以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照しつつ具体的に説明する。
図1、図2は、本発明に係る灌流培養用アタッチメントを備えて構成された灌流培養システムの一例を示している。本実施形態の灌流培養システムA10は、培養容器ユニット1Aと、培養液収容体2と、真空容器ユニット3と、第1流路41と、第2流路42と、第1接続手段51と、第2接続手段52と、狭窄部6と、を備えている。詳細は後述するが、灌流培養システムA10は、培養液収容体2に収容された新しい培養液を培養容器ユニット1Aに供給しつつ、培養容器ユニット1A内の古い培養液を真空容器ユニット3に回収するためのものである。
図1、図4~図6に示すように、本実施形態(第1実施形態)において、培養容器ユニット1Aは、培養容器10Aと、アタッチメント11Aと、を備える。培養容器10Aとしては、例えばディッシュ(シャーレ)やウェルプレートなど既存の開放系の培養容器が用いられ、本実施形態では培養容器10Aがディッシュの場合を示している。培養容器10Aは、1つの容器部100を備え、当該容器部100は、底板101と、この底板101の周縁から起立して上端(第1方向一方側端)に開口103を有する円筒状の側板102とによって構成されている。
底板101の上面は、細胞を培養するための平坦な細胞培養面である。この細胞培養面(底板101の上面)には、必要に応じて細胞接着性を向上させるための表面処理が適宜施される。当該表面処理としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理(親水化処理)などを挙げることができる。
アタッチメント11Aは、培養容器10Aに装着され、培養容器10A(容器部100)の開口103を塞いで容器部100の内側空間を密閉するためのものである。アタッチメント11Aは、本発明に係る灌流培養用アタッチメントの一例であり、本実施形態においてベース部材12およびシール部材13を含む。
ベース部材12は、底壁121と、この底壁121の周縁から起立状に延びる円筒状の側壁122と、フランジ123とを有する。底壁121は、培養容器10Aにおける側板102の内側に当該側板102と間隔を隔てて収まるとともに下方側(第1方向他方側)に突き出ている。底壁121は、本発明で言う突出部を構成する。フランジ123は、側壁122の上端から径方向外方に延出しており、環状とされている。かかる構成のベース部材12は、平面視において培養容器10Aの開口103のすべてと重なっている。
培養容器10Aおよびベース部材12は、例えば半透明または透明の硬質プラスチック材料により形成されている。当該プラスチック材料としては、例えばポリスチレンやメチルペンテンのほか、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマーなどの、好適には透明性を有する材料が用いられるが、これらに限定されない。
本実施形態において、少なくとも培養容器10Aの底板101およびベース部材12の底壁121は透明とされている。これにより、底板101および底壁121は、外部から培養容器10Aの内側空間が視認可能な部位である。
シール部材13は、例えばゴム成形品であり、図4、図5に示すように、上下に延びる円筒部131と、プレート部132と、環状突起133とを有する。シール部材13は、培養容器10A(容器部100)の側板102とベース部材12の側壁122ないしフランジ123との間に介在している。円筒部131は、プレート部132の内周部から下方側(第1方向他方側)に延びており、ベース部材12の側壁122に外嵌されている。円筒部131の自然状態における内径寸法は側壁122の外径寸法よりも僅かに小であり、これにより円筒部131(シール部材13)は側壁122(ベース部材12)に圧接保持されている。環状突起133は、円筒部131の外周から径方向外方に突出しており、培養容器10Aへのアタッチメント11A装着時において側板102の内周面に圧接している。これにより、アタッチメント11A装着時において、円筒部131は、側板102(容器部100)と側壁122(ベース部材12)との間に圧入されている。プレート部132は、円筒部131の上端から径方向外方に延出しており、環状とされている。プレート部132は、平面視においてベース部材12のフランジ123と重なっている。また、培養容器10Aへのアタッチメント11A装着時において、プレート部132は、培養容器10A(容器部100)における開口103の周縁部すべてと当接する。このような構成により、ベース部材12およびシール部材13(アタッチメント11A)は、培養容器10A(容器部100)の内側空間を密閉する。
シール部材13は、流体導入流路15および流体導出流路16を有する。流体導入流路15は、容器部100の外部から容器部100の内側空間に培養液などの流体を導入するための流路である。本実施形態では、流体導入流路15は、シール部材13に形成された孔や溝によって構成される。より詳細には、流体導入流路15は、プレート部132に形成された孔と円筒部131の内面に形成された溝とがつながる構成とされる。流体導入流路15の一端は外部に通じる流体流入口151とされており、流体導入流路15の他端は密閉された培養容器10A(容器部100)の内側空間に通じている。流体流入口151は、上下方向(第1方向)に対して実質的に直角である方向を向いている。
流体導出流路16は、容器部100の内側空間から容器部100の外部に流体を導出するための流路である。本実施形態では、流体導出流路16は、平面視においてシール部材13の中心を挟んで流体導入流路15の反対側に設けられている。本実施形態では、流体導出流路16は、プレート部132に形成された孔と円筒部131の内面に形成された溝とがつながる構成とされる。流体導出流路16の一端は外部に通じる流体流出口161とされており、流体導出流路16の他端は密閉された培養容器10A(容器部100)の内側空間に通じている。流体流出口161は、上下方向(第1方向)に対して実質的に直角である方向を向いている。上記の流体流入口151と流体流出口161とは、互いに反対側を向く。上記の流体導入流路15および流体導出流路16は、本発明で言うアタッチメント内流路を構成する。
シール部材13は、可撓性、弾力性を有する素材によって構成されている。シール部材13を構成する素材としては、例えば、シリコーンゴム、天然ゴム、ウレタンゴム、エラストマー樹脂などが挙げられる。詳細は後述するがシール部材13と、内容物(例えば培養液)との接触を考慮すると、シール部材13の素材としては、細胞毒性が無く、かつ生体適合性を有する医療用シリコーンゴムがより好ましい。また、シール部材13の硬さについては、例えばゴム硬度が20度~40度程度であるのが好ましい。
図1に示した培養液収容体2は、交換用の培養液を収容するための密閉状の容器体である。培養液収容体2には、内容物を導出するための導出口21が設けられている。本実施形態では、培養液収容体2は、好ましくは可撓性を有し容積変化可能に構成されている。そのような培養液収容体2としては、例えば蛇腹状容器、フィルム状容器、シリンジ、積層剥離ボトル等を挙げることができる。本実施形態では、培養液収容体2が蛇腹状容器の場合を示している。
真空容器ユニット3は、内部が負圧状態に調整され、培養容器ユニット1Aの内部にあった培養液等を回収するものである。本実施形態では、真空容器ユニット3は、管体31および栓32を含んで構成される。管体31は、先端に開口端311を有する有底円筒状とされている。栓32は、開口端311を閉塞しており、密閉状とされた管体31の内部が負圧状態に調整される。栓32は、その一部が例えば穿刺針を穿刺可能なゴム材料によって構成される。このような構成の真空容器ユニット3としては、例えば汎用品である血液採取管を用いることができる。
第1流路41は、培養容器ユニット1Aおよび培養液収容体2の間をつなぐ流体流路であり、例えば可撓性を有するチューブにより構成される。第1流路41の一端は、流体流入口151を介して培養容器ユニット1Aの内部に連通可能である。第1流路41の他端は、導出口21を介して培養液収容体2の内部に連通可能である。
