JP7205424B2 - 車両用内装パネル - Google Patents

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Description

本発明は、エアバッグを覆う車両用内装パネルに関する。
車両に搭載されるエアバッグは、一般に、車両用内装パネルの裏側に配置されて当該車両用内装パネルによって覆われ、車両室内から隔離される。このようなエアバッグを覆う車両用内装パネルは、エアバッグドアとも呼ばれ、エアバッグが展開する際に車両室内に向けて開き、車両用内装パネルの裏側と車両室内とを連絡する。この種の車両用内装パネルは、エアバッグが展開する際の衝撃によって開裂するための溝状の部分、すなわち開裂溝を有する。当該開裂溝はテアラインとも呼ばれる。
ところで、車両用内装パネルには、乗員が多少荷重を加えても破損しない程度の剛性が要求される。また、当該車両用内装パネルの少なくとも表面は、車両室内の意匠を損ねない程度に外観の美しさが要求される。
このため、車両用内装パネルは、基体と当該基体を覆う表皮体とを有するのが一般的である(例えば特許文献1参照)。このうち基体は、主に車両用内装パネルの剛性に関与し、表皮体は、主に車両用内装パネルの外観に関与する。
特許文献1に紹介されている車両用内装パネルは、基材すなわち基体と、当該基体の表面に貼着された表皮材すなわち表皮体とを有する。このうち表皮体は、基布層と、当該基布層の表面に貼着された表皮層と、上記の基布層の裏面に貼着されたクッション層とからなる。特許文献1の実施例において、基布層およびクッション層はニット製である。
特許文献1に紹介されている車両用内装パネルでは、基体の裏面に開裂溝が設けられ、かつ、表皮体におけるクッション層の裏面にも開裂溝が設けられている。
このような車両用内装パネルにおいては、基体の開裂溝とクッション層の開裂溝とを、車両用内装パネルの表裏方向において略同位置に配置することで、エアバッグの展開時に、基材の開裂溝とクッション層の開裂溝とをともに破断させることができる。しかし、この種の車両用内装パネルを製造する際には、基体の開裂溝とクッション層の開裂溝とを精密に位置決めする必要があり、製造工程が煩雑となる問題があった。
特開2015-93555号公報
ところでニットは、その構造上、1箇所に破断が生じると当該破断が全体に伝搬し易い。本発明の発明者は、特許文献1の車両用内装パネルにおいて、表皮体を一重のニット製とすれば、開裂溝を設けずに済み、上記した基体の開裂溝とクッション層の開裂溝との位置決めを行う必要がなくなる可能性があることに気付いた。
つまり、特許文献1における表皮体は、基布層、クッション層および表皮層の三層を有し、かつ各層の間には各々接着剤層が介在する多重構造である。また、特許文献1における表皮体は、接着剤層によっても強度が高められている。このため、特許文献1における表皮体をエアバッグの展開時に信頼性高く破断させるためには、クッション層をニット製とするだけでは足らず、少なくともクッション層に開裂溝を設ける必要があった。
しかし、既述したように、一重のニットの層のみであれば、開裂溝がなくてもエアバッグの展開時に充分に破断する可能性がある。発明者は、実際に、基布層や表皮層を省き、一重のニットの層のみで表皮体を形成した車両用内装パネルを試作した。
しかし、単に一重のニットの層だけで表皮体を形成した車両用内装パネルにおいては、基体と表皮体とを接着するための接着剤が表皮体の表面にまで滲出して、車両用内装パネルの外観が著しく悪化してしまう問題が生じた。このように、従来の車両用内装パネルでは、外観の美しさと、製造の容易さとを両立することは困難であった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、エアバッグを覆う車両用内装パネルであって、外観の美しさに優れ、かつ容易に製造可能であるものを提供することを目的とする。
本発明の発明者は、外観の美しさに優れ、かつ製造が容易である車両用内装パネルを提供すべく鋭意研究を重ねて、本発明を完成した。
すなわち、上記課題を解決する本発明の車両用内装パネルは、
基体と、接着剤層を介して前記基体の表面に接着された表皮体と、を有し、前記基体をエアバッグに向けて前記エアバッグを覆う車両用内装パネルであって、
