JP7221386B2 - 高度の末端基封止を介して得られる耐汚染性ポリアミドポリマー - Google Patents

高度の末端基封止を介して得られる耐汚染性ポリアミドポリマー Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、いずれもその全内容が参照により本明細書に援用される2018年11月9日に出願された米国仮特許出願第62/758,036号及び2019年4月22日に出願された米国仮特許出願第62/836,813号の優先権を主張するものである。
技術分野
本発明は、ポリアミドポリマーを製造するための、詳細には、ポリアミドポリマーの高度な末端基封止を介して、着色テキスタイル又はカーペット繊維のための耐汚染性ポリアミドポリマーを製造するための材料、方法、及び装置に関する。
典型的には、ポリアミド-6ポリマーは、ポリマーのアミン末端基と反応することで末端封止する二官能性の酸を用いた単一末端封止(mono-termination)によって重合される。典型的なポリアミドポリマーとしては、ポリアミド-6(PA-6)、ポリアミド-6,6(PA-66)、ポリアミド-666(PA-666)、ポリアミド-46(PA-46)、ポリアミド-610(PA-610)、及びポリアミド-1212(PA-1212)ポリマーが挙げられる。
DUAL-TERMINATED POLYAMIDE FOR HIGH SPEED SPINNING APPLICATIONと題する2016年12月22日に出願された米国特許出願公開第2017/0183796号には、高速紡糸用途を意図するポリアミドポリマーの二重末端封止が開示されている。この出願には、25mmol/kg~40mmol/kg又は25mmol/kg以下のアミン末端基濃度範囲、及び18mmol/kg~50mmol/kg又は65mmol/kg以下のカルボキシル末端基濃度範囲が開示されており、この出願の実施例では、34.9mmol/kg及び27.4mmol/kgのアミン末端基濃度及び24.7mmol/kg及び21.7mmol/kgのカルボキシル末端基濃度が例示されている。
末端基濃度を変えると、得られる二重末端封止されたポリアミドポリマーに対して異なる特性が得られ得る。
本開示は、本明細書において二重末端封止されたポリアミド又は二重末端封止されたPAと称されるアミノ末端基及びカルボキシル末端基の両方で二重末端封止されたポリアミドポリマーから形成された繊維及びフィラメントを提供する。本明細書で述べる二重末端封止されたポリアミドポリマーは、「高度に末端封止」されていてよく、例えばカーペット繊維などの耐汚染性テキスタイルの製造に有用である。
本開示は、アミン末端基及びカルボキシル末端基を有するポリアミドポリマーを提供し、ポリアミドポリマーはさらに、20mmol/kg未満のアミン末端基濃度、20mmol/kg未満のカルボキシル末端基濃度、及びASTM D-789に従って測定した場合の少なくとも40のギ酸粘度(FAV)を有する。
ポリアミドポリマーは、8mmol/kg~20mmol/kgのアミン末端基濃度、及び/又は6mmol/kg~20mmol/kgのカルボキシル末端基濃度を有し得る。
ポリアミドポリマーは、ASTM D-789に従って測定した場合の少なくとも50のギ酸粘度(FAV)を有し得る、又はポリアミドポリマーは、ASTM D-789に従って測定した場合の40~90のギ酸粘度を有し得る。
ポリアミドポリマーは、ISO 6427に従って測定した場合の1.0重量%未満の溶出物含有量を有し得る。
ポリアミドポリマーは、AATCC試験法175-08に従う10未満のΔEを有し得る。ポリアミドポリマーは、ポリカプロラクタムであってよい。
本開示は、アミン末端基及びカルボキシル末端基を有し、さらに、20mmol/kg未満のアミン末端基濃度、20mmol/kg未満のカルボキシル末端基濃度、及びASTM D-789に従って測定した場合の少なくとも40のギ酸粘度(FAV)を有するポリアミドポリマーを提供する工程;並びに、ポリアミドポリマーを少なくとも2500m/分の紡糸速度で紡糸して複数の繊維を形成する工程、を含む、ポリアミドポリマー繊維を形成する方法も提供する。
紡糸工程は、ポリアミドポリマーを、2500m/分~5000m/分の紡糸速度で紡糸して複数の繊維を形成することを含み得る。
繊維は、AATCC試験法175-08に従う22未満のΔEを有し得る。提供する工程のポリアミドポリマーは、ポリカプロラクタムである。
ポリアミドポリマーは、8mmol/kg~20mmol/kgのアミン末端基濃度、及び/又は6mmol/kg~20mmol/kgのカルボキシル末端基濃度を有し得る。
ポリアミドポリマーは、ASTM D-789に従って測定した場合の40~90のギ酸粘度、及び/又はISO 6427に従って測定した場合の1.0重量%未満の溶出物含有量を有し得る。
本発明の上述の及び他の特徴、並びにそれらを達成する方法は、以下の本発明の実施形態の記述を添付の図面と合わせて参照することで、より明らかとなり、本発明自体も、より良く理解されることになる。
図1Aは、末端封止及び非末端封止ポリアミド(PA)ポリマーを製造する方法の例を示す。 図1Bは、繊維又はフィラメントを製造するためのシステムの例を示す。 図2は、繊維又はフィラメントを押出し、紡糸し、延伸するためのシステムの例を示す。
