JP7205492B2 - 立体造形物の製造方法、およびそれに用いる粉末材料 - Google Patents

立体造形物の製造方法、およびそれに用いる粉末材料 Download PDF

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Description

本発明は、立体造形物の製造方法、およびそれに用いる粉末材料に関する。
近年、複雑な形状の立体造形物を比較的容易に製造できる様々な方法が開発されており、このような手法を利用したラピッドプロトタイピングやラピッドマニュファクチュアリングが注目されている。
このような立体造形物の製造方法の一つとして、熱可塑性樹脂を含む樹脂粒子からなる薄層を形成し、所望の領域の樹脂粒子どうしを焼結もしくは溶融結合(以下、単に「溶融結合」とも称する)させて、立体造形物を得る方法が提案されている。例えば、樹脂粒子どうしを溶融結合させる領域(以下、「硬化領域」とも称する)と、それ以外の領域(以下、「非硬化領域」とも称する)とで、エネルギーの吸収度合いが異なるように各種処理を行った後、薄層全面にエネルギーを照射することが提案されている(特許文献1)。当該方法によれば、エネルギーの照射を一括して行うことができるため、立体造形物を従来の方法より格段に速く形成できる、との利点がある。なお、下記特許文献1には、硬化領域のエネルギーの吸収度合いを非硬化領域のエネルギーの吸収度合いより高める方法として、硬化領域のみにエネルギー吸収剤を塗布することが記載されている。
特表2007-533480号公報
近年、上記特許文献1に記載の立体造形物の製造方法において、硬化領域に赤外光吸収剤を含む結合用流体を塗布し、非硬化領域には必要に応じてエネルギー吸収性の低い剥離用流体を塗布することが検討されている(以下、当該方式を「MJF方式」とも称する)。当該MJF方式において、上記結合用流体および剥離用流体の塗布後、赤外光を全面に照射すると、硬化領域中の赤外光吸収剤が赤外光を吸収し、発熱する。これにより、硬化領域における樹脂粒子の温度が高まり、樹脂粒子どうしが溶融結合する。しかしながら、当該方法では、樹脂粒子の内部まで熱が伝わるまでに時間がかかる。したがって、より効率よく熱可塑性樹脂を溶融させる方法が求められていた。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものである。すなわち本発明は、赤外光照射によって効率よく硬化させることが可能であり、強度が高くかつ寸法精度の高い立体造形物を作製可能な粉末材料、およびこれを用いた立体造形物の製造方法を提供する。
本発明の第1は、粉末材料にある。
[1]粉末材料を含む薄層の形成と、前記薄層に対する結合用流体の塗布と、前記薄層への赤外光照射と、を含む立体造形物の製造方法に使用される粉末材料であって、熱可塑性樹脂と、熱伝導率が2W/mK以上であり、かつバンドギャップが1.59eV以上である無機材料と、を含む、造形用粒子を含有する、粉末材料。
[2]前記無機材料の平均粒子径が0.01~50μmである、[1]に記載の粉末材料。
[3]前記無機材料が、鱗片状である、[1]または[2]に記載の粉末材料。
本発明の第2は、以下の立体造形物の製造方法にある。
[4]上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の粉末材料を含む薄層を形成する薄層形成工程と、赤外光吸収剤を含む結合用流体を、前記薄層の特定の領域に塗布する流体塗布工程と、前記流体塗布工程後の前記薄層に赤外光を照射し、前記結合用流体を塗布した領域の前記造形用粒子中の前記熱可塑性樹脂を溶融させて造形物層を形成する赤外光照射工程と、を含む、立体造形物の製造方法。
[5]前記薄層形成工程、前記流体塗布工程、および前記赤外光照射工程を、複数回繰り返すことで、前記造形物層を積層し、立体造形物を形成する、[4]に記載の立体造形物の製造方法。
[6]前記流体塗布工程で、前記結合用流体より赤外光吸収の少ない剥離用流体を、前記結合用流体の塗布領域と隣接する領域に塗布する、[4]または[5]に記載の立体造形物の製造方法。
[7]前記流体塗布工程で、前記結合用流体および前記剥離用流体をインクジェット法で塗布する、[6]に記載の立体造形物の製造方法。
本発明の粉末材料は、赤外光照射によって効率よく硬化させることが可能である。また本発明の粉末材料によれば、強度が高く、かつ寸法精度の高い立体造形物が得られる。
図1は本発明の一実施形態における立体造形装置の構成を概略的に示す側面図である。 図2は本発明の一実施形態における立体造形装置の制御系の主要部を示す図である。
本発明の粉末材料は、前述のMJF方式に適用される材料である。前述のように、MJF方法では、樹脂粒子を含む薄層に、赤外光吸収剤を含む結合用流体、および必要に応じて結合用流体より赤外光吸収の少ない剥離用流体を塗布する。そして、赤外光を全面に照射することで、結合用流体を塗布した領域の温度のみを上昇させて、樹脂粒子を溶融結合させる。しかしながら、従来の樹脂粒子では、赤外光照射時に内部まで熱が伝わり難く、十分に溶融させるために時間がかかる等の課題があった。
