な送達を達成するための1種以上の賦形剤とを含む、LHRHアゴニストまたはアンタゴニストのための経済的、実用的、かつ効率的な制御放出送達システムを形成するための安定した液体生分解性ポリマー組成物を提供する。液体生分解性ポリマー組成物は、インプラント可能なポリマーマトリックスに作製されてもよい。該ポリマーマトリックスでは、液体生分解性ポリマー組成物は、作製プロセスの前およびプロセス中、その元の分子量、構造および/または生物活性の少なくとも90%、好ましくは95%を保持する。
本明細書で用いる場合、「インプラント可能なポリマーマトリックス」という用語は、粒子、フィルム、ペレット、シリンダー、ディスク、マイクロカプセル、ミクロスフェア、ナノスフェレア、微粒子、ウエハー、および薬物送達で用いられる他の知られているポリマー構成物を含むことを意図する。
種々の薬学的に許容されるポリマー担体を形成する方法は、当技術分野で周知である。例えば、種々の方法および物質は、米国特許第6,410,044号、同第5,698,213号、同第6,312,679号、同第5,410,016号、同第5529,914号、同第5,501,863号、およびPCT国際公開第WO93/16687号、米国特許第4,938,763号、同第5,278,201;同第5,278,202号、欧州特許第0,058,481号に記載されている。これらすべては、参照により本明細書に組み込まれている。
本発明によれば、ミクロスフェアの形態でのインプラント可能なポリマーマトリックスは、LHRHアゴニストまたはアンタゴニストの有益な塩をポリマーにカプセル化することによって生成される。LHRHアゴニストまたはアンタゴニストの有益な塩は、異なる生物学的環境への送達、または特定の機能に影響を与えることに適している独特の特性を有する種々の生体適合性ポリマーおよび/または生分解性ポリマーを用いてカプセル化することができる。したがって、LHRHアゴニストまたはアンタゴニストの送達は、特定のカプセル化技術、ポリマー組成物、ポリマー架橋、ポリマーの厚さ、ポリマー溶解度、生物活性化合物/ポリアニオン複合体の大きさと溶解度によって決定される。
カプセル化されるLHRHアゴニストまたはアンタゴニストの有益な塩は、有機溶媒を溶解したポリマー溶液に溶解させる、または懸濁させる。LHRHアゴニストまたはアンタゴニストの有益な塩を該溶液に添加した後、該有益な塩が完全に被覆されるようにポリマー溶液は十分に濃縮されてなければならない。そのような量は、有益な塩対ポリマーが約0.01~約50、好ましくは約0.1~約30の重量比になる量である。LHRHアゴニストまたはアンタゴニストの有益な塩は、懸濁状態で維持され、ポリマーと接触することで被覆されるとき、凝固できないようにする必要がある。
したがって、LHRHアゴニストまたはアンタゴニストの有益な塩を含むポリマー溶液は、噴霧乾燥法、噴霧凝固用、乳化法、および溶媒蒸発乳化法を包含する多様なマイクロカプセル化技術にかけることが可能である。
本発明の一実施形態によれば、LHRHアゴニストまたはアンタゴニストの有益な塩は、有機溶媒に溶解したポリマー溶液に溶解する、または懸濁する。この溶液または懸濁液は、大量の乳化剤含有水溶液に移される。水溶液中で、有機相は乳化され、そこで有機溶媒はポリマーから蒸発する、または拡散する。凝固したポリマーはLHRHアゴニストまたはアンタゴニストの有益な塩をカプセル化して、ポリマーマトリックスを形成する。乳化剤は、プロセスの固化相中、システム内の物質の種々の相間の界面張力を減少させるのに役立つ。あるいは、ポリマーのカプセル化がなんらかの固有の表面活性を有する場合、別個の表面活性剤を添加する必要はない。
本発明に従ってLHRHアゴニストまたはアンタゴニストのカプセル化された有益な塩を調製するのに有用な乳化剤には、本明細書に例示するポロクサマーおよびポリビニルアルコールLHRHアゴニストまたはアンタゴニストのポリマーカプセル化した有益な塩と溶液との間の表面張力を減少させることができる界面活性剤および他の界面活性化合物が挙げられる。
上記に開示したものを除いて、本発明のミクロスフェアを調製するのに有用な有機溶媒には、さらに酢酸、アセトン、塩化メチレン、酢酸エチル、クロロホルム、およびポリマーの特性によって他の無毒な溶媒が挙げられる。溶媒は、ポリマーに溶解させるために選択される必要があり、最終的に無毒である。
したがって、本発明によれば、これらのインプラント可能なポリマーマトリックスは、LHRHアゴニストまたはアンタゴニストの持続的制御放出送達を所望する患者に投与されることができる。好ましくは、本発明のインプラント可能なポリマーマトリックスは、LHRHアゴニストまたはアンタゴニストによる種々の医学的状態の治療のために既知のパラメータに基づいて所望の投与量を提供するように、注射によっておよび/または皮下インプラントで、筋肉内に、または皮内に投与されることができる。
参照するすべての書籍、論文および特許は、参照により本明細書に完全に取り込まれる。