複数の図面を通して、対応する符号は対応する部分を示す。本明細書で示される例示は、本発明の様々な態様を示すものであり、そのような例示は、本発明の範囲をいかなる形であっても限定するものとして解釈されるべきではない。
以下で例示される繊維及びフィラメントは、二重末端封止されたPA-6ポリマーから形成されるが、本開示は、二重末端封止されたPA-6ポリマーだけに限定されない。本開示に従う繊維及びフィラメントは、例えばポリアミド-6(PA-6)、ポリアミド-6,6(PA-66)、ポリアミド-666(PA-666)、ポリアミド-46(PA-46)、ポリアミド-610(PA-610)、ポリアミド-1212(PA-1212)、並びにこれらの混合物及びコポリマーを含む他の二重末端封止されたポリアミドポリマーから形成されてもよい。
そのように限定するものではないが、本明細書で述べる二重末端封止されたポリアミドポリマーは、着色カーペット繊維用途のための耐汚染性ポリマーの形成に特に有用である。
まず図1Aを参照すると、二重末端封止されたポリアミドを製造する方法1000の例が示される。方法1000では、本開示の二重末端封止されたポリアミドの作製に、ε-カプロラクタムが用いられてよく、及び/又は他のポリアミドが用いられてもよい。ブロック1002に示されるように、ε-カプロラクタム、0.5~2%の水、酸性封止剤、及び/又はアミン封止剤が、反応器に供給される。反応器は、バッチ反応器であってよい。ε-カプロラクタムが反応器中にある間、それは、以下の反応模式図に示されるように、加水分解を受ける。
Figure 0007221386000001
ブロック1004に示されるように、加水分解の過程で、添加された酸性封止剤及び/又はアミン封止剤は、それぞれ、利用可能なアミン末端基及びカルボキシル末端基を封止する。上記の反応模式図に示されるように、酢酸及びシクロヘキシルアミンが反応器に添加されてよいが、他の酸性封止剤及びアミンが適切である場合もあり、同様に用いられてよいことは、本開示の範囲内である。
アミン末端基の封止剤の例としては、一官能性の酸などの酸性封止剤が挙げられ、カルボキシル末端基の封止剤の例としては、例えば一官能性のアミンなどのアミンが挙げられる。このようにして、酸性封止剤が、アミン(NH)末端基の封止に用いられ、一方アミンが、ポリアミドポリマーのカルボキシル(-COOH)末端基の封止に用いられる。
アミン末端基封止剤の例としては、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、ステアリン酸、及び/又はテレフタル酸などの酸が挙げられ、カルボキシル末端基封止剤の例としては、シクロヘキシルアミン及びベンジルアミンなどの一官能性のアミド、並びにポリエーテルアミンが挙げられる。PA樹脂に添加される封止剤のレベルが上昇すると、反応性のアミン及び/又はカルボキシル末端基の末端基濃度が低下することになる。
上記の反応模式図に示されるように、重縮合反応中に水が生成される。窒素(N)注入を介する水除去プロセスが適用され、及び/又はブロック1006に示されるように、真空プロセスが適用されてもよい。過剰の水を除去するために、加圧又は真空プロセスが導入され、そうすることによって、重縮合反応の平衡が、生成物側(すなわち、右側)に動かされ、その結果、ポリアミドポリマーの重合の度合いが高まる。重縮合反応の平衡を可能な限り強く右側に連続的に動かすために、最大のガス添加又は真空が用いられ、それによって、重合の度合いのより高いポリアミドポリマーが実現される。
ここで図1A及び2を参照すると、紡糸繊維を製造する方法100の例が示される。ブロック102に示されるように、PA-6樹脂などの二重末端封止されたポリアミド樹脂が提供される。図1Bは、そのような二重末端封止されたポリアミド樹脂から繊維を製造するシステム102の例を提供する。これらの図に示される二重末端封止されたポリアミド樹脂は、樹脂のアミン(-NH)末端基及びカルボキシル(-COOH)末端基に対する異なる封止剤を含む。実際には、アミン末端基及びカルボキシル末端基に対する封止剤は、化学的に異なり得る。
図1B及び2に例示的に示されるように、二重末端封止されたPA-6樹脂が、押出機124のホッパーにフィード122として供給され、続いて押出機中で溶融され、紡糸口金126を通して繊維128として押出される。次に図1Bを参照すると、ブロック104において、二重末端封止されたPA-6樹脂が加熱され、繊維へと紡糸される。図2では、加熱された二重末端封止されたPA-6樹脂が、円形又は三角形断面の個々の繊維128を形成するための1又は複数の出口部を含んでいてよい紡糸口金126を用いて紡糸される。個々の繊維128は、次に、132で回収されて、1又は複数の延伸ローラー134上で延伸されてよく、その後、得られる繊維136は、巻き取りボビン138で回収される(テキスタイル及びカーペット繊維として)。
図1Bを参照すると、ブロック106において、紡糸された繊維は、1又は複数の延伸工程に掛けられてよい(原糸加工装置あり及びなしで)。例えば、繊維は、全体として(紡糸口金から巻き取りまで、溶融延伸及び機械的繊維延伸として)、小さくは90×、100×、110×、大きくは230×、240×、250×、又は90×~250×、100×~240×、若しくは110×~230×などの上記の値のいずれか2つの間で定められるいずれかの範囲内で延伸されてよい。比率は、紡糸口金から巻き取りまでの繊維の全体としての延伸比である。例えば、繊維136は、30%、40%、50%、又はさらには大きくは70%、80%、90%、又は30%~90%などの上記の値のいずれか2つの間で定められるいずれかの範囲内の伸びを有していてよい。
