以下に、本開示に係る車両用灯具の一実施形態としての車両用灯具10の実施例1について図1から図8を参照しつつ説明する。なお、図6では、第1光源13からの光が進行する様子の把握を容易とするために、それぞれ第1導光体41(その切断面)に付すハッチングを省略している。また、図6は、第1光源13からの光が進行する様子の把握を容易とするために、第1光源13とリフレクタ15(反射面19)と第1導光体41のみを示している。
車両用灯具10は、自動車等の車両の灯具として用いられるもので、例えば、ヘッドランプやフォグランプ等に用いられる。車両用灯具10は、車両の前部の左右両側で、ランプハウジングの開放された前端がアウターレンズで覆われて形成される灯室に、上下方向用光軸調整機構や幅方向用光軸調整機構を介して設けられる。以下の説明では、車両用灯具10において、車両の直進時の進行方向であって光を照射する方向を光軸方向(図面ではZとする)とし、車両に搭載された状態での鉛直方向を上下方向(図面ではYとする)とし、光軸方向および上下方向に直交する方向を幅方向(図面ではXとする)とする。
先ず、車両用灯具10の全体構成について説明する。車両用灯具10は、図1に示すように、第1ユニット11と第2ユニット12とを備える。第1ユニット11は、上縁にカットオフラインを有するすれ違い用配光パターンを形成し、第2ユニット12は、すれ違い用配光パターンの上端部と下端部が重ねられてすれ違い用配光パターンの上方を照らす走行用配光パターンを形成する。実施例1の車両用灯具10は、第1ユニット11と第2ユニット12とが別体とされて構成されており、第1ユニット11と第2ユニット12とが幅方向で並びつつ第2ユニット12の方が光軸方向で前方側に位置させて設けられている。第1ユニット11は、図2、図3に示すように、第1光源13と第1放熱部材14とリフレクタ15とシェード16と第1レンズ17とを備え、プロジェクタタイプの前照灯ユニットを構成する。
第1光源13は、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子で構成され、第1基板18に実装されている。その第1基板18は、第1放熱部材14の上面に固定されている。これにより、第1光源13は、第1基板18を介して第1放熱部材14に位置決めされた状態で取り付けられて、光の出射光軸(光軸方向)が略上下方向となるように配置される。この第1光源13は、電力が点灯制御回路から第1基板18を介して供給されて適宜点灯される。
第1放熱部材14は、第1光源13で発生する熱を外部に逃がす(放射させる)ヒートシンク部材であり、熱伝導性を有するアルミダイカストや樹脂で形成される。この第1放熱部材14では、上面に第1基板18が設けられるとともに、その第1基板18を覆うように上面にリフレクタ15が設けられる。
リフレクタ15は、第1基板18すなわちそこに実装された第1光源13を覆うように第1放熱部材14に取り付けられており、その第1光源13に対向する反射面19を有する。反射面19は、第1光源13から出射した光を第1レンズ17へと反射するために設けられている。反射面19は、第1光源13を第1焦点とするとともにシェード16の後述する3つのシェード部(16a、16b、16c)の上縁および後縁の近傍を第2焦点とする楕円を基本とした自由曲面とされている。
シェード16は、リフレクタ15と第1レンズ17との間に設けられ、第1光源13から出射された光の一部を遮光してすれ違い用配光パターンのカットオフラインを形成する。シェード16は、一例として、光軸方向の前側から順に、薄板状の第1シェード部16a、第2シェード部16bおよび第3シェード部16cが組み合わされて構成され、それぞれが第1放熱部材14に固定されている。第1シェード部16aは、最も第1レンズ17側に配置される。第2シェード部16bは、第1シェード部16aと所定の間隔を置いて並列されている。第3シェード部16cは、第2シェード部16bと所定の間隔を置きつつ最も第1光源13側で略水平方向に伸びている。この第1シェード部16aと第2シェード部16bとは、それぞれの上縁がカットオフラインを形成するために高さの異なる2つの水平エッジが傾斜エッジで繋ぎ合わされた形状とされ、第3シェード部16cは、後縁が高さの異なる複数のエッジが組み合わされた形状とされている。
