[第1の実施形態]
添付図面に従って本開示の技術に係る第1の実施形態について説明する。
先ず、以下の説明で使用される文言について説明する。
CPUとは、“Central Processing Unit”の略称を指す。RAMとは、“Random Access Memory”の略称を指す。ROMとは、“Read Only Memory”の略称を指す。ASICとは、“Application Specific Integrated Circuit”の略称を指す。PLDとは、“Programmable Logic Device”の略称を指す。FPGAとは、“Field-Programmable Gate Array”の略称を指す。AFEとは、“Analog Front End”の略称を指す。DSPとは、“Digital Signal Processor”の略称を指す。SoCとは、“System-on-a-chip”の略称を指す。
SSDとは、“Solid State Drive”の略称を指す。DVD-ROMとは、“Digital Versatile Disc Read Only Memory”の略称を指す。USBとは、“Universal Serial Bus”の略称を指す。HDDとは、“Hard Disk Drive”の略称を指す。EEPROMとは、“Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory”の略称を指す。ELとは、“Electro-Luminescence”の略称を指す。I/Fとは、“Interface”の略称を指す。UIとは、“User Interface”の略称を指す。I/Oとは、“Input Output Interface”の略称を指す。
UVとは、“Ultra Violet”の略称を指す。3Dとは、“3 Dimensions”の略称を指す。MEMSとは、“Micro Electro Mechanical Systems”の略称を指す。LEDとは、“Light Emitting Diode”の略称を指す。PWMとは、“Pulse Width Modulation”の略称を指す。
また、以下の説明において、「平行」とは、完全な平行の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差を含めた意味合いでの平行を指す。また、以下の説明において、「鉛直」とは、完全な鉛直の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差を含めた意味合いでの鉛直を指す。また、以下の説明において、「水平」とは、完全な水平の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差を含めた意味合いでの水平を指す。また、以下の説明において、「直交」とは、完全な直交の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差を含めた意味合いでの直交を指す。また、以下の説明において、「一定」とは、完全な一定の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差を含めた意味合いでの一定を指す。また、以下の説明において、「同等」とは、完全な同等の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差を含めた意味合いでの同等を指す。また、以下の説明において、「同一」とは、完全な同一の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差を含めた意味合いでの同一を指す。また、以下の説明において、「一致」とは、完全な一致の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差を含めた意味合いでの一致を指す。また、以下の説明において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。また、以下の説明において、「均一」とは、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差、例えば、±数(一桁)%、一例として±5%未満の誤差を指す。
一例として図1に示すように、光照射装置10は、紫外線レーザ(以下、単に「レーザ」と称する)を紫外線硬化樹脂12に照射する装置である。紫外線硬化樹脂12は、紫外線に反応してラジカルを発生させる硬化剤を有する光硬化樹脂である。なお、レーザは、本開示の技術に係る「光」の一例である。
紫外線硬化樹脂12は、本開示の技術に係る光硬化樹脂の一例であり、レンズ16に付与されている。図1に示す例では、紫外線硬化樹脂12は、レンズ16の片面16Aに付与されている。ここで、「付与」の一例としては、塗布が挙げられる。レンズ16は、本開示の技術に係る「光学素子」の一例であり、支持部材14に収容されている。なお、支持部材14の一例としては金型が挙げられる。支持部材14は下型であり、図1に示す例では、上型が外された上体の支持部材14が示されている。
支持部材14には、収容面14Aが形成されており、レンズ16の片面16A側が収容されている。収容面14Aは、レンズ16の片面16Aの形状に対応する形状に形成されている。すなわち、図1に示す例では、レンズ16が正レンズ(凸レンズ)であるので、収容面14Aは、片面16Aの凸状に対応する凹状に形成されている。紫外線硬化樹脂12は、支持部材14とレンズ16との間に介在している。具体的には、紫外線硬化樹脂12は、片面16Aと収容面14Aとの間に介在している。
紫外線硬化樹脂12は片面16Aと収容面14Aとの間に介在しているので、紫外線硬化樹脂12には収容面14Aの形状が写され、紫外線硬化樹脂12が硬化することで、例えば、片面16Aに対して、紫外線硬化樹脂12による非球面形状の光透過層が形成される。ここで、「光透過層」とは、可視光を透過させる層を指す。ここでは、光透過層の一例として可視光を透過させる層が例示されているが、本開示の技術はこれに限らず、UV光等の他波長域の光を透過させる層であってもよい。
光照射装置10は、照射部18を備えている。照射部18は、紫外線硬化樹脂12に対してレーザを照射する。照射部18は、光源20、光学系22、及びスキャナミラー24を備えている。光源20は、レーザ装置であり、光学系22に対してレーザを出射する。光源20の一例としては、半導体レーザ装置が挙げられる。光学系22は、例えば、複数のレンズを有する光学系であり、光源20から入射されたレーザをスキャナミラー24に導く。本開示の実施形態では、スキャナミラー24の一例として、ガルバノミラーが採用されている。スキャナミラー24は、第1ガルバノミラー24Aと第2ガルバノミラー24Bと、を備えている。第1ガルバノミラー24Aは、光学系22から導かれたレーザを第2ガルバノミラー24Bに向けて反射し、X方向に向きを変えることでレーザを主走査する。また、第2ガルバノミラー24Bは、第2ガルバノミラー24Bで反射されたレーザをレンズ16に向けて反射し、Y方向に向きを変えることでレーザを副走査する。X方向とY方向は互いに交差する方向である。本開示の実施形態において、X方向とは、例えば、後述の行方向(図4参照)に相当する方向を指し、Y方向とは、例えば、後述の列方向(図4参照)に相当する方向を指す。
このように、スキャナミラー24は、光学系22から導かれたレーザをレンズ16に向けて反射することで、レーザを、レンズ16を介して紫外線硬化樹脂12に照射する。スキャナミラー24の向きが変更されることによって、レーザは、一例として図1に示す破線矢印方向に走査する。ここで、「走査」とは、直線状に行われるレーザの照射を指す。なお、ここでは、「走査」の一例として、直線状に行われるレーザの照射を例示しているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、「走査」は、曲線状に行われるレーザの照射であってもよい。この場合、X方向とY方向との位相差を変えることで同心円状のパターンを径方向に移動させながらスキャンするようにしてもよい。なお、このスキャンは、一般的に、直線状のスキャンであるラスタースキャンに対して、ベクタースキャンと称される。
ここでは、スキャナミラー24の一例として、ガルバノミラーを挙げて説明しているが、スキャナミラー24として、MEMSミラーを用いてもよい。MEMSミラーの場合、単一のデバイスにより2軸(X方向及びY方向)のスキャンが可能である。また、スキャナミラー24として、リゾナントミラーを用いてもよい。リゾナントミラーは、ガルバノミラーと同様に、単一のデバイスにより1軸のスキャンが行われるので、一対のデバイス
(例えば、X方向用スキャンのデバイスとY方向用スキャンのデバイス)により2軸のスキャンが行われることで面走査が実現される。なお、MEMSミラーの一例であるDMDについては、第2の実施形態で説明する。
なお、図1に示す例では、スキャナミラー24で反射したレーザが、片面16Aと紫外線硬化樹脂12との接触面で集光するように、光源20、光学系22、及びスキャナミラー24が配置されている。
一例として図2に示すように、光照射装置10は、コンピュータ30、記憶装置32、UI系デバイス34、スキャナドライバ36、光源ドライバ38、外部I/F40、及びI/O42を備えている。
コンピュータ30は、CPU30A、ROM30B、及びRAM30Cを備えている。CPU30A、ROM30B、及びRAM30Cは、バスライン48を介して相互に接続されている。
ROM30Bには、各種プログラムが記憶されている。CPU30Aは、ROM30Bから各種プログラムを読み出し、読み出した各種プログラムをRAM30Cに展開する。CPU30Aは、RAM30Cに展開した各種プログラムに従って光照射装置10の全体を制御する。
I/O42は、入出力ポート(図示省略)を備えており、入出力ポートを介して記憶装置32、UI系デバイス34、スキャナドライバ36、光源ドライバ38、及び外部I/F40がI/O42に接続されている。I/O42は、バスライン48に接続されており、CPU30Aは、I/O42を介して記憶装置32、UI系デバイス34、スキャナドライバ36、光源ドライバ38、及び外部I/F40と各種情報の授受を行う。
記憶装置32は、SSD、HDD、又はEEPROM等の不揮発性の記憶装置である。CPU30Aは、記憶装置32に対して各種情報の読み書きを行う。
UI系デバイス34は、ディスプレイ34A及び受付デバイス34Bを備えている。ディスプレイ34Aは、CPU30Aの制御下で、画像等を表示する。ディスプレイ34Aの一例としては、液晶ディスプレイが挙げられる。ディスプレイ34Aは、液晶ディスプレイではなく、有機ELディスプレイ等の他のディスプレイであってもよい。受付デバイス34Bは、タッチパネル及びハードキー等を備えており、ユーザから各種指示を受け付け、CPU30Aは、受付デバイス34Bによって受け付けられた各種指示に従って動作する。なお、ここでは、受付デバイス34Bの一例として、タッチパネル及びハードキー等を例示しているが、本開示の技術はこれに限定されず、タッチパネル、ハードキー、キーボード、及びマウスのうちの少なくとも1つであってもよく、ユーザの指示を受け付けるデバイスであればよい。
スキャナドライバ36は、ASICを有するデバイスであり、スキャナミラー24に接続されている。スキャナドライバ36は、CPU30Aからの指示に従って、スキャナミラー24を駆動させる。
光源ドライバ38は、ASICを有するデバイスであり、光源20に接続されている。光源ドライバ38は、CPU30Aからの指示に従って、光源20を駆動させることで光源20からレーザを出射させたり、レーザの出射を停止させたり、レーザの強度を変更したりする。具体的には、光源ドライバ38は、CPU30Aからの指示に従って、光源20に対してレーザを出射させるタイミング、レーザの出射を停止させるタイミング、及びレーザの強度の変更等を制御する。
紫外線硬化樹脂12に対するレーザの走査は、CPU30Aからの指示に従って光源ドライバ38によって光源20が制御され、かつ、CPU30Aからの指示に従ってスキャナドライバ36によってスキャナミラー24の向きが変更されることで実現される。
外部I/F40は、FPGAを有する通信デバイスである。外部I/F40には、パーソナル・コンピュータ、USBメモリ、外付けSSD、外付けHDD、EEPROM、及びメモリカード等の外部装置(図示省略)が接続される。外部I/F40は、CPU30Aと外部装置との間の各種情報の授受を司る。
一例として図3に示すように、記憶装置32には、レーザ強度テーブル32Aが記憶されている。レーザ強度テーブル32Aは、外部I/F40によって受け付けられ、外部I/F40によって受け付けられたレーザ強度テーブル32AがCPU30Aによって記憶装置32に記憶される。なお、レーザ強度テーブル32Aは、本開示の技術に係る「分布情報」の一例である。また、外部I/F40は、本開示の技術に係る「受付部」の一例である。