同じ図1Bのブロック106を参照すると、紡糸された繊維は、巻き取られてボビンを形成し得る。例えば、各繊維は、少なくは30、32、34、若しくは多くは56、58、60のフィラメント、又は例えば30~60、32~58、若しくは34~56のフィラメントなどの上記の値のいずれか2つの間で定められるいずれかの範囲内のフィラメントを含有してよい。繊維は、150、165、180、若しくは高くは1400、1450、1500、又は例えば150~1500、165~1450、若しくは180~1400デニールなどの上記の値のいずれか2つの間で定められるいずれかの範囲内の合計デニールを有していてよい。フィラメントあたりのデニールは、4、5、6、若しくは高くは46、48、50、又は例えばテキスタイル用途には4~10デニール、若しくはカーペット用途には22~28デニールなどの上記の値のいずれか2つの間で定められるいずれかの範囲内であってよい。
二重末端封止されたポリアミド樹脂(例:PA-6樹脂)は、カルボキシル末端封止剤を、二重末端封止された樹脂の全組成物に対して、少なくは0.01重量%、0.05重量%、0.10重量%、多くは0.40重量%、0.45重量%、0.50重量%、又は例えば0.01重量%~0.5重量%、0.05重量%~0.45重量%、若しくは0.10重量%~0.40重量%などの上記の値のいずれか2つの間で定められるいずれかの範囲内の量で含んでよく、アミン末端封止剤を、二重末端封止された樹脂の全組成物に対して、少なくは0.20重量%、0.25重量%、0.30重量%、多くは0.60重量%、0.65重量%、0.70重量%、又は例えば0.20重量%~0.80重量%、0.25重量%~0.65重量%、若しくは0.30重量%~0.6重量%などの上記の値のいずれか2つの間で定められるいずれかの範囲内の量で含んでよい。本明細書で用いられる場合、「全組成物」とは、二重末端封止されたポリマー樹脂の作製に用いられるモノマー出発物質を意味し、反応器中に存在し得る他の成分は除く。例えば、二重末端封止されたPA-6の場合、全組成物は、ε-カプロラクタムを意味するものとする。二重末端封止されたPA-6,6の場合、全組成物は、ヘキサメチレンジアミン及びアジピン酸を意味するものとする。
本開示の重合されたポリアミドポリマーは、アミン末端基及びカルボキシル末端基の両方を含む。
アミン末端基(AEG)濃度は、70%フェノール/30%メタノール中のポリアミドのサンプルを滴定するのに要する塩酸(0.1Nの標準HCl)の量により、以下の式に従って特定することができる。
(サンプルを滴定するためのHClのmL - ブランクを滴定するためのHClのmL)×(HClの規定度)×1000/サンプル重量(g)
例えば、二重末端封止されたPA-6樹脂は、25mmol/kg以下、22mmol/kg以下、20mmol/kg以下、若しくは18mmol/kg以下、又は少なくは10mmol/kg以下、8mmol/kg以下、7mmol/kg以下、若しくは5mmol/kg以下のアミン末端基濃度を有してよく、又は二重末端封止されたPA-6樹脂は、例えば5mmol/kg~25mmol/kg、7mmol/kg~22mmol/kg、若しくは8mmol/kg~20mmol/kgなどの上記の値のいずれか2つの間で定められるいずれかの範囲内であるアミン末端基濃度を有してよい。
カルボキシル末端基(CEG)濃度は、ベンジルアルコール中のポリアミドのサンプルを滴定するのに要する水酸化カリウム(KOH)の量により、以下の式に従って特定することができる。
(サンプルを滴定するためのKOHのmL - ブランクを滴定するためのKOHのmL)×(KOHの規定度)×1000/サンプル重量(g)
例えば、二重末端封止されたPA-6樹脂は、25mmol/kg以下、22mmol/kg以下、20mmol/kg以下、若しくは18mmol/kg以下、又は少なくは10mmol/kg以下、7mmol/kg以下、6mmol/kg以下、若しくは5mmol/kg以下のカルボキシル末端基濃度を有してよく、又は二重末端封止されたPA-6樹脂は、例えば5mmol/kg~25mmol/kg、6mmol/kg~22mmol/kg、若しくは10mmol/kg~20mmol/kgなどの上記の値のいずれか2つの間で定められるいずれかの範囲内であるカルボキシル末端基濃度を有してよい。
二重末端封止されたPA-6樹脂は、多くは50mmol/kg、45mmol/kg、40mmol/kg、35mmol/kg、若しくは少なくは20mmol/kg、15mmol/kg、10mmol/kg以下、又は例えば50mmol/kg~10mmol/kg、45mmol/kg~10mmol/kg、22mmol/kg以下、20mmol/kg以下、若しくは10mmol/kg以下などの上記の値のいずれか2つの間で定められるいずれかの範囲内である合計末端基濃度(アミン末端基+カルボキシル末端基)を有してよい。
直鎖状ポリマーの末端封止のレベルを測定するための別の方法は、末端封止率による。二重末端封止されたPA樹脂の末端封止率は、以下の式を用いて特定することができる:
Figure 0007221386000002
