JP7217021B2 - 2剤型粘膜下注入用局注液 - Google Patents

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Description

本発明は、2剤型粘膜下注入用局注液及び前記局注液製造のための使用に関する。
なお、本明細書において、以下の略号を用いることがある。
HA:ヒアルロン酸ナトリウム
G-LA:ジェランガム
SA:アルギン酸ナトリウム
Agar:カラギーナン
SEH:粘膜下隆起高
NS:生理食塩水
また、「%」は「質量%」を意味する。
近年、消化管癌(胃癌・食道癌・大腸癌)に対する内視鏡治療件数は年々増加しているが、同時に高度な治療技術を要する内視鏡治療困難例(腫瘍径が大きい・粘膜下層に線維化がある・治療の難しい部位に腫瘍が存在する)も増加している。
消化管癌に対する内視鏡治療は現在、内視鏡的粘膜切除術(EMR)・内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の2つの手技が国内で施行されている。いずれの手技においても、粘膜下層に生理食塩水などの局注液を注入し粘膜を隆起させる「局注(local injection)」が非常に重要なステップとなる。
局注による「十分な高さの粘膜隆起形成」「粘膜隆起の長時間持続」は安全及び確実な手技(腫瘍切除)を行う上で非常に重要な要素であり、特に内視鏡治療困難例に対しては治療の成否そのものを左右する。具体的には、内視鏡治療時の深刻な合併症である消化管穿孔(腫瘍の存在する粘膜層だけでなく筋層も切除/損傷してしまうことによって生じる)の予防として、粘膜層を局注によって高く持ち上げることができれば筋層と粘膜層の距離が離れ、筋層の損傷を回避することが可能である。また粘膜隆起が高ければ、EMRでのスネアリング(絞扼)やESDでの粘膜切開/剥離が容易になり精度が上がることによって、遺残のない適切な腫瘍切除が可能となる。
現在、高い粘性を有する局注液である0.4%ヒアルロン酸ナトリウム(HA、商品名:ムコアップ)が開発され、臨床使用されている。
さらに、ムコアップに代わる局注液として、シュードプラスチック粘性を示す多糖類(特許文献1)、ポリエチレングリコール、アルギン酸ナトリウムなどの高粘性物質もしくは親水性高分子(特許文献2)、生分解性ヒドロゲル(非特許文献1)、温度依存性に液体からゲルに変化するポリマー(非特許文献2)、光架橋性キトサン(非特許文献3)などが提案されているが、現段階ではHAに置き換わる優れた局注液は開発されていない。
WO2013/077357 特開2007-75569号公報
Tran, R. T., et al. Gastrointest Endosc 75(5): 1092-1097, 2012. Fernandez-Esparrach, G., et al. Gastrointest Endosc 69(6): 1135-1139, 2009. Hayashi, T., et al. J Biomed Mater Res B Appl Biomater 71(2): 367-372, 2004.
本発明は、高い粘膜隆起が得られ、隆起持続時間が長く、組織傷害性が低く、低コストな局注液を提供することを目的とする。
また、本発明は、局注に失敗したときの軌道修正が可能な局注液を提供することを目的とする。
本発明は、以下の局注液を提供するものである。
項1. 下記の(i)及び(ii):
(i) アルギン酸ナトリウム、カラギーナン及びジェランガムからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多糖類水溶液;及び
(ii) ナトリウムイオン及びカルシウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオンを含む塩類水溶液;
を含み、多糖類がアルギン酸ナトリウムの場合、カチオンはカルシウムイオンを含む、2剤型粘膜下注入用局注液。
項2. 多糖類濃度が0.1~2質量%である、項1に記載の2剤型粘膜下注入用局注液。
項3. 塩類濃度が0.1~4 w/v%である、項1又は2に記載の2剤型粘膜下注入用局注液。
項4. 多糖類がアルギン酸ナトリウムであり、塩類水溶液がカルシウムイオンを含む、項1~3のいずれか1項に記載の2剤型粘膜下注入用局注液。
項5. 多糖類がカラギーナン又はジェランガムであり、塩類水溶液がナトリウムイオン又はカルシウムイオンを含む、項1~3のいずれか1項に記載の2剤型粘膜下注入用局注液。
