以下に図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。
[ステープル取り外し装置1Aの外観構成例]
図1Aはステープル取り外し装置1Aの前方斜視図、図1Bはステープル取り外し装置1Aの後方斜視図である。また、図2Aはステープル取り外し装置1Aの内部の右前左後方斜視図、図2Bはステープル取り外し装置1Aの内部の左前右後方斜視図である。
ステープル取り外し装置1Aは、ステープルにより綴られた用紙束からステープルを自動で除去する(取り外す)ための装置であり、略直方体状をなす筐体100と、用紙束が載置される載置台102と、載置台102の下方(載置台102に対して筐体100の内部側)に位置し、載置台102に載置された用紙束からステープルを除去する除去部120と、除去部120を駆動する第1モータ152と、除去部120により除去されたステープルを収容する収容部200とを備える。
載置台102の上方(載置台102に対して用紙束が載置される側)には、載置台102の一部を覆うカバー部104が設けられている。カバー部104と載置台102との間には所定の隙間が形成されており、この隙間に用紙束が挿入される。カバー部104の上面には、ステープル取り外し装置1Aを動作させる起動スイッチ106が設けられる。なお、本実施の形態において、収容部200が設けられる側をステープル取り外し装置1Aの後前とし、その反対側をステープル取り外し装置1Aの前側とする。
筐体100は、上方が開口した略直方体状の箱体であり、内部に除去部120、第1モータ152、収容部200などが設けられる。
載置台102は、筐体100上方の開口部を覆うようにして設けられており、用紙束を載置するための載置面102aを有する。載置面102aには、除去部120の一部が突出可能なように開口部102bが形成されている。
除去部120は、先端部122sから基端部122kにかけて所定の長さを有する。除去部120は、用紙束とステープル(のクラウン部Sa)との間に挿入可能な先端部120sを含み、用紙束からステープルを除去する第1部である楔板本体122aと、ラック130,131で受けた第1モータ152の駆動力で駆動する第2部である楔板基部122fと、第1部と第2部との間に位置する第3部であるくびれ部122cとを有する。
楔板本体122aは、細長の板状部材で構成されており、少なくともその先端部122sは、用紙束とステープルとの間に挿入しやすく、かつ用紙束からステープルを引き抜きやすくするために楔状に形成されている。本実施の形態では、楔板本体122aは、基端部122kから先端部122sに向かって先細り形状となっている。具体的には、側面視において、基端部122kから先端部122sに向かって板厚が徐々に薄くなるように構成され、上面視においても先端部122sに向かって板幅が徐々に狭くなるように構成されている。
楔板基部122fは、くびれ部122cを介して楔板本体122aを支持するとともに、第1モータ152からの動力を、ラック130,131で受けてそれを楔板本体122aに伝達する役割を有する。楔板基部122fは、図4等に示すように、断面略U字状をなす平板により構成されたブレードホルダ124と、ブレードホルダ124の側面に取り付けられた一対のラック130,131とを備える。ブレードホルダ124の上面には楔板本体122a、楔板基部122fから延びた取付部122bが取り付けられる。ラック130,131は、ブレードホルダ124の長手方向と略同一の長さを有する板状の部材であり、下面には後述するピニオン158に噛み合う複数の歯(ラック)が形成され、第1モータ152の駆動力を受ける。
載置台102とカバー部104との間には、用紙束をカバー部104内にセットするための用紙束挿入口108が設けられている。起動スイッチ106は、ユーザーが操作し易いようにカバー部104の上面に設けられ、ステープル取り外し装置1Aを動作させるボタンで構成される。収容部200は、上方が開口された箱体であって、筐体100の後端面に形成された開口部100aに対して挿抜可能に構成されている。収容部200は、筐体100における中央部よりも後方下部の空間部に配置される。
ここで、便宜上、後述する図17Aを参照して用紙束Pを綴じた状態のステープルSについて説明する。ステープルSは、クラウン部Saと、クラウン部Saの長手方向の両端部を折り曲げて形成される一対の脚部Sb,Sbとを有している。用紙束Pは、ステープルSの一対の脚部Sb,Sbを積層された複数枚の用紙の最下層の用紙から最上層の用紙に向けて貫通させ、貫通した脚部Sb,Sbを内側に折り曲げることで綴じ処理される。ステープルSの綴じ位置は、例えば用紙の角部や縁部である。本実施の形態では、このような用紙束PからステープルSを除去する。
[ステープル取り外し装置1Aの内部構成例]
次に、ステープル取り外し装置1Aの内部構成について説明する。図2Aは除去部120が待機位置にある場合のステープル取り外し装置1Aの内部の右前方斜視図、図2Bは除去部120が待機位置にある場合のステープル取り外し装置1Aの内部の左前方斜視図、図2Cは除去部120が待機位置にある場合のステープル取り外し装置1Aの内部の平面図、図2Dはステープル取り外し装置1Aの内部の第1駆動部150等の平面図、図2Eは除去部120が待機位置にある場合のステープル取り外し装置1Aの内部の側面図である。図3は、除去部120が待機位置にある場合のステープル取り外し装置1Aの内部の側面断面図である。図4は、ステープル抜き機構110の分解斜視図である。図5Aは除去部120の平面図、図5Bは除去部120の側面図、図5Cは除去部120のA-A線に沿った断面図である。図6は、紙押さえ機構160の分解斜視図である。
ステープル取り外し装置1Aは、用紙束PからステープルSを除去するステープル抜き機構110と、載置台102上に載置された用紙束Pを押さえ付ける紙押さえ機構160と、上述した収容部200とを備えている。
[ステープル抜き機構110の構成例]
ステープル抜き機構110は、図3等に示すように、載置台102の載置面102aの下方の筐体100の内部に配置され、用紙束Pとステープルとの間に挿入されることで用紙束PからステープルSを除去する除去部120と、押さえ部140と、除去部120を駆動する第1駆動部150とを有している。
除去部120は、図5、図9等に示すように、ステープルSのクラウン部Saと用紙束Pとの間に挿入される楔板122と、楔板122をクラウン部Saと用紙束Pの間に移動させるラック130,131を備える。
本実施例では、除去部120の構成の一例として、楔板122が取り付けられるブレードホルダ124と、ステープルSのクラウン部Saを支持するクラウンホルダ126と、楔板122の位置を規制するホルダ128とを備える。