高度に二重末端封止されたポリマーは、低くは40%、45%、50%、若しくは高くは75%、80%、85%、又は例えば40%~85%、45%~80%、若しくは50%~75%などの上記の値のいずれか2つの間で定められるいずれかの範囲内である合計末端封止率(%)を有してよい。最大に二重末端封止された(又は最大の二重末端封止を有する)ポリマーは、65%以上、70%以上、又は75%以上の合計末端封止率(%)を有してよい。例えば、最大に二重末端封止されたポリマーは、低くは65%、70%、75%、若しくは高くは99%、99.5%、99.9%、又は例えば65%~99.9%、70%~99.5%、若しくは75%~99%などの上記の値のいずれか2つの間で定められるいずれかの範囲内である合計末端封止率(%)を有してよい。
本開示の二重末端封止されたポリアミドポリマーは、低くは30%、40%、50%、若しくは高くは70%、80%、90%、又は例えば30%~90%などの上記の値のいずれか2つの間で定められるいずれかの範囲内である末端封止率又は合計末端封止率(%)を有してよい。
本開示の二重末端封止されたPA樹脂は、低くは30%、40%、50%、若しくは高くは70%、80%、90%、又は例えば30%~90%などの上記の値のいずれか2つの間で定められるいずれかの範囲内であるNH2末端封止率(%)を有してよい。
本開示の二重末端封止されたPA樹脂は、低くは30%、40%、50%、若しくは高くは70%、80%、90%、又は例えば30%~90%などの上記の値のいずれか2つの間で定められるいずれかの範囲内であるCOOH末端封止率(%)を有してよい。
本開示の二重末端封止されたPA樹脂は、低くは2.05RV、2.3RV、2.6RV、若しくは高くは3.0RV、3.25RV、3.4RV、又は例えば2.05RV~3.4RV、~2.6RV、若しくは2.6RV~3.0RVなどの上記の値のいずれか2つの間で定められるいずれかの範囲内である、GB/T 12006.1-2009/ISO 307:2007に従って測定される相対粘度(RV)を有してよい。本開示の二重末端封止されたPA-6樹脂の例は、2.7RVの相対粘度を有し得る。
本開示の二重末端封止されたPA樹脂は、低くは40FAV、45FAV、50FAV、若しくは高くは80FAV、90FAV、100FAV、又は例えば40FAV~100FAVなどの上記の値のいずれか2つの間で定められるいずれかの範囲内である、ASTM D-789に従って測定されるギ酸粘度(FAV)を有してよい。
本開示の二重末端封止されたPA樹脂は、ISO 6427に従って測定された場合の比較的低い溶出物含有量を有し得る。例えば、溶出物含有量は、1.0重量%、0.9重量%、0.8重量%、0.7重量%、若しくはそれ以下、又はさらには、低くは0.5重量%、0.4重量%、若しくはそれ以下、又は0.9重量%~0.4重量%若しくは0.4重量%以下などの上記の値のいずれか2つの間で定められるいずれかの範囲内であってよい。
本開示の二重末端封止されたPA樹脂は、ASTM D-6869に従って測定された場合の比較的低い水分レベルを有し得る。例えば、水分レベルは、1200ppm、1000ppm、800ppm、又はさらには、低くは600ppm、500ppm、400ppm、若しくはそれ以下、又は1200ppm~400ppm以下などの上記の値のいずれか2つの間で定められるいずれかの範囲内であってよい。本開示の二重末端封止されたPA-6樹脂の例は、低くは700ppmの水分レベルを有し得る。
本開示の二重末端封止されたPA樹脂は、ASTM E313に従って特定された場合の、80未満、50未満、25未満、又は10未満の黄色度(YI)を有してよい。
本開示の二重末端封止されたPA樹脂は、そのような樹脂から製造したカーペット繊維サンプルと共に赤色染料による付着汚れを用いた米国繊維化学技術・染色技術協会(AATCC)試験法175-08に概説されている赤色染料吸着試験のプロトコルに従って測定した場合の、比較的高い耐汚染性を有し得る。例えば、耐汚染性パラメータΔEは、25、22、若しくは20未満、又は少なくは、5、7、若しくは10未満、又は例えば5~20などの上記の値のいずれか2つの間で定められるいずれかの範囲内であってよい。
本開示の二重末端封止されたPA樹脂は、比較的高い温度で熱的に安定である。例えば、そのような樹脂は、255℃、260℃、265℃、又はさらには、高くは270℃、272℃、275℃、若しくはそれ以上、又は255℃~275℃などの上記の値のいずれか2つの間で定められるいずれかの範囲内の温度で安定であり得る。
本開示の二重末端封止されたPA樹脂は、比較的高い速度で紡糸して繊維を製造することができる。例えば、本開示の二重末端封止されたPA樹脂は、2500m/分、3000m/分、3500m/分、又はさらには、高くは4000m/分、5000m/分、若しくは6000m/分、又は2500m/分~6000m/分などの上記の値のいずれか2つの間で定められるいずれかの範囲内の速度で紡糸して繊維を作製することができる。
本開示の二重末端封止されたPA樹脂は、床及び表面用敷物産業でカーペット繊維製造のために典型的に用いられる速度で紡糸することができる。例えば、本開示の二重末端封止されたPA樹脂は、1000m/分、2000m/分、3000m/分、又はさらには、高くは3100m/分、3300m/分、3500m/分、又は1000m/分~3500m/分などの上記の値のいずれか2つの間で定められるいずれかの範囲内の速度で紡糸してカーペット繊維を製造することができる。二重末端封止されたPA-6樹脂の例は、1000m/分の速度で紡糸してカーペット繊維を作製することができる。