図1に示した第1接続手段51は、第1流路41に設けられており、培養容器ユニット1Aおよび培養液収容体2を密閉状態で連通接続させる。また、第1接続手段51は、培養容器ユニット1Aおよび培養液収容体2を互いに密閉状態で分離可能である(図2参照)。このような構成の第1接続手段51は、例えば雌ルアーコネクタ511および雄ルアーコネクタ512を有するルアーロック接続構造により実現される。図1、図2に示した構成では、第1流路41は、培養容器ユニット1A(流体流入口151)につながる部分流路411と、培養液収容体2(導出口21)につながる部分流路412とにより構成される。そして、例えば部分流路411の先端に雌ルアーコネクタ511が設けられ、部分流路412の先端に雄ルアーコネクタ512が設けられる。
第2流路42は、培養容器ユニット1Aおよび真空容器ユニット3の間をつなぐ流体流路であり、例えば可撓性を有するチューブにより構成される。第2流路42の一端は、流体流出口161を介して培養容器ユニット1Aの内部に連通可能である。第2流路42の他端には、真空容器ユニット3の栓32に穿刺可能な穿刺針43が取り付けられている。第2流路42の他端は、穿刺針43を介して真空容器ユニット3(管体31)の内部に連通可能である。
図1に示した第2接続手段52は、第2流路42に設けられており、培養容器ユニット1Aおよび真空容器ユニット3を密閉状態で連通接続させる。また、第2接続手段52は、培養容器ユニット1Aおよび真空容器ユニット3を互いに密閉状態で分離可能である(図2参照)。このような構成の第2接続手段52は、例えば雌ルアーコネクタ521および雄ルアーコネクタ522を有するルアーロック接続構造により実現される。図1、図2に示した構成では、第2流路42は、培養容器ユニット1A(流体流出口161)につながる部分流路421と、真空容器ユニット3につながる部分流路422とにより構成される。そして、例えば部分流路421の先端に雌ルアーコネクタ521が設けられ、部分流路422の先端に雄ルアーコネクタ522が設けられる。
なお、上記した穿刺針43は、部分流路422の端部に取り付けられている。また、穿刺針43は危険防止のため筒状のホルダ44により囲われている。ホルダ44の内径は管体31の外径よりも大であり、図1、図2より理解されるように、管体31(真空容器ユニット3)をホルダ44内に挿し込むことにより、栓32に穿刺針43を安全に穿刺することが可能である。
狭窄部6は、第1流路41および第2流路42の少なくともいずれか一方に設けられている。狭窄部6は、流路断面が狭められた部位を有しており、当該狭窄部6を通過する流体の流量が所望となるように調整するものである。
本実施形態において、狭窄部6は、長手方向に微細孔が貫通した柱状体により構成される。当該微細孔の孔径(例えば0.02~0.05mm程度)や当該微細孔の長さ(長手方向の寸法:例えば5~20mm程度)を適宜選択することにより、狭窄部6を通過する流体(培養液等)の流量が調整可能である。図1、図2に示すように、本実施形態において、狭窄部6は、第2流路42の部分流路422に設けられている。
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態のアタッチメント11Aは、開放系の培養容器10Aに装着して構成された密閉状の培養容器ユニット1Aの内部に培養細胞と培養液を収容し、細胞培養状態を維持しながら培養液の交換を行うのに使用される。なお、培養容器10A(容器部100)に収容される培養細胞や培養液については、特に限定されるものではない。
培養容器ユニット1Aを用いた細胞培養では、まず、培養容器10A(容器部100)内に培養する細胞を播種し、容器部100内を培養液で満たす。細胞の播種は、アタッチメント11Aを培養容器10Aから取り外し、培養容器10A内に細胞の入った培養液を直接注入することにより行ってもよいが、灌流培養システムA10を用いて行うことも可能である。
詳細な図示説明は省略するが、灌流培養システムA10を用いて細胞の播種を行う場合、培養する細胞が入った培養液を収容した培養液収容体2を準備し、当該培養液収容体2を培養容器ユニット1Aとつなぐ。また、真空容器ユニット3に代えてシリンジを準備し、当該シリンジを培養容器ユニット1Aとつなぐ。そして、ピストンを引いて当該シリンジ内部を負圧にすることで培養液収容体2内の培養液(細胞を含む)を培養容器ユニット1A内に導き、培養容器10A内と培養容器ユニット1Aおよびシリンジの間の流路とに培養液を満たす。図7は、培養容器10A(容器部100)内を培養液M1で満たした状態を示している。培養容器ユニット1A内を培養液で満たした後、培養容器ユニット1Aと培養液収容体2との間の接続および培養容器ユニット1Aとシリンジとの間の接続を、それぞれ分離する。
培養容器ユニット1A(培養容器10A)内の細胞は、時間が経過すると細胞培養面(底板101の上面)に接着し、増殖が始まる。底板101の上面に上記した細胞接着性を向上させるための表面処理が施されていると、細胞がより確実に細胞培養面に接着する。したがって、このような構成は、培養容器ユニット1A内において細胞培養を適切に進行させる上で好ましい。
培養容器ユニット1A内の培養液については、培養細胞の増殖にともない栄養分が減少し、培養細胞から排出された老廃物が増える。このため、培養容器ユニット1A内の培養液は適宜交換する必要がある。細胞培養中に培養容器ユニット1A内の培養液を交換する際、交換用の培養液が収容された培養液収容体2と、真空容器ユニット3と、狭窄部6、穿刺針43を有する部分流路422と、を準備する(図2参照)。そして、培養容器ユニット1Aと培養液収容体2との間の第1接続手段51、および培養容器ユニット1Aと真空容器ユニット3との間の第2接続手段52について、それぞれ分離された状態(図2参照)から図1に示すように接続された状態にする。
ここで、培養容器ユニット1Aと培養液収容体2とが第1流路41を介して連通し、培養容器ユニット1Aと真空容器ユニット3とが第2流路42を介して連通する。そうすると、内部が負圧状態とされた真空容器ユニット3の吸引力により培養容器ユニット1A内の古い培養液が第2流路42を介して真空容器ユニット3内に移動し、培養液収容体2内の新しい培養液が第1流路41を介して培養容器ユニット1A内に移動する。培養容器ユニット1A内の培養液の交換が完了すれば、第1接続手段51および第2接続手段52を接続状態から分離状態に戻す。
培養容器ユニット1Aにおいては、既存の開放系の培養容器10Aにアタッチメント11Aを装着することで密閉状態での細胞培養が可能である。アタッチメント11A(ベース部材12およびシール部材13)は、培養容器10A(容器部100)の開口103を塞いでおり、可撓性のシール部材13が容器部100の内側空間を封止する役割を担う。また、シール部材13には、流体導入流路15および流体導出流路16(アタッチメント内流路)が形成されており、これら流体導入流路15および流体導出流路16を利用して培養容器ユニット1Aに培養液収容体2および真空容器ユニット3を接続することで、密閉状態での灌流培養が可能である。
上記のように第1接続手段51および第2接続手段52を分離状態から接続状態にするといったワンタッチ操作により、培養容器ユニット1A内の培養液を交換することができる。また、培養容器ユニット1Aが閉鎖状態のまま培養液交換作業を行うことができ、コンタミネーションのリスクを回避することができる。したがって、アタッチメント11Aが装着された培養容器ユニット1Aによれば、培養液の交換に際し、作業者の操作負担を減らすとともに、細胞の品質確保を実現することができる。また、培養容器ユニット1Aを備えて構成された灌流培養システムA10においては、コントローラや電源などの電気系の機器を用いることなく、培養容器ユニット1A内の培養液を交換することが可能である。したがって、灌流培養システムA10は、故障の心配がなく、小型化が実現される。
上記のように、アタッチメント11Aを用いれば開放系の培養容器10Aを密閉状態の培養容器ユニット1Aとすることができる。このため、当該培養容器ユニット1Aを傾けても液漏れ等の不都合が生じることはない。したがって、培養容器ユニット1Aは、培養液収容体2および真空容器ユニット3を取り外した状態でチューブ類(部分流路411や部分流路421)をヒートシール等により閉塞すれば、細胞培養状態を維持しながら輸送することが可能である。
