JP7207513B2 - 物品および液体収納袋 - Google Patents

物品および液体収納袋 Download PDF

Info

Publication number
JP7207513B2
JP7207513B2 JP2021201532A JP2021201532A JP7207513B2 JP 7207513 B2 JP7207513 B2 JP 7207513B2 JP 2021201532 A JP2021201532 A JP 2021201532A JP 2021201532 A JP2021201532 A JP 2021201532A JP 7207513 B2 JP7207513 B2 JP 7207513B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cover member
bag
liquid
article
space
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2021201532A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2022043151A (ja
Inventor
麻衣 野澤
琢磨 馬塲
麻理子 中田
剛 横橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from JP2017149993A external-priority patent/JP2019026367A/ja
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2021201532A priority Critical patent/JP7207513B2/ja
Publication of JP2022043151A publication Critical patent/JP2022043151A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7207513B2 publication Critical patent/JP7207513B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Packages (AREA)
  • Medical Preparation Storing Or Oral Administration Devices (AREA)

Description

本開示は、液体と液体収納袋とを有する物品に関する。
液体の輸送、保存等をするために液体を収納する容器として、例えば、フィルム材料を用いた液体収納用袋の利用が広まっている。例えば、特許文献1には、可撓性を有するバッグ本体と、排出口部材と、アクセス阻止部材と、カバー部材とを有する薬液バッグが開示されている。特許文献1においては正しい操作が行われるように使用者に注意喚起をすることを目的としている。また、特許文献2には、排出口の内部にアイキャッチが配置された薬剤用のバッグが開示されている。
特許4671175号公報 特開2015-66409号公報
一般的に、液体収納袋は、例えばフィルム材料等の柔らかい材料で構成されていることから、局所的に物理的な力が加わったときに、袋を貫通する貫通傷部が生じやすい。また、貫通傷部が生じた場合、貫通傷部から液体収納袋の内部に異物が混入することが懸念される。また、悪意ある他人が、液体収納袋に対し、意図的に貫通傷部を生じさせて異物を混入させる場合がある。
一方、液体収納袋に貫通傷部が生じたとき、使用者が貫通傷部を検知することが困難な場合も少なくない。上述したように、貫通傷部が生じたときは、物品においては、異物が混入する等の液体の信頼性が低下するリスクが高くなる。そのため、液体収納袋を用いた物品においては、使用者が貫通傷部によるリスクの有無を容易に判断できるようにすることが求められている。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、使用者が貫通傷部を容易に検知することができる物品、およびこれに用いる液体収納袋を提供することを主目的とする。
本開示においては、液体と、上記液体を収納するための袋部材と、上記袋部材の少なくとも一部を覆うように配置されたカバー部材とを有する物品であって、上記カバー部材の最外部よりも上記袋部材側には、上記袋部材の内部および上記物品の外部のそれぞれから隔離されたスペース部が配置されており、上記スペース部は、上記カバー部材の最外部に生じた貫通傷部が上記スペース部に到達したとき、使用者に対して、上記貫通傷部の検知を促す検知促進機能を有し、上記検知促進機能は、上記貫通傷部により生じた上記スペース部の状態の変化を、使用者に対して認識可能とすることにより、上記貫通傷部の検知を促す機能である、物品を提供する。
また、本開示においては、上述した物品に用いられる液体収納袋であって、上記袋部材と、上記カバー部材とを有し、上記カバー部材の最外部よりも上記袋部材側に上記スペース部が配置されている、液体収納袋を提供する。
本開示の物品は、使用者が貫通傷部を容易に検知することができるといった効果を奏する。
本開示の物品を例示する概略平面図および概略断面図である。 本開示の物品を例示する概略平面図および概略断面図である。 本開示におけるスペース部の検知促進機能を説明する説明図である。 本開示におけるスペース部の検知促進機能を説明する説明図である。 本開示におけるスペース部の検知促進機能を説明する説明図である。 本開示の物品を例示する概略平面図および模式図である。 本開示の物品を例示する概略平面図および模式図である。 本開示の物品を例示する概略断面図である。 本開示の物品を例示する概略平面図および概略断面図である。 本開示の物品の製造方法を例示する工程図である。 本開示の物品の製造方法を例示する工程図である。 本開示の液体収納袋を例示する模式図である。
本開示は、液体と液体収納袋とを有する物品に関する。
本開示における「液体」は、例えば、溶質を含まない液状の物質のみであっても良く、溶質および溶媒を含む溶液であっても良い。
また、「液体」は、例えば、化学反応を起こすために用いられる化学薬品であっても良く、化学薬品でなくても良い。
また、本開示における「液体」は、あらゆる分野において用いられる液状の物質を含み、一例としては、医療分野、工業分野、日用品の分野、食品分野等において用いられる液状の物質を含む。
「液体」の具体例としては、医療分野における輸液、薬液等が挙げられる。
本明細書において、「輸液」とは、輸液製剤協議会において規定される輸液製剤をいい、具体的には、静脈内などを経て体内に投与することによって治療効果を上げることを目的とした容量50mL以上の注射剤であって、水・電解質異常の是正・維持、または、経口摂取が不能あるいは不良な時のエネルギー代謝、蛋白代謝の維持を目的とした製剤、または、薬剤投与のための溶解・希釈剤をいう。輸液としては、典型的には、電解質輸液、栄養輸液、その他の輸液(血漿増量剤、浸透圧利尿剤)が挙げられる。
また、本明細書において、「薬液」とは、輸液以外の液状薬剤、または医療用液体をいう。輸液以外の液状薬剤としては、例えば、液体量(容量)が輸液と異なる液状製剤、投与箇所が血管以外である液状製剤、原薬、試薬、その中間体を挙げることができる。また、医療用液体としては、例えば、培養液等を挙げることができる。培養液としては、例えば、細胞培養液、培地等の培養液を挙げることができる。
また、「液体」の具体例としては、他にも、食品分野における飲料、調味料等の液体食品等、日用品の分野における液体洗剤等、工業分野における工業薬品等を挙げることができる。
また、「液体を収納する」とは、少なくとも液体を収納することを指し、液体のみを収納する場合、ならびに液体および固体を収納する場合の両方を包含する意味を指す。
一般的に、液体収納袋は柔らかい材料で構成されていることから、局所的に物理的な力が加わったときに、袋を貫通する貫通傷部が生じやすい。貫通傷部が生じた場合、貫通傷部から液体収納袋の内部へ異物が混入することが懸念される。
また、液体収納袋を用いた物品においては、例えば、悪意ある他人が、液体収納袋に対し意図的に貫通傷部を生じさせ、異物を混入させるといった、悪質ないたずらがされる場合がある。
一方、液体収納袋を用いた物品においては、使用者が、貫通傷部からの異物混入を検知することが困難な場合がある。特に、悪質ないたずらによる貫通傷部からの異物混入は、使用者が検知することが難しい傾向にある。
貫通傷部からの異物混入の検知が困難である理由の一つとして、使用者が目視により貫通傷部を認識することが難しいことが挙げられる。また、その理由の一つとして、貫通傷部を通じて、内容物である液体が液体収納袋の外部に漏出するまでに一定の時間がかかる場合があることが挙げられる。液体収納袋においては強度等を高めるため、厚さの厚いフィルム材料が用いられる場合があるが、厚いフィルム材料で構成された液体収納袋に貫通傷部が生じた場合は、特に内容物である液体が外部に漏出しにくい傾向にある。
また、悪意ある他人が、液体収納袋に対し貫通傷部を生じさせる際には、極細な針等を用いて、使用者が一見してわからない大きさの貫通傷部を生じさせる場合がある。そのため、悪質ないたずらによる異物混入は、使用者による検知が特に難しい傾向にある。
ところで、液体収納袋を用いた物品において、液体収納袋における貫通傷部の発生と、収納されている液体の信頼性の低下とは高い相関関係がある。具体的には、貫通傷部が生じている場合は、上述したように貫通傷部から異物が混入する可能性が高い。また、貫通傷部から外気が入ることにより、液体が変質することも懸念される。特に、貫通傷部が悪質ないたずらにより生じた場合、異物混入や液体の変質が目的とされている可能性が高い。
そのため、物品において、液体収納袋に貫通傷部が生じている場合は、実際に異物混入、液体の変質等が生じているか否かに関わらず、リスクを回避するため、液体の使用を回避する必要がある。具体的には、未使用の液体が収納された液体収納袋に貫通傷部が生じている場合、物品自体の使用を回避する必要がある。また、液体の使用時において液体収納袋に貫通傷部が生じた場合は、ただちに液体の使用を中止する必要がある。