ROM30Bには、レーザ照射プログラム30B1が記憶されている。CPU30Aは、ROM30Bからレーザ照射プログラム30B1を読み出し、読み出したレーザ照射プログラム30B1をRAM30Cに展開する。CPU30Aは、RAM30Cに展開したレーザ照射プログラム30B1を実行することで、制御部30A1及び同期信号供給部30A2として動作する。ここで、制御部30A1は、本開示の技術に係る「変更部」の一例であり、レーザの強度を変更する。具体的には、制御部30A1は、レーザ強度テーブル32Aに従ってレーザの強度を変更する。
同期信号供給部30A2は、基準クロック(図示省略)に基づいて同期信号を生成し、生成した同期信号を制御部30A1に供給する。これにより、制御部30A1は、同期信号供給部30A2から同期信号が供給されることで、供給された同期信号に従ってスキャナドライバ36の動作と光源ドライバ38の動作とを同期させる。
制御部30A1は、スキャナドライバ36に対してスキャナ制御信号を供給することでスキャナドライバ36を制御し、光源ドライバ38に対してパルス信号を供給することで光源ドライバ38を制御する。スキャナドライバ36に対するスキャナ制御信号の供給、及び光源ドライバ38に対するパルス信号の供給は同期している。スキャナドライバ36に対するスキャナ制御信号の供給と及び光源ドライバ38に対するパルス信号の供給との同期は、制御部30A1に同期信号が供給されることによって実現される。
光源ドライバ38は、制御部30A1から供給されたパルス信号に従って、光源20を制御することでレーザの出力をオンオフさせる。パルス幅は、後述の区分領域の各々に対するレーザの照射時間以下である。また、光源ドライバ38の制御下で、光源20によって、後述する紫外線硬化樹脂12の全領域(図4参照)に対するレーザの照射が複数回繰り返される。レーザの強度の変更は、後述の区分領域毎に、パルス信号のパルス幅が制御部30A1によって変更されることで実現される。具体的には、一例として図14に示すように、後述の区分領域毎にパルス信号のデューティ比が制御部30A1によって変更されることで、各区分領域に対するレーザの強度が変更される。なお、以下では、説明の便宜上、パルス信号に従ってオンオフされるレーザの照射を、「パルス照射」とも称する。
スキャナ制御信号は、スキャナミラー24の向きを示す信号であり、スキャナドライバ36は、制御部30A1から供給されたスキャナ制御信号に従ってスキャナミラー24の向きを変更する。光源20から出射されたレーザは、光学系22によってスキャナミラー24に導かれるとスキャナミラー24で反射され、スキャナミラー24の向きが変更されることで紫外線硬化樹脂12に対してレーザが走査される。
一例として図4に示すように、光照射装置10では、片面16Aに対する平面視において、紫外線硬化樹脂12の全領域に対して矩形状平面50が制御部30A1によって設定される。矩形状平面50とは、片面16Aに対する平面視で、紫外線硬化樹脂12の全領域を取り囲む矩形状の平面を指す。紫外線硬化樹脂12の全領域は、本開示の技術に係る「特定領域」及び「光硬化樹脂の全領域」の一例である。ここで、紫外線硬化樹脂12の全領域とは、紫外線硬化樹脂12の平面視での外面のうちの全領域を指す。すなわち、図4に示す例において、紫外線硬化樹脂12の全領域とは、片面16Aに対する平面視で、紫外線硬化樹脂12のうちの片面16A側に面している領域、換言すると、片面16Aに対して付与された紫外線硬化樹脂12の面領域を指す。更に換言すると、紫外線硬化樹脂12の全領域は、レンズ16を介して第2ガルバノミラー24B側に露出している面(露出面)とも言える。紫外線硬化樹脂12の外面のうちの全領域(面状領域)に対してレーザが照射されることで、紫外線硬化樹脂12の立体状全領域(全樹脂)、すなわち、紫外線硬化樹脂12の立体視での全領域(全容積)に対して光が照射される。
スキャナミラー24は、矩形状平面50に対してレーザを走査する。矩形状平面50は、レーザのビーム径に応じて第N行第N列で分割されており、分割されることで得られた各区分領域の位置は行番号及び列番号で特定される。つまり、矩形状平面50内の位置が2次元座標で特定可能とされている場合、行番号は、2次元座標のうちのX座標に相当し、列番号は2次元座標のうちのY座標に相当する。なお、1つ分の区分領域は、例えば、レーザのビーム径に外接する矩形枠で囲まれた領域である。
紫外線硬化樹脂12は、平面視において、矩形状平面50の各区分領域によって区分けされており、矩形状平面50の各区分領域によって区分けされることで得られた複数の区分領域の各位置は、矩形状平面50の各区画領域と同様に、行番号及び列番号で特定される。なお、ここで、「複数の区分領域」は、本開示の技術に係る「複数の区分領域」の一例である。以下では、説明の便宜上、紫外線硬化樹脂12が矩形状平面50の各区分領域によって区分けされることで得られた複数の区分領域の各々を、単に「区分領域」又は「紫外線硬化樹脂12の区分領域」とも称する。
レーザは、スキャナミラー24の向きが変更されることによって、矩形状平面50の始点から終点にかけて行毎に且つ列毎に走査される。換言すると、レーザは、行方向に主走査され、列方向に副走査される。主走査方向の走査経路は、第1列から第N列にかけての行方向に沿う直線上にあり、第1行から第N行にかけて1行毎にレーザの走査が行われる。
光源20は、矩形状平面50内の1つ分の区分領域に対して、光源ドライバ38にパルス信号が供給される毎に、パルス信号に応じたレーザを照射する。すなわち、光源ドライバ38に複数個のパルス信号が供給されることで、矩形状平面50内の1つ分の区分領域に対してレーザが重ねて照射される。
なお、以下では、説明の便宜上、矩形状平面50の1つ分の区分領域に対するレーザの照射用として光源ドライバ38に供給される一対のパルス信号のうち、供給順序が先のパルス信号を先発パルス信号と称し、供給順序が後のパルス信号を後発パルス信号と称する。ここで、「一対のパルス信号」とは、矩形状平面50内の1つ分の区分領域に対するレーザの照射用のパルス信号として光源ドライバ38に供給されるパルス信号のうち、光源ドライバ38に供給される順序が時間的に隣り合う2つのパルス信号を指す。また、以下では、説明の便宜上、供給されたパルス信号に従って光源ドライバ38が光源20を作動させることで実現されるレーザの照射を、「パルス信号に基づくレーザの照射」とも称する。
光照射装置10では、照射部18により、矩形状平面50の始点から終点にかけて行毎に且つ列毎に、区分領域に対してパルス信号に従ってレーザが照射されることで、紫外線硬化樹脂12の全領域に対してレーザが走査される。すなわち、紫外線硬化樹脂12の外側に存在する始点から終点にかけて、紫外線硬化樹脂12よりも広い領域として規定された矩形状平面50に対してレーザが走査されることで、紫外線硬化樹脂12の全領域に対してもレーザが走査される。換言すると、紫外線硬化樹脂12の外側に存在する始点が属する列から、紫外線硬化樹脂12の外側に存在する終点が属する列にかけてレーザが走査されることで、紫外線硬化樹脂12の全領域に対してもレーザが走査される。なお、ここでは、矩形状平面50が例示されているが、これに限らず、平面視で紫外線硬化樹脂12よりも広く、かつ、紫外線硬化樹脂12を取り囲む領域であれば、如何なる形状の領域であってもよい。
一例として図5に示すように、レーザ強度テーブル32Aは、紫外線硬化樹脂12の全領域に対して照射されるレーザの強度の分布を示す分布情報である。レーザ強度テーブル32Aでは、行番号、列番号、及びレーザの強度が対応付けられている。レーザ強度テーブル32Aにおいて、行番号及び列番号は、矩形状平面50の全区分領域の位置を特定する位置特定情報である。つまり、位置特定情報には、紫外線硬化樹脂12の複数の区分領域の各々の位置を特定する情報も含まれている。位置特定情報の各々に対しては、レーザの強度を示す強度情報が対応付けられている。すなわち、レーザ強度テーブル32Aでは、矩形状平面50の全区分領域の各々に対して照射されるレーザの強度が区分領域毎に規定されている。これは、レーザ強度テーブル32Aでは、紫外線硬化樹脂12の複数の区分領域の各々に対して照射されるレーザの強度が区分領域毎に規定されていることを意味する。なぜならば、矩形状平面50の全区分領域には、紫外線硬化樹脂12の複数の区分領域も含まれているからである。
レーザ強度テーブル32Aでの強度情報により示されるレーザの強度の分布は、紫外線硬化樹脂12の全領域に対してレーザが照射された場合に紫外線硬化樹脂12の全領域が均一に硬化されるように、実機による試験及び/又はコンピュータシミュレーションにより、支持部材14の光学的特性及びレンズ16の光学的特性に従って予め導出されている。なお、ここで、支持部材14の光学的特性の一例としては、収容面14A及び収容面14Aの周辺に対してレーザが走査された場合に生じる拡散反射(乱反射)が挙げられる。収容面14A及び収容面14Aの周辺は、例えば、支持部材14のうちの矩形状平面50によって囲まれる領域内を指す。また、レンズ16の光学的特性の一例としては、屈折、反射、吸収、及び散乱等が挙げられる。
ところで、高分子のラジカル重合反応定数を測定する方法として、パルスレーザが断続的に照射されることによって硬化された樹脂の分子量を基に解析するパルスレーザ重合法が提案されている(参考文献:Determination of Free-Radical Propagation Rate Coefficients of Butyl, 2-Ethylhexyl, and Dodecyl Acrylates by Pulsed-Laser Polymerization.(Macromolecules 1996, 29, 4206-5215))。そして、パルスレーザ重合法により各種ラジカル重合反応の解析が行われている。
紫外線硬化樹脂12の全領域に対するレーザの照射法では、各位置特定情報により示される各位置に対してレーザがパルス照射される。すなわち、位置特定情報により示される位置に対して照射されるレーザの照射の時間間隔を一周期とした場合、紫外線硬化樹脂12の全領域を対象として、各位置特定情報により示される各位置に対して、複数周期分のレーザの照射が行われる。換言すると、紫外線硬化樹脂12の全領域を対象として、各位置特定情報により示される各位置に対して、レーザの照射が繰り返し行われる。これにより、紫外線硬化樹脂12の全領域を対象として、紫外線硬化樹脂12の複数の区分領域の各々に対してレーザが重ねて照射される。
紫外線硬化樹脂12に対するレーザの照射により生成されたラジカルは、重合反応を繰り返しながら、ラジカル濃度に依存した確率でラジカル同士が結合することで停止反応し、やがて消滅する。ここで、レーザの照射強度が一定の場合、ラジカル濃度はラジカルの生成速度、重合速度、及び停止反応速度により一定の平均値と一定の分布とを有する定常状態となる。
しかし、紫外線硬化樹脂12の全領域に対するレーザの照射による区分領域間でのラジカル濃度は、1つ分の区分領域に対してパルス信号に従ってレーザが照射される周期(以下、単に「周期」とも称する)によって異なる。例えば、光源ドライバ38に対するパルス信号の供給間隔がラジカル寿命よりも長い場合、先発パルス信号に基づくレーザの照射によって生成されたラジカルの濃度は、図6に示すように、先発パルス信号に基づくレーザの照射が行われるまでの間に徐々に低下する。そして、紫外線硬化樹脂12が後発パルス信号に基づくレーザの照射を受けた時点において、残存し重合反応を繰り返している1回目のラジカルは、新たに生成されたラジカルと結合することで消滅する。ここで、新たに生成されたラジカルとは、紫外線硬化樹脂12が2回目のパルス信号に基づくレーザの照射を受けることで生成されたラジカルを指す。紫外線硬化樹脂12に対する3回目以降のパルス信号に基づくレーザの照射によって生成されたラジカルについても同様のことが言える。このように、パルス信号の発生間隔がラジカル寿命よりも長い場合、紫外線硬化樹脂12の各区分領域では非定常状態が繰り返される。非定常状態とは、パルス信号に基づくレーザの照射によって生成されるラジカルの濃度が定常状態に比べて大きく変化する状態を指す。
なお、ここで、「ラジカル寿命」とは、ラジカルの平均寿命を指す。ラジカルの平均寿命とは、例えば、数十msを指す。また、以下では、説明の便宜上、先発パルス信号によりレーザが紫外線硬化樹脂12に対して照射されることで生成されたラジカルを「先発ラジカル」と称する。また、以下では、説明の便宜上、後発パルス信号によりレーザが紫外線硬化樹脂12に対して照射されることで生成されたラジカルを「後発ラジカル」と称する。
上記のように、紫外線硬化樹脂12の各区分領域において非定常状態が繰り返されると、後発パルス信号に基づくレーザが照射されている区分領域と、先発パルス信号に基づくレーザが照射されている区分領域とでは、重合反応が非連続的となり、区分領域間で均一な硬化速度が得られない。
そこで、光照射装置10では、一例として図7に示すように、図6に示す例に比べ、1つの区分領域に対しての先発パルス信号と後発パルス信号との時間間隔が短くされている。具体的には、照射部18(図1参照)が、紫外線硬化樹脂12の全領域に対してレーザを照射することで紫外線硬化樹脂12からラジカルを発生させ、ラジカルの重合反応が停止する前に、紫外線硬化樹脂12の全領域に対してレーザを重ねて照射する。換言すると、照射部18が、紫外線硬化樹脂12の全領域に対してレーザを照射することで紫外線硬化樹脂12からラジカルを発生させ、ラジカルの成長中に、紫外線硬化樹脂12の全領域に対してレーザを重ねて照射する。「ラジカルの重合反応が停止する前」及び「ラジカルの成長中」とは、換言すると、「ラジカルの結合が完了する前」、「ラジカルの共有結合が完了する前」、又は「ラジカルが不活性化する前」等とも言える。
