JP7205424B2 - 車両用内装パネル - Google Patents
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Description
このため、車両用内装パネルは、基体と当該基体を覆う表皮体とを有するのが一般的である(例えば特許文献1参照)。このうち基体は、主に車両用内装パネルの剛性に関与し、表皮体は、主に車両用内装パネルの外観に関与する。
このような車両用内装パネルにおいては、基体の開裂溝とクッション層の開裂溝とを、車両用内装パネルの表裏方向において略同位置に配置することで、エアバッグの展開時に、基材の開裂溝とクッション層の開裂溝とをともに破断させることができる。しかし、この種の車両用内装パネルを製造する際には、基体の開裂溝とクッション層の開裂溝とを精密に位置決めする必要があり、製造工程が煩雑となる問題があった。
つまり、特許文献1における表皮体は、基布層、クッション層および表皮層の三層を有し、かつ各層の間には各々接着剤層が介在する多重構造である。また、特許文献1における表皮体は、接着剤層によっても強度が高められている。このため、特許文献1における表皮体をエアバッグの展開時に信頼性高く破断させるためには、クッション層をニット製とするだけでは足らず、少なくともクッション層に開裂溝を設ける必要があった。
すなわち、上記課題を解決する本発明の車両用内装パネルは、
基体と、接着剤層を介して前記基体の表面に接着された表皮体と、を有し、前記基体をエアバッグに向けて前記エアバッグを覆う車両用内装パネルであって、
前記基体には開裂溝が設けられ、
前記表皮体は、
一重のニットであり、
前記基体側に位置する第1領域と、前記第1領域を挟んで前記基体とは逆側に位置する第2領域と、を有し、
前記第1領域は、前記第2領域に比べて密である、車両用内装パネルである。
なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x~y」は、下限xおよび上限yをその範囲に含む。そして、これらの上限値および下限値、ならびに実施形態中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに数値範囲内から任意に選択した数値を上限、下限の数値とすることができる。
一方、本発明の車両用内装パネルにおける表皮体は、一重のニットである。既述したように、ニットの構造上の特性により、表皮体の1箇所に破断が生じると当該破断が表皮体の全体に伝搬し易い。このため、本発明の車両用内装パネルは、エアバッグの展開時に信頼性高く破断し得る。
ここで、本発明の車両用内装パネルの表皮体における第1領域は、第2領域に比べて密であるため、硬化前の接着剤、つまり、流動状態にある接着剤の通過を阻み得る。このため、基体と表皮体とを接着する際に、流動状態にある接着剤は第1領域よりも疎である第2領域にまでは到達し難く、表皮体の表面への接着剤の滲出が抑制される。
よって、本発明の車両用内装パネルは、容易に製造可能なだけでなく、外観の美しさにも優れる。
さらに、表皮体のうち車両室内に露出する部分は、第1領域よりも疎な第2領域であるため、本発明の車両用内装パネルには、当該第2領域に由来する風合いが付加される。このことにより、本発明の車両用内装パネルはより一層外観の美しさに優れる。
開裂溝は、表皮体に向けて開口しても良いし、エアバッグに向けて開口しても良い。なお、開裂溝が表皮体に向けて開口する場合、表皮体の厚さ等によっては、表皮体が開裂溝に沿って凹み、表皮体の表面に凹凸が形成される虞がある。したがって、開裂溝はエアバッグに向けて開口する方が好ましい。
上記の第1領域および第2領域を有するニットのうち、複数のニット地がその厚さ方向に同一の糸で綴じ合わされたものは「一重のニット」に該当するが、複数のニット地が接着された所謂ボンディングニットは「一重のニット」には該当しない。第1領域および第2領域を有する「一重のニット」の具体例としては、ダブルラッセル編地、ダブルトリコット編地、パイル編地(またはループ編み地ともいう)等が挙げられる。
例えば、表皮体としては、ダブルラッセル編地を厚さ方向に半裁したものを用いても良いし、パイル編地のループをカットしたものを用いても良い。これらは一重のニットが整形されたものではあるが、依然として、一重のニットに該当する。これら整形した一重のニットを用いることで、表皮体に優れた外観や感触を付与することができる。
換言すると、本発明の車両用内装パネルにおける表皮体において、開裂溝の破断による基体の開き方向に向けた引張強度aと、当該基体の開き方向と直交する方向に向けた引張強度bとは、a<bの関係であるのが好ましい。
当該aとbとの関係は、1.2a<bであるのが好ましく、1.5a<bであるのがより好ましく、2.0a<bであるのが特に好ましい。
本発明の車両用内装パネルに好ましく使用される接着剤としては、エポキシ樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤等の反応系接着剤、ビニル樹脂系接着剤、スチレン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、シアノアクリレート系接着剤等の溶剤系接着剤、合成ゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、変性シリコーン系接着剤等を例示できる。
黄色の接着剤を使用することで接着剤層を黄色としても良いし、黄色以外の色を呈する接着剤に黄色の顔料を加えて使用することで接着剤層を黄色としても良い。
マンセル表色系の2.5YR、5YRまたは7.5YRについては、明度c2の場合には彩度v9~v5であるのが好ましく、明度c4または明度c6の場合には彩度v9~v4であるのが好ましく、明度c8以上の場合には彩度を問わない。
10YRについては、明度c2の場合には彩度v9~v6であるのが好ましく、明度c4または明度c6の場合には彩度v9~v5であるのが好ましく、明度c8以上の場合には彩度を問わない。