使用者が上述したリスク回避の判断を正確にできるようにするため、液体収納袋を用いた物品においては、使用者が貫通傷部を容易に検知することができることが望まれている。
例えば、特許文献1、2にはアクセス阻止部材、アイキャッチを用いて液体収納袋の開封の有無を検知することは開示されているが、貫通傷部を検知するための構成ではない。
また、貫通傷部を検知するとの課題については開示、示唆もない。
上記実情に鑑みて、本開示においては、使用者が貫通傷部を容易に検知することができる物品、およびこれに用いる液体収納袋を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、下記の物品および液体収納袋を提供する。
A.物品
本開示の物品は、液体と、上記液体を収納するための袋部材と、上記袋部材の少なくとも一部を覆うように配置されたカバー部材とを有する物品であって、上記カバー部材の最外部よりも袋部材側には、上記袋部材の内部および上記物品の外部のそれぞれから隔離されたスペース部が配置されており、上記スペース部は、上記カバー部材の最外部に生じた貫通傷部が上記スペース部に到達したとき、使用者に対して、上記貫通傷部の検知を促す検知促進機能を有し、上記検知促進機能は、上記貫通傷部により生じた上記スペース部の状態の変化を、使用者に対して認識可能とすることにより、上記貫通傷部の検知を促す機能である。
以下の説明において、物品における袋部材およびカバー部材を合わせた構成を液体収納袋と称して説明する場合がある。
本開示において、「貫通傷部」とは、液体収納袋、袋部材を構成する部材、またはカバー部材を構成する基材を貫通する傷部であり、より具体的には、部材または基材の厚さ方向において、一方の面から他方の面まで突き抜けた孔を指す。本開示における貫通傷部の大きさは、特に限定されず、例えば、使用者の目視により認識可能な大きさであっても良く、使用者の目視により認識が困難な大きさであっても良いが、後者がより好ましい。すなわち、貫通傷部が微細であることが好ましい。カバー部材の検知促進機能をより高く発揮することができるためである。微細な貫通傷部の大きさは、使用者の目視により認識が困難な程度の大きさであり、物品の種類、液体収納袋における材質等により異なるため、厳密に規定されないが、例えば、0.2mm以下の大きさであっても良い。なお、貫通傷部の大きさは、貫通傷部の開口部の径の最大値を指す。
「カバー部材の最外部」とは、カバー部材において最も物品の外部側に配置される部分をいう。カバー部材は、通常、少なくとも一つの基材を有することから、カバー部材の最外部は、通常、カバー部材において最も物品の外部側に配置される基材の外部側の面に位置する。また、本開示の物品をスペース部を基準として見たとき、カバー部材の最外部はスペース部よりも物品の外部側に配置される。
「カバー部材の最外部に生じた貫通傷部がスペース部に到達したとき」とは、外部からの物理的な力が加わることにより、少なくともカバー部材の最外部からスペース部までの間に位置する基材を貫通する貫通傷部が生じたときをいい、カバー部材の最外部からスペース部までの間に位置する基材のみに貫通傷部が生じたとき、カバー部材の最外部からスペース部よりも袋部材側に位置する基材に貫通傷部が生じたとき、カバー部材および袋部材に貫通傷部が生じたときの全ての場合を含む。
「使用者に対し貫通傷部の検知を促す」とは、使用者が貫通傷部を検知しやすくなるようにすることをいう。また、「使用者が貫通傷部を検知する」とは、少なくとも使用者が貫通傷部の有無を認識することをいい、貫通傷部の有無だけを認識しても良く、さらに貫通傷部の位置を認識しても良い。
本開示の物品について図を用いて説明する。図1(a)および図2(a)は本開示の物品の例を示す概略平面図である。図1(b)は図1(a)のA-A線断面図であり、図1(c)は図1(b)におけるスペース部を説明する説明図である。また、図2(b)は図2(a)のA-A線断面図であり、図2(c)は図2(b)におけるスペース部を説明する説明図である。図1(a)~(c)および図2(a)~(c)に示すように、本開示の物品10は、液体1と、液体1を収納するための袋部材2と、袋部材2の少なくとも一部を覆うように配置されたカバー部材3とを有する。また、物品10におけるカバー部材3の最外部よりも袋部材2側に、袋部材2の内部および物品10の外部のそれぞれから隔離されたスペース部Sが配置されている。スペース部Sは、後述する検知促進機能を有する。
図1(a)~(c)および図2(a)~(c)においては、袋部材2が注出口2aを有する注出部材21と、注出部材21と接合され、液体を収納する胴体部2bを有する胴体部材22とを有する例について示している。また、物品10が、袋部材2における注出口2aを密封する密封部材4をさらに有する例を示している。また、カバー部材3が、袋部材2全体を覆う袋状の形態を有する例を示している。
また、図1(a)~(c)においては、カバー部材3が一つの基材31を有する例を示しており、図2(a)~(c)においては、カバー部材3が基材31および基材32の二つの基材を重ね合わせた二重構造を有する例を示している。図1(a)~(c)および図2(a)~(c)においては、カバー部材3の端部に、基材31の袋部材側の面を直接接触させて接着させた接着部Hを有する例を示している。なお、以下に説明する図におけるHも接着部を有することを示している。
本開示においては、例えば、図1(a)~(c)に示すように、スペース部Sは袋部材2およびカバー部材3の間に配置されていても良い。また、例えば、図2(a)~(c)に示すようにカバー部材3が基材31および基材32の二つの基材を重ね合わせた多重構造を有する場合、スペース部Sは基材31および基材32の間に配置されていても良い。
また、この場合、袋部材2とカバー部材3との間には、スペース部S、および物品10の外部と隔離された隔離部Tが配置されていても良い。なお、図1(c)および図2(c)においては、説明の容易のため、カバー部材の袋部材側において、スペース部S以外の部分はハッチングをかけて示している。
なお、図1(a)および図2(a)においては説明の容易の為、液体については省略して示している。また、カバー部材3に覆われた袋部材2については破線で示している。以下に説明する図においても同様とする。
本開示におけるスペース部は、カバー部材の最外部に生じた貫通傷部がスペース部に到達したとき、使用者に対して、貫通傷部の検知を促す検知促進機能を有する。検知促進機能は、貫通傷部により生じたスペース部の状態の変化を、使用者に対して認識可能とすることにより、貫通傷部の検知を促す機能である。
検知促進機能について図を用いて説明する。図3(a)~(d)は本開示におけるスペース部の検知促進機能の一例を説明する説明図である。例えば、図3(a)、(b)に示すスペース部Sの状態は、気体Gasが充填された状態である。この場合、図3(c)に示すように物品10におけるカバー部材3の最外部に対し、例えば、針Nが突き刺さることでスペース部Sに到達する貫通傷部Pが生じたとき、図3(d)に示すように、貫通傷部Pによりスペース部Sの状態が変化する。具体的には、スペース部Sに充填された気体Gasが貫通傷部Pを通じて物品10の外部に漏出する。スペース部Sからの気体Gasの漏出は、例えば、使用者がカバー部材3の萎み等を目視することで認識することができる。また、使用者が物品10を触ることで、カバー部材3の萎み、漏出した気体Gasの圧力を認識することができる。
図4(a)~(d)は本開示におけるスペース部の検知促進機能の他の例を説明する説明図である。例えば、図4(a)、(b)に示すスペース部Sの状態は、物品の外部の圧力よりも減圧された状態である。この場合、図4(c)に示すように、物品10におけるカバー部材3の最外部に対し、例えば、針Nが突き刺さることでスペース部Sに到達する貫通傷部Pが生じたとき、図4(d)に示すように、貫通傷部Pによりスペース部Sの状態が変化する。具体的には、減圧状態であるスペース部Sに貫通傷部Pを通じて物品の外部から空気Airが流入する。スペース部Sへの空気Airの流入は、例えば、使用者がカバー部材3の膨らみを目視することで認識することができる。また、使用者が物品10を触ることで、カバー部材3の膨らみを認識することができる。
図5(a)~(d)は本開示におけるスペース部の検知促進機能の他の例を説明する説明図である。例えば、図5(a)、(b)に示すスペース部Sの状態は、検知用液Lが充填された状態である。この場合、図5(c)に示すように、物品10におけるカバー部材3の最外部に対し、例えば、針Nが突き刺さることでスペース部Sに到達する貫通傷部Pが生じたとき、図5(d)に示すように、貫通傷部Pによりスペース部Sの状態が変化する。具体的には、スペース部Sに充填された検知用液Lが貫通傷部Pを通じて物品10の外部へ漏出する。スペース部Sからの検知用液Lの漏出は、例えば、使用者が物品10を触ることで、カバー部材3が検知用液Lで濡れていることを認識することができる。また、使用者が検知用液Lを目視することで認識することができる。
本開示によれば、スペース部が上述した検知促進機能を有することにより、貫通傷部が生じたとき、使用者が貫通傷部を容易に検知することが可能な物品とすることができる。
具体的には、本開示の物品においては、貫通傷部により生じたスペース部の変化を、使用者が認識することができるため、貫通傷部を容易に検知することができる。特に、本開示においては、使用者が物品を触ることで、スペース部の変化を認識することができるため、使用者がより直観的に貫通傷部を検知することができる。
また、本開示の物品においては、使用者が貫通傷部を容易に検知することができるため、内容物である液体の信頼性の低下の有無を容易に判断することができ、リスクある液体の使用を回避することができる。
以下、本開示の物品の詳細を説明する。
1.スペース部
本開示の物品は、スペース部を有する。
スペース部は、カバー部材の最外部よりも内側に配置され、袋部材の内部および物品の外部のそれぞれから隔離された部分であり、検知促進機能を有する部分である。
なお、本開示の物品は、カバー部材の最外部よりも内側に配置され、袋部材の内部および物品の外部のそれぞれから隔離された部分であり、検知促進機能を有しない隔離部をさらに有していても良い。本開示におけるスペース部と隔離部との違いは、検知促進機能の有無である。具体的には、スペース部においては、その内部の状態が貫通傷部によって使用者が認識可能な程度に変化する。一方、隔離部においては、その内部の状態が貫通傷部によって使用者が認識可能な程度に変化しない、もしくは状態の変化が使用者に認識されない。