楔板122は、図4及び図5A~図5C等に示すように、細長の板状部材で構成され、楔板本体122aと取付部122bとくびれ部122cとを含む。先端部122sが待機位置L1と除去位置L2との間を載置台102の平面に沿って移動可能に構成され、先端部122sが除去位置L2に移動するとき、先端部122sが用紙束Pとステープルとの間に挿入される。
本実施の形態において、除去部120の待機位置L1とは、除去部120が除去動作を開始する前に停止している位置を意味する。除去部120の除去位置L2とは、除去部120が除去動作を開始し、除去部120がステープルSのクラウン部Saと用紙束Pとの間に挿入され、ステープルSが用紙束Pから除去される位置を意味している。
取付部122bは、楔板本体122aの基端部122kの側に一体形成され、ブレードホルダ124の上面に取り付けられている。くびれ部122cは、楔板122の長手方向の略中央部であって、楔板本体122aと取付部122bとの間に形成されている。図5Aに示すように、くびれ部122cの少なくとも一部の幅寸法D1は、楔板本体122aの基端部122kの幅寸法D2よりも狭く、かつ、ステープルSが楔板122から離れる際に、ステープルSの脚部Sb,Sbが内側に折れ曲がっていた状態に戻ろうとするスプリングバックによるステープルSの脚部Sb,Sb間の幅寸法D3(図17E参照)よりも狭くなるように構成される。
ブレードホルダ124は、図4等に示すように、断面略U字状をなす平板により構成され、上面に取付部122bが取り付けられ、クラウンホルダ126の上方に重ねて配置される。
クラウンホルダ126は、図4等に示すように、ブレードホルダ124を挟んで楔板122の下方に配置され、用紙束Pから除去されるステープルSのクラウン部Saを支持する。クラウンホルダ126は、その先端側が第1駆動軸136を支点として楔板122の先端部122sに対して近づく方向及び離れる方向に移動可能(開閉可能)に構成されている。クラウンホルダ126は、楔板122が前方から後方に移動する際に押さえ部140との接触を防止するための溝部126aと、用紙束Pから除去されたステープルSを収容部200に落下させるための開口部126bとを含む。クラウンホルダ126の開口部126bとブレードホルダ124に取り付けられる楔板122のくびれ部122cとが平面視で同一位置となるように、配置される。溝部126aは、クラウンホルダ126の先端部から略中央部に亘って切り欠かれ、押さえ部140の幅よりも若干広い幅を有する。開口部126bは、クラウンホルダ126の長手方向の略中央部であってかつ溝部126aの基端側に連続して形成され、少なくともステープルSのクラウン部Saの長さよりも広い幅を有する。
規制部127a,127bは、図4及び図5Cに示すように、クラウンホルダ126の基端側上面であって幅方向の両端部のそれぞれに一体に形成され、その上面からブレードホルダ124側に向かって突出している。規制部127a,127bは、クラウンホルダ126の先端側が楔板122に対して予め設定された開き量(以下、設定値という)まで開いたときにブレードホルダ124の下面124aに当接し、クラウンホルダ126の先端側が設定値以上開かないように規制する。なお、規制部127a,127bは、クラウンホルダ126とは別部材で構成することもできる。また、規制部127a,127bの形状は例えば上端が湾曲した矩形状であるが、クラウンホルダ126に当接可能であればこの形状に限定されることはない。
クラウンホルダ126の基端部上面126cとブレードホルダ124の基端側下面124aとの間には、楔板122の先端部122sとクラウンホルダ126の先端側とを相対的に近づく方向に付勢するバネ125が配置されている。本実施形態において、バネ125の荷重は、使用するステープルSのうち、線径の小さいステープルSに合わせて設定される。これは、バネ125の荷重が大きい場合、ステープルSがクラウンホルダ126と楔板122とにより強い荷重で挟まれた状態となり、楔板122の前方から後方に移動と共に引きずられ、これにより、用紙の破れ、ステープル貫通孔が拡大等してしまう場合があるからである。なお、線径の大きなステープルSを除去する場合、クラウンホルダ126による押さえの荷重が不足することも考えられるが、規制部127a,127bによりクラウンホルダ126の開き量を線径の大きなステープルSに合わせることで最適な押さえの荷重を得ることができる。
ホルダ128は、断面略U字状をなす平板により構成され、ブレードホルダ124の上面に重ねて配置される。ホルダ128は、楔板122を露出させる開口部128aと、少なくとも除去部120が待機位置L1で停止しているときに押さえ部140が載置台102よりも下方に位置するように規制する支持部128bとを含む。
ブレードホルダ124の左側には、図2B及び図4に示すように、ブレードホルダ124の長手方向と略同一の長さを有する板状のラック130が配置されている。ラック130は、第1モータ152の駆動力を受ける。ラック130の下面には、後述するピニオン158に噛み合う複数の歯が形成されている。
ブレードホルダ124の右側には、図2A及び図4に示すように、ブレードホルダ124の長手方向と略同一の長さを有する板状のラック131が配置されている。ラック131は、第1モータ152の駆動力を受ける。ラック131の下面には、後述するピニオン159に噛み合う複数の歯が形成されている。
ラック130の左側には、図4に示すように、除去部120の位置を検出するセンサ134が設けられ、除去部120の前後方向の位置を検出するためのフラグ取付板132が設けられている。フラグ取付板132の後端部には、楔板122の待機位置L1から除去位置L2への移動を検知するための第1フラグ132aが設けられている。フラグ取付板132の前端部には、楔板122の除去位置L2への到達を検知するための第2フラグ132bが設けられている。センサ134は、透過型センサで構成され、前後方向に移動するラック130の第1フラグ132a及び第2フラグ132bを検知する。センサ134により検知された検知信号は、図示しない制御部に供給され、制御部は、センサ134から供給された検知信号に基づいて第1モータ152及び第2モータ192の動作を制御する。
第1駆動軸136は、除去部120の先端側と基端側との間の略中間に位置し、左フレーム112のガイド溝113及び右フレーム114のガイド溝115のそれぞれに係合される。第1駆動軸136は、筐体100の左側から右側に向かって、フラグ取付板132、ラック130、ブレードホルダ124、クラウンホルダ126、ラック131のそれぞれに形成された開口部に挿入される。バネ125及び規制部127a,127bは、第1駆動軸136よりもクラウンホルダ126の基端側に配置されている。
