<第1実施形態>
1.手術用装置の全体構成
図1で示される手術用装置1は、施術対象の生体組織に対して切開、剥離又は止血を行い得る処置装置として構成されている。手術用装置1は、先端デバイス3と、超音波振動部12(駆動部)を制御する装置である制御装置5と、先端デバイス3内のガス誘導路30(図6)に対してガスを供給するガス供給装置7と、プラズマ照射装置20に対して電圧を印加し得る電源装置9とを備える。
制御装置5は、超音波振動部12に対して超音波振動を発生させるための電気信号を与える装置である。制御装置5は、先端デバイス3と制御装置5との間に介在する図示しない可撓性の信号ケーブルを介して超音波振動部12に電気信号を与え得る構成となっている。
ガス供給装置7は、ヘリウムガスやアルゴンガスなどの不活性ガス(以下、単にガスともいう)を供給する装置である。ガス供給装置7は、例えば、先端デバイス3とガス供給装置7との間に介在する可撓性の管路(図1では図示を省略)を介して後述するガス誘導路30に不活性ガスを供給する。ガス供給装置7は、例えばボンベ等から供給される高圧ガスを減圧するレギュレータと、流量制御を行う制御部とを含む。
電源装置9は、後述するプラズマ照射装置20の放電電極42と接地電極44との間に所望の電圧を印加するための装置であり、接地電極44をグラウンド電位に保ちながら、放電電極42と接地電極44との間に所定周波数の交流電圧を印加する。電源装置9は、高周波数(例えば、20kHz~300kHz程度)の高電圧(例えば、振幅が0.5kV~10kVの高電圧)を生成し得る回路であれば、公知の様々な回路を採用し得る。なお、電源装置9が発生させる高電圧の周波数は、一定値に固定された周波数であってもよく、変動してもよい。また、電源装置9が接地電極44と放電電極42との間に印加する電圧は、周期的に変化する電圧であればよく、正弦波の交流電圧であってもよく、非正弦波(例えば、矩形波、三角波など)の交流電圧であってもよい。
図1では、交流電圧を生成する電源装置9が先端デバイス3の外部に設けられた手術用装置が例示されているが、交流回路を生成する電源回路が先端デバイス3の内部(例えば、後述するケース体14の内部やプラズマ照射装置20の内部)に設けられていてもよい。
先端デバイス3は、手術を行う術者によって把持されて使用される装置であり、主に、ケース体14、把持器具15、プラズマ照射装置20、超音波振動部12、などを備える。ケース体14、把持器具15、プラズマ照射装置20、及び超音波振動部12は、使用者に把持される把持ユニットとして一体的に構成されており、可撓性を有する部材を介して不活性ガスや電力が供給されるようになっている。
ケース体14は、円筒状に構成され所定方向に延びており、主として、基部14Bと、基部14Bと一体的に構成されるとともに所定方向に延びる円筒状の延出部14Aとを備える。基部14Bの内部には、超音波振動部12などが収容され、延出部14Aにはプラズマ照射装置20が固定又は一体化されている。
超音波振動部12は、公知の超音波振動子として構成され、上述した制御装置5によって所定の電気信号が与えられたときに駆動して超音波振動を発生させ、後述する作用部材16に対して超音波振動を伝達するように動作する。超音波振動部12は、駆動部の一例に相当し、作用部16A付近において生体組織を切開、剥離又は熱凝固止血する作用が生じるように作用部材16を駆動する。
把持部60は、先端デバイス3を使用する使用者によって把持される部分であり、公知の可動機構を採用した可動部材変位機構として構成されている。把持部60は、ケース体14の基部14Bに固定されてケース体14と一体化された固定把持部62と、固定把持部62に対して相対移動可能に取り付けられる軸状の作用部材64とによって構成されている。
把持器具15は、生体組織を挟んで把持するように使用し得る器具であり、作用部材16と作用部材64とを有する。
作用部材16は、軸状の部材であり、生体組織に作用する作用部16Aを自身の先端側に備える部材である。作用部16Aは、作用部材16の先端部付近において固定刃として機能する部位である。作用部材16は、作用部16Aと、超音波振動部12から与えられた振動を作用部16Aに伝達する軸部16Bとを有し、超音波振動部12で発生した振動が軸部16Bを介して作用部16Aに伝達されることにより作用部16Aが振動する。作用部材16は、作用部16Aが生体組織に接近又は接触している状態で作用部16Aが振動することにより生体組織に対して切開作用、剥離作用又は止血作用を生じさせるように動作する。
作用部材64は、可動部材として機能する軸状の部材であり、生体組織に作用する作用部64Aを自身の先端側(一端側)に備える部材である。作用部64Aは、可動刃として機能する部位である。作用部材64は、自身の後端側(他端側)の端部付近に可動把持部64Cを備えている。把持器具15では、軸状の作用部材64が延出部14Aの先端部付近の回動軸Zを中心として回動可能とされ、作用部16Aと作用部64Aとが接近及び離間自在に構成されている。把持器具15は、可動把持部64Cを固定把持部62側に近づけようとする操作がなされることに応じて作用部64A(可動刃)が作用部16A(固定刃)に近づくように作用部材64が回動する。逆に、可動把持部64Cを固定把持部62から離間させようとする操作がなされることに応じて作用部64Aが作用部16Aから離れるように作用部材64が回動する。
このように構成された先端デバイス3は、超音波振動を用いた生体組織の切開処置、剥離処置、止血処置を行いうる。例えば、作用部16A(固定刃)と作用部64Aとによって生体組織が挟み込まれたときに作用部16Aに超音波振動が伝達されることにより生体組織を切除することができる。また、超音波振動が伝達される作用部16Aを生体組織に接触させて摩擦熱を生じさせ、止血を行うこともできる。作用部材16に対して超音波振動を与えながら、又は与えずに、作用部16Aと作用部64Aとによって生体組織を挟持し、剥離処置を行うこともできる。このように、先端デバイス3では、超音波振動による切開、剥離又は熱凝固止血が可能となっており、更に、後述するプラズマ照射装置20からの低温プラズマの照射によって低侵襲な止血を併用することもできる。
2.プラズマ照射装置の構成
図1に示されるように、プラズマ照射装置20は先端デバイス3の一部として組み込まれ、先端デバイス3の内部で誘電体バリア放電を生じさせる装置として構成されている。なお、図1の例では、プラズマ照射装置20は、保持部18によって保持された構成でケース体14に固定されている。図2に示されるように、プラズマ照射装置20の内部で発生した低温プラズマPは、作用部材16の先端部に設けられた作用部16A付近に照射される。なお、図2では、作用部16Aと作用部64Aとが接触するときの作用部材64の位置が二点鎖線によって概念的に示されている。
図3で示されるように、プラズマ照射装置20は、所定の立体形状(例えば、板状且つ直方体状)として構成された構造体20Aを有し、構造体20Aの長手方向の端部に形成された放出口34から低温プラズマPを照射するように構成されている。
図4にて概念的に示されるように、構造体20Aは、厚さ方向中央部に第3誘電体層53が設けられ、第3誘電体層53よりも厚さ方向一方側に第4誘電体層54が設けられている。更に、構造体20Aは、第3誘電体層53よりも厚さ方向他方側に第1誘電体層51及び第2誘電体層52が設けられている。第1誘電体層51及び第2誘電体層52によって構成された誘電体領域の内部には、第1電極の一例に相当する放電電極42及び第2電極の一例に相当する接地電極44が埋め込まれている。図4では、構造体20Aが3分割された構成が分解斜視図として概念的に示されているが、実際の構成は、第1誘電体層51、第2誘電体層52、第3誘電体層53、及び第4誘電体層54の各々が、一体的な誘電体部50(図6)の一部として構成されている。
図5に示されるように、プラズマ照射装置20は、主に、ガス誘導路30と、放電部40とを備える。
ガス誘導路30は、ガスを導入する導入口32と、ガスを放出する放出口34と、導入口32と放出口34との間に設けられる流路36と、を有する。ガス誘導路30は、先端デバイス3の外部に設けられたガス供給装置7(図1)から供給される不活性ガスを導入口32から導入し、導入口32側から導入されたガスを流路36内の空間を通して放出口34に誘導する誘導路となっている。なお、図5では、ガス供給装置7から供給される不活性ガスを導入口32に導くための管路7Aが二点鎖線によって概念的に示されている。図5のように、ガス誘導路30は、放出口34が作用部16Aに近接した位置で作用部16A側に向いており、流路36の空間の延長上に作用部16Aが位置する関係となっている。ガス誘導路30は、放出口34から作用部16A側にガスを放出する流路構成となっており、ガスと共に低温プラズマPを放出口34から作用部16A側に放出するように機能する。
