以下に、本開示に係る車両用灯具の一実施形態としての車両用灯具10の各実施例について図1から図7を参照しつつ説明する。なお、図1は、図5と同様の断面となるように車両用灯具10を示したものである。
車両用灯具10は、自動車等の車両の灯具として用いられるもので、実施例1ではテールランプに用いた例を示す。車両用灯具10は、車両の前部の左右両側で、図1に示すように、前端が開放されたランプハウジング11と、その開口部を覆うアウターレンズ12と、で灯室13を形成する。そのランプハウジング11は、一端が開放されかつ他端が閉塞された中空形状とされ、灯具ユニット20の取付箇所を構成するとともに、それらの点灯制御のための点灯駆動装置を収容する。
この灯室13には、インナーパネル14が設けられる。インナーパネル14は、灯具ユニット20における後述する出射面43以外の箇所やランプハウジング11の内側や点灯駆動装置等を隠して車両用灯具10の意匠性を高める。この車両用灯具10では、灯室13に灯具ユニット20を設ける。以下の説明では、車両用灯具10において、車両の直進時の進行方向であって灯具ユニット20からの光の出射により照射する方向を照射方向(前側)とし、車両に搭載された状態での鉛直方向を上下方向とし、照射方向および上下方向に直交する方向を幅方向とする。
灯具ユニット20は、図2に示すように、光源21と導光体22とを備える。実施例1の灯具ユニット20は、光源21から出射された光を導光体22に入射させ、その導光体22が照射方向前側の前面23(正面)に設けた後述する出射面43へと光を導いて出射させることで、出射面43全体を光らせる。
光源21は、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子で構成され、基板に実装されている。実施例1の光源21は、出射光軸が幅方向に大略沿って設けられている。基板は、点灯制御回路からの電力を光源21に適宜供給することができ、光源21を点灯させる。なお、光源21は、複数の発光素子で構成されていてもよく、実施例1の構成に限定されない。
導光体22は、光の透過を許す透明な樹脂材料で形成されており、実施例1ではアクリル樹脂で形成されている。導光体22は、前面23とは反対側(照射方向後側)が背面24(後面)とされ、光源21側の端部が入射面25とされ、幅方向で反対側の端部が奥端面26とされている。入射面25は、光源21の出射光軸に略直交する平坦な面とされ、光源21から出射された光を導光体22内に入射させる。奥端面26は、導光体22における光の進行方向の奥側の端部となるもので、実施例1では平坦な面とされている。なお、奥端面26は、蒸着や塗装等によりアルミや銀等を接着させることで、光を反射させるものとしてもよい。
導光体22は、光源21から出射された光を導く導光箇所30と、そこで導かれた光を照射方向前側へ向けて出射する出射箇所40と、を有し、それらが一体的に形成されている。ここで、導光箇所30と出射箇所40とは、一体的に形成されているが、以下の説明では両者の境界部分を導光側接続面32、出射側接続面41(図5に二点鎖線で示す)として、両接続面(32、41)で接続されているものとする。
導光箇所30は、図2から図5に示すように、幅方向すなわち光源21の出射光軸の方向に沿って延びる長尺な棒状とされ、幅方向に直交する断面が矩形状とされている。導光箇所30は、図5に示すように、上側の面が導光側面31とされ、下側の出射箇所40との境界面が導光側接続面32とされ、照射方向前側の面が導光前面33(導光正面)とされ、照射方向後側の面が導光背面34(導光後面)とされている。
導光側面31は、導光箇所30において出射箇所40とは反対側に位置されており、滑らかな面とされている。この滑らかな面とは、平坦面または平坦面が湾曲されて構成された面であって、凹凸や段差等が設けられることなく位置の差異による角度の変化の態様が滑らかである面をいう。導光側面31は、入射面25から入射された光を、全反射を利用して奥端面26側へと進行させる。導光背面34は、導光体22における背面24の一部を構成するもので、導光側面31と連続されて設けられ、同様の滑らかな面とされている。導光背面34は、入射面25から入射された光を、全反射を利用して奥端面26側へと進行させる。ここで、導光側面31および導光背面34は、共に滑らかな面とされているので、入射面25から入射された光が進行する態様(幅方向のベクトル成分と上下方向のベクトル成分との割合)が大きく変化することはない。
