従来から場所打ち杭や地中連続壁等の構築物の基礎工事、或いは地盤改良工事等において、泥水等の安定液を使用して数十~百数十メートルの地中孔を掘削し、鉄筋やH型鋼等の芯材を連結して所定長さとして地中孔内に建て込んだ後に、トレミー管を相互に連結しつつ芯材に沿って地中孔内に挿入し、安定液と置換しつつ生コンクリートやソイルセメント等の流動化材料を順次打設する工法が従来より採用されている。
トレミー管は、所定の管径と長さ寸法を有する管体であり、掘削した地中孔の深さに応じて所定長さとなるように順次連結し、芯材を建て込んだ地中孔内に挿入することにより、地中孔内に流動化材料を打設するために使用する。具体的にはトレミー管から流し込んだ高比重の流動化材料を、掘削孔内に満たされた低比重の安定液と置換することにより、流動化材料を打設する。このとき流動化材料と安定液との混合を防ぐため、トレミー管の先端が常に打設する流動化材料の天端より下方にあるように、トレミー管の先端を流動化材料の天端から2m~3mだけ深く貫入した状態を保持するように制御している。そして、流動化材料を打設した分だけ地上方向に上昇する流動化材料の天端に合わせて、トレミー管を引き抜いて地上で取外し、全長を短くしながら打設を行う。この貫入深さとの関係から、全長3mや6mのトレミー管が多く使用されている。
図16は出願人の提供した特許文献1に示す従来のトレミー管70の全体斜視図、図17はその正面図である。トレミー管70は、所定の管径と長さ寸法を有する中空管体30の一端に、中空管体30より径大の中空筒状の雌ジョイント40を固着するとともに、中空管体30の他端に、中空管体30より径大の径大部21を有する中空筒状の雄ジョイント20を固着してなる。なお、径大部21の端部は、中空管体30方向に向けて徐々に管径を絞った傾斜部21aとして形成している。具体的には図17に示すように、中空管体30の一端部31を雌ジョイント40内に挿入して溶接して固着するとともに、中空管体30の他端部33を雄ジョイント20の径大部21内に挿入して溶接して固着している。
そのため、[中空管体30の管径<雌ジョイント40の管径]となるため、中空管体30と雌ジョイント40の連結部には、両者の管径差に起因する下向段差45が形成されている。同様に、[中空管体30の管径<雄ジョイント20の径大部21(より具体的には傾斜部21a)の管径]となるため、中空管体30と雄ジョイント20の連結部には、両者の管径差に起因する上向段差25(図18,図20等参照)が形成されている。
図16,図20等に示すように、雌ジョイント40は、その開放端部に切欠凹部43を穿設し、その内周面に円周状の溝部44を形成するとともに、溝部44に連通する開口部46を外周面に開口している。また、図17,図18,図20等に示すように雄ジョイント20の径大部21には嵌合部22が連設されており、この嵌合部22は径大部21より小径であって雌ジョイント40に嵌合可能であるとともに、外周面上に係合凸部23を突設するとともに、外周面に円周状の溝部24を形成している。
そのため、図21に示すように、一のトレミー管70の雌ジョイント40に、他のトレミー管70aの雄ジョイント20を挿入して固着することにより、複数本のトレミー管70,70aを相互に連結して所定長さとすることが可能である。そのため、トレミー管70,70aの長さピッチ毎にトレミー管連結部77が存在することとなる。
トレミー管70の連結は、図19に示すように一のトレミー管70の所定の箇所にトレミーバンド61を密接状態に装着し、その縁部の下端面を地中孔(図示略)の開口縁部に架設した支持部材62の上面に係止させて支持させる。トレミーバンド61は、アングル材を円形状に曲成して半円状に分割し、両者を一端部で開閉自在に軸支するとともに、他端部をピン63により固定できるようにしたものであり、トレミー管70の雌ジョイント40の下向段差45に連設した中空管体30の円周部に密接状態に装着される。支持部材62は、トレミーバンド61を介してトレミー管70の重量を仮に支え、又トレミー管70の動きを静止させる目的で使用するもので、トレミー管70のトレミー管連結部77において連結及び切り離し作業時に、地中孔内に挿入したトレミー管70の重量を仮に支えるとともに、トレミー管70を静止させ、流動化材料の打設作業を安全に確実に施工するために使用するものである。
次に、雄ジョイント20を下向きとしてクレーンのフック(図示略)に吊支した他のトレミー管70aの雄ジョイント20の嵌合部22を、矢印δに示すようにトレミー管70の雌ジョイント40内に挿通させるとともに、係合凸部23を切欠凹部43に係合させる。この係合状態で溝部24と溝部44とが対面して一致する。そして、図19に示すように複数本のワイヤを捻り合わせて可撓性を保持したまま強度を高めた部材で構成された棒状体からなる連結具65の一端に付設された把手65aを利用して連結具65を開口部46内に差し込み、連結具65をトレミー管70の雌ジョイント40の溝部44と、トレミー管70aの雄ジョイント20の嵌合部22の溝部24との間に位置させる。併せて、雄ジョイント20の嵌合部22に設けたシール部材用溝部27内にOリングからなるシール部材(図示略)を嵌め込んでおく。
