JP7207193B2 - 導波管フィルタ - Google Patents

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Description

本発明は、導波管フィルタに関する。
従来、導波管が4段接続されるとともに、1段目の導波管と4段目の導波管がアイリスを介して飛び越し結合された有極形帯域通過フィルタが知られている(例えば、特許文献1参照)。このフィルタでは、1,3,4段目の導波管はTE101モードの共振器として機能し、2段目の導波管はTE102モード以上の高次モードの共振器として機能する。これにより、飛び越し結合されている1,4段目の導波管内に発生する磁界の向きが反対になり、1,4段目の導波管の結合係数が負になるので、通過帯域の低域側と高域側に減衰極が現れるフィルタ特性をもたせることが可能となる。
特開2009-111633号公報
しかしながら、TE102モード以上の高次モードの共振器として機能する導波管は、TE101モードの共振器として機能する導波管に比べて、形状が大きいので、フィルタ全体のサイズが大きくなってしまう。
そこで、本開示は、通過帯域の両側の遮断特性の改善及びサイズの小型化が可能な導波管フィルタを提供する。
本開示は、
アイリスを介して多段に接続され、TE101モードで共振する複数の共振器を備え、
前記複数の共振器は、誘電体を挟んで対向する一対の導体層を有し、
前記複数の共振器のうちアイリスの介在なしに隣り合う2つの共振器の間を仕切る導体壁と平面視で交差するスロットが設けられており、
前記スロットは、前記一対の導体層のうち一方の導体層のみに形成されている、導波管フィルタを提供する。
本開示の技術によれば、通過帯域の両側の遮断特性の改善及びサイズの小型化が可能な導波管フィルタを提供できる。
第1の構成例における導波管フィルタの斜視図である。 第1の構成例における導波管フィルタの平面図である。 第1の構成例における導波管フィルタを模式的に示す平面図である。 通過帯域内で各共振器に発生する磁流方向を模式的に示す図である。 通過帯域外で各共振器に発生する磁流方向を模式的に示す図である。 第2の構成例における導波管フィルタの平面図である。 第2の構成例における導波管フィルタのスロットの拡大図である。 第3の構成例における導波管フィルタの平面図である。 第3の構成例における導波管フィルタのスロットの拡大図である。 第4の構成例における導波管フィルタの斜視図である。 第4の構成例における導波管フィルタの平面図である。 第5の構成例における導波管フィルタの平面図である。 第6の構成例における導波管フィルタの平面図である。 スロットの変形例を示す図である。 4個の共振器R1~R4が多段に接続された4つの形態の導波管フィルタのフィルタ特性のシミュレーション結果の一例を示す図である。 6個の共振器R1~R6が多段に接続された4つの形態の導波管フィルタのフィルタ特性のシミュレーション結果の一例を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下の説明において、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は、それぞれ、X軸に平行な方向、Y軸に平行な方向、Z軸に平行な方向を表す。X軸方向とY軸方向とZ軸方向は、互いに直交する。XY平面、YZ平面、ZX平面は、それぞれ、X軸方向及びY軸方向に平行な仮想平面、Y軸方向及びZ軸方向に平行な仮想平面、Z軸方向及びX軸方向に平行な仮想平面を表す。
本開示に係る導波管フィルタは、導体に囲まれる誘電体に形成される導波路を備えるフィルタであり、マイクロ波やミリ波等の高周波帯(例えば、0.3GHz~300GHz)における高周波信号をフィルタリングする。本開示に係る導波管フィルタは、例えば、第5世代移動通信システム(いわゆる、5G)や車載レーダーシステムなどにおいて、アンテナにより送信又は受信される電波に対応する高周波信号をフィルタリングするのに好適である。