図5で示されるように、本明細書では、プラズマ照射装置20においてガス誘導路30が延びる方向がX軸方向であり、X軸方向と直交する方向のうち誘電体部50の厚さ方向がY軸方向であり、X軸方向及びY軸方向と直交する方向がZ軸方向(図6)である。図5の構成では、誘電体部50と放電電極42と接地電極44とが一体的に設けられた構造体20Aの長手方向がX軸方向である。そして、図6のように、構造体20AをX軸方向と直交する平面方向に切断した切断面(図6)での構造体20Aの短手方向がY軸方向であり、この切断面の長手方向がZ軸方向である。Z軸方向は構造体20Aの幅方向であり、Y軸方向は構造体20Aの高さ方向又は厚さ方向である。なお、以下の説明では、X軸方向において放出口34側が構造体20Aの先端側であり、X軸方向において導入口32側が構造体20Aの後端側である。
図5で示されるように、構造体20Aは、所定方向(X軸方向)に沿ってガスを流すようにガス誘導路30が構成され、この所定方向(X軸方向)と直交するY軸方向を積層方向とする構成で放電電極42と接地電極44と誘電体部50とが積層された構成をなす。そして所定方向(X軸方向)及び積層方向(Y軸方向)と直交する横方向(Z軸方向)における放出口34の開口幅W3(図3)は、積層方向(Y軸方向)における放出口の開口幅W2(図3)よりも大きくなっている。
放電部40は、第1誘電体層51と、第1誘電体層51を介在させて互いに対向して配置される放電電極42及び接地電極44と、を有する。放電部40は、放電電極42と接地電極44との電位差に基づく電界をガス誘導路30内で発生させて沿面放電による低温プラズマ放電を発生させるように機能する。
放電部40は、放電電極42又は接地電極44の一方が直接又は他部材を介して流路36に面しつつ、周期的に変化する電圧が放電電極42に印加されることに応じて流路36内で沿面放電を発生させるものである。なお、「放電電極42又は接地電極44の一方が直接流路36に面する構成」とは、放電電極42又は接地電極44の一方が流路36内の空間に露出し当該一方が流路の内壁の一部をなすような構成が該当する。また、「放電電極42又は接地電極44の一方が他部材を介して流路36に面する構成」とは、放電電極42又は接地電極44のうちの一方が流路36に近い位置に配置されるとともに当該一方の一部又は全部が他部材によって覆われる構成が該当する。このように他部材を介する構成では、当該他部材が流路の内壁の一部をなし、上記の「一方」の主面が流路36に向いて配置される。なお、図5、図6で示される構成は、放電電極42が上記の「一方」に該当し、「放電電極42が他部材を介して流路36に面する構成」であるが、図5では、他部材の一例に相当する第2誘電体層52が省略された形で示されている。
図6で示されるように、放電部40は、放電電極42が誘電体部50の一部(第2誘電体層52)を介して流路36に面しており、具体的には、誘電体部50内においてY軸方向の第1位置に第1の厚さで配置されている。接地電極44は、誘電体部50内においてY軸方向の第2位置に第2の厚さで配置されており、具体的には、放電電極42に対して流路36とは反対側に設けられるとともに放電電極42よりも流路36から離れている。放電部40は、接地電極44の電位を一定の基準電位(例えば、0Vのグラウンド電位)に保ちつつ、周期的に変化する電圧が放電電極42に印加されることに応じて流路36内で沿面放電を発生させ、低温プラズマを生じさせる。
図6で示されるように、誘電体部50は、第1誘電体層51、第2誘電体層52、第3誘電体層53、第4誘電体層54を備え、全体として中空状に構成されている。第1誘電体層51は、流路36の空間よりもY軸方向(厚さ方向)一方側に配置されるとともに接地電極44が埋め込まれるように構成される。つまり、第1誘電体層51を介して放電電極42及び接地電極44が対向している。第2誘電体層52は、セラミック材料によって放電電極42を覆うように構成されたセラミック保護層であり、第1誘電体層51よりも流路空間側において放電電極42を覆うように配置される。第1誘電体層51及び第2誘電体層52は、流路36におけるY軸方向一方側の内壁部を構成する。第4誘電体層54は、流路36の空間よりもY軸方向(厚さ方向)他方側に配置され、流路36におけるY軸方向他方側の内壁部を構成する。第3誘電体層53は、Y軸方向において第1誘電体層51と第4誘電体層54との間に配置され、流路36におけるZ軸方向一方側の側壁部及びZ軸方向他方側の側壁部を構成する。つまり、流路36は、第1誘電体層51、第2誘電体層52、第3誘電体層53、及び第4誘電体層54により画成されている。第1誘電体層51、第2誘電体層52、第3誘電体層53、及び第4誘電体層54の材料は、例えばアルミナなどのセラミック、ガラス材料や樹脂材料を好適に用いることができる。なお、機械的強度が高いアルミナを誘電体として用いることで、放電部40の小型化を図りやすくなる。
図7で示されるように、流路36は、Y軸方向(図6)両側及びZ軸方向両側が囲まれた空間がX軸方向に続くように構成され、X軸方向に沿って延びる第1流路36Aと、第1流路36Aの下流側に設けられる第2流路36Bとを備える。第1流路36Aは、構造体20AにおいてX軸方向の第1領域AR1に設けられている。第2流路36Bは、構造体20AにおけるX軸方向の第2領域AR2に設けられている。図7では、X軸方向において第1流路36Aが設けられる範囲が第1領域AR1として表され、X軸方向において第2流路36Bが設けられる範囲が第2領域AR2として表されている。
第1流路36Aは、X軸方向と直交する方向に切断した切断面での内壁部の形状が長方形状に構成された流路である(図6参照)。図7で示されるように、第1流路36Aは、X軸方向の第1領域AR1にわたって内壁面の幅が一定の幅となっており且つX軸方向の第1領域AR1にわたって内壁面の高さが一定の高さとなっている。
図7で示されるように、第2流路36Bは,X軸方向において第1流路36Aよりも放出口34側(下流側)に配置され、第1流路36Aよりも狭い幅で構成されている。第2流路36Bは、縮幅流路36Cと一定流路36Dとを備える。縮幅流路36Cは、X軸方向において第2領域AR2の一部領域AR21にわたって設けられ、放出口34側に近づくにつれて内壁面の幅が次第に狭くなっている。縮幅流路36Cの高さは、領域AR21の全範囲にわたって一定である。一定流路36Dは、X軸方向において第2領域AR2の一部領域AR22にわたって設けられ、領域AR22の全範囲にわたって内壁面の幅及び高さが一定となっている。
図7で示されるように、構造体20Aは、X軸方向の所定範囲にわたってX軸方向と直交する切断面の外形形状が一定形状となる第1定形部22及び第2定形部26を有する。更に、構造体20Aは、X軸方向と直交する切断面の外形形状が先端側となるにつれて小さくなるように自身が縮径する縮径部24を有する(図3も参照)。第1定形部22の先端側に縮径部24が続き、縮径部24の先端側に第2定形部26が続く構成で設けられている。第1定形部22の先端位置は縮径部24の後端位置であり、縮径部24の先端位置は第2定形部26の後端位置である。第1定形部22は、第1領域AR1に設けられ、外壁面の幅(Z軸方向の長さ)及び外壁面の高さ(X軸方向の長さ)が一定となっている。縮径部24は、第2領域AR2の一部領域AR21に設けられ、外壁面の高さ(Y軸方向の長さ)が一定であり、外壁面の幅(Z軸方向の長さ)が先端側となるにつれて小さくなるように縮径する形状をなす。第2定形部26は、第2領域AR2の一部領域AR22に設けられ、外壁面の幅(Z軸方向の長さ)及び外壁面の高さ(Y軸方向の長さ)が一定となっている。第1定形部22、縮径部24、第2定形部26はいずれも外壁面の高さが同一の所定高さとなっている。一方、第1定形部22の外壁面の幅は、第2定形部26の外壁面の幅よりも大きく、縮径部24の外壁面の最大幅(後端の幅)と同一となっている。第2定形部26の外壁面の幅は、縮径部24の外壁面の最小幅(先端の幅)と同一となっている。
ガス誘導路30は、第1定形部22に第1流路36Aが設けられ、縮径部24に縮幅流路36Cが設けられ、第2定形部26に一定流路36Dが設けられている。つまり、縮径部24においてガス誘導路30が放出口34に向かって縮径している。縮径部24の流路(縮幅流路36C)は後端において最大幅となっており、この最大幅は第1流路36Aの幅と一致している。縮径部24の流路(縮幅流路36C)は先端において最小幅となっており、この最小幅は一定流路36Dの幅と一致している。