導光前面33は、導光体22における前面23の一部を構成するもので、拡散部27が設けられている。拡散部27は、水平方向に延びる凹部27aおよび凸部27bが上下方向で交互に並んで形成されている(図2から図5参照)。拡散部27は、実施例1では、導光前面33の全面に亘り、すなわち幅方向では入射面25から奥端面26に至る範囲でかつ上下方向では導光側面31から導光側接続面32に至る範囲で設けられている。拡散部27は、入射面25から入射された光を、凹部27aおよび凸部27bで全反射を利用して奥端面26側へと進行させる。ここで、入射面25から入射された光は、基本的に奥端面26側へと向かうものとされているが、凹部27aおよび凸部27bが水平方向に延びて形成されているので、そこで反射されることで一部の進行方向が上下方向に沿うもの(上下方向のベクトル成分が大きいもの)に変化されて導光側接続面32(出射箇所40)側へと進行する。なお、出射箇所40側へと進行する光は、凹部27aおよび凸部27bが水平方向に延びているので、奥端面26側へと向かうすなわち幅方向のベクトル成分は維持される。
この導光箇所30は、図2から図5に示すように、入射面25から入射された光を、奥端面26側へと進行させつつ一部を導光側接続面32(出射箇所40)側に進行させる。これは、光源21から出射されて入射面25に至る光が放射状の進行方向とされているので、その角度に応じて奥端面26側へと進行することで、一部の光が導光側接続面32側に向かうことと、一部の光が拡散部27により進行方向が変化されることと、による。なお、導光側面31と導光前面33と導光背面34(拡散部27)とは、蒸着や塗装等によりアルミや銀等を接着させることで、光を反射させるものであってもよい。
出射箇所40は、導光箇所30の導光側接続面32から下方に延びる長尺な板状とされている。実施例1の出射箇所40は、入射面25側から奥端面26側に向かうに連れて上下方向での寸法が漸増されており、入射面25での屈折を考慮した光源21からの放射方向に沿うように広がっている。出射箇所40は、図5に示すように、上側の面が導光箇所30の導光側接続面32に接続される出射側接続面41とされ、下側の面が出射側面42とされ、照射方向前側の面が出射面43とされ、照射方向後側の面が出射背面44(出射後面)とされている。
出射側面42は、出射箇所40において出射側接続面41とは反対側に位置されている。出射側面42は、出射箇所40における下側の端部となるもので、実施例1では平坦な面とされている。なお、出射側面42は、蒸着や塗装等によりアルミや銀等を接着させることで、光を反射させるものとしてもよい。
出射面43は、導光箇所30の導光前面33と並んで設けられて、導光体22における前面23の一部を構成する。出射面43は、照射方向に略直交する面とされており、後述するように出射背面44(その反射部28)で反射された光を出射箇所40の外方へ出射させる。ここで、出射背面44で反射された光は、後述するように基本的に照射方向前側へと向かうものとされるので、多くが出射面43から出射される。
実施例1の出射面43には、拡散部27が設けられている。拡散部27は、導光箇所30の導光前面33に設けられたものと同様であり、水平方向に延びる凹部27aおよび凸部27bが上下方向で交互に並んで形成されている。拡散部27は、実施例1では、出射面43の全面に亘り、すなわち幅方向では入射面25から奥端面26に至る範囲でかつ上下方向では出射側接続面41から出射側面42に至る範囲で設けられている。この拡散部27は、実施例1では、導光前面33および出射面43に亘って連続して一体に設けられており、灯具ユニット20における照射方向の前側からの基本的な外観を規定する。出射箇所40における拡散部27は、出射背面44で反射された光を、凹部27aおよび凸部27bの形状に従って屈折させつつ出射させることで拡散させる。なお、拡散部27の凹部27aおよび凸部27bの延びる方向は、略幅方向に延びるものであって、それらが略上下方向に並ぶものであればよく、厳密に一致されるものでなくてもよい。
