以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態に係る手乾燥装置を示す模式的斜視図である。また、図2は、図1の手乾燥装置を示す模式的斜視図である。また、図3は、図1の手乾燥装置の一部を示す模式的断面斜視図である。
図1及び図2に示すように、手乾燥装置100は、複数の第1吹出し口2aが形成された第1壁部2と、第1壁部に対向し、複数の第2吹出し口4a(図示せず)が形成された第2壁部4(図示せず)と、を有する壁部6と、第1壁部2と第2壁部4とに接続され、乾燥空間Dの底を形成する底部8と、を備える。第2壁部4は、濡れた手を入れるための開口を上方に有する乾燥空間Dを、第1壁部2との間に形成する。
手乾燥装置100は、底部8に形成された吸込み口10から乾燥空間Dの空気を吸込み、第1吹出し口2aから乾燥空間Dへ該空気を吐出するための送風部12と、送風部12が設置され、吸込み口10から吸いこまれた空気が流れる流路部14と、流路部14に設けられたフィルター部16と、を備える。
流路部14は、吸込み口10に接続され、吸込み口10から吸いこまれた空気が流入する吸い込み流路18と、吸い込み流路18と第1吹出し口2aとに接続され、吸い込み流路18から流入された空気を第1吹出し口2aへ送る循環流路20と、吸い込み流路18と乾燥空間D外に形成された排出口22とに接続され、吸い込み流路18から流入された空気の一部を排出口22へ送ることで、乾燥空間D内に負圧を発生させる排出流路24と、を有する。吸い込み流路18は、循環流路20よりも長く、排出流路24よりも長い。また、循環流路20は、排出流路24よりも長い。排出口22は、手乾燥装置100の下面に形成されている。
送風部12は、吸い込み流路18に設けられた送風ファンである第1送風部26と、排出流路よりも上流側にある循環流路20に設けられた送風ファンである第2送風部28と、を有する。このように、吸い込み流路18に第1送風部26を設け、排出流路24よりも上流側にある循環流路20に第2送風部28を設けることで、一部の空気を排出流路24に流すことによって乾燥空間D内の必要最低限の負圧を確保しつつ、吸込み口10から吸いこまれた空気の大部分を循環流路20に流しやすくすることができる。
吸い込み流路18は、使用者の手に付着していた水滴を集めるための水受け部30を有する。水受け部30は、手乾燥装置本体から着脱自在な水受けトレイ32に形成されている。フィルター部16は、第1フィルター部34と、第2フィルター部36と、第3フィルター部38と、を有する。第1フィルター部34は、排出流路24よりも上流側にある吸い込み流路18における水受け部30よりも下流側に設けられている。第1フィルター部34が、吸い込み流路18に設けられることで、吸込み口10からの空気が、循環流路20および排出流路24に流れるより前に、塵などを効率的に捕集することができる。その上で、水受け部30よりも下流側に第1フィルター部34が設置されることで、第1フィルター部34が水滴などにより目詰まりしてしまうことを抑制できる。第2フィルター部36は、菌などを捕集できるHEPAフィルター(High Efficiency Particulate Air Filter)であり、排出流路24に形成されている。第3フィルター部38は、菌などを捕集できるHEPAフィルターであり、循環流路20に形成されている。
循環流路20は、排出流路24よりも、流路断面積が大きくなるように構成されている。すなわち、循環流路20を流れる流体の圧力損失の大きさは、排出流路24を流れる流体の圧力損失の大きさよりも、小さくなるように構成されている。このことにより、一部の空気を排出流路24に流すことによって乾燥空間D内の必要最低限の負圧を確保しつつ、吸込み口10から吸いこまれた空気の大部分を循環流路20に流しやすくすることができる。
流路部14は、外部から空気を取り込む取り込み口44および循環流路20に接続される取り込み流路46を有する。取り込み口44から取り込まれた空気は、循環流路20内へ流れ、第1吹出し口2aおよび第2吹出し口4aから乾燥空間D内へ吹き出される。このことにより、一部の空気が排出流路24に流れることによって乾燥空間D内の必要最低限の負圧を確保しつつも、第1吹出し口2aおよび第2吹出し口4aから吹き出される空気の量を確保することができ、使用者の手をしっかりと乾燥させることができる。取り込み口44は、手乾燥装置の下面に形成されており、排出口22と横並びに配置されている。
手乾燥装置100は、第1壁部2に設けられたセンサである検出部40を備える。また、手乾燥装置100は、検出部40からの信号に応じて、第1送風部26および第2送風部28を駆動させる制御を行う制御部42(図3、図4参照)を備える。
図4は、図1の手乾燥装置の空気流を示す模式的断面図である。また、図5は、図1の手乾燥装置の空気流を示す模式的ブロック図である。なお、図4および図5に図示されている矢印が、空気の流れを表す。
使用者が、濡れた手を開口から乾燥空間Dに挿入すると、第1壁部2に設けられた検出部40に手が検知される。検出部40に手が検知されると、検出部40から制御部42へ信号が送信される。制御部42は、信号を受信すると、第1送風部26を駆動させる制御を実行する。その後、第1送風部26の駆動開始から所定時間経過後、第2送風部28を駆動させる制御を実行する。すなわち、検出部40に手が検知されると、第1送風部26を駆動させた後、遅れて、第2送風部28を駆動させる。このことにより、乾燥空間D内を第1送風部26の駆動によって負圧にした後、第2送風部28の駆動により、手の乾燥動作が始まることになるため、乾燥空間D内の空気が開口から漏れてしまうことをしっかりと抑制しつつも、第2送風部28の駆動により第1吹出し口2aおよび第2吹出し口4aから吹き出させることができる。
なお、濡れた手を開口から乾燥空間D外へ引き抜くと、検出部40が手を検知しなくなる。この際、制御部42は、第2送風部28の駆動を停止させる制御を実行する。その後、第2送風部28の駆動停止から所定時間経過後、第1送風部26の駆動を停止させる制御を実行する。すなわち、検出部40に手が検知されなくなると、第2送風部28を駆動停止させた後、遅れて、第1送風部26を駆動停止させる。このことにより、乾燥空間D内を第1送風部26の駆動によって負圧にした状態で、第2送風部28の駆動が第1送風部26の駆動より先に停止することにより、乾燥空間D内の空気が開口から漏れてしまうことをしっかりと抑制できる。
第2送風部28が駆動している間は、第1送風部26の駆動するように構成されている。すなわち、制御部42は、第2送風部28が駆動している間は、第1送風部26の駆動しているように、制御を実行している。このことにより、第2送風部28が駆動している間は、乾燥空間D内を第1送風部26の駆動によって負圧となるため、乾燥空間D内の空気が開口から漏れてしまうことをしっかりと抑制できる。
第1送風部26が駆動すると、乾燥空間D内の空気が、手乾燥装置本体の内部、すなわち吸い込み流路18へ吸い込まれる。その結果、乾燥空間D内が負圧状態となり、乾燥空間D内の空気が開口から漏れてしまうことを抑制できる。吸い込み流路18へ吸い込まれた空気は、水受け部30に衝突する。
吸い込み流路18へ吸い込まれた空気は、水受け部30に衝突する。このことにより、使用者の手に付着していた水分が含まれた空気において、該水分を集め、溜めることができる。溜まった水は、使用者が水受けトレイ32を手乾燥装置本体から引き抜き、排出させることができる。
水受け部30に衝突した空気は、第1フィルター部34を通過した後、第1送風部26に送られる。第1フィルター部34によって、該空気中に含まれた塵などを取り除くことができる。第1送風部26を通過した空気は、第2フィルター部36を通過した後、循環流路20もしくは排出流路24に分岐する。この際、循環流路20は、排出流路24よりも、流路断面積が大きくなるように構成されているため、一部の空気を排出流路24に流すことによって乾燥空間D内の必要最低限の負圧を確保しつつ、吸込み口10から吸いこまれた空気の大部分が循環流路20に流れる。
排出流路24に流れた空気は、排出口22から排出される。なお、排出口22から排出される空気は、HEPAフィルターである第2フィルター部36によって、綺麗な空気に変換されているものである。
循環流路20に流れた空気は、取り込み流路46から流れてきた空気と合流する。取り込み流路46から流れてきた空気と合流した空気は、第3フィルター部38を通過した後、第2送風部28に送られる。第2送風部28を通過した空気は、第1吹出し口2aおよび第2吹出し口4aから乾燥空間D内へ吹き出される。第1吹出し口2aおよび第2吹出し口4aから乾燥空間D内へ吹き出された空気は、第1送風部26の駆動によって、再び手乾燥装置本体の内部、すなわち吸い込み流路18へ吸い込まれることになる。
