JP7208782B2 - 粘着剤層付き偏光フィルム - Google Patents

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本発明は、粘着剤層付偏光フィルムに関する。
液晶表示装置には、その画像形成方式から液晶パネル表面を形成するガラス基板の両側に偏光フィルムを配置することが必要不可欠である。偏光フィルムは、一般的には、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素等の二色性材料からなる偏光子の片面または両面に、保護フィルムをポリビニルアルコール系接着剤等により貼り合わせたものが用いられている。
前記偏光フィルムを液晶セル等に貼着する際には、通常、粘着剤が使用される。また、偏光フィルムを瞬時に固定できること、偏光フィルムを固着させるのに乾燥工程を必要としないこと等のメリットを有することから、粘着剤は、偏光フィルムの片面に予め粘着剤層として設けられている。即ち、偏光フィルムの貼着には粘着剤層付偏光フィルムが一般的に用いられる(特許文献1および2)。
また、偏光フィルムや粘着剤層付き偏光フィルムを液晶パネルのガラス基板に貼り合わせた場合、耐久性が求められており、例えば、環境促進試験として通常行われる加熱および加湿等による耐久試験において、粘着剤層に起因する剥がれや浮き等の不具合が発生しないことが求められる。
このように偏光フィルムに使用する粘着剤は、高耐久性が求められる反面、偏光板を貼り合わせる際の工程不良で発生した欠点や貼りミスをリカバリーするために、リワーク性の要望も高まっている。近年パネルの薄型化や大型化のトレンドにより、パネルの再活要望が高くなっているため、リワーク性は重要な項目である。しかしながら、高耐久性とリワーク性はトレードオフの関係にあり、両立が非常に難しい特性である。
特開2011-219765号 特開2018-169612号
上記の背景技術に鑑み、トレードオフの関係にある高耐久性とリワーク性とを両立して備えることができる、粘着剤層付き偏光フィルムが強く望まれている。
本発明者らは、鋭意検討の結果、本発明の粘着剤層付き偏光フィルムにより上記の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の実施形態を含む。
(1)偏光フィルムと、粘着剤層とを備える、粘着剤層付き偏光フィルムであって、
前記粘着剤層は、ベースポリマーと、シリコーンオリゴマーPsとを含み、
前記ベースポリマーは、(メタ)アクリル系ポリマーであり、
前記シリコーンオリゴマーPsは、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、0.1~20重量部で含まれ、
前記シリコーンオリゴマーPsは、Tgが-50℃以上100℃以下であり、側鎖のシリコーン官能基当量が1000~20000g/molであり、重量平均分子量Mwが10000以上300000以下である、
粘着剤層付き偏光フィルム。
(2)前記シリコーンオリゴマーPsが、ポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマーS1と、ホモポリマーのガラス転移温度が-70℃以上180℃以下のモノマーとをモノマー単位として含む、上記(1)に記載の粘着剤層付き偏光フィルム。
(3)前記ベースポリマーのモノマー単位として、ホモポリマーのガラス転移温度が-60℃以上0℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート(A)を80重量%以上で含有する、上記(1)または(2)に記載の粘着剤層付き偏光フィルム。
(4)前記ベースポリマーのモノマー単位として、カルボキシル基含有モノマー(b1)および窒素含有モノマー(b2)からなる群より選択される少なくとも1種の極性モノマー(B)を0~20重量%で更に含有する、上記(3)に記載の粘着剤層付き偏光フィルム。
(5)前記ベースポリマーの重量平均分子量Mwが50~250万である、上記(1)~(4)のいずれかに記載の粘着剤層付き偏光フィルム。
(6)前記シリコーンオリゴマーPsの溶融温度が0~100℃である、上記(1)~(5)のいずれかに記載の粘着剤層付き偏光フィルム。
本発明によれば、貼り合わせ直後のリワーク性を付与しながら、加熱後に粘着力が上昇して耐久性を付与することができる、粘着剤層付き偏光フィルムを提供することができる。
図1は、本発明の粘着剤層付き偏光フィルムの概略断面図の一例である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、本明細書に記載された発明の実施についての教示と出願時の技術常識とに基づいて当業者に理解され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
<粘着剤層付き偏光フィルム>
本発明の粘着剤層付き偏光フィルムは、偏光フィルムと、粘着剤層とを備える。本発明において、粘着剤層は、偏光フィルムの片面に存在してもよいし、両面に存在してもよい。
一実施形態に係る粘着剤層付き偏光フィルムの構造を図1に模式的に示す。この粘着剤層付き偏光フィルム10は、偏光フィルム3と、その片面に設けられた粘着剤層4とを備える粘着剤層付き偏光フィルムとして構成されている。図1において、偏光フィルム3は、偏光子1と偏光子1の両面に設けられた保護フィルム2、2’とから構成されているが、保護フィルムは偏光子の片面にのみ設けられてもよい。粘着剤層4は、偏光フィルム3の片側に固定的に、すなわち当該偏光フィルム3から粘着剤層4を分離する意図なく、設けられている。粘着剤層付き偏光フィルム10は、粘着剤層4を被着体に貼り付けて用いられる。セパレータ5としては、例えば、シート状の基材(ライナー基材)の片面に剥離処理剤による剥離層を設けることで当該片面が剥離面となるように構成されたものを好ましく使用し得る。粘着剤層付き偏光フィルムの構造は、図1に模式的に示された実施形態には限定されない。
<偏光子>
偏光子は、特に限定されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これらの偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的には2~25μmである。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3~7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいても良いヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸しても良いし、また延伸してからヨウ素で染色しても良い。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液や水浴中でも延伸することができる。
<粘着剤層>
本発明において用いられる粘着剤層は、ベースポリマーと、シリコーンオリゴマーPsとを含む。
本発明において用いられる粘着剤層を構成する粘着剤は、特に限定されず、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤などを用いることができる。使用される粘着剤に応じて各種のベースポリマーを用いることができる。
上記の粘着剤の中でも、光学的透明性に優れ、適宜な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく使用される。このような特徴を示すものとしてアクリル系粘着剤が好ましく使用される。アクリル系粘着剤のベースポリマーとしては(メタ)アクリル系ポリマーが用いられる。なお、(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートを含む。
<ベースポリマー>
本発明において、ベースポリマーとしては通常、(メタ)アクリル系ポリマーが用いられる。
(1)アルキル(メタ)アクリレート(A)
(メタ)アクリル系ポリマーは、通常、モノマー単位として、アルキル(メタ)アクリレートを主成分として含有する。(メタ)アクリル系ポリマーの主骨格を構成する、アルキル(メタ)アクリレート(A)としては、直鎖状または分岐鎖状のC1~C20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いることができる。C1~C20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソオクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
本発明の一実施形態において、(メタ)アクリル系ポリマーは、好ましくは、アクリル酸n-ブチル(BA)およびアクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)の一方または両方をモノマー単位として含み得る。(メタ)アクリル系ポリマーのモノマー単位として好ましく用いられ得る他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸n-ブチル(BMA)、メタクリル酸2-エチルヘキシル(2EHMA)等が挙げられる。