これに対し、本発明の粉末材料に含まれる造形用粒子には、熱可塑性樹脂と共に、熱伝導率が2W/mK以上、かつバンドギャップが1.59eV以上である無機材料が含まれる。造形用粒子に熱伝導性の比較的高い無機材料が含まれると、発熱した赤外光吸収剤からの熱が、無機材料を介して熱可塑性樹脂に伝わる。つまり、造形用粒子内部まで、熱が伝わることで、熱可塑性樹脂が効率よく溶融する。また、上記無機材料は、バンドギャップが十分に大きく、赤外光を殆ど吸収しない。したがって、立体造形物を作製する際、硬化領域の表面だけでなく、内部まで赤外光を照射することができ、造形用粒子を十分に溶融結合させることができる。また、無機材料が赤外光を吸収しないことから、全面に赤外光が照射されたとしても、非硬化領域が発熱せず、硬化領域のみの粉末材料を硬化させることができる。以下、粉末材料について先に説明し、その後、当該粉末材料を用いた立体造形物の製造方法を説明する。
1.粉末材料について
本発明の粉末材料には、少なくとも造形用粒子が含まれる。粉末材料には、必要に応じて各種添加剤や、フローエージェント、充填材等が含まれていてもよい。
造形用粒子は、熱可塑性樹脂と無機材料とを含む粒子である。造形用粒子の形状は特に制限されず、球状や角柱状等、いずれの形状であってもよい。ただし、粉末材料の流動性を良好にし、かつ寸法精度よく立体造形物を作製するとの観点から、球状であることが好ましい。また、造形用粒子の一部のみ、例えば表面側にのみ無機材料が含まれていてもよいが、熱伝導性の観点から、造形用粒子内に均一に無機材料が含まれていることが好ましい。
ここで、造形用粒子の平均粒子径は特に制限されないが、2μm以上210μm以下であることが好ましく、10μm以上80μm以下であることがより好ましい。造形用粒子の平均粒子径が2μm以上であると、後述の立体造形物の製造方法で作製する造形物層の厚みが十分に厚くなりやすく、効率良く立体造形物を製造することが可能となる。一方、造形用粒子の平均粒子径が210μm以下であると、複雑な形状の立体造形物も作製することが可能となる。
造形用粒子の平均粒子径は、動的光散乱法により測定した体積平均粒子径とする。体積平均粒子径は、湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置(マイクロトラックベル社製、MT3300EXII)により測定することができる。
造形用粒子に含まれる無機材料の熱伝導率は、2W/mK以上であり、2~250W/mKであることがより好ましく、4~250W/mKであることがさらに好ましい。無機材料の熱伝導率が、上記範囲であると、赤外光吸収剤から無機材料に熱が伝わりやすく、さらには無機材料から熱可塑性樹脂に効率よく熱が伝わりやすくなる。上記熱伝導率は、C-THERM社製熱伝導率測定装置TCi等を用い、MTPS(非定常平面熱源)メソッドを用いて測定される。
一方、無機材料のバンドギャップは、1.59eV以上であり、2~10eVであることがより好ましく、5~10eVであることがさらに好ましい。無機材料が赤外光によって励起されないようなバンドギャップを有することで、赤外光を受けても発熱しなくなる。本明細書でいう「赤外光」とは780nm~3000nmの光である。したがって、バンドギャップが1.59eV以上であれば、赤外光照射によって無機材料が赤外光を吸収し難い。上記無機材料のバンドギャップは、理研計器社製AC3等を用い、照射する紫外光のエネルギーに対応する光電子の放出を観測することで測定される。
造形用粒子に含まれる無機材料は、上記熱伝導率およびバンドギャップを有するものであればその形状は特に制限されず、例えば粒子状であってもよく、繊維状であってもよく、鱗片状であってもよい。熱伝導性の観点からは、鱗片状であることが特に好ましい。なお、本明細書において、「鱗片状」とは、平ら、もしくは湾曲した板状であることをいう。
上記無機材料の平均粒子径は、上記熱伝導性を発現可能であれば特に制限されないが、0.01~50μmであることが好ましく、0.01~30μmであることがより好ましく、0.01~20μmであることがさらに好ましい。無機材料の平均粒子径が0.01μm以上であると、造形用粒子内で効率よく熱を伝えることが可能となる。一方、平均粒子径が50μm以下であると、熱可塑性樹脂が溶融して、造形用粒子どうしが結合する際の結合を阻害し難く、強度の高い立体造形物が得られやすくなる。無機材料の平均粒子径は、体積平均粒子径であり、造形用粒子中の熱可塑性樹脂を溶媒等によって除去した後、上記レーザ回折式粒度分布測定装置等にて測定することで特定できる。
また、上記無機材料が鱗片状である場合、無機材料を平面視したときの形状は特に制限されず、円形状であってもよく、楕円状であってもよく、多角形状等であってもよい。このとき、厚みと長径との比(長径/厚み)は、2~100であることが好ましく、5~100であることがより好ましい。また、厚みは、0.1~10μmであることが好ましく、0.1~5μmであることがより好ましい。厚みが10μm以下であると、無機材料の表面積が大きくなりやすく、無機材料によって効率よく熱を伝えやすくなる。一方、無機材料が繊維状である場合、その繊維長は、0.1~100μmであることが好ましく、0.1~50μmであることがより好ましい。また、繊維径は、0.02~5μmであることが好ましく、0.02~3μmであることがより好ましい。
上記無機材料を構成する材料は、上記熱伝導率およびバンドギャップを満たすものであれば特に制限されず、その例には、酸化アルミニウムや酸化マグネシウム、タルク等の金属酸化物;炭化ケイ素や窒化ホウ素や窒化アルミニウム等の半金属または金属の炭化物や窒化物等が含まれる。造形用粒子には、無機材料が一種のみ含まれていてもよく、二種以上含まれていてもよい。これらの中でも、赤外光を吸収し難いとの観点から白色系の無機材料であることが好ましい。また、酸化マグネシウム、タルク、窒化ホウ素、または窒化アルミニウムがより好ましく、窒化ホウ素であることが特に好ましい。
