JP7222234B2 - 炭素繊維束の製造方法およびシートモールディングコンパウンドの製造方法 - Google Patents

炭素繊維束の製造方法およびシートモールディングコンパウンドの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、炭素繊維束の製造方法およびシートモールディングコンパウンドの製造方法に関する。
成形品の機械特性に優れるとともに、三次元形状等の複雑形状の成形に適した成形材料として、炭素繊維束を裁断したチョップドストランドのフィラメント間に、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させたシートモールディングコンパウンド(SMC)が知られている。SMCを用いた成形では、金型によりSMCを加熱しながら圧縮成形する。裁断したチョップドストランドを用いることで成形時の流動性が高まり、成形性が向上する。
SMCの製造方法としては、連続する繊維束を裁断機で所定の長さに裁断して散布し、形成された繊維基材にマトリックス樹脂を含浸する方法が知られている。前記方法においては、製造コストを下げるため、比較的安価なラージトウと呼ばれるフィラメント数の多い繊維束が用いられる。この場合、一般に、繊維束を開繊して幅方向に拡幅し、開繊された繊維束を分繊して複数の繊維束に分割した後、分繊された繊維束を裁断機で裁断してチョップドストランドとする。しかし、繊維束を開繊し、分繊し、裁断してマトリックス樹脂を含浸するまでの工程を一連の工程として連続的に実施してSMC等を製造すると、繊維束の開繊や分繊が律速となるため生産性が低下する。
そこで、繊維束の開繊や分繊を行った後、繊維束を一旦巻き取って巻取体とする工程と、前記巻取体から繊維束を巻き出して裁断し、マトリックス樹脂を含浸する工程とを別々に実施する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
国際公開第2017/111056号
しかし、繊維束を開繊すると、得られたSMCを成形した成形品の機械物性が低下することがある。また、開繊後の繊維束を一旦巻き取ると、成形品の機械物性が低下する傾向がより高くなる。
また、SMCの製造においては、装置が過度に大型化せず、コスト面で優れていることが重要である。
本発明は、装置が過度に大型化せず、コスト面に優れ、開繊後に一旦巻き取った巻取体から巻き出した炭素繊維束を用いても、成形品の機械物性の低下を抑制できるSMCの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等が検討したところ、開繊後の炭素繊維束はサイズ剤による収束性が低下するため、特に開繊後に一旦巻き取る場合に、巻き取られた炭素繊維束同士が絡み合いやすく、裁断後に肉厚なチョップドストランドが生じやすくなることがわかった。開繊後に分繊した場合も、炭素繊維束の分割した部分同士が絡み合って合糸され、肉厚なチョップドストランドが生じやすくなることがわかった。肉厚なチョップドストランドが生じると、シート状の繊維基材を形成した際に、繊維基材中のチョップドストランドの重なり部分に大きな空隙が形成されやすくなる。これにより、SMC中において、マトリックス樹脂だけが存在している部分が大きくなることで、成形品の機械物性が低下すると考えられる。
本発明者等は、さらに検討した結果、開繊後の炭素繊維束に固体状の樹脂を溶融させて付着させることで、開繊後の炭素繊維束のトウ形態を維持でき、肉厚なチョップドストランドが生じることが抑制されて、成形品の機械物性の低下を抑制できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の構成を有する。
[1]炭素繊維束が裁断されたチョップドストランドとマトリックス樹脂とを含有するSMCを製造する方法であって、