(1)検知促進機能およびスペース部の状態
スペース部は、カバー部材の最外部に生じた貫通傷部がスペース部に到達したとき、使用者に対して、貫通傷部の検知を促す検知促進機能を有する。検知促進機能は、貫通傷部により生じたスペース部の状態の変化を、使用者に対して認識可能とすることにより、貫通傷部の検知を促す機能である。
「使用者に対して認識可能とする」とは、使用者の目視および触感の少なくとも一方により認識できるようにすることをいう。
検知促進機能においては、貫通傷部に起因して、スペース部の状態が変化する。スペース部の状態の変化は、使用者が認識可能であれば特に限定されず、貫通傷部が生じる前のスペース部の状態により適宜決定される。
検知促進機能においては、通常、使用者に対し、変化後のスペース部の状態を認識可能とすることで、貫通傷部の検知を促すが、例えば、使用者に対し、変化の途中にあるスペース部の状態を認識可能とすることで、貫通傷部の検知を促しても良い。
検知促進機能におけるスペース部の状態の変化としては、例えば、スペース部に充填された気体の漏出、減圧状態であるスペース部への気体の流入、スペース部に充填された検知用液の漏出が挙げられる。
なお、本開示におけるスペース部の状態の変化は、通常、少なくとも物理的な変化を伴う。スペース部の状態の変化が物理的な変化であることにより、短時間で使用者に対し貫通傷部を検知させることができる。なお、本開示におけるスペース部の状態の変化は、例えば、化学的な変化であっても良い。化学的な変化の一例としては、スペース部の状態の変化が、検知用液の漏出である場合、検知用液および空気が化学反応することによる検知用液の色の変化が挙げられる。
検知促進機能におけるスペース部の状態の変化は、貫通傷部が生じる前のスペース部の状態により適宜決定される。以下、スペース部の状態が、気体が充填された状態である場合、外部の圧力より減圧された状態である場合、検知用液が充填された状態である場合について説明する。
(i)気体が充填された状態
本開示においては、上記スペース部の状態は、気体が充填された状態であり、上記スペース部の状態の変化が、上記スペース部からの気体の漏出であっても良い。この場合、図3(c)および図3(d)に示すように、貫通傷部Pが生じたとき、使用者はスペース部Sからの気体Gasの漏出を、カバー部材3の萎みとして目視で認識することができる。
また、使用者は物品10を触ることで、カバー部材3の萎み、漏出した気体Gasの圧力を認識することができる。
スペース部に充填された気体の圧力、すなわち、スペース部の圧力としては、貫通傷部によるスペース部からの気体の漏出を、使用者が認識可能な程度であれば特に限定されず、例えば、大気圧以上であることが好ましい。また、スペース部の圧力としては、充填された気体の圧力によりスペース部が破壊されない程度の圧力であれば良い。スペース部の圧力は、スペース部の位置、袋部材およびカバー部材の種類等に応じて適宜選択することができる。
スペース部の圧力としては、例えば、10kPa以上500kPa以下であることが好ましい。スペース部の圧力の測定方法は、例えば、株式会社クローネ製のデジタル圧力計KDM30を用い、穿孔針を刺してスペース部の圧力を測定する方法を挙げることができる。
スペース部の圧力は、例えば、物品の製造時において、気体をスペース部に充填する際の充填圧力と、通常、同等の圧力となる。
スペース部に充填される気体としては、物品における液体を変質等させないものであれば特に限定されず、例えば、空気が挙げられる。また、上記気体としては、例えば、窒素、アルゴン(Ar)等の不活性ガスが挙げられる。スペース部に充填される気体が空気である場合は、物品の製造コストを安価にすることができる。一方、スペース部において袋部材が気体と直に接触する場合において、袋部材に収納された液体が、空気中の酸素等を嫌う性質を有する場合、スペース部に充填される気体は不活性ガスであることが好ましい。
本開示においては、物品を製造する際、スペース部に気体が充填されても良く、予め、気体が充填されたフィルム材料をカバー部材に用いることで、スペース部を配置しても良い。
なお、気体が充填されたスペース部における検知促進機能は、例えば、袋部材の内部に気体を充填した場合においても発現すると推定される。
(ii)外部の圧力より減圧された状態
本開示においては、上記スペース部の状態は、上記物品の外部の圧力よりも減圧された状態であり、上記スペース部の状態の変化が、上記スペース部への気体の流入であっても良い。スペース部へ流入する気体は、物品の使用環境等に応じて適宜決定されるが、通常は空気である。スペース部の状態が、外部の圧力よりも減圧された状態である場合、図4(c)、(d)に示すように、貫通傷部Pが生じたとき、使用者はスペース部Sへの気体の流入を、カバー部材3の膨らみとして目視で認識することができる。また、使用者は物品10を触ることで、カバー部材3の膨らみを認識することができる。
スペース部内の気体の圧力、すなわち、スペース部の圧力は、物品の外部の圧力より低い圧力である。スペース部の圧力は、貫通傷部によるスペース部からの気体の流入を、使用者が認識可能な程度であれば特に限定されず、大気圧よりも低いことが好ましい。
スペース部の圧力は、例えば、標準気圧(0.1013MPa)に対し、-0.1MPa以上-0.01MPa以下であることが好ましい。
また、スペース部の圧力は、例えば、物品の製造時において、スペース部を減圧状態とするときの圧力と、通常、同等の圧力となる。より具体的には、カバー部材をヒートシール法を用いて形成する場合、陰圧雰囲気下にてヒートシールがされる。この場合、得られるスペース部の圧力は、例えば、陰圧雰囲気の気圧と同等の圧力となる。
なお、減圧されたスペース部における検知促進機能は、例えば、袋部材の内部を減圧した場合においても発現すると推定される。
(iii)検知用液が充填された状態
本開示において、上記スペース部の状態は、検知用液が充填された状態であり、上記スペース部の状態の変化が、上記スペース部からの上記検知用液の漏出であっても良い。この場合、図5(c)、(d)に示すように、貫通傷部Pが生じたとき、使用者は、物品10を触ることで、スペース部Sからの検知用液Lの漏出を認識することができる。また、使用者は目視により検知用液Lの漏出を認識することもできる。
スペース部における液体の充填率としては、カバー部材における最外部のどの部分に貫通傷部が生じても、貫通傷部による検知用液の漏出を、使用者に対し認識可能とすることができれば特に限定されない。スペース部における液体の充填率は、例えば、50%以上であっても良い。また、上記液体の充填率は、100%であっても良い。スペース部における液体の充填率を上述した範囲内とすることにより、物品の使用前において、物品の上下を逆さにする等の操作を行うことで、液体がスペース全体に少なくとも一度は触れやすくなり、検知用液の漏出により貫通傷部を検知しやすくすることができる。
液体の充填率は、スペース部の容積に対する、液体の体積の比率の百分率で表される値である。
検知用液に用いられる液体としては、物品における液体を変質等させない液体であれば特に限定されない。検知用液としては、例えば、水であっても良い。また、検知用液は、例えば、塩化鉄(II)等の酸素に触れて変色する物質が含まれていても良い。例えば、塩化鉄(II)等を含む場合、検知用液が空気中の酸素と接触することにより、検知用液が変色するため、使用者に対し、より貫通傷部をより検知しやすくすることができるからである。検知用液が塩化鉄等を含む場合、カバー部材に用いられる基材は、ガスバリア性が高いことが好ましい。また、検知用液は、例えば、界面活性剤等が含まれていても良い。検知用液の表面張力を低下させることによりカバー部材における貫通傷部からの検知用液の漏出を促進することができるからである。
本開示においては、物品を製造する際、スペース部に液体が充填されても良く、予め、液体が充填されたフィルム材料をカバー部材に用いることで、スペース部を配置しても良い。
(2)スペース部の位置
本開示におけるスペース部の位置は、カバー部材の最外部よりも袋部材側に位置していれば特に限定されない。例えば、スペース部は、袋部材およびカバー部材の間に配置されていても良い。また、例えば、カバー部材が少なくとも二つの基材を重ね合わせた多重構造を有する場合、スペース部は、カバー部材の二つの基材の間に配置されていても良い。
以下、それぞれの場合について説明する。
(i)袋部材およびカバー部材の間
スペース部が、袋部材およびカバー部材の間に配置されている場合、スペース部は、袋部材における最もカバー部材側に位置する構成となる。例えば、図1(a)~(c)に示すように、一つのカバー部材3が一つの袋部材2全体を覆うように配置されている場合、スペース部Sは、一つの袋部材2全体と一つのカバー部材3との間に配置される。また、例えば、図6(a)~(c)に示すように、複数のカバー部材3a、3bが一つの袋部材2を部分ごとに覆うように配置されている場合は、スペース部Sは一つの袋部材2と個々のカバー部材3a、3bとの間に配置することができる。例えば、図6(a)~(c)においては、カバー部材3が、袋部材1の注出部材21を覆う第一のカバー部材3aと、胴体部材22を覆う第二のカバー部材3bとを有する場合を示している。
また、例えば、図7(a)~(c)に示すように、一つのカバー部材3が、一つの袋部材2の一部のみを覆うように配置されている場合、スペース部Sは、一つの袋部材2の一部と一つのカバー部材3との間に配置することができる。
なお、図6(a)~(c)、および図7(a)~(c)は本開示の物品を例示する模式図であり、図6(b)および図7(b)は図6(a)および図7(a)に示す物品における液体、袋部材およびカバー部材の配置を説明する説明図であり、図6(c)および図7(c)は図6(b)および図7(b)におけるスペース部を説明する説明図である。
スペース部が、袋部材およびカバー部材の間に配置されている場合、スペース部の大きさとしては、スペース部の状態の変化を、使用者が認識可能な程度であれば、物品の大きさ、用途等に応じて適宜選択することができる。