また、例えば、第1送風部26及び第2送風部28の駆動時において、第1送風部26及び第2送風部28は、吸込み口10から吸い込まれる空気の風量が、吹出し口から吹き出される空気の風量よりも大きくなるように動作する。このことにより、手を差し入れる開口から乾燥空間D内の空気が漏れることをより抑制することができる。なお、上記の駆動時とは、第1送風部及び第2送風部が駆動している時間のうち、駆動開始直後などの過渡状態を除いた時間の少なくとも一部でよい。また、上述したように、乾燥空間内に空気を吐出する吹出し口は、複数の開口(この例では複数の第1吹出し口2a及び複数の第2吹出し口4a)でよい。このような場合、「吹出し口から吹き出される空気の風量」とは、その複数の開口のそれぞれにおける風量の合計でよい。すなわち、「吹出し口から吹き出される空気の風量」の「吹出し口」とは、第1吹出し口を含み、乾燥空間から吸い込まれた空気を乾燥空間に吹き出す複数の開口(例えば全ての開口)でよい。より具体的には、「吹出し口から吹き出される空気の風量」は、例えば、全ての第1吹出し口及び第2吹出し口のそれぞれから吹き出される空気の風量の総和である。
また、この例では、吸込み口は、1つの開口である。ただし、乾燥空間内の空気を吸い込む吸込み口は、複数の開口であってもよい。このような場合、「吸込み口から吸い込まれる空気の風量」とは、その複数の開口のそれぞれにおける風量の合計でよい。すなわち、「吸込み口から吸い込まれる空気の風量」の「吸込み口」とは、乾燥空間内の空気を吸い込む複数の開口(例えば全ての開口)でもよい。
また、例えば、図5の場合には、第2送風部28における風量を、「吹出し口から吹き出される空気の風量」として用いてもよい。また、例えば、図5の場合には、第1送風部26における風量を、「吸込み口から吸い込まれる空気の風量」として用いてもよい。なお、送風部における風量とは、例えば、その送風部の空気の入り口または出口となる開口における風量である。
第1送風部26及び第2送風部28の駆動時において、第1送風部26及び第2送風部28は、第1送風部26の出力が第2送風部28の出力より大きくなるように動作する。なお、送風部(例えば第1送風部26または第2送風部28)の出力は、例えば、その送風部に含まれる送風ファンを駆動するモータの出力(消費電力(ワット))に対応する。すなわち、制御部42は、第1送風部26の送風ファンのモータの出力を、第2送風部28の送風ファンのモータの出力よりも大きくする制御を実行する。
このように、第1送風部26を、第2送風部28よりも大きい出力で動作させることで、吸込み口10から吸い込まれる空気の風量を吹出し口から吹き出される空気の風量より大きくできる。これにより、手を差し入れる開口から乾燥空間D内の空気が漏れることをより抑制することができる。
ただし、モータの出力に限らず、送風ファンの構造などによって送風部の風量を制御してもよい。例えば、送風ファンの羽の位置や数、形状、大きさなどによって、風量を適宜調節することができる。送風ファンには、例えば、プロペラファン、シロッコファンまたはターボファンなど、羽の動きによって風を生成する任意の構成を用いることができる。
また、例えば、第1送風部26及び第2送風部28の駆動時において、吹出し口から吹き出される空気の風量は、排出口22から排出される空気の風量よりも大きくてもよい。吹出し口が比較的多くの空気を吹き出すため、乾燥性能を維持することができる。
なお、この例では、排出口は、1つの開口である。ただし、流路部内の空気を外部に排出する排出口は、複数の開口であってもよい。このような場合、「排出口から排出される空気の風量」とは、その複数の開口のそれぞれにおける風量の合計でよい。すなわち、「排出口から排出される空気の風量」の「排出口」とは、流路部内の空気を外部に排出する複数の開口(例えば全ての開口)でよい。
ある駆動時の送風部における風量を測定するには、その駆動時の出力と同じ出力で測定対象の送風部を駆動させ、当該送風部以外の送風部の駆動を停止させた状態において、風量測定装置を用いて、その測定対象の送風部に流れる風量を測定する。風量測定装置には、ファンの風量-静圧特性(P-Q特性)を測定可能な装置(PQ装置など)を用いることができる。
具体的には、例えば、第2送風部28を停止させ、第1送風部26及び第2送風部28の駆動時と同じ出力で第1送風部26を駆動させる。この状態で、風量測定装置を用いて、第1送風部26に流れる空気の風量を測定する。その測定結果を「吸込み口から吸い込まれる空気の風量」として用いてもよい。そして、例えば、第1送風部26を停止させ、第1送風部26及び第2送風部28の駆動時と同じ出力で第2送風部28を駆動させる。この状態で、風量測定装置を用いて、第2送風部28に流れる空気の風量を測定する。その測定結果を「吹出し口から吹き出される空気の風量」として用いてもよい。
あるいは、ある開口における風量を測定するには、その開口における風速(m/s)と、その開口の面積(m2)と、を測定する。風速と面積との積から、風量を算出できる。風速の測定には、圧力差を風速に変換する方式(例えばピトー管式)の風速計または熱線式風速計を用いることができる。開口の略中央またはその直ぐ上流又は下流側に風速計の検出部(例えばプローブ等)を設置して風速を測定する。
具体的には、例えば、第1送風部26及び第2送風部28の駆動時において、吸込み口10に風速計の検出部を設置して風速を測定する。その風速と吸込み口10の面積との積から、吸込み口10における風量を測定できる。その測定結果を「吸込み口から吸い込まれる空気の風量」として用いてもよい。そして、例えば、第1送風部26及び第2送風部28の駆動時において、1つの吹出し口(第1吹出し口2aまたは第2吹出し口4a)に風速計の検出部を設置して風速を測定する。その風速とその1つの吹出し口の面積の積とから、その1つ吹出し口における風量を測定できる。このようにして測定される各吹出し口における風量の合計を「吹出し口から吹き出される空気の風量」として用いてもよい。
以上、図1~図5に表したように、実施形態に係る手乾燥装置100は、内面(例えば第1壁部2、第2壁部4及び底部8)と、該内面によって囲まれた乾燥空間Dに使用者が手を差し入れるための開口と、を有する筐体を有する。さらに、手乾燥装置100は、吸込み口10と、吹出し口(例えば第1吹出し口2a及び第2吹出し口4aの少なくともいずれか)と、流路部14と、送風部12と、排出口22と、を有する。吸込み口10は、該内面に設けられ、乾燥空間D内の空気を吸い込む。該吹出し口は、該内面に設けられ、乾燥空間D内に空気を吹き出す。流路部14は、吸込み口10と該吹出し口とを接続する。送風部12は、流路部14に設けられ、吸込み口10に空気を吸い込ませ、吸込み口10に吸い込まれた空気の少なくとも一部を、流路部14を介して該吹出し口から吹き出させる。排出口22は、吸込み口10から吸い込んだ空気の一部を流路部14から排出する。このことにより、既に述べたように、手の乾燥中に開口から乾燥空間内の空気が漏れることを抑制することができる。排出口を設けることにより、開口から乾燥空間内の空気が漏れることをより抑制することができ、使い勝手を向上させることができる。
また、フィルター部16(例えば第1フィルター部34及び第2フィルター部36)は、吸込み口10から該吹出し口までの空気の流路部14において、排出口22よりも上流に位置する。排出口22よりも上流にフィルター部16が位置することで、排出口22から排出される空気をきれいにすることができる。
なお、流路部における上流とは、流路部のうち、空気の流れる方向に沿って吸込み口に近い方をいう。例えば、流路部上において上流から下流へ向かう方向は、空気の流れる方向に沿って、吸込み口から吹出し口へ向かう方向である。また、接続とは、直接的な接続でもよいし、間接的な接続でもよい。
図6(a)及び図6(b)は、本発明の実施の形態に係る別の手乾燥装置を例示する模式的斜視図である。
図6(a)は、本実施形態に係る手乾燥装置200を前方から見た斜視図であり、図6(b)は、手乾燥装置200を後方から見た斜視図である。なお、本実施形態の説明において、手乾燥装置200の手前側を「前方」とし、奥側を「後方」とする。手乾燥装置200を使用する使用者は、例えば、後方を向いて手乾燥装置200の前方に立った状態で、乾燥空間SPに濡れた手を挿入する。「上方」、「下方」、「右側方」、「左側方」は、それぞれ、前方を向いて立った使用者から見た方向である。
図6(a)及び図6(b)に表したように、手乾燥装置200は、筐体50(ケース)を有する。筐体50は、内側を向く内面50iと、内面50iによって囲まれた乾燥空間SPに使用者が手を差し入れる開口50Aと、を有する。開口50Aは、上方を向いている。
例えば、筐体50は、上方に開口50Aが設けられた、上下方向に長い略直方体状である。筐体50の外面50jは、正面91、背面92、右側面93、左側面94、及び底面95によって形成されている。
手乾燥装置200は、内面50iに設けられた吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)を有する。吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)は、乾燥空間SP内に空気を吹き出す。使用者は、吹出し口から吹き出された空気(風)に手をかざすことで、濡れた手を乾かすことができる。
図7及び図8は、図6(a)の手乾燥装置を示す模式的断面図である。
図7は、図6(a)に示したA-A線の断面を表し、図8は、図6(a)に示したB-B線の断面を表す。
図8に表したように、筐体50の内面50iは、第1面51(例えば第1壁部)と、第2面52(例えば第2壁部)と、底面55(例えば底部)と、を有する。第1面51は、後方を向いた面であり、第2面52は、前方を向いた面である。第2面52は、第1面51よりも後方に位置し、第1面51と対向する。底面55は、第1面51と第2面52とを接続し、乾燥空間SPの底を形成する。