図1は、第1の構成例における導波管フィルタの斜視図である。図1に示すフィルタ101は、SIW(Substrate Integrated Waveguide)構造を備える導波管フィルタである。SIW構造は、第1の導体層21と、第2の導体層22と、第1の導体層21と第2の導体層22との間に挟まれる誘電体23と、一対の導体層21,22を相互に接続し且つ誘電体23を貫通する複数の導電性ピラーの配列により形成された導体壁24とを有する。フィルタ101は、所定の周波数帯域の高周波信号を通過させ、当該周波数帯域以外の周波数帯域の高周波信号を遮断する。つまり、フィルタ101は、所定の周波数帯域(例えば、28GHzを含む周波数帯)の高周波信号を通過させる通過帯域を有するバンドパスフィルタである。
フィルタ101は、アイリス31~33を介して多段に接続される複数の共振器R1~R4と、最初の1段目の共振器R1の入力側に接続される入力部11と、最終の4段目の共振器R4の出力側に接続される出力部12とを備える。共振器R1~R4、入力部11及び出力部12は、ZX平面に沿って平面的に且つ一体的に形成されている。入力部11と共振器R1とは、アイリス36を介して接続され、出力部12と共振器R4とは、アイリス37を介して接続されている。
共振器R1~R4、入力部11及び出力部12は、一対の導体層21,22と、一対の導体層21,22の間に挟まれる誘電体23と、一対の導体層21,22の間を導通可能に接続する導体壁24とを有する。
第1の導体層21と第2の導体層22とは、ZX平面に平行に配置される平面状の導体であり、互いにY軸方向で対向する。第1の導体層21と第2の導体層22の材料として、例えば、銀、銅などが挙げられる。
誘電体23は、ZX平面に平行な平板状の部位である。誘電体23の材料として、例えば、シリカガラス等のガラス、セラミックス、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、液晶ポリマー、シクロオレフィンポリマーなどが挙げられる。なお、他の実施形態として、誘電体23は、固体に限られず、空気等の気体でもよい。
導体壁24は、Y軸方向の上側で第1の導体層21に接続されており、Y軸方向の下側で第2の導体層22に接続されている。図1に示す形態では、導体壁24は、複数のスルーホールから形成されている。
共振器R1~R4は、誘電体23を挟んで対向する一対の導体層21,22と、誘電体23に形成された導体壁24とによって形成された導波路を有する導波管である。共振器R1~R4は、いずれも、TE101モードで共振する。TE101モードは、伝送方向に垂直なY軸に平行な電界分布と、伝送方向に平行なZX平面に平行な磁界分布とが生ずるTE(Transverse Electric)モードを表す。1段目の共振器R1と2段目の共振器R2は、アイリス31を介して結合され、2段目の共振器R2と3段目の共振器R3は、アイリス32を介して結合され、3段目の共振器R3と4段目の共振器R4は、アイリス33を介して結合される。
図2は、第1の構成例における導波管フィルタの平面図である。フィルタ101には、複数の共振器R1~R4のうちアイリスの介在なしに隣り合う2つの共振器R1,R4の間を仕切る導体壁25と平面視で交差するスロット26が設けられている。導体壁25は、導体壁24の一部である。スロット26は、一対の導体層21,22のうち一方の導体層(この場合、第1の導体層21)のみに形成された溝である。
図3は、第1の構成例における導波管フィルタを模式的に示す平面図である。入力部11から入力される電磁波は、1段目の共振器R1に伝搬し、それ以降、2~4段目の共振器R2~R4を順次伝搬し、出力部12から出力される。一方、アイリスの介在なしに隣り合う2つの共振器R1,R4がスロット26を介して結合すると、中間の2,3段目の共振器R2,R3を伝搬せずに、1段目の共振器R1から4段目の共振器R4にスロット26を介して伝搬する電磁波が発生する。したがって、共振器R1~R4を順次伝搬する電磁波と、共振器R2,R3を介さずにスロット26を介して共振器R1から共振器R4に伝搬する電磁波との位相差が180°ずれると、両電磁波が打ち消し合う。これにより、通過帯域の低域側と高域側に減衰極を発現させることができる。
