<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る挟圧安全機構1が適用された歩行型作業車両2の外観構成例を示す図である。図2は、歩行型作業車両2を車体前方(後述)のやや左側から車体後方(後述)へ向かった見た斜視図であり、要部を拡大して示している。図3は、歩行型作業車両2を車体左方(後述)側から車体右方(後述)へ向かって見た側面図である。ただし、図1~3は、歩行型作業車両2を単純化して模式的に表している。
以下の説明では、図3の矢印に示すように、歩行型作業車両2の前進時に車両が進む向きを車体前方、後退時に車両が進む向きを車体後方、鉛直方向において上へ向かう向きを車体上方、鉛直方向において下へ向かう向きを車体下方と定義する。また、ハンドル杆3のハンドル延在部4(後述)が延在する方向において、車体前方側に向かう向きを「ハンドル前方」といい、車体後方側に向かう向きを「ハンドル後方」という。また、ハンドル前方に向かって左側に向かう向きを「ハンドル左方」といい、右側に向かう向きを「ハンドル右方」という(ハンドル左方およびハンドル右方については図3では図示せず)。また、ハンドル前方に対して直交するように車体上方側に向かう向きを「ハンドル上方」といい、車体下方側に向かう向きを「ハンドル下方」という。
図1~3に示すように、本実施形態に係る歩行型作業車両2は、ハンドル杆3、車体6、走行車輪7、ロータリ耕うん装置8(以下、単にロータリ8と略す)および挟圧安全機構1を備え、車体6に備えられたエンジン(内燃機関)等の動力源(図示せず)から動力を得て自動走行し、車体6の後方に備えたロータリ8で耕うん作業を行うようになされた農用車両である。なお、図1~3では、図示を省略しているが、歩行型作業車両2には、デッドマンクラッチのクラッチ杆が設けられている。
走行車輪7は、車体6の両側に1輪ずつ設けられた一対の車輪であり、動力源からクラッチ(図示せず)を介して車輪の駆動部に供給される動力により回転する。車体6には、動力源からの動力を得て走行車輪7を駆動する駆動部(図示せず)が備えられている。クラッチは、動力源と車輪の駆動部との間に接続されている。ロータリ8は、走行車輪7を中心に作業者がハンドル杆3を上下させることで昇降可能に構成されており、耕うん作業時は下方に降下させて、耕うん爪9を土中に貫入させた状態で使用する。なお、基本的には安全のため、歩行型作業車両2は、後進時は耕うん爪9が動作しない構造、または、耕うん爪9が動作しているときは後進できない構造になっている。
車体6は、上述した走行車輪7およびロータリ8が設けられた車体胴部10を有する。この車体胴部10の「車体前方-後方」方向における中央部であって、走行車輪7の車体後方側には、ハンドル取付部12が設けられている。ハンドル取付部12は、車体胴部10に対してネジ止めによって強固に固定されている。このため、車体胴部10の姿勢にかかわらず、車体胴部10に対するハンドル取付部12の相対的な姿勢は変化しない。ハンドル取付部12は、後述する左側挟圧安全機構1Lに対応する側面と、後述する右側挟圧安全機構1Rに対応する側面と、これら2つの側面を連結する上面とを有する断面コ字状の部材である(後述する図5、6、9も参照)。
ハンドル取付部12には、ハンドル介在部材16を介してハンドル杆3が軸支されている。詳述すると、ハンドル介在部材16は、ハンドル取付部12の一対の側面に沿って延在する一対の側面延在部17を有する。一対の側面延在部17のそれぞれは、強度の向上のため、帯状に延びる部分の両側が外側に向かって僅かに湾曲している(後述する図5、6、9も参照)。
ハンドル介在部材16の一対の側面延在部17の先端部の適切な位置には、ハンドル取付部12に対してハンドル介在部材16を軸支するための軸用ボルト20が貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔を通ってハンドル取付部12に軸用ボルト20が取り付けられている。ハンドル介在部材16は、一対の軸用ボルト20を軸として、下方回動方向KD1および上方回動方向KD2(いずれも図3参照)に回動可能な状態でハンドル取付部12に取り付けられている。ただし、後述するように、下方回動方向KD1へ向かう回動は、回動規制板21によって所定位置で規制される。
ハンドル介在部材16の一対の側面延在部17の後端部にはそれぞれ、ハンドル延在部4を固定するためのハンドル固定部22が設けられている。ハンドル固定部22は、ハンドル延在部4の端部が挿入される穴部が形成された部材を有しており、一対の穴部に対して一対のハンドル延在部4の端部が挿入された状態で、ハンドル介在部材16に対してハンドル杆3が固定される。つまり、ハンドル介在部材16の姿勢にかかわらず、ハンドル介在部材16に対するハンドル杆3の相対的な姿勢は変化しない。また、一対の側面延在部17のそれぞれが、ハンドル杆3を介して連結され、一対の側面延在部17のそれぞれは、ハンドル杆3の移動に応じて連動して移動する。
