JP7205658B2 - 物理量推定システムおよび物理量推定方法 - Google Patents

物理量推定システムおよび物理量推定方法 Download PDF

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Description

本発明は、物理量推定システムおよび物理量推定方法に関し、例えば、樹脂複合材料の配合割合に応じた物理量の値を推定する技術に適用して有効な技術に関する。
特開2020-77257号公報(特許文献1)には、人工知能を活用して、設計対象となる材料の物性を推定する技術が記載されている。
特開2020-77257号公報
近年、複数種類の樹脂や配合剤を複合化することにより、樹脂自体の特性に新たな性能を付与した複合材料が開発されている。この点に関し、新規な複合材料の開発には、複合材料が所望の特性を有するまで各組成物の組成比を調整しながら材料開発を行う必要がある。このことから、複合材料の開発には、膨大なコストがかかる。したがって、複合材料開発の効率化を図る観点から、実験計画段階で実験すべき複合材料の物理量をある程度推定できることが望ましい。ところが、例えば、電線被覆材料用の複合材料は、配合剤の種類が多く、また、配合組成比によって物理量の値が大きく変化することがある。このことから、複合材料に対する物理量の値を推定することは難しい。以上のことから、複合材料に対する物理量の値を高精度に推定できる技術が望まれている。
一実施の形態における物理量推定システムは、複数の異なる材料に含まれる2以上の材料を構成材料として含む複合材料に対する物理量の値を推定する物理量推定システムである。ここで、物理量推定システムは、物理量の値が未知である第1複合材料の第1合成特性値を入力すると、第1複合材料に対する物理量の値を出力する近似関数を生成する近似関数生成部と、第1複合材料に含まれる構成材料の第1配合割合と第1複合材料に含まれる構成材料のそれぞれに対応した第1関連データとに基づいて、第1複合材料の第1合成特性値を算出する合成特性値算出部と、第1合成特性値と近似関数とに基づいて、第1複合材料に対する物理量の値を推定する物理量推定部とを備える。
また、一実施の形態における物理量推定システムは、複数の異なる材料ごとに材料の特性値と材料に対する物理量の値とを関係付けた関連データを複数記憶する関連データ記憶部と、複数の異なる材料に含まれる2以上の材料を構成材料として含む複合材料であって、対応する物理量の値が既知の複合材料に含まれる構成材料の配合割合を入力する配合割合入力部と、複数の関連データの中から、構成材料のそれぞれに対応した関連データを抽出する関連データ抽出部と、配合割合に基づいて、構成材料のそれぞれに対応した関連データに含まれる特性値を合成する演算を行うことにより、複合材料の合成特性値を算出する合成特性値算出部と、合成特性値と複合材料に対する物理量の値とを関係付ける合成関連データを生成する合成関連データ生成部と、合成関連データに基づいて、対応する物理量の値が未知である第1複合材料の第1合成特性値を入力すると、第1複合材料に対する物理量の値を出力する近似関数を生成する近似関数生成部とを備える。
ここで、配合割合入力部は、第1複合材料に含まれる構成材料の第1配合割合を入力し、関連データ抽出部は、複数の関連データの中から、第1複合材料に含まれる構成材料のそれぞれに対応した第1関連データを抽出し、合成特性値算出部は、第1配合割合と第1関連データとに基づいて、第1複合材料の第1合成特性値を算出する。
そして、物理量推定システムは、さらに、第1合成特性値と近似関数とに基づいて、第1配合割合に対応する物理量の値を推定する物理量推定部と、物理量推定部で推定された前記物理量の値を出力する出力部とを有する。
一実施の形態における物理量推定方法は、複数の異なる材料に含まれる2以上の材料を構成材料として含む複合材料に対する物理量の値を推定する物理量推定方法である。ここで、物理量推定方法は、物理量の値が未知である第1複合材料の第1合成特性値を入力すると、第1複合材料に対する物理量の値を出力する近似関数を生成する近似関数生成工程と、第1複合材料に含まれる構成材料の第1配合割合と第1複合材料に含まれる構成材料のそれぞれに対応した第1関連データとに基づいて、第1複合材料の第1合成特性値を算出する合成特性値算出工程と、第1合成特性値と近似関数とに基づいて、第1複合材料に対する物理量の値を推定する物理量推定工程とを備える。
また、一実施の形態における物理量推定方法は、複数の異なる材料ごとに材料の特性値と材料に対する物理量の値とを関係付けた関連データを関連データ記憶部に複数記憶する関連データ記憶工程と、複数の異なる材料に含まれる2以上の材料を構成材料として含む複合材料であって、対応する物理量の値が既知の複合材料に含まれる構成材料の配合割合を入力する配合割合入力工程と、複数の関連データの中から、構成材料のそれぞれに対応した関連データを抽出する関連データ抽出工程と、配合割合に基づいて、構成材料のそれぞれに対応した関連データに含まれる特性値を合成する演算を行うことにより、複合材料の合成特性値を算出する合成特性値算出工程と、合成特性値と複合材料に対する物理量の値とを関係付ける合成関連データを生成する合成関連データ生成工程と、合成関連データに基づいて、対応する物理量の値が未知である第1複合材料の第1合成特性値を入力すると、第1複合材料に対する物理量の値を出力する近似関数を生成する近似関数生成工程とを備える。
ここで、入力工程は、第1複合材料に含まれる構成材料の第1配合割合を入力し、関連データ抽出工程は、複数の関連データの中から、第1複合材料の構成材料のそれぞれに対応した第1関連データを抽出し、合成特性値算出工程は、第1配合割合と第1関連データとに基づいて、第1複合材料の第1合成特性値を算出する。
そして、物理量推定方法は、さらに、第1合成特性値と近似関数とに基づいて、第1配合割合に対応する物理量の値を推定する物理量推定工程と、物理量推定工程で推定した物理量の値を出力する出力工程とを有する。
一実施の形態によれば、複合材料に対する物理量の値を高精度に推定できる。
物理量推定装置のハードウェア構成の一例を示す図である。 物理量推定装置の機能を示す機能ブロック図である。 近似関数を生成するための機械学習を説明する図である。 近似関数の生成動作を説明するフローチャートである。 評価対象の複合材料に対する物理量の値を推定する動作を説明するフローチャートである。 物理量推定システムを物理量推定装置と近似関数生成装置から構成する例を示す機能ブロック図である。 物理量推定装置の機能を示す機能ブロック図である。 レベル用近似関数を生成するための機械学習を説明する図である。 近似関数を生成するための機械学習を説明する図である。 レベル用近似関数の生成動作を説明するフローチャートである。 近似関数の生成動作を説明するフローチャートである。 評価対象の複合材料に対する物理量の値を推定する動作を説明するフローチャートである。 (a)は近似関数を生成する際に使用した複合材料の一例を示す表であり、(b)は評価対象となる複合材料の一例を示す表である。 関連技術を使用して、図13(b)に示す評価対象の複合材料に対する物理量を推定した結果を示すグラフであり、実施の形態における技術的思想を使用して、図13(b)に示す評価対象の複合材料に対する物理量を推定した結果を示すグラフである。
実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
本実施の形態における技術的思想は、複数種類の樹脂や配合剤を複合化した複合材料での配合割合に対応する物理量の値を推定する物理量推定システムに関する思想である。
ここで、複合材料は、例えば、樹脂や配合剤を含む電線被覆材料を挙げることができ、物理量としては、例えば、複合材料の伸び特性を挙げることができる。
樹脂は、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレンアクリル酸共重合体などのポリオレフィンや、塩素化ポリエチレンなどのエラストマである。一方、配合剤としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、シリカなどのフィラー、可塑剤、架橋剤および安定剤を挙げることができる。ただし、複合材料を構成する樹脂や配合剤などの組成物の種類や数は、限定されるものではない。
<関連技術の説明>