本開示の二重末端封止されたPA樹脂は、紡糸して、150デニール、165デニール、180デニール、又はさらには、高くは250デニール、325デニール、400デニール、若しくはそれ以上、又は150デニール~400デニールなどの上記の値のいずれか2つの間で定められるいずれかの範囲内の線形質量密度を有するテキスタイル繊維を作製することができる。
本開示の二重末端封止されたPA樹脂は、紡糸して、1000デニール、1100デニール、又はさらには、高くは1400デニール、1500デニール、若しくはそれ以上、又は1000デニール~1500デニールなどの上記の値のいずれか2つの間で定められるいずれかの範囲内の線形質量密度を有するカーペット繊維を作製することができる。二重末端封止されたPA-6樹脂の例は、紡糸して、1360デニールの線形質量密度を有するカーペット繊維を作製することができる。
実施例
例1
ポリアミドポリマーの製造
アミン末端封止(AEG)サンプル-「アミン末端のみで封止」:
第一セットの実験ポリマーには、「アミン末端のみでの封止」の量を増加させたポリアミドを含めた。これらのポリマーは、酢酸を加水分解反応工程に導入することによって製造した。酢酸封止剤を、測定された量でε-カプロラクタムと組み合わせて、重合プロセスの過程で目標レベルのアミン末端封止を実現した。重合プロセスは、実験用バッチ反応器及びマルチケトルパイロットラインの両方で実施し、加水分解、付加重合、及び重縮合工程を介する典型的なポリアミド合成反応を、末端封止反応から生成される水の除去を促進するための脱気能力を高めて行った。
「アミン末端のみで封止された」ポリアミド樹脂サンプルを、40~80で変動するFAV値、及び10mmol/kg~35mmol/kgで変動するNH2末端(AEG)濃度で製造した。NH2末端封止のパーセント(NH2末端封止率(%)、以下の式を用いて算出)は、30%~85%で変動した。
Figure 0007221386000003
アミン末端のみで封止されたポリアミドサンプルを、それらの対応するFAV値、分子量、溶出物レベル(溶出物(%))、アミノ末端濃度、カルボキシル末端濃度、合計末端封止率(%)、水分含有量(%)、NH2又はアミノ末端封止率(%)、カルボキシル末端封止率(%)、及び黄色度(YI)と共に以下の表1に挙げる。
Figure 0007221386000004
カルボキシル末端封止(CEG)サンプル:
第二セットの実験ポリマーは、「カルボキシル末端のみでの封止」の量を増加させたポリアミドを含めた。これらのポリマーは、シクロヘキシルアミンを加水分解反応工程に導入することによって製造した。シクロヘキシルアミン封止剤を、測定された量でε-カプロラクタムと組み合わせて、ポリアミド重合プロセスの過程で目標レベルのカルボキシル末端封止を実現した。重合プロセスは、実験用バッチ反応器及びマルチケトルパイロットラインの両方で実施し、加水分解、付加重合、及び重縮合工程を介する典型的なポリアミド合成反応を、末端封止反応から生成される水の除去を促進するための脱気能力を高めて行った。
「カルボキシル末端のみで封止された」ポリアミド樹脂サンプルを、60~80で変動するFAV値、15mmol/kg~40mmol/kgで変動するカルボキシル末端(CEG)濃度で製造した。カルボキシル末端封止のパーセント(COOH末端封止%、以下の式を用いて算出)は、サンプル間で20%~65%で変動した。
Figure 0007221386000005
カルボキシル末端のみで封止されたポリアミドサンプルを、それらの対応するFAV値、分子量、溶出物レベル(溶出物(%))、アミノ末端濃度、カルボキシル末端濃度、合計末端封止率(%)、水分含有量(%)、NH2又はアミノ末端封止率(%)、カルボキシル末端封止率(%)、及び黄色度(YI)と共に以下の表2に挙げる。
Figure 0007221386000006
二重末端封止(AEG及びCEG)サンプル-「二重末端封止」:
第三セットの実験ポリマーは、酸性酸及びシクロヘキシルアミンの両方を加水分解反応工程に添加することによって、アミン末端封止(AEG)及びカルボキシル末端封止(CEG)の両方の濃度を増加させて作製した。酸性酸及びシクロヘキシルアミンの封止剤を、測定された量でε-カプロラクタムと組み合わせて、目標レベルのアミン及びカルボキシル末端封止を実現した。重合プロセスは、実験用バッチ反応器及びマルチケトルパイロットラインの両方で実施し、加水分解、付加重合、及び重縮合工程を介する典型的なポリアミド合成反応を、末端封止反応から生成される水の除去を促進するための脱気能力を高めて行った。
「アミン及びカルボキシルの二重末端封止された」ポリアミド樹脂サンプルを、25~100で変動するFAV値、5mmol/kg~50mmol/kgで変動するアミン末端(AEG)濃度、5mmol/kg~50mmol/kgで変動するCOOH末端(CEG)濃度で製造した。アミン末端封止及びカルボキシル末端封止の算出したパーセント(以下の式を用いた)は、これらのサンプルの間で、それぞれ30%~85%及び35%~90%で変動した。より詳細には、25~100のFAV値を有し、合計末端封止のレベルが35%~80%で変動する二重末端封止サンプルを、さらに「高度な二重末端封止」と称した。40~50のFAV値を有し、合計末端封止のレベルが80%超であるサンプルは、「最大の二重末端封止」又は「最大二重末端封止」と称した。