以下の実施例は、本発明の組成物および方法を例示する。以下の実施例は限定とみなされるべきではなく、有用な制御放出薬物送達組成物を生成する方法を単に教授する。
実施例1:注射用ポリマー組成物におけるペプチド薬剤および生体分解性ポリマーの安全性
ラウリルエステル末端基を有する、85/15比率のラクチド対グリコリド(DLPLG85/15,IV:0.28)のポリ(DL-ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に溶解して50重量%の溶液を得た。ロイプロリド塩をNMPに溶解したPLGA溶液と混合して、表1に示す比率で均一な注射用組成物を得た。注射用組成物をルアーロックチップ付き1.2mLのポリプロピレンシリンジに充填した。次いで、プレフィルド・シリンジを、ルアーロックキャップを使用して密閉した。キャップしたシリンジを容器に包装し、プラスチック袋に入れて、真空下で密閉し、次いで、4℃および室温(約22℃)で最高18ヵ月間貯蔵した。注射用組成物を24時間、1ヵ月、2ヵ月、3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、および18ヵ月の時点で試料採取した。試料中のロイプロリドの純度をHPLCで測定した。ポリマーの分子量を、既知の分子量を有するポリスチレン標準物質を用いて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した。
Figure 0007223021000001
意外なことに、酢酸塩の代わりに塩酸塩およびロイプロリドのメシル酸塩を使用すると、4℃および室温の両方で、NMPに溶解したPLGA溶液中のロイプロリドおよびポリマーの分解が経時的にかなり減少したことが判明した。表2および3は、それぞれ、4℃および室温でのNMPに溶解したPLGA溶液中のロイプロリドの経時的分解を示す。4℃では、18ヵ月後、ロイプロリド酢酸塩含有ポリマー組成物においてロイプロリドは23%まで分解したが、ロイプロリド塩酸塩およびロイプロリドメシル酸塩含有製剤でのロイプロリドの分解は2%未満であった。室温では、12ヵ月後、ロイプロリド酢酸塩製剤では35%を超える分解が観察されたが、ロイプロリド塩酸塩およびロイプロリドメシル酸塩含有製剤ではわずかに約11%であった。
Figure 0007223021000002
Figure 0007223021000003
表4および5は、異なる製剤中のポリマーの分子量の変化を示す。空白対照と比較して、6ヵ月後、ロイプロリド酢酸塩製剤中のPLGAの分子量は、4℃で10%以上、室温で90%以上減少した。12ヵ月後でも、ロイプロリド塩酸塩製剤およびロイプロリドメシル酸製剤中のPLGAの分子量は、4℃および室温の両方で空白対照のPLGAの分子量と同じであった。しかし、12ヵ月後、空白対照ならびにロイプロリド塩酸塩製剤およびロイプロリドメシル酸製剤からポリマーの90%以上が分解した。この結果は、HClおよびメタンスルホン酸などの強酸で形成されたロイプロリドの塩が、溶液中のペプチドとPLGAとの間の相互作用/反応を完全に防止することを示している。一方、酢酸などの弱酸は、溶液中のペプチドとPLGAとの間の有害な相互作用/反応を防止しない。したがって、強酸で形成されたペプチドの塩を用いることにより製剤の安定性が改善し、少なくとも1年間の満足できる貯蔵安定性を有するすぐに使用できる注射用組成物の製造が可能になる。
Figure 0007223021000004
Figure 0007223021000005
実施例2:6ヵ月にわたるロイプロリドの送達
Eligard(登録商標)45mgは、6ヵ月間、ロイプロリド酢酸塩を送達できる。この製品は、1つのシリンジにロイプロリド酢酸塩を、別のシリンジにポリマー溶液を含む2つの別々のシリンジで供給される。注射直前に、この2つを混合する。ポリマー溶液は、NMPに溶解した50%8515PLGAポリマー溶液を含んでいる。このポリマーの分子量は約20kダルトンである。同等の製剤を、同様の8515PLGAポリマーとともに、1.55:1(LAMS(1.55))のメシル酸塩対ロイプロリドのモル比を有するロイプロリドメシル酸塩を用いて生成した。このポリマーの分子量は、約20kダルトンであり、なお多分散性指数(PDI)は1.7である。ロイプロリドメシル酸塩をロイプロリド酢酸塩からイオン交換凍結乾燥プロセスによって調製し、少量の酢酸塩が含まれている。この製剤を単一のシリンジで混合して、貯蔵した。別の製剤は、PLAポリマーを用いてLAMSで生成され、分子量が15kダルトン(PLA-1)であり、多分散性指数(PDI)が1.8であった。この製剤も、単一のシリンジで混合して、貯蔵した。次いで、これらの製剤をEligard(登録商標)45mg(ロット番号3385)とともに、pH7.4のPBS中、37℃で、インビトロで試験した。放出された試料をあらかじめ定義した時点で採取し、HPLCで分析した。図1は、ロイプロリドの経時的放出を示す。
