以下、本発明による制御装置、および、これを用いた電動パワーステアリング装置を図面に基づいて説明する。以下、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態を図1~図11に示す。図1に示すように、制御装置としてのECU10は、回転電機であるモータ80の駆動を制御するモータ制御装置であって、モータ80とともに、例えば車両のステアリング操作を補助するための電動パワーステアリング装置8に適用される。
図1は、電動パワーステアリング装置8を備えるステアリングシステム90の構成を示す。ステアリングシステム90は、操舵部材であるステアリングホイール91、ステアリングシャフト92、ピニオンギア96、ラック軸97、車輪98、および、電動パワーステアリング装置8等を備える。
ステアリングホイール91は、ステアリングシャフト92と接続される。ステアリングシャフト92には、操舵トルクを検出するトルクセンサ94が設けられる。トルクセンサ94は、第1センサ部194および第2センサ部294を有しており、各々自身の故障検出ができるセンサが二重化されている。ステアリングシャフト92の先端には、ピニオンギア96が設けられる。ピニオンギア96は、ラック軸97に噛み合っている。ラック軸97の両端には、タイロッド等を介して一対の車輪98が連結される。
運転者がステアリングホイール91を回転させると、ステアリングホイール91に接続されたステアリングシャフト92が回転する。ステアリングシャフト92の回転運動は、ピニオンギア96によってラック軸97の直線運動に変換される。一対の車輪98は、ラック軸97の変位量に応じた角度に操舵される。
電動パワーステアリング装置8は、モータ80、モータ80の回転を減速してステアリングシャフト92に伝える動力伝達部としての減速ギア89、および、ECU10等を備える。すなわち、本実施形態の電動パワーステアリング装置8は、所謂「コラムアシストタイプ」であるが、モータ80の回転をラック軸97に伝える所謂「ラックアシストタイプ」等としてもよい。本実施形態では、ステアリングシャフト92が「駆動対象」に対応する。
図1、図2、図3および図4に示すように、モータ80は、操舵に要するトルクの一部または全部を出力するものであって、電源としてのバッテリ101、201から電力が供給されることにより駆動され、減速ギア89を正逆回転させる。モータ80は、3相ブラシレスモータであって、ロータ860およびステータ840を有する。
モータ80は、巻線組としての第1モータ巻線180および第2モータ巻線280を有する。モータ巻線180、280は電気的特性が同等であり、共通のステータ840に、互いに電気角30[deg]ずらしてキャンセル巻きされる。これに応じて、モータ巻線180、280には、位相φが30[deg]ずれた相電流が通電されるように制御される。通電位相差を最適化することで、出力トルクが向上する。また、6次のトルクリプルを低減することができ、騒音、振動の低減することができる。また、電流も分散されることで発熱が分散、平準化されるため、各センサの検出値やトルク等、温度依存の系統間誤差を低減可能であるとともに、通電可能な電流量を増やすことができる。モータ巻線10、280の電気的特性は異なっていてもよい。
以下、第1モータ巻線180の通電制御に係る第1インバータ部120および第1制御回路部150等の組み合わせを第1系統L1、第2モータ巻線280の通電制御に係る第2インバータ部220および第2制御回路部250等の組み合わせを第2系統L2とする。また、第1系統L1に係る構成を主に100番台で付番し、第2系統L2に係る構成を主に200番台で付番する。また、第1系統L1および第2系統L2において、同様または類似の構成には、下2桁が同じとなるように付番する。以下適宜、「第1」を添え字の「1」、「第2」を添え字の「2」として記載する。
駆動装置40は、モータ80の軸方向の一方側にECU10が一体的に設けられており、いわゆる「機電一体型」であるが、モータ80とECU10とは別途に設けられていてもよい。ECU10は、モータ80の出力軸とは反対側において、シャフト870の軸Axに対して同軸に配置されている。ECU10は、モータ80の出力軸側に設けられていてもよい。機電一体型とすることで、搭載スペースに制約のある車両において、ECU10とモータ80とを効率的に配置することができる。
モータ80は、ステータ840、ロータ860、および、これらを収容するハウジング830等を備える。ステータ840は、ハウジング830に固定されており、モータ巻線180、280が巻回される。ロータ860は、ステータ840の径方向内側に設けられ、ステータ840に対して相対回転可能に設けられる。
シャフト870は、ロータ860に嵌入され、ロータ860と一体に回転する。シャフト870は、軸受835、836により、ハウジング830に回転可能に支持される。シャフト870のECU10側の端部は、ハウジング830からECU10側に突出する。シャフト870のECU10側の端部には、マグネット875が設けられる。
ハウジング830は、リアフレームエンド837を含む有底筒状のケース834、および、ケース834の開口側に設けられるフロントフレームエンド838を有する。ケース834とフロントフレームエンド838とは、ボルト等により互いに締結されている。リアフレームエンド837には、リード線挿通孔839が形成される。リード線挿通孔839には、モータ巻線180、280の各相と接続されるリード線185、285が挿通される。リード線185、285は、リード線挿通孔839からECU10側に取り出され、基板470に接続される。
ECU10は、カバー460、カバー460に固定されているヒートシンク465、ヒートシンク465に固定されている基板470、および、基板470に実装される各種の電子部品等を備える。
カバー460は、外部の衝撃から電子部品を保護したり、ECU10の内部への埃や水等の浸入を防止したりする。カバー460は、カバー本体461、および、コネクタ部103、203が一体に形成される。コネクタ部103、203は、カバー本体461と別体であってもよい。コネクタ部103、203の端子463は、図示しない配線等を経由して基板470と接続される。コネクタ数および端子数は、信号数等に応じて適宜変更可能である。コネクタ部103、203は、駆動装置40の軸方向の端部に設けられ、モータ80と反対側に開口する。
基板470は、例えばプリント基板であり、リアフレームエンド837と対向して設けられる。基板470には、2系統分の電子部品が系統ごとに独立して実装されており、完全冗長構成をなしている。本実施形態では、1枚の基板470に電子部品が実装されているが、複数枚の基板に電子部品を実装するようにしてもよい。
基板470の2つの主面のうち、モータ80側の面をモータ面471、モータ80と反対側の面をカバー面472とする。図3に示すように、モータ面471には、インバータ部120を構成するスイッチング素子121、インバータ部220を構成するスイッチング素子221、角度センサ126、226、カスタムIC135、235等が実装される。角度センサ126、226は、マグネット875の回転に伴う磁界の変化を検出可能なように、マグネット875と対向する箇所に実装される。
カバー面472には、コンデンサ128、228、インダクタ129、229、および、制御回路部150、250を構成するマイコン等が実装される。図3では、制御回路部150、250を構成するマイコンについて、それぞれ「150」、「250」を付番した。コンデンサ128、228は、バッテリ101、201から入力された電力を平滑化する。また、コンデンサ128、228は、電荷を蓄えることで、モータ80への電力供給を補助する。コンデンサ128、228、および、インダクタ129、229は、フィルタ回路を構成し、バッテリを共用する他の装置から伝わるノイズを低減するとともに、駆動装置40からバッテリを共用する他の装置に伝わるノイズを低減する。なお、図3中には図示を省略しているが、電源リレー122、222、モータリレー125、225、および、電流センサ127、227等についても、モータ面471またはカバー面472に実装される。
図4に示すように、ECU10は、インバータ部120、220、および、制御回路部150、250等を備える。図中等、適宜、「制御回路部」を、「マイコン」または「uP」と記載する。ECU10には、コネクタ部103、203が設けられる。第1コネクタ部103には、第1電源端子105、第1グランド端子106、第1IG端子107、第1通信端子108、および、第1トルク端子109が設けられる。