第1吹出し口61は、第1面51に設けられている。例えば、第1吹出し口61は、第1面51に設けられた開口であり、第1面51の上部に位置する。この例では、複数の第1吹出し口61が左右方向に並んでいる(図6(b)参照)。また、第2吹出し口62は、第2面52に設けられた開口であり、第2面52の上部に位置する。この例では、複数の第2吹出し口62が左右方向に並んでいる(図6(a)参照)。なお、第1吹出し口61、第2吹出し口62は、開口に限らず、例えば、第1面51、第2面52等に取り付けられたノズルなどの吹出し口でもよい。
図8の断面において、第1面51及び第2面52は、湾曲した面である。具体的には、第1面51は、後方に向かって突出した湾曲部を有する。第2面52は、前方に向かって突出した湾曲部を有する。そのため、乾燥空間SPの幅(前後方向の長さ)は、上下方向に沿って変化している。乾燥空間SPは、上端部において最も幅が広く、上端部の下方に幅が狭い部分を有する。第1吹出し口61及び第2吹出し口62は、乾燥空間SPの上端部よりも下方に設けられている。第1吹出し口61は、後下方を向いており、後下方に向けて空気を吹き出す。第2吹出し口62は、前下方を向いており、前下方に向けて空気を吹き出す。
図7に表したように、筐体50の内面50iは、第3面53と、第3面53と対向する第4面54と、をさらに有する。第3面53は、左側を向いた面であり、第4面54は、右側を向いた面である。第3面53及び第4面54は、それぞれ、第1面51と第2面52とを接続する面である。
なお、実施形態において、筐体50(内面50i及び外面50j)の形状は、上記に限らない。例えば、使用者が乾燥空間に手を挿入するための開口は、上方、前方、右側方及び左側方の少なくともいずれかを向いたものでもよい。筐体には、上面が設けられてもよい。また、吹出し口の位置、形状、数などは、上記に限らない。例えば、吹出し口は、第1面51、第2面52、第3面53及び第4面54の少なくともいずれかに設けられたものでもよい。あるいは、筐体50の内面50iが上面を有する場合、その上面に吹出し口を設けてもよい。例えば、手乾燥装置は、前方から乾燥空間に差し込まれた使用者の手の上方から、下方に向かう空気を吹き付けるものでもよい。
図7に表したように、手乾燥装置200は、乾燥空間SP内の空気を吸い込む吸込み口63を有する。吸込み口63は、筐体50の内面50iに設けられる。例えば、吸込み口63は、内面50iの下部に設けられ、第1吹出し口61及び第2吹出し口62よりも下方に位置する。この例では、吸込み口63は、底面55に設けられ、上方を向いた開口である。
さらに、図7及び図8に表したように、手乾燥装置200は、吸込み口63と吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)とを接続する流路部70を有する。流路部70は、筐体50の内部に設けられる。流路部70は、吸込み口63から吸い込んだ空気の少なくとも一部を吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)へ導く流路である。
この例では、図7に表したように、流路部70は、第1流路71(例えば吸い込み流路)と、第2流路72(例えば循環流路)と、を有する。また、流路部70は、図9に関して後述するように、第3流路73(例えば排出流路)を有していてもよい。
第1流路71は、吸込み口63から下方に延び、手乾燥装置200の下部まで続く。第1流路71は、図7に表した矢印A1のように、吸込み口63から吸い込んだ空気を、筐体50の底部を形成する下ケース部材56上へ導く。
第2流路72は、流路部70において、第1流路71の下流に設けられている。第2流路72は、手乾燥装置200の下部から上方に延びる。第2流路72は、図7に表した矢印A2のように、第1流路71によって供給された空気の少なくとも一部を、吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)へ導く。
より具体的には、図8に表したように、第2流路72は、流路72aと流路72bとを有する。言い換えれば、第2流路72は、流路72aと流路72bとに分岐する。流路72aは、矢印A3のように、第1吹出し口61まで続いており、第1吹出し口61へ空気を導く。流路72bは、矢印A4のように、第2吹出し口62まで続いており、第2吹出し口62へ空気を導く。
また、図7に表したように、手乾燥装置200は、フィルター67と、送風部65と、を有する。送風部65は、流路部70に設けられる。具体的には、送風部65は、第2流路72に設けられている。送風部65は、例えば、1つのモータで駆動可能な1つの送風ファンである。送風部65が駆動することで、流路部70内において、流路部70の上流から下流へ向かう風が発生する。すなわち、送風部65は、吸込み口63に空気を吸い込ませ、吸込み口63に吸い込まれた空気の少なくとも一部を、流路部70を介して吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)から乾燥空間SPへ吹き出させる。なお、実施形態においては、送風部は、2つ以上のモータを有していてもよい。手乾燥装置には、1つ以上のモータを有するファンが2つ以上設けられてもよい。
フィルター67は、第1フィルター部67aと、第2フィルター部67bと、を有する。第1フィルター部67aは、第2流路72に設けられている。第1フィルター部67aは、下ケース部材56の上方、かつ、送風部65の下方に位置する。言い換えれば、第1フィルター部67aは、流路部70において、下ケース部材56の下流、かつ、送風部65の上流に位置する。第1フィルター部67aは、第2流路72内の粒子(菌や塵)を捕集する。第1フィルター部67aは、第2フィルター部67bが捕集する粒子よりも、小さい粒子を捕集可能である。第1フィルター部67aには、例えば、HEPAフィルターを用いることができる。HEPAフィルターは、定格流量で0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集効率を有する。HEPAフィルターの初期圧力損失は、例えば245Pa以下である。
第2フィルター部67bは、第1流路71に設けられている。第2フィルター部67bは、第1流路71内の粒子を捕集する。第2フィルター部67bには、樹脂又は金属等を含むメッシュ状のフィルターを用いることができる。なお、この例では、フィルター67として、第1フィルター部67a及び第2フィルター部67bの2つのフィルターが設けられているが、実施形態において、フィルターは1つでもよいし、3つ以上でもよい。
また、図8に表したように、手乾燥装置200には、加熱部68が設けられてもよい。加熱部68は、流路部70内の空気を暖める。加熱部68は、吹出し口に向かう気体を加熱可能な任意のヒータなどでよい。加熱部68で、空気を加熱することにより、吹出し口から温風を吹き出すことができる。これにより、例えば、使用者の手を乾燥させる際に、使用者が冷たさを感じることを緩和することができ、使い勝手を向上させることができる。なお、この例では、加熱部が設けられているが、実施形態において、加熱部は設けられていなくてもよい。流路部70において、加熱部68は、流路部70が流路72aと流路72bとに分岐する分岐点よりも上流に設けられる。この例では、流路部70において、加熱部68は、送風部65の下流、かつ、後述する第3流路73の上流に位置する。
使用者が開口50Aから乾燥空間SP内に手を差し入れると、第2面52に設けられた検出部48(図7参照)によって、使用者の手が検出される。検出部48は、制御部69(図7参照)に検出結果を出力する。検出部は、例えば、透過型の光センサ(フォトインタラプタ)である。検出部は、これに限ることなく、使用者の手を検出可能な任意のセンサでよい。検出部は、例えば、反射型の光センサ、測距センサ、焦電センサ、静電容量センサ、超音波センサ、及びマイクロ波センサなどでもよい。
制御部69は、検出部48、送風部65、及び加熱部68と電気的に接続されている。制御部69は、検出部48の検出結果に応じて、送風部65及び加熱部68の動作を制御する。例えば、制御部69は、検出部48において使用者の手が検出されたら、送風部65及び加熱部25に対して、作動を開始させるための信号を出力する。また、制御部69は、例えば、検出部48において使用者の手が検出されなくなったら、送風部65及び加熱部68に対して、作動を停止させるための信号を出力する。なお、制御部は、プロセッサ等を含む制御回路である。制御部は、例えばマイコンを含む。
図9は、図6(a)の手乾燥装置の空気流を示す模式図である。
図9中の矢印は、空気の流れ、すなわち風の向きを表している。また、図9に表したように、手乾燥装置200は、排出口64をさらに有する。排出口64は、吸込み口63から吸い込んだ空気の一部を、流路部70から排出する。また、流路部70は、排出口64と接続された第3流路73(例えば排出流路)を有する。
