以下、図面を参照しながら、認証システム、認証方法、制御装置、コンピュータプログラム及び記録媒体の実施形態について説明する。以下では、人物Tの虹彩のパターンに基づいて人物Tの認証を行う虹彩認証動作を実行する虹彩認証システム1を用いて、認証システム、認証方法、制御装置、コンピュータプログラム及び記録媒体の実施形態について説明する。このような虹彩認証システム1は、例えば、空港における入出国手続きを自動化するためのシステム(いわゆる、ABC(Automated Border Control))の一部として採用されてもよい。この場合、虹彩認証システム1は、移動する人物Tの認証を行うウォークスルータイプの虹彩認証システムであってもよい。以下では、虹彩認証システム1がウォークスルータイプの虹彩認証システムである例を用いて説明を進める。但し、虹彩認証システム1がこの段落で例示した虹彩認証システムに限定されることはない。虹彩認証システム1は、人物Tの認証を行うことが可能な任意の虹彩認証システム(例えば、移動していない又は静止している人物Tの認証を行う虹彩認証システム)として用いられてもよい。尚、虹彩認証システム1は、後述する付記における「認証システム」の一具体例である。
(1)虹彩認証システム1の構成
(1-1)虹彩認証システム1の全体構成
はじめに、図1を参照しながら、本実施形態の虹彩認証システム1の全体構成について説明する。図1は、本実施形態の虹彩認証システム1の全体構成を示すブロック図である。
図1に示すように、虹彩認証システム1は、後述する付記における「第2撮像装置」の一具体例である全体撮像装置2と、後述する付記における「第1撮像装置」の一具体例である複数の虹彩撮像装置3と、後述する付記における「制御装置」の一具体例である虹彩認証装置6とを備える。虹彩認証システム1は更に、人感センサ4と、人感センサ5とを備えていてもよい。
全体撮像装置2は、単一の(或いは、場合によっては、複数の)全体カメラ21を備える。虹彩撮像装置3は、複数の虹彩カメラ31を備える。図1は、虹彩撮像装置3がn(但し、nは2以上の整数)個の虹彩カメラ31を備えている例を示している。以下の説明では、必要に応じて、n個の虹彩カメラ31を、夫々、虹彩カメラ31-1、虹彩カメラ31-2、・・・、及び虹彩カメラ31-nと称する。尚、虹彩カメラ31の数は、各虹彩カメラ31の特性(例えば、各虹彩カメラ31の撮像範囲及び各虹彩カメラ31の解像度等の少なくとも一つ)に応じて適宜設定されてもよい。
全体カメラ21及び複数の虹彩カメラ31の夫々は、人物Tを撮像可能な撮像装置である。以下、図2を参照しながら、全体カメラ21及び複数の虹彩カメラ31について更に詳細に説明する。図2は、全体カメラ21及び複数の虹彩カメラ31と人物Tとの位置関係を示す模式図である。
図2に示すように、全体カメラ21は、各虹彩カメラ31の撮像範囲よりも広い撮像範囲で人物Tを撮像する。つまり、全体カメラ21の撮像範囲は、各虹彩カメラ31の撮像範囲よりも広い。具体的には、全体カメラ21の撮像範囲は、人物Tの身長の長短にかかわらずに全体カメラ21が人物Tを撮像できるように、適切な範囲に設定されている。つまり、全体カメラ21の撮像範囲は、全体カメラ21が相対的に背の高い人物Tを撮像できると共に相対的に背の低い人物Tも撮像できるように、適切な範囲に設定されている。特に、全体カメラ21の撮像範囲は、人物Tの身長の長短にかかわらずに、全体カメラ21が、人物Tのうち認証のために用いられるターゲット部位TP(本実施形態では、虹彩を含む目)を撮像できるように、適切な範囲に設定されている。
尚、本実施形態における「カメラの撮像範囲」は、カメラが撮像可能な光景が含まれる範囲を意味しており、視野範囲、撮像領域、視野領域又は画角領域と称されてもよい。このような撮像範囲の大きさは、典型的には、カメラの画角(言い換えれば、視野角)が大きくなるほど大きくなる。このため、典型的には、全体カメラ21の光学系(例えば、レンズ)は、各虹彩カメラ31の光学系よりも広角な光学系となる。つまり、全体カメラ21の画角は、各虹彩カメラ31の画角よりも広くなる。また、カメラの画角は、典型的には、カメラが備える光学系(例えば、レンズ)の焦点距離が短くなればなるほど大きくなる。このため、典型的には、全体カメラ21の光学系の焦点距離は、各虹彩カメラ31の光学系の焦点距離よりも短くなる。
全体カメラ21は、トリガ地点P1に位置する人物Tを撮像する。つまり、全体カメラ21の撮像範囲は、トリガ地点P1に位置する人物Tを全体カメラ21が撮像できるように、適切な撮像範囲に設定されている。トリガ地点P1は、人物Tの移動経路上に位置する地点である。更に、トリガ地点P1は、トリガ地点P1に向かって移動している人物Tから見て、基準地点P0よりも手前側に位置する地点である。つまり、トリガ地点P1は、基準地点P0よりも、人物Tの移動方向における手前側(つまり、後方側)に位置する地点である。更に、トリガ地点P1は、人物Tの移動方向に沿って基準地点P0から距離D1だけ離れた地点である。基準地点P0は、例えば、各虹彩カメラ31が設置されている地点であってもよい。或いは、基準地点P0は、例えば、移動する人物Tの目的地であってもよい。目的地は、例えば、人物Tが認証後に通過する地点(例えば、空港のゲートが設置されている地点)であってもよい。
図2に示す例では、人物Tは、紙面左側から右側に向かって移動している。従って、図2に示す例では、トリガ地点P1は、基準地点P0から紙面左側に向かって距離D1だけ離れた地点である。尚、人物Tは、移動方向が常に同一となる直線状の経路に沿って移動してもよいし、移動方向が途中で変わる経路(例えば、曲線状の経路又は折れ曲がった経路)に沿って移動してもよい。
全体カメラ21は、全体カメラ21の合焦位置がトリガ地点P1に位置するように配置されることが好ましい。尚、本実施形態における「合焦位置」は、ベストフォーカス位置の前後に広がる一定の領域(例えば、ピントが合っているとみなすことが可能な領域であり、被写界深度に相当する領域)を意味するものとする。この場合には、全体カメラ21は、全体カメラ21の合焦位置がトリガ地点P1を含む領域となる(つまり、合焦位置に相当する領域内にトリガ地点P1が位置する)ように配置されることが好ましい。逆に言えば、全体カメラ21の合焦位置に、トリガ地点P1が設定される。
全体カメラ21は、全体カメラ21が撮像した画像である全体画像200から、トリガ地点P1に位置する人物Tの顔を識別することができる程度の解像度を有している。特に、全体カメラ21は、トリガ地点P1に位置する人物Tのターゲット部位TP(つまり、目)が全体画像200内のどこに位置しているかを全体画像200から識別することができる程度の解像度を有している。
一方で、各虹彩カメラ31は、ピント地点P2に位置する人物Tを撮像する。つまり、各虹彩カメラ31の撮像範囲は、ピント地点P2に位置する人物Tを各虹彩カメラ31が撮像できるように、適切な撮像範囲に設定されている。ピント地点P2は、トリガ地点P1と同様に、人物Tの移動経路上に位置する地点である。更に、ピント地点P2は、トリガ地点P1と同様に、ピント地点P2に向かって移動している人物Tから見て基準地点P0よりも手前側に位置する地点である。つまり、ピント地点P2は、基準地点P0よりも、人物Tの移動方向における手前側(つまり、後方側)に位置する地点である。更に、ピント地点P2は、人物Tの移動方向に沿って基準地点P0から距離D2だけ離れた地点である。図2に示す例では、人物Tは、紙面左側から右側に向かって移動している。従って、図2に示す例では、ピント地点P2は、基準地点P0から紙面左側に向かって距離D2だけ離れた地点である。
ピント地点P2と基準地点P0との間の距離D2は、トリガ地点P1と基準地点P0との間の距離D1と同一であってもよい。この場合、同じ地点が、トリガ地点P1及びピント地点P2の夫々として用いられる。つまり、トリガ地点P1とピント地点P2とが同一の地点となる。トリガ地点P1とピント地点P2とが同一である場合には、虹彩認証システム1は、例えば、移動していない又は静止している人物Tの認証を行う虹彩認証システムとして利用可能である。
或いは、ピント地点P2と基準地点P0との間の距離D2は、トリガ地点P1と基準地点P0との間の距離D1よりも短くてもよい。この場合、ピント地点P2は、トリガ地点P1よりも、人物Tの移動方向における奥側(つまり、前方側)に位置する。言い換えれば、トリガ地点P1は、ピント地点P2よりも、人物Tの移動方向における手前側(つまり、後方側)に位置する。従って、移動する人物Tは、トリガ地点P1を通過した後に、ピント地点P2を通過する。言い換えれば、移動する人物Tは、ピント地点P2を通過する前に、トリガ地点P1を通過する。尚、距離D1及びD2は、距離D2が距離D1よりも短いという関係を満たす限りは、どのような値に設定されてもよい。一例として、距離D1及びD2は、夫々、3m及び2mに設定されてもよい。トリガ地点P1とピント地点P2とが同一でない場合には、虹彩認証システム1は、例えば、移動する人物Tの認証を行うウォークスルータイプの虹彩認証システムとして利用可能である。