図4は、通過帯域内で各共振器に発生する磁流方向を模式的に示す図である。図5は、通過帯域外で各共振器に発生する磁流方向を模式的に示す図である。図4に示すように、2つの共振器R1,R4がスロット26を介して結合しない場合、共振器R1~R4内のそれぞれに発生する磁界の向きは同じになり、電磁波は共振器R1~R4を順次伝搬する。一方、図5に示すように、2つの共振器R1,R4がスロット26を介して結合すると、共振器R1内に発生する磁界の向きと共振器R4内に発生する磁界の向きとが反転する。そのため、2つの共振器R1,R4の間におけるスロット26を介しての結合の結合係数が負になり、通過帯域の低域側と高域側に減衰極を発現させることができる。
このように、段数の順番が連続していない2つの共振器R1,R4の間を仕切る導体壁25と平面視で交差するスロット26を設けることにより、通過帯域の両側の遮断特性が改善する。また、TE101モードで共振する共振器R1~R4は、TE102モード以上の高次モードの共振器よりもサイズを小さくできるので、TE102モード以上の高次モードの共振器が必要な従来の導波管フィルタに比べて、フィルタ101の小型化が可能となる。つまり、通過帯域の両側の遮断特性の改善及びサイズの小型化が可能な導波管フィルタを実現できる。
また、スロット26を、一対の導体層21,22の両方に形成しなくても一方の導体層のみに形成すればよいので、フィルタの製造プロセスを簡素化でき、フィルタの製造コストを抑制できる。
また、フィルタが設置される箇所の近傍に金属物がある場合、その金属物にスロットが近づくと、スロットでの結合度合いが変化し、フィルタの遮断特性に影響が生ずるおそれがある。しかしながら、本開示に係るフィルタは、スロットが一方の導体層のみに形成される形態なので、スロットが両方の導体層に形成される形態に比べて、金属物からスロットを容易に離す(避ける)ことができ、フィルタの配置の自由度が高い。
次に、フィルタ101の構成について、より詳細に説明する。
図2において、スロット26は、第1のスロット部27と、第2のスロット部28と、第3のスロット部29とを有する直線状の線分スロットである。第1のスロット部27は、共振器R1と平面視で重なる溝部であり、その延伸方向は、X軸方向成分とZ軸方向成分とを有する。第2のスロット部28は、共振器R4と平面視で重なる溝部であり、その延伸方向は、X軸方向成分とZ軸方向成分とを有する。第3のスロット部29は、第1のスロット部27と第2のスロット部28とを接続する溝部であり、その延伸方向は、X軸方向成分とZ軸方向成分とを有する。
X軸方向成分は、導体壁25に沿った第1の方向成分の一例であり、Z軸方向成分は、平面視で、第1の方向成分に直角な第2の方向成分の一例である。
フィルタ101の通過帯域の両側の遮断特性を改善する点で、第1のスロット部27と第2のスロット部28の各々の延伸方向は、平面視で、X軸方向成分とZ軸方向成分の両方の方向成分を有することが好ましい。
また、フィルタ101の通過帯域の両側の遮断特性を改善する点で、第3のスロット部29は、導体壁25の中央を通ることが好ましい。この例では、第3のスロット部29は、平面視で、隣り合うスルーホールの間を通る。
また、多段に接続された複数の共振器のうち、アイリスの介在なしに隣り合う2つの共振器の間にアイリスを介して接続される中間の共振器の個数は、偶数の場合の方が、奇数の場合に比べて、フィルタの通過帯域の両側の遮断特性を改善する点で好ましい。フィルタ101の場合、共振器R1~R4のうち、アイリスの介在なしに隣り合う2つの共振器R1,R4の間にアイリスを介して接続される中間の共振器R2,R3の個数は、偶数の2である。
スロット26は、フィルタ101の平面視で、導体壁25と交差する。フィルタの通過帯域の両側の遮断特性を改善する点で、スロット26と導体壁25との平面視での交差角θ(鋭角)は、10°~80°が好ましく、20°~70°がより好ましく、40°~50°が特に好ましく、45°が最も好ましい。
図6は、第2の構成例における導波管フィルタの平面図である。図7は、第2の構成例における導波管フィルタのスロットの拡大図である。上述の構成例と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。第2の構成例におけるフィルタ102は、導体壁25と平面視で交差するスロットの形状が、第1の構成例におけるフィルタ101と相違する。