この例では、第3流路73は、第2流路72から分岐している。すなわち、第2流路72に流入した空気の一部は、第3流路73を通って排出口64から流路部70の外へ排出される。第2流路72に流入した空気の別の一部は、第2流路72の流路72a、72bを通って吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)から吐出される。
例えば、流路部70において、第2流路72と第3流路73との分岐点は、送風部65の下流であり、流路72aと流路72bとの分岐点の上流である。流路部70において、第2流路72と第3流路73との分岐点は、加熱部68の下流でもよいし、上流でもよい。ただし、これに限らず、第3流路73は、吸込み口と吹出し口との間の流路部上の任意の位置から分岐してもよい。例えば、第3流路73は、第1流路71から分岐してもよい。
排出口64は、例えば、筐体50の外面50jに設けられる。つまり、排出口64は、筐体50の外面50jに露出する。この場合、排出口64は、流路部70内の空気を筐体50の外、すなわち手乾燥装置200の機外に直接排出する。排出口64は、例えば、筐体50の背面92(図6(b)参照)に設けられる。これに限らず、排出口64は、筐体50の正面91、右側面93、左側面94、及び底面95の少なくともいずれかに設けられてもよい。
排出口64は、筐体50の内側に位置していてもよい。言い換えれば、排出口64は、外面50jに露出しなくてもよい。この場合、排出口64は、流路部70内の空気を筐体50の内、すなわち手乾燥装置200の機内に排出する。
なお、実施形態において、第3流路73及び排出口64は、必ずしも設けられなくてよい。例えば、第3流路73を省略し、排出口64は、第1流路71または第2流路72など、流路部70の任意の位置に設けられた開口などでもよい。また、流路部70には、必要に応じて、外部から空気を取り込むための取り込み口や取り込み流路を設けてもよい。
乾燥空間SP内の使用者の手が検出され、送風部65が駆動すると、循環風w1が生じる。循環風w1は、吸込み口63から下方に向けて吸い込まれる空気の流れである。循環風w1は、第1流路71を通って、第2流路72に流入し上昇する。循環風w1は、第1フィルター部67a、送風部65を通る。送風部65を通過した循環風w1は、乾燥風w2と、排気風w3と、を生じさせる。乾燥風w2は、循環風w1によって送られる空気の一部であり、吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)から吐出される空気の流れである。乾燥風w2は、第1吹出し口61から乾燥空間SPに吐出される風w2aと、第2吹出し口62から乾燥空間SPに吐出される風w2bと、を含む。排気風w3は、循環風w1によって送られる空気の別の一部であり、排出口64から排出される空気の流れである。また、送風部65が駆動すると、吸引風w4が生じる。吸引風w4は、手乾燥装置200の機外から、開口50Aを介して乾燥空間SP内に流入する空気の流れである。
例えば、循環風w1の風量(単位時間あたりに移動する空気の量)は、乾燥風w2の風量と、排気風w3の風量と、の合計に対応する。また、例えば、吸引風w4の風量は、排気風w3の風量に対応する。手乾燥装置200は、乾燥空間SP内の空気の少なくとも一部を、乾燥空間SPと流路部70とにおいて循環させる循環式の手乾燥装置である。
例えば、手乾燥装置200は、送風部65の駆動中において、開口50Aから乾燥空間SP内の空気が外部に漏れることを抑制するように、吸込み口63から空気を吸い込み、吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)から空気を吹き出すように構成されている。
これにより、例えば、乾燥空間SP内から使用者(例えば使用者の顔など)へ向かう風の発生を抑制できるため、使用者は快適に手を乾燥させることができ、使い勝手がよい。また、例えば、吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)から使用者の手に衝突した空気によって、使用者の手に付着していた水滴が飛沫となって、開口50Aから飛散することを抑制できる。使用者の手に菌やウィルスなどが付着していたとしても、吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)から使用者の手に衝突した空気によって、この菌やウィルスが飛沫とともに手乾燥装置200外に排出される可能性を低減させることができ、衛生性がよい。
例えば、送風部65の駆動中において、乾燥空間SP内は、手乾燥装置200の外部に比べて気圧の低い負圧状態となる。これにより、開口50Aから乾燥空間SP内の空気が外部に漏れることを抑制できる。実施形態においては、乾燥空間SPに吸込み口63が設けられている。吸込み口63から乾燥空間SP内の空気を吸い込むことで、乾燥空間SP内を負圧状態とすることができる。このように、実施形態に係る手乾燥装置は、1つのモータで駆動可能な送風部によって、吸込み口から乾燥空間内の空気を吸い込むことで、必要最低限の負圧を確保するように構成されてもよい。
前述したように、排出口64によって、流路部70内の空気の一部が排出される。その場合、例えば、循環風w1の風量は、乾燥風w2の風量よりも大きい。例えば、乾燥風w2の風量は、循環風w1の風量から排気風w3の風量を引いた量に対応する。吸込み口63から吸い込んだ空気の一部を流路部70から排出することで、乾燥空間SP内を負圧状態としやすくなり、必要最低限の負圧を確保しやすい。したがって、排出口64を設けることにより、開口50Aから乾燥空間SP内の空気が漏れることをより抑制することができ、使い勝手を向上させることができる。
例えば、乾燥空間SP内が負圧状態であることは、仮に開口50A(乾燥空間SPから筐体50の外部に直接通じる開口)を塞いだ状態において、送風部65を駆動させると、乾燥空間SP内が負圧になることに対応する。この際、第1吹出し口61、第2吹出し口62及び吸込み口63等(乾燥空間SPから筐体50の内部に通じる開口)は、開放した状態とする。すなわち、負圧状態とは、例えば、使用者が手を入れる開口からの空気の流出入を除いた場合に、乾燥空間内に流入する空気の風量よりも、乾燥空間外に流出する空気の風量の方が大きい状態である。
また、例えば、送風部65の駆動中において、吸引風w4が生じる。これにより、開口50Aから乾燥空間SP内の空気が外部に漏れることを抑制できる。実施形態においては、吸込み口63から乾燥空間SP内の空気を吸い込む。これにより、乾燥空間SP内に流入する吸引風w4を生じさせることができる。この例では、循環風w1の向きは、下向きであり、開口50Aとは逆の方向である。また、乾燥風w2の向きは、斜め下向きであり、開口50Aとは逆の方向である。これにより、乾燥空間SP内に下向きの空気の流れを生じさせやすい。その結果、開口50Aを介して外部の空気を乾燥空間SP内へ引き込み、吸引風w4を生じさせやすい。例えば、乾燥風w2の風量を大きくする、または、乾燥風w2の風速を高くする。これにより、下向きの空気の流れが生じ、吸引風w4が生じやすい。乾燥風w2の風速は、循環風w1の風速よりも高くてもよい。
また、本実施形態においては、送風部65は、1つのモータで吸込み口63から空気を吸い込み、吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)から空気を吹き出すことができる。そのため、2つ以上のモータを設けなくてもよく、手乾燥装置200をコンパクトにすることができる。
また、循環式の手乾燥装置においては、風の温度が上昇しやすい場合がある。例えば、循環する空気は、加熱部68によって繰り返し加熱される。これに対して、排出口64から一部の空気を排出することで、風の温度の上昇を抑制することができる。これにより、例えば、熱による制御部等の基板へのダメージを抑え、動作がより安定する。前述したように、この例では、排出口64は、流路部70内の空気を機外に直接排出する。これにより、風の温度の上昇をより抑制することができる。また、排出口64は、流路部70内の空気を機外に直接排出することで、吸引風w4を生じさせやすくでき、その吸引風w4によって風の温度の上昇を抑制することができる。
また、図9に表したように、第1フィルター部67aは、流路部70において、排出口64よりも上流に位置する。排出口64よりも上流に第1フィルター部67aが位置することで、排出口64から排出される空気をきれいにすることができ、使い勝手を向上させることができる。
なお、この例では、第1フィルター部67aは、送風部65の上流に設けられている。第1フィルター部67aは、送風部65の下流に設けられてもよいし、第3流路73に設けられてもよい。第1フィルター部67aが、第2流路72と第3流路73との分岐点よりも上流に設けられた場合には、排出口64から排出される空気だけでなく、第1吹出し口61、第2吹出し口62から吹き出される空気もきれいにすることができ、使い勝手をより向上させることができる。
また、例えば、吹出し口から吹き出される空気の風量(乾燥風w2の風量)は、吸込み口63から吸い込まれる空気の風量(循環風w1の風量)よりも小さく、かつ、排出口64から排出される空気の風量(排気風w3の風量)よりも大きい。この場合には、吸込み口63から吸い込まれる空気の風量が比較的大きいため、開口50Aから乾燥空間SP内の空気が漏れることを抑制できる。また、吹出し口から吹き出される空気の風量が、排出口64から排出される空気の風量よりも大きいことにより、乾燥性能を維持することができる。例えば、使用者の手により多くの空気を吐出できるため、手を早く乾燥させやすい。なお、吹出し口から吹き出される空気の風量は、第1吹出し口61から吹き出される空気の風量と、第2吹出し口62から吹き出される空気の風量と、の合計である。
