JP7201124B2 - 高疲労強度鋼の素材となる鋳片の清浄度評価方法及び高疲労強度鋼の製造方法 - Google Patents

高疲労強度鋼の素材となる鋳片の清浄度評価方法及び高疲労強度鋼の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高疲労強度鋼の素材となる鋳片の清浄度評価方法及び高疲労強度鋼の製造方法に関する。
鋼中に存在する析出物や介在物(以下、介在物と総称)が鉄鋼製品の特性に様々な影響を与えることは古くから知られている。このため、鋼中における介在物の存在状態を評価するための手法が数多く提案されている。特に、軸受鋼のように高疲労強度を得るために高い清浄度が要求される鉄鋼製品については、低頻度で存在する粒径の大きい介在物が欠陥の起点になることが多いため、鋼の清浄度に関する様々な評価手法が提案されている。ところが、従来は、鉄鋼製品の寿命を決定する要素としては介在物の種類より大きさが支配的であると考えられていたために、介在物の大きさに基づく特性値から鋼の清浄度が評価されてきた。具体的には、光学顕微鏡を利用して介在物を観察し、観察結果から介在物の大きさを判定し、極値統計法を用いて鋼の清浄度を評価する手法が長年用いられてきた。例えば特許文献1には、光学顕微鏡と極値統計法とから鋼中の介在物の最大径を予測する方法が記載されている。これに対して、特許文献2には、走査型電子顕微鏡を用いて介在物の大きさと組成を調査するだけでなく、介在物の種類まで考慮してAl,Ca,Mgの濃度の合計値が40%以上の介在物の予測最大径から鋼材の疲労寿命を予測するより精度の高い方法が記載されている。
特開2006-317912号公報 特開2013-238454号公報
しかしながら、近年、様々な製造プロセスの改良によって清浄度の高い鋼の製造が可能になり、また付加価値の高い鉄鋼製品が求められるようになってきており、光学顕微鏡法のみでは鋼の清浄度を正確に評価できない状況になってきている。これは、鉄鋼製品の寿命に及ぼす影響が介在物の種類によって異なることを示唆しており、介在物の大きさの評価だけでは鋼の清浄度の十分な評価が行えなくなってきている結果である。すなわち、介在物の複合形態や構成元素の組成比が鉄鋼製品の寿命に影響を及ぼしている可能性が高い。従って、特許文献1に記載の方法では、特に疲労寿命を劣化させる介在物とそうでない介在物を一律に評価しているため、予測疲労寿命と実際の疲労寿命との相関が悪い。
これに対して、特許文献2に記載の方法では、疲労寿命に影響しやすい介在物のみで極値統計を行っているため、特許文献1に記載の方法よりも疲労寿命の予測精度は改善している。しかしながら、特許文献2に記載の方法では、製品段階での鋼を試料として介在物の評価を行っていることに起因した疲労寿命に影響しやすい介在物の見逃しがあり、その結果として依然予測疲労寿命と実際の疲労寿命との相関が満足できるレベルに至っていない。特に、現在においては例えば転動疲労のB10寿命で5×10以上という疲労寿命が要求されており、従来よりもさらに高精度に鋼の清浄度を評価し、高疲労強度鋼を製造する技術が求められている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、鋼の清浄度をより正確に評価し、疲労寿命を高精度に予測可能な高疲労強度鋼の素材となる鋳片の清浄度評価方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、より清浄度が高い鋼を製造可能な高疲労強度鋼の製造方法を提供することにある。
本発明に係る高疲労強度鋼の素材となる鋳片の清浄度評価方法は、高疲労強度鋼の素材となる鋳片の清浄度評価方法であって、前記鋳片より採取した試験片に電子線を照射することによって得られる電子像及び特性X線の情報から該試験片中に存在する介在物を特定し、前記特性X線の情報から算出されたAl、Ca、Mg及びTiの濃度の合計値を含む値で前記介在物を分類抽出する分類抽出ステップと、前記分類抽出ステップで分類抽出された介在物について極値統計法を用いて予測最大径を算出し、算出された予測最大径に基づいて前記鋳片の清浄度を評価する評価ステップと、を含む。
前記分類抽出ステップが、Feの濃度を除外して規格化したAl、Ca、Mg及びTiの濃度の合計値が40質量%以上である介在物を分類抽出するステップを含むとよい。
前記分類抽出ステップが、Feの濃度を除外して規格化した濃度でAlを15~50質量%、Caを40~75質量%、Mgを3~25質量%、Tiを0~10質量%含有する介在物を分類抽出するステップを含むとよい。
前記分類抽出ステップが、Feの濃度を除外して規格化した濃度でAlを15~50質量%、Caを40~75質量%、Mgを3~25質量%、Tiを0~10質量%含有する介在物及びTiを70質量%以上含有する介在物の少なくとも一方を分類抽出するステップを含むとよい。
前記分類抽出ステップが、Feの濃度を除外して規格化した濃度でAlを20~70質量%、Caを0~70質量%、Mgを3~30質量%、Tiを0~10質量%含有する介在物及びTiを70質量%以上含有する介在物の少なくとも一方を分類抽出するステップを含むとよい。
本発明に係る高疲労強度鋼の製造方法は、高疲労強度鋼の製造方法であって、前記高疲労強度鋼の素材となる鋳片を製造する素材製造ステップと、前記鋳片より採取した試験片に電子線を照射することによって得られる電子像及び特性X線の情報から該試験片中に存在する介在物を特定し、前記特性X線の情報から算出されたAl、Ca、Mg及びTiの濃度の合計値を含む値で前記介在物を分類抽出する分類抽出ステップと、前記分類抽出ステップで分類抽出された介在物について極値統計法を用いて予測最大径を算出し、算出された予測最大径に基づいて前記鋳片の清浄度を評価する評価ステップと、前記評価ステップで得られた前記鋳片の清浄度の評価に基づいて、該鋳片の圧延の可否を判断する判断ステップと、前記判断ステップで圧延可と判断された鋳片に圧延を施す圧延ステップと、を含む。