第2駆動軸138は、除去部120の基端部に位置し、左フレーム112のガイド溝113及び右フレーム114のガイド溝115のそれぞれに係合される。第2駆動軸138は、筐体100の左側から右側に向かって、フラグ取付板132、ラック130、ブレードホルダ124、ラック131のそれぞれに形成された開口部に挿入される。
このように、第1駆動軸136及び第2駆動軸138によって、楔板122、ブレードホルダ124、クラウンホルダ126、ホルダ128、ラック130,131及びフラグ取付板132が組み付けられることで除去部120が構成され、除去部120として一体的に前方及び後方に移動できるようになっている。
用紙束P及びステープルSの挿入方向への移動を規制する押さえ部140は、図3及び図4に示すように、除去位置L2にあるクラウン部Saの後方側に配置され、楔板122によって押し込まれるクラウン部Saに当接可能に構成される。押さえ部140の幅は、例えば、楔板122の押し込み力で前方から後方に移動するクラウン部Saを支持可能で、かつクラウンホルダ126の溝部126aに挿入可能な長さに選定される。
押さえ部140を支持する押さえホルダ142は、上面視で略U字状に加工された平板で構成され、押さえホルダ142の後端側が軸146によって回動可能に支持されている。押さえホルダ142の軸146よりもさらに後方には、引張りばね144の一端部が取り付けられている。引張りばね144の他端部は、左フレーム112に取り付けられている。押さえホルダ142の後側上端部には、ホルダ128の支持部128bに当接可能な凸部142aが設けられている。
第1駆動部150は、図2A、図2D及び図4に示すように、第1モータ152と、第1モータ152の出力軸152aに接続されるギア153a等と、筐体100の幅方向に、ラック130、131と噛み合う所定の間隔を空けて配置される第1ピニオン部である、軸156の両端に夫々設けられた一対のピニオン158,159とを有している。なお、複数のギア153a,153b,154a,154b,155は、減速機構を構成している。
第1モータ152は、出力軸152aとモータ本体152bを有し、例えばDCモータやDCブラシレスモータ等から構成される。第1モータ152は、図示しない制御部からの指示に基づいて駆動することで、減速機構を介して第1モータ152の駆動力を除去部120に伝達し、除去部120を前方又は後方に移動させる。第1モータ152は、図2C、図2D及び図3等に示すように、除去部120の楔板本体122a(第1部)の先端部122sが待機位置L1にある場合における除去部120、本実施の形態では第2部の下方に配置されている。なお、除去部120の下方とは、出力軸152aを含めた第1モータ152の少なくとも一部が除去部120の直下に位置していることを意味する。
第1モータ152は、出力軸152aが、図2D及び図3等に示すように、載置台102の載置面102aと平行又は略平行となるように配置される。
また、楔板122の前方から後方への移動方向(筐体100の長手方向)に直交するように配置されている。
本実施の形態において、出力軸152aが載置台102の載置面102aと平行であるとは、完全に平行である場合を意味する。また、略平行とは完全な平行から若干外れた範囲も含むことを意味する。
図2A、図2C、図2D及び図2Eに示すように、ギア153a,153bは、2段駆動ギアであり、ギア153aの径はギア153bの径よりも大きく構成される。ギア153aは、第1モータ152の出力軸152aに接続されている。ギア153bは、ギア154aに噛み合っている。ギア154a,154bは、2段駆動ギアであり、ギア154aの径はギア154bの径よりも大きく構成される。ギア154aはギア153bに噛み合い、ギア154bはギア155に噛み合っている。ギア155の中心には筐体100の幅方向に延びる軸156の右端部が取り付けられている。軸156のギア155側の右端側にはラック131に噛み合うピニオン159が取り付けられ、その反対側の左端側にはラック130に噛み合うピニオン158が取り付けられている。
[紙押さえ機構160の構成例]
載置台102に載置された用紙束Pを押さえる紙押さえ機構160は、図2A及び図6等に示すように、少なくとも一部が、載置台102の上方に位置し、移動可能に構成された紙押さえ部170と、紙押さえ部170を駆動する第2モータ192とを備えている。
紙押さえ部170は、紙押さえ部を構成する部品が取り付けられるホールドレバー172と、筐体100の幅方向に所定の間隔を空けて進行方向に延びる一対の紙押さえラック174,175と、載置台102に載置された用紙束Pを押さえる紙押さえ板176とを有している。
ホールドレバー172は、図2A、図2E及び図6等に示すように、筐体100の後方側に配置され、幅方向に所定の間隔を空けて配置された一対の平板172a,172bを有している。平板172a,172bの下部側は筐体100の内部に配置され、その上部側は載置台102から露出するように配置され、カバー部104で覆われている。平板172aの外面には、外側に突出するボス178が取り付けられている。ボス178には、引張りばねで構成されるリターンバネ180の一端部が取り付けられ、リターンバネ180の他端部は左フレーム112に取り付けられている。同様に、平板172bの外面には図示しないボスが取り付けられ、このボスにはリターンバネ181の一端部が取り付けられ、リターンバネ181の他端部が右フレーム114に取り付けられている。
紙押さえラック174は、ホールドレバー172の平板172aの下方前端部に設けられる。紙押さえラック174は、略扇状からなり、紙押さえピニオン198に噛み合っている。紙押さえラック175は、ホールドレバー172の平板172bの下方前端部に設けられる。紙押さえラック175は、略扇状からなり、第2駆動部190の紙押さえピニオン199に噛み合っている。紙押さえラック174,175は、紙押さえピニオン198,199の回転動作を略直線状の動作に変換する。
紙押さえ板176は、ステープルSの除去動作中に用紙束Pが載置台102の除去位置L2からズレないようにするために、載置面102aの方向に向けて移動することで、載置台102上に載置される用紙束Pを押圧可能に構成されている。紙押さえ板176は、載置台102に対して平行または略平行となるように平板172a,172bに取り付けられている。具体的には、紙押さえ板176の左側面が軸186により支持され、紙押さえ板176の右側面が軸187により支持される。