各風量は、例えば、各流路を流れる流体の圧力損失によって適宜調節可能である。圧力損失は、例えば、流路の断面積によって適宜調節可能である。例えば、第1流路71を流れる流体の圧力損失は、第2流路72を流れる流体の圧力損失よりも小さく、第3流路73を流れる流体の圧力損失よりも小さい。例えば、第1流路71の最小断面積は、第2流路72の最小断面積よりも大きく、第3流路73の最小断面積よりも大きい。また、例えば、第2流路72を流れる流体の圧力損失は、第3流路73を流れる流体の圧力損失よりも小さい。例えば、第2流路72の最小断面積は、第3流路73の最小断面積よりも大きい。
例えば、手乾燥装置200の前方に立った使用者が、開口50Aから手を挿入した場合、第1吹出し口61は、使用者の手の平に空気を吐出し、第2吹出し口62は、使用者の手の甲に空気を吐出する。これにより、使用者の手の両面を同時に乾燥させることができ、乾燥性能が向上する。高速な乾燥のためには、空気を高速に吹き出すことが望ましい。
例えば、第2吹出し口62が空気を吹き出す方向D2は、第1吹出し口61が空気を吹き出す方向D1よりも下向きである。言い換えれば、方向D2と鉛直下方との成す角度θ2は、方向D1と鉛直下方との成す角度θ1よりも小さい。この場合、第2吹出し口62が比較的下方に向けて空気を吹き出すため、使用者の手の甲に、上方から空気を吹き付けやすい。これにより、水を下方に移動(落下)させやすく、飛沫となった水滴が開口から飛散することをより抑制できる。
方向D1は、第1吹出し口61の開口の向きや形状により適宜調節できる。第1吹出し口61から吹き出される空気が上下方向に広がりを有する場合、方向D1は、例えば、第1吹出し口61が空気を吹き出す範囲の中心線で表してもよい。同様に、方向D2は、第2吹出し口62の開口の向きや形状により適宜調節できる。第2吹出し口62から吹き出される空気が上下方向に広がりを有する場合、方向D2は、例えば、第2吹出し口62が空気を吹き出す範囲の中心線で表してもよい。
また、例えば、第1吹出し口61が吹き出す空気の風量は、第2吹出し口62が吹き出す空気の風量よりも大きい。この場合、第1吹出し口61の風量が比較的大きいことにより、消費電力を抑えつつ、乾燥性能を維持することができる。例えば、より多くの水滴が付着している可能性の高い使用者の手の平側に、より多くの空気を吹き付けることで、手を早く乾燥させやすい。
なお、第1吹出し口61が複数設けられる場合、第1吹出し口61が吹き出す空気の風量とは、全ての第1吹出し口61から吹き出される空気の風量の合計である。同様に、第2吹出し口62が複数設けられる場合、第2吹出し口62が吹き出す空気の風量とは、全ての第2吹出し口62から吹き出される空気の風量の合計である。
例えば、流路72aを流れる流体の圧力損失は、流路72bを流れる流体の圧力損失よりも小さい。例えば、流路72aの最小断面積は、流路72bの最小断面積よりも大きい。
また、例えば、第1吹出し口61が吹き出す空気の風速は、第2吹出し口62が吹き出す空気の風速よりも高くてもよい。第1吹出し口61が吹き出す空気の風速は、流路72aを流れる流体の圧力損失や、第1吹出し口61の形状(例えば開口径の大きさ)により適宜調節できる。また、第2吹出し口62が吹き出す空気の風速は、流路72bを流れる流体の圧力損失や、第2吹出し口62の形状(例えば開口径の大きさ)により適宜調節できる。
図7に表したように、手乾燥装置200は、排水口80と、水路81と、水受け部82と、を有する。水受け部82は、乾燥空間SP内の水を集める水受けトレイである。乾燥空間SP内の水は、例えば使用者の手に付着していた水滴などである。排水口80は、乾燥空間SP内の水を水受け部82へ排出する。水路81は、排水口80と水受け部82とを接続する。水路81は、乾燥空間SP内の水を、排水口80から水受け部82へ導く。
排水口80は、筐体50の内面50iに設けられる。排水口80の位置は、吸込み口63の位置とは異なる。つまり、排水口80は、吸込み口63から離れている。この例では、排水口80は、底面55に設けられた開口である。より具体的には、排水口80は、底面55の一端部(左側端部)に位置し、吸込み口63は、底面55の他端部(右側端部)に位置する。言い換えれば、排水口80は、第4面54と隣接して設けられ、吸込み口63は、第3面53と隣接して設けられている。このように、吸込み口63とは異なる排水口80を設けることにより、乾燥空間内の水と空気とを分離することができる。これにより、流路部を通過する空気がよりきれいになり、使い勝手をより向上させることができる。
水路81及び水受け部82は、流路部70から離れている。つまり、水路81及び水受け部82は、流路部70とは独立して設けられる。この例では、水路81は、第4面54に隣接し、排水口80から下方へ延びている。水受け部82は、水路81の下方に位置する。一方、流路部70の第1流路71は、第3面53に隣接し、吸込み口63から下方へ延びている。
例えば、水受け部の水が空気と接触すると、その水に含まれる物質や臭いによって、空気が汚れる恐れがある。これに対して、実施形態においては、水受け部82の水と、流路部70を通過する空気と、を分離することで、流路部70を通過する空気が汚れることを抑制できる。すなわち、第1吹出し口61及び第2吹出し口62から吹き出されて循環する空気、排出口64から排出される空気、および、第1フィルター部67aを通過する空気を、よりきれいな状態とすることができる。これにより、例えば、第1吹出し口61、第2吹出し口62及び排出口64から吹き出される空気の不快な臭いを抑制し、衛生性を向上させることができる。また、例えば、第1フィルター部67aと汚れた空気との接触を抑制することで、フィルターの性能劣化を抑制することができる。
また、例えば、図7に表したように、底面55は、吸込み口63から排水口80へ向かう下り傾斜を有する。つまり、排水口80の位置は、吸込み口63の位置よりも低い。これにより、底面55上の水は、排水口80へ向かうため、吸込み口63から流路部70に水が侵入することを抑制できる。
また、底面55には、リブ57が設けられる。リブ57は、吸込み口63の端部から上方に突出している。リブ57によって、底面55上の水が、吸込み口63から流路部70に侵入することを抑制できる。
また、図7に破線で表したように、吸込み口63の上方にリブ59を設けてもよい。リブ59は、第3面53から斜め下方に突出した庇である。リブ59は、上下方向において、吸込み口63の少なくとも一部と重なる。リブ59によって、乾燥空間SP内の水が、吸込み口63から流路部70に侵入することを抑制できる。
図10は、図6(a)の手乾燥装置の一部を示す模式的斜視図である。
図11(a)及び図11(b)は、図10の手乾燥装置の一部を示す模式的断面図である。
図10は、手乾燥装置200の下ケース部材56の周辺を表す。図11(a)は、図10に示したC-C線の断面を表す。図11(b)は、図10に示したD-D線の断面を表す。
下ケース部材56は、流路部70の一部を形成する部材である。下ケース部材56は、流路部70の底部となる皿状である。流路部70内の空気は、下ケース部材56上を通過する。
図10に表したように、手乾燥装置200は、水路83と、水受け部84と、水位センサ88と、を有する。手乾燥装置200は、排水口85(図11(a)参照)と、仕切り86(図11(b)参照)と、をさらに有する。
水受け部84は、流路部70内に侵入した水を集める水受けトレイである。水受け部84は、下ケース部材56の下方に配置されている。言い換えれば、水受け部84は、流路部70の下方に位置する。
排水口85は、流路部70に設けられ、流路部70内に侵入した水を水受け部84へ排出する。図11(a)に表したように、排水口85は、下ケース部材56の側面に設けられた開口である。
水路83は、流路部70に設けられ、流路部70内に侵入した水を排水口85へ導く。図10及び図11(a)に表したように、水路83は、下ケース部材56の上面に設けられた凹部である。水路83は、下ケース部材56の中央部から排水口85へ延びている。水路83は、下ケース部材56の中央部から排水口85へ向かう下り傾斜を有する。また、下ケース部材56の上面には、下ケース部材56の中央部へ向かう下り傾斜が設けられている。これにより、流路部70内に侵入し、下ケース部材56上に付着した水滴等は、水路83を通り、排水口85から水受け部84へ排出される。
図11(b)に表したように、仕切り86は、流路部70と水受け部84との間に設けられる。例えば、仕切り86は、下ケース部材56の一部であり、流路部70と水受け部84とを上下方向に仕切る。仕切り86は、水受け部84の上方の少なくとも一部を覆う。例えば、仕切り86は、水受け部84の水を受ける範囲の全体を覆っている。
