第1の態様によれば、エネルギビームを照射する照射装置と、前記エネルギビームの照射位置に材料を供給する供給装置とを備え、前記照射位置を、第1物体上の第1位置から、前記第1物体から離れた第2位置に移動させて造形物を形成する処理装置が提供される。
第2の態様によれば、エネルギビームを照射する照射装置と、前記エネルギビームの照射位置に材料を供給する供給装置とを備え、第1物体に前記エネルギビームを照射して第1溶融池を形成すると共に前記第1溶融池に前記材料を形成して前記第1物体から突出した第1造形物を形成し、前記第1造形物に前記エネルギビームを照射して第2溶融池を形成すると共に前記第2溶融池に前記材料を供給して前記第1造形物から突出した第2造形物を形成する処理装置が提供される。
第3の態様によれば、エネルギビームを照射する照射装置と、前記エネルギビームの照射位置に材料を供給する供給装置とを備え、第1物体に前記エネルギビームを照射して第1方向側に向けられた第1溶融池を形成すると共に前記第1溶融池に前記材料を形成して前記第1物体の前記第1方向側に第1造形物を形成し、前記第1造形物に前記エネルギビームを照射して前記第1方向側に向けられた第2溶融池を形成すると共に前記第2溶融池に前記材料を供給して前記第1造形物の前記第1方向側に第2造形物を形成する処理装置が提供される。
第4の態様によれば、材料を供給する供給装置と、前記材料の供給位置にエネルギビームを照射する照射装置とを備え、前記供給位置を、第1物体上の第1位置から、前記第1物体から離れた第2位置に移動させて造形物を形成する処理装置が提供される。
第5の態様によれば、エネルギビームを照射する照射装置と、前記エネルギビームの照射位置に材料を供給する供給装置とを備え、第1物体にエネルギビームを照射して前記第1物体の第1表面に造形物を形成する際に、前記エネルギビームを照射しながら、前記第1表面に交差する第1方向に向かって前記造形物を成長させる処理装置が提供される。
第6の態様によれば、エネルギビームを照射する照射装置と、前記エネルギビームの照射位置に材料を供給する供給装置とを備え、第1物体にエネルギビームを照射して前記第1物体の第1表面に造形物を形成する際に、前記エネルギビームを照射しながら、鉛直方向に沿った方向成分を含む第1方向に向かって前記造形物を成長させる処理装置が提供される。
第7の態様によれば、エネルギビームを照射する照射装置と、前記エネルギビームの照射位置に材料を供給する供給装置とを備え、第1物体にエネルギビームを照射して前記第1物体の第1表面に造形物を形成する際に、前記エネルギビームを照射しながら、重力に逆らう方向成分を含む第1方向に向かって前記造形物を成長させる処理装置が提供される。
第8の態様によれば、エネルギビームを照射する照射装置と、前記エネルギビームの照射位置に材料を供給する供給装置とを備え、第1物体にエネルギビームを照射して前記第1物体の第1表面に造形物を形成する際に、前記エネルギビームを照射しながら、前記第1表面に交差する第1方向における前記第1表面と前記エネルギビームの照射位置との位置関係を変更する処理装置が提供される。
第9の態様によれば、エネルギビームを照射して前記エネルギビームの照射位置に溶融池を形成する照射装置と、前記照射位置に材料を供給する供給装置とを備え、第1物体にエネルギビームを照射して前記第1物体の第1表面に造形物を形成する際に、前記エネルギビームを照射しながら、前記第1表面に交差する第1方向における前記第1表面と前記溶融池との位置関係を変更する処理装置が提供される。
第10の態様によれば、エネルギビームを照射する照射装置と、前記エネルギビームの照射に合わせて材料を供給する供給装置とを備え、第1物体にエネルギビームを照射して前記第1物体の第1表面に造形物を形成する際に、前記エネルギビームを照射しながら、前記第1表面に交差する第1方向における前記第1表面と前記材料の供給位置との位置関係を変更する処理装置が提供される。
第11の態様によれば、エネルギビームを照射することと、前記エネルギビームの照射位置に材料を供給することとを含み、前記照射位置を、第1物体上の第1位置から、前記第1物体から離れた第2位置に移動させて造形物を形成する処理方法が提供される。