本発明の一実施形態において、ベースポリマーのモノマー単位として用いられるアルキル(メタ)アクリレート(A)は、そのホモポリマーのガラス転移温度が-80℃以上0℃以下である。アルキル(メタ)アクリレート(A)のホモポリマーのガラス転移温度は、好ましくは、-70℃~-5℃であり、より好ましくは、-60℃~-10℃である。
本発明の一実施形態において、ベースポリマーのモノマー単位として用いられるアルキル(メタ)アクリレート(A)は、ベースポリマーの重量を基準として80重量%以上で含有することができる。アルキル(メタ)アクリレート(A)は、ベースポリマーの重量を基準として、好ましくは85重量%以上であり、より好ましくは90重量%以上である。
本発明の好ましい実施形態において、ベースポリマーのモノマー単位として、ホモポリマーのガラス転移温度が-60℃以上0℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート(A)を80重量%以上で含有することができる。
本発明の一実施形態において、(メタ)アクリル系ポリマーは、主成分としてのアルキル(メタ)アクリレート(A)に加えて、必要に応じて、アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な他のモノマー(共重合性モノマー)を更に含んでいてもよい。共重合性モノマーとしては、極性基(例えば、カルボキシ基、水酸基、窒素原子含有環等)を有するモノマーを好適に使用することができる。極性基を有するモノマーは、アクリル系ポリマーに架橋点を導入したり、(メタ)アクリル系ポリマーの凝集力を高めたりするために役立ち得る。共重合性モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
共重合性モノマーの非限定的な具体例としては、カルボキシ基含有モノマー、酸無水物基含有モノマー、水酸基含有モノマー、スルホン酸基またはリン酸基を含有するモノマー、エポキシ基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー、アミド基含有モノマー、窒素原子含有環を有するモノマー、スクシンイミド骨格を有するモノマー、マレイミド類、イタコンイミド類、(メタ)アクリル酸アミノアルキル類、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル類、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、芳香族ビニル化合物、オレフィン類、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、その他、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等の複素環含有(メタ)アクリレート、塩化ビニルやフッ素原子含有(メタ)アクリレート等のハロゲン原子含有(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等のケイ素原子含有(メタ)アクリレート、テルペン化合物誘導体アルコールから得られる(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等が挙げられ;
酸無水物基含有モノマーとしては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸が挙げられ;
水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリル、(4-ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル等が挙げられ;
スルホン酸基またはリン酸基を含有するモノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等が挙げられ;
エポキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルや(メタ)アクリル酸-2-エチルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有アクリレート、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル等が挙げられ;
シアノ基含有モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ;
イソシアネート基含有モノマーとしては、例えば、2-イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等が挙げられ;
アミド基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド;N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(n-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(t-ブチル)(メタ)アクリルアミド等のN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド;N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチル(メタ)アクリルアミド等のN-アルキル(メタ)アクリルアミド;N-ビニルアセトアミド等のN-ビニルカルボン酸アミド類;その他、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-エチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられ;
窒素原子含有環を有するモノマーとしては、例えば、N-ビニル-2-ピロリドン、N-メチルビニルピロリドン、N-ビニルピリジン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルピリミジン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルオキサゾール、N-(メタ)アクリロイル-2-ピロリドン、N-(メタ)アクリロイルピペリジン、N-(メタ)アクリロイルピロリジン、N-ビニルモルホリン、N-ビニル-3-モルホリノン、N-ビニル-2-カプロラクタム、N-ビニル-1,3-オキサジン-2-オン、N-ビニル-3,5-モルホリンジオン、N-ビニルピラゾール、N-ビニルイソオキサゾール、N-ビニルチアゾール、N-ビニルイソチアゾール、N-ビニルピリダジン等(例えば、N-ビニル-2-カプロラクタム等のラクタム類)が挙げられ;
スクシンイミド骨格を有するモノマーとしては、例えば、N-(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-6-オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-8-オキシヘキサメチレンスクシンイミド等が挙げられ;
マレイミド類としては、例えば、N-シクロヘキシルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド、N-ラウリルマレイミド、N-フェニルマレイミド等が挙げられ;
イタコンイミド類としては、例えば、N-メチルイタコンイミド、N-エチルイタコンイミド、N-ブチルイタコンイミド、N-オクチルイタコンイミド、N-2-エチルへキシルイタコンイミド、N-シクロへキシルイタコンイミド、N-ラウリルイタコンイミド等が挙げられ;
(メタ)アクリル酸アミノアルキル類としては、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチルが挙げられ;
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル類としては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピル等が挙げられ;
ビニルエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられ;
ビニルエーテル類としては、例えば、例えば、メチルビニルエーテルやエチルビニルエーテル等のビニルアルキルエーテルが挙げられ;
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ;
オレフィン類としては、例えば、エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン等が挙げられ;
脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等が挙げられ;
芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
このような共重合性モノマーを使用する場合、その使用量は特に限定されないが、通常はモノマー成分全量の0.01重量%以上とすることが適当である。共重合性モノマーの使用による効果をよりよく発揮する観点から、共重合性モノマーの使用量をモノマー成分全量の0.1重量%以上としてもよく、1重量%以上としてもよい。また、共重合性モノマーの使用量は、モノマー成分全量の50重量%以下とすることができ、40重量%以下とすることが好ましい。これにより、粘着剤の凝集力が高くなり過ぎることを防ぎ、常温(25℃)でのタック感を向上させ得る。