図1、3に示すように、ハンドル杆3は、ハンドル介在部材16から、側面延在部17が延在する方向と略同一方向に延在する一対のハンドル延在部4と、一対のハンドル延在部4から所定方向に屈曲した後に所定量だけ延在する一対のハンドル連続部24と、一対のハンドル連続部24の各端部において一対のハンドル連続部24を接続する横方向ハンドル杆部25とを有する。ハンドル杆3は、ハンドル介在部材16に固定されているため、下方回動方向KD1および上方回動方向KD2に回動可能な状態で、ハンドル取付部12に軸支されている。作業者は、一対のハンドル連続部24のそれぞれを、自身の手のそれぞれで把持してハンドル杆3を操作したり、横方向ハンドル杆部25を両手で把持してハンドル杆3を操作したりする。
図2に示すように、ハンドル取付部12の両方の側面のそれぞれには、回動規制板21が設けられている(ただし、図2では、一方の側面の回動規制板21のみ図示された状態である。後述する図6、9も参照)。回動規制板21は、ハンドル介在部材16の下方回動方向KD1への回動を所定位置で規制する部材である。
詳述すると、回動規制板21は、ハンドル取付部12の側面において、外側へ向かって延在する部分を有する部材である。ハンドル取付部12に対するハンドル介在部材16の姿勢が、図1~3のように、ハンドル取付部12の側面が延在する方向とハンドル介在部材16の側面延在部17が延在する方向とが同一となるような姿勢となると、回動規制板21にハンドル介在部材16の側面延在部17の下端が当接する。この状態となると、ハンドル介在部材16の下方回動方向KD1への回動が回動規制板21によって規制され、ハンドル介在部材16(=ハンドル杆3)がそれ以上、下方回動方向KD1へ向かって回動できない状態となる。以下の説明では、回動規制板21にハンドル介在部材16が当接し、ハンドル杆3の下方回動方向KD1への回動が規制されている状態(図1~3および後述する図4~6の状態)を「規制状態」という。
図1~3では、図示を省略したが、歩行型作業車両2はクラッチ杆を備えている。図3では、クラッチ杆の配置位置の例を点線により示している。クラッチ杆は、ハンドル杆3に対して回動自在に軸支されており、作業者は、ハンドル杆3と共にクラッチ杆を把持することができる。クラッチ杆は、クラッチワイヤー(不図示)を介してクラッチに接続されており、作業者がハンドル杆3と共にクラッチ杆を握ると、クラッチワイヤーが引っ張られてクラッチが接続し、動力源から駆動部へ動力が伝達される伝達状態となる。一方、作業者がクラッチ杆から手を放すと、クラッチワイヤーが元に戻ってクラッチが切断され、動力源から駆動部への動力の伝達が遮断される遮断状態となる。つまり、作業者は、クラッチ杆を操作することによって駆動部の駆動/停止を制御できる。
ここで、作業者は、動作モードを所定のモードとすることにより、歩行型作業車両2を後進させることができる。そして、作業者が歩行型作業車両2を後進させて使用している場合には、挟圧が発生する可能性がある。本実施形態において、挟圧とは、歩行型作業車両2が後進している場合に、作業者がハンドル杆3と壁等の障害物とで挟まれることをいう。挟圧が発生した場合に、歩行型作業車両2が後進しようとする状態が継続すると重大な事故となり得る。そして、本実施形態に係る挟圧安全機構1は、挟圧が発生した可能性がある場合に、歩行型作業車両2が後進しようする状態を停止する機構である。挟圧が発生した可能性がある場合には、挟圧安全機構1により、歩行型作業車両2が後進しようとする状態が停止するため、重大な事故が発生することを未然に防止することができる。
図1~3に示すように、挟圧安全機構1は、ハンドル介在部材16の左側の側面延在部17に対応して設けられた左側挟圧安全機構1Lと、右側の側面延在部17(図1、2)に対応して設けられた右側挟圧安全機構1Rとを有している。右側挟圧安全機構1Rと左側挟圧安全機構1Lの構造および構造に由来する動作は基本的に同じであるが、左側挟圧安全機構1Lにはスイッチ26(および付随する部材)が存在し、右側挟圧安全機構1Rには存在しない点でこれら機構は相違している。以下、左側挟圧安全機構1Lの構造について詳述する。
図4は、左側挟圧安全機構1Lおよびその周辺を、ハンドル左方のややハンドル上方側から見た斜視図である。図5は、図4の視点をややハンドル後方側に移動させて左側挟圧安全機構1Lおよびその周辺を見た斜視図である。図4、図5の状態はいずれも規制状態である。また、図4、5では、右側挟圧安全機構1Rおよびこれに関連する部材は取り外された状態である。図6は、図3のA-A断面図(左側挟圧安全機構1Lおよび関連する部材の断面図)である。上述の通り、図3の状態は規制状態である。図6に示すように、ハンドル取付部12の所定の位置には開口29が形成されており、開口29に受け部材31が溶接等の手段により取り付けられている。この受け部材31には、ハンドル右方側に向かって凹んだ凹み部30が形成されている。図4、5に示すように、凹み部30は、ハンドル取付部12の開口を介して外部に露出している。受け部材31の凹み部30の内部空間の形状は、ハンドル右方に向かうに従って断面の径が小さくなっていく半球状である。