第1電源端子105は、図示しないヒューズを経由して第1バッテリ101に接続される。第1電源端子105を経由して第1バッテリ101の正極から供給された電力は、電源リレー122、インバータ部120、および、モータリレー125を経由して、第1モータ巻線180に供給される。第1グランド端子106は、ECU10の内部の第1系統のグランドである第1グランドGND1と、ECU10の外部の第1系統のグランドである第1外部グランドGB1とに接続される。車のシステムにおいては金属ボデーが共通のGNDプレーンとなっており、第1外部グランドGB1はGNDプレーン上の接続ポイントの1つを示し、第2バッテリ201の負極もこのGNDプレーン上の接続ポイントに接続される。
第1IG端子107は、イグニッションスイッチ等である車両の始動スイッチと連動してオンオフ制御される第1スイッチを経由して第1バッテリ101の正極と接続される。第1IG端子107を経由して第1バッテリ101から供給された電力は、第1カスタムIC135に供給される。第1カスタムIC135には、第1ドライバ回路136、第1回路電源137、図示しないマイコン監視モニタ、および、図示しない電流モニタアンプ等が含まれる。
第1通信端子108は、第1車両通信回路111と、第1車両通信網195とに接続される。第1車両通信網195と第1制御回路部150とは、第1車両通信回路111を経由して、送受信が可能に接続される。また、第1車両通信網195と第2制御回路部250とは、受信のみ可能に接続され、第2制御回路部250が故障しても、第1制御回路部150を含む第1車両通信網195に影響がないように構成される。
第1トルク端子109は、トルクセンサ94の第1センサ部194と接続される。第1センサ194の検出値は、第1トルク端子109および第1トルクセンサ入力回路112を経由して、第1制御回路部150に入力される。ここで第1センサ194および第1制御回路部150は、このトルクセンサ入力回路系の故障が検出されるように構成される。
第2コネクタ部203には、第2電源端子205、第2グランド端子206、第2IG端子207、第2通信端子208、および、第2トルク端子209が設けられる。第2電源端子205は、図示しないヒューズを経由して第2バッテリ201の正極に接続される。第2電源端子205を経由して第2バッテリ201から供給された電力は、電源リレー222、インバータ部220、および、モータリレー225を経由して、第2モータ巻線280に供給される。第2グランド端子206は、ECU10の内部の第2系統のグランドである第2グランドGND2と、ECU10の外部の第2系統のグランドである第2外部グランドGB2とに接続される。車のシステムにおいては金属ボデーが共通のGNDプレーンとなっており、第2外部グランドGB2はGNDプレーン上の接続ポイントの1つを示し、さらに、第2バッテリ201の負極もこのGNDプレーン上の接続ポイントに接続される。ここで、少なくとも異なった系統は、GNDプレーン上の同一の接続ポイントに接続しないよう構成される。
第2IG端子207は、車両の始動スイッチと連動してオンオフ制御される第2スイッチを経由して第2バッテリ201の正極と接続される。第2IG端子207を経由して第2バッテリ201から供給された電力は、第2カスタムIC235に供給される。第2カスタムIC235には、第2ドライバ回路236、第2回路電源237、図示しないマイコン監視モニタ、および、図示しない電流モニタアンプ等が含まれる。
第2通信端子208は、第2車両通信回路211と、第2車両通信網295とに接続される。第2車両通信網295と第2制御回路部250とは、第2車両通信回路211を経由して、送受信が可能に接続される。また、第2車両通信網295と第1制御回路部150とは、受信のみ可能に接続し、第1制御回路部150が故障しても、第2制御回路部250を含む第2車両通信網295に影響がないように構成される。
第2トルク端子209は、トルクセンサ94の第2センサ部294と接続される。第2センサ294の検出値は、第2トルク端子209および第2トルクセンサ入力回路212を経由して、第2制御回路部250に入力される。ここで第2センサ294および第2制御回路部250は、このトルクセンサ入力回路系の故障が検出されるように構成される。
図4では、通信端子108、208は、それぞれ別途の車両通信網195、295に接続されているが、同一の車両通信網に接続されてもよい。また、図4では、車両通信網195、295として、CAN(Controller Area Network)を例示しているが、CAN-FD(CAN with Flexible Data rate)やFlexRay等、どのような規格のものでもよい。
第1インバータ部120は、スイッチング素子121を有する3相インバータであって、第1モータ巻線180の電力を変換する。第2インバータ部220は、スイッチング素子221を有する3相インバータであって、第2モータ巻線280の電力を変換する。
第1電源リレー122は、第1電源端子105と第1インバータ部120との間に設けられる。第1モータリレー125は、第1インバータ部120と第1モータ巻線180との間の各相に設けられる。第2電源リレー222は、第2電源端子205と第2インバータ部220との間の各相に設けられる。第2モータリレー225は、第2インバータ部220と第2モータ巻線280との間に設けられる。
本実施形態では、スイッチング素子121、221、電源リレー122、222、および、モータリレー125、225は、いずれもMOSFETであるが、IGBT等の他の素子を用いてもよい。図5に示すように、第1電源リレー122をMOSFETのように寄生ダイオードを有する素子で構成する場合、寄生ダイオードの向きが逆向きとなるように2つの素子123、124を直列に接続することが望ましい。第2電源リレー222も同様であるので図示を省略する。これにより、バッテリ101、201が誤って逆向きに接続された場合に、逆向きの電流が流れるのを防ぐことができる。電源リレー122、222は、メカリレーであってもよい。
図4に示すように、第1スイッチング素子121、第1電源リレー122および第1モータリレー125は、第1制御回路部150によりオンオフ作動が制御される。第2スイッチング素子221、第2電源リレー222および第2モータリレー225は、第2制御回路部250によりオンオフ作動が制御される。
第1角度センサ126は、モータ80の回転角を検出し、検出値を第1制御回路部150に出力する。第2角度センサ226は、モータ80の回転角を検出し、検出値を第2制御回路部250に出力する。ここで、第1角度センサ126と第1制御回路部150、および第2角度センサ226と第2制御回路部250は、各々の角度センサ入力回路系の故障が検出されるように構成される。
第1電流センサ127は、第1モータ巻線180の各相に通電される電流を検出する。第1電流センサ127の検出値は、カスタムIC135内の増幅回路にて増幅され、第1制御回路部150に出力される。第2電流センサ227は、第2モータ巻線280の各相に通電される電流を検出する。第2電流センサ227の検出値は、カスタムIC235内の増幅回路にて増幅され、第2制御回路部250に出力される。
第1ドライバ回路136は、第1制御回路部150からの制御信号に基づき、第1スイッチング素子121、第1電源リレー122および第1モータリレー125を駆動する駆動信号を各素子に出力する。第2ドライバ回路236は、第2制御回路部250からの制御信号に基づき、第2スイッチング素子221、第2電源リレー222および第2モータリレー225を駆動する駆動信号を各素子に出力する。
制御回路部150、250は、マイコン等を主体として構成され、内部にはいずれも図示しないCPU、ROM、RAM、I/O及び、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。制御回路部150、250における各処理は、ROM等の実体的なメモリ装置(すなわち、読み出し可能非一時的有形記録媒体)に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。ここで、第1制御回路部150、および第2制御回路部250は、例えばロックドステップデュアルマイコン等を使用し、各々の自身の故障が検出されるように構成される。
制御回路部150、250は、それぞれ回路電源137、237と接続され、図示しないアナログデジタル変換器(以下、「ADC」)が内蔵されている。図中、回路電源137、237をVCC1、VCC2と記載する。制御回路部150、250には、それぞれ高電位側ADC参照電位に接続されるADREF+端子、および、低電位側ADC参照電位に接続されるADREF-端子が設けられる(図6参照)。
