以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.電源システムの構成>
まず、図1~図4を参照して、本発明の実施形態に係る電源システム1の構成について説明する。
図1は、電源システム1の概略構成を示す模式図である。図2は、制御装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。
電源システム1は、具体的には、ハイブリッド車両に搭載され、車両内の各装置に電力を供給するために用いられるシステムである。電源システム1が搭載されるハイブリッド車両では、後述するように、エンジン12及び駆動用モータ11の動力を用いて走行するHEV走行モードと、エンジン12を停止させた状態で駆動用モータ11の動力を用いて走行するEV走行モードとを切り替えて実行可能となっており、HEV走行モードは、エンジン12が駆動されており発電装置としての始動用モータ13による発電を実行可能な状態で走行するモードとなっている。また、電源システム1が搭載されるハイブリッド車両では、後述するように、車速が自動で設定速度に維持されるクルーズコントロールを実行可能となっている。
なお、以下で説明する電源システム1は、あくまでも本発明に係る電源システムの一例であり、後述するように、本発明に係る電源システムの構成は電源システム1の構成に特に限定されない。
図1に示されるように、電源システム1は、駆動用モータ11と、エンジン12と、始動用モータ13と、メインバッテリ21と、サブバッテリ22と、表示装置71と、制御装置100とを備える。さらに、電源システム1は、変速機31と、インバータ41と、DCDCコンバータ42と、補機51と、システムメインリレー61と、診断用リレー62と、メインバッテリセンサ91と、サブバッテリセンサ92と、車速センサ93とを備える。なお、始動用モータ13は、エンジン12から出力される動力を用いて発電する本発明に係る発電装置の一例に相当する。
駆動用モータ11は、車両の駆動輪5を駆動させるための動力を出力可能なモータである。駆動用モータ11としては、例えば、多相交流式(例えば、三相交流式)のモータが用いられる。駆動用モータ11は、インバータ41を介してメインバッテリ21と接続されており、メインバッテリ21からインバータ41を介して供給される電力を用いて動力を生成する。この際、メインバッテリ21から放電される直流電力は、インバータ41によって交流電力に変換されて駆動用モータ11に供給される。
また、駆動用モータ11は、車両の減速時に、駆動輪5の回転エネルギを用いて発電する発電機としての機能(回生機能)を有してもよい。この際、駆動用モータ11により発電される交流電力は、インバータ41によって直流電力に変換されてメインバッテリ21に供給される。それにより、駆動用モータ11の発電電力によって、メインバッテリ21が充電される。
エンジン12は、ガソリン等を燃料として動力を生成する内燃機関であり、車両の駆動輪5を駆動するための動力を出力可能である。エンジン12の出力軸であるクランクシャフトは、図示しないトルクコンバータ又はクラッチ等を介して変速機31と接続されている。変速機31としては、例えば、CVT(Continuously Variable Transmission)等の無段変速機構を有するものが用いられる。エンジン12から出力される動力は、変速機31により変速されて、駆動輪5に伝達される。なお、上述した駆動用モータ11は、変速機31を介して駆動輪5と接続されていてもよく、変速機31を介さずに駆動輪5と接続されていてもよい。
始動用モータ13は、エンジン12を始動するモータである。始動用モータ13の出力軸は、ギヤを介してエンジン12のクランクシャフトと接続されており、始動用モータ13から出力される動力がエンジン12のクランクシャフトに伝達されるようになっている。始動用モータ13は、サブバッテリ22と接続されており、サブバッテリ22から供給される電力を用いて動力を生成する。
始動用モータ13としては、例えば、直流モータが用いられてもよく、交流モータが用いられてもよい。なお、始動用モータ13として交流モータが用いられる場合、始動用モータ13は、図示しないインバータを介してサブバッテリ22と接続され、サブバッテリ22から放電される直流電力は、当該インバータによって交流電力に変換されて始動用モータ13に供給される。
また、始動用モータ13は、エンジン12から出力される動力を用いて発電可能である。始動用モータ13により発電される電力は、サブバッテリ22に供給される。それにより、始動用モータ13の発電電力によって、サブバッテリ22が充電される。具体的には、エンジン12から出力される動力を用いた上記のサブバッテリ22の充電は、後述するように、HEV走行モードにおいて行われる。
メインバッテリ21は、駆動用モータ11に供給される電力を蓄電するバッテリである。メインバッテリ21は、具体的には、サブバッテリ22よりも高電圧(例えば、100V)のバッテリであり、メインバッテリ21としては、例えば、リチウムイオン電池又はニッケル水素電池等の二次電池が用いられる。
具体的には、メインバッテリ21は、後述するように、メインバッテリ21に蓄電される電力を降圧可能なDCDCコンバータ42を介して車両内の各機器(具体的には、補機51、サブバッテリ22及び始動用モータ13)と接続されており、メインバッテリ21に蓄電される電力をDCDCコンバータ42により降圧させて各機器に供給することができるようになっている。ここで、メインバッテリ21とDCDCコンバータ42との間には、システムメインリレー61が設けられている。システムメインリレー61は、メインバッテリ21とDCDCコンバータ42との間の電気的な接続を正極側及び負極側の双方において断接可能であり、電源システム1の停止時には開放された状態となっており、電源システム1の起動後には閉鎖された状態となっている。
サブバッテリ22は、主に補機51に供給される電力を蓄電するバッテリであり、上述したように、始動用モータ13により発電される電力により充電される。サブバッテリ22は、具体的には、DCDCコンバータ42を介してメインバッテリ21と接続されメインバッテリ21よりも低電圧(例えば、12V)のバッテリであり、サブバッテリ22としては、例えば、鉛蓄電池、リチウムイオン電池等の二次電池が用いられる。