第2駆動部190は、図2B、図2C、図2D及び図6に示すように、第2モータ192と、第2モータ192の出力軸192aに接続されるギア193a等と、筐体100の幅方向に、紙押さえラック174,175と噛み合うように所定の間隔を空けて配置される第2ピニオン部である、軸196の両端に夫々設けられた、一対の紙押さえピニオン198,199とを有している。なお、複数のギア193a,193b,194a,194b,195は、減速機構を構成している。第2モータ192は、除去部120が待機位置L1に位置する際の下方に配置される。
第2モータ192は、出力軸192aとモータ本体192bを有し、例えばDCモータやDCブラシレスモータ等から構成される。第2モータ192は、図示しない制御部からの指示に基づいて駆動することで、減速機構を介して第2モータ192の駆動力を紙押さえ部170に伝達し、紙押さえ部170を動作させる。第2モータ192は、図2C、図2D及び図3等に示すように、第1モータ152よりも後方であって、かつ、除去部120の楔板122の先端部122sが待機位置L1にある場合における除去部120、本実施の形態では第2部の下方に配置されている。なお、除去部120の下方とは、出力軸192aを含めた第2モータ192の少なくとも一部が除去部120の直下に位置していることを意味する。
第2モータ192の出力軸192aは、図2D及び図3等に示すように、載置台102の載置面102aと平行又は略平行となるように配置される。
また、楔板122の前方から後方への移動方向(筐体100の長手方向)に直交するように配置されている。
また、第2モータ192の出力軸192aは、第1モータ152の出力軸152aとは反対方向を向くように配置されている。具体的には、第1モータ152の出力軸152aは右方向を向くように配置され、第2モータ192の出力軸192aはその反対側の左方向を向くように配置される。反対方向とは、出力軸152aと192aとが、180度反対方向を向いている場合に加え、180度反対方向から若干外れた範囲を向いている場合を含むことを意味する。
本実施の形態において、出力軸192aが載置台102の載置面102aと平行であるとは、完全に平行である場合を意味する。また、略平行とは完全な平行から若干外れた範囲である場合を意味する。
図2B、図2C、図2D、図2E及び図6に示すように、ギア193a,193bは、2段駆動ギアであり、ギア193aの径はギア193bの径よりも大きく構成される。ギア193aは、第2モータ192の出力軸192aに接続されている。ギア193bは、ギア194aに噛み合っている。ギア194a,194bは、2段駆動ギアであり、ギア194aの径はギア194bの径よりも大きく構成される。ギア194aはギア193bに噛み合い、ギア194bはギア195に噛み合っている。ギア195の中心には筐体100の幅方向に延びる軸196の左端部が取り付けられている。軸196のギア195側の左端側には紙押さえラック174に噛み合う紙押さえピニオン198が取り付けられ、その反対側の右端側には紙押さえラック175に噛み合う紙押さえピニオン199が取り付けられている。
[収容部200の構成例]
収容部200は、図2A、図2B及び図3等に示すように、用紙束Pから落下するステープルSを収容可能とするために、除去部120を構成する楔板122の先端部122sが除去位置L2にある場合の除去部120の下方に位置する。また、収容部200は、紙押さえ機構160を構成するホールドレバー172の平板172a,172b間であって、ステープル抜き機構110を構成する押さえホルダ142の下方の空いた空間部に配置される。
[左フレーム112等の構成例]
図7は、左フレーム112、右フレーム114、前フレーム116及び後フレーム117を含むステープル取り外し装置1Aの内部構成を示す図である。図8は、図7に示すステープル取り外し装置1Aの分解斜視図である。
ステープル抜き機構110及び紙押さえ機構160の外周部には、これらを囲むように左フレーム112、右フレーム114、前フレーム116及び後フレーム117が立設されている。
左フレーム112は、ステープル抜き機構110の左側に立設される。左フレーム112の上部には、除去部120の前方又は後方に移動方向(筐体100の長手方向)に沿って延びるガイド溝113が形成されている。ガイド溝113は、待機位置L1で待機している除去部120の楔板122の先端部122sを載置台102よりも下方に位置させるための第1溝113aと、除去部120の楔板122の先端部122sを除去位置L2の手前から除去位置L2を通過するまで載置台102から突出させた状態で移動させるための第2溝113bとを含む。なお、除去位置L2の手前とは、待機位置L1と除去位置L2との間の位置を含む。
第1溝113aは、除去部120の先端部122sが少なくとも待機位置L1にあるとき第2駆動軸138が第1駆動軸136よりも載置台102に近い位置となる形状で形成される。第1溝113aは、除去部120の移動区間の始端から所定の距離だけ載置台102の載置面102aに沿うように平行に延びる。第2溝113bは、段差部113cを介して第1溝113aよりも若干低い位置に形成されている。第2溝113bは、段差部113cから楔板122の移動区間の終端までの間、載置台102の載置面102aに沿うように平行に延びる。ガイド溝113には、除去部120の第1駆動軸136及び第2駆動軸138の左端部が挿通される。これにより、除去部120は、ガイド溝113に沿って移動可能となり、載置台102に沿って前方から及び後方に移動できるようになっている。
右フレーム114は、ステープル抜き機構110の右側に立設される。右フレーム114の上部には除去部120の前方又は後方に移動方向(筐体100の長手方向)に沿って延びるガイド溝115が形成されている。ガイド溝115は、待機位置L1で待機している除去部120の楔板122の先端部122sを載置台102よりも下方に位置させるための第1溝115aと、除去部120の楔板122の先端部122sを除去位置L2の手前から除去位置L2を通過するまで載置台102から突出させた状態で移動させるための第2溝115bとを含む。
第2溝115bは、除去部120の先端部122sが少なくとも待機位置L1にあるとき第2駆動軸138が第1駆動軸136よりも載置台102に近い位置となる形状で形成される。第2溝115bは、除去部120の移動区間の始端から所定の距離だけ載置台102の載置面102aに沿うように平行に延びる。第2溝115bは、段差部115cを介して第1溝115aよりも若干低い位置に形成されている。第2溝115bは、段差部115cから楔板122の移動区間の終端までの間、載置台102の載置面102aに沿うように平行に延びる。ガイド溝115には、除去部120の第1駆動軸136及び第2駆動軸138の右端部が挿通される。これにより、除去部120は、ガイド溝115に沿って移動可能となり、載置台102に沿って前方及び後方に移動できるようになっている。
