JP7201535B2 - 燃料電池用セパレータ材 - Google Patents

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Description

本開示は、燃料電池用セパレータ材に関する。
燃料電池は、固体高分子電解質膜をアノード電極とカソード電極とで挟んだ構造体を単セルとして備える。また、燃料電池は、ガス(水素、酸素等)の流路となる溝が形成されたセパレータ(バイポーラプレートとも呼ばれる)を介して前記単セルを複数個重ね合わせたスタックとして構成される。燃料電池は、スタックあたりのセル数を増やすことで、出力を高くすることができる。
燃料電池用のセパレータは、発生した電流を冷却水(FCC)が流れる面を介して隣のセルに流す役割も担っている。そのため、セパレータを構成するセパレータ材には、高い導電性及びその高い導電性が燃料電池のセル内の雰囲気中においても長期間維持されることが要求される。ここで、高い導電性とは、接触抵抗が低いことを意味する。また、接触抵抗とは、電極とセパレータ表面との間で、界面現象のために電圧降下が生じることをいう。
このような要求を満たすべく、例えば、特許文献1には、純チタン又はチタン合金からなる基材上に、酸化チタンとカーボンブラックが混合した混合層が形成されており、前記酸化チタンが結晶性のルチルを含み、前記混合層中のカーボンの結合状態をX線光電子分光分析により分析した際に検出されたカーボンのうちの70%以上がC-C結合を有するカーボンブラック単体として存在していることを特徴とする燃料電池用セパレータ材が開示されている。特許文献1に記載の技術では、チタン基材の表面に酸化チタンとカーボンブラックとを含む混合層が形成され、該混合層の表面から該混合層とチタン基材との界面までカーボンブラックが繋がることにより、導電性が確保される。カーボンブラックは導電性に優れているため、特許文献1に記載の燃料電池用セパレータ材は高い導電性を有する。
特開2016-122642号公報
ここで、燃料電池用のセパレータ材には、高い導電性とともに、優れた耐腐食性も求められる。しかしながら、特許文献1のように、異種の導電性材料が表面に露出しているセパレータ材が液体に接触すると、導電性材料間に電位が発生し、電流、すなわち、いわゆるガルバニック電流が発生する。このようなガルバニック電流が生じると、電位の低い材料において酸化が促進され、腐食が発生する。例えば、特許文献1の技術では、チタン基材の上に酸化チタンとカーボンブラックが混合した混合層が配置されており、混合層の表面に酸化チタンとカーボンブラックが露出している。このような混合層の表面に導電性を有する液体が接触すると、カーボンブラックと酸化チタンの間に電位が発生し、電位の低い材料(すなわち、酸化チタン)の酸化が促進され、腐食が進んでしまう。
そこで、本開示の目的は、耐腐食性に優れた燃料電池用セパレータ材を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、電位の高い材料の露出面積を所定の比率以下とすることにより、腐食を抑制することができることを見出し、本開示に至った。
そこで、本実施形態の態様例は以下の通りである。
[1] 基材の上に、導電性無機材料と該導電性無機材料中に分散した炭素材料とを含む表面層を備える、燃料電池用セパレータ材であって、
前記表面層の表面において、前記炭素材料の面積S1の前記導電性無機材料の面積S2に対する比(S1/S2)が、0.2以下である、燃料電池用セパレータ材。
[2] 前記基材がチタン基材である、[1]に記載の燃料電池用セパレータ材。
[3] 前記導電性無機材料が、TiO(1<x<2)で表される酸化チタンである、[1]又は[2]に記載の燃料電池用セパレータ材。
[4] 前記炭素材料が、炭素粒子である、[1]~[3]のいずれか1つに記載の燃料電池用セパレータ材。
[5] 前記炭素粒子が、カーボンブラックである、[4]に記載の燃料電池用セパレータ材。
本開示により、耐腐食性に優れた燃料電池用セパレータ材を提供することができる。