まず、配合割合に対応する物理量の値を推定する物理量推定システムに関する関連技術について説明する。本明細書でいう「関連技術」とは、公知技術ではないが、本発明者が見出した課題を有する技術であって、本願発明の前提となる技術である。
例えば、物理量推定システムとして、複合材料を構成する構成材料の材料名と構成材料の配合割合を入力すると、この複合材料の物理量の値を出力する近似関数に基づいて、複合材料の物理量の値を推定する関連技術が考えられる。この関連技術では、例えば、構成材料の材料名および構成材料の配合割合とこの配合割合に対応する物理量の値が既知のデータを教師データとして、入力を材料名および配合割合とするとともに出力を物理量の値とする近似関数を生成する。
ところが、関連技術では、物理量の値の推定対象が、近似関数を生成するために使用した教師データに含まれる構成材料に限定される。すなわち、近似関数を生成するために使用されなかった構成材料が、評価対象となる複合材料に含まれている場合、この複合材料の物理量の値の推定精度が低下する。なぜなら、関連技術では、近似関数の入力パラメータを構成材料の材料名としていることから、入力パラメータの合成を行うことができないからである。この点についてわかりやすく説明する。
例えば、「高密度ポリエチレン」という材料名に対して「100」という物理量の値を関係付けたデータと、「低密度ポリエチレン」という材料名に対して「200」という物理量の値を関係付けたデータを教師データとして、関連技術の近似関数を生成したとする。
この場合、例えば、複合材料の構成材料として「高密度ポリエチレン」と「低密度ポリエチレン」とを含み、構成材料の配合割合が50:50である複合材料に対する物理量の値を関連技術で生成された近似関数を使用して推定することを考える。
まず、関連技術において、複合材料に対する入力パラメータを得るために、複合材料を構成する構成材料に対する入力パラメータを合成することを考えると、「高密度ポリエチレン」×0.5+「低密度ポリエチレン」×0.5となり、「材料名」×「数値」という演算となることから、入力パラメータの合成という演算自体が意味をなさない。
ただし、「高密度ポリエチレン」という材料名に対して「100」という物理量の値を関係付けたデータと、「低密度ポリエチレン」という材料名に対して「200」という物理量の値を関係付けたデータを教師データとして使用している。このことから、この場合、入力パラメータの合成という演算を行わなくても、関連技術で生成された近似関数では、複合材料に対する物理量の値が、「100」×0.5+「200」×0.5=「150」と推定することができると想定される。つまり、関連技術では、教師データに使用された「高密度ポリエチレン」と「低密度ポリエチレン」とを含む複合材料に対しては、物理量の値を高精度に推定することができると考えられる。
これに対し、例えば、複合材料の構成材料として、「ポリオレフィン」と「高密度ポリエチレン」とを含み、構成材料の配合割合が70:30である複合材料に対する物理量の値を関連技術で生成された近似関数を使用して推定することを考える。
この場合も、まず、複合材料に対する入力パラメータを得るために、複合材料を構成する構成材料に対する入力パラメータを合成することを考えると、「ポリオレフィン」×0.7+「高密度ポリエチレン」×0.3となり、「材料名」×「数値」という演算となることから、入力パラメータの合成という演算自体が意味をなさない。
さらに、この場合、複合材料の構成材料として、教師データに含まれていない「ポリオレフィン」が含まれている。この結果、関連技術で生成された近似関数では、「ポリオレフィン」に対する物理量の値を把握することが困難であるため、複合材料の物理量の値が、「???」×0.7+「100」×0.3となり、「ポリオレフィン」と「高密度ポリエチレン」とを含む複合材料に対して、物理量の値を高精度に推定することが困難となる。
これは、入力パラメータを材料名とする近似関数では、入力パラメータ同士の合成演算ということが意味をなさないことから、教師データに使用していない構成材料を含む複合材料に対する物理量の値の推定精度が低下するのである。
以上のことから、関連技術には、近似関数を生成するために使用されなかった構成材料を含む複合材料に対する物理量の値を精度良く推定する観点から改善の余地が存在する。
そこで、本実施の形態では、関連技術に存在する改善の余地に対する工夫を施している。以下では、この工夫を施した本実施の形態における技術的思想について説明する。
<実施の形態における基本思想>
まず、本発明者は、関連技術では、合成演算することが困難な材料名という入力パラメータを使用している結果、教師データに使用していない構成材料を含む複合材料に対する物理量の値の推定精度が低下することに問題の本質があることに着目した。そして、本発明者は、例えば、合成演算することが容易な構成材料に関する入力パラメータを使用すれば、教師データに使用していない構成材料を含む複合材料に対する物理量の値の推定精度を向上できるのではないかという知見を獲得した。
この点に関し、基本思想は、構成材料に関する入力パラメータとして数値で表されることができるパラメータを使用すれば、合成演算することが可能となることから、教師データに使用していない構成材料を含む複合材料に対する物理量の値の推定精度を向上できるという思想である。以下では、この点について具体的に説明する。
例えば、入力パラメータ「50」に対して、物理量の値「100」を関係付けるデータと、入力パラメータ「100」に対して、物理量の値「150」を関係付けるデータを教師データとして、近似関数を生成したとする。
この点に関し、まず、例えば、複合材料の構成材料として、入力パラメータが「50」の構成材料と入力パラメータが「100」の構成材料とを含み、構成材料の配合割合が50:50である複合材料に対する物理量の値を上述した近似関数を使用して推定することを考える。この場合、複合材料に対する入力パラメータを得るために、複合材料を構成する構成材料に対する入力パラメータを合成することを考えると、「50」×0.5+「100」×0.5=「75」となり、「数値」×「数値」という演算となることから、入力パラメータの合成という演算を容易に実行することができる。これにより、複合材料に対する入力パラメータ「75」を得ることができることから、この入力パラメータ「75」を基本思想における近似関数に入力することにより、複合材料に対する物理量の値を推定することができる。したがって、基本思想によれば、教師データに使用した構成材料を含む複合材料に対して、物理量の値を高精度に推定できることがわかる。
続いて、例えば、複合材料の構成材料として、入力パラメータが「50」の構成材料と入力パラメータが「75」の構成材料とを含み、構成材料の配合割合が50:50である複合材料に対する物理量の値を上述した近似関数を使用して推定することを考える。
この場合、複合材料の構成材料として、教師データに含まれていない入力パラメータ「75」の構成材料が含まれている。ただし、基本思想では、入力パラメータとして数値で表されるパラメータを使用している。このため、基本思想では、複合材料に対する入力パラメータを得るために、複合材料を構成する構成材料に対する入力パラメータを合成することができる。具体的に、複合材料を構成する構成材料に対する入力パラメータを合成することを考えると、「50」×0.5+「75」×0.5=「62.5」となり、「数値」×「数値」という演算となることから、入力パラメータの合成という演算を容易に実行することができる。これにより、複合材料に対する入力パラメータ「62.5」を得ることができることから、この入力パラメータ「62.5」を基本思想における近似関数に入力することにより、複合材料に対する物理量の値を推定することができる。したがって、基本思想によれば、教師データに使用しない新規構成材料を含む複合材料に対しても、物理量の値を高精度に推定できることがわかる。これは、基本思想では、構成材料に関する入力パラメータとして数値で表されることができるパラメータという、合成することが容易な入力パラメータを使用している結果である。このように、基本思想の本質は、構成材料に関する入力パラメータとして合成演算することが可能な数値を使用する点にある。
ここで、構成材料に関する入力パラメータとして数値で表されることができるパラメータとして、本発明者は、構成材料の特性値に着目している。
