JP7221410B2 - α-Ga2O3系半導体膜 - Google Patents

α-Ga2O3系半導体膜 Download PDF

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Description

本発明は、α-Ga23系半導体膜に関する。
近年、酸化ガリウム(Ga23)が半導体用材料として着目されている。酸化ガリウムはα、β、γ、δ及びεの5つの結晶形を有することが知られているが、この中で、α-Ga23はバンドギャップが5.3eVと非常に大きく、パワー半導体用材料として期待を集めている。しかしながら、α-Ga23は順安定相であるため、単結晶基板が実用化されておらず、サファイア基板へのヘテロエピタキシャル成長で形成されるのが一般的である。
例えば、特許文献1には、コランダム型結晶構造を有する下地基板と、コランダム型結晶構造を有する半導体層と、コランダム型結晶構造を有する絶縁膜とを備えた半導体装置が開示されており、サファイア基板上に、半導体層としてα-Ga23膜を成膜した例が記載されている。また、特許文献2には、コランダム構造を有する結晶性酸化物半導体を主成分として含むn型半導体層と、六方晶の結晶構造を有する無機化合物を主成分とするp型半導体層と、電極とを備えた半導体装置が開示されている。この特許文献2の実施例には、c面サファイア基板上に、n型半導体層として準安定相であるコランダム構造を有するα-Ga23膜を、p型半導体層として六方晶の結晶構造を有するα-Rh23膜を形成して、ダイオードを作製することが開示されている。
ところで、異種基板上にα-Ga23膜を結晶成長させる際に、クラックや結晶欠陥が生じるという問題がある。α-Ga23と異種コランダム材料との混晶であるInAlGaO系の半導体膜を成膜する際も、通常、異種基板上に結晶成長を行うため、エピタキシャル膜にクラックが入る等の問題が生じている。この問題に対処する技術として、特許文献3では、クラックの少ないα-Ga23膜を作製することが開示されている。また、特許文献4には、エピタキシャル膜の成膜時にボイドを含ませることにより、クラックが低減されたα-Ga23膜を作製することが開示されている。
特開2014-72533号公報 特開2016-25256号公報 特開2016-100592号公報 特開2016-100593号公報
このように種々のα-Ga23膜が作製されているものの、これまでとは異なる有用なα-Ga23系半導体膜の開発が望まれていた。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、新規なα-Ga23系半導体膜を提供することを主目的とする。
本発明のα-Ga23系半導体膜は、<001>方向に平行に電子線を入射させたときの平面TEM明視野像において、細線状領域の両端に前記細線状領域よりも幅の広い棒状領域を有するヌンチャク(nunchaku)型組織が観察されるものである。
このα-Ga23系半導体膜は、これまでに知られていない新規なものであり、クラックの発生が抑制される。
積層構造体10の説明図であり、(a)は平面図、(b)はA-A断面図。 ヌンチャク型組織20の説明図。 ヌンチャク型組織20の説明図。 ミストCVD装置40の構成を示す模式断面図。 気相成長装置60の構成を示す模式断面図。 平面TEM観察用の試験片の切り出し位置を示す断面模式図。 平面TEM観察の明視野像の写真。 平面TEM観察の明視野像の写真。 図7の一部を拡大した写真。 図9に示したヌンチャク型組織付近のBF-STEM像の写真。 棒状領域AのHAADF-STEM像の写真。 細線状領域BのHAADF-STEM像の写真。
[積層構造体]
図1は、積層構造体10の説明図であり、(a)は平面図、(b)はA-A断面図である。
積層構造体10は、板状の部材であり、下地基板12上に半導体膜14を備えたものである。この積層構造体10を平面視したときの平面視図形は、本実施形態では円形である。「円形」とは、完全な円形状である必要はなく、全体として概ね円形と認識されうる略円形状であってもよい。例えば、円形の一部が結晶方位の特定又はその他の目的のために切り欠かれた形状であってもよい。また、積層構造体10の平面視図形は円形に限定されるものではなく、例えば多角形(正方形や長方形などの四角形のほか、五角形や六角形など)であってもよい。