この3つのシェード部(16a、16b、16c)は、一例として、金属材料から形成された金属プレートであり、良好な耐熱性を得ている。シェード16は、第1シェード部16aおよび第2シェード部16bの上縁(各エッジ)と、第3シェード部16cの後縁(各エッジ)と、が、リフレクタ15および第1レンズ17の焦点位置またはその近傍に位置するように配置される。シェード16は、第1光源13から出射されてリフレクタ15の反射面19で反射された光の一部を各シェード部(16a、16b、16c)の上縁および後縁で遮る(遮光する)ことで、すれ違い用配光パターンの上縁に2つの水平ラインを傾斜ラインで繋ぎ合わせたカットオフラインを形成する。
第1レンズ17は、後側焦点をシェード16の各シェード部(16a、16b、16c)の上縁および後縁の近傍に設定させている。第1レンズ17は、第1光源13から出射されてリフレクタ15の反射面19で反射されてシェード16により遮られずに進行する光を車両の前方へ投影して、すれ違い用配光パターンを形成する。このため、第1レンズ17は、車両用灯具10における投影レンズの第1領域として機能する。第1レンズ17は、第1レンズホルダ21に支持される(図1、図3参照)。第1レンズホルダ21は、第1放熱部材14よりも熱伝導率が低い(熱抵抗が大きい)樹脂部材で構成され、第1光源13やリフレクタ15やシェード16に対して第1レンズ17を位置決めした状態で、第1放熱部材14に組み付けられる。
第2ユニット12は、図1、図2、図4に示すように、第2光源31と第2放熱部材32と反射部材33と第2レンズ34とを備え、レンズ直射型(ダイレクトプロジェクタタイプ)の前照灯ユニットを構成する。
第2光源31は、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子で構成され、第2基板35に実装されている。その第2基板35は、第2放熱部材32の前面に固定されている。これにより、第2光源31は、第2基板35を介して第2放熱部材32に位置決めされた状態で取り付けられて、光の出射光軸(光軸方向)が略前方方向となるように配置される。この第2光源31は、点灯制御回路から電力が第2基板35を介して供給されて適宜点灯される。第2光源31は、一例として、第2基板35上で幅方向に複数の発光素子(図4では正面視して手前側の1つのみ図示している)が整列されて構成されており、各発光素子に個別に点灯制御回路からの電力が供給されることで、適宜一斉にまたは個別に点灯される。
第2放熱部材32は、第2光源31で発生する熱を外部に逃がす(放射させる)ヒートシンク部材であり、熱伝導性を有するアルミダイカストや樹脂で形成される。この第2放熱部材32では、前面に第2基板35が設けられるとともに、その第2基板35に実装された第2光源31の下方に反射部材33が設けられる。
反射部材33は、第2光源31の下方からから前方斜め下方に伸びて設けられ、上面が反射面33aとされている。反射面33aは、第2光源31から出射された光の一部を第2レンズ34から上側へ向けて出射させるべく第2レンズ34へと反射させて、走行用配光パターンの上方を照射する補助配光パターンを形成する。この反射面33aは、反射部材33の上面に表面処理が施されて形成されている。この表面処理は、形成する補助配光パターンをぼやけさせたり主に上下方向に拡散させたりするもので、光を拡散させつつ反射するように行われる。なお、表面処理は、形成する補助配光パターンに求められる大きさや形状や明るさ等に応じて、拡散の度合いや反射率を適宜設定すればよい。
第2レンズ34は、後側焦点を第2基板35上における第2光源31の近傍に設定させている。第2レンズ34は、第2光源31から出射された光を車両の前方へ投影して、走行用配光パターンを形成する。このため、第2レンズ34は、車両用灯具10における投影レンズの第2領域として機能する。第2レンズ34は、第2レンズホルダ36(図1参照)に支持される。第2レンズホルダ36は、第2放熱部材32よりも熱伝導率が低い(熱抵抗が大きい)樹脂部材で構成され、第2光源31や反射部材33に対して第2レンズ34を位置決めした状態で、第2放熱部材32に組み付けられる。