具体的には、サブバッテリ22は、補機51と接続されており、基本的に、サブバッテリ22に蓄電される電力が補機51に供給されるようになっている。補機51は、例えば、車両内の空調機器又は音響機器等の各種機器を含む。ここで、サブバッテリ22は、診断用リレー62を介して補機51と接続されている。診断用リレー62は、サブバッテリ22及び始動用モータ13と補機51及びメインバッテリ21との間の電気的な接続を断接可能なスイッチであり、後述するサブバッテリ22の異常診断を実行するために設けられている。診断用リレー62は、サブバッテリ22の異常診断の実行時において開放された状態となり、異常診断が実行されていない時には基本的に閉鎖された状態となっている。
表示装置71は、情報を視覚的に表示する装置である。例えば、表示装置71としては、カーナビゲーション情報を表示するディスプレイ等が用いられる。上述したように、電源システム1が搭載される車両ではクルーズコントロールを実行可能となっており、表示装置71は、クルーズコントロールにおける設定速度を表示することができるようになっている。なお、表示装置71は、情報を視覚的に表示する機能を有していれば上記以外の他の装置であってもよく、例えば、車両のフロントガラス上に画像を表示する装置等であってもよい。
メインバッテリセンサ91は、メインバッテリ21の各種状態量を検出し、制御装置100へ出力する。具体的には、メインバッテリセンサ91は、メインバッテリ21の残存容量(以下、SOC(State Of Charge)とも呼ぶ。)を検出する。
サブバッテリセンサ92は、サブバッテリ22の各種状態量を検出し、制御装置100へ出力する。具体的には、サブバッテリセンサ92は、サブバッテリ22の電圧及び内部抵抗を検出する。
車速センサ93は、車両の速度である車速を検出し、制御装置100へ出力する。
制御装置100は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する記憶素子であるROM(Read Only Memory)及びCPUの実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する記憶素子であるRAM(Random Access Memory)等で構成される。
また、制御装置100は、電源システム1に搭載される各装置と通信を行う。制御装置100と各装置との通信は、例えば、CAN(Controller Area Network)通信を用いて実現される。
なお、本実施形態に係る制御装置100が有する機能は複数の制御装置により少なくとも部分的に分割されてもよく、複数の機能が1つの制御装置によって実現されてもよい。例えば、制御装置100が有する機能である駆動用モータ11の動作を制御する機能、エンジン12の動作を制御する機能及びそれら以外の機能がそれぞれ別々の制御装置に分割されてもよい。制御装置100が有する機能が複数の制御装置により少なくとも部分的に分割される場合、当該複数の制御装置は、CAN等の通信バスを介して、互いに接続されてもよい。
例えば、図2に示されるように、制御装置100は、取得部110と、制御部120とを有する。
取得部110は、制御部120が行う処理において用いられる各種情報を取得する。また、取得部110は、取得した情報を制御部120へ出力する。例えば、取得部110は、メインバッテリセンサ91、サブバッテリセンサ92及び車速センサ93の各センサと通信することによって、各センサから出力される各種情報を取得する。
制御部120は、電源システム1の各装置の動作を制御する。例えば、制御部120は、モータ制御部121と、エンジン制御部122と、リレー制御部123と、コンバータ制御部124と、診断部125と、表示制御部126とを含む。
モータ制御部121は、駆動用モータ11の動作を制御する。具体的には、モータ制御部121は、インバータ41のスイッチング素子の動作を制御することによって、駆動用モータ11とメインバッテリ21との間の電力の供給を制御する。それにより、モータ制御部121は、駆動用モータ11による動力の生成及び発電を制御することができる。
エンジン制御部122は、エンジン12の動作を制御する。具体的には、エンジン制御部122は、エンジン12における各装置の動作を制御することによって、スロットル開度、点火時期及び燃料噴射量等を制御する。それにより、エンジン制御部122は、エンジン12の出力を制御することができる。
また、エンジン制御部122は、始動用モータ13の動作を制御する。具体的には、エンジン制御部122は、始動用モータ13とサブバッテリ22との間の電力の供給を制御することによって、始動用モータ13によるエンジン12の始動及びエンジン12から出力される動力を用いた発電を制御することができる。
リレー制御部123は、システムメインリレー61及び診断用リレー62の動作を制御する。具体的には、リレー制御部123は、システムメインリレー61及び診断用リレー62の各々を駆動する図示しない駆動装置の動作をそれぞれ制御することによって、システムメインリレー61及び診断用リレー62の開閉動作をそれぞれ制御する。
より詳細には、リレー制御部123は、イグニッションスイッチがREADY-OFFとなる電源システム1の停止時に、システムメインリレー61を開放された状態に維持する。一方、リレー制御部123は、車両の発進時に、ドライバによるイグニッションスイッチを用いた操作が行われてエンジン始動要求(つまり、エンジン12を始動させる要求)が生じた際に、システムメインリレー61を閉鎖させることにより、電源システム1を起動させる。
また、リレー制御部123は、サブバッテリ22の異常診断の実行時に、診断用リレー62を開放された状態に維持する。一方、リレー制御部123は、サブバッテリ22の異常診断が実行されていない時には、基本的に診断用リレー62を閉鎖された状態に維持する。
コンバータ制御部124は、DCDCコンバータ42の動作を制御する。具体的には、コンバータ制御部124は、DCDCコンバータ42のスイッチング素子の動作を制御することによって、メインバッテリ21と補機51、サブバッテリ22及び始動用モータ13との間の電力の供給を制御する。
診断部125は、サブバッテリ22の異常の有無を診断する。例えば、診断部125は、サブバッテリ22の異常の有無として、サブバッテリ22に含まれるセル内で短絡が生じている状態であるサブバッテリ22の短絡の有無を診断する。また、例えば、診断部125は、サブバッテリ22の異常の有無として、サブバッテリ22に含まれるセル内で電極の化学的又は物理的な劣化が生じている状態であるサブバッテリ22の劣化の有無を診断する。