前記基体には開裂溝が設けられ、
前記表皮体は、
一重のニットであり、
前記基体側に位置する第1領域と、前記第1領域を挟んで前記基体とは逆側に位置する第2領域と、を有し、
前記第1領域は、前記第2領域に比べて密である、車両用内装パネルである。
本発明の車両用内装パネルは、外観の美しさに優れ、かつ容易に製造可能である。
本発明の車両用内装パネルにおける基体に設けられる開裂溝の形状を例示する説明図である。 本発明の車両用内装パネルにおける基体に設けられる開裂溝の形状を例示する説明図である。 本発明の車両用内装パネルにおける基体に設けられる開裂溝の形状を例示する説明図である。 実施例1の車両用内装パネルの断面を模式的に表す説明図である。 実施例1の車両用内装パネルにおける基体および表皮体を模式的に表す説明図である。 実施例1の車両用内装パネルにおける表皮体の断面を模式的に表す説明図である。 実施例1の車両用内装パネルにおける表皮体を製造する方法を模式的に説明する説明図である。
以下、本発明の車両用内装パネルを具体的に説明する。
なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x~y」は、下限xおよび上限yをその範囲に含む。そして、これらの上限値および下限値、ならびに実施形態中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに数値範囲内から任意に選択した数値を上限、下限の数値とすることができる。
本発明の車両用内装パネルは、車両に搭載されたエアバッグを覆うための内装パネルである。具体的には、本発明の車両用内装パネルは、基体と、接着剤層を介して当該基体の表面に接着された表皮体とを有し、基体をエアバッグに向けて当該エアバッグを覆う。したがって、本発明の車両用内装パネルは、基体をエアバッグに向けつつ表皮体を車両室内に向ける。
本発明の車両用内装パネルにおける基体には、開裂溝が設けられる。開裂溝は、エアバッグの展開時に破断する部分である。
一方、本発明の車両用内装パネルにおける表皮体は、一重のニットである。既述したように、ニットの構造上の特性により、表皮体の1箇所に破断が生じると当該破断が表皮体の全体に伝搬し易い。このため、本発明の車両用内装パネルは、エアバッグの展開時に信頼性高く破断し得る。
このような本発明の車両用内装パネルにおいては、表皮体に開裂溝を設ける必要がなく、当該車両用内装パネルの製造時には、基体と表皮体とを精密に位置決めする必要がなくなる。よって、本発明の車両用内装パネルは容易に製造することが可能である。
また、本発明の車両用内装パネルにおける表皮体は、基体側に位置する第1領域と、当該第1領域を挟んで上記の基体とは逆側に位置する第2領域と、を有する。つまり、基体に接着された表皮体のうち、第1領域は接着剤層に隣接し、第2領域と接着剤層との間には第1領域が介在する。
ここで、本発明の車両用内装パネルの表皮体における第1領域は、第2領域に比べて密であるため、硬化前の接着剤、つまり、流動状態にある接着剤の通過を阻み得る。このため、基体と表皮体とを接着する際に、流動状態にある接着剤は第1領域よりも疎である第2領域にまでは到達し難く、表皮体の表面への接着剤の滲出が抑制される。
よって、本発明の車両用内装パネルは、容易に製造可能なだけでなく、外観の美しさにも優れる。
さらに、表皮体のうち車両室内に露出する部分は、第1領域よりも疎な第2領域であるため、本発明の車両用内装パネルには、当該第2領域に由来する風合いが付加される。このことにより、本発明の車両用内装パネルはより一層外観の美しさに優れる。
以下、本発明の車両用内装パネルを構成要素毎に説明する。
本発明の車両用内装パネルにおける基体は、エアバッグが意図せず展開されることを防止するために、ある程度の剛性を有する必要がある。このような基体の材料としては、車両のインストルメントパネルに用いられる一般的な材料を選択すれば良い。具体的には、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合合成樹脂(ABS樹脂)、サーモプラスチックポリオレフィン(TPO)、アクリロニトリル-スチレン共重合合成樹脂(AS樹脂またはSAN)、ポリプロピレン(PP)等の樹脂材料が例示される。これらの樹脂材料にガラス繊維等を配合した繊維強化樹脂を用いるのも好ましい。基体の厚さは、基体に要求される剛性、強度等に応じて適宜設定すれば良い。