「ラジカルの重合反応が停止する前」及び「ラジカルの成長中」の一例としては、「ラジカル寿命に達する前」が挙げられる。すなわち、図7に示す例のように、先発パルス信号と後発パルス信号との時間間隔がラジカル寿命未満であれば、先発ラジカルの重合結合が完結する前の状態で、後発パルス信号によりレーザが紫外線硬化樹脂12に照射されることで後発ラジカルが生成される。この場合、先発ラジカルの濃度は定常状態の平均値に相当する濃度であるので、先発パルス信号と後発パルス信号との時間間隔がラジカル寿命以上の場合に比べ、先発ラジカルは後発パルス信号に基づくレーザの照射の影響を受け難い。これは、先発ラジカルがラジカル寿命に達してから後発ラジカルが生成される場合に比べ、先発ラジカルが、後発ラジカルと結合する確率が低くなり、定常状態に近付くからである。この結果、先発ラジカルがラジカル寿命に達してから後発ラジカルが生成される場合に比べ、紫外線硬化樹脂12の区分領域間の硬化の度合いの連続性が上がる。
次に、光照射装置10の作用について図8を参照しながら説明する。図8には、レーザ照射処理の実行を開始する指示が受付デバイス34Bによって受け付けられた場合にレーザ照射プログラム30B1に従ってCPU30Aによって実行されるレーザ照射処理の流れの一例が示されている。
なお、以下では、矩形状平面50の始点からレーザの走査が開始されるように照射部18が位置決めされていることを前提として説明する。また、以下では、矩形状平面50の始点(図4参照)からレーザの走査が開始されるように位置決めされた状態でのスキャナミラーの位置を「初期位置」と称する。また、以下では、矩形状平面50の始点を、単に「始点」とも称し、矩形状平面50の終点(図4参照)を、単に「終点」とも称する。
図8に示すレーザ照射処理では、先ず、ステップST00で、制御部30A1は、レーザ強度テーブル32Aから初期位置に対応する強度情報を取得する。そして、制御部30A1は、光源20に対して、取得した強度情報により示される強度のレーザを初期位置に照射させ、その後、レーザ照射処理はステップST10へ移行する。
本ステップST100では、制御部30A1により、レーザ強度テーブル32Aから初期位置に対応する強度情報が取得され、取得された強度情報に応じてパルス信号のパルス幅が変更される。そして、パルス幅が変更されたパルス信号が制御部30A1から光源ドライバ38に供給される。そして、光源20は、光源ドライバ38の制御下で、制御部30A1から光源ドライバ38に供給されたパルス信号に応じたレーザを始点に照射する。
ステップST10で、制御部30A1は、スキャナミラー24の既定速度での駆動を開始させ、その後、レーザ照射処理はステップST12へ移行する。ここで、既定速度は、始点から終点にかけてのレーザの走査が繰り返し行われる場合に1つ分の区分領域に対するレーザの照射用の先発パルス信号と後発パルス信号との時間間隔として予め定められた周期が実現される速度である。
ここで、「予め定められた周期」とは、紫外線硬化樹脂12に対してレーザが照射されてからラジカルの重合反応が停止する前まで時間に相当する周期、換言すると、紫外線硬化樹脂12に対してレーザが照射されてからラジカルが成長している間の時間を指す。紫外線硬化樹脂12に対してレーザが照射されてからラジカルが成長している間の時間とは、すなわち、紫外線硬化樹脂12に対してレーザが照射されてからラジカル寿命に達する前までの時間を指す。
なお、ここでは、予め定められた周期として、例えば、紫外線硬化樹脂12に対してレーザが照射されてからラジカル寿命に達する前までの時間内においてレーザが走査されることで紫外線硬化樹脂12の全領域を均一に硬化させる周期が採用されている。予め定められた周期は、実機による試験及び/又はコンピュータシミュレーション等により予め導出されている。
ステップST12で、制御部30A1は、スキャナミラー24の向きが変更されたことに伴って、矩形状平面50内でのレーザの照射位置(以下、単に「照射位置」とも称する)が次の区分領域に対応する照射位置に変更されたか否かを判定する。ステップST12において、照射位置が次の区分領域に対応する照射位置に変更されていない場合は、判定が否定されて、ステップST12の判定が再び行われる。ステップST12において、照射位置が次の区分領域に対応する照射位置に変更された場合は、判定が肯定されて、レーザ照射処理はステップST14へ移行する。
ステップST14で、制御部30A1は、レーザ強度テーブル32Aから更新後の照射位置に対応する強度情報を取得する。そして、制御部30A1は、光源20に対して、取得した強度情報により示される強度のレーザを更新後の照射位置に照射させ、その後、レーザ照射処理はステップST16へ移行する。
本ステップST14では、制御部30A1により、レーザ強度テーブル32Aから更新後の照射位置に対応する強度情報が取得され、取得された強度情報に応じてパルス信号のパルス幅が変更される。そして、パルス幅が変更されたパルス信号が制御部30A1から光源ドライバ38に供給される。そして、光源20は、光源ドライバ38の制御下で、制御部30A1から光源ドライバ38に供給されたパルス信号に応じたレーザを更新後の照射位置に照射する。本ステップST14の処理が実行されることで、照射部18によって照射されるレーザの強度が紫外線硬化樹脂12の区分領域毎に変更される。
ステップST16で、制御部30A1は、レーザの照射位置が終点に到達したか否かを判定する。ステップST16において、レーザの照射位置が終点に到達していない場合は、判定が否定されて、レーザ照射処理はステップST12へ移行する。ステップST16において、レーザの照射位置が終点に到達した場合は、判定が肯定されて、レーザ照射処理はステップST18へ移行する。
ステップST18で、制御部30A1は、光源ドライバ38を介して光源20に対してレーザの照射を停止させ、その後、レーザ照射処理はステップST20へ移行する。
ステップST20で、制御部30A1は、スキャナドライバ36を制御することでスキャナミラー24を初期位置に戻し、その後、レーザ照射処理はステップST22へ移行する。
ステップST22で、制御部30A1は、始点から終点までのレーザの走査を1回の走査とした場合の走査回数が既定回数に到達したか否かを判定する。既定回数とは、紫外線硬化樹脂12の全領域を均一に硬化させる走査回数として、例えば、数百回から数千回の範囲内から予め選択された回数を指す。既定回数としては、例えば、実機による試験及び/又はコンピュータシミュレーション等により紫外線硬化樹脂12の全領域を均一に硬化させる走査回数として予め導出された値が採用されている。
ステップST22において、走査回数が既定回数に到達していない場合は、判定が否定されて、レーザ照射処理はステップST00へ移行する。ステップST22において、走査回数が既定回数に到達した場合は、判定が肯定されて、レーザ照射処理はステップST24へ移行する。
ステップST00~ステップST22の処理が実行されることで、光照射装置10では、照射部18により、紫外線硬化樹脂12の全領域に含まれる複数の区分領域の各々に対して、各区分領域のラジカルの重合反応が停止する前にレーザが重ねて照射される。
ステップST24で、制御部30A1は、スキャナドライバ36を制御することでスキャナミラーの駆動を停止させ、その後、レーザ照射処理が終了する。
以上説明したように、光照射装置10では、照射部18により、紫外線硬化樹脂12の全領域に対してレーザが照射されることで紫外線硬化樹脂12からラジカルを発生させる。また、照射部18により、ラジカルの重合反応が停止する前、換言すると、ラジカルの成長中に、紫外線硬化樹脂12の全領域に対してレーザが重ねて照射される。そして、紫外線硬化樹脂12の区分領域の各々に対して照射部18によって照射されるレーザの強度が制御部30A1によって区分領域毎に変更される。
これにより、区分領域毎に、先発パルス信号に基づくレーザの照射により生成された先発ラジカルの重合結合が完結する前の状態で、後発パルス信号によりレーザが紫外線硬化樹脂12に照射されることで後発ラジカルが生成される。この場合、先発ラジカルの濃度は定常状態の平均値に相当する濃度であるので、先発パルス信号に基づくレーザの照射が行われてから、先発ラジカルの重合結合が完結した後に後発パルス信号に基づくレーザの照射が行われる場合に比べ、先発ラジカルは後発パルス信号に基づくレーザの照射の影響を受け難い。この結果、先発ラジカルがラジカル寿命に達してから後発ラジカルが生成される場合に比べ、紫外線硬化樹脂12の区分領域間の硬化の度合いの連続性が上がる。従って、片面16Aに紫外線硬化樹脂12が付与されたレンズ16、すなわち、紫外線硬化樹脂12及びレンズ16を含む光学素子(例えば、非球面状レンズ)を製造するにあたって、先発ラジカルの重合結合が完結した後に後発パルス信号に基づくレーザの照射が行われる場合に比べ、紫外線硬化樹脂12の硬化速度に起因して紫外線硬化樹脂12で生じる歪みを低減することができる。
また、光照射装置10では、照射部18により、紫外線硬化樹脂12に対してレーザが走査される。従って、レーザの走査ラインに沿って紫外線硬化樹脂12を硬化させることができる。
また、光照射装置10では、区分領域毎に先発ラジカルの寿命に達する前に後発パルス信号に基づくレーザの照射が行われる。従って、先発パルス信号と後発パルス信号との時間間隔がラジカル寿命以上の場合に比べ、先発ラジカルが後発パルス信号に基づくレーザの照射の影響を受け難くすることができる。
また、光照射装置10では、照射部18により、紫外線硬化樹脂12の全領域に対してレーザが照射される。従って、片面16Aに紫外線硬化樹脂12が付与されたレンズ16、すなわち、紫外線硬化樹脂12及びレンズ16を含む光学素子を製造するにあたって、先発ラジカルの重合結合が完結した後に後発パルス信号に基づくレーザの照射が行われる場合に比べ、紫外線硬化樹脂12の全領域の硬化速度に起因して生じる歪みを低減することができる。
また、光照射装置10では、外部I/F40によってレーザ強度テーブル32Aが受け付けられ、受け付けられたレーザ強度テーブル32Aが記憶装置32に記憶される。これにより、記憶装置32に記憶されるレーザ強度テーブル32Aの内容が更新される。そして、記憶装置32に記憶されたレーザ強度テーブル32Aに従って制御部30A1によってレーザの強度が変更される。従って、内容が更新されたレーザ強度テーブル32Aから導き出された強度でレーザを紫外線硬化樹脂12に照射することができる。
また、光照射装置10では、レーザ強度テーブル32Aが、レンズ16の光学的特性に従って定められている。従って、レーザ強度テーブル32Aがレンズ16の光学的特性とは無関係に定められている場合に比べ、レンズ16に付与された紫外線硬化樹脂12の硬化速度に起因して紫外線硬化樹脂12で生じる歪みを高精度に低減することができる。
更に、光照射装置10では、レーザ強度テーブル32Aが、レンズ16の光学的特性及び支持部材14の光学的特性に従って定められている。従って、レーザ強度テーブル32Aがレンズ16の光学的特性及び支持部材14の光学的特性とは無関係に定められている場合に比べ、紫外線硬化樹脂12の硬化速度に起因して紫外線硬化樹脂12で生じる歪みを高精度に低下することができる。
なお、上記第1の実施形態では、レンズ16を例示したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、レンズ16に代えて、プリズム、ガルバノミラー、MEMSミラー、ポリゴンミラー、リゾナントミラー、ダイクロイックミラー、又は全反射ミラー等の他の光学素子に対して付与された紫外線硬化樹脂にレーザが照射されるようにしてもよい。
また、上記第1の実施形態では、光照射装置10のレーザがレンズ16に付与された紫外線硬化樹脂12に対して照射される形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。本開示の技術は、紫外線硬化樹脂等の光硬化樹脂を用いて工作する3Dプリンタ等に対しても適用可能である。
また、上記第1の実施形態では、スキャナミラー24の一例としてガルバノミラーを挙げたが、本開示の技術はこれに限定されない。ガルバノミラーに代えて、リゾナントミラー又はMEMSミラー等の可動式のミラーであればよい。
また、上記第1の実施形態では、制御部30A1がパルス信号のパルス幅を変更することでレーザの強度を変更する形態例を挙げて説明したが、制御部30A1は、電圧値又は電流値を制御することでレーザの強度を変更するようにすればよい。
また、上記第1の実施形態では、光源20としてレーザ装置を例示したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、レーザ装置に代えて、LED、水銀ランプ、又はメタルハライドランプ等の他の光源であってもよい。