これにより図21に示すように、雌ジョイント40の切欠凹部43内に、雄ジョイント20の嵌合部22の係合凸部23が侵入して、両者が結合する。同時に嵌合部22の外周面に形成された溝部24と雌ジョイント40の内周面に形成された溝部44が対面することによって形成される円環状の孔部内に可撓性を有する棒状体からなる連結具65が環状に収納され、トレミー管70の雌ジョイント40に、トレミー管70aの雄ジョイント20を気密封止下に連結することができる。
このとき、両トレミー管70,70aは、連結具65の作用によって連結方向に相互に係脱不能に係合している。よって、両トレミー管70,70aに連結方向に離反する方向の力が作用しても、強度部材で構成された連結具65の保持している剛性によって雄ジョイント20の嵌合部22と雌ジョイント40とが抜けることがなくなり、謂わば連結具65は両トレミー管70,70aの抜けを防止するストッパとしての作用をもたらす。
また、係合凸部23と切欠凹部43が相互に係合することによって、円周方向においても相互に係脱不能に係合している。よって、両トレミー管70,70aに円周方向に離反する力が作用しても、強度部材で構成された係合凸部23と切欠凹部43との係合によって、相互に連結したトレミー管70,70aがそれぞれ単独で回動することがない。そのため、連結具65を溝部24と溝部44の間から押し出すように作用することがなく、連結具65の開口部46からの抜け落ちを防止することができる。よって、雄ジョイント20の嵌合部22と雌ジョイント40とが切り離されることがなくなり、謂わば連結具65及び係合凸部23と切欠凹部43は両トレミー管70,70aの円周方向における抜けを防止するストッパとしての作用をもたらす。
一方、両トレミー管70,70aを切り離す場合には、作業員が把手65aを利用して連結具65を開口部46から引き抜いて、上方に位置する他のトレミー管70aをクレーンで吊り上げることにより、その雄ジョイント20の嵌合部22が、下方に位置する一のトレミー管70の雌ジョイント40から容易に離反し、係合凸部23と切欠凹部43の係合も解かれる。従って、連結具65を開口部46から挿脱し、係合凸部23と切欠凹部43を係脱するだけの操作を行うことによって、トレミー管70,70aを相互に連結し、切り離すことができる。
次に、安定液を使用して掘削した地中孔55内における芯材50とトレミー管70の配置状況の概要を図14に基づいて説明する。図において、地中孔55は安定液を使用して所定深さに掘削した地中連続壁を構築するためのエレメントである。この図は安定液を満たして掘削を完了した地中孔55内に、複数のH型鋼51を相互に連結して所定長さとした芯材50を一定間隔で建て込んだ後に、前記した構成の複数のトレミー管70を相互に連結して所定長さとして各芯材50間に挿入した地中孔55の平面図を示している。
地中孔55に建て込む芯材50は、輸送長さを超える場合は、連結することが必要となり、具体的には略10mの長さの芯材50を相互に連結して所定長さとしている。重量物であるH型鋼51を相互に連結するため、図15に示すように所定長さの複数のH型鋼51の両フランジ51aとウェブ51bを長手方向において当接させ、それぞれ表裏両面に所定面積の鋼製の添接板52を配置して挟持し、必要数のボルト53,ナット54で連結して、所定長さの芯材50としている。そのため、芯材50の長さピッチ毎に芯材連結部57が存在することとなる。このことは芯材50がH型鋼51ではなく、他の素材である場合も同様である。
地中孔55内の鉛直方向に建て込んだH型鋼51からなる芯材50の芯材連結部57において、H型鋼51の表面からは、添接板52やボルト53,ナット54が水平方向に突出している。そのため、所定長さに連結したトレミー管70は、添接板52やボルト53,ナット54が水平方向に突出した状態の芯材50間に挿入して流動化材料を打設し、打設作業の進行とともに地上に引き抜く必要がある。
トレミー管を使用して流動化材料の打設作業を効率よく行うためには、トレミー管の地中孔への挿入作業及び地中孔からの引き抜き作業の双方を円滑に行う必要がある。具体的には次の4つの作業を速やかに、確実に行う必要がある。
作業1:挿入作業時におけるトレミー管相互の連結作業。
作業2:地中孔内へのトレミー管の挿入作業。
作業3:地中孔内からのトレミー管の引き抜き作業。
作業4:引き抜き作業時におけるトレミー管相互の切り離し作業。
特許文献1にかかるトレミー管70によれば、雌ジョイント40への雄ジョイント20の嵌合部22の挿脱及び連結具65の開口部46内への差し込み・引き抜きによって、ワンタッチでトレミー管70,70aを相互に連結し、又切り離す作業を行うことができるため、「作業1」,「作業4」を速やかに、確実に行うことができる。