次に、車両用灯具10の要部構成について説明する。車両用灯具10では、第1ユニット11から第2ユニット12へと伸びる導光部40が設けられている。この導光部40は、第1光源13から出射されてシェード16により遮光される光を第2光源31へ向けて出射させるもので、図5に示すように、第1導光体41と第2導光体51とを有する。この第1導光体41と第2導光体51とは、光の透過を許す無色の透明な樹脂材料(透過部材)で形成されている。ここで、無色の透明な材料とは、第1光源13から出射された光の色を変化させることなく透過させることをいう。
第1導光体41は、第1光源13から出射されてシェード16により遮光される光を入射面42から入射させて第2導光体51へと導く。第1導光体41は、第1光源13(それが設けられた第1放熱部材14)とシェード16との間で第1放熱部材14に固定されて設けられる(図1から図3参照)。このため、第1導光体41は、第1放熱部材14を介して第1光源13に固定された状態で設けられている。このことから、第1放熱部材14は、第1光源13が設けられた取付部材として機能する。
第1導光体41は、導光本体部43と突起部48とを有する。導光本体部43は、上記した入射面42に加えて、第1反射面44と第2反射面45と第3反射面46と第1接続面47とが設けられている。この各反射面(44、45、46)は、全反射を利用して光を反射するものとしてもよく、蒸着や塗装等によりアルミや銀等を導光本体部43(第1導光体41)に接着させることで光を反射させるものとしてもよい。突起部48は、導光本体部43における第3反射面46の光軸方向の前側から、光軸方向に伸びている。入射面42は、第1光源13から出射されてシェード16により遮光される光を導光本体部43の内部へと入射させる。
入射面42は、シェード16よりも光軸方向の後側、詳細には第2シェード部16bの後ろ側であって第3シェード部16cの下方に設けられており、第1光源13(反射面19)側に向けられている(図3参照)。入射面42は、図6に示すように、第1光源13から出射され反射面19で反射されてシェード16へ向けて進行する光の少なくとも一部を、平行光として第1導光体41の内部へと入射させ、光軸方向の前側で上下方向の下側へ向けて進行させる。この平行光(平行な光)とは、光が入射面42を経ることでコリメートされた状態の光のことをいう。なお、この平行光は、完全な平行状態(コリメートされた状態)には限定されず、一部が拡散されていてもよい。このことは、以下に記載の平行光でも同様である。
第1反射面44は、図6に示すように、入射面42の光軸方向の前側で上下方向の下側に設けられており、入射面42からの平行光を上下方向の下側に向けて反射する。第1反射面44は、平坦面または略平坦な面とされており、入射面42からの平行光を平行光のまままたは平行光に近い状態で反射する。
第2反射面45は、図7に示すように、第1反射面44の上下方向の下側に設けられており、第1反射面44で反射された平行光を、図7を正面視して左右方向の右側(第2ユニット12側)に向けて反射する。第2反射面45は、図7を正面視して左下へ向けて外側に膨らむ曲面とされた放物系を基調とする自由曲面からなる反射面であり、第1反射面44で反射された平行光を焦点位置(以下では第1集光点F1ともいう)に集光するように反射する。
第3反射面46は、第2反射面45の図7を正面視して左右方向の右側に設けられており、図8に示すように、第1反射面44で反射された平行光を、光軸方向の前側に向けて反射する。第3反射面46は、図8を正面視して右上へ向けて外側に膨らむ曲面とされており、第2反射面45で反射されて第1集光点F1に集光された後に発散する光を焦点位置(以下では第2集光点F2ともいう)に集光するように反射する。
第1接続面47は、突起部48の先端に設けられている。第1接続面47は、第3反射面46で反射された集光する光を、光軸方向の前側に向けて第1導光体41(その突起部48)から出射させる。第1接続面47は、図8を正面視して下へ向けて外側に膨らむ曲面とされており、第3反射面46で反射されて突起部48の内方を進行して集光する光を焦点位置(以下では第3集光点F3ともいう)に集光するように、屈折させつつ出射させる。この第3集光点F3は、第2集光点F2よりも光軸方向の後側に設定されている。このため、第1接続面47は、第3反射面46と協働して、第2反射面45で反射された光を、進行方向を左右方向から光軸方向に変えつつ第3集光点F3に集光させる。