このような構成により、流路部70に水が侵入したとしても、流路部70に侵入した水と流路部70内の空気とを分離することができる。これにより、流路部70を通過する空気がよりきれいになり、使い勝手をより向上させることができる。すなわち、水受け部84と、流路部70を通過する空気と、を分離することで、流路部70を通過する空気が汚れることを抑制できる。第1吹出し口61及び第2吹出し口62から吹き出されて循環する空気、排出口64から排出される空気、および、第1フィルター部67aを通過する空気を、よりきれいな状態とすることができる。
水位センサ88は、下ケース部材56に取り付けられる。水位センサ88は、下ケース部材56上の水位を検出する。これにより、万一、多量の水が流路部70内に侵入した場合でも、下ケース部材56上に溜まった水を検出できる。水位センサには、静電容量式、圧力式またはフロート式など、下ケース部材56上の水位を検出可能な任意のセンサを用いることができる。
図12は、図6(a)の手乾燥装置の一部を示す模式的斜視図である。
図12に表したように、手乾燥装置200は、水抜きキャップ87をさらに有していてもよい。水抜きキャップ87は、排水口85に取り付けられる。水抜きキャップ87を取り外すことで、水路83に流れる水を、排水口85から流路部70の外部へ排出することができる。
図13は、図6(a)の手乾燥装置を示す模式的分解図である。
水受け部82は、筐体50の外面50jに露出する。例えば、水受け部82は、手乾燥装置200の正面の一部を形成する。図13に表したように、水受け部82は、筐体50に対して着脱可能である。手乾燥装置200の使用者または管理者は、筐体50から水受け部82を引き出し、水受け部82に集められた水を取り除いたり、水受け部82周辺を掃除したりすることができる。
水受け部82の下方には、手乾燥装置200の正面の一部を形成するカバー91aが着脱可能に設けられる。カバー91aを筐体50から取り外すと、カバー91b及び水受け部84が露出する。水受け部84は、下ケース部材56に対して着脱可能である。手乾燥装置200の使用者または管理者は、下ケース部材56から水受け部84を引き出し、水受け部84に集められた水を取り除いたり、水受け部84周辺を掃除したりすることができる。また、カバー91bは着脱可能である。カバー91bを取り外すことで、手乾燥装置200の使用者または管理者は、第1フィルター部67aを取り外し、交換することができる。このように、第1フィルター部67aや水受け部82、84が、着脱可能であることにより、管理がしやすい。なお、水受け部82、水受け部84、カバー91a及びカバー91bの着脱には、例えば、爪や凹凸などの係合部を適宜設ければよい。これに限らず、着脱は、水受け部82、水受け部84、カバー91a及びカバー91bを着脱可能とする任意の構成でよい。
図14は、実施形態に係る別の手乾燥装置の空気流を示す模式図である。
図14に表した手乾燥装置201においては、送風部65の代わりに、送風部65a(第1送風部)及び送風部65b(第2送風部)が設けられる。また、手乾燥装置201においても、手乾燥装置200と同様に、内面50iと開口50Aとを有する筐体50、吸込み口63、吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)、流路部70、排出口64、制御部69、フィルター部(第1フィルター部67a及び、第2フィルター部67b)などが設けられる。
送風部65a及び送風部65bのそれぞれは、モータを有する送風ファンである。例えば、送風部65aは、流路部70上において、送風部65b及び第1フィルター部67aよりも上流に設けられる。送風部65aは、第1流路71に設けられる。送風部65bは、流路部70上において、第1フィルター部67aよりも下流であって、第3流路73よりも上流に設けられる。送風部65bは、第2流路72に設けられる。送風部65a及び送風部65bのそれぞれの駆動は、制御部69によって制御される。
使用者が、濡れた手を開口から乾燥空間SPに挿入すると、検出部48に手が検知される。検出部48に手が検知されると、検出部48から制御部69へ信号が送信される。制御部69は、信号を受信すると、送風部65aを駆動させる制御を実行する。その後、送風部65aの駆動開始から所定時間経過後、送風部65bを駆動させる制御を実行する。すなわち、検出部40に手が検知されると、送風部65aを駆動させた後、遅れて、送風部65bを駆動させる。送風部65aが送風部65bよりも先に駆動することにより、乾燥空間SP内の空気が開口から漏れてしまうことをより抑制できる。なお、送風部65bの駆動を遅らせる上記の所定時間は、例えば0.01秒以上2.0秒以下程度であるが、特に限定されず適宜定めることができる。
濡れた手を開口から乾燥空間SP外へ引き抜くと、検出部48が手を検知しなくなる。この際、制御部69は、送風部65bの駆動を停止させる制御を実行する。その後、送風部65bの駆動停止から所定時間経過後、送風部65aの駆動を停止させる制御を実行する。すなわち、検出部48に手が検知されなくなると、送風部65bを駆動停止させた後、遅れて、送風部65aを駆動停止させる。送風部65bの駆動が送風部65aの駆動より先に停止することにより、乾燥空間SP内の空気が開口から漏れてしまうことをより抑制できる。なお、送風部65aの駆動停止を遅らせる上記の所定時間は、例えば0.01秒以上2.0秒以下程度であるが、特に限定されず適宜定めることができる。
送風部65bが駆動している間は、送風部65aが駆動するように構成されている。すなわち、制御部69は、送風部65bが駆動している間は、送風部65a駆動しているように、制御を実行している。このことにより、乾燥空間SP内の空気が開口から漏れてしまうことをしっかりと抑制できる。すなわち、吹出し口から乾燥空間SP内に空気が吹き出されている間は、吸込み口63から乾燥空間SP内の空気が吸い込まれやすくなるため、乾燥空間SP内の空気が開口から漏れてしまうことをより抑制できる。
また、例えば、送風部65a及び送風部65bの駆動時において、送風部65a及び送風部65bは、吸込み口63から吸い込まれる空気の風量が、吹出し口から吹き出される空気の風量よりも大きくなるように動作する。このことにより、手を差し入れる開口から乾燥空間SP内の空気が漏れることをより抑制することができる。
例えば、送風部65a及び送風部65bの駆動時において、送風部65a及び送風部65bは、送風部65aの出力が送風部65bの出力よりも大きくなるように動作する。すなわち、制御部69は、送風部65aの送風ファンのモータの出力を、送風部65bの送風ファンのモータの出力よりも大きくする制御を実行する。
このように、送風部65aを、送風部65bよりも大きい出力で動作させることで、吸込み口63から吸い込まれる空気の風量を吹出し口から吹き出される空気の風量より大きくできる。これにより、手を差し入れる開口から乾燥空間内の空気が漏れることをより抑制することができる。
また、例えば、送風部65a及び送風部65bの駆動時において、吹出し口から吹き出される空気の風量は、排出口64から排出される空気の風量よりも大きくてもよい。吹出し口が比較的多くの空気を吹き出すため、乾燥性能を維持することができる。
図15は、実施形態に係る別の手乾燥装置の空気流を示す模式図である。
図15に表した手乾燥装置202においては、吸込み口63b(第2吸込み口)と、流路部70b(第2流路部)と、が設けられる。また、手乾燥装置202においても、手乾燥装置200と同様に、内面50iと開口50Aとを有する筐体50、吸込み口63(第1吸込み口)、吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)、流路部70(第1流路部)、送風部65(第1送風部)、制御部69、フィルター部(第1フィルター部67a及び第2フィルター部67b)、検出部48などが設けられる。
この例では、第3流路73及び排出口64が設けられていない。ただし、必要に応じて、第3流路73、排出口64を設けてもよい。また、図15においては、簡単のため、水受け部82の図示を省略している。
吸込み口63bは、筐体50の内面50iに設けられた開口である。吸込み口63bは、乾燥空間SP内の空気を吸い込む。例えば、吸込み口63bは、内面50iのうちの、底面55及び側面の少なくともいずれかに設けられ、内面50iに露出する。なお、内面50iの側面とは、底面55から上方に延びる面であり、例えば、前述した第1面51及び第2面52である。吸込み口63bは、吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)よりも下方に位置する。この例では、吸込み口63bは、上方に向かって開口しており、乾燥空間SP内の空気を、下方に向けて吸い込む。
排出口64bは、吸込み口63bから吸い込まれた乾燥空間SP内の空気を、乾燥空間SPの外部へ排出する。例えば、排出口64bは、筐体50の外面50jに設けられた開口であり、外面50jに露出する。この場合、排出口64bは、空気を手乾燥装置202の外部、すなわち筐体50の外部へ排出する。排出口64bは、例えば、外面50jの底面95に設けられ、下方に向かって開口しており、空気を下方に向けて排出する。これにより、排出口64bが、使用者に向かって空気を排出することを抑制できる。ただし、排出口64bは、外面50jの背面92、右側面93、または左側面94に設けられてもよく、空気を後方または側方に向けて排出してもよい。