また、上記第1の実施形態では、紫外線硬化樹脂12の全領域に対してレーザが照射される形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、紫外線硬化樹脂12(図4参照)の平面視での中央部又は外縁部等の一部領域に対してレーザが照射されるようにしてもよい。
また、上記第1の実施形態では、レーザ強度テーブル32Aを例示したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、レーザ強度テーブル32Aに代えて、位置特定情報を独立変数とし、強度情報を従属変数とした演算式を用いてレーザの強度が算出されるようにしてもよい。
また、上記第1の実施形態では、片面16Aと紫外線硬化樹脂12との接触面でレーザが集光するように、光源20、光学系22、及びスキャナミラー24が配置された光照射装置10を例示したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、図9に示すように、光照射装置100を用いてもよい。光照射装置100は、片面16Aと紫外線硬化樹脂12との接触面でレーザが拡散した状態(結像点からずらしてぼかした状態)で照射されるように、光源20、光学系22、及びスキャナミラー24が配置されている。なお、光学系22の構成を変更したり、スキャナミラー24から紫外線硬化樹脂12までの距離を変更したりすることでも、片面16Aと紫外線硬化樹脂12との接触面でレーザを拡散した状態で照射させることができる。
また、上記第1の実施形態では、区分領域毎にレーザの強度が変更される形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、図10に示すように、液晶パネル70を介して紫外線硬化樹脂12に対してレーザが照射されるようにしてもよい。この場合、液晶パネル70は、マトリクス状に配列された複数の画素を備えており、各画素は、制御部30A1からの指示に従って透過状態と遮光状態とが切り替えられる。例えば、制御部30A1が、レーザ強度テーブル32Aに従って液晶パネル70の各画素の透過状態と遮光状態とを切り替えることで、上述したように区分領域の各々に対して照射されるレーザの強度を変更する。なお、液晶パネル70は本開示の技術に係る「変更部」の一例である。また、液晶パネル70の画素は本開示の技術に係る「光透過率変更領域」の一例である。
また、液晶パネル70に変えて、透光性を有するシート(以下、「透光性シート」と称する)を適用することも可能である。この場合、透光性シートは帯状に形成されており、透光性シートの表面に対してインクジェトプリンタ等を用いて事前に透過領域と遮光領域とが形成されている。そして、レーザが透光性シートを介して紫外線硬化樹脂12に照射された状態で透光性シートを移動させることによってレーザの強度が変更される。
また、上記第1の実施形態では、紫外線硬化樹脂12に対してレーザを走査する形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、図11に示すように、光照射装置200を用いて紫外線硬化樹脂12に対してUV光が面照射されるようにしてもよい。この場合、例えば、光照射装置200は、光源20A及びコリメートレンズ22Bを備えている。光源20Aは、コリメートレンズ22Bに対してUV光を出射する。
コリメートレンズ22Bでは、光源20AからのUV光が平行光束とされ、平行光束とされたUV光が紫外線硬化樹脂12に面状に照射される。図11に示す液晶パネル70は本開示の技術に係る「透過率変更素子」の一例である。また、液晶パネル70の画素70Aは本開示の技術に係る「光透過変更領域」の一例である。図11に示す光照射装置200では、液晶パネル70がコリメートレンズ22Bとレンズ16との間に配置されていたが、液晶パネル70は光源20Aとコリメートレンズ22Bとの間に配置されていてもよい。また、本実施形態では、紫外線硬化樹脂12に向かうUV光の照射エネルギーが3段階以上の多段階で分布される。なお、図11に示す光検出装置128、及びアクチュエータ316については後述する。
また、上記第1の実施形態では、レンズ16として正レンズ(凸レンズ)を例示したが、レンズの種類は正レンズ(凸レンズ)に限らず、負レンズ(凹レンズ)であってもよいし、メニスカスレンズ(凹凸レンズ)であってもよいし、非球面レンズであってもよい。また、一例として図12に示すように、接合レンズ160であってもよい。図12に示す例では、接合レンズ160は、レンズ16と負レンズ(凹レンズ)162とが接合された接合レンズであり、治具163によって負レンズ162が保持されており、負レンズ162上にレンズ16が配置されている。図12に示す例では、レンズ16と負レンズ162との間には紫外線硬化樹脂162Aが介在しており、紫外線硬化樹脂162Aに対してレーザが照射されることでレンズ16と負レンズ162とが接合される。この場合、接合レンズ160を構成するレンズ16の光学的特性、接合レンズ160を構成する負レンズ162の光学的特性及び治具163の光学的特性のうちの少なくとも1つの光学的特性に従ってレーザ強度テーブル32Aの強度情報が定められるようにすればよい。また、接合レンズ160はレンズ16と負レンズ162との2枚のレンズで形成されているが、3枚以上のレンズで形成された接合レンズであってもよい。複数枚のレンズを重ねて形成された接合レンズに含まれる複数のレンズの少なくとも1枚のレンズの片面に紫外線硬化樹脂が付与されていれば、接合レンズに含まれる紫外線硬化樹脂に対して光照射装置10からレーザが照射されることで紫外線硬化樹脂を硬化させることができる。
また、図12に示す例でも、図4に示す例と同様に、矩形状平面50の始点から終点にかけてレーザが走査されるようにしてもよい。この場合、紫外線硬化樹脂162Aから外側の領域にレーザが走査されている間に、紫外線硬化樹脂162Aと負レンズ162との隙間165からレーザが負レンズ162に入射され、負レンズ162の光学的特性(例えば、屈折、反射、吸収、及び散乱等)及び治具163の内周面及び底面163Aの各々の光学的特性(例えば、反射、散乱、及び吸収等)の影響を受ける。この結果、隙間165から負レンズ162に入射されたレーザは、負レンズ162側から紫外線硬化樹脂162Aに照射される。このように、レンズ16側と負レンズ162側との両側から紫外線硬化樹脂162Aの全領域、又は、指定された一部領域に対してレーザが照射されるようにしてもよい。なお、光照射装置10の位置等を変更させることで、レーザを隙間165から積極的に負レンズ162に入射させるようにしてもよい。
また、上記第1の実施形態では、紫外線硬化樹脂を例示したが、本開示の技術はこれに限定されず、紫外線の波長域以外の波長域の光に反応して硬化する光硬化樹脂に対して、対応する波長域の光が照射されるようにしてもよい。
また、上記第1の実施形態では、パルス照射を例示したが、本開示の技術はこれに限定されず、連続波発振方式でレーザが照射されるようにしてもよい。連続波発振方式でレーザを照射する場合、レーザの強度を連続的に変更し、区分領域毎に異なる強度のレーザが照射されるようにすればよい。
また、上記第1の実施形態では、レーザ強度テーブル32Aを規定する場合に考慮される支持部材14の光学的特性の一例として、収容面14A及び収容面14Aの周辺に対してレーザが走査された場合に生じる拡散反射を例示したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、レーザ強度テーブル32Aを規定する場合に考慮される支持部材14の光学的特性は、収容面14A及び収容面14Aの周辺のうちの収容面14Aに対してレーザが走査された場合に生じる拡散反射であってもよい。
また、上記第1の実施形態では、ROM30Bにレーザ照射プログラム30B1が記憶されている形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、図13に示すように、レーザ照射プログラム30B1を記憶媒体600に記憶させておいてもよい。この場合、記憶媒体600に記憶されているレーザ照射プログラム30B1は、コンピュータ30にインストールされ、CPU30Aは、レーザ照射プログラム30B1に従って、上述したレーザ照射処理を実行する。なお、記憶媒体600の一例としては、CD-ROM、DVD-ROM、SSD又はUSBメモリなどの任意の可搬型の記憶媒体が挙げられる。
また、通信網(図示省略)を介してコンピュータ30に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の記憶部にレーザ照射プログラム30B1を記憶させておき、上述の光照射装置10の要求に応じてレーザ照射プログラム30B1がコンピュータ30にダウンロードされるようにしてもよい。この場合、ダウンロードされたレーザ照射プログラム30B1はコンピュータ30にインストールされ、コンピュータ30のCPU30Aによって実行される。
また、上記第1の実施形態で示す例では、CPU30Aは、単数のCPUであるが、本開示の技術はこれに限定されず、複数のCPUを採用してもよい。
また、上記第1の実施形態では、制御部30A1及び同期信号供給部30A2(以下、「上記実施形態で説明した各部」と称する)として、コンピュータ30によるソフトウェア構成により実現される形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、上記実施形態で説明した各部は、例えば、ASIC、FPGA、及びPLDのうちの少なくとも1つを含むデバイスによって実現されるようにしてもよい。また、上記実施形態で説明した各部は、ハードウェア構成及びソフトウェア構成の組み合わせによって実現されてもよい。
上記のレーザ照射処理を実行するハードウェア資源としては、次に示す各種のプロセッサを用いることができる。プロセッサとしては、例えば、上述したように、ソフトウェア、すなわち、プログラムを実行することで、レーザ照射処理を実行するハードウェア資源として機能する汎用的なプロセッサであるCPUが挙げられる。また、プロセッサとしては、例えば、FPGA、PLD、又はASICなどの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路が挙げられる。何れのプロセッサにもメモリが内蔵又は接続されており、何れのプロセッサもメモリを使用することでレーザ照射処理を実行する。
レーザ照射処理を実行するハードウェア資源は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、又はCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、レーザ照射処理を実行するハードウェア資源は1つのプロセッサであってもよい。
1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが、上記実施形態で説明した各部の処理を実行するハードウェア資源として機能する形態がある。第2に、SoCなどに代表されるように、レーザ照射処理を実行する複数のハードウェア資源を含むシステム全体の機能を1つのICチップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、上記実施形態で説明した各部の処理は、ハードウェア資源として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて実現される。
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路を用いることができる。
また、上記のレーザ照射処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
[第2の実施形態]
次に、添付図面に従って本開示の技術に係る第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
先ず、以下の説明で使用される文言について説明する。
MEMSとは、“Micro Electro Mechanical Systems(微小電気機械システム)”の略称を指す。DMDとは、“Digital Micromirror Device(米国テキサス・インスツルメンツ (Texas Instruments)によって開発されたMEMSデバイス)”の略称を指す。LEDとは、“Light Emitting Diode”の略称を指す。
一例として図15Aに示すように、本第2の実施形態に係る光照射装置110は、後述する光源120から出射されたUV光(ここでは、一例としてレーザ光ではないUV光)を走査せずに紫外線硬化樹脂162Aに照射する装置である。なお、図15Aに示す例において、紫外線硬化樹脂162Aは、レンズ16と負レンズ(凹レンズ)162とを接合するために、レンズ16と負レンズ(凹レンズ)162との間に一定厚さで層状に介在している。
光照射装置110は、照射部118を備えている。照射部118は、光源120、照明光学系122、DMD124、及び投影光学系126を備えている。また、光照射装置110は、光検出装置128を備えている。DMD124は、本開示の技術に係る「反射方向変更素子」及び「MEMS」の一例である。