アタッチメント11Aは、底壁121(突出部)を有しており、当該底壁121は、培養容器10A(容器部100)の内側において下方側(第1方向他方側)に向かって突き出ている。このような構成によれば、培養容器10A(容器部100)内における培養液の収容空間が減じられており、細胞培養に際し培養液の使用量の削減を図ることができる。
アタッチメント11Aは、可能性を有するシール部材13と、シール部材13とは別体の硬質材料からなるベース部材12とを備える。そして、アタッチメント11Aを培養容器10Aに装着した状態において、シール部材13のプレート部132は、ベース部材12のフランジ123と培養容器10A(容器部100)の開口103の周縁部との間に介在し、当該開口103の周縁部すべてと当接する。このような構成によれば、シール部材13は、ベース部材12にサポートされながら培養容器10A(容器部100)を密閉することができる。また、アタッチメント11A装着時には、シール部材13の円筒部131は、培養容器10Aの側板102とベース部材12の側壁122との間に圧入されている。これにより、培養容器10Aにアタッチメント11Aを装着するだけで当該培養容器10Aを適切に密閉状態にすることができる。
本実施形態において、培養容器10Aの底板101およびベース部材12の底壁121は透明である。これにより、培養容器ユニット1Aの上部または下部のいずれからも、透明な底壁121あるいは底板101を介して培養容器ユニット1A内の状況を観察することが可能である。このような構成であれば、上下光源からの照射光、レーザー、エコーなどを透過でき、光学顕微鏡、位相差顕微鏡、レーザー顕微鏡、超音波顕微鏡、他にも様々な観察装置を用いて、細胞のモニタリングや撮影が可能である。
本実施形態において、ベース部材12の底壁121は、下方側に突き出ている。このように、底壁121を低位置に配置することにより、培養容器ユニット1A内の培養液が底壁121の表面に接触する。これにより、当該培養液の液面が水中眼鏡効果でフラットになり、照射光の乱反射を抑制し、顕微鏡の焦点を合わせやすいといった効果が期待できる。
シール部材13に設けられた流体導入流路15および流体導出流路16において、外部に通じる流体流入口151および流体流出口161は、上下方向(第1方向)に対して実質的に直角である方向を向いている。このような構成によれば、アタッチメント11Aが装着された培養容器ユニット1Aにおいて上下方向(第1方向)の寸法を小さくすることができ、当該培養容器ユニット1Aの小型化を図ることができる。
図8~図17は、上記した培養容器ユニット1Aおよびアタッチメント11Aの変形例を示している。これらの図においてアタッチメント(灌流培養用アタッチメント)の構成のみが上記したアタッチメント11Aと異なっている。なお、図8以降の図面においては、上記実施形態と同一または類似の要素には同一の符号を付しており、適宜説明を省略する。
図8~図10に示したアタッチメント11Bにおいて、シール部材13に設けられた流体導入流路15および流体導出流路16の配置が上記のアタッチメント11Aと異なっており、これにともないプレート部132(シール部材13)およびフランジ123(ベース部材12)の形状が上記実施形態と異なっている。
上記のアタッチメント11Aでは、流体導出流路16は、平面視においてシール部材13の中心を挟んで流体導入流路15の反対側に設けられていたが、本変形例において、流体導入流路15および流体導出流路16は比較的近接して設けられている。これら流体導入流路15および流体導出流路16において外部に通じる流体流入口151および流体流出口161は、いずれも上下方向(第1方向)に対して実質的に直角である方向を向いており、互いに同一方向を向く。
本変形例のアタッチメント11Bは、開放系の培養容器10Aに装着して構成された密閉状の培養容器ユニット1Bの内部に培養細胞と培養液を収容し、細胞培養状態を維持しながら培養液の交換を行うのに使用される。
培養容器ユニット1Bにおいては、既存の開放系の培養容器10Aにアタッチメント11Bを装着することで密閉状態での細胞培養が可能である。アタッチメント11B(ベース部材12およびシール部材13)は、培養容器10A(容器部100)の開口103を塞いでおり、可撓性のシール部材13が容器部100の内側空間を封止する役割を担う。また、シール部材13には、流体導入流路15および流体導出流路16(アタッチメント内流路)が形成されており、これら流体導入流路15および流体導出流路16を利用して培養容器ユニット1Bに培養液収容体2および真空容器ユニット3を接続することで、密閉状態での灌流培養が可能である。
その他にも、本変形例のアタッチメント11Bおよび培養容器ユニット1Bにおいて、上記のアタッチメント11Aおよび培養容器ユニット1Aと同様の作用効果を奏する。
図11に示したアタッチメント11Cにおいて、シール部材13には、円筒部131が設けられておらず、シール部材13は培養容器10Aとベース部材12との間に圧入されていない。ベース部材12を下方に押圧することにより、培養容器10A(容器部100)を密閉することができる。
本変形例のアタッチメント11Cは、開放系の培養容器10Aに装着して構成された密閉状の培養容器ユニット1Cの内部に培養細胞と培養液を収容し、細胞培養状態を維持しながら培養液の交換を行うのに使用される。
培養容器ユニット1Cにおいては、既存の開放系の培養容器10Aにアタッチメント11Cを装着することで密閉状態での細胞培養が可能である。アタッチメント11C(ベース部材12およびシール部材13)は、培養容器10A(容器部100)の開口103を塞いでおり、可撓性のシール部材13が容器部100の内側空間を封止する役割を担う。また、シール部材13には、流体導入流路15および流体導出流路16(アタッチメント内流路)が形成されており、これら流体導入流路15および流体導出流路16を利用して培養容器ユニット1Cに培養液収容体2および真空容器ユニット3を接続することで、密閉状態での灌流培養が可能である。
その他にも、本変形例のアタッチメント11Cおよび培養容器ユニット1Cにおいて、上記のアタッチメント11Aおよび培養容器ユニット1Aと同様の作用効果を奏する。
図12に示したアタッチメント11Dにおいて、シール部材13は底壁部134を有する。底壁部134は、円筒部131の下端につながり、当該円筒部131の内側を塞いでいる。底壁部134の中央部分は相対的に厚さが小とされた薄肉部135であり、当該薄肉部135は透明である。その一方、円筒部131には環状突起133が設けられておらず、また、円筒部131と培養容器10Aの側板102との間には隙間があり、円筒部131は圧入されていない。ベース部材12においては、底壁121および側壁122を具備しておらず、環状のフランジ123のみを備える。これにより、シール部材13は培養容器10Aとベース部材12との間に圧入されていない。このような構成のアタッチメント11Dにおいて、ベース部材12を下方に押圧することにより、培養容器10A(容器部100)を密閉することができる。
本変形例のアタッチメント11Dは、開放系の培養容器10Aに装着して構成された密閉状の培養容器ユニット1Dの内部に培養細胞と培養液を収容し、細胞培養状態を維持しながら培養液の交換を行うのに使用される。
培養容器ユニット1Dにおいては、既存の開放系の培養容器10Aにアタッチメント11Dを装着することで密閉状態での細胞培養が可能である。アタッチメント11D(ベース部材12およびシール部材13)は、培養容器10A(容器部100)の開口103を塞いでおり、可撓性のシール部材13が容器部100の内側空間を封止する役割を担う。また、シール部材13には、流体導入流路15および流体導出流路16(アタッチメント内流路)が形成されており、これら流体導入流路15および流体導出流路16を利用して培養容器ユニット1Dに培養液収容体2および真空容器ユニット3を接続することで、密閉状態での灌流培養が可能である。
その他にも、本変形例のアタッチメント11Dおよび培養容器ユニット1Dにおいて、上記のアタッチメント11Aおよび培養容器ユニット1Aと同様の作用効果を奏する。
