JP7201413B2 - 分析装置および分析プログラム - Google Patents
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Description
一方、例えばスマートフォン等の携帯機器は、携帯性に優れるうえに、通信機能、マイク、スピーカ、カメラなどの機能だけでなく、加速度センサ、磁気センサ、照度センサなど数種類のセンサを搭載し、上記のセンサを応用した多種多様なアプリケーションが作成されている。
なお、以下の複数の実施形態では、回転機器の一例として電動機2(図3参照)の劣化を診断する際に行う分析について説明する。回転機器は電動機2に限定されるものではなく、他の機器であっても実施形態の分析装置および分析プログラムを適用することができる。
電動機2は、固定子と、ロータと、転がり軸受と、冷却ファンと、を備えている。また、電動機2はインバータ(図示せず)により駆動され得る。
転がり軸受はロータを支持し、電動機の運転時間の増大とともに劣化が進行する。劣化が進行すると、軸受の構成部品である内輪や外輪に損傷が生じることがある。こうした損傷は電動機2の異常音の原因となる。したがって、軸受に生じた損傷の有無は、ロータの回転時に生じる異常音の繰り返し周波数スペクトルの大きさにより診断することが可能である。
本実施形態の分析装置および分析プログラムは、上記事情を鑑みて、電動機2の状態を診断する際に必要な回転周波数を精度よく検出し、異常振動や異常音の診断に用いるものである。
図1は、一実施形態の分析装置の一構成例を概略的に示すブロック図である。
本実施形態の分析装置に相当する携帯端末1は、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末などであるが、これらに限定されるものではない。携帯端末1は、制御部11と、記憶部12と、集音部13と、外部と通信可能に構成された通信部(図示せず)と、を備えている。記憶部12、集音部13、および、通信部は、バス通信線を介して制御部11と通信可能に接続している。
制御部11は、信号処理部111と、信号解析部112と、診断部113と、を備えている。
信号処理部111は、集音部13にて集音された音を電気信号に変換した音響信号を受信し、デジタルデータに変換して、記憶部12に電子ファイルとして保存する。
図2は、一実施形態の分析装置により診断対象機器の診断を行う動作の一例を説明するフローチャートである。
最初に、本実施形態の分析装置は、電動機2の回転周波数の推定値を検出する(ステップSA1)。
冷却ファンでは、ファンから空気へ伝わる衝撃により高調波音が発生する。このときの高調波音の基本周波数は、冷却ファンの羽根枚数と回転周波数との積で表され、羽根切り周波数と称される。
本実施形態の分析装置の利用者は、電動機2の近傍に携帯端末1を配置し、携帯端末1のユーザインタフェースを操作して、集音部13により冷却ファンの音を測定する。集音部13は、測定した高調波音を電気信号に変換した音響信号を、バス通信線を介して制御部11へ送信する。
制御部11の信号解析部112は、集音部13から受信した音響信号を用いて周波数スペクトルを演算する。
信号解析部112は、算出した周波数スペクトルが最大ピークとなる周波数(ピーク周波数)を取得し、電動機2の冷却ファンの羽根枚数と、ピーク周波数とから電動機2の回転周波数の推定値を演算することができる。
本実施形態の分析装置の利用者は、電動機2の冷却ファンの音を測定した後に、携帯端末1のユーザインタフェースを操作して、集音部13により電動機2の軸受付近から発せられた音を測定する。
集音部13は、測定した音を電気信号に変換した音響信号を、バス通信線を介して制御部11へ送信する。制御部11の信号処理部111は、集音部13から受信した音響信号を受信し、デジタルデータに変換して、記憶部12に電子ファイルとして保存する。
この例では、周波数スペクトルの25Hz、40Hz、50Hz付近などに複数のピークが存在するため、この演算結果のみから回転周波数を判断することは困難である。
