JP7204252B2 - 射出成形装置 - Google Patents
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Description
上記射出成形用バルブゲートシステムによれば、上記バルブピンの径方向における芯振れが、振れ止め部を形成する複数の突起部により抑制されるため、制作当初では、射出成形材料流入時の圧力でバルブピンの芯振れによる上記バルブボディー先端の内周面側の欠けを抑制し得る。
(1)前記ノズルブッシュは、前記ノズルチップよりもHRCで10度以上硬質で、該ノズルチップの先端よりも先端側に突出し且つ前記バルブステムの外周面に接近する先端部と、上記ノズルチップの中空部に沿って圧入により密嵌され、径方向の厚みが0.6mm以下の筒形部と、該筒形部の後端に位置し且つ上記ノズルチップの後端面に当接する後端部とを備えている。そのため、粘度の高いポリエチレンテレフタレートからなる溶融樹脂が前記ノズル本体の流路に流入した際の圧力や高い流速に起因して、前記バルブステムの先端部が径方向に芯振れした際に、係る先端部が比較的硬い上記ノズルブッシュの流路における先端部の内周面に衝突しても、該内周面側で欠けが生じ難くなる。
(2)前記効果(1)に伴って、前記欠けによる金属片の異物が混入していないポリエチレンテレフタレート製の射出成形品(プリフォーム)を比較的短い成形サイクルタイムにより確実且つ安定して成形できる。
(3)前記ノズルブッシュの筒形部における径方向の厚みは、0.6mm以下と比較的薄肉であるため、前記バンドヒータからの熱を、前記ノズルチップの筒形部を介して、上記ノズルブッシュの流路内を圧送される熱伝達が低い溶融PET樹脂に対して、効果的に伝熱することができる。従って、前記効果(1)をより確実に得られる。
また、前記ノズルブッシュの先端部における外周面は、前記ノズルチップの先端部の外周面と連続した傾斜面を有している。
更に、前記ノズル本体は、熱間ダイス鋼(例えば、SKD61)からなる。
また、前記バルブステムは、耐摩耗性の非常に硬い(例えば、HRC50~60)金属、例えばスチールからなり、前記ノズル本体や前記ノズルチップよりも硬質の金属材料からなる。
更に、近年、ポリエチレンテレフタレート製の射出成形品(プリフォーム)の成形サイクルタイムは、大凡10秒前後に短くなり、その流速も高速化している。
加えて、前記ノズルブッシュの硬度は、前記ノズルチップの硬度よりも少なくともHRC10以上高い。
これらの射出成形装置によれば、前記ノズルチップが熱伝導率が高く且つ比較的軟質のベリリウム銅からなり、且つ前記ノズルブッシュは、前記ノズルチップよりも熱伝導率の低いスチールまたはステンレス鋼からなっているので、前記バンドヒータからの熱を、前記ノズルチップにおける比較的薄肉の筒形部を介して、上記ノズルブッシュの流路内を圧送される溶融樹脂に対して、効果的に伝熱することができる。従って、前記効果(1)を容易に得られると共に、前記効果(2)を保証することも可能となる。
尚、前記ノズルチップを構成するベリリウム銅は、熱伝導率が前記ノズルブッシュの4倍以上で、且つ硬度が例えばHRC20である。
また、前記ノズルチップの熱伝導率は、前記ノズルブッシュの熱伝導率よりも少なくとも4倍高いことが推奨される。
更に、前記ノズルチップを構成するベリリウム銅は、高熱伝導性で且つ比較的軟質(例えば、HRC20)である。
図1は、本発明による一形態の射出成形装置1を示す断面図である。尚、図1においては、上方を後端側または基端側と称し、且つ下方を先端側と称する。
上記射出成形装置1は、図1に示すように、互いに直角状に連結された流路3,4を内設したマニホールド2と、該マニホールド2の先端面に基端部11が固定され、且つ前記流路4と直線状に連通する流路12,13を内設した円筒形状のノズル本体10と、該ノズル本体10の外周面に巻き付けたバンドヒータ9と、上記マニホールド2の流路4および前記ノズル本体10の流路12,13の中心部をそれらの軸方向に沿って進退可能とされたバルブステム6と、上記ノズル本体10の流路13内の先端側にネジ止めされ、且つ上記流路13と同軸心の中空部15aが軸方向に沿って貫通するノズルチップ15と、該ノズルチップ15の中空部15a内に密嵌され、且つ上記流路13と連通する流路18aが軸方向に沿って貫通するノズルブッシュ18と、を備えている。
また、前記バルブステム6は、硬質(HRC50~60)の棒鋼からなり、その後端側に図示しないエアーシリンダー(流体圧シリンダー)のピストンが固定され、該ピストンの前進および後退に応じて、その軸方向に進退可能とされている。該バルブステム6は、先端側に面取り部8を含む先端部7を有している。
更に、前記ノズル本体10は、銅合金などの熱良導体からなり、やや太径の前記流路12とやや細径の前記流路13とを同軸心で内設し、該流路13の内周面の一部には、前記ノズルチップ15とネジ結合するための雌ネジ部(図示せず)を有している。該ノズル本体10の先端部14は、キャビティ入子(一方の金型)23の後端面側に開口する凹部24内に挿入されている。
また、前記ノズルブッシュ18は、比較的硬質(HRC30以上)のスチールまたはステンレス鋼からなり、図1,図2(A),(B)に示すように、細長い円筒形で且つ薄肉の筒形部19と、その後端側に位置し、且つ前記ノズルチップ15の後端面に当接する若干厚肉の後端部20と、前記筒形部19の先端側に位置し、且つ前記ノズルチップ15の先端部16と連続した傾斜の円錐形状を形成するやや厚肉の先端部21と、これらの軸方向に沿って貫通する流路18aと、を有している。該流路18aの先端部21側の中空部21aは、やや細径とされている。