図13に示したアタッチメント11Eにおいて、シール部材13にはプレート部132が設けられておらず、シール部材13は円筒部131のみを備える。円筒部131は、ベース部材12の側壁122に外嵌されており、円筒部131の自然状態における内径寸法は側壁122の外径寸法よりも僅かに小である。これにより、円筒部131(シール部材13)は、側壁122(ベース部材12)に圧接保持されている。なお、本変形例では、円筒部131の上端がベース部材12のフランジ123に当接しており、この構成によりベース部材12に対する円筒部131(シール部材13)の上下方向における位置決めがなされる。
また、円筒部131の自然状態における外径寸法は、培養容器10A(容器部100)における側板102の内径寸法よりも僅かに大である。これにより、アタッチメント11E装着時において、円筒部131は、側板102(容器部100)と側壁122(ベース部材12)との間に圧入されている。
本変形例のアタッチメント11Eは、開放系の培養容器10Aに装着して構成された密閉状の培養容器ユニット1Eの内部に培養細胞と培養液を収容し、細胞培養状態を維持しながら培養液の交換を行うのに使用される。
培養容器ユニット1Eにおいては、既存の開放系の培養容器10Aにアタッチメント11Eを装着することで密閉状態での細胞培養が可能である。アタッチメント11E(ベース部材12およシール部材13)は、培養容器10A(容器部100)の開口103を塞いでおり、可撓性のシール部材13が容器部100の内側空間を封止する役割を担う。また、シール部材13には、流体導入流路15および流体導出流路16(アタッチメント内流路)が形成されており、これら流体導入流路15および流体導出流路16を利用して培養容器ユニット1Eに培養液収容体2および真空容器ユニット3を接続することで、密閉状態での灌流培養が可能である。
その他にも、本変形例のアタッチメント11Eおよび培養容器ユニット1Eにおいて、上記のアタッチメント11Aおよび培養容器ユニット1Aと同様の作用効果を奏する。
図14~図17に示したアタッチメント11Fにおいて、シール部材13は底壁部134を有する。底壁部134は、円筒部131の下端につながり、当該円筒部131の内側を塞いでいる。底壁部134の中央部分は相対的に厚さが小とされた薄肉部135であり、当該薄肉部135は透明である。その一方、円筒部131には環状突起133が設けられておらず、また、円筒部131と培養容器10Aの側板102との間には隙間があり、円筒部131は圧入されていない。ベース部材12においては、底壁121、側壁122およびフランジ123を具備するが、底壁121の構成が上記実施例等と異なる。本変形例では、底壁121には、厚さ方向に貫通する貫通孔121aが形成されている。貫通孔121aは、略円形状であり、底壁121の中央に形成されている。貫通孔121aは、上下方向視(第1方向視)においてシール部材13の薄肉部135に重なるように位置する。上記構成により、シール部材13は培養容器10Aとベース部材12との間に圧入されていない。このような構成のアタッチメント11Fにおいて、ベース部材12を下方に押圧することにより、培養容器10A(容器部100)を密閉することができる。
本変形例のアタッチメント11Fは、開放系の培養容器10Aに装着して構成された密閉状の培養容器ユニット1Fの内部に培養細胞と培養液を収容し、細胞培養状態を維持しながら培養液の交換を行うのに使用される。
培養容器ユニット1Fにおいては、既存の開放系の培養容器10Aにアタッチメント11Fを装着することで密閉状態での細胞培養が可能である。アタッチメント11F(ベース部材12およびシール部材13)は、培養容器10A(容器部100)の開口103を塞いでおり、可撓性のシール部材13が容器部100の内側空間を封止する役割を担う。また、シール部材13には、流体導入流路15および流体導出流路16(アタッチメント内流路)が形成されており、これら流体導入流路15および流体導出流路16を利用して培養容器ユニット1Fに培養液収容体2および真空容器ユニット3を接続することで、密閉状態での灌流培養が可能である。
アタッチメント11Fは、底壁部134(突出部)を有しており、当該底壁部134は、培養容器10A(容器部100)の内側において下方側(第1方向他方側)に向かって突き出ている。このような構成によれば、培養容器10A(容器部100)内における培養液の収容空間が減じられており、細胞培養に際し培養液の使用量の削減を図ることができる。
培養容器ユニット1Fにおいては、シール部材13の薄肉部135は透明である。また、ベース部材12の底壁121に形成された貫通孔121aは、上下方向視において薄肉部135に重なる。そして、培養容器10Aの底板101およびシール部材13の薄肉部135がいずれも透明であるため、培養容器ユニット1Fの上部または下部のいずれからも、透明な薄肉部135あるいは底板101を介して培養容器ユニット1F内の状況を観察することが可能である。このような構成であれば、上下光源からの照射光、レーザー、エコーなどを透過でき、光学顕微鏡、位相差顕微鏡、レーザー顕微鏡、超音波顕微鏡、他にも様々な観察装置を用いて、細胞のモニタリングや撮影が可能である。
その他にも、本変形例のアタッチメント11Fおよび培養容器ユニット1Fにおいて、上記のアタッチメント11Aおよび培養容器ユニット1Aと同様の作用効果を奏する。
図18~図21は、本発明に係る灌流培養用アタッチメントおよびこれを具備する培養容器ユニットの他の実施形態(第2実施形態)を示している。本実施形態の培養容器ユニット1Gは、培養容器10Bと、複数のアタッチメント11Gと、備える。図18、図19は、培養容器10Bにアタッチメント11Gを装着した状態を示す。図20は、アタッチメント11Gを適宜分解した状態の斜視図である。
培養容器10Bは、いわゆるウェルプレートに相当するものであり、複数(本実施形態では6つ)の容器部100としてのウェルを有する。複数の容器部100は、各々、共通の長矩形状の底板101と、この底板101の適所から起立して上端(第1方向一方側端)に開口103を有する円筒状の側板102とによって構成されている。これら容器部100は、上下方向(第1方向)に対して直角である面内方向において互いに離間配置されている。
各容器部100に対応する底板101の上面部分は、細胞を培養するための平坦な細胞培養面である。この細胞培養面(底板101の上面)には、必要に応じて細胞接着性を向上させるための表面処理が適宜施される。当該表面処理としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理(親水化処理)などを挙げることができる。
アタッチメント11Gは、培養容器10Bの各容器部100に装着され、容器部100の開口103を塞いで当該容器部100の内側空間を密閉するためのものである。アタッチメント11Gは、ベース部材12およびシール部材13を備えており、その具体的構成については、図8~図10を参照して上記したアタッチメント11Bと近似する。
ベース部材12は、底壁121と、この底壁121の周縁から起立状に延びる円筒状の側壁122と、フランジ123とを有する。底壁121は、容器部100における側板102の内側に当該側板102と間隔を隔てて収まるとともに下方側(第1方向他方側)に突き出ている。底壁121は、本発明で言う突出部を構成する。フランジ123は、側壁122の上端から径方向外方に延出しており、環状とされている。かかる構成のベース部材12は、平面視において容器部100の開口103のすべてと重なっている。
本実施形態において、ベース部材12は、摘持用筒部124および延出片125をさらに有する。摘持用筒部124は、フランジ123の外周縁から起立状に延びており、作業者が手で摘み持つための部位である。延出片125は、上端部外周から径方向外方に延びる部位である。本実施形態では、摘持用筒部124の軸心を挟んで一対の延出片125が設けられている。
培養容器10Bおよびベース部材12は、例えば半透明または透明の硬質プラスチック材料により形成されている。当該プラスチック材料としては、例えばポリスチレンやメチルペンテンのほか、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマーなどの、好適には透明性を有する材料が用いられるが、これらに限定されない。