基体には、開裂溝が設けられる。開裂溝の形状は特に限定されず、例えば、図1に示すWY型、図2に示されるH型、図3に示されるU型等の形状とすることができる。なお、図1~図3は基体2における開裂溝20の例を模式的に表す説明図である。
開裂溝は、表皮体に向けて開口しても良いし、エアバッグに向けて開口しても良い。なお、開裂溝が表皮体に向けて開口する場合、表皮体の厚さ等によっては、表皮体が開裂溝に沿って凹み、表皮体の表面に凹凸が形成される虞がある。したがって、開裂溝はエアバッグに向けて開口する方が好ましい。
表皮体は、一重のニットであり、その厚さ方向に、密である領域(第1領域)と疎である領域(第2領域)との2つの領域を有する。ここでいう「一重のニット」とは、厚さ方向に連続的に編まれたニットであることを意味し、その厚さ方向全体に架け渡されている糸を有することによって特徴付けられる。
上記の第1領域および第2領域を有するニットのうち、複数のニット地がその厚さ方向に同一の糸で綴じ合わされたものは「一重のニット」に該当するが、複数のニット地が接着された所謂ボンディングニットは「一重のニット」には該当しない。第1領域および第2領域を有する「一重のニット」の具体例としては、ダブルラッセル編地、ダブルトリコット編地、パイル編地(またはループ編み地ともいう)等が挙げられる。
これら一重のニットは、そのままの状態で表皮体として用いても良いし、或いは、適宜裁断等により整形したものを表皮体として用いても良い。
例えば、表皮体としては、ダブルラッセル編地を厚さ方向に半裁したものを用いても良いし、パイル編地のループをカットしたものを用いても良い。これらは一重のニットが整形されたものではあるが、依然として、一重のニットに該当する。これら整形した一重のニットを用いることで、表皮体に優れた外観や感触を付与することができる。
表皮体の材料、つまり、ニットの糸の材料は特に限定されず、天然繊維を用いても良いし合成繊維を用いても良い。合成繊維の例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)やアクリル、ポリエステル等の繊維を例示できる。
表皮体は、エアバッグの展開時に基体とともに破断することを要する。本発明の車両用内装パネルの構造上、表皮体は、破断した基体から作用する外力によって破断するものであれば良いといえ、ニットであることにより当該条件を満たすといい得る。表皮体は、エアバッグの展開時に容易に破断することが好ましく、エアバッグの展開時に基体からの外力が作用する方向に弱い構造であるのが好ましい。
エアバッグの展開時には、基体に設けられた開裂溝に主として表方向への力が作用し、開裂溝が破断する。当該開裂溝の破断に伴い、基体が表裏方向と交差する方向に開くことで、基体の表側と裏側とが連絡される。表皮体は、基体とともに破断する必要があるために、上記の基体が開く方向において弱い構造であることが好ましい。
換言すると、本発明の車両用内装パネルにおける表皮体において、開裂溝の破断による基体の開き方向に向けた引張強度aと、当該基体の開き方向と直交する方向に向けた引張強度bとは、a<bの関係であるのが好ましい。
当該aとbとの関係は、1.2a<bであるのが好ましく、1.5a<bであるのがより好ましく、2.0a<bであるのが特に好ましい。
引張強度の測定には既知の方法を用いれば良く、例えば、JIS L 1096 A法や、JIS L 1096 B法を用いることができる。
表皮体における第1領域は、第2領域よりも密であれば良い。第1領域および第2領域の疎および密は、既知の方法で表現できる。例えば、当該疎および密は、密度や空隙率で表現することもできる。疎および密を空隙率で表す場合、当該空隙率は第1領域および第2領域の体積あたりの空隙率であっても良いし、第1領域および第2領域の断面積あたりの空隙率であっても良い。ここでいう断面積とは、表皮体を厚さ方向すなわち第1領域-第2領域方向に切断した断面における第1領域および第2領域の面積を意味し、その空隙率は画像解析により算出できる。なお、ニットの糸として撚糸を用いる場合、当該断面積あたりの空隙率における空隙には、糸の内部に存在する空隙も含まれる。
