JP7222234B2 - 炭素繊維束の製造方法およびシートモールディングコンパウンドの製造方法 - Google Patents
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また、SMCの製造においては、装置が過度に大型化せず、コスト面で優れていることが重要である。
[1]炭素繊維束が裁断されたチョップドストランドとマトリックス樹脂とを含有するSMCを製造する方法であって、
長尺の炭素繊維束を開繊により拡幅し、扁平な状態とする開繊工程と、
前記開繊工程後の前記の長尺の炭素繊維束に固体状の樹脂を溶融させて付着させる樹脂付着工程と、を有する、SMCの製造方法。
[2]前記樹脂付着工程後に、付着した樹脂を再加熱し、前記樹脂を前記炭素繊維束内に含浸させる工程を有する、[1]に記載のSMCの製造方法。
[3]前記開繊工程後の前記の長尺の炭素繊維束を、長さ方向に間隔を空けて分繊して幅方向に分割する分繊工程をさらに有する、[1]又は[2]に記載のSMCの製造方法。
[4]前記樹脂付着工程後の前記の長尺の炭素繊維束を長手方向に間隔を空けて裁断してチョップドストランドとする、[1]~[3]のいずれかに記載のSMCの製造方法。
[5]前記樹脂付着工程で、前記炭素繊維束に前記樹脂の粉体を付着させて溶融させる、[1]~[4]のいずれかに記載のSMCの製造方法。
[6]前記樹脂付着工程で、前記樹脂を溶融させ、繊維状にスプレーして前記炭素繊維束に塗布する、[1]~[4]のいずれかに記載のSMCの製造方法。
開繊工程:長尺の炭素繊維束を開繊により拡幅し、扁平な状態とする。
樹脂付着工程:開繊工程後の長尺の炭素繊維束に固体状の樹脂を溶融させて付着させる。
以下、本発明の繊維強化樹脂材料の製造方法に用いる製造装置の一例について、図1及び図2に基づいて説明する。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、必要に応じてこのXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。
第1製造装置1は、ボビンB1から巻き出した連続する炭素繊維束f1を幅方向(Y軸方向)に開繊する開繊部10と、開繊された炭素繊維束f2に固体状の樹脂を溶融させて付着させる樹脂付着部11と、樹脂を付着させた炭素繊維束f3を分繊して炭素繊維束f4とする分繊部12と、分繊後の炭素繊維束f4を巻き取る巻取部13とをこの順に備えている。
樹脂散布部15としては、搬送されている炭素繊維束f2に向かって樹脂粉体を散布できるものであればよく、例えば、振動篩、ロール散布装置、スキャッター散布装置、パウダースプレー装置が挙げられる。
複数の回転刃19は、開繊された炭素繊維束f3の幅方向(Y軸方向)に所定の間隔で並んで配置されている。また、各回転刃19の間にはスペーサー19aが設けられている。回転刃19を回転させながら炭素繊維束f3を通過させることで、炭素繊維束f3に回転刃19が間欠的に突き刺さり、炭素繊維束f3が幅方向に分割されて複数の炭素繊維束f4となる。分繊された炭素繊維束f4は、完全に分割された状態とはなっておらず、長手方向に間隔を空けて分繊されて、分割された分繊部分と、分割されていない未分繊部分とが交互に存在している。
複数のゴデットロール20は、分繊後の炭素繊維束f4を巻取部13へと案内するものである。
裁断機24により所定の長さに裁断されて生じたチョップドストランドCSは、落下して第1樹脂シートS1の上に散布され、シート状の繊維基材Fが形成される。
以下、本発明の繊維強化樹脂材料の製造方法の一例として、製造装置100を用いたSMCの製造方法について説明する。製造装置100を用いたSMCの製造方法は、下記の開繊工程、付着工程、分繊工程、散布工程、及び含浸工程を有する。
開繊工程:長尺の炭素繊維束f1を開繊により拡幅し、扁平な状態の炭素繊維束f2とする。
樹脂付着工程:開繊工程後の長尺の炭素繊維束f2に固体状の樹脂を溶融させて付着させ、樹脂が付着した炭素繊維束f3とする。
分繊工程:炭素繊維束f3を分繊し、幅方向に分割した炭素繊維束f4を巻き取って巻取体とする。
散布工程:巻取体から炭素繊維束f4を巻き出して連続的に裁断し、マトリックス樹脂をシート状にした第1樹脂シートS1上に、裁断された複数のチョップドストランドCSをシート状に散布してシート状の繊維基材Fを形成する。
含浸工程:繊維基材F上に、マトリックス樹脂をシート状にした第2樹脂シートS2を貼り合わせて加圧し、繊維基材Fにマトリックス樹脂を含浸させてSMCを得る。
ボビンB1から長尺の炭素繊維束f1を引き出し、開繊部10において、炭素繊維束f1を各開繊バー14の上下に順にジグザグに通過させ、開繊により幅方向に拡幅して扁平な状態の炭素繊維束f2とする。
炭素繊維束f1のフィラメント数は、適宜設定できる。例えば、繊維数が3,000本以上の炭素繊維束を用いることができ、繊維数が12,000本以上の炭素繊維束が好ましい。また、ラージトウと呼ばれる48,000本以上の炭素繊維束も使用してもよい。
開繊前の炭素繊維束f1には、通常、各繊維の収束性を高める目的でサイズ剤が付与されている。サイズ剤としては、特に限定されず、公知のサイズ剤を使用することができる。