第1制御回路部150は、駆動制御部151、および、異常監視部155を有する。駆動制御部151は、第1スイッチング素子121のオンオフ作動を制御することで、第1モータ巻線180の通電を制御する。駆動制御部151は、第1電源リレー122および第1モータリレー125のオンオフ作動を制御する。
異常監視部155は、グランド監視回路161の検出値に基づき、グランド異常を検出する。また、異常監視部155は、第1カスタムIC135とともに、自系統である第1系統L1の異常の監視を行う。自系統を停止すべき異常が生じた場合、第1制御回路部150は、第1インバータ部120、第1電源リレー122および第1モータリレー125のいずれか1つ以上をオフにする。
第2制御回路部250は、駆動制御部251、および、異常監視部255を有する。駆動制御部251は、第2スイッチング素子221のオンオフ作動を制御することで、第2モータ巻線280の通電を制御する。駆動制御部251は、第2電源リレー222および第2モータリレー225のオンオフ作動を制御する。
異常監視部255は、グランド監視回路261の検出値に基づき、グランド異常を検出する。また、異常監視部255は、第2カスタムIC235とともに、自系統である第2系統L2の異常の監視を行う。自系統を停止すべき異常が生じた場合、第2制御回路部250は、第2インバータ部220、第2電源リレー222および第2モータリレー225のいずれか1つ以上をオフにする。
第1制御回路部150は、第2制御回路部250との通信状態、および、第2系統L2の動作状態を監視する。第2系統L2の動作状態の監視方法として第2系統L2の異常を検出したときに自系統を停止する回路(例えば、第2インバータ部220、第2電源リレー222、および第2モータリレー225)または信号線302のうち、少なくとも1つの状態を監視し、非常停止しているか否かを判断する。本実施形態では、第2ドライバ回路236から第2電源リレー222に出力される第2リレーゲート信号Vrg2を取得する他系統リレー監視回路139が設けられ、第2リレーゲート信号Vrg2に基づいて第2電源リレー222の状態を監視する。以下、他系統リレー監視回路から取得される情報を「他系統リレー情報」、他系統リレー情報に基づいて他系統の動作状態を監視することを「他系統リレー監視」、監視されるリレーを「他系統リレー」という。
第2制御回路部250は、第1制御回路部150との通信状態、および、第1系統L1の動作状態を監視する。第1系統L1の動作状態の監視方法として第1系統L1の異常を検出したときに自系統を停止する回路(例えば、第1インバータ部120、第1電源リレー122、および第1モータリレー125)または信号線301のうち、少なくとも1つの状態を監視し、非常停止しているか否かを判断する。本実施形態では、第1ドライバ回路136から第1電源リレー122に出力される第1リレーゲート信号Vrg1を取得する他系統リレー監視回路239が設けられ、第1リレーゲート信号Vrg1に基づいて第1電源リレー122の状態を監視する。リレーゲート信号に替えて、電源リレー122を構成する2つの素子123、124間の中間電圧、制御回路部150から出力されるリレー駆動信号、または、電源リレー122とインバータ部120との間のリレー後電圧を用いて他系統監視を行ってもよい。第1制御回路部150での第2系統L2の監視についても同様である。
第1制御回路部150と第2制御回路部250とは、信号線301、302で接続され、マイコン間通信にて相互に情報を送受信可能である。信号線301は、第1制御回路部150が出力側、第2制御回路部250が入力側である。信号線302は、第2制御回路部250が出力側、第1制御回路部150が入力側である。すなわち信号線301、302は、入出力の向きが反対である。
本実施形態では、電源リレー122、222の状態を監視することで、他系統の状態を監視している。ここで、一方の系統にグランド電位浮きやグランド断線等のグランド異常が発生した場合、他方の系統側から見ると、電源リレー122、222がオンしているように見え、他系統の状態を誤判定する虞がある。また、グランド浮きにより、通信不良が発生する虞がある。そこで本実施形態では、グランド監視回路161、261を設け、自系統のグランド電位および他系統のグランド電位の状態を監視する。
グランド監視回路161、261を図6に示す。第1グランド監視回路161は、抵抗171~173、および、コンデンサ174を有する。抵抗171、172は分圧抵抗を構成し、抵抗173およびコンデンサ174はフィルタ回路を構成する。フィルタ回路を設けることで、検出値のノイズを低減することができる。
抵抗171は、一端が第1プルアップ抵抗電源に接続され、他端が抵抗172に接続される。抵抗172は、一端が抵抗171に接続され、他端が他系統グランドである第2グランドGND2に接続される。抵抗173は、一端が第1制御回路部150のADIN端子に接続され、他端が抵抗171、172の間に接続される。第1制御回路部150は、ADIN入力端子の入力電圧をMSBで除し、デジタル値に換算する。以下、デジタル換算後のADIN入力端子電圧の値を、ADC変換値とする。
コンデンサ174は、高電位側が抵抗173と第1制御回路部150のADIN端子との間に接続され、低電位側が第1グランドGND1に接続される。詳細には、コンデンサ174の低電位側は、後述する抵抗272の他端と第1制御回路部150のADREF-端子との間に接続される。
第2グランド監視回路261は、抵抗271~273、および、コンデンサ274を有する。抵抗271、272は分圧抵抗を構成し、抵抗273およびコンデンサ274はフィルタ回路を構成する。フィルタ回路を設けることで、検出値のノイズを低減することができる。
抵抗271は、一端が第2プルアップ抵抗電源に接続され、他端が抵抗272に接続される。抵抗272は、一端が抵抗271に接続され、他端が他系統グランドである第1グランドGND1に接続される。抵抗273は、一端が第2制御回路部250のADIN入力端子に接続され、他端が抵抗271、272の間に接続され、他端が第2制御回路部250のADIN入力端子に接続される。第2制御回路部250は、ADIN入力端子の入力電圧をMSBで除し、デジタル値に換算する。
コンデンサ274は、高電位側が抵抗273と第2制御回路部250のADIN端子との間に接続され、低電位側が第2グランドGND2に接続される。詳細には、コンデンサ274の低電位側は、後述する抵抗272の他端と第2制御回路部250のADREF-端子との間に接続される。
図中、第1系統L1のADC入力参照電圧をVrf1、プルアップ抵抗電源電圧をVA1、第2系統L2のADC入力参照電圧をVfr2、プルアップ抵抗電源電圧をVA2と記載した。ADC入力参照電圧Vrf1とプルアップ抵抗電源電圧VA1とは、等しくてもよいし、異なっていてもよい。第2系統L2についても同様である。
本実施形態では、ADIN端子の端子電圧Vd1、Vd2に基づき、自系統および他系統のグランド異常を検出する。図7に示すように、端子電圧Vd1、Vd2は、グランド電位差ΔVに換算可能である。図7は、横軸が端子電圧Vd1をMSBで除した値、縦軸がグランド電位差ΔVである。図中、横軸は単に「端子電圧」と記載する。図8および図16等も同様である。図6の回路構成では、グランド電位差ΔVが0より大きい場合、自系統グランドに対して他系統グランドが浮いており、グランド電位差ΔVが0より小さい場合、他系統グランドに対して自系統グランドが浮いている。
グランド電位差検出幅Vgwは、抵抗値等の設定により、任意に設定可能である。以下、抵抗値等の設定方法の一例であって、系統に係る添え字の「1」、「2」を省略する。図7の例では、自系統グランド浮き検出電圧範囲が5[V]、他系統グランド浮き検出電圧範囲が15[V]であるので、グランド電位差検出幅Vgwは20[V]である。
電位差0でのADC変換値を、ADCオフセット値Radofとすると、Radofは式(1)で表される。また、プルアップ抵抗電源電圧VAは、式(2)にて設定される。ここで、ADC入力参照電圧Vrf=5[V]とする。
Radof=自系統グランド浮き検出電圧範囲/Vgw
=5/20=0.25 ・・・(1)
VA=Vrf×Radof/(1-Vrf/Vgw)
=5×0.25/(1-5/20)=1.667[V] ・・・(2)