これにより、第1導光体41は、第1光源13から出射されてシェード16により遮光される光を、第1ユニット11の内方から左右方向の第2ユニット12側で第1接続面47から光軸方向の前側へ向けて出射させて、第3集光点F3に集光させる。
第2導光体51は、第1導光体41により導かれた光を、出射面52から第2光源31へ向けて照射する。第2導光体51は、第2放熱部材32に固定して設けられ、第1ユニット11の側方で第1接続面47から光軸方向の前側から第2ユニット12における第2光源31(それが設けられた第2放熱部材32)と第2レンズ34との間へと伸びている(図1、図2、図4参照)。このため、第2導光体51は、第2放熱部材32を介して第2光源31に固定された状態で設けられている。このことから、第2放熱部材32は、第2光源31が設けられた取付部材として機能する。第2導光体51は、断面が略円形の長尺な棒状とされ、一端の第2接続面53が第1導光体41の第1接続面47と対向されて、第2接続面53から光軸方向の前側に伸びるものとされた後に多端の出射部54が第2ユニット12の内方へと伸びるように湾曲されている。第2接続面53は、第1導光体41の第1接続面47から出射されて第3集光点F3に集光された光を入射させるものであり、平坦な面とされて第3集光点F3が面上に位置されている。第2接続面53は、第1接続面47から出射された光を第2導光体51の内部へと入射させる。このため、第1接続面47と第2接続面53とは、第1導光体41と第2導光体51とにおいて、第1ユニット11と第2ユニット12との間に設けられて光を伝達させる接続部として機能する。
第2導光体51は、第1接続面47から入射された光を、全反射を利用することで外部へと出射させることなく自らが伸びる方向へと進行させる。なお、第2導光体51は、外周面に蒸着や塗装等によりアルミや銀等を接着させることで光を反射させるものとしてもよい。このため、第2導光体51は、一端の第2接続面53から入射された光を、多端の出射部54へと進行させる。
その出射部54は、図4に示すように、第2ユニット12において、第2光源31の光軸方向の前側で斜め上方であって、その第2光源31が設けられた第2放熱部材32と第2レンズ34との間に設けられている。出射部54は、第2光源31から出射された光が第2レンズ34へと入射することを遮ることのない位置とされている。出射部54は、第2光源31と対向する面が出射面52とされているとともに、その反対側の面に反射部55が設けられている。反射部55は、第2導光体51が伸びる方向と直交する方向に延びる凹部および凸部が、第2導光体51が伸びる方向で交互に並んで形成されている(図5等参照)。反射部55は、出射部54へと導かれた光を凹部および凸部の形状に従って全反射を利用して拡散しつつ出射面52側に反射する。なお、反射部55は、出射面52側に反射するものであれば、蒸着や塗装等によりアルミや銀等を接着させることで光を反射させてもよく、他の形状でもよく、実施例1の構成に限定されない。
このため、出射部54は、進行してきた光を反射部55で反射することで、出射面52からそこに対向する第2光源31へ向けて出射させる。これにより、第2導光体51は、第1導光体41により導かれた光を第2光源31へと出射させることで、第2光源31すなわち第2基板35における第2光源31を含むその周辺を照明する。実施例1の出射部54は、第2光源31が第2基板35上で幅方向に複数の発光素子が整列されて構成されていることに合わせて、反射部55および出射面52が幅方向に伸びて設けられている。このため、第2導光体51は、第1導光体41により導かれた光を、第2光源31すなわち第2基板35において第2光源31が設けられた幅方向に伸びる領域全体を照明するものとされている。
この車両用灯具10は、次のように動作する。車両用灯具10は、点灯制御回路からの電力を第1基板18から第1光源13に供給することで、第1光源13を適宜点灯させる。これにより、車両用灯具10は、第1光源13からの光をリフレクタ15の反射面19で反射してシェード16で一部を遮って第1レンズ17で投影することで、上縁にカットオフラインを有するすれ違い用配光パターンを形成する。また、車両用灯具10は、点灯制御回路からの電力を第2基板35から第2光源31に供給することで、第2光源31を適宜点灯させる。これにより、車両用灯具10は、第2光源31からの光を第2レンズ34で投影することで、すれ違い用配光パターンの上端部と下端部を重ねるように走行用配光パターンを形成するとともに、第2光源31からの光を反射部材33で反射した後に第2レンズ34で投影することで、走行用配光パターンの上方を照射する補助配光パターンを形成する。