下地基板12は、格子定数がサファイアよりもα-Ga23に近い酸化物(α-Cr23やα-Fe23など)の層を備えたものが好ましく、α-Cr23又はα-Cr23系固溶体の単結晶層を備えたものがより好ましい。
半導体膜14は、α-Ga23又はα-Ga23系固溶体からなるコランダム型結晶構造を有するもの、すなわちα-Ga23系半導体膜である。α-Ga23は、三方晶系の結晶群に属し、コランダム型結晶構造をとる。また、α-Ga23系固溶体は、α-Ga23に他の成分が固溶したものであり、コランダム型結晶構造が維持されている。他の成分としては、例えば、Al23、In23、Cr23、Fe23、Rh23、V23、Ti23などが挙げられる。
半導体膜14は、<001>方向に平行に電子線を入射させたときの平面TEM明視野像において、図2に示すヌンチャク型組織20が観察される。ヌンチャク型組織20は、細線状領域22の両端にその細線状領域22よりも幅の広い棒状領域24,24を有する組織である。ヌンチャク型組織20は、平面TEM明視野像において暗部として現れる。平面TEM明視野像の観察は、次のようにして行う。すなわち、半導体膜14の表面(下地基板12側の面とは反対側の面)からの深さが約0.04μmの面を含むように試料を切り出し、試料のうち測定視野となる部分の厚みが200nmとなるようにイオンミリングによって加工する。そして、測定視野となる部分に対し、加速電圧300kVで<001>方向に平行に電子線を入射させてTEM明視野像を観察する。
半導体膜14は、<1-10>方向に平行に電子線を入射させたときの断面TEM明視野像において、複数の線状組織が観察される。この明視野像で観察された線状組織の中には、同じ断面TEMの暗視野像g*=110及び暗視野像g*=00-6のいずれにおいても消えない組織が存在する。TEM明視野像で線状の暗部として観察される組織は一般的には転位と認識される。刃状転位、らせん転位は断面TEMの暗視野像g*=110及び暗視野像g*=00-6を観察し、消失するかどうかで刃状転位、らせん転位の帰属を決定することができるが、こうした消えない線状組織は、刃状転位にもらせん転位にも帰属されない。また、半導体膜14の平面TEM像で観察されたヌンチャク型組織20に対し、<001>方向に平行に電子線を入射させた平面STEM観察を実施しても、平面STEM明視野像に平面TEM像と対応する暗部が現れる。平面STEMにおいて、Ga原子像が認められるレベルまで拡大(例えば倍率400万倍以上)して観察しても、ヌンチャク型組織20のいずれの領域においても、原子面の増減や原子配列の大きなずれは確認できない。転位や面欠陥(積層欠陥、粒界など)では、Ga原子像において原子面の増減やずれが認められるため、ヌンチャク型組織は刃状転位、らせん転位だけでなく、混合転位、基底面転位、並びに積層欠陥、粒界等の面欠陥にも帰属されない。なお、平面STEM明視野像の観察は、次のようにして行う。すなわち、半導体膜14の表面(下地基板12側の面とは反対側の面)からの深さが約0.04μmの面を含むように試料を切り出し、試料のうち測定視野となる部分の厚みが70nmとなるようにイオンミリングによって加工する。そして、測定視野となる部分に対し、加速電圧200kVで<001>方向に平行に電子線を入射させてSTEM明視野像を観察する。以上から、半導体膜14に含まれるヌンチャク型組織20は平面TEM明視野像において暗部として観察されるにも関わらず、転位(刃状転位、らせん転位、混合転位、基底面転位)や、積層欠陥、粒界等の面欠陥に帰属されない。また、ヌンチャク型組織20が検出される領域でSTEM-EDS分析やTEMの電子線回折分析を実施したが、異相や異物の凝集等は認められない。したがって、半導体膜14の平面TEM像で認められるヌンチャク型組織20は、刃状転位、らせん転位、混合転位、基底面転位、及び積層欠陥、粒界等の面欠陥に帰属されない結晶欠陥とも考えられる。ヌンチャク型組織20の構造は不明だが、平面STEM像ではGa原子像が周辺部(非欠陥部)と比較してわずかに不鮮明なことから、Ga原子配列が若干みだれた状態とも考えられ、Gaの原子位置がOと置き換わっている可能性を推測している。