断面積あたりの空隙率で例示すると、第2領域の空隙率は、第1領域の空隙率の1.2倍以上であるのが好ましく、1.5倍以上であるのがより好ましく、2倍以上であるのが特に好ましい。また、第1領域の空隙率は、60面積%以下であるのが好ましく、50面積%以下であるのがより好ましく、30面積%以下であるのが特に好ましい。第1領域の空隙率には特に下限はないが、表皮体がニットであることを考慮すると、10面積%以上であるのが現実的である。
表皮体は、一重のニットであれば、第1領域および第2領域以外の領域を有しても良い。例えば、第2領域を挟んだ第1領域の反対側に、第2領域よりも密な第3領域を有しても良い。
基体と表皮体とを接着する接着剤は特に限定されず、基体や表皮体の材料に応じて適宜適切に選択すれば良い。
本発明の車両用内装パネルに好ましく使用される接着剤としては、エポキシ樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤等の反応系接着剤、ビニル樹脂系接着剤、スチレン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、シアノアクリレート系接着剤等の溶剤系接着剤、合成ゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、変性シリコーン系接着剤等を例示できる。
ここで、接着剤のなかには、耐久劣化して黄変するものがある。基体と表皮体との間に形成された接着剤層が黄変し、その色が表皮体をとおしてユーザーに視認されると、強度等に実質的な影響がなくても、車両用内装パネルが劣化したとユーザーに認識される虞がある。
これに対して、初めから接着剤層が黄色であれば、ユーザーが接着剤層の黄変を知覚し難くなり、車両用内装パネルが劣化したとユーザーに誤認識されることもないと考えられる。したがって、接着剤層の色は黄色であるのが好ましい。
黄色の接着剤を使用することで接着剤層を黄色としても良いし、黄色以外の色を呈する接着剤に黄色の顔料を加えて使用することで接着剤層を黄色としても良い。
なお、ここでいう黄色とは、純粋な黄色のみを差すものではなく、所謂黄色みを帯びた色全般を含む概念であり、マンセル表色系ではGY、Y、YRに属する色を意味する。
以下、黄色の具体例を列挙する。
マンセル表色系の2.5YR、5YRまたは7.5YRについては、明度c2の場合には彩度v9~v5であるのが好ましく、明度c4または明度c6の場合には彩度v9~v4であるのが好ましく、明度c8以上の場合には彩度を問わない。
10YRについては、明度c2の場合には彩度v9~v6であるのが好ましく、明度c4または明度c6の場合には彩度v9~v5であるのが好ましく、明度c8以上の場合には彩度を問わない。
2.5Yについては、明度c2の場合には彩度v9~v6であるのが好ましく、明度c4または明度c6の場合には彩度v9~v4であるのが好ましく、明度c8以上の場合には彩度を問わない。
5Yまたは7.5Yについては、明度c2の場合には彩度v9~v7であるのが好ましく、明度c4または明度c6の場合には彩度v9~v4であるのが好ましく、明度c8以上の場合には彩度を問わない。
10Yについては、明度c2の場合には彩度v9~v6であるのが好ましく、明度c4または明度c6の場合には彩度v9~v5であるのが好ましく、明度c8以上の場合には彩度を問わない。
2.5GYについては、明度c2の場合には彩度v9~v7であるのが好ましく、明度c4または明度c6の場合には彩度v9~v6であるのが好ましく、明度c8以上の場合には彩度を問わない。
5GYについては、明度c2の場合には彩度v9~v6であるのが好ましく、明度c4の場合には彩度v9~v6であるのが好ましく、明度c6の場合には彩度v9~v5であるのが好ましく、明度c8以上の場合には彩度を問わない。
7.5GYについては、明度c2の場合には彩度v9~v7であるのが好ましく、明度c4またはc6の場合には彩度v9~v6であるのが好ましく、明度c8の場合には彩度v9~v5であるのが好ましく、明度c10以上の場合には彩度を問わない。