前記分類抽出ステップが、Feの濃度を除外して規格化したAl、Ca、Mg及びTiの濃度の合計値が40質量%以上である介在物を分類抽出するステップを含むとよい。
前記分類抽出ステップが、Feの濃度を除外して規格化した濃度でAlを15~50質量%、Caを40~75質量%、Mgを3~25質量%、Tiを0~10質量%含有する介在物を分類抽出するステップを含むとよい。
前記分類抽出ステップが、Feの濃度を除外して規格化した濃度でAlを15~50質量%、Caを40~75質量%、Mgを3~25質量%、Tiを0~10質量%含有する介在物、及びTiを70質量%以上含有する介在物の少なくとも一方を分類抽出するステップを含むとよい。
前記分類抽出ステップが、Feの濃度を除外して規格化した濃度でAlを20~70質量%、Caを0~70質量%、Mgを3~30質量%、Tiを0~10質量%含有する介在物及びTiを70質量%以上含有する介在物の少なくとも一方を分類抽出するステップを含むとよい。
本発明に係る高疲労強度鋼の製造方法は、高疲労強度鋼の製造方法であって、前記高疲労強度鋼の素材となる鋳片を製造する第一素材製造ステップと、前記鋳片より採取した試験片に電子線を照射することによって得られる電子像及び特性X線の情報から該試験片中に存在する介在物を特定し、前記特性X線の情報から算出されたAl、Ca、Mg及びTiの濃度の合計値を含む値で前記介在物を分類抽出する分類抽出ステップと、前記分類抽出ステップで分類抽出された介在物について極値統計法を用いて予測最大径を算出し、算出された予測最大径に基づいて前記鋳片の清浄度を評価する評価ステップと、前記評価ステップで得られた前記鋳片の清浄度の評価に基づいて、前記高疲労強度鋼の素材となる鋳片の後の製造チャンスにおける製造条件の変更の要否を決定する素材製造条件決定ステップと、前記高疲労強度鋼の素材となる鋳片の後の製造チャンスにおいて、前記素材製造条件決定ステップで素材製造条件変更要と決定された場合は、変更した製造条件に従って前記高疲労強度鋼の素材となる鋳片を製造する第二素材製造ステップと、を含む。
前記分類抽出ステップが、Feの濃度を除外して規格化したAl、Ca、Mg及びTiの濃度の合計値が40質量%以上である介在物を分類抽出するステップを含むとよい。
前記分類抽出ステップが、Feの濃度を除外して規格化した濃度でAlを15~50質量%、Caを40~75質量%、Mgを3~25質量%、Tiを0~10質量%含有する介在物を分類抽出するステップを含むとよい。
前記分類抽出ステップが、Feの濃度を除外して規格化した濃度でAlを15~50質量%、Caを40~75質量%、Mgを3~25質量%、Tiを0~10質量%含有する介在物及びTiを70質量%以上含有する介在物の少なくとも一方を分類抽出するステップを含むとよい。
前記分類抽出ステップが、Feの濃度を除外して規格化した濃度でAlを20~70質量%、Caを0~70質量%、Mgを3~30質量%、Tiを0~10質量%含有する介在物及びTiを70質量%以上含有する介在物の少なくとも一方を分類抽出するステップを含むとよい。
本発明によれば、鋼の清浄度をより正確に評価し、疲労寿命を高精度に予測可能な高疲労強度鋼の素材となる鋳片の清浄度評価方法を提供することができる。また、本発明によれば、より清浄度が高い鋼を製造可能な高疲労強度鋼の製造方法を提供することができる。
図1は、転動疲労寿命試験を説明するための図である。 図2は、MgO-Al-Ca(O,S)-MnS介在物の一例を示す図である。 図3は、Ca(O,S)-Al-MgO介在物の一例を示す図である。 図4は、本発明の一実施形態である高疲労強度鋼の製造方法の流れを示すフローチャートである。
本発明の発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、高疲労強度鋼の素材となる鋳片に含まれる介在物について、その組成及び大きさの両方を考慮して評価すれば、製品となる鋼の清浄度をより正確に評価でき、高精度な疲労寿命の予測が可能になることを知見した。具体的には、本発明では、高疲労強度鋼の素材となる鋳片から試験片を採取し、採取した試験片に含まれる介在物粒子を電子顕微鏡で分析することにより得られる介在物の組成情報に基づいて鋼中介在物を分類抽出する。そして、分類抽出された介在物種毎に極値統計法を用いて予測最大径を算出することによって、鋳片の清浄度を評価する。すなわち、本発明の発明者らは、上述のように製品となる鋼が素材の段階である鋳片について鋼の清浄度を評価すると、圧延等を施されて製品となる鋼の疲労寿命をより高精度に予測できることを知見した。これは、鋼中介在物の種類によって鉄鋼製品の疲労寿命に及ぼす影響が異なること、そして疲労寿命に及ぼす影響が大きい鋼中介在物の見逃しを低減し、極値統計法による予測最大径の算出精度を向上させることを考慮することにより想到したものである。