スペース部の大きさとして、例えば、袋部材においてカバー部材に覆われた部分の体積に対する、カバー部材の体積の比率が、1.1倍以上、2倍以下となるように設けられていることが好ましい。
「袋部材においてカバー部材に覆われた部分」とは、スペース部から見たとき、物品の外部側に位置する、カバー部材の基材に覆われた袋部材の部分をいう。例えば、図1(b)に示す例においては、袋部材2全体が、「袋部材においてカバー部材に覆われた部分」に相当する。また、例えば、図7(b)に示す例においては、袋部材の胴体部の全体が、「袋部材においてカバー部材に覆われた部分」に相当する。
スペース部の大きさは、例えば、袋部材に対する、カバー部材の容積の比率を調整することで、適宜決定することができる。
スペース部の配置が、袋部材およびカバー部材の間である場合、スペース部の内部においては、気体または検知用液と袋部材とが直接接触することから、スペース部の状態としては気体が充填された状態、減圧状態であることが好ましい。物品における液体を使用する際、検知用液を除去する必要がないため、物品が取扱いやすいからである。
(ii)カバー部材の二つの基材の間
スペース部がカバー部材の多重構造における二つの基材の間に配置されている場合、スペース部は二つの基材により囲まれた位置に配置される。この場合、図2(a)~(c)に示すように、袋部材2およびカバー部材3の間には、隔離部Tが配置されていても良く、また、図8に示すように、袋部材2およびカバー部材3の間にもスペース部Sがさらに配置されていても良い。スペース部を重ね合わせて配置する場合、袋部材に近い内側のスペース部には不活性ガスを充填し、物品の外部側である外側のスペース部に液体を充填することで、スペース部に充填する液体が、袋部に充填される液体に何らかの影響を及ぼすリスクを低減することができる。
図2(a)~(c)に示すように、カバー部材3が二つの基材31、32のみを重ね合わせた多重構造を有する場合は、スペース部Sは二つの基材31、32の間に配置される。
一方、図示はしないが、カバー部材が3つ以上の基材を重ね合わせた多重構造である場合、スペース部は、多重構造における少なくとも二つの基材の間に配置されていれば良いが、カバー部材の最外部に位置する基材と隣接する基材との間に配置されていることが好ましい。検知促進機能を発揮しやすいからである。本開示においては、二つの基材の間のみに配置されていても良く、多重構造における複数の基材の重なり方向に複数のスペース部が配置されていても良い。
また、スペース部がカバー部材の二つの基材の間に配置される場合、カバー部材の面方向においては、少なくとも一つのスペース部が配置されていれば特に限定されない。例えば、図2(a)~(c)に示すように、カバー部材3の面方向において、一つのスペース部Sのみが配置されていても良い。また、図9(a)、(b)に示すように、カバー部材3の面方向において、複数のスペース部Sが配置されていても良い。例えば、カバー部材の面方向において複数のスペース部が配置されている場合、各スペース部の状態のばらつき、具体的には充填される気体の偏り、検知用液の偏りを少なくすることができる。
カバー部材の面方向に複数のスペース部が配置されている場合、スペース部の数は、物品の種類、大きさに応じて適宜選択することができ、特に限定されないが、例えば、2個以上であっても良く、4個以上であっても良く、6個以上であっても良い。また、スペース部の数は、例えば、2000個以下であっても良く、1000個以下であっても良く、500個以下であっても良い。
本開示においては、貫通傷部をより検知しやすくする観点からは、スペース部の数は少ないことが好ましい。カバー部材の面方向に複数のスペース部が配置されている場合、カバー部材には、個々のスペース部を分けるため仕切り部が設けられる。仕切り部は、通常、空気、液体等が充填されない非充填部であり、検知促進機能を有しない。そのため、スペース部の数を少なくすることで、カバー部材全体の面積に占める仕切り部(非充填部)の面積を小さくすることができ、検知促進機能を有するスペース部の面積を大きくすることができる。
カバー部材の面方向に複数のスペース部が配置されている場合、スペース部の平面視上の形状としては、例えば、円形状、楕円形状、多角形状等を挙げることができる。また多角形状である場合、三角形状、四角形状、五角形状、六角形状、八角形状等を挙げることができる。
また、スペース部の平面視上の大きさは、物品の種類、大きさに応じて適宜選択することができ、特に限定されないが、例えば、0.5cm以上であっても良く、0.7cm以上であっても良く、1cm以上であっても良い。また、スペース部の平面視上の大きさは、例えば、10cm以下であっても良く、5cm以下であっても良い。
スペース部の平面視上の大きさは、一つのスペース部の平面視上の径の最大値をいい、例えば、図9(a)においてxで示される距離をいう。
袋部材においてカバー部材に覆われた部分の体積に対する、スペース部の物品側に配置されるカバー部材の基材の体積の比率は、上述した「(i)袋部材およびカバー部材の間」の項で説明した数値範囲内であることが好ましい。なお、本開示において、例えば、図8に示すように複数のスペース部が重なって配置されている場合は、最も外部側に配置されるスペース部を構成するカバー部材の基材の体積の比率と、袋部材においてカバー部材に覆われた部分の体積との比率の関係が、上述した「(i)袋部材およびカバー部材の間」の項で説明した数値範囲内であることが好ましい。
(3)その他
本開示におけるスペース部は、使用者に対し、貫通傷部の検知を促す検知促進機能を有していれば良く、例えば、貫通傷部以外の傷部の検知を促す第二の検知促進機能を有していて良く、有していなくても良いが、後者がより好ましい。なお、貫通傷部以外の傷部の一例としては、擦り傷、凹みが挙げられる。
2.カバー部材
カバー部材は、袋部材の少なくとも一部を覆うように配置される部材である。また、カバー部材は物品において上述したスペース部を配置するために用いられる部材である。
(1)カバー部材の配置
本開示におけるカバー部材の配置は、袋部材の少なくとも一部を覆うことができれば特に限定されず、例えば、袋部材全体を覆うようにカバー部が配置されても良く、袋部材の一部のみを覆うようにカバー部材が配置されていても良い。
カバー部材が袋部材の全体を覆うように配置される場合、例えば、1つのカバー部材が袋部材の全体を覆うように配置されていても良い。1つのカバー部材が袋部材全体を覆うように配置されていることで、未開封の物品(液体収納袋および液体)におけるカバー部材の貫通傷部を検知することができる。そのため、未開封時の物品における液体の信頼性の低下を検知することができる。具体的には、図1(a)、(b)および図2(a)、(b)に示すように1つのカバー部材3が袋部材2の全体を覆うように配置されていることで、未開封時の物品におけるカバー部材の最外部の貫通傷部を検知することができる。
カバー部材が袋部材の全体を覆うように配置される場合、複数のカバー部材を用いて袋部材を部分ごとに覆うように配置されていても良い。一例として、袋部材が注出口および胴体部を有する場合は、注出口を覆う第一のカバー部材と、胴体部を覆う第二のカバー部材とを有していても良い。未開封の物品(液体収納袋および液体)におけるカバー部材の貫通傷部を検知することができ、また、未開封時の物品における液体の信頼性の低下を検知することができる。一方、上記物品を開封した場合、注出口を覆う第一のカバー部材だけを除去して用いることができる。すなわち、物品の開封後においても、胴体部を覆う第二のカバー部材については袋部材に配置した状態で、物品中の液体を使用することができる。そのため、仮に液体の使用中になんらかの理由により第二のカバー部材に貫通傷部が生じたとき、貫通傷部を検知して液体の使用を中止することができる。具体的には、図6(a)~(c)に示すように、カバー部材3が、袋部材1の注出部材21を覆う第一のカバー部材3aと、胴体部材22を覆う第二のカバー部材3bとを有する場合、物品10の開封前においては第一のカバー部材3aおよび第二のカバー部材3bにより、貫通傷部の検知を行うことができる。また、物品を開封するタイミングで、第一のカバー部材3aを除去し、第二のカバー部材3bだけを袋部材2に配置した状態とすることができる。物品の開封後においては、第二のカバー部材3bに生じた貫通傷部を検知することができ、液体の使用を中止することができる。
一方、カバー部材が袋部材の一部のみを覆う場合、袋部材の形状に応じてカバー部材を任意の位置に配置することができる。例えば、袋部材が注出口および胴体部を有する場合、胴体部の全てを覆うようにカバー部材が配置されていることが好ましい。
カバー部材が胴体部を覆うように配置されている場合は、物品としたとき、未開封時においてカバー部材に生じた貫通傷部を検知することができる。また、液体の使用中に、カバー部材に貫通傷部が生じたとき、貫通傷部を検知して液体の使用を中止することができる。具体的に図7(a)~(c)に示すように、カバー部材3が袋部材2の胴体部材22を覆うように配置されている場合は、未開封時および液体の使用中において、カバー部材3に貫通傷部が生じたとき、貫通傷部を検知して、物品自体の使用の中止、または液体の使用の中止をすることができる。
また、カバー部材が胴体部を覆うように配置されている場合は、コストを安くすることができる。
カバー部材は、袋部材の少なくとも一部と接合されて配置されていても良く、袋部材とは分離されて配置されていても良い。カバー部材が袋部材の少なくとも一部と接合されて配置されている場合、例えば、袋部材およびカバー部材が、多重袋を構成していても良い。
なお、上述したように、カバー部材が袋部材の全体を覆うように配置され、両者が分離している場合、袋部材を一次袋、カバー部材を二次袋と捉えることもできる。
(2)カバー部材の構成
本開示におけるカバー部材は、通常、少なくとも一つの基材を有する。カバー部材は、一つの基材のみを有していても良く、複数の基材を重ね合わせた多重構造を有していても良い。複数の基材を重ね合わせた多重構造である場合、基材の数は特に限定されないが、二つ以上四つ以下であることが好ましく、二つであることがより好ましい。
カバー部材に用いられる基材としては、樹脂のフィルム材料であることが好ましい。樹脂のフィルム材料としては、一般的な液体収納袋に使用されるフィルム材料、シート材料として公知の材料を用いることができる。なお、本開示において「フィルム」と、「シート」とは同義とする。