出射背面44は、導光箇所30の導光背面34と並んで設けられて、導光体22における背面24の一部を構成する。出射背面44は、導光箇所30により出射側接続面41から出射箇所40内に導かれた光を、出射面43側へと反射させるものであり、反射部28が設けられている。反射部28は、上下方向に延びる凹部28aおよび凸部28bが幅方向で交互に並んで形成されている(図4等参照)。反射部28は、実施例1では、出射背面44の全面に亘り、すなわち幅方向では入射面25から奥端面26に至る範囲でかつ上下方向では出射側接続面41から出射側面42に至る範囲で設けられている。なお、反射部28の凹部28aおよび凸部28bの延びる方向は、略上下方向に延びるものであって、それらが略幅方向に並ぶものであればよく、厳密に一致されるものでなくてもよい。
反射部28は、導光箇所30により導かれた光を、凹部28aおよび凸部28bの形状に従って全反射を利用して出射面43側に進行させる。ここで、光源21からの光は、入射面25から入射されて導光箇所30内を基本的に幅方向に進行する(幅方向のベクトル成分が大きい)ので、導光箇所30により出射箇所40へと導かれた後であっても、基本的に幅方向に進行する。このため、導光箇所30により導かれた光は、上下方向に延びる凹部28aおよび凸部28bで反射されることで、多くが照射方向の前側すなわち出射面43側へと進行する。なお、出射背面44(反射部28)は、蒸着や塗装等によりアルミや銀等を接着させることで、光を反射させるものであってもよい。
車両用灯具10は、灯具ユニット20において、点灯制御回路からの電力を基板から光源21に供給して、光源21を点灯させる。すると、光源21からの光は、その出射光軸を中心としつつ放射状に進行して入射面25に至り、入射面25から導光体22内に進行する。ここで、導光体22では、光源21の出射光軸の方向に沿って延びるように導光箇所30が設けられ、入射面25側から奥端面26側に向かうに連れて上下方向での寸法が漸増されて出射箇所40が設けられている。このため、導光体22内に進行した光は、一部が導光箇所30内を幅方向に進行し、残りの他部が直接導光側接続面32および出射側接続面41を経て出射箇所40へと進行する。
導光箇所30内を進行する光は、導光側面31や導光背面34で全反射されることで奥端面26側へと積極的に導かれる。この光は、奥端面26側へと進行していく中で角度に応じて導光側接続面32および出射側接続面41を経て少しずつ出射箇所40へと進行していく。直接出射箇所40へと進行する光も、光源21からの角度に応じて進行する。このように、導光箇所30は、入射面25から入射された光を、幅方向に進行させつつ出射箇所40へと導く。
導光箇所30により導かれた光は、出射箇所40内を幅方向に進行し、その進行していく中で角度に応じて出射背面44の反射部28に達し、反射部28で反射されることで、出射面43側へと進行するものすなわち照射方向前側へと向かうもの(照射方向のベクトル成分が大きいもの)とされる。このとき、光源21からの光が放射状に進行するので、幅方向で大きな偏りなく導光箇所30から出射箇所40へと進行するとともに、幅方向および上下方向で大きな偏りなく反射部28により出射面43側へと進行する。出射面43側へと進行した光は、拡散部27により拡散されつつ出射面43から出射される。これにより、出射面43は、幅方向での輝度のバラつきを小さなものとして全面に亘って光る。なお、出射面43を光らせる態様は、適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
ここで、導光体22では、導光箇所30の上下方向での寸法すなわち導光前面33および導光背面34の上下方向での寸法を調整することで、導光箇所30が奥端面26側へと導く光量を調整でき、出射面43における輝度分布を調整できる。このため、導光箇所30の上下方向での寸法は、出射面43が全面に亘って光るように、出射面43(反射部28)の大きさや形状と光源21からの光量等を考慮して、適宜設定すればよい。また、導光箇所30の上下方向での寸法は、入射面25から奥端面26へ向かうに連れて変化させてもよく、実施例1の構成に限定されない。