さらに、本発明に係る高疲労強度鋼の素材となる鋳片の清浄度評価方法を利用した清浄度評価に基づいて、鋳片の圧延の可否を判断し、圧延可と判断された鋳片に対してのみ圧延を施すことによって製品を製造する。その結果、清浄度の低い鋳片は製品化されないので、疲労強度に優れた鋼を製造することが可能になる。あるいは、本発明に係る高疲労強度鋼の素材となる鋳片の清浄度評価方法を利用すれば、得られた情報を製造プロセスにフィードバックすることができるので、より清浄度が高い鋼を製造することができる。具体的には、上述した鋳片の清浄度の評価に基づき、次回製造チャンスにおける製造条件の変更の有無を決定する。そして、決定した製造条件に従って次回製造を行なうことによって、清浄度の高い鋳片を得、その結果、疲労強度に優れた鋼を製造することができる。
鋼の疲労寿命を測定する方法の1つに転動疲労寿命試験がある。この試験は、図1に示すように、鋼球Bを鋼Sに一定荷重で押し付けながら円軌道R上を転がし続ける試験である。円軌道R下に存在する一部の鋼Sが介在物の影響で剥離するとその鋼Sは寿命と判定される。本発明の発明者らは、どのような介在物が鋼の寿命を支配しているのか調査するため、転動疲労寿命試験を途中で中断し、円軌道R下の鋼Sの疲労破壊の初期段階にあると考えられる部位に存在する剥離前の介在物の状態を詳細に調査した。その結果、製品製造時の圧延方向に伸延・破断した図2に示すMgO-Al-Ca(O,S)-MnS介在物及びTiNが、剥離直下に存在する割合が高いことを確認した。さらに、後述するMgO-Al介在物又はMgO-AlとTiNの複合介在物との間の空隙から多数の疲労亀裂が発生している様子を確認した。MgO-Al介在物やMgO-AlとTiNの複合介在物は硬質であり、鋼との変形能の違いから介在物周囲に空隙が生成しやすく、初期亀裂の発生が容易になるものと推定される。また、剥離部をさらに試験片厚み方向に研磨して剥離部の下部に内在する介在物を観察すると、図3に示すような粒状のCa(O,S)-Al-MgO介在物及びTiN介在物が認められた。
これらの介在物は、以下のようにして生成されたものと考えられる。まず、MgO-Al-Ca(O,S)-MnS介在物については、その組成から、その起源は、取鍋溶鋼内介在物(スラグ+脱酸生成物)+タンディッシュでの2次脱酸生成物(再酸化物:MgO-Al)であると推定される。また、ブルーム鋳片段階での介在物のサイズは、鋳片~製品圧延後までの圧下比から数10μm程度であると考えられる。また、介在物の伸延長さと組成の関係を調べると、MgO濃度が低いもので伸延長さが短くなる傾向があった。従って、製鋼段階で、再酸化(2次脱酸生成物)により生成したMgO-Alがスラグ系介在物(CaO含有介在物)に凝集して形成され、これが圧延時に伸延する。そして、その際、MgO-AlがCaO含有介在物から分離しながら圧延方向に分散されていく。このため、粗大に伸延したMgO-Al-Ca(O,S)系介在物は、圧延方向に伸延・破断した介在物になるものと推定される。また、TiN介在物は、溶鋼中のTiとNが凝固中に偏析・濃化し、TiとNの濃度積が固溶限を超えた際に晶出したものと考えられる。TiNは単独で晶出することができるが、凝固偏析部にMgO-Al-Ca(O,S)-MnS介在物が存在すると、この介在物を核としてTiNが晶出する場合があり、その際にはMgO-Al-Ca(O,S)-MnS介在物とTiN介在物の複合介在物も形成され得る。
疲労試験で剥離起点となり得る介在物が上述のように生成すると考えれば、問題となる介在物は鋳片段階で既に存在しており、鋳片を観察すれば発見できるはずである。しかも鋳片段階では圧延による介在物の伸延・破断が生じていないため、介在物径が比較的大きい状態にあると考えられる。実際に圧延後の製品試料を観察する場合、圧延による介在物の伸延・破断が生じているため、試験片の研磨の段階でMgO-Al介在物やMgO-AlとTiNの複合介在物の一部がこぼれ落ちてしまい、正確に実際の介在物を測定できない場合がある(図2の下の図に示す例のように介在物が抜け落ちてしまっている所がある)。一方、鋳片試料でMgO-Al介在物やMgO-AlとTiNの複合介在物を観察すると、これらはCaOの内部に取り込まれていることが多い。これは、MgO-AlとCaOの濡れ性が良いため、研磨の段階でこぼれ落ちにくいことによるためである(図3に示す例のように抜け落ちがない)。従って、鋳片段階で介在物の観察・分析を行えば、より容易、且つ、高確率で問題となる介在物を発見でき、正確な清浄度評価が可能になる。その結果、鋼の清浄度と製品の疲労寿命との相関も向上するので、より高精度な疲労寿命の予測が可能になる。
〔高疲労強度鋼の製造方法〕
以下、図4を参照して、本発明の一実施形態である高疲労強度鋼の製造方法について説明する。
図4は、本発明の一実施形態である高疲労強度鋼の製造方法の流れを示すフローチャートである。本発明の一実施形態である高疲労強度鋼の製造方法では、疲労強度を予測したい製品鋼の素材となる鋳片から採取した試験片の清浄度を評価する。例えばブルーム連続鋳造機で連続鋳造し、一定長で切断してブルーム鋳片を得る場合、通常、連続鋳造の開始直後や終了直前を除き、一定の鋳造速度で鋳造されたいわゆる定常部のブルーム鋳片から試験片を採取することが好ましい。連続鋳造の開始直後や終了直前のブルーム鋳片では、非定常に発生する介在物を含有することがあるため、製品には充当されない場合があり、製品鋼の疲労寿命予測のデータとしては適当でないことがあるからである。
但し、これらの部分の製品への充当可否を検討する場合はこの限りではない。また、定常部のブルーム鋳片からは、ブルーム鋳片の鋳造方向先端部又は鋳造方向尾端部を、ブルーム鋳片の鋳造方向に垂直な方向にある厚み(鋳造方向長さ)をもって切断して試験片を採取することができる。ブルーム鋳片の鋳造方向先端部又は鋳造方向尾端部から試験片を採取するのは、定常部のブルーム鋳片であれば、介在物の鋳造方向分布は、製品鋼の疲労寿命予測に影響を及ぼすほど大きくないからである。勿論、ブルーム鋳片の鋳造方向先端部又は鋳造方向尾端部から試験片を採取すれば、試験片が採取しやすく、圧延に供するブルーム鋳片の長さを長くとれるという利点もある。
