本発明に係る硬貨処理装置の一実施形態である貨幣処理装置を図面を参照して以下に説明する。なお、以下の説明において、「前」は前後方向の前側つまり操作者から見て手前側であり、「後」は前後方向の後側つまり操作者から見て奥側であり、「左」は操作者から見て左側であり、「右」は操作者から見て右側である。
実施形態の貨幣処理装置は、硬貨の入出金処理に加えて紙幣の入出金処理を行うものであり、金融機関の窓口に設置されて窓口操作員(テラー)によって使用されるものである。
図1に示すように、実施形態の貨幣処理装置1は、硬貨を処理すると共に紙幣を処理する装置本体2と、受皿部3とを有している。受皿部3は、装置本体2に対し前後方向にスライド可能であり、スライドして、図1に示すように装置本体2内の所定の引込位置まで引き込まれたり、図2に示すように装置本体2の前面から所定の突出位置まで外に突出したりする。受皿部3は、装置本体2に引き込まれた引込位置で、装置本体2から放出される硬貨を受け入れて収容することになり、装置本体2から突出した突出位置で、収容している硬貨を装置外に取り出し可能とする。
ここで、受皿部3の装置本体2に対するスライド方向は貨幣処理装置1の前後方向に一致しており、しかも受皿部3は装置本体2から前方に突出する。よって、装置本体2に対する受皿部3の引込位置から突出位置へ向かうスライド方向の外側は貨幣処理装置1の前側となり、突出位置から引込位置へ向かうスライド方向の奥側は貨幣処理装置1の後側となる。以下、受皿部3の装置本体2に対するスライド方向をスライド方向と称し、このスライド方向に直交する水平方向をスライド直交方向と称す。スライド方向は前後方向であり、スライド直交方向は左右方向である。
装置本体2の前部には、装置外から入金硬貨が金種混合状態で一括して投入される硬貨入金部5が上面に臨んで設けられている。硬貨入金部5には、開閉するシャッタ6が設けられており、シャッタ6が待機状態である閉状態から開状態になることで、装置外から一括して投入される硬貨を受け入れることになる。また、硬貨入金部5は、受け入れた硬貨を、シャッタ6が閉状態となってから一枚ずつ分離して装置内へ繰り出す。
装置本体2には、高さ方向の中間位置に、前面に開口7を有し前面から水平後方に凹む格納凹部8が設けられている。受皿部3は、この格納凹部8から一部前方に突出したり、この格納凹部8内に引き込まれたりすることで装置本体2に対し進退する。装置本体2は、その上面と格納凹部8との間の部分が、硬貨についての処理を行う硬貨処理部9となっている。
装置本体2は、格納凹部8よりも下側の前面に、装置外から入金紙幣が金種混合状態で一括して投入されると共に紙幣が装置外に取り出し可能に繰り出される紙幣入出金口10が設けられている。紙幣入出金口10は、待機状態である閉状態から開状態になることで、装置外から集積状態で一括投入される紙幣を受け入れることになり、また、受け入れた紙幣を、閉状態になってから一枚ずつ分離して装置内へ繰り出す。紙幣入出金口10は、待機状態である閉状態にあるとき、一枚ずつ装置内で搬送されてきた紙幣を集積させることになり、また、開状態になると集積状態の紙幣が装置外に取り出し可能となる。
装置本体2は、紙幣入出金口10よりも下側の前面に、受け入れ不可と識別された入金リジェクト紙幣が装置外に取り出し可能に繰り出される紙幣リジェクト口11が設けられている。紙幣リジェクト口11は、待機状態である閉状態にあるとき、一枚ずつ装置内で搬送されてきた紙幣を集積させることになり、また、開状態になると集積状態の紙幣が装置外に取り出し可能となる。装置本体2は、格納凹部8よりも下側の部分が、紙幣入出金口10及び紙幣リジェクト口11を含む紙幣処理部12となっている。
装置本体2は、格納凹部8の開口7の上縁部及び両側縁部にLEDライト13が設けられている。このLEDライト13は受皿部3の開閉作動時に点灯する。また、紙幣入出金口10の下縁部及び両側縁部にもLEDライト14が設けられている。このLEDライト14は紙幣入出金口10の開閉作動時に点灯する。
図3に示すように、装置本体2の硬貨処理部9は、硬貨入金部5の後方に入金側搬送部15を有している。入金側搬送部15は、前後方向に延在しており、硬貨入金部5から繰り出された硬貨を後方に向けて搬送する。
硬貨処理部9は、入金側搬送部15の位置に、前から順に、識別部18、放出案内部20、カセット案内部21、中間プール案内部22、100円硬貨用の還流案内部23、1円硬貨用の還流案内部24、50円硬貨用の還流案内部25、5円硬貨用の還流案内部26、10円硬貨用の還流案内部27及び500円硬貨用の還流案内部28を有している。
識別部18は、硬貨入金部5から繰り出され入金側搬送部15で搬送中の硬貨の真偽及び金種を識別しつつ計数する。放出案内部20、カセット案内部21、中間プール案内部22及び還流案内部23~28は、入金側搬送部15で搬送中の硬貨を、識別部18の識別結果に基づいて入金側搬送部15から分流させるように案内する。
硬貨処理部9は、入金側搬送部15の下側且つ受皿部3の後側に、前から順に、硬貨カセット31と、一括中間プール32と、100円硬貨用の還流部33と、1円硬貨用の還流部34と、50円硬貨用の還流部35と、5円硬貨用の還流部36と、10円硬貨用の還流部37と、500円硬貨用の還流部38とを有している。
放出案内部20は、引込位置に位置する受皿部3に、入金側搬送部15から硬貨を案内する。放出案内部20は、例えば、識別部18の識別結果から真硬貨と判定できなかった受け入れ不可なリジェクト硬貨を入金側搬送部15から受皿部3に案内する。
カセット案内部21は、例えば、識別部18で真硬貨と判定された受け入れ可能な硬貨を入金側搬送部15から硬貨カセット31に案内する。硬貨カセット31は、装置本体2に対し着脱可能であり、硬貨を金種混合で収納する。硬貨カセット31は、硬貨を収納するのみであり、収納している硬貨を繰り出すことはない。
中間プール案内部22は、識別部18で真硬貨と判定された受け入れ可能な硬貨を入金側搬送部15から一括中間プール32に案内する。一括中間プール32は、装置本体2に着脱不可に設けられており、硬貨を金種混合で繰り出し可能に収納する。一括中間プール32は、収納している硬貨を一枚ずつ分離して計数しつつ繰り出す繰出部42を有している。
100円硬貨用の還流案内部23は、識別部18で真硬貨と判定された受け入れ可能な硬貨のうち100円硬貨のみを入金側搬送部15から100円硬貨用の還流部33に案内する。100円硬貨用の還流部33は、装置本体2に着脱不可に設けられており、100円硬貨のみを繰り出し可能に収納する。100円硬貨用の還流部33は、収納している硬貨を一枚ずつ分離して計数しつつ繰り出す繰出部43を有している。
1円硬貨用の還流案内部24は、識別部18で真硬貨と判定された受け入れ可能な硬貨のうち1円硬貨のみを入金側搬送部15から1円硬貨用の還流部34に案内する。1円硬貨用の還流部34は、装置本体2に着脱不可に設けられており、1円硬貨のみを繰り出し可能に収納する。1円硬貨用の還流部34は、収納している硬貨を一枚ずつ分離して計数しつつ繰り出す繰出部44を有している。
50円硬貨用の還流案内部25は、識別部18で真硬貨と判定された受け入れ可能な硬貨のうち50円硬貨のみを入金側搬送部15から50円硬貨用の還流部35に案内する。50円硬貨用の還流部35は、装置本体2に着脱不可に設けられており、50円硬貨のみを繰り出し可能に収納する。50円硬貨用の還流部35は、収納している硬貨を一枚ずつ分離して計数しつつ繰り出す繰出部45を有している。
5円硬貨用の還流案内部26は、識別部18で真硬貨と判定された受け入れ可能な硬貨のうち5円硬貨のみを入金側搬送部15から5円硬貨用の還流部36に案内する。5円硬貨用の還流部36は、装置本体2に着脱不可に設けられており、5円硬貨のみを繰り出し可能に収納する。5円硬貨用の還流部36は、収納している硬貨を一枚ずつ分離して計数しつつ繰り出す繰出部46を有している。
10円硬貨用の還流案内部27は、識別部18で真硬貨と判定された受け入れ可能な硬貨のうち10円硬貨のみを入金側搬送部15から10円硬貨用の還流部37に案内する。10円硬貨用の還流部37は、装置本体2に着脱不可に設けられており、10円硬貨のみを繰り出し可能に収納する。10円硬貨用の還流部37は、収納している硬貨を一枚ずつ分離して計数しつつ繰り出す繰出部47を有している。
500円硬貨用の還流案内部28は、識別部18で真硬貨と判定された受け入れ可能な硬貨のうち500円硬貨のみを入金側搬送部15から500円硬貨用の還流部38に案内する。500円硬貨用の還流部38は、装置本体2に着脱不可に設けられており、500円硬貨のみを繰り出し可能に収納する。500円硬貨用の還流部38は、収納している硬貨を一枚ずつ分離して計数しつつ繰り出す繰出部48を有している。還流案内部23~28及び還流部33~38の金種の振り分けは、上記に限定されるものではなく、所望の設定が可能となっている。
硬貨カセット31は、硬貨の収納容量、言い換えれば満杯状態での硬貨量が、一括中間プール32、100円硬貨用の還流部33、1円硬貨用の還流部34、50円硬貨用の還流部35、5円硬貨用の還流部36、10円硬貨用の還流部37及び500円硬貨用の還流部38のそれぞれの硬貨の収納容量よりも大きくなっている。
硬貨処理部9は、入金側搬送部15と並んで出金側搬送部55を有している。出金側搬送部55は、前後方向に延在しており、繰出部42~48から繰り出された硬貨を硬貨入金部5に搬送する。
図1,図2に示すように、装置本体2は、上面の硬貨入金部5の後方に、画面に表示を行うと共に操作入力を受け付けるタッチパネル式の操作表示部61と、音声出力を行う音声出力部62とが設けられており、内部に貨幣処理装置1の全体を制御する制御部63が設けられている。制御部63は、図3に示す硬貨入金部5、入金側搬送部15、識別部18、放出案内部20、カセット案内部21、中間プール案内部22、還流案内部23~28、繰出部42~48及び出金側搬送部55を制御すると共に、受皿部3の進退を制御する。
貨幣処理装置1は、図4~図7に示すように、受皿部3を自動開閉させる受皿自動開閉ユニット65を有している。受皿自動開閉ユニット65は、受皿部3と、装置本体2を構成すると共に受皿部3を上側で覆うカバー部66と、装置本体2を構成すると共に装置本体2に対して受皿部3を図1,図4,図5に示す引込位置と図2,図6,図7に示す突出位置との間で移動させる受皿駆動部67とを有している。カバー部66は、受皿部3のすぐ上に配置されて装置本体2の格納凹部8の天井部分を構成する。受皿駆動部67は、装置本体2の格納凹部8の側壁部分と床部分とを構成する。
図8,図9に示すように、受皿部3は、下方に凹む形状をなして硬貨を収容する収容凹部71と、収容凹部71を全周に亘って囲む板状の上面形成部72と、上面形成部72の左右の両端縁部から下方に延出する一対の板状の側面形成部73と、上面形成部72の前縁部から下方に延出する板状の前面形成部74とを有している。
収容凹部71は、その水平方向の内側範囲にあって前後方向に若干長い略長円形状の底部81と、底部81の全周縁部から上方且つ水平外方に錐形状に広がる壁部82とを有している。よって、収容凹部71は下方に向けて窄まる形状となっている。一対の側面形成部73は、それぞれが前後方向に延びて鉛直方向に広がっている。前面形成部74は左右方向に延びており、下側ほど前側に位置するように傾斜して広がっている。
上面形成部72は、壁部82の後側の上端縁部から後方に水平に広がる後方上面形成部91と、壁部82の左右両側の上端縁部から左右両側に水平に広がる一対の側方上面形成部92と、壁部82の前側の上端縁部から前方に水平に広がる前方上面形成部93と、一対の側方上面形成部92と前方上面形成部93とを繋ぐ一対の連結上面形成部94とを有している。よって、後方上面形成部91は、壁部82の後側の上端縁部と高さ位置を合わせて収容凹部71の後方で水平に広がっており、一対の側方上面形成部92は、壁部82の左右両側の上端縁部と高さ位置を合わせて収容凹部71の左右で水平に広がっている。一対の側方上面形成部92は、収容凹部71の後方にも広がっている。前方上面形成部93は、壁部82の前側の上端縁部と高さ位置を合わせて収容凹部71の前方で水平に広がっている。前方上面形成部93は、一対の側方上面形成部92の前方にも広がっている。