第12の態様によれば、エネルギビームを照射することと、前記エネルギビームの照射位置に材料を供給することとを含み、第1物体に前記エネルギビームを照射して第1溶融池を形成すると共に前記第1溶融池に前記材料を形成して前記第1物体から突出した第1造形物を形成し、前記第1造形物に前記エネルギビームを照射して第2溶融池を形成すると共に前記第2溶融池に前記材料を供給して前記第1造形物から突出した第2造形物を形成する処理方法が提供される。
第13の態様によれば、エネルギビームを照射することと、前記エネルギビームの照射位置に材料を供給することとを含み、第1物体に前記エネルギビームを照射して第1方向側に向けられた第1溶融池を形成すると共に前記第1溶融池に前記材料を形成して前記第1物体の前記第1方向側に第1造形物を形成し、前記第1造形物に前記エネルギビームを照射して前記第1方向側に向けられた第2溶融池を形成すると共に前記第2溶融池に前記材料を供給して前記第1造形物の前記第1方向側に第2造形物を形成する処理方法が提供される。
第14の態様によれば、材料を供給することと、前記材料の供給位置にエネルギビームを照射することとを含み、前記供給位置を、第1物体上の第1位置から、前記第1物体から離れた第2位置に移動させて造形物を形成する処理方法が提供される。
第15の態様によれば、エネルギビームを照射することと、前記エネルギビームの照射位置に材料を供給することとを含み、第1物体にエネルギビームを照射して前記第1物体の第1表面に造形物を形成する際に、前記エネルギビームを照射しながら、前記第1表面に交差する第1方向に向かって前記造形物を成長させる処理方法が提供される。
第16の態様によれば、エネルギビームを照射することと、前記エネルギビームの照射位置に材料を供給することとを含み、第1物体にエネルギビームを照射して前記第1物体の第1表面に造形物を形成する際に、前記エネルギビームを照射しながら、鉛直方向に沿った方向成分を含む第1方向に向かって前記造形物を成長させる処理方法が提供される。
第17の態様によれば、エネルギビームを照射することと、前記エネルギビームの照射位置に材料を供給することとを含み、第1物体にエネルギビームを照射して前記第1物体の第1表面に造形物を形成する際に、前記エネルギビームを照射しながら、重力に逆らう方向成分を含む第1方向に向かって前記造形物を成長させる処理方法が提供される。
第18の態様によれば、エネルギビームを照射することと、前記エネルギビームの照射位置に材料を供給することと、第1物体にエネルギビームを照射して前記第1物体の第1表面に造形物を形成する際に、前記エネルギビームを照射しながら、前記第1表面に交差する第1方向における前記第1表面と前記エネルギビームの照射位置との位置関係を変更することとを含む処理方法が提供される。
第19の態様によれば、エネルギビームを照射して前記エネルギビームの照射位置に溶融池を形成することと、前記エネルギビームの照射位置に材料を供給することと、第1物体にエネルギビームを照射して前記第1物体の第1表面に造形物を形成する際に、前記エネルギビームを照射しながら、前記第1表面に交差する第1方向における前記第1表面と前記溶融池との位置関係を変更することとを含む処理方法が提供される。
第20の態様によれば、エネルギビームを照射することと、前記エネルギビームの照射に合わせて材料を供給することと、第1物体にエネルギビームを照射して前記第1物体の第1表面に造形物を形成する際に、前記エネルギビームを照射しながら、前記第1表面に交差する第1方向における前記第1表面と前記造形材料の供給位置との位置関係を変更することとを含む処理方法が提供される。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
以下、図面を参照しながら、処理装置及び処理方法の実施形態について説明する。以下では、レーザ肉盛溶接法(LMD:Laser Metal Deposition)により、造形材料Mを用いた付加加工を行うことで3次元構造物STを形成可能な造形システム1を用いて、処理装置及び処理方法の実施形態を説明する。尚、レーザ肉盛溶接法(LMD)は、ダイレクト・メタル・デポジション、ダイレクト・エナジー・デポジション、レーザクラッディング、レーザ・エンジニアード・ネット・シェイピング、ダイレクト・ライト・ファブリケーション、レーザ・コンソリデーション、シェイプ・デポジション・マニュファクチャリング、ワイヤ-フィード・レーザ・デポジション、ガス・スルー・ワイヤ、レーザ・パウダー・フージョン、レーザ・メタル・フォーミング、セレクティブ・レーザ・パウダー・リメルティング、レーザ・ダイレクト・キャスティング、レーザ・パウダー・デポジション、レーザ・アディティブ・マニュファクチャリング、レーザ・ラピッド・フォーミングと称してもよい。