樹脂付着部11において、開繊後の炭素繊維束f2に向かって樹脂散布部15から樹脂粉体を散布する。次いで、炭素繊維束f2に付着した樹脂粉体をヒータ16で加熱して溶融させ、ニップロール17で挟み込んで付着した樹脂を炭素繊維束f2の内部まで浸み込ませた後、冷却ロール18で冷却して樹脂を固化させ、樹脂が付着した炭素繊維束f3とする。
炭素繊維束に付着させる樹脂粉体の具体例としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン等の粉体を例示できる。炭素繊維束に付着させる樹脂は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。
また、付着させた樹脂を前記炭素繊維束内に含浸させることで、炭素繊維束のトウ形態をより確実に維持させることができる。例えば、溶融した樹脂が付着した炭素繊維束をニップロール17等で加圧することで、これを含浸させることができる。この含浸は、前記樹脂付着工程後に、炭素繊維束に付着した樹脂を再加熱する工程を設けることで実施することもできる。
分繊部12において、複数の回転刃19を回転させながら炭素繊維束f3を通過させ、回転刃19を間欠的に突き刺し、炭素繊維束f3を長手方向に間隔を空けて分繊し、幅方向に分割して複数の炭素繊維束f4とし、巻取部13でボビンB2に巻き取る。
第1のキャリアシート供給部21により、第1の原反ロールR1から長尺の第1のキャリアシートC1を引き出して第1の搬送部22へと供給し、第1の塗工部23によりペーストPを所定の厚みで塗工して第1樹脂シートS1を形成する。第1の搬送部22によって第1のキャリアシートC1を搬送することにより、第1のキャリアシートC1上の第1樹脂シートS1を走行させる。
第2のキャリアシート供給部25により、第2の原反ロールR2から長尺の第2のキャリアシートC2を引き出して第2の搬送部26へと供給する。第2の塗工部27により、第2のキャリアシートC2の面上にペーストPを所定の厚みで塗工し、第2樹脂シートS2を形成する。
また、本発明のSMCの製造方法は、装置が過度に大型化せず、コスト面にも優れている。
例えば、本発明のSMCの製造方法は、製造装置100において樹脂付着部11の代わりに樹脂付着部11Aを備えるSMCの製造装置200(以下、「製造装置200」という。)を用いる方法であってもよい。製造装置200は、樹脂付着部11の代わりに樹脂付着部11Aを備える以外は、製造装置100と同様の態様である。
塗布手段46としては、溶融樹脂を繊維化して不織布状に塗布するカーテンスプレー、溶融樹脂を螺旋状に繊維化して塗布するスパイラルスプレー等を例示できる。
溶融樹脂を繊維化して塗布する態様では、樹脂付着工程で付着させる樹脂としては、ホットメルト樹脂が好ましい。
また、本発明のSMCの製造方法は、炭素繊維束の分繊を行わない方法であってもよい。
Claims (8)
- 長尺の炭素繊維束を開繊により拡幅する開繊工程と、前記開繊工程後の前記長尺の炭素繊維束に樹脂を付着させる樹脂付着工程と、前記樹脂付着工程後の前記長尺の炭素繊維束を長さ方向に間隔を空けて分繊する分繊工程と、を有し、
前記樹脂付着工程では、(i)前記長尺の炭素繊維束に樹脂粉体を散布により付着させたうえ、前記樹脂粉体を加熱して溶融させるか、または、(ii)溶融樹脂を繊維化して前記長尺の炭素繊維束に塗布する、
間欠的に分繊された炭素繊維束の製造方法。 - 前記樹脂付着工程では、前記長尺の炭素繊維束に樹脂粉体を散布により付着させたうえ、前記樹脂粉体を加熱して溶融させる、請求項1に記載の製造方法。
- 前記樹脂付着工程では、更に、溶融した前記樹脂粉体が付着した前記長尺の炭素繊維束をニップロールで挟み込むことで、前記樹脂を前記長尺の炭素繊維束の内部まで浸み込ませる、請求項2に記載の製造方法。
- 前記樹脂付着工程では、溶融樹脂を繊維化して前記長尺の炭素繊維束に塗布する、請求項1に記載の製造方法。
- 前記樹脂付着工程では、更に、繊維化された前記溶融樹脂が塗布された前記長尺の炭素繊維束をニップロールで挟み込むことで、前記樹脂を前記長尺の炭素繊維束の内部まで浸み込ませる、請求項4に記載の製造方法。
- 前記樹脂付着工程では、更に、前記樹脂を前記長尺の炭素繊維束の内部まで浸み込ませた後、前記樹脂を固化させるために前記長尺の炭素繊維束を冷却ロールで冷却する、請求項3または5に記載の製造方法。
- 前記樹脂付着工程で前記長尺の炭素繊維束に付着させた前記樹脂を、再加熱することによって、前記長尺の炭素繊維束内に含浸させる工程を有する、請求項1に記載の製造方法。
- 間欠的に分繊された炭素繊維束を連続的に裁断してチョップドストランドにすることと、マトリックス樹脂をシート状にした第1樹脂シート上に前記チョップドストランドをシート状に散布してシート状の繊維基材を形成することと、前記繊維基材上にマトリックス樹脂をシート状にした第2樹脂シートを貼り合わせて加圧し、前記繊維基材に前記マトリックス樹脂を含浸させることとを含むシートモールディングコンパウンドの製造方法であって、前記間欠的に分繊された炭素繊維束を請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法により製造する、シートモールディングコンパウンドの製造方法。
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