「作業2」に関して、トレミー管70は雌ジョイント40と中空管体30との間に、両者の管径差に起因する下向段差45を有しており、この下向段差45は挿入方向に位置しているため、引っ掛かりの原因となることが懸念される。しかしながら、挿入作業時の地中孔55内に存在する泥水等の安定液は、低比重で清水に近い状態であり、又地中孔55内に挿入したトレミー管70や芯材50の先端は固定されていないため、挿入作業時に下向段差45が芯材50の芯材連結部57に衝接することがあったとしても、衝接時の圧力によって両者の相対的な位置関係が変化して引っ掛かりが未然に防止されることが多い。
仮に引っ掛かりが生じた場合でも、地上から順次連結して挿入するトレミー管70を多様な方向に揺動させることにより、下向段差45と芯材連結部57との相対的な位置関係を修正することが可能であり、容易に離脱することができる。また、雄ジョイント20と中空管体30との間の上向段差25は、挿入方向に位置していないため挿入作業時における引っ掛かり現象は生じない。そのため、特許文献1にかかるトレミー管70によれば、「作業2」を速やかに、確実に行うことができる。
これに対し、安定液と置換する流動化材料の打設に応じて、相互に連結したトレミー管70を順次地上に引き抜く「作業3」は、トレミー管70の先端が常に打設済みの高比重の流動化材料の天端より下方にあるように、その先端を流動化材料の天端から2m~3mだけ深く貫入した状態を保持するように制御し、トレミー管70の先端及び芯材50の先端は打設済みの高比重の流動化材料によって把持された状態下で行われるため、前記した「作業2」と大きく事情を異にする。また、トレミー管70は、打設済みの流動化材料への貫入深さの関係から、全長3mや6mの全長の短いトレミー管70が多く使用されているため、トレミー管連結部77が多数存在することとなる。
「作業3」は、トレミー管70は雄ジョイント20と中空管体30との間に、両者の管径差に起因し、引き抜き方向に位置する上向段差25を有しているため、作業状況によっては、上向段差25が芯材50の芯材連結部57に引っ掛かってしまうことがある。特に、近時は、ソイルセメント等の流動化材料の利用用途が拡大し、従来の仮設構造物への利用から、本体構造物へ利用する事例が増加し、それに対応するため、流動化材料による構築物への要求能力が高くなっている。そのため、地中孔55に建て込む芯材50の数量が増加するとともに、そのサイズも大型化している。その結果、地中孔55内に建て込んだ芯材50間の間隙(クリアランス)が狭くなってきている。また、打設する高比重の流動化材料からの側圧により、先端部を固定されていない芯材50が揺動したり、トレミー管70が芯材50方向に揺動することもある。加えて、H型鋼51に代わる新たな素材の芯材50も提供されており、芯材50の間隔はより狭くなる方向にあり、「作業3」のトレミー管70を引き抜く環境は従前より厳しさを増している。
なお、下向段差45を有する雌ジョイント40は、上向段差25を有する雄ジョイント20に連結されているため、雌ジョイント40が引き抜き作業時における引っ掛かりの原因となることはない。
そのため、図22,図23に示すように、相互に連結したトレミー管70,70aを矢印βに示すように地上方向へ引き抜く「作業3」において、中空管体30と雄ジョイント20との間の上向段差25が、芯材連結部57の添接板52や水平方向に突出しているボルト53やナット54に引っ掛かることによって、流動化材料の打設作業が中断してしまう。このとき、トレミー管70の先端は既に打設済みの流動化材料の中に貫入されており、芯材50とともに高比重の流動化材料に把持されているため、地上からのトレミー管70の位置修正は困難を伴い、場合によっては引っ掛かり(上向段差25の芯材連結部57への係合)を解消することができなかったり、解消のために長時間を要することがある。
流動化材料は時間とともに硬化が始まり流動性を失っていくため、上向段差25の芯材連結部57への引っ掛かりによって、打設作業が中断されると、引っ掛かり解消に費やす時間が固化体である構築物の製品不良の原因となる。即ち、品質のよい固化体を構築するためには所定の時間内に打設を完了することが肝要であり、引っ掛かりの解消に費やす時間は直接的に品質に影響することとなる。また、最終的に引き抜き不能となってトレミー管70を回収できない場合は、施工不能に陥いることとなる。
加えて、「作業3」は流動化材料を打設して構築する構築物の多様化に伴って、その内容が質的に大きく変化している。即ち、地中孔に建て込む芯材の数量が増加し、大型化し、芯材間の間隙(クリアランス)が狭くなってトレミー管の挿入スペースが減少する等々、作業環境が厳しさを増しており、これらの作業環境の下で地中孔内に建て込んだ芯材へのトレミー管の連結部の干渉,引っかかりを防止して、流動化材料を打設後の地中孔から円滑に引き抜き、「作業3」を速やかに円滑に実施することが喫緊の解決課題となっている。