本実施形態において、少なくとも培養容器10Bの底板101およびベース部材12の底壁121は透明とされている。これにより、底板101および底壁121は、外部から各容器部100の内側空間が視認可能な部位である。
シール部材13は、例えばゴム成形品であり、図21に示すように、上下に延びる円筒部131と、プレート部132とを有する。シール部材13は、培養容器10B(容器部100)の側板102とベース部材12の側壁122ないしフランジ123との間に介在している。円筒部131は、プレート部132の内周部から下方側(第1方向他方側)に延びており、ベース部材12の側壁122に外嵌されている。円筒部131の自然状態における内径寸法は側壁122の外径寸法よりも僅かに小であり、これにより円筒部131(シール部材13)は側壁122(ベース部材12)に圧接保持されている。また、円筒部131の自然状態における外径寸法は、容器部100における側板102の内径寸法よりも僅かに大である。これにより、アタッチメント11G装着時において、円筒部131は、側板102(容器部100)と側壁122(ベース部材12)との間に圧入されている。プレート部132は、円筒部131の上端から径方向外方に延出しており、環状とされている。プレート部132は、平面視においてベース部材12のフランジ123と重なっている。また、培養容器10B(容器部100)へのアタッチメント11G装着時において、プレート部132は、容器部100における開口103の周縁部すべてと当接する。このような構成により、ベース部材12およびシール部材13(アタッチメント11G)は、容器部100の内側空間を密閉する。
シール部材13は、流体導入流路15および流体導出流路16を有する。本実施形態では、流体導入流路15は、シール部材13に形成された孔や溝によって構成される。より詳細には、流体導入流路15は、プレート部132に形成された孔と円筒部131の内面に形成された溝とがつながる構成とされる。流体導入流路15の一端は外部に通じる流体流入口151とされており、流体導入流路15の他端は密閉された容器部100の内側空間に通じている。流体流入口151は、上下方向(第1方向)に対して実質的に直角である方向を向いている。
本実施形態では、流体導出流路16は、流体導入流路15に比較的近接して設けられており、プレート部132に形成された孔と円筒部131の内面に形成された溝とがつながる構成とされる。流体導出流路16の一端は外部に通じる流体流出口161とされており、流体導出流路16の他端は密閉された容器部100の内側空間に通じている。流体流出口161は、上下方向(第1方向)に対して実質的に直角である方向を向いている。上記の流体流入口151と流体流出口161とは、互いに同一方向を向く。上記の流体導入流路15および流体導出流路16は、本発明で言うアタッチメント内流路を構成する。
シール部材13は、可撓性、弾力性を有する素材によって構成されている。シール部材13を構成する素材としては、例えば、シリコーンゴム、天然ゴム、ウレタンゴム、エラストマー樹脂などが挙げられる。シール部材13と、内容物(例えば培養液)との接触を考慮すると、シール部材13の素材としては、細胞毒性が無く、かつ生体適合性を有する医療用シリコーンゴムがより好ましい。また、シール部材13の硬さについては、例えばゴム硬度が20度~40度程度であるのが好ましい。
本実施形態のアタッチメント11Gは、開放系の培養容器10Bに装着して構成された密閉状の培養容器ユニット1Gの内部に培養細胞と培養液を収容し、細胞培養状態を維持しながら培養液の交換を行うのに使用される。
培養容器ユニット1Gにおいては、既存の開放系の培養容器10B(容器部100)にアタッチメント11Gを装着することで密閉状態での細胞培養が可能である。アタッチメント11G(ベース部材12およびシール部材13)は、容器部100の開口103を塞いでおり、可撓性のシール部材13が容器部100の内側空間を封止する役割を担う。また、シール部材13には、流体導入流路15および流体導出流路16(アタッチメント内流路)が形成されており、これら流体導入流路15および流体導出流路16を利用して培養容器ユニット1Gに培養液収容体2および真空容器ユニット3を接続することで、密閉状態での灌流培養が可能である。
また、本実施形態では、培養容器10Bは複数の容器部100を有し、これら容器部100それぞれに複数のアタッチメント11Gを各別に装着することが可能である。このような構成によれば、例えば容器部100に装着するアタッチメント11G毎に、接続する培養液収容体2や真空容器ユニット3を適宜異ならせることで、異なる培養条件での灌流培養を並行して行うことが可能である。
その他にも、本実施形態のアタッチメント11Gおよび培養容器ユニット1Gにおいて、上記のアタッチメント11Aおよび培養容器ユニット1Aと同様の作用効果を奏する。
図22~図25は、本発明に係る灌流培養用アタッチメントおよびこれを具備する培養容器ユニットの他の実施形態(第3実施形態)を示している。本実施形態の培養容器ユニット1Hは、培養容器10Bと、アタッチメント11Hと、備える。図22、図23は、培養容器10Bにアタッチメント11Hを装着した状態を示す。図24は、培養容器ユニット1Hの分解斜視図である。なお、本実施形態における培養容器10Bは、いわゆるウェルプレートに相当するもので複数の容器部100を有するが、図18~図21を参照して説明した上記第2実施形態における培養容器10Bと同一の構成であるので、その説明を適宜省略する。
アタッチメント11Hは、培養容器10Bの複数の容器部100に装着され、これら容器部100のそれぞれの開口103を塞いで当該容器部100の内側空間を密閉するためのものである。アタッチメント11Hは、ベース部材12およびシール部材13を備えている。
本実施形態のアタッチメント11Hは、複数の容器部100の各開口103を一括して塞ぐことが可能に構成されており、この点において上記実施形態のアタッチメント11Gと大きく異なる。
具体的には、ベース部材12は、押さえ部120Aと、複数の第1有底筒部120Bとを有する。押さえ部120Aは、長矩形の平板状とされており、培養容器10Bの平面視サイズに対応するサイズとされている。複数の第1有底筒部120Bは、複数の容器部100それぞれに対応するように配置されており、各々、容器部100の内側に進入可能である。第1有底筒部120Bは、底壁121と、この底壁121の周縁から起立状に延びる筒状の側壁122とを有する。各底壁121は、容器部100における側板102の内側に当該側板102と間隔を隔てて収まるとともに下方側(第1方向他方側)に突き出ている。底壁121は、本発明で言う突出部を構成する。各側壁122の上端部は押さえ部120Aにつながっている。図24、図25からも理解されるように、各側壁122につながる押さえ部120Aは、各側壁122の上端部から外側に延びて一体的につながっている。
培養容器10Bおよびベース部材12は、例えば半透明または透明の硬質プラスチック材料により形成されている。当該プラスチック材料としては、例えばポリスチレンやメチルペンテンのほか、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマーなどの、好適には透明性を有する材料が用いられるが、これらに限定されない。
本実施形態において、少なくとも培養容器10Bの底板101およびベース部材12の底壁121は透明とされている。これにより、底板101および底壁121は、外部から各容器部100の内側空間が視認可能な部位である。
シール部材13は、例えばゴム成形品であり、図24、図25に示すように、プレート部130Aと、複数の円筒部131とを有する。プレート部130Aは、長矩形の平板状とされており、培養容器10Bの平面視サイズに対応するサイズとされている。複数の円筒部131は、複数の容器部100それぞれに対応するように配置されており、各々、プレート部130Aの適所に設けられた貫通開口の内周部から下方側(第1方向他方側)に延びている。円筒部131の内側にはベース部材12の第1有底筒部120Bを挿入可能であり、また、円筒部131の自然状態における内径寸法は側壁122の外径寸法よりも僅かに小である。これにより、円筒部131(シール部材13)は側壁122(ベース部材12)に圧接保持される。各円筒部131は容器部100の内側に挿入可能であり、円筒部131の自然状態における外径寸法は、容器部100における側板102の内径寸法よりも僅かに大である。これにより、アタッチメント11H装着時において、各円筒部131は、側板102(容器部100)と側壁122(ベース部材12)との間に圧入されている。プレート部130Aは、平面視においてベース部材12の押さえ部120Aと重なっている。また、培養容器10B(容器部100)へのアタッチメント11H装着時において、プレート部130Aは、押さえ部120Aと各容器部100における開口103の周縁部との間に介在し、各開口103の周縁部すべてと当接する。このような構成により、ベース部材12およびシール部材13(アタッチメント11H)は、複数の容器部100それぞれの内側空間を密閉する。