長尺の炭素繊維束を開繊により拡幅し、扁平な状態とする開繊工程と、
前記開繊工程後の前記の長尺の炭素繊維束に固体状の樹脂を溶融させて付着させる樹脂付着工程と、を有する、SMCの製造方法。
[2]前記樹脂付着工程後に、付着した樹脂を再加熱し、前記樹脂を前記炭素繊維束内に含浸させる工程を有する、[1]に記載のSMCの製造方法。
[3]前記開繊工程後の前記の長尺の炭素繊維束を、長さ方向に間隔を空けて分繊して幅方向に分割する分繊工程をさらに有する、[1]又は[2]に記載のSMCの製造方法。
[4]前記樹脂付着工程後の前記の長尺の炭素繊維束を長手方向に間隔を空けて裁断してチョップドストランドとする、[1]~[3]のいずれかに記載のSMCの製造方法。
[5]前記樹脂付着工程で、前記炭素繊維束に前記樹脂の粉体を付着させて溶融させる、[1]~[4]のいずれかに記載のSMCの製造方法。
[6]前記樹脂付着工程で、前記樹脂を溶融させ、繊維状にスプレーして前記炭素繊維束に塗布する、[1]~[4]のいずれかに記載のSMCの製造方法。
本発明によれば、装置が過度に大型化せず、コスト面に優れ、開繊後に一旦巻き取った巻取体から巻き出した炭素繊維束を用いても、成形品の機械物性の低下を抑制できるSMCの製造方法を提供できる。
シートモールディングコンパウンドの製造装置の一例の第1製造装置を示した模式図である。 シートモールディングコンパウンドの製造装置の一例の第2製造装置を示した模式図である。 シートモールディングコンパウンドの製造装置の他の例の第1製造装置を示した模式図である。
本発明のシートモールディングコンパウンド(SMC)の製造方法は、炭素繊維束が裁断されたチョップドストランドとマトリックス樹脂とを含有するSMCを製造する方法であって、少なくとも下記の開繊工程と付着工程とを有する。
開繊工程:長尺の炭素繊維束を開繊により拡幅し、扁平な状態とする。
樹脂付着工程:開繊工程後の長尺の炭素繊維束に固体状の樹脂を溶融させて付着させる。
開繊後の炭素繊維束に固体状の樹脂を溶融させて付着させ、好ましくはこの樹脂をこの炭素繊維束内に含浸させることで、開繊後の炭素繊維束のトウ形態を維持できる。そのため、開繊後に一旦巻き取っても炭素繊維束同士が絡み合いにくく、裁断時に肉厚なチョップドストランドが生じることが抑制される。これにより、SMC中において、マトリックス樹脂だけが存在している部分が大きくなることが抑制されるため、成形品の機械物性の低下が抑制される。
(SMCの製造装置)
以下、本発明の繊維強化樹脂材料の製造方法に用いる製造装置の一例について、図1及び図2に基づいて説明する。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、必要に応じてこのXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。
本実施形態のSMCの製造装置100(以下、「製造装置100」という。)は、図1及び図2に示すように、第1製造装置1と第2製造装置2とを備えている。
第1製造装置1は、ボビンB1から巻き出した連続する炭素繊維束f1を幅方向(Y軸方向)に開繊する開繊部10と、開繊された炭素繊維束f2に固体状の樹脂を溶融させて付着させる樹脂付着部11と、樹脂を付着させた炭素繊維束f3を分繊して炭素繊維束f4とする分繊部12と、分繊後の炭素繊維束f4を巻き取る巻取部13とをこの順に備えている。
開繊部10は、X軸方向に間隔を空けて並んで設けられた複数の開繊バー14を備えている。複数の開繊バー14は、炭素繊維束f1が各開繊バー14の上下を順にジグザグに通過する際に、各開繊バー14による加熱、擦過、揺動等の手段により炭素繊維束f1が幅方向に拡幅されるようになっている。炭素繊維束f1が開繊されることで、扁平な炭素繊維束f2が得られる。