すなわち、本実施の形態における基本思想は、複合材料を構成する構成材料の特性値(数値)と構成材料の配合割合に基づいて生成された近似関数を使用することにより複合材料に対する物理量の値を推定する思想である。
この基本思想によれば、構成材料の特性値と構成材料の配合割合に基づいて生成された近似関数を使用することから、以下に示すような効果を得ることができる。
例えば、関連技術のように構成材料の材料名と構成材料の配合割合に基づいて生成された近似関数では、入力パラメータを構成材料の材料名と構成材料の配合割合としている。このことから、近似関数を生成するために使用されなかった新規構成材料が、評価対象となる複合材料の中に含まれる場合、近似関数を生成する際に使用された構成材料の材料名と新規構成材料の材料名との合成演算という概念が意味をなさないため、この複合材料に対する物理量の値の推定精度が低下することになる。すなわち、関連技術で生成された近似関数は、高精度に物理量の値を推定できる複合材料の適用範囲が狭くなる。
特に、関連技術では、近似関数を生成するために使用されなかった新規構成材料の材料名(新規材料名)がわかったとしても、対応する物理量の値がわからないと、関連技術で生成された近似関数では、評価対象となる複合材料に対する物理量を高精度に推定することはできない。言い換えれば、関連技術で生成された近似関数では、教師データに使用されている構成材料だけを含む複合材料でしか物理量を高精度に推定することはできない。
これに対し、本実施の形態における基本思想では、構成材料の特性値と構成材料の配合割合に基づいて近似関数を生成している。この場合、たとえ、評価対象となる複合材料の中に、近似関数を生成するために使用されなかった新規構成材料が含まれたとしても、この新規構成材料に対応する特性値がわかれば、複合材料に対する物理量の値を高精度に推定することができる。なぜなら、構成材料の特性値は、数値で表されることができるため、合成演算することが可能となるからである。
このように、基本思想で生成された近似関数の適用範囲は、関連技術で生成された近似関数の適用範囲よりも広く、たとえ、評価対象となる複合材料の中に、教師データに使用されなかった新規構成材料を含む場合であっても、複合材料に対する物理量を高精度に推定できる点で大きな技術的意義を有していることになる。すなわち、関連技術で生成された近似関数の適用範囲は教師データの範囲に限定されるが、基本思想で生成された近似関数の適用範囲は教師データの範囲に限定されない点で、基本思想は優れた技術的思想であるということができる。例えば、基本思想によると、近似関数を生成するために使用されなかった新規構成材料に対する特性値をデータベースとして蓄積することによって、近似関数の生成時には考慮されていなかった新規構成材料を含む複合材料に対する物理量を高精度に推定できる。さらには、基本思想における近似関数を使用することによって、データベースに蓄積されていない新規構成材料であっても、何らかの手段で、この新規構成材料の特性値を取得することができれば、新規構成材料を含む複合材料に対する物理量を高精度に推定できる点で、基本思想で生成された近似関数の活用範囲は大きい。
ここで、「特性値」とは、例えば、熱特性、機械特性、物性などをいう。例えば、熱特性には、融解熱、メルトフローレートなどが含まれる。また、物性には、比重が含まれる。一方、「物理量」とは、伸び特性などを想定している。
本明細書では、「特性値」と「物理量の値」は明確に区別して使用する。具体的に、「特性値」は、近似関数の生成および近似関数の入力に使用されるパラメータである。一方、「物理量の値」は、近似関数から出力される値であって、本実施の形態における物理量推定システムで推定される目的の値である。
以下では、主に、この基本思想を具現化した物性値推定システムを単体のコンピュータから構成する例を取り上げて説明するが、本実施の形態における物理量推定システムは、複数のコンピュータからなる分散システムで実現することも可能である。
<物理量推定装置の構成>
<<ハードウェア構成>>
まず、本実施の形態おける物理量推定装置のハードウェア構成について説明する。
図1は、本実施の形態における物理量推定装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。なお、図1に示す構成は、あくまでも物理量推定装置100のハードウェア構成の一例を示すものであり、物理量推定装置100のハードウェア構成は、図1に記載されている構成に限らず、他の構成であってもよい。
図1において、物理量推定装置100は、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)101を備えている。このCPU101は、バス113を介して、例えば、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、および、ハードディスク装置112と電気的に接続されており、これらのハードウェアデバイスを制御するように構成されている。
また、CPU101は、バス113を介して入力装置や出力装置とも接続されている。入力装置の一例としては、キーボード105、マウス106、通信ボード107、および、スキャナ111などを挙げることができる。一方、出力装置の一例としては、ディスプレイ104、通信ボード107、および、プリンタ110などを挙げることができる。さらに、CPU101は、例えば、リムーバルディスク装置108やCD/DVD-ROM装置109と接続されていてもよい。
物理量推定装置100は、例えば、ネットワークと接続されていてもよい。例えば、物理量推定装置100がネットワークを介して他の外部機器と接続されている場合、物理量推定装置100の一部を構成する通信ボード107は、LAN(ローカルエリアネットワーク)、WAN(ワイドエリアネットワーク)やインターネットに接続されている。
RAM103は、揮発性メモリの一例であり、ROM102、リムーバルディスク装置108、CD/DVD-ROM装置109、ハードディスク装置112の記録媒体は、不揮発性メモリの一例である。これらの揮発性メモリや不揮発性メモリによって、物理量推定装置100の記憶装置が構成される。
ハードディスク装置112には、例えば、オペレーティングシステム(OS)201、プログラム群202、および、ファイル群203が記憶されている。プログラム群202に含まれるプログラムは、CPU101がオペレーティングシステム201を利用しながら実行する。また、RAM103には、CPU101に実行させるオペレーティングシステム201のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一次的に格納されるとともに、CPU101による処理に必要な各種データが格納される。
ROM102には、BIOS(Basic Input Output System)プログラムが記憶され、ハードディスク装置112には、ブートプログラムが記憶されている。物理量推定装置100の起動時には、ROM102に記憶されているBIOSプログラムおよびハードディスク装置112に記憶されているブートプログラムが実行され、BIOSプログラムおよびブートプログラムにより、オペレーティングシステム201が起動される。
プログラム群202には、物理量推定装置100の機能を実現するプログラムが記憶されており、このプログラムは、CPU101により読み出されて実行される。また、ファイル群203には、CPU101による処理の結果を示す情報、データ、信号値、変数値やパラメータがファイルの各項目として記憶されている。
ファイルは、ハードディスク装置112やメモリなどの記録媒体に記録される。ハードディスク装置112やメモリなどの記録媒体に記録された情報、データ、信号値、変数値やパラメータは、CPU101によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・処理・編集・出力・印刷・表示に代表されるCPU101の動作に使用される。例えば、上述したCPU101の動作の間、情報、データ、信号値、変数値やパラメータは、メインメモリ、レジスタ、キャッシュメモリ、バッファメモリなどに一次的に記憶される。