シール部材13は、流体導入流路15および流体導出流路16を有する。本実施形態において、シール部材13は、複数の容器部100に対応して複数ずつの流体導入流路15および流体導出流路16を有する。各容器部100に対応して、一対の流体導入流路15および流体導出流路16が設けられている。本実施形態では、流体導入流路15は、シール部材13に形成された孔や溝によって構成される。より詳細には、流体導入流路15は、プレート部130Aに形成された孔と円筒部131の内面に形成された溝とがつながる構成とされる。流体導入流路15の一端は外部に通じる流体流入口151とされており、流体導入流路15の他端は密閉された容器部100の内側空間に通じている。流体流入口151は、上下方向(第1方向)に対して実質的に直角である方向を向いている。
本実施形態では、流体導出流路16は、流体導入流路15に比較的近接して設けられており、プレート部130Aに形成された孔と円筒部131の内面に形成された溝とがつながる構成とされる。流体導出流路16の一端は外部に通じる流体流出口161とされており、流体導出流路16の他端は密閉された容器部100の内側空間に通じている。流体流出口161は、上下方向(第1方向)に対して実質的に直角である方向を向いている。対をなす流体導入流路15および流体導出流路16において、流体流入口151と流体流出口161とは、互いに同一方向を向く。上記の流体導入流路15および流体導出流路16は、本発明で言うアタッチメント内流路を構成する。
シール部材13は、可撓性、弾力性を有する素材によって構成されている。シール部材13を構成する素材としては、例えば、シリコーンゴム、天然ゴム、ウレタンゴム、エラストマー樹脂などが挙げられる。シール部材13と、内容物(例えば培養液)との接触を考慮すると、シール部材13の素材としては、細胞毒性が無く、かつ生体適合性を有する医療用シリコーンゴムがより好ましい。また、シール部材13の硬さについては、例えばゴム硬度が20度~40度程度であるのが好ましい。
本実施形態のアタッチメント11Hは、開放系の培養容器10Bに装着して構成された密閉状の培養容器ユニット1Hの内部に培養細胞と培養液を収容し、細胞培養状態を維持しながら培養液の交換を行うのに使用される。
培養容器ユニット1Hにおいては、既存の開放系の培養容器10B(容器部100)にアタッチメント11Hを装着することで密閉状態での細胞培養が可能である。アタッチメント11H(ベース部材12およびシール部材13)は、容器部100の開口103を塞いでおり、可撓性のシール部材13が容器部100の内側空間を封止する役割を担う。また、シール部材13には、流体導入流路15および流体導出流路16(アタッチメント内流路)が形成されており、これら流体導入流路15および流体導出流路16を利用して培養容器ユニット1Hに培養液収容体2および真空容器ユニット3を接続することで、密閉状態での灌流培養が可能である。
また、本実施形態では、培養容器10Bは複数の容器部100を有し、単一のアタッチメント11Hを培養容器10Bに装着することで複数の容器部100を一括して密閉封止可能である。このような構成によれば、複数の容器部100を具備する培養容器10Bについて、簡単な操作によってすべての容器部100を密閉状態にすることができる。また、本実施形態によれば、例えば容器部100に対応する流体導入流路15および流体導出流路16毎に、接続する培養液収容体2や真空容器ユニット3を適宜異ならせることで、異なる培養条件での灌流培養を並行して行うことが可能である。
その他にも、本実施形態のアタッチメント11Hおよび培養容器ユニット1Hにおいて、上記のアタッチメント11Aおよび培養容器ユニット1Aと同様の作用効果を奏する。
図26~図30は、本発明に係る灌流培養用アタッチメントおよびこれを具備する培養容器ユニットの他の実施形態(第4実施形態)を示している。本実施形態の培養容器ユニット1Jは、培養容器10Bと、アタッチメント11Jと、備える。図26、図27は、培養容器10Bにアタッチメント11Jを装着した状態を示す。図28は、培養容器ユニット1Jの分解斜視図である。なお、本実施形態における培養容器10Bは、いわゆるウェルプレートに相当するもので複数の容器部100を有するが、図18~図21を参照して説明した上記第2実施形態における培養容器10Bと同一の構成であるので、その説明を適宜省略する。
アタッチメント11Jは、培養容器10Bの複数の容器部100に装着され、これら容器部100のそれぞれの開口103を塞いで当該容器部100の内側空間を密閉するためのものである。アタッチメント11Jは、ベース部材12およびシール部材13を備えている。
本実施形態のアタッチメント11Jは、上記のアタッチメント11Hと同様に、複数の容器部100の各開口103を一括して塞ぐことが可能に構成されている。その一方、ベース部材12およびシール部材13の具体的構成が上記アタッチメント11Hと大きく異なっており、培養液交換時に当該培養液が流れる経路がアタッチメント11Hの場合と異なる。
本実施形態において、ベース部材12は、実質的に押さえ部120Aのみを備えている。押さえ部120Aは、長矩形の平板状とされており、培養容器10Bの平面視サイズに対応するサイズとされている。この押さえ部120Aには、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔126が形成されている。複数の貫通孔126は、複数の容器部100それぞれに対応する位置に形成されている。また、本実施形態において、押さえ部120Aの適所には、厚さ方向(第1方向)に貫通する複数(本実施形態では2つ)のベース部材内流路15B,16Bが設けられている。貫通孔126およびベース部材内流路15B,16Bの意義については後述する。
培養容器10Bおよびベース部材12は、例えば半透明または透明の硬質プラスチック材料により形成されている。当該プラスチック材料としては、例えばポリスチレンやメチルペンテンのほか、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマーなどの、好適には透明性を有する材料が用いられるが、これらに限定されない。本実施形態において、少なくとも培養容器10Bの底板101は透明とされている。これにより、底板101は、外部から各容器部100の内側空間が視認可能な部位である。
シール部材13は、例えばゴム成形品であり、図28、図29に示すように、プレート部130Aと、複数の第2有底筒部130Bとを有する。プレート部130Aは、長矩形の平板状とされており、培養容器10Bの平面視サイズに対応するサイズとされている。複数の第2有底筒部130Bは、複数の容器部100それぞれに対応するように配置されており、各々、容器部100の内側に進入可能である。第2有底筒部130Bは、円筒部131および底壁部134を有する。円筒部131は、プレート部130Aの適所に設けられた貫通開口の内周部から下方側(第1方向他方側)に延びている。底壁部134は、円筒部131の下端につながり、当該円筒部131の内側を塞いでいる。底壁部134の中央部分は相対的に厚さが小とされた薄肉部135であり、当該薄肉部135は透明である。
プレート部130Aは、平面視においてベース部材12の押さえ部120Aと重なっている。また、培養容器10B(容器部100)へのアタッチメント11J装着時において、プレート部130Aは、押さえ部120Aと各容器部100における開口103の周縁部との間に介在し、各開口103の周縁部すべてと当接する。その一方、本実施形態において、円筒部131と容器部100における側板102との間には隙間があり、円筒部131は圧入されていない。このような構成のアタッチメント11Jにおいて、ベース部材12を下方に押圧することにより、複数の容器部100を密閉することができる。