規制状態におけるハンドル介在部材16の側面延在部17において、受け部材31が設けられた位置に対応する位置には、バネ支持部材32、バネ座部37(図6)、ナット40、移動部材42(特に図6)、挿入部45およびバネ部材46を含んで構成されるバネユニット33が設けられている。バネ支持部材32は、移動部材42を支持する部材である。バネ支持部材32は、側面延在部17に対して溶接、接着等の手段で固着される一対のフランジ部34(図4、5)と、一対のフランジ部34から立ち上がった一対の立ち上がり部35と、一対の立ち上がり部35を接続し、側面延在部17に対して平行に延在する接続部36とを有する。
接続部36の領域のうち、規制状態において受け部材31の凹み部30と対向する位置には、ネジ穴が形成されており、このネジ穴に、外周にネジが切られたバネユニット33のバネ座部37が螺合されている。また、バネ座部37において、接続部36をハンドル左方側へ向かって超えた位置には、スイッチ支持部材38のフランジ部39(後述)の開口が挿入され、更にナット40が螺合されている。これにより、接続部36(バネ支持部材32)に対してバネ座部37が固定され、かつ、フランジ部39が接続部36とナット40とによって締め上げられて接続部36に対して固定されている。
図6に示すように、バネ座部37の軸心には、バネ座部37を「ハンドル左方-右方」方向に貫通する移動部材用貫通孔41が形成されており、この移動部材用貫通孔41を、移動部材42が貫通している。移動部材42は、移動部材用貫通孔41を貫通することにより、「ハンドル左方-右方」方向に移動可能な状態でバネ座部37に支持されている。移動部材42の先端(ハンドル左方側の端)には、移動部材用貫通孔41の径よりも径が大きい押圧部43が形成されている。また、移動部材42の基端(ハンドル右方側の端)には、挿入部45が設けられている(形成されている)。挿入部45は、ハンドル右方に向かうに従って断面の径が小さくなっていく半球状の部材である。挿入部45の曲率は、凹み部30の曲率よりも小さく形成されている。これにより以下の効果がある。すなわち、後述するように、規制状態のときは、挿入部45が凹み部30に嵌合した状態となるが、挿入部45の曲率を凹み部30の曲率よりも小さくすることにより、この状態のときに挿入部45の先端部が凹み部30の最奥部まで達する状態となるため、移動部材42(の先端の挿入部45)と受け部材31がしっかり係合し、ハンドル杆3の動きを適切に規制することが可能となる。
バネユニット33のバネ部材46(特許請求の範囲の「付勢部材」に相当)は、その内部を移動部材42が貫通した状態で、一方の端がバネ座部37に当接し、他方の端が挿入部45に当接している。バネ部材46は、バネ座部37に対して、挿入部45を基端側(ハンドル右方側)に付勢することによって、移動部材42を基端側へ付勢している。
ハンドル介在部材16の側面延在部17において、規制状態のときに受け部材31が対向する位置には、凹み部30の開口の外周よりも十分に大きい孔部48が形成されている。規制状態のときは、側面延在部17の孔部48の中央部に凹み部30が位置した状態で、凹み部30の開口の全域が側面延在部17の外側に露出した状態となる。図6に示すように、規制状態のときは、移動部材42の挿入部45が、孔部48を介して凹み部30に嵌合した状態となる。その際、挿入部45は、バネ部材46の付勢力に付勢されつつ孔部48に嵌め込まれる。このため、規制状態のときは、凹み部30に対する挿入部45の嵌合に起因して、挿入部45を移動させる力に抗する抵抗力(凹み部30からの挿入部45の「抜け」に抗する抵抗力)が働く。右側挟圧安全機構1Rについても同様である。
このような構成のため、規制状態のときに、ハンドル杆3に対して、ハンドル杆3を上方回動方向KD2に回動させる荷重が加わった場合であっても、荷重が一定量よりも小さい場合には、挿入部45が凹み部30から抜けず、挿入部45が凹み部30に嵌合した状態が維持される。つまり、規制状態が維持される。一方、後に詳述するように、一定量を超える過剰な荷重がハンドル杆3に付加された場合には、凹み部30に対して挿入部45が移動し、これら部材の嵌合が解除される。