物理量推定装置100の機能は、ROM102に記憶されたファームウェアで実現されていてもよいし、あるいは、ソフトウェアのみ、素子・デバイス・基板・配線に代表されるハードウェアのみ、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実現されていてもよい。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、ハードディスク装置112、リムーバルディスク、CD-ROM、DVD-ROMなどに代表される記録媒体に記録される。プログラムは、CPU101により読み出されて実行される。すなわち、プログラムは、コンピュータを物理量推定装置100として機能させるものである。
このように、物理量推定装置100は、処理装置であるCPU101、記憶装置であるハードディスク装置112やメモリ、入力装置であるキーボード105、マウス106、通信ボード107、出力装置であるディスプレイ104、プリンタ110、通信ボード107を備えるコンピュータである。そして、物理量推定装置100の機能は、処理装置、記憶装置、入力装置、および、出力装置を利用して実現される。
<<機能ブロック構成>>
次に、物理量推定装置100の機能ブロック構成について説明する。
図2は、物理量推定装置の機能を示す機能ブロック図である。
物理量推定装置100は、入力部301と、関連データ抽出部302と、合成特性値算出部303と、合成関連データ生成部304と、近似関数生成部305と、物理量推定部306と、出力部307と、データ記憶部308とを有している。
入力部301は、関連データを入力するように構成されている。ここで、「関連データ」とは、複数の異なる材料ごとに材料の特性値と材料に対する物理量の値とを関係付けたデータをいう。関連データは、例えば、材料名と特性値と物理量の値とを対応づけたデータである。入力部301に入力された関連データは、データ記憶部308に記憶される。このデータ記憶部308は、複数の関連データを記憶するデータベースとして機能する。
また、入力部301は、複数の異なる材料に含まれる2以上の材料を構成材料として含む複合材料であって、対応する物理量の値が既知の複合材料に含まれる構成材料の配合割合を入力するように構成されている。入力部301に入力された配合割合もデータ記憶部308に記憶される。さらに、入力部301は、対応する物理量の値が既知の複合材料に含まれる構成材料の配合割合だけでなく、対応する物理量の値が未知の複合材料に含まれる構成材料の配合割合も入力するように構成されている。そして、この配合割合もデータ記憶部308に記憶される。
関連データ抽出部302は、データ記憶部308に記憶されている複数の関連データの中から、複合材料に含まれる構成材料のそれぞれに対応した関連データを抽出するように構成されている。例えば、関連データ抽出部302は、複合材料に含まれる構成材料が「ポリオレフィン」と「ポリエチレン」である場合、複数の関連データの中から、「ポリオレフィン」に対応した関連データと、「ポリエチレン」に対応した関連データとを抽出するように構成されている。
合成特性値算出部303は、入力部301に入力された配合割合に基づいて、複合材料を構成する構成材料のそれぞれに対応した関連データに含まれる特性値を合成する演算を行うことにより、複合材料の合成特性値を算出するように構成されている。
例えば、複合材料の構成材料として、特性値が「50」の構成材料と特性値が「75」の構成材料とを含み、構成材料の配合割合が50:50である複合材料を考える。この場合、合成特性値算出部303は、「50」×0.5+「75」×0.5=「62.5」という合成演算を行って、合成特性値「62.5」を算出する。
合成特性値としては、例えば、複合材料の合成融解熱、複合材料の合成メルトフローレートなどが含まれる。
合成関連データ生成部304は、合成特性値算出部303で算出された合成特性値と複合材料に対する物理量の値とを関係付ける合成関連データを生成するように構成されている。この合成関連データの生成は、入力部301に入力された複合材料であって、対応する物理量が既知の複合材料について行われる。例えば、上述した例における複合材料に対する物理量の値が「150」である場合、合成関連データ生成部304は、合成特性値「62.5」と物理量の値「150」とを関係付けた合成関連データを生成する。生成された合成関連データは、データ記憶部308に記憶される。
近似関数生成部305は、合成関連データ生成部304で生成された合成関連データに基づいて、近似関数を生成する機能を有する。つまり、近似関数生成部305は、合成特性値と物理量の値とを関係付ける近似関数を生成するように構成されている。具体的に、図3に示すように、近似関数生成部305は、合成関連データを教師データとして、入力を合成特性値とするとともに出力を物理量の値とする近似関数を生成するように構成されている。
ここで、「近似関数」とは、合成特性値を入力すると、この合成特性値に応じた物理量の値を出力する関数として定義される。すなわち、「近似関数」とは、物理量の値との対応関係が未知の複合材料の合成特性値が入力された場合に、この合成特性値で実現されると推測される物理量の値を出力する関数として定義される。このように、近似関数は、物理量の値との対応関係が未知の複合材料に対する物理量の値を推定することに使用される関数ということができる。
物理量推定部306は、第1複合材料の第1配合割合と第1関連データとに基づいて合成特性値算出部303で算出された第1合成特性値と、近似関数生成部305で生成された近似関数とに基づいて、第1複合材料に対応する物理量の値を推定する機能を有する。
なお、「第1複合材料」とは、複数の異なる材料に含まれる2以上の材料を構成材料として含む複合材料であって、対応する物理量の値が未知の複合材料であり、評価対象となる複合材料を表している。そして、ここでは、第1複合材料の配合割合を「第1配合割合」と呼び、第1複合材料の合成特性値を「第1合成特性値」と呼んでいる。
また、データ記憶部308に記憶されている関連データのうち、第1複合材料に含まれる構成材料のそれぞれに対応した関連データを「第1関連データ」と呼んでいる。
例えば、第1配合割合は、入力部301から物理量推定装置100に入力され、第1関連データは、関連データ抽出部302で抽出される。
出力部307は、物理量推定部306で推定された物理量の値を出力する。
このようにして、物理量推定装置100が構成されている。
複合材料の構成材料としては、例えば、複数の異なる種類の樹脂が含まれるが、その他の構成材料が含まれていても構わない。例えば、複合材料の構成材料として、添加剤、酸化防止剤、架橋助剤などが含まれていてもよい。また、樹脂の一例として、架橋された樹脂を挙げることができる。複合材料の具体的な構成材料によって、物理量推定装置100に追加機能が付加されることから、以下では、この点について説明する。
<<<複合材料が添加剤を含む場合>>>
複合材料に添加剤が含まれる場合、合成特性値算出部303は、上述した機能に加えて、添加剤の特性値に基づいて、さらに添加剤の平均フィラー間距離あるいは添加剤の体積分率を算出するように構成されている。そして、合成特性値算出部303で算出される合成特性値には、添加剤の平均フィラー間距離あるいは添加剤の体積分率が含まれる。
なお、平均フィラー間距離に代表される平均粒子間距離は、例えば、平均粒径D50から理論式を用いて算出される。また、体積分率は、配合材料の比重から算出される。
<<<複合材料が酸化防止剤および架橋助剤を含む場合>>>
複合材料に酸化防止剤および架橋助剤が含まれる場合、合成特性値算出部303は、上述した機能に加えて、酸化防止剤の特性値および架橋助剤の特性値に基づいて、さらに酸化防止剤の一次反応基の反応モル数、酸化防止剤の二次反応基の反応モル数および架橋助剤の反応モル数を算出するように構成されている。そして、合成特性値算出部303で算出される合成特性値には、酸化防止剤の一次反応基の反応モル数、酸化防止剤の二次反応基の反応モル数および架橋助剤の反応モル数が含まれる。
<<<複合材料が架橋された樹脂を含む場合>>>
複合材料に架橋された樹脂が含まれる場合、入力部301は、さらに樹脂を架橋するための放射線照射量も入力するように構成されている。そして、近似関数生成部305は、合成関連データと放射線照射量とに基づいて、近似関数を生成するように構成されている。この場合の近似関数は、入力を合成特性値と放射線照射量とするとともに出力を物理量の値とする関数として生成される。また、物理量推定部306は、第1合成特性値と第1放射線照射量と近似関数とに基づいて、第1複合材料に対する物理量の値を推定するように構成されている。ここで、「第1放射線照射量」とは、第1複合材料に照射される放射線照射量を表している。