ここで、後方上面形成部91及び一対の側方上面形成部92は、上面の高さ位置を合わせており、前方上面形成部93は、これらよりも上面の高さ位置が一段高くなっている。このため、一対の側方上面形成部92及び前方上面形成部93を連結する一対の連結上面形成部94は、上面が前側ほど上側に位置するように傾斜している。一対の側面形成部73は、一対の側方上面形成部92の相反する側の端縁部から下方に広がっている。前面形成部74は、前方上面形成部93の前端縁部から前下がりに広がっている。
後方上面形成部91には、その平坦で水平に広がる主上面よりも下方に凹み、前後方向に沿って延びる後方溝101が、左右方向に並んで複数、具体的には8箇所形成されている。言い換えれば、受皿部3の上面形成部72には、スライド方向における収容凹部71の奥側に、上面形成部72の平坦な主上面よりも下方に凹み、スライド方向に沿って延びる後方溝101が、スライド直交方向に並んで複数形成されている。
これら後方溝101は、幅が同等であって深さも同等であり、等間隔で配置されている。これら後方溝101は、いずれも前端部が収容凹部71の壁部82の上端部を貫通して収容凹部71内に開口しており、いずれも後端部が後方上面形成部91の後端部まで延びて受皿部3から後方に開口している。後方溝101の幅は最小径の1円硬貨の直径よりも狭くなっており、隣り合う後方溝101と後方溝101との間隔も最小径の1円硬貨の直径よりも狭くなっている。
後方上面形成部91の後端部には、左右に隣り合う後方溝101の全ての間位置に、後方上面形成部91の主上面よりも上方に突出する奥側上向突起102(脱落抑制部)が形成されている。よって、奥側上向突起102は、左右方向に並んで複数、具体的には7箇所形成されている。言い換えれば、受皿部3の上面形成部72には、収容凹部71よりもスライド方向奥側から上方に突出する奥側上向突起102が、スライド直交方向に並んで複数形成されている。
奥側上向突起102は、幅が同等であって高さも同等であり、等間隔で配置されている。隣り合う奥側上向突起102と奥側上向突起102との隙間は最小径の1円硬貨の直径よりも狭くなっている。これら奥側上向突起102が、後方上面形成部91の主上面よりも上方に突出する奥側上向突出部103を構成しており、奥側上向突出部103は、断続的に左右方向に直線状に延びている。
一対の側方上面形成部92は、鏡面対称の形状となっており、それぞれの平坦な主上面が後方上面形成部91の主上面と同一平面に配置されている。一対の側方上面形成部92は、それぞれ、主上面よりも下方に凹み、前後方向に沿って延びる側方溝105(側溝)が、左右方向に並んで複数、具体的には3箇所ずつ形成されている。言い換えれば、受皿部3の上面形成部72には、スライド直交方向における収容凹部71の両側に、上面形成部72の主上面よりも下方に凹み、スライド方向に沿って延びる側方溝105がそれぞれ形成されている。これら側方溝105は、幅が同等であって深さも同等であり、等間隔で配置されている。これら側方溝105は、幅及び深さの両方が、後方溝101と同等になっており、配置間隔は後方溝101よりも狭くなっている。
一方の側方上面形成部92に形成された側方溝105は、左右方向において収容凹部71から遠いものほど前端部が前側に位置しており、いずれも後端部が側方上面形成部92の後端部まで延びて受皿部3から後方に開口している。他方の側方上面形成部92に形成された側方溝105も同様である。
一方の側方上面形成部92の前部には、左右に隣り合う側方溝105の全ての間位置及び左右両外側の側方溝105の更に外側に、側方上面形成部92の主上面よりも上方に突出する外側上向突起106が形成されている。よって、外側上向突起106は、左右方向に並んで複数、具体的には4箇所形成されている。これら外側上向突起106が、側方上面形成部92の主上面よりも上方に突出する外側上向突出部107を構成している。
外側上向突起106は、幅が同等であり、等間隔で配置されている。隣り合う外側上向突起106と外側上向突起106との隙間は最小径の1円硬貨の直径よりも狭くなっている。外側上向突起106は、いずれも前端部が連結上面形成部94に繋がっており、左右方向において収容凹部71から遠いものほど後端部が後側に位置している。言い換えれば、外側上向突出部107は、断続的に配置されて、後端部が収容凹部71から遠いほど後側に位置するように傾斜している。他方の側方上面形成部92の前部にも同様の複数の外側上向突起106からなる外側上向突出部107が形成されている。
図10,図11に示すように、受皿部3には、両側の側方上面形成部92から下方に突出する複数、具体的には4箇所の係合爪部112と、複数の取付ボス部113とを有している。
図12,図13に示すように、受皿駆動部67は、受皿部3を、図12に示す引込位置と、図13に示す突出位置との間で移動させる。
受皿部3は、図14に示す引込位置と、図15に示す突出位置との間で移動する進退台部135に取り付けられて、進退台部135と一体に移動する。受皿駆動部67は、図15に示すように、基台部132と、基台部132に取り付けられる一対のスライドレール133,134と、一対のスライドレール133,134に取り付けられる上記した進退台部135とを有している。
基台部132は、水平に広がるように配置される略平板状の基部材141と、いずれも基部材141の上面に固定される主支持部材142、一対のプーリ支持部材143,144、センサ支持部材145及びロック部支持部材146とを有している。基部材141、主支持部材142、一対のプーリ支持部材143,144、センサ支持部材145及びロック部支持部材146は、いずれも板金により形成されている。
主支持部材142は、水平に広がった状態で基部材141の上面に固定される基底部151と、基底部151の左右両側の端縁部から上方に立ち上がる一対の支持壁部152,153とを有している。基底部151は、左右方向の中央部分に前端縁部から後方に凹む切欠部154を有しており、凹形状をなしている。一対の支持壁部152,153は前後方向に延びて鉛直方向に広がっている。
主支持部材142には、切欠部154の後端位置に、基底部151から上方に立ち上がる左右一対のストッパ取付部155が形成されている。一対のストッパ取付部155には、それぞれ弾性部材からなるストッパ156が取り付けられている。主支持部材142の基底部151と切欠部154の位置に設けられた基部材141とが装置本体2の格納凹部8の底部を構成し、主支持部材142の一対の支持壁部152,153が格納凹部8の側壁部分を構成する。
図16,図17に示すように、一対のスライドレール133,134は、それぞれ、一側のレール部材158、中間のレール部材159及び他側のレール部材160を有しており、レール部材158に対しレール部材159がスライドし、レール部材159に対しレール部材160がスライドすることで、直線状に伸縮する。図15に示すように、主支持部材142には、一方の支持壁部152の他方の支持壁部153に対向する対向面に一方のスライドレール133のレール部材158が固定されており、他方の支持壁部153の一方の支持壁部152に対向する対向面に他方のスライドレール134のレール部材158が固定されている。そして、図16に示すように、これらスライドレール133,134のそれぞれのレール部材160が進退台部135に固定されている。これにより、進退台部135が一対のスライドレール133,134によって装置本体2に対して前後方向にスライド可能となるように支持されている。
図15に示すように、進退台部135は、台底部材161と、一対の鏡面対称形状の側壁部材162,163とを有している。台底部材161及び一対の側壁部材162,163は、いずれも板金により形成されている。台底部材161は、水平に広がる台底部165と、台底部165の前端縁部から上方に立ち上がる前壁部166とを有している。一対の側壁部材162,163は、台底部材161の台底部165の左右両側の上面に固定されている。一対の側壁部材162,163は、それぞれ、台底部165の上面に固定される固定部171と、固定部171の左右方向外側の端縁部から上方に立ち上がる側壁部172と、側壁部172の上端縁部から左右方向外方に水平に広がる係合部173と、係合部173の後端部から左右方向外方に水平に延出する延出片部174とを有している。
進退台部135は、図16に示すように、一方の側壁部材162の側壁部172の他方の側壁部材163とは反対側の面において一方のスライドレール133のレール部材160に固定されており、他方の側壁部材163の側壁部172の一方の側壁部材162とは反対側の面において他方のスライドレール134のレール部材160に固定されている。
進退台部135には、図15に示すように、一対の側壁部材162,163のそれぞれの係合部173の前後に設けられた矩形状の係合穴176に、図10,図11に示す受皿部3の係合爪部112が係合されることになる。この状態で、受皿部3が所定の取付ボス部113に螺合されるネジで進退台部135にねじ止めされて固定される。
図14,図15に示すように、台底部165の上側には基板タイプの磁気センサからなる残留検知センサ181が設けられている。この残留検知センサ181は、図12,図13に示す受皿部3の収容凹部71のすぐ下側に配置されて、収容凹部71の硬貨の残留の有無を検知する。図14,図15に示すように、台底部材161の前壁部166は、残留検知センサ181の前方でこれを覆い、図16に示すように一対のスライドレール133,134の前方でこれらを覆うように上下左右に面状に広がっている。よって、前壁部166は、残留検知センサ181及び一対のスライドレール133,134等への操作者の手先の接触を抑制する。
図14に示すように、一対のプーリ支持部材143,144は、主支持部材142の一対の支持壁部152,153の前端部の左右両側に配置されて、基部材141に固定されている。一対のプーリ支持部材143,144は、鏡面対称形状であり、水平に広がった状態で基部材141の上面に固定される固定部191と、固定部191の主支持部材142側の端縁部から上方に立ち上がる側壁部192と、固定部191の前端縁部から上方に立ち上がって上下左右に面状に広がる前壁部193とを有している。
図15に示すように、受皿駆動部67は、進退台部135を駆動して移動させる駆動本体部201を有している。駆動本体部201は、主支持部材142の基底部151の後部の上面に取り付けられる取付部材202及び取付部材203と、一方の取付部材202に左右に沿う姿勢でモータ本体211において固定されると共に駆動軸212が他方の取付部材203に回転可能に支持される電動の駆動モータ213と、駆動モータ213の駆動軸212の取付部材203よりも外側部分に固定されるギア214とを有している。駆動本体部201は、駆動モータ213の後方で左右方向に延在して主支持部材142の一対の支持壁部152,153の後端部に回転可能に支持される回転軸221と、回転軸221に固定されてギア214と噛み合うギア222と、回転軸221の軸方向両端部に固定される一対の歯付プーリ223,224とを有している。ギア214,222は、主支持部材142の一方の支持壁部152に近接しており、他方の支持壁部153からは離間している。
図14に示すように、駆動本体部201は、更に、一対の歯付プーリ231,232と、一対の無端のタイミングベルト233,234とを有している。一方の歯付プーリ231は、一方のプーリ支持部材143の側壁部192に回転可能に支持されており、回転軸221の一方の歯付プーリ223と左右方向の位置及び上下方向の位置を合わせている。これらの歯付プーリ223,231に一方のタイミングベルト233が掛けられている。他方の歯付プーリ232は、他方のプーリ支持部材144の側壁部192に回転可能に支持されており、回転軸221の他方の歯付プーリ224と左右方向の位置及び上下方向の位置を合わせている。これらの歯付プーリ224,232に他方のタイミングベルト234が掛けられている。
一方のタイミングベルト233の上辺部分に進退台部135の一方の側壁部材162の延出片部174が、これにねじ止めされる連結部材237で固定されており、他方のタイミングベルト234の上辺部分に進退台部135の他方の側壁部材163の延出片部174が、これにねじ止めされる連結部材237で固定されている。