スロット46は、導体壁25と平面視で交差する溝であり、一対の導体層21,22のうち一方の導体層(この場合、第1の導体層21)のみに形成されている。
スロット46は、第1のスロット部47と、第2のスロット部48と、第3のスロット部49とを有するクランク状のスロットである。第1のスロット部47は、共振器R1と平面視で重なる溝部であり、その延伸方向は、Z軸方向成分を有さずにX軸方向成分を有する。第2のスロット部48は、共振器R4と平面視で重なる溝部であり、その延伸方向は、Z軸方向成分を有さずにX軸方向成分を有する。第3のスロット部49は、第1のスロット部47と第2のスロット部48とを接続する溝部であり、その延伸方向は、X軸方向成分を有さずにZ軸方向成分を有する。
フィルタ102の通過帯域の両側の遮断特性を改善する点で、第1のスロット部47と第2のスロット部48の各々の延伸方向は、平面視で、X軸方向成分を有することが好ましい。また、フィルタ102の通過帯域の両側の遮断特性を改善する点で、第3のスロット部49は、導体壁25の中央を通ることが好ましい。
図8は、第3の構成例における導波管フィルタの平面図である。図9は、第3の構成例における導波管フィルタのスロットの拡大図である。上述の構成例と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。第3の構成例におけるフィルタ103は、導体壁25と平面視で交差するスロットの形状が、第2の構成例におけるフィルタ102と相違する。
スロット56は、導体壁25と平面視で交差する溝であり、一対の導体層21,22のうち一方の導体層(この場合、第1の導体層21)のみに形成されている。
スロット56は、第1のスロット部57と、第2のスロット部58と、第3のスロット部59とを有するクランク状のスロットである。第1のスロット部57は、共振器R1と平面視で重なる溝部であり、その延伸方向は、X軸方向成分とZ軸方向成分とを有する。第2のスロット部58は、共振器R4と平面視で重なる溝部であり、その延伸方向は、X軸方向成分とZ軸方向成分とを有する。第3のスロット部59は、第1のスロット部57と第2のスロット部58とを接続する溝部であり、その延伸方向は、X軸方向成分を有さずにZ軸方向成分を有する。
第1のスロット部57は、X軸方向成分の溝57aと、Z軸方向成分の溝57bとを有する。溝57aは、一端が第3のスロット部59の一端に接続され、他端が溝57bの一端に接続される。第2のスロット部58は、X軸方向成分の溝58aと、Z軸方向成分の溝58bとを有する。溝58aは、一端が第3のスロット部59の他端に接続され、他端が溝58bの一端に接続される。
フィルタ103の通過帯域の両側の遮断特性を改善する点で、第1のスロット部57と第2のスロット部58の各々の延伸方向は、平面視で、X軸方向成分とZ軸方向成分の両方の方向成分を有することが好ましい。また、フィルタ103の通過帯域の両側の遮断特性を改善する点で、第3のスロット部59は、導体壁25の中央を通ることが好ましい。
図10は、第4の構成例における導波管フィルタの斜視図である。上述の構成例と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。第4の構成例におけるフィルタ201は、多段に接続される共振器の個数が、第1の構成例におけるフィルタ101と相違する。
フィルタ201は、アイリス31~35を介して多段に接続される複数の共振器R1~R6と、最初の1段目の共振器R1の入力側に接続される入力部11と、最終の6段目の共振器R6の出力側に接続される出力部12とを備える。共振器R1~R6、入力部11及び出力部12は、ZX平面に沿って平面的に且つ一体的に形成されている。入力部11と共振器R1とは、アイリス36を介して接続され、出力部12と共振器R6とは、アイリス37を介して接続されている。