照射部118は、UV光を紫外線硬化樹脂162Aに照射する。具体的には、先ず、光源120から出射されたUV光が照明光学系122によってDMD124に導かれ、DMD124によってUV光が変調される。そして、光源120から出射されたUV光はDMD124を介して紫外線硬化樹脂162Aに照射される。DMD124によって変調されたUV光は、投影光学系126によって紫外線硬化樹脂162Aに投影される。
照明光学系122は、コリメートレンズ122Aを備えている。光源120は、コリメートレンズ122Aに対してUV光を出射し、コリメートレンズ122Aは、光源120からのUV光を平行光束とし、平行光束とされたUV光がDMD124に対して面状に照射される。本実施形態の光源120には、一例としてUV光を出射する紫外線LEDが用いられている。なお、光源120に水銀ランプ等のUV光を出射する他の種類の光源を用いることもできる。
DMD124は、光源120から出射されたUV光の反射の向きを変更可能な複数のマイクロミラー124Aを備えている。光源120から出射されたUV光は、複数のマイクロミラー124Aを介して紫外線硬化樹脂162Aに照射される。複数のマイクロミラー124Aは、集積回路上に、平面状に配列されている。また、複数のマイクロミラー124Aは、可動式であり、各マイクロミラー124Aは、平面視で矩形状に形成されている。複数のマイクロミラー124Aの枚数としては、例えば、数十万枚~数百万枚が挙げられる。
各マイクロミラー124Aには、UV光を反射する面である鏡面124A1がねじれ軸周りに第1の方向及び第2の方向へ傾動可能に設けられている。鏡面124A1の下部には電極が設けられており、各マイクロミラー124Aの鏡面124A1は、電極が駆動されることで傾斜状態が変化する。具体的には、鏡面124A1は、第1の方向に傾斜した状態(以下、「第1傾斜状態」とも称する)、及び第2の方向に傾斜した状態(以下、「第2傾斜状態」とも称する)に選択的に変位する。
なお、以下では、説明の便宜上、マイクロミラー124Aについて鏡面124A1を第1傾斜状態にすることを「オン」とも称し、マイクロミラー124Aについて鏡面124A1を第2傾斜状態にすることを「オフ」とも称する。また、以下では、説明の便宜上、鏡面124A1が第1傾斜状態に維持される時間を「オン時間」とも称し、鏡面124A1が第2傾斜状態に維持される時間を「オフ時間」とも称する。
投影光学系126及び光検出装置128は、マイクロミラー124Aから見た場合に、互いに異なる方向に配置されている。換言すると、光検出装置128は、マイクロミラー124Aから見た場合に、紫外線硬化樹脂162Aとは異なる方向に配置されている。鏡面124A1が第1傾斜状態の場合、鏡面124A1は、光源120からのUV光を投影光学系126側に反射し、鏡面124A1が第2傾斜状態の場合、鏡面124A1は、光源120からのUV光を光検出装置128側に反射する。
DMD124では、各マイクロミラー124Aがオンされたり、オフされたりする。具体的には、一例として図15Bに示すように、各マイクロミラー124Aに対してPWM方式の制御(以下、「パルス幅変調」とも称する)が行われることで、オン時間とオフ時間との比率が変更される。これにより、マイクロミラー124Aの各々によって、単位時間あたりのUV光の照射エネルギーが階調制御される。照射エネルギーの一例としては、光量(例えば、UV光の単位時間あたりの照度と照射時間との積)が挙げられる。
投影光学系126は、DMD124で反射されたUV光の光径を予め設定された倍率で拡大することで、紫外線硬化樹脂162Aの全領域に対して面状に照射する。
光検出装置128は、DMD124で反射されたUV光の光量を検出する。光検出装置128は、レンズを有する検出光学系140、及び受光したUV光の光量を検出するフォトディテクタ142を備えている。鏡面124A1が第2傾斜状態の場合、光源120から出射されたUV光は鏡面124A1で光検出装置128側に反射され、検出光学系140を介してフォトディテクタ142に入射する。フォトディテクタ142は、入射されたUV光の光量を検出する。なお、フォトディテクタ142は、本開示の技術に係る「光検出部」の一例である。
一例として図16に示すように、光照射装置110は、コンピュータ30、記憶装置32、UI系デバイス34、DMDドライバ136、光源ドライバ138、外部I/F40、外部I/F144、及びI/O42を備えている。
I/O42は、入出力ポート(図示省略)を備えており、入出力ポートを介して記憶装置32、UI系デバイス34、DMDドライバ136、光源ドライバ138、外部I/F40、及び外部I/F144がI/O42に接続されている。I/O42は、バスライン48に接続されており、CPU30Aは、I/O42を介して記憶装置32、UI系デバイス34、DMDドライバ136、光源ドライバ138、外部I/F40、及び外部I/F144と各種情報の授受を行う。
DMDドライバ136は、ASICを有するデバイスであり、DMD124に接続されている。DMDドライバ136は、CPU30Aからの指示に従って、DMD124の各マイクロミラー124A(詳しくは後述する)を駆動する。
光源ドライバ138は、CPU30Aからの指示に従って、光源120を駆動させることで光源120からUV光を出射させたり、UV光の出射を停止させたり、UV光の強度を変更したりする。具体的には、光源ドライバ138は、CPU30Aからの指示に従って、光源120に対してUV光を出射させるタイミング、UV光の出射を停止させるタイミング、及びUV光の強度の変更等を制御する。
紫外線硬化樹脂162Aに対するUV光の照射は、CPU30Aからの指示に従って光源ドライバ138によって光源120が制御され、かつ、CPU30Aからの指示に従ってDMD124の各マイクロミラー124Aの向きが変更されることで実現される。
外部I/F144は、FPGAを有する通信デバイスである。外部I/F144には、光検出装置128が接続される。外部I/F144は、CPU30Aと光検出装置128との間の各種情報の授受を司る。
一例として図17に示すように、記憶装置32には、照射エネルギー変更テーブル132Aが記憶されている。照射エネルギー変更テーブル132Aは、外部I/F40によって受け付けられ、外部I/F40によって受け付けられた照射エネルギー変更テーブル132AがCPU30Aによって記憶装置32に記憶される。
ROM30Bには、UV光照射プログラム130B1が記憶されている。CPU30Aは、ROM30BからUV光照射プログラム130B1を読み出し、読み出したUV光照射プログラム130B1をRAM30Cに展開する。CPU30Aは、RAM30Cに展開したUV光照射プログラム130B1を実行することで、制御部30A1及び同期信号供給部30A2として動作する。また、ROM30Bには、補正制御プログラム130B2が記憶されている。CPU30Aは、ROM30Bから補正制御プログラム130B2を読み出し、読み出した補正制御プログラム130B2をRAM30Cに展開する。CPU30Aは、RAM30Cに展開した補正制御プログラム130B2を実行することで、制御部30A1として動作する。なお、以下では、説明の便宜上、「UV光照射プログラム130B1」と「補正制御プログラム130B2」とを区別して説明する必要がない場合、符号を付さずに単に「プログラム」と称する。
同期信号供給部130A2は、基準クロック(図示省略)に基づいて同期信号を生成し、生成した同期信号を制御部30A1に供給する。これにより、制御部30A1は、同期信号供給部130A2から同期信号が供給されることで、供給された同期信号に従ってDMDドライバ136の動作と光源ドライバ138の動作とを同期させる。
制御部30A1は、DMDドライバ136に対してDMD制御信号を供給することでDMDドライバ136を制御し、光源ドライバ138に対してパルス信号を供給することで光源ドライバ138を制御する。DMDドライバ136に対するDMD制御信号の供給、及び光源ドライバ138に対するパルス信号の供給は同期している。DMDドライバ136に対するDMD制御信号の供給と及び光源ドライバ138に対するパルス信号の供給との同期は、制御部30A1に同期信号が供給されることによって実現される。
光源ドライバ138は、制御部30A1から供給された信号に従って、光源120を制御することで、光源120に対してUV光の出力をオンオフさせる。
DMD制御信号は、DMD124のマイクロミラー124Aの向きを変更するパルス信号であり、DMDドライバ136は、制御部30A1から供給されたDMD制御信号に従ってDMD124のマイクロミラー124Aの向きを変更する。光源20から出射されたUV光は、照明光学系122によってDMD124に導かれるとマイクロミラー124Aで反射され、DMD制御信号に従ってマイクロミラー124Aの向きが変更されることで紫外線硬化樹脂162A及び光検出装置128に対して選択的にUV光が照射される。すなわち、マイクロミラー124Aは、紫外線硬化樹脂162Aを硬化させる場合に紫外線硬化樹脂162Aに向けてUV光を反射し、光検出装置128がUV光の光量を検出する場合に光検出装置128に対してUV光を反射する。
光検出装置128は、複数のマイクロミラー124AがDMD制御信号に従って予め設定された順番で一個ずつ第2傾斜状態とされることによってマイクロミラー124Aで反射されたUV光の光量をマイクロミラー124A毎に検出する。
マイクロミラー124A毎に光検出装置128によって検出された光を示すデータ(以下、「検出データ」とも称する)は区分領域に関連付けて記憶装置32に記憶される。検出データは、一例として図16に示す外部I/F144を介して制御部30A1に出力される。
制御部30A1は、光源120及び/又はDMD124等の経時変化(以下、単に「経時変化」とも称する)に応じて、照射エネルギーを変更する。照射エネルギーの変更は、例えば、光源120からのUV光の出力レベルが変更されることによって実現される。UV光の出力レベルの変更は、例えば、光源120に対してバイアス電圧が印加される場合、バイアス電圧が変更されることによって実現される。なお、本開示の技術はこれに限定されず、照射エネルギーの変更は、UV光をDMD124で紫外線硬化樹脂162Aに向けて反射させる時間の変更、すなわち、オン時間の変更によっても実現可能である。
経時変化は、光検出装置128から出力された検出データから特定可能である。そのため、制御部30A1は、光検出装置128の検出結果、すなわち、検出データに応じて補正制御を行う。このように、光照射装置110では、DMD124の動作に対して、経時変化に応じたキャリブレーションが行われる。
DMD制御信号の周期、すなわち、DMD制御信号の1パルス毎の長さは、第1の実施形態と同様に、後述の区分領域の各々に対する紫外線硬化樹脂162Aから発生するラジカルの寿命未満である。また、DMDドライバ136の制御下で、DMD124の各マイクロミラー124Aが複数回オンオフすることによって、一例として図18に示す紫外線硬化樹脂162Aの全領域に対してUV光の照射が複数回繰り返される。UV光の照射エネルギーの変更は、後述の区分領域毎に、DMD制御信号が制御部30A1によってパルス幅変調されることで実現される。
具体的には、一例として図19A~図19Cに示すように、後述の区分領域毎にDMD制御信号のデューティ比が制御部30A1によって変更されることで、各区分領域に対するUV光の照射エネルギーが3段階以上の多段階で変更され、これにより、紫外線硬化樹脂162Aに向かうUV光の照射エネルギーは3段階以上の多段階で分布される。なお、図19A~図19Cに示す例では、DMD制御信号の1パルス毎の長さ、すなわち、DMD制御信号の周期は固定されている。
本第2の実施形態では、DMD制御信号の周期が固定されているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、DMD124に含まれる全てのマイクロミラー124Aについて、DMD制御信号の周期が可変であってもよい。また、DMD124に含まれる全てのマイクロミラー124Aのうちの一部のマイクロミラー124Aについて、DMD制御信号の周期が可変であってもよい。DMD124に含まれる全てのマイクロミラー124Aのうち、選択された少なくとも1枚のマイクロミラー124Aについて、DMD制御信号の周期が可変であってもよい。
一例として図18に示すように、光照射装置110では、第1の実施形態(図4参照)と同様に、レンズ16の片面16Aに対する平面視において、紫外線硬化樹脂162Aの全領域に対して矩形状平面50が制御部30A1によって設定されている。
矩形状平面50には、DMD124の各マイクロミラー124Aで反射されたUV光が投影光学系126を介して面状に照射される。なお、1つ分の区分領域は、矩形状のマイクロミラー124Aで反射されたUV光が照射される矩形状の領域である。
本第2の実施形態に係る紫外線硬化樹脂162Aも、第1の実施形態と同様に、平面視において、矩形状平面50の各区分領域によって区分けされており、矩形状平面50の各区分領域によって区分けされることで得られた複数の区分領域の各位置は、矩形状平面50の各区画領域と同様に、行番号及び列番号で特定される。
