JP7221558B1 - エアーハイドロブースタ、クランプシステム、ロボットアーム、および加工方法 - Google Patents

エアーハイドロブースタ、クランプシステム、ロボットアーム、および加工方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7221558B1
JP7221558B1 JP2021134618A JP2021134618A JP7221558B1 JP 7221558 B1 JP7221558 B1 JP 7221558B1 JP 2021134618 A JP2021134618 A JP 2021134618A JP 2021134618 A JP2021134618 A JP 2021134618A JP 7221558 B1 JP7221558 B1 JP 7221558B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rod
air
liquid
piston rod
hydraulic cylinder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2021134618A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2023028741A (ja
Inventor
和昌 真下
直毅 荘司
一成 笠井
耕平 細井
照喜 戸波
裕也 津田
宗万 前田
佳孝 辻本
Original Assignee
株式会社堀内機械
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社堀内機械 filed Critical 株式会社堀内機械
Priority to JP2021134618A priority Critical patent/JP7221558B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7221558B1 publication Critical patent/JP7221558B1/ja
Publication of JP2023028741A publication Critical patent/JP2023028741A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Jigs For Machine Tools (AREA)
  • Gripping On Spindles (AREA)
  • Manipulator (AREA)
  • Supply Devices, Intensifiers, Converters, And Telemotors (AREA)

Abstract

【課題】耐久性に優れ、小型で、揺動する装置にも設置できるエアーハイドロブースタを提供する。【解決手段】空気圧シリンダ10と液圧シリンダ20とを直結し、空気圧ピストン40に突設されたピストンロッド50をロッド貫通孔60に貫通させ、ロッド貫通孔60の内周面に設けられた第1ロッドパッキン70でシールしてピストンロッド50を液圧シリンダ20に突入させるエアーハイドロブースタ300において、ピストンロッド50の内部に液タンク80から液圧シリンダ20へ給液するための第1の液体経路90を設け、出口に、液タンク80側からの液の流れは許容するがその逆は閉塞する逆止弁100と、ピストンロッド50がストロークエンドに位置した場合に逆止弁100開放するためのプッシュロッド110とを備え、ピストンロッド50の先端が常に第1ロッドパッキン70よりも液圧シリンダ20側に位置する。【選択図】図1