そこで、本発明は「作業3」を巡る近時の厳しい作業環境の下でも、地中孔内に建て込んだ芯材へのトレミー管の連結部の干渉,引っかかりを防止して、流動化材料を打設後の地中孔から円滑に引き抜くことが可能なトレミー管及びその連結構造並びにトレミー管の引抜方法を提供することを課題とする。
上記課題に関連して、流動化材料の打設に伴うトレミー管の引き抜き作業時の引っ掛かり防止手段として、トレミー管の本体外面に角部や段差部があっても、トレミー管の引き抜き作業時の引っ掛かり防止手段として、トレミー管の本体外面に、半径方向に張り出すように湾曲した部材を付設する手段が特許文献2に開示されている。しかしながら、この手段はトレミー管の直径を拡大する手段であり、前記した芯材間のトレミー管の挿入スペースの減少に伴う引っ掛かりを防止するという本発明の解決課題とは逆行する手段であり、本発明の解決課題を解決することはできない。
従来より6インチの管径のトレミー管が使用されており、本発明者は引っ掛かり防止手段の研究過程において、管径を5インチ以下の小口径化することを検討した。しかしながら、トレミー管を使用した流動化材料の打設は流動化材料の自重による打設であり、管径5インチのトレミー管による出願人の打設実績は地中孔の深度が20m程度の低深度に止まり、それ以上の深度となると管径5インチのトレミー管では打設不能となる怖れがある。また、トレミー管の管径を小口径化したとしても、引っ掛かりの原因となる上向段差は存在することに変わりない。そのため、本発明では現在使用され、高深度の地中孔への打設実績を有する管径6インチのトレミー管をベースとして、課題解決手段を検討することとした。
そこで、本発明者は、「作業1」「作業2」「作業4」を充足する特許文献1にかかるトレミー管に基づいて、引き抜き時の引っ掛かり原因となっている上向段差について鋭意研究の結果、上向段差に起因する引っ掛かりを防止することに止まらず、芯材に対するトレミー管の相対的な位置関係を上向段差を利用して修正する着想を得て、近時の「作業3」を巡る厳しい作業環境下において前記した解決課題を解決する手段として本発明に想到した。
本発明は、その課題を解決するために、請求項1により、所定の管径と長さ寸法を有する中空管体の一端に、中空管体より径大の中空筒状の雌ジョイントを固着するとともに、中空管体の他端に、中空管体より径大の径大部を有する中空筒状の雄ジョイントを固着してなるトレミー管において、中空管体の外周面に、テーパー面を形成した環状のスペーサを固着することにより、雄ジョイントの径大部の外周面端部から雌ジョイント方向の中空管体の外周面に向けて傾斜したガイドスロープ面を形成し、雄ジョイントの径大部と中空管体の管径の差に起因する上向段差を解消したトレミー管を基本として提供する。
請求項2により、スペーサを複数に分割して中空管体の外周面に固着した構成を、請求項3により、スペーサと雄ジョイントの径大部及び中空管体との接合部を段差のないように切削した構成を、請求項4により、一のトレミー管の雌ジョイントに、他のトレミー管の雄ジョイントを挿入して固定することにより、複数本のトレミー管を所定長さに連結する構成を提供する。
また、請求項5により、雄ジョイントは、径大部と、径大部に連設した嵌合部からなり、嵌合部は径大部より小径であって外周面上に係合凸部を突設するとともに、外周面に円周状の溝部を形成してなり、雌ジョイントは、その開放端部に切欠凹部を穿設し、その内周面に円周状の溝部を形成するとともに、該内周面の溝部に連通する開口部を外周面に開口してなる構成を提供する。更に、請求項6により、請求項5記載のトレミー管を使用し、トレミー管を相互に連結する際に、一のトレミー管の雌ジョイント内に、他のトレミー管の嵌合部を挿入し、雌ジョイントの切欠凹部と雄ジョイントの係合凸部を結合するとともに、雌ジョイントの内周面の溝部と雄ジョイントの嵌合部の外周面の溝部によって形成される円環状の孔部内に、複数本のワイヤを捻り合わせて構成された可撓性を有する棒状体からなり、一端に前記開口部に収納可能な把手を付設した連結具を環状に挿脱自在に収納することによって、トレミー管相互を円周方向及び連結方向の双方向において係脱不能に連結するトレミー管の連結構造を提供する。
更に、請求項7により、請求項6記載のトレミー管の連結構造を使用して、所定長さに連結したトレミー管を、安定液を使用して掘削し、複数の芯材を連結して所定長さとした芯材を建て込んだ地中孔内に、芯材に沿って順次挿入し、トレミー管から流動化材料を供給して安定液と置換しつつ順次引き抜くトレミー管の引き抜き方法において、トレミー管の雄ジョイントの芯材連結部への引っ掛かりをガイドスロープ面によって防止するトレミー管の引き抜き方法を提供する。