樹脂付着部11は、開繊された状態で搬送される炭素繊維束f2に向かって樹脂粉体を散布する樹脂散布部15と、樹脂粉体を散布した炭素繊維束f2を加熱するヒータ16と、樹脂が付着した炭素繊維束f2を挟み込むニップロール17と、樹脂が付着した炭素繊維束f2を冷却する冷却ロール18とをこの順に備えている。
樹脂付着部11では、樹脂散布部15から炭素繊維束f2に向かって樹脂粉体が散布されることで炭素繊維束f2に樹脂粉体が付着し、ヒータ16で加熱されることで炭素繊維束f2に付着した樹脂粉体が溶融する。さらに、ニップロール17で挟み込まれることで付着した樹脂が炭素繊維束f2の内部まで浸み込み、冷却ロール18による冷却によって樹脂が固化し、樹脂が付着した炭素繊維束f3が得られる。
樹脂散布部15としては、搬送されている炭素繊維束f2に向かって樹脂粉体を散布できるものであればよく、例えば、振動篩、ロール散布装置、スキャッター散布装置、パウダースプレー装置が挙げられる。
分繊部12は、複数の欠円状の回転刃19と、複数のゴデットロール20とを備えている。
複数の回転刃19は、開繊された炭素繊維束f3の幅方向(Y軸方向)に所定の間隔で並んで配置されている。また、各回転刃19の間にはスペーサー19aが設けられている。回転刃19を回転させながら炭素繊維束f3を通過させることで、炭素繊維束f3に回転刃19が間欠的に突き刺さり、炭素繊維束f3が幅方向に分割されて複数の炭素繊維束f4となる。分繊された炭素繊維束f4は、完全に分割された状態とはなっておらず、長手方向に間隔を空けて分繊されて、分割された分繊部分と、分割されていない未分繊部分とが交互に存在している。
複数のゴデットロール20は、分繊後の炭素繊維束f4を巻取部13へと案内するものである。
巻取部13は、分繊後の炭素繊維束f4をボビンB2に巻き取ることができるようになっている。
第2製造装置2は、第1のキャリアシート供給部21と、第1の搬送部22と、第1の塗工部23と、裁断機24と、第2のキャリアシート供給部25と、第2の搬送部26と、第2の塗工部27と、含浸部28と、を備えている。
第1のキャリアシート供給部21は、第1の原反ロールR1から引き出された長尺の第1のキャリアシートC1を第1の搬送部22へと供給する。第1の搬送部22は、一対のプーリ29a,29bの間に無端ベルト30を掛け合わせたコンベア31を備えている。コンベア31では、一対のプーリ29a,29bを同一方向に回転させることによって無端ベルト30を周回させ、無端ベルト30の面上において第1のキャリアシートC1をX軸方向の右側に向けて搬送する。
第1の塗工部23は、第1の搬送部22におけるプーリ29a側の直上に位置しており、マトリックス樹脂を含むペーストPを供給するコータ50を備えている。第1のキャリアシートC1がコータ50を通過することで、第1のキャリアシートC1の面上にペーストPが所定の厚みで塗工され、第1樹脂シートS1が形成される。第1樹脂シートS1は、第1のキャリアシートC1の搬送に伴って走行する。
裁断機24は、第1の塗工部23よりも搬送方向の後段において、第1のキャリアシートC1の上方に位置している。裁断機24は、分繊後に一旦巻き取られた巻取体から巻き出した炭素繊維束f4を所定の長さに連続的に裁断するものであり、ガイドロール32と、ピンチロール33と、カッターロール34とを備えている。ガイドロール32は、供給された炭素繊維束f4を回転しながら下方に向けて案内する。ピンチロール33は、ガイドロール32との間で炭素繊維束f4を挟み込みながら、ガイドロール32とは逆向きに回転する。これにより、巻取体から炭素繊維束f4が巻き出される。カッターロール34は、回転しながら炭素繊維束f4を所定の長さとなるように裁断する。
裁断機24により所定の長さに裁断されて生じたチョップドストランドCSは、落下して第1樹脂シートS1の上に散布され、シート状の繊維基材Fが形成される。