表示制御部126は、表示装置71の動作を制御する。具体的には、表示制御部126は、表示装置71に対して表示する内容を示す情報を出力することによって、表示装置71による表示を制御する。
制御部120は、駆動用モータ11及びエンジン12の動作を上記のように制御することによって、車両の走行モードとして、HEV走行モードと、EV走行モードとを切り替えて実行可能である。
例えば、制御部120は、基本的には、駆動輪5に伝達される動力の要求値である要求駆動力に基づいて、車両の走行モードを切り替える。具体的には、制御部120は、要求駆動力が基準駆動力より大きい場合に、車両の走行モードをHEV走行モードに切り替える。一方、制御部120は、要求駆動力が基準駆動力以下である場合に、車両の走行モードをEV走行モードに切り替える。基準駆動力は、駆動用モータ11から駆動輪5に伝達可能な動力の最大値より小さい値に設定され、例えば、電費を向上させる観点で、駆動用モータ11の仕様等に応じて設定される。なお、制御部120は、例えば、アクセル開度及び車速に基づいて要求駆動力を算出することができる。
図3は、電源システム1におけるHEV走行モード中の動力の伝達状態を示す模式図である。
HEV走行モードでは、制御部120のモータ制御部121及びエンジン制御部122は、駆動輪5に伝達される動力が要求駆動力になるように互いに協調して、駆動用モータ11及びエンジン12の出力をそれぞれ制御する。それにより、図3に示されるように、駆動用モータ11から出力される動力F10が駆動輪5に伝達されるとともに、エンジン12から出力される動力F21が変速機31を介して駆動輪5に伝達される。このように、HEV走行モードでは、エンジン12及び駆動用モータ11の動力を用いて車両の走行が行われる。
ここで、HEV走行モードでは、エンジン12から出力される動力F22が始動用モータ13に伝達され得るようになっている。それにより、始動用モータ13による発電が行われ、始動用モータ13の発電電力E10がサブバッテリ22に供給されることによってサブバッテリ22が充電され得る。このように、HEV走行モードでは、エンジン12が駆動されており発電装置としての始動用モータ13による発電を実行可能な状態で車両の走行が行われる。
なお、HEV走行モードでは、メインバッテリ21のSOCが基準値以上となっている場合等の所定の条件が満たされる場合においては、メインバッテリ21からDCDCコンバータ42を介してサブバッテリ22に電力を供給させることにより、サブバッテリ22の充電が行われてもよい。
図4は、電源システム1におけるEV走行モード中の動力の伝達状態を示す模式図である。
EV走行モードでは、制御部120のエンジン制御部122は、エンジン12を停止させ、モータ制御部121は、駆動輪5に伝達される動力が要求駆動力になるように駆動用モータ11の出力を制御する。それにより、図4に示されるように、駆動用モータ11から出力される動力F10のみが駆動輪5に伝達される。このように、EV走行モードでは、エンジン12を停止させた状態で駆動用モータ11の動力を用いて車両の走行が行われる。
ここで、EV走行モードでは、例えば、エンジン12と駆動用モータ11との間の動力の伝達を断接する図示しないクラッチが開放されることによって、始動用モータ13へ動力が伝達されない状態となる。ゆえに、始動用モータ13による発電は停止するので、少なくともエンジン12から出力される動力を用いたサブバッテリ22の充電が行われない状態となる。
また、制御部120は、車速を設定速度に維持するクルーズコントロールを実行可能である。具体的には、ドライバは、車両内のスイッチ等の入力装置を用いた入力操作によってクルーズコントロールを開始又は終了させることができ、制御部120は、ドライバによる当該操作に応じてクルーズコントロールを開始又は終了する。
詳細には、制御部120は、クルーズコントロールにおいて、車速が設定速度に維持されるように、車両の駆動力を制御する。つまり、クルーズコントロールにおける要求駆動力は、基本的には車速を設定速度に維持するために必要な駆動力であり、設定速度に応じて変化する。ゆえに、このような要求駆動力を車両に生じさせることによって、車速を設定速度に維持することができる。なお、設定速度は、制御装置100の記憶素子に記憶されており、ドライバによる入力操作に応じて変更されるようになっていてもよい。
なお、制御部120は、クルーズコントロールにおいて、先行車との間の車間距離を設定距離に維持する制御をさらに行ってもよい。つまり、クルーズコントロールは、所謂アダプティブクルーズコントロールを含む。その場合、制御部120は、具体的には、車両のブレーキ装置により生じる制動力を制御可能であり、車両に生じる駆動力及び制動力が制御されることによって、先行車との間の車間距離を設定距離に維持することが実現される。なお、設定距離は、制御装置100の記憶素子に記憶されており、ドライバによる入力操作に応じて変更されるようになっていてもよい。
本実施形態に係る制御装置100では、制御部120は、サブバッテリ22が異常であると診断されたときに、HEV走行モードを禁止してEV走行モードを許可する。具体的には、制御部120は、サブバッテリ22が異常であると診断されたときに、クルーズコントロールが実行中である場合、HEV走行モードを禁止してEV走行モードを許可することに伴い設定速度を調整し、表示装置71による設定速度の表示を設定速度の調整に応じて変化させる。それにより、クルーズコントロールの実行中にサブバッテリが異常になった場合に、サブバッテリの保護及び車両の走行の継続を実現しつつ、ドライバに与える違和感を低減することが可能となる。このような、制御部120により行われるサブバッテリ22の異常時の制御の詳細については、後述にて説明する。
<2.電源システムの動作>
続いて、図5を参照して、本発明の実施形態に係る電源システム1の動作について説明する。
図5は、制御装置100が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。図5に示される制御フローは、具体的には、制御装置100の制御部120により行われるサブバッテリ22の異常時の制御に関する処理の流れであり、例えば、電源システム1の起動後に開始され、繰り返し行われる。
図5に示される制御フローが開始されると、まず、ステップS501において、制御部120は、サブバッテリ22が異常であるか否かを診断する。サブバッテリ22が異常であると診断された場合(ステップS501/YES)、ステップS503に進む。一方、サブバッテリ22が正常であると診断された場合(ステップS501/NO)、ステップS501の処理が繰り返される。