流路部70bは、吸込み口63bと排出口64bとを接続する。流路部70bは、吸込み口63bから排出口64bまで下方に延びる。吸込み口63bから吸い込まれた空気は、流路部70bを通って、排出口64bから排出される。
流路部70bは、流路部70とは別の流路である。すなわち、流路部70と流路部70bとは、互いに離れており、独立している。流路部70bは、流路部70と合流しない。流路部70bは、流路部70と、流路の一部を共有しない。
手乾燥装置202は、吸込み口63bに空気を吸い込ませるための送風部65c(第2送風部)を有していてもよい。送風部65cは、例えば流路部70bに設けられた送風ファンである。送風部65(第1送風部)及び送風部65c(第2送風部)は、それぞれ、モータを有する送風ファンである。
送風部65(第1送風部)が駆動すると、流路部70内に風が生じる。これにより、吸込み口63から乾燥空間SP内の空気が吸い込まれる。吸込み口63から吸い込まれた空気は、吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)から吹き出され、手乾燥装置202内を循環する。一方、送風部65c(第2送風部)が駆動すると、流路部70b内に風が生じる。これにより、吸込み口63bから乾燥空間SP内の空気が吸い込まれる。吸込み口63bから吸い込まれた空気は、流路部70b内を下方に向かって流れ、排出口64bから外部に排出される。
このように、吸込み口63及び吸込み口63bによって乾燥空間SP内の空気が吸い込まれる。このことにより、手の乾燥中に開口から乾燥空間SP内の空気が漏れることを抑制することができ、使い勝手を向上させることができる。また、吸込み口63bから吸引された空気が、排出口64bから乾燥空間SP以外に排気されることで、吸込み口(吸込み口63及び吸込み口63b)から吸い込まれる空気の風量を、吹出し口から吹き出される空気の風量より大きくでき、開口から乾燥空間SP内の空気が漏れることをより抑制することができる。
送風部65及び送風部65cのそれぞれの駆動は、制御部69によって制御される。使用者が、濡れた手を開口から乾燥空間SPに挿入すると、検出部48に手が検知される。検出部48に手が検知されると、検出部48から制御部69へ信号が送信される。制御部69は、信号を受信すると、送風部65cを駆動させる制御を実行する。その後、送風部65cの駆動開始から所定時間経過後、送風部65を駆動させる制御を実行する。すなわち、検出部48に手が検知されると、送風部65cを駆動させた後、遅れて、送風部65を駆動させる。送風部65cが送風部65よりも先に駆動することにより、乾燥空間SP内の空気が開口から漏れてしまうことをより抑制できる。なお、送風部65の駆動を遅らせる上記の所定時間は、例えば0.01秒以上2.0秒以下程度であるが、特に限定されず適宜定めることができる。
濡れた手を開口から乾燥空間SP外へ引き抜くと、検出部48が手を検知しなくなる。この際、制御部69は、送風部65の駆動を停止させる制御を実行する。その後、送風部65の駆動停止から所定時間経過後、送風部65cの駆動を停止させる制御を実行する。すなわち、検出部48に手が検知されなくなると、送風部65を駆動停止させた後、遅れて、送風部65cを駆動停止させる。送風部65の駆動が送風部65cの駆動より先に停止することにより、乾燥空間SP内の空気が開口から漏れてしまうことをしっかりと抑制できる。なお、送風部65cの駆動停止を遅らせる上記の所定時間は、例えば0.01秒以上2.0秒以下程度であるが、特に限定されず適宜定めることができる。
送風部65が駆動している間は、送風部65cが駆動するように構成されている。すなわち、制御部69は、送風部65が駆動している間は、送風部65cを駆動しているように、制御を実行している。このことにより、乾燥空間内の空気が開口から漏れてしまうことをしっかりと抑制できる。すなわち、吹出し口から乾燥空間SP内に空気が吹き出されている間は、吸込み口63bから乾燥空間SP内の空気が吸い込まれやすくなるため、乾燥空間SP内の空気が開口から漏れてしまうことをより抑制できる。
また、送風部65及び送風部65cの駆動時において、送風部65及び送風部65cは、吸込み口から吸い込まれる空気の風量が、吹出し口から吹き出される空気の風量よりも大きくなるように動作する。このことにより、手を差し入れる開口から乾燥空間SP内の空気が漏れることをより抑制することができる。なお、この例において、吸込み口から吸い込まれる空気の風量とは、吸込み口63から吸い込まれる空気の風量と、吸込み口63bから吸い込まれる空気の風量と、の合計である。
例えば図15のように、流路部70に第3流路73及び排出口64等が設けられない場合には、送風部65における風量を、「吹出し口から吹き出される空気の風量」として用いてもよい。また、この例では、送風部65における風量を、吸込み口63から吸い込まれる空気の風量として用いてもよい。また、例えば、送風部65cにおける風量を、吸込み口63bから吸い込まれる空気の風量として用いてもよい。
送風部65及び送風部65cの駆動時において、吹出し口から吹き出される空気の風量は、吸込み口63bから吸い込まれる空気の風量よりも小さくてもよい。言い換えれば、送風部65及び送風部65bの駆動時において、吸込み口63から吸い込まれる空気の風量は、吸込み口63bから吸い込まれる空気の風量よりも小さくてもよい。これにより、手を差し入れる開口から乾燥空間内の空気が漏れることをより抑制することができる。
あるいは、送風部65及び送風部65cの駆動時において、吹出し口から吹き出される空気の風量は、吸込み口63bから吸い込まれる空気の風量よりも大きくてもよい。言い換えれば、送風部65及び送風部65cの駆動時において、吸込み口63から吸い込まれる空気の風量は、吸込み口63bから吸い込まれる空気の風量よりも大きくてもよい。この場合には、吹出し口が比較的多くの空気を吹き出すため、乾燥性能が向上する。
例えば、送風部65及び送風部65cは、送風部65cの出力が送風部65の出力よりも大きくなるように動作する。制御部69は、送風部65cの送風ファンのモータの出力を、送風部65の送風ファンのモータの出力よりも大きくする制御を実行する。このように、送風部65cを、送風部65よりも大きい出力で動作させることで、吸込み口から吸い込まれる空気の風量を吹出し口から吹き出される空気の風量よりも、より大きくできる。これにより、手を差し入れる開口から乾燥空間内の空気が漏れることをより抑制することができる。
あるいは、送風部65及び送風部65cは、送風部65の出力が送風部65cの出力よりも大きくなるように動作する。制御部69は、送風部65の送風ファンのモータの出力を、送風部65cの送風ファンのモータの出力よりも大きくする制御を実行する。このように、送風部65を、送風部65cよりも大きい出力で動作させることで、吹出し口から吹き出される空気の風量を大きくできる。この場合には、吹出し口が比較的多くの空気を吹き出すため、乾燥性能が向上する。
手乾燥装置202は、フィルター部67cをさらに有していてもよい。フィルター部67cは、流路部70bに設けられ、送風部65cの上流または下流に位置する。フィルター部67cを設けることにより、排出口64bから排出される空気をよりきれいにすることができる。
なお、送風部65cは、必要に応じて設けられ、適宜省略してもよい。例えば、送風部65cを設けない場合でも、手乾燥装置202が設置される建物等の換気ダクト及びその換気ダクトに設けられたファン等によって、乾燥空間SP内の空気を、吸込み口63、流路部70b及び排出口64cから、乾燥空間SP外へ排出できる場合がある。一方、送風部65cを設けた場合には、吸込み口63及び吸込み口63bから吸い込まれる空気の風量をより大きくしやすく、手を差し入れる開口から乾燥空間内の空気が漏れることをより抑制することができる。
図16は、実施形態に係る別の手乾燥装置の空気流を示す模式図である。
図16に表した手乾燥装置203においては、排出口64cと外気吸込み口66とが設けられる。流路部70の代わりに、流路部70c(第1流路部)及び流路部70d(第2流路部)が設けられる。送風部65の代わりに、送風部65d(第1送風部)及び送風部65e(第2送風部)が設けられる。また、手乾燥装置203においても、手乾燥装置200と同様に、内面50iと開口50Aを有する筐体50、吸込み口63及び吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)、制御部69、フィルター部(第1フィルター部67a)、検出部48、水受け部82などが設けられる。
排出口64cは、吸込み口63から吸い込まれた乾燥空間SP内の空気を、乾燥空間SPの外部へ排出する。例えば、排出口64cは、筐体50の外面50jに設けられた開口であり、外面50jに露出する。この場合、排出口64cは、空気を手乾燥装置203の外部、すなわち筐体50の外部へ排出する。排出口64cは、例えば、外面50jの底面95に設けられ、下方に向かって開口しており、空気を下方に向けて排出する。これにより、排出口64cが、使用者に向かって空気を排出することを抑制できる。ただし、排出口64cは、外面50jの背面92、右側面93、または左側面94に設けられてもよく、空気を後方または側方に向けて排出してもよい。