一例として光照射装置110は、図20に示すような照射エネルギー変更テーブル132Aを備えている。照射エネルギー変更テーブル132Aは、マイクロミラー124A毎に、位置特定情報と上述したパルス幅変調で用いられるデューティ比とが対応付けられたテーブルである。DMD124によって紫外線硬化樹脂162Aに照射されるUV光の照射エネルギーの分布は、紫外線硬化樹脂162Aの全領域に対してUV光が照射された場合に紫外線硬化樹脂162Aの全領域が均一の速度で硬化されるように、以下に説明する影響を考慮して、実機による試験及び/又はコンピュータシミュレーション等によって予め導出されている。
一例として図21の上段の模式図で示すように、紫外線硬化樹脂162Aにおける照度分布は、(1)~(4)に示す分布の重ね合わせによって決定される。(1)~(4)に示す分布の重ね合わせとは、例えば、(1)~(4)に示す分布の掛け合わせを指す。(1)に示す分布とは、照明光学系122のUV光で照射されたDMD124における照度分布を指す。(2)に示す分布とは、DMD124の階調分布(以下、「DMD階調分布」とも称する)を指す。ここで、階調分布とは、例えば、DMD124の反射率分布を指す。(3)に示す分布とは、投影光学系126によりレンズ16に照射されるUV光の照度分布を指す。(4)に示す分布とは、接合レンズ160に含まれるレンズ16及び負レンズ162におけるUV光の屈折、反射、散乱、及び/又は吸収等の影響による照度分布を指す。
ここで、図21の上段の(1)に示すグラフ(以下、「上段(1)グラフ」とも称する)及び図21の下段の(1)に示すグラグ(以下、「下段(1)グラフ」とも称する)において、横軸はDMD124の中心からの距離を表しており、縦軸はDMD124の照度(mW/cm2)を表している。また、図21の上段の(2)に示すグラフ(以下、「上段(2)グラフ」とも称する)及び図21の下段の(2)に示すグラフ(以下、「下段(2)グラフ」とも称する)において、横軸はDMD124の中心からの距離を表しており、縦軸はDMD124の反射率(%)を表している。また、図21の上段の(3)に示すグラフ(以下、「上段(3)グラフ」とも称する)及び図21の下段の(3)に示すグラフ(以下、「下段(3)グラフ」とも称する)において、横軸は投影光学系126の中心からの距離を表しており、縦軸は投影光学系126の伝達関数(%)を表している。なお、ここでいう「伝達関数」とは、投影光学系126を通過したUV光に対して作用する光の成分(例えば、強度(パワー)及び/又は輝度等のこと)の度合いを表している。
また、図21の上段の(4)に示すグラフ(以下、「上段(4)グラフ」とも称する)及び図21の下段の(4)に示すグラフ(以下、「下段(4)グラフ」とも称する)において、横軸はレンズ16の中心からの距離を表しており、縦軸はレンズ16及び負レンズ162の伝達関数(%)を表している。更に、図21の上段の(5)に示すグラフ(以下、「上段(5)グラフ」とも称する)及び図21の下段の(5)に示すグラフ(以下、「下段(5)グラフ」とも称する)において、横軸は紫外線硬化樹脂162Aの中心からの距離を表しており、縦軸は紫外線硬化樹脂162Aに対する照度(mW/cm2)を表している。なお、上段(5)グラフ及び下段(5)グラフにより示される照度分布は、紫外線硬化樹脂162Aに対するUV光の照射エネルギーの分布に相当する。
なお、下段(5)グラフにより示される照度分布は、本開示の技術に係る「光硬化樹脂の特性に応じた照射エネルギーの分布」の一例である。また、上段(3)グラフ及び下段(3)グラフにより示される伝達関数は、本開示の技術に係る「投影光学系の特性に応じた照射エネルギーの分布」の一例である。また、上段(4)グラフ及び下段(4)グラフにより示される伝達関数は、「前記光学素子の光学的特性に応じた前記照射エネルギーの分布」の一例である。
光照射装置110では、光源120から出射されてDMD124に照射されるUV光の照度分布には、DMD124内で照度のムラがある。このムラは、一例として、光源120から出射されるUV光のビームプロファイル、及び/又は投影光学系126の特性等に起因して生じる。なお、DMD124に入射するUV光の照度分布は、光検出装置(図21では図示せず)により検出可能である。DMD124内で照度のムラは、一例として上段(1)グラフに示すように、DMD124の中心からDMD124の周辺に向けてUV光の照度が低下するムラである。
DMD124において、各マイクロミラー124Aの鏡面124A1に劣化が生じていない新品時においては、例えば、各マイクロミラー124Aの反射率(例えば、鏡面124A1の反射率)は同等であり、一例として上段(2)グラフに示す例では、反射率の分布にムラはない。
一例として上段(3)グラフに示すように、投影光学系126には、伝達関数にムラがある。投影光学系126の伝達関数は、DMD124の反射率分布を均一に設定したときの投影光学系126から出射されるUV光の投影箇所における照度分布が測定され、測定された照度分布が照明光学系122の照度分布で除されることで得られる。
また、上段(4)グラフには、レンズ16及び負レンズ162による影響(例えば、屈折、反射、散乱、及び/又は吸収等)が示されており、伝達関数(%)にムラがある。なお、レンズ16及び負レンズ162による影響は、実機による試験及び/又はコンピュータによる光線追跡シミュレーションにより求められる。
DMD124に含まれる全てのマイクロミラー124Aに対するパルス幅変調で用いられるDMD制御信号のパルス幅を同一にする場合、紫外線硬化樹脂162Aに照射されるUV光は、上段(1)グラフ~上段(4)グラフに示す各特性を重ね合わせた影響を受け、一例として上段(5)グラフに示されるように、紫外線硬化樹脂162Aにおいては、照度分布にムラが生じるため、厚みが一定とされた紫外線硬化樹脂162A全体を均一の速度で硬化させることができなくなる。言い換えれば、光量の多い領域は、光量の少ない領域に比較して硬化速度が速くなる。
このため、光照射装置110では、制御部30A1が、均一な厚さとされた紫外線硬化樹脂162Aに対するUV光の照射エネルギーの分布を均一にするように、DMD124の各マイクロミラー124Aのパルス幅変調で用いられるデューティ比を区分領域毎に設定する。
区分領域毎に設定されるデューティ比は、一例として下段(2)グラフに示すDMD124の階調分布に従って制御部30A1によって決定される。一例として下段(2)グラフに示すDMD124の階調分布は、制御部30A1によって設定される。一例として下段(2)グラフに示すDMD124の階調分布は、一例として上段(5)グラフにより示される照度分布の逆数が示す分布の傾向と同一の分布の傾向を有する階調分布である。
これにより、一例として図21の下段で示すように、下段(1)グラフにより示される照度分布と、下段(2)グラフにより示されるDMD階調分布と、下段(3)グラフにより示される照度分布と、下段(4)グラフにより示される照度分布の重ね合わせが行われることで、下段(5)グラフで示すように、紫外線硬化樹脂162Aにおける照度分布を均一にすることができる。よって、紫外線硬化樹脂162Aを均一の速度で硬化させることができ、紫外線硬化樹脂162Aの硬化速度に起因して紫外線硬化樹脂162Aで生じる歪みを低減することができる。
光照射装置110は、制御部30A1の制御下で、区分領域毎に紫外線硬化樹脂162Aに対してUV光を重ねて照射することで紫外線硬化樹脂162Aからラジカルを発生させる。そして、紫外線硬化樹脂162Aは、発生したラジカルの重合反応により硬化する。
ところで、マイクロミラー124Aに対して行われるパルス幅変調によって実現されるDMD124の階調表現は、細かいほど照度分布を均一にすることができるが、階調数が増えると、DMD制御信号の周期を規定するフレームレートが低くなる。フレームレートが低くなるほど、DMD制御信号の周期は長くなる。紫外線硬化樹脂162Aのラジカル寿命よりも、DMD制御信号の周期、すなわち、UV光の照射時間が長くなると、紫外線硬化樹脂162Aの硬化速度が不均一となる。硬化速度が不均一になると、紫外線硬化樹脂162A全体が完全に硬化する前に紫外線硬化樹脂162Aの硬さにムラが生じ、その結果、紫外線硬化樹脂162Aに歪みが生じる。
そこで、上記第1実施形態と同様の理由で、制御部30A1は、DMD制御信号の1フレーム長さ(例えば、図19A~図19Cに示す1フレーム長さA)を紫外線硬化樹脂162Aのラジカル寿命未満、すなわち、紫外線硬化樹脂162Aに対するUV光の照射の1回当たりの照射時間はラジカル寿命未満に設定している。なお、ここで、ラジカル寿命未満とは、ラジカルの寿命に達する前、ラジカルの重合反応が停止する前、又は、ラジカルの成長中を意味する。
次に、光照射装置110の作用について図22を参照しながら説明する。図22には、UV光照射処理の実行を開始する指示が受付デバイス34Bによって受け付けられた場合にUV光照射プログラム130B1に従ってCPU30Aによって実行されるUV光照射処理の流れの一例が示されている。
図22に示すUV光照射処理では、先ず、ステップST100で、制御部30A1が、記憶装置32から照射エネルギー変更テーブル132Aを読み出し、その後、UV光照射処理はステップST101へ移行する。
本ステップST101で、制御部30A1は、各マイクロミラー124Aに対するパルス幅変調を伴うUV光の照射を開始する。本ステップST101において、制御部30A1は、光源120からUV光を出射させ、光源120から出射されたUV光を投影光学系126へ向けて反射させるようにDMD124の各マイクロミラー124Aを駆動させる。ここで、制御部30A1は、ステップST100で取得した照射エネルギー変更テーブル132Aに従って、各マイクロミラー124Aに対してパルス幅変調を行う。すなわち、制御部30A1は、照射エネルギー変更テーブル132Aから区分領域毎に特定されるデューティ比のDMD制御信号をDMDドライバ136に供給することで、各マイクロミラー124A毎のオン時間とオフ時間との比率を変更する。これにより、3階調以上の多階調のUV光が投影光学系126を介して紫外線硬化樹脂162Aに照射される。
次のステップST102で、制御部30A1は、紫外線硬化樹脂162Aに対するUV光の照射回数が既定回数に達したか否かを判定する。ステップST102において、UV光の照射回数が既定回数に達していない場合は、判定が否定されて、UV光照射処理はステップST101へ移行する。ステップST102において、UV光の照射回数が既定回数に達した場合は、判定が肯定されて、UV光照射処理はステップST103へ移行する。
ステップST103で、制御部30A1は、光照射装置110によるUV光の照射を停止し、その後、UV光照射処理が終了する。
ところで、光照射装置110では、経時変化が起こり得る。ここで、経時変化の一例としては、光源120の経時的な劣化、及びDMD124の経時的な劣化が挙げられる。光源120の経時的な劣化は、光源120から出射されるUV光の光量の低下を齎し、DMD124の経時的な劣化は、マイクロミラー124Aの反射率の低下を齎す。マイクロミラー124Aの反射率の低下量は、マイクロミラー124A毎に異なる場合がある。光源120から出射されるUV光の光量の低下、及びマイクロミラー124Aの反射率の低下のうちの少なくとも一方が生じると、紫外線硬化樹脂162Aが受けるUV光の光量が減少するので、紫外線硬化樹脂162Aの硬化に影響を及ぼす。
そのため、光照射装置110では、例えば、光源120を使用開始してから累積した照射時間である累積照射時間、及び/又は光照射装置110の使用時間等に応じて、光源120の経時的な劣化、又は、DMD124の経時的な劣化に起因する経時劣化分の光量を補うよう補正制御が行われる。言い換えれば、投影光学系126に入射するUV光の光量が、光源120及びDMD124が経時劣化する前と同一の光量となるように補正制御が行われる。ここでは、経時劣化する前と同一の光量が例示されているが、本開示の技術における補正制御はこれに限らず、同一の光量と見なせる既定範囲内の光量とする制御であってもよい。既定範囲とは、例えば、実機による試験及び/又はコンピュータシミュレーション等によって経時劣化分の光量を補う光量の範囲として予め導き出された範囲を指す。
光照射装置10では、CPU30Aによって、補正制御が行われる。図23には、補正制御の流れの一例が示されている。なお、補正制御は、補正制御プログラム130B2に従ってCPU30Aによって行われる。
図23に示すステップST200で、制御部30A1は、UV光の累積照射時間が既定時間(例えば、数十時間)に到達したか否かを判定する。累積照射時間が既定時間に到達していない場合は、判定が否定されて、ステップST200の判定が再び行われる。ステップST200において、累積照射時間が既定時間に到達した場合は、判定が肯定されて、補正制御はステップST201へ移行する。
なお、本ステップST200では、「累積照射時間」を挙げているが、これはあくまでも一例に過ぎず、ユーザが好みのタイミングでステップST201以降の処理が行われるようにしてもよい。
ステップST201で、制御部30A1は、光源120からUV光を出射し、複数のマイクロミラー124Aを予め設定された順番で一個ずつオフとし、マイクロミラー124Aで反射されたUV光の光量をマイクロミラー124A毎に光検出装置128に対して検出させ、マイクロミラー124A毎の検出データを記憶装置32に対して記憶させる。