8515PLGA-3ポリマー製剤からのロイプロリド放出は、112日目までに終了した。ペレットもこの時点で放出培地から完全に分解した。PLA-1およびEligard(登録商標)45mgペレットからのロイプロリドの放出はおよそ180日目まで続いた。Eligard(登録商標)45mg製剤中のもののように8515PLGAを用いているので、放出持続時間の差は予想外であり、インプラント剤はLAMSを含む製剤中のように長く持続しない。したがって、Eligard(登録商標)45mg製剤と同等の放出を有し、かつ6ヵ月間持続するために、PLAポリマーが必要である。意外にも、LAMSを含む製剤は、ロイプロリド酢酸塩を含む製剤よりも貯蔵中安定しており、ポリマー分子量は放出培地中で早く分解する。別の意外な結果は、Eligard(登録商標)45mgからのロイプロリドの放出と比較して、PLA-1からのLAMSの初期の放出が少ないことであった。
実施例3:6ヵ月にわたるインビボでのロイプロリドの送達
本研究の目的は、7ヵ月間、雄マウスに単回皮下投与した後、ロイプロリドメシル酸塩を含むデポー製剤の薬物動態の特性を明らかにすること、およびマウスに皮下投与した後の異なるポリマーの効果および活性を調べることであった。Eligard(登録商標)45mgを基準薬物として用いた。ロイプロリドの放出(LA)を、皮下投与後の時間の関数としてLAの血清濃度を分析することにより測定した。
雄マウスを各群(6/群)に分け、次のロイプロリドメシル酸塩(LAMS1.55)製剤を投与した。55.2%8515PLGA-3/44.8%NMP(照射線量25kGy)、57.6%PLA-1/42.4%NMP(照射線量25kGy)、または基準薬物、Eligard(登録商標)45mg。8515PLGA-3ポリマーは、Eligard(登録商標)45mg(20k)の分子量と同様の分子量を有し、PLA-1ポリマーの分子量は15kであった。196日目まで、投薬前後に血液試料を採取した。図2は、ロイプロリドの経時的濃度を示す。すべての製剤のロイプロリド濃度は、およそ140日目まで類似している。次いで、ロイプロリドの濃度は、8515PLGA-3製剤の場合、急激に低下し始め、196日目までに検出できなくなる。
本研究からインプラント剤を回収し、ロイプロリド含有量およびポリマー分子量について分析した。表6は、残留するロイプロリドの量およびパーセント分子量減少を示す。
Figure 0007223021000006
8515PLGA-3製剤を含むLAMSを投与された動物内にインプラント剤は見つからなかった。これは、血清ロイプロリド濃度と一致し、後にロイプロリド濃度の急激な低下を示し、196日目には検出限度以下になった。
この分子量分解は、LAMS-PLA-1製剤およびEligard(登録商標)45mg製剤に類似しており、ポリマー分子量の減少は約73%であった。ロイプロリドは依然としていくらか残存していたが、しかし放出はほぼ終了し、LAMS-PLA-1製剤中には約2%、Eligard(登録商標)45mg製剤の場合は1%未満が残存していた。したがって、Eligard(登録商標)45mgの放出と同様に、6ヵ月間のインビボ放出を有するために、LAMSを含む製剤の場合、約15kの分子量を有するPLAポリマーを使用する必要がある。この結果は予想外である。この製剤は貯蔵中安定しているにもかかわらず、一旦注入されると、Eligard(登録商標)45mgと同様のポリマー溶液を有するLAMSは、分解が早く、製剤中にロイプロリド酢酸塩を使用しているEligard(登録商標)45mgのようには、6ヵ月間放出を持続できない。
実施例4:ロイプロリドメシル酸塩含有製剤を皮下投与された雄マウスにおけるPK/PDプロファイルの評価
本研究の目標は、雄Sprague-Dawleyマウスに、N-メチルピロリドン(NMP)に溶解したポリラクチド(PLA)溶液中のロイプロリドメシル酸塩を異なる投与量で単回皮下注射した後のロイプロリドの薬物動態(PK)の特性を明らかにすることであった。ロイプロリドメシル酸塩をロイプロリドギ酸塩からカラムイオン交換によって調製した。結果として生じた生成物は、メタンスルホン酸対ロイプロリドのモル比を1.5:1~1.8:1の範囲で有する。製剤中のPLAは、11,000~18,000ダルトンの範囲で平均分子量を有し、THF中ポリスチレン標準物質を用いるGPCによって測定された1.8の多分散性を有する。使用したPLAポリマーは、イニシエータとしてドデカノール(またはラウリルアルコール)で製造し、一端にヒドロキシ末端基を1つ、他端にドデシルエステル基を1つ有するPLAポリマーになった。試験物を、6ヵ月間、ロイプロリドを送達するようにデザインする。基準物Eligard(登録商標)45mg、ロイプロリド酢酸塩の6ヵ月間持続放出製剤を基準対照として用いた。ロイプロリドの放出は、皮下投与後の時間の関数としてロイプロリドの血清濃度を分析することにより測定し、一方、種々の製剤中のロイプロリドの活性は、経時的な血清テストステロンの抑制レベルにより評価した。
研究デザイン