上述したように、サブバッテリ22の異常の有無の診断は診断部125により行われる。また、診断部125は、サブバッテリ22の異常の有無として、例えば、サブバッテリ22の短絡の有無又はサブバッテリ22の劣化の有無を診断する。
例えば、診断部125は、サブバッテリ22の開放端電圧に基づいてサブバッテリ22の短絡の有無を診断する。具体的には、診断部125は、サブバッテリ22の開放端電圧が電圧閾値より低いと判定された場合にサブバッテリ22が短絡していると診断する。一方、診断部125は、サブバッテリ22の開放端電圧が電圧閾値以上であると判定された場合にサブバッテリ22が短絡していないと診断する。
サブバッテリ22が短絡している場合、サブバッテリ22の開放端電圧は、正常時よりも低くなる。ゆえに、上記のようにサブバッテリ22の開放端電圧と電圧閾値との比較を行うことによって、サブバッテリ22の短絡の有無を適切に診断することができる。電圧閾値は、例えば、サブバッテリ22の1つのセルが短絡した場合に想定されるサブバッテリ22の開放端電圧より高く正常時におけるサブバッテリ22の開放端電圧より低い値に設定される。
また、例えば、診断部125は、サブバッテリ22の内部抵抗に基づいてサブバッテリ22の劣化の有無を診断する。具体的には、診断部125は、サブバッテリ22の内部抵抗が抵抗閾値より大きいと判定された場合にサブバッテリ22が劣化していると診断する。一方、診断部125は、サブバッテリ22の内部抵抗が抵抗閾値以下であると判定された場合にサブバッテリ22が劣化していないと診断する。
サブバッテリ22の劣化が生じている場合、サブバッテリ22の内部抵抗は、正常時よりも大きくなる。ゆえに、上記のようにサブバッテリ22の内部抵抗と抵抗閾値との比較を行うことによって、サブバッテリ22の劣化の有無を適切に診断することができる。抵抗閾値は、例えば、サブバッテリ22の1つのセルで劣化が生じた場合に想定されるサブバッテリ22の内部抵抗より小さく正常時におけるサブバッテリ22の内部抵抗より大きい値に設定される。
ここで、サブバッテリ22の異常の有無を適切に診断する観点では、サブバッテリ22の異常の有無の診断は、診断用リレー62が開放されている状態で行われることが好ましい。診断用リレー62が開放されている場合、サブバッテリ22及び始動用モータ13と補機51及びメインバッテリ21との間が電気的に遮断された状態になる。ゆえに、サブバッテリ22から補機51への電力の供給及びメインバッテリ21からサブバッテリ22への電力の供給は停止するので、サブバッテリ22に電流が流れていない状態が形成される。よって、サブバッテリセンサ92は、サブバッテリ22に電流が流れているときと比べてサブバッテリ22の電気的な状態量(具体的には、電圧及び内部抵抗)として適切な値を検出することができる。それにより、サブバッテリ22の異常の有無の診断で用いられるサブバッテリ22の電気的な状態量をより適切な値にすることができる。ゆえに、サブバッテリ22の異常の有無を適切に診断することができる。
なお、診断用リレー62を開放させることが困難である状況下や、電源システム1の構成から診断用リレー62が省略されている場合等には、サブバッテリ22の異常の有無の診断は、サブバッテリ22に入出力される電流が所定範囲内となっている状態で行われることが好ましい。所定範囲は、具体的には、サブバッテリ22に入出力される電流がサブバッテリ22の電気的な状態量の検出値に与える影響が比較的小さいか否かを適切に判断し得る範囲に設定される。
ステップS501でYESと判定された場合、ステップS503において、制御部120は、クルーズコントロールが実行中であるか否かを判定する。クルーズコントロールが実行中であると判定された場合(ステップS503/YES)、ステップS505に進む。一方、クルーズコントロールが実行中でないと判定された場合(ステップS503/NO)、ステップS517に進む。
ステップS503でYESと判定された場合、ステップS505において、制御部120は、クルーズコントロールにおける要求駆動力が駆動用モータ11によって発生可能な駆動力の最大値であるモータ最大駆動力より大きいか否かを判定する。要求駆動力がモータ最大駆動力より大きいと判定された場合(ステップS505/YES)、ステップS507に進む。一方、要求駆動力がモータ最大駆動力以下であると判定された場合(ステップS505/NO)、ステップS513に進む。
具体的には、制御部120は、クルーズコントロールにおける設定速度に応じて要求駆動力を算出し得る。ここで、クルーズコントロールにおける要求駆動力は、基本的には、設定速度が高いほど大きくなる。
また、制御部120は、例えば、駆動用モータ11の仕様及びメインバッテリ21のSOCに基づいてモータ最大駆動力を算出し得る。具体的には、メインバッテリ21のSOCが高いほど、メインバッテリ21から放電可能な単位時間当たりの電力量が大きくなるので、制御部120は、モータ最大駆動力として大きな値を算出する。
ステップS505でYESと判定された場合、ステップS507において、制御部120は、設定速度を徐々に減少させる。それにより、要求駆動力を徐々に減少させることができる。
後述するように、ステップS505より後のステップS517において、制御部120は、サブバッテリ22の保護及び車両の走行の継続を実現するための処理として、HEV走行モードを禁止してEV走行モードを許可する。ここで、EV走行モードでは、上述したように、HEV走行モードと異なりエンジン12が停止した状態となるので、発生可能な駆動力(つまり、駆動輪5に伝達可能な駆動力)はHEV走行モードと比較して低くなる。ゆえに、HEV走行モードからEV走行モードへの切り替えが行われた場合、発生可能な駆動力が低下する。そこで、上記のようにHEV走行モードを禁止してEV走行モードを許可することに伴い設定速度を調整することによって、発生可能な駆動力がクルーズコントロールにおける要求駆動力を下回ってしまうことを抑制することができる。ゆえに、車速を設定速度に維持することが困難となることを抑制することができるので、ドライバに与える違和感を低減することができる。
次に、ステップS509において、制御部120は、表示装置71による設定速度の表示を徐々に変化させる。それにより、表示装置71による設定速度の表示を、実際にクルーズコントロールに用いられている設定速度の減少に応じて徐々に変化させることができる。