半導体膜14のヌンチャク型組織20の密度は、結晶性の観点では少ない方が好ましく、具体的には、1.0×1010/cm2以下が好ましく、1.0×109/cm2以下がより好ましく、1.0×108/cm2以下が更に好ましい。一方、半導体膜14のヌンチャク型組織20の密度は、クラック抑制の観点ではある程度の密度であることが好ましく、具体的には、1.0×104/cm2以上が好ましく、1.0×105/cm2以上がより好ましく、1.0×106/cm2以上が更に好ましい。そのため、結晶性とクラック抑制とを両立するには、半導体膜14のヌンチャク型組織の密度が1.0×106/cm2以上1.0×108/cm2以下であることが好ましい。
半導体膜14のヌンチャク型組織20の全長、すなわち棒状領域24,24の外端同士を結んだ線分の長さは、特に限定するものではないが、典型的には100~800nmである。細線状領域22の長さは、特に限定するものではないが、典型的には50~500nmである。棒状領域24の長さは、特に限定するものではないが、典型的には20~150nmである。
半導体膜14のヌンチャク型組織20は、細線状領域22の一部が屈曲していてもよいし(図3(a)参照)、略直線状であってもよい(図3(b)参照)。数としては前者が後者よりも多い傾向にある。前者が多い方が、半導体膜14内の応力を分散する効果があると考えられるため、半導体膜のクラックや反りを抑制する点で好ましい。
半導体膜14のヌンチャク型組織20は、2つの棒状領域24,24の長手方向が略平行になっていてもよいし(図3(c)参照)、角度を有していてもよい(図3(d),(e)参照)。数としては前者が後者よりも多い傾向にある。前者が多い方が、半導体膜14内の応力を分散する効果があると考えられるため、半導体膜のクラックや反りを抑制する点で好ましい。
半導体膜14の膜表面の面積は、下地基板12の面積と実質的に一致している。半導体膜14の膜表面の面積は、好ましくは20cm2以上、より好ましくは70cm2以上、さらに好ましくは170cm2以上である。このように半導体膜14を大面積化することにより、一枚の半導体膜14から半導体素子を多数個取りすることが可能となり、製造コストの低減化を図ることができる。半導体膜14の大きさの上限は特に限定されるものではないが、典型的には、片面700cm2以下である。半導体膜14の平均膜厚は、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは8μm以上である。
半導体膜14は、ドーパントとして14族元素を1.0×1016~1.0×1021/cm3の割合で含むことができる。ここで、14族元素はIUPAC(国際純正・応用化学連合)が策定した周期表による14族元素のことであり、具体的には、炭素(C)、珪素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、錫(Sn)及び鉛(Pb)のいずれかの元素である。ドーパント量は所望の特性に合わせて適宜変更することができるが、好ましくは、1.0×1016~1.0×1021/cm3、より好ましくは1.0×1017~1.0×1019/cm3である。これらのドーパントは膜中に均一に分布し、半導体膜14の表面と裏面のドーパント濃度は同程度であることが好ましい。
さらに、半導体膜14は、特定の面方位に配向した配向膜であるのが好ましい。半導体膜14の配向性は公知の方法で調べることができるが、例えば、電子線後方散乱回折装置(EBSD)を用いて、逆極点図方位マッピングを行うことで、調べることができる。例えば、半導体膜は、c軸配向していてもよいし、c軸配向すると共に面内方向にも配向していてもよい。
[半導体膜の製法]
半導体膜14の製法には、(a)積層構造体10を得る工程と、(b)半導体膜14を下地基板12から剥離する工程とが含まれる。
(a)積層構造体10を得る工程