上記無機材料は、造形用粒子に対して1~60質量%含まれていることが好ましく、3~60質量%含まれていることがより好ましく、5~60質量%含まれていることがさらに好ましい。造形用粒子中に1質量%以上無機材料が含まれると、立体造形物作製の際に、造形用粒子内で熱が伝わりやすくなる。一方、造形用粒子中の無機材料の量が60質量%以下であると、相対的に熱可塑性樹脂の量が十分となり、強度の高い立体造形物が得られやすくなる。
一方、造形用粒子に含まれる熱可塑性樹脂は、立体造形物の形成方法に応じて適宜選択される。当該熱可塑性樹脂としては、一般的なMJF方式用の樹脂粒子に含まれる樹脂と同様のものを用いることができる。造形用粒子には、熱可塑性樹脂が一種のみ含まれていてもよく、二種以上含まれていてもよい。
ただし、熱可塑性樹脂の溶融温度が高すぎると、立体造形物の作製時に、造形用粒子を溶融させるために赤外光を長時間照射する必要が生じ、立体造形物の作製に時間がかかったりすること等がある。そこで、熱可塑性樹脂の溶融温度は、300℃以下であることが好ましく、230℃以下であることがより好ましい。一方、得られる立体造形物の耐熱性等の観点から、熱可塑性樹脂の溶融温度は100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましい。溶融温度は、熱可塑性樹脂の種類等によって調整することができる。
ここで、熱可塑性樹脂は結晶性の樹脂であってもよく、非晶性の樹脂であってもよい。熱可塑性樹脂の例には、ポリアミド12、ポリアミド6、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリサルホン、ポリアクリロニトリル、ポリ2-エチルヘキシルメタクリレート、ポリフェニレンサルファイド等が含まれる。これらの中でも、汎用性や取り扱い性等の観点からポリアミド12またはポリプロピレンが好ましい。
ここで、熱可塑性樹脂は、造形用粒子に対して、40~99質量%含まれることが好ましく、40~97質量%含まれることがより好ましい。熱可塑性樹脂が40質量%含まれると、強度の高い立体造形物が得られやすくなる。一方、熱可塑性樹脂の量が97質量%以下であると、相対的に無機材料の量が多くなり、効率よく熱可塑性樹脂を溶融させることが可能となる。
また、粉末材料には、本発明の目的および効果を損なわない範囲で、造形用粒子以外の成分が含まれていてもよく、例えば各種添加剤が含まれていてもよい。各種添加剤の例には、酸化防止剤、酸性化合物及びその誘導体、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、核剤、難燃剤、衝撃改良剤、発泡剤、着色剤、有機過酸化物、展着剤、粘着剤等が含まれる。粉末材料には、これらが一種のみ含まれていてもよく、二種以上含まれていてもよい。
さらに、粉末材料には、本発明の目的および効果を損なわない範囲で、充填材が含まれていてもよい。充填材の例には、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、ガラスカットファイバー、ガラスミルドファイバー、ガラスフレーク、ガラス粉末、炭化ケイ素、窒化ケイ素、石膏、石膏ウィスカー、焼成カオリン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウィスカー、金属粉、セラミックウィスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、炭素繊維等の無機充填材;多糖類のナノファイバー;各種ポリマー等が含まれる。粉末材料には、これらが一種のみ含まれていてもよく、二種以上含まれていてもよい。
また、粉末材料には、本発明の目的および効果を損なわない範囲で、フローエージェントが含まれていてもよい。フローエージェントは、摩擦係数が小さく、自己潤滑性を有する材料であればよい。このようなフローエージェントの例には、二酸化ケイ素および窒化ホウ素が含まれる。これらのフローエージェントは、一種のみ含まれていてもよく、双方が含まれていてもよい。フローエージェントの量は、粉末材料の流動性が向上し、かつ粉末材料の溶融結合が十分に生じる範囲で適宜設定することができ、たとえば、粉末材料の全質量に対して、0質量%より多く2質量%未満とすることができる。
上記粉末材料の調製方法は特に制限されず、例えば以下の方法とすることができる。まず、熱可塑性樹脂および無機材料を準備する。熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂を調製してもよく、市販品を用いてもよい。また、無機材料は平均粒子径を揃えるため、必要に応じて機械的粉砕や分級等を行ってもよい。そして、熱可塑性樹脂および無機材料を加熱混合する。加熱温度は、熱可塑性樹脂の種類に応じて適宜選択され、例えば熱可塑性樹脂が溶融する温度以上であることが好ましい。そして混合物を冷却した後、所望の大きさになるまで粉砕し、粉末材料とする。このとき、必要に応じて分級等を行ってもよい。
2.立体造形物の製造方法