共振器R1~R6は、誘電体23を挟んで対向する一対の導体層21,22と、誘電体23に形成された導体壁24とによって形成された導波路を有する導波管である。共振器R1~R6は、いずれも、TE101モードで共振する。1段目の共振器R1と2段目の共振器R2は、アイリス31を介して結合され、2段目の共振器R2と3段目の共振器R3は、アイリス32を介して結合され、3段目の共振器R3と4段目の共振器R4は、アイリス33を介して結合される。4段目の共振器R4と5段目の共振器R5は、アイリス34を介して結合され、5段目の共振器R5と6段目の共振器R6は、アイリス35を介して結合される。
図11は、第4の構成例における導波管フィルタの平面図である。フィルタ201には、複数の共振器R1~R6のうちアイリスの介在なしに隣り合う2つの共振器R1,R6の間を仕切る導体壁25と平面視で交差するスロット26が設けられている。スロット26は、複数の共振器R1~R6のうちアイリスの介在なしに隣り合う2つの共振器R2,R5の間を仕切る導体壁25と平面視で交差するように、一対の導体層21,22のうち一方の導体層(この場合、第1の導体層21)のみに形成されてもよい。スロット26の形成箇所は、2つ以上あってもよい。
フィルタ201の場合、共振器R1~R6のうち、アイリスの介在なしに隣り合う2つの共振器R1,R6の間にアイリスを介して接続される中間の共振器R2~R5の個数は、偶数の4である。したがって、フィルタの通過帯域の両側の遮断特性が改善する。
図12は、第5の構成例における導波管フィルタの平面図である。図13は、第6の構成例における導波管フィルタの平面図である。上述の構成例と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。第5の構成例におけるフィルタ202は、多段に接続される共振器の個数が6つある点で、第2の構成例におけるフィルタ102と相違する。第6の構成例におけるフィルタ203は、多段に接続される共振器の個数が6つある点で、第3の構成例におけるフィルタ103と相違する。
図14は、スロットの変形例を示す図である。図14に示すスロット66は、導体壁25と平面視で交差するスロットの変形例である。
スロット56は、第1のスロット部67と、第2のスロット部68と、第3のスロット部69とを有するS字状のスロットである。第1のスロット部67は、共振器R1と平面視で重なる溝部であり、その延伸方向は、X軸方向成分とZ軸方向成分とを有する。第2のスロット部68は、共振器R4と平面視で重なる溝部であり、その延伸方向は、X軸方向成分とZ軸方向成分とを有する。第3のスロット部69は、第1のスロット部67と第2のスロット部68とを接続する溝部であり、その延伸方向は、X軸方向成分を有さずにZ軸方向成分を有する。
第1のスロット部67は、X軸方向成分の溝67aと、Z軸方向成分の溝67bとを有する。溝67aは、一端が第3のスロット部69の一端に接続され、他端が溝67bの一端に接続される。第2のスロット部68は、X軸方向成分の溝68aと、Z軸方向成分の溝68bとを有する。溝68aは、一端が第3のスロット部69の他端に接続され、他端が溝68bの一端に接続される。
フィルタの通過帯域の両側の遮断特性を改善する点で、第1のスロット部67と第2のスロット部68の各々の延伸方向は、平面視で、X軸方向成分とZ軸方向成分の両方の方向成分を有することが好ましい。また、フィルタの通過帯域の両側の遮断特性を改善する点で、第3のスロット部69は、導体壁25の中央を通ることが好ましい。
図15は、4個の共振器R1~R4が多段に接続された4つの形態のフィルタ100~103のフィルタ特性のシミュレーション結果の一例を示す図である。縦軸は、Sパラメータの一つである通過特性S21を示す。フィルタ100は、フィルタ101(図2)からスロット26を削除した比較例である。図15に示されるように、スロットが形成されたフィルタ101~103は、通過帯域の低域側と高域側に減衰極を有するので、スロットのないフィルタ100に比べて、通過帯域の両側の遮断特性が優れている。
なお、図15のシミュレーション時において、各部の寸法は、単位をmmとすると、以下の通りである。
<フィルタ101(図2)>
L1:7.33
L2:3.4
L3:3.7
L4:1.85