本発明の一実施形態において、(メタ)アクリル系ポリマーは、主成分としてのアルキル(メタ)アクリレートに加えて、必要に応じて、モノマー単位として、上述のような水酸基含有モノマー(典型的には、水酸基を含有する(メタ)アクリル系モノマー)を含み得る。水酸基含有モノマーとしては、上述のように、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリル、(4-ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル等が挙げられるが、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル等を好適に使用することができる。なかでも好ましい例として、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEA)、アクリル酸4-ヒドロキシブチル(4HBA)が挙げられる。水酸基含有モノマーの使用により、粘着剤の凝集力や極性を調整し、加熱後粘着力を向上させることができる。また、水酸基含有モノマーは、粘着剤層の親水性を高めることで、湿気による透明性低下を抑制するためにも役立ち得る。水酸基含有モノマーを含める場合、水酸基含有モノマーの使用量は、特に制限されないが、通常、(メタ)アクリル系ポリマーを調製するためのモノマー単位全量を基準として、例えば0.01重量%以上、0.1重量%以上、0.5重量%以上などとすることができる。
また、本発明の一実施形態において、(メタ)アクリル系ポリマーは、主成分としてのアルキル(メタ)アクリレートに加えて、必要に応じて、粘着剤層の凝集力調整等の目的で、多官能性モノマーを含有してもよい。多官能性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ブチルジオール(メタ)アクリレート、ヘキシルジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートを好適に使用することができる。多官能性モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。多官能性モノマーの使用量は、その分子量や官能基数等により異なるが、通常は、アルキル(メタ)アクリレート(A)を調製するためのモノマー成分全量に対して0.01重量%~3.0重量%の範囲とすることが適当であり、0.02重量%~2.0重量%としてもよく、0.03重量%~1.0重量%としてもよい。
(2)極性モノマー(B)
本発明の一実施形態において、ベースポリマーは、共重合性モノマー単位として、カルボキシル基含有モノマー(b1)および窒素含有モノマー(b2)からなる群より選択される少なくとも1種の極性モノマー(B)を更に含むことができる。
本発明の一実施形態において、上記極性モノマー(B)は、ベースポリマーの重量を基準として、0~20重量%で含まれ得る。極性モノマー(B)は、ベースポリマーの重量を基準として、好ましくは0.1~17.5重量%であり、より好ましくは1~15重量%である。
(2-1)カルボキシル基含有モノマー(b1)
本発明において、ベースポリマーは、共重合性モノマー単位として、カルボキシル基含有モノマー(b1)を含むことができる。カルボキシ基含有モノマー(b1)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の好ましい実施形態において、カルボキシル基含有モノマー(b1)は、アクリル酸、メタクリル酸であってよい。本発明のより好ましい実施形態において、カルボキシル基含有モノマー(b1)は、アクリル酸(AA)であってよい。
(2-2)窒素含有モノマー(b2)
本発明において、ベースポリマーは、共重合性モノマー単位として、窒素含有モノマー(b2)を含むことができる。窒素含有モノマー(b2)としては、例えば、ラクタム環を有するビニル系モノマー(例えば、N-ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドンなどのビニルピロリドン系モノマー、及びβ-ラクタム環、δ-ラクタム環、及びε-ラクタム環などのラクタム環を有するビニルラクタム系モノマーなど);マレイミド、N-シクロへキシルマレイミド、N-フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどの(N-置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチル、3-(3-ピリニジル)プロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;N-(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-6-オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-8-オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ(メタ)アクリレート系モノマー;ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N-ビニルカルボン酸アミド類などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の好ましい実施形態において、窒素含有モノマー(b2)は、N-ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミドであってよい。本発明のより好ましい実施形態において、窒素含有モノマー(b2)は、N-ビニルピロリドンであってよい。
(メタ)アクリル系ポリマーを得る方法は特に限定されず、溶液重合法、エマルション重合法、バルク重合法、懸濁重合法、光重合法等の、アクリル系ポリマーの合成手法として知られている各種の重合方法を適宜採用することができる。いくつかの態様において、溶液重合法を好ましく採用し得る。溶液重合を行う際の重合温度は、使用するモノマーおよび溶媒の種類、重合開始剤の種類等に応じて適宜選択することができ、例えば20℃~170℃程度(典型的には40℃~140℃程度)とすることができる。
重合に用いる開始剤は、重合方法に応じて、従来既知の熱重合開始剤や光重合開始剤等から適宜選択することができる。重合開始剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
熱重合開始剤としては、例えば、アゾ系重合開始剤(例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4’-アゾビス-4-シアノバレリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’-アゾビス[2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’-アゾビス(N,N’-ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライド等);過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化物系重合開始剤(例えば、ジベンゾイルペルオキシド、t-ブチルペルマレエート、過酸化ラウロイル等);レドックス系重合開始剤等が挙げられる。熱重合開始剤の使用量は、特に制限されないが、例えば、アクリル系ポリマーの調製に用いられるモノマー成分100重量部に対して0.01重量部~5重量部、好ましくは0.05重量部~3重量部の範囲内の量とすることができる。
光重合開始剤としては、特に制限されないが、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α-ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤等を用いることができる。光重合開始剤の使用量は、特に制限されないが、例えば、アクリル系ポリマーの調製に用いられるモノマー成分100重量部に対して0.01重量部~5重量部、好ましくは0.05重量部~3重量部の範囲内の量とすることができる。
本発明の一実施形態において、(メタ)アクリル系ポリマーは、上述のようなモノマー成分に重合開始剤を配合した混合物に、重合溶媒として、例えば、酢酸エチル、トルエン等が用い、溶液重合にて(メタ)アクリル系ポリマーを得ることができる。溶液重合例としては、反応は窒素等の不活性ガス気流下で、重合開始剤を加え、通常、50~70℃程度で、5~30時間程度の反応条件で行われる。本明細書において開示される粘着剤層は、例えば、上記(メタ)アクリル系ポリマーと後述するシリコーンオリゴマーPs、その他添加剤とを含む粘着剤組成物を用いて形成され得る。
本発明において、上述のベースポリマーの重量平均分子量Mwは50万~250万であってよい。本発明の一実施形態において、ベースポリマーの重量平均分子量Mwは、好ましくは、70万~270万であり、より好ましくは、80万~250万であり得る。