第2のキャリアシート供給部25は、第2の原反ロールR2から引き出された長尺の第2のキャリアシートC2を第2の搬送部26へと供給する。第2の搬送部26は、コンベア31により搬送される第1のキャリアシートC1の上方に位置しており、複数のガイドロール35を備えている。第2の搬送部26は、第2のキャリアシート供給部25から供給された第2のキャリアシートC2を、第1のキャリアシートC1とは反対方向(X軸方向の左側)に搬送した後、搬送方向を複数のガイドロール35によって第1のキャリアシートC1と同じ方向に反転させる。
第2の塗工部27は、第1のキャリアシートC1とは反対方向に搬送されている第2のキャリアシートC2の直上に位置し、マトリックス樹脂を含むペーストPを供給するコータ36を備えている。第2のキャリアシートC2がコータ36を通過することで、第2のキャリアシートC2の面上にペーストPが所定の厚みで塗工され、第2樹脂シートS2が形成されるようになっている。第2樹脂シートS2は、第2のキャリアシートC2の搬送に伴って走行する。
含浸部28は、第1の搬送部22における裁断機24よりも後段に位置し、貼合機構37と、加圧機構38とを備えている。貼合機構37は、コンベア31のプーリ29bの上方に位置し、複数の貼合ロール39を備えている。複数の貼合ロール39は、第2樹脂シートS2が形成された第2のキャリアシートC2の背面に接触した状態で搬送方向に並んで配置されている。また、複数の貼合ロール39は、第1のキャリアシートC1に対して第2のキャリアシートC2が徐々に接近するように配置されている。
貼合機構37では、第1のキャリアシートC1と第2のキャリアシートC2とが、その間に第1樹脂シートS1、繊維基材F及び第2樹脂シートS2を挟み込んだ状態で重ね合わされながら搬送される。ここで、第1樹脂シートS1、繊維基材F及び第2樹脂シートS2を挟み込んだ状態で第1のキャリアシートC1と第2のキャリアシートC2が貼合されたものを貼合シートS3という。
加圧機構38は、貼合機構37の後段に位置し、一対のプーリ40a,40bの間に無端ベルト41aを掛け合わせた下側コンベア42Aと、一対のプーリ43c,43dの間に無端ベルト41bを掛け合わせた上側コンベア44Bとを備えている。下側コンベア42Aと上側コンベア44Bとは、互いの無端ベルト41a,41bを突き合わせた状態で、互いに対向して配置されている。
加圧機構38では、下側コンベア42Aの一対のプーリ40a,40bが同一方向に回転されることによって無端ベルト41aが周回される。また、加圧機構38では、上側コンベア44Bの一対のプーリ43c,43dを同一方向に回転させることによって、無端ベルト41bが無端ベルト41aと同じ速さで逆向きに周回される。これにより、無端ベルト41a,41bの間に挟み込まれた貼合シートS3がX軸方向の右側に搬送される。
加圧機構38には、さらに複数の下側ロール45aと、複数の上側ロール45bとが設けられている。複数の下側ロール45aは、無端ベルト41aの突合せ部分の背面に接触した状態で搬送方向に並んで配置されている。同様に、複数の上側ロール45bは、無端ベルト41bの突き合わせ部分の背面に接触した状態で搬送方向に並んで配置されている。また、複数の下側ロール45aと複数の上側ロール45bとは、貼合シートS3の搬送方向に沿って互い違いに並んで配置されている。
加圧機構38では、無端ベルト41a,41bの間を貼合シートS3が通過する間に、第1のキャリアシートC1と第2のキャリアシートC2との間に挟み込まれた第1樹脂シートS1、繊維基材F及び第2樹脂シートS2を複数の下側ロール45a及び複数の上側ロール45bにより加圧する。このとき、第1樹脂シートS1及び第2樹脂シートS2の樹脂が繊維基材Fに含浸される。これにより、SMCの原反Rが得られる。原反Rは、所定の長さに切断して成形に使用することができる。なお、第1のキャリアシートC1及び第2のキャリアシートC2は、SMCの成形前にSMCから剥離される。
(製造方法)