そして、請求項8により、ガイドスロープ面によって、芯材連結部へのトレミー管の雄ジョイントの引っ掛かりに起因するトレミー管の引き抜き不能を解消する方法を、請求項9により、複数の芯材を相互に添接板を介してボルト連結して所定長さの芯材とした方法を、請求項10により、トレミー管の引抜き時に、雄ジョイントが芯材連結部に衝接した場合に、ガイドスロープ面によってトレミー管を芯材連結部から離反する方向に付勢し、トレミー管の雄ジョイントの芯材連結部への引っ掛かりを防止する方法を提供する。
以上記載した本発明にかかるトレミー管は、雄ジョイントの径大部の外周面端部から雌ジョイント方向の中空管体の外周面に向けて傾斜したガイドスロープ面を形成したことによって、雄ジョイントの径大部と中空管体の管径の差に起因する上向段差を物理的に解消した。このガイドスロープ面によって、トレミー管の引抜作業における芯材連結部への上向段差に起因するトレミー管の引っ掛かりを防止することができる。更に、トレミー管の引抜き時に、雄ジョイントが芯材連結部に衝接した場合に、ガイドスロープ面によってトレミー管を芯材連結部から離反する方向に付勢することができ、芯材に対するトレミー管の相対的な位置関係を修正することができる。これにより、引き抜き作業時におけるトレミー管の芯材連結部への引っ掛かりによって、流動化材料の打設作業が中断されたり、引っ掛かり解消作業に時間を費やすことがなくなり、流動化材料の硬化に伴う構築物の製品不良や、最終的にトレミー管の引き抜き不能となり、施工不能に陥ることを防止することができる。
特に、地中孔に建て込む芯材の数量の増加や大型化に伴って芯材間の間隙(クリアランス)が狭くなり、トレミー管の挿入スペースが減少する等々、その内容が質的に大きく変化し、厳しさを増している作業環境の中でも、トレミー管の引き抜き作業(「作業3」)を速やかに、円滑に行うことができる。その結果、安定液を使用して掘削し、芯材を建て込んだ地中孔内にトレミー管を挿入して、安定液と置換しつつ流動化材料を打設する作業に要求される前記した「作業1」「作業2」「作業4」を速やかに円滑に実施できることはもとより、引っ掛かりの防止が課題となっていた「作業3」をも速やかに、円滑に実施することが可能となった。
以下図面に基づいて本発明にかかるトレミー管及びその連結構造並びにトレミー管の引抜方法の実施形態を説明する。図1は本発明にかかるトレミー管5の全体斜視図、図2はその正面図、図3はトレミー管の雄ジョイント20部分の斜視図、図4はその正面図である。本発明は図16~図23に示す従来のトレミー管70をベースとして、本発明の解決課題を解決する手段を付加したものである。そのため、前記した従来のトレミー管70と同一の構成については、同一の符号を付して改めて説明する。
トレミー管5は、所定の管径と長さ寸法を有する中空管体30の一端に、中空管体30より径大の中空筒状の雌ジョイント40を固着するとともに、中空管体30の他端に、中空管体30より径大の径大部21を有する中空筒状の雄ジョイント20を固着してなる。具体的には図2に示すように、中空管体30の一端部31を雌ジョイント40内に挿入して溶接して固着するとともに、中空管体30の他端部33を雄ジョイント20の径大部21内に挿入して溶接して固着している。
そのため、[中空管体30の管径<雌ジョイント40の管径]となるため、中空管体30と雌ジョイント40との連結部には、両者の管径差に起因する下向段差45が形成されている。同様に、[中空管体30の管径<雄ジョイント20の径大部21の管径]となるため、中空管体30と雄ジョイント20の径大部21との連結部には、両者の管径差に起因する上向段差25が形成されることを避けることができない。
図1,図7等に示すように、雌ジョイント40は、その開放端部に切欠凹部43を穿設し、その内周面に円周状の溝部44を形成するとともに、内周面の溝部44に連通する開口部46を外周面に開口している。また、図2,図3,図4等に示すように雄ジョイント20の径大部21には嵌合部22が連設されており、この嵌合部22は径大部21より小径であって雌ジョイント40に嵌合可能であるとともに、外周面上に係合凸部23を突設するとともに、外周面に円周状の溝部24を形成している。
そのため、図7に示すように、一のトレミー管5の雌ジョイント40に、他のトレミー管5aの雄ジョイント20を挿入して固着することにより、複数本のトレミー管5を所定長さに連結することが可能である。トレミー管5の連結に際しては、一のトレミー管5の一端に固着した雌ジョイント40を上方に位置させ、この雌ジョイント40に他のトレミー管5aの他端に固着した雄ジョイント20の嵌合部22を挿入することにより連結する。よって、図7に示すように連結されたトレミー管5,5aにおける連結部は雌ジョイント40の上に雄ジョイント20が連結されている。