ブルーム鋳片を、その鋳造方向に垂直な方向に切断した後、さらに切断して介在物調査に供する試験片を採取する。介在物調査に供する試験片は、切断断面(C断面)を観察面とし、ブルーム鋳片の上面(鋳造時の鋳型手前側)から鋳片の厚み(鋳造時の鋳型奥行き)の1/4の長さだけ下方の位置(いわゆる1/4厚み位置)を含むよう採取するとよい。連続鋳造機、特に湾曲型の連続鋳造機では上記の位置に介在物が集積しやすいため、より容易、且つ、高確率で問題となる介在物を発見できるからである。また、ブルーム鋳片の側面から鋳片の幅(鋳造時の鋳型の幅)の1/4の長さだけ幅方向中央部側の位置を含むよう採取するとよい。幅方向端部に近いと鋳型からの影響により、問題となる介在物が含まれなかったり、他の形態の介在物が多く含まれたりする場合がある。幅方向中央部は幅方向端部より影響が少ないが、中心偏析が著しい場合、その影響が介在物形態に影響を及ぼす場合がある。
試験片は、1チャージ(溶鋼鍋1杯)の鋳造のうち、少なくとも定常鋳込み速度の鋳片1本(枚)から採取することが好ましい。採取する試験片の寸法は大きいほど観察面が広くなり多くの介在物の情報が得られるので、少なくとも総測定領域を3000mm程度以上とすることが好ましい。例えば上記位置から10mm×10mmの観察用サンプル30個を採取し、埋め込み材料に埋め込み、鏡面研磨したサンプルを供試材とする。これにより計3000mmの面積を評価することができる。これらサンプルを走査型電子顕微鏡にセットし、観察・分析を行う。一方、任意の位置における介在物の評価を自動で行える装置を利用する場合には1個のサンプルで3000mmの測定領域を確保してもよい。例えば、60mm×60mm程度のサンプルを準備し、1測定あたりの測定範囲を10mm×10mmとして逐次的に場所を変更することで異なる30カ所の観察・分析を行うことによっても同じ評価を行うことができる。但し、鋳片において介在物が均一に存在する訳ではないことを考慮すると、鋳片厚み内の介在物集積帯(例えば1/4厚み位置等)付近について、厚み方向10~30mm、幅方向100mm程度の試料を総測定領域が3000mm以上となる数だけ準備して測定することが好ましい。
図4に示すように、本発明の一実施形態である高疲労強度鋼の製造方法では、まず、上述のように採取した試験片について、複合形態や組成情報等に基づいて鋼中介在物を分類抽出する(ステップS1)。このステップS1の処理は、例えば走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて行う方法が考えられる。SEMは鋼の組織や析出物/介在物の観察/解析用に最も汎用的に用いられる装置の一つであり、鋼に電子線を照射することによって得られる電子像(反射電子像や二次電子像等)及び特性X線の情報から鋼中介在物の大きさ、形状、組成等の情報を一度に得ることができる。
以前のSEMには、1つ1つの粒子を手動で探索、分析する必要性から統計精度を得るためには長時間の分析時間を要するという欠点があったが、近年、装置の改良が進み、介在物を自動で分析できる自動分析装置が市販されるようになってきた。例えば、本発明の一実施形態である高疲労強度鋼の製造方法では、視野に対し所定のステップで電子線を照射、スキャンし、スキャンされたそれぞれのポイントで反射電子像の輝度を記録していく。記録された輝度が介在物の存在を示す閾値以上である場合、介在物のサイズ計測を開始し、その後連続的に特性X線の情報から介在物の元素分析を行い、特性X線の情報から算出されたAl、Ca、Mg及びTiの濃度の合計値を含む値で介在物の分類抽出作業を行う。
このような自動分析装置を利用すれば、無人での終夜自動分析が可能であり、統計精度を得るのに十分な粒子数の情報を比較的短時間で取得することができる。また、得られた情報に基づき大きさや元素組成に応じた鋼中介在物の分類抽出を行うことは容易である。多くの装置では予め設定した閾値等によって自動的に鋼中介在物を分類抽出できるため、鋼の種類に応じて処理方法が決まれば、殆どの操作は人手を介さずに行うことができるため個人差も生じない。
なお、ステップS1の処理では、下記のように介在物を分類抽出することが好ましい。すなわち、Feの濃度を除外して規格化したAl、Ca、Mg及びTiの濃度の合計値が40質量%以上である介在物を分類抽出するとよい。疲労試験で剥離の起点となる介在物は、上述のように、製鋼段階で、再酸化により生成したMgO-Alがスラグ系介在物(CaO含有介在物)に凝集して形成されたものやここにTiNが晶出して複合介在物を形成したものと考えられ、成分元素としてAl、Ca、Mg及びTiを含む。中でも、本発明の発明者らが実施した鋳片及び疲労試験後の試験片の観察に基づく鋼中介在物の組成別の大きさと寿命特性との相関調査の結果、特性X線の情報から算出されたAl,Ca,Mg及びTiの濃度の合計値がFeの濃度を除外して規格化した濃度で40~75重量%の範囲内にある場合に、製品の寿命特性が低い傾向にあったからである。
また、ステップS1の処理では、下記のように介在物を分類抽出することが好ましい。すなわち、Feの濃度を除外して規格化した濃度でAlを15~50質量%、Caを40~75質量%、Mgを3~25質量%、Tiを0~10質量%含有する介在物を分類抽出するとより好適である。なぜなら、この成分範囲が図3に示すCaO中に微細なMgO-Alが多数含まれている介在物の組成であるためである。図3に示す介在物は圧延されると図2に示すように伸展する。CaOは比較的柔らかいので圧延で伸展するが、MgO-Alは硬くそれぞれが圧延で移動することで、MgO-Al同士の間に図2に示すように空隙ができる。この空隙が疲労亀裂の起点となりやすく、著しく疲労寿命が低下する原因となる。