次に、上記粉末材料を用いた立体造形物の製造方法について説明する。当該立体造形物の製造方法では、(1)上記粉末材料を含む薄層を形成する薄層形成工程と、(2)赤外光吸収剤を含む結合用流体を前記薄層の特定の領域に塗布する流体塗布工程と、(3)前記流体塗布工程後の前記薄層に赤外光を照射し、前記結合用流体を塗布した領域の前記造形用粒子中の前記熱可塑性樹脂を溶融させて造形物層を形成する赤外光照射工程と、を少なくとも行う。上記流体塗布工程で、必要に応じて、結合用流体の塗布領域と隣接する領域に、結合用流体より赤外光吸収の少ない剥離用流体を塗布してもよい。
前述のように、上記粉末材料に含まれる造形用粒子は、赤外光吸収剤が発する熱を効率よく伝えることができる。したがって、赤外光照射によって、結合用流体を塗布した領域の粉末材料を効率よく硬化させることができる。また、当該粉末材料の造形用粒子を用いることで、上記薄層の表面だけでなく、内部まで赤外光を照射することができ、硬化領域において、熱可塑性樹脂どうしを十分に結合させることができる。その結果、強度が高く、かつ寸法精度に優れた立体造形物が得られる。以下、当該立体造形物の製造方法について、詳しく説明する。
(1)薄層形成工程
薄層形成工程では、上述の粉末材料を主に含む薄層を形成する。薄層の形成方法は、所望の厚みの層を形成可能であれば特に制限されない。例えば、本工程は、立体造形装置の粉末供給部から供給された粉末材料を、リコータによって造形ステージ上に平らに敷き詰める工程とすることができる。薄層は、造形ステージ上に直接形成してもよいし、すでに敷き詰められている粉末材料またはすでに形成されている造形物層の上に接するように形成してもよい。
薄層の厚さは、所望の造形物層の厚さと同じとする。薄層の厚さは、製造しようとする立体造形物の精度に応じて任意に設定することができるが、通常、0.01mm以上0.30mm以下である。薄層の厚さを0.01mm以上とすることで、新たな造形物層を形成するための赤外光照射(後述の赤外光照射工程における赤外光照射)によって、既に作製した造形物層が溶融することを防ぐことができる。また、薄層の厚さが0.01mm以上であると、粉末材料を均一に敷き詰めやすくなる。また、薄層の厚さを0.30mm以下とすることで、後述の赤外光照射工程において、赤外光を薄層の下部まで照射することが可能となり、硬化領域の熱可塑性樹脂を厚み方向の全体にわたって溶融させることが可能となる。前記観点からは、薄層の厚さは0.01mm以上0.20mm以下であることがより好ましい。
薄層の形成後、もしくは薄層を形成する前に、必要に応じて粉末材料を加熱する予備加熱を行ってもよい。予備加熱を行うと、赤外光照射工程において粉末材料(熱可塑性樹脂)の溶融に必要なエネルギー量が少なくなり、赤外光照射工程で照射する光量を少なくしたり、時間を短くしたりすることが可能となる。予備加熱温度は、造形用粒子に含まれる熱可塑性樹脂が溶融する温度より低い温度であり、さらに後述の流体塗布工程で塗布する結合用流体や剥離用流体が含む溶媒の沸点より低い温度であることが好ましい。具体的には、熱可塑性樹脂の融点、ならびに結合用流体および剥離用流体が含む溶媒の沸点のうちの一番低い温度をT(℃)としたとき、(T-50)℃以上(T-5)℃以下であることが好ましく、(T-30)℃以上(T-5)℃以下であることがより好ましい。またこのとき、加熱時間は1~60秒とすることが好ましく、3~20秒とすることがより好ましい。加熱温度および加熱時間を上記範囲とすることで、赤外光照射工程における赤外光照射量を低減することができる。
(2)流体塗布工程
流体塗布工程では、上記薄層形成工程で形成した薄層の特定の領域に、結合用流体を塗布する。また上述のように、必要に応じて、結合用流体の塗布領域と隣接する領域に、剥離用流体を塗布してもよい。例えば、造形物層を形成すべき領域(硬化領域)に選択的に結合用流体を塗布し、造形物層を形成しない領域(非硬化領域)には、剥離用流体を塗布することができる。結合用流体および剥離用流体は、どちらを先に塗布してもよいが、得られる立体造形物の寸法精度の観点から、結合用流体を先に塗布することが好ましい。
結合用流体および剥離用流体の塗布方法は特に制限されず、例えばディスペンサーによる塗布や、インクジェット法による塗布、スプレー塗布等とすることができるが、高速で所望の領域に結合用流体および剥離用流体を塗布可能であるとの観点から少なくとも一方を、インクジェット法で塗布することが好ましく、両方をインクジェット法で塗布することがより好ましい。
結合用流体および剥離用流体の塗布量は、それぞれ薄層1mm当たり、0.1~50μLであることが好ましく、0.2~40μLであることがより好ましい。結合用流体および剥離用流体の塗布量が当該範囲であると、硬化領域、および非硬化領域の粉末材料に、それぞれ結合用流体および剥離用流体を十分に含浸させることができ、寸法精度の良好な立体造形物を形成することができる。
本工程で塗布する結合用流体には、赤外光吸収剤と、溶媒と、が少なくとも含まれる。結合用流体には、必要に応じて公知の分散剤等が含まれていてもよい。
赤外光吸収剤は、後述する赤外光照射工程において照射される赤外光を吸収し、結合用流体が塗布された領域の温度を効率的に高めることが可能なものであれば特に制限されない。赤外光吸収剤の具体例には、カーボンブラック、ITO(スズ酸化インジウム)、ATO(アンチモン酸化スズ)等の赤外光吸収剤;シアニン色素;アルミニウムや亜鉛を中心に持つフタロシアニン色素;各種ナフタロシアニン化合物;平面四配位構造を有するニッケルジチオレン錯体;スクアリウム色素;キノン系化合物;ジインモニウム化合物;アゾ化合物等の赤外光吸収色素が含まれる。これらの中でも、汎用性や結合用流体が塗布された領域の温度を効率的に高めることができるとの観点から、カーボンブラックであることがさらに好ましい。