L5:0.21
L6:2.4
L7:2.96
L8:2.41
L9:0.03
交差角θ:45°
<フィルタ102(図6,7)>
L11:1.14
L12:1.14
L13:0.39
L14:0.45
<フィルタ103(図8,9)>
L21:2.34
L22:0.45
L23:0.39
L24:0.22
また、図15のシミュレーションには、有限要素法(Finite Element Method(FEM))を用い、誘電体23の材料として、シリカガラス(比誘電率εr=3.85、誘電正接tanδ=0.0005)を想定した。
図16は、6個の共振器R1~R6が多段に接続された4つの形態のフィルタ200~204のフィルタ特性のシミュレーション結果の一例を示す図である。縦軸は、Sパラメータの一つである通過特性S21を示す。フィルタ200は、フィルタ201(図11)からスロット26を削除した比較例である。図16に示されるように、スロットが形成されたフィルタ201~203は、通過帯域の低域側と高域側に減衰極を有するので、スロットのないフィルタ200に比べて、通過帯域の両側の遮断特性が優れている。
なお、図16のシミュレーション時において、各部の寸法は、単位をmmとすると、以下の通りである。
<フィルタ201(図11)>
L31:7.33
L32:3.5
L33:3.4
L34:3.7
L35:1.85
L36:1.7
L37:2.01
L38:2.01
L39:0.21
L40:2.96
L41:2.4
L42:2.13
L43:0.03
交差角θ:45°
<フィルタ202(図7,12)>
L11:1.11
L12:1.11
L13:0.39
L14:0.45
<フィルタ203(図9,13)>
L21:2.34
L22:0.45
L23:0.39
L24:0.22
また、図16のシミュレーションには、有限要素法(Finite Element Method(FEM))を用い、誘電体23の材料として、シリカガラス(比誘電率εr=3.85、誘電正接tanδ=0.0005)を想定した。
以上、導波管フィルタを実施形態により説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。
11 入力部
12 出力部
21 第1の導体層
22 第2の導体層
23 誘電体
24,25 導体壁
26,46,56,66 スロット
27,47,57,67 第1のスロット部
28,48,58,68 第2のスロット部
29,49,59,69 第3のスロット部
31~35 アイリス
100~103,200~203 フィルタ
R1~R4 共振器

Claims (5)

  1. アイリスを介して多段に接続され、TE101モードで共振する複数の共振器を備え、
    前記複数の共振器は、誘電体を挟んで対向する一対の導体層を有し、
    前記複数の共振器のうちアイリスの介在なしに隣り合う2つの共振器の間を仕切る導体壁と平面視で交差するスロットが設けられており、
    前記スロットは、前記一対の導体層のうち一方の導体層のみに形成されている、導波管フィルタ。
  2. 前記スロットは、前記2つの共振器のうち一方の共振器と平面視で重なる第1のスロット部と、前記2つの共振器のうち他方の共振器と平面視で重なる第2のスロット部と、前記第1のスロット部と前記第2のスロット部とを接続する第3のスロット部とを有し、
    前記第1のスロット部と前記第2のスロット部の各々の延伸方向は、平面視で、前記導体壁に沿った第1の方向成分を有する、請求項1に記載の導波管フィルタ。
  3. 前記第1のスロット部と前記第2のスロット部の各々の延伸方向は、平面視で、前記第1の方向成分に直角な第2の方向成分を更に有する、請求項2に記載の導波管フィルタ。
  4. 前記第3のスロット部は、平面視で、前記導体壁の中央を通る、請求項2又は3に記載の導波管フィルタ。
  5. 前記複数の共振器のうち、前記2つの共振器の間にアイリスを介して接続される中間の共振器の個数は、偶数である、請求項1から4のいずれか一項に記載の導波管フィルタ。
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