図6に示すように、バネ支持部材32の接続部36の外側には、スイッチ支持部材38が取り付けられている。詳細には、スイッチ支持部材38は、平板状のスイッチ載置台50と、スイッチ載置台50から直角に屈曲して延在するフランジ部39とを有している。フランジ部39の適切な位置には、バネ座部37が貫通するための貫通孔が設けられている。フランジ部39は、この貫通孔をバネ座部37が通った状態で、接続部36とナット40とにより挟持されており、これにより、接続部36に対してスイッチ支持部材38が固定されている。図6に示すように、スイッチ支持部材38は、フランジ部39の面が接続部36の面に当接し、かつ、スイッチ載置台50の面が、「ハンドル上方-下方」方向の仮想線に対して垂直な面と平行となった状態で、接続部36に対して固定される。
スイッチ載置台50の上面のハンドル左方側の端部には、操作子53を有するスイッチ26が設けられている。スイッチ26は、動力源の動作を停止するリミットスイッチである。すなわち、動力源が動作している場合において、操作子53が押圧されてオン状態(後述する図9の状態)となると、動力源の動作が停止し、これに伴って駆動部の駆動が停止する。例えば、スイッチ26がオン状態となると、動力源に電力を供給する電力供給装置による動力源への電力供給が停止される。また、例えば、歩行型作業車両2がエンジン式の動力源を持つ場合は、スイッチ26がオン状態となるとスパークプラグへの電力供給が遮断される。
図6に示すように、スイッチ26の操作子53は、スイッチ26の本体からハンドル右方へ向かって突出している。規制状態のときは、バネ部材46が移動部材42を基端側に付勢するため、操作子53が押圧部43によって押圧されず、オン状態ではない状態が維持される。なお、右側挟圧安全機構1Rは、スイッチ支持部材38およびスイッチ26が設けられておらず、この点で左側挟圧安全機構1Lと構造が異なっている。
さて、上述の通り、歩行型作業車両2が後進しているときに、挟圧が発生する場合がある。なお、挟圧が発生する直前は、ハンドル杆3は規制状態である。ここで、本実施形態に係る歩行型作業車両2は、一対の走行車輪7で走行する二輪車であり、一対の走行車輪7の車軸を中心として車体6が回動可能であるため、地面に対する車体6の姿勢が安定しているわけではなく、その姿勢が様々に変化する。従って、挟圧が発生したときの車体6の姿勢も一定ではなく、後進時に作業者が障害物にぶつかったときの車体の姿勢や、走行車輪7に加わる角速度や耕うん爪9が地面から受ける跳ね上げの力等の種々の要因によって様々に変化する。
図7は、挟圧発生時の歩行型作業車両2の姿勢について説明するため、車体胴部10、ハンドル取付部12、ハンドル介在部材16およびハンドル杆3を説明に適した態様で模式的に示す図である。図7(A)は、図3で示す姿勢のときの各部材の状態を示している。図7(B)は、挟圧発生時に下方回動方向KD1側にハンドル杆3が最も下がっているときの各部材の状態(以下、便宜的に「第1状態」という)を示している。図7(C)は、挟圧発生時に上方回動方向KD2側にハンドル杆3が最も上がっているときの各部材の状態(以下、便宜的に「第2状態」という)を示している。また、図8は、挟圧発生時のハンドル杆3に作用する荷重の説明に利用する図である。
本実施形態では、挟圧発生時、歩行型作業車両2の姿勢は、図7(B)の姿勢から図7(C)の姿勢の間の範囲で変化し得る。そして、図7に示すように、当該範囲内のいずれの姿勢の場合であっても、ハンドル杆3のハンドル延在部4は、車体後方に向かうに従って車体上方へ向かうように傾いた状態となる。このため、挟圧の発生時に歩行型作業車両2が後進しようとする状態が継続すると、図8に示すように、横方向ハンドル杆部25に接触する作業者(または障害物の一部)により、車両の後進に抗してハンドル杆3を押し戻す荷重(図8の矢印Y1が示す方向に作用する荷重)が加わり、この荷重に起因して、ハンドル杆3に対して回動軸(軸用ボルト20)を中心として、上方回動方向KD2に向かって回動させようとする荷重が作用する。以上の前提の下、左側挟圧安全機構1Lは、挟圧発生時に以下の態様で動作する。
図9は、挟圧発生時の左側挟圧安全機構1Lの動作の説明に利用する図であり、図6の状態から、挟圧の発生に応じて状態が変化した後の左側挟圧安全機構1Lを示している。上述したように挟圧が発生した場合、上方回動方向KD2に回動させようとする荷重がハンドル杆3に加わる。このときハンドル杆3に加わる荷重は、通常使用時にハンドル杆3に付加される荷重を超えた過剰な荷重となる。このような過剰な荷重がハンドル杆3に加わると、バネ支持部材32に固定されたバネ座部37により支持されている移動部材42の挿入部45に対して、図6の矢印Y2で示すハンドル上方(正確には、ハンドル上方に対してハンドル前方に少し傾いた向き。以下では、単にハンドル上方とする)に向かって移動させようとする荷重が作用する。