また、カバー部材に用いられる樹脂のフィルム材料としては、スペース部の状態に応じて適宜選択することが好ましい。例えば、スペース部の状態が気体が充填された状態である場合、または減圧された状態である場合には、ガスバリア性の高いフィルムであることが好ましく、例えば、ポリエチレンおよびナイロンの積層フィルム、エチレン-ビニルアルコール共重合体を含むフィルム等を挙げることができる。
また、カバー部材に用いられる基材の他の例としては、例えば、ゴム等の収縮する材料であっても良い。スペース部の状態が気体または検知用液が充填された状態である場合に、気体または検知用液を外部へ押し出しやすいため、スペース部の状態の変化を認識しやすいからである。
また、カバー部材が少なくとも二つの基材を重ね合わせた多重構造を有する場合、例えば、エアーキャップ状のフィルム材料を用いても良い。
カバー部材に用いられる基材の厚さは、貫通傷部を生じる厚さであれば特に限定されないが、10μm以上150μm以下であることが好ましく、20μm以上90μm以下であることがより好ましい。微細な貫通傷部に対しても検知促進機能を良好に発揮することができるからである。
カバー部材の形態は、袋部材の少なくとも一部を覆うように配置されていれば特に限定されず、例えば、袋部材全体を覆う袋状であっても良く、袋部材の一部を覆う袋状であっても良い。カバー部材が袋部材全体を覆う袋状である場合、カバー部材の袋形状としては、一般的な袋の形状を採用することができる。カバー部材が袋状である場合、例えば、カバー部材の基材同士を接着させることにより、袋状にすることが好ましい。基材同士を接着させる方法としては、例えば、接着層を介して基材同士を接着させても良く、基材同士を熱溶着等により直接接触させて接着させても良い。
一方、カバー部材が袋部材の一部を覆う袋状である場合、カバー部材は袋部材における胴体部を覆う袋状であることが好ましい。また、この場合、カバー部材と袋部材との一部が接合されていることが好ましい。
また、カバー部材を袋状の形態で形成する場合は、例えばインフレーション成形法を好適に用いることができる。基材同士を接着させる部分を少なくすることができ、検知促進機能を発揮することが可能な部分の面積を広くすることができるからである。
3.袋部材
袋部材は、液体を収納する部材である。袋部材は、液体を収納することができればその形態について特に限定されない。通常、袋部材の内外へ液体を出し入れする注出口と、液体を保持する胴体部とを有する。注出口および胴体部は1つの部材で構成されていても良く、複数の部材で構成されていても良い。袋部材が複数の部材で構成されている場合、典型的には、注出口を有する注出部材と、胴体部を有する胴体部材とを有する構成を挙げることができる。注出部材としては、典型的には樹脂の射出成形体を用いることができる。
また、胴体部材としては、典型的にはフィルム材料を用いることができる。
袋部材に用いられる材料、形態等については、液体収納袋の用途等に応じて適宜選択される。公知の液体収納袋に用いられる材料、形態と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
袋部材が、注出部材を有する場合、注出口を塞ぐための蓋部材をさらに有していても良い。蓋部材としては、一般的なキャップを挙げることができる。また、袋部材が注出部材を有する場合、注出口を密封する密封部材をさらに有していても良い。密封部材としては、例えば、タンパーフィルムを挙げることができる。
4.液体
本開示における液体は、袋部材に収納される内容物である。液体の例は、上述した「液体」の定義の項で説明したため、ここでの説明は省略する。本開示における液体は、薬液、輸液であることがより好ましい。薬液、輸液はその信頼性が極めて高い必要がある。また、薬液、輸液を有する物品は、異物混入等のリスクを回避するため、使用者が短時間で容易に貫通傷部の検知を行うことが要望される。
本開示の物品は、使用者が貫通傷部を容易に検知することができるため、信頼性の低下した薬液を使用するリスクを減らすことができる。
5.その他
本開示の物品は、袋部材の内容物として、上述した液体以外に、更に固形物を有していても良い。
本開示の物品は、述した「液体」の定義、説明の項目で例示した液体を有する物品に用いることができるが、中でも、医療用途であることが好ましい。
本開示の物品の製造方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。図10(a)、(b)および図11(a)、(b)は本開示の物品の製造方法を例示する工程図である。
図10(a)、図11(a)に示すように、袋部材2、開口部3Aを有する袋状のカバー部材3を準備する。次に、袋部材に液体を収納する。次に、カバー部材3の開口部3Aから、気体を充填する処理、減圧する処理、または検知用液を充填する処理等のスペース部の状態を調整する処理をする。次に、カバー部材3の基材同士を熱溶着により直接接着させることで、開口部3Aを閉じることにより、図10(b)、図11(b)に示す物品10を製造することができる。なお、図11(a)、(b)に示すように、カバー部材3が袋部材2の注出部材21を覆わず、胴体部材22のみを覆うように配置されている場合は、液体を充填する前に、スペース部の状態を調整する処理を行っても良い。
B.液体収納袋
本開示の液体収納袋は、上述した「A.物品」に記載の物品に用いられる液体収納袋であって、上記袋部材と、上記カバー部材とを有し、上記カバー部材の最外部よりも上記袋部材側に上記スペース部が配置されている。
図12(a)、(b)は本開示の液体収納袋の例を示す模式図であり、図12(b)は、図12(a)における袋部材およびカバー部材の配置を説明する説明図である。図12(a)、(b)に示すように、本開示の液体収納袋20は、袋部材2と、カバー部材3とを有する。また、液体収納袋20においては、カバー部材3の最外部よりも袋部材2側にスペース部Sが配置されている。図12(a)、(b)に示す液体収納袋20は、例えば、図7(a)、(b)に示す物品10に用いることができる。
本開示によれば、検知促進機能を有するスペース部が配置されているため、貫通傷部が生じたときに、貫通傷部を容易に検知することが可能な液体収納袋とすることができる。
本開示の液体収納袋においては、カバー部は袋部材の注出口を覆わないように配置される。スペース部が袋部材およびカバー部材の間に配置されている場合、スペース部は、通常、袋部材の一部とカバー部材との間に配置される。また、スペース部がカバー部材の多重構造における二つの基材の間に配置されている場合、スペース部は、袋部材の注出口を覆わない位置であれば、適宜選択して配置することができる。
袋部材、カバー部材、およびスペース部の詳細については、上述した「A.物品」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本開示の液体収納袋は、上述した「A.物品」に用いることができるが、特に薬液、輸液を有する物品に用いられることが好ましい。すなわち、本開示の液体収納袋は輸液バッグであることが好ましい。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示し、本開示をさらに詳細に説明する。
[比較例]
袋部材として、厚さ250μmのポリプロピレンフィルム製であり、サイズが13cm×20cmである袋を準備した。上記袋部材に水を充填させて封止して、サンプルを得た。なお、厚さ250μmのポリプロピレンフィルムは、一般的な輸液バッグの材料として用いられるフィルムである。
[評価1]
上記サンプルに対し、外部から針を刺して貫通傷部を生じさせ、下記の確認方法1~3により、貫通傷部の検知の可否を評価した。針として、33G(外径0.2mm)の針および18G(外径1.2mm)の針を用いた場合をそれぞれ評価した。なお、後述する実施例の評価2~6においても、針としては33Gの針、および18Gの針を用いた場合をそれぞれ評価した。
確認方法1として、サンプルを机の上に置いた状態で目視により、5分以内に水の漏出が観察された場合を○、5分経過後も水の漏出が観察されなかった場合は×として評価した。また、確認方法2として、サンプルを手で持った際、水の漏出が確認された場合を○、水の漏出が確認されなかった場合を×として評価した。確認方法3として、サンプルに対し手で圧をかけた際、水の漏出が確認された場合を○、水の漏出が確認されなかった場合を×として評価した。結果を表1に示す。
Figure 0007207513000001
比較例の結果から、18Gの針を用いた貫通傷部に対しては、目視による確認方法1での検知が難しいことが確認された。また、33Gの針を用いた貫通傷部に対しては、目視による確認方法1および手触りによる確認方法2での検知が難しいことが確認された。
[実施例1-1~実施例1-4]
スペース部に気体が充填された状態の物品を作製し、気体の漏出による検知促進機能を評価した。
[実施例1-1]
比較例のサンプルと同様にして、厚さ250μmのポリプロピレンフィルム製であり、サイズ13cm×20cmの袋部材を準備し、水を充填させて封止した。次に、厚みが20μmであるポリエチレンフィルムの三方をヒートシールして袋状のカバー部材を作製した。カバー部材のサイズは、18cm×30cmであった。水が充填された袋部材を、上記袋状のカバー部材に入れ、スペース部の圧力が30kPa(0.03MPa)になるように空気を充填し、四方目をヒートシールした。以上の手順により、物品を得た。
[実施例1-2~実施例1-4]
カバー部材として、厚みが40μm、90μm、200μmであるポリエチレンフィルムをそれぞれ用いたこと以外は、実施例1-1と同様の方法により物品を得た。
[評価2]
実施例1-1~実施例1-4で得られた物品のカバー部材に対し、外部側から針を刺し、空気が抜けたことによる貫通傷部の検知の可否を評価した。確認方法4として、物品を机の上に置いた状態で目視により、5分以内にカバー部材の萎みが観察された場合を○、5分経過後も袋のカバー部材の萎みが観察されなかった場合を×として評価した。結果を表1に示す。
また、確認方法5として、物品を手で持った際、空気の漏出が確認された場合を○、空気の漏出が確認されなかった場合を×として評価した。結果を表2に示す。