Description

本発明は、空気圧を液圧に変換する、エアーハイドロブースタ、エアーハイドロブースタを備えるクランプシステム、クランプシステムを搭載したロボットアーム、およびクランプシステムを用いた加工方法に関する。
エアーハイドロブースタおよびエアーハイドロブースタを内蔵するシリンダ装置に関しては多くの発明が出願されている。
例えば、特許文献1(特開2000-27802号公報)には、油補給をしながらの増圧ロッドの戻り移動速度を速くすること、無効ストロークを無くすこと、増圧ロッドの先端がパッキンから外れて移動する行程を無くして、パッキンの摩耗・損傷などの低減と増圧ロッド先端の精密加工を不要とすること、空気抜き性を良くすることの課題を解決するための油空圧変換増圧機の給油構造が開示されている。
特許文献1に記載の油空圧変換増圧機の給油構造は、空気圧シリンダと油圧シリンダとをロッドカバーにより直結し、空気圧ピストンに突設された増圧ロッドをロッドカバーのロッド貫通孔に貫通させ、これらロッド貫通孔と増圧ロッドとの間を、ロッド貫通孔の内周面に設けられたパッキンでシールして増圧ロッドを油圧シリンダ中に突入させることにより、空気圧を油圧に増圧変換するとともに、油タンク内の油を、ロッドカバーに設けられた給油通路を通じて油圧シリンダ内に補給する油空圧変換増圧機において、
給油通路の開口端を、パッキンよりも油圧シリンダ側であってしかも増圧ロッドが空気圧シリンダ側へ最大限に後退したときその先端が該開口端から外れる位置においてロッド貫通孔の内周面に開口させ、そこから給油通路がロッドカバーの内部を上に抜けるようにしたこと、
パッキンの設置位置を、給油通路の開口端よりも空気圧シリンダ側で、しかも増圧ロッドが空気圧シリンダ側へ最大限に後退してもその先端が該パッキンから外れない位置としたこと、
ロッドカバーの内部であって給油通路の途中に、油タンク側から油圧シリンダ側への油の流れは許容し、その逆は閉塞する逆止弁と、空気圧ピストンを後退させる際の戻し空気圧で押動されて逆止弁を押し開くパイロット弁とを内蔵したこと、
戻し空気圧をパイロット弁へ供給する空気圧通路を、ロッドカバーに設けられたロッド側ポートから分岐させてロッドカバーに設けたことを特徴としている。
また、特許文献2(特開平8-28502号公報)には、高速度と高推力の自動切り換え機能を有する極めて簡単且つ小規模な液圧式自動変速シリンダ装置が開示されている。
特許文献2に記載の液圧式自動変速シリンダ装置では、シリンダボアと、大径のピストン部を有し、ピストン部がシリンダボアにスライド可能に嵌装されると共に、該ピストン部の一端側に小径の筒軸部が連続して形成され、該筒軸部の内周面にピストン部側が小径となる段部が設けられてなるプランジャと、該プランジャの筒軸部内の小径部と密嵌可能な密嵌部を有し、該筒軸部内に摺動自在に挿入されて該筒軸部内面との間に液路を形成するロッドと、該ロッドとプランジャとの間に介在設置されて、ロッドをピストン部から離れる方向に付勢する付勢手段と、該付勢手段の付勢力に抗して密嵌部が、筒軸部内周面の段部よりも後方に配置されるように位置決めするリテーナと、
筒軸部の大径部側の液路と連通された作動液タンクと、を備え、
シリンダボアの圧力室と筒軸部の小径部内の液路は、該筒軸部に設けられた孔を介して連通してなることを特徴としている。
特許文献3(特開2007-64339号公報)には、エア供給のみで油圧供給の場合と同等の推力を発生させることができるとともに、小型化を図ることができる流体圧シリンダが開示されている。
特許文献3に記載の流体圧シリンダでは、筐体と、筐体内に設けられた第1流体室および第2流体室と、該第1流体室の一方の壁面を形成するとともに、所定方向に移動可能に設けられた第1ピストンと、第2流体室の一方の壁面を形成するとともに、所定方向に移動可能に設けられた第2ピストンと、第1流体室と、第2流体室とを繋ぐ連通流路と、第1流体室、第2流体室および連通流路に満たされた内部流体と、を有し、
第2ピストンの内部流体と接する面における所定方向に対する垂直面への投影面積が、第1ピストンの内部流体と接する面における所定方向に対する垂直面への投影面積より大きくなるように形成され、第1ピストンに外部から供給された供給流体の圧力が加えられることにより、第2ピストンが駆動される。
特許文献4(特開2005-133879号公報)には、機器の全長を増やさずに、空気圧シリンダをダブルピストンにして出力をほぼ2倍にすることができる空油変換増圧器を提供する空油変換増圧器が開示されている。
特許文献4に記載の空油変換増圧器は、主ピストンを摺動自在に内装した主空気圧シリンダに、これよりも小径の油圧シリンダが軸方向に直結されて、主ピストンと一体摺動する増圧ロッドが油圧シリンダ内に挿入するとともに、該油圧シリンダを内蔵する副空気圧シリンダが主空気圧シリンダに軸方向に直結されて、油圧シリンダと二重シリンダ構造をなし、この副空気圧シリンダ内には、副ピストンが主ピストンと連結ロッドで連結されて主ピストンと一体摺動するように内装され、この副空気圧シリンダは、主空気圧シリンダと同時に空気圧を供給されて副ピストンを主ピストンと同方向に推進し、増圧ロッドに対し主ピストンによる推力に更に副ピストンによる推力を加えた推力を付与することを特徴とする。
特許文献5(実開平7-2602号公報)には、低圧大流量の吐出と高圧小流量の吐出ができる上、部品点数が少なく、構成が簡単で、バキューム力が向上・安定し、しかも、故障が発生し難い増圧装置が開示されている。
特許文献5に記載の増圧装置では、二次側圧力媒体を収容するタンクと、吸入逆止弁と、ポンプ室と、吐出逆止弁と、負荷回路とが直列に接続され、該ポンプ室に進退可能に突入させたプランジャを駆動する空気圧駆動装置を備える増圧装置において、上記タンクを密閉タンクで構成し、空気圧駆動装置に所定圧の圧縮空気を供給する圧縮空気供給路を密閉タンクに連通させる分岐圧気路を備えることを特徴とっしている。
特開2000-27802号公報 特開平8-28502号公報 特開2007-64339号公報 特開2005-133879号公報 実開平7-2602号公報
一般的な産業用のロボットアームは、空気圧を出力するものはあっても、油圧など強力な力を出力する機構を備えていないため、例えば金属製品の切削加工でロボットアームを使用する場合には、金属製品を保持するためのクランプ力が不足するという問題があった。そこで、空気圧を液圧に変換して増圧するために、従来のエアーハイドロブースタをロボットアームに搭載すると、液タンクを大気開放型にした場合には、ロボットの稼働・揺動によって作動液が漏れたり、エアーハイドロブースタ本体の大きさによってロボットアームの可動範囲が大幅に制限されるという問題があった。また、液タンクを密閉型にした場合には、動作を続けるうちに作動液が熱膨張してクランプが正しくできなくなるという問題があった。
図7に従来のエアーハイドロブースタの構造の一例を示す。図7のエアーハイドロブースタ300では、第2空気圧ポート210から第2空気室190に空気を送りこみ、空気圧ピストン40に突設されたピストンロッド50を液室170に突入させることにより空気圧を液圧に増圧変換する。
液室170は、ピストンロッド50の先端が第1ロッドパッキン70より図7の右側にある間は大気開放型の液タンク80と導通しているが、ピストンロッド50の先端が第1ロッドパッキン70を図7の右側から左側へ通過すると、液室170が密閉され、第2空気圧ポート210から第2空気室190に空気を送りこむことにより液室170の圧力を増圧し、増圧した液体を液圧ポート160から排出することができる。この場合の増圧比は空気圧ピストン40の断面積とピストンロッド50の断面積とに比率に相当する。なお、液体を減圧し液圧ポート160から吸入する場合は第1空気圧ポート200から第1空気室180に空気を送り込む。
図7のように従来のエアーハイドロブースタ300においては、大気開放型の液タンク80が設けられている。これは、エアーハイドロブースタ300を動作させ続けると作動液が熱を持ち、作動液の熱膨張によって液圧回路内の圧力が異常に増加するのを防止するためである。また、液タンク80を大気開放型にするのは、エアーハイドロブースタ300の動作および液の体積変化に応じて液量を柔軟に供給するためでもある。