このような疲労強度に著しく悪影響を与える介在物の組成は3質量%≦MgO≦25質量%、且つ、35質量%≦Ca(O,S)≦70質量%、且つ、20質量%≦Al≦55質量%の範囲であり、この範囲を外れると疲労強度への悪影響は通常の介在物と同程度に緩和される。なお、3質量%≦MgO≦25質量%はMgに換算すると3質量%≦Mg≦25質量%に対応し、35質量%≦Ca(O,S)≦70質量%はCaに換算すると40質量%≦Ca≦75質量%に対応し、20質量%≦Al≦55質量%はAlに換算すると15質量%≦Al≦50質量%に対応する。また、上記組成の介在物を核としてTiNが晶出し、複合介在物を形成している場合もあるので、Tiを0~10質量%含有することもある。
なお、上記組成範囲の介在物に加え、Tiを70質量%以上含有する介在物を含めて分類抽出してもよい。また、Tiを70質量%以上含有する介在物のみを分類抽出してもよい。上述のようにTiNは、MgO-Al-Ca(O,S)-MnSを核として晶出し、複合介在物を形成することがあるが、上記複合介在物のうちTiNの部分だけが観察面に露出している場合もある(例えば、試験片をさらに研磨すればMgO-Al-Ca(O,S)-MnS介在物の部分が現れる等)。純粋なTiNが理想的に測定された場合、Ti濃度は77質量%となるので、測定精度を考慮すると、Tiを70質量%以上含有する介在物はTiNと判断してよい。
また、ステップS1の処理では、下記のように介在物を分類抽出してもよい。すなわち、Feの濃度を除外して規格化した濃度でAlを20~70質量%、Caを0~70質量%、Mgを3~30質量%、Tiを0~10質量%含有する介在物及びTiを70質量%以上含有する介在物も分類抽出するとさらに好適である。これまで、MgO-Al-Ca(O,S)-MnS介在物及びこの介在物とTiN介在物との複合介在物を分類抽出すると、鋼の清浄度と製品の疲労寿命との相関も向上することを説明した。但し、実際には、単独のMgO-Al系介在物(スピネル組成)に近いものも観察される。鋳片内にMgO-Al系介在物のクラスターがあると、個々の介在物粒子が圧延で移動し、介在物粒子同士の間に空隙ができる。この空隙が疲労亀裂の起点となりやすく、疲労寿命が著しく低下する原因となる。
本発明の一実施形態である高疲労強度鋼の製造方法では、次に、上記のようにして分類抽出された鋼中介在物について統計処理を行う(ステップS2)。鉄鋼材料によって適切な統計処理は様々であるが、いずれも材質特性に応じて適切な統計処理を行うことによって清浄度評価の正確さが向上する。本発明が対象とする軸受け鋼等の高い疲労強度を要求される鋼においては、大きい鋼中介在物の影響が疲労寿命に甚大な影響を及ぼし、小さい鋼中介在物は数が多くても疲労寿命に及ぼす影響は小さい。このような特性を予測するには、極値統計法を用いて鋼の清浄度を評価する手段が有効である。なお、さらに統計精度を向上させるためには、試料の選定の仕方や被検領域を大きくする等、分析を行う前の操作も重要になる。本発明においては、試料として鋳片を用いることで、より容易、且つ、高確率で問題となる介在物を発見できるようにしたので、統計精度が向上する。
なお、極値統計は定法で行えばよいが、そのときのデータは例えば上述した30個のサンプルの場合にはそれぞれのサンプルのうち最大のサイズとなる介在物1つずつを選択し、合計30個の介在物により極値統計を行うことができる。例えば20mm×20mmのサンプルを8個準備した場合は1つのサンプルを4分割してそれぞれの区画から最大のサイズを示す介在物を1つずつ選択する。介在物の成分範囲を限定する場合はそれぞれの区画からその成分範囲内の介在物のうち最大のサイズの介在物を選択すればよい。全体で32個の介在物データが得られるのでこれらを極値統計用データとして用いればよい。上記の介在物のサイズの決め方は適宜定義すればよいが、例えば介在物の面積から円相当径を求め、この円相当径で介在物のサイズを代表させることができる。
勿論、上記範囲外の種類の介在物を含めた全種類の介在物の予測最大径が、例えば25μm以上に大きくなる場合は、高い疲労寿命は安定して達成できない。しかしながら、予測最大径が25μm未満の高清浄鋼であっても、上記の極端に疲労寿命を低下させる介在物が存在すると、その影響が顕著となるので、この介在物のみに限定して極値統計を行うことにより、より精度の高い予測ができると考えられる。従って、本方法は全種類の介在物の予測最大径が25μm未満である鋼材に対してより有効に効果を発揮する。
本発明の一実施形態である高疲労強度鋼の製造方法では、次に、ステップS1及びステップS2の処理で得られた鋳片の清浄度の評価に基づいて鋳片の圧延の可否を判断し(ステップS3)、ステップS3の処理で圧延可と判断された鋳片に圧延を施す(ステップS4)。例えばステップS1及びステップS2の処理で得られた鋳片の清浄度の評価で上記した介在物の予測最大径が20μmと予測される場合、この鋳片を素材とする製品は高い疲労寿命を呈することが期待されるので、次工程である圧延に供する。これに対して、ステップS1及びステップS2の処理で得られた鋳片の清浄度の評価で介在物の予測最大径が50μmと予測される場合、この鋳片を素材とする製品は疲労寿命が著しく短くなることが懸念されるので、例えば鋳片の段階でスクラップとし再溶解する。鋳片の段階でスクラップとして再溶解することにより、鋳片を圧延した後にスクラップとするよりも圧延に必要なエネルギーや資材費用のロスが削減できる。なお、鋳片をスクラップにはせず、高い清浄性が求められない品種に向け先を変更して鋳片を圧延してもよい。