駆動本体部201は、駆動モータ213が正転すると、その駆動軸212に固定されたギア214が、これに噛み合うギア222及びこれが固定された回転軸221を正転させることになり、回転軸221に固定された両端の歯付プーリ223,224を正転させることになる。すると、一対の歯付プーリ223,224と一対のタイミングベルト233,234と一対の歯付プーリ231,232とが正転することになり、一対のタイミングベルト233,234に連結された進退台部135がスライドレール133,134を伸長させながら基台部132に対してスライドして図15に示すように前進する。
駆動モータ213が逆転すると、駆動軸212及びギア214が、ギア214に噛み合うギア222及び回転軸221を逆転させることになり、回転軸221の両端の歯付プーリ223,224を逆転させることになる。すると、一対の歯付プーリ223,224と一対のタイミングベルト233,234と一対の歯付プーリ231,232とが逆転することになり、一対のタイミングベルト233,234に連結された進退台部135がスライドレール133,134を縮長させながら基台部132に対してスライドして図14に示すように後退する。
ここで、一方のプーリ支持部材143の前壁部193は、一方の歯付プーリ231及びこれに掛けられた一方のタイミングベルト233の前端部の前方でこれらを覆うように上下左右に面状に広がっており、これら歯付プーリ231及びタイミングベルト233の前端部への操作者の手先の接触を抑制する。他方のプーリ支持部材144の前壁部193は、他方の歯付プーリ232及びこれに掛けられた他方のタイミングベルト234の前端部の前方でこれらを覆うように上下左右に面状に広がっており、これら歯付プーリ232及びタイミングベルト234の前端部への操作者の手先の接触を抑制する。
即ち、図17に示すように、受皿部3及び進退台部135が突出位置にあって受皿部3が開状態にあるとき、受皿部3及び進退台部135の下側が基台部132よりも前側に位置して露出することになるが、図14に示すように、一対のプーリ支持部材143,144のそれぞれの前壁部193が上下左右に面状に広がって、歯付プーリ231,232及びタイミングベルト233,234への操作者の接触を抑制する。
センサ支持部材145は、基部材141における主支持部材142の支持壁部153よりも支持壁部152とは反対側に固定されている。センサ支持部材145には、その後部及び前部に、引込位置検知センサ241及び突出位置検知センサ242がそれぞれ設けられている。引込位置検知センサ241及び突出位置検知センサ242も受皿駆動部67を構成している。
図5,図7に示すように、これら引込位置検知センサ241及び突出位置検知センサ242は、受皿部3の後端部に受皿部3から側方に突出するように固定された検知部材243を検知する。これら引込位置検知センサ241及び突出位置検知センサ242は、光学式のセンサであり、検知部材243で光路が遮断されることで検知部材243を検知する。後側の引込位置検知センサ241は、図5に示すように受皿部3が引込位置にあるときに、検知部材243を検知する。言い換えれば、引込位置検知センサ241は、受皿部3及びこれと一体に移動する進退台部135が引込位置にあるか否かを検知する。前側の突出位置検知センサ242は、図7に示すように受皿部3が突出位置にあるときに検知部材243を検知する。言い換えれば、突出位置検知センサ242は、受皿部3及びこれと一体に移動する進退台部135が突出位置にあるか否かを検知する。
制御部63は、受皿駆動部67を制御して、装置本体2に対して受皿部3を、引込位置にある閉状態から突出位置へ向かうスライド方向外側にスライドさせて、図7に示すように突出位置検知センサ242で受皿部3が突出位置に位置したことを検知すると、受皿駆動部67を停止させて、受皿部3を突出位置に停止させる。また、装置本体2に対して受皿部3を、突出位置にある開状態から引込位置へ向かうスライド方向奥側にスライドさせて、図5に示すように引込位置検知センサ241で受皿部3が引込位置に位置したことを検知すると、受皿駆動部67を停止させて、受皿部3を引込位置に停止させる。言い換えれば、受皿駆動部67は、装置本体2に対して受皿部3を、引込位置から突出位置へ向かうスライド方向外側及び突出位置から引込位置へ向かうスライド方向奥側にスライドさせることになる。図14に示すように、ストッパ156は、引込位置にある進退台部135に当接して、それ以上後方への進退台部135の移動を規制する。
ロック部支持部材146は、基部材141における主支持部材142よりもセンサ支持部材145とは反対側に固定されている。ロック部支持部材146は、引込位置にある受皿部3を装置本体2の基台部132に移動不可にロックするロック部251を構成している。ロック部251も受皿駆動部67を構成している。
回転軸221には、歯付プーリ223のギア222とは反対側の端部に、図18に示すようにロックギア235が固定されている。ロック部251は、このロックギア235と、ロック部支持部材146に取り付けられる支持軸252と、この支持軸252に回動可能に支持されるロック部材253と、ロック部支持部材146に取り付けられてロック部材253の回動範囲を制限するストッパピン254と、ロック部支持部材146に取り付けられてロック部材253を回動させるソレノイド255と、ロック部支持部材146とロック部材253との間に介装されてロック部材253を付勢するスプリング256とを有している。
ロック部材253は、前後方向に延在すると共に、長さ方向の中間部において支持軸252に支持される前後延在部261と、前後延在部261の支持軸252による支持位置から下方に延出する下方延出部262とを有している。前後延在部261の後端部の下側には、ロックギア235に噛み合うラックギア263が形成されている。前後延在部261のラックギア263と支持軸252との間には、上下方向に長い長穴264が形成されている。この長穴264内にストッパピン254が配置されている。
ソレノイド255は、下方延出部262の前側に配置されており、本体部276においてロック部支持部材146に固定されている。ソレノイド255は、本体部276に対し進退可能なプランジャ277を本体部276から後方に突出させており、このプランジャ277が下方延出部262に連結されている。スプリング256は、下方延出部262の後側に配置されており、下方延出部262を後方に引っ張る。
図18に示すように、ソレノイド255は、通電されるとスプリング256の付勢力に抗してロック部材253の下方延出部262を前方に引っ張る。これにより、ロック部材253が支持軸252を中心に回動して後端部のラックギア263を下降させる。すると、ラックギア263がロックギア235に噛み合う。ラックギア263がロックギア235に噛み合うとロックギア235及びこれに固定された回転軸221は回転が規制されることになり、よって、進退台部135及び受皿部3の前後移動が規制されることになる。ロック部材253は、ラックギア263をロックギア235に噛み合わせる位置がロック位置となっている。ロック部材253は、ロック位置にあるとき、長穴264の上端部をストッパピン254に当接させて停止する。
また、図19に示すように、ソレノイド255は、通電が停止されると下方延出部262を前方に引っ張る力がなくなり、よって、スプリング256がその付勢力によって下方延出部262を後方に引っ張る。これにより、ロック部材253が支持軸252を中心に回動してラックギア263を上昇させる。すると、ラックギア263がロックギア235への噛み合いを解除する。ラックギア263がロックギア235への噛み合いを解除するとロックギア235及び回転軸221は回転が許容されることになり、よって、進退台部135及び受皿部3の前後移動が許容されることになる。ロック部材253は、ラックギア263のロックギア235への噛み合いを解除する位置がロック解除位置となっている。ロック部材253は、ロック解除位置にあるとき、長穴264の下端部をストッパピン254に当接させて停止する。
以上により、ロック部251は、ソレノイド255への通電状態で、受皿部3を装置本体2にロックするロック状態となる一方、ソレノイド255への通電停止状態では受皿部3の装置本体2に対するロックを解除するロック解除状態となる。
ロック部251は、ロック部支持部材146の前端部に、ロック部材253がロック解除位置にあるかロック位置にあるか、即ちロック部251がロック解除状態にあるかロック状態にあるかを検知するロック状態検知センサ281を有している。ロック状態検知センサ281は、光学式のセンサであり、図19に示すように、ロック部材253の前後延在部261の前端部で光路が遮断されることでロック部材253がロック解除位置にあってロック部251がロック解除状態にあることを検知する一方、図18に示すように、前後延在部261の前端部で光路が遮断されなければロック部材253がロック位置にあってロック部251がロック状態にあることを検知する。ロック部251は、装置本体2から受皿部3に硬貨を放出する際に、引込位置にある受皿部3を装置本体2に対し移動不可にロックする。
図4に示すように、受皿自動開閉ユニット65のカバー部66は、受皿部3のすぐ上に配置されて受皿部3と上下に対向している。言い換えれば、カバー部66は、受皿部3を、間に何も介在させることなく上側で覆っている。カバー部66は、図20~図25に示すように、下部材302と上部材303と一対の爪部材304とを有している。下部材302、上部材303及び一対の爪部材304は、いずれも板金により形成されている。
図20,図21に示すように、下部材302は、水平に広がる主板部311と、主板部311の後端縁部から折り曲げられて上方に立ち上がる後板部312と、主板部311の前端縁部から折り曲げられて上方に立ち上がる段板部313と、段板部313の上端縁部から前方に折り曲げられて水平に広がる前方延出板部314と、前方延出板部314の左右方向中央の前端縁部から折り曲げられて上方に立ち上がる前板部315とを有している。
前方延出板部314は、左右方向の中央から前方に延出する中央延出部321(被覆部)と、左右方向両側から前方に延出する一対の側部延出部322とを有しており、前板部315は中央延出部321の前端縁部から上方に立ち上がっている。一対の側部延出部322は、それぞれの前端縁部が中央延出部321から左右方向に離れるほど前側に位置するように傾斜している。
主板部311の内側範囲には、主板部311を上下に貫通する矩形状の放出口形成穴326が形成されている。放出口形成穴326は長方形状であり、全ての辺部が前後方向に対し傾斜している。主板部311には、前後方向に沿って延びるスリット327が、左右方向に並んで複数、具体的には7箇所形成されている。これらスリット327は、主板部311の前後方向の全長にわたって延在しており、前端部が段板部313まで形成され、後端部が後板部312の下部まで形成されている。これらスリット327は、幅が同等であって長さも同等であり、左右方向に等間隔で配置されている。これらスリット327は、一部、具体的には1箇所が放出口形成穴326を通らず、残りの一部、具体的には残り6箇所が放出口形成穴326を前後に横断している。
主板部311には、前後方向に沿って延びる一対のスリット331が、複数のスリット327のうちの左端のスリット327よりも左側と、右端のスリット327よりも右側とに形成されている。これらスリット331は、互いに前後方向の位置を一致させて主板部311の前部に形成されている。
主板部311には、最も左側のスリット327よりも左側と、左側4箇所のスリット327の隣り合うもの同士の全ての間位置とに、貫通孔332が形成されている。貫通孔332は、スリット331よりも後側に配置されており、右側のものほど後側に位置するように配置されている。
図20に示すように、一対の爪部材304は、下部材302の一対の側部延出部322に取り付けられている。一対の爪部材304は、それぞれが、水平に広がって側部延出部322の上面に固定される取付板部336と、取付板部336の前縁部から側部延出部322を越えて下方に延出する複数の外側下向突片337とを有している。一対の爪部材304には、それぞれに、外側下向突片337が、左右方向に並んで複数、具体的には3箇所ずつ形成されている。複数の外側下向突片337は、下部材302よりも下方に突出する外側下向突出部338(進入抑制部,脱落抑制部)を構成している。複数の外側下向突片337は、幅が同等であって突出長さも同等であり、等間隔で配置されている。隣り合う外側下向突片337と外側下向突片337との隙間は最小径の1円硬貨の直径よりも狭くなっている。