本実施形態に係る燃料電池用セパレータ材の構成を説明するための概略断面図である。 本実施形態に係る燃料電池用セパレータ材の表面層の表面を示す模式的平面図である。 塗布工程でチタン基材の表面に炭素材料(炭素粒子)を塗布した状態を示した概略断面図である。 図3Aに続き、酸化処理工程を行って酸化チタンを形成した状態を示す概略断面図である。 本実施形態に係る燃料電池用セパレータ材を製造する製造工程を説明するためのフロー図である。 炭素材料及び酸化チタンについて、電位と酸化電流密度の関係を示す分極曲線である。 図5の結果から算出した、炭素材料と酸化チタンの表面積比に対する抵抗上昇値をプロットしたグラフである。
本実施形態は、基材の上に、導電性無機材料と該導電性無機材料中に分散した炭素材料とを含む表面層を備える、燃料電池用セパレータ材であって、前記表面層の表面において、前記炭素材料の面積S1の前記導電性無機材料の面積S2に対する比(S1/S2)が、0.2以下である、燃料電池用セパレータ材である。
本実施形態により、腐食の発生が抑制された燃料電池用セパレータ材を提供することができる。具体的には、本実施形態において、炭素材料の面積S1の導電性無機材料の面積S2に対する比(S1/S2)を所定の値以下とすることにより、電位の低い材料(導電性無機材料)の酸化を抑制することができる。
以下、適宜図面を参照して、本実施形態に係る燃料電池用セパレータ材について詳細に説明する。
<燃料電池用セパレータ材>
図1は、本実施形態に係る燃料電池用セパレータ材の構成を説明する概略断面図である。図1に示すように、燃料電池用セパレータ材1は、基材2上に形成された表面層3を有する。表面層3は、図1に示すように、導電性無機材料4と、該導電性無機材料4中に分散した炭素材料5とを含む。表面層3の断面を観察した場合、表面層3のマトリックスとしての導電性無機材料4中に炭素材料5が埋まっている。図1において、炭素材料5は、粒状の材料(炭素粒子)である。なお、該断面は、基材の面方向に対して平行な面による断面であってもよく、面方向に対して垂直な面による断面であってもよく、面方向に対して斜めとなる面による断面であってもよい。炭素材料5は、導電性無機材料4の表面から導電性無機材料4とチタン基材2との界面まで分散しており、電流を流す導電パスとして存在する。
基材は、金属基材であり、例えばチタン基材が好ましく挙げられる。チタン基材は、純チタン又はチタン合金から構成される基材である。純チタンとしては、例えば、JIS H 4600に規定されるものを挙げることができる。また、チタン合金としては、例えば、Ti-Al、Ti-Nb、Ti-Ta、Ti-6Al-4V、Ti-Pdを挙げることができる。ただし、いずれの場合もこれらの例示に限定されるものではない。純チタン又はチタン合金製のチタン基材は、軽く、耐食性に優れている。また、チタン基材の表面に表面層に被覆されずに露出している部分があったとしても、燃料電池内の高温酸性雰囲気(例えば、80℃、pH2)でチタン又はチタン合金が溶出せず、固体高分子膜を劣化させる恐れがない。
基材は、例えば、冷間圧延材である。
基材の厚さは、例えば、0.05~1mmである。厚さがこの範囲であると、セパレータの軽量化及び薄型化の要求を満足し易く、セパレータ材としての強度及びハンドリング性を備える。そのため、セパレータ材をセパレータの形状にプレス加工することが比較的容易となる。基材の形状は、コイル状に巻かれた長尺帯状であってもよく、所定の寸法に切断された枚葉紙状であってもよい。
炭素材料は、特に制限されるものではないが、例えば、粒状の炭素粒子である。炭素粒子は、炭素で構成される粒子であり、例えば、カーボンブラック、黒鉛、Bドーピングダイヤモンド粒子、Nドーピングダイヤモンド粒子等が挙げられる。炭素材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。カーボンブラックは、無定形炭素から成る鎖状構造を持つ炭素粒子である。カーボンブラックは、その製造方法によってファーネスブラック、アセチレンブラック又はサーマルブラック等に分類されるが、いずれも使用可能である。黒鉛としては、人造黒鉛又は天然黒鉛が挙げられる。炭素粒子の平均粒径は、20~200nmであることが好ましい。炭素粒子の平均粒径が20nm以上である場合、後述の酸化処理工程における酸化による消滅を抑制し易くなる。また、炭素粒子の平均粒径が200nm以下である場合、表面層中に保持し易くなる。なお、この平均粒径(一次粒子径)は、透過型電子顕微鏡画像(TEM画像)において無作為に選択した100個の炭素粒子の直径(円相当径)の平均値である。