赤外光吸収剤の形状は特に制限されないが、粒子状であることが好ましい。また、その平均粒子径は0.1~1.0μmであることが好ましく、0.1~0.5μmであることがより好ましい。赤外光吸収剤の平均粒子径が過度に大きいと、結合用流体を薄層上に塗布した際、赤外光吸収剤が造形用粒子の隙間に入り込み難くなる。これに対し、平均粒子径が1.0μm以下であれば、赤外光吸収剤が、造形用粒子どうしの間に入り込みやすくなる。一方、赤外光吸収剤の平均粒子径が0.1μm以上であると、後述する赤外光照射工程で、効率良く造形用粒子(熱可塑性樹脂や無機材料)に熱を伝えることができ、造形用粒子を溶融結合させることが可能となる。
結合用流体には、赤外光吸収剤が0.1~10.0質量%含まれることが好ましく、1.0~5.0質量%含まれることがより好ましい。赤外光吸収剤の量が0.1質量%以上であると、後述の赤外光照射工程で、結合用流体が塗布された領域の温度を十分に高めることが可能となる。一方、赤外光吸収剤の量が10.0質量%以下であると、結合用流体内で赤外光吸収剤が凝集すること等が少なく、結合用流体の塗布安定性が高まりやすくなる。
一方、溶媒は赤外光吸収剤を分散可能であり、さらに造形用粒子中の成分を溶解し難い溶媒であれば特に制限されず、例えば水系溶媒とすることができる。本明細書において、「水系溶媒」とは、水または水と混和する有機溶媒をいう。水と混和する有機溶媒の例には、メタノール、エタノールおよびプロパノール、イソプロピルアルコール、トリエチレングリコール等のアルコール系溶媒;、アセトニトリル等のニトリルアルコール系溶媒;アセトン等のケトンアルコール系溶媒;1,4-ジオキサンおよびテトラヒドロフラン(THF)等のエーテルアルコール系溶媒;ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミドアルコール系溶媒等が含まれる。結合用流体には、これらが一種のみ含まれていてもよく、二種以上含まれていてもよい。また、これらの中でも水およびトリエチレングリコールの混合液であることが特に好ましい。
結合用流体には、溶媒が90.0~99.9質量%含まれることが好ましく、95.0~99.0質量%含まれることがより好ましい。結合用流体中の溶媒量が90.0質量%以上であると、結合用流体の流動性が高くなり、例えばインクジェット法等で塗布しやすくなる。
結合用流体の粘度は、0.5~50.0mPa・sであることが好ましく、1.0~20.0mPa・sであることがより好ましい。結合用流体の粘度が0.5mPa・s以上であると、結合用流体を薄層に塗布した際の拡散がさらに抑制されやすくなる。一方で、結合用流体の粘度が50.0mPa・s以下であると、結合用流体の塗布安定性が高まりやすくなる。
一方、本工程で塗布する剥離用流体は、結合用流体より赤外光の吸収が少ない流体であればよく、例えば水系溶媒を主成分とする流体等とすることができる。剥離用流体には、これらが一種のみ含まれていてもよく、二種以上含まれていてもよい。また、剥離用流体は、水およびトリエチレングリコールの混合液であることが特に好ましい。
剥離用流体は、溶媒を90質量%以上含むことが好ましく、95質量%以上含むことがより好ましい。剥離用流体中の溶媒の量が90質量%以上であると、例えばインクジェット法等で塗布しやすくなる。
また、剥離用流体の粘度は、0.5~50.0mPa・sであることが好ましく、1.0~20.0mPa・sであることがより好ましい。剥離用流体の粘度が0.5mPa・s以上であると、剥離用流体を薄層に塗布した際の拡散が適度に抑制されやすくなる。一方で、剥離用流体の粘度が50.0mPa・s以下であると、剥離用流体の塗布安定性が高まりやすくなる。
(3)赤外光照射工程
赤外光照射工程では、上記流体塗布工程後の薄層、すなわち結合用流体(および剥離用流体)が塗布された薄層に、赤外光を一括照射する。このとき、結合用流体が塗布された領域では、赤外光吸収剤が赤外光を吸収し、当該領域の温度が上昇する。そして、当該領域の造形用粒子中の熱可塑性樹脂が溶融し、造形物層が形成される。
本工程で照射する赤外光は、波長780~3000nmの光であればよく、波長800~2500nmの光であることがより好ましい。
また、本工程で赤外光を照射する時間は、粉末材料に含まれる熱可塑性樹脂の種類に応じて適宜選択されるが、通常、5~60秒であることが好ましく、10~30秒であることがより好ましい。赤外光照射時間を5秒以上とすることで、十分に熱可塑性樹脂を溶融させて、隣り合う造形用粒子を結合させることが可能となる。一方で、60秒以下とすることで、効率よく立体造形物を製造することが可能となる。
3.立体造形装置
上記立体造形物の製造方法に使用可能な立体造形装置について説明する。立体造形装置は、公知の立体造形装置と同様の構成とすることができる。立体造形装置は、図1の概略側面図に示すように、開口内に位置する造形ステージ210、粉末材料からなる薄層を形成するための薄層形成部220、薄層を予備加熱するための予備加熱部230、薄層に結合用流体(および剥離用流体)を塗布するための流体塗布部300、薄層に赤外光を照射するための赤外照射部240、鉛直方向の位置を可変に造形ステージ210を支持するステージ支持部250、および上記各部を支持するベース290を備える。