PK研究のために、メタンスルホン酸対ロイプロリドのモル比を1.5:1~1.8:1の範囲で有する試験物のロイプロリドメシル酸塩およびEligard(登録商標)45mgの3つの異なる投与量レベルを、6.8mg、20.3mg、33.8mg、および30mgのそれぞれの単回投与レベルで、試験物の3つの投薬群(3群、4群および5群)と、基準物処置群(6群)との計80匹の雄マウスに投与した。PK研究のための偽対照群と溶媒対照群(1群、2群)には計40匹の雄マウスが含まれていた。ロイプロリドおよびテストステロンの測定用の血液試料をすべての群から投与前、投与から4時間後、24時間後、および3日目、5日目、8日目、15日目、22日目、29日目、43日目、57日目、71日目、85日目、99日目、113日目、127日目、141日目、155日目、169日目および183日目に採取した。血清試料を検証済みLC-MS/MS方法を用いて、ロイプロリドおよびテストステロンの両方ともに0.100ng/mLの定量下限(LLOQ)でロイプロリドおよびテストステロンレベルについて分析した。複合血清濃度-時間のデータを用いて、Phoenix(登録商標)WinNonlin(登録商標)6.3を使用して、ロイプロリドのPKパラメータ値を算出した。
結果
ロイプロリドの平均Cmax値は、すべてのロイプロリド処置群において投薬後第1の試料採取時間(4.0時間)で達した。
6.8mgから20.3mgおよび33.8mgの用量での3倍および5倍の増加は、それぞれ、雄マウスにおけるCmax値が3.2倍および6.3倍の増加になった。同じく、用量での3倍および5倍の増加は、それぞれ、雄マウスにおけるAUC0-182日の3.0倍および4.2倍の増加になり、本研究において試験物の用量比例性が投与用の増加により達成されたことを示していた。
試験物処置群(低用量、中用量および高用量)対基準物処置群における用量正規化AUC0-182日の比率は、それぞれ、1.1、1.1および0.9であり、6ヵ月間の試験物処置群におけるロイプロリドの用量正規化薬物曝露が基準物群のそれと同等であることを示していた。全体的に見て、試験物のすべての用量群は、用量によって正規化すると、基準物Eligard(登録商標)45mgのそれへの極めて同様の曝露を示した。
PK結果を以下の表7に要約する。
Figure 0007223021000007
すべての試験物および基準物の皮下投与の後、平均血清テストステロン濃度は、15日目~22日目までに0.500ng/mL以下に低下し、同様に本研究の終了までおおよそこのレベルで維持された。
結論
雄Sprague-Dawleyマウスを、6.8mg、20.3mgおよび33.8mgの試験物ならびに30mgの基準物Eligard(登録商標)45mgの単回皮下注射によりロイプロリドに曝し、182日間モニターした。AUCにおける相対的な用量比例増加は、試験物の低用量と比較すると、中用量および高用量で達成された。用量正規化後、試験物のすべての用量は、基準物Eligard(登録商標)45mgの用量に対してロイプロリドの同様の曝露を示した。
全体的に見て、LMIS50mgは、6ヵ月間、雄マウスにおける薬物曝露および血清テストステロンの抑制の両方において、基準物Eligard(登録商標)45mgと同様に挙動した。
実施例5:ロイプロリド塩形態の製剤送達持続時間に対する効果
2種の製剤を16,000ダルトンの分子量を有する同じポリ(D,L-ラクチド)(PLA)を用いて調製した。本研究で使用したPLAポリマーは、イニシエータとしてドデカノール(またはラウリルアルコール)で製造し、一端にヒドロキシ末端基を1つ、他端にドデシルエステル基を1つ有するPLAポリマーになった。PLAポリマーを60重量%の濃度でNMPに溶解させた。この溶液を用いて、約12重量%ロイプロリド含有製剤を調製した。ロイプロリドは、1種の製剤においてメタンスルホン酸対ロイプロリドを1.4:1のモル比で有するメシル酸塩(LAMS1.4)として、および別の製剤においてメタンスルホン酸対ロイプロリドを0:1のモル比で有する酢酸塩(LAAc)として存在した。次いで、結果として生じた製剤に25kGyの線量でγ照射した。
インビトロでのロイプロリドの放出をこれらの2種の製剤で試験した。インビトロ放出試験をpH7.4のPBS中で、37℃で行ない、ロイプロリドの経時的放出をHPLCで測定した。手短に言うと、製剤のアリコート(約100mg)を、37℃で0.1%アジ化ナトリウムを含む、pH7.4のリン酸緩衝食塩水溶液3mLに注入した。受容液体をあらかじめ定義した時点で新鮮な緩衝液と取り替え、取り除いた緩衝液をpH7.4のリン酸緩衝液で2倍に希釈し、HPLCで薬物濃度について分析した。各時点の放出量を算出した。図3は、異なる製剤についてロイプロリドの経時的累積放出を示す。
