JP6283591B2 - 回転機械の自動振動診断装置 - Google Patents
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Description
特許文献1に開示の固有振動モード計測装置は、「固有振動モードを計測する回転体の回転数を検出する回転計と、前記回転数と前記回転体の振動検出点の位置とから前記振動検出点における移動速度を検出する速度検出器と、前記振動検出点の振動速度を計測するレーザドップラー振動計と、前記振動速度検出信号を前記移動速度およびn次のモード波数で振動モードの回転による周波数シフトの影響を補正してFFT演算を行い、周波数の分析を行い振動スペクトルを算出する周波数分析計と、前記周波数分析計からの振動スペクトルを比較して、固有振動数を検出するピーク検出器とを設けたことを特徴とする」(特許文献1の請求項1参照)ものである。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものである。
前記振動診断手段は、前記診断用波形生成手段で生成された前記速度波形、前記変位波形、前記加速度波形、及び前記加速度エンベロープ波形の4つの波形データについて、振動レベルを求めると共に、それぞれ周波数分析、自己相関解析の信号処理を行い、特徴的な周波数成分、周期成分を抽出し、該抽出した周波数成分、周期成分及び振動レベルと予め設定した異常時の周期成分、周波数成分及び振動レベルとを比較することによって異常かどうかの診断を行うことを特徴とするものである。
診断用波形生成手段7と振動診断手段9は、コンピュータのCPUが所定のプログラムを実行することで実現される。
自動振動診断装置1を構成する機器について以下詳細に説明する。
レーザドップラ振動計3は、運動している物体にレーザを当てると、物体の振動状態に応じてレーザの反射波の周波数が変化することを利用したものであり、振動速度のアナログ波形を出力する。
測定周波数範囲は、10Hz〜10kHzまでの高周波数成分が含まれる速度信号が必要である。
その理由は、回転機械から生じる異常には数Hz〜数百Hzの間に現れるアンバランス振動・ガタ振動・ギヤのかみ合い振動などの1kHzまでの速度領域振動と、異常時に数kHzの高周波振動を発生する転がり軸受の加速度領域の振動が必要であり、回転機械の異常診断を行うためには、これら低周波数から高周波数までの広帯域の信号が必要とされるからである。
データ収集ユニット5は、レーザドップラ振動計3から出力されるアナログの速度波形をデジタルの速度波形に変換する機能、及びレーザドップラ振動計3から出力されるアナログの速度波形を微分してアナログの加速度波形を生成し、これをデジタルの加速度波形に変換する機能を有している。
ここで生成される加速度波形の周波数範囲は、速度と同様の10Hz〜10kHzとする。
データ収集ユニット5からは、デジタル変換された速度波形と加速度波形がPCに対して出力される。
診断用波形生成手段7は、診断用速度波形の生成、診断用変位波形の生成、診断用加速度波形の生成及び診断用加速度エンベロープ波形の生成の各機能を有している。
以下、各機能について説明する。
データ収集ユニット5から送信された速度波形データに対して適切なフィルター処理を行う。一般的に10Hzハイパスフィルター、1kHzローパスフィルターの処理を行うことで回転機械のアンバランス等の診断に必要な速度波形を作成し、その波形からpeak値やrms値などを算出する。
データ収集ユニット5から送信された速度波形データに対して積分処理を行い、振動変位波形を作成する。作成後、適切なフィルター処理を行う。一般的に3Hzハイパスフィルター、100Hzローパスフィルターの処理を行うことで回転機械の診断に必要な変位波形を作成し、その波形からpeaktopeak値やrms値などを算出する。
データ収集ユニット5から送信された加速度波形データに対して適切なフィルター処理を行う。一般的に1kHzハイパスフィルター、10kHzローパスフィルターの処理を行うことで回転機械の軸受等の診断に必要な加速度波形を作成し、その波形からpeak値やrms値などを算出する。
データ収集ユニット5から送信された加速度波形データに対して適切なフィルター処理を行った後、エンベロープ処理を施すことにより回転機械の軸受等の診断に必要な加速度エンベロープ波形を作成する。
振動診断手段9は、診断用波形生成手段7で生成された診断用速度波形、診断用変位波形、診断用加速度波形、及び診断用加速度エンベロープ波形の4つの波形データについて、それぞれ周波数分析、自己相関解析などの信号処理を行い、特徴的な周波数成分、周期成分などを抽出する。