トレミー管5の連結は、図5に示すように一のトレミー管5の所定の箇所にトレミーバンド61を密接状態に装着し、その縁部の下端面を地中孔(図示略)の開口縁部に架設した支持部材62の上面に係止させて支持させる。トレミーバンド61は、アングル材を円形状に曲成して半円状に分割し、両者を一端部で開閉自在に軸支するとともに、他端部をピン63により固定できるようにしたものであり、トレミー管5の雌ジョイント40の下向段差45に連設した中空管体30の円周部に密接状態に装着する。支持部材62は、トレミーバンド61を介してトレミー管5の重量を仮に支え、又トレミー管5の動きを静止させる目的で使用するもので、トレミー管5のトレミー管連結部7において連結及び切り離し作業時に、地中孔内に挿入したトレミー管5の重量を仮に支えるとともに、トレミー管5を静止させ、流動化材料の打設作業を安全に確実に施工するために使用するものである。
次に、雄ジョイント20を下向きとしてクレーンのフック(図示略)に吊支した他のトレミー管5aの雄ジョイント20の嵌合部22を、矢印δに示すようにトレミー管5の雌ジョイント40内に挿通させるとともに、係合凸部23を切欠凹部43に係合させる。この係合状態で溝部24と溝部44とが対面して一致する。そして、図5に示すように複数本のワイヤを捻り合わせて可撓性を保持したまま強度を高めた部材で構成された棒状体からなる連結具65の一端に付設された把手65aを利用して連結具65を開口部46内に差し込み、連結具65をトレミー管5の雌ジョイント40の溝部44と、トレミー管5aの雄ジョイント20の嵌合部22の溝部24との間に位置させる。併せて、雄ジョイント20の嵌合部22に設けたシール部材用溝部27内にOリングからなるシール部材(図示略)を嵌め込んでおく。
これにより雌ジョイント40の切欠凹部43内に、雄ジョイント20の嵌合部22の係合凸部23が侵入して、両者が結合する。同時に嵌合部22と雌ジョイント40の円周面に沿って形成された溝部24と、溝部44内に形成される円環状の孔部内に可撓性を有する棒状体からなる連結具65が環状に収納され、トレミー管5の雌ジョイント40に、トレミー管5aの雄ジョイント20を気密封止下に連結することができる。
このとき、両トレミー管5,5aは、連結具65の作用によって連結方向に相互に係脱不能に係合している。よって、両トレミー管5,5aに連結方向に離反する方向の力が作用しても、強度部材で構成された連結具65の保持している剛性によって雄ジョイント20の嵌合部22と雌ジョイント40とが抜けることがなくなり、謂わば連結具65は両トレミー管5,5aの抜けを防止するストッパとしての作用をもたらす。
また、係合凸部23と切欠凹部43が相互に係合することによって、円周方向においても相互に係脱不能に係合している。よって、両トレミー管5,5aに円周方向に離反する力が作用しても、強度部材で構成された係合凸部23と切欠凹部43との係合によって、相互に連結したトレミー管5,5aがそれぞれ単独で回動することがない。そのため、連結具65を溝部24と溝部44の間から押し出すように作用することがなく、連結具65の開口部46からの抜け落ちを防止することができる。よって、雄ジョイント20の嵌合部22と雌ジョイント40とが切り離されることがなくなり、謂わば連結具65及び係合凸部23と切欠凹部43は両トレミー管5,5aの円周方向における抜けを防止するストッパとしての作用をもたらす。
一方、両トレミー管5,5aを切り離す場合には、作業員が把手65aを利用して連結具65を開口部46から引き抜いて、上方に位置する他のトレミー管5aをクレーンで吊り上げることにより、その雄ジョイント20の嵌合部22が、下方に位置する一のトレミー管5の雌ジョイント40から容易に離反し、係合凸部23と切欠凹部43の係合も解かれる。従って、連結具65を開口部46から挿脱し、係合凸部23と切欠凹部43を係脱するだけの操作を行うことによって、トレミー管5,5aを相互に連結し、切り離すことができる。上記した本発明にかかるトレミー管5,5aの構成は、前記した特許文献1にかかる従来のトレミー管70,70aと同一である。
なお、トレミー管5,5aの連結に際しては、一のトレミー管5の雌ジョイント40の上に、他のトレミー管5aの雄ジョイント20を連結するようにしている。これは流動化材料の打設時に雄ジョイント20が案内する流動化材料を雌ジョイント40で受ける構造となっているためである。また、雄ジョイント20を上にして連結することで、雌ジョイント40の内部を目視した状態で連結作業を行うことができるためである。
雌ジョイント40及び雄ジョイント20は、中空管体30を挿入して溶接する構成上、一定の厚みを保持する必要があり、中空管体30との間の下向段差45及び上向段差25が形成されることは避けられない。また、トレミー管5に先端閉塞が生じ、流動化材料の重量がトレミー管5にかかった場合にもトレミー管連結部7が切り離されない強度が要求される。そのため、雌ジョイント40及び雄ジョイント20は、構成上及び強度保持のためにも中空管体30よりも径大に構成するとともに、所定の肉厚を保持する必要がある。