2.5Yについては、明度c2の場合には彩度v9~v6であるのが好ましく、明度c4または明度c6の場合には彩度v9~v4であるのが好ましく、明度c8以上の場合には彩度を問わない。
5Yまたは7.5Yについては、明度c2の場合には彩度v9~v7であるのが好ましく、明度c4または明度c6の場合には彩度v9~v4であるのが好ましく、明度c8以上の場合には彩度を問わない。
10Yについては、明度c2の場合には彩度v9~v6であるのが好ましく、明度c4または明度c6の場合には彩度v9~v5であるのが好ましく、明度c8以上の場合には彩度を問わない。
2.5GYについては、明度c2の場合には彩度v9~v7であるのが好ましく、明度c4または明度c6の場合には彩度v9~v6であるのが好ましく、明度c8以上の場合には彩度を問わない。
5GYについては、明度c2の場合には彩度v9~v6であるのが好ましく、明度c4の場合には彩度v9~v6であるのが好ましく、明度c6の場合には彩度v9~v5であるのが好ましく、明度c8以上の場合には彩度を問わない。
7.5GYについては、明度c2の場合には彩度v9~v7であるのが好ましく、明度c4またはc6の場合には彩度v9~v6であるのが好ましく、明度c8の場合には彩度v9~v5であるのが好ましく、明度c10以上の場合には彩度を問わない。
10GYについては、明度c2の場合には彩度v9~v7であるのが好ましく、明度c4の場合には彩度v9~v5であるのが好ましく、明度c6の場合には彩度v9~v6であるのが好ましく、明度c8またはc10の場合には彩度v9~v6であるのが好ましく、明度c12以上の場合には彩度を問わない。
実施例1の車両用内装パネルの断面を模式的に表す説明図を図4に示す。実施例1の車両用内装パネルにおける基体および表皮体を模式的に表す説明図を図5に示す。実施例1の車両用内装パネルにおける表皮体の断面を模式的に表す説明図を図6に示す。実施例1の車両用内装パネルにおける表皮体を製造する方法を模式的に説明する説明図を図7に示す。
以下、実施例1において上、下、左、右、裏、表とは、図5に示す上、下、左、右、裏、表を意味する。上下方向は基体の開き方向であり、左右方向は基体の開き方向と直交する方向である。
より具体的には、エアバッグユニット90は、リテーナ97および当該リテーナ97の内部に格納されたエアバッグ95およびインフレータ96を有する。実施例1の車両用内装パネル1は、リテーナ97におけるドア98の表側に配置されて、エアバッグ95を表側から覆う。
基体2はPP製である。基体2は裏面側に開口する開裂溝20を有する。
ダブルラッセル編地の原反は、図7に示すように、2つの密な領域と、当該2つの密な領域の間に挟まれる疎な領域との3つの領域で構成される。2つの密な領域を各々I領域38、III領域39と称し、当該I領域38とIII領域39との間にある疎な領域をII領域37と称する。II領域37を構成する糸35は、II領域37のみならずI領域38およびIII領域39にも架け渡されている。I領域38およびIII領域39は、当該糸35とその他の糸36とで構成されている。II領域37は糸35のみで構成されている。
このようなダブルラッセル編地を厚さ方向に半裁すると、II領域37の1/2およびI領域38を有する半裁編地と、II領域37の1/2およびIII領域39を有する半裁編地とが得られる。このような半裁編地は、II領域37の1/2からなる第2領域32と、I領域38またはIII領域39からなる第1領域31とを有する表皮体3となる。
なお実施例1の車両用内装パネル1においては、表皮体3として、ダブルラッセル編地を厚さ方向に半裁した半裁品を用いている。このことにより、エアバッグの展開時における表皮体3の破断はより信頼性高くなされる。
このように、実施例1の車両用内装パネル1では、表皮体3に開裂溝を設けなくても表皮体3が容易に破断する。したがって、基体2の開裂溝20に対する表皮体3の開裂溝の位置決めが不要になるために、実施例1の車両用内装パネル1は容易に製造し得る。
2f:基体の表面 20:開裂溝
3:表皮体 3f:表皮体の表面
31:第1領域 32:第2領域
4:接着剤層 95:エアバッグ
Claims (5)
- 基体と、接着剤層を介して前記基体の表面に接着された表皮体と、を有し、前記基体をエアバッグに向けて前記エアバッグを覆う車両用内装パネルであって、
前記基体には開裂溝が設けられ、
前記表皮体は、
一重のニットであり、
前記基体側に位置する第1領域と、前記第1領域を挟んで前記基体とは逆側に位置する第2領域と、を有し、
前記第1領域は、前記第2領域に比べて密であり、
前記第2領域の断面積あたりの空隙率は前記第1領域の断面積あたりの空隙率の1.2倍以上である、車両用内装パネル。 - 基体と、接着剤層を介して前記基体の表面に接着された表皮体と、を有し、前記基体をエアバッグに向けて前記エアバッグを覆う車両用内装パネルであって、
前記基体には開裂溝が設けられ、
前記表皮体は、
一重のニットであり、
前記基体側に位置する第1領域と、前記第1領域を挟んで前記基体とは逆側に位置する第2領域と、を有し、
前記第1領域は、前記第2領域に比べて密であり、
前記表皮体は、ダブルラッセル編地を厚さ方向に半裁したものである、車両用内装パネル。 - 前記表皮体は、ダブルラッセル編地を厚さ方向に半裁したものである、請求項1に記載の車両用内装パネル。
- 前記表皮体において、前記開裂溝の破断による前記基体の開き方向に向けた引張強度aと、前記基体の開き方向と直交する方向に向けた引張強度bとは、a<bの関係である、請求項1または請求項2に記載の車両用内装パネル。
- 前記接着剤層は黄色である、請求項1~請求項4の何れか一項に記載の車両用内装パネル。
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WO2018105535A1 (ja) | 2016-12-07 | 2018-06-14 | 日本ゼオン株式会社 | 積層体およびその製造方法 |
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