次のステップST202で、制御部30A1は、検出データにより示される光量と記憶装置32に予め記憶されている基準の光量とが異なっているか否かを判定する。ステップST202において、検出データにより示される光量と記憶装置32に予め記憶されている基準の光量とが異なっている場合は、判定が肯定されて、補正制御はステップST204へ移行する。ステップST202において、検出データにより示される光量と記憶装置32に予め記憶されている基準の光量とが一致している場合は、判定が否定されて、補正制御はステップST203へ移行する。
ステップST203で、制御部30A1は、記憶装置32に予め記憶されている基準の光量と検出データにより示される光量との相違度(例えば、差分及び/又は比率等)を演算し、演算して得た相違度を記憶装置32に対して記憶させる。そして、制御部30A1は、記憶装置32に記憶されている相違度に従って、UV光の光量が基準の光量となるようにマイクロミラー124Aのオン時間とオフ時間との比率を変更し、その後、補正制御はステップST204へ移行する。なお、全てのマイクロミラー124Aの反射率が低下するような場合には、光源120の光量を上げる補正制御をおこなってもよい。また、マイクロミラー124Aのオン時間が100%となっても基準の光量に届かない場合は、光源120の光量を上げる補正制御を行う。さらに、一例として、10画素(10個のマイクロミラー124A)等の複数の画素を一まとめとして同様の検出から補正制御までを行ってもよい。これにより、画素を1個ずつ補正制御する場合に比較して、補正制御を速く行うことが可能となる。
ステップST204で、制御部30A1は、補正制御を終了する条件(以下、「補正制御終了条件」と称する)を満足したか否かを判定する。ここで、補正制御終了条件の一例としては、UV光照射処理が終了した、との条件が挙げられる。また、補正制御終了条件の他の例としては、受付デバイス34BによってUV光照射処理又は補正制御を終了する指示が受け付けられた、との条件が挙げられる。
ステップST204において、補正制御終了条件を満足していない場合は、判定が否定されて、補正制御はステップST200へ移行する。ステップST204において、補正制御終了条件を満足した場合は、判定が肯定されて、補正制御が終了する。
以上説明したように、光照射装置110では、照射部118により、光源120から出射されたUV光がDMD124を介して紫外線硬化樹脂162Aに照射される。そして、制御部30A1によって、DMD124が制御されることで、紫外線硬化樹脂162Aに向かうUV光の照射エネルギーが3段階以上の多段階で分布する。従って、本構成によれば、紫外線硬化樹脂162Aの硬化特性が考慮されずに紫外線硬化樹脂162AにUV光が照射される場合に比べ、紫外線硬化樹脂162Aの硬化速度に起因して紫外線硬化樹脂162Aで生じる歪みを低減することができる。なお、ここでは、MEMSの一例としてDMD124を挙げているが、これに限らず、MEMSとして、DMD124に相当する機能を有するデバイスであってもよく、この場合も、同様の効果が得られる。
また、光照射装置110では、制御部30A1によって、紫外線硬化樹脂162Aに照射されるUV光の照射エネルギーが上段(5)グラフにより示される照度分布に応じた照射エネルギーの分布となるようにUV光の照射エネルギーを3段階以上の多段階で分布させる制御が行われる。従って、本構成によれば、紫外線硬化樹脂162Aに照射されるUV光の照射エネルギーが上段(1)グラフ、上段(2)グラフ、上段(3)グラフ、又は上段(4)グラフのみに応じた照射エネルギーの分布である場合に比べ、紫外線硬化樹脂162Aの硬化速度に起因して紫外線硬化樹脂162Aで生じる歪みを低減することができる。
また、光照射装置110では、制御部30A1によって、紫外線硬化樹脂162Aに照射されるUV光の照射エネルギーが上段(3)グラフにより示される伝達関数に応じた照射エネルギーの分布となるようにUV光の照射エネルギーを3段階以上の多段階で分布させる制御が行われる。従って、本構成によれば、紫外線硬化樹脂162Aに照射されるUV光の照射エネルギーが投影光学系126の伝達関数が考慮されない照射エネルギーである場合に比べ、紫外線硬化樹脂162Aの硬化速度に起因して紫外線硬化樹脂162Aで生じる歪みを低減することができる。
また、光照射装置110では、制御部30A1によって、紫外線硬化樹脂162Aに照射されるUV光の照射エネルギーが上段(4)グラフにより示される伝達関数に応じた照射エネルギーの分布となるようにUV光の照射エネルギーを3段階以上の多段階で分布させる制御が行われる。従って、本構成によれば、紫外線硬化樹脂162Aに照射されるUV光の照射エネルギーがレンズ16及び負レンズ162の伝達関数が考慮されない照射エネルギーである場合に比べ、紫外線硬化樹脂162Aの硬化速度に起因して紫外線硬化樹脂162Aで生じる歪みを低減することができる。
また、光照射装置110では、紫外線硬化樹脂162Aが均一の厚みであり、制御部30A1によって、紫外線硬化樹脂162Aに対して照射されるUV光の照射エネルギーの分布を均一にするようにパルス幅変調が行われる。従って、本構成によれば、均一な厚さとされた紫外線硬化樹脂162Aに対して照射されるUV光の照射エネルギーの分布が不均一である場合に比べ、均一な厚さとされた紫外線硬化樹脂162Aを均一の速度で硬化させることができる。
また、光照射装置110では、複数のマイクロミラー124Aが平面状に配置されている。従って、本構成によれば、マイクロミラー124Aが平面状に配置されていない場合に比べ、紫外線硬化樹脂162Aの硬化速度に起因して紫外線硬化樹脂162Aで生じる歪みを低減することができる。
また、光照射装置110では、制御部30A1によって補正制御が行われることによって、経時変化に応じてマイクロミラー124Aのオン時間とオフ時間との比率が変更され、経時変化に応じて照射エネルギーが変更される。従って、本構成によれば、経時変化に応じて照射エネルギーが変更されない場合に比べ、経時変化に伴って紫外線硬化樹脂162Aが硬化されないという事態の発生を抑制することができる。
また、光照射装置110では、DMD124で反射されたUV光の光量が光検出装置128によって検出され、制御部30A1によって、光検出装置128の検出結果に応じて補正制御が行われる。従って、本構成によれば、光検出装置128の検出結果に関わらずUV光の照射エネルギーが変更される場合に比べ、紫外線硬化樹脂162Aに照射されるUV光の光量のうちの経時変化に伴って不足する光量を高精度に補うことができる。
また、光照射装置110では、鏡面124A1が第2傾斜状態の場合に、光源120からのUV光が鏡面124A1で光検出装置128側に反射される。従って、本構成によれば、光照射装置110から光源120及びDMD124を取り外して光源120及びDMD124の経時変化を検査せずに、紫外線硬化樹脂162Aに照射されるUV光の光量のうちの経時変化に伴って不足する光量を特定することができる。
また、光照射装置110では、フォトディテクタ142によってUV光の光量が検出される。従って、本構成によれば、フォトディテクタ142によって検出された光量に従って、紫外線硬化樹脂162Aに照射されるUV光の光量のうちの経時変化に伴って不足する光量を特定することができる。
また、光照射装置110では、紫外線硬化樹脂162Aに対するUV光の1回当たりの照射時間はラジカル寿命未満に設定されている。従って、本構成によれば、紫外線硬化樹脂162Aに対するUV光の1回当たりの照射時間がラジカル寿命以上の場合に比べ、前回のUV光の照射によって紫外線硬化樹脂162Aから発生したラジカルが今回のUV光の照射によって紫外線硬化樹脂162Aから発生したラジカルの影響を受け難くすることができる。この結果、紫外線硬化樹脂162Aに対するUV光の1回当たりの照射時間がラジカル寿命以上の場合に比べ、紫外線硬化樹脂162Aの区分領域間の硬化の度合いの連続性が上がる。つまり、紫外線硬化樹脂162Aに対するUV光の1回当たりの照射時間がラジカル寿命以上の場合に比べ、紫外線硬化樹脂12の効果速度に起因して紫外線硬化樹脂12で生じる歪みを低減することができる。
また、光照射装置110では、区分領域毎に、光源120からUV光がDMD124を介して紫外線硬化樹脂162Aに照射されることで紫外線硬化樹脂162Aからラジカルを発生させ、ラジカルの重合反応が停止する前に、紫外線硬化樹脂162Aに対してUV光が重ねて照射される。ここで、ラジカルの重合反応が停止する前とは、換言すると、ラジカルの成長中、又は、ラジカルの寿命に達する前を意味する。従って、本構成によれば、ラジカルの重合反応が停止した後に紫外線硬化樹脂162Aに対してUV光が照射される場合に比べ、紫外線硬化樹脂162Aの区分領域間の硬化の度合いの連続性を上げることができる。この結果、ラジカルの重合反応が停止した後に紫外線硬化樹脂162Aに対してUV光が照射される場合に比べ、紫外線硬化樹脂162Aの硬化速度に起因して紫外線硬化樹脂162Aで生じる歪みを低減することができる。
また、光照射装置110では、照射部118によって、紫外線硬化樹脂162Aの全領域に対してUV光を面状に照射される。従って、本構成によれば、ライン走査方式で紫外線硬化樹脂162Aの全領域に対してUV光が照射される場合に比べ、紫外線硬化樹脂162Aの全領域に対するUV光の照射に要する時間を短くすることができる。
なお、上記第2の実施形態では、紫外線硬化樹脂162Aに対して照射されるUV光の照射エネルギーの分布を示す分布情報の一例として照射エネルギー変更テーブル132Aが記憶装置32に記憶されている形態例を挙げて説明したが、本開示の技術にはこれに限定されない。例えば、照射エネルギー変更テーブル132Aは、外部I/F40によって受け付けられるようにしてもよい。すなわち、USBメモリ、パーソナル・コンピュータ、及び/又はサーバ等の外部装置から外部I/F40を介して照射エネルギー変更テーブル132Aが光照射装置110に提供されるようにしてもよい。なお、外部I/F40は、本開示の技術に係る「受付部」の一例である。
外部I/F40によって受け付けられた照射エネルギー変更テーブル132Aは、記憶装置32に上書き保存される。そして、制御部30A1は、上記第2実施形態で説明したように、記憶装置32に記憶されている照射エネルギー変更テーブル132Aに従って、区分領域毎にUV光の照射エネルギーを変更する。従って、本構成によれば、照射エネルギー変更テーブル132Aが不変の場合に比べ、紫外線硬化樹脂162A毎に適した照射エネルギーの分布でUV光を紫外線硬化樹脂162Aに対して照射することができる。
また、上記第2の実施形態では、光照射装置110では、接合レンズ160に含まれるレンズ16及び負レンズ162の光学的特性に応じた照射エネルギー(上段(4)グラフにより示される伝達関数に応じた照射エネルギー)の分布となるようにUV光の照射エネルギーを3段階以上の多段階で分布させる制御を例示したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、レンズ16及び負レンズ162の光学的特性及び治具163の光学的特性に応じた照射エネルギーの分布となるようにUV光の照射エネルギーを3段階以上の多段階で分布させる制御が制御部30A1によって行われるようにしてもよい。従って、本構成によれば、レンズ16及び負レンズ162の光学的特性及び治具163の光学的特性が考慮されない照射エネルギーが適用される場合に比べ、紫外線硬化樹脂162Aの硬化速度に起因して紫外線硬化樹脂162Aで生じる歪みを低減することができる。
なお、上記第2の実施形態では、接合レンズ160を例示しているので、接合レンズ160に含まれるレンズ16及び負レンズ162の光学的特性に応じた照射エネルギーの分布が採用されているが、接合レンズ160ではなく、単一のレンズである場合は、単一のレンズの光学的特性に応じた照射エネルギーの分布が採用されるようにすればよい。
また、上記第2の実施形態では、ROM30Bにプログラムが記憶されている形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、図24に示すように、プログラムを記憶媒体600に記憶させておいてもよい。この場合、記憶媒体600に記憶されているプログラムは、コンピュータ30にインストールされ、CPU30Aは、プログラムに従って、上述したUV光照射処理及び補正制御を実行する。なお、記憶媒体600の一例としては、CD-ROM、DVD-ROM、SSD又はUSBメモリなどの任意の可搬型の記憶媒体が挙げられる。
また、通信網(図示省略)を介してコンピュータ30に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の記憶部にプログラムを記憶させておき、上述の光照射装置110の要求に応じてプログラムがコンピュータ30にダウンロードされるようにしてもよい。この場合、ダウンロードされたプログラムはコンピュータ30にインストールされ、コンピュータ30のCPU30Aによって実行される。
また、上記第2の実施形態で示す例では、CPU30Aは、単数のCPUであるが、本開示の技術はこれに限定されず、複数のCPUを採用してもよい。