<シリコーンオリゴマーPs>
本発明において、粘着剤層はシリコーンオリゴマーPsを含む。シリコーンオリゴマーPsは、シロキサン構造の低極性および運動性によって、初期粘着力の抑制および粘着力上昇比の向上に寄与する粘着力上昇遅延剤として機能し得る。シリコーンオリゴマーPsとしては、側鎖にシロキサン構造を有するポリマーが好ましく用いられ得る。
本発明において用いられるシリコーンオリゴマーPsは、そのガラス転移温度(Tg)が-50℃以上100℃以下の範囲のものである。本発明の一実施形態において、シリコーンオリゴマーPsのTgは、好ましくは-30℃以上70℃以下であり、より好ましくは、-20℃以上60℃以下であってよい。シリコーンオリゴマーPsのTgが上記範囲内であると、初期の低粘着性と使用時の粘着力の上昇(強粘着性)とを高レベルで両立することができる。
本発明において用いられるシリコーンオリゴマーPsは、その重量平均分子量Mwが10000以上300000以下の範囲のものである。本発明の一実施形態において、シリコーンオリゴマーPsの重量平均分子量Mwは、好ましくは12500以上2500000以下であり、より好ましくは15000以上2000000以下であってよい。シリコーンオリゴマーPsの重量平均分子量Mwが上記範囲内であると、粘着剤層内における相溶性や移動性を適度な範囲に調節しやすく、初期の低粘着性と使用時の強粘着性とを高レベルで両立する粘着シートを実現しやすくなる。
本発明の好ましい実施形態において、シリコーンオリゴマーPsは、Tgが-70℃以上30℃以下であり、側鎖のシリコーン官能基当量が1000~20000g/molであり、重量平均分子量Mwが10000以上300000以下であってよい。
本発明の一実施形態において、シリコーンオリゴマーPsは、ポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマーS1と、ホモポリマーのガラス転移温度が-70℃以上180℃以下のモノマーとをモノマー単位として含み得る。
(1)ポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマーS1
本発明のシリコーンオリゴマーPsに用いることができるポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマーS1は、特に限定されず、ポリオルガノシロキサン骨格を有する任意のモノマーを用いることができる。ポリオルガノシロキサン骨格としては、例えば、トリメチルシロキサン(TM)、ジメチルシロキサン(DM)、ポリオキシエチルメチルシロキサン(EOM)などが挙げられるが、これらに限定されない。
ポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマーS1としては、例えば、下記一般式(1)または(2)で表される化合物を用いることができる。より具体的には、信越化学工業株式会社製の片末端反応性シリコーンオイルとして、X-22-174ASX、X-22-2426、X-22-2475、KF-2012、X-22-174BX、X-22-2404などが挙げられる。ポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマーS1は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
Figure 0007208782000001
Figure 0007208782000002
ここで、上記一般式(1),(2)中のRは水素またはメチルであり、Rはメチル基または1価の有機基であり、mおよびnは0以上の整数である。
本発明において用いられるシリコーンオリゴマーPsは、その側鎖のシリコーン官能基当量が1000~20000g/molである。本発明の一実施形態において、シリコーンオリゴマーPsの側鎖のシリコーン官能基当量は、好ましくは1200~18000g/molであり、より好ましくは1500~15000g/molであってよい。シリコーンオリゴマーPsの側鎖のシリコーン官能基当量が上記範囲内であると、粘着剤層内における相溶性(例えば、ベースポリマーとの相溶性)や移動性を適度な範囲に調節しやすく、初期の低粘着性と使用時の強粘着性とを高レベルで両立する粘着シートを実現しやすくなる。
ここで、「官能基当量」とは、官能基1個当たりに結合している主骨格(例えばポリジメチルシロキサン)の重量を意味する。標記単位g/molに関しては、官能基1molと換算している。ポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマーS1の官能基当量は、例えば、核磁気共鳴(NMR)に基づくH-NMR(プロトンNMR)のスペクトル強度から算出することができる。H-NMRのスペクトル強度に基づく、ポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマーS1の官能基当量(g/mol)の算出は、H-NMRスペクトル解析に係る一般的な構造解析手法に基づいて、必要であれば日本国特許第5951153号公報の記載を参照して行うことができる。
なお、ポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマーS1として官能基当量が異なる2種類以上のモノマーを用いる場合、モノマーS1の官能基当量としては、算術平均値を用いることができる。すなわち、官能基当量が異なるn種類のモノマー(モノマーS11,モノマーS12・・・モノマーS1n)からなるモノマーS1の官能基当量は、下記式により計算することができる。
モノマーS1の官能基当量(g/mol)=(モノマーS11の官能基当量×モノマーS11の配合量+モノマーS12の官能基当量×モノマーS12の配合量+・・・+モノマーS1nの官能基当量×モノマーS1nの配合量)/(モノマーS11の配合量+モノマーS12の配合量+・・・+モノマーS1nの配合量)
ポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマーS1の含有量は、シリコーンオリゴマーPsを調製するための全モノマー成分に対して、例えば5重量%以上であってよく、粘着力上昇遅延剤としての効果をよりよく発揮する観点から10重量%以上とすることが好ましく、15重量%以上としてもよい。いくつかの態様において、上記モノマーS1の含有量は、例えば20重量%以上であってもよい。また、ポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマーS1の含有量は、重合反応性や相溶性の観点から、シリコーンオリゴマーPsを調製するための全モノマー成分に対して、60重量%以下とすることが適当であり、50重量%以下としてもよく、40重量%以下としてもよく、30重量%以下としてもよい。ポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマーS1の含有量が上記範囲内にあると、初期の低粘着性と使用時の粘着力の上昇(強粘着性)とを高レベルで両立する粘着シートを実現しやすくなる。
(2)ホモポリマーのガラス転移温度が-70℃以上180℃以下のモノマー
本発明のシリコーンオリゴマーPsは、上記ポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマーS1と共重合可能な(メタ)アクリル系モノマーまたは他の共重合性モノマーを含む。本発明のシリコーンオリゴマーPsに用いることができる共重合可能な(メタ)アクリル系モノマーまたは他の共重合性モノマーとしては、ホモポリマーのガラス転移温度が-70℃以上180℃以下のモノマーを用いることができ、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられるが、これらに限定されない。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、メチルメタクリレート(MMA)、ブチルメタクリレート(BMA)、2-エチルヘキシルメタクリレート(2-EHMA)、ブチルアクリレート(BA)、2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)が挙げられ、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、2-((3-ヒドロキシメチル)-アダマンタン-1-イル)メトキシ-2-オキソエチル メタクリレート(2EHAMA)、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の一実施形態において、2-((3-ヒドロキシメチル)-アダマンタン-1-イル)メトキシ-2-オキソエチル メタクリレート(2EHAMA)、およびイソボルニル メタクリレート(IBXMA)から選択される少なくとも1種をモノマー単位として含有し得る。本発明の別の実施形態において、ジシクロペンタニルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートおよびシクロヘキシルメタクリレートから選択される少なくとも1種をモノマー単位として含有し得る。これらのモノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび上記脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルの使用量は、シリコーンオリゴマーPsを調製するための全モノマー成分に対して、例えば10重量%以上95重量%以下であってよく、20重量%以上95重量%以下であってもよく、30重量%以上90重量%以下であってもよく、40重量%以上90重量%以下であってもよく、50重量%以上85重量%以下であってもよい。