上記のようにHEV走行モードを禁止してEV走行モードを許可することに伴い設定速度を調整した場合、設定速度の調整に起因してドライバの意図しない車速の変化が生じ、このような車速の変化は、ドライバに違和感を与える要因となる。そこで、上記のように表示装置71による設定速度の表示を設定速度の調整に応じて変化させることによって、車速がドライバの意図に反して変化することによりドライバに与える違和感を低減することができる。
次に、ステップS511において、制御部120は、要求駆動力がモータ最大駆動力以下になったか否かを判定する。要求駆動力がモータ最大駆動力以下になったと判定された場合(ステップS511/YES)、ステップS517に進む。一方、要求駆動力がモータ最大駆動力以下になっていないと判定された場合(ステップS511/NO)、ステップS507に戻り、ステップS507及びステップS509の処理が継続される。
上記のように、制御部120は、サブバッテリ22が異常であると診断されたときに、クルーズコントロールが実行中である場合に、クルーズコントロールにおける要求駆動力がモータ最大駆動力より大きい場合、設定速度を要求駆動力がモータ最大駆動力以下になるまで徐変するように徐々に減少させ、その後、HEV走行モードを禁止してEV走行モードを許可することが好ましい。それにより、HEV走行モードからEV走行モードへの切り替えが行われた場合に車両に生じる駆動力が急峻に変化することを抑制することができる。
さらに、設定速度の調整に起因して車速がドライバの意図に反して変化することによりドライバに与える違和感をより適切に低減する観点では、制御部120は、上記のように、設定速度を徐々に減少させる際、表示装置71による設定速度の表示を設定速度の減少に応じて徐々に変化させることが好ましい。
一方、ステップS505でNOと判定された場合、ステップS513において、制御部120は、設定速度を要求駆動力がモータ最大駆動力以下に制限される速度に変更する。
上述したように、クルーズコントロールにおける要求駆動力は、設定速度に応じて変化するが、設定速度以外の要因によっても変化し得る。例えば、クルーズコントロールにおいて、先行車との間の車間距離を設定距離に維持する制御が実行されている時には、車速が設定速度よりも低い速度に制御される状況が生じ得る。この場合、要求駆動力は、車速が設定速度に維持される場合と比較して小さくなるので、モータ最大駆動力以下になる場合がある。ゆえに、例えば、このように車速が設定速度よりも低い速度に制御されている場合に、ステップS505でNOと判定される。
例えば、制御部120は、ステップS513において、設定速度を、要求駆動力がモータ最大駆動力以下に制限される程度に低い速度であり制御装置100の記憶素子に予め記憶されている速度に変更してもよい。また、例えば、制御部120は、設定速度を現在の車速に変更してもよい。
上記のように、制御部120は、サブバッテリ22が異常であると診断されたときに、クルーズコントロールが実行中である場合に、クルーズコントロールにおける要求駆動力がモータ最大駆動力以下である場合、設定速度を要求駆動力がモータ最大駆動力以下に制限される速度に変更することが好ましい。それにより、HEV走行モードが禁止されてEV走行モードが許可された後において、発生可能な駆動力がクルーズコントロールにおける要求駆動力を下回ってしまうことを抑制することができる。
次に、ステップS515において、制御部120は、表示装置71による設定速度の表示を変化させる。それにより、表示装置71による設定速度の表示を、実際にクルーズコントロールに用いられている設定速度の変更に応じて変化させることができる。ステップS515の次に、ステップS517に進む。
ステップS517において、制御部120は、HEV走行モードを禁止して、EV走行モードを許可する。なお、ステップS517は、ステップS511でYESと判定された場合、又はステップS503でNOと判定された場合にも行われる。
具体的には、サブバッテリが異常となった際(つまり、ステップS501でYESと判定された際)に走行モードがHEV走行モードになっている場合、制御部120は、ステップS517において、走行モードをHEV走行モードからEV走行モードへ切り替え、その後におけるHEV走行モードへの走行モードの切り替えを禁止する。
次に、図5に示される制御フローは終了する。
上記で図5を参照して説明したように、制御部120は、サブバッテリ22が異常であると診断されたときに、HEV走行モードを禁止してEV走行モードを許可する。
HEV走行モードでは、上述したように、エンジン12から出力される動力を用いてサブバッテリ22の充電が行われる。また、EV走行モードでは、HEV走行モードと異なりエンジン12が停止した状態となる。ゆえに、HEV走行モードを禁止してEV走行モードを許可することにより、HEV走行モードからEV走行モードへの切り替えを行うことによって、エンジン12から出力される動力を用いたサブバッテリ22の充電を停止させることができる。よって、サブバッテリ22が異常であると診断されたときに、HEV走行モードを禁止してEV走行モードを許可することによって、車両が走行不能となることを回避しつつ、異常が生じているサブバッテリ22が過充電されることを抑制することができる。ゆえに、サブバッテリ22の異常時にサブバッテリ22を保護しつつ車両を継続して走行させることができる。
さらに、上記で図5を参照して説明したように、制御部120は、サブバッテリ22が異常であると診断されたときに、クルーズコントロールが実行中である場合、HEV走行モードを禁止してEV走行モードを許可することに伴い設定速度を調整し、表示装置71による設定速度の表示を設定速度の調整に応じて変化させる。なお、図5に示される制御フローでは、ステップS507及びステップS513が設定速度を調整する処理に相当し、ステップS509及びステップS515が設定速度の調整に応じて設定速度の表示を変化させる処理に相当する。
上述したように、HEV走行モードを禁止してEV走行モードを許可することに伴い設定速度を調整することによって、発生可能な駆動力がクルーズコントロールにおける要求駆動力を下回ってしまうことを抑制することができる。ゆえに、車速を設定速度に維持することが困難となることを抑制することができる。さらに、表示装置71による設定速度の表示を設定速度の調整に応じて変化させることによって、設定速度の調整に起因して車速がドライバの意図に反して変化することによりドライバに与える違和感を低減することができる。