Figure 0007207513000002
実施例1-1~実施例1-4の結果から、18Gの針を用いた貫通傷部に対しては、確認方法4および確認方法5のいずれの確認方法によっても、気体の漏出による検知を容易に行うことができることが確認された。比較例では、目視による検知が難しかったのに対し、実施例1-1~実施例1-4では、目視による検知が可能となることが確認された。
また、33Gの針を用いた貫通傷部に対しては、カバー部材の厚さが20μm、40μm、90μmである実施例1-1~実施例1-3は、確認方法4および確認方法5のいずれの確認方法によっても、気体の漏出による検知を容易に行うことができることが確認された。比較例では、目視および手触りによる検知が難しかったのに対し、実施例1-1~実施例1-3では、目視および手触りによる検知が可能となることが確認された。一方、実施例1-4においては、確認方法4および確認方法5のいずれの確認方法によっても、気体の漏出による検知を行うことが難しいことが確認された。その理由としては、カバー部材の厚さが200μmと厚く、気体の漏出が十分に進まなかったためであると推測される。
[実施例2-1~実施例2-4]
カバー部材が複数のスペース部を有し、各スペース部に気体が充填された状態の物品、すなわち、エアーキャップ状のカバー部材を有する物品を作製し、気体の漏出による検知促進機能を評価した。
[実施例2-1]
厚みが20μmであるポリエチレンフィルムの袋に、容積の8割程度まで空気を充填させて、サイズ17cm×24cmの袋を2個作製した。作製した2個の袋の長辺同士を貼り合せてスペース部が2個であるエアーキャップ状のカバー部材を作製した。2個のエアーキャップ状のカバー部材を間に、水が充填された袋部材を挿入し、物品を得た。なお、袋部材のサイズは13cm×20cmであった。
[実施例2-2~実施例2-4]
カバー部材として、厚みが40μm、90μm、200μmであるポリエチレンフィルムをそれぞれ用いたこと以外は、実施例2-1と同様の方法により物品を得た。
[評価3]
実施例2-1~実施例2-4で得られた物品のカバー部材に対し、外部側から針を刺し、空気が抜けたことによる貫通傷部の検知の可否を、上述した確認方法4および確認方法5で評価した。結果を表3に示す。
Figure 0007207513000003
実施例2-1~実施例2-4の結果から、18Gの針を用いた貫通傷部に対しては、確認方法4および確認方法5のいずれの確認方法によっても、気体の漏出による検知を容易に行うことができることが確認された。比較例では、目視による検知が難しかったのに対し、実施例2-1~2-4では、目視による検知が可能となることが確認された。
また、33G(φ0.2mm)の針を用いた貫通傷部に対しては、カバー部材の厚さが20μm、40μm、90μmである実施例2-1~実施例2-3は、確認方法4および確認方法5のいずれの確認方法によっても、気体の漏出による検知を容易に行うことができることが確認された。比較例では、目視および手触りによる検知が困難であったのに対し、実施例2-1~実施例2-3では、目視および手触りによる検知が可能となることが確認された。一方、実施例2-4においては、確認方法4および確認方法5のいずれの確認方法によっても、気体の漏出による検知を行うことが難しいことが確認された。その理由としては、カバー部材の厚さが200μmと厚く、気体の漏出が十分に進まなかったためであると推測される。
[実施例3-1~実施例3-3]
スペース部に検知用液が充填された状態の物品を作製し、検知用液の漏出による検知促進機能を評価した。
[実施例3-1]
比較例のサンプルと同様にして、厚さ250μmのポリプロピレンフィルム製であり、サイズ13cm×20cmの袋部材を準備し、水を充填させて封止した。次に、厚みが20μmであるポリエチレンフィルムの三方をヒートシールして袋状のカバー部材を作製した。カバー部材のサイズは、18cm×30cmであった。水が充填された袋部材を、上記袋状のカバー部材に入れ、スペース部の容積の約8割程度まで検知用液を充填した後、四方目をヒートシールして物品を得た。検知用液として、水に界面活性剤を加えたものを用いた。
[実施例3-2~実施例3-3]
カバー部材として、厚みが40μm、90μmであるポリエチレンフィルムをそれぞれ用いたこと以外は、実施例3-1と同様の方法により物品を得た。
[評価4]
実施例3-1~実施例3-3で得られた物品のカバー部材に対し、外部側から針を刺し、検知用液が漏出したことによる貫通傷部の検知の可否を評価した。確認方法6として、物品を机の上に置いた状態で目視により、5分以内に検知用液の漏出が観察された場合を○、5分経過後も検知用液の漏出が観察されなかった場合を×として評価した。また、確認方法7として、物品を手で持った際、検知用液の漏出が確認された場合を○、検知用液の漏出が確認されなかった場合を×として評価した。また、確認方法8として、物品に対し手で圧をかけた際、検知用液の漏出が確認された場合を○、検知用液の漏出が確認されなかった場合を×として評価した。結果を表4に示す。
Figure 0007207513000004
実施例3-1~実施例3-3の結果から、18Gの針を用いた貫通傷部に対しては、確認方法6~8のいずれの確認方法によっても、検知用液の漏出による検知を容易に行うことができることが確認された。比較例では、18Gの針を用いた貫通傷部に対しては、目視による検知が難しかったのに対し、実施例3-1~実施例3-3では、目視による検知が可能となることが確認された。
また、33Gの針を用いた貫通傷部に対しては、確認方法6による検知は難しかったものの、確認方法7および確認方法8のいずれの確認方法によっても、検知用液の漏出による検知を容易に行うことができることが確認された。比較例では、33Gの針を用いた貫通傷部に対しては、手触りによる検知が困難であったのに対し、実施例3-1~実施例3-3では、手触りによる検知が可能となることが確認された。
[実施例4-1~実施例4-6]
カバー部材が複数のスペース部を有し、各スペース部に検知用液が充填された状態の物品を作製し、検知用液の漏出による検知促進機能を評価した。
[実施例4-1]
厚みが20μmであるポリエチレンフィルムの袋に、容積の8割程度まで検知用液として水を充填させた、サイズ17cm×24cmの袋を2個作製した。作製した2個の袋の長辺同士を貼り合せてスペース部が2個であるエアーキャップ状のカバー部材を作製した。2個のエアーキャップ状のカバー部材を間に、水が充填された袋部材を挿入し、物品を得た。なお、液収納袋のサイズは13cm×20cmであった。
[実施例4-2~実施例4-3]
カバー部材として、厚みが40μm、90μmであるポリエチレンフィルムをそれぞれ用いたこと以外は、実施例4-1と同様の方法により物品を得た。
[実施例4-4~実施例4-6]
検知用液として水の代わりに、水に界面活性剤を加えたものを用いた点以外は、実施例4-1~実施例4-3と同様の方法により物品を得た。
[評価5]
実施例4-1~実施例4-6で得られた物品のカバー部材に対し、外部側から針を刺し、検知用液が漏出したことによる貫通傷部の検知の可否を、上述した確認方法6~確認方法8で評価した。結果を表5に示す。
Figure 0007207513000005
実施例4-1~実施例4-3の結果から、18Gの針を用いた貫通傷部に対しては、確認方法6~8のいずれの確認方法によっても、検知用液の漏出による検知を容易に行うことができることが確認された。また、33Gの針を用いた貫通傷部に対しては、確認方法6による検知は難しかったものの、確認方法7および確認方法8のいずれの確認方法によっても、検知用液の漏出による検知を容易に行うことができることが確認された。
また、実施例4-4~実施例4-6の結果から、18Gおよび33Gのいずれの針を用いた貫通傷部に対して、確認方法6~確認方法8のいずれの確認方法によっても、検知用液の漏出による検知を容易に行うことができることが確認された。
実施例3-1~実施例3-3および実施例4-4~実施例4-6の結果から、複数のスペース部に検知用液を充填させることで、貫通傷部の検知がより容易に行えることが示唆された。
[実施例5-1~実施例5-4]
スペース部の圧力が外部の圧力よりも減圧された状態の物品を作製し、気体の流入による検知促進機能を評価した。
[実施例5-1]
サイズ13cm×20cmの袋部材を準備し、空気が入らないように水を充填させた。
次に、厚みが20μmであるポリエチレンフィルムの三方をヒートシールして袋状のカバー部材を作製した。カバー部材のサイズは、18cm×30cmであった。水が充填された袋部材を、上記袋状のカバー部材に入れ、-0.1MPaの雰囲気下で四方目をシールした。以上の手順により、物品を得た。
[実施例5-2~実施例5-4]
カバー部材として、厚みが40μm、90μm、200μmであるポリエチレンフィルムをそれぞれ用いたこと以外は、実施例5-1と同様の方法により物品を得た。
[評価6]
実施例5-1~実施例5-4で得られた物品のカバー部材に対し、外部側から針を刺し、空気の流入による貫通傷部の検知の可否を評価した。確認方法9として、物品を机の上に置いた状態で目視により、5分以内にカバー部材の膨らみが観察された場合を○、5分経過後も上記カバー部材の膨らみが観察されなかった場合を×として評価した。結果を表6に示す。
Figure 0007207513000006
実施例5-1~実施例5-3の結果から、33Gの針、および18Gの針を用いた貫通傷部に対しては、空気の流入による検知を容易に行うことができることが確認された。比較例では、33Gおよび18Gの針を用いた貫通傷部に対しては、目視による検知が難しかったのに対し、実施例5-1~実施例5-3では、目視による検知が可能となることが確認された。なお、実施例5-4の結果では、18Gの針を用いた貫通傷部に対しては、空気の流入による検知を容易に行うことができることが確認されたものの、33Gの針を用いた貫通傷部に対しては、空気の流入による検知が難しいことが確認された。その理由は、カバー部材の厚さが200μmと厚く、スペース部への気体の流入が十分に進まなかったためであると推測される。
1 … 液体
2 … 袋部材
3 … カバー部材
10 … 物品
20 … 液体収納袋
S … スペース部