積層構造体10は、格子定数がサファイアよりもα-Ga23に近い酸化物(α-Cr23やα-Fe23、α-Cr23系固溶体など)の下地基板12上に、半導体膜14を成膜することにより得られる。下地基板12としては、例えばCr23単結晶基板が挙げられる。成膜方法は、特に限定されるものではなく、公知の手法が採用可能である。成膜方法としては、ミストCVD、HVPE、MBE、MOCVD、スパッタリング、水熱法が好ましく、ミストCVD、HVPEがより好ましく、ミストCVDが更に好ましい。
図4は、ミストCVD装置40の構成を示す模式断面図である。ミストCVD装置40は、下地基板12を載置するサセプタ50と、希釈ガス源42aと、キャリアガス源42bと、希釈ガス源42aから送り出される希釈ガスの流量を調節するための流量調節弁43aと、キャリアガス源42bから送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁43bと、原料溶液44aが収容されるミスト発生源44と、水45aが入れられる容器45と、容器45の底面に取り付けられた超音波振動子46と、成膜室となる石英管47と、石英管47の周辺部に設置されたヒーター48と、排気口51とを備えている。サセプタ50は石英からなり、下地基板12を載置する面が水平面から傾斜している。
ミストCVD法に用いる原料溶液44aとしては、α-Ga23系半導体膜が得られる溶液であれば、限定されるものではないが、例えば、Gaの有機金属錯体、Gaのハロゲン化物、及びGaと固溶体を形成する金属との有機金属錯体のうちの1以上を溶媒に溶解させたものが挙げられる。有機金属錯体の例としては、アセチルアセトナート錯体、ハロゲン化物の例としてはGaCl3やGaBr3などが挙げられる。ハロゲン化物を原料として溶媒に溶解させる場合には、ハロゲン元素が原料溶液に含まれるが、溶液の調整を容易にするため、ハロゲン化物を直接溶媒に溶解させてもよいし、水にハロゲン化水素酸(例えば塩酸)などを加えた溶液にハロゲン化物を溶解させてもよいし、水とハロゲン化水素酸の溶液に金属Gaを溶解させて作製してもよい。また、ドーパントとして14族元素を含有するα-Ga23系半導体膜を成膜する場合や、InやAlの酸化物等を含むα-Ga23との混晶膜を成膜する場合は、原料溶液にこれらの成分を含む溶液を加えてもよい。さらに、有機金属錯体を原料として用いる場合においても、原料溶液にハロゲン化水素酸等の添加剤を加えてもよい。溶媒としては水やアルコール等を使用することができる。
次に、得られた原料溶液44aを霧化してミスト44bを発生させる。霧化する方法の好ましい例としては、超音波振動子46を用いて原料溶液44aを振動させる手法が挙げられる。その後、得られたミスト44bを、キャリアガスを用いて成膜室に搬送する。キャリアガスは特に限定されるものではないが、酸素、オゾン、窒素等の不活性ガス、及び水素等の還元ガスの一種または二種以上を用いることができる。
成膜室(石英管47)には下地基板12が備えられている。成膜室に搬送されたミスト44bは、そこで熱分解及び化学反応されて、下地基板12上に膜を形成する。反応温度は原料溶液の種類に応じて異なるが、好ましくは300~800℃、より好ましくは350~700℃である。また、成膜室内の雰囲気は、所望の半導体膜が得られる限り特に限定されるものではなく、酸素ガス雰囲気、不活性ガス雰囲気、真空又は還元雰囲気であってよいが、大気雰囲気が好ましい。なお、ミスト44bに代えて又は加えて、原料溶液44aの液滴を用いてもよい。
図5は、HVPEを用いた気相成長装置60の構成を示す模式断面図である。気相成長装置60は、反応容器62と、ヒーター64とを備えている。