ここで、抵抗171、271がプルアップ抵抗、抵抗172、272がプルダウン抵抗であって、プルアップ抵抗の抵抗値ru、および、プルダウン抵抗の抵抗値rdは、式(3)、(4)で設定される。
ru=r×(Vrf/Vgw) ・・・(3)
rd=r×(1-Vrf/Vgw)
ここで、rは、異常時において発生し得る最大電位差を想定し、そのときの回り込み電流でも特性変動や誤動作が生じないように、高めに設定しておくことが望ましく、例えば、ru=25[kΩ]、rd=75[kΩ]とする。
また、図8に示すように、任意の検出特性を作ることができる。実線C1のように、検出範囲を-20[V]~20[V]とする場合、Vrf=5[V]、VA=2.875[V]、ru=12.5[kΩ]、rd=87.5[kΩ]、Radof=0.5とすればよい。
実線C2のように、検出範囲を-5[V]~5[V]とする場合、Vrf=5[V]、VA=5[V]、ru=50[kΩ]、rd=50[kΩ]、Radof=0.5とすればよい。
実線C3のように、検出範囲を-10[V]~20[V]とする場合、Vrf=5[V]、VA=1.998[V]、ru=16.67[kΩ]、rd=83.33[kΩ]、Radof=0.333とすればよい。ここで示した数値は、いずれも一例であって、どのように設計してもよい。ここで、プルアップ抵抗電源電圧VAをADC入力参照電圧の比例倍となるように構成すれば、比較的精度の高い回路が設計できる。第4実施形態等についても同様である。以下、グランド異常検出についての閾値設定の具体例は、実線C2で示す特定について説明する。
グランド異常判定処理を図9のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、制御回路部150、250にて、所定の周期で実施される。制御回路部150、250での処理は同様であるので、以下、第1制御回路部150での処理について説明する。第2制御回路部250での処理は、自系統を第2系統L2、他系統を第1系統L1と読み替えればよい。以下、ステップS101の「ステップ」を省略し、単に記号「S」と記す。他のステップも同様である。
S101では、異常監視部155は、グランド電位差ΔVが正側の異常判定閾値TH+より大きいか否かを判断する。グランド電位差ΔVが正側の異常判定閾値TH+より大きいと判断された場合(S101:YES)、S102へ移行し、グランド浮き判定フラグを「他系統グランド浮き」とする。グランド電位差ΔVが正側の異常判定閾値THa以下であると判断された場合(S101:NO)、S103へ移行する。
S103では、異常監視部155は、グランド電位差ΔVが負側の異常判定閾値TH-より小さいか否かを判断する。グランド電位差ΔVが負側の異常判定閾値TH-より小さいと判断された場合(S103:YES)、S104へ移行し、グランド浮き判定フラグを「自系統グランド浮き」とする。グランド電位差ΔVが負側のTHb以上であると判断された場合(S103:NO)、S105へ移行し、グランド浮き判定フラグを「正常」とする。
異常判定閾値は、正常時の系統間グランド電位差より大きい任意の値に設定可能である。また、確実に通信異常となる値(例えば3[V])、および、正常動作が可能であって正常時の系統間グランド電位差より大きい値(例えば0.8[V])の2つの閾値を持つようにしてもよい。以下適宜、グランド電位差ΔVが負側の異常判定閾値より小さい、または、正側の異常判定閾値より大きい場合を「グランド電位差が正常範囲外」とし、グランド電位差ΔVが負側の異常判定閾値以上、正側の異常判定閾値以下の場合を「グランド電位差が正常範囲内」とする。
本実施形態では、マイコン間通信の状態、他系統リレー監視状態、および、グランド電位差に基づいて発生している異常を特定し、異常発生状態に応じた制御モードを選択する。グランド監視回路のイニシャル監視処理を図10のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、車両の始動スイッチがオンされたとき等、システム起動時に実施される処理である。以下、システム起動時、モータ80の駆動制御の開始前に実施される監視処理をイニシャルチェックとする。イニシャルチェック時は、電流がほとんど流れておらず、安定した判定が可能である。また、グランド監視回路およびリレー監視回路の異常は、モータ駆動中、潜在故障となるため、イニシャルチェックでの異常判定が必要である。なお、自系統は他系統監視に係る構成以外は正常であるものとする。後述の実施形態についても同様である。
S201では、異常監視部155は、グランド電位差ΔVの絶対値が異常判定閾値TH_Cより大きいか否かを判断する。異常判定閾値TH_Cは、確実に通信異常となる値(例えば3[V])に設定される。グランド電位差ΔVの絶対値が異常判定閾値TH_C以下であると判断された場合(S201:NO)、S202へ移行し、グランド監視回路161が正常であると判定する。グランド電位差ΔVの絶対値が異常判定閾値TH_Cより大きいと判断された場合(S201:YES)、S203へ移行する。
S203では、異常監視部155は、マイコン間通信が正常か否かを判断する。マイコン間通信が正常ではないと判断された場合(S203:NO)、S204へ移行し、グランド監視回路161の異常と特定する。イニシャルチェックでは、電源電流がほとんど流れていないため、マイコン間通信が正常であって、グランド電位差ΔVが大きい場合は、グランド監視回路161の異常とし、グランド監視回路異常を異常履歴として図示しない記憶部等に記憶させる。駆動制御部151は、自系統を用いたモータ80の駆動制御を停止する。自系統を用いた制御を停止した場合、他系統である第2系統L2が正常であれば、第2制御回路部250により第2モータ巻線280への通電を制御することで、片系統駆動によりモータ80が駆動される。片系統駆動では、単に一方の系統を停止し、独立駆動と同様に制御してもよいし、停止した系統分の出力を補うべく、ゲインや定格を高めてもよい。以下適宜、自系統を用いた制御を停止することを、「自系統停止」とする。マイコン間通信が正常ではないと判断された場合(S203:NO)、S205へ移行する。
S205では、異常監視部155は、グランド電位差ΔVが異常判定閾値TH_Aより小さいか否か判断する。異常判定閾値TH_Aは、正常時の系統間グランド電位差より絶対値が大きく、異常判定閾値TH_Cより絶対値が小さい負の値とする。グランド電位差ΔVが異常判定閾値TH_Aより小さいと判断された場合(S205:YES)、S206へ移行し、自系統グランド異常または複数故障が生じていると特定する。駆動制御部151は、自系統停止とする。グランド電位差ΔVが異常判定閾値TH_A以上であると判断された場合(S205:NO)、S207へ移行する。
S207では、異常監視部155は、グランド電位差ΔVが異常判定閾値TH_Bより大きいか否か判断する。異常判定閾値TH_Bは、正常時の系統間グランド電位差より大きく、異常判定閾値TH_Cより小さい正の値とする。また、異常判定閾値TH_A、TH_Bは、絶対値が等しくてもよいし、異なっていてもよい。グランド電位差ΔVが異常判定閾値TH_Bより大きいと判断された場合(S207:YES)、S208へ移行し、他系統グランド異常が生じていると特定する。駆動制御部151は、自系統での片系統駆動によりモータ80を駆動する。グランド電位差ΔVが異常判定閾値TH_B以下であると判断された場合(S207:NO)、S209へ移行する。
S209では、異常監視部155は、マイコン間通信異常が生じていると特定する。駆動制御部151は、第2系統L2の情報を用いない独立駆動にてモータ80の駆動を制御する。
グランド監視回路正常時のイニシャル監視処理を図11のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、イニシャルチェックでグランド監視回路が正常の場合、モータ80の駆動制御開始前のイニシャルチェックにて行われる。
S251では、異常監視部155は、マイコン間通信が正常か否かを判断する。マイコン間通信が正常であると判断された場合(S251:YES)、S252へ移行し、マイコン間通信が異常であると判断された場合(S251:NO)、S255へ移行する。
S252では、異常監視部155は、他系統リレー情報に基づき、他系統リレーがオンされているタイミングにて、他系統リレーがオンされているか否かを判断する。以下、他系統リレーがオンされているタイミングにてオン状態が正常に検出されることを「他系統リレー正常」、他系統リレーがオンされているタイミングにも関わらずオフ状態として検出されることを「他系統リレー異常」とする。他系統リレーが正常であると判断された場合(S252:YES)、S253へ移行し、他系統リレーが異常であると判断された場合(S252:NO)、S254へ移行する。