図7で示されるように、接地電極44は、流路36に沿うようにX軸方向に直線状に延びており、X軸方向の所定領域に配置されている。接地電極44は、自身の先端側の一部が放電電極42よりも放出口34側に配置されている。接地電極44の一部は、X軸方向において第2流路36Bの配置領域AR2に位置しており、図7の例では、接地電極44の先端が縮幅流路36Cの先端(一定流路36Dの後端)よりも先端側に位置している。つまり、接地電極44の一部は、X軸方向において一定流路36Dの配置領域AR22に位置している。接地電極44の後端は、第1流路36Aの先端よりも後端側に位置し、放電電極42の先端よりも後端側且つ放電電極42の後端よりも先端側に位置している。接地電極44は、Z軸方向において第1流路36Aの配置領域AR3内に自身の少なくとも一部(図7では自身の全部)が位置する。具体的には、接地電極44は、Z軸方向において一定流路36Dの配置領域AR4内に自身の少なくとも一部(図7では自身の一部)が位置し、Z軸方向において放出口34の形成領域内に自身の少なくとも一部(図7では自身の一部)が位置する。
図7のように、放電電極42は、直線状に構成された複数本(具体的には、3本)の直線状電極部42Aを備え、これら直線状電極部42Aが流路36に沿うようにX軸方向に直線状に延びており、各々の直線状電極部42Aがライン状の電極として機能する。各々の直線状電極部42Aは、一定の幅且つ一定の厚さの導体によって構成され、X軸方向の所定領域に配置されている。複数本の直線状電極部42Aは後端部で連結され、互いに電気的に接続され、互いに同電位とされる。放電電極42は、X軸方向において第1流路36Aの配置領域にのみ位置する。つまり、放電電極42は、第1領域AR1及び第2領域AR2のうちの第1領域AR1にのみ位置する。放電電極42の先端は、第1流路36Aの先端よりも後端側に位置し、放電電極42の後端は第1流路36Aの後端よりも先端側に位置する。更に、各々直線状電極部42Aの幅(Z軸方向の長さ)は、接地電極44の幅(Z軸方向の長さ)よりも小さくなっている。
3.第3電極
図5で示されるように、先端デバイス3は、第3電極70を備える。第3電極70は、自身の電位がグラウンド電位とされる電極であり、作用部16Aに設けられている。
以下の説明では、作用部材16及び作用部材64のうち、プラズマ照射装置20が直接又は他部材を介して間接的に取り付けられる一方の作用部材が第2作用部材であり、他方の作用部材が第1作用部材である。つまり、図5の例では、作用部材16が第2作用部材である。そして、第3電極70が設けられる作用部(図5の例では、作用部16A)が延びる方向が第1方向である。図5の例では、作用部材16に直接的に構造体20Aが取り付けられていてもよく他部材を介して間接的に構造体20Aが取り付けられていてもよいが、構造体20Aがケース体14を介して間接的に作用部材16に取り付けられている例を代表例として説明する。
図5のように、作用部16Aは第1方向に沿って延びている。そして、第1方向と直交する方向を第2方向としたとき、作用部16Aの一方側(第2方向のうちのガスが接触する側)の外面寄りに第3電極70が設けられている。そして、作用部16Aにおいて第3電極70よりも他方側(ガスが接触する側とは反対側)にはグラウンド配線部72が配置されている。
具体的には、第1方向と直交する方向(第2方向)のうち、上記X軸方向及び上記Y軸方向と平行な方向を第3方向としたとき、第3電極70は、作用部16A内において作用部16Aの第3方向一方側の端部寄りに設けられている。なお、図5では、作用部16Aにおいて第3方向一方側の端部となる外面が符号16Cで示され、第3方向他方側の端部となる外面が符号16Dで示されている。第3電極70は、例えば、第3方向を厚さ方向とするように所定の厚さで板状又は層状に設けられている。なお、図5の例では、作用部材16において第3電極70及びグラウンド配線部72の周囲に配置される軸状の部分は絶縁体とされている。
更に、グラウンド配線部72は、第3電極70よりも第3方向他方側に設けられ、第3電極70に電気的に接続されるとともに作用部16A内において第1方向に沿って延びている。グラウンド配線部72は、第3電極70よりも後端側に延びており、より具体的には、放電電極42や接地電極44よりも後端側まで延びている。そして、グラウンド配線部72は、第3電極70よりも後端側に配置された図示しないグラウンドに電気的に接続されており、グラウンド電位(例えば、0V)で維持されるようになっている。なお、グラウンド配線部72は、導体によって電気的な接続を確保し得る構成であればよく、金属層として構成されていてもよく、電線によって構成されていてもよい。
図5で示されるように、プラズマ照射装置20は、放出口34から放出されるガスの方向が第3電極70に向いている。具体的には、放出口34の開口領域(放出口34の内側の空間をなす領域)をX軸方向に平行移動したときの移動軌跡上に第3電極70が位置している。なお、図5では、放出口34の開口領域をX軸方向に平行移動したときの移動軌跡(開口領域が移動する領域)が二点鎖線Vtによって概念的に示されている(図2、図3も参照)。
このように構成されたプラズマ照射装置20は、動作開始に伴い、流路36内の空間に不活性ガスを流すように不活性ガスを供給しつつ、電源装置9によって放電電極42と接地電極44との間に所定周波数の交流電圧を印加する。電源装置9は、例えば接地電極44をグラウンド電位に保ち、放電電極42の電位を、接地電極44の電位を中心として、この電位よりも一定程度高い電位である+A(V)から一定程度低い電位である-A(V)までの範囲で振動させるように交流電圧を加える。なお、「A」は、正の値である。このように交流電圧が印加されると、誘電体部50によるバリアが構成された形で、電極間で電界の変化が生じ、ガス誘導路30内の空間で誘電体バリア放電(具体的には沿面放電)が生じる。ガス誘導路30内では、このような放電動作が行われつつ放出口34に向けて不活性ガスが流れるようになっており、放出口34から排出された不活性ガスは上述した第3電極70付近に向いやすくなっている。よって、第3電極70を備える作用部16Aと作用部64Aとが生体組織を挟んでいるときには沿面放電によって生じた低温プラズマが生体組織付近に供給されやすくなる。
4.本構成の効果の例示
上記の先端デバイス3は、作用部16A,64Aに近い位置で作用部16A,64Aと放出口34との位置関係が固定されるため、作用部16A,64Aを生体組織に作用させる際に生体組織と放出口34との間の距離を安定して保ちやすくなる。しかも、作用部16Aに第3電極70が設けられ、この第3電極70がグラウンド電位で維持されるため、放電部40で発生するプラズマが作用部16A付近に安定して供給されやすくなり、ひいては、生体組織にプラズマが安定的に供給されやすくなる。更に、生体組織により近い位置をグラウンド電位に安定させることができるため、電位が大きく変動する電極(放電電極42)が生体組織に及ぼす悪影響を抑えることができる。
また、先端デバイス3では、作用部16Aが第1方向に沿って延びている。そして、第3電極70は、作用部16Aにおいて第1方向と直交する第2方向のうち、作用部16A内においてガスが接触する一方側の外面寄り(具体的には、第3方向一方側の外面寄り)に設けられている。更に、プラズマ照射装置20はグラウンド配線部72を備え、グラウンド配線部72は作用部16Aにおいて第3電極70よりも第2方向の他方側(具体的には、第3方向他方側)に配置されるとともに第3電極70と電気的に接続されている。このように、ガスが接触する一方側の外面寄りに第3電極70が設けられていれば、放電部40で発生するプラズマが作用部16A付近により一層供給されやすくなる。更に、グラウンド配線部72が第3電極70よりも第2方向の他方側(具体的には、第3方向他方側)に配置されていれば、グラウンド配線部72がプラズマに及ぼす影響を抑え、第3電極70がプラズマに及ぼす影響を相対的に高めることができる。例えば、第3電極70よりも後端側でプラズマがグラウンド配線部72付近に集まりすぎてしまうといったことを抑え、プラズマをより第3電極70側(即ち、より先端側)に飛ばしやすくなる。