車両用灯具10は、インナーパネル14により出射面43以外の箇所やランプハウジング11の内側や点灯駆動装置等が隠されているので、全面に亘って光る出射面43のみが視認される(図1参照)。これにより、車両用灯具10は、出射面43が全面に亘って光ることで前側における上下方向や左右方向からの視認が可能とされ、車両におけるテールランプとして機能する。
本願発明の車両用灯具10は、導光体22において光源21に連続させて導光箇所30を設けており、その導光箇所30において出射箇所40とは反対側の導光側面31を滑らかな面としている。このため、車両用灯具10は、棒状導光部内に導かれた光を棒状側レンズカットで板状導光部へと積極的に反射させる従来の車両用灯具と比較して、導光体22内で奥端面26の近傍(例えば、奥端面26から、出射面43の幅方向の長さの約4分の1となる領域)までより多くの光を進行させることができる。これにより、車両用灯具10は、従来の車両用灯具と比較して、出射面43において、奥端面26の近傍(奥端位置)の輝度を大きくすることができ、これに伴い入射面25の近傍での輝度を小さくすることができ、幅方向での輝度のバラつきを小さなものとして全面に亘って光らせることができる。
ここで、比較例の車両用灯具について説明する。比較例の車両用灯具は、導光体22に導光箇所30が設けられていないことを除くと、本願発明の車両用灯具10と同様の構成とされている。このため、以下では、理解を容易とするために、車両用灯具10と同様の名称および符号を用いて説明する。比較例の車両用灯具は、導光体22において、導光箇所30が設けられておらず、替わりに導光箇所30の導光背面34に相当する位置まで出射箇所40の出射背面44の反射部28が設けられている。このため、比較例の車両用灯具は、最も光量が大きくなる光源21の出射光軸の方向の光を入射面25の近傍であっても積極的に反射部28で反射させて出射面43から出射させるので、出射面43における入射面25の近傍での輝度が大きくなるとともに奥端面26の近傍での輝度が小さくなり、幅方向での輝度のバラつきが大きくなってしまう。
これに対して、本願発明の車両用灯具10は、導光体22の背面24において、入射面25から光源21の出射光軸が延びる方向に位置する箇所には反射部28を設けることなく滑らかな面とした導光背面34を設けることで、入射面25に連続して導光箇所30を形成している。この車両用灯具10は、光源21からの光を入射面25から導光体22内に進行させると、その光のうちの出射光軸の方向に進行する光を導光箇所30に進行させ、それよりも下方に進行する光を直接出射箇所40へと進行させる。このため、車両用灯具10は、入射した光を基本的に入射面25に連続する導光箇所30に進行させつつ角度に応じて少しずつ出射箇所40へと進行させるので、入射面25の近傍では積極的に出射面43から出射させることはなく、導光箇所30により奥端面26の近傍まで光を導くことができる。これにより、車両用灯具10は、比較例の車両用灯具と比較して、出射面43における入射面25の近傍での輝度を小さくできるとともに奥端面26の近傍での輝度を大きくでき、幅方向での輝度のバラつきを小さなものとして、出射面43を全面に亘って光らせることができる。特に、車両用灯具10は、入射面25から光源21の出射光軸に沿う方向に延ばして導光箇所30を設けているので、最も光量が大きくなる出射光軸の方向の光を積極的に奥端面26側へと導くことができ、幅方向での輝度のバラつきをより小さなものとして出射面43を全面に亘って光らせることができる。
実施例1の車両用灯具10は、以下の各作用効果を得ることができる。