導電性無機材料は、例えば、金属酸化物である。この金属酸化物は、金属基材中の金属元素の外方拡散により形成されることができる。導電性無機材料は、酸化チタンであることが好ましい。表面層中の酸化チタンは、導電性の観点から、TiO(1<x<2)で表される酸化チタン(酸素欠乏型酸化チタン)からなることが好ましい。酸化チタンは、導電耐食性の観点から、結晶性のルチル構造のものを含むことが好ましい。
表面層の厚さは、10~500nmであることが好ましい。表面層の厚さがこの範囲であると、高い導電性と導電耐食性を備えることができる。
本実施形態に係る燃料電池用セパレータ材の表面層の表面において、炭素材料の面積S1の導電性無機材料の面積S2に対する比(S1/S2)は、0.2以下である。面積比(S1/S2)を0.2以下とすることにより、導電性無機材料の腐食を抑制することができ、より具体的には、表面層に液体が接触した場合における腐食の進行を抑制することができる。面積比(S1/S2)は、好ましくは0.1以下である。面積比(S1/S2)が0.1以下である場合、導電性を効率的に向上することができる。
炭素材料の面積S1の導電性無機材料の面積S2に対する比(S1/S2)の測定方法は、特に制限されるものではないが、例えば、三次元走査電子顕微鏡(3D-SEM)を用いて、以下の方法により算出することができる。まず、表面層の表面の反射電子画像を三次元走査電子顕微鏡により取得する。次に、反射電子画像において、炭素材料に相当する部分(暗い部分)の面積(S1)及び導電性無機材料(例えば酸化チタン)に相当する部分(明るい部分)の面積(S2)を測定し、面積比(S1/S2)を算出する。図2に、本実施形態に係る燃料電池用セパレータ材の表面層3の表面の模式図を示す。図2において、炭素粒子5が導電性無機材料4の表面に露出している。三次元走査電子顕微鏡の反射電子画像において、炭素粒子5は暗い部分として撮影され、導電性無機材料4は明るい部分として撮影される。
<燃料電池用セパレータ材の製造方法>
以下、本実施形態に係る燃料電池用セパレータ材の製造方法例を説明する。
図3A及び図3Bは、本実施形態に係る燃料電池用セパレータ材の製造方法を説明するためのフローチャートである。図4に示すように、本実施形態に係る燃料電池用セパレータ材の製造方法は、塗布工程と、酸化処理工程と、を少なくとも含む。なお、以下の説明では、炭素材料として炭素粒子を用いた形態について説明する。
(塗布工程)
まず、基材の表面に炭素粒子を塗布する。図3Aは、塗布工程により基材(例えばチタン基材)2の表面に炭素粒子5が塗布された状態を示す模式図である。
炭素粒子は、炭素粒子を分散させた水性や油性の分散液(分散塗料とも称す)の形態で基材上に塗布することができる。また、炭素粒子は、チタン基材上に直接塗布することもできる。
炭素粒子を含む分散塗料は、バインダー樹脂及び/又は界面活性剤を含んでもよい。しかし、バインダー樹脂や界面活性剤は、導電性を低下させる傾向があるため、これらの含有量は可能な限り少ない方が好ましい。また、分散塗料は、必要に応じて、他の添加剤を含むことができる。
バインダー樹脂には、酸化処理工程における加熱により残渣なく分解する樹脂を用いることが好ましい。このようなバインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、又はポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。これらのうち、分解する温度が低いほど表面層の形成に影響を及ぼさなくなるという観点から、アクリル樹脂が好ましい。バインダー樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
分散塗料における炭素粒子とバインダー樹脂との配合比率は、固形分の質量比で、(バインダー樹脂固形分量/炭素粒子固形分量)が0.3~2.5であることが好ましい。この質量比が小さくなる程、炭素粒子の量が多くなり、その結果、導電性が向上する。それゆえ、導電性の観点から、この質量比は2.5以下であることが好ましく、2.3以下であることがより好ましい。一方、この質量比が大きくなる程、バインダー樹脂の量が大きくなる。そのため、この質量比が大きい場合、チタン基材と塗膜との密着性が大きくなる。それゆえ、密着性の観点から、この質量比が0.3以上であることが好ましく、0.4以上であることがより好ましい。