しかし、エアーハイドロブースタ300を固定配置する場合は大気開放型で問題はないが、ロボット等の稼働・揺動する装置にエアーハイドロブースタ300を設置する場合は液が揺さぶられて通気口から液体が漏れてしまうため大気開放型の液タンク80は使用できない。したがって、従来のエアーハイドロブースタ300はロボット等の稼働・揺動する装置には用いることができなかった。
また、図7のような従来のエアーハイドロブースタ300では、特にピストンロッド50の後退時、第1ロッドパッキン70の液室170側と液タンク80側とで大きな圧力差がある状態で、ピストンロッド50の先端が第1ロッドパッキン70を幾度も通過するため、第1ロッドパッキン70に大きな負荷がかかるという問題があった。これにより、ピストンロッド50の先端が第1ロッドパッキン70から外れたり、第1ロッドパッキン70を押して圧縮したりを繰り返すため、第1ロッドパッキン70のねじれ、摩耗、および切れ等が発生する場合があり、耐久性が課題となる。
特許文献1に記載の油空圧変換増圧機の給油構造も、上記パッキンのねじれ、摩耗、および切れ等に対する対策として、油タンクへの給油通路の開口端を、パッキンよりも油圧シリンダ側であってしかも増圧ロッドが空気圧シリンダ側へ最大限に後退したときその先端が該開口端から外れる位置においてロッド貫通孔の内周面に開口させ、そこから給油通路がロッドカバーの内部を上に抜けるようにするとともに、パッキンの設置位置を、給油通路の開口端よりも空気圧シリンダ側で、しかも増圧ロッドが空気圧シリンダ側へ最大限に後退してもその先端が該パッキンから外れない位置とすることによって、増圧ロッドの先端がパッキンから外れないようにしている。
また、上記構造の場合、油圧シリンダは常にパッキンでシールされているため、油タンクへの給油通路が、増圧ロッドが油を増圧するフェーズでは閉塞し、増圧ロッドが後退するフェーズでは開放される必要がある。特許文献1に記載の油空圧変換増圧機の給油構造では、このために、油圧シリンダから油タンクへの給油経路に、油圧シリンダ側の圧力が高い時に閉塞する逆止弁と、増圧ロッドが後退するフェーズで空気圧ピストンを後退させる際の戻し空気圧で押動されて逆止弁を押し開くパイロット弁とを内蔵している。
特許文献1に記載の給油構造の場合、上記パッキンのねじれ、摩耗、および切れ等を防ぐことはできるが、油タンクと通じるパイロット弁を備えた経路、およびパイロット弁に戻し空気圧を供給するための経路をシリンダチューブ内に設ける必要がありシリンダチューブの小型化が難しいという課題がある。また、油空圧変換増圧機の増圧時の圧力によっては工場などで用いられている0.5MPa程度の圧力ではパイロット弁で逆止弁を押し開くことができない場合がある。
特許文献2に記載の液圧式自動変速シリンダ装置(実施例4.図8)では、シリンダボアの外周にリザーバタンクを一体に形成し、蓋体をリザーバタンクを形成する側壁に摺動可能に設置し、蓋体の外側面をバネによってリザーバタンクの内方に向かって付勢している。リザーバタンク内の液体が流出または流入すると、これに応じて葢体が側壁を摺動してリザーバタンクの容積が変化する。このように、葢体を移動可能にすることによって、リザーバタンク内の液面を大気に解放することなくタンク内の液体の容積変化を可能にしている。
しかし、図8には記載されてはいないが、ロッドの大径部が筒軸部の小径部に挿入されて液体が増圧されるためには筒軸部の小径部にパッキンが必要であり、ロッドの大径部の端部がパッキンから外れたり、パッキンを押して圧縮したりを繰り返すため、パッキンのねじれ、摩耗、および切れ等が発生する場合があり、耐久性が課題となる。
特許文献3に記載の流体圧シリンダは、空気圧シリンダと第1油圧シリンダと第2油圧シリンダとが直列に形成され、空気圧シリンダと第1油圧シリンダで空気圧を油圧に増圧し、増圧された油圧で第2油圧シリンダを駆動するものである。第1油圧シリンダの第1油圧室と第2油圧シリンダの第2油圧室とは連通流路で油が流通可能となっている。
特許文献3に記載の流体圧シリンダの場合、第1油圧室、第2油圧室および連通経路が密閉されており、油タンクも油タンクへの経路もないため、上記パッキンのねじれ、摩耗、および切れ等の課題は発生しない。しかし、油圧室および連通経路が全体として密閉されている場合、温度上昇による液体の膨張分によって押圧時の第2ピストンの位置が変化するため、例えばエアーハイドロブースタの出力をロボットハンドのクランプに用いる場合には特許文献3に記載の流体圧シリンダの構成は使用できない。
特許文献4に記載の空油圧増圧器は空気圧シリンダをダブルピストンにして出力をほぼ2倍にすることを目的とした発明であり、油タンクあるいは油タンクへの経路については記載されていない。もし、特許文献4に記載の空油圧増圧器も特許文献3に記載の流体圧シリンダと同様油圧室と次段の油圧シリンダと油圧シリンダへの経路が全体として密閉されたものであれば、例えばエアーハイドロブースタの出力をロボットハンドのクランプに用いる場合には特許文献4に記載の空油圧増圧器の構成は使用できない。
特許文献5に記載の増圧装置は低圧大流量の吐出と高圧小流量の吐出を目的としたものであり、タンクが密閉されている点では特許文献2と類似しているが、この場合のタンクは固定配置することを前提としており、ロボット等の稼働・揺動する装置には設置することができない。
本発明の主な目的は、エアーハイドロブースタを長期間に亘って連続使用した場合にもロッドパッキンのねじれ、摩耗、および切れ等の課題が発生せず、耐久性に優れたエアーハイドロブースタを提供することにある。
本発明の他の目的は、液タンクを密閉しシリンダチューブに一体に成形するとともに、液圧シリンダと液タンクとの経路をピストンロッドに内蔵することによって、小型で、ロボット等の稼働・揺動する装置にも設置することのでき、かつ、温度上昇による液体の膨張分によって押圧時のエアーハイドロブースタに接続された油圧シリンダの位置が変化することのない、エアーハイドロブースタを提供することにある。
(1)
一局面に従うエアーハイドロブースタは、空気圧によって往復移動可能に構成された空気圧ピストンと、空気圧ピストンに突設されたピストンロッドとを備えた空気圧シリンダと、密閉された液タンクから給液される液圧シリンダと、空気圧シリンダと液圧シリンダとを連結するロッドブッシュと、空気圧ピストンに突設されたピストンロッドが貫通するロッドブッシュのロッド貫通孔と、ロッド貫通孔とピストンロッドとの間をシールしてロッド貫通孔の内周面に設けられた第1ロッドパッキンと、を備え、ピストンロッドを液圧シリンダに突入させることにより空気圧を液圧に増圧変換するエアーハイドロブースタであって、ピストンロッドの内部で軸方向に、液タンクから液圧シリンダへ給液する第1の液体経路と、液タンク側からの液の流れは許容するがその逆は閉塞する逆止弁と、ピストンロッドがストロークエンドに位置した場合に逆止弁を開放するプッシュロッドと、を備え、ピストンロッドが後退しストロークエンドに位置した場合にも、ピストンロッドの先端が第1ロッドパッキンよりも液圧シリンダ側に位置している。
従来のエアーハイドロブースタは、ロッド貫通孔の内周面に液タンクから液圧シリンダへ給液するための液体経路を設け、液体経路より液圧シリンダ側にロッドパッキンを設けられていた。すなわち、ピストンロッドの先端がロッドパッキンよりも液圧シリンダ側にある場合はピストンロッドで液体を増圧し、ピストンロッドの先端がロッドパッキンよりも後退した位置にある場合は液圧シリンダと液タンクとを連通させるとの動作を行っていた。
この場合、ピストンロッドの先端がロッドパッキンから外れたり、ロッドパッキンを押して圧縮したりを繰り返すため、ピストンロッドの先端角部の精密加工精度が必要であり、その精度を高めても、ロッドパッキンのねじれや摩耗や切れ等の懸念があった。
これに対して、一局面に従うエアーハイドロブースタでは、ピストンロッドの内部に軸方向に液タンクから液圧シリンダへ給液するための第1の液体経路を設け、さらに、ピストンロッドが後退しストロークエンドに位置した場合にも、ピストンロッドの先端が第1ロッドパッキンよりも液圧シリンダ側に位置するように第1ロッドパッキンを配置することによって、ピストンロッドの先端が第1ロッドパッキンから外れないようにし、第1ロッドパッキンのねじれ、摩耗、および切れ等を防いでいる。