<物理量推定装置の動作>
本実施の形態における物理量推定装置100は、上記のように構成されており、以下のその動作について説明する。物理量推定装置100の動作は、「近似関数の生成動作」と「評価対象の複合材料に対応する物理量の値の推定動作」がある。このため、以下では、これらの動作について説明する。
<<近似関数の生成動作>>
図4は、近似関数の生成動作を説明するフローチャートである。
図4において、まず、入力部301は、複数の異なる材料ごとに材料の特性値と材料の物理量の値とを関係付けた複数の関連データを入力する(S101)。そして、入力部301に入力された複数の関連データは、データ記憶部308に記憶される(S102)。
次に、入力部301は、2以上の材料を構成材料として含む複合材料であって、対応する物理量の値が既知の複合材料に含まれる構成材料の配合割合を入力する(S103)。
その後、関連データ抽出部302は、データ記憶部308に記憶されている複数の関連データの中から、複合材料に含まれている構成材料のそれぞれに対応した関連データを抽出する(S104)。続いて、合成特性値算出部303は、入力部301から入力した配合割合に基づいて、関連データ抽出部で抽出された関連データに含まれる特性値を合成する演算を行うことにより、複合材料の合成特性値を算出する(S105)。
そして、合成関連データ生成部304は、合成特性値算出部303で算出された合成特性値と複合材料に対する物理量の値とを関係付ける合成関連データを生成する(S106)。その後、合成関連データ生成部304で生成された合成関連データは、データ記憶部308に記憶される(S107)。
次に、近似関数生成部305は、合成関連データ生成部304で生成された合成関連データに基づいて、近似関数を生成する(S108)。具体的に、近似関数生成部305は、合成関連データを教師データとして、入力を合成特性値とするとともに出力を物理量の値とする近似関数を生成する(図3参照)。
そして、近似関数生成部305で生成された近似関数は、データ記憶部308に記憶される(S109)。このようにして、近似関数の生成動作が行われる。
<<評価対象の複合材料に対する物理量の値の推定動作>>
次に、評価対象の複合材料に対する物理量の値を推定する動作について説明する。
図5は、評価対象の複合材料に対する物理量の値を推定する動作を説明するフローチャートである。なお、近似関数は、既にデータ記憶部308に記憶されているものとする。
図5において、まず、入力部301は、物理量の値との対応が未知の評価対象となる第1複合材料に含まれる構成材料の第1配合割合を入力する(S201)。
次に、関連データ抽出部302は、データ記憶部308に記憶されている複数の関連データの中から、第1複合材料に含まれている構成材料のそれぞれに対応した第1関連データを抽出する(S202)。
続いて、合成特性値算出部303は、入力部301から入力した第1配合割合に基づいて、関連データ抽出部で抽出された第1関連データに含まれる特性値を合成する演算を行うことにより、第1複合材料の第1合成特性値を算出する(S203)。
その後、物理量推定部306は、合成特性値算出部303で算出された第1合成特性値を近似関数に入力することにより、第1複合材料に対する物理量の値を推定する(S204)。そして、出力部307は、物理量推定部306で推定された物理量の値を出力する(S205)。このようにして、物理量推定装置100によれば、物理量の値との対応が未知の評価対象となる第1複合材料に対して実現される可能性が高い物理量の値を出力することができる。
<変形例>
実施の形態では、図2に示すように、複合材料に対する物理量の値を推定する物理量推定システムを単一の物理量推定装置100から構成する例について説明したが、物理量推定システムは、この構成に限らず、例えば、分散システムから構成することもできる。
図6は、物理量推定システムを物理量推定装置と近似関数生成装置から構成する例を示す機能ブロック図である。
図6に示すように、物理量推定システムは、物理量推定装置400と近似関数生成装置500から構成されており、例えば、物理量推定装置400と近似関数生成装置500は、ネットワーク600で接続されている。
物理量推定装置400は、入力部301Aと、第1関連データ抽出部302Aと、第1合成特性値算出部303Aと、物理量推定部306と、出力部307と、通信部309Aと、データ記憶部310Aを有している。
近似関数生成装置500は、入力部301Bと、関連データ抽出部302Bと、合成特性値算出部303Bと、合成関連データ生成部304と、近似関数生成部305と、通信部309Bと、データ記憶部310Bを有している。
このように構成されている物理量推定装置400と近似関数生成装置500とは、ネットワーク600を介した通信部309Aと通信部309Bとによってデータの送受信が可能なように構成されている。そして、近似関数生成装置500では、上述した「近似関数の生成動作」が行われて、近似関数が生成される。
一方、物理量推定装置400では、近似関数生成装置500で生成された近似関数を近似関数生成装置500から入力して、データ記憶部310Aに記憶する。
その後、物理量推定装置400では、データ記憶部310Aに記憶されている近似関数に基づいて、上述した「評価対象の複合材料に対する物理量の値の推定動作」が行われる。
このようにして、物理量推定装置400と近似関数生成装置500とを備える分散システムによっても、本実施の形態における物理量推定システムを構築することができる。
<推定精度を向上させるためのさらなる工夫>
<<改善の余地>>
例えば、本発明者は、複合材料の合成特性値とこの合成特性値に対応する物理量の値とが既知のデータにおいて、物理量の値の数値範囲が広範囲にわたる場合、これらのデータを教師データとして生成される近似関数では、物理量の値との対応が未知の複合材料で実現される可能性が高い物理量の値を高精度に推定することが困難であることを新規に見出した。すなわち、物理量の値の数値範囲が広範囲にわたるデータを教師データとして「単一の近似関数」を生成する場合、このようにして生成された「単一の近似関数」では、精度良く物理量を推定することが困難であることを本発明者は新規に見出した。
つまり、「単一の近似関数」を使用して物理量の値を推定する技術には、複合材料に対する物理量の値を高精度に推定する観点から改善の余地が存在する。
そこで、本実施の形態では、上述した改善の余地に対する工夫を施している。以下では、この工夫を施した本実施の形態における技術的思想について説明する。
<<実施の形態における技術的思想>>
本実施の形態における技術的思想は、合成特性値とこの合成特性値に対応する物理量の値とが既知の合成関連データにおいて、物理量の値の数値範囲を複数範囲に分割し、分割された複数範囲のそれぞれに属する合成関連データを教師データとして、複数範囲のそれぞれに特有の近似関数を生成する思想である。すなわち、本実施の形態における技術的思想は、複数範囲のそれぞれごとに異なる近似関数を生成する思想である。つまり、技術的思想によれば、「単一の近似関数」を生成するのではなく、「複数の近似関数」を生成する。
この技術的思想によれば、複数範囲のそれぞれに属する狭い数値範囲の合成関連データを教師データとして使用することから、これらの合成関連データを教師データとして生成される近似関数は、物理量の値との対応が未知の複合材料で実現される可能性が高い物理量の値を高精度に推定できる。
この技術的思想によって、物理量の値との対応が未知の複合材料で実現される可能性が高い物理量の値を高精度に推定するためには、複合材料に対する物理量の値が複数範囲のどの範囲に属することになるかを正確に推定する必要がある。なぜなら、複合材料に対する物理量の値が複数範囲のどの範囲に属することになるかを正確に推定することができなければ、実際とは異なる範囲での近似関数が使用されることになる結果、物理量の値を高精度に推定することができなくなるからである。
したがって、技術的思想を具現化するにあたっては、複合材料に対する物理量の値が複数範囲のどの範囲に属することになるかを正確に推定することが重要となり、この点も考慮して技術的思想を具現化する工夫を施している。
<<機能ブロック構成>>
図7は、物理量推定装置の機能を示す機能ブロック図である。