反応容器62は、各種原料や生成物と反応しない材料(例えば石英)で作られた容器である。反応容器62の互いに対向する一対の側面のうちの一方の側面には、キャリアガス供給管66、酸化ガス供給管68及び原料供給管70が取り付けられ、他方の側面に排気管74が取り付けられている。キャリアガス供給管66は、キャリアガス(例えば窒素や希ガスなど)を反応容器62内に供給する。酸化ガス供給管68は、酸化ガスとして酸素ガスを反応容器62内に供給する。酸化ガスとして、酸素以外に水蒸気や一酸化二窒素などを供給してもよい。原料供給管70では、ガス供給源から供給されるハロゲンガス(例えば塩素ガス)又はハロゲン化水素ガス(例えば塩化水素ガス)と、原料供給管70の途中に設けられた収容部72内の金属ガリウムとが反応してハロゲン化ガリウムが生成する。そのため、原料供給管70は、原料ガスとしてハロゲン化ガリウムガスを反応容器62内に供給する。ハロゲンガス又はハロゲン化水素ガスは、窒素や希ガス等のキャリアガスと共に供給されるようにしてもよい。反応容器62内の各供給管66,68,70の下流には、下地基板12を着脱可能に保持するサセプタ76が設けられている。排気管74は、反応容器62内の未反応のガスを排出する。排気管74には、真空ポンプが接続されていてもよく、その真空ポンプにより反応容器62内の真空度を調整してもよい。これにより、気相反応を抑制したり成長速度分布を改善したりすることができる。
ヒーター64は、反応容器62の周囲を取り囲むように配置されている。ヒーター64としては、例えば抵抗加熱式ヒーターなどを採用することができる。
気相成長装置60を用いて本実施形態の積層構造体10を作製する場合について説明する。反応容器62内では、酸化ガス供給管68から供給される酸素ガスと、原料供給管70から供給される原料ガス(ハロゲン化ガリウムガス)とが反応して、下地基板12上に半導体膜14(α-Ga23膜)が形成される。成膜温度は、特に限定されるものではなく、例えば300℃以上800℃以下の範囲で適宜設定すればよい。酸素ガスや原料ガスの分圧は特に限定されるものではなく、例えば、原料ガスの分圧は0.05kPa以上10kPa以下の範囲としてもよく、酸素ガスの分圧は0.25kPa以上50kPa以下の範囲としてもよい。成長時間は、半導体膜14の膜厚の設計値に応じて適宜設定すればよい。これにより、積層構造体10が得られる。
(b)半導体膜14を下地基板12から剥離する工程
上述のようにして得られた室温の積層構造体10の下地基板12から半導体膜14を下地基板12から剥離する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。剥離方法としては、例えば、機械的衝撃を加えて剥離する方法、熱を加えて熱応力を利用して剥離する方法、超音波等の振動を加えて剥離する方法などが挙げられる。剥離によって、半導体膜14を自立膜として得ることができる。あるいは、半導体膜14を別の支持基板に転載することもできる。
以上説明した本実施形態のα-Ga23系半導体膜は、<001>方向に平行に電子線を入射させたときの平面TEM明視野像において細線状領域の両端に棒状領域を有するヌンチャク型組織が観察される。そのため、α-Ga23系半導体膜にクラックが発生するのを抑制することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
以下に、本発明の実施例について説明する。なお、以下の実施例は本発明を何ら限定するものではない。
[実施例1]
図4に示すミストCVD装置40を用いて以下の方法でα-Ga23膜(半導体膜)の形成を行った。下地基板12としては、市販のCr23単結晶(8mm×8mm、厚さ0.5mm、c面、オフ角なし、以下Cr23基板と呼称)を使用した。
(1)ミストCVD法によるα-Ga23膜の形成
(1a)原料溶液の調整
ガリウムアセチルアセトナート0.09mol/Lとなるように水溶液を調整した。この際、36%塩酸を体積比で1.5%を含有させ、原料溶液44aとした。
(1b)成膜準備
次に、得られた原料溶液44aを図4のミストCVD装置40のミスト発生源44内に収容した。Cr23基板を下地基板12としてサセプタ50上に設置させ、ヒーター48を作動させて石英管47内の温度を570℃にまで昇温させた。次に、流量調節弁43a、43bを開いて希釈ガス源42a、キャリアガス源42bから希釈ガス、キャリアガスを石英管47内に供給し、石英管47の雰囲気を希釈ガス、キャリアガスで十分に置換した後、希釈ガスの流量を0.5L/min、キャリアガスの流量を1L/minにそれぞれ調節した。希釈ガス、キャリアガスとしては、窒素ガスを用いた。