外気吸込み口66は、乾燥空間SPの外部から空気を吸い込む。例えば、外気吸込み口66は、筐体50の外面50jに設けられた開口であり、外面50jに露出する。この場合、外気吸込み口66は、空気を手乾燥装置203の外部、すなわち筐体50の外部から取り込む。例えば、外気吸込み口66は、外面50jの底面95に設けられ、下方に向かって開口しており、空気を下方に向けて吸い込む。ただし、外気吸込み口66は、外面50jの正面91、背面92、右側面93、または左側面94に設けられてもよい。
流路部70cは、吸込み口63と排出口64cとを接続する。この例では、流路部70cは、吸込み口63から排出口64cまで下方に延びる。吸込み口63から吸い込まれた空気は、流路部70cを通って、排出口64から排出される。
流路部70dは、外気吸込み口66と吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)とを接続する。流路部70dは、第1吹出し口61へ続く流路72aと、第2吹出し口62へ続く流路72bとを有する。この例では、流路部70dは、外気吸込み口66から上方に向かって延び、流路72aと流路72bとに分岐する。外気吸込み口66から吸い込まれた空気は、流路部70dを通って、吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)から乾燥空間SP内へ吹き出される。
流路部70cは、流路部70dとは別の流路である。すなわち、流路部70cと流路部70dとは、互いに離れており、独立している。流路部70cは、流路部70dと合流しない。流路部70cは、流路部70dと、流路の一部を共有しない。
なお、この例では、第3流路73及び排出口64が設けられていない。ただし、必要に応じて、第3流路73、排出口64を設けてもよい。
送風部65dは、流路部70cに設けられ、吸込み口63に空気を吸い込ませる。送風部65eは、流路部70dに設けられ、外気吸込み口66に空気を吸い込ませる。送風部65d及び送風部65eは、それぞれ、モータを有する送風ファンである。
送風部65dが駆動すると、流路部70c内に風が生じる。これにより、吸込み口63から乾燥空間SP内の空気が吸い込まれる。吸込み口63から吸い込まれた空気は、流路部70cを下方に向かって流れ、排出口64cから外部に排出される。一方、送風部65eが駆動すると、流路部70d内に風が生じる。これにより、外気吸込み口66から外部の空気が吸い込まれる。外気吸込み口66から吸い込まれた空気は、流路部70dを上方に向かって流れ、流路72aを通って第1吹出し口61から乾燥空間SP内に吹き出される、または、流路72bを通って第2吹出し口62から乾燥空間SP内に吹き出される。
外部から取り込んだ空気を乾燥空間内の吸込み口を介して外部に排出する手乾燥装置においても、乾燥空間内に吹き出された空気が、吸込み口から十分に吸い込まれずに、手を差し入れる開口から漏れてしまう恐れがある。これに対して、手乾燥装置203においては、送風部65d及び送風部65eは、吸込み口63から吸い込まれる空気の風量が、吹出し口から吹き出される空気の風量よりも大きくなるように動作する。
このように、吸込み口63によって、乾燥空間SP内の空気が吸い込まれる。このことにより、手の乾燥中に開口から乾燥空間SP内の空気が漏れることを抑制することができ、使い勝手を向上させることができる。また、吸込み口63から吸い込まれる空気の風量を、吹出し口から吹き出される空気の風量よりも大きくでき、手を差し入れる開口から乾燥空間SP内の空気が漏れることをより抑制することができる。
例えば図16のように、流路部70dに第3流路73及び排出口64等が設けられない場合には、送風部65eにおける風量を、「吹出し口から吹き出される空気の風量」として用いてもよい。また、例えば、送風部65dにおける風量を、吸込み口63から吸い込まれる空気の風量として用いてもよい。
例えば、送風部65d及び送風部65eは、送風部65dの出力が送風部65eの出力よりも大きくなるように動作する。制御部69は、送風部65dの送風ファンのモータの出力を、送風部65eの送風ファンのモータの出力よりも大きくする制御を実行する。このように、送風部65dを、送風部65eよりも大きい出力で動作させることで、吸込み口から吸い込まれる空気の風量を吹出し口から吹き出される空気の風量よりも、より大きくできる。これにより、手を差し入れる開口から乾燥空間内の空気が漏れることをより抑制することができる。
送風部65d及び送風部65eのそれぞれの駆動は、制御部69によって制御される。使用者が、濡れた手を開口から乾燥空間SPに挿入すると、検出部48に手が検知される。検出部48に手が検知されると、検出部48から制御部69へ信号が送信される。制御部69は、信号を受信すると、送風部65dを駆動させる制御を実行する。その後、送風部65dの駆動開始から所定時間経過後、送風部65eを駆動させる制御を実行する。すなわち、検出部48に手が検知されると、送風部65dを駆動させた後、遅れて、送風部65eを駆動させる。送風部65dが送風部65eよりも先に駆動することにより、乾燥空間SP内の空気が開口から漏れてしまうことをより抑制できる。なお、送風部65eの駆動を遅らせる上記の所定時間は、例えば0.01秒以上2.0秒以下程度であるが、特に限定されず適宜定めることができる。
濡れた手を開口から乾燥空間SP外へ引き抜くと、検出部48が手を検知しなくなる。この際、制御部69は、送風部65eの駆動を停止させる制御を実行する。その後、送風部65eの駆動停止から所定時間経過後、送風部65dの駆動を停止させる制御を実行する。すなわち、検出部48に手が検知されなくなると、送風部65eを駆動停止させた後、遅れて、送風部65dを駆動停止させる。送風部65eの駆動が送風部65dの駆動より先に停止することにより、乾燥空間SP内の空気が開口から漏れてしまうことをしっかりと抑制できる。なお、送風部65dの駆動停止を遅らせる上記の所定時間は、例えば0.01秒以上2.0秒以下程度であるが、特に限定されず適宜定めることができる。
送風部65eが駆動している間は、送風部65dが駆動するように構成されている。すなわち、制御部69は、送風部65eが駆動している間は、送風部65dを駆動しているように、制御を実行している。このことにより、乾燥空間内の空気が開口から漏れてしまうことをしっかりと抑制できる。すなわち、吹出し口から乾燥空間SP内に空気が吹き出されている間は、吸込み口63から乾燥空間SP内の空気が吸い込まれやすくなるため、乾燥空間SP内の空気が開口から漏れてしまうことをより抑制できる。
図16に表したように、第1フィルター部67aは、流路部70dにおいて、送風部65eの上流に設けられる。第1フィルター部67aにより、吹出し口から乾燥空間SP内に吹き出される空気をきれいにすることができる。
手乾燥装置203は、フィルター部67dをさらに有していてもよい。フィルター部67dは、流路部70cに設けられ、送風部65dの上流または下流に位置する。フィルター部67dを設けることにより、排出口64cから排出される空気をよりきれいにすることができる。
上述したように、高速な乾燥のためには、吹出し口は、高速に空気を吹き出すことが望ましい。具体的には、例えば、吹出し口に空気を送るための送風部が駆動している駆動時において、各吹出し口(第1吹出し口2a、第2吹出し口4a、第1吹出し口61及び第2吹出し口62のそれぞれ)が吹き出す空気の風速は、90m/s(メートル毎秒)以上、好ましくは92m/s以上である。また、吹出し口に空気を送るための送風部が駆動している駆動時において、吹出し口から吹き出される空気の風量(各第1吹出し口2a及び各第2吹出し口4aから吹き出される空気の風量の合計、または、各第1吹出し口61及び各第2吹出し口62から吹き出される空気の風量の合計)は、2.0m3/h(立方メートル毎時)以上、好ましくは2.2m3/h以上である。これにより、使用者の手を例えば10秒程度で乾燥可能な高速乾燥を実現できる。ただし、高速に空気を吹き出す高速乾燥が可能な手乾燥装置においては、吹出し口から勢いよく多量の空気が吹き出されるため、吹き出し口から出た空気が、乾燥空間内の吸い込み口から十分に吸い込まれずに、手を差し入れる開口から漏れてしまう可能性があった。例えば、風の勢いが強いと、使用者の手等に衝突した風は周囲に拡散しやすいため、吸込み口から吸い込まれずに手を差し入れる開口から漏れてしまう恐れがある。これに対して、実施形態に係る手乾燥装置100、200~203によれば、既に述べたように、吹出し口から出た空気が、吸込み口ではなく手を差し入れる開口から漏れてしまう可能性がより低減できる。なお、風量(又は出力)の比較は、例えば、各送風部の駆動開始直後などの風量(又は出力)の過渡状態を除いた状態の少なくとも一部における比較でよい。
以上説明したように、実施形態によれば、品質を向上可能な手乾燥装置を提供できる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
本発明の実施の形態においては、吸込み口10が底部8に設けられていたが、例えば、第1壁部2や第2壁部4に設けられていても良い。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、手乾燥装置100、200~203が備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。