前フレーム116は、ステープル抜き機構110の前方側に立設され、後フレーム117は、紙押さえ機構160の後方側に立設されている。
[ステープル抜き機構110の動作例]
次に、用紙束PからステープルSを除去する場合における、ステープル抜き機構110の動作の一例について説明する。
図9Aは待機位置L1にいるステープル抜き機構110の動作を示す斜視図、図9Bは除去位置L2に移動するステープル抜き機構110の動作を示す斜視図である。図10Aは待機位置L1にいるステープル抜き機構110の動作を示す要部側面図、図10Bは除去位置L2に移動するステープル抜き機構110の動作を示す要部側面図である。図11Aは待機位置L1にいるステープル抜き機構110の動作を示す側面図、図11Bは図11Aのステープル抜き機構110の動作を示す要部側面図である。図12Aは除去位置L2に移動するステープル抜き機構110の動作を示す側面図、図12Bは図12Aのステープル抜き機構110の動作を示す要部側面図である。なお、図11及び図12では、便宜上、左フレーム112側についてのみ説明するが、その反対側の右フレーム114側も左フレーム112側と同様の動作を採用できるものとする。
ステープル取り外し装置1Aが待機状態である場合、図9A、図10A及び図11Aに示すように、楔板122は、筐体100の待機位置L1で停止している。このとき、第2駆動軸138は左フレーム112のガイド溝113の第1溝113aに位置し、第1駆動軸136は左フレーム112のガイド溝113の第2溝113bに位置している。そのため、楔板122の取付部122b側が持ち上がった状態となり、楔板122の先端部122sを含む楔板本体122a側が取付部122b側よりも低い位置となる。これにより、図11Bに示すように、除去部120の先端部122sが待機位置L1にいる場合、楔板122の先端部122sを含む楔板本体122aが載置台102の載置面102aよりも下方に位置する。これにより、用紙束Pを載置台102上に載置する際に、楔板122が用紙束Pに当たって載置台から離れてしまう不具合が生じてしまうことを防止できる。
ステープル取り外し装置1Aの起動スイッチ106が操作されると、図9B及び図10Bに示すように、第1モータ152が駆動され、第1モータ152の駆動力は、複数のギア153a,153b,154a,154b,155を介してピニオン158,159に伝達される。これに伴い、ピニオン158,159が図10Bにおいて時計回りに回転し、ピニオン158,159に噛み合っているラック130,131が載置台102に沿って前方から後方に移動することで楔板122が前方から後方に移動する。
このとき、第2駆動軸138は、図12Aに示すように、左フレーム112のガイド溝113の第1溝113aから第2溝113bに移動する。第2駆動軸138は、第1駆動軸136とは載置台102の載置面102aに対して平行でかつ同一高さとなる。そのため、楔板122の取付部122b側の位置が下がることで、楔板122の楔板本体122a側が第1駆動軸136を支点として持ち上がる。ここで、楔板本体122aの上面は、取付部122bの上面よりも若干突出した構造となっているので、図12Bに示すように、楔板122の先端部122sは載置台102の載置面102aよりも上方に位置する。本実施の形態では、楔板122は、除去位置L2の手前から除去位置L2を通過するまでの間、載置台102の開口部102bを介して載置台102の載置面102aから突出した状態を維持しつつ移動する。これにより、楔板本体122aの先端部122sが用紙束Pとクラウン部Saとの間に確実に押し込まれる。
[紙押さえ機構160の動作例]
次に、用紙束PからステープルSを除去する場合における、紙押さえ機構160の動作の一例について説明する。
図13Aは待機位置にいる紙押さえ機構160の動作を示す斜視図、図13Bは押圧位置に移動する紙押さえ機構160の動作を示す斜視図である。図14Aは待機位置にいる紙押さえ機構160の動作を示す要部側面図、図14Bは押圧位置に移動する紙押さえ機構160の動作を示す要部側面図である。
図13A及び図14Aに示すように、ステープル取り外し装置1Aが待機位置である場合、紙押さえ板176は、載置台102の載置面102aから一定間隔を空けた位置で停止している。一定間隔とは、載置台102上に載置される用紙束Pの最上層の用紙に、紙押さえ板176の下面が接触しない間隔である。
ステープル取り外し装置1Aの起動スイッチがオンされると、第2モータ192が駆動される。第2モータ192の駆動力は、ギア193a,193b,194a,194b,195を介して紙押さえピニオン198,199に伝達される。これに伴い、図13B及び図14Bに示すように、紙押さえピニオン198,199が時計回りに回転し、紙押さえピニオン198,199に噛み合っている紙押さえラック174,175が略下方に移動する。紙押さえラック174,175が略下方に移動すると、ホールドレバー172は、リターンバネ180の弾性力に抗してホールドレバー軸182を支点として反時計回りに回転し、紙押さえ板176が載置台102に近づく方向に移動(下降)する。これにより、載置台102上に載置される用紙束Pが紙押さえ板176により一定の押圧力にて押圧される。
用紙束PからのステープルSの除去動作が終了すると、第2モータ192が逆回転で駆動される。これにより、紙押さえ板176は、用紙束Pから離れる方向に移動(上昇)し、図14A等に示した待機位置に戻る。
[ステープル取り外し装置1Aの動作例]
次に、用紙束PからステープルSを引き抜く場合におけるステープル取り外し装置1Aの動作等について説明する。なお、ステープル抜き機構110及び紙押さえ機構160の動作については、図9A及び図13A等と同様であるため、詳細な説明は省略する。
図15A~図15Gは、用紙束PからステープルSを引き抜く場合におけるステープル取り外し装置1Aの動作の一例を示す側面図である。図16A~図16Eは、用紙束PからステープルSを引き抜く場合における楔板122の動作の一例を示す要部拡大図である。図17A~図17Eは、用紙束PからステープルSを引き抜く場合における楔板122及びステープルSの状態を示す図である。なお、図15A等の説明では、便宜上ステープル取り外し装置1Aの右側の動作についてのみ説明するが、その反対の左側についても右側と同様の動作を採用することができるものとする。