シリコーンオリゴマーPsを構成するモノマー単位としてモノマーS1とともに含まれ得るモノマーの他の例として、アルキル(メタ)アクリレート(A)に用いられ得るモノマーとして上記で例示したカルボキシル基含有モノマー、酸無水物基含有モノマー、水酸基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー、アミド基含有モノマー、窒素原子含有環を有するモノマー、スクシンイミド骨格を有するモノマー、マレイミド類、イタコンイミド類、(メタ)アクリル酸アミノアルキル類、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、オレフィン類、芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、複素環含有(メタ)アクリレート、ハロゲン原子含有(メタ)アクリレート、テルペン化合物誘導体アルコールから得られる(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
シリコーンオリゴマーPsを構成するモノマー単位としてモノマーS1とともに含まれ得るモノマーのさらに他の例として、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のオキシアルキレンジ(メタ)アクリレート;ポリオキシアルキレン骨格を有するモノマー、例えばポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等のポリオキシアルキレン鎖の一方の末端に(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等の重合性官能基を有し、他方の末端にエーテル構造(アルキルエーテル、アリールエーテル、アリールアルキルエーテル等)を有する重合性ポリオキシアルキレンエーテル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル;(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩等の塩;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル等の多価(メタ)アクリレート:塩化ビニリデン、(メタ)アクリル酸-2-クロロエチル等のハロゲン化ビニル化合物;2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン等のオキサゾリン基含有モノマー;(メタ)アクリロイルアジリジン、(メタ)アクリル酸-2-アジリジニルエチル等のアジリジン基含有モノマー;(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、ラクトン類と(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチルとの付加物等の水酸基含有ビニルモノマー;フッ素置換(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の含フッ素ビニルモノマー;2-クロルエチルビニルエーテル、モノクロロ酢酸ビニル等の反応性ハロゲン含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルアリルアミン、2-メトキシエトキシトリメトキシシランのような有機ケイ素含有ビニルモノマー;その他、ビニル基を重合したモノマー末端にラジカル重合性ビニル基を有するマクロモノマー類;等を挙げることができる。これらは、1種を単独であるいは組み合わせてモノマーS1と共重合させることができる。
シリコーンオリゴマーPsの調製に用いられるモノマー成分がモノマーS1および(メタ)アクリル系モノマーを含む態様において、上記モノマー成分全体に占めるモノマーS1と(メタ)アクリル系モノマーとの合計量は、例えば50重量%以上であってよく、70重量%以上でもよく、85重量%以上でもよく、90重量%以上でもよく、95重量%以上でもよく、実質的に100重量%でもよい。
上記モノマー成分に含まれる(メタ)アクリル系モノマーの組成は、例えば、当該(メタ)アクリル系モノマーの組成に基づくガラス転移温度Tm1が0℃より高くなるように設定することができる。ここで、(メタ)アクリル系モノマーの組成に基づくガラス転移温度Tm1とは、シリコーンオリゴマーPsの調製に用いられるモノマー成分のうち(メタ)アクリル系モノマーのみの組成に基づいて、Foxの式により求められるTgをいう。Tm1は、シリコーンオリゴマーPsの調製に用いられるモノマー成分のうち(メタ)アクリル系モノマーのみを対象として、上述したFoxの式を適用し、各(メタ)アクリル系モノマーのホモポリマーのガラス転移温度と、当該(メタ)アクリル系モノマーの合計量に占める各(メタ)アクリル系モノマー重量分率とから算出することができる。ガラス転移温度Tm1が0℃より高いシリコーンオリゴマーPsによると、初期粘着力が抑制されやすい。また、ガラス転移温度Tm1が0℃より高いシリコーンオリゴマーPsを用いることにより、粘着力上昇比の大きい粘着シートが得られやすい。
いくつかの態様において、Tm1は、-20℃以上でもよく、-10℃以上でもよく、0℃以上でもよく、10℃以上でもよい。Tm1が高くなると、貼付け初期の粘着力は、概して、よりよく抑制される傾向にある。また、Tm1は、例えば90℃以下でもよく、80℃以下でもよく、70℃以下または70℃未満でもよい。Tm1が低くなると、加熱による粘着力上昇が容易化する傾向にある。ここに開示される技術は、Tm1が、例えば-20℃~90℃、または-10℃~80℃、また0℃~70℃の範囲にあるシリコーンオリゴマーPsを用いて好ましく実施され得る。
シリコーンオリゴマーPsは、例えば、上述したモノマーを、溶液重合法、エマルション重合法、バルク重合法、懸濁重合法、光重合法等の既知の手法により重合させることで作製することができる。
シリコーンオリゴマーPsの分子量を調整するために連鎖移動剤を用いることができる。使用する連鎖移動剤の例としては、オクチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、t-ノニルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、α-チオグリセロール等のメルカプト基を有する化合物;チオグリコール酸、チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸プロピル、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸t-ブチル、チオグリコール酸2-エチルヘキシル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸イソオクチル、チオグリコール酸デシル、チオグリコール酸ドデシル、エチレングリコールのチオグリコール酸エステル、ネオペンチルグリコールのチオグリコール酸エステル、ペンタエリスリトールのチオグリコール酸エステル等のチオグリコール酸エステル類;α-メチルスチレンダイマー;等が挙げられる。
連鎖移動剤の使用量としては、特に制限されないが、通常、モノマー100重量部に対して、連鎖移動剤を0.05重量部~20重量部、好ましくは、0.1重量部~15重量部、さらに好ましくは0.2重量部~10重量部含有する。このように連鎖移動剤の添加量を調整することで、好適な分子量のシリコーンオリゴマーPsを得ることができる。なお、連鎖移動剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の一実施形態において、シリコーンオリゴマーPsは、上述の(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、0.1~20重量部で含まれ得る。本発明の実施形態において、シリコーンオリゴマーPsは、上述の(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、好ましくは、0.25~10重量部で含まれ、より好ましくは、0.5~5重量部で含まれ得る。粘着剤層に含まれるシリコーンオリゴマーPsの含量が上記の範囲内であると、初期粘着力を抑制することができ、より高い加熱後粘着力を得ることができる。