また、エアーハイドロブースタでは、液圧シリンダを密閉してピストンロッドで増圧するフェーズと液圧シリンダを液タンクと連通させるフェーズとが交互に繰り返される必要があるが、一局面に従うエアーハイドロブースタでは、増圧するフェーズでは逆止弁によって液圧シリンダを密閉し、ピストンロッドがストロークエンドに位置した場合にはプッシュロッドで逆止弁を開放することによって、上記2つのフェーズでの動作を実現している。
また、一局面に従うエアーハイドロブースタでは、ピストンロッドの内部で軸方向に、第1の液体経路を備えて、逆止弁およびプッシュロッドが配置され、軸方向に開閉機構が設けられており、シリンダチューブ内に液体経路と逆止弁等の追加部材を設ける必要がないため、シリンダチューブを小型化し、コンパクトなエアーハイドロブースタを実現することができる。
(2)
第2の発明にかかるエアーハイドロブースタは、一局面に従うエアーハイドロブースタにおいて、液タンクはシリンダチューブに一体に形成され、内部の液圧に応じて容積可変となるように構成されてもよい。
従来のエアーハイドロブースタでは、液タンクは大気開放型である。エアーハイドロブースタを固定配置する場合は大気開放型で問題はないが、ロボット等の稼働、揺動する装置にエアーハイドロブースタを設置する場合は大気開放型だと通気口から液体が漏れてしまい使用できないため、密閉型の液タンクが望ましい。
一方、エアーハイドロブースタに用いる液体は温度が上昇すると膨張し、エアーハイドロブースタが液の体積変化を吸収しない場合は、エアーハイドロブースタの接続先の油圧シリンダのピストンの位置が変化する。この、温度変化に伴う接続先の油圧シリンダのピストンの位置の変化は、特に、エアーハイドロブースタの出力をロボットハンドのクランプ等に用いる場合には、クランプの角度の変化などにつながり問題となる。
第2の発明にかかるエアーハイドロブースタでは、液タンクをシリンダチューブに一体に形成し、密閉することによってロボット等の稼働、揺動する装置に使用可能とするとともに、内部の液圧に応じて容積可変とすることによって、温度上昇による液体の膨張を吸収している。
また、液タンクがシリンダチューブに一体に形成されているため、別途に液タンクを設ける必要がなく、エアーハイドロブースタ全体の大きさを小型にすることができる。したがって、ロボットアームに搭載しても、ロボットアームの可動範囲を確保することができる。
(3)
第3の発明にかかるエアーハイドロブースタは、第2の発明にかかるエアーハイドロブースタにおいて、液タンクは断面環状であって、一方向に蓋体を有し、蓋体は液タンクの側壁に摺動可能に設置され、スプリングによって液タンクの内方向に付勢されていてもよい。
この場合、スプリングの圧力と液タンク内部の液圧とが平衡するようにスプリングの長さが決定されるため、簡単な構造で、液タンク内部の液圧に応じて液タンクの容積を可変とすることができる。
また、液タンクは、作動液の熱膨張によって増加した体積分のほか、ピストンロッドが稼働することによって後端側で押し出される液の体積分も吸収する。第3の発明にかかる液タンクは、断面視でピストンロッドの周囲に環状に配置されるため、十分な体積の液量を確保しつつ、エアーハイドロブースタ全体の大きさを小型にすることができる。
(4)
第4の発明にかかるエアーハイドロブースタは、一局面から第3の発明のいずれかにかかるエアーハイドロブースタにおいて、第1ロッドパッキンより液圧シリンダ側において、ピストンロッドの外周と液圧シリンダの内周との間に第1の間隙が設けられ、第1の間隙の液圧シリンダ側に液圧ポートが設けられてもよい。
液圧シリンダに用いられる液体の量は少ない方が望ましい。そして、このためにはピストンロッドが最大限前進した場合に、液圧シリンダの壁面とピストンロッドの先端とが接触するくらいまで近づくことが望ましい。しかし、液圧シリンダの壁面とピストンロッドの先端とが接触した場合、液体を排出する液圧ポートの出口が閉塞される可能性がある。これに対して、第4の発明にかかるエアーハイドロブースタでは、第1ロッドパッキンより液圧シリンダ側において、ピストンロッドの外周と液圧シリンダの内周との間に第1の間隙を設け、この第1の間隙の液圧シリンダ側に液圧ポートを設けることによって、液圧シリンダの壁面とピストンロッドの先端とが接触した場合にも液圧ポートから液体をスムーズに排出することができる。この構造は、液圧ポートを複数設ける場合には特に好適である。
(5)
第5の発明にかかるエアーハイドロブースタは、一局面から第4の発明のいずれかにかかるエアーハイドロブースタにおいて、空気圧シリンダは、空気圧ピストンの液圧シリンダ側に第1空気室を、逆側に第2空気室を有し、第1空気室および第2空気室にそれぞれ空気圧ポートが設けられてもよい。
この場合、第1空気室と第2空気室のどちらに空気を送り込むかによって、空気圧ピストンを前進させる、または後退させることができる。
(6)
第6の発明にかかるエアーハイドロブースタは、第5の発明にかかるエアーハイドロブースタにおいて、第2空気室はピストンロッドの後端側を支持するスリーブの内周面に設けられた第2ロッドパッキンによってシールされ、第2ロッドパッキンより後端側においてピストンロッドの外周とスリーブの内周との間に第2の間隙が設けられ、第2の間隙のスリーブ側に液タンクからの第2の液体経路が設けられてもよい。
この場合、ピストンロッドの内部の第1の液体経路の液タンクの側の出口から、第2の間隙を経由し、さらにヘッドカバー内部の第2の液体経路を介して液タンクに至る液体経路が形成される。
(7)
他の局面に従うクランプシステムは、一局面に従うエアーハイドロブースタと、被クランプ部材をクランプする液圧クランプ装置と、を備える。
この場合、耐久性に優れた、小型のクランプシステムを構成することができる。
(8)
さらに他の局面に従うロボットアームは、他の局面に従うクランプシステムが搭載されている。
この場合、耐久性に優れた、小型のロボットアームを構成することができる
(9)
さらに他の局面に従う加工方法は、他の局面に従うクランプシステムで被クランプ部材を固定し、被クランプ部材を備える加工品を加工する。
この場合、加工品に備えられた被クランプ部材の固定に小型で耐久性に優れたクランプシステムを用いることによって、加工の速度及び精度を向上させることができる。
(10)
さらに他の局面に従う加工方法は、他の局面に従うクランプシステムを搭載したロボットアームで、被クランプ部材を備える加工品の位置を移動させ、加工品の加工面を変えて加工する。
この場合、加工品の位置の移動および加工面の変更の速度及び精度を向上させることができる。
第1の実施形態のエアーハイドロブースタの、ピストンロッドがストロークエンドに位置する場合の模式的断面図である。 第1の実施形態のエアーハイドロブースタの、ピストンロッドが前進位置にある場合の模式的断面図である。 プッシュロッドによって逆止弁が開放状態になっている場合の、逆止弁とその周辺の模式的断面図である。 逆止弁が閉塞状態にある場合の逆止弁とその周辺の模式的断面図である。 プッシュロッドの一例の模式的斜視図である。 第2の実施形態のクランプシステムの構成を示す模式的図面である。 従来技術によるエアーハイドロブースタの模式図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付す。また、同符号の場合には、それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さないものとする。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態のエアーハイドロブースタ300の、ピストンロッド50がストロークエンドに位置する場合の模式的断面図であり、図2は第1の実施形態のエアーハイドロブースタ300の、ピストンロッド50が前進位置にある場合の模式的断面図である。
図1および図2において、エアーハイドロブースタ300は、空気圧シリンダ10と液圧シリンダ20とをロッドブッシュ30により直結し、空気圧ピストン40に突設されたピストンロッド50をロッドブッシュ30のロッド貫通孔60に貫通させ、ロッド貫通孔60とピストンロッド50との間をロッド貫通孔60の内周面に設けられた第1ロッドパッキン70でシールしてピストンロッド50を液圧シリンダ20に突入させることにより空気圧を液圧に増圧変換している。