各虹彩カメラ31は、各虹彩カメラ31の合焦位置がピント地点P2に位置するように配置される。具体的には、各虹彩カメラ31は、各虹彩カメラ31の合焦位置がピント地点P2を含む領域となる(つまり、合焦位置に相当する領域内にピント地点P2が位置する)ように配置されると言える。逆に言えば、各虹彩カメラ31の合焦位置に、ピント地点P2が設定される。尚、上述したように全体カメラ21の画角が各虹彩カメラ31の画角よりも広くなる(つまり、全体カメラ21の光学系の焦点距離が各虹彩カメラ31の光学系の焦点距離よりも短くなる)がゆえに、各虹彩カメラ31の合焦位置に相当する領域と比較して、全体カメラ21の合焦位置に相当する領域は広くなる。
複数の虹彩カメラ31は、複数の虹彩カメラ31の撮像範囲がピント地点P2において垂直方向(或いは、垂直方向とは異なる所望の方向)に沿って部分的に重複するように配置される。図2に示す例では、複数の虹彩カメラ31は、ピント地点P2において虹彩カメラ31-k(但し、kは、1≦k<nを満たす整数)の撮像範囲の下端部と虹彩カメラ31-m(但し、mは、1<k+1=m≦nを満たす整数)の撮像範囲の上端部とが重複するように配置されている。その結果、撮像範囲が部分的に重複する2つの虹彩カメラ31が夫々撮像した2つの画像内には、部分的に同じ光景が写り込む。図2に示す例では、虹彩カメラ31-kが撮像した画像の下端部と虹彩カメラ31-mが撮像した画像の上端部とに、同じ光景が写り込む。
複数の虹彩カメラ31は、複数の虹彩カメラ31の撮像範囲を合成した合成撮像範囲(つまり、虹彩撮像装置3全体としての撮像範囲)が、水平方向に所定の水平長さを有し且つ垂直方向に所定の垂直長さを有するように配置される。所定の水平長さは、ピント地点P2に位置する人物Tのターゲット部位TPを合成撮像範囲に含めることができる長さ(例えば、0.2m)であってもよい。所定の垂直長さは、人物Tの身長の長短に関わらずにピント地点P2に位置する人物Tのターゲット部位TPを合成撮像範囲に含めることができる長さ(例えば、0.4m)であってもよい。
各虹彩カメラ31は、各虹彩カメラ31が撮像した画像である虹彩画像300から、ピント地点P2に位置する人物Tのターゲット部位TPを識別することができる程度の解像度を有している。特に、各虹彩カメラ31は、各虹彩カメラ31が撮像した画像である虹彩画像300から、ピント地点P2に位置する人物Tの虹彩のパターンを識別することができる程度の解像度を有している。
全体カメラ21及び複数の虹彩カメラ31は、複数の虹彩カメラ31の合成撮像範囲が全体カメラ21の撮像範囲と少なくとも部分的に重複するように配置される。例えば、全体カメラ21及び複数の虹彩カメラ31は、トリガ地点P1及びピント地点P2の少なくとも一方(或いは、その他の地点)において複数の虹彩カメラ31の合成撮像範囲が全体カメラ21の撮像範囲に包含されるように配置される。その結果、全体画像200と複数の虹彩画像300との関係を示す平面図である図3に示すように、全体カメラ21が撮像した全体画像200の一部には、複数の虹彩カメラ31が夫々撮像した複数の虹彩画像300に写っている光景と同じ光景が写る。但し、全体カメラ21及び複数の虹彩カメラ31は、複数の虹彩カメラ31の合成撮像範囲が全体カメラ21の撮像範囲と少なくとも部分的に重複するように配置されていなくてもよい。つまり、全体カメラ21及び複数の虹彩カメラ31は、複数の虹彩カメラ31の合成撮像範囲が全体カメラ21の撮像範囲と重複しないように配置されていてもよい。例えば、全体カメラ21及び複数の虹彩カメラ31は、トリガ地点P1及びピント地点P2の双方において複数の虹彩カメラ31の合成撮像範囲が全体カメラ21の撮像範囲と重複しないように配置されていてもよい。
この場合、例えば、図3に示すように、全体画像200は、虹彩画像領域RAを含んでいると言える。言い換えれば、全体画像200のうちの一部の領域は、虹彩画像領域RAとなると言える。虹彩画像領域RAは、複数の虹彩カメラ31の合成撮像範囲に対応する領域である。虹彩画像領域RAは、複数の虹彩画像300に写った光景と同じ光景が写り込む領域である。上述したように複数の虹彩カメラ31の撮像範囲が垂直方向に沿って部分的に重複する。このため、虹彩画像領域RAでは、虹彩カメラ31-1の撮像範囲に対応する領域と、虹彩カメラ31-2の撮像範囲に対応する領域と、虹彩カメラ31-3の撮像範囲に対応する領域と、・・・、虹彩カメラ31-nの撮像範囲に対応する領域とが垂直方向に沿って配列する。つまり、虹彩画像領域RAでは、虹彩カメラ31-1が撮像した虹彩画像300-1に写った光景と同じ光景が写る領域と、虹彩カメラ31-2が撮像した虹彩画像300-2に写った光景と同じ光景が写る領域と、虹彩カメラ31-3が撮像した虹彩画像300-3に写った光景と同じ光景が写る領域と、・・・、虹彩カメラ31-nが撮像した虹彩画像300-nに写った光景と同じ光景が写る領域とが垂直方向に沿って配列する。尚、図3に示す例では、虹彩画像300-3に人物Tのターゲット部位TPが写っている。この場合、全体画像200(特に、その虹彩画像領域RA)のうちの虹彩カメラ31-3の撮像範囲に対応する領域にターゲット部位TPが写る。
再び図1において、人感センサ4は、トリガ地点P1に人物Tが位置しているか否かを検知するための検知装置である。人感センサ4の検知結果は、虹彩認証装置6に出力される。人感センサ4の検知結果は、全体カメラ21がトリガ地点P1に位置する人物Tを撮像するか否かを決定するための条件として用いられる。
人感センサ5は、ピント地点P2に人物Tが位置しているか否かを検知するための検知装置である。人感センサ5の検知結果は、虹彩認証装置6に出力される。人感センサ5の検知結果は、虹彩カメラ31がピント地点P2に位置する人物Tを撮像するか否かを決定するための条件として用いられる。
虹彩認証装置6は、虹彩認証システム1の全体の動作を制御する。本実施形態では特に、虹彩認証装置6は、虹彩認証動作を実行する。虹彩認証動作は、例えば、全体カメラ21が撮像した全体画像200に基づいて、複数の虹彩カメラ31の中からピント地点P2に位置する人物Tを撮像するための一の虹彩カメラ31を選択する処理と、選択された一の虹彩カメラ31が撮像した虹彩画像300に基づいて、人物Tの認証を行う処理とを含む動作である。以下、このような虹彩認証動作を実行する虹彩認証装置6の構成について、更に詳細に説明する。
(1-2)虹彩認証装置6の構成
続いて、図4を参照しながら、本実施形態の虹彩認証装置6の構成について説明する。図4は、本実施形態の虹彩認証装置6のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4に示すように、虹彩認証装置6は、CPU(Central Processing Unit)61と、RAM(Random Access Memory)62と、ROM(Read Only Memory)63と、記憶装置64と、入力装置65と、出力装置66とを備えている。CPU61と、RAM62と、ROM63と、記憶装置64と、入力装置65と、出力装置66とは、データバス67を介して接続されている。但し、虹彩認証装置6は、RAM62、ROM63、記憶装置64、入力装置65、出力装置66及びデータバス67の少なくとも一つを備えていなくてもよい。
CPU61は、コンピュータプログラムを読み込む。例えば、CPU61は、RAM62、ROM63及び記憶装置64のうちの少なくとも一つが記憶しているコンピュータプログラムを読み込んでもよい。例えば、CPU61は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体が記憶しているコンピュータプログラムを、図示しない記録媒体読み取り装置を用いて読み込んでもよい。CPU61は、ネットワークインタフェースを介して、虹彩認証装置6の外部に配置される不図示の装置からコンピュータプログラムを取得してもよい(つまり、読み込んでもよい)。CPU61は、読み込んだコンピュータプログラムを実行することで、RAM62、記憶装置64、入力装置65及び出力装置66を制御する。本実施形態では特に、CPU61が読み込んだコンピュータプログラムを実行すると、CPU61内には、虹彩認証動作を実行するための論理的な機能ブロックが実現される。つまり、CPU61は、虹彩認証動作を実行するための論理的な機能ブロックを実現するためのコントローラとして機能可能である。
虹彩認証動作を行うためにCPU61内に実現される論理的な機能ブロックの一例が図5に示されている。図5に示すように、CPU61内には、虹彩認証動作を実行するための論理的な機能ブロックとして、後述する付記における「取得手段」の一具体例である画像取得部611と、後述する付記における「選択手段」の一具体例である対象選択部612と、カメラ設定部613と、撮像制御部614と、認証部615とが実現される。尚、画像取得部611、対象選択部612、カメラ設定部613、撮像制御部614及び認証部615の夫々の動作については、図6等を参照しながら後に詳述するため、ここでの詳細な説明を省略する。
再び図4において、RAM62は、CPU61が実行するコンピュータプログラムを一時的に記憶する。RAM62は、CPU61がコンピュータプログラムを実行している際にCPU61が一時的に使用するデータを一時的に記憶する。RAM62は、例えば、D-RAM(Dynamic RAM)であってもよい。