Claims (5)

  1. 液体と、前記液体を収納するための袋部材と、前記袋部材の少なくとも一部を覆うように配置されたカバー部材とを有する物品であって、
    前記カバー部材の最外部よりも前記袋部材側には、前記袋部材の内部および前記物品の外部のそれぞれから隔離されたスペース部が配置されており、
    前記スペース部は、前記カバー部材の最外部に生じた貫通傷部が前記スペース部に到達したとき、使用者に対して、前記貫通傷部の検知を促す検知促進機能を有し、
    前記検知促進機能は、前記貫通傷部により生じた前記スペース部の状態の変化を、使用者に対して認識可能とすることにより、前記貫通傷部の検知を促す機能であり、
    前記カバー部材は、少なくとも二つの基材を重ね合わせた多重構造を有し、
    前記スペース部は、前記二つの基材の間に配置され、前記カバー部材の面方向に複数個配置されており、
    前記複数個のスペース部は、両面が前記スペース部に接する仕切り部により仕切られている、物品。
  2. 前記スペース部には、不活性ガスが充填されている、請求項1に記載の物品。
  3. 前記スペース部の数は、2個以上1000個以下である、請求項1または請求項2に記載の物品。
  4. 前記スペース部の大きさは、0.5cm以上10cm以下である、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の物品。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の物品に用いられる液体収納袋であって、
    前記袋部材と、前記カバー部材とを有し、前記カバー部材の最外部よりも前記袋部材側に前記スペース部が配置されている、液体収納袋。
JP2021201532A 2017-08-02 2021-12-13 物品および液体収納袋 Active JP7207513B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021201532A JP7207513B2 (ja) 2017-08-02 2021-12-13 物品および液体収納袋