液圧シリンダ20の前方(図の左方向)にはロッドカバー25が、空気圧シリンダ10の後方(図の右方向)にはヘッドカバー15が設けられている。また、ロッドカバー25には、液体充填用のプラグ(図示せず)が設けられている。
ピストンロッド50の内部には、液タンク80から液圧シリンダ20へ給液するための第1の液体経路90が軸方向に設けられ、第1の液体経路90の液タンク80側の出口に逆止弁100が設けられ、逆止弁100の出口から第2の間隙250、第2の液体経路260を経由して液タンク80に接続されている。
図1はピストンロッド50がストロークエンドに位置し、逆止弁100が開放されている状態であり、図2はピストンロッド50が前進位置(図1および2の左方向)にあり、逆止弁100が閉塞されている状態である(逆止弁100の構造および動作については後述する)。
図1の状態において、第2空気圧ポート210から高圧空気が供給されると第2空気室190が空気圧ピストン40を前進(左)方向に押圧し、ピストンロッド50が前進する。そして、ピストンロッド50がストロークエンドから前進すると、逆止弁100が閉塞状態となり、液室170および第1の液体経路90が密閉される。
この状態で空気圧ピストン40が押圧されると、ピストンロッド50が液室170を押圧し、液室170の液体が増圧される。
この場合の空気圧に対する液圧の増圧比は、空気圧ピストン40の第2空気室190に接している面の面積をピストンロッド50の液室170に接している面の面積で除算した値に相当する。増圧比は必要な液圧、および供給される空気圧に応じて決定される。
一般的な産業用のロボットアームは、出力可能な空気圧が0.1MPa以上0.8MPa以下である。一方で、鋳造製品など剛性の高い金属製品を切削加工等する場合、専用の治具を用いないでクランプするためには、2MPa以上21MPa以下の液圧をクランプ装置に印加して加工対象を保持する必要がある。
この場合、エアーハイドロブースタ300の増圧比は、10~30倍が好ましく、15~28倍がより好ましく、20~25倍がさらに好ましい。これにより加工対象を確実に保持することができるとともに、エアーハイドロブースタ300のサイズを最小限にすることができる。本実施形態の場合、増圧比は約23倍である。
図1に示すように、ピストンロッド50の先端は、ピストンロッド50が後退しストロークエンドに位置した場合にも、第1ロッドパッキン70より液圧シリンダ20側(図1の左側)に位置している。したがって、本実施形態のエアーハイドロブースタ300は、ピストンロッド50の先端が第1ロッドパッキン70から外れたり、第1ロッドパッキン70を押して圧縮したりすることがなく、第1ロッドパッキン70のねじれ、摩耗、および切れ等を抑制することができ、耐久性に優れている。
本実施の形態においては、第1ロッドパッキン70は、ゴムパッキンまたはPTFE系の組み合わせパッキンを使用することができる。仮にピストンロッド50の先端が第1ロッドパッキン70を通過する場合は、PTFE系の組み合わせパッキンを使用すると切断しやすく、耐久性に問題が生じ得る。
液室170はロッドブッシュ30のロッド貫通孔60の内周面に設けられた第1ロッドパッキン70がピストンロッド50と接触することによって密閉されている。また、第1ロッドパッキン70より液圧シリンダ20の側において、ピストンロッド50の外周と液圧シリンダ20の内周との間には第1の間隙150が設けられ、第1の間隙150の液圧シリンダ20の側には液圧ポート160が設けられている。
液圧シリンダ20に用いられる液体の量は少ない方が望ましい。作動油などの液体は非圧縮性流体と考えられているが、液体に加わる力が高圧になると液体は僅かに圧縮されるため、液量が大きくなると液の体積変化の影響が無視できなくなる。したがって、液量を最小限にすることによって、液の体積変化の影響を少なくして接続先のクランプ装置等を正確に動作させることが可能となり、精密な加工をすることができる。
そして、このためにピストンロッド50が最大限前進した場合に、液圧シリンダ20の壁面とピストンロッド50の先端とが接触するくらいまで近づくことが望ましい。しかし、液圧シリンダ20の壁面とピストンロッド50の先端とが接触した場合、液体を排出する液圧ポート160の出口が閉塞される可能性がある。これに対して、第1の実施形態のエアーハイドロブースタ300では、図2に示すように、第1ロッドパッキン70より液圧シリンダ20側において、ピストンロッド50の外周と液圧シリンダ20の内周との間に第1の間隙150を設け、この第1の間隙150の液圧シリンダ20の側に液圧ポート160を設けることによって、液圧シリンダ20の壁面とピストンロッド50の先端とが接触した場合にも液圧ポート160から液体をスムーズに排出することができる。この構造は、液圧ポート160を複数設ける場合には特に有効である。なお、第1ロッドパッキン70は、それぞれ、液室170近傍と第1空気室180近傍とに設けられてもよい(図1、図2参照)。
(逆止弁100)
図3に、プッシュロッド110によって逆止弁100が開放状態になっている場合の、逆止弁100とその周辺の模式的断面図を示す。また、図4には、逆止弁100が閉塞状態になっている場合の、逆止弁100とその周辺の模式的断面図を示す。
図3において、プッシュロッド110がヘッドカバー15の壁面に当たり、スプリング102を圧縮して鋼球101を押し開いている。この状態では鋼球101と逆止弁100の筐体との間に間隙ができて逆止弁100が開放状態になる。
これによって、ピストンロッド50と第1ロッドパッキン70とで閉塞/開放を制御した場合と比べて、ピストンロッド50の先端が第1ロッドパッキン70を通過することがないため、第1ロッドパッキン70のねじれや摩耗や切れ等の問題が生じない。また、逆止弁100は、金属部品で構成可能であり摩耗等に優れるため、圧力差が大きい場合も確実に閉塞と開放を切り替えることができる。
図5には、プッシュロッド110の模式的斜視図の一例を示す。本実施形態では、プッシュロッド110は、パイプ111と、パイプ111の一端にあって鋼球101を押し開くフランジ112からなる。パイプ111は軸方向に中空の液体経路を備え、パイプ111の端部とフランジ112の端部とに第1の液体経路90と導通する切欠部113、114を備える。これは、プッシュロッド110が鋼球101およびスリーブ220の壁面に密着した場合にも、確実に液体がプッシュロッド110を経由して流れるようにするためである。
図4では、プッシュロッド110がスリーブ220の壁面から離れているため、スプリング102が鋼球101を押して逆止弁100の筐体に圧接し、逆止弁100を閉塞させている。
また、図3および図4に示すように、逆止弁100の出口は、ピストンロッド50とヘッドカバー15との間隙、第2の間隙250、および第2の液体経路260を介して液タンク80に接続されている。また、第2の液体経路260より前方向(図の左方向)において、スリーブ220の内周に第2ロッドパッキン240が設けられており、第2の液体経路260を密閉している。この第2ロッドパッキン240は、それぞれ、第2空気室190近傍と第2の液体経路260近傍とに備えられてもよい(図1、図2参照)。
本実施形態の逆止弁100は、第1の液体経路90の液タンク80の側の出口に設けられており、通常は液タンク80側からの液の流れは許容するがその逆は閉塞しており、逆止弁100は、ピストンロッド50が後退しストロークエンドに位置した場合、および何らかの理由で液室170側の圧力が大幅に低下した場合にのみ開放される。したがって、ピストンロッド50がストロークエンドに位置した場合以外は、液室170、第1の液体経路90、接続先への液体経路、および接続先の液圧シリンダのシリンダ室で構成される液体空間は密閉されている。そして、このことにより、空気圧ピストン40が前進する場合も後退する場合もエアーハイドロブースタ300からの液体の排出量ないし吸入量はほぼ同じである。
本実施形態のエアーハイドロブースタ300の出力をロボットハンドのクランプなどに用いる場合、対象物をクランプする場合と開放する場合とでそのスピードが大幅に異なると対象物が落下する等の不都合が発生する可能性があり、本実施形態の、ピストンロッド50がストロークエンドに位置した場合以外は液体空間が密閉されている構成は、このような不都合を回避するために有効である。