項6. カラギーナンがκ-カラギーナン及び/又はι-カラギーナンを含む、項1~3及び5のいずれか1項に記載の2剤型粘膜下注入用局注液。
項7. 内視鏡的粘膜切除術(EMR)又は内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)に使用するための、項1~6のいずれか1項に記載の2剤型粘膜下注入用局注液。
項8. アルギン酸ナトリウム、カラギーナン及びジェランガムからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多糖類水溶液の、2剤型粘膜下注入用局注液製造のための使用。
項9. ナトリウムイオン及びカルシウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオンを含む塩類水溶液の2剤型粘膜下注入用局注液製造のための使用。
局注による粘膜隆起が高いと粘膜層を高く持ち上げることができ、筋層と粘膜層の距離が離れるので、筋層の損傷(消化管穿孔)を回避できる。一方、粘膜隆起が低いと筋層と粘膜層の距離が近くなり、筋層の損傷(消化管穿孔)又は粘膜層の腫瘍の取り残しのリスクが高くなる。より高粘度の局注液を開発・使用することによって局注による粘膜隆起を高くすることは理論的には可能である。一方で局注液の粘度が高くなると内視鏡治療用の局注針での注入が現実的に困難となる。現行の局注液はこれらを加味し実際の内視鏡治療で問題無く注入できる範囲内で最も性能(粘膜隆起)が高くなるように濃度・粘度が調整されている。(現行のHAの濃度上限が0.4%である理由の一つである。)
本発明の2剤型局注液は、カチオン(Ca2+, Na+)でゲル化する多糖類水溶液とカチオンを含む塩類水溶液から構成されており、注入された粘膜下組織内で2液が混合されゲル化することによって大幅に粘度が上昇する。これにより注入可能な粘度上限より高粘度の局注液で粘膜隆起を作成することが可能となる。
これらの2剤型局注液は、高い粘膜隆起が得られ、隆起持続時間が長く、低コストかつ組織傷害性が低い。また、本発明の2剤型局注液は、2剤を注入することにより単剤では得ることの出来ない高い粘膜隆起が得られる一方で、粘膜下層に第1注入液(多糖類水溶液又は塩類水溶液)を注入したときに、想定通りの粘膜部位が隆起しなかった場合、第2注入液(塩類水溶液又は多糖類水溶液)を注入することなく数分間待つと隆起高さが縮小するので、再度の第1注入液の注入とそれに続く第2注入液の注入により目的とする粘膜部位の隆起が実現できるので、局注に失敗したときの軌道修正が可能である。
現在の0.4%ヒアルロン酸ナトリウム(HA)使用においても先行して生食を局注して、適切な部位に粘膜隆起が作成できることを確認したのちにHAを局注する場合も多い。この方法だと先行局注の生食によりHAの濃度・粘度は下がり性能低下する恐れがあるが、本発明ではそのような懸念も生じない。
本発明の局注液を用いた2段階システムの模式図。a)不適切な部位への局注、b)局注失敗、c)隆起の自然消退、d)局注の再試行、e)適切な部位への局注、f)追加局注による隆起の強化(2液混合による粘度上昇に起因する隆起高アップと持続時間の延長)、g)適切な部位への局注、h)局注成功、i)追加局注による隆起の強化(2液混合による粘度上昇に起因する隆起高アップと持続時間の延長)、j)スネアの設置、k)治療継続、x)第1剤、y)第2剤、p)粘膜層、q)粘膜下層、r)筋層、s)漿膜、t)数分経過。 消化管サンプルをクリップを用いて固定する本発明のex vivoモデル。2つのクリップ(a)により均一な張力(b)をかける。 アルギン酸ナトリウムの経時的なSEH測定結果を示す。 ジェランガムの経時的なSEH測定結果を示す。 カラギーナンの経時的なSEH測定結果を示す。
本発明の2剤型粘膜下注入用局注液は、粘膜下層に注入することにより粘膜層を膨隆させ、スネアで絞扼・通電し、あるいは、内視鏡治療ナイフで腫瘍などを切除するために用いられる。本発明の局注液を用いた内視鏡治療としては、内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が挙げられるが、これらに限定されることはない。
本発明の2剤型粘膜下注入用局注液は、
(i) アルギン酸ナトリウム、カラギーナン及びジェランガムからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多糖類水溶液;及び
(ii) ナトリウムイオン及びカルシウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオンを含む塩類水溶液;