図15Aに示すように、用紙束PからステープルSを除去する場合には、まず、ステープルSにより綴じられた用紙束Pが載置台102上に載置される。ユーザーは、載置台102上に設けられた除去位置L2を示す目印に用紙束Pを位置合わせして、ステープルSのクラウン部Sa側を載台に向けて載置する。図17Aに示すように、用紙束PはステープルSにより綴じられている。ステープルSの脚部Sb,Sbは、用紙束Pを用紙の厚み方向に貫通して内側に折り曲げられ、用紙面に食い込んでいる。
次に、ユーザーによりステープル取り外し装置1Aの起動スイッチ106が押されると、第2モータ192駆動が開始される。これにより、図15Bに示すように、紙押さえ板176が載置台102に近づく方向に移動(下降)し、用紙束Pが紙押さえ板176により一定の押圧力で押圧される。
続けて、第2モータ192の駆動開始から所定時間経過後、第1モータ152が駆動される。これにより、ピニオン159が時計回りに回転することで、ラック131及び楔板122を含む除去部120が前方から後方に移動する。除去部120の前方から後方に移動開始時においては、待機位置L1と同様に、図16Aに示すように、楔板本体122aの先端部122sが載置台102の載置面102aよりも下方に位置している。
除去部120の先端側が除去位置L2の手前に前方から後方に移動すると、除去部120の第2駆動軸138がガイド溝115の第2溝115bに移動するため、図16Bに示すように、楔板122の先端部122sが載置台102の開口部102bを介して載置面102aから突出する。楔板122は、その上面が用紙束Pの最下層の用紙の裏面に接触し、用紙束Pを押圧した状態で前方から後方に移動する。
楔板122の先端側が除去位置L2まで移動すると、図15C及び図16Cに示すように、クラウン部Saと用紙束Pとの間に押し込まれる。このとき、図17Bに示すように、ステープルSの脚部Sb,Sbが、用紙束Pの用紙面に食い込んだ状態から、用紙束Pの用紙面に略平行な状態となる。この状態で楔板122がさらに前方から後方に移動していくと、図16Dに示すように、押さえホルダ142の凸部142aがホルダ128の支持部128bから外れる。これにより、押さえ部140が引張りばね144の付勢により上昇し、楔板122の押し込み力で前方から後方に移動する用紙束Pのクラウン部Saに当接して、ステープルSの前方への移動を規制する。
楔板122の先端側が除去位置L2を通過すると、図15D及び図16Eに示すように、除去位置での用紙束Pとクラウン部Saとの間に押し込まれる楔板122の側面視での厚みが厚くなる。押さえ部140は、引張りばね144の伸長により、楔板122及びクラウン部Saに当接した状態で楔板122の厚さ方向に追従して下がる。これにより、図17Cに示すように、クラウン部Saが楔板122によって用紙束Pから離れる方向に押され、内側に折れ曲がっていたステープルSの脚部Sb,Sbが用紙束Pの用紙面に対して略直交するように延びる。図15Eに示すように、除去位置L2での楔板122の側面視での厚みがさらに厚くなると、図17Dに示すように、ステープルSの脚部Sb,Sbが用紙束Pから引き抜かれる。しかし、ステープルSのスプリングバックにより脚部Sb,Sbが楔板122の側面に引っかかった状態となるため、この段階ではステープルSは落下しない。
図15Fに示すように、楔板122が移動範囲の終端位置まで前方から後方に移動すると、楔板122のくびれ部122cが除去位置L2に位置する。これにより、図17Eに示すように、楔板122のくびれ部122cの幅寸法D1がスプリングバックするステープルSの脚部Sb,Sb間の幅寸法D3よりも狭くなっているため、ステープルSの脚部Sb,Sbが楔板122の側面から離れ、ステープルSが収容部200内に落下する。
図15Gに示すように、用紙束PからステープルSの除去が完了すると、第1モータ152が逆回転で駆動される。これに伴い、ピニオン159が反時計回りに逆回転し、ラック131及び楔板122を含む除去部120が載置台102に沿って後方から前方に移動し、除去部120が除去位置L2から待機位置L1に戻る。また、第1モータ152の逆回転時から所定時間経過後、第2モータ192が逆回転で駆動される。これに伴い、紙押さえピニオン199が反時計回りに回転し、紙押さえラック175が略上方に移動することで、ホールドレバー172を介して紙押さえ板176が載置台102から離れる方向に移動して待機位置に戻る。
[ステープルSの線径に応じた除去部120の動作例]
まず、線径の小さい(細い)ステープルSを使用する場合について説明する。図18A~図18Cは、線径の小さい(細い)ステープルSにより綴じられた用紙束PからそのステープルSを除去する場合の除去部120の動作例を示す概略図である。なお、図18A等では、楔板122とブレードホルダ124とを便宜上一体的に図示している。
図18Aに示すように、楔板122が除去位置L2に到達する前では、クラウンホルダ126の先端側はバネ125の付勢により楔板122の下面に当接しており、楔板122の先端部122sとクラウンホルダ126の先端側とは閉じた状態である。
除去部120が前方から後方に移動して除去位置L2に到達すると、図18Bに示すように、楔板122とクラウンホルダ126との間にステープルSのクラウン部Saが挿入される。このとき、クラウンホルダ126の先端側は、バネ125の弾性力に抗して楔板122から離れる方向に押され、楔板122の先端部122sに対して開き量W1だけ開く。
続けて、除去部120がさらに前方から後方に移動すると、図18Cに示すように、用紙束Pとクラウン部Saとの間の楔板122の厚みが徐々に厚くなり、ステープルSの脚部Sbが用紙束Pの用紙面から離れることで立った状態となる。このとき、バネ125の荷重は線径が小さいステープルSに合わせて設定されるので、ステープルSが楔板122とクラウンホルダ126とに挟まれた状態でスライド可能であり、楔板122と共に前方から後方に移動することはない。
次に、線径の大きいステープルSを使用する場合について説明する。図19A~図19Cは、線径の大きい(太い)ステープルSにより綴じられた用紙束PからステープルSを除去する場合の除去部120の動作例を示す概略図である。なお、図19A等では、楔板122とブレードホルダ124とを便宜上一体的に図示している。
図19Aに示すように、クラウンホルダ126の先端側はバネ125の付勢により楔板122の下面に当接しており、楔板122の先端部122sとクラウンホルダ126の先端側とは閉じた状態である。