診断部113は、上記ステップSA3にて得られた電動機2の回転周波数を信号解析部112から受信し、電動機2の回転周波数を用いて、測定した電動機2の音響信号から、例えば上述の第1式にて軸受の損傷の有無を判断するなど、電動機2の劣化を診断することが可能である。
すなわち、本実施形態によれば、対象機器が設置された現場にて対象機器の状態を診断するための分析が可能な分析装置および分析プログラムを提供することができる。
図6では、インバータのキャリア周波数を4Hzとし、インバータの出力周波数を50Hzとして電動機2を動作させたときの、音響信号の周波数スペクトルの一例を示している。この例では、電動機2の同期速度である25Hz周辺で顕著なピークが観測されないため、信号解析部112が、この音響信号の周波数スペクトルに基づいて、電動機2の回転周波数を特定することが困難である。
図6に示す周波数スペクトルの例では、周波数が25Hzの近傍に顕著なピークがみられるため、信号解析部112は回転周波数の推定値と上記ピーク周波数とから、25Hzが回転周波数であると判断することができる。
信号解析部112は、例えば、同期速度に基づいて検出した回転周波数の推定値と周波数スペクトルのピーク周波数とを比較し、回転周波数の推定値との差が所定の閾値以下となる周波数スペクトルのピーク周波数を、電動機2の回転周波数として判断することができる。
すなわち、本実施形態によれば、対象機器が設置された現場にて対象機器の状態を診断するための分析が可能な分析装置および分析プログラムを提供することができる。
図8は、一実施形態の分析装置の一構成例を概略的に示すブロック図である。
本実施形態の分析装置は、上述の第1実施形態の携帯端末1が加速度測定部14を更に備えた構成である。
加速度センサは、例えば、図9に示すX方向、Y方向、Z方向それぞれの正方向および負方向の合計6つの方向について加速度を測定することが可能である。
なお、本実施形態では、携帯端末1の表示部(操作画面)と利用者が対向するように位置しているとき、X方向は、利用者の左右方向であり、Y方向は利用者の上下方向であり、Z方向は利用者の奥行方向である。
本実施形態の分析装置では、信号処理部111は、集音部13にて集音された音を電気信号に変換した音響信号と、加速度測定部14にて測定された加速度を電気信号に変換した加速度信号とを受信し、デジタルデータに変換して記憶部12に電子ファイル(電子データ)として保存することができる。
最初に、本実施形態の分析装置は、電動機2の回転周波数の推定値を検出する(ステップSA1)。
本実施形態では、分析装置の利用者は、図10のように分析装置の携帯端末1の一部が電動機2の一部に接触するように配置し、携帯端末1のユーザインタフェースを操作して、加速度測定部14により電動機2の振動加速度を測定し、加速度信号の電子ファイルを記憶部12に保存する。
加速度信号の測定が終了すると、分析装置の信号解析部112は、記憶部12に保存された加速度信号を読み出し、周波数スペクトルを計算する。
信号解析部112は、計算した周波数スペクトルのピークを検出する。図11に示す例では、信号解析部112は、周波数スペクトルの25Hzに顕著なピークを検出し、回転周波数の推定値が25Hzであると判断する。
本実施形態の分析装置の利用者は、携帯端末1を操作して電動機2の軸受付近から発せられた音(診断対象音)を測定する。信号処理部111は、集音部13にて集音された音を電気信号に変換した音響信号を受信し、デジタルデータに変換して、記憶部12に電子ファイル(電子データ)として保存することができる。
なお、以下では、本実施形態の分析装置における電動機2の診断対象音の周波数スペクトルとして、上述の図5に示す例を参照して説明する。
信号解析部112は、ステップSA1にて検出された回転周波数の推定値(25Hz)に基づいて、例えば図5に示す診断対象音の周波数スペクトルから、回転周波数は25Hzであると判断することができる。