また、本実施形態のエアーハイドロブースタ300では、増圧動作の1シーケンスの中でピストンロッド50がストロークエンドの位置に後退し、このとき液室170と液タンク80とがつながって、内部の液圧に応じて液タンク80が容積可変するため、温度上昇によって液圧が大幅に上昇することがない。このため、温度上昇による液体の膨張分によって押圧時のエアーハイドロブースタ300に接続された油圧シリンダの位置が変化することを回避することができる。
(液タンク80)
図1には、容積が拡大した状態の液タンク80が、図2には容積が縮小した状態の液タンク80が図示されている。液タンク80はシリンダチューブ120に一体に形成され、断面環状(ドーナツに類似した形状)であって、図の右側の方向に蓋体130を有し、蓋体130で密閉されている。蓋体130は液タンク80の側壁に摺動可能に設置され、スプリング140によって液タンク80の内方向(図の左方向)に付勢されている。液タンク80は、内部の液圧に応じてスプリング140の長さが変化し、容積可変となる。
さらに、蓋体130の摺動を安定させるために、蓋体130の円周方向の2か所ないし4か所に凹部を設け、ここにガイドロッド230を挿入している。また、蓋体130の円周方向での位置合わせと摺動のモニターのために、蓋体130に、ヘッドカバー15に設けられた孔を介して突出するインジケータロッド(図示せず)を設けてもよい。
エアーハイドロブースタ300の液体として例えば石油系などの作動油を用いた場合、液体は0.076%/℃程度の熱膨張係数を有する。この場合、温度が上昇すると液体の容積が大きくなるとの課題が生じる。大気開放型の液タンク80であれば液体の熱膨張に合わせて液タンク内の液体の容積が自動的に調整されるため問題ないが、液タンク80が密閉されている場合は、エアーハイドロブースタ300に接続される液圧シリンダのピストンの位置が液体の熱膨張によって変動することになる。そして、エアーハイドロブースタ300の出力をロボットハンドのクランプなどに用いる場合、このピストンの位置の変動は大きな課題となる。
本実施形態のエアーハイドロブースタ300では、ピストンロッド50がストロークエンドに位置したときに逆止弁100を開放し、熱膨張による液体の容積変化を液タンク80の一方向に備えられた蓋体130の摺動により調整している。例えば、10℃から100℃に液体の温度が上昇した場合、液体の容積が約7%膨張するが、この容積膨張はスプリング140をたわませて蓋体130を約3mm外方向へ摺動することで調整することができる。
また、図1と図2とを比較するとわかるように、液タンク80内の液体の容積は、ピストンロッド50の前進、後退によっても変化する。すなわち、本実施の形態においては、逆止弁100の液体の経路がピストンロッド50の内部に設けられているため、液タンク80はピストンロッド50の後端側で押し出される液体の体積変化を吸収する必要がある。したがって、本実施形態の液タンク80は、液体の熱膨張による体積変化のほか、ピストンロッド50の動作による液体の体積変化を吸収する役割も担う。
液タンク80が吸収した容積変化は、蓋体130が図の左右方向に摺動するのをみることで確認することができる。これらの蓋体130の摺動は、蓋体130にインジケータロッド(図示せず)を設けることで外部から観察することができる。
このインジケータロッドは、ピストンロッド50の前進後退動作に従って摺動し、また、液体の温度上昇によって外方向へ摺動したときの位置がより外方向へ移動することになる。
本実施形態のエアーハイドロブースタ300では、ロボットアームに搭載可能とするため、作動液の回路が密閉されている。したがって、エアーハイドロブースタ300は、必要に応じて液体を補充等するための供給口を設けることができ、この場合、液体内に混入した気泡を排除するための排出口を設けることが好ましい。高圧になる作動油内に気泡が混入すると、正確な動作に支障が生じるためである。
供給口としては、例えば液室170の付近に設けることができ、排出口としては、例えば液タンク80の付近に設けることができる。これにより、メンテナンス等で液体を充填する場合は、供給口から十分な量の液体を供給して排出口から液体を排出することによって、液体経路全体から気泡を排除することができる。
本実施形態のエアーハイドロブースタ300では、液タンク80をシリンダチューブ120に一体に形成し、密閉するとともに、液タンク80の側壁に摺動可能な蓋体130を液タンク80の一方向に設け、蓋体130をスプリング140で液タンク80の内方向に付勢し、内部の液圧に応じて容積可変となるように構成している。
そして、上記構成によって、小型で、ロボット等の稼働・揺動する装置にも設置することができるとともに、温度上昇による液体の膨張分によって押圧時のエアーハイドロブースタ300に接続された油圧シリンダの位置が変化することのない、エアーハイドロブースタ300を実現した。
[第2の実施形態]
図6は、第2の実施形態のクランプシステム500の全体構成を示す模式図である。第2の実施形態のクランプシステム500は第1の実施形態のエアーハイドロブースタ300と液圧クランプ装置400とで構成されている。液圧クランプ装置400はチャック410を備え、エアーハイドロブースタ300から送られる液圧によってチャック410を閉じ、被クランプ部材420を把持する。
第2の実施形態のクランプシステム500では、第1の実施形態のエアーハイドロブースタ300をクランプ装置400と組み合わせることによって、耐久性が高く、小型で、ロボットアーム等の稼働・揺動する装置にも搭載することのできるクランプシステム500を実現している。
そして、このクランプシステム500を用いて、被クランプ部材420を備えた加工品を加工することによって、加工の速度及び精度を向上させることができる。特に、加工品の位置を移動させ、加工品の加工面を変えて加工する場合などにおいて、より加工の速度及び精度を向上させることができる
本発明において、空気圧シリンダ10が『空気圧シリンダ』に相当し、液圧シリンダ20が『液圧シリンダ』に相当し、ロッドブッシュ30が『ロッドブッシュ』に相当し、空気圧ピストン40が『空気圧ピストン』に相当し、ピストンロッド50が『ピストンロッド』に相当し、ロッド貫通孔60が『ロッド貫通孔』に相当し、第1ロッドパッキン70が『第1ロッドパッキン』に相当し、液タンク80が『液タンク』に相当し、第1の液体経路90が『第1の液体経路』に相当し、逆止弁100が『逆止弁』に相当し、プッシュロッド110が『プッシュロッド』に相当し、シリンダチューブ120が『シリンダチューブ』に相当し、蓋体130が『蓋体』に相当し、スプリング140が『スプリング』に相当し、第1の間隙150が『第1の間隙』に相当し、液圧ポート160が『液圧ポート』に相当し、第1空気室180が『第1空気室』に相当し、第2空気室190が『第2空気室』に相当し、第1空気圧ポート200および第2空気圧ポート210が『空気圧ポート』に相当し、スリーブ220が『スリーブ』に相当し、第2ロッドパッキン240が『第2ロッドパッキン』に相当し、第2の間隙250が『第2の間隙』に相当し、第2の液体経路260が『第2の液体経路』に相当し、エアーハイドロブースタ300が『エアーハイドロブースタ』に相当し、液圧クランプ装置400が『液圧クランプ装置』に相当し、被クランプ部材420が『被クランプ部材』に相当し、クランプシステム500が『クランプシステム』に相当する。
本発明の好ましい一実施形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
10 空気圧シリンダ
20 液圧シリンダ
30 ロッドブッシュ
40 空気圧ピストン
50 ピストンロッド
60 ロッド貫通孔
70 第1ロッドパッキン
80 液タンク
90 第1の液体経路
100 逆止弁
110 プッシュロッド
120 シリンダチューブ
130 蓋体
140 スプリング
150 第1の間隙
160 液圧ポート
180 第1空気室
190 第2空気室
200 第1空気圧ポート
210 第2空気圧ポート
220 スリーブ
230 ガイドロッド
240 第2ロッドパッキン
250 第2の間隙
260 第2の液体経路
300 エアーハイドロブースタ
400 液圧クランプ装置
420 被クランプ部材
500 クランプシステム