水性の媒体としては、例えば、水又はエタノール等を用いることができる。油性の媒体としては、例えば、トルエン又はシクロヘキサノン等を用いることができる。
炭素粒子の平均粒径は20~200nmであることが好ましい。炭素粒子は塗料中で凝集体を作りやすい傾向があるため、凝集体が形成しないように工夫された塗料を用いることが好ましい。例えば、炭素粒子として、カルボキシル基等の官能基を表面に化学結合させて粒子間の反発を強めることにより分散性を高めたカーボンブラックを用いることが好ましい。
基材の表面への炭素粒子の塗布量は、特に制限されるものではなく、導電性等を考慮して適宜選択することができる。炭素粒子の塗布量は、導電性の観点から、1.0μg/cm以上であることが好ましく、2.0μg/cm以上であることがより好ましい。なお、炭素粒子の塗布量は、50μg/cm以下であることが好ましい。炭素粒子の塗布量をこれより多くしても導電性を向上させる効果が飽和する傾向がある。
炭素粒子を分散させた分散液を基材に塗付する方法としては、例えば、刷毛塗り、バーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、ダイコーター、ディップコーター、又はスプレーコーター等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、粉末の形態で塗布する方法としては、例えば、炭素粒子を用いて作製したトナーを使用し、基材に該トナーを静電塗装する方法が挙げられる。
(酸化処理工程)
次に、基材を酸化雰囲気下で熱処理して導電性無機材料を形成する。図3Bは、酸化処理工程により基材(例えばチタン基材)2の表面に導電性無機材料(例えば酸化チタン)4が形成された状態を示す概略断面図である。酸化処理工程において、炭素粒子5が塗布された基材2が酸化雰囲気下で熱処理されると、基材2中の金属元素(例えばチタン)が炭素粒子5の間に外方拡散し、その外方拡散した金属の一部又は全部が酸化されて金属酸化物(例えば酸化チタン)4を形成する。これにより、導電性無機材料4中に炭素粒子5が分散した表面層3が形成される。
酸化雰囲気は、熱処理により金属(例えばチタン)が酸化して金属酸化物(例えば酸化チタン)が形成される雰囲気であれば、特に制限されるものではないが、酸化雰囲気が25Pa以下である低酸素分圧を有することが好ましい。酸化処理工程における酸素分圧が25Paを超えると、炭素粒子が燃焼して二酸化炭素になり、炭素粒子が消失する可能性がある。また、炭素粒子の酸化分解が生じるとともに、基材の表面が露出した部分で金属の酸化が過剰に起こり、金属酸化物4が厚くなり過ぎる場合がある。そのため、酸素分圧は、25Pa以下であることが好ましく、20Pa以下であることがより好ましく、15Pa以下であることがさらに好ましく、10Pa以下であることが特に好ましい。酸素分圧は、減圧により、又はArガスや窒素ガス等の不活性ガスを用いることにより、適宜調整することができる。また、酸素分圧は、酸化促進の観点から、0.05Pa以上であることが好ましく、0.1Pa以上であることがより好ましく、0.5Pa以上であることがさらに好ましい。熱処理の温度は、例えば、300~800℃の温度範囲であり、500~750℃であることが好ましい。酸素分圧及び熱処理の温度がそれぞれ前記した範囲である場合、基材2から外方拡散した金属(例えばチタン)の一部又は全部が雰囲気中の微量の酸素と反応して金属酸化物(例えば酸化チタン)となり、金属酸化物と炭素粒子が混合した表面層3を容易に形成することができる。
熱処理の時間は、熱処理の温度や酸素分圧等の条件を考慮して、適宜選択できる。熱処理の時間は、例えば、熱処理の温度が500℃の場合は1~60分であり、700℃の場合は10~120秒である。
本実施形態に係る燃料電池用セパレータ材の製造方法は以上の通りであるが、以上に述べた工程以外の工程を任意に実施してもよい。例えば、塗布工程前に炭素濃度低減処理工程を行ってもよい。
炭素濃度低減処理工程は、塗布工程の前に、基材の表面を処理して、基材表面の炭素濃度を低くする工程である。具体的には、炭素濃度低減処理工程は、例えば、チタン基材の最表面に存在する有機物等による汚染領域やチタンカーバイド等の炭化物が形成されている領域を除去する工程である。一般的に、これらの領域が除去された後、基材表面には自然酸化皮膜が形成される。炭素濃度低減処理工程では、最表面から深さ10nmの位置での炭素濃度を10原子%以下にすることが好ましい。