一方、立体造形装置200の制御系の主要部を図2に示す。図2に示すように、立体造形装置200は、薄層形成部220、予備加熱部230、流体塗布部300、赤外光照射部240、およびステージ支持部250を制御して、造形物の形成および積層を行う制御部260、各種情報を表示するための表示部270、ユーザーからの指示を受け付けるためのポインティングデバイス等を含む操作部275、制御部260の実行する制御プログラムを含む各種の情報を記憶する記憶部280、ならびに外部機器との間で立体造形データ等の各種情報を送受信するためのインターフェース等を含むデータ入力部285を備えてもよい。また、立体造形装置200は、造形ステージ210上に形成された薄層の表面温度を測定する温度測定器235を備えてもよい。また立体造形装置200には、立体造形用のデータを生成するためのコンピュータ装置310が接続されてもよい。
造形ステージ210は、昇降可能に制御され、当該造形ステージ210上で、薄層形成部220による薄層の形成、予備加熱部230による薄層の予備加熱、流体塗布部300による結合用流体(および剥離用流体)の塗布、および赤外光照射部240による赤外光の照射が行われる。そして、これらによって形成された造形物が積層されて、立体造形物が形成される。
薄層形成部220は、粉末材料を収納する粉末材料収納部221aと、粉末材料収納部221aの底部に設けられ開口内を昇降する供給ピストン221bとを備える粉末供給部221、および粉末供給部221から供給された粉末材料を造形ステージ210上に平らに敷き詰めて、粉末材料の薄層を形成するリコータ222aを備えた構成とすることができる。当該装置では、粉末材料収納部221aの開口部の上面が、造形ステージ210を昇降させる(立体造形物を形成するための)開口部の上面と、ほぼ同一平面上に配置される。
なお、粉末供給部221は、造形ステージ210に対して鉛直方向上方に設けられた粉末材料収納部(不図示)と、当該粉末材料収納部に収納された粉末材料を、所望の量ずつ吐出するためのノズル(不図示)と、を備える構成としてもよい。この場合、ノズルから造形ステージ210上に、均一に粉末材料を吐出することで、薄層を形成することが可能となる。
予備加熱部230は、薄層の表面のうち、造形物層を形成すべき領域を加熱し、その温度を維持できるものであればよい。当該装置では、予備加熱部230が、造形ステージ210上に形成された薄層の表面を加熱可能な第1のヒータ231と、造形ステージ上に供給される前の粉末材料を加熱する第2のヒータ232とを備えるが、これらはいずれか一方のみであってもよい。また、予備加熱部230は、上記造形物層を形成すべき領域を選択的に加熱する構成であってもよい。また、装置内の全体を予め加熱しておいて、上記薄層の表面を所定の温度に調温する構成であってもよい。
温度測定器235は、薄層の表面温度、特に造形物層を形成すべき領域の表面温度を非接触で測定できるものであればよく、たとえば、赤外光センサまたは光高温計とすることができる。
流体塗布部300は、結合用流体塗布部301および剥離用流体塗布部302を備える。なお、結合用流体のみ塗布する場合には、剥離用流体塗布部302はなくてもよい。結合用流体塗布部301および剥離用流体塗布部302は、それぞれ結合用流体または剥離用流体を貯留するための貯留部(不図示)と、これに接続されたインクジェットノズル(不図示)とを備えるものとすることができる。
赤外光照射部240は、赤外ランプを含む構成とすることができる。赤外ランプは所望のタイミングで赤外光を照射可能な光源であればよい。
ステージ支持部250は、造形ステージ210の鉛直方向の位置を可変に支持するものであればよい。すなわち、造形ステージ210は、ステージ支持部250によって鉛直方向に精密に移動可能に構成されている。ステージ支持部250としては、種々の構成を採用できるが、例えば、造形ステージ210を保持する保持部材と、この保持部材を鉛直方向に案内するガイド部材と、ガイド部材に設けられたねじ孔に係合するボールねじ等で構成することができる。
制御部260は、中央処理装置等のハードウェアプロセッサを含んでおり、立体造形物の造形動作中、立体造形装置200全体の動作を制御する。
また、制御部260は、たとえばデータ入力部285がコンピュータ装置310から取得した立体造形データを、造形物層の積層方向について薄く切った複数のスライスデータに変換するよう構成されてもよい。スライスデータは、立体造形物を造形するための各造形物層の造形データである。スライスデータの厚み、すなわち造形物層の厚みは、造形物層の一層分の厚さに応じた距離(積層ピッチ)と一致する。
表示部270は、たとえば液晶ディスプレイ、モニタとすることができる。
操作部275は、たとえばキーボードやマウスなどのポインティングデバイスを含むものとすることができ、テンキー、実行キー、スタートキー等の各種操作キーを備えてもよい。
記憶部280は、たとえばROM、RAM、磁気ディスク、HDD、SSD等の各種の記憶媒体を含むものとすることができる。
立体造形装置200は、制御部260の制御を受けて、装置内を減圧する、減圧ポンプなどの減圧部(不図示)、または、制御部260の制御を受けて、不活性ガスを装置内に供給する、不活性ガス供給部(不図示)を備えていてもよい。
ここで、当該立体造形装置200を用いた立体造形方法について、具体的に説明する。制御部260は、データ入力部285がコンピュータ装置310から取得した立体造形データを、造形物層の積層方向について薄く切った複数のスライスデータに変換する。その後、制御部260は、立体造形装置200における以下の動作の制御を行う。