アタッチメント11Jの装着時には、平面視において、シール部材13の各第2有底筒部130Bの薄肉部135は、押さえ部120Aに形成された複数の貫通孔126のいずれかと重なっている。これにより、アタッチメント11Jの上方(外部)から貫通孔126および透明な薄肉部135を介して各容器部100の内部の状況を観察することが可能である。
本実施形態において、シール部材13は、延出片128および突起129をさらに有する。延出片128は、押さえ部120Aの外周縁4辺それぞれから外側に延びており、作業者が手で摘むための部位である。突起129は、各延出片128の上面から上方に突出しており、アタッチメント11J装着時にベース部材12の押さえ部120Aの外周縁4辺に当接あるいは近接する。このような突起129を有する構成は、アタッチメント11J装着時のベース部材12およびシール部材13相互の位置決めの役割を担う。
シール部材13は、シール部材内流路15A,16Aを有する。本実施形態において、シール部材13は、1つの容器部100(第1の容器部)に対応する1つのシール部材内流路15Aと、他の1つの容器部100(第2の容器部)に対応する1つのシール部材内流路16Aとを有する。シール部材内流路15A,16Aは、プレート部130Aの厚さ方向(上下方向、即ち第1方向)に貫通する孔によって構成される。
シール部材内流路15Aは、1つの第2有底筒部130Bの近傍に設けられている。シール部材内流路15Aの一端(上端)は、上方(第1方向一方側)を向いている。シール部材内流路15Aの他端(下端)は、密閉された容器部100(第1の容器部)の内側空間に通じている。シール部材内流路16Aは、他の1つの第2有底筒部130Bの近傍に設けられている。シール部材内流路16Aの一端(上端)は、上方(第1方向一方側)を向いている。シール部材内流路16Aの他端(下端)は、密閉された容器部100(第2の容器部)の内側空間に通じている。
アタッチメント11Jの装着時には、平面視において、シール部材内流路15A,16Aは、それぞれベース部材12(押さえ部120A)に形成されたベース部材内流路15B,16Bと重なっている。これにより、シール部材内流路15A,16Aは、それぞれベース部材内流路15B,16Bと連通しており、ベース部材内流路15B,16Bを介して外部に通じている。上記のシール部材内流路15Aおよびベース部材内流路15Bは、流体導入流路15を構成する。また、シール部材内流路16Aおよびベース部材内流路16Bは、流体導出流路16を構成する。これら流体導入流路15および流体導出流路16は、本発明で言うアタッチメント内流路を構成する。
本実施形態において、シール部材13は、複数の連絡流路17を有する。連絡流路17は、隣接する一対の容器部100の内側空間を相互に連通させる流路である。本実施形態では、連絡流路17は、シール部材13に形成された孔や溝によって構成される。より詳細には、連絡流路17は、プレート部130Aに形成された一対の孔171と、溝172とによって構成される。上記一対の孔171は、それぞれプレート部130Aの厚さ方向に延びている。一対の孔171の下端は、隣接する一対の容器部100における内側空間に通じている。溝172は、プレート部130Aにおける上面(第1方向の一方側を向く面)に形成されている。溝172の両端は、上記一対の孔171の上端につながっている。プレート部130Aにベース部材12(押さえ部120A)が重ねられることにより溝172の上端が塞がれ、連絡流路17は隣接する容器部100の内側空間どうしを連通させる。
図28~図30からも理解されるように、複数の連絡流路17は、流体導入流路15の下端が連通する容器部100(第1の容器部)の内側空間から、隣接する容器部100の内側空間を順次経て流体導出流路16の下端が連通する容器部100(第2の容器部)の内側空間に通じるように設けられている。
シール部材13は、可撓性、弾力性を有する素材によって構成されている。シール部材13を構成する素材としては、例えば、シリコーンゴム、天然ゴム、ウレタンゴム、エラストマー樹脂などが挙げられる。シール部材13と、内容物(例えば培養液)との接触を考慮すると、シール部材13の素材としては、細胞毒性が無く、かつ生体適合性を有する医療用シリコーンゴムがより好ましい。また、シール部材13の硬さについては、例えばゴム硬度が20度~40度程度であるのが好ましい。
本実施形態のアタッチメント11Jは、開放系の培養容器10Bに装着して構成された密閉状の培養容器ユニット1Jの内部に培養細胞と培養液を収容し、細胞培養状態を維持しながら培養液の交換を行うのに使用される。
培養容器ユニット1Jにおいては、既存の開放系の培養容器10B(容器部100)にアタッチメント11Jを装着することで密閉状態での細胞培養が可能である。アタッチメント11J(ベース部材12およびシール部材13)は、容器部100の開口103を塞いでおり、可撓性のシール部材13が容器部100の内側空間を封止する役割を担う。また、ベース部材12およびシール部材13には、流体導入流路15および流体導出流路16(アタッチメント内流路)が形成されており、これら流体導入流路15および流体導出流路16を利用して培養容器ユニット1Jに培養液収容体2および真空容器ユニット3を接続することで、密閉状態での灌流培養が可能である。
本実施形態では、培養容器10Bは複数の容器部100を有し、単一のアタッチメント11Jを培養容器10Bに装着することで複数の容器部100を一括して密閉封止可能である。このような構成によれば、複数の容器部100を具備する培養容器10Bについて、簡単な操作によってすべての容器部100を密閉状態にすることができる。
また、本実施形態において、プレート部130A(シール部材13)には、複数の連絡流路17が設けられている。これら連絡流路17により、流体導入流路15の下端が連通する容器部100(第1の容器部)の内側空間から、隣接する容器部100の内側空間を順次経て流体導出流路16の下端が連通する容器部100(第2の容器部)の内側空間まで通じている。このような構成によれば、流体導入流路15および流体導出流路16を利用して培養容器ユニット1Jに培養液収容体2および真空容器ユニット3を接続することで、複数の容器部100に順次新しい培養液を送り込むことができる。したがって、本実施形態によれば、複数の容器部100について一括して培養液の交換が可能であり、複数の容器部100において同じ培養条件での灌流培養を並行して行うのに適する。
その他にも、本実施形態のアタッチメント11Jおよび培養容器ユニット1Jにおいて、上記のアタッチメント11Aおよび培養容器ユニット1Aと同様の作用効果を奏する。
図31~図34は、本発明に係る灌流培養用アタッチメントおよびこれを具備する培養容器ユニットの他の実施形態(第5実施形態)を示している。本実施形態の培養容器ユニット1Lは、培養容器10Aと、アタッチメント11Lと、備える。図31は、培養容器10Aにアタッチメント11Lを装着した状態を示す。図34は、培養容器ユニット1Lの分解斜視図である。アタッチメント11Lは、ベース部材12およびシール部材13を含んで構成される。本実施形態において、流体導入流路15および流体導出流路16の構成が上記実施形態と異なっており、これにともない種々の変更が加えられている。
本実施形態のアタッチメント11Lにおいて、流体導入流路15および流体導出流路16は、ベース部材12に設けられている。ベース部材12は、底壁121、側壁122、フランジ123、および一対の膨出部127を有する。シール部材13は、円筒部131およびプレート部132を有する。