ROM63は、CPU61が実行するコンピュータプログラムを記憶する。ROM63は、その他に固定的なデータを記憶していてもよい。ROM63は、例えば、P-ROM(Programmable ROM)であってもよい。
記憶装置64は、虹彩認証装置6が長期的に保存するデータを記憶する。記憶装置64は、CPU61の一時記憶装置として動作してもよい。記憶装置64は、例えば、ハードディスク装置、光磁気ディスク装置、SSD(Solid State Drive)及びディスクアレイ装置のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
入力装置65は、虹彩認証装置6のユーザからの入力指示を受け取る装置である。入力装置65は、例えば、キーボード、マウス及びタッチパネルのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
出力装置66は、虹彩認証装置6に関する情報を外部に対して出力する装置である。例えば、出力装置66は、虹彩認証装置6に関する情報を表示可能な表示装置であってもよい。
(2)虹彩認証動作の流れ
続いて、図6を参照しながら、本実施形態の虹彩認証システム1の動作(つまり、虹彩認証動作)の流れについて説明する。図6は、本実施形態の虹彩認証システム1の動作(つまり、虹彩認証動作)の流れを示すフローチャートである。
図6に示すように、撮像制御部614は、人感センサ4の検知結果に基づいて、トリガ地点P1に人物Tが位置しているか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11における判定の結果、トリガ地点P1に人物Tが位置していないと判定された場合には(ステップS11:No)、ステップS11の処理が繰り返し行われる。他方で、ステップS11における判定の結果、トリガ地点P1に人物Tが位置していると判定された場合には(ステップS11:Yes)、撮像制御部614は、トリガ地点P1に位置している人物Tを撮像するように、全体カメラ21を制御する(ステップS12)。その結果、全体カメラ21は、トリガ地点P1に位置している人物Tを撮像する(ステップS12)。全体カメラ21が撮像した全体画像200は、画像取得部611によって取得される(ステップS12)。
その後、対象選択部612は、ステップS12において取得された全体画像200に基づいて、全体画像200に写っている人物Tのうちの少なくとも一人を、虹彩認証を行うべき認証対象者Taとして選択する(ステップS21からステップS27)。
認証対象者Taを選択するために、対象選択部612は、まず、ステップS12において取得された全体画像200内において、ターゲット部位TPを含むターゲット領域TAを検出する(ステップS21)。上述したように、本実施形態では、人物Tの目がターゲット部位TPとして用いられている。このため、対象選択部612は、全体画像200内において、ターゲット部位TPである人物Tの目を含むターゲット領域TAを検出する。以下では、説明の便宜上、対象選択部612は、人物Tの目を含むターゲット領域TAとして、人物Tの顔が写っている顔領域を検出するものとする。従って、以下の説明では、説明の便宜上、ターゲット領域TAを適宜“顔領域TA”と称する。顔領域TAは、顔のみが写っている領域であってもよい。つまり、顔領域TAは、顔の輪郭によって周囲と区別される(言い換えれば、顔の輪郭によって切り出し可能な)領域であってもよい。或いは、顔領域TAは、顔に加えて顔の周辺の光景が写っている所定形状(例えば、矩形形状)の領域であってもよい。尚、対象選択部612は、顔領域TAを検出する方法として、ある画像中で所望の物体が写っている領域を検出するための既存の方法を用いてもよい。このため、顔領域TAを検出する方法についての詳細な説明は省略する。
その後、対象選択部612は、ステップS21で顔領域TAが実際に検出されたか否かを判定する(ステップS22)。
ステップS22の判定の結果、ステップS21で顔領域TAが検出されなかったと判定された場合には(ステップS22:No)、ステップS12において取得された全体画像200内に人物Tが写り込んでいなかったと推定される。この場合には、虹彩認証装置6は、認証対象者Taを選択することなく、ステップS11以降の処理を繰り返す。
他方で、ステップS22の判定の結果、ステップS21で顔領域TAが検出されたと判定された場合には(ステップS22:Yes)、対象選択部612は、ステップS12において取得された全体画像200内に写り込んでいた人物Tであって且つ所定の選択条件を満たす顔領域TAに対応する人物Tを、認証対象者Taとして選択する(ステップS23)。つまり、対象選択部612は、全体画像200内に写り込んでいた人物Tのうち、所定の選択条件を満たさない顔領域TAに対応する人物Tを、認証対象者Taとして選択することはない。
所定の選択条件は、顔領域TAと虹彩画像領域RAとに基づく条件を含んでいてもよい。この場合、対象選択部612は、顔領域TAと虹彩画像領域RAとに基づいて、認証対象者Taを選択していると言える。具体的には、所定の選択条件は、顔領域TAと虹彩画像領域RAとの位置関係に基づく条件を含んでいてもよい。この場合、対象選択部612は、顔領域TAと虹彩画像領域RAとの位置関係に基づいて、認証対象者Taを選択していると言える。
この場合、対象選択部612は、選択条件を満たす顔領域TAに対応する人物Tを認証対象者Taとして選択するために、虹彩画像領域RAを特定する。具体的には、虹彩画像領域RAは、ピント地点P2における虹彩カメラ31の撮像範囲をトリガ地点P1に位置する仮想的な光学面(実質的には、トリガ地点P1における全体カメラ21の撮像範囲であり、全体画像200)に投影することで得られる領域に相当する。このため、虹彩画像300と全体画像200との間の関係(特に、虹彩画像300と虹彩画像領域RAとの間の関係)は、虹彩カメラ31の撮像範囲(つまり、画角)と全体カメラ21の撮像範囲(つまり、画角)との対応付けを表す変換行列H(典型的には、ホモグラフィ)によって表される。具体的には、虹彩画像300内の任意の座標p_ifに対応する全体画像200内の座標p_wtは、p_wf=H×p_ifという数式で特定可能である。尚、虹彩画像300内の任意の座標p_ifは、ピント地点P2における虹彩カメラ31の撮像範囲内の任意の座標と等価である。また、全体画像200内の座標は、トリガ地点P1における全体カメラ21の撮像範囲内の座標であり、典型的には、虹彩画像領域RA内の座標と等価である。また、トリガ地点P1とピント地点P2とが同一である場合には、変換行列Hとして、ピント地点P2における虹彩カメラ31の撮像範囲とピント地点P2における全体カメラ21の撮像範囲との対応付けを示す変換行列H_iwfが用いられる。一方で、トリガ地点P1とピント地点P2とが同一でない場合には、変換行列Hとして、上述した変換行列H_iwfに対して、ピント地点P2における全体カメラ21の撮像範囲とトリガ地点P1における全体カメラ21の撮像範囲との対応付けを示す変換行列H_wftを掛け合わせることで得られる行列(つまり、H_iwf×H_wft)が用いられる。このように虹彩画像領域RAを特定した後に、対象選択部612は、顔領域TAと虹彩画像領域RAとの位置関係に基づく選択条件が満たされているか否かを、検出した顔領域TA毎に判定する。
顔領域TAと虹彩画像領域RAとの位置関係に基づく条件の一例として、顔領域TAと虹彩画像領域RAとの重複度合いに基づく重複条件があげられる。この場合、対象選択部612は、顔領域TAと虹彩画像領域RAと重複度合いに基づいて、認証対象者Taを選択していると言える。例えば、対象選択部612は、虹彩画像領域RAとの重複度合いが相対的に高い顔領域TAに対応する人物Tを、認証対象者Taとして選択してもよい。例えば、対象選択部612は、虹彩画像領域RAとの重複度合いが相対的に低い顔領域TAに対応する人物Tを、認証対象者Taとして選択しなくてもよい。
重複条件は、例えば、顔領域TAのうち虹彩画像領域RAと重複する重複領域OAに基づく条件であってもよい。より具体的には、重複条件は、顔領域TAに対する重複領域OAの割合に基づく条件であってもよい。この場合、重複条件は、顔領域TAに対する重複領域OAの割合が所定の第1閾値よりも大きくなるという条件であってもよい。その結果、重複領域OAの割合が第1閾値よりも大きくなる顔領域TAに対応する人物Tが、認証対象者Taとして選択される。一方で、重複領域OAの割合が第1閾値よりも大きくならない顔領域TAに対応する人物Tは、認証対象者Taとして選択されない。
ここで、重複条件に基づいて選択される認証対象者Ta及び重複条件に基づいて選択されない認証対象者Taの夫々の一具体例について、図7(a)から図7(b)を参照しながら更に説明する。具体的には、図7(a)に示すように、全体画像200に三人の人物T(具体的には、人物T#11、人物T#12及び人物T#13)が写っている例を用いて説明を進める。
図7(a)に示す例では、人物T#11は、顔の全体が虹彩画像領域RAに含まれるように全体画像200に写っている。人物T#12は、顔の一部が虹彩画像領域RAに含まれる一方で顔の残りの一部が虹彩画像領域RAに含まれない(つまり、虹彩画像領域RAからはみ出す)ように全体画像200に写っている。人物T#13は、顔の全体が虹彩画像領域RAに含まれないように全体画像200に写っている。