このとき、車両用灯具10は、第1光源13から出射されてシェード16で遮られた光を、入射面42から第1導光体41(導光部40)の内方へと入射させ、第1導光体41により第1ユニット11の側方の第2ユニット12側へと案内して、第1接続面47から第1導光体41の外方に出射させる。そして、車両用灯具10は、その光を、第2接続面53から第2導光体51の内方へと入射させ、出射部54へと導いて出射面52から第2光源31へ向けて出射させる。これにより、車両用灯具10は、第1光源13から出射されてシェード16で遮られた光で、第2光源31を全体に亘り照明する。
このため、車両用灯具10は、第2光源31を点灯させているか否かに拘わらず、第1光源13からの光の一部で第2光源31を照明できる。ここで、第2ユニット12では、第2光源31から出射された光を第2レンズ34で投影することで走行用配光パターンおよび補助配光パターンを形成するように設定されている。このため、車両用灯具10は、第2光源31を点灯させている場合と比較して光量は低減するが、第2光源31を全体に亘り照明することで、走行用配光パターンおよび補助配光パターンを形成しているときと略同じように光を第2レンズ34で投影することができ、第2レンズ34すなわち第2領域を全体に明るく見せることができる。これにより、車両用灯具10は、第1光源13を点灯するとともに第2光源31を消灯してすれ違い用配光パターンを形成している場合であっても、第1レンズ17(第1領域)と第2レンズ34(第2領域)との双方を全体に明るくすることができる。
従来の車両用灯具は、投影レンズの第2領域の後ろに設けた案内リフレクタで第2領域へ向けて反射させることで、第1光源が点灯されて第2光源が消灯されている場合でも、第1領域とともに第2領域も明るくしている。ここで、従来の車両用灯具は、投影レンズの第2領域が第2光源から出射された光で走行用配光パターンを形成する光学的な設定とされている、すなわち投影レンズの第2領域の後側焦点の近傍に第2光源が位置する位置関係とされている。また、従来の車両用灯具は、走行用配光パターンの形成を阻害しない位置に案内リフレクタを設ける必要があり、投影レンズの第2領域の後側焦点とは離れた位置に案内リフレクタを設けている。このため、従来の車両用灯具は、投影レンズの第2領域が、第2光源から出射された光とは異なる態様で、案内リフレクタで反射された光を前方へと出射させることとなる。これにより、従来の車両用灯具は、外から投影レンズを見た際、光学的に案内リフレクタに対応する方向からは第2領域が明るく見えるものの対応しない方向からは第2領域が暗く見えてしまい、第2光源が点灯している時のようには第2領域を全体に明るく見せることができない。このため、従来の車両用灯具は、第1光源を点灯して第2光源を消灯すると、第1領域が全体に明るくなるのに対して第2領域を全体に明るく見せることができず、見栄えが悪くなってしまう。
これに対して、車両用灯具10は、導光部40が第1光源13からの光の一部を用いて第2光源31を照明するので、第2光源31が点灯したときと同様に第2レンズ34(第2領域)の全体に明るくすることができる。このため、車両用灯具10は、第1光源13を点灯して第2光源31を消灯しても、第1レンズ17(第1領域)と第2レンズ34(第2領域)との双方を全体に明るくすることができ、従来の車両用灯具と比較して見栄えを向上できる。
実施例1の車両用灯具10は、以下の各作用効果を得ることができる。