車両用灯具10は、光源21からの光を外部に出射させる導光体22に、入射面25に連続して設けられ光源21からの光を導く導光箇所30と、導光箇所30に連続されて設けられ導光箇所30により導かれた光を外部に出射面43から出射させる出射箇所40と、を設けている。その出射箇所40は、出射背面44に反射部28が設けられ、導光箇所30は、導光側面31が滑らかな面とされている。このため、車両用灯具10は、入射した光を、導光側面31で出射箇所40側へと積極的に反射することがなく、導光箇所30に進行させつつ角度に応じて少しずつ出射箇所40へと進行させるので、奥端面26の近傍まで光を導くことができる。これにより、車両用灯具10は、従来の車両用灯具と比較して、出射面43における入射面25の近傍での輝度を小さくできるとともに奥端面26の近傍での輝度を大きくでき、幅方向での輝度のバラつきを小さなものとして出射面43を全面に亘って光らせることができる。
車両用灯具10は、導光体22の背面24において、比較例の車両用灯具では反射部28が設けられていた箇所を、滑らかな面とした導光背面34を設けることで、入射面25に連続して導光箇所30を形成している。このため、車両用灯具10は、簡易に導光体22に導光箇所30を設けることができ、外観の意匠や導光体22以外の部品の変更を招くことなく、幅方向での輝度のバラつきを小さなものとして出射面43を全面に亘って光らせることができる。
車両用灯具10は、導光体22において、導光箇所30を光源21の出射光軸に沿って設けている。このため、車両用灯具10は、最も光量が大きくなる出射光軸の方向の光を積極的に奥端面26側へと導くことができ、幅方向での輝度のバラつきをより小さなものとして出射面43を全面に亘って光らせることができる。
車両用灯具10は、導光箇所30の導光背面34も滑らかな面としている。このため、車両用灯具10は、導光箇所30を幅方向に進行する光を、導光側面31により出射面43側へと積極的に反射することがなく、かつ導光背面34により出射箇所40側へと積極的に反射することがない。これにより、車両用灯具10は、入射面25から入射された光を、より積極的に奥端面26側へと導くことができ、幅方向での輝度のバラつきをより小さなものとして出射面43を全面に亘って光らせることができる。
車両用灯具10は、出射背面44の反射部28が、光源21の出射光軸と直交する方向に延びる凹部28aおよび凸部28bが交互に並んで形成されている。このため、車両用灯具10は、入射面25から入射されて導光箇所30により出射箇所40へと導かれた光源21からの光が基本的に幅方向に進行するので、この光を光源21の出射光軸と直交する方向に延びる凹部28aおよび凸部28bで反射することで、多くを出射面43側へと進行させることができる。
車両用灯具10は、出射面43に設けられた拡散部27が、光源21の出射光軸に延びる凹部27aおよび凸部27bが交互に並ばせて形成されている。このため、車両用灯具10は、照射方向前側から出射面43を見ると、反射部28としての出射光軸と直交する方向に延びる凹部28aおよび凸部28bの手前に、拡散部27としての出射光軸に伸びる凹部27aおよび凸部27bを重ねることができる。これにより、車両用灯具10は、反射部28が直に露見することを防止できるとともに十字の模様として視認させることができ、洗練された見栄えにできる。また、車両用灯具10は、出射面43から出射させる光を拡散部27で拡散することができ、幅方向での輝度のバラつきをより小さなものとして出射面43を全面に亘って光らせることができる。
車両用灯具10は、拡散部27が出射箇所40の出射面43から導光箇所30の導光前面33に亘って設けられている。このため、車両用灯具10は、灯具ユニット20における照射方向の前側からの基本的な外観を拡散部27で規定することができる。また、車両用灯具10は、導光前面33に拡散部27を設けることで、一部の光を進行方向が上下方向に沿うものに変化させて出射箇所40側へと進行させることができ、光源21からの光をより有効に利用することができる。
したがって、本開示に係る車両用灯具としての実施例1の車両用灯具10は、導光体22における光源21から離れた奥端位置であっても明るさを向上できる。
次に、本開示の一実施形態である実施例2の車両用灯具10Aについて、図6および図7を用いて説明する。車両用灯具10Aは、実施例1の車両用灯具10の導光体22における導光箇所30の構成を変更したものである。車両用灯具10Aは、基本的な概念および構成が実施例1の車両用灯具10と同様であるので、等しい構成の個所には同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