この場合、顔領域TAと虹彩画像領域RAとの位置関係を示す平面図である図7(b)に示すように、人物T#11の顔領域TA#11の全体が虹彩画像領域RAに含まれる。このため、人物T#11の重複領域OA#11は、顔領域TA#11と一致する。従って、顔領域TA#11に対する重複領域OA#11の割合は、100%となる。
また、図7(b)に示すように、人物T#12の顔領域TA#12の一部が虹彩画像領域RAに含まれる。このため、人物T#12の重複領域OA#12は、顔領域TA#11の一部のみと一致する。従って、顔領域TA#12に対する重複領域OA#12の割合は、100%よりも小さくなり且つ0%よりも大きくなる。図7(b)に示す例では、顔領域TA#12に対する重複領域OA#12の割合は、45%となっている。
また、人物T#13の顔領域TA#13の全体が虹彩画像領域RAに含まれることはない。このため、人物T#13の重複領域OA#13は、存在しない。従って、顔領域TA#13に対する重複領域OA#13の割合は、0%となる。
このような図7(b)に示す状況において第1閾値が60%に設定されている場合には、重複領域OAの割合が60%よりも大きくなる顔領域TA#11に対応する人物T#11が、認証対象者Taとして選択される。一方で、重複領域OAの割合が60%よりも大きくならない顔領域TA#12及びTA#13に夫々対応する人物T#12及びT#13は、認証対象者Taとして選択されない。
重複領域OAの割合が大きくなればなるほど、虹彩画像領域RAに含まれる顔領域TAの割合が大きくなる。虹彩画像領域RAに含まれる顔領域TAの割合が大きくなるほど、複数の虹彩カメラ31のうちの少なくとも一つが人物Tの顔(特に、ターゲット部位TP)を適切に撮像できる可能性が高くなる。このため、重複条件は、複数の虹彩カメラ31のうちの少なくとも一つが顔(特に、ターゲット部位TP)を適切に撮像できる人物Tを認証対象者Taとして選択するための条件であると言える。つまり、重複条件が用いられる場合には、対象選択部612は、複数の虹彩カメラ31のうちの少なくとも一つが顔(特に、ターゲット部位TP)を適切に撮像できる人物Tを認証対象者Taとして適切に選択することができる。
尚、重複条件で用いられる第1閾値は、認証対象者Taとして選択することが望ましい人物Tと、認証対象者Taとして選択することが望ましくない人物Tとを、重複領域OAの割合から適切に区別可能となるように適切な値に設定される。このような第1閾値は、例えば、実際に行われた虹彩認証動作(特に、認証対象者Taを選択する動作)の結果、実験又はシミュレーションに基づいて設定されてもよい。第1閾値の一例として、50%以上の任意の値、60%以上の任意の値、70%以上の任意の値、80%以上の任意の値、90%以上の任意の値及び100%の少なくとも一つがあげられる。
顔領域TAと虹彩画像領域RAとの位置関係に基づく条件の他の一例として、顔領域TAと虹彩画像領域RAとの近接度合いに基づく近接条件があげられる。この場合、対象選択部612は、顔領域TAと虹彩画像領域RAと近接度合いに基づいて、認証対象者Taを選択していると言える。例えば、対象選択部612は、虹彩画像領域RAとの近接度合いが相対的に高い顔領域TAに対応する人物Tを、認証対象者Taとして選択してもよい。例えば、対象選択部612は、虹彩画像領域RAとの近接度合いが相対的に低い顔領域TAに対応する人物Tを、認証対象者Taとして選択しなくてもよい。
近接条件は、例えば、顔領域TAの特徴点と虹彩画像領域RAの特徴点との近接度合いに基づく条件であってもよい。つまり、近接条件は、顔領域TAの特徴点と虹彩画像領域RAの特徴点との間の距離Disに基づく条件であってもよい。この場合、近接条件は、距離Disが所定の第2閾値よりも小さくなるという条件であってもよい。その結果、虹彩画像領域RAの特徴点からの距離Disが第2閾値よりも小さくなる特徴点を有する顔領域TAに対応する人物Tが、認証対象者Taとして選択される。一方で、虹彩画像領域RAの特徴点からの距離Disが第2閾値よりも小さくならない特徴点を有する顔領域TAに対応する人物Tは、認証対象者Taとして選択されない。
本実施形態では、距離Disは、複数の虹彩カメラ31の撮像範囲が配列する方向(例えば、垂直方向)に交差する方向における距離を意味する。典型的には、距離Disは、複数の虹彩カメラ31の撮像範囲が配列する方向(例えば、垂直方向)に直交する方向(例えば、水平方向)における距離を意味する。
特徴点は、例えば、重心(つまり、幾何中心)である。但し、特徴点は、重心とは異なる点であってもよい。例えば、顔領域TA及び虹彩画像領域RAが点対称な形状を有する場合には、特徴点は、対称中心であってもよい。
ここで、近接条件に基づいて選択される認証対象者Ta及び重複条件に基づいて選択されない認証対象者Taの夫々の一具体例について、図8(a)から図8(b)を参照しながら更に説明する。具体的には、図8(a)に示すように、全体画像200に三人の人物T(具体的には、図7(a)で説明した人物T#11から人物T#13)が写っている例を用いて説明を進める。
この場合、顔領域TAの重心TCと虹彩画像領域RAの重心RCとの位置関係を示す平面図である図8(b)に示すように、顔領域TA#11の重心TC#11と重心RCとの間の距離Dis#11は、顔領域TA#12の重心TC#12と重心RCとの間の距離Dis#12及び顔領域TA#13の重心TC#13と重心RCとの間の距離Dis#13よりも小さくなる。なぜならば、人物T#11の顔全体が虹彩画像領域RAに含まれるがゆえに、重心TC#11は、重心TC#12及び重心TC#13よりも、重心RCに近いはずであるからである。また、顔領域TA#12の重心TC#12と重心RCとの間の距離Dis#12は、顔領域TA#13の重心TC#13と重心RCとの間の距離Dis#13よりも小さくなる。なぜならば、人物T#12の顔の一部が虹彩画像領域RAに含まれるがゆえに、重心TC#12は、虹彩画像領域RAに全く含まれない顔領域TA#13の重心TC#13よりも、重心RCに近いはずであるからである。
このような図8(b)に示す状況において第2閾値が距離Dis#11よりも大きく且つ距離Dis#12よりも小さい値に設定されている場合には、重心RCからの距離が第2閾値よりも小さくなる重心TC#11を有する顔領域TA#11に対応する人物T#11が、認証対象者Taとして選択される。一方で、重心RCからの距離が第2閾値よりも小さくならない重心TC#12及びTC#13を夫々有する顔領域TA#12及びTA#13に夫々対応する人物T#12及びT#13は、認証対象者Taとして選択されない。
顔領域TAの重心TCと虹彩画像領域RAの重心RCとの間の距離Disが小さくなればなるほど、顔領域TAの少なくとも一部が虹彩画像領域RAから外れる可能性が低くなる。つまり、顔領域TAの重心TCと虹彩画像領域RAの重心RCとの間の距離Disが小さくなればなるほど、顔領域TAが虹彩画像領域RAの重心RCの近傍に位置する可能性が高くなる。その結果、距離Disが小さくなればなるほど、虹彩画像領域RAに含まれる顔領域TAの割合が大きくなる可能性が高くなる。このため、近接条件は、重複条件と同様に、複数の虹彩カメラ31のうちの少なくとも一つが顔(特に、ターゲット部位TP)を適切に撮像できる人物Tを認証対象者Taとして選択するための条件であると言える。つまり、近接条件が用いられる場合には、対象選択部612は、複数の虹彩カメラ31のうちの少なくとも一つが顔(特に、ターゲット部位TP)を適切に撮像できる人物Tを認証対象者Taとして適切に選択することができる。
尚、近接条件で用いられる第2閾値は、認証対象者Taとして選択することが望ましい人物Tと、認証対象者Taとして選択することが望ましくない人物Tとを、距離Disから適切に区別可能となるように適切な値に設定される。このような第2閾値は、例えば、実際に行われた虹彩認証動作(特に、認証対象者Taを選択する動作)の結果、実験又はシミュレーションに基づいて設定されてもよい。このような第2閾値は、虹彩画像領域RAの長さRA_lenに基づいて設定されてもよい。具体的には、第2閾値は、距離Disの方向に沿った虹彩画像領域RAの長さRA_lenに基づいて設定されてもよい。つまり、第2閾値は、複数の虹彩カメラ31の撮像範囲が配列する方向(例えば、垂直方向)に交差する方向(例えば、水平方向)に沿ったに沿った虹彩画像領域RAの長さRA_lenに基づいて設定されてもよい。図8(b)に示す例では、長さRA_lenは、紙面左右方向(つまり、水平方向)における虹彩画像領域RAの長さとなる。一例として、第2閾値は、虹彩画像領域RAの長さRA_lenに対して1未満の係数(例えば、0.5)を掛け合わせることで得られる値に設定されてもよい。
再び図6において、その後、対象選択部612は、ステップS23において選択された認証対象者Taの数が1であるか否かを判定する(ステップS24)。つまり、対象選択部612は、選択条件を満たす顔領域TAの数が一つであったか否かを判定する(ステップS24)。
ステップS24の判定の結果、ステップS23において選択された認証対象者Taの数が1でなかった(つまり、選択条件を満たす顔領域TAの数が一つでなかった)と判定された場合には(ステップS24:No)、対象選択部612は、ステップS23において選択された認証対象者Taの数が0であるか否かを判定する(ステップS25)。つまり、対象選択部612は、選択条件を満たす顔領域TAの数が0であったか否かを判定する(ステップS25)。