Figure 0007221386000007
二重末端封止されたポリアミドサンプルを、それらの対応するFAV値、分子量、溶出物レベル(溶出物(%))、アミノ末端濃度、カルボキシル末端濃度、合計末端封止率(%)、水分含有量(%)、NH2又はアミノ末端封止率(%)、カルボキシル末端封止率(%)、及び黄色度(YI)と共に以下の表3に挙げる。
Figure 0007221386000008
非末端封止及びカチオン性コントロール(CAT)サンプル:
末端封止なしのポリアミド、及び耐汚染性という有益性で市販されているカチオン性PA-6樹脂などの市販品から入手したポリアミドを含む第四セットのポリマーを、コントロールとした。末端封止されていないポリアミドは、標準的なポリアミド重合プロセスを用い、実験用バッチ反応器及びマルチケトルパイロットラインの両方で実施し、加水分解、付加重合、及び重縮合工程を介する標準的なポリアミド合成反応を行うことによって作製した。
35~100で変動するFAV値で、典型的な平衡アミン及びカルボキシルレベル、40mmol/kg~75mmol/kgの典型的なアミン末端基濃度及び40mmol/kg~75mmol/kgのカルボキシル末端基濃度を有する非末端封止ポリアミド樹脂サンプルを製造した。以下の表4では、非末端封止ポリアミド、2つの実験製造したカチオン性PA-6樹脂(R&Dサンプル1及び2)、及び市販のカチオン性PA-6樹脂(市販サンプルA及びB)を、それらの対応するFAV値、分子量、溶出物レベル(溶出物(%))、アミノ末端濃度、カルボキシル末端濃度、合計末端封止率(%)、水分含有量(%)、NH2又はアミノ末端封止率(%)、カルボキシル末端封止率(%)、及び黄色度(YI)と共に挙げる。
Figure 0007221386000009
例2
繊維サンプルの製造
本開示の二重末端封止されたポリアミド樹脂は、織ってテキスタイル織物又はカーペット繊維とすることができる繊維に紡糸された場合に有用であり、例1に提供されるプロトコルに従って製造された樹脂サンプルは、溶融押出しを用いてさらに処理されて、織物又はカーペットなどの最終用途のための繊維とされる。例1の末端封止樹脂又は非末端封止コントロール樹脂がそのような下流での使用に適する繊維に処理された条件を、以下の表5に挙げる。
Figure 0007221386000010
例3
ポリアミドポリマー及びそれから製造した繊維の耐汚染性についての評価
浸出及び乾燥させた末端封止、非末端封止コントロール、及び市販のポリアミド樹脂ペレットを、赤色染料吸着試験に掛けた。
赤色染料吸着溶液を調製するために、100mgのFD&C Red 40染料を秤量し、1000mLビーカー中の約200mLの水に溶解して混合物を形成した。次に、ビーカー中の混合物を、クエン酸を用いて2.8+/-0.1のpHに調節した。
樹脂ペレットをガラス皿に置き、Red Dye 40吸着溶液をペレット上に注ぎ入れた。ペレットを、ガラス皿に置いた状態で、15分間にわたって吸着溶液に曝露した。その後、ペレットをリンスし、清浄なガラス皿へ移した。次に、ペレットを、90℃の温度で運転するように設定した真空オーブン中に一晩入れて乾燥させた。比色計を用い、標準的なHunter L,a,bカラースケールを用いて、樹脂ペレットの染料吸着を測定した。標準ΔE値を、浸出、乾燥、染料吸着、洗浄、さらなる乾燥を行った樹脂ペレットから得た色読み取り値に基づき、以下の式を用いて算出した:
標準ΔE=((ΔL^2)+(Δa^2)+(Δb^2))^1/2)
標準ΔEは、染料の取り込み/吸着レベルに起因する色の変化を測定するパラメータである。以下の表6は、様々な末端封止、非末端封止コントロール、市販のベンチマークポリアミド、複合ブレンドポリアミドを示し、表6-2には、耐汚染性マスターバッチ配合を有するある特定のポリアミド混合物について、FAV値、末端濃度、及び末端封止レベル(AEG(%)又はCEG(%)又は封止率(%))、及び樹脂又は樹脂から作製した繊維の比色測定から算出したΔE値を挙げる。
Figure 0007221386000011
上記結果は、明らかに、最も高い染料の取り込み/吸着又はΔEの結果が、非末端封止ポリアミド樹脂及びそれから製造した繊維の場合の染料吸着のものであることを示した。AEG(%)若しくはCEG(%)の増加、又はAEG(%)及びCEG(%)の両方の増加のいずれかによる末端封止率(%)の増加は、同時に、樹脂若しくは繊維による染料の取り込み/吸着、又はΔE値の低下をもたらした。アミノ末端封止とカルボキシル末端封止との間では、染料の取り込み又は吸着に対する樹脂/繊維の抵抗力に対して、アミノ末端封止のみの方が、カルボキシル末端封止のみの場合よりも大きい影響を有していると思われた。
例4:樹脂サンプルの溶融FAV上昇安定性の評価
パラメータ「溶融FAV安定性」を、末端封止ポリアミド樹脂、及びコントロールとしての非末端封止ポリアミド樹脂を含む例1に従って製造した様々な樹脂サンプルについて試験した。溶融安定性サンプルを、メルトフロー試験機を用いて各樹脂サンプルから作製した。その後、ポリアミド樹脂サンプルを、10分間隔で(又は10分~60分)取り出し、元の樹脂FAVコントロールサンプル(保持時間が0分)に対して、溶融保持時間の曝露が長くなることに起因するFAV/分子量の変化を測定した。溶融安定性サンプルのFAV値を、規格ASTM D-789ギ酸粘度試験法を用いて測定した。以下の表7に得られた結果を挙げる。