ここで、車速を設定速度に維持することが困難となることをより適切に制御する観点では、制御部120は、HEV走行モードを禁止してEV走行モードを許可することに伴う設定速度の調整の後に、クルーズコントロールが解除された場合であっても調整後の設定速度を維持し、次回のクルーズコントロールにおいて、車速を当該設定速度に維持することが好ましい。
さらに、次回のクルーズコントロールにおいて車速が調整後の設定速度に維持されることに起因してドライバに与える違和感を適切に低減する観点では、制御部120は、次回のクルーズコントロールにおいて用いられる調整後の設定速度を表示装置71に表示させることが好ましい。
また、制御部120は、サブバッテリ22が異常であると診断されたことをトリガとして、クルーズコントロールを解除してもよい。但し、この場合において、車両に生じる駆動力が急峻に変化することを抑制する観点では、図5に示される制御フローが終了した後に、クルーズコントロールを解除することが好ましい。なお、制御部120は、サブバッテリ22が異常であると診断された場合に、種々のパラメータ(例えば、車速)に基づいて、クルーズコントロールを解除するか否かを判断してもよい。
上記では、図5に示される制御フローを参照して制御装置100が行う処理の流れの例を説明したが、制御装置100が行う処理は、上記の例に特に限定されない。
例えば、上記では、制御部120が設定速度を徐々に減少させる際に表示装置71による設定速度の表示を設定速度の減少に応じて徐々に変化させる例を説明したが、制御部120は、表示装置71により表示される設定速度を調整後の設定速度(つまり、設定速度の調整における目標値)へ即時に変化させてもよい。なお、この場合において、設定速度を変化させるタイミングは、特に限定されず、設定速度の減少が開始した時点であってもよく、設定速度の減少中の時点でもよく、設定速度の減少が完了した時点であってもよい。
また、例えば、上記では、制御部120がHEV走行モードを禁止してEV走行モードを許可する処理よりも前に設定速度の調整に応じて設定速度の表示を変化させる例を説明したが、制御部120は、HEV走行モードを禁止してEV走行モードを許可する処理の後に設定速度の調整に応じて設定速度の表示を変化させてもよい。
また、例えば、制御部120は、サブバッテリ22が異常であると診断されたことをトリガとしてHEV走行モードを禁止した場合に、追加的な処理を行ってもよい。例えば、サブバッテリ22の異常時にサブバッテリ22をより効果的に保護する観点では、制御部120は、HEV走行モードが禁止されている場合に、DCDCコンバータ42の出力(つまり、DCDCコンバータ42を介してメインバッテリ21側からサブバッテリ22側へ供給される電力)をHEV走行モードが許可されている場合と比較して低下させることが好ましい。ここで、サブバッテリ22の異常時にサブバッテリ22をさらに効果的に保護する観点では、制御部120は、HEV走行モードが禁止されている場合に、DCDCコンバータ42の出力をサブバッテリ22の異常度合いに応じて低下させることが好ましい。具体的には、サブバッテリ22の異常度合いが高いほどDCDCコンバータ42の出力度合いを大きくすることが好ましい。
<3.電源システムの効果>
続いて、本発明の実施形態に係る電源システム1の効果について説明する。
本実施形態に係る電源システム1では、制御部120は、エンジン12が駆動されており発電装置としての始動用モータ13による発電を実行可能な状態で走行するHEV走行モードと、エンジン12を停止させた状態で駆動用モータ11の動力を用いて走行するEV走行モードとを切り替えて実行可能であり、車速を設定速度に維持するクルーズコントロールを実行可能である。また、制御部120は、サブバッテリ22が異常であると診断されたときに、クルーズコントロールが実行中である場合、HEV走行モードを禁止してEV走行モードを許可することに伴い設定速度を調整し、表示装置71による設定速度の表示を設定速度の調整に応じて変化させる。それにより、サブバッテリ22の保護及び車両の走行の継続を実現するための処理としてHEV走行モードを禁止してEV走行モードを許可しつつ、設定速度の調整に起因してドライバに与える違和感を低減した上で、発生可能な駆動力がクルーズコントロールにおける要求駆動力を下回ってしまうことを抑制することができる。ゆえに、クルーズコントロールの実行中にサブバッテリ22が異常になった場合に、サブバッテリ22の保護及び車両の走行の継続を実現しつつ、ドライバに与える違和感を適切に低減することができる。
さらに、本実施形態に係る電源システム1によれば、サブバッテリ22の異常時に、HEV走行モードが禁止されることにより、走行モードのHEV走行モードへの切り替えが行われなくなるので、ドライバにサブバッテリ22の異常が生じている旨を気付かせることができる。ゆえに、ドライバによるサブバッテリ22の交換を促すことができる。
また、本実施形態に係る電源システム1では、制御部120は、サブバッテリ22が異常であると診断されたときに、クルーズコントロールが実行中である場合に、クルーズコントロールにおける要求駆動力が駆動用モータ11によって発生可能な駆動力の最大値であるモータ最大駆動力より大きい場合、設定速度を要求駆動力がモータ最大駆動力以下になるまで徐変するように徐々に減少させ、その後、HEV走行モードを禁止してEV走行モードを許可することが好ましい。それにより、HEV走行モードからEV走行モードへの切り替えが行われた場合に車両に生じる駆動力が急峻に変化することを抑制することができる。ゆえに、クルーズコントロールの実行中にサブバッテリ22が異常になった場合に、サブバッテリ22の保護及び車両の走行の継続を実現しつつ、ドライバに与える違和感をより適切に低減することができる。
また、本実施形態に係る電源システム1では、制御部120は、サブバッテリ22が異常であると診断されたときに、クルーズコントロールが実行中である場合に、設定速度を徐々に減少させる際、表示装置71による設定速度の表示を設定速度の減少に応じて徐々に変化させることが好ましい。それにより、設定速度の調整に起因して車速がドライバの意図に反して変化することによりドライバに与える違和感をより適切に低減することができる。