このような荷重の作用に応じて、挿入部45は、バネ部材46の付勢に抗して移動部材42を先端側(ハンドル左方側)へ向かって押し戻しながら、凹み部30の内周に摺動しつつハンドル上方へ向かって移動する。挿入部45のハンドル上方へ向かう移動と連動して、ハンドル杆3は上方回動方向KD2へ向かって回動する。凹み部30の内部の空間の形状は、ハンドル右方に向かうほど断面の径が小さくなる半球状であるため、凹み部30に対する挿入部45の移動が進むに従って、挿入部45はハンドル左方へ向かって徐々に移動していき、これに応じて、移動部材42の先端に形成された押圧部43も徐々にハンドル左方へ向かって移動していく。
スイッチ26は、バネ支持部材32およびスイッチ支持部材38を介してハンドル杆3に固定された部材であるため、ハンドル杆3の移動にかかわらず、その操作子53が移動部材42の押圧部43に対向した状態が維持される。ハンドル杆3の上方回動方向KD2への回動に連動する挿入部45のハンドル上方への移動が更に進むと、挿入部45は凹み部30から完全に外れ、その端部が、ハンドル取付部12の側面に乗り上げた状態(図9の状態)となる。なお、図9は、挿入部45がハンドル取付部12の側面に乗り上げた直後の状態ではなく、乗り上げ後にある程度ハンドル杆3が回動した後の状態を示している。また、挿入部45がハンドル取付部12の側面に乗り上げたときが、特許請求の範囲の「ハンドル杆が所定位置から上方向へ向かって一定以上回動したとき」に相当する。
移動部材42の押圧部43は、挿入部45がハンドル上方へ移動する過程において、所定のタイミングで操作子53に接触し、挿入部45がハンドル上方へ移動するに従って、操作子53をハンドル左方へ向かって徐々に押圧していく。そして、挿入部45がハンドル取付部12の側面に乗り上げると、移動部材42が先端側(ハンドル左方側)へ向かって押し込まれ、スイッチ26がオン状態となる。スイッチ26がオン状態となると、上述したように、スイッチ26が作動して動力源の動作が停止し、歩行型作業車両2の後進が停止する。なお、ハンドル杆3に過剰な荷重が付加されたタイミングから、スイッチ26がオン状態となるタイミングまでの時間は非常に短く、ハンドル杆3に過剰な荷重が付加されると即座に歩行型作業車両2の後進が停止する。なお、スイッチ26がオン状態となった後、更にハンドル杆3がハンドル上方に回動し、挿入部45がハンドル取付部12から外れてハンドル取付部12よりも前方(上方)に移動したときは、移動部材42の押圧部43がバネ座部37の外側の面に当接した状態となり、これにより移動部材42の抜けが防止される。
以上のように、本実施形態では、ハンドル杆3は、車体6に固定された(=車体6と一体的な)ハンドル取付部12に軸支される一方、車体6の傾きにかかわらず車体後方に向かうに従って車体上方に向かうように傾いた状態となる所定位置(規制状態のときの位置)でハンドル取付部12に対する下方回動方向KD1への回動が留まるように規制され、更に、所定位置に位置しているときは、一定以上の荷重が付加された場合にのみ上方回動方向KD2へ回動するように構成されている。そして、ハンドル杆3が所定位置から上方回動方向KD2へ向かって一定以上回動したときに動力源の動作が停止されるように構成されている。
この構成によれば、歩行型作業車両2が後進し、作業者がハンドル杆3と障害物とで挟まれると、車体6の傾きにかかわらず、ハンドル杆3に一定以上の荷重が加わたっときに、ハンドル杆が上方回動方向KD2に向かって回動し、回動に応じて動力源の動作が停止する。このため、歩行型作業車両2が後進するときの車体6の傾きにかかわらず、挟圧が発生した可能性がある場合に車両が後進しようとする状態が継続するのを停止できる。
<第1実施形態の変形例>
次に、本発明の第1実施形態の変形例について説明する。図10は、本変形例に係る挟圧安全機構1Aを関連する部材と共に示す図である。図10の状態は規制状態である。図10において符号12Aは、ハンドル取付部であり、例えば、第1実施形態のハンドル取付部12と同様の態様(図1、2、3参照)で、歩行型作業車両の車体(車体胴部)に取り付けられる。
ハンドル取付部12Aには、一対の軸用ボルト20A(図10ではハンドル左方側の軸用ボルト20Aのみを図示)を軸として、下方回動方向KD1および上方回動方向KD2(図3参照)に回動可能な状態で、一対の側面延在部17Aが取り付けられている。ただし、下方回動方向KD1へ向かう回動は、回動規制板21Aによって図10に示す位置で規制される。一対の側面延在部17Aには、適切な方法でハンドル杆が取り付けられる。
ハンドル取付部12Aのハンドル後方側の端部には、ハンドル後方側へ向かって一定距離だけ延在して形成された後方延在部60Aと、後方延在部60Aの端部からハンドル下方へ向かって一定の距離だけ延在して形成された下方延在部61Aとが設けられている。下方延在部61Aには、凹み部30Aが形成されている。図10に示すように、規制状態では、凹み部30Aに、挿入部45Aが嵌まり込んだ状態となる。