10GYについては、明度c2の場合には彩度v9~v7であるのが好ましく、明度c4の場合には彩度v9~v5であるのが好ましく、明度c6の場合には彩度v9~v6であるのが好ましく、明度c8またはc10の場合には彩度v9~v6であるのが好ましく、明度c12以上の場合には彩度を問わない。
以下、具体例を挙げて本発明の車両用内装パネルを説明する。
(実施例1)
実施例1の車両用内装パネルの断面を模式的に表す説明図を図4に示す。実施例1の車両用内装パネルにおける基体および表皮体を模式的に表す説明図を図5に示す。実施例1の車両用内装パネルにおける表皮体の断面を模式的に表す説明図を図6に示す。実施例1の車両用内装パネルにおける表皮体を製造する方法を模式的に説明する説明図を図7に示す。
以下、実施例1において上、下、左、右、裏、表とは、図5に示す上、下、左、右、裏、表を意味する。上下方向は基体の開き方向であり、左右方向は基体の開き方向と直交する方向である。
図4に示すように、実施例1の車両用内装パネル1は、基体2、表皮体3および接着剤層4を有する。当該車両用内装パネル1は、エアバッグユニット90の表側に配置される。
より具体的には、エアバッグユニット90は、リテーナ97および当該リテーナ97の内部に格納されたエアバッグ95およびインフレータ96を有する。実施例1の車両用内装パネル1は、リテーナ97におけるドア98の表側に配置されて、エアバッグ95を表側から覆う。
車両用内装パネル1は、基体2をエアバッグ95に向け、表皮体3の表面3fを車両室内に露出する。
基体2はPP製である。基体2は裏面側に開口する開裂溝20を有する。
図5に示すように、基体2の開裂溝20はWY型であり、左右方向に直線的に延びる主線部21と、当該主線部21の左右端部に各々設けられた略V字状に延びる副線部22とを有する。開裂溝20は、主線部21を中心として破断し、当該開裂溝20の破断により基体2は裏側から表側に向けて、上下方向に開く。つまり、実施例1の車両用内装パネル1における基体2の開き方向は上下方向であり、当該基体2の開き方向と直交する方向は左右方向である。
表皮体3はPET製のニット地である。表皮体3の引張強度は、上下方向に向けて弱い。既述したように基体2の開き方向もまた上下方向であるため、当該基体2の開き方向(図5中の実線矢印方向)に向けた表皮体3の引張強度aと、基体2の開き方向と直交する方向(図5中の破線矢印方向)に向けた表皮体3の引張強度bとは、a<bの関係である。より具体的には、実施例1の車両用内装パネル1における表皮体3では、引張強度aと引張強度bとの関係は1.2a<bである。
表皮体3は、図6に示すように、第1領域31と第2領域32とで構成されている。第1領域31は第2領域32よりも密であり、第1領域31の断面積あたりの空隙率は約30面積%であり、第2領域32の断面積あたりの空隙率は約70面積%である。したがって、第2領域32の断面積あたりの空隙率は、第1領域31の断面積あたりの空隙率の約2.3倍である。
表皮体3は、ダブルラッセル編地を厚さ方向に半裁したものである。
ダブルラッセル編地の原反は、図7に示すように、2つの密な領域と、当該2つの密な領域の間に挟まれる疎な領域との3つの領域で構成される。2つの密な領域を各々I領域38、III領域39と称し、当該I領域38とIII領域39との間にある疎な領域をII領域37と称する。II領域37を構成する糸35は、II領域37のみならずI領域38およびIII領域39にも架け渡されている。I領域38およびIII領域39は、当該糸35とその他の糸36とで構成されている。II領域37は糸35のみで構成されている。
このようなダブルラッセル編地を厚さ方向に半裁すると、II領域37の1/2およびI領域38を有する半裁編地と、II領域37の1/2およびIII領域39を有する半裁編地とが得られる。このような半裁編地は、II領域37の1/2からなる第2領域32と、I領域38またはIII領域39からなる第1領域31とを有する表皮体3となる。
表皮体3は基体2の表面2fに接着される。これにより、基体2と表皮体3との間には接着剤層4が介在する。実施例1の車両用内装パネル1では、接着剤として黄色のウレタン樹脂系接着剤を用いた。