また、本実施形態に係る電源システム1では、制御部120は、サブバッテリ22が異常であると診断されたときに、クルーズコントロールが実行中である場合に、設定速度を徐々に減少させる際、表示装置71により表示される設定速度を調整後の設定速度へ即時に変化させることが好ましい。このように設定速度の表示を変化させた場合にも、設定速度が調整されて変化したことをドライバに気付かせることができるので、設定速度の調整に起因して車速がドライバの意図に反して変化することによりドライバに与える違和感をより適切に低減することができる。
また、本実施形態に係る電源システム1では、制御部120は、サブバッテリ22が異常であると診断されたときに、クルーズコントロールが実行中である場合に、要求駆動力がモータ最大駆動力以下である場合、設定速度を要求駆動力がモータ最大駆動力以下に制限される速度に変更することが好ましい。それにより、HEV走行モードが禁止されてEV走行モードが許可された後において、発生可能な駆動力がクルーズコントロールにおける要求駆動力を下回ってしまうことを抑制することができる。ゆえに、車速を設定速度に維持することが困難となることをより適切に制御することができるので、ドライバに与える違和感をより適切に低減することができる。
また、本実施形態に係る電源システム1では、制御部120は、HEV走行モードを禁止してEV走行モードを許可することに伴う設定速度の調整の後に、クルーズコントロールが解除された場合であっても調整後の設定速度を維持し、次回のクルーズコントロールにおいて、車速を当該設定速度に維持することが好ましい。それにより、次回のクルーズコントロールにおいて、発生可能な駆動力がクルーズコントロールにおける要求駆動力を下回ってしまうことを抑制することができる。ゆえに、車速を設定速度に維持することが困難となることをより適切に制御することができるので、ドライバに与える違和感をより適切に低減することができる。
また、本実施形態に係る電源システム1では、制御部120は、次回のクルーズコントロールにおいて用いられる調整後の設定速度を表示装置71に表示させることが好ましい。それにより、次回のクルーズコントロールが開始される際に、ドライバに設定速度を認識させることができる。ゆえに、次回のクルーズコントロールにおいて、車速が調整後の設定速度に維持されることに起因してドライバに与える違和感を適切に低減することができる。
また、本実施形態に係る電源システム1は、メインバッテリ21に蓄電される電力を降圧してサブバッテリ22に供給可能なDCDCコンバータ42を備え、制御部120は、HEV走行モードが禁止されている場合に、DCDCコンバータ42の出力をHEV走行モードが許可されている場合と比較して低下させることが好ましい。それにより、サブバッテリ22の異常時に、メインバッテリ21からDCDCコンバータ42を介してサブバッテリ22に供給される電力を用いたサブバッテリ22の充電が行われることに起因してサブバッテリ22が過充電されることを抑制することができる。ゆえに、サブバッテリ22の異常時にサブバッテリ22をより効果的に保護することができる。
また、本実施形態に係る電源システム1では、制御部120は、HEV走行モードが禁止されている場合に、DCDCコンバータ42の出力をサブバッテリ22の異常度合いに応じて低下させることが好ましい。それにより、サブバッテリ22の異常時に、メインバッテリ21からDCDCコンバータ42を介してサブバッテリ22に供給される電力を用いたサブバッテリ22の充電が行われることに起因してサブバッテリ22が過充電されることをサブバッテリ22の異常度合いに応じて適切に抑制することができる。ゆえに、サブバッテリ22の異常時にサブバッテリ22をさらに効果的に保護することができる。
<4.むすび>
以上説明したように、本実施形態に係る電源システム1では、制御部120は、HEV走行モードとEV走行モードとを切り替えて実行可能であり、車速を設定速度に維持するクルーズコントロールを実行可能である。また、HEV走行モードでは、エンジン12が駆動されており発電装置としての始動用モータ13による発電を実行可能な状態で車両の走行が行われる。また、制御部120は、サブバッテリ22が異常であると診断されたときに、クルーズコントロールが実行中である場合、HEV走行モードを禁止してEV走行モードを許可することに伴い設定速度を調整し、表示装置71による設定速度の表示を設定速度の調整に応じて変化させる。それにより、HEV走行モードを禁止してEV走行モードを許可しつつ、設定速度の調整に起因してドライバに与える違和感を低減した上で、発生可能な駆動力がクルーズコントロールにおける要求駆動力を下回ってしまうことを抑制することができる。ゆえに、クルーズコントロールの実行中にサブバッテリ22が異常になった場合に、サブバッテリ22の保護及び車両の走行の継続を実現しつつ、ドライバに与える違和感を適切に低減することができる。
なお、サブバッテリ22が異常であると診断されたときに、クルーズコントロールが実行中である場合に、クルーズコントロールにおける要求駆動力がモータ最大駆動力より大きい場合、設定速度を要求駆動力がモータ最大駆動力以下になるまで徐変するように徐々に減少させ、その後、HEV走行モードを禁止してEV走行モードを許可することによっても、上記と同様の効果を奏することができる。具体的には、上記制御によって、サブバッテリ22の保護及び車両の走行の継続を実現するための処理としてHEV走行モードを禁止してEV走行モードを許可しつつ、HEV走行モードからEV走行モードへの切り替えが行われた場合に車両に生じる駆動力が急峻に変化することを抑制した上で、発生可能な駆動力がクルーズコントロールにおける要求駆動力を下回ってしまうことを抑制することができる。ゆえに、クルーズコントロールの実行中にサブバッテリ22が異常になった場合に、サブバッテリ22の保護及び車両の走行の継続を実現しつつ、ドライバに与える違和感を適切に低減することができる。なお、上記制御が行われる場合、表示装置71による設定速度の表示を設定速度の調整に応じて変化させる処理は必ずしも行われなくても上記の効果を奏することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、本明細書においてフローチャートを用いて説明した処理は、必ずしもフローチャートに示された順序で実行されなくてもよい。また、いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
また、例えば、上記では、図1を参照して、本発明に係る電源システムの一例として電源システム1の構成について説明したが、上述したように、本発明に係る電源システムの構成は上記の例に限定されない。