下向段差45は、トレミーバンド61を支持するためにも必要であり、又トレミー管5の引き抜き時の引っ掛かりの原因となることはない。一方、上向段差25はトレミー管5の引き抜き時に引っ掛かりの原因となるため、雄ジョイント20の径大部21の端部は、中空管体30方向に向けて徐々に管径を絞った傾斜部21aとして形成し、上向段差25の幅を小さくするようにしている。しかしながら、径大部21が、一定の厚みを保持する必要があることに変わりなく、上向段差25を消滅させるほど、即ち、傾斜部21aを中空管体30と同一径となるまで管径を絞ることは、強度維持の観点からも選択できない。即ち、中空管体30と雄ジョイント20の固着を溶接により行っているため、雄ジョイント20を直接過度に切削すると、雄ジョイント20の強度低下を起こすこととなるためである。よって、雄ジョイント20の径大部21は、傾斜部21aによって管径を絞ってはいるものの、中空管体30との連結部には一定の厚みを保持することが必要不可欠であり、トレミー管5の引き抜き時の芯材連結部57への引っ掛かりの原因となる上向段差25が形成されることを避けられない。
本発明の特徴的構成は、雄ジョイント20の径大部21(より具体的には傾斜部21a)の外周面端部21bから、雌ジョイント40方向の中空管体30の外周面に向けて徐々に傾斜したテーパー面を有するガイドスロープ面10を形成し、雄ジョイント20の径大部21と中空管体30の管径の差に起因する上向段差25を物理的に解消すること、即ち、上向段差25を雄ジョイント20とは別体のガイドスロープ面10で充填し、段差を解消することにある。
ガイドスロープ面10は、上向段差25に連続した中空管体30の外周面に、テーパー面を形成した環状のスペーサ15を溶接して固着することによって形成する。その工程を図8~図11に基づいて説明する。図8は2分割した一方のスペーサ15の(A)底面図,(B)正面図,(C)斜視図である。スペーサ15の底面15aは一定の肉厚寸法を有し、先端に向けて徐々に薄肉となるテーパー面を有する外周面と、同一径の内周面を有する。実施形態では、2分割したスペーサ15を2つ使用し、相互に連結して環状のスペーサ15を形成するが、3分割,4分割等他の複数分割であってもよいし、均等に分割しなくともよい。また、分割することなく予め環状としておいてもよい。要すれば、スペーサ15は、トレミー管5とは別部材であって、上向段差25を物理的に解消するとともに、ガイドスロープ面10を形成することが可能な部材であればよい。
環状に連結したスペーサ15の底面15aは、上向段差25を構成する雄ジョイント20の径大部21における傾斜部21aの外周面端部21bと中空管体30との管径差と略同じ幅寸法の円弧状平面を形成し、先部15bは中空管体30の管径より僅かに大きい管径の先鋭面に形成されている。この2分割したスペーサ15を図9の矢印αに示すように、雄ジョイント20の上向段差25に嵌合し、必要箇所を溶接する。図10は上向段差25に2分割したスペーサ15の一方を固着した状態の斜視図であり、スペーサ15を固着した側の上向段差25は解消され、固着していない側の上向段差25はそのまま残っている。上向段差25に固着した環状のスペーサ15は、雄ジョイント20及び中空管体30との接合部における溶接肉盛部やバリを図11に示すように、作業者Pがグラインダ17で切削することによって除去し、スペーサ15によって形成されるガイドスロープ面10と雄ジョイント20の径大部21における傾斜部21a及び中空管体30との接合部を物理的な段差がないように一体に切削加工する。なお、本発明でいう物理的な段差がないとは、芯材連結部57において、引っ掛かりの原因とならない程度に平滑となっている状態をいい、目視や手触りによって確認すればよい。
ガイドスロープ面10は、雄ジョイント20と中空管体30の管径差、具体的には径大部21における傾斜部21aと中空管体30の管径差に起因する上向段差25を解消するために形成するものであり、雌ジョイント40と中空管体30の管径差に起因する下向段差45はそのまま残しておく。複数のトレミー管5,5aを相互に連結する際には、一のトレミー管5の上方に位置させた雌ジョイント40に、他のトレミー管5aの下方に位置させた雄ジョイント20の嵌合部22を挿入して連結する。そのため、地中孔からの引き抜き時において、下向段差45は、トレミー管連結部7の地中孔の底部方向に位置するため、芯材連結部57に引っ掛かることがなく、引っ掛かりを解消するためのガイドスロープ面10を必要としないためである。
安定液を使用して掘削した地中孔55内における芯材50とトレミー管5,5aの配置状況は先に説明したとおりであるが、改めて図14に基づいて、その概要を説明する。図において、地中孔55は安定液を使用して所定深さに掘削した地中連続壁を構築するためのエレメントである。この図は安定液を満たして掘削を完了した地中孔55内に、複数のH型鋼51を相互に連結して所定長さとした芯材50を一定間隔で建て込んだ後に、前記した構成の複数のトレミー管5,5aを相互に連結して所定長さとしたトレミー管5を各芯材50間に挿入した地中孔55の平面図を示している。