また、先端デバイス3では、作用部64Aが第1作用部の一例に相当し、作用部16Aが第2作用部の一例に相当し、作用部材64が第1作用部材の一例に相当し、作用部材16が第2作用部材の一例に相当する。そして、把持器具15は、作用部64A(第1作用部)と作用部16A(第2作用部)とが接近及び離間自在に構成され、作用部64A(第1作用部)と作用部16A(第2作用部)との間で生体組織を挟んで把持するように構成されている。そして、第3電極70は、作用部16A(第2作用部)に設けられている。このように、生体組織を挟んで把持する第1作用部及び第2作用部うちのの少なくともいずれかに第3電極70が設けられていれば、生体組織を把持する部分の近傍にプラズマが安定的に供給されやすくなる。よって、第1作用部及び第2作用部によって生体組織を把持しつつ当該生体組織に向けてプラズマを照射するような処置の際には、把持される生体組織にプラズマが安定的に供給されやすくなる。
より具体的には、プラズマ照射装置20は、作用部材16(第2作用部材)に直接又は他部材を介して間接的に取り付けられている。そして、放出口34は作用部64A(第1作用部)と作用部16A(第2作用部)とが接近及び離間する方向において作用部材16(第2作用部材)の作用部材64側(第1作用部材側)に配置されている。そして、第3電極70は、作用部16A(第2作用部)に設けられている。このように構成されていれば、作用部材16(第2作用部材)における上記接近・離間方向近傍のスペースを有効に利用することができる。しかも、放出口34を作用部16A(第2作用部)に近づけて配置しやすい構成であり且つ作用部16A(第2作用部)に第3電極70が設けられた構成であるため、作用部16A(第2作用部)付近により多くのプラズマを供給する上で相乗効果を発揮し得る。
更に、先端デバイス3では、プラズマ照射装置20は、流路36が所定方向(X軸方向)に沿ってガスを流す構成をなす。そして、放電電極42(第1電極)と接地電極44(第2電極)と誘電体層(第1誘電体層51、第2誘電体層52、第3誘電体層53、第4誘電体層54)とが上記所定方向と直交する積層方向(Y軸方向)に積層された構成をなしている。そして、上記所定方向(X軸方向)及び上記積層方向(Y軸方向)と直交する横方向における放出口34の開口幅は、上記積層方向における放出口34の開口幅よりも大きくなっている。よって、先端デバイス3は、生体組織に対してより広い範囲にプラズマを照射しやすくなり、特に、横方向(積層方向と直交する方向)において広い範囲に亘ってプラズマを照射しやすくなる。
更に、先端デバイス3では、ガス誘導路30が放出口34に向かって縮径するように縮径部24が設けられているため、ガスが縮径部24を通過する際にガスの流速を増大させうる。よって、上記の先端デバイス3は、ガス誘導路30に供給するガスの流量を抑えつつ、放出口34から放出するガスの流量を高めるような効率的なガス供給を行い得る。しかも、上記の先端デバイス3は、縮径部24が縮径する構成であるため縮径部24をより細く構成することができ、放出口34を配置する上でスペース的なメリットが大きい構成となる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。
図8は、第2実施形態の先端デバイス203を備える手術用装置201を例示している。なお、以下の説明では、先端デバイス203を備える手術用装置201において第1実施形態の先端デバイス3を備える手術用装置1(図1)と同様の構成をなす部分については、手術用装置1(図1)の該当部分と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。例えば、手術用装置201及び先端デバイス203においてプラズマ照射装置20は、第1実施形態の先端デバイス3に設けられたプラズマ照射装置20と同一の構成をなし、同一の機能を有する。また、ガス供給装置7及び電源装置9は、手術用装置1(図1)に用いられるものと同一の構成をなす。
図8で示されるように、先端デバイス203は、生体組織に作用する作用部216Aを有する作用部材216と、作用部材216を駆動させる制御装置205(駆動部)と、プラズマ照射装置20と、を備える。この先端デバイス203でも、プラズマ照射装置20は、先端デバイス203の一部として組み込まれており、保持部18に保持された構成でケース体214に固定されている。そして、ガス誘導路30は、放出口34から作用部216A側にガスを放出する構成をなす。ケース体214、作用部材216、及びプラズマ照射装置20は、使用者に把持される把持ユニットとして一体的に構成されており、可撓性を有する部材を介して不活性ガスや電力が供給されるようになっている。
制御装置205は、高周波電流を供給する高周波電流供給部として構成されており、駆動部の一例に相当する。作用部材216は、例えば金属材料などによって軸状に構成されており、制御装置205(高周波電流供給部)から供給される高周波電流が流れる電極部として機能する。作用部材216は、公知の電気メスとして機能させることができ、作用部材216(電極部)を介して流れる高周波電流により生体組織に対して切開作用、剥離作用又は熱凝固止血作用を生じさせ得る。なお、図8では、制御装置205(駆動部)がケース体214の外側に設けられた構成を概念的に示しているが、制御装置205は、ケース体214の内部又は外部においてケース体214と一体的に設けられていてもよい。つまり、制御装置205は、プラズマ照射装置20とは別体として設けられていてもよく、プラズマ照射装置20と一体的に設けられていてもよい。
先端デバイス203では、作用部材216を介して流れる高周波電流による生体組織の切開、剥離又は熱凝固止血と、プラズマ照射装置20からの低温プラズマの照射による低侵襲な止血とを共通の先端デバイス203によって行いうる。
更に、先端デバイス203は、作用部216Aに第3電極70が設けられている。第3電極70は、自身の電位がグラウンド電位とされる電極であり、第1実施形態の第3電極70と同様の構成をなしている。また、図示はしていないが、第3電極70には、第1実施形態のグラウンド配線部72と同様のグラウンド配線部が電気的に接続されている。なお、先端デバイス203における作用部216A、第3電極70、グラウンド配線部、放出口34の構成及びこれらの位置関係は、第1実施形態の先端デバイス3において図5で示されるような作用部16A、第3電極70、グラウンド配線部72、放出口74の構成及び位置関係と同一としてもよく、若干変更してもよい。
以上のような第2実施形態の構成でも、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第3実施形態>
次に、図9等を参照し第3実施形態の先端デバイス303について説明する。
先端デバイス303は、プラズマ照射装置20の構成及び配置、作用部材16及び作用部材64の具体的形状、第3電極70の配置、のみが第1実施形態の先端デバイス3(図1等)と異なり、その他の構成及び機能は先端デバイス3と同一である。よって、第1実施形態と同一の点については、詳細な説明は省略する。例えば、先端デバイス303において、各々の構造体20Aは、第1実施形態の先端デバイス3に設けられた構造体20Aと同一の構成をなし、同一の機能を有する。また、先端デバイス303は、図1で示す先端デバイス3と同様に手術用装置1に用いることができる。つまり、図1の手術用装置1において先端デバイス3に代えて先端デバイス303を設けることができる。
なお、先端デバイス303では、第1実施形態と同様に作用部材16に対して超音波振動部12からの超音波振動が与えられるようになっていてもよく、作用部材64に対して超音波振動部12からの超音波振動が与えられるようになっていてもよい。また、図9の例では作用部材16及び作用部材64の具体的形状を第1実施形態と異ならせているが、第1実施形態と同様であってもよい。
図9の例では、プラズマ照射装置320を構成する構造体20Aが作用部材64に対して直接又は他部材を介して間接的に取り付けられている。よって、作用部材64が第2作用部材の一例に相当し、作用部材16が第1作用部材の一例に相当する。そして、作用部64Aが第2作用部の一例に相当し、作用部16Aが第1作用部の一例に相当する。そして、作用部64Aに第3電極70が設けられ、作用部64Aが延びる方向が第1方向とされている。なお、図9の例では、作用部材64全体が第1方向に沿って延びている。
図9に示されるように、先端デバイス303は、複数(具体的には2つ)の構造体20Aによってプラズマ照射装置320が構成されている。そして、作用部材64を取付対象として複数の構造体20Aが取り付けられ、複数(具体的には2つ)の放出口34を有する。そして、複数の放出口34は、取付対象となる作用部材64を挟んだ両側に配置されている。図9の構成では、作用部材64において作用部64Aよりも基端側(後端側)に軸部64Bが設けられており、この軸部64Bに2つの構造体20Aが取り付けられている。