以下、図6~図8を参照して、電源システム1と異なる電源システムの例として、本発明の他の実施形態に係る電源システム2,3,4について説明する。なお、図6~図8は、電源システム2,3,4の構成要素をあくまでも概略的に示したものに過ぎず、本発明に係る電源システムは、例えば、図6~図8に示される電源システム2,3,4に構成要素を適宜追加したものも含み得る。
図6に示される電源システム2は、電源システム1と異なり、メインバッテリ21とサブバッテリ22とがDCDCコンバータ42を介さずに接続されるシステムである。
このような電源システム2では、HEV走行モードにおいて、駆動用モータ11から出力される動力F210が駆動輪5に伝達されるとともに、エンジン12から出力される動力F220が駆動輪5に伝達される。ここで、HEV走行モードでは、エンジン12から出力される動力F220を用いて駆動用モータ11が発電可能になる。それにより、駆動用モータ11の発電電力E20がインバータ41を介してサブバッテリ22に供給されることによってサブバッテリ22が充電され得る。
一方、EV走行モードでは、エンジン12が停止した状態となる。ゆえに、電源システム2においても、サブバッテリ22が異常であると診断されたときに、クルーズコントロールが実行中である場合、HEV走行モードを禁止してEV走行モードを許可することに伴い設定速度を調整し、表示装置71による設定速度の表示を設定速度の調整に応じて変化させることによって、サブバッテリ22の保護及び車両の走行の継続を実現しつつ、ドライバに与える違和感を適切に低減することができる。なお、サブバッテリ22が異常であると診断されたときに、メインバッテリ21とサブバッテリ22との間に設けられるリレー63を開放させることによって、メインバッテリ21から供給される電力を用いたサブバッテリ22の充電が行われることに起因してサブバッテリ22が過充電されることを抑制することができる。
図7に示される電源システム3は、所謂シリーズハイブリッド方式の車両に搭載される電源システムであり、エンジン12から出力される動力がメインバッテリ21に供給される電力を発電する発電装置の駆動のみに用いられるものである。電源システム3では、電源システム1と異なり、エンジン12は駆動輪5とは接続されておらず、エンジン12と接続される発電装置としての始動発電モータ14がインバータ43を介してメインバッテリ21と接続されている。電源システム3では、始動発電モータ14によってエンジン12の始動及び発電が行われる。
このような電源システム3では、HEV走行モードにおいて、駆動用モータ11から出力される動力F310が駆動輪5に伝達されるとともに、エンジン12から出力される動力F320が始動発電モータ14に伝達される。それにより、始動発電モータ14の発電電力E30が、インバータ43を介してメインバッテリ21に供給された後に、DCDCコンバータ42を介してサブバッテリ22に供給されることによってサブバッテリ22が充電され得る。このように、HEV走行モードでは、エンジン12が駆動されており発電装置としての始動発電モータ14による発電を実行可能な状態で車両の走行が行われる。
一方、EV走行モードでは、エンジン12が停止した状態となる。ゆえに、電源システム3においても、サブバッテリ22が異常であると診断されたときに、クルーズコントロールが実行中である場合、HEV走行モードを禁止してEV走行モードを許可することに伴い設定速度を調整し、表示装置71による設定速度の表示を設定速度の調整に応じて変化させることによって、サブバッテリ22の保護及び車両の走行の継続を実現しつつ、ドライバに与える違和感を適切に低減することができる。なお、サブバッテリ22が異常であると診断されたときに、DCDCコンバータ42の出力を低下させることによって、電源システム1と同様に、メインバッテリ21から供給される電力を用いたサブバッテリ22の充電が行われることに起因してサブバッテリ22が過充電されることを抑制することができる。
図8に示される電源システム4は、所謂シリーズパラレルハイブリッド方式の車両に搭載される電源システムであり、エンジン12から出力される動力がメインバッテリ21に供給される電力を発電する発電装置及び駆動用モータ11に分割されて供給されるものである。電源システム4では、電源システム1と異なり、エンジン12は動力分割機構32を介して駆動用モータ11及び発電装置としての始動発電モータ14と接続されている。そして、始動発電モータ14がインバータ43を介してメインバッテリ21と接続されている。電源システム4では、始動発電モータ14によってエンジン12の始動及び発電が行われる。
このような電源システム4では、HEV走行モードにおいて、駆動用モータ11から出力される動力F410が駆動輪5に伝達されるとともに、エンジン12から出力される一部の動力F421が駆動輪5に伝達される。ここで、HEV走行モードでは、エンジン12から出力される他の一部の動力F422が始動発電モータ14に伝達される。それにより、始動発電モータ14の発電電力E40が、インバータ43を介してメインバッテリ21に供給された後に、DCDCコンバータ42を介してサブバッテリ22に供給されることによってサブバッテリ22が充電され得る。このように、HEV走行モードでは、エンジン12が駆動されており発電装置としての始動発電モータ14による発電を実行可能な状態で車両の走行が行われる。
一方、EV走行モードでは、エンジン12が停止した状態となる。ゆえに、電源システム4においても、サブバッテリ22が異常であると診断されたときに、クルーズコントロールが実行中である場合、HEV走行モードを禁止してEV走行モードを許可することに伴い設定速度を調整し、表示装置71による設定速度の表示を設定速度の調整に応じて変化させることによって、サブバッテリ22の保護及び車両の走行の継続を実現しつつ、ドライバに与える違和感を適切に低減することができる。なお、サブバッテリ22が異常であると診断されたときに、DCDCコンバータ42の出力を低下させることによって、電源システム1と同様に、メインバッテリ21から供給される電力を用いたサブバッテリ22の充電が行われることに起因してサブバッテリ22が過充電されることを抑制することができる。
また、本発明に係る電源システムは、図1に示される電源システム1に対して構成要素を追加したもの、又は、電源システム1から一部の構成要素(例えば、診断用リレー62)を省略したもの等であってもよい。