以下、本発明の繊維強化樹脂材料の製造方法の一例として、製造装置100を用いたSMCの製造方法について説明する。製造装置100を用いたSMCの製造方法は、下記の開繊工程、付着工程、分繊工程、散布工程、及び含浸工程を有する。
開繊工程:長尺の炭素繊維束f1を開繊により拡幅し、扁平な状態の炭素繊維束f2とする。
樹脂付着工程:開繊工程後の長尺の炭素繊維束f2に固体状の樹脂を溶融させて付着させ、樹脂が付着した炭素繊維束f3とする。
分繊工程:炭素繊維束f3を分繊し、幅方向に分割した炭素繊維束f4を巻き取って巻取体とする。
散布工程:巻取体から炭素繊維束f4を巻き出して連続的に裁断し、マトリックス樹脂をシート状にした第1樹脂シートS1上に、裁断された複数のチョップドストランドCSをシート状に散布してシート状の繊維基材Fを形成する。
含浸工程:繊維基材F上に、マトリックス樹脂をシート状にした第2樹脂シートS2を貼り合わせて加圧し、繊維基材Fにマトリックス樹脂を含浸させてSMCを得る。
<開繊工程>
ボビンB1から長尺の炭素繊維束f1を引き出し、開繊部10において、炭素繊維束f1を各開繊バー14の上下に順にジグザグに通過させ、開繊により幅方向に拡幅して扁平な状態の炭素繊維束f2とする。
炭素繊維束f1を構成する炭素繊維としては、特に限定されず、例えばポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。
炭素繊維束f1のフィラメント数は、適宜設定できる。例えば、繊維数が3,000本以上の炭素繊維束を用いることができ、繊維数が12,000本以上の炭素繊維束が好ましい。また、ラージトウと呼ばれる48,000本以上の炭素繊維束も使用してもよい。
開繊前の炭素繊維束f1には、通常、各繊維の収束性を高める目的でサイズ剤が付与されている。サイズ剤としては、特に限定されず、公知のサイズ剤を使用することができる。
<樹脂付着工程>
樹脂付着部11において、開繊後の炭素繊維束f2に向かって樹脂散布部15から樹脂粉体を散布する。次いで、炭素繊維束f2に付着した樹脂粉体をヒータ16で加熱して溶融させ、ニップロール17で挟み込んで付着した樹脂を炭素繊維束f2の内部まで浸み込ませた後、冷却ロール18で冷却して樹脂を固化させ、樹脂が付着した炭素繊維束f3とする。
樹脂付着工程において炭素繊維束に付着させる樹脂は、開繊後の炭素繊維束のトウ形態を維持でき、かつSMCを成形して得た成形品の物性に悪影響を及ぼさないものであればよい。
炭素繊維束に付着させる樹脂粉体の具体例としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン等の粉体を例示できる。炭素繊維束に付着させる樹脂は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。
樹脂粉体をヒータ16で加熱する際の加熱温度は、使用する樹脂の種類に応じて、樹脂粉体が溶融する温度を設定すればよく、50~180℃が好ましく、60~150℃がより好ましい。加熱温度が前記範囲の下限値以上であれば、開繊後の炭素繊維束に万遍なく樹脂を付着させやすく、開繊後の炭素繊維束のトウ形態を維持することが容易になる。加熱温度が前記範囲の上限値以下であれば、樹脂を変形させずに素早く樹脂を溶融させることができる。
また、付着させた樹脂を前記炭素繊維束内に含浸させることで、炭素繊維束のトウ形態をより確実に維持させることができる。例えば、溶融した樹脂が付着した炭素繊維束をニップロール17等で加圧することで、これを含浸させることができる。この含浸は、前記樹脂付着工程後に、炭素繊維束に付着した樹脂を再加熱する工程を設けることで実施することもできる。
<分繊工程>
分繊部12において、複数の回転刃19を回転させながら炭素繊維束f3を通過させ、回転刃19を間欠的に突き刺し、炭素繊維束f3を長手方向に間隔を空けて分繊し、幅方向に分割して複数の炭素繊維束f4とし、巻取部13でボビンB2に巻き取る。