先端デバイス303では、作用部16Aと作用部64Aとが、所定の平面方向に沿って接近及び離間する構成をなしている。具体的には、作用部材16に対して作用部材64が回動するときの回動軸と直交する方向が上記平面方向となっており、作用部材16及び作用部材64が上記平面方向に沿って延びている。そして、作用部16Aの先端と作用部64Aの先端とが、上記平面方向のうちの1つの方向(接近・離間方向)に沿って接近及び離間する構成をなしている。図9のプラズマ照射装置320は、上記平面方向と直交する方向(以下、直交方向ともいう)において、取付対象となる作用部材64の少なくとも一方側(具体的には両側)に放出口34が配置されている。具体的には、上記直交方向における作用部材64の両側において、作用部材64を挟む形で2つの構造体20Aがそれぞれ設けられ、2つの構造体20Aに設けられた2つの放出口34は、上記の「直交方向」に沿って並んでいる。
先端デバイス303では、作用部16Aと作用部64Aとが接触するように構成されている。そして、プラズマ照射装置320は、放出口34から放出されるガスの方向が作用部16Aと作用部64Aとを接触させたときの接触位置に向いている。なお、図9では、作用部16Aと作用部64Aとが接触するときの作用部64Aに対する作用部16Aの相対位置を二点鎖線16Zによって概念的に示している。
そして、第3電極70は、作用部64Aにおいて、上述の接近・離間方向(作用部16Aの先端と作用部64Aの先端とが接近及び離間する方向)における作用部16A側に配置されている。なお、第3電極70は、作用部64Aにおいて上述の接近・離間方向の作用部16A側に露出していてもよく、露出しない形で作用部64Aにおける上述の接近・離間方向の端部寄り(作用部16A寄り)に埋め込まれていてもよい。
以上のような先端デバイス303でも、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
更に、本構成の先端デバイス303では、プラズマ照射装置320は作用部材64(第2作用部材)に取り付けられ且つ複数の放出口34,34を有している。そして、複数の放出口34,34は作用部材64(第2作用部材)を挟んだ両側に配置されている。そして、第3電極70は作用部64A(第2作用部)に設けられている。このように、作用部材64(第2作用部材)を挟んだ両側からプラズマが放出されるように構成されていれば、プラズマが作用部64A(第2作用部)付近により一層供給されやすくなる。しかも、作用部64A(第2作用部)に第3電極70が設けられているため、両側から放出されるプラズマがいずれも作用部64A付近に供給されやすくなり、作用部64A付近により多くのプラズマを供給する上で相乗効果を発揮し得る。
その上、先端デバイス303では、第3電極70付近に向けて安定的にプラズマを照射するだけでなく、その周辺に向けてより広い範囲にプラズマを照射することもできる。よって、使用者が把持器具15を用いて生体組織を把持する際には、「生体組織において作用部16A又は作用部64Aが接触する位置又はその近傍」だけでなく、その位置を確実に含んだ広い範囲に亘ってプラズマを容易且つ確実に照射することができる。ゆえに、使用者が先端デバイス303を操作する際の操作性が一層向上する。
更に、先端デバイス303では、作用部16A(第1作用部)と第2作用部64A(第2作用部)とが、所定の平面方向に沿って接近及び離間する構成をなしている。そして、平面方向と直交する直交方向において、作用部材64(第2作用部材)の少なくとも一方側(具体的には両側)に放出口34が配置されている。そして、第3電極70は作用部64A(第2作用部)に設けられている。この構成によれば、作用部材64(第2作用部材)における上記直交方向近傍のスペースを有効に利用でき、作用部16A(第1作用部)及び第2作用部64A(第2作用部)が生体組織を把持する動作を阻害しにくい形で放出口34を設けることができる。しかも、放出口34を作用部64A(第2作用部)に近づけて配置しやすい構成であり且つ作用部64A(第2作用部)に第3電極70が設けられた構成であるため、作用部64A(第2作用部)付近により多くのプラズマを供給する上で相乗効果を発揮し得る。
<第4実施形態>
次に、図10等を参照し第4実施形態の先端デバイス403について説明する。
先端デバイス403は、プラズマ照射装置20の配置、作用部材16及び作用部材64の具体的形状、第3電極70の配置、のみが第1実施形態の先端デバイス3(図1等)と異なり、その他の構成及び機能は先端デバイス3と同一である。よって、第1実施形態と同一の点については、詳細な説明は省略する。例えば、先端デバイス403において、プラズマ照射装置20は、第1実施形態の先端デバイス3に設けられたプラズマ照射装置20と同一の構成をなし、同一の機能を有する。また、先端デバイス403は、図1で示す先端デバイス3と同様に手術用装置1に用いることができる。つまり、図1の手術用装置1において先端デバイス3に代えて先端デバイス403を設けることができる。
なお、先端デバイス403では、第1実施形態と同様に作用部材16に対して超音波振動部12からの超音波振動が与えられるようになっていてもよく、作用部材64に対して超音波振動部12からの超音波振動が与えられるようになっていてもよい。また、図10の例では作用部材16及び作用部材64の具体的形状を第1実施形態と異ならせているが、第1実施形態と同様であってもよい。
図10の例では、プラズマ照射装置20の構造体20Aが作用部材64に対して直接又は他部材を介して間接的に取り付けられている。よって、作用部材64が第2作用部材の一例に相当し、作用部材16が第1作用部材の一例に相当する。そして、作用部64Aが第2作用部の一例に相当し、作用部16Aが第1作用部の一例に相当する。そして、作用部64Aに第3電極70が設けられ、作用部64Aが延びる方向が第1方向とされている。なお、図10の例では、作用部材64全体が第1方向に沿って延びている。
先端デバイス403では、作用部16Aと作用部64Aとが、所定の平面方向に沿って接近及び離間する構成をなしている。具体的には、作用部材16に対して作用部材64が回動するときの回動軸と直交する方向が上記平面方向となっており、作用部材16及び作用部材64が上記平面方向に沿って延びている。そして、作用部16Aの先端と作用部64Aの先端とが、上記平面方向のうちの1つの方向(接近・離間方向)に沿って接近及び離間する構成をなしている。
先端デバイス403では、第1実施形態と同様のプラズマ照射装置20が作用部材64に取り付けられている。具体的には、上述の接近・離間方向(作用部16Aの先端と作用部64Aの先端とが接近及び離間する方向)において、作用部材64の作用部材16側に構造体20Aが取り付けられている。つまり、上述の接近・離間方向において作用部材16と作用部材64との間に構造体20Aを配置した構成となっている。従って、放出口34も、上述の接近・離間方向において作用部材64の作用部材16側に配置されている。
先端デバイス403では、作用部16Aと作用部64Aとが接触するように構成されている。そして、プラズマ照射装置20は、放出口34から放出されるガスの方向が作用部16Aと作用部64Aとを接触させたときの接触位置に向いている。
そして、第3電極70は、作用部64Aにおいて、上述の接近・離間方向(作用部16Aの先端と作用部64Aの先端とが接近及び離間する方向)における作用部16A側に配置されている。なお、第3電極70は、作用部64Aにおいて上述の接近・離間方向の作用部16A側に露出していてもよく、露出しない形で作用部64Aにおける上述の接近・離間方向の端部寄り(作用部16A寄り)に埋め込まれていてもよい。
以上のような先端デバイス403でも、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
更に、先端デバイス403では、放出口34が接近・離間方向(作用部16Aと作用部64Aとが接近及び離間する方向)において作用部材64(第2作用部材)の作用部材16側(第1作用部材側)に配置されている。そして、第3電極70は、作用部64A(第2作用部)に設けられている。このように構成されていれば、作用部材64(第2作用部材)における上記接近・離間方向近傍のスペースを有効に利用することができる。しかも、放出口34を作用部64A(第2作用部)に近づけて配置しやすい構成であり且つ作用部64A(第2作用部)に第3電極70が設けられた構成であるため、作用部64A(第2作用部)付近により多くのプラズマを供給する上で相乗効果を発揮し得る。