図3に示すように、ロイプロリドメシル酸塩を含む製剤からのロイプロリドの放出は、ロイプロリド酢酸塩を含む製剤の放出終了(およそ240日目)よりも早く終了した(およそ180日目)。これは、予想されてなかった。製剤中のポリマー分子量は、同じ貯蔵条件下で、ロイプロリド酢酸塩を含むものよりもロイプロリドメシル酸塩を含むものの方がより安定しているからである。製剤中にロイプロリド酢酸塩を用いることに対して、ロイプロリドメシル酸塩を用いると、インビトロ放出は、60日以上長く持続する。前立腺癌の標準治療持続時間は、1、3、4および6ヵ月である。ロイプロリド酢酸塩の代わりにロイプロリドメシル酸塩を用いることによる製剤安定性の向上および6ヵ月間の送達持続時間により、良好な製品、すなわち、前立腺癌を6ヵ月ごとに治療するためのすぐに使えるプレフィルド・シリンジを開発することが可能になる。
実施例6:ロイプロリド塩形態の製剤送達持続時間に対する効果
ロイプロリドのインビトロでの放出をEligard(登録商標)45mgのいくつかのキットから試験した。これらのキットは、ロイプロリド酢酸塩(LAAc)を含む1シリンジと、ポリマー溶液(NMPに溶解したPLGA8515)の1シリンジとを含んでいる。本研究で用いたPLGA8515は、イニシエータとしてヘキサンジオールにより調製し、DL-ラクチド対グリコリドの85:15モル比を有する。PLGA8515ポリマーは、ポリマー鎖の両端にヒドロキシル末端基を1つ有する。注射の直前に2つのシリンジをつなげて、内容物を混合する。Eligard(登録商標)45mgのインビトロ放出試験をpH7.4のリン酸緩衝食塩溶液(PBS)中で、37℃で行ない、ロイプロリドの経時的放出をHPLCで測定した。Eligard(登録商標)45mgを用いて、ロイプロリドメシル酸塩(LAMS1.4)をLAAcの代わりに用いたときの放出を比較した。
図4は、Eligard(登録商標)45mgからのロイプロリドのインビトロ放出を示し、Eligard(登録商標)45mgキットからのポリマー溶液およびLAAcの代わりにロイプロリドメシル酸塩(LAMS)を用いる製剤からのロイプロリド放出と比較する。LAAcの代わりにLAMSを用いたとき、放出持続時間は、かなり短い。Eligard(登録商標)キットからのポリマーシリンジを用いるLAMSでの放出は、>99放出され、ポリマーは112日目にほぼ完全に分解した。Eligard(登録商標)45mgキットを用いるインプラント剤は、160日後も依然として残存し、依然として放出している。これは、極めて意外で、直感でわかるものではない。貯蔵中、PLGAポリマーはLAAcで調製された製剤よりもLAMSで調製された製剤中でより安定していることがこれまでに明らかにされているからだ。
実施例7:3ヵ月にわたるロイプロリドの送達
3ヵ月間テストステロンを抑制するために、Eligard(登録商標)22.5mgは、ロイプロリドを送達することができる。Eligard(登録商標)22.5mgは、1つのシリンジにロイプロリド酢酸塩および別のシリンジにポリマー溶液を含む2つのシリンジからなる。2つのシリンジを注射直前に混合する。ポリマー溶液は、NMPに溶解した45%PLGA7525ポリマー溶液を含む。ポリラクチド含有量が低いと、ラクチド含有量が高いポリマーよりも分解が早くなる。
3ヵ月間のロイプロリド送達を達成するために、製剤をロイプロリドメシル酸塩(LAMS(1.6))で生成した。ロイプロリドメシル酸塩を塩交換凍結乾燥プロセスによりロイプロリドギ酸塩から調製し、少量のギ酸が含まれている。これらの製剤は単一シリンジとして安定しており、直接注射することができる。放出は、37℃でpH7.4のPBS緩衝液3mLへの注入からなっていた。各時点で、2.5mLの放出培地を取り除き、新鮮な緩衝液と替えた。取り除いた放出培地をロイプロリド含有量についてHPLCで分析した。図5は、インビトロで試験したいくつかの製剤からの放出を示す。
ロイプロリドの放出は、8515PLGA製剤(PLGA-1:分子量12.6k、PDI1.8;PLGA-2:分子量15.5k、PDI1.5;PLGA-3:分子量20k、PDI2.5)について約3ヵ月間までに終了するように見える。分子量の小さい8515PLGAを用いることで、分解持続時間を3ヵ月よりもさらに短くすることができる。PLAポリマーは、6ヵ月間(PLA-1:分子量15k、PDI2.5)持続する。Eligard(登録商標)45mgも、PLGA8515ポリマーを用いるが、放出は6ヵ月間持続する。LAMSとともにPLGA8515ポリマーを用いると、放出が3ヵ月間のみ持続することができることが明らかになったのは意外であった。したがって、ロイプロリドの送達を3ヵ月間維持するために、LAMSで調製する場合、8515PLGAポリマーが必要である。したがって、LAMSを用い、適切な分子量および多分散性を有するPLGAを選択することにより、所望の貯蔵安定性、放出プロファイルおよび持続時間を有する製剤を調製することができる。
実施例8:マウスにおいてSC投与された製剤について3ヵ月後インビボで回収されたインプラント剤の分析