粉末供給部221は、制御部260から出力された供給情報に従って、モーターおよび駆動機構(いずれも不図示)を駆動し、供給ピストンを鉛直方向上方(図1の矢印方向)に移動させ、前記造形ステージと水平方向同一平面上に、粉末材料を押し出す。
その後、リコータ駆動部222は、制御部260から出力された薄層形成情報に従って水平方向(図中矢印方向)にリコータ222aを移動させて、粉末材料を造形ステージ210に運搬し、かつ、薄層の厚さが造形物層の1層分の厚さとなるように粉末材料を押圧する。
予備加熱部230は、制御部260から出力された温度情報に従って形成された薄層の表面または装置内の全体を加熱する。予備加熱部230は、薄層が形成された後に加熱を開始してもよいし、薄層が形成される前から形成されるべき薄層の表面に該当する箇所または装置内の加熱を行っていてもよい。
その後、流体塗布部240が、制御部260から出力された流体塗布情報に従って、各スライスデータにおける立体造形物を構成する領域の薄層上に結合用流体塗布部30薄層1から結合用流体を塗布する。一方、立体造形物を構成しない領域の薄層には、必要に応じて剥離用流体塗布部302から剥離用流体を塗布する。
その後、赤外光照射部240が、制御部260から出力された赤外光照射情報に従って、薄層全体に赤外光を照射する。赤外光の照射によって結合用流体が塗布された領域の温度が部分的に大きく上昇し、粉末材料に含まれる熱可塑性樹脂が溶融する。これにより、造形物層が形成される。
その後、ステージ支持部250は、制御部260から出力された位置制御情報に従って、モーターおよび駆動機構(いずれも不図示)を駆動し、造形ステージ210を、積層ピッチだけ鉛直方向下方(図中矢印方向)に移動する。
表示部270は、必要に応じて、制御部260の制御を受けて、ユーザーに認識させるべき各種の情報やメッセージを表示する。操作部275は、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、その入力操作に応じた操作信号を制御部260に出力する。たとえば、形成される仮想の立体造形物を表示部270に表示して所望の形状が形成されるか否かを確認し、所望の形状が形成されない場合は、操作部275から修正を加えてもよい。
制御部260は、必要に応じて、記憶部280へのデータの格納または記憶部280からのデータの引き出しを行う。
これらの動作を繰り返すことで、造形物層が積層され、立体造形物が製造される。
以下において、本発明の具体的な実施例を説明する。なお、これらの実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。
1.材料の準備
(無機材料の準備)
無機材料は、以下の表1に示すものを用いた。熱伝導率はC-THERM社製熱伝導率測定装置TCiを用い、MTPSメソッドを用いて測定した。一方、バンドギャップは、理研計器社製AC3を用い、照射する紫外光のエネルギーに対応する光電子の放出を観測することで測定した。さらに、平均粒子径D50は、マイクロトラック・ベル社製MT-3000IIを用い、レーザー回折式測定法により測定した。
Figure 0007205492000001
(熱可塑性樹脂の準備)
熱可塑性樹脂は、以下のものを用いた。
・PA12(ポリアミド12) ダイセル・エボニック社製 ダイアミドL1600
・PP(ポリプロピレン) 住友化学社製 FLX80E4
2.粉末材料の調製
(比較例1および4)
ポリアミド12(PA12)またはポリプロピレン(PP)からなる粒子を日本ニューマチック工業(株)製ラボジェットにて粉砕し、粉末材料として用いた。平均粒子径D50は、マイクロトラック・ベル社製MT-3000IIを用い、レーザー回折式測定法により測定した。
(比較例2および3、ならびに実施例1~11)
Xplore Instruments社製小型混練機に、表2に示す無機材料と熱可塑性樹脂とを、無機材料の割合が粉末材料全量に対して表2に示す割合となるように混合して投入し、180℃、100rpmで加熱混合した。前記混合物を冷却後、日本ニューマチック工業(株)製ラボジェットを用いて粉砕し、表2に示す平均粒子径を有する造形用粒子を含む粉末材料を得た。なお、平均粒子径はマイクロトラック・ベル社製MT-3000IIを用い、レーザー回折式測定法により測定した。
3.立体造形物の作製
上記実施例1~11、および比較例1~4で作製した粉末材料を、ホットプレート上に設置した造形ステージ上に敷き詰めて厚さ0.1mmの薄層を形成し、160℃に予備加熱を行った。この薄層に、ISO527-2-1BAの試験片形状(最大長さ:75mm、最大幅:10mm)に結合用流体をインクジェット法にて塗布した。結合用流体は、トリエチレングリコール15質量部と、赤外光吸収剤(カーボンブラック(キャボット社製Mogul-L))5質量部、水80質量部とを含むものを用いた。結合用流体の塗布量は、1mm当たり、30μLとした。次いで、当該結合用流体を塗布した以外の領域に剥離用流体をインクジェット法にて塗布した。剥離用流体は、トリエチレングリコール15質量部と、水85質量部とを含むものを用いた。また、剥離用流体の塗布量は、1mm当たり、30μLとした。その後、薄層に赤外ランプから赤外光を照射して、結合用流体を塗布した領域の表面温度が220℃になるまで加熱した。これにより、結合用流体を塗布した領域の粉末材料が溶融結合し、造形物層が作製された。そして、当該工程を10回繰り返し、造形物層が10層積層された立体造形物を製造した。
4.評価