を含むものであり、これらを粘膜下層に注入する。注入する順序はいずれでもよく、(i)多糖類水溶液を先に注入し、その後に(ii)塩類水溶液を注入してもよく、(ii)塩類水溶液を先に注入し、その後に(i)多糖類水溶液を注入してもよい。
以下において、粘膜下層最初に注入する(i)又は(ii)の水溶液を「第1液」と記載し、次に注入する(ii)又は(i)の水溶液を「第2液」と記載することがある。
本発明の局注液は、例えば消化管の粘膜下層に注入することができる。図1に示すように、消化管はp)粘膜層、q)粘膜下層、r)筋層、s)漿膜の4層を有し、本発明の局注液の第1液と第2液は、ともにq)粘膜下層に注入される。
図1において、第1液x)を不適切な部位に局注a)して局注を失敗b)した場合、 数分経過t)させて隆起の自然消退c)を促し、その後に局注を再試行d)して、第1液x)を適切な部位に局注e)する。次に、第2液y)を追加局注f)して隆起の強化(隆起高↑、持続時間↑)を図る。その後、スネアj)又はナイフにより隆起部位の腫瘍を切除して治療継続k)する。
1つの好ましい実施形態において、多糖類水溶液、特にジェランガムとカラギーナンの水溶液は粘性がやや高く、多糖類を含む第1液の粘膜下層への注入が失敗した場合、隆起の自然消退にやや時間がかかる。第1液に塩類水溶液を用いると局注を失敗しても隆起の自然消退が速やかに行われる利点がある。
カラギーナンは、イオタカラギーナンを含むものが好ましい。イオタカラギーナンはカルシウムイオンでゲル化する。好ましいカラギーナンは、イオタカラギーナン単品であってもよく、イオタカラギーナンとともにカッパカラギーナン及び/又はラムダカラギーナンを含む、2種又は3種のカラギーナン混合物を用いてもよい。カラギーナンはアガー(Agar)と同じ紅藻類から得られるので、本明細書及び図面においてカラギーナンを「Agar」と記載することがある。
アルギン酸ナトリウムはカルシウムイオンでゲル化するので、多糖類としてアルギン酸ナトリウムを使用する場合には、塩類水溶液はカルシウムイオンを含む。
ジェランガムは、ナトリウムイオン、カルシウムイオンのいずれでもゲル化する。したがって、ジェランガムを多糖類として使用する場合、塩類水溶液は、ナトリウムイオン、カルシウムイオンの少なくとも1種を含む。
ナトリウムイオン又はカルシウムイオンを含む塩類水溶液を調製するための塩類としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウム、乳酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カルシウム、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カルシウムなどが挙げられ、これらを1種単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
水溶液中の塩類濃度としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウムの場合、0.1~4 w/v%程度、好ましくは0.5~2 w/v%程度である。グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カルシウムの場合、1~34 w/v%程度、好ましくは4.0~17 w/v%程度である。乳酸ナトリウム、乳酸カルシウムの場合、0.1~10.0 w/v%程度、好ましくは1.0~5.0 w/v%程度である。リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カルシウムの場合、0.1~15 w/v%程度、好ましくは2.0~8.0 w/v%程度である。クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウムの場合、0.1~25 w/v%程度、好ましくは4.0~15.0 w/v%程度である。
水溶液中のアルギン酸ナトリウムの濃度としては、0.01~1.0 w/v%程度、好ましくは0.1~0.6 w/v%程度である。ジェランガムの濃度としては、0.01~1.0 w/v%程度、好ましくは0.1~0.6 w/v%程度である。カラギーナンの濃度としては、0.1~2.0 w/v%程度、好ましくは0.5~1.5 w/v%程度である。
局注液に使用する多糖類水溶液の濃度が上記の範囲であれば、十分な粘膜隆起高さと持続時間が得られ、かつ、適切な局注圧で局注することになるので好ましい。
多糖類水溶液の粘膜下層への注入量は0.1~15 ml程度、好ましくは1.0~5.0 ml程度である。