異なる8515PLGAポリマーを含むロイプロリドメシル酸塩(LAMS1.6)のいくつかの製剤を雄SDマウスに注射して、放出持続時間を試験し、PLAを含む製剤からのLAMS放出と比較する。91日後、インプラント剤を取り出し、残存するロイプロリド含有量およびポリマー分子量の分解量を測定するために分析した。表8は、回収したインプラント剤からのデータを示す。
Figure 0007223021000008
91日後、8515PLGAポリマーの分子量は約85%低下したが、一方、PLAポリマーの分子量はわずかに約45%減少した。8515PLGAポリマーはほぼ終了しており、これは、インプラント剤中に残存するロイプロリドの量によっても反映される。91日後、初期のロイプロリドの約5~10%が残存した。PLA製剤は依然として約50%残存しており、この製剤が6ヵ月間送達用であれば、これは概ね正確である。したがって、3ヵ月間LAMSを含む製剤からロイプロリドを送達するために、Eligard(登録商標)22.5mgで用いられている7525PLGAポリマーとは対照的に、8515PLGAが必要である。貯蔵中、ロイプロリド酢酸塩よりも安定している製剤をLAMSが生成するので、この必要性は意外なことである。この予想外の特性を用いて、適切な送達持続時間を有する長期間貯蔵用のより安定した製剤を調製することができる。
実施例9:ロイプロリド含有量の製剤送達持続時間に対する効果
ロイプロリドメシル酸塩(LAMS(1.65))含有製剤を2種、ポリ(D,L-ラクチド-co-グリコシド)(PLGA)ポリマーを用いて調製した。本研究で使用したPLGAポリマーは、イニシエータとしてドデカノール(またはラウリルアルコール)で製造し、一端にヒドロキシ末端基を1つ、他端にドデシルエステル基を1つ有し、DL-ラクチド対グリコリドを85:15のモル比で有するPLGAコポリマーになった。PLGAポリマー(分子量20k、PDI1.7)を55重量%の濃度でNMPに溶解させた。この溶液を用いて、7.5%および3.75%のロイプロリドメシル酸塩(LAMS1.65、重量で)含有製剤を調製した。次いで、結果として生じた製剤に25kGyを超える線量でEビームを使用して照射した。
ロイプロリドのインビトロ放出をこれらの2種の製剤から試験した。インビトロ放出試験をpH7.4のPBS中で、37℃で行ない、ロイプロリドの放出をHPLCで経時的に測定した。
図6は、これらの2種の製剤からのロイプロリドのインビトロ放出を示す。ロイプロリドの放出およびPLGAポリマーの分解はおよそ90日で終了した。これらの製剤を用いて、少なくとも3ヵ月間ロイプロリドメシル酸塩を送達することができる。
また、これらの2種の製剤を雄Sprague-Dawleyマウスへの単回皮下投与により評価し、これらの製剤から放出されたロイプロリドの活性の特性を、血清テストステロンレベルを経時的に抑制することにより明らかにした。血清試料を検証済みLC-MS/MS方法を用いて、0.100ng/mLの定量下限(LLOQ)でテストステロンレベルについて分析した。図7は、血清テストステロンレベル対時間を示す。ほとんどのマウスにおいて血清テストステロンレベルは、投与から21日後に、ヒト去勢体レベル(≦0.5ng/mL)未満に抑制された。55%PLGA/NMP溶液中の7.5%LAMSについて、平均テストステロンレベルは、28日目に0.5ng/mLより上昇した。この急増は、1匹のマウスにおけるテストステロンレベルによるものであり、残りのマウスよりもかなり高かった。それは、おそらく分析誤差または個々の動物変異性に起因する。全体的に見て、イニシエータとしてドデカノール(またはラウリルアルコール)で製造されたPLGAポリマーを用いて調製され、一端にヒドロキシ末端基を1つ、他端にドデシルエステル基を1つ有し、DL-ラクチド対グリコリドを85:15のモル比で有するPLGAコポリマーになる製剤は、少なくとも3ヵ月間、治療レベルのロイプロリドを送達することができる。
これらの結果は、かなり予想外である。同様の製剤の、ロイプロリド酢酸塩と、DL-ラクチド対グリコリドを85:15のモル比で有するPLGAと、NMPとからなる市販製品のEligard(登録商標)45mgは、6ヵ月間のロイプロリドの送達のために認可されている。Eligard(登録商標)で用いられているポリマーが分解するには6ヵ月かかる。この結果により、ロイプロリド酢酸塩と比較して、ロイプロリドメシル酸塩は製剤安定性を向上させることができるが、インビトロおよびインビボ放出中、ポリマーの分解を促進し得ることが確認された。これらの特性を有利に用いて、良好な製品、単一のすぐに使用できるプレフィルド・シリンジを調製するように製剤を適合させ、微調整することができる。このような改善された製品は使いやすく、複雑な混合手順を排除し、投与前の不適切な混合に起因するあらゆる投薬エラーも回避する。
実施例10:適合した放出プロファイルまたは送達持続時間を有する製剤