<散布工程>
第1のキャリアシート供給部21により、第1の原反ロールR1から長尺の第1のキャリアシートC1を引き出して第1の搬送部22へと供給し、第1の塗工部23によりペーストPを所定の厚みで塗工して第1樹脂シートS1を形成する。第1の搬送部22によって第1のキャリアシートC1を搬送することにより、第1のキャリアシートC1上の第1樹脂シートS1を走行させる。
ペーストPに含まれるマトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、例えば、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。ペーストPには、炭酸カルシウム等の充填剤や、低収縮化剤、離型剤、硬化開始剤、増粘剤等を配合してもよい。
ボビンB2に巻き取った巻取体から炭素繊維束f4を巻き出し、裁断機24において所定の長さとなるように連続的に裁断し、裁断されたチョップドストランドCSを第1樹脂シートS1の上に落下させて散布する。これにより、走行する第1樹脂シートS1上に、各チョップドストランドCSがランダムな繊維配向で散布されたシート状の繊維基材Fが連続的に形成される。
<含浸工程>
第2のキャリアシート供給部25により、第2の原反ロールR2から長尺の第2のキャリアシートC2を引き出して第2の搬送部26へと供給する。第2の塗工部27により、第2のキャリアシートC2の面上にペーストPを所定の厚みで塗工し、第2樹脂シートS2を形成する。
第2のキャリアシートC2を搬送することで第2樹脂シートS2を走行させ、含浸部28において、貼合機構37により繊維基材F上に第2樹脂シートS2を貼り合わせる。そして、加圧機構38により第1樹脂シートS1、繊維基材F及び第2樹脂シートS2を加圧し、第1樹脂シートS1及び第2樹脂シートS2のマトリックス樹脂を繊維基材Fに含浸させる。これにより、SMCが第1のキャリアシートC1と第2のキャリアシートC2で挟持された原反Rが得られる。
以上説明したように、本発明のSMCの製造方法においては、開繊後の炭素繊維束に固体状の樹脂を溶融させて付着させる。これにより、開繊後の炭素繊維束のトウ形態が維持されるため、開繊後に一旦巻き取っても炭素繊維束同士が絡み合いにくく、裁断時に肉厚なチョップドストランドが生じることが抑制される。そのため、SMC中において、マトリックス樹脂だけが存在している部分が大きくなることが抑制されるため、成形品の機械物性の低下が抑制される。
また、本発明のSMCの製造方法は、装置が過度に大型化せず、コスト面にも優れている。
なお、本発明のSMCの製造方法は、前記した製造装置100を用いる方法には限定されない。
例えば、本発明のSMCの製造方法は、製造装置100において樹脂付着部11の代わりに樹脂付着部11Aを備えるSMCの製造装置200(以下、「製造装置200」という。)を用いる方法であってもよい。製造装置200は、樹脂付着部11の代わりに樹脂付着部11Aを備える以外は、製造装置100と同様の態様である。
樹脂付着部11Aは、開繊後の炭素繊維束f2上に、固体状の樹脂を溶融させ、繊維状にスプレーして塗布する塗布手段46と、ニップロール17と、冷却ロール18とをこの順に備えている。
塗布手段46としては、溶融樹脂を繊維化して不織布状に塗布するカーテンスプレー、溶融樹脂を螺旋状に繊維化して塗布するスパイラルスプレー等を例示できる。
製造装置200を用いたSMCの製造方法では、樹脂付着工程において、樹脂付着部11Aで、開繊後の炭素繊維束f2に溶融樹脂を繊維化して塗布し、ニップロール17で挟み込んで溶融した樹脂を炭素繊維束f2の内部まで浸み込ませた後、冷却ロール18で冷却して樹脂を固化させ、樹脂が付着した炭素繊維束f3とする。それ以外の工程は、製造装置100を用いたSMCの製造方法と同様に行える。