車両用灯具10は、第1光源13からの光を投影してすれ違い用配光パターンを形成する第1領域(第1レンズ17)と、第2光源31からの光を投影して走行用配光パターンを形成する第2領域(第2レンズ34)と、を有する投影レンズを備える。また、車両用灯具10は、第1光源13から出射された光の一部を遮光してすれ違い用配光パターンにおけるカットオフラインを形成するシェード16と、シェード16により遮光される光を第2光源31に向けて照射させる導光部40と、を備える。このため、車両用灯具10は、第1光源13からの光の一部で導光部40により第2光源31が照明されるので、第1光源13を点灯して第2光源31を消灯しても、第1領域と第2領域との双方を全体に明るくすることができ、従来の車両用灯具と比較して見栄えを向上できる。加えて、車両用灯具10は、第1光源13から出射されてシェード16で遮られた光で第2光源31を照明しているので、第1ユニット11が形成するすれ違い用配光パターンに何らの影響を及ぼすことなく第2光源31を照明できる。
車両用灯具10は、導光部40が、第1光源13からの光を入射させる入射面42が設けられた第1導光体41と、第1導光体41により導かれた光を第2光源31へ向けて出射させる出射面52が設けられた第2導光体51と、を有し、第2導光体51が、第2光源31が設けられた取付部材(第2放熱部材32)に固定されている。このため、車両用灯具10は、第2光源31に対する第2導光体51すなわち出射面52の位置関係を適切なものにできる、換言すると、第2光源31に対して出射面52を精度良く位置決めすることができるので、簡易な構成としつつ第1光源13からの光で第2光源31を適切に照明できる。
車両用灯具10は、第1導光体41が、第1光源13が設けられた取付部材(第1放熱部材14)に固定されている。このため、車両用灯具10は、第1光源13に対する第1導光体41すなわち入射面42の位置関係を適切なものにできる換言すると、第1光源13に対して入射面42を精度良く位置決めすることができるので、簡易な構成としつつ第1光源13から出射されてシェード16により遮光される光を入射面42へと適切に入射させることができる。
車両用灯具10は、第1導光体41と第2導光体51とが間隔を置いており、第1導光体41が入射面42から入射された第1光源13からの光を導いて第1接続面47から出射させ、第2導光体51が第1接続面47から出射された光を第2接続面53から入射させて出射面52へと導く。このため、車両用灯具10は、第1導光体41と第2導光体51とを離しているので、第1導光体41や第2導光体51を容易に設けることができるとともに、導光部40が第1光源13から出射された光の一部で第2光源31を照射できる。
車両用灯具10は、第1接続面47が、第1導光体41で導いた光を出射させつつ集光点(第3集光点F3)に集光し、第2導光体51が、第2接続面53上に集光点(第3集光点F3)を位置させている。このため、車両用灯具10は、第1導光体41の第1接続面47から出射させた光を、第1導光体41とは離れている(間隔を置いている)第2導光体51の第2接続面53へと効率よく導くことができるとともに、第1接続面47と第2接続面53との位置ずれの許容範囲を大きくでき、組み立て作業を容易なものにできる。
車両用灯具10は、投影レンズが、第1領域を形成する第1レンズ17と、第1レンズ17とは別体とされて第2領域を形成する第2レンズ34と、を有する。このため、車両用灯具10は、第1レンズ17と第2レンズ34とを別体の構成としているので、第1領域と第2領域との配置の自由度を高めつつ第1光源13からの光で第1領域と第2領域とを明るくすることができる。
車両用灯具10は、第2光源31が、第1レンズ17よりも出射方向の前側に設けられ、第2導光体51が、第2光源31の前側から後ろ側へと伸びている。このため、車両用灯具10は、第1レンズ17(第1領域)と第2レンズ34(第2領域)とが離れている場合であっても、第1光源13からの光で第1領域と第2領域とを明るくすることができる。また、車両用灯具10は、離れた第1レンズ17(第1領域)と第2レンズ34(第2領域)との間を、第1導光体41および第2導光体51を通して第1光源13からの光を第2光源31へと導くので、この光の進行(光路)が他の部材に遮られることを防止できる。
車両用灯具10は、出射部54(その反射部55および出射面52)を第2光源31に合わせて幅方向に伸びるものとして、第1光源13からの光の一部で第2基板35において第2光源31が設けられた幅方向に伸びる領域全体を照明するものとしている。このため、車両用灯具10は、より適切に第2光源31が点灯したときと同様に第2レンズ34(第2領域)の全体に明るくすることができ、見栄えを向上できる。