このとき、信号解析部112は、例えば、回転周波数の推定値と、診断対象音の周波数スペクトルのピーク周波数とを比較し、両者の差が所定の閾値以下となる周波数スペクトルのピーク周波数を、電動機2の回転周波数であると判断することができる。
診断部113は、ステップSA3にて得られた電動機2の回転周波数を信号解析部112から受信し、電動機2の回転周波数を用いて、測定した電動機2の音響信号から、例えば上述の第1式にて軸受の損傷の有無を判断するなど、電動機2の劣化を診断することが可能である。
すなわち、本実施形態によれば、対象機器が設置された現場にて対象機器の状態を診断するための分析が可能な分析装置および分析プログラムを提供することができる。
本実施形態の分析装置は、上述の第3実施形態の分析装置の携帯端末1が磁気計測部15を更に備えたものである。
磁気計測部15は、本実施形態の分析装置の周囲の磁気を電気信号である磁気信号に変換する機能を有する磁気センサを少なくとも1つ備えている。磁気計測部15は測定した磁気に基づく磁気信号を、バス通信線を介して制御部11へ供給可能である。
本実施形態の分析装置では、信号処理部111は、集音部13にて集音された音を電気信号に変換した音響信号と、加速度測定部14にて測定された加速度を電気信号に変換した加速度信号と、磁気計測部15にて測定された磁気を電気信号に変換した磁気信号とを受信し、これらの電気信号をデジタルデータに変換して記憶部12に電子ファイル(電子データ)として保存することができる。
次に、本実施形態の分析装置により、診断対象機器である電動機2の診断を行う手順の一例について説明する。ここでは、電動機2の回転数が低いときに、電動機2の診断を行う手順の一例について説明する。
最初に、本実施形態の分析装置は、回転機器の加速度信号の周波数スペクトルを演算する(ステップSB1)。
加速度信号の測定が終了すると、分析装置の信号解析部112は、記憶部12に保存された加速度信号を読み出し、周波数スペクトルを計算する。
続いて、信号解析部112は、計算された加速度信号の周波数スペクトルに顕著なピークがあらわれているか否かを判断する(ステップSB2)。
信号解析部112は、加速度信号の周波数スペクトルに顕著なピークがあらわれているときには、上述の第3実施形態と同様に、電動機2の回転周波数の推定値を設定し(ステップSB3)、電動機2が駆動しているときに軸受近傍で生じる音を測定し(ステップSB4)、ステップSB4で得られた音響信号の周波数スペクトルから電動機2の回転周波数を特定する(ステップSB5)。
磁気信号の測定が終了すると、分析装置の信号解析部112は、記憶部12に保存された磁気信号を読み出し、周波数スペクトルを計算する(ステップSB7)。
信号解析部112は、磁気信号の周波数スペクトルの顕著なピークを検出し、電動機2の回転周波数の推定値とする。ステップSB7では、信号解析部112は、検出された電動機2の回転周波数の推定値を、電動機2の回転周波数として設定する。図15に示す例では、信号解析部112は、例えば5Hzに周波数スペクトルの顕著なピークを検出し、この値を回転周波数と判断する。
利用者は、携帯端末1を操作して電動機2の軸受付近から発せられた音を測定する。信号処理部111は、集音部13にて集音された音を電気信号に変換した音響信号を受信し、デジタルデータに変換して、記憶部12に電子ファイルとして保存する。
診断部113は、得られた電動機2の回転周波数を用いて、測定した電動機2の音響信号から、例えば第1式にて軸受の損傷の有無を判断するなど、電動機2の劣化を診断することが可能である。
すなわち、本実施形態によれば、対象機器が設置された現場にて対象機器の状態を診断するための分析が可能な分析装置および分析プログラムを提供することができる。
図16は、一実施形態の分析装置の一構成例を概略的に示すブロック図である。
本実施形態の分析装置は、第1実施形態の携帯端末1が撮影部16と表示部17とを更に備えた構成である。
なお、表示部17は、タッチパネル機能を備えていてもよく、この場合には、ユーザは表示部に指やペンなどで接触することにより、各種操作を行うことが可能である。