更に、先端デバイス403では、作用部16A及び作用部64Aが生体組織を挟み込んだときに、放出口34の先に生体組織が確実に位置する位置関係でプラズマを生体組織に照射することができる。特に、作用部材がプラズマの照射を阻害しにくい位置関係となる。このような特徴による効果が第3電極70による効果と相俟って、放出口34から放出されるプラズマがより効率的に生体組織に当たりやすくなる。
<第5実施形態>
次に、図11等を参照し第5実施形態の先端デバイス503について説明する。
先端デバイス503は、プラズマ照射装置20の配置、作用部材16及び作用部材64の具体的形状、第3電極70の配置、のみが第1実施形態の先端デバイス3(図1等)と異なり、その他の構成及び機能は先端デバイス3と同一である。よって、第1実施形態と同一の点については、詳細な説明は省略する。例えば、先端デバイス503において、プラズマ照射装置20は、第1実施形態の先端デバイス3に設けられたプラズマ照射装置20と同一の構成をなし、同一の機能を有する。また、先端デバイス503は、図1で示す先端デバイス3と同様に手術用装置1に用いることができる。つまり、図1の手術用装置1において先端デバイス3に代えて先端デバイス503を設けることができる。
なお、先端デバイス503では、第1実施形態と同様に作用部材16に対して超音波振動部12からの超音波振動が与えられるようになっていてもよく、作用部材64に対して超音波振動部12からの超音波振動が与えられるようになっていてもよい。
先端デバイス503は、作用部16A及び作用部64Aの形状以外は第4実施形態の先端デバイス403と同一の構成及び機能を有する。図11の例でも、プラズマ照射装置20の構造体20Aが作用部材64に対して直接又は他部材を介して間接的に取り付けられている。よって、作用部材64が第2作用部材の一例に相当し、作用部材16が第1作用部材の一例に相当する。そして、作用部64Aが第2作用部の一例に相当し、作用部16Aが第1作用部の一例に相当する。そして、作用部64Aに第3電極70が設けられ、作用部64Aが延びる方向が第1方向とされている。なお、図11の例でも、作用部材64全体が第1方向に沿って延びている。
先端デバイス503では、作用部16Aと作用部64Aとが、所定の平面方向に沿って接近及び離間する構成をなしている。具体的には、作用部材16に対して作用部材64が回動するときの回動軸と直交する方向が上記平面方向となっており、作用部材16及び作用部材64が上記平面方向に沿って延びている。そして作用部16Aの先端と作用部64Aの先端とが、上記平面方向のうちの1つの方向(接近・離間方向)に沿って接近及び離間する構成をなしている。そして、先端デバイス503では、プラズマ照射装置20が作用部材64に取り付けられている。具体的には、上述の接近・離間方向(作用部16Aの先端と作用部64Aの先端とが接近及び離間する方向)において、作用部材64の作用部材16側にプラズマ照射装置20が設けられている。従って、放出口34も、上述の接近・離間方向において作用部材64の作用部材16側に配置されている。
先端デバイス503では、作用部16Aと作用部64Aとが接触するように構成されている。そして、プラズマ照射装置20は、放出口34から放出されるガスの方向が作用部16Aと作用部64Aとを接触させたときの接触位置に向いている。なお、図11では、作用部16Aと作用部64Aとが接触するときの作用部64Aに対する作用部16Aの相対位置を二点鎖線16Zによって概念的に示している。
更に、作用部64Aは、先端側となるにつれて作用部16A側に向かうように湾曲する湾曲部564Aとして構成されている。図11の構成において、作用部64A(湾曲部564A)は、上述の平面方向に沿うように湾曲し、作用部16A側とは反対側に凸となるように湾曲している。作用部16Aも、上述の平面方向に沿うように湾曲し、作用部64A側に凸となるように湾曲している。そして、上述の接触位置は、作用部64A(湾曲部564A)における作用部16A側の一部位置を含んでいる。
このような構成において、放出口34は、上述の接近・離間方向(作用部16Aの先端と作用部64Aの先端とが接近及び離間する方向)において作用部材64の作用部材16側に配置されている。そして、放出口34から放出されるガスの方向が上述の一部位置(接触位置)に向くようになっている。つまり、放出口34から放出されるガスの方向が、「作用部64Aの表面における作用部16Aに接触する領域」に向くようになっている。
そして、第3電極70は、湾曲部564Aにおいて、上述の接近・離間方向(作用部16Aの先端と作用部64Aの先端とが接近及び離間する方向)における作用部16A側に配置されている。なお、第3電極70は、湾曲部564Aにおいて上述の接近・離間方向の作用部16A側に露出していてもよく、露出しない形で湾曲部564Aにおける上述の接近・離間方向の端部寄り(作用部16A寄り)に埋め込まれていてもよい。
以上のような先端デバイス503でも、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
更に、先端デバイス503では、上述の接近・離間方向(作用部16Aの先端と作用部64Aの先端とが接近及び離間する方向)において、湾曲部564Aが湾曲する側(作用部16A側)に放出口34が配置されている。そして、湾曲部564Aにおいて放出口34の配置側と同じ側(作用部16A側)に第3電極70が配置されている。よって、放出口34から放出されるプラズマが第3電極70付近に供給されやすくなり、第3電極70が設けられた作用部64A(第2作用部)近傍にプラズマを安定的に供給しやすくなる。
更に、先端デバイス503では、作用部16A及び作用部64Aが生体組織を挟み込んだときに、放出口34の先に生体組織が確実に位置する位置関係でプラズマを生体組織に照射することができる。特に、作用部材がプラズマの照射を阻害しにくい位置関係となるため、放出口34から放出されるプラズマがより効率的に生体組織に当たりやすくなる。しかも、作用部16Aと作用部64Aとが接近及び離間する方向のうち、作用部64A(湾曲部564A)が湾曲する側(即ち、作用部64Aの先端側が近づく側である作用部16A側)と同じ側に放出口34が配置されている。そして、この放出口34から、作用部64A(湾曲部564A)が湾曲する側と同じ側に位置する接触位置に向かってプラズマを照射することができる。よって、作用部64A(湾曲部564A)が生体組織を挟み込んでいる際には、生体組織にプラズマを確実に当てることができる。このような特徴による効果が第3電極70による効果と相俟って、放出口34から放出されるプラズマがより効率的に生体組織に当たりやすくなる。
<第6実施形態>
次に、図12等を参照し第6実施形態の先端デバイス603について説明する。
先端デバイス603は、プラズマ照射装置20に代えて第3実施形態と同様のプラズマ照射装置320を用い、このプラズマ照射装置320を第3実施形態と同様に配置した点のみが第5実施形態と異なり、その他の点は第5実施形態と同様である。
先端デバイス603でも、第1実施形態と同様に作用部材16に対して超音波振動部12からの超音波振動が与えられるようになっていてもよく、作用部材64に対して超音波振動部12からの超音波振動が与えられるようになっていてもよい。
図12の例でも、プラズマ照射装置320を構成する構造体20Aが作用部材64に対して直接又は他部材を介して間接的に取り付けられている。よって、作用部材64が第2作用部材の一例に相当し、作用部材16が第1作用部材の一例に相当する。そして、作用部64Aが第2作用部の一例に相当し、作用部16Aが第1作用部の一例に相当する。そして、作用部64Aに第3電極70が設けられ、作用部64Aが延びる方向が第1方向とされている。なお、図12の例でも、作用部材64全体が第1方向に沿って延びている。
図12の先端デバイス603では、上述の平面方向に沿って作用部16Aと作用部64Aとが接近及び離間する構成をなしている。そして、上記平面方向と直交する方向(直交方向)における作用部材64の両側において、作用部材64を挟む形で2つの構造体20Aがそれぞれ設けられ、2つの構造体20Aに設けられた2つの放出口34が上記「直交方向」に沿って並んでいる。この構成も、作用部64Aが湾曲部564Aとして構成され、先端側となるにつれて作用部16A側に向かうように湾曲し、接触位置(作用部16Aと作用部64Aとが接触する位置)は、作用部64A(湾曲部564A)における作用部16A側の一部位置を含む。
そして、第3電極70は、湾曲部564Aにおいて、上述の接近・離間方向(作用部16Aの先端と作用部64Aの先端とが接近及び離間する方向)における作用部16A側に配置されている。この例でも、第3電極70は、湾曲部564Aにおいて作用部16A側に露出していてもよく、露出しない形で湾曲部564Aにおける作用部16A寄りの位置に埋め込まれていてもよい。