(1c)膜形成
次に、超音波振動子46を2.4MHzで振動させ、その振動を、水45aを通じて原料溶液44aに伝播させることによって、原料溶液44aをミスト化させて、ミスト44bを生成した。このミスト44bが、希釈ガス、キャリアガスによって成膜室である石英管47内に導入され、石英管47内で反応して、下地基板12の表面でのCVD反応によって下地基板12上に結晶性α-Ga23膜(半導体膜14)を積層した。成膜時間は40分とした。このようにして下地基板12上に半導体膜14を備えた積層構造体10を得た。
(2)半導体膜の評価
(2a)表面EDS
得られた膜の成膜側の膜表面のEDS測定を実施した結果、Ga、Oのみが検出され、得られた膜はGa酸化物であることが分かった。
(2b)EBSD
電子線後方散乱回折装置(EBSD)(オックスフォード・インストゥルメンツ社製Nordlys Nano)を取り付けたSEM(日立ハイテクノロジーズ社製、SU-5000)にてGa酸化物で構成される成膜側の膜表面の逆極点図方位マッピングを500μm×500μmの視野で実施した。このEBSD測定の諸条件は以下のとおりとした。
<EBSD測定条件>
・加速電圧:15kV
・スポット強度:70
・ワーキングディスタンス:22.5mm
・ステップサイズ:0.5μm
・試料傾斜角:70°
・測定プログラム: Aztec (version 3.3)
得られた逆極点図方位マッピングから、Ga酸化物膜は基板法線方向にc軸配向、面内も配向した二軸配向のコランダム型結晶構造を有することが分かった。これらより、α-Ga23からなる配向膜が形成されていることが示された。
(2c)断面TEM
α-Ga23膜から、成膜側とCr23基板との界面側の両方の表面が含まれ、測定視野周辺の試料厚み(T)が200nmとなるように断面試験片を切り出した。得られた試験片を用いて、加速電圧300kVで<1-10>方向に平行に電子線を入射させて断面TEM観察(測定装置:日立製H-90001UHR-I)を実施した。得られたTEM像からα-Ga23膜の厚みを測定した結果、0.7μmであった。断面TEMの明視野像には、複数の線状の暗部で構成される組織が観察された。この明視野像で観察された線状の組織の中には、同じ断面TEMの暗視野像g*=110及び暗視野像g*=00-6のいずれにおいても消えない組織が存在した。こうした消えない組織は、刃状転位にもらせん転位にも帰属されないものである。
(2d)成膜側表面の平面TEM
α-Ga23膜から、成膜側表面直下約0.04μmの深さの面が含まれるように平面TEM観察用の試験片を切り出し、測定視野周辺の試験片の厚み(T)が70nmとなるようにイオンミリングによって加工した。この試験片の切り出し位置の断面模式図を図6に示す。α-Ga23膜の結晶性を評価するため、平面TEM観察用の試験片を用いて、加速電圧300kVで<001>方向に平行に電子線を入射させて平面TEM観察(測定装置:日立製H-90001UHR-I)を実施した。実際には平面の測定視野4.0μm×2.6μmのTEM像を2視野観察した。得られた2視野の平面TEM観察の明視野像をそれぞれ図7及び図8に示す。また、図7の一部を拡大した明視野像を図9に示す。図9に示すように、平面TEM観察の明視野像にはヌンチャク型組織が観察された。ヌンチャク型組織は細線状領域Bの両端に棒状領域A,A’を有していた。
図7及び図8では、ヌンチャク型組織が7箇所で観察された。測定視野の面積とヌンチャク型組織の個数からヌンチャク型組織の密度を算出したところ、3.4×107/cm2であった。観察されたヌンチャク型組織は、全長(棒状領域の外端同士の点を結んだ線分の長さ)が376~645nm、棒状領域の長さが82nm~131nm(平均107nm)、細線状領域の長さ(細線状領域の両端を結んだ線分の長さ)は245nm~408nm(平均352nm)であった。
(2e)成膜側表面の平面STEM
α-Ga23膜のヌンチャク型組織の状態を評価するため、図9に示した同組織付近の平面STEM観察(プランビュー)を実施した。電界放出型透過電子顕微鏡(JEOL製 ARM-200F Dual-X)を使用して加速電圧200kVでSTEM観察を行った。なお、<001>方向に平行に電子線を入射して観察した。