本実施形態の分析装置では、信号処理部111は、集音部13にて集音された音を電気信号に変換した音響信号と、撮影部16にて撮影された画像を電気信号に変換した画像信号とを受信し、これらの電気信号をデジタルデータに変換して記憶部12に電子ファイル(電子データ)として保存することができる。
最初に、本実施形態の分析装置は、電動機2の回転周波数の推定値を検出する(ステップSA1)。
例えば、撮影部16により240fpsで動画像を撮影した場合、1秒間に240枚の画像が撮影される。本実施形態では、例えば、図17に示す電動機2の画像を1枚目とし、再びマーカーMが同じ位置まで回転した画像は10枚目であった。この場合、1枚目の画像から10枚目の画像までの時間経過は0.0417秒(10/240)となり、0.0417秒でマーカーMが約一回転していることとなる。
上記のように、本実施形態の分析装置では、撮影部16にて撮影された画像に基づく画像信号は、回転機器の回転周波数の推定値を検出するための信号であって、本実施形態において、撮影部16は、回転機器の回転周波数の推定値を検出するための信号を測定する追加測定部を含むものである。
本実施形態の分析装置の利用者は、携帯端末1を操作して電動機2の軸受付近から発せられた音を測定する。信号処理部111は、集音部13にて集音された音を電気信号に変換した音響信号を受信し、デジタルデータに変換して、記憶部12に電子ファイルとして保存する。
例えば図5に示す周波数スペクトルについて検討すると、信号解析部112は、ステップSA1にて検出された回転周波数の推定値(24Hz)に基づいて、25Hzが電動機2の回転周波数であると判断することができる。このとき、信号解析部112は、例えば、ステップSA1にて検出された回転周波数の推定値と、音響信号の周波数スペクトルのピーク周波数とを比較して、両者の差が所定の閾値以下となる周波数スペクトルのピーク周波数を、電動機2の回転周波数として判断することができる。
診断部113は、ステップSA3にて得られた電動機2の回転周波数を用いて、測定した電動機2の音響信号から、例えば上述の第1式にて軸受の損傷の有無を判断するなど、電動機2の劣化を診断することが可能である。
すなわち、本実施形態によれば、対象機器が設置された現場にて対象機器の状態を診断するための分析が可能な分析装置および分析プログラムを提供することができる。
上記第1乃至第5実施形態において、ステップSA1乃至ステップSA4およびステップSB1乃至ステップSB9は、全ての工程がソフトウエアにより自動的に実行されるものであってもよく、ステップSA1乃至ステップSA4およびステップSB1乃至ステップSB9の工程の一部がソフトウエアにより実行されるものであってもよい。いずれの場合であっても上述の第1乃至第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
Claims (3)
- 周囲環境の音を電気信号である音響信号に変換する集音部と、
回転機器の回転周波数の推定値を検出するための信号を測定する追加測定部と、
前記音響信号および前記追加測定部にて測定された信号を記録可能な記憶部と、
前記追加測定部にて測定された信号に基づいて前記回転周波数の推定値を検出し、前記回転周波数の推定値と前記音響信号の周波数スペクトルのピーク周波数とから、前記回転周波数を特定する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記音響信号から前記回転機器を駆動するインバータのキャリア周波数を含む所定の周波数範囲のデータを抽出し、前記データのエンベロープ処理を行った後に周波数スペクトルを算出して、前記周波数スペクトルのピーク周波数と前記回転周波数の推定値とから前記回転周波数を特定する、分析装置。 - 前記集音部および前記追加測定部を一体に備えた携帯端末である、請求項1記載の分析装置。
- 請求項1に記載の分析装置の前記制御部で行う処理を、前記分析装置が備えるプロセッサに実行させるプログラム。
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