車両用灯具10は、導光部40の第1導光体41において、入射面42から平行光として入射させ、第1反射面44で下方へと反射した後に、第2反射面45で幅方向へ向けて反射している。このため、車両用灯具10は、シェード16と第1放熱部材14との限られた空間を効率よく利用しつつ第1ユニット11の内方から外方へと第1光源13からの光を導くことができる。
車両用灯具10は、導光部40の第1導光体41において、第2反射面45が第1集光点F1に集光した後に第3反射面46へと進行させ、第3反射面46が光軸方向の前側へと反射しつつ第1接続面47と協働して第3集光点F3に集光させて、第1接続面47から光軸方向の前側へと進行させる。このため、車両用灯具10は、集光させない構成と比較して、第1導光体41を小さくしつつ、第1光源13からの光を効率よく導くことができる。
車両用灯具10は、導光部40の第1導光体41に設けることで、一体とされた第2反射面45と第3反射面46と第1接続面47とにより、第1光源13からの光を導いている。このため、車両用灯具10は、第1導光体41を設けるだけで、何らの調整をすることなく、第2反射面45と第3反射面46と第1接続面47との互いの位置関係を適切なものにできる。
車両用灯具10は、導光部40において、第1放熱部材14を介して第1導光体41を第1光源13に固定し、第2放熱部材32を介して第2導光体51を第2光源31に固定しているので、第1導光体41を第1ユニット11に設けることができ、かつ第2導光体51を第2ユニット12に設けることができる。このため、車両用灯具10は、第1ユニット11と第2ユニット12とを完全に別体の構成としつつ、導光部40により第1光源13からの光の一部で第2光源31を照明することができる。これにより、車両用灯具10は、例えば、第2導光体51の第2接続面53の近傍に設けたピボット軸を中心に、第1ユニット11に対して第2ユニット12を傾けることを可能な構成(所謂エイミング機能)とすることで、導光部40による導光を可能としつつすれ違い用配光パターンに対する走行用配光パターンおよび補助配光パターンの位置を調整できる。このとき、車両用灯具10は、第2導光体51の第2接続面53の近傍にピボット軸を設けているので、第1ユニット11に対して第2ユニット12を傾けても、第1接続面47と第2接続面53との位置関係の変化を小さくでき、第1接続面47からの光を第2接続面53に入射させることができる。また、車両用灯具10は、第1ユニット11と第2ユニット12とを完全に別体の構成にできるので、一体的な構成とされた場合と比較して搬送作業や車両への取り付け作業の自由度を高めることができる。
したがって、本開示に係る車両用灯具10としての実施例1の車両用灯具10は、第1光源13が点灯されて第2光源31が消灯されている場合の見栄えを向上できる。
以上、本開示の車両用灯具を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
なお、実施例1では、第1ユニット11と第2ユニット12とを別体として構成しており、第1レンズ17(第1領域)と第2レンズ34(第2領域)とを別体として構成している。しかしながら、車両用灯具10は、第1領域と第2領域とを一体とした投影レンズとしてもよく、第1ユニット11と第2ユニット12とを一体とした構成としてもよく、実施例1の構成に限定されない。
また、実施例1では、第1ユニット11と第2ユニット12との2つのユニットを有するものとしている。しかしながら、車両用灯具10は、第1光源13からの光ですれ違い用配光パターンを形成し、第2光源31からの光で走行用配光パターンを形成するものであれば、さらに、他の光源からの光で他の配光パターンを形成する構成(ユニット)を1つ以上有していてもよく、実施例1の構成に限定されない。
さらに、実施例1では、第2導光体51の出射面52(出射部54)を、第2光源31の光軸方向の前側で斜め上方に設けている。しかしながら、車両用灯具10は、出射面52から第2光源31へ向けて光を出射させるものであれば、第2光源31に対する出射面52の位置関係は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。