ステップS25の判定の結果、ステップS23において選択された認証対象者Taの数が0であった(つまり、選択条件を満たす顔領域TAの数が0であった)と判定された場合には(ステップS25:Yes)、全体画像200に写っている人物Tがいずれも認証対象者Taとして選択されなかったと推定される。この場合には、認証対象者Taが選択されていないため、虹彩認証システム1は、虹彩認証を行うことができない。従って、この場合には、虹彩認証装置6は、認証対象者Taを選択することなく、ステップS11以降の処理を繰り返す。
他方で、ステップS25の判定の結果、ステップS23において選択された認証対象者Taの数が0でなかった(つまり、選択条件を満たす顔領域TAの数が0でなかった)と判定された場合には(ステップS25:No)、ステップS23において二名以上の人物Tの夫々が認証対象者Taとして選択されたと推定される。つまり、選択条件を満たす顔領域TAの数が二つ以上であったと推定される。この場合には、対象選択部612は、ステップS23において認証対象者Taとして選択された二名以上の人物Tのうちのいずれか一名を、実際の認証対象者Taとして選択する(ステップS26)。つまり、対象選択部612は、選択条件を満たす二つ以上の顔領域TAのうちのいずれか一つに対応する人物Tを、実際の認証対象者Taとして選択する(ステップS26)。
例えば、対象選択部612は、最前に位置する一名の人物Tを、実際の認証対象者Taとして選択してもよい。具体的には、対象選択部612は、例えば、両目の間隔が最も大きい一名の人物を、最前に位置する一名の人物Tとして特定すると共に、当該特定した人物Tを、実際の認証対象者Taとして選択してもよい。例えば、対象選択部612は、虹彩画像領域RAとの重複度合いが最も大きい顔領域TAに対応する一名の人物Tを、実際の認証対象者Taとして選択してもよい。例えば、対象選択部612は、重複領域OAの割合が最も大きい顔領域TAに対応する一名の人物Tを、実際の認証対象者Taとして選択してもよい。例えば、対象選択部612は、虹彩画像領域RAとの近接度合いが最も大きい顔領域TAに対応する一名の人物Tを、実際の認証対象者Taとして選択してもよい。例えば、対象選択部612は、虹彩画像領域RAの特徴点からの距離Disが最も小さくなる特徴点を有する顔領域TAに対応する一名の人物Tを、実際の認証対象者Taとして選択してもよい。
尚、認証対象者Taを一名に絞り込むという観点から言えば、重複条件として、顔領域TAに対する重複領域OAの割合が所定の第1閾値よりも大きくなるという条件に代えて、顔領域TAに対する重複領域OAの割合が最も大きくなるという条件という条件が用いられてもよい。同様に、近接条件として、距離Disが所定の第2閾値よりも小さくなるという条件に代えて、距離Disが最も小さくなるという条件という条件が用いられてもよい。
他方で、ステップS24の判定の結果、ステップS23において選択された認証対象者Taの数が1であった(つまり、選択条件を満たす顔領域TAの数が一つであった)と判定された場合には(ステップS24:Yes)、ステップS25からステップS26の処理は行われなくてもよい。
その後、カメラ設定部613は、複数の虹彩カメラ31の中から、ピント地点P2に位置する認証対象者Taを撮像するための一の虹彩カメラ31を選択する(ステップS31)。具体的には、カメラ設定部613は、全体画像200に基づいて、複数の虹彩カメラ31に夫々対応する複数の撮像範囲(つまり、虹彩画像領域RA内の複数の撮像範囲)のうち、認証対象者Taのターゲット部位TPが含まれる一の撮像範囲を特定する。その結果、カメラ設定部613は、特定した一の撮像範囲に対応する虹彩カメラ31を、認証対象者Taを撮像するための一の虹彩カメラ31として選択する。図3に示す例で言えば、ターゲット部位TPが虹彩カメラ31-3の撮像範囲に含まれるがゆえに、カメラ設定部613は、虹彩カメラ31-3を、認証対象者Taを撮像するための一の虹彩カメラ31として選択する。
その後、カメラ設定部613は、ステップS31で選択された一の虹彩カメラ31が撮像する虹彩画像300のうちの虹彩認証を行うために実際に取得される(つまり、読み出される)画像部分を規定する注視領域(ROI:Region of Interest)IAを設定する(ステップS32)。具体的には、選択された一の虹彩カメラ31が撮像する虹彩画像300を示す平面図である図9に示すように、カメラ設定部613は、例えば、選択された一の虹彩カメラ31が撮像する虹彩画像300のうちターゲット部位TPが写り込むと想定される矩形状の(或いは、その他の形状の)領域を、注視領域IAに設定する。
注視領域IAが設定された場合には、虹彩認証システム1は、注視領域モードで動作する。この場合、画像取得部611は、虹彩カメラ31が撮像した虹彩画像300全体を取得することに代えて、虹彩画像300のうち注視領域IA内の画像部分(つまり、虹彩画像300の画像データのうちの一部)を取得する。つまり、画像取得部611は、虹彩画像300のうち注視領域IA以外の領域内の画像部分(つまり、虹彩画像300の画像データのうちの残りの一部)を取得しなくてもよい。その結果、虹彩画像300全体を取得する場合と比較して、画像取得部611が虹彩カメラ31から虹彩画像300を取得するフレームレートが実質的に向上する。例えば、虹彩画像300の半分の領域が注視領域IAに設定された場合には、虹彩画像300全体を取得する場合と比較して、フレームレートが2倍に向上する。このため、虹彩カメラ31自身のフレームレートが、虹彩認証に必要なフレームレートに満たない場合であっても、画像取得部611は、虹彩認証に必要なフレームレートで虹彩画像300を取得することができる。
その後、撮像制御部614は、人感センサ5の検知結果に基づいて、認証対象者Ta(つまり、認証対象者Taとして選択された人物T)がピント地点P2に位置しているか否かを判定する(ステップS41)。ステップS41における判定の結果、ピント地点P2に認証対象者Taが位置していないと判定された場合には(ステップS41:No)、ステップS41の処理が繰り返し行われる。他方で、ステップS41における判定の結果、ピント地点P2に認証対象者Taが位置していると判定された場合には(ステップS41:Yes)、撮像制御部614は、ピント地点P2に位置している認証対象者Taを撮像するように、ステップS31で選択された一の虹彩カメラ31を制御する(ステップS42)。その結果、選択された一の虹彩カメラ31は、ピント地点P2に位置している認証対象者Taを撮像する(ステップS42)。選択された一の虹彩カメラ31が撮像した虹彩画像300(特に、虹彩画像300のうち注視領域IA内の画像部分)は、画像取得部611によって取得される(ステップS42)。
その後、認証部615は、ステップS42で取得された虹彩画像300を用いて、虹彩認証を行う(ステップS51)。例えば、認証部615は、ステップS42で取得された虹彩画像300に基づいて、認証対象者Taの虹彩のパターンを特定する。その後、認証部615は、特定したパターンが、記憶装置64等に記憶されたデータベースに登録されたパターンと一致するか否かを判定する。特定したパターンがデータベースに登録されたパターンと一致する場合には、認証部615は、認証対象者Taが正当な人物であると判定する。特定したパターンがデータベースに登録されたパターンと一致する場合には、認証部615は、認証対象者Taが正当な人物でないと判定する。
(3)虹彩認証システム1の技術的効果
以上説明したよう虹彩認証システム1は、認証対象者Taを適切に選択する(言い換えれば、指定する又は決定する)ことができる。特に、虹彩認証システム1は、複数の人物Tが全体画像200(特に、そのうちの虹彩画像領域RA)に写り込んでいる状況下で、当該複数の人物Tのうちの一名の人物Tを、認証対象者Taとして適切に選択することができる。言い換えれば、虹彩認証システム1は、複数の顔領域TAが全体画像200(特に、そのうちの虹彩画像領域RA)において検出されている状況下で、当該複数の顔領域TAのうち選択条件を満たす一の顔領域TAに対応する一名の人物Tを、認証対象者Taとして適切に選択することができる。つまり、虹彩認証システム1は、認証対象者Taとして選択されることが望ましい人物Tを認証対象者Taとして選択することができる。言い換えれば、虹彩認証システム1は、認証対象者Taとして選択されることが望ましくない人物Tを認証対象者Taとして選択しにくくなる。
複数の人物Tが虹彩画像領域RAに写り込む状況の一例として、図10(a)に示すように、認証対象者Taとして選択されることが望ましい人物Tの前方において、認証対象者Taとして選択されることが望ましくない人物Tが横から虹彩カメラ31の撮像範囲に入り込む状況があげられる。以下、説明の便宜上、認証対象者Taとして選択されることが望ましい人物Tを、“人物T_desire”と称し、認証対象者Taとして選択されることが望ましくない人物Tを、“人物T_undesire”と称する。このような状況は、例えば、人物T_desireの前方において人物T_undesireが横から虹彩カメラ31をのぞき込む場合等に生じ得る。