除去部120が前方から後方に移動して除去位置L2に到達すると、図19Bに示すように、楔板122とクラウンホルダ126との間にステープルSのクラウン部Saが挿入される。このとき、クラウンホルダ126の先端側は、バネ125の弾性力に抗して楔板122から離れる方向に押され、楔板122の先端部122sに対して開き量W2だけ開く。開き量W2は、予め設定された上記設定値に相当し、例えば線径の大きいステープルSが挿入されたときにクラウンホルダ126が開き過ぎずに最適な荷重で保持可能な開き量である。
本実施形態では、クラウンホルダ126が設定値である開き量W2だけ開くと、規制部127a,127bがブレードホルダ124の下面124aに当接し、クラウンホルダ126の先端側が開き量W2以上、開かないように規制される。
続けて、除去部120がさらに前方から後方に移動すると、図19Cに示すように、用紙束Pとクラウン部Saとの間の楔板122の厚みが徐々に厚くなり、ステープルSの脚部Sbが用紙束Pの用紙面から離れることで立った状態となる。このとき、規制部127a,127bがブレードホルダ124の下面124aに当接した状態が維持されているので、クラウンホルダ126の先端側が開き量W2以上に開くことはなく、クラウンホルダ126によりステープルSを押さえることが可能となる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、バネ125の荷重を線径の小さいステープルSに合わせて設定し、規制部127a,127bを用いてクラウンホルダ126が設定値以上に開かないように構成している。これらにより、例えば、線径の大きいステープルSを使用した場合でも、規制部127a,127bによりクラウンホルダ126が設定値以上に開いてしまうことを防止でき、クラウンホルダ126による一定の荷重でクラウン部Saを押さえることができる。これにより、除去動作時にステープルSの一方の脚部Sbが用紙束Pから先に抜けてしまうことを防止でき、除去不良を防止できる。また、線径の小さいステープルSを使用した場合でも、線径の小さいステープルSに合わせて設定されたバネ125によりクラウンホルダ126による最適な荷重でクラウン部Saを押さえることができる。これにより、クラウン部Saが楔板122等の前方から後方に移動により引きずられて用紙が破れる等の除去不良を防止できる。したがって、本実施形態によれば、線径の大きいステープルS及び線径の小さいステープルS等の様々な種類のステープルSを使用した場合でも、ステープルSを用紙束Pから確実に除去することができる。また、ステープルSの種類に応じて除去動作を変更したり、除去機構を変更する必要がないため、除去動作の効率化、装置の低コスト化を図ることができる。
<他の実施形態1>
他の実施形態1では、クラウンホルダ226の構成等が上記実施形態のクラウンホルダ126の構成等とは相違している。なお、他の実施形態1のステープル取り外し装置1Bのその他の構成及び動作等については、上記実施形態と共通するため、詳細な説明は省略する。
[クラウンホルダ226等を含む除去部120の構成例]
図20A~図20Cは、他の実施形態1に係るステープル取り外し装置1Bのクラウンホルダ226を含む除去部120の概略図である。なお、図20A等では、楔板122とブレードホルダ124とを便宜上一体的に図示している。また、以下では、線径の大きいステープルSを使用し、開き量W2が使用するステープルSの線径に設定されているものとする。
ステープル取り外し装置1Bを構成する除去部120は、楔板122と、ブレードホルダ124と、クラウンホルダ226と、クラウンホルダストッパ230とを備えている。
クラウンホルダ226は、例えば板バネで構成され、楔板122とクラウンホルダ226との間に挿入されるクラウン部Saを保持する。クラウンホルダ226の基端部は、クラウンホルダストッパ230の略中央部に取り付けられている。クラウンホルダ226の先端側は、楔板122側に付勢され、楔板122の下面に押し当てられている。本実施形態において、クラウンホルダ226の荷重は、使用するステープルSのうち、線径の小さいステープルSに合わせて設定される。
クラウンホルダストッパ230は、クラウンホルダ226の下方に配置され、クラウンホルダ226が楔板122に対して設定値以上に開かないようにクラウンホルダ226の開き量を規制する。クラウンホルダ226の先端側は対向する楔板122の下面とは一定の間隔を空けて配置される。一定の間隔とは、クラウンホルダ226の厚みとクラウン部Saの線径とを加算して得られる間隔である。クラウンホルダストッパ230の基端側は、ブレードホルダ124の下面に当接している。
[クラウンホルダ226等を含む除去部120の動作例]
次に、他の実施形態1に係るステープル取り外し装置1Bのクラウンホルダ226を含む除去部120の動作例について図20A~図20Cを参照して説明する。
図20Aに示すように、除去部120の楔板122が除去位置L2に到達する前は、クラウンホルダ226の先端側が楔板122の下面に押し当てられている。
図20Bに示すように、楔板122が前方から後方に移動して除去位置L2に到達すると、楔板122の先端部122sが用紙束PとステープルSのクラウン部Saとの間に挿入される。このとき、クラウンホルダ226は、その弾性力に抗して楔板122の下面から離れる方向に移動し、クラウン部Saの線径に応じた開き量W2だけ開く。他の実施形態1では、クラウンホルダストッパ230の基端側がブレードホルダ124の下面に当接して規制されるので、クラウンホルダ226の先端側が開き量W2以上開くことはない。
図20Cに示すように、楔板122がさらに前方から後方に移動しても、クラウンホルダ226の開き量がクラウンホルダストッパ230によって規制されているので、開き量W2だけ開いた状態が維持される。
以上説明したように、他の実施形態1によっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、他の実施形態1によれば、線径の大きいステープルS及び線径の小さいステープルS等の様々な種類のステープルSを使用する場合でも、ステープルSを用紙束Pから確実に除去することができる。
<他の実施形態2>
他の実施形態2では、クラウンホルダ326の構成等が上記実施形態のクラウンホルダ126の構成等とは相違している。なお、他の実施形態1のステープル取り外し装置1Cのその他の構成及び動作等については、上記実施形態と共通するため、詳細な説明は省略する。
[クラウンホルダ326等を含む除去部120の構成例]