また、以下の説明では、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸から定義されるXYZ直交座標系を用いて、造形システム1を構成する各種構成要素の位置関係について説明する。尚、以下の説明では、説明の便宜上、X軸方向及びY軸方向のそれぞれが水平方向(つまり、水平面内の所定方向)であり、Z軸方向が鉛直方向(つまり、水平面に直交する方向であり、実質的には上下方向或いは重力方向)であるものとする。また、X軸、Y軸及びZ軸周りの回転方向(言い換えれば、傾斜方向)を、それぞれ、θX方向、θY方向及びθZ方向と称する。ここで、Z軸方向を重力方向としてもよい。また、XY平面を水平方向としてもよい。
(1)造形システム1の構造
初めに、図1及び図2を参照しながら、本実施形態の造形システム1の全体構造について説明する。図1は、本実施形態の造形システム1の構造の一例を示すブロック図である。図2は、本実施形態の造形システム1が備える造形装置4の構造を示す断面図である。
造形システム1は、3次元構造物(つまり、3次元方向のいずれの方向においても大きさを持つ3次元の物体であり、立体物、言い換えると、X、Y及びZ方向において大きさを持つ物体)STを形成可能である。造形システム1は、3次元構造物STを形成するための基礎(つまり、母材)となるワークW上に、3次元構造物STを形成可能である。造形システム1は、ワークWに付加加工を行うことで、3次元構造物STを形成可能である。ワークWが後述するステージ43である場合には、造形システム1は、ステージ43上に、3次元構造物STを形成可能である。ワークWがステージ43によって保持されている既存構造物である場合には、造形システム1は、既存構造物上に、3次元構造物STを形成可能である。この場合、造形システム1は、既存構造物と一体化された3次元構造物STを形成してもよい。既存構造物と一体化された3次元構造物STを形成する動作は、既存構造物に新たな構造物を付加する動作と等価である。或いは、造形システム1は、既存構造物と分離可能な3次元構造物STを形成してもよい。尚、図2は、ワークWが、ステージ43によって保持されている既存構造物である例を示している。また、以下でも、ワークWがステージ43によって保持されている既存構造物である例を用いて説明を進める。
上述したように、造形システム1は、レーザ肉盛溶接法により3次元構造物STを形成可能である。つまり、造形システム1は、積層造形技術を用いて物体を形成する3Dプリンタであるとも言える。尚、積層造形技術は、ラピッドプロトタイピング(Rapid Prototyping)、ラピッドマニュファクチャリング(Rapid Manufacturing)、又は、アディティブマニュファクチャリング(Additive Manufacturing)とも称される。
3次元構造物STを形成するために、造形システム1は、図1に示すように、材料供給装置3と、造形装置4と、光源5と、ガス供給装置6と、制御装置7とを備える。材料供給装置3と、造形装置4と、光源5と、ガス供給装置6と、制御装置7とは、筐体C内に収容されている。図1に示す例では、造形装置4が、筐体Cの上部空間UCに収容され、材料供給装置3、光源5、ガス供給装置6及び制御装置7が、上部空間UCの下方に位置する筐体Cの下部空間LCに収容される。但し、材料供給装置3、造形装置4、光源5、ガス供給装置6及び制御装置7の夫々の筐体C内での配置位置が図1に示す配置位置に限定されることはない。
材料供給装置3は、造形装置4に造形材料Mを供給する。材料供給装置3は、造形装置4が3次元構造物STを形成するために単位時間あたりに必要とする分量の造形材料Mが材料供給装置3から造形装置4に供給されるように、当該必要な分量に応じた所望量の造形材料Mを供給する。
造形材料Mは、所定強度以上の光ELの照射によって溶融可能な材料である。このような造形材料Mとして、例えば、金属性の材料及び樹脂性の材料の少なくとも一方が使用可能である。但し、造形材料Mとして、金属性の材料及び樹脂性の材料とは異なるその他の材料が用いられてもよい。造形材料Mは、粉状の又は粒状の材料である。つまり、造形材料Mは、粉粒体である。但し、造形材料Mは、粉粒体でなくてもよく、例えばワイヤ状の造形材料やガス状の造形材料が用いられてもよい。尚、造形装置4は、造形材料Mを荷電粒子線等のエネルギビームで加工して造形物を形成してもよい。