Claims (10)

  1. 空気圧によって往復移動可能に構成された空気圧ピストンと前記空気圧ピストンに突設されたピストンロッドとを備えた空気圧シリンダと、
    前記空気圧シリンダの前方に設けられ、密閉された液タンクから給液される液圧シリンダと、
    前記空気圧シリンダの第1空気室と前記液圧シリンダの液室とを連結するロッドブッシュと、
    前記空気圧ピストンに突設された前記ピストンロッドが貫通する前記ロッドブッシュのロッド貫通孔と、
    前記ロッド貫通孔と前記ピストンロッドとの間をシールして前記ロッド貫通孔の内周面に設けられた第1ロッドパッキンと、を備え、
    前記ピストンロッドの先端を前記液圧シリンダの前記液室に突入させることにより空気圧を液圧に増圧変換するエアーハイドロブースタであって、
    前記ピストンロッドの内部で軸方向に、前記液タンクから前記液圧シリンダへ給液する第1の液体経路と、
    前記第1の液体経路の前記液タンク側に設けられ、前記液タンク側からの液の流れは許容するがその逆は閉塞する逆止弁と、
    前記第1の液体経路の前記逆止弁よりも前記液タンク側に設けられ、前記ピストンロッドが最も後退しストロークエンドに位置した場合に前記逆止弁を開放するプッシュロッドと、を備え、
    前記ピストンロッドが前記ストロークエンドに位置した場合にも、前記ピストンロッドの先端が前記第1ロッドパッキンよりも前記液圧シリンダ側に位置した、エアーハイドロブースタ。
  2. 前記液タンクは、シリンダチューブに一体に形成され、内部の液圧に応じて容積可変となるように構成された、請求項1に記載のエアーハイドロブースタ。
  3. 前記液タンクは、断面環状であって、一方向に蓋体を有し、
    前記蓋体は、前記液タンクの側壁に摺動可能に設置され、スプリングによって前記液タンクの内方向に付勢された、請求項2に記載のエアーハイドロブースタ。
  4. 前記第1ロッドパッキンより前記液圧シリンダ側において、前記ピストンロッドの外周と前記液圧シリンダの内周との間に第1の間隙が設けられ、
    前記第1の間隙の前記液圧シリンダ側に液圧ポートが設けられた、請求項1から3のいずれか1項に記載のエアーハイドロブースタ。
  5. 前記空気圧シリンダは、前記空気圧ピストンの前記液圧シリンダ側に前記第1空気室と、前記空気圧ピストンの逆側に第2空気室と、を有し、
    前記第1空気室および前記第2空気室にそれぞれ空気圧ポートが設けられた、請求項1から4のいずれか1項に記載のエアーハイドロブースタ。
  6. 前記第2空気室は、前記ピストンロッドの後端側を支持するスリーブの内周面に設けられた第2ロッドパッキンによってシールされ、
    前記第2ロッドパッキンより後端側において、前記ピストンロッドの外周と前記スリーブの内周との間に第2の間隙が設けられ、
    前記第2の間隙の前記スリーブ側に前記液タンクからの第2の液体経路が設けられた、請求項5に記載のエアーハイドロブースタ。
  7. 請求項1に記載のエアーハイドロブースタと、
    被クランプ部材をクランプする液圧クランプ装置と、を備えるクランプシステム。
  8. 請求項7に記載のクランプシステムが搭載された、ロボットアーム。
  9. 請求項7に記載のクランプシステムで前記被クランプ部材を固定し、前記被クランプ部材を備える加工品を加工する、加工方法。
  10. 請求項7に記載のクランプシステムを搭載したロボットアームで、前記被クランプ部材を備える加工品の位置を移動させ、前記加工品の加工面を変えて加工する、加工方法。
JP2021134618A 2021-08-20 2021-08-20 エアーハイドロブースタ、クランプシステム、ロボットアーム、および加工方法 Active JP7221558B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021134618A JP7221558B1 (ja) 2021-08-20 2021-08-20 エアーハイドロブースタ、クランプシステム、ロボットアーム、および加工方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021134618A JP7221558B1 (ja) 2021-08-20 2021-08-20 エアーハイドロブースタ、クランプシステム、ロボットアーム、および加工方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP7221558B1 true JP7221558B1 (ja) 2023-02-14
JP2023028741A JP2023028741A (ja) 2023-03-03