以上のような先端デバイス503でも、第1、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第7実施形態>
次に、図13等を参照し第7実施形態の先端デバイス703について説明する。
先端デバイス703は、プラズマ照射装置320の構成、配置、作用部材16及び作用部材64の具体的形状、第3電極70の配置、のみが第1実施形態の先端デバイス3(図1等)と異なり、その他の構成及び機能は先端デバイス3と同一である。よって、第1実施形態と同一の点については、詳細な説明は省略する。また、先端デバイス703は、図1で示す先端デバイス3と同様に手術用装置1に用いることができる。つまり、図1の手術用装置1において先端デバイス3に代えて先端デバイス703を設けることができる。
なお、先端デバイス703では、第1実施形態と同様に作用部材16に対して超音波振動部12からの超音波振動が与えられるようになっていてもよく、作用部材64に対して超音波振動部12からの超音波振動が与えられるようになっていてもよい。
先端デバイス703において、プラズマ照射装置320は、第3実施形態の先端デバイス3に設けられたプラズマ照射装置320と同一の構成をなし、同一の機能を有する。先端デバイス703は、作用部16A及び作用部64Aの具体的形状、第3電極70の配置、のみが第3実施形態と異なり、その他の点は第3実施形態と同一である。
図13の例でも、プラズマ照射装置320の構造体20Aが作用部材64に対して直接又は他部材を介して間接的に取り付けられている。よって、作用部材64が第2作用部材の一例に相当し、作用部材16が第1作用部材の一例に相当する。そして、作用部64Aが第2作用部の一例に相当し、作用部16Aが第1作用部の一例に相当する。そして、作用部64Aに第3電極70が設けられ、作用部64Aが延びる方向が第1方向とされている。なお、図13の例でも、作用部材64全体が第1方向に沿って延びている。
図13で示されるように、第7実施形態の先端デバイス703では、作用部16Aと作用部64Aとが、所定の平面方向に沿って接近又は離間する構成をなしている。具体的には、作用部材16に対して作用部材64が回動するときの回動軸と直交する方向が上記平面方向となっており、作用部材16及び作用部材64が上記平面方向に沿って延びている。そして、作用部16Aの先端と作用部64Aの先端とが、上記平面方向のうちの1つの方向(接近・離間方向)に沿って接近及び離間する構成をなしている。図13の構成では、プラズマ照射装置320は、上記平面方向と直交する方向(直交方向)における取付対象となる作用部材64の両側において、作用部材64を挟む形で2つの構造体20Aがそれぞれ設けられている。そして、2つの構造体20Aに設けられた2つの放出口34は、上記の「直交方向」に沿って並んでいる。図13の構成でも、作用部材64において作用部64Aよりも基端側(後端側)に軸部64Bが設けられており、この軸部64Bに2つの構造体20Aが取り付けられている。
更に、本構成では、作用部16A及び作用部64Aのいずれもが上記平面方向と直交する上記直交方向に沿って一方側に屈曲する屈曲部を有している。具体的には、作用部16A及び作用部64Aのそれぞれの全体が屈曲部として構成されており、いずれもが上記直交方向の一方側に屈曲している。例えば、作用部64Aは屈曲部764Aとして構成され、上記の接近・離間方向と直交する仮想平面の方向に沿うように屈曲しており、先端側が上記一方側に向かって曲がるように且つ上記一方側とは反対側が凸となる湾曲となるように屈曲している。同様に、作用部16Aは屈曲部716Aとして構成され、上記の接近・離間方向と直交する仮想平面の方向に沿うように屈曲しており、先端側が上記一方側に向かって曲がるように且つ上記一方側とは反対側が凸となる湾曲となるように屈曲している。
このような構成において、2つの構造体20Aは、取付対象となる作用部材64に対して上記直交方向の両側に配置されており、2つの放出口34も、作用部材64に対して上記直交方向の両側に配置されている(図14も参照)。
先端デバイス703でも、第1実施形態と同様に作用部16Aと作用部64Aとが接触するように構成されている。そして、プラズマ照射装置320は、放出口34から放出されるガスの方向が作用部16Aと作用部64Aとを接触させたときの接触位置に向いている。なお、図13では、作用部16Aと作用部64Aとが接触するときの作用部64Aに対する作用部16Aの相対位置を二点鎖線16Zによって概念的に示している。
図13のように、屈曲部764Aは、上述の直交方向に沿って直交方向一方側に屈曲するように構成されており、2つの放出口34,34のうちの一方の放出口34Aは、作用部材64(第2作用部材)の上記直交方向一方側に配置されている。そして、図14のように、第3電極70は、作用部64A(第2作用部)における上記直交方向一方側に設けられている。具体的には、作用部64Aにおける上記直交方向一方側の端部64C及び上記直交方向反対側の端部64Dのうち、端部64C寄りに第3電極70が配置されている。なお、第3電極70は、自身の板面が上記平面方向に沿った配置又は自身の板面が上記平面方向に対して僅かに傾斜した配置となるように板状又は層状に配置されており、且つ屈曲部764Aが延びる方向に沿うように配置されている。
以上のような先端デバイス703でも、第1、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
更に、先端デバイス703は、屈曲部764Aが屈曲する側と同じ側(上記直交方向における上記一方側)に一方の放出口34Aが配置される。そして、作用部64A(第2作用部)において屈曲部764Aが屈曲する側と同じ側(上記直交方向における上記一方側)に第3電極70が設けられている。このような構成であるため、放出口34Aから放出されるプラズマが第3電極70付近に供給されやすくなり、第3電極70が設けられた作用部64A(第2作用部)近傍にプラズマが集まりやすくなる。
<第8実施形態>
次に、図15等を参照し第8実施形態の先端デバイス803について説明する。
先端デバイス803は、プラズマ照射装置320に代えてプラズマ照射装置820を用いた点のみが第3実施形態と異なり、その他の点は第3実施形態と同様である。具体的には、各々の構造体20Aを各々の構造体820Aに変更した点のみが第3実施形態と異なる。
図15の例では、プラズマ照射装置820の構造体820Aが作用部材64に対して直接又は他部材を介して間接的に取り付けられている。よって、作用部材64が第2作用部材の一例に相当し、作用部材16が第1作用部材の一例に相当する。そして、作用部64Aが第2作用部の一例に相当し、作用部16Aが第1作用部の一例に相当する。そして、作用部64Aに第3電極70が設けられ、作用部64Aが延びる方向が第1方向とされている。なお、図13の例でも、作用部材64全体が第1方向に沿って延びている。
先端デバイス803では、第1実施形態と同様に作用部材16に対して超音波振動部12からの超音波振動が与えられるようになっていてもよく、作用部材64に対して超音波振動部12からの超音波振動が与えられるようになっていてもよい。
図15の構成でも、上記直交方向における作用部材64の両側において、作用部材64を挟む形で2つの構造体820Aがそれぞれ設けられ、2つの構造体820Aが上記の「直交する方向」に沿って並んでいる。
図16のように、各構造体820Aは、2つの放出口34を有しており、2つの放出口34からプラズマを放出し得る構成をなしている。図17のように、構造体820Aは、第1実施形態の先端デバイス3で用いられる構造体20A(図7等)を2つ備えた構成をなし、2つの構造体20Aを一体化させた構成をなしている。図17の例では、構造体820AのZ軸方向中間位置を一点鎖線Cで示しており、一点鎖線Cよりも一方側の領域及び他方側の領域がそれぞれ構造体20Aと同様の構成をなしている。なお、図17では、接地電極44(図7)に相当する電極を省略しているが、接地電極は、図7と同様に各放電電極42に対向させてそれぞれ設けてもよく、両放電電極42に跨るように共通の接地電極を設けてもよい。なお、図16、図17で示す構造体820Aの外形はあくまで一例であり、外形については様々な形状とすることができる。
図15の構成では、図16、図17のように構成された構造体820Aを、作用部材64に対して上記直交方向の両側にそれぞれ配置し、各構造体820Aにおいては、複数(図15の例では2つ)の放出口34を上記平面方向に沿って並べている。具体的には、各構造体820Aにおいて2つの放出口34が上記接近・離間方向に沿って並んでいる。そして、この先端デバイス803でも、作用部16Aと作用部64Aとが接触するように構成され、放出口34から放出されるガスの方向は、作用部16Aと作用部64Aとを接触させたときの接触位置に向いている。