溶融樹脂を繊維化して塗布する態様では、樹脂付着工程で付着させる樹脂としては、ホットメルト樹脂が好ましい。
製造装置200を用いる方法は、製造装置100を用いる方法に比べて、開繊後の炭素繊維束に溶融樹脂を均一に付着させることが容易であり、またより高速化できる点で有利である。
また、製造装置100,200を用いる製造方法では開繊した炭素繊維束を分繊した後に一旦巻き取るが、本発明においては、分繊後の炭素繊維束をそのまま裁断機へと供給して裁断してもよい。
また、本発明のSMCの製造方法は、炭素繊維束の分繊を行わない方法であってもよい。
1…第1製造装置、2…第2製造装置、10…開繊部、11,11A…樹脂付着部、12…分繊部、13…巻取部、15…樹脂散布部、16…ヒータ、17…ニップロール、18…冷却ロール、21…第1のキャリアシート供給部、22…第1の搬送部、23…第1の塗工部、24…裁断機、25…第2のキャリアシート供給部、26…第2の搬送部、27…第2の塗工部、28…含浸部、46…塗布手段、100,200…SMCの製造装置。

Claims (8)

  1. 長尺の炭素繊維束を開繊により拡幅する開繊工程と、前記開繊工程後の前記長尺の炭素繊維束に樹を付着させる樹脂付着工程と、前記樹脂付着工程後の前記長尺の炭素繊維束を長さ方向に間隔を空けて分繊する分繊工程と、を有
    前記樹脂付着工程では、(i)前記長尺の炭素繊維束に樹脂粉体を散布により付着させたうえ、前記樹脂粉体を加熱して溶融させるか、または、(ii)溶融樹脂を繊維化して前記長尺の炭素繊維束に塗布する、
    間欠的に分繊された炭素繊維束の製造方法。
  2. 前記樹脂付着工程では、前記長尺の炭素繊維束に樹脂粉体を散布により付着させたうえ、前記樹脂粉体を加熱して溶融させる、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記樹脂付着工程では、更に、溶融した前記樹脂粉体が付着した前記長尺の炭素繊維束をニップロールで挟み込むことで、前記樹脂を前記長尺の炭素繊維束の内部まで浸み込ませる、請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記樹脂付着工程では、溶融樹脂を繊維化して前記長尺の炭素繊維束に塗布する、請求項1に記載の製造方法。
  5. 前記樹脂付着工程では、更に、繊維化された前記溶融樹脂が塗布された前記長尺の炭素繊維束をニップロールで挟み込むことで、前記樹脂を前記長尺の炭素繊維束の内部まで浸み込ませる、請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記樹脂付着工程では、更に、前記樹脂を前記長尺の炭素繊維束の内部まで浸み込ませた後、前記樹脂を固化させるために前記長尺の炭素繊維束を冷却ロールで冷却する、請求項3または5に記載の製造方法。
  7. 前記樹脂付着工程で前記長尺の炭素繊維束に付着させ前記樹脂を再加熱することによって、前記長尺の炭素繊維束内に含浸させる工程を有する、請求項1に記載の製造方法。
  8. 間欠的に分繊された炭素繊維束を連続的に裁断してチョップドストランドにすることと、マトリックス樹脂をシート状にした第1樹脂シート上に前記チョップドストランドをシート状に散布してシート状の繊維基材を形成することと、前記繊維基材上にマトリックス樹脂をシート状にした第2樹脂シートを貼り合わせて加圧し、前記繊維基材に前記マトリックス樹脂を含浸させることとを含むシートモールディングコンパウンドの製造方法であって、前記間欠的に分繊された炭素繊維束を請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法により製造する、シートモールディングコンパウンドの製造方法。
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