なお、上述のようなシリコーンオリゴマーPsは、粘着剤層に配合されることで、粘着力上昇遅延剤として好ましく機能し得る。ここに開示される粘着シートは、粘着剤層を構成する粘着剤がベースポリマーおよび粘着力上昇遅延剤を含み、該粘着力上昇遅延剤がシリコーンオリゴマーPsを含む態様で好ましく実施され得る。ここで、シリコーンオリゴマーPsが粘着力上昇遅延剤として機能するのは、被着体への貼付け前から貼付け初期の粘着シートにおいては粘着剤層の表面に存在するシリコーンオリゴマーPsによって初期粘着力が抑制され、貼付け後の経時や加熱等により粘着剤が流動することで粘着剤層表面におけるシリコーンオリゴマーPsの存在量が減少してシリコーンオリゴマーPsが粘着剤と相溶し、粘着力が上昇するためと考えられる。したがって、ここに開示される技術における上記粘着力上昇遅延剤としては、シリコーンオリゴマーPsに代えて、あるいはシリコーンオリゴマーPsと組み合わせて、同種の機能を発揮し得る他の材料が用いられ得る。そのような材料の非限定的な例として、分子内にポリオキシアルキレン構造を有するポリマー(以下「ポリマーPo」ともいう。)が挙げられる。ポリマーPoは、例えば、ポリオキシアルキレン骨格を有するモノマーに由来するモノマー単位を含む重合体であり得る。具体例としては、上述のようなポリオキシアルキレン骨格を有するモノマーのいずれか1種の単独重合体や2種以上の共重合体、ポリオキシアルキレン骨格を有するモノマーの1種または2種以上と他のモノマー(例えば、(メタ)アクリル系モノマー)との共重合体等をポリマーPoとして使用し得る。ポリオキシアルキレン骨格を有するモノマーの使用量は、特に限定されないが、例えば、上述したシリコーンオリゴマーPsにおけるモノマーS1の使用量を、ポリマーPoにおけるポリオキシアルキレン骨格を有するモノマーの使用量にも適用することができる。また、粘着剤層におけるポリマーPoの使用量は、特に限定されないが、例えば、上述したベースポリマーに対するシリコーンオリゴマーPsの使用量を、ベースポリマーに対するポリマーPoの使用量にも適用することができる。あるいは、上述したベースポリマーに対するシリコーンオリゴマーPsの使用量のうち一部(例えば、シリコーンオリゴマーPsの全使用量のうち5重量%~95重量%程度、または15重量%~85重量%程度、または30重量%~70重量%程度)をポリマーPoに置き換えてもよい。
本発明の一実施形態において、シリコーンオリゴマーPsの溶融温度は、-20~120℃であってよい。本発明の別の実施形態において、シリコーンオリゴマーPsの溶融温度は、-10~90℃、0~80℃であってよい。
<その他の成分>
(架橋剤)
本明細書に開示される粘着剤層には、凝集力の調整等の目的で、架橋剤が用いられ得る。架橋剤は、通常用いる架橋剤を使用することができ、例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、シリコーン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、シラン系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等を挙げることができる。特に、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤を好適に使用することができる。架橋剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
具体的には、イソシアネート系架橋剤の例としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、および、これらとトリメチロールプロパン等のポリオールとのアダクト体を挙げることができる。あるいは、1分子中に少なくとも1つ以上のイソシアネート基と、1つ以上の不飽和結合を有する化合物、具体的には、2-イソシアナートエチル(メタ)アクリレートなどもイソシアネート系架橋剤として使用することができる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ系架橋剤としては、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミンおよび1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
金属キレート化合物としては、金属成分としてアルミニウム、鉄、スズ、チタン、ニッケルなど、キレート成分としてアセチレン、アセト酢酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
架橋剤の使用量は、ベースポリマー100重量部に対して、例えば0.01重量部以上とすることができ、0.05重量部以上とすることが好ましい。架橋剤の使用量の増大により、より高い凝集力が得られる傾向にある。いくつかの態様において、ベースポリマー100重量部に対する架橋剤の使用量は、0.1重量部以上であってもよく、0.5重量部以上であってもよく、1重量部以上であってもよい。一方、過度な凝集力向上によるタックの低下を避ける観点から、ベースポリマー100重量部に対する架橋剤の使用量は、通常、15重量部以下とすることが適当であり、10重量部以下としてもよく、5重量部以下としてもよい。シリコーンオリゴマーPsまたは他の粘着力上昇遅延剤を含む組成の粘着剤では、架橋剤の使用量が多過ぎないことは、粘着剤の流動性を利用して粘着力上昇遅延剤の使用効果をよりよく発現させる観点からも有利となり得る。
本明細書に開示される技術は、架橋剤として少なくともイソシアネート系架橋剤を用いる態様で好ましく実施され得る。加熱後凝集力が高く、かつ粘着力上昇比が大きい粘着シートを実現しやすくする観点から、いくつかの態様において、ベースポリマー100重量部に対するイソシアネート系架橋剤の使用量は、例えば5重量部以下とすることができ、3重量部以下としてもよく、1重量部以下としてもよく、0.7重量部以下としてもよく、0.5重量部以下としてもよい。
上述したいずれかの架橋反応をより効果的に進行させるために、架橋触媒を用いてもよい。架橋触媒としては、例えばスズ系触媒(特にジラウリン酸ジオクチルスズ)を好ましく用いることができる。架橋触媒の使用量は特に制限されないが、例えば、ベースポリマー100重量部に対して凡そ0.0001重量部~1重量部とすることができる。
(シランカップリング剤)
本明細書に開示される粘着剤層には、さらに、シランカップリング剤を含有することできる。シランカップリング剤を用いることにより、耐久性を向上させることができる。シランカップリング剤としては、任意の適切な官能基を有するものを用いることができる。具体的には、官能基としては、例えば、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、(メタ)アクリロキシ基、アセトアセチル基、イソシアネート基、スチリル基、ポリスルフィド基等が挙げられる。具体的には、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン等のビニル基含有シランカップリング剤;γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有シランカップリング剤;γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどのメルカプト基含有シランカップリング剤;p-スチリルトリメトキシシラン等のスチリル基含有シランカップリング剤;γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシランなどの(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤;3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート基含有シランカップリング剤;ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のポリスルフィド基含有シランカップリング剤などが挙げられる。シランカップリング剤は、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランを好適に用いることができる。
前記シランカップリング剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は、ベースポリマー100重量部に対し、前記シランカップリング剤0.001~5重量部が好ましく、さらには0.01~1重量部が好ましく、さらには0.02~1重量部がより好ましく、さらには0.05~0.6重量部が好ましい。
その他、ここに開示される技術における粘着剤層は、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、粘着付与剤、レベリング剤、可塑剤、軟化剤、着色剤(染料、顔料等)、充填剤、帯電防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、防腐剤等の、粘着剤に使用され得る公知の添加剤を必要に応じて含んでいてもよい。
(粘着剤層の形成)
粘着剤層を形成する方法としては、例えば、前記粘着剤組成物を剥離処理したセパレータ等に塗布し、重合溶剤等を乾燥除去して粘着剤層を形成した後に偏光フィルムに転写する方法、または偏光フィルムに前記粘着剤組成物を塗布し、重合溶剤等を乾燥除去して粘着剤層を偏光フィルムに形成する方法等により作製される。なお、粘着剤の塗布にあたっては、適宜に、重合溶剤以外の一種以上の溶剤を新たに加えてもよい。