塩類水溶液の粘膜下層への注入量は0.1~10 ml程度、好ましくは1.0~5.0 ml程度である。
本発明では、局注液を評価するための新規なex vivoモデル(粘膜下注入用局注液のスクリーニング用のex vivo消化管サンプル)を作成した。従来のex vivoモデルは、ブタ胃切片などの消化管サンプルの周囲をステージ上で複数のピンにより固定し、一定量の局注液を粘膜下層に注入したときの隆起の高さを測定することで評価していた。この方法は、合理的な測定法であるように見えるが、同じ局注液を注入した場合でも隆起の高さは大きくばらついていた。これに対し、本発明のex vivoモデルはデータのばらつきが小さく(標準偏差が小さく)、局注液間の詳細比較が可能になる。なお、消化管サンプルは、小腸、大腸、十二指腸、胃などのサンプルが使用でき、好ましくは、胃のサンプルが好ましく、ブタ胃切片が特に好ましい。本発明の粘膜下注入用局注液のスクリーニング用のex vivo消化管サンプルは、ブタ胃切片などの消化管サンプルをステージ上に載置し、2以上の固定具で固定する。固定具の数は、好ましくは2~4個、より好ましくは2~3個、特に好ましくは2個である。固定具の位置は特に限定されないが、対称的な位置に配置するのが好ましく、例えば固定具が2個の場合、対向する位置(両側)に配置するのが好ましい(図2)。固定具としては、例えば目玉クリップ(bulldog clip)、ターンクリップ(foldback clip)、山形クリップ、バインダークリップなどが挙げられ、図2に示すように、消化管サンプルの一端を全体的に挟めるものが好ましい。本発明の1つの実施形態では、1または2以上の固定具に重りを取り付け、この重りをステージ外にぶら下げることにより張力を加えることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により詳細に説明する。
本実施例では、以下の原料を用いた。
アルギン酸ナトリウム:商品名:アルギン酸ナトリウム;ナカライテスク株式会社製
ジェランガム:商品名:KELCOGEL(CG-LA);三晶株式会社製
カラギーナン:商品名:GENUVISCO(CF02);三晶株式会社製
ヒアルロン酸ナトリウム:商品名:ムコアップ;生化学工業株式会社製
製造例1
局注液として、以下の多糖類水溶液と塩類水溶液を調製した。
・多糖類水溶液
ジェランガム(G-LA、0.4%)、ヒアルロン酸(HA、0.4%)、アルギン酸ナトリウム(SA、0.4%)、カラギーナン(Agar、1.0%)の各水溶液を常法に従い調製した。
・塩類水溶液
0.9%NaCl、2.0%CaCl2の各水溶液を常法に従い調製した。
上記の多糖類水溶液と塩類水溶液を、以下の試験に供した。
試験例1
図2に示すブタ胃切片を用いた局注液を評価するための新規なex vivoモデルに上記製造例1で得られた局注液を注入した。注入量は、
・多糖類水溶液(SA、G-LA、Agar、HA)のみの場合2.5ml、
・多糖類水溶液と塩類水溶液を組み合わせる場合(SA+Ca、G-LA+Ca、Agar+Ca)、多糖類水溶液(SA 0.4%、G-LA0.4%、Agar 1.0%)2.0ml+塩類水溶液0.5ml、
・生理食塩水(NS)2.5ml
であった。
多糖類水溶液と塩類水溶液を組み合わせる場合、多糖類水溶液を先に局注し、その後塩類水溶液を局注した。
図3は、アルギン酸ナトリウム(SA、0.4%)+塩化カルシウム(2.0%)、アルギン酸ナトリウム(SA、0.4%)、ヒアルロン酸(HA、0.4%)、生理食塩水(NS)を局注液評価用の新規ex vivoモデルに局注したときの粘膜下隆起高(SEH)の測定結果を示す。
図4は、ジェランガム(G-LA、0.4%)+塩化カルシウム(2.0%)、ジェランガム(G-LA、0.4%)、ヒアルロン酸(HA、0.4%)、生理食塩水(NS)を局注液評価用の新規ex vivoモデルに局注したときの粘膜下隆起高(SEH)の測定結果を示す。
図5は、カラギーナン(Agar、1.0%)+塩化カルシウム(2.0%)、カラギーナン(Agar、1.0%)、ヒアルロン酸(HA、0.4%)、生理食塩水(NS)を局注液評価用の新規ex vivoモデルに局注したときの粘膜下隆起高(SEH)の測定結果を示す。
図3~5の結果から、本発明の2剤型粘膜下注入用局注液は、高い粘膜下隆起高(SEH)が十分な時間持続し、内視鏡治療用の局注液として優れていることが明らかになった。

Claims (9)

  1. 下記の(i)及び(ii):