一方、疲労試験で剥離の起点となる介在物は、上述のように製鋼段階で形成されたものと考えられ、さらに清浄度の高い鋼を製造するためには、得られた介在物の分析結果等の情報を適切に製鋼条件にフィードバックし、より好適な製鋼条件に改善していくことが必要である。そこで、本発明の一実施形態である高疲労強度鋼の製造方法では、上述したステップS1及びステップS2の処理で得られた鋳片の清浄度の評価に基づいて、高疲労強度鋼の素材となる鋳片の次回製造チャンスにおける製造条件の変更の要否を決定する(ステップS5)。そして、ステップS5の処理において素材製造条件変更要と決定された場合、高疲労強度鋼の素材となる鋳片の次の製造チャンスにおいて、変更した製造条件に従って高疲労強度鋼の素材となる鋳片を製造する。これに対して、ステップS5の処理において素材製造条件変更不要と決定された場合は前の製造チャンスと同一の製造条件で高疲労強度鋼の素材となる鋳片を製造する(ステップS6)。例えば、ステップS1及びステップS2で得られた鋳片の清浄度の評価でMgの濃度が高い介在物の予測最大径が大きい場合、Mgは製鋼段階で使用する耐火物や耐火物の損傷を低減するために添加される材料等に多く含まれるので、これらの種類や量を変更する方法が考えられる。逆に介在物種によらず、その予測最大径が大きい場合、溶鋼中に懸濁する介在物の浮上効果を高める処理時間の適正化やタンディッシュ堰の構造見直し等が考えられる。
なお、高疲労強度鋼としては、JIS(日本産業規格)G4805でSUJ2として規定された軸受鋼が例示できる。その成分範囲は、炭素濃度が0.95質量%以上1.10質量%以下、珪素濃度が0.15質量%以上0.35質量%以下、マンガン濃度が0.50質量%以下、燐濃度が0.025質量%以下、硫黄濃度が0.025質量%以下、クロム濃度が1.30質量%以上1.60質量%以下、モリブデン濃度が0.08質量%以下、ニッケル濃度が0.25質量%以下、銅濃度が0.25質量%以下である。その他の規格で規定された軸受鋼としては、ISO(国際標準化機構)683-17規格で100Cr6として規定された軸受鋼、GB(中国国家標準規格)でGCr15として規定された軸受鋼、ASTM(米国試験材料協会)A295規格で52100として規定された軸受鋼、及びDIN(ドイツ規格協会)規格で100Cr6として規定された軸受鋼等を例示できる。ISO(国際標準化機構)683-17規格で100Cr6として規定された軸受鋼の成分範囲は、炭素濃度が0.95質量%以上1.10質量%以下、珪素濃度が0.15質量%以上0.35質量%以下、マンガン濃度が0.25質量%以上0.45質量%以下、燐濃度が0.030質量%以下、硫黄濃度が0.025質量%以下、クロム濃度が1.35質量%以上1.65質量%以下である。
また、JIS G 4053で規定されるクロムモリブデン鋼鋼材(SCM材)も用途により疲労強度が要求される。SCM材の例としてSCM420として規定されたクロムモリブデン鋼材の成分は、炭素濃度が0.18質量%以上0.23質量%以下、珪素濃度が0.15質量%以上0.35質量%以下、マンガン濃度が0.60質量%以上0.90質量%以下、燐濃度が0.030質量%以下、硫黄濃度が0.030質量%以下、ニッケル濃度が0.25質量%以下、クロム濃度が0.90質量%以上1.20質量%以下、モリブデン濃度が0.15質量%以上0.25質量%以下である。その他の規格で規定されたクロムモリブデン鋼材としては、ISO(国際標準化機構)規格、EN(欧州標準化委員会)規格、及びDIN(ドイツ規格協会)規格等で25CrMo4として規定された鋼材、GB(中国国家標準規格)で30CrMnとして規定された鋼材、ASTM(米国試験材料協会)A29規格で4130として規定された鋼材等を例示できる。
その他、JIS G 4051で規定される機械構造用炭素鋼鋼材(SC材)も用途により疲労強度が要求される。SC材の例としてS53Cとして規定されたクロムモリブデン鋼材の成分は、炭素濃度が0.50質量%以上0.56質量%以下、珪素濃度が0.15質量%以上0.35質量%以下、マンガン濃度が0.60質量%以上0.90質量%以下、燐濃度が0.030質量%以下、硫黄濃度が0.035質量%以下である。
本実施例では、転炉、RH脱ガス、及び取鍋加熱精錬設備によって溶製された溶鋼を、湾曲型ブルーム連続鋳造機で連続鋳造して得た、断面サイズが300mm×400mmで長さが約5mのブルーム鋳片を用いた。鋳造した溶鋼の組成は、C:0.95-1.05質量%、Si:0.15-0.25質量%、Mn:0.35-0.45質量%、P:0.005-0.025質量%、S:0.03-0.05質量%、Al:0.015-0.020質量%、Cr:1.5-1.6質量%、Mo:0.1-0.6質量%、N:0.003-0.005質量%、O:0.0005-0.0010質量%の範囲内であった。上記ブルーム鋳片のうち、定常鋳造速度で鋳造された位置のブルーム鋳片について、先端300mmの位置から鋳造方向に100mm厚の鋳片を切り出し、その1/4厚み、1/4幅の位置から鋳片厚さ方向35mm、鋳片幅方向110mmの試料を得た。この試料から鋳込み方向に垂直な面を観察面とする10mm×10mmのSEM観察用試料30個(鋳片厚み方向30mm、鋳片幅方向100mmに対応)を採取した。