Figure 0007221386000012
これらの結果は、明らかに、非末端封止ポリアミド樹脂が、溶融保持時間の増加と共に最も高くポリマーFAVを上昇させたことを示している。封止率(%)の増加(AEG(%)の増加、CEG(%)の増加、又はAEG(%)及びCEG(%)の両方の同時の増加によって実現)に従って、溶融保持時間の増加に伴うFAVの上昇は、はっきりと減少している。このため、より良好な溶融安定性の結果は、ポリアミド樹脂に対するより高いレベルの合計末端封止によって得られた。
以下の表8及び9には、データのフィッティングラインプロットのパラメータを示す。統計分析から、二重末端封止ポリアミドを作製して試験した場合、AEG(%)とCEG(%)との間では、AEG(%)の方が、CEG(%)よりも溶融FAV上昇安定性に対して非常に大きい寄与又は効果を有する(90%超など)ことが示される。対照的に、AEG(%)の溶融FAV安定性に対する寄与は、10%未満となる。
Figure 0007221386000013
Figure 0007221386000014
例5:樹脂サンプルの溶融溶出物(%)増加安定性の評価
パラメータ「溶融溶出物/C1(%)増加安定性」を、末端封止及び非末端封止コントロールサンプルを含む例1に従って製造した様々なポリマー樹脂サンプルについて試験した。溶融安定性サンプルを、メルトフロー試験機を用いてそのような樹脂サンプルから作製した。続いて、これらのサンプルを、10分間隔で(又は10分~60分)取り出し、元のポリマー樹脂溶出物/C1(%)コントロールサンプル(0分間の溶融保持時間に曝露)に対して、溶融保持時間の曝露が長くなることに起因する溶出物/C1(%)の変化を測定した。以下の表10に得られた結果を挙げる。
Figure 0007221386000015
表10に示されるように、溶融溶出物/C1(%)増加安定性変化率が最も高く観察されたのは、非末端封止ポリアミド樹脂コントロールサンプルであった。溶出物/C1(%)増加安定性の変化の目立った低下が、封止率(%)(又は合計末端封止のレベル)の増加と共に観察され、これは、アミノ末端封止の増加、カルボキシル末端封止の増加、又はアミノ末端封止及びカルボキシル末端封止の両方の同時の増加によって実現された。
以下の表11及び12には、表10の同じデータのフィッティングラインプロットのパラメータを示す。統計分析から、二重末端封止ポリアミドを作製して試験した場合、AEG(%)とCEG(%)との間では、AEG(%)の方が、CEG(%)よりも溶融溶出物/C1(%)増加安定性に対して非常に大きい寄与又は効果を有する(80%超など)ことが示される。対照的に、AEG(%)の溶融溶出物/C1(%)増加安定性に対する寄与は、20%未満となる。
Figure 0007221386000016
Figure 0007221386000017
例6:ポリアミド繊維のプロセス性及び他の特性に対する末端封止の効果の評価
Hills半延伸糸/延伸糸(POY/FDY)テキスタイル繊維紡糸の評価を、末端封止、非末端封止、及び市販/競合コントロールサンプルから作製した実験繊維サンプルに対して行った。さらなる繊維サンプルを、末端封止又は非末端封止のベース樹脂とポリエステルベースの市販耐汚染性マスターバッチ添加剤とのブレンドから作製し、紡糸して染料吸着試験用の150~370d/36f POY及びFDY繊維とした。
POY/FDYテキスタイル繊維紡糸プロセスは、典型的な一軸押出し(2”径のスクリュー:27対1のL/Dで混合しながら)により、15pphの処理量、255℃~265℃のゾーン温度設定、及び押出機圧力750psig(キャピラリーせん断速度8500秒-1~9000秒-1)でポリマーペレットを押出すことを含んでいた。0.4mm径の円形断面(x面)キャピラリーを有する紡糸口金を用い、クロスフロー空気急冷を介して(40%流量、及び75°F/50%RHの条件)繊維を紡糸して、150~370デニール/36フィラメントの繊維サンプルを製造した。すべての実験及びコントロールポリマーサンプルを、引取り速度2500~6000m/分及び95×~230×のスタック延伸比による紡糸プロセス性能について評価し、試験用の様々なPOY半延伸糸及びFDY延伸糸サンプルを作製した。
表13に示されるように、POY/FDYテキスタイル繊維紡糸評価は、非末端封止樹脂/コントロールと比較して、二重末端封止された、特に高度に二重末端封止されたポリアミド樹脂から作製された繊維において、特に6000m/分までを例とする高い紡糸速度の場合に、紡糸プロセス性能及び得られた繊維のテナシティの改善を示した。そのような高い紡糸速度でも、フィラメント切れは非常に少ないか又はまったく見られなかった。これを受けて、最も低いプロセス性及び得られた繊維の性能は、非末端封止樹脂で見られ、約4500及び5000m/分という非常により低い紡糸速度で、明らかに顕著な回数のフィラメント切れが発生した。
ポリエステルベースの耐汚染性マスターバッチ添加剤の添加は、特にマスターバッチが>4を例とするより高い充填量である場合に、末端封止及び非末端封止ポリアミド樹脂の両方において、繊維紡糸プロセス性を顕著に低下させた。さらに、耐汚染性マスターバッチ添加剤の負の影響は、非末端封止ポリアミド樹脂コントロールに対して、非常に低い充填量であっても、特に顕著であったことには留意されたく、多くのフィラメント切れが発生し、使用可能な最大紡糸速度が4000m/分まで低下した。