剥離処理したセパレータとしては、シリコーン剥離ライナーが好ましく用いられる。このようなライナー上に本発明の接着剤組成物を塗布、乾燥させて粘着剤層を形成する工程において、粘着剤を乾燥させる方法としては、目的に応じて、適宜、適切な方法が採用され得る。好ましくは、上記塗布膜を加熱乾燥する方法が用いられる。加熱乾燥温度は、好ましくは40℃~200℃であり、さらに好ましくは、50℃~180℃であり、特に好ましくは70℃~170℃である。加熱温度を上記の範囲とすることによって、優れた粘着特性を有する粘着剤を得ることができる。
乾燥時間は、適宜、適切な時間が採用され得る。上記乾燥時間は、好ましくは5秒間~20分間、さらに好ましくは5秒間~10分間、特に好ましくは、10秒間~5分間である。
また、偏光フィルムの表面に、アンカー層を形成したり、コロナ処理、プラズマ処理等の各種易接着処理を施した後に粘着剤層を形成したりすることができる。また、粘着剤層の表面には易接着処理をおこなってもよい。
粘着剤層の形成方法としては、各種方法が用いられる。具体的には、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーター等による押出しコート法等の方法が挙げられる。
粘着剤層の厚さは、特に制限されず、例えば、1~100μm程度である。好ましくは、2~50μm、より好ましくは2~40μmであり、さらに好ましくは、5~35μmである。
前記粘着剤層が露出する場合には、実用に供されるまで剥離処理したシート(セパレータ)で粘着剤層を保護してもよい。
セパレータの構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルム等のプラスチックフィルム、紙、布、不織布等の多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、およびこれらのラミネート体等の適宜な薄葉体等を挙げることができるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
そのプラスチックフィルムとしては、前記粘着剤層を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフイルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルム等が挙げられる。
前記セパレータの厚みは、通常5~200μm、好ましくは5~100μm程度である。前記セパレータには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉等による離型および防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型等の帯電防止処理もすることもできる。特に、前記セパレータの表面にシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の剥離処理を適宜おこなうことにより、前記粘着剤層からの剥離性をより高めることができる。
なお、上記の粘着剤層付き偏光フィルムの作製にあたって用いた、剥離処理したシートは、そのまま粘着剤層付き偏光フィルムのセパレータとして用いることができ、工程面における簡略化ができる。
以下に、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は以下に示した実施例に制限されるものではない。なお、各例中の部および%はいずれも重量基準である。以下に特に規定のない室温放置条件は全て23℃65%RHである。
なお、下記の各ポリマーの重量平均分子量Mwは、GPC装置(東ソー社製、HLC-8220GPC)を用いて下記の条件で測定を行い、ポリスチレン換算により求めた。
・サンプル濃度:0.2wt%(テトラヒドロフラン(THF)溶液)
・サンプル注入量:10μl
・溶離液:THF・流速:0.6ml/min
・測定温度:40℃
<偏光子の作製>
平均重合度2400、ケン化度99.9モル%の厚み75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の温水中に60秒間浸漬し膨潤させた。次いで、ヨウ素/ヨウ化カリウム(重量比=0.5/8)の濃度0.3%の水溶液に浸漬し、3.5倍まで延伸させながらフィルムを染色した。その後、65℃のホウ酸エステル水溶液中で、トータルの延伸倍率が6倍となるように延伸を行った。延伸後に、40℃のオーブンにて3分間乾燥を行い、PVA系偏光子(SP値32.8、厚み23μm)を得た。水分率は14重量%であった。
<透明保護フィルムの作製>
厚み40μm、透湿度60g/m2/24hのアクリル系樹脂フィルム(SP値22.2)の易接着処理面にコロナ処理を施して用いた。
<活性エネルギー線>
活性エネルギー線として、
・紫外線照射装置(ガリウム封入メタルハライドランプ):Fusion UV Systems,Inc社製Light HAMMER10
・バルブ:Vバルブ
・ピーク照度:1600mW/cm
・積算照射量1000/mJ/cm(波長380~440nm)
を使用した。なお、紫外線の照度は、Solatell社製Sola-Checkシステムを使用して測定した。
<活性エネルギー線硬化型接着剤の調製>
ラジカル重合性化合物(A)として、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド(SP値29.6,ホモポリマーのTg123℃,興人社製)を38.3部、 ラジカル重合性化合物(B)として、トリプロピレングリコールジアクリレート(商品名:アロニックスM-220,SP値19.0,ホモポリマーのTg69℃,東亞合成社製)を19.1部、 ラジカル重合性化合物(C)として、アクリロイルモルホリン(SP値22.9,ホモポリマーのTg150℃,興人社製)を38.3部、および 光重合開始剤(商品名:KAYACURE DETX-S,ジエチルチオキサントン,日本化薬社製)1.4部を混合して50℃で1時間撹拌して活性エネルギー線硬化型接着剤を得た。
<偏光フィルムAの作製>
上記アクリル系樹脂フィルム上に、厚さ0.5μmのウレタン系易接着剤層を形成した後に、当該易接着剤層に、上記活性エネルギー線硬化型接着剤を、MCDコーター(富士機械社製)(セル形状:ハニカム、グラビアロール線数:1000本/inch、回転速度140%/対ライン速)を用いて、接着剤層の厚みが0.5μmになるように塗工した。次いで、前記接着剤を介して、前記アクリル系樹脂フィルムを、視認側および/パネル側の透明保護フィルムとして、上記偏光子の両面にロール機で貼り合わせた。その後、貼り合わせたアクリル系樹脂フィルムの両側から、IRヒーターを用いて50℃に加温し、上記紫外線を両面に照射して、活性エネルギー線硬化型接着剤を硬化させた。さらに、70℃で3分間熱風乾燥して、偏光子の両面に透明保護フィルムを有する偏光フィルムを得た(表1)。貼り合わせのライン速度は25m/minで行った。
Figure 0007208782000003
<粘着剤の調製>
(ポリマー溶液Aの調製)
冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル100部、アクリル酸5部、アクリル酸2-ヒドロキシエチル0.075部および2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.3部を酢酸エチルと共に加えて溶液を調製した。次いで、この溶液に窒素ガスを吹き込みながら撹拌して、60℃で4時間反応させて、重量平均Mwが220万のアクリル系ポリマーを含有する溶液を得た。さらに、このアクリル系ポリマーを含有する溶液に、酢酸エチルを加えて固形分濃度を30%に調整したアクリル系ポリマー溶液Aを得た。
前記アクリル系ポリマー溶液Aの固形分100部に対して、架橋剤として、0.6部のイソシアネート基を有する化合物を主成分とする架橋剤(日本ポリウレタン(株)製,商品名「コロネートL」)と、シランカップリング剤として、0.075部のγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製,商品名「KBM-403」)とをこの順に配合して、粘着剤ポリマー溶液Aを調製した。
(ポリマー溶液Bの調製)
冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌装置を備えた反応容器に、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)94部、アクリル酸6部および2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.3部を酢酸エチルと共に加えて溶液を調製した。次いで、この溶液に窒素ガスを吹き込みながら撹拌して、60℃で4時間反応させて、重量平均分子量Mwが220万のアクリル系ポリマーを含有する溶液を得た。さらに、このアクリル系ポリマーを含有する溶液に、酢酸エチルを加えて固形分濃度を30%に調整したアクリル系ポリマー溶液(B)を得た。