一方の爪部材304は、その外側下向突出部338を構成する複数の外側下向突片337が一方の側部延出部322の前端縁部に沿って並ぶように配置されている。他方の爪部材304は、その外側下向突出部338を構成する複数の外側下向突片337が他方の側部延出部322の前端縁部に沿って並ぶように配置されている。よって、両側の外側下向突出部338は、何れも中央延出部321から左右方向に離れるほど前側に位置するように傾斜して配置されている。図6に示すように、複数の外側下向突片337は、左右方向の配置ピッチが側方溝105の配置ピッチと同等となっており、左右方向の幅が側方溝105の幅よりも小さくなっている。
図20,図21に示すように、上部材303は、水平に広がる主板部341と、主板部341の前部の左右方向両端縁部から折り曲げられて下方に突出する前後方向に長い同長さの一対の横側下向突出部342(進入抑制部,脱落抑制部)とを有している。一対の横側下向突出部342は、前後方向の位置を一致させている。
主板部341の内側範囲には、主板部341を上下に貫通する矩形状の放出口形成穴345が形成されている。放出口形成穴345は長方形状であり、全ての辺部が前後方向に対し傾斜している。上部材303は、放出口形成穴345の後部位置及びその左側に、主板部341から折り曲げられて下方に突出する奥側下向突片346を有している。
奥側下向突片346は、左右方向に並んで複数、具体的には8箇所形成されている。奥側下向突片346は、幅が同等であって突出長さも同等であり、左右方向に等間隔で配置されている。隣り合う奥側下向突片346と奥側下向突片346との隙間は最小径の1円硬貨の直径よりも狭くなっている。左端の奥側下向突片346と左側の横側下向突出部342との隙間は最小径の1円硬貨の直径よりも狭くなっており、右端の奥側下向突片346と右側の横側下向突出部342との隙間も最小径の1円硬貨の直径よりも狭くなっている。奥側下向突片346は、後方に凹状をなす円弧状に配置されている。
図5に示すように、一対の横側下向突出部342は、それぞれの左右方向の幅が側方溝105の幅よりも小さくなっている。複数の奥側下向突片346は、左右方向の配置ピッチが後方溝101の配置ピッチと同等となっており、左右方向の幅が後方溝101の幅よりも小さくなっている。
図20,図21に示すように、上部材303は、その放出口形成穴345を放出口形成穴326に水平方向において一致させるようにして、図22,図23に示すように、一対の爪部材304が固定された下部材302の上に重ねられて下部材302に固定される。このように下部材302、上部材303及び一対の爪部材304が一体化されてカバー部66となる。
その際に、図24,図25に示すように、上部材303の一対の横側下向突出部342が、それぞれ下部材302の一対のスリット331の対応するものに挿入され、放出口形成穴345の後部位置に設けられた複数、具体的には4箇所の奥側下向突片346が下部材302の放出口形成穴326の後部位置に挿入され、残りの複数、具体的には4箇所の奥側下向突片346が1箇所ずつ下部材302の貫通孔332の対応するものに挿入される。
図25に示すように、一対の横側下向突出部342及び複数の奥側下向突片346は、下部材302の主板部311よりも下方に突出している。複数の奥側下向突片346は、主板部311よりも下方に突出する奥側下向突出部347(進入抑制部,脱落抑制部)を構成している。奥側下向突出部347は、後方に向けた凹状をなしている。カバー部66の放出口形成穴326,345は、カバー部66の内側範囲に設けられて硬貨を放出する硬貨放出口355を構成する。
ここで、左側の横側下向突出部342は、左側の爪部材304の右端の外側下向突片337と左右方向の位置を合わせており、これらの間の隙間は最小径の1円硬貨の直径よりも狭くなっている。右側の横側下向突出部342は、右側の爪部材304の左端の外側下向突片337と左右方向の位置を合わせており、これらの間の隙間は最小径の1円硬貨の直径よりも狭くなっている。カバー部66の全ての外側下向突片337、全ての横側下向突出部342及び全ての奥側下向突片346は、隣り合うもの同士の隙間が最小径の1円硬貨の直径よりも狭くなっており、相互間の硬貨の通過を抑制する。
図22,図23に示すように、カバー部66は、下部材302と、上部材303の主板部341と、一対の爪部材304の取付板部336とが、水平に広がるカバー本体部348を構成している。図25に示すように、一対の爪部材304の外側下向突出部338と、上部材303の一対の横側下向突出部342と、上部材303の奥側下向突出部347とが、カバー本体部348の下面から下方に突出すると共に、前方に開口し後方に向かって凹む凹形状をなす凹状壁部349を構成している。凹状壁部349は全金種の硬貨のその内外間の通過を規制する。硬貨放出口355は、水平方向において、この凹状壁部349の内側に配置されている。
下部材302の複数のスリット327は、それぞれの上側が上部材303の主板部341で覆われており、スリット327と主板部341とが、上方に凹む天井溝351を構成している。天井溝351は、前後方向に延びており、左右方向に並んで複数、具体的には7箇所形成されている。
図4に示すように、格納凹部8の天井部分を構成するカバー部66は、格納凹部8に対し進退する受皿部3を上側で覆う。カバー部66の内側範囲に設けられた硬貨放出口355は、装置本体2の図3に示す放出案内部20の末端に設けられている。放出案内部20は、硬貨を案内するシュート356を有しており、シュート356の下端開口部のすぐ下側に、この下端開口部と水平方向に重なり合って硬貨放出口355が配置される。
図5に示すように、硬貨放出口355は、引込位置にある受皿部3の収容凹部71と水平方向に重なり合って配置され、収容凹部71と上下に対向する。よって、受皿部3は、装置本体2からその硬貨放出口355を介して放出される硬貨を収容凹部71に収容する。カバー部66は、水平方向において、引込位置にある受皿部3の上面形成部72と位置を重ね合わせて、上面形成部72と上下に対向する。
図7に示すように、カバー部66の左右方向一側の外側下向突出部338の3箇所の外側下向突片337が、1箇所ずつ、受皿部3の左右方向一側の3箇所の側方溝105の異なるものに左右方向の位置を合わせて上下に対向する。同様に、カバー部66の左右方向他側の外側下向突出部338の3箇所の外側下向突片337が、1箇所ずつ、受皿部3の左右方向他側の3箇所の側方溝105の異なるものに左右方向の位置を合わせて上下に対向する。これにより、全ての側方溝105に対し外側下向突片337が1箇所ずつ左右方向の位置を合わせて上下に対向する。
ここで、外側下向突片337の下端部の高さ位置は、上面形成部72の主上面を最小厚さの1円硬貨の厚さ分高くした高さ位置よりも低い。具体的には、上面形成部72の主上面よりも外側下向突片337の下端部の方が位置が低く、全ての外側下向突片337が、それぞれ対応する側方溝105に入り込んでいる。全ての外側下向突片337は、受皿部3が引込位置と突出位置との間で移動する全範囲において、それぞれ対応する側方溝105に入り込んだ状態が維持されて移動する。
両側の外側下向突出部338は、カバー部66のスライド方向における外側部分に設けられており、カバー部66のスライド直交方向における収容凹部71の両側からそれぞれ下方に突出している。両側の外側下向突出部338は、側方溝105のそれぞれに入り込んでいる。両側の外側下向突出部338は、それぞれ収容凹部71からスライド直交方向に離れるほどスライド方向の外側に位置するように傾斜している。
カバー部66の左右方向一側の外側下向突出部338は、受皿部3の左右方向一側の外側上向突出部107と上下方向及び左右方向の位置を重ね合わせて前後に対向している。同様に、カバー部66の左右方向他側の外側下向突出部338は、受皿部3の左右方向他側の外側上向突出部107と上下方向及び左右方向の位置を重ね合わせて前後に対向している。
よって、受皿部3の上面形成部72は、両側の外側下向突出部338のそれぞれのスライド方向の外側に、外側下向突出部338とスライド直交方向の位置を重ね合わせて、収容凹部71からスライド直交方向に離れるほどスライド方向の奥側に位置するように傾斜する外側上向突出部107を有している。
図5に示すように、カバー部66の左右方向一側の横側下向突出部342は、受皿部3の収容凹部71に対し左右方向一側に隣り合う側方溝105に左右方向の位置を合わせて上下に対向し、左右方向他側の横側下向突出部342は、収容凹部71に対し左右方向他側に隣り合う側方溝105に左右方向の位置を合わせて上下に対向する。ここで、横側下向突出部342の下端部の高さ位置は、上面形成部72の主上面を最小厚さの1円硬貨の厚さ分高くした高さ位置よりも低い。具体的には、上面形成部72の主上面よりも横側下向突出部342の下端部の方が位置が低く、横側下向突出部342は側方溝105に入り込んでいる。
よって、両側の横側下向突出部342は、カバー部66における硬貨放出口355のスライド直交方向両側からそれぞれ下方に突出して、側方溝105にそれぞれ入り込む。
また、カバー部66の8箇所の奥側下向突片346が1箇所ずつ、受皿部3の8箇所の後方溝101の異なるものに左右方向の位置を合わせて上下に対向する。これにより、全ての後方溝101に対し奥側下向突片346が1箇所ずつ左右方向の位置を合わせて上下に対向する。ここで、奥側下向突片346の下端部の高さ位置は、上面形成部72の主上面を最小厚さの1円硬貨の厚さ分高くした高さ位置よりも低い。具体的には、上面形成部72の主上面よりも奥側下向突片346の下端部の方が位置が低く、奥側下向突片346は後方溝101に入り込んでいる。
よって、複数の奥側下向突片346からなる奥側下向突出部347は、スライド方向において、カバー部66の硬貨放出口355の奥側から下方に突出して、複数の後方溝101のそれぞれに入り込む。
また、受皿部3の7箇所の奥側上向突起102が1箇所ずつ、カバー部66の7箇所の天井溝351の異なるものに左右方向の位置を合わせて上下に対向する。これにより、全ての天井溝351に対し奥側上向突起102が1箇所ずつ左右方向の位置を合わせて上下に対向する。ここで、奥側上向突起102の上端部の高さ位置は、天井溝351の下端開口を最小厚さの1円硬貨の厚さ分低くした高さ位置よりも高い。具体的には、天井溝351の下端開口よりも奥側上向突起102の上端部の方が位置が高く、奥側上向突起102が複数の天井溝351のそれぞれに入り込んでいる。
よって、カバー部66には、スライド方向に沿って延びる天井溝351が、スライド直交方向に並んで複数形成されている。そして、奥側上向突出部103が複数の天井溝351のそれぞれに入り込んでいる。受皿部3の奥側上向突起102は、左右方向において、カバー部66の奥側下向突片346と位置をずらして交互に配置されている。
図5に示すように、受皿部3が引込位置にあるとき、カバー部66の奥側下向突出部347を構成する全ての奥側下向突片346は、それぞれ左右方向の位置が合う後方溝101の前端位置に位置する。これにより、装置本体2の硬貨放出口355から収容凹部71に放出される硬貨が、カバー部66と後方上面形成部91との間へ入り込むことを、全ての奥側下向突片346によって抑制する。言い換えれば、奥側下向突出部347は、上面形成部72の後方上面形成部91とカバー部66のカバー本体部348との間への硬貨の進入を抑制する。受皿部3が引込位置にあるとき、カバー部66の全ての奥側下向突片346は、それぞれ左右方向の位置が合う後方溝101の前端位置に入り込んでおり、硬貨が、収容凹部71側から奥側下向突出部347を越えて後方上面形成部91とカバー部66との間へ入り込むことは一切ない。
受皿部3が引込位置にあるとき、カバー部66の一対の横側下向突出部342は、それぞれが、収容凹部71の左右に隣り合う側方溝105の対応する一つに入り込んで、収容凹部71と前後方向の位置を重ね合わせている。これにより、一対の横側下向突出部342は、装置本体2の硬貨放出口355から収容凹部71に放出される硬貨が、カバー部66のカバー本体部348と側方上面形成部92との間へ入り込むことを抑制する。言い換えれば、一対の横側下向突出部342は、上面形成部72とカバー部66との間への硬貨の進入を抑制する。受皿部3が引込位置にあるとき、カバー部66の一対の横側下向突出部342は、収容凹部71の左右に隣り合う側方溝105に入り込んでいるため、硬貨が、横側下向突出部342を越えて側方上面形成部92とカバー部66との間へ入り込むことは一切ない。