ロイプロリドメシル酸塩とロイプロリド酢酸塩との混合物を含有する製剤3種をポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)ポリマーを用いて調製した。本研究で使用したPLGAポリマーは、イニシエータとしてドデカノール(またはラウリルアルコール)で製造し、一端にヒドロキシ末端基を1つ、他端にドデシルエステル基を1つ有し、DL-ラクチド対グリコリドを85:15のモル比で有するPLGAコポリマーになった。PLGAポリマーを55重量%の濃度でNMPに溶解させた。この溶液を用いて、約7.5%ロイプロリド(遊離塩基、重量で)含有製剤を調製した。ロイプロリドメシル酸塩対ロイプロリド酢酸塩の比率は、1:0、4:1、および0:1であり、またはメシル酸塩対ロイプロリドのモル比は、2:1、1.6:1、および0:1である。次いで、結果として生じた製剤に25kGyを超える線量でEビームを用いて照射した。
ロイプロリドのインビトロ放出をこれらの2種の製剤から試験した。インビトロ放出試験をpH7.4のPBS中で、37℃で行ない、ロイプロリドの放出をHPLCで経時的に測定した。
ロイプロリドの放出およびPLGAポリマーの分解は、ロイプロリドメシル酸塩対ロイプロリド酢酸塩を約1:0の比率で有する製剤の場合は約90日内に、約4:1の比率で有する製剤の場合は、約114日内に、0:1の比率で有する製剤の場合は、約180日内に終了した。これらの製剤は、弱酸と強酸で形成されたロイプロリド塩の混合物を用いることにより、少なくとも3ヵ月~6ヵ月の期間ロイプロリドメシル酸塩を送達するように適合させることができる。
実施例11:適合した放出プロファイルまたは送達持続時間を有する製剤
種々の放出プロファイルまたは送達持続時間は、LHRHの強酸塩と弱酸塩の異なる組み合わせを用いることで達成することができる。LHRHの種々の塩は、当技術分野で既知の手順に従って調製することができる。塩の混合物は、所望の比率を得るために1種の弱酸LHRH塩と1種の強酸塩を混合することで調製してもよい。LHRH塩の混合物を調製する別の方法は、強酸を弱酸LHRH塩の水溶液に添加することである。強酸は、塩イオン対から弱酸を遊離または解離させることができる。この混合物をフリーズドライまたは凍結乾燥させて、液体培地およびあらゆる解離した弱酸を除去し、所望の塩の混合物を得ることができる。弱酸の例としては、ギ酸、酢酸が挙げられ、強酸の例としては、メタンスルホン酸、HCl、硫酸、臭化水素酸が挙げられる。
ロイプロリドメシル酸塩対ロイプロリドギ酸塩の比率を1:0、9:1、4:1、7:3、および0:1で有する、またはメシル酸塩対ロイプロリドの比率が2:1、1.8:1、1.6:1、1.4:1、および0:1になるように、ロイプロリドメシル酸塩とロイプロリドギ酸塩の混合物を調製した。異なる送達持続時間を有する組成物を得るために、これらの塩をNMP溶液に溶解したPLGAを用いて調製することができる。
本明細書に開示するロイプロリドメシル酸塩は、イオン交換カラムなどの上に弱酸性のロイプロリド塩を充填すること、該カラムから弱酸を洗い落とすこと、ロイプロリドメシル酸塩溶液を得るためにメタンスルホン酸溶液でカラムからロイプロリドを溶出させること、ならびにロイプロリドメシル酸塩の乾燥粉末を調製するために蒸発および凍結乾燥により液体培地を除去することによる塩交換によっても調製することができる。
実施例12:メシル酸塩対ロイプロリドの比率が1.4~1.8のLAMSを有する製剤
製剤は、ロイプロリドメシル酸塩とともに、NMPに溶解したPLAポリマー(分子量16k PDI1.8)を用いて調製し、およそ25kGyのγ照射によって無菌化した。これらの製剤のインビトロ放出試験をpH7.4のリン酸緩衝液中で、37℃で試験した。図8は、メシル酸塩対ロイプロリドのモル比を1.4と1.8の間で有するロイプロリドメシル酸塩を用いて調製した製剤のインビトロ放出プロファイルを示す。ロイプロリドメシル酸塩をロイプロリド酢酸塩から、塩交換および凍結乾燥プロセスによって調製した。結果として生じたロイプロリドメシル酸塩は、少量の酢酸塩対イオンを含んでいる。(メシル酸塩+酢酸塩)対ロイプロリドのモル比は、≦2:1である。これらの製剤を調製し、異なる期間で試験した。NMPに溶解したポリマー濃度は57.5%であった。全体的に見て、これらの製剤のインビトロ放出プロファイルは同等であり、製剤はすべて6ヵ月またはそれよりわずかに長い放出持続時間を示した。これらの製剤のバースト放出は、10~25%にわたり、持続時間は6ヵ月またはそれよりわずかに長かった。これらの放出プロファイルは、基準物Eligard(登録商標)45mgについて観察されたインビトロ放出に類似している。
実施例13:1ヵ月の製剤安定性および放出
1ヵ月の放出持続時間のためにデザインした製剤を、メタンスルホン酸対ロイプロリドを1.6:1および2.0:1の比率で有するLAMSを用いて、NMP中50:50PLGAポリマー(分子量50k、PDI4.0)で生成した。これらの製剤を25Cで貯蔵し、ペプチド純度およびポリマー分子量を経時的に測定した。表9および10は、これらの製剤についてのペプチド純度および分子量の安定性をそれぞれ示す。