一方、振動診断手段9は、あらかじめ想定される回転機械の異常原因を定義しておき、異常原因毎に、異常が発生したときの振動レベル・卓越する周波数成分・卓越する周期成分などの詳細情報を異常原因分析マトリクスとして登録しておく。
異常原因分析マトリクスの例を以下に示す。
振動レベル判定結果とは、振動レベルの範囲ごとに、例えば「a」レベル、「b」レベル、「c」レベルというようなグループ分けをしたものである。
周波数成分の類似度とは、周波数成分に対して、予め異常原因ごとに設定した標準パターンと測定結果から得られた診断対象の数値を比較して、類似度のレベルを「d」レベル、「e」レベル、「f」レベルというようなグループ分けをしたものである。
周期成分の類似度とは、周期成分に対して、予め異常原因ごとに設定した標準パターンと測定結果から得られた診断対象の数値を比較して、類似度のレベルを「g」レベル、「h」レベル、「i」レベルというようなグループ分けをしたものである。
例えば、振動レベル判定結果が「a」レベル、周波数成分の類似度が「d」レベル、周期成分の類似度が「g」レベルであれば、可能性の高い異常原因としてアンバランスが特性され、その名称が画面表示される。
診断方法には、データ収集工程と、診断用波形生成工程と、診断工程を有する。以下、各工程を順に説明する
(1)レーザドップラ振動計3を診断対象となる回転機械に向けて設置し、データ収集ユニット5を用いて、レーザドップラ振動計3から出力される振動速度アナログ波形を採取する。
この時採取される速度信号の測定周波数範囲は、10Hz〜10kHzまでの高周波数成分が含まれる。
(3)データ収集ユニット5で採取した速度波形と加速度波形をパソコン(PC)に転送するために、データ収集ユニット5内部にてA/D変換を行い、速度波形と加速度波形の2つの波形データをPCに転送する。
(4)次に、診断用波形生成手段7で、上述した信号処理をすることによって、診断用速度波形、診断用変位波形、診断用加速度波形、及び診断用加速度エンベロープ波形の4つの波形を生成する。
(5)振動診断手段9が、診断用波形生成手段7によって得られた4つの波形データについて、それぞれ周波数分析、自己相関解析などの信号処理を行い、振動レベルの判定、特徴的な周波数成分、周期成分の抽出を行い、これで得られた結果と、上記の異常原因マトリクスを照合することで、異常原因を自動診断して、その結果、可能性の高い異常原因名称を画面表示する。
また、従来の加速度センサでは測定が不可であった高温設備の振動診断が可能となる。
(従来型の加速度センサは温度影響により熱歪みが発生してしまうため高温部での正しい測定ができず、80℃程度までの測定が限界となっている。)
さらに、従来の加速度センサそのものを設置することができないような狭い箇所の測定でも本装置ではレーザスポットを当てることができるため、これまで不可能であった機械(小型機械・ロボット等)の診断を精度良く行うことが可能となる。
自動位置決め装置を併用することにより、遠隔からの多点自動測定が可能となる。これによって、従来法で必要とされた測定箇所への加速度センサ設置・モニタ装置の設置・センサ〜モニタ装置までのケーブル布設工事などが不要となり、経済的である。
3 レーザドップラ振動計
5 データ収集ユニット
7 診断用波形生成手段
9 振動診断手段
11 モニタ
Claims (1)
- 測定周波数範囲が10Hz〜10kHzのレーザドップラ振動計と、該レーザドップラ振動計から出力されるアナログの速度波形をデジタルの速度波形に変換する機能及び前記レーザドップラ振動計から出力されるアナログの速度波形を微分してアナログの加速度波形を生成し、これをデジタルの加速度波形に変換する機能を有し、生成する波形の周波数範囲が10Hz〜10kHzのデータ収集ユニットと、該データ収集ユニットから出力されるデジタル波形に基づいて振動診断に必要な10Hz〜1kHzの速度波形、3Hz〜100Hzの変位波形、1kHz〜10kHzの加速度波形及び加速度エンベロープ波形を生成する診断用波形生成手段と、該診断用波形生成手段によって生成された診断用波形に基づいて振動診断を行う振動診断手段とを備え、
前記振動診断手段は、前記診断用波形生成手段で生成された前記速度波形、前記変位波形、前記加速度波形、及び前記加速度エンベロープ波形の4つの波形データについて、振動レベルを求めると共に、それぞれ周波数分析、自己相関解析の信号処理を行い、特徴的な周波数成分、周期成分を抽出し、該抽出した周波数成分、周期成分及び振動レベルと予め設定した異常時の周期成分、周波数成分及び振動レベルとを比較することによって異常かどうかの診断を行うことを特徴とする回転機械の自動振動診断装置。
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