エアバッグ95が展開すると、リテーナ97のドア98が裏側から表側に向けて、上下方向に開く。それに伴い基体2の開裂溝20が破断し、基体2もまた裏側から表側に向けて上下方向に開く。すると、基体2の表側にある表皮体3に基体2からの外力が作用し、当該表皮体3が破断する。表皮体3は一重のニットであるために、表皮体3の一部が破断すると当該破断が表皮体3の全体に伝搬する。このため、実施例1の車両用内装パネル1によるとエアバッグ95の展開時に表皮体3が信頼性高く破断する。また、表皮体3の引張強度は、基体2の開き方向である上下方向に向けて弱い。このことによっても、表皮体3はエアバッグ95の展開時に信頼性高く破断する。
なお実施例1の車両用内装パネル1においては、表皮体3として、ダブルラッセル編地を厚さ方向に半裁した半裁品を用いている。このことにより、エアバッグの展開時における表皮体3の破断はより信頼性高くなされる。
このように、実施例1の車両用内装パネル1では、表皮体3に開裂溝を設けなくても表皮体3が容易に破断する。したがって、基体2の開裂溝20に対する表皮体3の開裂溝の位置決めが不要になるために、実施例1の車両用内装パネル1は容易に製造し得る。
ここで、表皮体3のうち接着剤層4側の領域である第1領域31は、接着剤層4とは逆側の領域である第2領域32に比べて密である。このため基体2と表皮体3とを接着する際には、接着剤は第1領域31に留まり、第2領域32にまでは到達し難い。このため、実施例1の車両用内装パネル1では、一重のニットを表皮体3として用いたにも拘わらず、表皮体3の表面3fへの接着剤の滲出が抑制される。このため、実施例1の車両用内装パネル1は外観の美しさにも優れる。
さらに、実施例1の車両用内装パネル1における接着剤層4は黄色であるため、接着剤層4の耐久劣化による黄ばみが目立ち難く、外観の美しさが長期間維持される利点もある。
さらに、表皮体3としてダブルラッセル編地を厚さ方向に半裁した半裁品を用いたことで、表皮体3の表面には、図7に示すII領域37の裁断面が露出する。このため、実施例1の車両用内装パネル1における表面には、当該裁断面に由来する独特の風合いが付与される。このことによっても、実施例1の車両用内装パネル1は外観の美しさに優れる。
本発明は、上記し且つ図面に示した実施形態にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。また、実施形態を含む本明細書に示した各構成要素は、それぞれ任意に抽出し組み合わせて実施できる。
1:車両用内装パネル 2:基体
2f:基体の表面 20:開裂溝
3:表皮体 3f:表皮体の表面
31:第1領域 32:第2領域
4:接着剤層 95:エアバッグ

Claims (5)

  1. 基体と、接着剤層を介して前記基体の表面に接着された表皮体と、を有し、前記基体をエアバッグに向けて前記エアバッグを覆う車両用内装パネルであって、
    前記基体には開裂溝が設けられ、
    前記表皮体は、
    一重のニットであり、
    前記基体側に位置する第1領域と、前記第1領域を挟んで前記基体とは逆側に位置する第2領域と、を有し、
    前記第1領域は、前記第2領域に比べて密であり、
    前記第2領域の断面積あたりの空隙率は前記第1領域の断面積あたりの空隙率の1.2倍以上である、車両用内装パネル。
  2. 基体と、接着剤層を介して前記基体の表面に接着された表皮体と、を有し、前記基体をエアバッグに向けて前記エアバッグを覆う車両用内装パネルであって、
    前記基体には開裂溝が設けられ、
    前記表皮体は、
    一重のニットであり、
    前記基体側に位置する第1領域と、前記第1領域を挟んで前記基体とは逆側に位置する第2領域と、を有し、
    前記第1領域は、前記第2領域に比べて密であり、
    前記表皮体は、ダブルラッセル編地を厚さ方向に半裁したものである、車両用内装パネル。
  3. 前記表皮体は、ダブルラッセル編地を厚さ方向に半裁したものである、請求項1に記載の車両用内装パネル。
  4. 前記表皮体において、前記開裂溝の破断による前記基体の開き方向に向けた引張強度aと、前記基体の開き方向と直交する方向に向けた引張強度bとは、a<bの関係である、請求項1または請求項2に記載の車両用内装パネル。
  5. 前記接着剤層は黄色である、請求項1~請求項の何れか一項に記載の車両用内装パネル。
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