図9に示したヌンチャク型組織付近のBF-STEM像を図10に示す。図10では、細線状領域Bの両端に棒状領域A,A’を備えたヌンチャク型組織が観察された。棒状領域A及び細線状領域Bを拡大したHAADF-STEM像をそれぞれ図11及び図12に示す。図11の矢印近傍が棒状領域A、図12の矢印近傍が細線状領域Bに該当する。図中の白い点がカチオン原子像(Ga原子)を示している。原子像がやや不鮮明であるため、Ga原子配列が乱れていると考えられるが、いずれの箇所においても原子面の増減は確認されなかった。転位(刃状転位、らせん転位、混合転位、基底面転位など)であれば原子面に増減が確認されるため、棒状領域A及び細線状領域Bはいずれの転位や積層欠陥等の面欠陥にも帰属されないことが分かった。
(2f)半導体膜の外観評価
得られた半導体膜の外観を工業用顕微鏡(ニコン製ECLIPSE LV150N)を用いて、接眼レンズを10倍、対物レンズを5倍とし、偏光・微分干渉モードにて膜表面全体を観察したが、クラックは認められなかった。
[比較例1]
下地基板12として、直径5.08cm(2インチ)、厚み0.65mm、c面、オフ角なしのサファイア基板を用いたこと以外は実施例1と同様の方法でα-Ga23膜を形成し、各種評価を実施した。得られた膜の成膜側の膜表面のEDS測定を実施した結果、Ga、Oのみが検出され、得られた膜はGa酸化物であることが分かった。成膜側の膜表面の逆極点図方位マッピングから、Ga酸化物膜は基板法線方向にc軸配向、面内も配向した二軸配向のコランダム型結晶構造を有することが分かった。これらより、α-Ga23からなる配向膜が形成されていることが示された。成膜側表面の平面TEM観察を実施したところ、明視野像からはヌンチャク型組織は観察されなかった。得られた半導体膜の外観を工業用顕微鏡を用いて観察したところ、クラックが多数認められた。
本発明は、例えばパワー半導体用材料などに利用可能である。
10 積層構造体、12 下地基板、14 半導体膜、20 ヌンチャク型組織、22 細線状領域、24 棒状領域、40 ミストCVD装置、42a 希釈ガス源、42b キャリアガス源、43a 流量調節弁、43b 流量調節弁、44 ミスト発生源、44a 原料溶液、44b ミスト、45 容器、45a 水、46 超音波振動子、47 石英管、48 ヒーター、50 サセプタ、51 排気口、60 気相成長装置、62 反応容器、64 ヒーター、66 キャリアガス供給管、68 酸化ガス供給管、70 原料供給管、72 収容部、74 排気管、76 サセプタ。

Claims (4)

  1. <001>方向に平行に電子線を入射させたときの平面TEM明視野像において、細線状領域の両端に前記細線状領域よりも幅の広い棒状領域を有するヌンチャク型組織が観察され
    前記ヌンチャク型組織の密度は、1.0×10 4 /cm 2 以上である、
    α-Ga23系半導体膜。
  2. 前記ヌンチャク型組織は、刃状転位、らせん転位、混合転位、基底面転位及び面欠陥のいずれにも帰属されない組織である、
    請求項1に記載のα-Ga23系半導体膜。
  3. 前記ヌンチャク型組織の密度は、1.0×106/cm2以上1.0×108/cm2以下である、
    請求項1又は2に記載のα-Ga23系半導体膜。
  4. 前記ヌンチャク型組織の全長は、100nm以上800nm以下である、
    請求項1~3のいずれか1項に記載のα-Ga23系半導体膜。
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金子 健太郎,コランダム構造酸化ガリウムの結晶成長とデバイス応用,Journal of the Society of Materials Science, Japan,日本,公益社団法人 日本材料学会,2016年09月,Vol. 65, No. 9,pp. 631-637

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