受皿部3が引込位置にあるとき、カバー部66の全ての外側下向突片337は、それぞれ左右方向の位置が合う側方溝105に入り込んで、側方溝105の収容凹部71の前部側に位置している。
よって、受皿部3が引込位置にあるとき、一対の外側下向突出部338、一対の横側下向突出部342及び奥側下向突出部347からなる凹状壁部349は、カバー本体部348と受皿部3の上面形成部72とによって、凹状壁部349の内側から外側への硬貨の通過を規制する。
図6,図7に示すように、受皿部3が突出位置にあるときも、カバー部66の全ての外側下向突片337は、それぞれ左右方向の位置が合う側方溝105に入り込んでいる。これにより、複数の外側下向突片337で構成される外側下向突出部338が、装置本体2の収容凹部71からはみ出した硬貨のカバー本体部348と側方上面形成部92との間への入り込みを抑制する。言い換えれば、外側下向突出部338は、上面形成部72とカバー部66との間への硬貨の進入を抑制する。受皿部3が突出位置から引込位置までの何れの位置にあっても、カバー部66の外側下向突出部338の全ての外側下向突片337は、それぞれ左右方向の位置が合う側方溝105に常に入り込んでいるため、硬貨が、外側下向突出部338を越えてカバー部66と側方上面形成部92との間へ入り込むことは一切ない。
カバー部66の外側下向突出部338は、左右方向において、収容凹部71から離れるほど前側に位置するように傾斜しているため、受皿部3が引込位置に移動する際に側方上面形成部92に硬貨が残存していても、その傾斜により、この硬貨を収容凹部71側に移動させて収容凹部71に落下させる。これによって、受皿部3から前方への硬貨の落下を抑制する。
一対の側方上面形成部92に設けられた外側上向突出部107は、左右方向において、収容凹部71に近接するほど前側に位置するように傾斜しているため、受皿部3が引込位置に移動する際に側方上面形成部92に硬貨が残存していて、これをカバー部66の外側下向突出部338の傾斜のみでは収容凹部71に落下させることができなかったとしても、この硬貨を、外側下向突出部338の傾斜と外側上向突出部107の傾斜とで、収容凹部71側に移動させて収容凹部71に落下させる。これによって、受皿部3から前方への硬貨の落下を更に抑制する。
受皿部3が突出位置にあるとき、カバー部66の中央延出部321は、上面形成部72の収容凹部71よりも後側の後方上面形成部91を覆っている。これにより、中央延出部321は、受皿部3が突出位置にあるときに、カバー部66のカバー本体部348と受皿部3の後方上面形成部91との間に硬貨が入り込むことを抑制する。
図5,図7に示すように、受皿部3が、引込位置と突出位置との間の何れの位置にあっても、受皿部3の後端部に形成された奥側上向突出部103の複数の奥側上向突起102は、それぞれ左右方向の位置が合うカバー部66の天井溝351に入り込んでいる。よって、図7に示すように、受皿部3が突出位置にあるときも、受皿部3の複数の奥側上向突起102がそれぞれカバー部66の天井溝351に入り込んでいる。これにより、奥側上向突出部103は、突出位置にある受皿部3の後方上面形成部91とカバー部66の中央延出部321との間に入り込んだ硬貨の、受皿部3よりもスライド方向奥側への脱落を抑制する。受皿部3が突出位置にあるとき、カバー部66の外側下向突出部338の複数の外側下向突片337は、それぞれ左右方向の位置が合う側方溝105に入り込んでおり、一対の横側下向突出部342も、それぞれ左右方向の位置が合う側方溝105に入り込んでいる。このため、奥側上向突出部103は、一対の外側下向突出部338及び一対の横側下向突出部342とによって、突出位置にある受皿部3の上面形成部72上の硬貨の、受皿部3よりもスライド方向の奥側への脱落を抑制する。
ここで、受皿部3が突出位置にあるとき、奥側上向突出部103の左端の奥側上向突起102と左側の横側下向突出部342との隙間は最小径の1円硬貨の直径よりも狭くなっており、また、左側の横側下向突出部342と左側の外側下向突出部338の右端の外側下向突片337との隙間も最小径の1円硬貨の直径よりも狭くなっている。同様に、奥側上向突出部103の右端の奥側上向突起102と右側の横側下向突出部342との隙間は最小径の1円硬貨の直径よりも狭くなっており、右側の横側下向突出部342と右側の外側下向突出部338の左端の外側下向突片337との隙間も最小径の1円硬貨の直径よりも狭くなっている。そして、受皿部3が突出位置にあるとき、複数の奥側上向突起102がそれぞれカバー部66の天井溝351に入り込んでおり、カバー部66の全ての外側下向突片337がそれぞれ側方溝105に入り込んでいて、一対の横側下向突出部342も、それぞれ側方溝105に入り込んでいるため、受皿部3よりもスライド方向の奥側へ脱落する硬貨は一切ない。
また、受皿部3が図7に示す突出位置から図5に示す引込位置に向け移動する閉作動時に、その途中位置まで、奥側上向突出部103は、両側の横側下向突出部342と、最小径の1円硬貨の直径よりも狭い一定距離を維持して移動することになり、これら横側下向突出部342と両側の外側下向突出部338とによって、受皿部3よりもスライド方向奥側への硬貨の脱落を規制した状態のまま移動する。その後、奥側上向突出部103は、両側の横側下向突出部342から離れることになるが、その際には、それまで受皿部3よりも後方に離間していた奥側下向突出部347が、受皿部3に重なると共に、奥側上向突出部103と入れ替わる。これにより、奥側下向突出部347と両側の横側下向突出部342と両側の外側下向突出部338とが、受皿部3よりもスライド方向奥側への硬貨の脱落を規制する。
次に、貨幣処理装置1の硬貨処理について説明する。
「硬貨入金処理」
制御部63は、硬貨入金処理を開始すると、まず、図5に示すように、引込位置検知センサ241が、受皿部3が引込位置にあることを検知しているか否か判定し、受皿部3が引込位置にあることを検知していると、図18に示すようにロック部251のソレノイド255に通電しソレノイド255を駆動する。
他方、引込位置検知センサ241が、受皿部3が引込位置にあることを検知していなければ、閉作動中であることを示すため、図1,図2に示すLEDライト13を点灯させると共に、操作表示部61にその旨の報知表示を行わせ、音声出力部62にその旨の報知音声を発生させた状態で、図15に示す駆動本体部201の駆動モータ213を逆転駆動する。すると、駆動モータ213の駆動軸212に固定されたギア214が、ギア222、回転軸221、歯付プーリ223,224、一対のタイミングベルト233,234及び一対の歯付プーリ231,232を逆転させることになり、図14,図12に示すように、進退台部135及び受皿部3を装置本体2に対して後退させる。
その後、図5に示すように、引込位置検知センサ241が、受皿部3が引込位置にあることを検知すると、制御部63は、LEDライト13を消灯させると共に、操作表示部61の報知表示を終了させ、音声出力部62の報知音声を終了させる。そして、図18に示すようにロック部251のソレノイド255に通電しソレノイド255を駆動する。
ソレノイド255は、通電状態になるとスプリング256の付勢力に抗してロック部材253の下方延出部262を前方に引っ張り、ロック部材253を回動させる。すると、ロック部材253は、そのラックギア263を下降させてロックギア235に噛み合わせてロック部251をロック状態とする。制御部63は、ロック部251がロック状態になったことをロック状態検知センサ281が検知すると、図1,図2に示す硬貨入金部5のシャッタ6を開く。
ここで、ソレノイド255に通電後、所定時間経過してもロック部251がロック状態になったことをロック状態検知センサ281が検知しなければ、ラックギア263とロックギア235とが噛み合えない位相関係となっているため、制御部63は、駆動モータ213を若干回転させて、ラックギア263にロックギア235を噛み合わせる調整作動を行い、その後、ロック部251がロック状態になったことをロック状態検知センサ281が検知すると、硬貨入金部5のシャッタ6を開く。また、調整作動後もロック部251がロック状態にならなければ、異常発生中であることを報知するため、図1,図2に示すLEDライト13を点滅させると共に、操作表示部61にその旨の報知表示を行わせ、音声出力部62にその旨の報知音声を発生させる。
硬貨入金部5のシャッタ6を開いた後、この硬貨入金部5に硬貨が投入されたことを図示略のセンサで検出すると、制御部63は、シャッタ6を閉じ、硬貨入金部5から硬貨を繰り出させる。そして、図26に太実線で示すように、硬貨入金部5から繰り出された硬貨を入金側搬送部15で搬送し識別部18で識別及び計数する。そして、識別部18で受け入れ可能と識別された真硬貨を、入金側搬送部15及び中間プール案内部22で一括中間プール32へ搬送し一括中間プール32に一時貯留する。その一方で、識別部18で受け入れ不可と識別されたリジェクト硬貨を、図26に太破線で示すように、放出案内部20で引込位置にある受皿部3に放出する。このとき、識別部18で受け入れ可能と識別された真硬貨のうち、一括中間プール32の収納容量を超える硬貨も、放出案内部20で受皿部3に搬送する。
放出案内部20からの硬貨は、図5に示す硬貨放出口355から、引込位置にある受皿部3の、硬貨放出口355に水平方向において重なる収容凹部71に落下する。このとき、落下後、収容凹部71で跳ね返った硬貨が、受皿部3の後方上面形成部91とカバー部66との隙間に向かうことがある。これに対して、受皿部3が引込位置にあるとき、カバー部66の奥側下向突出部347の全ての奥側下向突片346は、それぞれ左右方向の位置が合う後方溝101に入り込んで、後方溝101の収容凹部71側の前端位置に位置している。これにより、奥側下向突出部347がカバー部66のカバー本体部348と後方上面形成部91との間への硬貨の入り込みを抑制する。
また、落下後、収容凹部71で跳ね返った硬貨が、受皿部3の側方上面形成部92とカバー部66との隙間に向かうこともある。これに対して、受皿部3が引込位置にあるとき、カバー部66の前後方向に長い一対の横側下向突出部342は、収容凹部71の左右に隣り合う側方溝105に入り込んで、収容凹部71と前後方向の位置を重ね合わせている。加えて、カバー部66の両側の外側下向突出部338のそれぞれの収容凹部71側の外側下向突片337が収容凹部71の左右に隣り合う側方溝105に入り込んで、収容凹部71と前後方向の位置を重ね合わせている。よって、一対の横側下向突出部342及び一対の外側下向突出部338がカバー部66のカバー本体部348と側方上面形成部92との間への硬貨の入り込みを抑制する。
即ち、奥側下向突出部347、一対の横側下向突出部342及び一対の外側下向突出部338からなる凹状壁部349が、カバー部66のカバー本体部348と受皿部3の上面形成部72との間への硬貨の入り込みを抑制する。このとき、凹状壁部349を越えてカバー本体部348と上面形成部72との間へ入り込む硬貨は一切ない。即ち、凹状壁部349は、硬貨放出口355から収容凹部71に向けて放出される硬貨を、収容凹部71内に留まらせる。
硬貨入金処理の開始後、硬貨入金部5及び入金側搬送部15に硬貨がなくなると、制御部63は、識別部18で受け入れ可能と識別された真硬貨の合計金額及び金種別の枚数等を操作表示部61に表示させると共に、図19に示すように、それまで通電していたロック部251のソレノイド255への通電を停止する。すると、スプリング256がロック部材253の下方延出部262を後方に引っ張り、ロック部材253を回動させる。すると、ロック部材253は、そのラックギア263を上昇させてロックギア235への噛み合いを解除してロック部251をロック解除状態とする。制御部63は、ロック部251がロック解除状態になったことをロック状態検知センサ281に検知させる。ソレノイド255への通電停止後、所定時間内にロック部251がロック解除状態にならなければ、異常発生中であることを報知するため、図1,図2に示すLEDライト13を点滅させると共に、操作表示部61にその旨の報知表示を行わせ、音声出力部62にその旨の報知音声を発生させる。
硬貨入金処理の開始後、硬貨入金部5及び入金側搬送部15に硬貨がなくなると、その間に受皿部3に放出した硬貨がなければ、制御部63は、操作表示部61への確定指示操作、返却指示操作を待機する状態となって、硬貨入金処理を終了する。