前記アクリル系ポリマー溶液(B)の固形分100部に対して、架橋剤として、0.6部のイソシアネート基を有する化合物を主成分とする架橋剤(日本ポリウレタン(株)製,商品名「コロネートL」)と、シランカップリング剤として、0.075部のγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製,商品名「KBM-403」)とをこの順に配合して、粘着剤ポリマー溶液Bを調製した。
アクリル系ポリマー溶液(A)(ポリマーA)およびアクリル系ポリマー溶液(B)(ポリマーB)の組成を下記表2に示す。
Figure 0007208782000004
(シリコーンオリゴマーAの調製)
撹拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、酢酸エチル100部、MMA40部、n-ブチルメタクリレート(BMA)20部、2-エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA)20部、官能基当量が900g/molのポリオルガノシロキサン骨格含有メタクリレートモノマー(商品名:X-22-174ASX、信越化学工業株式会社製)8.7部、官能基当量が4600g/molのポリオルガノシロキサン骨格含有メタクリレートモノマー(商品名:KF-2012、信越化学工業株式会社製)11.3部および連鎖移動剤としてチオグリコール酸メチル0.2部を投入した。そして、70℃にて窒素雰囲気下で1時間撹拌した後、熱重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.2部を投入し、70℃で2時間反応させた後に、熱重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部を投入し、続いて80℃で3時間反応させた。このようにしてシリコーンオリゴマーの溶液を得た。このシリコーンオリゴマーの重量平均分子量Mwは18000であった。
(その他のシリコーンオリゴマーB~Fの調製)
シリコーンオリゴマーB~Fについては、モノマー組成および質量部を表3に記載の構成成分に変更したこと以外は、シリコーンオリゴマーAと同様にして作製した。
Figure 0007208782000005
(粘着剤溶液の調製)
上記調製した粘着剤ポリマー溶液Aに、1部のシリコーンオリゴマーAを配合して、実施例1で用いるアクリル系粘着剤溶液を調製した。同様にして、下記表4に記載された粘着剤ポリマー溶液とシリコーンオリゴマーとを用いて、実施例2~19で用いるアクリル系粘着剤溶液を調製した。
(粘着剤層付き偏光フィルムの作製)
[実施例1]~[実施例19]
次いで、上記アクリル系粘着剤溶液を、シリコーン系剥離剤で処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータフィルム)の表面に均一に塗工し、155℃の空気循環式恒温オーブンで2分間乾燥し、セパレータフィルムの表面に厚さ20μmの粘着剤層を形成した。上記偏光フィルムの片面に、粘着剤層を形成したセパレータを移着させ、粘着剤層付き偏光フィルムを作製した。
[比較例1]
比較例1において、シリコーンオリゴマーAを除いたこと以外は実施例1と同じようにして、粘着剤層付き偏光フィルムを作製した。
[比較例2]~[比較例5]
比較例2~5において、シリコーンオリゴマーAの代わりにエーテル基含有ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製、商品名「変性シリコーンオイル KF-353」)を用い、配合量を表4に示すように変えたこと以外は実施例1と同じようにして、粘着剤層付き偏光フィルムを作製した。
[参考例1]
参考例1において、シリコーンオリゴマーAの代わりに別のリワーク向上剤(カネカ社製、商品名「SAT10」)を用い、配合量を表4に示すように変えたこと以外は実施例1と同じようにして、粘着剤層付き偏光フィルムを作製した。
上記実施例1~19、比較例1~5、および参考例1で得られた粘着剤層付き偏光フィルムについて、下記評価を行った。結果を表4に示す。
<耐久性の評価>
粘着剤層付偏光フィルム(37インチ)のセパレータフィルムを剥がし、厚さ0.7mmの無アルカリガラス(コーニング社製,EG-XG)にラミネーターを用いて貼着した。次いで、50℃、0.5MPaで、15分間のオートクレーブ処理を行って、前記偏光フィルムを完全に無アルカリガラスに密着させた。次いで、これを、80℃の加熱オーブン(加熱)条件下にそれぞれ投入して、500時間後の偏光板の剥がれの有無を、下記基準で評価した。
A:全く剥がれが認められなかった。
B:目視で確認できない程度の発泡が認められた。
C:目視では確認できない程度の剥がれが認められた。
D:目視で確認できる小さな発泡または剥がれが認められた。
E:明らかな発泡または剥がれが認められた。
<粘着力の評価>
(1)初期粘着力の測定
23℃、50%RHの標準環境下にて、作製した粘着剤層付偏光フィルムを、縦120mm×横25mmに裁断したものをサンプルとした。当該サンプルを、厚さ0.7mmの無アルカリガラス板(コーニング社製、EG-XG)に、2kgのローラーを1往復させて圧着した後、当該サンプルの粘着力を測定した。粘着力は、当該サンプルを引張り試験機(オートグラフSHIMAZU AG-1 1OKN)にて、剥離角度90°、剥離速度300mm/minで引き剥がす際の粘着力(N/25mm、測定長80mm)を測定することにより求めた。測定は、1回/0.5sの間隔で200回サンプリングし、その平均値を測定値とした。検体数は3検体で行った。それらの平均値を初期粘着力として表4の「2kgローラー」の欄に示した。そして粘着力の水準からリワーク性を下記基準で判断した。
A:4N/25mm以下、リワークは90%成功する。
B:4N/25mm超5N/25mm以下、リワークは80%以上成功する。
C:5N/25mm超6N/25mm以下、リワークは70%以上成功する。
D:6N/25mm超7N/25mm以下、リワークは60%以上成功する。
E:7N/25mm超、リワークは40%より多く失敗する。
(2)加熱後粘着力の測定
作製した粘着剤層付偏光フィルムを、縦120mm×横25mmに裁断したものをサンプルとした。当該サンプルを、厚さ0.7mmの無アルカリガラス板(コーニング社製、EG-XG)に、ラミネーターを用いて貼り付け、次いで50℃、5atmで15分間オートクレーブ処理して完全に密着させた後、当該サンプルの粘着力を測定した。粘着力は、当該サンプルを引張り試験機(オートグラフSHIMAZU AG-1 1OKN)にて、剥離角度90°、剥離速度300mm/minで引き剥がす際の粘着力(N/25mm、測定長80mm)を測定することにより求めた。測定は、1回/0.5sの間隔で200回サンプリングし、その平均値を測定値とした。検体数は3検体で行った。表4中、「60℃×2h」および「60℃×24h」は、60℃でそれぞれ2時間および24時間放置した後の粘着力を示す。
Figure 0007208782000006
以上の通り、本発明によれば、高耐久性とリワーク性とを兼ね備えた粘着剤層付き偏光フィルムを提供することができる。
1 偏光子
2、2’ 保護フィルム
3 偏光フィルム
4 粘着剤層
5 セパレータ
10 粘着剤層付き偏光フィルム

Claims (6)

  1. 偏光フィルムと、
    粘着剤層とを備える、粘着剤層付き偏光フィルムであって、
    前記粘着剤層は、ベースポリマーと、シリコーンオリゴマーPsとを含み、
    前記ベースポリマーは、モノマー単位として水酸基含有モノマーを含む(メタ)アクリル系ポリマーであり、
    前記シリコーンオリゴマーPsは、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、1~2重量部で含まれ、
    前記シリコーンオリゴマーPsは、Tgが-30℃以上70℃以下であり、側鎖のシリコーン官能基当量が1000~20000g/molであり、重量平均分子量Mwが10000以上300000以下である、粘着剤層付き偏光フィルム。
  2. 前記シリコーンオリゴマーPsが、ポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマーS1と、ホモポリマーのガラス転移温度が-70℃以上180℃以下のモノマーとをモノマー単位として含む、請求項1に記載の粘着剤層付き偏光フィルム。
  3. 前記ベースポリマーのモノマー単位として、ホモポリマーのガラス転移温度が-80℃以上0℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート(A)を80重量%以上で含有する、請求項1または2に記載の粘着剤層付き偏光フィルム。
  4. 前記ベースポリマーのモノマー単位として、カルボキシル基含有モノマー(b1)および窒素含有モノマー(b2)からなる群より選択される少なくとも1種の極性モノマー(B)を0~20重量%で更に含有する、請求項3に記載の粘着剤層付き偏光フィルム。
  5. 前記ベースポリマーの重量平均分子量Mwが50~250万である、請求項1~4のいずれか1項に記載の粘着剤層付き偏光フィルム。
  6. 前記シリコーンオリゴマーPsの溶融温度が-20~120℃である、請求項1~5のいずれか1項に記載の粘着剤層付き偏光フィルム。
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