図10(a)に示す状況では、人物T_undesireが虹彩カメラ31を横から覗き込んでいるがゆえに、人物T_desireの顔領域TA_desireと比較して、人物T_undesireの顔領域TA_undesireの少なくとも一部が虹彩画像領域RAから外れる可能性が高くなる。その結果、顔領域TAと虹彩画像領域RAとの位置関係を両者の重複度合いと共に示す平面図である図10(b)に示すように、人物T_desireの重複領域OA_desireの割合と比較して、人物T_undesireの重複領域OA_undesireの割合は小さくなる可能性が高くなる。その結果、対象選択部612は、上述した重複条件を用いることで、人物T_undesireではなく、人物T_desireを認証対象者Taとして適切に選択することができる。或いは、顔領域TAと虹彩画像領域RAとの位置関係を両者の近接度合いと共に示す平面図である図10(c)に示すように、顔領域TA_desireの重心TC_desireと虹彩画像領域RAの重心RCとの間の距離Dis_desireと比較して、顔領域TA_undesireの重心TC_undesireと虹彩画像領域RAの重心RCとの間の距離Dis_undesireが大きくなる可能性が高くなる。その結果、対象選択部612は、上述した近接条件を用いることで、人物T_undesireではなく、人物T_desireを認証対象者Taとして適切に選択することができる。
尚、仮に図10(a)に示す状況において選択条件を用いて認証対象者Taが選択されなければ、例えば、人物T_desireよりも前方に位置する人物T_undesireが認証対象者Taとして選択される可能性がある。なぜならば、人物T_undesireが最前の人物Tであるからである。このため、本実施形態の虹彩認証システム1は、特に、人物T_desireの前方で虹彩カメラ31をのぞき込む人物T_undesireが存在する状況において、認証対象者Taを適切に選択することができる。もちろん、人物T_desireの前方で虹彩カメラ31をのぞき込む人物T_undesireが存在する状況とは異なる状況においても、虹彩認証システム1が選択条件を用いて認証対象者Taを適切に選択することができることに変わりはない。
(4)変形例
(4-1)第1変形例
図11を参照しながら、第1変形例の虹彩認証システム1aについて説明する。図11は、第1変形例の虹彩認証システム1aの全体構成を示すブロック図である。尚、以下の説明では、上述した虹彩認証システム1が備える構成要素と同一の構成要素については、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
図11に示すように、虹彩認証システム1aは、虹彩認証システム1と比較して、ディスプレイ7aを更に備えているという点で異なっている。虹彩認証システム1aのその他の特徴は、虹彩認証システム1のその他の特徴と同一であってもよい。尚、虹彩認証装置6が、出力装置66の一例としてのディスプレイを備えている場合には(図4参照)、虹彩認証装置6のディスプレイが、ディスプレイ7aとして用いられてもよい。
虹彩認証装置6は、全体画像200がディスプレイ7aに表示されるようにディスプレイ7aを制御してもよい。更に、虹彩認証装置6は、全体画像200と共に虹彩認証動作に関する情報がディスプレイ7aに表示されるようにディスプレイ7aを制御してもよい。つまり、虹彩認証装置6は、虹彩認証動作に関する情報が付加された全体画像200がディスプレイ7aに表示されるようにディスプレイ7aを制御してもよい。以下、図12及び図13を参照しながら、虹彩認証動作に関する情報が付加された全体画像200の表示例について説明する。尚、図12及び図13は、夫々、二名の人物Tを含む全体画像200を示す平面図である。
図12に示すように、虹彩認証装置6は、全体画像200上でターゲット領域TAが識別可能な表示態様で全体画像200と共にターゲット領域TAを表示するように、ディスプレイ7aを制御してもよい。つまり、虹彩認証装置6は、全体画像200上でターゲット領域TAを識別するための情報(例えば、ターゲット領域TAを他の画像部分と区別する装飾表示)が虹彩認証動作に関する情報として付加された全体画像200を表示するように、ディスプレイ7aを制御してもよい。
図12に示すように、虹彩認証装置6は、全体画像200上で虹彩画像領域RAが識別可能な表示態様で全体画像200と共に虹彩画像領域RAを表示するように、ディスプレイ7aを制御してもよい。つまり、虹彩認証装置6は、全体画像200上で虹彩画像領域RAを識別するための情報(例えば、虹彩画像領域RAを他の画像部分と区別するための装飾表示)が虹彩認証動作に関する情報として付加された全体画像200を表示するように、ディスプレイ7aを制御してもよい。
図12に示すように、虹彩認証装置6は、全体画像200上で重複領域OAが識別可能な表示態様で全体画像200と共に重複領域OAを表示するように、ディスプレイ7aを制御してもよい。つまり、虹彩認証装置6は、全体画像200上で重複領域OAを識別するための情報(例えば、重複領域OAを他の画像部分と区別するための装飾表示)が虹彩認証動作に関する情報として付加された全体画像200を表示するように、ディスプレイ7aを制御してもよい。
図12に示すように、虹彩認証装置6は、全体画像200上で認証対象者Taとして選択された人物Tが識別可能な表示態様で全体画像200と共に認証対象者Taとして選択された人物Tを表示するように、ディスプレイ7aを制御してもよい。つまり、虹彩認証装置6は、全体画像200上で認証対象者Taとして選択された人物Tを識別するための情報(例えば、認証対象者Taとして選択された人物Tを他の画像部分と区別するための装飾表示)が虹彩認証動作に関する情報として付加された全体画像200を表示するように、ディスプレイ7aを制御してもよい。
図12に示すように、虹彩認証装置6は、全体画像200上で認証対象者Taとして選択されなかった人物Tが識別可能な表示態様で全体画像200と共に認証対象者Taとして選択されなかった人物Tを表示するように、ディスプレイ7aを制御してもよい。つまり、虹彩認証装置6は、全体画像200上で認証対象者Taとして選択されなかった人物Tを識別するための情報(例えば、認証対象者Taとして選択されなかった人物Tを他の画像部分と区別するための装飾表示)が虹彩認証動作に関する情報として付加された全体画像200を表示するように、ディスプレイ7aを制御してもよい。
図13に示すように、虹彩認証装置6は、虹彩認証に関する異常事象(つまり、正常な虹彩認証に支障をきたす可能性がある異常事象)をアラート表示するように、ディスプレイ7aを制御してもよい。つまり、虹彩認証装置6は、異常事象に関する情報が虹彩認証動作に関する情報として付加された全体画像200を表示するように、ディスプレイ7aを制御してもよい。例えば、図13は、上述した図6のステップS23において二名以上の人物Tが認証対象者Taとして選択された(つまり、選択条件を満たす顔領域TAの数が二つ以上であった)ことをアラート表示する例が記載されている。この場合、図6のステップS26の処理によって原則として認証対象者Taが一人に絞り込まれるものの、そのように絞り込まれた一名の認証対象者Taが適切であるか(つまり、認証対象者Taの絞り込みが適切に行われたか)を虹彩認証システム1aのユーザが確認できるという点で有益である。
このような第1変形例の虹彩認証システム1aは、上述した虹彩認証システム1が享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。更に、第1変形例の虹彩認証システム1aでは、虹彩認証システム1aのユーザは、ディスプレイ7aの表示内容を確認することで、虹彩認証動作の状況を適切に把握することができる。その結果、ユーザは、必要に応じて適切な対応をとる(例えば、異常事象に対する対応をとる)ことができる。
(4-2)第2変形例
第2変形例では、虹彩認証装置6は、顔領域TAと虹彩画像領域RAとの位置関係の経時変化に基づく条件を含む選択条件を用いてもよい。例えば、対象選択部612は、虹彩画像領域RAとの間の位置関係の単位時間当たりの変化量が所定の第1許容量未満となる顔領域TAに対応する人物Tを、認証対象者Taとして選択してもよい。例えば、対象選択部612は、虹彩画像領域RAとの間の位置関係の単位時間当たりの変化量が第1許容量より大きくなる顔領域TAに対応する人物Tを、認証対象者Taとして選択しなくてもよい。
選択条件として上述した重複条件が用いられる場合には、虹彩認証装置6は、顔領域TAと虹彩画像領域RAとの重複度合いの経時変化(典型的には、顔領域TAに対する重複領域OAの割合の経時変化)に基づく条件を含む重複条件を用いてもよい。例えば、対象選択部612は、重複領域OAの割合の単位時間当たりの変化量が所定の第2許容量未満となる顔領域TAに対応する人物Tを、認証対象者Taとして選択してもよい。例えば、対象選択部612は、重複領域OAの割合が上述した第1閾値より大きくなり且つ重複領域OAの割合の単位時間当たりの変化量が第2許容量未満となる顔領域TAに対応する人物Tを、認証対象者Taとして選択してもよい。例えば、対象選択部612は、重複領域OAの割合の単位時間当たりの変化量が第2許容量より大きくなる顔領域TAに対応する人物Tを、認証対象者Taとして選択しなくてもよい。例えば、対象選択部612は、重複領域OAの割合が上述した第1閾値より大きくなるものの重複領域OAの割合の単位時間当たりの変化量が第2許容量より大きくなる顔領域TAに対応する人物Tを、認証対象者Taとして選択しなくてもよい。