図10に示すように、規制状態において、下方延在部61Aよりもハンドル後方側には、一対の側面延在部17Aに跨って横架部63Aが横架されている。横架部63Aは、板状の部材であり、下方延在部61Aの面に対向する面63Aaと、その反対の面63Abとが形成されている。
横架部63Aには、第1実施形態においてバネ支持部材32によって支持される方法と同様の方法で、移動部材42Aやスイッチ26Aに関連する部材が支持されている。簡単に説明すると、横架部63Aの面63Ab側には、スイッチ支持部材38Aが支持されており、このスイッチ支持部材38Aにスイッチ26Aが支持されている。また、横架部63Aには、バネ座部37Aが支持されており、バネ座部37Aの軸心の貫通孔を移動部材42Aが貫通している。移動部材42Aの基端には、挿入部45Aが設けられており、この挿入部45Aは、バネ部材46により、下方延在部61A側(規制状態におけるハンドル前方側)へ向かって付勢されている。移動部材42Aの先端には押圧部43Aが形成されており、この押圧部43Aはスイッチ26Aの操作子53Aと対向している。
図10に示すように規制状態のときは、移動部材42Aの挿入部45Aが、バネ部材46に付勢されつつ、凹み部30Aに嵌め込まれる。このため、規制状態のときは、凹み部30Aに対する挿入部45Aの嵌合に起因して、挿入部45Aを移動させる力に抗する抵抗力(凹み部30Aからの挿入部45Aの「抜け」に抗する抵抗力)が働く。
以上の構成の下、挟圧の発生により一対の側面延在部17Aを上方回動方向KD2に回動させようとする過剰な荷重が加わると、一対の側面延在部17Aが上方回動方向KD2へ向かって回動し、それに伴って、挿入部45Aは、バネ部材46Aの付勢に抗して移動部材42Aを先端側(押圧部43Aが設けられた側)へ向かって押し戻しながら、凹み部30Aの内周に摺動しつつハンドル上方へ向かって移動する。一対の側面延在部17Aの上方回動方向KD2へ向かう回動が更に進み、一定以上回動すると、挿入部45Aは凹み部30Aから完全に外れ、挿入部45Aの先端部が下方延在部61Aの面61Aaに乗り上げた状態となる。
移動部材42Aの押圧部43Aは、挿入部45Aがハンドル上方へ移動する過程において、所定のタイミングで操作子53Aに接触し、挿入部45Aがハンドル上方へ移動するに従って、操作子53Aを徐々に押圧していく。そして、挿入部45Aが下方延在部61Aの面61Aaに乗り上げると、スイッチ26Aがオン状態となり、動力源の動作が停止する。
以上のように、本変形例によれば、第1実施形態と同様、ハンドル杆に過剰な荷重が付加されると迅速にスイッチ26Aがオン状態となって歩行型作業車両の動作が停止する。これにより、これにより、挟圧の可能性がある場合に、迅速に歩行型作業車両が後進しようとする状態を停止することが可能である。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図11は、本実施形態に係る歩行型作業車両100に適用された挟圧安全機構101の構成を示す図である。図11は、動作原理を説明することを主目的とする図面であり、各部材を非常に単純化して模式的に表している。
図11に示すように、本実施形態に係る挟圧安全機構101では、ハンドル取付部としてしても機能する車体103にハンドル杆104がハンドル回動軸105を介して軸支されている。車体103には、車体上方に向かって凸状に湾曲したガイド孔106が形成されている。また、ハンドル杆104のガイド孔106に対応する位置には、ガイド孔106側に突出し、ガイド孔106に挿入されるガイドピン(図示略)が設けられている。ハンドル杆104は、物理的には、ガイド孔106の車体後方側の端部にガイドピンが位置した第1規制状態(図11で示す状態)と、ガイド孔106の車体前方側の端部にガイドピンが位置した第2規制状態との間で、ガイドピンがガイド孔106に案内されつつ回動可能である。
ハンドル延在部107のガイドピンが設けられた位置に対応する位置には、第1バネかけ108が設けられており、また、車体103の所定の位置には第2バネかけ109が設けられており、第1バネかけ108と第2バネかけ109との間に引きバネ110が懸架されている。ハンドル杆104が第1規制状態のときは、引きバネ110は、下方回動方向KD1へ向かって回動するようにハンドル延在部107を付勢する。歩行型作業車両100の通常使用時は、ハンドル杆104に対して荷重が付加された場合であっても、引きバネ110の付勢力により第1規制状態が維持される。なお、第1規制状態から上方回動方向KD2へ向かってハンドル延在部107が回動されると、回動の当初は、引きバネ110は、回動に抗して、下方回動方向KD1へ向かって回動するようにハンドル延在部107を付勢する。一方で、回動が一定以上進むと、引きバネ110は、上方回動方向KD2へ向かって回動するようにハンドル延在部107を付勢するようになる。