S253では、異常監視部155は、イニシャルチェックは正常であると判定する。また、駆動制御部151は、2系統での協調駆動にてモータ80の駆動を制御する。協調駆動では、制御回路部150、250にてマイコン間通信にて必要な情報を共有し、自系統の情報および他系統の情報を用いて、モータ80を駆動する。
S254では、異常監視部155は、マイコン間通信が正常であって、他系統リレーが異常であるため、他系統リレー監視回路139の異常とし、グランド監視回路異常を異常履歴として図示しない記憶部等に記憶させる。このとき、マイコン間通信異常が発生した場合、正しい異常判定ができない虞があるので、駆動制御部151は、自系統を用いたモータ80の駆動制御を停止する。
マイコン間通信が異常であると判断された場合(S251:NO)に移行するS255では、異常監視部155は、他系統リレー情報に基づき、他系統リレーが正常か否かを判断する。他系統リレーが異常であると判断された場合(S255:NO)、S256へ移行し、他系統が停止していると特定する。駆動制御部151は自系統での片系統駆動によりモータ80の駆動を制御する。他系統リレーが正常であると判断された場合(S255:YES)、S257へ移行し、マイコン間通信異常であると特定する。駆動制御部151は、独立駆動にてモータ80の駆動を制御する。
駆動中監視処理を図12のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、イニシャルチェック完了後、所定の周期で実施される。S301では、異常監視部155は、マイコン間通信が正常か否か判断する。マイコン間通信が正常であると判断された場合(S301:YES)、S302へ移行して正常判定する。また、このステップでは、マイコン間通信が正常であるので、他系統の状態はマイコン間通信で得られた情報に従い、駆動制御部151は、他系統駆動状態が停止であれば自系統での片系統制御とし、他系統が正常であれば協調制御にてモータ80の駆動制御を行う。以下、マイコン間通信および自系統の駆動系が正常である場合、マイコン間通信で得られた情報に従い、他系統駆動状態が停止であれば自系統での片系統駆動、他系統が正常であれば協調駆動にてモータ80の駆動制御を行うことを「通常駆動」とする。なお、駆動系とは、インバータ部120やモータ巻線180等、モータ電流の通電経路を構成する各種部品を意味する。また、他系統正常とは、他系統の駆動系が正常であって、協調駆動可能な状態である。マイコン間通信が異常であると判断された場合(S301:NO)、S303へ移行する。
S303では、異常監視部155は、グランド電位差ΔVが異常判定閾値TH_Dより小さいか否かを判断する。異常判定閾値TH_Dは、正常時の系統間グランド電位差より絶対値が大きく、グランド浮きを判定可能な任意の負の値とする。異常判定閾値TH_Dの絶対値は、異常判定閾値TH_A、TH_B、TH_Cの絶対値と等しくてもよいし、異なっていてもよい。グランド電位差ΔVが異常判定閾値TH_Dより小さいと判断された場合(S303:YES)、S304へ移行し、自系統グランド異常または複数故障が生じていると特定する。駆動制御部151は、自系統停止とする。グランド電位差ΔVが異常判定閾値TH_D以上であると判断された場合(S303:NO)、S305へ移行する。
S305では、異常監視部155は、他系統リレー情報に基づき、他系統リレーが正常か否か判断する。他系統リレーが異常であると判断された場合(S305:YES)、S306へ移行し、他系統マイコンが故障していると特定する。なお、イニシャルチェックにて他系統リレー監視回路が正常であることが確認されているため、ここでは他系統マイコンの故障とみなす。駆動制御部151は、自系統での片系統駆動によりモータ80の駆動制御を継続する。他系統リレーが正常であると判断された場合(S305:NO)、S307へ移行する。
S307では、異常監視部155は、グランド電位差ΔVが異常判定閾値TH_Eより大きいか否かを判断する。異常判定閾値TH_Eは、正常時の系統間グランド電位差より絶対値が大きく、グランド浮きを判定可能な任意の正の値とする。異常判定閾値TH_Eの絶対値は、異常判定閾値TH_A、TH_B、TH_C、TH_Dの絶対値と等しくてもよいし、異なっていてもよい。グランド電位差ΔVが異常判定閾値TH_Eより大きいと判断された場合(S307:YES)、S308へ移行し、他系統グランド異常が生じていると特定する。駆動制御部151は、自系統での片系統駆動によりモータ80の駆動制御を継続する。グランド電位差ΔVが異常判定閾値TH_E以下であると判断された場合(S307:NO)、S309へ移行し、マイコン間通信異常が生じていると特定する。駆動制御部151は、独立駆動にてモータ80の駆動制御を継続する。
第1制御回路部150は、第2制御回路部250が接続される第2グランドGND2とは分離された第1グランドGND1に接続される。すなわち本実施形態では、系統ごとにグランドが分離されている。系統ごとにグランドが分離されている場合、一方の系統にてグランド異常が生じると、他系統リレーがオンしているように見え、他系統リレー情報に基づく他系統監視が適切にできない虞がある。
本実施形態では、第1グランド監視回路161を設けることで、第1制御回路部150は、1つの端子電圧Vd1にて、自系統および他系統のグランド異常を検出可能である。同様に、第2グランド監視回路261を設けることで、第2制御回路部250は、1つの端子電圧Vd2にて、自系統および他系統のグランド異常を検出可能である。また、マイコン間通信、他系統リレー、および、グランド電位差ΔVを監視することで、発生している異常を適切に特定することができるので、発生している異常に応じた適切な制御モードを選択することができる。
以上説明したように、ECU10は、複数の制御回路部150、250と、グランド監視回路161、261と、を備える。制御回路部150、250は、それぞれ分離された回路電源137、237およびグランドGND1、GND2に接続される。
制御回路部150、250に対応して設けられる部品、回路電源137、237およびグランドGND1、GND2の組み合わせを系統とする。グランド監視回路161、261は、一端が電圧源に接続される抵抗171、271、一端が対応する制御回路部150、250の入力端子に接続される抵抗173、273、および、一端が抵抗173と入力端子との間に接続され、他端が自系統のグランドに接続されるコンデンサ174、274を有する。抵抗171、271の一端、抵抗171、271の他端、および、抵抗173、273の他端のうち、少なくとも1つは自系統に接続され、少なくとも1つは他系統に接続される。グランド監視回路161、261は、制御回路部150、250ごとに設けられる。
本実施形態では、グランド監視回路161は、一端が抵抗171と抵抗173との接続点に接続され、他端がグランドに接続される抵抗172を有する。また、グランド監視回路261は、一端が抵抗271と抵抗273との接続点に接続され、他端がグランドに接続される抵抗272を有する。また、抵抗171、271の一端は、自系統のプルアップ電源に接続され、他端が抵抗172、272を経由して他系統のグランドに接続される。
本実施形態では、プルアップ抵抗電源は、回路電源137、237とは、別途に設けられている。これにより、プルアップ抵抗電源電圧VAを、回路電源電圧とは別途に任意に設定可能であるので、グランド異常に係る任意の検出特性を設定することができる。
制御回路部150、250は、抵抗173、273が接続される入力端子であるADIN端子の端子電圧Vd1、Vd2に基づき、他系統のグランド異常を監視する。本実施形態では、端子電圧Vd1、Vd2に基づいて自系統および他系統のグランド異常を監視する。グランド監視回路161、261を設けることで、グランド異常を適切に検出することができる。また、抵抗173、273とコンデンサ174、274がフィルタ回路を構成しているので、電動パワーステアリング装置8のように大電流が通電されるシステムに適用された場合であっても、端子電圧のノイズが低減されるので、他系統のグランド異常を適切に検出することができる。