選択条件として上述した近接条件が用いられる場合には、虹彩認証装置6は、顔領域TAと虹彩画像領域RAとの近接度合いの経時変化(典型的には、顔領域TAの特徴点と虹彩画像領域RAの特徴点との間の距離Dis)に基づく条件を含む近接条件を用いてもよい。例えば、対象選択部612は、距離Disの単位時間当たりの変化量が所定の第3許容量未満となる顔領域TAに対応する人物Tを、認証対象者Taとして選択してもよい。例えば、対象選択部612は、距離Disが上述した第2閾値より小さくなり且つ距離Disの単位時間当たりの変化量が第3許容量未満となる顔領域TAに対応する人物Tを、認証対象者Taとして選択してもよい。例えば、対象選択部612は、距離Disの単位時間当たりの変化量が第3許容量より大きくなる顔領域TAに対応する人物Tを、認証対象者Taとして選択しなくてもよい。例えば、対象選択部612は、距離Disが上述した第2閾値より小さくなるものの距離Disの単位時間当たりの変化量が第3許容量より大きくなる顔領域TAに対応する人物Tを、認証対象者Taとして選択しなくてもよい。
このような顔領域TAと虹彩画像領域RAとの位置関係の経時変化に基づく条件を用いることで、虹彩認証システム1は、認証対象者Taをより適切に選択することができる。以下、その理由について、図14(a)から図14(c)を参照しながら説明する。
図14(a)は、時刻t1における人物T_desire及び人物T_undesireを含む全体画像200を示す平面図である。図14(b)は、時刻t1から一定の時間が経過した時刻t2における人物T_desire及び人物T_undesireを含む全体画像200を示す平面図である。図14(c)は、時刻t2から一定の時間が経過した時刻t3における人物T_desire及び人物T_undesireを含む全体画像200を示す平面図である。図14(a)から図14(c)に示すように、人物T_desireは、虹彩カメラ31に向かって移動しており、人物T_undesireは、虹彩カメラ31を横からのぞき込むように動いているものとする。この場合、人物T_undesireは、虹彩画像領域RAの外部から内部に向かって移動するように、全体画像200に写る可能性が相対的に高い。このため、人物T_undesireの重複領域OAの割合は、0%から100%に向かって増加する可能性が相対的に高い。一方で、人物T_desireは、虹彩画像領域RAの内部に常に位置するように、全体画像200に写る可能性が相対的に高い。このため、人物T_desireの重複領域OAの割合は、100%のまま維持される可能性が相対的に高い。従って、人物T_undesireの重複領域OAの割合は、人物T_desireの重複領域OAの割合と比較して、単位時間あたりに大きく変化する可能性が高い。また、説明の簡略化のために図示しないものの、人物T_undesireの距離Disについても、人物T_desireの距離Disと比較して、単位時間あたりに大きく変化する可能性が高い。このため、対象選択部612は、重複領域OAの割合の経時変化及び/又は距離Disの経時変化から、人物T_desireと人物T_undesireとを区別することができる。つまり、対象選択部612は、人物T_undesireではなく、人物T_desireを認証対象者Taとして適切に選択することができる。
(4-3)その他の変形例
上述した説明では、全体画像200(特に、そのうちの虹彩画像領域RA)に複数の人物Tが写っている(つまり、複数の顔領域TAが検出された)場合には、対象選択部612は、複数の人物Tのうちの一名を、認証対象者Taとして選択する。しかしながら、対象選択部612は、複数の人物Tのうちの二名以上を、認証対象者Taとして選択してもよい。例えば、対象選択部612は、選択条件を満たす二名以上の人物Tを、認証対象者Taとして選択してもよい。例えば、対象選択部612は、選択条件を満たす二名以上の人物Tが存在する場合に(図6のステップS25:No)、最前の人物Tを認証対象者Taとして選択する処理を行わなくてもよい。
上述した説明では、所定の選択条件の一具体例である近接条件で用いられる距離Disは、複数の虹彩カメラ31の撮像範囲が配列する方向(例えば、垂直方向)に交差する方向(例えば、水平方向)における距離である。しかしながら、距離Disは、どの方向における距離であってもよい。例えば、距離Disは、顔領域TAの特徴点と虹彩画像領域RAの特徴点との間の最短距離(いわゆる、ユークリッド距離)であってもよい。例えば、距離Disは、顔領域TAの特徴点と虹彩画像領域RAの特徴点との間の、複数の虹彩カメラ31の撮像範囲が配列する方向(例えば、垂直方向)における距離であってもよい。
上述した説明では、ターゲット部位TPが人物Tの目である場合において、人物Tの顔が写っている領域(つまり、顔領域)がターゲット領域TAとして用いられている。しかしながら、ターゲット部位TPが人物Tの目である場合において、顔領域とは異なる領域がターゲット領域TAとして用いられてもよい。例えば、人物Tの目が写っている領域(つまり、目のみが又は目に加えて目の周辺の光景(例えば、顔の一部)が写っている領域)がターゲット領域TAとして用いられてもよい。例えば、人物Tの目及び顔の少なくとも一方に加えて人物の体(例えば、首、胴体、腕、手及び脚の少なくとも一つ)が写っている領域がターゲット領域TAとして用いられてもよい。
虹彩撮像装置3は、単一の虹彩カメラ31を備えていてもよい。この場合、虹彩カメラ31の撮像範囲は、人物Tの身長の長短に関わらずにピント地点P2に位置する人物Tのターゲット部位TPを虹彩カメラ31が撮像できるように、適切な範囲に設定されていてもよい。また、虹彩撮像装置3が単一の虹彩カメラ31を備えている場合には、カメラ設定部613は、図6のステップS31の処理(つまり、認証対象者Taを撮像する一の虹彩カメラ31を選択する処理)を行わなくてもよい。
カメラ設定部613は、注視領域IAを設定する処理(図6のステップS32に相当する処理)を行わなくてもよい。この場合には、虹彩認証システム1は、注視領域モードで動作しなくてもよい。具体的には、画像取得部611は、虹彩カメラ31が撮像した虹彩画像300の全体を取得してもよい。認証部615は、虹彩カメラ31が撮像した虹彩画像300の全体を用いて虹彩認証を行ってもよい。
上述した説明では、虹彩認証装置6は、画像取得部611、対象選択部612、カメラ設定部613、撮像制御部614及び認証部615を備えている。しかしながら、虹彩認証装置6の変形例を示すブロック図である図15に示すように、虹彩認証装置6は、カメラ設定部613、撮像制御部614及び認証部615の少なくとも一つを備えていなくてもよい。この場合、虹彩認証装置6の外部の装置が、カメラ設定部613、撮像制御部614及び認証部615の夫々が行う処理を実行してもよい。
上述した説明では、虹彩認証システム1は、人感センサ4を備えている。しかしながら、虹彩認証システム1は、人感センサ4を備えていなくてもよい。この場合には、全体カメラ21は、人物Tがトリガ地点P1に位置しているか否かに関わらず、所定のフレームレート(つまり、撮像レート)で撮像範囲内の光景を撮像し続けてもよい。典型的には、全体カメラ21は、少なくとも人物Tがトリガ地点P1を通過する期間中は、所定のフレームレートで撮像範囲内の光景を撮像し続けてもよい。その結果、虹彩認証システム1が人感センサ4を備えていない場合であっても、全体カメラ21は、人物Tがトリガ地点P1に到達したタイミングで、人物Tを撮像することができる。つまり、虹彩認証システム1が人感センサ4を備えていない場合であっても、画像取得部611は、トリガ地点P1に位置する人物Tが写っている全体画像200を取得することができる。
虹彩認証システム1が人感センサ4を備えていない場合には、虹彩認証装置6(例えば、対象選択部612)は、全体画像200を画像解析することで、トリガ地点P1に位置している人物Tが写った全体画像200を取得したか否かを判定してもよい。つまり、虹彩認証装置6は、全体画像200を画像解析することで、人物Tがトリガ地点P1に位置しているか否かを判定してもよい。人物Tがトリガ地点P1に位置している(つまり、トリガ地点P1に位置している人物Tが写った全体画像200を取得した)と判定された場合には、虹彩認証装置6は、全体画像200に基づいて、ピント地点P2に位置する人物T(特に、認証対象者Ta)を撮像するための一の虹彩カメラ31を選択する処理(具体的には、図6のステップS21からステップS32に至る一連の処理)を行う。一方で、人物Tがトリガ地点P1に位置していないと判定された場合には、虹彩認証装置6は、図6のステップS21からステップS32に至る一連の処理を開始しない。尚、虹彩認証装置6は、人物Tがトリガ地点P1に位置しているか否かを判定するための画像解析の方法として、既存の方法を採用してもよい。例えば、虹彩認証装置6は、全体画像200から深度を推定することで、人物Tがトリガ地点P1に位置しているか否かを判定してもよい。例えば、虹彩認証装置6は、全体画像200に写っている人物Tの足元を検知し、且つ、検知した足元がトリガ地点P1に位置しているか否かを判定することで、人物Tがトリガ地点P1に位置しているか否かを判定してもよい。例えば、虹彩認証装置6は、全体画像200に写っている人物Tの両目の間の間隔が所定値になったか否かを判定することで、人物Tがトリガ地点P1に位置しているか否かを判定してもよい。