ハンドル杆104が第1規制状態のときの第1バネかけ108の位置よりもハンドル後方側には、スイッチ111が設けられている。スイッチ111は、ハンドル上方へ向かって突出した操作子112を有している。スイッチ111は、操作子112が押圧されている状態のときはオフ状態であり、操作子112の押圧が解除されるとオン状態となり、動力源の動作を停止する。操作子112は、第1規制状態のハンドル杆104のハンドル延在部107の裏側と対向しており、ハンドル杆104が第1規制状態のときは操作子112がハンドル延在部107により押圧されて、スイッチ111がオフ状態となる。なお、ガイド孔106は、ハンドル杆104の回動を補助し、かつ第1規制状態および第2規制状態でハンドル杆104を規制可能とするものであり、このような機能を有する他の部材に置き換えてもよい。
以上の構成の下、本実施形態に係る挟圧安全機構101は、挟圧発生時に以下の態様で動作する。すなわち、挟圧が発生すると、ハンドル杆104に対して、ハンドル杆104を上方回動方向KD2に回動させようとする荷重であって、通常使用時にハンドル杆104に付加される荷重を超えた過剰な荷重が加わる。これにより、引きバネ110の「ハンドル杆104を下方回動方向KD1に回動させようとする付勢力」に抗して、ハンドル杆104が上方回動方向KD2へ向かって回動する。
ハンドル杆104の上方回動方向KD2へ向かう移動に応じて、徐々にスイッチ111の操作子112が押圧された状態が解除されていく。ハンドル杆104の上方回動方向KD2へ向かう移動が一定以上進むと、引きバネ110の付勢力が「ハンドル杆104を上方回動方向KD2に回動させようとする付勢力」へと変化し、この付勢力も加わってハンドル杆104が上方回動方向KD2へ向かって急速に回動し、第2規制状態となる。引きバネ110の付勢力の態様が変化するタイミング、もしくは当該タイミングよりも若干早いタイミングで、オフ状態からオン状態へ変移する程度に操作子112の押圧が解除され、これに伴って動力源の動作が停止する。
以上のように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様、ハンドル杆104に過剰な荷重が付加されると迅速にスイッチ111がオン状態となって動力源の動作が停止する。これにより、挟圧の可能性がある場合に、迅速に歩行型作業車両100が後進しようとする状態を停止することが可能である。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。図12は、本実施形態に係る挟圧安全機構201の構成を示す図である。なお、図12は規制状態である。図12において、符号202は、ハンドル取付部であり、例えば、第1実施形態のハンドル取付部12と同様の態様(図1、2、3参照)で、歩行型作業車両の車体(車体胴部)に取り付けられる。
図12に示すように、ハンドル取付部202には、下方回動方向KD1および上方回動方向KD2(図3参照)に回動可能な状態で、一対の側面延在部203が取り付けられている。ただし、図12では、図面の見やすさのため、ハンドル右方側(図面上で奥側)の側面延在部203のみを図示している。側面延在部203は、軸用ボルト204により、回動可能な状態でハンドル取付部202に取り付けられている。一対の側面延在部203の下方回動方向KD1へ向かう回動は、図示しない回動規制板によって図12に示す位置で規制される。一対の側面延在部203には、適切な方法でハンドル杆が取り付けられる。
ハンドル取付部202の後端部にはスイッチ205が設けられており、このスイッチ205からハンドル後方へ向かって操作子206が突出している。
ハンドル取付部202のハンドル後方側には、スイッチ動作機構207が設けられている。スイッチ動作機構207は、ハンドル取付部202に対して固定され、「ハンドル上方-ハンドル下方」方向に延在した上下延在支持部材208を有する。上下延在支持部材208のハンドル左方側の面208aの下端部には、バネかけ210が設けられており、バネかけ210よりもハンドル上方には第1軸支部211が設けられ、第1軸支部211よりもハンドル上方には第2軸支部212が設けられている。
第1軸支部211には、細長く伸びた板状の第1揺動片213の一端部が軸支されており、第2軸支部212には、細長く伸びた板状の第2揺動片214の一端部が軸支されている。第1揺動片213は、第2揺動片214よりも長く形成されている。第1揺動片213の他端部には第3軸支部215が設けられ、第2揺動片214の他端部には第4軸支部216が設けられている。そして、第3軸支部215、および、第4軸支部216に両端が支持された状態で連結揺動片217が設けられている。