他方、受皿部3に放出した硬貨があれば、制御部63は、開作動中であることを示すため、図1,図2に示すLEDライト13を点灯させると共に、操作表示部61にその旨の報知表示を行わせ、音声出力部62にその旨の報知音声を発生させた状態で、図15に示すように、駆動本体部201の駆動モータ213を正転駆動する。すると、駆動モータ213の駆動軸212に固定されたギア214が、ギア222、回転軸221、歯付プーリ223,224、一対のタイミングベルト233,234及び一対の歯付プーリ231,232を正転させることになり、図15,図13に示すように、進退台部135及び受皿部3を装置本体2に対して前進させる。
即ち、受皿駆動部67は、引込位置にある受皿部3への装置本体2からの硬貨の放出が完了すると、受皿部3を突出位置に移動させる。その後、図7に示すように、突出位置検知センサ242が、受皿部3が突出位置にあることを検知すると、制御部63は、図15に示すように、駆動本体部201の駆動モータ213を停止させると共に、残留検知センサ181で、そのすぐ上にある図13に示す収容凹部71に残留する硬貨の有無を検知させる。
図2に示すように、突出位置にあって装置本体2から突出する状態にある受皿部3は、収容凹部71が外部に露出する状態になる。操作者は、露出する収容凹部71から硬貨を取り出す。図6に示すように受皿部3が突出位置にあるとき、収容凹部71から零れた硬貨がカバー部66と受皿部3の側方上面形成部92との隙間に向かうことがある。これに対して、カバー部66の前端部にある外側下向突出部338の全ての外側下向突片337は、それぞれ左右方向の位置が合う側方溝105に入り込んでおり、カバー部66のカバー本体部348と側方上面形成部92との間への硬貨の入り込みを抑制する。このとき、外側下向突出部338を越えてカバー本体部348と側方上面形成部92との間へ入り込む硬貨は一切ない。両側の側方上面形成部92において同様である。
また、突出位置にある受皿部3の収容凹部71から硬貨を取り出す際に、硬貨が上面形成部72の収容凹部71よりも後方の後方上面形成部91上に移動しようとすることもある。これに対して、カバー部66の中央延出部321が、後方上面形成部91を覆っているため、後方上面形成部91とカバー部66のカバー本体部348との間への硬貨の入り込みを抑制する。
なお、後方上面形成部91と中央延出部321との間へ硬貨が入り込むことがあっても、図7に示すように、受皿部3が突出位置にあるとき、受皿部3の後端部に形成された奥側上向突出部103の複数の奥側上向突起102がそれぞれカバー部66の天井溝351に入り込んでおり、カバー部66の一対の横側下向突出部342がそれぞれ側方溝105に入り込んでいて、カバー部66の一対の外側下向突出部338のそれぞれの外側下向突片337がそれぞれ側方溝105に入り込んでいるため、受皿部3よりもスライド方向奥側への硬貨の脱落を抑制する。このとき、奥側上向突出部103、一対の横側下向突出部342及び一対の外側下向突出部338を越えて受皿部3よりもスライド方向の奥側へ脱落する硬貨は一切ない。
受皿部3を突出位置に移動後、残留検知センサ181で収容凹部71に残留する硬貨がある状態で所定時間経過すると、制御部63は、硬貨の取り忘れがあることを報知するため、LEDライト13を点滅させると共に、操作表示部61にその旨の報知表示を行わせ、音声出力部62にその旨の報知音声を発生させる。
受皿部3を突出位置に移動後、所定時間経過前に、残留検知センサ181で収容凹部71に残留する硬貨がなくなったことを検知した場合、及び、取り忘れがあることを報知中に残留検知センサ181で収容凹部71に残留する硬貨がなくなったことを検知した場合に、制御部63は、閉作動中であることを示すため、図2に示すLEDライト13の点灯状態を維持したまま、操作表示部61にその旨の報知表示を行わせ、音声出力部62にその旨の報知音声を発生させて、図14に示す駆動本体部201の駆動モータ213を逆転駆動する。
すると、駆動モータ213の駆動軸212に固定されたギア214が、ギア222、回転軸221、歯付プーリ223,224、一対のタイミングベルト233,234及び一対の歯付プーリ231,232を逆転させることになり、図14,図12に示すように、進退台部135及び受皿部3を装置本体2に対して引込位置に向けて後退させる。
即ち、受皿部3の収容凹部71の硬貨の残留を検知する残留検知センサ181が、突出位置にある受皿部3の収容凹部71の硬貨の残留を検知しなくなると、受皿駆動部67が、受皿部3を引込位置に移動させる。
その後、図5に示すように、引込位置検知センサ241が、受皿部3が引込位置にあることを検知すると、制御部63は、図14に示す受皿駆動部67の駆動モータ213を停止させると共に、図1,図2に示すLEDライト13を消灯させ、操作表示部61の報知表示を終了させ、音声出力部62の報知音声を終了させる。
ここで、受皿部3の突出位置から引込位置への閉作動時に、側方上面形成部92に硬貨が残存していても、図6,図4に示すように、カバー部66の前部にある両側の外側下向突出部338の全ての外側下向突片337は、それぞれ左右方向の位置が合う側方溝105に入り込んだ状態が維持されているため、外側下向突出部338を越えてカバー本体部348と側方上面形成部92との間へ入り込む硬貨は一切ない。しかも、カバー部66の両側の外側下向突出部338は、左右方向において収容凹部71から離れるほど前側に位置するように傾斜しているため、受皿部3の移動で側方上面形成部92上に残存する硬貨を収容凹部71側に移動させて収容凹部71に落下させる。
なお、カバー部66の外側下向突出部338の傾斜のみでは、側方上面形成部92上に残存する硬貨を収容凹部71に落下させることができなかったとしても、左右方向において収容凹部71に近接するほど前側に位置するように傾斜して配置された側方上面形成部92の外側上向突出部107が、左右方向の位置が合う外側下向突出部338とで、このような硬貨を収容凹部71側に移動させて収容凹部71に落下させる。
また、受皿部3の突出位置から引込位置への閉作動時に、カバー部66の中央延出部321と後方上面形成部91との間に硬貨が残存していても、図7,図5に示すように、受皿部3の後端部の奥側上向突出部103は、その複数の奥側上向突起102が、カバー部66の天井溝351にそれぞれ入り込んだ状態を引込位置まで維持している。奥側上向突出部103は、受皿部3の閉作動の途中位置までカバー部66の両側の外側下向突出部338及び両側の横側下向突出部342とで、後方上面形成部91上の硬貨の、受皿部3よりもスライド方向の奥側への脱落を抑制する。
また、受皿部3の閉作動の途中位置から引込位置側では、カバー部66の両側の外側下向突出部338、両側の横側下向突出部342及び奥側下向突出部347が、後方上面形成部91上の硬貨の、受皿部3よりもスライド方向の奥側への脱落を抑制する。しかも、受皿部3の突出位置から引込位置への移動により、相対移動するカバー部66の奥側下向突出部347が後方上面形成部91上の硬貨を押圧して、収容凹部71に落下させる。その際に、一対の横側下向突出部342が、硬貨の側方上面形成部92への移動を抑制して収容凹部71に案内する。
上記のように、受皿部3の突出位置から引込位置への閉作動により、上面形成部72から収容凹部71に硬貨が落下することがあるため、制御部63は、図5に示すように引込位置検知センサ241による受皿部3の引込位置への移動の検知後、図14に示す受皿駆動部67の駆動モータ213を停止させると、残留検知センサ181によって受皿部3の収容凹部71に残留する硬貨の有無を再度検知させる。収容凹部71に硬貨の残留がなければ、制御部63は、操作表示部61への確定指示操作、返却指示操作を待機する状態となって、硬貨入金処理を終了する。
他方、収容凹部71に硬貨の残留があれば、制御部63は、開作動中であることを示すため、図2に示すLEDライト13を点灯させると共に、操作表示部61にその旨の報知表示を行わせ、音声出力部62にその旨の報知音声を発生させた状態で、図15に示すように受皿駆動部67の駆動モータ213を正転駆動して、図13に示すように受皿部3を突出位置に移動させる。
即ち、受皿部3の突出位置から引込位置への移動時に、両側の側方上面形成部92及び後方上面形成部91の何れかから収容凹部71に落下した硬貨を、残留検知センサ181が検知すると、制御部63は、受皿部3を再度自動的に開く。
制御部63は、受皿部3を再度の開作動で突出位置に移動させた後、所定時間経過前に、残留検知センサ181で収容凹部71に残留する硬貨がなくなったことを検知した場合、及び、取り忘れがあることを報知中に残留検知センサ181で収容凹部71に残留する硬貨がなくなったことを検知した場合に、閉作動中であることを示すため、図1,図2に示すLEDライト13を点灯状態としたまま、操作表示部61にその旨の報知表示を行わせ、音声出力部62にその旨の報知音声を発生させて、図14に示す受皿駆動部67の駆動モータ213を逆転駆動して、図14,図12に示すように、進退台部135及び受皿部3を装置本体2に対して引込位置に移動させた後、LEDライト13を消灯させると共に、操作表示部61の報知表示を終了させ、音声出力部62の報知音声を終了させる。そして、残留検知センサ181で収容凹部71に残留する硬貨の有無を再度検知させる。引込位置で収容凹部71の硬貨の残留が検知されなくなるまで、受皿駆動部67による受皿部3の上記進退を繰り返す。
「硬貨返却処理」
硬貨入金処理の終了後、操作表示部61へ返却指示操作が入力されると、制御部63は、硬貨返却処理を開始する。すると、制御部63は、硬貨入金処理時と同様、引込位置検知センサ241によって受皿部3が引込位置にあることを検知していれば、ロック部251をロック状態とする。他方、制御部63は、引込位置検知センサ241によって受皿部3が引込位置にあることを検知していなければ、受皿部3を引込位置に移動させた後、ロック部251をロック状態とする。
制御部63は、ロック部251をロック状態にすると、図27に太実線で示すように、一括中間プール32の硬貨を、繰出部42で繰り出し、シャッタ6が閉じられた状態の硬貨入金部5に出金側搬送部55で搬送し、硬貨入金部5から繰り出して入金側搬送部15で搬送し、放出案内部20で受皿部3に搬送する。このときも、硬貨入金処理時と同様、カバー部66の奥側下向突出部347、横側下向突出部342及び外側下向突出部338が、カバー部66と、後方上面形成部91及び側方上面形成部92との間への硬貨の入り込みを抑制する。
そして、一括中間プール32、出金側搬送部55、硬貨入金部5及び入金側搬送部15に硬貨がなくなると、制御部63は、硬貨入金処理時と同様に、ロック部251をロック解除状態として、受皿駆動部67で受皿部3を突出位置に位置させた後、残留検知センサ181で収容凹部71に残留する硬貨の有無を検知させる。
操作者は、装置本体2から突出している受皿部3の収容凹部71から硬貨を取り出す。このときも、硬貨入金処理時と同様に、外側下向突出部338及び中央延出部321が、カバー部66と、側方上面形成部92及び後方上面形成部91との間への硬貨の入り込みを抑制する。また、奥側上向突出部103と、横側下向突出部342と、外側下向突出部338とが、受皿部3よりもスライド方向奥側への硬貨の脱落を抑制する。
残留検知センサ181で収容凹部71に残留する硬貨がなくなったことを検知すると、制御部63は、硬貨入金処理時と同様に、受皿駆動部67で受皿部3を引込位置に位置させた後、残留検知センサ181によって収容凹部71に残留する硬貨の有無を再度検知させ、収容凹部71に硬貨の残留がなければ、硬貨返却処理を終了する。このように一括中間プール32内の硬貨を受皿部3に全て搬送して、操作者に取り出させる。
ここで、受皿部3の引込位置への移動時に、硬貨入金処理時と同様に、外側下向突出部338が、或いは、外側下向突出部338及び外側上向突出部107が、側方上面形成部92に残存する硬貨を収容凹部71に落下させる。また、後方上面形成部91と中央延出部321との間に残存する硬貨については、奥側上向突出部103又は奥側下向突出部347と、横側下向突出部342及び外側下向突出部338とが、受皿部3よりも後方への脱落を抑制しつつ、奥側下向突出部347及び横側下向突出部342が、収容凹部71に落下させる。