上述した説明では、虹彩認証システム1は、人感センサ5を備えている。しかしながら、虹彩認証システム1は、人感センサ5を備えていなくてもよい。この場合には、図6のステップS32において虹彩カメラ31の注視領域IAが設定された後に、注視領域IAが設定された虹彩カメラ31は、人物T(特に、認証対象者Ta)がピント地点P2に位置しているか否かに関わらず、所定のフレームレート(つまり、撮像レート)で撮像範囲内の光景を撮像し続けてもよい。典型的には、虹彩カメラ31は、少なくとも認証対象者Taがピント地点P2を通過する期間中は、所定のフレームレート(つまり、撮像レート)で撮像範囲内の光景を撮像し続けてもよい。その結果、虹彩認証システム1が人感センサ5を備えていない場合であっても、虹彩カメラ31は、認証対象者Taがトリガ地点P1からピント地点P2に到達したタイミングで、認証対象者Taを撮像することができる。つまり、虹彩認証システム1が人感センサ5を備えていない場合であっても、画像取得部611は、ピント地点P2に位置する認証対象者Taが写っている虹彩画像300を取得することができる。
虹彩認証システム1は、認証対象者Taの虹彩を用いて認証対象者Taを認証することに加えて又は代えて、認証対象者Taの任意の部位を用いて認証対象者Taを認証してもよい。つまり、認証対象者Taの任意の部位を用いて認証対象者Taの認証を行う任意の認証システムが、虹彩認証システム1と同様の構成を有し且つ同様の動作を行ってもよい。このような、任意の認証システムの一例として、認証対象者Taの顔を用いて認証対象者Taを認証する顔認証システムがあげられる。この場合、ターゲット部位TPとして、上述した目に代えて顔が用いられる。従って、虹彩認証システム1は、虹彩撮像装置3に代えて、認証対象者Taの顔を撮像可能な少なくとも一つの顔カメラを備えていてもよい。顔カメラは、認証対象者Taの顔を撮像可能であるという点を除いて、上述した虹彩カメラ31と同一であってもよい。更に、虹彩認証システム1は、顔カメラが撮像した画像に基づいて認証対象者Taを認証してもよい。
(5)付記
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
(5-1)付記1
付記1に記載の認証システムは、第1撮像範囲を撮像することで認証に用いる第1画像を取得する第1撮像装置と、前記第1撮像範囲よりも広い第2撮像範囲を撮像することで第2画像を取得する第2撮像装置と、前記第2画像のうち人物の所定部位を含むターゲット領域と前記第2画像のうち前記第1撮像範囲に対応する基準領域と基づいて、前記認証の対象者を選択する制御装置とを備える認証システムである。
(5-2)付記2
付記2に記載の認証システムは、前記制御装置は、前記ターゲット領域と前記基準領域との位置関係に基づいて、前記対象者を選択する付記1に記載の撮像システムである。
(5-3)付記3
付記3に記載の認証システムは、前記制御装置は、前記ターゲット領域のうち前記基準領域と重複する重複領域に基づいて、前記対象者を選択する付記1又は2に記載の認証システムである。
(5-4)付記4
付記4に記載の認証システムは、前記制御装置は、前記ターゲット領域に対する前記重複領域の割合に基づいて、前記対象者を選択する付記3に記載の認証システムである。
(5-5)付記5
付記5に記載の認証システムは、前記制御装置は、前記割合が所定の第1閾値よりも大きい前記重複領域を含む前記ターゲット領域に対応する人物を、前記対象者として選択する付記4に記載の認証システムである。
(5-6)付記6
付記6に記載の認証システムは、前記制御装置は、前記第2画像のうち前記ターゲット領域の重心と前記基準領域の重心と間の距離に基づいて、前記対象者を選択する付記1から5のいずれか一項に記載の認証システムである。
(5-7)付記7
付記7に記載の認証システムは、前記制御装置は、前記距離が第2閾値よりも小さい前記ターゲット領域に対応する人物を、前記対象者として決定する付記6に記載の認証システムである。
(5-8)付記8
付記8に記載の認証システムは、前記特徴点は、重心を含む付記6又は7に記載の認証システムである。
(5-9)付記9
付記9に記載の認証システムは、前記第1撮像装置は、夫々が前記第1画像として利用可能な複数の単位画像を夫々取得可能な複数の撮像手段を含み、前記複数の撮像手段は、前記複数の単位画像に写る光景が第1方向に沿ってつながるように配置されており、前記ターゲット領域の重心は、前記第1方向に交差する第2方向における前記ターゲット領域の重心であり、前記基準領域の重心は、前記第2方向における前記基準領域の重心である付記8に記載の認証システムである。
(5-10)付記10
付記10に記載の認証システムは、前記第2画像を表示する表示装置を更に備える付記1から9のいずれか一項に記載の認証システムである。
(5-11)付記11
付記11に記載の認証システムは、前記表示装置は、前記第2画像と共に、前記ターゲット領域、前記基準領域、前記ターゲット領域のうち前記基準領域と重複する重複領域、前記対象者として選択された人物及び前記対象者として選択されなかった人物の少なくとも一つを、前記第2画像上で識別可能な表示態様で表示する付記10に記載の認証システムである。
(5-12)付記12
付記12に記載の認証システムは、前記表示装置は、前記認証に関する異常事象を表示する付記10又は11に記載の認証システムである。
(5-13)付記13
付記13に記載の認証システムは、前記制御装置は、前記ターゲット領域と前記基準領域との位置関係の経時変化に基づいて、前記対象者を選択する付記1から12のいずれか一項に記載の認証システムである。
(5-14)付記14
付記14に記載の認証システムは、前記制御装置は、前記ターゲット領域と前記基準領域との位置関係の単位時間あたりの変化量が許容量を超えている場合には、当該ターゲット領域に対応する人物を、前記対象者として選択しない付記13に記載の認証システムである。
(5-15)付記15
付記15に記載の認証システムは、前記制御装置は、前記ターゲット領域のうち前記基準領域と重複する重複領域の前記ターゲット領域に対する割合の単位時間あたりの変化量が許容量を超えている場合には、当該ターゲット領域に対応する人物を、前記対象者として選択しない付記13又は14に記載の認証システムである。
(5-16)付記16
付記16に記載の認証システムは、前記制御装置は、前記ターゲット領域の特徴点と前記基準領域の特徴点との間の距離の単位時間あたりの変化量が許容量を超えている場合には、当該ターゲット領域に対応する人物を、前記対象者として選択しない付記13から15のいずれか一項に記載の認証システムである。
(5-17)付記17
付記17に記載の認証システムは、前記第2撮像装置は、複数の撮像手段を含み、前記制御装置は、前記複数の撮像手段から、前記選択された対象者を撮像するための一の撮像手段を選択し、前記選択された対象者を撮像して前記第1画像を取得するように前記選択した一の撮像手段を制御する付記1から16のいずれか一項に記載の認証システムである。
(5-18)付記18
付記18に記載の認証システムは、前記所定部位は、目及び顔の少なくとも一方を含む付記1から17のいずれか一項に記載の認証システムである。
(5-19)付記19
付記19に記載の認証システムは、前記認証は、虹彩認証及び顔認証の少なくとも一方を含み、前記認証システムは、虹彩認証システム及び顔認証システムの少なくとも一方である付記1から18のいずれか一項に記載の認証システムである。
(5-20)付記20
付記20に記載の認証方法は、認証に用いる第1画像を取得する第1撮像装置の第1撮像範囲よりも広い第2撮像範囲を撮像することで第2画像を取得する第2撮像装置から、前記第2画像を取得する取得工程と、第2画像のうち人物の所定部位を含むターゲット領域と前記第2画像のうち前記第1撮像範囲に対応する基準領域と基づいて、前記認証の対象者を選択する選択工程とを備える認証方法である。
(5-21)付記21
付記21に記載の制御装置は、認証に用いる第1画像を取得する第1撮像装置の第1撮像範囲よりも広い第2撮像範囲を撮像することで第2画像を取得する第2撮像装置から、前記第2画像を取得する取得手段と、前記第2画像のうち人物の所定部位を含むターゲット領域と前記第2画像のうち前記第1撮像範囲に対応する基準領域と基づいて、前記認証の対象者を選択する選択手段とを備える制御装置である。
(5-22)付記22
付記22に記載のコンピュータプログラムは、コンピュータに、付記20に記載の撮像方法を実行させるコンピュータプログラムである。
(5-23)付記23
付記23に記載の記録媒体は、付記22に記載のコンピュータプログラムが記録された記録媒体である。
本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う認証システム、認証方法、制御装置、コンピュータプログラム及び記録媒体もまた本発明の技術思想に含まれる。