地中孔55に建て込む芯材50は、輸送長さを超える場合は、連結することが必要となり、具体的には略10mの長さの芯材50を相互に連結して所定長さとしている。重量物であるH型鋼51を相互に連結するため、図15に示すように所定長さの複数のH型鋼51の両フランジ51aとウェブ51bを長手方向において当接させ、それぞれ表裏両面に所定面積の鋼製の添接板52を配置して挟持し、必要数のボルト53,ナット54で連結して、所定長さの芯材50としている。そのため、芯材50の長さピッチ毎に芯材連結部57が存在することとなる。このことは芯材50がH型鋼51ではなく、他の素材である場合も同様である。
地中孔55内の鉛直方向に建て込んだH型鋼51からなる芯材50の芯材連結部57において、H型鋼51の表面からは、添接板52やボルト53,ナット54が水平方向に突出している。そのため、所定長さに連結したトレミー管5は、添接板52やボルト53,ナット54が水平方向に突出した状態の芯材50間に挿入して流動化材料を打設し、打設作業の進行とともに地上に引き抜く必要がある。
上記した雄ジョイント20の上向段差25にガイドスロープ面10を形成した本発明にかかるトレミー管5,5aを所定数使用して、下方に配置した一のトレミー管5の雌ジョイント40に、上方に配置した他のトレミー管5aの雄ジョイント20を連結することにより複数本を相互に連結して所定長さとするトレミー管5,5aを、安定液を使用して掘削し、複数の芯材50を連結して所定長さとした芯材50を建て込んだ地中孔55内に、芯材50に沿って順次挿入し、トレミー管5,5aから流動化材料を供給して安定液と置換しつつトレミー管を順次引き抜くことによって、流動化材料を打設する。
相互に連結したトレミー管5,5aにおいて、雌ジョイント40に連結した雄ジョイント20が上方(引き抜き方向)に位置するため、作業状況によっては何らかの理由で、引き抜き方向に位置する雄ジョイント20と中空管体30との間の上向段差25が、芯材連結部57に引っ掛かってしまい、引き抜き作業が行えなくなることがある。この場合、一端引き抜き作業を中断させて、地上からトレミー管を回動させたり、揺動させることによって引っ掛かりを解く必要がある。
しかしながら、このとき、相互に連結したトレミー管5,5aの先端は既に打設済みの流動化材料の中に埋設されているため、地上からのトレミー管5,5aの位置制御は困難を伴い、場合によっては引っ掛かり(係合)を解消することができないことがある。特に、近時は、ソイルセメント等の流動化材料の利用用途が拡大し、従来の仮設構造物への利用から、本体構造物に利用する事例が増加し、それに対応するためソイルセメント壁等の流動化材料による構築物への要求能力が高くなっている。そのため、地中孔55に建て込む芯材50の数量が増加し、芯材50も大型化する。その結果、芯材50間の間隙(クリアランス)が狭くなってきている。また、打設する高比重の流動化材料の圧力により、先端部を固定されていない芯材50が揺動したり、トレミー管5,5aが芯材50方向に揺動することもある。加えて、H型鋼に代わる新たな素材の芯材も提供されており、芯材50の間隔はより狭くなる方向にあり、トレミー管5,5aを引き抜く環境は厳しさを増している。
このようなトレミー管5,5aの引き抜き時に、トレミー管5,5aの雄ジョイント20の芯材50の連結部への引っ掛かりを生じやすい厳しい作業環境の下でも、本発明にかかるトレミー管5,5aは、引っ掛かりの原因となる上向段差25を、ガイドスロープ面10によって解消しており、かつ、ガイドスロープ面10をテーパー面で形成していることから、ガイドスロープ面10によって、芯材50の連結部へのトレミー管5,5aの雄ジョイント20の引っ掛かりを防ぐことができ、引っ掛かりに起因するトレミー管5の引き抜き不能を解消することができる。
具体的には、図12,図13に示すように、相互に連結したトレミー管5,5aを矢印βに示すように地上方向への引き抜き作業時において、中空管体30と雄ジョイント20が、添接板52を介して芯材50,50を連結し水平方向に突出しているボルト53に衝接することがある。このとき、相互に連結したトレミー管5,5aの先端は既に打設済みの流動化材料の中に埋設されて固定された状態にあり、地上からはトレミー管5,5aの位置制御が困難である。しかしながら、図12に示すように、上記した芯材50の芯材連結部57に衝接するのは、雄ジョイント20のガイドスロープ面10であり、衝接時の圧力がガイドスロープ面10に作用し、図13の矢印γに示すようにトレミー管5,5aを芯材50の芯材連結部57から離反する方向に付勢する。そのため、トレミー管5,5aの雄ジョイント20が芯材50の芯材連結部57に引っ掛かることを防止し、芯材の引き抜き作業である「作業3」を速やかに、円滑に実施することができる。