図7に示す物理量推定装置100Aの機能構成は、図2に示す物理量推定装置100の機能とほぼ同様の機能構成をしているため、相違点を中心に説明する。
レベルデータ生成部701は、合成関連データからレベルデータを生成するように構成されている。ここで、「レベルデータ」とは、合成関連データの物理量の値がどの数値範囲に属しているかを示すレベルを合成関連データに付加したデータをいう。
具体的に、「レベルデータ」とは、予め設定される複数のレベルの中から物理量の値が属するレベルを合成関連データに付加して合成特性値と物理量の値とレベルとを関係付けたデータとして定義される。
例えば、合成関連データとして、合成特性値が「10」で物理量の値が「100」の第1合成関連データと、合成特性値が「20」で物理量の値が「500」の第2合成関連データと、合成特性値が「50」で物理量の値が「200」の第3合成関連データが存在するとする。このとき、レベルデータ生成部701では、例えば、物理量の値のしきい値を「300」として、物理量の値が「300」以下のデータを第1レベルに対応づけるとともに、物理量の値が「300」よりも大きいデータを第2レベルに対応づけるようにレベルを決定するとする。
この場合、レベルデータ生成部701は、第1合成関連データの物理量の値が「100」で「300」以下の第1レベルに属することから、第1合成関連データと第1レベルとを関係付けて、合成特性値が「10」、物理量の値が「100」およびレベルが「第1レベル」である第1レベルデータを生成する。
また、レベルデータ生成部701は、第2合成関連データの物理量の値が「500」で「300」よりも大きい第2レベルに属することから、第2合成関連データと第2レベルとを関係付けて、合成特性値が「20」、物理量の値が「500」およびレベルが「第2レベル」である第2レベルデータを生成する。
さらに、レベルデータ生成部701は、第3合成関連データの物理量の値が「200」で「300」以下の第1レベルに属することから、第3合成関連データと第1レベルとを関係付けて、合成特性値が「50」、物理量の値が「200」およびレベルが「第1レベル」である第3レベルデータを生成する。
これにより、第1レベルデータと第3レベルデータとが第1レベルに属するデータとなるとともに、第2レベルデータが第2レベルに属するデータとなる。
このようにして、レベルデータ生成部701で生成されたレベルデータは、例えば、レベルごとに分類されてデータ記憶部308に記憶される。
レベル用近似関数生成部702は、レベルデータ生成部701で生成されたレベルデータに基づいて、レベル用近似関数を生成する機能を有する。つまり、レベル用近似関数生成部702は、合成特性値と複合材料の物理量の値が属するレベルとを関係付けるレベル用近似関数を生成する機能を有する。具体的に、図8に示すように、レベル用近似関数生成部702は、レベルデータを教師データとして、入力を合成特性値とするとともに出力をレベルとするレベル用近似関数を生成するように構成されている。
ここで、「レベル用近似関数」とは、合成特性値を入力すると、この合成特性値に応じた物理量の値が属するレベルを出力する関数として定義される。すなわち、「レベル用近似関数」とは、物理量の値との対応関係が未知の複合材料の合成特性値が入力された場合に、この複合材料で実現されると推測される物理量の値の属するレベルを出力する関数として定義される。このように、レベル用近似関数は、物理量の値との対応関係が未知の合成特性値に対応するレベルを推定することに使用される関数ということができる。
レベル推定部704は、第1複合材料の第1配合割合と第1関連データとに基づいて合成特性値算出部303で算出された第1合成特性値と、レベル用近似関数生成部702で生成されたレベル用近似関数とに基づいて、第1複合材料に対応する物理量の値を推定する機能を有する。つまり、レベル推定部704は、レベル用近似関数生成部702で生成されたレベル用近似関数を用いて、評価対象となる複合材料に対する物理量の値が属するレベルを推定するように構成されている。
近似関数生成部703は、複数のレベルのそれぞれごとに合成特性値と物理量の値とを関係付ける近似関数を生成する機能を有する。すなわち、近似関数生成部703では、異なるレベルごとに異なる近似関数を生成するように構成されている。したがって、近似関数生成部703で生成される近似関数は、レベルの数だけ存在することになる。
具体的に、図9に示すように、近似関数生成部703は、レベルデータのうち、レベルが第Nレベルであるレベルデータを教師データとして、入力を合成特性値とするとともに出力を物理量の値とする第Nレベルでの近似関数を生成する機能を有する。例えば、近似関数生成部703は、レベルデータのうち、レベルが第1レベル~第Nレベルのそれぞれであるレベルデータを教師データとして、入力を合成特性値とするとともに出力を物理量の値とする第1レベル~第Nレベルのそれぞれでの近似関数を生成するように構成されている。つまり、レベルデータがN個のレベルに分類されている場合、近似関数生成部703では、N個の異なる近似関数が生成されることになる。
ここで、「近似関数」とは、合成特性値を入力すると、この合成特性値に応じた物理量の値を出力する関数として定義される。すなわち、「近似関数」とは、物理量の値との対応関係が未知の合成特性値が入力された場合に、この合成特性値を有する複合材料で実現されると推測される物理量の値を出力する関数として定義される。このように、近似関数は、物理量の値との対応関係が未知の合成特性値に対応する物理量の値を推定することに使用される関数ということができる。
物理量推定部705は、レベル推定部704で推定されたレベルでの近似関数に基づいて、評価対象の複合材料に対応する物理量の値を推定する機能を有する。
例えば、物理量推定部705は、レベル推定部704で推定されたレベルが第1レベルである場合、近似関数生成部703で生成された複数の近似関数のうち、第1レベルの近似関数を使用して、評価対象の複合材料に対応する物理量の値を推定することになる。
<<物理量推定装置の動作>>
物理量推定装置100Aは、上記のように構成されており、以下のその動作について説明する。物理量推定装置100Aの動作は、「レベル用近似関数の生成動作」と「近似関数の生成動作」と「評価対象の複合材料に対応する物理量の値の推定動作」がある。このため、以下では、これらの動作について説明する。
<<<レベル用近似関数の生成動作>>>
図10は、レベル用近似関数の生成動作を説明するフローチャートである。
図10において、レベルデータ生成部701は、データ記憶部311に記憶されている合成関連データを取得し、予め設定されているレベル分類基準に基づいて、合成関連データからレベルデータを生成する(S301)。例えば、予め設定されているレベル分類基準とは、物理量の値が所定のしきい値以下の場合に第1レベルに設定する一方、物理量の値が所定のしきい値よりも大きい場合に第2レベルに設定するという基準を考えることができる。なお、予め設定されているレベル分類基準は、2種類のレベルに分類する基準だけでなく、2種類以上のレベルに分類する基準であってもよい。その後、レベルデータ生成部701で生成されたレベルデータは、データ記憶部308に記憶される。
続いて、レベル用近似関数生成部702は、レベルデータ生成部701で生成されたレベルデータに基づいて、レベル用近似関数を生成する(S302)。具体的に、レベル用近似関数生成部702は、レベルデータを教師データとして、入力を合成特性値とするとともに出力をレベルとするレベル用近似関数を生成する。このようにして、レベル用近似関数の生成動作が行われる。
<<<近似関数の生成動作>>>
続いて、近似関数の生成動作について説明する。
図11は、近似関数の生成動作を説明するフローチャートである。
ここでは、既にレベルデータがデータ記憶部308に記憶されているものとする。例えば、データ記憶部308には、第1レベルから第Nmaxレベルまでのレベルデータが記憶されているものとする。
まず、物理量推定装置100Aは、レベルを示す「N」をN=1に設定する(S401)。次に、物理量推定装置100Aは、データ記憶部308に記憶されているレベルデータのうち、第Nレベルに属するレベルデータを取得する(S402)。