上記ノズルブッシュ18は、図2(A),(B)中の各矢印で示すように、予め、前記ノズルチップ15の中空部15a内に軸方向に沿って圧入されている。即ち、図2(C)に示すように、上記ノズルブッシュ18の後端部20がノズルチップ15の後端面に当接して停止し、且つ該ノズルブッシュ18の先端部21がノズルチップ15の先端部16よりも先端側に突出し、且つ係る先端部16,21の円錐形の外周面は連続すると共に、前記筒形部19は、ノズルブッシュ18の中空部18aの内周面に密着するように、予め嵌合(密嵌)されている。
上記ゲート25は、キャビティ28内に連通し、該キャビティ28は、前記キャビティ入子23に形成された半球形状の外型面26、およびこれと相似形の内型部(他方の金型の一部)27に挟まれている。上記キャビティ28は、追ってブロー成形によりPETボトルを得るためのプリフォーム(成形品)の一部である。
図3(A)は、該射出成形装置1のゲート25付近を示す拡大断面図である。
予め、図3(B)に示すように、前記マニホールド2の流路3,4および前記ノズル本体10の流路12,13内に、PETからなる溶融したPET樹脂jを充填すると共に、前記バンドヒータ9に給電して、上記流路12,13内の溶融樹脂jを所定の温度域に保温状態としておく。
次に、図3(B)中の破線の矢印で示すように、前記バルブステム6を軸方向に沿って後端側に後退させる。すると、該バルブステム6の面取り部8を含む先端部7と、ノズルブッシュ18の先端部21における開口部21aとの隙間が拡大すると共に、前記キャビティ入子23のゲート25が開放される。
更に、前記溶融樹脂jが前記キャビティ28内の全体に充填されたタイミングで、図3(C)中の実線の矢印で示すように、前記バルブステム6を軸方向に沿って先端側に前進させる。その結果、該バルブステム6の面取り部8を含む先端部7と、前記キャビティ入子23のゲート25とが、接近することによって、該ゲート25が閉鎖される。これにより、一端側に半球形状の底部を含み、且つ全体が円筒形状である透明なプリフォーム(射出成形品)wを得ることができる。
前記ノズルブッシュ18は、ノズルチップ15よりも硬質で、該チップ15の先端部16よりも先端側に突出し且つバルブステム6の外周面に接近する先端部21と、ノズルチップ15の中空部15aの内面に密嵌された筒形部19と、該筒形部19の後端に位置し且つノズルチップ15の後端面に当接する後端部20とを備えている。
本発明による前記射出成形装置1は、以上のような比較例の射出成形装置において生じ得る問題点を確実に解消したものである。
例えば、前記ノズルブッシュ18は、前記ノズルチップ15よりも硬度がHRCで10度以上硬い材料であれば、熱処理可能な鋼材、あるいはステンレス鋼に限らず、適宜の金属材料を適用しても良い。
また、前記ノズルチップ15は、前記ノズルブッシュ18よりも熱伝導率が4倍以上であれば、前記ベリリウム銅以外の金属材料を適用しても良い。
6……………バルブステム
9……………バンドヒータ
10…………ノズル本体
12,13…ノズル本体の流路
15…………ノズルチップ
15a………中空部
18…………ノズルブッシュ
18a………流路
19…………筒形部
20…………後端部
21…………先端部
j……………PETの溶融樹脂
t……………厚み
Claims (2)
- 円筒形状で且つ軸方向に沿ってポリエチレンテレフタレートからなる溶融樹脂(j)の流路(12,13)を内設したノズル本体(10)と、
上記ノズル本体(10)の外周側に巻き付けたバンドヒータ(9)と、
上記ノズル本体(10)の流路(12,13)内の中心部を軸方向に沿って進退してゲート(25)を開閉するバルブステム(6)と、
上記ノズル本体(10)の流路(13)内の先端側に配置され且つ該流路(13)と同軸心の中空部(15a)を内設したノズルチップ(15)と、
上記ノズルチップ(15)の中空部(15a)内に圧入により密嵌され且つ上記ノズル本体(10)の流路(13)と連通する流路(18a)を内設したノズルブッシュ(18)と、
上記ノズルブッシュ(18)の先端部(21)側に、上記ゲート(25)を介して連通するプリフォーム成形用のキャビティ(28)と、を含む射出成形装置(1)であって、
上記ノズルブッシュ(18)は、上記ノズルチップ(15)よりもHRCで10度以上硬質の金属からなり、該ノズルチップ(15)の先端よりも先端側に突出し且つ上記バルブステム(6)の外周面に接近する先端部(21)と、上記ノズルチップ(15)の中空部(15a)に密嵌され、径方向の厚みが0.6mm以下の筒形部(19)と、該筒形部(19)の後端に位置し且つ上記ノズルチップ(15)の後端面に当接する後端部(20)と、からなる、
ことを特徴とする射出成形装置(1)。 - 前記ノズルチップ(15)は、高熱伝導性で比較的軟質のベリリウム銅からなり、且つ前記ノズルブッシュ(18)は、スチールまたはステンレス鋼からなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の射出成形装置(1)。
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