Figure 0007223021000009
Figure 0007223021000010
表9および10は、高いモル比のメシル酸塩が低い比率よりも良好な安定性を示すペプチド純度およびポリマー分子量の両方を有する、より安定した製剤をもたらすことを示す。ポリマー溶液それ自体と比較して、LAMS(2.0)についてはポリマー分子量の低下に差はない。これらの製剤の放出を図9に示す。放出は、LAMS(2.0)がLAMS(1.6)よりも高い初期放出を有することを示す。したがって、メシル酸塩対ロイプロリドのモル比を調整して、所望の貯蔵安定性および薬物放出持続時間を有する製剤を開発することができる。

Claims (11)

  1. 医薬組成物であって、
    a)LHRHアゴニストの強酸塩と弱酸塩の組み合わせであって、(強酸性アニオン+弱酸性アニオン)対LHRHアゴニストのモル比が1:1~2:1であり、前記強酸性アニオン対前記LHRHアゴニストのモル比が1:1~2:1未満であり、かつ前記LHRHアゴニストの強酸塩対弱酸塩のモル比が1:1~50:1であり、前記LHRHアゴニストがロイプロリド、トリプトレリン、およびゴセレリンからなる群から選択される、組み合わせと、
    b)ホモポリマーポリラクチドもしくはポリ乳酸、およびコポリマーポリ(乳酸-co-グリコール酸)もしくはポリ(ラクチド-co-グリコリド)の群から選択される生分解性ポリマーであって、前記コポリマーのラクチド対グリコリド(または乳酸対グリコール酸)の比率が50:50~100:0である、生分解性ポリマーと、
    c)N-メチル-2-ピロリドン(NMP)と、を含み、
    1ヵ月~6ヵ月の範囲の選択された放出持続時間を有する前記医薬組成物が、前記LHRHアゴニストの強酸塩と弱酸塩との比率を変えることにより調製することができる、医薬組成物。
  2. 前記LHRHアゴニストがロイプロリドである、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記強酸がメタンスルホン酸である、請求項1に記載の医薬組成物。
  4. 前記強酸が硫酸である、請求項1に記載の医薬組成物。
  5. 前記弱酸が酢酸およびギ酸からなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
  6. 医薬組成物であって、
    a)ロイプロリドメシル酸塩とロイプロリド酢酸塩の組み合わせであって、(メシル酸塩+酢酸塩)対ロイプロリドのモル比が1:1~2:1であり、メシル酸アニオン対ロイプロリドのモル比が1:1~2:1未満であり、かつメシル酸塩対酢酸塩のモル比が1:1~50:1である、組み合わせと、
    b)ホモポリマーポリラクチドもしくはポリ乳酸、およびコポリマーポリ(乳酸-co-グリコール酸)もしくはポリ(ラクチド-co-グリコリド)の群から選択される生分解性ポリマーであって、前記コポリマーのラクチド対グリコリド(または乳酸対グリコール酸)の比率が50:50~100:0である、生分解性ポリマーと、
    c)N-メチル-2-ピロリドン(NMP)と、を含み、
    1ヵ月~6ヵ月の範囲の選択された放出持続時間を有する前記医薬組成物が、メシル酸塩対ロイプロリドの比率を変えることにより調製することができる、医薬組成物。
  7. 医薬組成物であって、
    a)ロイプロリドメシル酸塩とロイプロリドギ酸塩の組み合わせであって、(メシル酸塩+ギ酸塩)対ロイプロリドのモル比が1:1~2:1であり、メシル酸アニオン対ロイプロリドのモル比が1:1~2:1未満であり、かつメシル酸塩対ギ酸塩のモル比が1:1~50:1である、組み合わせと、
    b)ホモポリマーポリラクチドもしくはポリ乳酸、およびコポリマーポリ(乳酸-co-グリコール酸)もしくはポリ(ラクチド-co-グリコリド)の群から選択される生分解性ポリマーであって、前記コポリマーのラクチド対グリコリド(または乳酸対グリコール酸)の比率が50:50~100:0である、生分解性ポリマーと、
    c)N-メチル-2-ピロリドン(NMP)と、を含み、
    1ヵ月~6ヵ月の範囲の選択された放出持続時間を有する前記医薬組成物が、メシル酸塩対ロイプロリドの比率を変えることにより調製することができる、医薬組成物。
  8. メシル酸アニオン対ロイプロリドのモル比が1.4:1~1.91である、請求項6または7に記載の医薬組成物。
  9. メシル酸アニオン対ロイプロリドのモル比が1.5:1~1.8:1である、請求項6または7に記載の医薬組成物。
  10. 前記生分解性ポリマーが少なくとも1つのヒドロキシル末端基を有する、請求項1、6または7に記載の医薬組成物。
  11. 前記生分解性ポリマーが前記組成物の30~60重量%を有し、8,000~50,000の平均分子量を有し、2.5以下の多分散性を有する、請求項1、6または7に記載の医薬組成物。
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