そして、第3電極70は、作用部64Aにおいて、上述の接近・離間方向(作用部16Aの先端と作用部64Aの先端とが接近及び離間する方向)における作用部16A側に配置されている。この例でも、第3電極70は、作用部64Aにおいて上述の接近・離間方向の作用部16A側に露出していてもよく、露出しない形で作用部64Aにおける上述の接近・離間方向の端部寄り(作用部16A寄り)に埋め込まれていてもよい。
このような先端デバイス803でも、第1、第3実施形態と同様の効果が得られる。更に、2つの放出口34が上記接近・離間方向に沿って並んでいるため、上記接近・離間方向においてより広い範囲にプラズマを照射することができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態の各態様に限定されるものではなく、例えば、矛盾しない範囲で、複数の実施形態の特徴を組み合わせることが可能である。また、次のような例も本発明の技術的範囲に含まれる。
上述した実施形態では、主に、第3電極70が作用部内に埋め込まれて露出しない構成を例示したが、いずれの実施形態のいずれの構成でも、第3電極70は作用部において露出して配置されていてもよい。
図1の構成では、作用部材16に対して間接的にプラズマ照射装置を取り付けた例を示したが、作用部材16に対して直接的にプラズマ照射装置を取り付けてもよく、作用部材64に対して直接的に又は他部材を介して間接的にプラズマ照射装置を取り付けてもよい。また、図9~図20の構成では、作用部材64にプラズマ照射装置を取り付けた例を示したが、いずれの構成のものでも、作用部材16に対して直接的に又は他部材を介して間接的にプラズマ照射装置を取り付けてもよい。
第3、第6、第7、第8実施形態では、上記平面方向と直交する直交方向において取付対象の両側に放出口34が配置される例を示したが、取付対象の一方側のみに放出口34が配置されてもよい。例えば、図9の構成において、いずれか一方の構造体20Aを省略してもよい。
第1実施形態では、上述の接近・離間方向(作用部16Aの先端と作用部64Aの先端とが接近及び離間する方向)において、作用部材16における作用部64A側に放出口34が配置された構成を例示したがこの構成に限定されない。例えば、上述の接近・離間方向において、作用部材16における作用部64Aとは反対側に放出口が配置されていてもよい。
第4、第5実施形態では、上述の接近・離間方向(作用部16Aの先端と作用部64Aの先端とが接近及び離間する方向)において、第2作用部材の第1作用部材側に放出口34が配置された構成を例示したがこの構成に限定されない。例えば、上述の接近・離間方向において、第2作用部材における第1作用部材とは反対側に放出口が配置されていてもよい。例えば、放出口と第1作用部材との間に第2作用部材が介在する構成となっていてもよい。
第5、第6実施形態では、第2作用部の全体が湾曲部として構成された例を示したが、第2作用部の一部のみが湾曲部として構成されていてもよい。
第7実施形態では、取付対象となる作用部材64に対して上述の「直交方向」の両側に放出口34が配置された例を示したが、取付対象に対して「直交方向」の一方側のみに放出口が配置されていてもよい。例えば、図13の構成において、屈曲側とは反対側に配置された放出口34を省略してもよい。
上記実施形態では、第1作用部材及び第2作用部材の各形状について一例を示したが、いずれの作用部材も様々な形状に変更することができる。例えば、図10の構成において第2作用部材の形状を変更し、図18のような先端デバイス903としてもよい。また、このような作用部材の形状の変更は、いずれの実施形態に適用してもよい。
第8実施形態では、第3実施形態の先端デバイス303の構造体20Aを構造体820Aに変更した例を示したが、いずれの実施形態の構造体も構造体820Aに変更することができる。いずれの実施形態に構造体820Aを適用する場合でも、構造体820Aの配置は、自身に設けられた複数の放出口が上述の接近・離間方向に並ぶように配置してもよく、上述の直交方向に並ぶように配置してもよい。また、いずれの実施形態に構造体820Aを適用する場合でも、放出口の数は3以上としてもよい。
第8実施形態では、複数の放出口34を備えた構造体820Aを一例として示し、各々の放出口34からX軸方向(構造体820Aの長手方向)に沿ってプラズマが放出される例を示したが、放出口34から放出されるプラズマの方向はこの例に限定されない。例えば、図19のように、X軸方向に対して傾斜した方向にプラズマが照射されてもよい。図19の構造体820Aでは、各放出口34付近の流路がX軸方向に対して傾斜した傾斜流路となっている。そして、構造体820Aは、Z軸方向一方側の放出口34から放出されたプラズマが、X軸方向一方側且つZ軸方向他方側へと向かうように構成されている。更に、構造体820Aは、Z軸方向他方側の放出口34から放出されたプラズマが、X軸方向一方側且つZ軸方向一方側へと向かうように構成されている。なお、第8実施形態以外の構成でも、X軸方向に対して傾斜した方向にプラズマが照射されるようになっていてもよい。
上述した実施形態では、プラズマ照射装置を構成する構造体20A又は構造体820Aが直線状に形成された例を示したが、プラズマ照射装置を構成する構造体は、取付対象の形状に合わせてもよい。例えば、第1作用部材又は第2作用部材若しくはいずれかの作用部材に近接する部材が湾曲面や屈曲面などの外面を有している場合に、この外面に合わせた外形形状で構造体を構成してもよい。具体的には、例えば、作用部材付近の構成を図20のようにしてもよい。図20の構成は、作用部材64の軸部64Bの外面が部分的に屈曲する屈曲面となっており、この屈曲面に合わせた形状で構造体20Aを構成している。
第2実施形態では、1つの作用部材216を備えた電気メスとして構成される先端デバイスの例(図8)を示したが、1つの作用部材のみを備えた先端デバイスの例はこの例に限定されない。例えば、図21で例示される先端デバイス1003のように、作用部材216に対して直接的に又は他部材を介して間接的に第8実施形態と同様のプラズマ照射装置820を設けてもよい。この先端デバイス1003は、作用部材216を挟むように2つの構造体820Aが配置されており、各々の構造体820Aの各放出口34から作用部216Aの先端側に向かってプラズマが照射されるようになっている。そして、作用部216Aにおいて各放出口34よりも先端側に第3電極70が設けられ、第3電極70がグラウンド電位に保たれるようになっている。或いは、図22で例示される先端デバイス1103のようにプラズマ照射装置1120を設けてもよい。先端デバイス1103に設けられるプラズマ照射装置1120は、構造体1120Aが構造体820Aと類似した構成をなし、作用部材216の一方側のみに設けられている。なお、構造体1120Aは、端部の外面がテーパ形状になっている点が構造体820Aと比較したときの主な相違点であり、その他の構成は構造体820Aと同様である。なお、先端デバイス1103の作用部216Aは、外形形状が先端デバイス203(図8)や先端デバイス1103(図21)と異なるが、外形形状はこれら以外の公知の様々な外形形状を適用できる。
上述した実施形態では、超音波振動を行い得る先端デバイスにプラズマ照射装置が組み込まれた構成を例示したが、他の電気的機能を有する先端デバイスに上述したいずれかの構成のプラズマ照射装置が組み込まれた構成であってもよい。或いは、電気的な機能を有さない既知の手術用器具(例えば、鉗子等)として構成される先端デバイスに上述したいずれかの構成のプラズマ照射装置が組み込まれた構成であってもよい。
上述した実施形態では、駆動部が先端デバイスの一部を構成するケース体(作用部材が組み込まれるケース体)の内部に配置される例を示したが、駆動部がケース体の外部に配置されていてもよい。このように駆動部がケース体の外部に配置される場合、駆動部を先端デバイスの一部とみなしてもよく、駆動部を先端デバイスの一部とみなさなくてもよい。
特許請求の範囲、及び明細書において、「生体組織に作用する」とは、作用部材が生体組織に影響を及ぼし、切開と剥離と止血との少なくとも1つを為すことを意味する。上述した実施形態で例示された作用部材はあくまで一例であり、作用部材が生体組織に影響を及ぼし、切開、剥離、止血の少なくとも1つを行い得るようになっていれば、上述した実施形態以外の様々な構成を採用することができる。