制御回路部150、250は、端子電圧Vd1、Vd2に基づいて自系統グランドと他系統グランドとの電位差であるグランド電位差ΔVを演算し、グランド電位差ΔVが正側の異常判定閾値+TH1より大きい場合、自系統グランドまたは他系統グランドの一方の異常であると判定し、グランド電位差ΔVが負側の異常判定閾値-TH1より小さい場合、自系統グランドまたは他系統グランドの他方の異常であると判定する。本実施形態では、グランド電位差ΔVが正側の異常判定閾値+TH1より大きい場合、他系統のグランド異常であると判定し、グランド電位差ΔVが負側の異常判定閾値-TH1より小さい場合、自系統のグランド異常であると判定する。これにより、第1制御回路部150は、1つの端子電圧Vd1に基づいて、自系統および他系統のグランド異常を適切に判定することができる。同様に、第2制御回路部250は、1つの端子電圧Vd2に基づいて、自系統および他系統のグランド異常を適切に判定することができる。なお、正側の異常判定閾値と負側の異常判定閾値の絶対値は、等しくてもよいし、異なっていてもよい。
それぞれの系統には、自系統に異常が生じた場合に遮断される電源リレー122、222、および、他系統の電源リレーの状態を取得する他系統リレー監視回路139、239が設けられる。制御回路部150、250は、相互に通信可能に設けられており、グランド電位差ΔV、制御回路部150、250間における通信状態、および、他系統リレーの状態に応じて異常状態を判定し、異常状態に応じて制御を変更する。
本実施形態では、他系統リレーを監視することで、他系統が駆動中か否かを監視している。ここで、グランド浮きやグランド断線等の異常により他系統が駆動を停止している場合、自系統側からみて、他系統リレーがオンされているように見える虞がある。本実施形態では、グランド異常を監視しているので、他系統リレーの状態を誤判定することがなく、他系統の駆動状態を適切に監視することができる。
制御回路部150、250は、正常時、制御回路部150、250間の通信にて共有した情報を用いて正常時制御を行う。本実施形態の正常時制御は、協調制御である。協調制御では、少なくとも一部の情報、例えば、電流制御に係る指令値や制限値、電流検出値等が複数系統にて共通に用いられる。制御回路部150、250間の通信が正常でないとき、グランド電位差ΔVが正常範囲外の場合、一方の系統のグランド異常と判定し、他方の系統での制御を行う。制御回路部150、250間の通信が正常でないとき、グランド電位差ΔVが正常範囲内であって、他系統リレーが正常である場合、通信異常と判定し、他系統の情報を用いない独立制御とする。独立制御では、他系統の情報を用いずに複数系統での制御とする。制御回路部150、250間の通信が正常でないとき、グランド電位差が正常範囲内であって、他系統リレーが異常である場合、他系統の制御回路部の異常と判定し、自系統での制御を行う。これにより、異常状態に応じた制御モードを選択することで、一部に異常が生じた場合であっても、制御を継続することができる。
制御回路部150、250は、制御回路部150、250間の通信が正常であって、グランド電位差ΔVが正常範囲外の場合、グランド監視回路161、261の異常であると判定する。本実施形態では、制御回路部150、250は、制御対象であるモータ80の制御を開始する前に、グランド監視回路161、261の異常判定を行う。これにより、グランド監視回路161、261の異常を適切に判定することができる。
制御回路部150、250は、制御回路部150、250間の通信が正常、かつ、グランド電位差のΔVが正常範囲内であって、他系統リレーの異常が検出された場合、他系統リレー監視回路139、239の異常であると特定する。ここで、「他系統リレーが異常」とは、他系統リレーがオンされているタイミングにおいて、他系統リレーがオンされていないと検出される状態である。本実施形態では、制御回路部150は、制御対象であるモータ80の制御を開始する前に、他系統リレー監視回路139、239の異常判定を行う。これにより、他系統リレーの監視に係る構成の異常を適切に特定することができる。
制御回路部150、250は、モータ80の駆動を制御する。また、電動パワーステアリング装置8は、ECU10と、モータ80と、を備える。制御回路部150、250は、上記構成を備えているので、モータ80の駆動制御に係る一部の構成に異常が生じた場合であっても、適切にモータ80の駆動を継続することができる。また、ECU10および制御回路部150、250は、電動パワーステアリング装置8に適用されているので、モータ80の駆動制御に係る構成の一部に異常が生じた場合であっても、適切に操舵のアシストを継続することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態を図13および図14に示す。本実施形態では、駆動中監視処理が上記実施形態と異なっているので、この点を中心に説明する。本実施形態の駆動中監視処理を図13および図14のフローチャートに基づいて説明する。
図13に示すように、S401では、異常監視部155は、マイコン間通信が正常か否かを判断する。マイコン間通信が正常であると判断された場合(S401:YES)、図14中のS411へ移行する。マイコン間通信が正常でないと判断された場合(S401:NO)、S402へ移行する。
S402では、異常監視部155は、グランド電位差ΔVが正の値である異常判定閾値TH_Eより大きいか否かを判断する。グランド電位差ΔVが異常判定閾値TH_E以下であると判断された場合(S402:NO)、S406へ移行する。グランド電位差ΔVが異常判定閾値TH_Eより大きいと判断された場合(S402:YES)、S403へ移行する。
S403では、異常監視部155は、他系統リレー情報が正常か否かを判断する。他系統リレー情報が正常であると判断された場合(S403:YES)、S404へ移行し、他系統リレー情報が異常であると判断された場合(S403:NO)、S405へ移行する。
S404では、異常監視部155は、他系統グランド異常、または、マイコン間通信異常およびグランド監視回路異常が生じていると特定する。駆動制御部151は、自系統での片系統駆動によりモータ80の駆動制御を継続する。S405では、異常監視部155は、他系統グランド異常、または、複数故障が生じていると特定する。駆動制御部151は、自系統での片系統駆動によりモータ80の駆動制御を継続する。なお、S404およびS405では、いずれも片系統駆動であって、処置が同じであるので、S403の判断ステップを省略してもよい。
グランド電位差ΔVが異常判定閾値TH_E以下であると判断された場合(S402:NO)に移行するS406では、異常監視部155は、グランド電位差ΔVが負の値である異常判定閾値TH_Dより小さいか否かを判断する。グランド電位差ΔVが異常判定閾値TH_D以上であると判断された場合(S406:NO)、S408へ移行する。グランド電位差ΔVが異常判定閾値TH_Dより小さいと判断された場合(S406:YES)、S407へ移行し、自系統グランド異常、または、複数故障が生じていると特定する。駆動制御部151は、自系統停止とする。
S408では、異常監視部155は、他系統リレーが正常か否か判断する。他系統リレーが異常であると判断された場合(S408:NO)、S409へ移行し、他系統リレーが正常であると判断された場合(S408:YES)、S410へ移行する。
S409では、異常監視部155は他系統が停止していると特定し、駆動制御部151は自系統での片系統駆動によりモータ80の駆動制御を継続する。S410では、異常監視部155はマイコン間通信が異常であると特定し、駆動制御部151は独立駆動にてモータ80の駆動を制御する。
図14に示すように、マイコン間通信が正常であると判断された場合(S401:YES)に移行するS411では、異常監視部155は、マイコン間通信にて取得された情報に基づき、他系統が通常制御中か否かを判断する。他系統が通常制御中であると判断された場合(S411:YES)、S415へ移行する。他系統が通常制御中ではないと判断された場合(S411:NO)、S412へ移行する。
S412では、異常監視部155は、マイコン間通信にて取得された情報に基づき、他系統が駆動停止しているか否かを判断する。他系統が駆動停止していないと判断された場合(S412:NO)、S413へ移行し、他系統が駆動停止していると判断された場合(S412:YES)、S414へ移行する。
S413では、異常監視部155は他系統が独立駆動していると特定し、駆動制御部151は独立駆動にてモータ80の駆動を制御する。S414では、異常監視部155は他系統が停止していると特定し、駆動制御部151は自系統での片系統駆動によりモータ80の駆動制御を継続する。