そして、近似関数生成部703は、第Nレベルに属するレベルデータに基づいて、第Nレベルの近似関数を生成する(S403)。具体的に、近似関数生成部703は、第Nレベルに属するレベルデータを教師データとして、入力を合成特性値とするとともに出力を物理量の値とする第Nレベルの近似関数を生成する。生成された第Nレベルの近似関数は、データ記憶部308に記憶される。
その後、物理量推定装置100Aは、レベルを示す「N」がNmaxであるか否かを判断する(S404)。このとき、レベルを示す「N」がNmaxである場合、近似関数の生成動作を終了する。これに対し、レベルを示す「N」がNmaxではない場合、N=N+1を代入して(S405)、第N+1レベルの近似関数の生成動作を実施する。このようにして、第1レベルから第Nmaxレベルまでの近似関数を生成することができる。
<<<評価対象の複合材料に対応する物理量の値の推定動作>>>
次に、評価対象の複合材料に対応する物理量の値を推定する動作について説明する。
図12は、評価対象の複合材料に対する物理量の値を推定する動作を説明するフローチャートである。なお、ここでは、レベル用近似関数と第1レベルから第Nmaxレベルのそれぞれの近似関数は、既にデータ記憶部308に記憶されているものとする。
図12において、まず、入力部301は、物理量の値との対応が未知の評価対象となる第1複合材料に含まれる構成材料の第1配合割合を入力する(S501)。
次に、関連データ抽出部302は、データ記憶部308に記憶されている複数の関連データの中から、第1複合材料に含まれている構成材料のそれぞれに対応した第1関連データを抽出する(S502)。
続いて、合成特性値算出部303は、入力部301から入力した第1配合割合に基づいて、関連データ抽出部で抽出された第1関連データに含まれる特性値を合成する演算を行うことにより、第1複合材料の第1合成特性値を算出する(S503)。
次に、レベル推定部704は、合成特性値算出部303で算出された第1合成特性値とデータ記憶部311に記憶されているレベル用近似関数とに基づいて、第1合成特性値に対応するレベルを推定する(S504)。
続いて、物理量推定部705は、合成特性値算出部303で算出された第1合成特性値と、レベル推定部704で推定されたレベルでの近似関数とに基づいて、評価対象の複合材料に対応する物理量を推定する(S505)。その後、出力部307は、物理量推定部705で推定された物理量の値を出力する(S506)。
このようにして、物理量推定装置100Aによれば、物理量の値との対応が未知の評価対象となる複合材料に対して実現される可能性が高い物理量の値を出力できる。
<<実施の形態における特徴>>
続いて、本実施の形態における特徴点について説明する。
本実施の形態における特徴点は、複合材料に対応する物理量の値を複数のレベルに分割し、分割された複数のレベルのそれぞれに対して互いに異なる近似関数を生成する点にある。これにより、物理量の値との対応が未知の複合材料に対する物理量の値を高精度に推定することができる。以下に、この点について説明する。
例えば、複合材料の合成特性値に対応する物理量の値の数値範囲が「0」~「1000」であるとする。この場合、「0」~「1000」の数値範囲に属する合成関連データを教師データとして、入力を合成特性値とするとともに出力を物理量の値とする単一の近似関数を取得することが考えられる。
しかしながら、物理量の値の数値範囲が広いことから、機械学習によっても、単一の近似関数ですべての数値範囲で高精度に物理量の値を推測することは困難である。つまり、単一の物理量用近似関数では、広範囲の数値範囲にわたって高精度に物理量の値を推定することは、機械学習を使用しても難しいのである。
そこで、本実施の形態では、物理量の値の数値範囲を分割して、分割した狭い数値範囲ごとに最適な近似関数を設定している。例えば、上述した「0」~「1000」の数値範囲を、「0」~「300」の第1数値範囲と「301」~「1000」の第2数値範囲に分割して、第1数値範囲を第1レベルとし、第2数値範囲を第2レベルとする。これにより、本実施の形態では、合成特性値に対する物理量の値の数値範囲が第1数値範囲である第1レベルのレベルデータと、合成特性値に対する物理量の値の数値範囲が第2数値範囲である第2レベルのレベルデータとが生成される。
そして、第1レベルに属するレベルデータを教師データとして、入力を合成特性値とするとともに出力を物理量の値とする第1レベルの近似関数を取得する。同様に、第2レベルに属するレベルデータを教師データとして、入力を合成特性値とするとともに出力を物理量の値とする第2レベルの近似関数を取得する。
このようにして、教師データに使用するレベルデータに含まれる物理量の値の数値範囲(「0」~「300」)が狭くなるので、高精度に物理量を推定できる第1レベルの近似関数を取得することが可能となる。同様に、教師データに使用するレベルデータに含まれる物理量の値の数値範囲(「301」~「1000」)が狭くなるので、高精度に物理量を推定できる第2レベルの近似関数を取得することが可能となる。
以上のように本実施の形態における特徴点は、教師データに使用するレベルデータの数値範囲を限定すれば、高精度な近似関数を取得できるという知見に基づいている。この知見を具現化するために、本実施の形態では、合成関連データを複数のレベルに分割している。ここで、重要な点は、物理量の値との対応が未知の合成特性値に対応するレベルを正確に推定することである。なぜなら、物理量の値との対応が未知の合成特性値に対するレベルが実際に属するべきレベルと異なるレベルに推定されると、物理量の値を高精度に推定するために使用する近似関数ではない異なるレベルの近似関数が使用されることになり、この結果、高精度に物理量の値を推定することができなくなるからである。したがって、物理量の値との対応が未知の合成特性値に対応するレベルを正確に推定するために、本実施の形態では、合成関連データとレベルとを関係付けるレベルデータを生成している。そして、このレベルデータを教師データとして、入力を合成特性値とするとともに出力をレベルとするレベル用近似関数を取得している。このようにして、レベル用近似関数を使用することにより、物理量の値との対応が未知の合成特性値に対応するレベルを正確に推定することができる。
つまり、本実施の形態では、レベルを推定するレベル用近似関数と、レベルごとに生成された近似関数とを使用することにより、物理量の値との対応が未知の複合材料に対応する物理量の値を高精度に推定できるのである。
<<効果の検証>>
以下では、本実施の形態によれば、物理量の値との対応が未知の複合材料に対応する物理量の値を高精度に推定できるという検証結果について説明する。
図13(a)は、近似関数を生成する際に使用した複合材料の一例を示す表である。つまり、図13(a)に示す複合材料を教師データとして使用した機械学習によって近似関数が生成される。そして、生成された近似関数を使用して、例えば、図13(b)に示す評価対象の複合材料に対する物理量を推定する。
ここで、図13(b)に示す複合材料には、教師データに使用した図13(a)に示す複合材料には含まれない材料が含まれている。具体的には、図13(b)において太字で示されるポリマが図13(a)に示す複合材料には含まれない材料である。
まず、関連技術を使用して、図13(b)に示す評価対象の複合材料に対する物理量を推定した結果について説明する。すなわち、関連技術では、複合材料を構成する構成材料の材料名と構成材料の配合割合を入力すると、この複合材料の物理量の値を出力する近似関数に基づいて、複合材料の物理量の値を推定する。
図14(a)は、関連技術を使用して、図13(b)に示す評価対象の複合材料に対する物理量を推定した結果を示すグラフである。
図14(a)において、横軸は実測値を示している一方、縦軸は予測値を示している。図14(a)に示すように、データのばらつきは「20.8%」である。
続いて、本実施の形態における技術的思想を使用して、図13(b)に示す評価対象の複合材料に対する物理量を推定した結果について説明する。すなわち、本実施の形態における技術的思想では、複合材料を構成する構成材料の特性値(数値)と構成材料の配合割合に基づいて生成された近似関数を使用することにより複合材料に対する物理量の値を推定する。
図14(b)は、本実施の形態における技術的思想を使用して、図13(b)に示す評価対象の複合材料に対する物理量を推定した結果を示すグラフである。
図14(b)において、横軸は実測値を示している一方、縦軸は予測値を示している。図14(b)に示すように、データのばらつきは「19.2%」である。