試料採取後のブルーム鋳片は、鋼片圧延により圧延ビレットとし、この圧延ビレットをさらに棒鋼圧延して60mmφの製品棒鋼とした。製品棒鋼を圧延方向(長手方向)に対し垂直に切断し、60mmφ、厚み5mmのスラスト型疲労寿命試験用試験片を採取すると共に、疲労寿命試験用試験片と圧延方向に隣り合う位置から圧延方向に垂直な面を観察面とする10mm×10mmのSEM観察用試料40個(20個/面×2面)を採取した。各ブルーム鋳片から採取したSEM観察用試料、及び製品棒鋼から採取したSEM観察用試料のそれぞれについて、SEM観察を行った。SEM観察は、倍率250倍、加速電圧20kVで電子線を照射し、得られた反射電子像からコントラストに基づき介在物サイズを求めた。次いで、SEM観察により1μm以上の粒子として計測された介在物を特性X線により元素分析(EDX分析)した結果に基づき介在物を分類抽出し、対象とすべき成分範囲に入っている介在物について極値統計法を用いて予測最大径を算出した。スラスト型疲労寿命試験は鋼球数3球、負荷荷重400kgf、ヘルツ応力5230MPa、軸回転数1200rpm、応力負荷回数1800cpmの条件で行い、各鋳片の転動疲労寿命を評価した。
発明例では、ブルーム鋳片から採取したSEM観察用試料のデータより算出した予測最大径とスラスト型疲労寿命試験による転動疲労寿命との相関係数を求めた。このうち、発明例1は、Feの濃度を除外して規格化した元素濃度でAlを15~50質量%、Caを40~75質量%、Mgを3~25質量%、Tiを0~10%含有する介在物1を分類抽出した場合、発明例2は、Feの濃度を除外して規格化した元素濃度でAlを15~50質量%、Caを40~75質量%、Mgを3~25質量%、Tiを0~10%含有する介在物1及びTiを70%以上含有する介在物2(介在物1+2)を分類抽出した場合、発明例3は、Feの濃度を除外して規格化した元素濃度でAlを20~70質量%、Caを0~70質量%、Mgを3~30質量%、Tiを0~10%含有する介在物1及びTiを70%以上含有する介在物3(介在物2+3)を分類抽出した場合、発明例4は、Feの濃度を除外して規格化したAl、Ca、Mg、及びTiの濃度の合計値が60質量%以上である介在物を分類抽出した場合、発明例5は、Feの濃度を除外して規格化したAl、Ca、Mg、及びTiの濃度の合計値が40質量%以上である介在物を分類抽出した場合、及び発明例6は、Al、Ca、Mg、及びTiの濃度の合計値を閾値として介在物を分類抽出した場合(結果的にFeの濃度を除外して規格化したAl、Ca、Mg、及びTiの濃度の合計値が30質量%以上となった)である。
一方、比較例では、製品棒鋼から採取したSEM観察用試料のデータより算出した予測最大径とスラスト型疲労寿命試験による転動疲労寿命との相関係数を求めた。このうち、比較例1は、Feの濃度を除外して規格化した元素濃度でAlを15~50質量%、Caを40~75質量%、Mgを3~25質量%、Tiを0~10%含有する介在物1及びTiを70%以上含有する介在物2(介在物1+2)を分類抽出した場合、比較例2は、Feの濃度を除外して規格化したAl、Ca、Mg、及びTiの濃度の合計値が60質量%以上である介在物を分類抽出した場合、発明例3は、Feの濃度を除外して規格化した元素濃度でAlを20~70質量%、Caを0~70質量%、Mgを3~30質量%、Tiを0~10%含有する介在物1及びTiを70%以上含有する介在物(介在物2+3)を分類抽出した場合、比較例4は、Feの濃度を除外して規格化したAl、Ca、Mg、及びTiの濃度の合計値が40質量%以上である介在物を分類抽出した場合、比較例5は、Al、Ca、Mg、及びTiの濃度の合計値を閾値として介在物を分類抽出した場合(結果的にFeの濃度を除外して規格化したAl、Ca、Mg、及びTiの濃度の合計値が30質量%以上となった)である。
評価結果を以下の表1に示す。表1に示すように、発明例における予測最大径と転動疲労寿命との相関係数は比較例のそれよりも高い。これにより、発明例によれば、比較例と比較して転動疲労寿命の予測精度を向上できることが確認された。また、介在物全体の予測最大径が25μm未満となるような超高清浄鋼においても、発明例は疲労強度に対して高い相関を示し、疲労強度を精度良く予測できることが確認された。
Figure 0007201124000001
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
本発明によれば、鋼の清浄度をより正確に評価し、疲労寿命を高精度に予測可能な高疲労強度鋼の素材となる鋳片の清浄度評価方法を提供することができる。また、本発明によれば、より清浄度が高い鋼を製造可能な高疲労強度鋼の製造方法を提供することができる。
B 鋼球
R 円軌道
S 鋼

Claims (13)

  1. 高疲労強度鋼の素材となる鋳片の清浄度評価方法であって、
    前記鋳片より採取した試験片に電子線を照射することによって得られる電子像及び特性X線の情報から該試験片中に存在する介在物を特定し、前記特性X線の情報から算出されたAl、Ca、Mg及びTiの濃度の合計値を含む値で前記介在物を分類抽出する分類抽出ステップと、
    前記分類抽出ステップで分類抽出された介在物について極値統計法を用いて予測最大径を算出し、算出された予測最大径に基づいて前記鋳片の清浄度を評価する評価ステップと、
    を含
    前記分類抽出ステップが、Feの濃度を除外して規格化したAl、Ca、Mg及びTiの濃度の合計値が40質量%以上である介在物を分類抽出するステップを含む、高疲労強度鋼の素材となる鋳片の清浄度評価方法。