炭素濃度低減処理工程は、例えば、フッ酸を含む酸性水溶液で基材を酸洗する工程を含む。
なお、炭素濃度低減処理工程での処理方法としては、前記した酸洗処理に限定されるものではない。炭素濃度低減処理工程として、例えば、真空中(例えば1.3×10-3Pa未満)で650℃以上の温度で熱処理することにより、炭素を基材中に拡散させる方法や、ショットブラストや研磨等により炭素濃度が高い層を物理的に除去する方法等も適用可能である。
また、他の工程として、例えば、炭素濃度低減処理工程の前に、材料を所望の厚さに圧延してコイルに巻き取る圧延・巻き取り工程や、圧延油を除去する脱脂工程を行ってもよい。また、炭素濃度低減処理工程と塗布工程の間に基材を洗浄して乾燥する洗浄・乾燥工程を行ってもよい。塗布工程と酸化処理工程との間に塗布面を乾燥する乾燥工程を行ってもよい。さらに、酸化処理工程の後に、熱処理で生じた長さ方向の基材の反りを矯正して、平坦化させる矯正工程(レベリング工程)を行ってもよい。なお、矯正は、例えば、テンションレベラー、ローラーレベラー又はストレッチャーを用いることにより行うことができる。また、矯正工程を終えた燃料電池用セパレータ材を洗浄して乾燥する洗浄・乾燥工程を行ってもよい。該洗浄により、表面層上に存在する余剰な炭素粒子を除去してもよい。また、矯正工程を終えた燃料電池用セパレータ材を所定の寸法に裁断する裁断工程を行ってもよい。これらの工程はいずれも任意の工程であり、必要に応じて行うことができる。
<燃料電池用セパレータの製造方法>
本実施形態に係る燃料電池用セパレータ材を用いて燃料電池用セパレータを作製するには、燃料電池用セパレータ材に対して、ガスを流通させるガス流路及び当該ガス流路にガスを導入するガス導入口を形成させるプレス成形工程を行うことが好ましい。
プレス成形は、例えば、所望の形状を有する成形用金型(例えば、ガス流路及びガス導入口を形成する成形用金型)を装着したプレス成形装置を用いて行うことができる。なお、必要に応じて、成形時に潤滑剤を使用してもよい。潤滑剤を用いてプレス成形する場合は、潤滑剤を除去するための工程をプレス成形工程後に行うことが好ましい。
[参照例]
図5は、炭素材料及び酸化チタン(TiOx)について、電位と酸化電流密度の関係を示す分極曲線である。4本の炭素材料の分極曲線は、それぞれ、炭素材料と酸化チタンの面積比が1:1(最も上の曲線)、0.5:1(上から二番目の曲線)、0.2:1(上から三番目の曲線)、0.1:1(最も下の曲線)となるようにそれぞれ調整して測定したものである。
図6は、図5の結果から算出した、炭素材料と酸化チタンの面積比(1、0.5、0.2又は0.1)に対する抵抗上昇値をプロットしたグラフである。抵抗上昇値は、炭素材料と酸化チタンの面積比が1(1:1)の場合の値を基準にして算出した。具体的には、各抵抗上昇値は、図5の各炭素材料の分極曲線と酸化チタンの分極曲線の交点における各酸化電流密度を、面積比が1(1:1)の場合の酸化電流密度で割ることにより算出した。
図6より、面積比(炭素材料の表面積/酸化チタン表面積)が0.2以下である場合、抵抗上昇値が急激に低下することが理解される。そのため、炭素材料の面積S1の導電性無機材料の面積S2に対する比(S1/S2)が0.2以下となるように表面層を形成することにより、耐腐食性に優れた燃料電池用セパレータ材を提供することができることがわかる。
1 燃料電池用セパレータ材
2 基材
3 表面層
4 導電性無機材料
5 炭素材料(炭素粒子)

Claims (1)

  1. 基材の上に、導電性無機材料と該導電性無機材料中に分散した炭素材料とを含む表面層を備える、燃料電池用セパレータ材であって、
    前記表面層の表面において、前記炭素材料の面積S1の前記導電性無機材料の面積S2に対する比(S1/S2)が、0.1以上0.2以下であ
    前記基材がチタン又はチタン合金であり、
    前記導電性無機材料が、TiO (1<x<2)で表される酸化チタンである、燃料電池用セパレータ材。
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