Family

ID=85202274

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021134618A Active JP7221558B1 (ja) 2021-08-20 2021-08-20 エアーハイドロブースタ、クランプシステム、ロボットアーム、および加工方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7221558B1 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000027802A (ja) 1998-07-09 2000-01-25 Taiyo Ltd 油空圧変換増圧機の給油構造
JP2007064339A (ja) 2005-08-31 2007-03-15 Seiko Instruments Inc 流体圧シリンダ

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0712601U (ja) * 1993-08-06 1995-03-03 村田機械株式会社 空油変換器
SE510191C2 (sv) * 1994-06-06 1999-04-26 Asea Brown Boveri Tryckförstärkare
JPH0828502A (ja) * 1994-07-19 1996-02-02 Tokimec Inc 液圧式自動変速シリンダ装置

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000027802A (ja) 1998-07-09 2000-01-25 Taiyo Ltd 油空圧変換増圧機の給油構造
JP2007064339A (ja) 2005-08-31 2007-03-15 Seiko Instruments Inc 流体圧シリンダ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2023028741A (ja) 2023-03-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9903484B2 (en) Flow passage switching unit
CA2099469C (en) Hydraulic pressure transformer
US3687008A (en) Pressure fluid controlled reciprocating mechanism
US5582009A (en) Air-oil intensifier
JP7221558B1 (ja) エアーハイドロブースタ、クランプシステム、ロボットアーム、および加工方法
US2765625A (en) Air-hydraulic booster
US5249502A (en) Double action, dual speed and force hydraulic actuators
JP6314903B2 (ja) 流路ユニット及び切換弁
EP3896293A1 (en) Fluid pressure cylinder
US20050235730A1 (en) Closed circuit hydraulic compression device with stroke-consistent pump intake
KR101008238B1 (ko) 공기압식 왕복동 공구
US4747337A (en) Rotary fluid cylinders for operating chucks
GB2045882A (en) Hydraulic power booster
JP2016196903A (ja) 制御弁
JP4398154B2 (ja) クッションシリンダ装置
JP2016176567A (ja) 流体圧シリンダ
JP6796291B2 (ja) エアシリンダ
JP7436426B2 (ja) 増圧装置
JP3221589U (ja) 切削油噴射装置
JP7063434B2 (ja) 増圧装置
JP3373905B2 (ja) パイロット操作切換弁
KR950005433A (ko) 용접봉작동용 공압식 구동장치
US2059708A (en) Motor for lubricating pumps
JPH0115922Y2 (ja)
JP2021139484A (ja) 油圧アクチュエータ、車両用デフロック装置、及び単動形油圧シリンダの油圧回路

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210820

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221018

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221115

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230124

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230126

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7221558

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150