各立体造形物について、精度および強度を以下の方法で評価した。結果を表2に示す。
(立体造形物における精度の評価)
各立体造形物について、デジタルノギス(株式会社ミツトヨ製、スーパキャリパCD67-S PS/PM、「スーパキャリパ」は同社の登録商標))で長さ方向の寸法を測定した。製造しようとした寸法(最大長さ75mm)と、作製した立体造形物の寸法との差を平均して、造形精度のずれとした。このとき、評価は以下の基準で行った。
○:基準長75mmに対して誤差±0.15mm未満
△:基準長75mmに対して誤差±0.15mm以上~±0.3mm未満
×:基準長75mmに対して誤差±0.3mm以上
(立体造形物における強度評価)
上記方法で作製した立体造形物、および同様の形状に作製した射出成形品について、インスロン社製万能試験機model-5582を用い、引張速度1mm/min、掴み具距離60mm、試験温度23℃の条件にて引張強度を測定した。射出成形品の強度を基準として、得られた立体造形物の強度を以下の基準で評価した。
◎:射出成形品の引張強度に対して90%以上
○:射出成形品の引張強度に対して80%以上90%未満
×:射出成形品の引張強度に対して80%未満
Figure 0007205492000002
上記表2に示されるように、熱可塑性樹脂からなる造形用粒子を用いた場合、得られた立体造形物の強度が十分ではなかった(比較例1および4)。熱可塑性樹脂の溶融が十分でなく、造形用粒子どうしの結合力が弱かったと考えられる。
これに対し、熱伝導率が2W/mK以上、かつバンドギャップが1.59eV以上である無機材料を熱可塑性樹脂と共に含む造形用粒子を用いた場合、立体造形物の強度および寸法精度がいずれも良好であった(実施例1~11)。無機材料によって造形用粒子の内部まで熱が十分に伝わり、硬化領域の造形用粒子を十分に結合させることができたと考えられる。また特に鱗片状であったり、熱伝導率の高い無機材料を用いた場合には(例えば、実施例4~7、9、10、11)、硬化領域で熱が伝わりやすく、強度が高くなったと考えられる。
一方、熱可塑性樹脂と共に無機材料を含んでいたとしても、無機材料の熱伝導率が低い場合には、無機材料を添加しない場合と同様の結果となった(比較例2)。また熱伝導率が高い無機材料を含んでいたとしても、バンドギャップが小さすぎる場合には、造形精度が低下した(比較例3)。赤外光の照射によって、無機材料が発熱し、非硬化領域においても造形用粒子どうしが結着してしまったと考えられる。
本出願は、2017年12月13日出願の特願2017-238749号に基づく優先権を主張する。当該出願明細書および図面に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
本発明の粉末材料は、赤外光照射によって効率よく硬化させることが可能である。また当該粉末材料によれば、強度が高く、かつ寸法精度の高い立体造形物が得られる。したがって、本発明は、立体造形法のさらなる普及に寄与するものと思われる。
200 立体造形装置
210 造形ステージ
220 薄層形成部
221 粉末供給部
222 リコータ駆動部
222a リコータ
230 予備加熱部
231 第1のヒータ
232 第2のヒータ
235 温度測定器
240 赤外光照射部
250 ステージ支持部
260 制御部
270 表示部
275 操作部
280 記憶部
285 データ入力部
290 ベース
300 流体塗布部
301 結合用流体塗布部
302 剥離用流体塗布部
310 コンピュータ装置

Claims (7)

  1. 粉末材料を含む薄層の形成と、前記薄層に対する結合用流体の塗布と、前記薄層への赤外光照射と、を含み、前記赤外光照射によって前記粉末材料に含まれる造形用粒子が溶融結合することによる立体造形物の製造方法に使用される粉末材料であって、
    前記造形用粒子は、前記赤外光を照射されたときに溶融結合するための熱可塑性樹脂と、前記造形用粒子内に均一に含まれている、熱伝導率が2W/mK以上であり、かつバンドギャップが1.59eV以上である無機材料と、を含む
    末材料。
  2. 前記無機材料の平均粒子径が0.01~50μmである、
    請求項1に記載の粉末材料。
  3. 前記無機材料が、鱗片状である、
    請求項1または2に記載の粉末材料。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の粉末材料を含む薄層を形成する薄層形成工程と、
    赤外光吸収剤を含む結合用流体を、前記薄層の特定の領域に塗布する流体塗布工程と、
    前記流体塗布工程後の前記薄層に赤外光を照射し、前記結合用流体を塗布した領域の前記造形用粒子中の前記熱可塑性樹脂を溶融させて造形物層を形成する赤外光照射工程と、
    を含む、立体造形物の製造方法。
  5. 前記薄層形成工程、前記流体塗布工程、および前記赤外光照射工程を、複数回繰り返すことで、前記造形物層を積層し、立体造形物を形成する、
    請求項4に記載の立体造形物の製造方法。
  6. 前記流体塗布工程で、前記結合用流体より赤外光吸収の少ない剥離用流体を、前記結合用流体の塗布領域と隣接する領域に塗布する、
    請求項4または5に記載の立体造形物の製造方法。
  7. 前記流体塗布工程で、前記結合用流体および前記剥離用流体をインクジェット法で塗布する、
    請求項6に記載の立体造形物の製造方法。
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