第4軸支部216は、パネかけとしても機能し、パネかけ210と第4軸支部216との間に引きバネ218が懸架されている。第2揺動片214のハンドル後方側の端部には、規制状態において、ハンドル後方側へ向かって突出した突出部材220が設けられている。突出部材220と第2揺動片214とは強固に連結されている。規制状態において、第2揺動片214のハンドル前方側の端部には、操作子206のハンドル上方側で、ハンドル前方に向かって突出した凸部214aが形成されている。規制状態では、凸部214aは、操作子206を押圧する方向とはずれた方向に向かって延在しており、操作子206が押圧されない。
図12に示すように、規制状態において、スイッチ動作機構207のハンドル後方側には、押上げ部材221が設けられている。押上げ部材221は、スイッチ動作機構207の後方において、一対の側面延在部203に横架して設けられている。図12では、図面の見やすさのため、押上げ部材221を所定位置で切断している。押上げ部材221は、ハンドル上方側に押上げ面222が形成されるように屈曲しており、規制状態では、押上げ面222は、突出部材220の下方において、突出部材220と接触する。
以上の構成の下、規制状態では、図12に示すように、突出部材220が押上げ部材221の押上げ面222に向かって移動するように、引きバネ218の付勢力によって、スイッチ動作機構207の各部材(第1揺動片213、第2揺動片214、連結揺動片217)が付勢される。この結果、一対の側面延在部203に対して上方回動方向KD2へ回動する力が加わった場合、この力に抗する力が発生する。
また、突出部材220が押上げ面222に接触し、突出部材220の移動が押上げ部材221によって規制されることにより、スイッチ動作機構207の各部材の移動は、引きバネ218の付勢力に抗して規制される。その結果、付勢状態では、スイッチ動作機構207の状態が図12に示す状態となり、ハンドル杆を介して一対の側面延在部203に対して過剰な荷重が加わらない限り、安定的に規制状態が維持される。規制状態では、特に、スイッチ205の操作子206と第2揺動片214の凸部214aとの位置関係は図12に示す状態となる。
一方で、挟圧の発生により一対の側面延在部203を上方回動方向KD2に回動させようとする過剰な荷重が加わると、上方回動方向KD2へ向かって回動する。これに伴って、突出部材220が押上げ部材221の押上げ面222に押し上げられ、突出部材220と連結された第2揺動片214が第2軸支部212を中心として矢印Q1が示す向きへ向かって回動する。
第2揺動片214の矢印Q1が示す向きへ向かう回動に伴って、凸部214aが、その突出方向が矢印Q2が示す向きに変移するように、移動する。これに応じて、操作子206が徐々に押圧されていき、一対の側面延在部203(つまり、ハンドル杆)が一定以上回動すると、操作子206が所定以上押圧され、スイッチ205がオン状態となり、動力源の動作が停止する。
以上のように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様、ハンドル杆に過剰な荷重が付加されると迅速にスイッチ205がオン状態となって歩行型作業車両の動作が停止する。これにより、これにより、挟圧の可能性がある場合に、迅速に歩行型作業車両が後進しようとする状態を停止することが可能である。
以上、本発明の実施形態を3つ(第1実施形態の変形例を含む)説明したが、上記各実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
例えば上記第1実施形態では、ハンドル介在部材16とハンドル杆3とは別部材であったが、これらを一体的な部材により構成してもよい。また、上記実施形態では、車体6とハンドル取付部12とは別部材であったが、これらを一体的な部材により構成してもよい。また、スイッチ26を右側挟圧安全機構1Rに設ける構成でもよく、右側挟圧安全機構1Rおよび左側挟圧安全機構1Lの双方に設ける構成でもよい。
また、上記各実施形態では、挟圧の発生に伴うハンドル杆の上方回動方向KD2への回動に応じてスイッチが作動して動力源の動作を停止し、これにより歩行型作業車両2の移動が停止する構成であった。しかしながら、スイッチが作動したときに動力源の動作が停止する構成は、あくまで一例であり、駆動部に対する動力の供給が停止し、これにより歩行型作業車両2の移動が停止する構成であればよい。一例として、図示を省略したクラッチ杆とクラッチとを繋ぐワイヤの途中に電磁ソレノイドを接続し、スイッチの作動に応じて電磁ソレノイドが作動してクラッチが遮断状態となるようにし、これにより、駆動部に対する動力の供給が停止する構成としてもよい。クラッチが遮断状態となるようにすれば、挟圧安全機構により歩行型作業車両の移動が停止した後も、走行車輪を自由に回動させることができるため、歩行型作業車両と障害物との間からの作業者の離脱が容易である。また、スイッチの作動に応じて、動力源の動作を停止すると共に、クラッチを遮断状態とする構成としてもよい。