実施例2の車両用灯具10Aは、図6に示すように、灯具ユニット20Aの導光体22Aの背面24Aの導光箇所30Aにおいて、導光側面31Aが上方に膨らむように湾曲されて形成されている。この導光側面31Aは、照射方向に直交する断面において、出射背面44における奥端面26近傍の任意の位置に第1焦点f1を位置させるとともに、第1焦点f1と光源21とを結ぶ直線と入射面25との交点に第2焦点f2を位置させた楕円(破線で示す楕円参照)の一部を描くものとされている。この導光箇所30Aは、光源21から出射されて第2焦点f2を通った光のうちの導光側面31Aの楕円を描く箇所に至った光を、その導光側面31Aで反射することで第1焦点f1に至らせることができる。これにより、導光箇所30Aは、導光体22Aに入射した光のうちのより多くの光を奥端面26近傍へと導くことができる。なお、導光側面31Aは、上記した楕円を基調とする自由曲面とされていてもよく、実施例2の構成に限定されない。
ここで、車両用灯具10Aおよび比較例の車両用灯具における出射面43から出射される光の幅方向での輝度分布の差異を図7に示す。この比較例の車両用灯具は、実施例1で述べたものであり、導光体22に導光箇所30が設けられていないことを除くと、実施例1の車両用灯具10Aと同様の構成とされている。車両用灯具10Aは、図7に示すように、比較例の車両用灯具と比較して、入射面25と中央部との中間位置の輝度を最大で約21%抑制させているとともに、奥端面26近傍の輝度を最大で約18%上昇させている。このことから、車両用灯具10Aは、比較例の車両用灯具と比較して、導光側面31Aを上記した楕円とした導光箇所30Aを設けることで、幅方向での輝度のバラつきを小さなものとして出射面43を全面に亘って光らせることができる。
実施例2の車両用灯具10Aは、基本的に実施例1の車両用灯具10と同様の構成であるので、実施例1と同様の効果を得られる。
それに加えて、車両用灯具10Aは、導光側面31Aの照射方向に直交する断面において、出射背面44に第1焦点f1を位置させるとともに第1焦点f1と光源21とを結ぶ直線と入射面25との交点に第2焦点f2を位置させた楕円としている。このため、車両用灯具10Aは、より多くの光を出射背面44における第1焦点f1の位置に導くことができ、幅方向での輝度のバラつきをより小さなものとして出射面43を全面に亘って光らせることができる。
したがって、本開示に係る車両用灯具としての実施例2の車両用灯具10Aは、導光体22Aにおける光源21から離れた奥端位置であっても明るさを向上できる。
以上、本開示の車両用灯具を各実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については各実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
なお、各実施例では、導光体22の出射背面44において、光源21の出射光軸と直交する方向に延びる凹部28aおよび凸部28bを交互に並べた反射部28を設けている。しかしながら、反射部28は、出射箇所40に導かれた光を出射面43へ向けて反射するものであればよく、各実施例の構成に限定されない。
また、各実施例では、導光体22の出射面43において、光源21の出射光軸方向に延びる凹部27aおよび凸部27bを交互に並べた拡散部27を設けている。しかしながら、拡散部27は、出射面43から出射する光を拡散するものであればよく、各実施例の構成に限定されない。また、拡散部27は、設けなくてもよく、各実施例の構成に限定されない。さらに、拡散部27は、導光箇所30における導光前面33に亘って設けられていたが、導光前面33には設けなくてもよく、各実施例の構成に限定されない。
さらに、各実施例では、単一の光源21を設けていたが、複数の光源を設けるものでもよく、各実施例の構成に限定されない。ここで、実施例2では、光源21の位置に基づく第2焦点f2に合わせて導光側面31Aを楕円形状としているが、複数の光源を用いる場合には各光源の位置に基づいて複数の楕円形状の面を設けてもよく、実施例2の構成に限定されない。