他系統が通常制御中であると判断された場合(S411:YES)に移行するS415では、異常監視部155は、グランド電位差ΔVの絶対値が異常判定閾値TH_Cより大きいか否かを判断する。グランド電位差ΔVの絶対値が異常判定閾値TH_Cより大きいと判断された場合(S415:YES)、S416へ移行する。S416では、グランド監視回路異常を異常履歴として図示しない記憶部等に記憶させ、駆動制御部151は、協調駆動にてモータ80の駆動制御を行う。グランド電位差ΔVの絶対値が異常判定閾値TH_C以下であると判断された場合(S415:NO)、S417へ移行する。
S417では、異常監視部155は、他系統リレーが正常か否か判断する。他系統リレーが異常であると判断された場合(S417:NO)、S418へ移行する。S418では、マイコン間通信が正常であるので、異常監視部155は、他系統リレー監視回路139が異常であると特定する。駆動制御部151は、自他系統リレー監視回路異常を異常履歴として図示しない記憶部等に記憶させ、駆動制御部151は、協調駆動にてモータ80の駆動制御を行う。他系統リレー情報が正常であると判断された場合(S417:YES)、S419へ移行し、正常判定する。駆動制御部151は、協調駆動にてモータ80の駆動を制御する。
本実施形態では、イニシャルチェック後、モータ駆動中において、S416にてグランド監視回路異常が検出された場合、および、S418にて他系統リレー監視回路異常が検出された場合、検出回路異常が生じていても、モータ80の駆動制御に係る構成は正常であるので、協調制御を継続している。一方、第1実施形態にて説明したように、イニシャルチェックにてグランド監視回路異常または他系統リレー監視回路異常が検出された場合、他系統監視ができないため、自系統停止としている。すなわち本実施形態では、グランド監視回路161または他系統リレー監視回路139の異常検出タイミングがイニシャルチェック中か駆動中かによって、処置が異なっている。
本実施形態では、イニシャルチェック後のモータ駆動制御中においても、グランド監視回路161、261および他系統リレー監視回路139、239の異常を監視しているので、より詳細に異常状態を特定することができる。また上記実施形態と同様の効果を奏する。
(第3実施形態)
第3実施形態を図15に示す。上記実施形態では、グランド電位差ΔVを用いた異常監視を行っている。ここで、例えば車両電源電圧の変動や配線抵抗の影響により、系統間で一時的なグランド電位差が生じる場合がある。そこで本実施形態では、外部要因による一時的なグランド電圧変動をグランド異常と誤判定することでの機能低下を防ぐべく、監視マスク処理を行う。監視マスク処理は、上記のいずれの実施形態とも組み合わせ可能である。
監視マスク処理を図15のフローチャートに基づいて説明する。S501では、異常監視部155は、推定グランド電位差ΔV_estを演算する。第1系統L1のグランド電圧変動Vf1は、第1系統L1の電源電流Vb1およびグランド配線抵抗R_gnd1から演算される(式(5)参照)。第2系統L2のグランド電圧変動Vf2は、第2系統L2の電源電流Ib2およびグランド配線抵抗R_gnd2から演算される(式(6))。参照。また、推定グランド電位差ΔV_estは、式(7)から演算される。
Vf1=Ib1×R_gnd1 ・・・(5)
Vf2=Ib2×R_gnd2 ・・・(6)
ΔV_est=Vf1-Vf2 ・・・(7)
グランド電圧変動Vf1、Vf2は、各系統の制御回路部150、250にて演算し、マイコン間通信にて共有してもよいし、電源電流Ib1、Ib2をマイコン間通信にて共有し、それぞれの制御回路部150、250にてグランド電圧変動Vf1、Vf2を演算してもよい。また、電源電流Ib1、Ib2に替えて、グランド電圧変動Vf1、Vf2を演算可能な情報(例えばインバータ電力または電源電圧等)をマイコン間通信にて共有してもよい。さらにまた、自系統および他系統の電源電流Ib1、Ib2を検出可能な回路を各系統に設けてもよい。ここで、推定グランド電位差ΔV_estは、外的要因等にて生じる電位差を推定した推定値であり、グランド電位差ΔVは、端子電圧に応じた検出値、と捉えることができる。また、推定グランド電位差ΔV_estは、端子電圧以外のパラメータからグランド電位差を推定した推定値、と捉えることもできる。
S502では、異常監視部155は、推定グランド電位差ΔV_estの絶対値が監視マスク判定値THm1より大きいか否か判断する。監視マスク判定値THm1は、マイコン間通信が成立しない程度の値であって、例えば第2実施形態の第2異常判定閾値より大きく、第1異常判定閾値より小さい値に設定される。推定グランド電位差ΔV_estの絶対値が監視マスク判定値THm1以下であると判定された場合(S502:NO)、S504へ移行する。S502で否定判断された場合、グランド電位差ΔVを用いた監視マスクを行わない。換言すると、グランド電位差ΔVを用いた異常監視を行う。推定グランド電位差ΔV_estの絶対値が監視マスク判定値THm1より大きいと判断された場合(S502:YES)、S503へ移行し、グランド電位差ΔVを用いた異常監視をマスクする。このとき、協調駆動に替えて、独立駆動にてモータ80を制御するように、制御を変更してもよい。
S504では、異常監視部155は、推定グランド電位差ΔV_estの絶対値が補正実施判定値THm2より大きいか否かを判断する。推定グランド電位差ΔV_estの絶対値が補正実施判定値TH_m2より大きいと判断された場合(S504:YES)、S505へ移行し、端子電圧に応じて演算されたグランド電位差ΔVを、推定グランド電位差ΔV_estで補正する。この場合、グランド電位差ΔVを推定グランド電位差ΔV_estで補正した値を用いて異常監視を行う。推定グランド電位差ΔV_estの絶対値が補正実施判定値TH_m2以下であると判断された場合(S504:NO)、推定グランド電位差ΔV_estでの補正を行わず、グランド電位差ΔVを用いた異常監視処理を行う。
補正実施判定値THm2は、監視マスク判定値THm1より小さい値に設定される。補正実施判定値THm2を0に設定し、推定グランド電位差ΔV_estによらず、常に推定グランド電位差ΔV_estによる補正を行ってもよい。グランド電位差ΔVに替えて、推定グランド電位差ΔV_estに基づいて異常判定閾値を補正してもよい。また、S504およびS505の処理を省略し、推定グランド電位差ΔV_estでの補正を行わなくてもよい。さらにまた、S502およびS503の処理を省略し、推定グランド電位差ΔV_estでの補正を行い、監視マスクは省略してもよい。
本実施形態では、制御回路部150、250は、グランド電位変動に応じた推定グランド電位差ΔV_estを演算し、推定グランド電位差ΔV_estの絶対値が、監視マスク判定値THm1より大きい場合、抵抗173、273が接続される端子電圧に基づくグランド異常監視を一時的に中止する。これにより、外部要因によるグランド電位変動による誤判定を防ぐことができる。
制御回路部150、250は、グランド電位変動に応じた推定グランド電位差ΔV_estを演算し、推定グランド電位差ΔV_estで補正したグランド電位差ΔVに基づいてグランド異常監視を行う。これにより、より適切にグランド異常を検出することができる。また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(第4実施形態)
第4実施形態を図16および図17に示す。第4実施形態~第8実施形態は、グランド監視回路が上記実施形態と異なる。図16に示すように、第1グランド監視回路162は、抵抗171の一端が第2プルアップ抵抗電源に接続されており、抵抗172の他端が自系統グランドである第1グランドGND1に接続されている点が第1実施形態の第1グランド監視回路161と異なる。また、第2グランド監視回路262は、抵抗271の一端が第1プルアップ抵抗電源に接続されており、抵抗272の他端が自系統グランドである第2グランドGND2に接続されている点が第1実施形態の第2グランド監視回路261と異なる。
プルアップ抵抗電源を他系統から取る場合、他系統のプルアップ抵抗電源電圧と自系統のADC入力参照電圧との差が生じやすいため、出荷時または電源投入後の電力消費が少ないときに初期補正をすることで検出精度を高めることができる。なお、第1実施形態のように、自系統からプルアップ抵抗電源を取る場合も同様に初期補正を行ってもよい。
図17に示すように、本実施形態では、回路特性の正負が第1実施形態とは逆になり、グランド電位差ΔVが0より大きい場合、他系統グランドに対して自系統グランドが浮いており、グランド電位差ΔVが0より小さい場合、自系統グランドに対して他系統グランドが浮いている。