制御部63は、硬貨入金処理時と同様に、受皿駆動部67による受皿部3の引込位置への移動後、残留検知センサ181によって受皿部3の収容凹部71に残留する硬貨の有無を再度検知させ、引込位置で収容凹部71の硬貨の残留が検知されなくなるまで、受皿駆動部67による受皿部3の上記進退を繰り返し、引込位置で収容凹部71に硬貨の残留がなくなると、硬貨返却処理を終了する。
「硬貨収納処理」
硬貨入金処理の終了後、操作表示部61へ確定指示操作が入力されると、制御部63は、硬貨収納処理を開始する。つまり、図28に太実線で示すように、一括中間プール32の硬貨を、繰出部42で繰り出し、シャッタ6が閉じられた状態の硬貨入金部5に出金側搬送部55で搬送し、硬貨入金部5から繰り出し入金側搬送部15で搬送して識別部18で識別する。そして、この識別部18の識別結果に基づいて、各金種の硬貨を還流案内部23~28の対応する金種のもので、還流部33~38の対応する金種のものに収納する。即ち、100円硬貨を100円硬貨用の還流案内部23で100円硬貨用の還流部33に、1円硬貨を1円硬貨用の還流案内部24で1円硬貨用の還流部34に、50円硬貨を50円硬貨用の還流案内部25で50円硬貨用の還流部35に、5円硬貨を5円硬貨用の還流案内部26で5円硬貨用の還流部36に、10円硬貨を10円硬貨用の還流案内部27で10円硬貨用の還流部37に、500円硬貨を500円硬貨用の還流案内部28で500円硬貨用の還流部38に、それぞれ収納する。なお、識別部18の識別結果に基づいて、各還流部33~38のオーバーフロー硬貨は、図28に太破線で示すように、カセット案内部21で硬貨カセット31に収納する。そして、一括中間プール32、出金側搬送部55、硬貨入金部5及び入金側搬送部15に硬貨がなくなると、硬貨収納処理を終了する。
「硬貨ダイレクト補充処理」
制御部63は、硬貨ダイレクト補充処理を開始すると、まず、硬貨入金処理時と同様、必要により受皿駆動部67で受皿部3を引込位置に位置させた後、受皿部3が引込位置に位置する閉状態で、ロック部251をロック状態とする。次に、制御部63は、硬貨入金部5のシャッタ6を開き、この硬貨入金部5に硬貨が投入されたことを図示略のセンサで検出すると、シャッタ6を閉じて、硬貨入金部5から硬貨を繰り出させる。そして、図29に太実線で示すように、硬貨入金部5から繰り出した硬貨を入金側搬送部15で搬送し、識別部18の識別結果に基づいて、各金種の硬貨を還流案内部23~28の対応する金種のもので、還流部33~38の対応する金種のものに収納する。なお、識別部18の識別結果に基づいて、受け入れ不可と識別されたリジェクト硬貨は、図29に太破線で示すように、放出案内部20で受皿部3に搬送する。このときも、硬貨入金処理時と同様、奥側下向突出部347、横側下向突出部342及び外側下向突出部338が、カバー部66と、後方上面形成部91及び側方上面形成部92との間への硬貨の入り込みを抑制する。
そして、硬貨入金部5及び入金側搬送部15に硬貨がなくなると、その間に受皿部3に放出した硬貨がなければ、制御部63は、ロック部251をロック解除状態として硬貨ダイレクト補充処理を終了する。
他方、受皿部3に放出した硬貨があれば、制御部63は、硬貨入金処理時と同様、ロック部251をロック解除状態とした後、受皿駆動部67で受皿部3を突出位置に位置させて、残留検知センサ181で収容凹部71に残留する硬貨の有無を検知させる。
操作者は、装置本体2から突出している受皿部3の収容凹部71から硬貨を取り出す。その際に、硬貨入金処理時と同様、外側下向突出部338及び中央延出部321が、カバー部66と、側方上面形成部92及び後方上面形成部91との間への硬貨の入り込みを抑制する。また、奥側上向突出部103と、横側下向突出部342と、外側下向突出部338とが、受皿部3よりもスライド方向奥側への硬貨の脱落を抑制する。
残留検知センサ181で収容凹部71に残留する硬貨がなくなったことを検知すると、制御部63は、硬貨入金処理時と同様に、受皿駆動部67で受皿部3を引込位置に位置させ、その後、残留検知センサ181によって受皿部3の収容凹部71に残留する硬貨の有無を再度検知させ、収容凹部71に硬貨の残留がなければ、硬貨ダイレクト補充処理を終了する。
ここで、硬貨入金処理時と同様に、受皿駆動部67による受皿部3の引込位置への移動時に、外側下向突出部338が、或いは、外側下向突出部338及び外側上向突出部107が、側方上面形成部92に残存する硬貨を収容凹部71に落下させる。また、後方上面形成部91とカバー部66の中央延出部321との間に残存する硬貨については、奥側上向突出部103又は奥側下向突出部347と、横側下向突出部342及び外側下向突出部338とが、受皿部3よりも後方への脱落を抑制し、奥側下向突出部347及び横側下向突出部342が収容凹部71に落下させる。
制御部63は、硬貨入金処理時と同様に、受皿駆動部67による受皿部3の引込位置への移動後、残留検知センサ181によって受皿部3の収容凹部71に残留する硬貨の有無を再度検知させ、引込位置で収容凹部71の硬貨の残留が検知されなくなるまで、受皿駆動部67による受皿部3の上記進退を繰り返し、引込位置で収容凹部71に硬貨の残留がなくなると、硬貨ダイレクト補充処理を終了する。
「硬貨出金処理」
硬貨出金処理を開始すると、まず、制御部63は、硬貨入金処理時と同様、必要により受皿部3を引込位置に位置させた後、受皿部3が引込位置に位置する閉状態で、ロック部251をロック状態とする。次に、制御部63は、入力された出金データに基づいて、図30に太実線で示すように、金種別に設けられた還流部33~38の対応する金種のものから、繰出部43~48の対応する金種のものによって、硬貨を、計数しつつ出金側搬送部55に繰り出し、シャッタ6が閉じられた状態の硬貨入金部5に出金側搬送部55で搬送し、硬貨入金部5から繰り出して入金側搬送部15で搬送し、識別部18で識別及び計数しつつ放出案内部20で受皿部3へ放出する。このときも、硬貨入金処理時と同様、奥側下向突出部347、横側下向突出部342及び外側下向突出部338が、カバー部66と、後方上面形成部91及び側方上面形成部92との間への硬貨の入り込みを抑制する。
そして、還流部33~38の対応する金種のものから出金データの全ての硬貨が繰り出された後、出金側搬送部55、硬貨入金部5及び入金側搬送部15に硬貨がなくなると、制御部63は、硬貨入金処理時と同様、ロック部251をロック解除状態とした後、受皿駆動部67により受皿部3を突出位置に位置させて、残留検知センサ181で収容凹部71に残留する硬貨の有無を検知させる。ここで、識別部18の識別及び計数結果から、出金データに対応しない異金種硬貨が検出されると、この異金種硬貨は、入金側搬送部15及び還流案内部23~28の対応する金種のもので、還流部33~38の対応する金種のものに収納する。
操作者は、装置本体2から突出している受皿部3の収容凹部71から硬貨を取り出す。このときも、硬貨入金処理時と同様に、外側下向突出部338及び中央延出部321が、カバー部66と、側方上面形成部92及び後方上面形成部91との間への硬貨の入り込みを抑制する。また、奥側上向突出部103、横側下向突出部342及び外側下向突出部338が、受皿部3よりもスライド方向奥側への硬貨の脱落を抑制する。
残留検知センサ181で収容凹部71に残留する硬貨がなくなったことを検知すると、制御部63は、硬貨入金処理時と同様に、受皿駆動部67で受皿部3を引込位置に位置させ、その後、残留検知センサ181によって受皿部3の収容凹部71に残留する硬貨の有無を再度検知させ、収容凹部71に硬貨の残留がなければ、硬貨出金処理を終了する。
受皿駆動部67による受皿部3の引込位置への移動時に、硬貨入金処理時と同様、外側下向突出部338が、或いは、外側下向突出部338及び外側上向突出部107が、側方上面形成部92に残存する硬貨を収容凹部71に落下させる。また、後方上面形成部91と中央延出部321との間に残存する硬貨については、奥側上向突出部103又は奥側下向突出部347と、横側下向突出部342及び外側下向突出部338とが、受皿部3よりも後方への脱落を抑制し、奥側下向突出部347及び横側下向突出部342が収容凹部71に落下させる。
制御部63は、硬貨入金処理時と同様、受皿駆動部67による受皿部3の引込位置への移動後、残留検知センサ181によって収容凹部71に残留する硬貨の有無を再度検知させ、引込位置で収容凹部71の硬貨の残留が検知されなくなるまで、受皿駆動部67による受皿部3の上記進退を繰り返し、引込位置で収容凹部71に硬貨の残留がなくなると、硬貨出金処理を終了する。
「硬貨自己精査処理」
硬貨自己精査処理は、図31に太実線で示すように、還流部33~38のうちの精査対象の一つ(図示例では還流部33)から一旦全ての硬貨を繰り出し、出金側搬送部55、シャッタ6が閉状態の硬貨入金部5及び入金側搬送部15で搬送して、中間プール案内部22で一括中間プール32に貯留する精査硬貨出金処理を行う。その後、図32に太実線で示すように、一括中間プール32から繰出部42で硬貨を繰り出して、出金側搬送部55、シャッタ6が閉状態の硬貨入金部5及び入金側搬送部15で搬送して識別部18で識別及び計数しつつ、識別結果に基づいて、還流案内部23~28の対応する金種のもので還流部33~38の対応金種のものに収納させる精査硬貨収納処理を行う。
例えば、100円硬貨用の還流部33の硬貨自己精査処理の精査硬貨出金処理を開始すると、制御部63は、100円硬貨用の還流部33の硬貨を繰出部43で全て繰り出して還流部33を空にする。これと並行して、還流部33から繰り出された硬貨を全て、出金側搬送部55、シャッタ6が閉状態の硬貨入金部5及び入金側搬送部15で搬送して中間プール案内部22で一括中間プール32に貯留する。ここで、一括中間プール32に貯留可能な硬貨量は予め設定されており、この硬貨量を超える硬貨については、一括中間プール32ではなく硬貨カセット31に収納する。
還流部33、出金側搬送部55、硬貨入金部5及び入金側搬送部15に硬貨がなくなると、制御部63は、精査硬貨出金処理を終了し、次に精査硬貨収納処理を開始する。即ち、一括中間プール32から繰出部42で硬貨を繰り出して、出金側搬送部55、シャッタ6が閉状態の硬貨入金部5及び入金側搬送部15で搬送して識別部18で識別及び計数しつつ、識別結果に基づいて、100円硬貨は、還流案内部23で還流部33に収納する。識別部18にて、100円硬貨以外の異金種硬貨であると識別された硬貨は、還流案内部24~28の対応するもので、還流部34~38の対応する金種のものに収納する。一括中間プール32、出金側搬送部55、硬貨入金部5及び入金側搬送部15に硬貨がなくなると、還流部34~38のうち次の精査対象の一つについて同様に硬貨自己精査処理を行い、このようにして、還流部33~38の全てについて予め設定された順に硬貨自己精査処理を行う。
「硬貨カセット収集処理」
硬貨カセット収集処理では、図33に太実線で示すように、還流部33~38から繰出部43~48で硬貨を同時に繰り出し、出金側搬送部55、シャッタ6が閉状態の硬貨入金部5及び入金側搬送部15で搬送して、カセット案内部21で硬貨カセット31へ収納する。還流部33~38、出金側搬送部55、硬貨入金部5及び入金側搬送部15に硬貨がなくなると、硬貨カセット収集処理を終了する。
「硬貨整理計数処理」
硬貨整理計数処理は、入出金取引には関わらない処理であり、手持ちの現金がいくらあるかを確認したい場合等に使用され、計数のみを行う処理である。制御部63は、硬貨整理計数処理を開始すると、硬貨入金処理時と同様、必要により受皿部3を引込位置に位置させた後、受皿部3が引込位置に位置する閉状態で、ロック部251をロック状態とする。次に、制御部63は、硬貨入金部5のシャッタ6を開き、この硬貨入金部5に硬貨が投入されたことを図示略のセンサで検出すると、シャッタ6を閉じて硬貨入金部5から硬貨を繰り出させる。そして、図34に太実線で示すように、硬貨入金部5から繰り出した硬貨を入金側搬送部15で搬送して識別部18で識別及び計数し、識別部18の識別結果に基づいて、真硬貨を、中間プール案内部22で一括中間プール32へ搬送する整理貯留処理を行う。その際に、識別部18の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨を、図34に太破線で示すように放出案内部20で受皿部3へ搬送する。このときも、硬貨入金処理時と同様、奥側下向突出部347、横側下向突出部342及び外側下向突出部338が、カバー部66と、後方上面形成部91及び側方上面形成部92との間への硬貨の入り込みを抑制する。