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017149993A JP2019026367A (ja) 2017-08-02 2017-08-02 物品および液体収納袋
JP2021201532A JP7207513B2 (ja) 2017-08-02 2021-12-13 物品および液体収納袋

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017149993A Division JP2019026367A (ja) 2017-08-02 2017-08-02 物品および液体収納袋

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2022043151A JP2022043151A (ja) 2022-03-15
JP7207513B2 true JP7207513B2 (ja) 2023-01-18

Family

ID=87884805

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021201532A Active JP7207513B2 (ja) 2017-08-02 2021-12-13 物品および液体収納袋

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7207513B2 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002104534A (ja) 2000-10-02 2002-04-10 Fujimori Kogyo Co Ltd 無菌充填用包装材料及びその無菌状態の確認方法
JP2003220118A (ja) 2002-01-29 2003-08-05 Shimizu Pharmaceutical Co Ltd 薬液バッグ保存用二次包装袋
JP2008029672A (ja) 2006-07-31 2008-02-14 Fuji Seal International Inc 薬液充填バッグ包装体
JP2010215280A (ja) 2009-03-18 2010-09-30 Toppan Printing Co Ltd 防錆包装袋
JP2016016897A (ja) 2014-07-10 2016-02-01 凸版印刷株式会社 包装袋

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002104534A (ja) 2000-10-02 2002-04-10 Fujimori Kogyo Co Ltd 無菌充填用包装材料及びその無菌状態の確認方法
JP2003220118A (ja) 2002-01-29 2003-08-05 Shimizu Pharmaceutical Co Ltd 薬液バッグ保存用二次包装袋
JP2008029672A (ja) 2006-07-31 2008-02-14 Fuji Seal International Inc 薬液充填バッグ包装体
JP2010215280A (ja) 2009-03-18 2010-09-30 Toppan Printing Co Ltd 防錆包装袋
JP2016016897A (ja) 2014-07-10 2016-02-01 凸版印刷株式会社 包装袋

Also Published As

Publication number Publication date
JP2022043151A (ja) 2022-03-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101247728B1 (ko) 의학용 혼합 용액의 조제를 위한 유연한 다-챔버 컨테이너
JP5299640B2 (ja) 複室容器
EP2192048B1 (en) Zipper pouch with a spout
US10457460B2 (en) Packaging bag
WO2010026964A2 (ja) 注出口部材、およびそれを用いた包装袋
JP2001087350A (ja) 複室輸液容器およびその製造方法
JP4816126B2 (ja) 注出具付き包装袋
JP4962885B2 (ja) 包装容器
JP5101205B2 (ja) 医療用容器包装袋、および薬剤未混注の医療用容器包装体
JP4656302B2 (ja) 複室容器
JP7207513B2 (ja) 物品および液体収納袋
JP2010143621A (ja) 包装袋
JP4449964B2 (ja) 分岐した小室を設けたスタンディングパウチ
JP2019026367A (ja) 物品および液体収納袋
JP4686297B2 (ja) 複数の収納部と複数の注出具を有する包装用袋
JP5160472B2 (ja) 包装袋
JP2792635B2 (ja) 医療用容器
US9821947B2 (en) Receptacle and method for storing and supplying a liquid and a liquid medical preparation
JP6943054B2 (ja) 液体収納袋および物品
JP2006087670A (ja) 輸液バック用外装袋
JP3903522B2 (ja) 複数室分離容器
JPH072284A (ja) 液体収納袋
CN108785079A (zh) 内置内封式无接口输液袋
JP7017772B2 (ja) シール材及び容器
JP5363788B2 (ja) 複室容器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220719

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220920

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221206

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20221219

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7207513

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150