実線C4のように、検出範囲を-15[V]~5[V]とする場合、例えばVrf=5[V]、VA=5[V]、ru=60[kΩ]、rd=20[kΩ]、Radof=0.25とすればよい。
実線C5のように、検出範囲を-5[V]~5[V]とする場合、例えばVrf=5[V]、VA=5[V]、ru=50[kΩ]、rd=50[kΩ]、Radof=0.5とすればよい。
実線C6のように、検出範囲を-15[V]~15[V]とする場合、例えばVrf=5[V]、VA=[5V]、ru=50[kΩ]、rd=10[kΩ]、Radof=0.5とすればよい。
本実施形態では、抵抗171、271の一端は、他系統のプルアップ電源に接続され、抵抗171、272の他端は、抵抗172、272を経由して自系統のグランドに接続される。また、グランド電位差ΔVが正側の異常判定閾値より大きい場合、自系統のグランド異常であると判定し、グランド電位差ΔVが負側の異常判定閾値より小さい場合、他系統のグランド異常であると判定する。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(第5実施形態、第6実施形態)
第5実施形態を図18、第6実施形態を図19に示す。第5実施形態の第1グランド監視回路163では、抵抗171の一端が第1制御回路部150の出力ポートに接続されている点が第1実施形態の第1グランド監視回路161と異なる。また、第2グランド監視回路263では、抵抗271の一端が第2制御回路部250の出力ポートに接続されている点が第1実施形態の第2グランド監視回路261と異なる。
第6実施形態の第1グランド監視回路164では、抵抗171の一端が第2制御回路部250の出力ポートに接続されている点が第4実施形態の第1グランド監視回路162と異なる。また、第2グランド監視回路264では、抵抗171の一端が第1制御回路部150の出力ポートに接続されている点が第4実施形態の第2グランド監視回路262と異なる。図中、出力ポートを「GPO」と記載する。
抵抗171、271を出力ポートにプルアップすることで、マイコンにて出力をオンオフできるため、例えばイニシャルチェック等にて、グランド監視回路163、263の異常検出が可能となる。
本実施形態では、抵抗171、271の一端は、電圧源として自系統または他系統の制御回路部150、250の出力端子に接続される。本実施形態では、抵抗171、271が接続される出力端子を「電圧源」とする。これにより、グランド監視回路への電力供給のオンオフを切替可能であるので、グランド監視回路の異常検出を容易に行うことができる。また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(第7実施形態)
第7実施形態を図20に示す。第7実施形態の第1グランド監視回路165では抵抗172が省略されており、第2グランド監視回路265では抵抗272が省略されている点が第4実施形態のグランド監視回路162、262と異なる。これにより、自系統のグランド浮きを監視できないものの、他系統のグランド浮きは監視可能であって、グランド監視回路に係る構成を簡略化することができる。このように構成しても上記実施形態と同様の効果を奏する。
(第8実施形態)
第8実施形態を図21に示す。第8実施形態の第1グランド監視回路166では、抵抗171の一端が回路電源137に接続され、抵抗172の他端が自系統グランドである第1グランドGND1に接続される。また、第1制御回路部150のADREF+端子が回路電源137に接続され、ADREF-端子が第1グランドGND1に接続される。さらにまた、抵抗173の他端は、第2グランド監視回路266の抵抗271、272の間に接続される。
第2グランド監視回路266では、抵抗271の一端が回路電源237に接続され、抵抗172の他端が自系統グランドである第2グランドGND2に接続される。また、第2制御回路部250のADREF+端子が回路電源237に接続され、ADREF-端子が第2グランドGND2に接続される。さらにまた、抵抗273の他端は、第1グランド監視回路166の抵抗171、172の間に接続される。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
上記実施形態では、ECU10が「制御装置」、抵抗171、271が「第1抵抗」、抵抗173、273が「第2抵抗」、抵抗172、272が「第3抵抗」、ADIN端子が「入力端子」に対応する。また、電源リレー122、222が「遮断部」に対応し、他系統リレー監視回路139、239が「他系統遮断部監視回路」に対応する。第1実施形態にて説明した通り、遮断部は、インバータ120、220、電源リレー122、222、および、モータリレー125、225の少なくとも1つとしてもよい。また、第1制御回路部150において、第2電源リレー222が「他系統遮断部」に対応し、第2制御回路部250において、第1電源リレー122が「他系統遮断部」に対応する。
(他の実施形態)
第1実施形態では、異常判定閾値として、確実に通信異常となる値(例えば3[V])とした。他の実施形態では、異常判定閾値を、第2実施形態の第2異常判定閾値のように、正常動作が可能であって、正常時の系統間グランド電位差より大きい値(例えば0.8[V])としてもよい。この場合、例えば、第1系統のグランド浮きが異常判定閾値を超えたら、第1系統を遮断動作とし、第2系統では、通信または他系統リレー監視により第1系統の遮断を確認してから片系統駆動に移行する。この場合、系統間の検出精度差で、故障箇所の特定ができなくなるため、故障箇所に応じて処置方法を変える場合は、自系統と他系統とで閾値マージンや入力フィルタマージンを設けるなどの処置を行うことが望ましい。
また例えば、第1系統のグランド浮きが異常判定閾値を超え、かつ、通信が途絶した場合、第1系統を遮断し、第2系統は、他系統リレー監視により、第1系統の遮断を確認してから片系統駆動に移行するようにしてもよい。
上記実施形態では、イニシャルチェックにて、グランド監視回路または他系統リレー監視回路の異常が検出された場合、自系統での駆動を停止する。グランド監視回路または他系統リレー監視回路の異常が検出された場合、監視は無効となるが、他系統監視に係る構成以外が正常であれば、自系統での通電制御を行うことができる。そこで他の実施形態では、図10中のS204にて、イニシャルチェックにてグランド監視回路が異常であると特定された場合、駆動系およびマイコン間通信が正常であれば、通常駆動にてモータの駆動制御を開始してもよい。同様に、図11中のS254にて、イニシャルチェックにて他系統リレー監視回路が異常であると特定された場合、駆動系およびマイコン間通信が正常であれば、通常駆動にてモータの駆動制御を開始してもよい。これにより、監視回路が異常であっても、トルクの出力を継続することができる。また他の実施形態では、グランド監視回路および他系統リレー監視回路の少なくとも一方の異常がイニシャルチェックにて検出された場合、他系統監視機能をマスクしてもよい。
第2実施形態では、駆動中監視処理にて、グランド監視回路または他系統リレー監視回路に異常が生じた場合、異常履歴を記憶し、協調制御を継続する。ここで、グランド監視回路または他系統リレー監視回路が異常の状態で、マイコン間通信異常となった場合、自系統停止としてもよいし、監視回路異常が生じていてもモータの駆動制御に係る構成は正常であるので、独立駆動または片系統駆動にてモータの駆動制御を継続するようにしてもよい。
上記実施形態では、モータ巻線、インバータ部および制御回路部が2つずつ設けられる。他の実施形態では、巻線組、インバータ部および制御回路部を3つ以上設け、3系統以上としてもよい。また、1つの系統に制御回路部を複数設ける、あるいは、1つの制御回路部に対して複数のインバータ部およびモータ巻線を設ける、といった具合に、各系統の部品を複数設けてもよい。また、複数のインバータ部に対して1組のモータ巻線を設けてもよい。
上記実施形態では、回転電機は、3相のブラシレスモータである。他の実施形態では、回転電機は、ブラシレスモータに限らず、どのようなモータとしてもよい。また、回転電機は、モータに限らず、発電機であってもよいし、電動機と発電機の機能を併せ持つ、所謂モータジェネレータであってもよい。上記実施形態では、制御装置は、電動パワーステアリング装置に適用される。他の実施形態では、制御装置を電動パワーステアリング装置以外の装置に適用してもよい。他の装置に適用される場合、制御対象はモータ以外であってもよい。
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。