硬貨入金部5及び入金側搬送部15に硬貨がなくなると、制御部63は、識別部18の識別結果に基づく、合計金額及び金種別の枚数等を操作表示部61へ表示させる。リジェクト硬貨があった場合、制御部63は、硬貨入金処理時と同様、ロック部251をロック解除状態にした後、受皿駆動部67で受皿部3を突出位置に位置させて、残留検知センサ181で収容凹部71に残留する硬貨の有無を検知させる。
この状態で、操作者が収容凹部71から硬貨を取り出す際に、硬貨入金処理時と同様、外側下向突出部338及び中央延出部321が、カバー部66と、側方上面形成部92及び後方上面形成部91との間への硬貨の入り込みを抑制する。また、奥側上向突出部103と、横側下向突出部342と、外側下向突出部338とが、受皿部3よりも後方への硬貨の脱落を抑制する。
残留検知センサ181で収容凹部71に残留する硬貨がなくなったことを検知すると、制御部63は、硬貨入金処理時と同様、受皿駆動部67で受皿部3を引込位置に位置させ、その後、残留検知センサ181によって収容凹部71に残留する硬貨の有無を再度検知させ、収容凹部71に硬貨の残留がなければ、返却操作を可能とする。
硬貨入金処理時と同様に、受皿部3の引込位置への移動時に、外側下向突出部338が、或いは、外側下向突出部338及び外側上向突出部107が、側方上面形成部92に残存する硬貨を収容凹部71に落下させる。また、後方上面形成部91と中央延出部321との間に残存する硬貨については、奥側上向突出部103又は奥側下向突出部347と、横側下向突出部342及び外側下向突出部338とが、受皿部3よりも後方への脱落を抑制し、奥側下向突出部347及び横側下向突出部342が収容凹部71に落下させる。
制御部63は、硬貨入金処理時と同様、受皿駆動部67による受皿部3の引込位置への移動後、残留検知センサ181によって収容凹部71に残留する硬貨の有無を再度検知させ、引込位置で収容凹部71の硬貨の残留が検知されなくなるまで、受皿駆動部67による受皿部3の上記進退を繰り返し、引込位置で収容凹部71に硬貨の残留がなくなると、返却操作を可能とする。
返却操作が可能な状態で、操作表示部61に返却操作が入力されると、制御部63は、受皿部3が引込位置にある状態でロック部251をロック状態とし、図35に示すように、一括中間プール32から繰出部42で硬貨を繰り出し、出金側搬送部55、シャッタ6が閉状態の硬貨入金部5及び入金側搬送部15で搬送して、識別部18で識別及び計数後、放出案内部20で受皿部3に放出する整理返却処理を行う。このときも、硬貨入金処理時と同様、奥側下向突出部347、横側下向突出部342及び外側下向突出部338が、カバー部66と、後方上面形成部91及び側方上面形成部92との間への硬貨の入り込みを抑制する。
その後、一括中間プール32、出金側搬送部55、硬貨入金部5及び入金側搬送部15に硬貨がなくなると、制御部63は、硬貨入金処理時と同様、ロック部251をロック解除状態にした後、受皿駆動部67で受皿部3を突出位置に位置させて、残留検知センサ181で収容凹部71に残留する硬貨の有無を検知させる。
この状態で、操作者が収容凹部71から硬貨を取り出す際に、硬貨入金処理時と同様、外側下向突出部338及び中央延出部321が、カバー部66と、側方上面形成部92及び後方上面形成部91との間への硬貨の入り込みを抑制する。また、奥側上向突出部103と横側下向突出部342と外側下向突出部338とが受皿部3よりもスライド方向奥側への硬貨の脱落を抑制する。
残留検知センサ181で収容凹部71に残留する硬貨がなくなったことを検知すると、制御部63は、硬貨入金処理時と同様、受皿駆動部67で受皿部3を引込位置に位置させ、その後、残留検知センサ181によって収容凹部71に残留する硬貨の有無を再度検知させ、収容凹部71に硬貨の残留がなければ、整理貯留処理及び整理返却処理からなる硬貨整理計数処理を終了する。
硬貨入金処理時と同様に、受皿駆動部67による受皿部3の引込位置への移動時に、外側下向突出部338が、或いは、外側下向突出部338及び外側上向突出部107が、側方上面形成部92に残存する硬貨を収容凹部71に落下させる。また、後方上面形成部91と中央延出部321との間に残存する硬貨については、奥側上向突出部103又は奥側下向突出部347と、横側下向突出部342及び外側下向突出部338とが、受皿部3よりも後方への脱落を抑制し、奥側下向突出部347及び横側下向突出部342が収容凹部71に落下させる。
制御部63は、硬貨入金処理時と同様、受皿駆動部67による受皿部3の引込位置への移動後、残留検知センサ181によって収容凹部71に残留する硬貨の有無を再度検知させ、引込位置で収容凹部71の硬貨の残留が検知されなくなるまで、受皿駆動部67による受皿部3の上記進退を繰り返し、引込位置で収容凹部71に硬貨の残留がなくなると、硬貨整理計数処理を終了する。
以上に述べた貨幣処理装置1によれば、受皿駆動部67が装置本体2に対して受皿部3を、装置本体2から硬貨を受け入れる引込位置と、硬貨を装置外部に取り出し可能とする突出位置との間で移動させる。よって、装置本体2に対して受皿部3を手動で抜き差しする場合と比べて、作業性を向上させることができる。
受皿駆動部67は、引込位置にある受皿部3への装置本体2からの硬貨の放出が完了すると、受皿部3を突出位置に移動させるため、装置本体2から受皿部3への硬貨の放出が完了すると、自動的に受皿部3を装置本体2から突出させ、硬貨を装置外部に取り出し可能とする。これにより、硬貨放出動作終了後に生じる硬貨の取り忘れを抑制することができる。
受皿駆動部67は、突出位置にある受皿部3の硬貨の残留を残留検知センサ181が検知しなくなると、受皿部3を引込位置に移動させるため、受皿部3からの硬貨の取り出しが完了すると、自動的に受皿部3を装置本体2に引き込ませ、次の硬貨放出動作が可能となる。これにより、硬貨の取り忘れを抑制することができると共に、次の硬貨放出動作を円滑に行うことができる。即ち、装置本体から抜き取ることができる受皿は、抜き取り後に装置本体にセットし忘れると、次の硬貨放出動作が行うことができず、作業に手間取ってしまうことがあるが、このような状況になることがない。
装置本体2のカバー部66と、これに対向する受皿部3の上面形成部72との間に硬貨が入り込もうとしても、外側下向突出部338、横側下向突出部342及び奥側下向突出部347がこれらの間への硬貨の進入を抑制する。よって、装置本体2のカバー部66と受皿部3の上面形成部72との間に入り込むことによる硬貨の取り忘れや、硬貨の受皿部3からの脱落を抑制することができる。
奥側下向突出部347が、カバー部66における硬貨放出口355のスライド方向奥側から下方に突出するため、装置本体2の硬貨放出口355から放出された硬貨が、収容凹部71のスライド方向奥側で、装置本体2のカバー部66と受皿部3の上面形成部72との間に入り込むことを抑制することができる。
受皿部3の上面形成部72に複数形成された後方溝101のそれぞれに奥側下向突出部347が入り込むため、装置本体2の硬貨放出口355から放出された硬貨が、収容凹部71のスライド方向奥側で、装置本体2のカバー部66と受皿部3の上面形成部72との間に入り込むことを一層抑制することができる。また、受皿部3が突出位置にあるときに上面形成部72の収容凹部71よりもスライド方向奥側にある硬貨を、受皿部3の引込位置への移動で奥側下向突出部347により収容凹部71に向け移動させることができる。
横側下向突出部342が、カバー部66における硬貨放出口355のスライド直交方向の両側で下方に突出するため、装置本体2の硬貨放出口355から放出された硬貨が、収容凹部71のスライド直交方向側方で、装置本体2のカバー部66と受皿部3の上面形成部72との間に入り込むことを抑制することができる。
受皿部3の上面形成部72における、収容凹部71のスライド直交方向両側に形成された側方溝105にそれぞれ横側下向突出部342が入り込むため、装置本体2の硬貨放出口355から放出された硬貨が、収容凹部71のスライド直交方向側方で、装置本体2のカバー部66と受皿部3の上面形成部72との間に入り込むことを一層抑制することができる。
外側下向突出部338が、カバー部66のスライド方向の外側における、収容凹部71のスライド直交方向両側からそれぞれ下方に突出するため、突出位置にある受皿部3の上面形成部72にある硬貨が、受皿部3の引込位置への移動で装置本体2のカバー部66と受皿部3の上面形成部72との間に入り込むことを抑制することができる。
両側の外側下向突出部338が、それぞれ収容凹部71からスライド直交方向に離れるほどスライド方向の外側に位置するように傾斜するため、突出位置にある受皿部3の上面形成部72にある硬貨を、外側下向突出部338が受皿部3の引込位置への移動で収容凹部71側へ案内し、収容凹部71に落下させることができる。
両側の外側下向突出部338のそれぞれのスライド方向外側に、収容凹部71からスライド直交方向に離れるほどスライド方向奥側に位置するように傾斜する外側上向突出部107を有するため、突出位置にある受皿部3の上面形成部72にある硬貨を、外側下向突出部338及び外側上向突出部107が受皿部3の引込位置への移動で収容凹部71側へ案内し、収容凹部71に落下させることができる。
受皿部3の上面形成部72における、収容凹部71のスライド直交方向両側に形成された側方溝105にそれぞれ外側下向突出部338が入り込むため、突出位置にある受皿部3の上面形成部72にある硬貨が、受皿部3の引込位置への移動で装置本体2のカバー部66と受皿部3の上面形成部72との間に入り込むことを一層抑制することができる。
カバー部66は、その中央延出部321が、突出位置にある受皿部3の上面形成部72の収容凹部71よりもスライド方向奥側を覆っているため、この中央延出部321によって、収容凹部71よりもスライド方向奥側への硬貨の移動を抑制することができる。
受皿部3から後方に硬貨が脱落しようとしても、奥側上向突出部103又は奥側下向突出部347と、横側下向突出部342と、外側下向突出部338とがこの脱落を抑制する。よって、受皿部3からその後側の装置本体2内への硬貨の脱落を抑制することができる。
奥側上向突出部103が、受皿部3の上面形成部72の収容凹部71よりもスライド方向の奥側から上方に突出するため、受皿部3の上面形成部72の収容凹部71よりもスライド方向奥側に入り込んだ硬貨の装置本体2内への脱落を抑制することができる。
奥側上向突出部103は、カバー部66に複数形成された天井溝351のそれぞれに入り込むため、受皿部3の上面形成部72の収容凹部71よりもスライド方向奥側に入り込んだ硬貨の装置本体2内への脱落を一層抑制することができる。
装置本体2から受皿部3に硬貨を放出する際に、引込位置にある受皿部3をロック部251が装置本体2に移動不可にロックするため、装置本体2から受皿部3に硬貨を放出している最中に誤って受皿部3が装置本体2から引き出されてしまうことを抑制することができる。よって、硬貨を装置本体2から受皿部3に良好に放出させることができる。
ロック部251は通電停止状態ではロックを解除するため、停電時には、受皿部3を装置本体2から手動で引き出すことが可能になり、受皿部3の硬貨を容易に取り出すことが可能となる。
以上の実施形態を以下の変形例のように変更することができる。
[変形例1]
カセット案内部21の末端の硬貨放出口355の近傍に硬貨が詰まって滞留した状態で受皿部3を引込位置から突出位置に向かって開作動させると、硬貨放出口355に滞留していた硬貨が、受皿部3の移動中、或いは移動後に崩れて落下する可能性がある。この場合、崩れて落下する硬貨は、受皿部3よりも後方位置の受皿駆動部67に落下してしまう可能性がある。このような硬貨放出口355の硬貨の滞留を抑制するため、放出案内部20において、末端位置の硬貨放出口355又はその上側の図3に示すシュート356の下端の先端口にシャッタを設けても良い。
[変形例2]
硬貨放出口355の近傍の高さの水平方向側方に、引込位置にある受皿部3内で盛り上がった状態の硬貨の有無を検知する盛上検知センサを設け、この盛上検知センサで硬貨を検知すると、受皿駆動部67を駆動して、受皿部3を僅かに前後に振動させて、硬貨の盛り上がりを解消するようにしても良い。この場合、受皿部3の振動を所定時間行うことで、盛上検知センサで硬貨を検知しなくなったことを条件に、受皿部3を開作動させる。一方、受皿部3の振動を所定時間行っても、盛上検知センサで硬貨を検知していれば、受皿部3を開作動させることなくアラームを発生させる。