図21A~図21Cは、他の実施形態2に係るステープル取り外し装置1Cのクラウンホルダ326を含む除去部120の概略図である。なお、以下では、例えば線径の大きいステープルSを使用し、開き量W2が使用するステープルSの線径に対応して設定されているものとする。
ステープル取り外し装置1Cを構成する除去部120は、楔板122と、楔板ホルダ300と、クラウンホルダ326とを備えている。
楔板ホルダ300は、後方側が開口された箱体であって、楔板122の基端側及びクラウンホルダ326の基端側のそれぞれを収容する。
クラウンホルダ326の第1駆動軸136の近傍の部位と楔板ホルダ300の内側の底面との間には、圧縮バネ302が配置されている。圧縮バネ302の荷重は、使用されるステープルSのうち線径の小さいステープルSに合わせて設定される。
クラウンホルダ326は、圧縮バネ302により楔板122側に付勢され、楔板122の下面に押し当てられている。クラウンホルダ326の長手方向の略中間位置には、第1駆動軸136が挿通される軸開口部326aが形成されている。軸開口部326aは、上下方向に長軸を有する長孔で構成される。これにより、クラウンホルダ326は、第1駆動軸136に対して軸開口部326aに沿って上下方向に移動可能となっている。クラウンホルダ326の基端部には支点軸304が挿通され、支点軸304の両端部のそれぞれが楔板ホルダ300の内側の左右側面に支持されている。
次に、ステープル取り外し装置1Cを構成する除去部120のクラウンホルダ326の動作について図21A~図21Cを参照して説明する。
図21Aに示すように、除去部120の楔板122が除去位置L2に到達するまでは、クラウンホルダ226の先端側が楔板122の下面に押し当てられている。
図21Bに示すように、楔板122が前方から後方に移動して除去位置L2を通過すると、楔板122の先端部122sが用紙束PとステープルSのクラウン部Saとの間に挿入される。このとき、クラウンホルダ326は、圧縮バネ302の弾性力に抗して楔板122の下面から離れる方向に移動する。他の実施形態2では、クラウンホルダ326が開き量W2だけ開いたときにクラウンホルダ326の軸開口部326aの上端開口縁が第1駆動軸136に当接し、クラウンホルダ326の下方への移動が規制される。これにより、クラウンホルダ326が、楔板122に対して開き量W2以上、開くことはない。
図21Cに示すように、楔板122がさらに前方から後方に移動しても、クラウンホルダ326の開き量が軸開口部326a及び第1駆動軸136によって規制されているので、開き量W2だけ開いた状態が維持される。
以上説明したように、他の実施形態2によっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、他の実施形態2によれば、線径の大きいステープルS又は線径の小さいステープルS等の様々な種類のステープルSを使用する場合でも、ステープルSを用紙束Pから確実に除去することができる。
<他の実施形態3>
他の実施形態3では、楔板122の構成等が上記実施形態の楔板122の構成等とは相違している。なお、他の実施形態1のステープル取り外し装置1Dのその他の構成及び動作等については、上記実施形態と共通するため、詳細な説明は省略する。
[除去部120の構成例]
図22は、他の実施形態3に係るステープル取り外し装置1Dの除去部120の分解斜視図である。図23Aは他の実施形態3に係るステープル取り外し装置1Dの除去部120の平面図、図23Bは図23Aに示す除去部120の側面図、図23Cは図23Aに示す除去部120のC-C線に沿った断面図である。
ステープル取り外し装置1Dを構成する除去部120は、楔板122と、ブレードホルダ124と、クラウンホルダ126とを備えている。楔板122は、楔板本体122aと、取付部122bと、くびれ部122cと、凸部122eとを有している。
凸部122eは、楔板122の下面に設けられ、楔板122とクラウンホルダ126との間に挿入されるステープルSのクラウン部Saを保持した際にクラウン部Saの横滑りを防止する。凸部122eは、楔板本体122aの長手方向に沿って延びる線状の突起で構成されると共に、クラウンホルダ126の幅方向の略中央部に配置される。凸部122eの下面とクラウンホルダ126の上面との間の隙間Dは、使用するステープルSの線径以下に選定される。凸部122eの先端側は、楔板122とクラウンホルダ126との間に挿入されるクラウン部Saに衝突しないように、側面の厚みが先端側に向かって徐々に薄くなるように形成される。なお、凸部122eの断面形状は、矩形状に限定されることはなく、例えば半円形状等の形状であってもよい。
[楔板122を含む除去部120の動作例]
図24A及び図24Bは、用紙束PからステープルSを除去する際の楔板122、ステープルS及びクラウンホルダ126の要部拡大図である。
除去部120の楔板122が除去位置L2に到達すると、図24Aに示すように、楔板122の先端部122sが用紙束PとステープルSのクラウン部Saとの間に挿入される。この時点では、クラウン部Saは楔板122の下面で保持されている。
楔板122がさらに前方から後方に移動すると、図24Bに示しように、楔板122の凸部122eもクラウン部Saとの間に侵入し、クラウン部Saに当接する。これにより、クラウンホルダ126の溝部126aの両端の開口縁126a1,126a2と、凸部122eとの3点がクラウン部Saに食い込んだ状態となり、楔板122及びクラウンホルダ126の前方から後方への移動時におけるクラウン部Saの横滑りが防止される。
以上説明したように、他の実施形態3によれば、楔板122の凸部122e、クラウンホルダ126の溝部126aの両端の開口縁126a1,126a2にクラウン部Saを食い込ませることができるので、楔板122の前方から後方への移動時におけるクラウン部Saの横滑りを確実に防止できる。これにより、ステープルSの一方の脚部Sbが用紙束Pから先に抜けてしまう等の除去不良を防止できる。
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。例えば、上記実施形態に係るステープル取り外し装置1A等を用紙に画像を形成する画像形成装置に搭載することもできる。この場合、本実施の形態に係るステープル取り外し装置1A等を、画像形成装置の操作パネルの隣接した位置に配置してもよいし、画像形成装置の内部又は画像形成装置に連結される後処理装置の内部に配置してもよい。また、楔板122の側面を、くびれ部122cに代えて、上方から下方に向かって左右方向の幅が狭くなる傾斜面により構成してもよい。このとき、楔板122の左右方向の幅は、ステープルSの脚部Sb,Sb間の幅寸法D3よりも狭くなるように形成する。