上記のUV光照射処理及び/又は補正制御を実行するハードウェア資源としては、次に示す各種のプロセッサを用いることができる。プロセッサとしては、例えば、上述したように、ソフトウェア、すなわち、プログラムを実行することで、UV光照射処理及び/又は補正制御を実行するハードウェア資源として機能する汎用的なプロセッサであるCPUが挙げられる。また、プロセッサとしては、例えば、FPGA、PLD、又はASICなどの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路が挙げられる。何れのプロセッサにもメモリが内蔵又は接続されており、何れのプロセッサもメモリを使用することでレーザ照射処理を実行する。
UV光照射処理及び/又は補正制御を実行するハードウェア資源は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、又はCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、UV光照射処理及び/又は補正制御を実行するハードウェア資源は1つのプロセッサであってもよい。
1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが、上記第2の実施形態で説明した各部の処理を実行するハードウェア資源として機能する形態がある。第2に、SoCなどに代表されるように、UV光照射処理及び/又は補正制御を実行する複数のハードウェア資源を含むシステム全体の機能を1つのICチップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、上記第2の実施形態で説明した各部の処理は、ハードウェア資源として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて実現される。
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路を用いることができる。
また、上記のUV光照射処理及び/又は補正制御はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
また、上記第2の本実施形態において、光照射装置110には光検出装置128が含まれていたが、光検出装置128は必要に応じて設けられればよく、光照射装置110に光検出装置128が設けられていなくてもよい。また、照射部118を収容した第1の筐体と、光検出装置128を収容した第2の筐体とを設け、光検出装置128を照射部118に対して別体にしてもよい。上記第2の実施形態では、補正制御を行う例を説明したが、必要がなければ補正制御は行わなくてもよい(補正制御のプログラム自体が無くてもよい)。例えば、劣化した光源120及び/又はDMD124を新品に交換すれば、補正制御を行う必要はなくなる。
[第3の実施形態]
次に、添付図面に従って本開示の技術に係る第3の実施形態について説明する。なお、本第3の実施形態は第2の実施形態の変形例であり、第2の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
一例として図25に示すように、本第3の実施形態に係る光照射装置300は、反射ミラー302及び偏心測定機304を備えている。投影光学系126から出射されたUV光は反射ミラー302で反射され、偏心測定機304に入射される。偏心測定機304は、投影光学系126の光軸と交差(例えば、直交)する方向に光軸を有する。光照射装置300では、投影光学系126から出射されたUV光が反射ミラー302で斜め下方に反射する。反射ミラー302で反射したUV光は接合レンズ160の光軸に対して斜め方向から紫外線硬化樹脂162Aに照射される。
図25の正面視態様において、治具163で支持される接合レンズ160の下方には、接合レンズ160と同軸的にレンズ306、及び光源308が配置されている。一方、図25の正面視態様において、接合レンズ160の上方には、接合レンズ160と同軸的に対物レンズ310、及びCCD等の撮像素子312が配置されている。なお、治具163には、光源308から出射された光が通過する開口163Bが形成されている。
偏心測定機304は、光源308、レンズ306、対物レンズ310、及び撮像素子312、及び表示装置314等を含んで構成されている。接合レンズ160には、光源308から出射された光がレンズ306を介して接合レンズ160を透過し、対物レンズ310を介して撮像素子312に結像され、点像が撮像素子312によって撮像される。なお、光源308から照射される光は、光硬化樹脂に感度が無い波長の光である。表示装置314には、撮像素子312によって撮像されることで得られた点像を示す画像が表示される。
レンズ16と負レンズ162とを紫外線硬化樹脂162Aで接着して接合レンズ160を製造する場合、レンズ16の光軸と負レンズ162の光軸とを、許容される光学的特性の誤差を含む予め設定された範囲内に合わせる必要がある。
このため、本第3の実施形態では、作業員等は、紫外線硬化樹脂162Aの硬化終了前に、レンズ16と負レンズ162との何れか一方を光軸と交差する方向に相対移動させて、レンズ16の光軸と負レンズ162の光軸とを予め設定された範囲内に合わせる作業を行う。本第3の実施形態では、表示装置314に表示された画像が画面の既定範囲内に収まるように、作業員等は、表示装置314に表示された画像の位置を見ながらレンズ16及び/又は負レンズ162等を移動させる。なお、画面の既定範囲とは、画面の全範囲のうち、上述した「予め設定された範囲」に対応する一部範囲を指す。
「硬化終了前」は、レンズ16と負レンズ162とを光軸と交差する方向に相対移動可能な期間である。ここで、「硬化終了前」とは、紫外線硬化樹脂162Aが完全に硬化する前を指す。言い換えれば、「硬化終了前」とは、紫外線硬化樹脂162Aの硬化途中を指す。さらに言い換えれば、「硬化終了前」とは、レンズ16と負レンズ162との接着完了前を指す。
これにより、レンズ16の光軸と負レンズ162の光軸とが予め設定された範囲内に合わせられ、点像が予め設定された範囲内に入った接合レンズ160を得ることができる。なお、レンズ16及び/又は負レンズ162等の移動は、作業員等が手作業で行ってもよく、アクチュエータ等を用いて行ってもよい。
[その他の実施形態]
上記第2の実施形態及び第3の実施形態に係る各光照射装置では、厚みが均一とされた紫外線硬化樹脂162Aを均一の速度で硬化させる例を説明したが、一例として図26に示すように、厚みが一定でない、言い換えれば、厚みが不均一の紫外線硬化樹脂162A、すなわち、部分的に厚みが異なる紫外線硬化樹脂162Aを均一の速度で硬化させることもできる。例えば、球面レンズであるレンズ16に対して厚みが一定でない紫外線硬化樹脂12を硬化させて一体化することで、非球面レンズを製造することができる。なお、紫外線硬化樹脂12の厚みが厚い部位に対しては、厚みが薄い部位に比較してUV光の光量を増加させることで、厚みが不均一の紫外線硬化樹脂12であっても、均一の速度で硬化させることができる。紫外線硬化樹脂12の厚みは、本開示の技術に係る「光硬化樹脂の特性」の一例である。また、このような紫外線硬化樹脂12の厚みに応じたUV光の照度分布は、本開示の技術に係る「光硬化樹脂の特性に応じた照射エネルギーの分布」の一例である。
なお、第1の実施形態に係る光照射装置10においても、光源20の特性の影響、光学系22の特性の影響、並びに、レンズ16におけるUV光の屈折、反射、散乱、及び/又は吸収等の影響を受けたUV光により、紫外線硬化樹脂12の硬化速度が不均一とならないように、かつ、これらの影響を相殺するように、第2の実施形態と同様に、紫外線硬化樹脂12に向けて照射されるUV光の照射エネルギーが制御部30A1によって3段階以上の多段階に変更されるようにしてもよい。
また、一例として、図11に示すように、光照射装置200から出射されるUV光を検出する光検出装置128を設けてもよい。この場合、例えば、支持部材14の側方に光検出装置128が設置され、光照射装置200を水平方向に移動するアクチュエータ316が設置される。
紫外線硬化樹脂12にUV光を照射する場合には、光照射装置200を支持部材14の上方に移動し、液晶パネル70の画素70Aを透過したUV光を光検出装置128で検出する場合には、光照射装置200を光検出装置128の上方に移動する。
光検出装置128は、複数の画素70Aが液晶パネル制御信号に従って予め設定された順番で一個ずつ透過状態とされることによって、言い換えれば画素70Aの液晶シャッターが開状態とされることによって画素70Aを透過したUV光の光量を画素70A毎に検出する。画素70A毎に光検出装置128によって得られた検出データは区分領域に関連付けて記憶装置32に記憶される。
検出データは、光検出装置128によって外部I/F144を介して制御部30A1に出力される(図16参照)。
制御部30A1は、光源120及び/又は液晶パネル70等の経時変化(以下、単に「経時変化」とも称する)に応じて、照射エネルギーを変更する。照射エネルギーの変更は、例えば、光源120からのUV光の出力レベルが変更されることによって実現され、また、UV光を画素70Aで紫外線硬化樹脂162Aに向けて透過させる時間の変更、すなわち、画素70Aの液晶シャッターの開時間の変更によっても実現可能である。
経時変化は、光検出装置128から出力された検出データから特定可能である。そのため、制御部30A1は、光検出装置128の検出結果、すなわち、検出データに応じて補正制御を行う。このように、光照射装置200では、液晶パネル70の動作に対して、液晶パネル70の経時変化に応じたキャリブレーションが行われる。
上記第2の実施形態及び第3の実施形態では、UV光を変調する光変調素子としてDMD等のMEMSを用いたが、DMDに代えて、複数の光透過率変更領域を有する反射型の液晶パネル等の、他の種類の光変調素子を用いることもよい。ここで、液晶パネルは、本開示の技術に係る「透過率変更素子」の一例である。このように、DMDに代えて、複数の光透過率変更領域を有する反射型の液晶パネル等の他の種類の光変調素子を用いた場合であっても、上記第2の実施形態及び第3の実施形態で説明した効果と同一の効果が得られる。
上記各実施形態では、レンズ16に付与された紫外線硬化樹脂をUV光の照射により硬化させたが、紫外線硬化樹脂は、レンズ16等の光学素子以外の対象物に付与されているものであってもよく、単体であってもよい。
上記各実施形態では、紫外線硬化樹脂にUV光を照射して硬化させる例を示したが、光硬化樹脂に可視光を照射して硬化させる場合に対しても本開示の技術は適用できる。
本開示の光照射装置は、光硬化樹脂に光を照射して3次元のオブジェクトを製造する光造形法を用いた3Dプリンタであってもよい。これにより、光硬化樹脂が硬化する際の歪みが抑制された高精度のオブジェクトを製造することができる。
以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容及び図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
本明細書において、「A及び/又はB」は、「A及びBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「A及び/又はB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、A及びBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「及び/又は」で結び付けて表現する場合も、「A及び/又はB」と同様の考え方が適用される。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
上記の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
光硬化樹脂に対して光を照射する照射部と、
光の強度を変更する変更部と、を含む光照射装置であって、
照射部は、光硬化樹脂の全領域に対して光を照射することで光硬化樹脂からラジカルを発生させ、ラジカルの重合反応が停止する前に、全領域の外側から全領域に対して光を重ねて照射し、
変更部は、光硬化樹脂が区分されることで得られた複数の区分領域の各々に対して照射部によって照射される光の強度を区分領域毎に変更する
光照射装置。
(付記2)
光硬化樹脂に対して光を照射する照射部と、
光の強度を変更する変更部と、を含む光照射装置であって、
照射部は、光硬化樹脂の全領域に対して光を照射することで光硬化樹脂からラジカルを発生させ、ラジカルの成長中に、全領域の外側から全領域に対して光を重ねて照射し、
変更部は、光硬化樹脂が区分されることで得られた複数の区分領域の各々に対して照射部によって照射される光の強度を区分領域毎に変更する
光照射装置。
(付記3)
全領域を取り囲む領域に対して光が走査されることで、全領域に対してもレーザが走査される付記1又は付記2に記載の光照射装置。
(付記4)
全領域を取り囲む領域は、矩形状平面であり、矩形状平面の始点から終点にかけて光が走査されることで、全領域に対してもレーザが走査される付記3に記載の光照射装置。