    (i)アルギン酸ナトリウム、カラギーナン及びジェランガムからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多糖類水溶液;及び
    (ii)ナトリウムイオン及びカルシウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオンを含む塩類水溶液;
    を含み、多糖類がアルギン酸ナトリウムの場合、カチオンはカルシウムイオンを含む、2剤型粘膜下注入用局注液であって、
    前記(i)及び(ii)の一方が、消化管粘膜の粘膜下層に注入し、想定通りの粘膜部位が隆起するか否かを確認するための第1注入液であり、
    前記(i)及び(ii)の他方が、第1注入液の注入により想定通りの粘膜部位が隆起した場合に、消化管粘膜の粘膜下層の同一部位に追加注入をして隆起の強化をするための第2注入液である、2剤型粘膜下注入用局注液。
  2. 多糖類濃度が0.1~2質量%である、請求項1に記載の2剤型粘膜下注入用局注液。
  3. 塩類濃度が0.1~4w/v%である、請求項1又は2に記載の2剤型粘膜下注入用局注液。
  4. 多糖類がアルギン酸ナトリウムであり、塩類水溶液がカルシウムイオンを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の2剤型粘膜下注入用局注液。
  5. 多糖類がカラギーナン又はジェランガムであり、塩類水溶液がナトリウムイオン又はカルシウムイオンを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の2剤型粘膜下注入用局注液。
  6. カラギーナンがκ-カラギーナン及び/又はι-カラギーナンを含む、請求項1~3及び5のいずれか1項に記載の2剤型粘膜下注入用局注液。
  7. 内視鏡的粘膜切除術(EMR)又は内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)に使用するための、請求項1~6のいずれか1項に記載の2剤型粘膜下注入用局注液。
  8. ナトリウムイオン及びカルシウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオンを含む塩類水溶液と組み合わせて用いることを特徴とする、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン及びジェランガムからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多糖類水溶液を含む粘膜下注入用局注液であって:
    (i) 前記多糖類水溶液、又は
    (ii) ナトリウムイオン及びカルシウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオンを含む塩類水溶液
    の一方を第1注入液として消化管粘膜の粘膜下層に注入し、想定通りの粘膜部位が隆起するか否かを確認する工程;及び
    前記第1注入液の注入により想定通りの粘膜部位が隆起した場合に、前記(i)又は(ii)の他方を第2注入液として、消化管粘膜の粘膜下層の同一部位に追加注入をして隆起の強化をする工程
    を含む投与方法により投与されるように用いられる粘膜下注入用局注液
  9. アルギン酸ナトリウム、カラギーナン及びジェランガムからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多糖類水溶液と組み合わせて用いることを特徴とするナトリウムイオン及びカルシウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオンを含む塩類水溶液を含む粘膜下注入用局注液であって:
    (i) 前記塩類水溶液、又は
    (ii) アルギン酸ナトリウム、カラギーナン及びジェランガムからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多糖類水溶液
    の一方を第1注入液として消化管粘膜の粘膜下層に注入し、想定通りの粘膜部位が隆起するか否かを確認する工程;及び
    前記第1注入液の注入により想定通りの粘膜部位が隆起した場合に、前記(i)又は(ii)の他方を第2注入液として、消化管粘膜の粘膜下層の同一部位に追加注入をして隆起の強化をする工程
    を含む投与方法により投与されるように用いられる粘膜下局注用水溶液。
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