耐汚染性マスターバッチ添加剤が、10未満のΔEを例とする合理的な耐汚染性レベルを有する非末端封止ポリアミド樹脂の作製に用いられる場合、その樹脂は、約3000m/分を超える速度で紡糸することができず、3000m/分であっても、非常に数多くのフィラメント切れが発生する。対照的に、高度に二重末端封止された樹脂サンプル(表13の#5)は、約2%未満の同じ耐汚染性マスターバッチを用いて10未満のΔEを実現することができており、これによって、フィラメント切れをまったく起こすことなく、約5000m/分の速度で紡糸を行うことが可能となる。表13のフィラメント切れ回数は、示した速度での5分間にわたる紡糸から数えた。
Figure 0007221386000018
紡糸試験からのHills POY/FDYテキスタイル繊維を、デニール、断面、FOY糸仕上げ剤(Finish-on-Yarn)(%)、及び引張特性(テナシティ及び伸び(%))についても試験した。繊維引張試験で測定した場合の最も高いテナシティ(例:4.5~5.0gpd)は、末端封止樹脂で得た。
耐汚染性マスターバッチ添加剤の添加が、末端封止及び非末端封止の両ポリマーにおいて、得られた繊維のテナシティを大きく低下させたことが分かった。しかし、紡糸プロセス性で見られた結果と同様に、耐汚染性マスターバッチ添加剤の負の影響は、末端封止されたポリアミド樹脂の場合よりも、非末端封止ポリアミド樹脂の場合の方がより顕著であった。有効量の耐汚染性マスターバッチと混合した非末端封止樹脂から製造された繊維のテナシティは、約3.3~3.6gpdの範囲内であったが、有効量の耐汚染性マスターバッチと混合した末端封止された樹脂から製造された繊維のテナシティは、約3.8~4.3gpdであった。
本発明を例示的な設計に関して記載してきたが、本発明は、本開示の趣旨及び範囲内でさらに改変されてよい。さらに、本出願は、本発明が属する技術分野における公知の又は慣習的な実践の範囲内に含まれるような本開示からの逸脱も包含することを意図している。

Claims (15)

  1. アミン末端基及びカルボキシル末端基を有する二重末端封止されたポリアミドポリマーを提供する工程であって、前記ポリアミドポリマーはさらに、
    20mmol/kg未満のアミン末端基濃度、
    20mmol/kg未満のカルボキシル末端基濃度、及び
    ASTM D-789に従って測定した場合の少なくとも40のギ酸粘度(FAV)、
    を有する、ポリアミドポリマーを提供する工程、及び
    前記ポリアミドポリマーを、少なくとも2500m/分の紡糸速度で紡糸して複数の繊維を形成する工程、
    を含む、ポリアミドポリマー繊維の形成方法。
  2. 前記紡糸工程が、前記ポリアミドポリマーを、2500m/分~5000m/分の紡糸速度で紡糸して複数の繊維を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記繊維が、AATCC試験法175-08に従う22未満のΔEを有する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記提供する工程の前記ポリアミドポリマーが、ポリカプロラクタムである、請求項1に記載の方法。
  5. 前記提供する工程の前記ポリアミドポリマーが、8mmol/kg~20mmol/kgのアミン末端基濃度を有する、請求項1に記載の方法。
  6. 前記提供する工程の前記ポリアミドポリマーが、6mmol/kg~20mmol/kgのカルボキシル末端基濃度を有する、請求項1に記載の方法。
  7. 前記提供する工程の前記ポリアミドポリマーが、ASTM D-789に従って測定した場合の40~90のギ酸粘度を有する、請求項1に記載の方法。
  8. 前記提供する工程の前記ポリアミドポリマーが、ISO 6427に従って測定した場合の1.0重量%未満の溶出物含有量を有する、請求項1に記載の方法。
  9. 耐汚染性テキスタイルの製造におけるポリアミドポリマー繊維の使用であって、
    前記ポリアミドポリマー繊維はAATCC試験法175-08に従う22未満のΔEを有し、
    前記ポリアミドポリマー繊維は、アミン末端基及びカルボキシル末端基を有する二重末端封止されたポリアミドポリマーから形成され、
    前記ポリアミドポリマーは、20mmol/kg未満のアミン末端基濃度、20mmol/kg未満のカルボキシル末端基濃度、及び、ASTM D-789に従って測定した場合の少なくとも40のギ酸粘度(FAV)を有する、
    使用。
  10. 前記耐汚染性テキスタイルがカーペット繊維である、請求項9に記載の使用。
  11. 前記ポリアミドポリマーが、8mmol/kg~20mmol/kgのアミン末端基濃度を有する、請求項9に記載の使用。
  12. 前記ポリアミドポリマーが、6mmol/kg~20mmol/kgのカルボキシル末端基濃度を有する、請求項9に記載の使用。
  13. 前記ポリアミドポリマーが、ASTM D-789に従って測定した場合の40~90のギ酸粘度を有する、請求項9に記載の使用。
  14. 前記ポリアミドポリマーが、ISO 6427に従って測定した場合の1.0重量%未満の溶出物含有量を有する、請求項9に記載の使用。
  15. 前記ポリアミドポリマーが、ポリカプロラクタムである、請求項9に記載の使用。
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