  2. 前記分類抽出ステップが、Feの濃度を除外して規格化した濃度でAlを15~50質量%、Caを40~75質量%、Mgを3~25質量%、Tiを0~10質量%含有する介在物を分類抽出するステップを含む、請求項に記載の高疲労強度鋼の素材となる鋳片の清浄度評価方法。
  3. 前記分類抽出ステップが、Feの濃度を除外して規格化した濃度でAlを15~50質量%、Caを40~75質量%、Mgを3~25質量%、Tiを0~10質量%含有する介在物及びTiを70質量%以上含有する介在物の少なくとも一方を分類抽出するステップを含む請求項に記載の高疲労強度鋼の素材となる鋳片の清浄度評価方法。
  4. 前記分類抽出ステップが、Feの濃度を除外して規格化した濃度でAlを20~70質量%、Caを0~70質量%、Mgを3~30質量%、Tiを0~10質量%含有する介在物及びTiを70質量%以上含有する介在物の少なくとも一方を分類抽出するステップを含む、請求項に記載の高疲労強度鋼の素材となる鋳片の清浄度評価方法。
  5. 高疲労強度鋼の製造方法であって、
    前記高疲労強度鋼の素材となる鋳片を製造する素材製造ステップと、
    前記鋳片より採取した試験片に電子線を照射することによって得られる電子像及び特性X線の情報から該試験片中に存在する介在物を特定し、前記特性X線の情報から算出されたAl、Ca、Mg及びTiの濃度の合計値を含む値で前記介在物を分類抽出する分類抽出ステップと、
    前記分類抽出ステップで分類抽出された介在物について極値統計法を用いて予測最大径を算出し、算出された予測最大径に基づいて前記鋳片の清浄度を評価する評価ステップと、
    前記評価ステップで得られた前記鋳片の清浄度の評価に基づいて、該鋳片の圧延の可否を判断する判断ステップと、
    前記判断ステップで圧延可と判断された鋳片に圧延を施す圧延ステップと、
    を含
    前記分類抽出ステップが、Feの濃度を除外して規格化したAl、Ca、Mg及びTiの濃度の合計値が40質量%以上である介在物を分類抽出するステップを含む、高疲労強度鋼の製造方法。
  6. 前記分類抽出ステップが、Feの濃度を除外して規格化した濃度でAlを15~50質量%、Caを40~75質量%、Mgを3~25質量%、Tiを0~10質量%含有する介在物を分類抽出するステップを含む、請求項に記載の高疲労強度鋼の製造方法。
  7. 前記分類抽出ステップが、Feの濃度を除外して規格化した濃度でAlを15~50質量%、Caを40~75質量%、Mgを3~25質量%、Tiを0~10質量%含有する介在物、及びTiを70質量%以上含有する介在物の少なくとも一方を分類抽出するステップを含む、請求項に記載の高疲労強度鋼の製造方法。
  8. 前記分類抽出ステップが、Feの濃度を除外して規格化した濃度でAlを20~70質量%、Caを0~70質量%、Mgを3~30質量%、Tiを0~10質量%含有する介在物及びTiを70質量%以上含有する介在物の少なくとも一方を分類抽出するステップを含む、請求項に記載の高疲労強度鋼の製造方法。
  9. 高疲労強度鋼の製造方法であって、
    前記高疲労強度鋼の素材となる鋳片を製造する第一素材製造ステップと、
    前記鋳片より採取した試験片に電子線を照射することによって得られる電子像及び特性X線の情報から該試験片中に存在する介在物を特定し、前記特性X線の情報から算出されたAl、Ca、Mg及びTiの濃度の合計値を含む値で前記介在物を分類抽出する分類抽出ステップと、
    前記分類抽出ステップで分類抽出された介在物について極値統計法を用いて予測最大径を算出し、算出された予測最大径に基づいて前記鋳片の清浄度を評価する評価ステップと、
    前記評価ステップで得られた前記鋳片の清浄度の評価に基づいて、前記高疲労強度鋼の素材となる鋳片の後の製造チャンスにおける製造条件の変更の要否を決定する素材製造条件決定ステップと、
    前記高疲労強度鋼の素材となる鋳片の後の製造チャンスにおいて、前記素材製造条件決定ステップで素材製造条件変更要と決定された場合は、変更した製造条件に従って前記高疲労強度鋼の素材となる鋳片を製造する第二素材製造ステップと、
    を含む、高疲労強度鋼の製造方法。
  10. 前記分類抽出ステップが、Feの濃度を除外して規格化したAl、Ca、Mg及びTiの濃度の合計値が40質量%以上である介在物を分類抽出するステップを含む、請求項に記載の高疲労強度鋼の製造方法。
  11. 前記分類抽出ステップが、Feの濃度を除外して規格化した濃度でAlを15~50質量%、Caを40~75質量%、Mgを3~25質量%、Tiを0~10質量%含有する介在物を分類抽出するステップを含む、請求項又は10に記載の高疲労強度鋼の製造方法。
  12. 前記分類抽出ステップが、Feの濃度を除外して規格化した濃度でAlを15~50質量%、Caを40~75質量%、Mgを3~25質量%、Tiを0~10質量%含有する介在物及びTiを70質量%以上含有する介在物の少なくとも一方を分類抽出するステップを含む、請求項又は10に記載の高疲労強度鋼の製造方法。
  13. 前記分類抽出ステップが、Feの濃度を除外して規格化した濃度でAlを20~70質量%、Caを0~70質量%、Mgを3~30質量%、Tiを0~10質量%含有する介在物及びTiを70質量%以上含有する介在物の少なくとも一方を分類抽出するステップを含む、請求項又は10に記載の高疲労強度鋼の製造方法。
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