このとき、データのばらつきが小さいほど予測値が実測値に近いことを考慮すると、本実施の形態における技術的思想によれば、関連技術に比べて、物理量の推定精度(データのばらつき)が「1.6%」改善していることがわかる。したがって、図14(a)および図14(b)の検証結果から、本実施の形態おける技術的思想によれば、物理量の値との対応が未知の複合材料に対応する物理量の値を高精度に推定できるということが裏付けられていることがわかる。つまり、図14(a)および図14(b)の検証結果から、本実施の形態における技術的思想は、物理量の値との対応が未知の複合材料に対応する物理量の値を高精度に推定できる点で、非常に有用な技術的思想であることがわかる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
前記実施の形態は、以下の形態を含む。
(付記1)
物理量を推定する物理量推定システムの構成要素である近似関数生成装置であって、
複数の異なる材料ごとに前記材料の特性値と前記材料に対する前記物理量の値とを関係付けた関連データを複数記憶する関連データ記憶部と、
前記複数の異なる材料に含まれる2以上の材料を構成材料として含む複合材料であって、対応する物理量の値が既知の前記複合材料に含まれる前記構成材料の配合割合を入力する配合割合入力部と、
複数の前記関連データの中から、前記構成材料のそれぞれに対応した関連データを抽出する関連データ抽出部と、
前記配合割合に基づいて、前記構成材料のそれぞれに対応した前記関連データに含まれる前記特性値を合成する演算を行うことにより、前記複合材料の合成特性値を算出する合成特性値算出部と、
前記合成特性値と前記複合材料に対する前記物理量の値とを関係付ける合成関連データを生成する合成関連データ生成部と、
前記合成関連データに基づいて、対応する前記物理量の値が未知である第1複合材料の第1合成特性値を入力すると、前記第1複合材料に対する前記物理量の値を出力する近似関数を生成する近似関数生成部と、
を備える、近似関数生成装置。
(付記2)
物理量を推定する物理量推定システムの構成要素である物理量推定装置であって、
第1複合材料に対応する前記物理量が未知である前記第1複合材料に含まれる構成材料の第1配合割合を入力する配合割合入力部と、
複数の異なる材料ごとに前記材料の特性値と前記材料に対する物理量の値とを関係付けた複数の関連データの中から、前記構成材料のそれぞれに対応した第1関連データを抽出する関連データ抽出部と、
前記第1配合割合と前記第1関連データとに基づいて、前記第1複合材料の第1合成特性値を算出する合成特性値算出部と、
前記第1合成特性値を入力すると、前記第1複合材料に対する前記物理量の値を出力する近似関数に基づいて、前記第1配合割合に対応する前記物理量の値を推定する物理量推定部と、
前記物理量推定部で推定された前記物理量の値を出力する出力部と、
を備える、物理量推定装置。
100 物理量推定装置
100A 物理量推定装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 ディスプレイ
105 キーボード
106 マウス
107 通信ボード
108 リムーバルディスク装置
109 CD/DVD-ROM装置
110 プリンタ
111 スキャナ
112 ハードディスク装置
201 オペレーティングシステム
202 プログラム群
203 ファイル群
301 入力部
301A 入力部
301B 入力部
302 関連データ抽出部
302A 関連データ抽出部
302B 関連データ抽出部
303 合成特性値算出部
303A 合成特性値算出部
303B 合成特性値算出部
304 合成関連データ生成部
305 近似関数生成部
306 物理量推定部
307 出力部
308 データ記憶部
309A 通信部
309B 通信部
310A データ記憶部
310B データ記憶部
400 物理量推定装置
500 近似関数生成装置
600 ネットワーク
701 レベルデータ生成部
702 レベル用近似関数生成部
703 近似関数生成部
704 レベル推定部
705 物理量推定部

Claims (10)

  1. 複数の異なる材料に含まれる2以上の材料を構成材料として含む複合材料に対する物理量の値を推定する物理量推定システムであって、
    物理量の値が未知である第1複合材料の第1合成特性値を入力すると、前記第1複合材料に対する前記物理量の値を出力する近似関数を生成する近似関数生成部と、
    前記第1複合材料に含まれる構成材料の第1配合割合と前記第1複合材料に含まれる前記構成材料のそれぞれに対応した特性値とに基づいて、前記第1複合材料の前記第1合成特性値を算出する合成特性値算出部と、
    前記第1合成特性値と前記近似関数とに基づいて、前記第1複合材料に対する前記物理量の値を推定する物理量推定部と、を備える、物理量推定システム。
  2. 請求項1に記載の物理量推定システムにおいて、
    前記複合材料の前記構成材料は、樹脂を含む、物理量推定システム。
  3. 請求項2に記載の物理量推定システムにおいて、
    前記樹脂の前記特性値は、前記樹脂の熱特性、前記樹脂の機械特性あるいは前記樹脂の物性のいずれかを含む、物理量推定システム。
  4. 請求項3に記載の物理量推定システムにおいて、
    前記樹脂の前記熱特性は、前記樹脂の融解熱、前記樹脂のメルトフローレートあるいは前記樹脂の粘度のいずれかを含む、物理量推定システム。
  5. 請求項1に記載の物理量推定システムにおいて、
    前記第1合成特性値は、前記複合材料の合成融解熱、前記複合材料の合成メルトフローレートのいずれかを含む、物理量推定システム。
  6. 請求項2に記載の物理量推定システムにおいて、
    前記複合材料の前記構成材料は、さらに添加剤を含み、
    前記合成特性値算出部は、前記添加剤の前記特性値に基づいて、さらに前記添加剤の平均フィラー間距離、前記添加剤の体積分率あるいはBET比表面積を算出し、
    前記第1合成特性値は、さらに前記添加剤の前記平均フィラー間距離あるいは前記添加剤の前記体積分率を含む、物理量推定システム。
  7. 請求項2に記載の物理量推定システムにおいて、
    前記複合材料の前記構成材料は、さらに酸化防止剤および架橋助剤を含み、
    前記合成特性値算出部は、前記酸化防止剤の前記特性値および前記架橋助剤の前記特性値に基づいて、さらに前記酸化防止剤の一次反応基の反応モル数、前記酸化防止剤の二次反応基の反応モル数および前記架橋助剤の反応モル数を算出し、
    前記第1合成特性値は、さらに前記酸化防止剤の前記一次反応基の前記反応モル数、前記酸化防止剤の前記二次反応基の前記反応モル数および前記架橋助剤の前記反応モル数を含む、物理量推定システム。
  8. 請求項2に記載の物理量推定システムにおいて、
    前記複合材料の前記構成材料は、架橋された樹脂を含み、
    前記近似関数生成部は、物理量の値が未知である第1複合材料の第1合成特性値と前記樹脂を架橋するための放射線照射量を入力すると、前記第1複合材料に対する前記物理量の値を出力する近似関数を生成する、物理量推定システム。
  9. 請求項2に記載の物理量推定システムにおいて、
    前記複合材料に対する前記物理量は、伸び特性である、物理量推定システム。
  10. 複数の異なる材料に含まれる2以上の材料を構成材料として含む複合材料に対する物理
    量の値をコンピュータが推定する物理量推定方法であって、
    物理量の値が未知である第1複合材料の第1合成特性値を入力すると、前記第1複合材
    料に対する前記物理量の値を出力する近似関数を前記コンピュータの近似関数生成部が生
    成する近似関数生成工程と、
    前記コンピュータの合成特性値算出部が前記第1複合材料に含まれる構成材料の第1配合割合と前記第1複合材料に含まれる前記構成材料のそれぞれに対応した特性値とに基づいて、前記第1複合材料の前記第1合成特性値を算出する合成特性値算出工程と、
    前記コンピュータの物理量推定部が前記第1合成特性値と前記近似関数とに基づいて、
    前記第1複合材料に対する前記物理量の値を推定する物理量推定工程と、
    を備える、物理量推定方法。

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