ベース部材12の膨出部127は、流体導入流路15および流体導出流路16を形成するための部位である。膨出部127は、フランジ123の上面および側壁122の内面から張り出し、略L字形状とされている。流体導入流路15および流体導出流路16は、各々、膨出部127に形成された孔と底壁121に形成された孔とがつながる構成とされる。流体導入流路15の一端は外部に通じる流体流入口151とされており、流体導入流路15の他端は密閉された培養容器10A(容器部100)の内側空間に通じている。流体流入口151は、上下方向(第1方向)に対して実質的に直角である方向を向いている。流体導出流路16の一端は外部に通じる流体流出口161とされており、流体導出流路16の他端は密閉された培養容器10A(容器部100)の内側空間に通じている。流体流出口161は、上下方向(第1方向)に対して実質的に直角である方向を向いている。ベース部材12に形成された流体流入口151および流体流出口161の内径寸法は、上記実施形態においてシール部材13に形成された流体流入口151および流体流出口161の内径寸法よりも大である。なお、ベース部材12およびシール部材13は、例えばインサート成形により一体成形される。
アタッチメント11Lは、底壁121(突出部)を有している。これにより、培養容器10Aにアタッチメント11Lを装着した状態において、培養容器10A(容器部100)内における培養液の収容空間が減じられる。容器部100の内側空間の容積に対し、アタッチメント11L装着時の容器部100の上記収容空間の容積の割合は、例えば5~50%であり、好ましくは5~25%であり、より好ましくは5~15%である。また、容器部100の底板101の上面と底壁121の下面との間の寸法L1(図33参照)は、例えば1~9mm程度であり、好ましくは1~3mmである。上記寸法L1は、容器部100の上下方向における高さ寸法L2に対して、例えば5~50%の割合であり、好ましくは5~25%である。
アタッチメント11Lにおいて、ベース部材12の底壁121の下面(第1方向の他方側を向く面)は、例えばプラズマ処理やコロナ放電処理を施すことにより、表面改質されている。この表面改質は、底壁121の下面に気泡が付着するのを防止するために行われる。当該表面改質処理としては、容器部100の底板101とベース部材12の底壁121との隙間(上記寸法L1)に応じて、親水化処理もしくは疎水化処理が適宜選択される。例えば、上記寸法L1が比較的小さい場合には親水化処理が適すると考えられ、上記寸法L1が比較的大きい場合には疎水化処理が適すると考えられる。また、底壁121の透明度を確保する観点からプラズマ処理が好適である。好ましくは、底壁121の下面に対し、プラズマ処理によって親水化処理もしくは疎水化処理が施される。
本実施形態のアタッチメント11Lは、開放系の培養容器10Aに装着して構成された密閉状の培養容器ユニット1Lの内部に培養細胞と培養液を収容し、細胞培養状態を維持しながら培養液の交換を行うのに使用される。
培養容器ユニット1Lにおいては、既存の開放系の培養容器10Aにアタッチメント11Lを装着することで密閉状態での細胞培養が可能である。アタッチメント11L(ベース部材12およびシール部材13)は、培養容器10A(容器部100)の開口103を塞いでおり、可撓性のシール部材13が容器部100の内側空間を封止する役割を担う。また、ベース部材12には、流体導入流路15および流体導出流路16(シール部材内流路)が形成されており、これら流体導入流路15および流体導出流路16を利用して培養容器ユニット1Lに培養液収容体2および真空容器ユニット3を接続することで、密閉状態での灌流培養が可能である。
アタッチメント11Lは、底壁121(突出部)を有しており、当該底壁121は、培養容器10A(容器部100)の内側において下方側(第1方向他方側)に向かって突き出ている。このような構成によれば、培養容器10A(容器部100)内における培養液の収容空間が減じられており、細胞培養に際し培養液の使用量の削減を図ることができる。
本実施形態において、培養容器10Aの底板101およびベース部材12の底壁121は透明である。これにより、培養容器ユニット1Lの上部または下部のいずれからも、透明な底壁121あるいは底板101を介して培養容器ユニット1L内の状況を観察することが可能である。このような構成であれば、上下光源からの照射光、レーザー、エコーなどを透過でき、光学顕微鏡、位相差顕微鏡、レーザー顕微鏡、超音波顕微鏡、他にも様々な観察装置を用いて、細胞のモニタリングや撮影が可能である。
本実施形態において、ベース部材12の底壁121の下面には親水化処理もしくは疎水化処理が施されている。これにより、底壁121の下面に気泡が付着するのを防止することができる。このような構成によれば、培養容器ユニット1Lにおいて気泡が培養面近くにとどまって培養を阻害したり、モニタリングや撮影の妨げになったりするリスクを回避できる。
本実施形態において、ベース部材12およびシール部材13は、例えばインサート成形により一体成形される。また、流体導入流路15および流体導出流路16は、硬質プラスチック材料からなるベース部材12に形成されている。図1等に示したように、灌流培養の際にはこれら流体導入流路15および流体導出流路16に可撓性を有するチューブ類(部分流路411や部分流路421)の端部が接続される。硬質のベース部材12に流体導入流路15および流体導出流路16が形成された構成によれば、ベース部材12および上記チューブ類を接着等により的確に接合することが可能である。したがって、ベース部材12とシール部材13との間あるいは上記チューブ類の接続部から培養容器10A(容器部100)の内容物(培養液等)が漏れ出すことは、より確実に防止される。
また、上記のようにベース部材12およびシール部材13が一体成形された構成によれば、アタッチメント11Lを扱う際、硬質のベース部材12の周縁部を掴むことができる。したがって、アタッチメント11Lは、ロボットによるハンドリング性にも優れる。
その他にも、本変形例のアタッチメント11Lおよび培養容器ユニット1Lにおいて、上記のアタッチメント11Aおよび培養容器ユニット1Aと同様の作用効果を奏する。
以上、本発明の具体的な実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の思想から逸脱しない範囲内で種々な変更が可能である。本発明に係る灌流培養用アタッチメントの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
図26~図30を参照して説明した上記第4実施形態のアタッチメント11Jにおいて、シール部材13が複数の連絡流路17を有する構成とされていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、アタッチメント11Jのシール部材13において、複数の連絡流路17を設けず、培養容器10Bの複数の容器部100に対応した複数対の流体導入流路15および流体導出流路16を設けてもよい。
また、上記アタッチメント11Jにおいて、シール部材13の円筒部131と容器部100における側板102との間には隙間があり、円筒部131は圧入されていなかったが、円筒部131を容器部100に圧入するように構成してもよい。円筒部131を容器部100に圧入する構成にする場合、複数の円筒部131それぞれの自然状態における外径寸法を側板102(容器部100)の内径寸法よりも僅かに大きくしておけばよい。なお、各円筒部131を容器部100に圧入する構成にする場合においても、円筒部131、容器部100の寸法や圧入深さのバラツキなどの原因により、閉鎖系のリークが生じて貴重な細胞を失うリスクが少なからずある。そこで、ホルダやクリップなどの押圧保持具を用いてアタッチメントと培養容器に上下方向に圧力をかければ、ベース部材12の押さえ部120Aがシール部材13のプレート部130Aの全体を押圧する。その結果、培養容器10B(複数の容器部100)の開口周縁部がバランスよくシールされ、シール部材13と複数の容器部100それぞれとの密閉性をより確実なものにできる。
上記実施形態において、アタッチメント11Aを具備する培養容器ユニット1Aを真空容器ユニット3に接続して使用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明に係る灌流培養用アタッチメントは、様々な培養装置に使用することが可能である。本発明に係る灌流培養用アタッチメントが培養容器に装着された培養容器ユニットに培養液を供給、回収、あるいは灌流させる手段としては、例えばチューブポンプ、シリンジポンプ等種々のポンプを用いた液送ユニットが好適に利用可能である。