造形装置4は、材料供給装置3から供給される造形材料Mを加工して3次元構造物STを形成する。3次元構造物STを形成するために、造形装置4は、図2に示すように、造形ヘッド41と、ヘッド駆動系42と、ステージ43とを備える。更に、造形ヘッド41は、照射系411と、材料ノズル(つまり造形材料Mを供給する供給系)412とを備えている。造形ヘッド41と、ヘッド駆動系42と、ステージ43とは、チャンバ46内に収容されている。
照射系411は、射出部413から光ELを射出するための光学系(例えば、集光光学系)である。具体的には、照射系411は、光ELを発する光源5と、光ファイバやライトパイプ等の不図示の光伝送部材を介して光学的に接続されている。照射系411は、光伝送部材を介して光源5から伝搬してくる光ELを射出する。照射系411は、照射系411から下方(つまり、-Z側)に向けて光ELを照射する。照射系411の下方には、ステージ43が配置されている。ステージ43にワークWが搭載されている場合には、照射系411は、ワークWに向けて光ELを照射可能である。具体的には、照射系411は、光ELが照射される領域として設定される照射領域EAに光ELが集光されるように、照射領域EAに光ELを照射する。更に、照射系411の状態は、制御装置7の制御下で、光ELを照射する状態と、光ELを照射しない状態との間で切替可能である。尚、照射系411から射出される光ELの方向は真下(つまり、-Z軸方向と一致)には限定されず、例えば、Z軸に対して所定の角度だけ傾いた方向であってもよい。
材料ノズル412は、造形材料Mを供給する供給アウトレット414を有する。材料ノズル412は、供給アウトレット414から造形材料Mを材料供給路に沿って供給(具体的には、噴射、噴出又は射出)する。材料ノズル412は、造形材料Mの供給源である材料供給装置3と、不図示のパイプ等の粉体伝送部材を介して物理的に接続されている。材料ノズル412は、粉体伝送部材を介して材料供給装置3から供給される造形材料Mを供給する。尚、図2において材料ノズル412は、チューブ状に描かれているが、材料ノズル412の形状は、この形状に限定されない。材料ノズル412は、材料ノズル412から下方(つまり、-Z側)に向けて造形材料Mを供給する。材料ノズル412の下方には、ステージ43が配置されている。ステージ43にワークWが搭載されている場合には、材料ノズル412は、ワークWに向けて造形材料Mを供給する。尚、材料ノズル412から供給される造形材料Mの進行方向はZ軸方向に対して所定の角度(一例として鋭角)だけ傾いた方向であるが、-Z側(つまり、真下)であってもよい。尚、複数の材料ノズル412を設けてもよい。
本実施形態では、材料ノズル412は、照射系411による光ELの照射位置に向けて造形材料Mを供給するように、照射系411に対して位置合わせされている。材料ノズル412は、照射系411が光ELを照射する照射領域EAに向けて造形材料Mを供給するように、照射系411に対して位置合わせされている。つまり、材料ノズル412が造形材料Mを供給する領域として設定される供給領域MAと照射領域EAとが一致する(或いは、少なくとも部分的に重複する)ように、材料ノズル412と照射系411とが位置合わせされている。尚、照射系411から射出された光ELによって形成される後述の溶融池MPに、材料ノズル412が造形材料Mを供給するように位置合わせされていてもよい。また、材料ノズル412が造形材料Mを供給する供給領域MAと、溶融池MPの領域とが部分的に重畳するように位置合わせされてもよい。
ヘッド駆動系42は、造形ヘッド41を移動させる。造形ヘッド41を移動させるために、ヘッド駆動系42は、ヘッド駆動系42Xと、ヘッド駆動系42Yと、ヘッド駆動系42Zとを備える。ヘッド駆動系42Xは、X軸に沿って造形ヘッド41を移動させる。ヘッド駆動系42Yは、Y軸に沿って造形ヘッド41を移動させる。ヘッド駆動系42Zは、Z軸に沿って造形ヘッド41を移動させる。つまり、ヘッド駆動系42は、X軸、Y軸及びZ軸の夫々に沿って造形ヘッド41を移動させる。造形ヘッド41がX軸に沿って移動すると、照射領域EA及び供給領域MAは、X軸に沿って移動する。造形ヘッド41がY軸に沿って移動すると、照射領域EA及び供給領域MAは、Y軸に沿って移動する。造形ヘッド41がZ軸に沿って移動すると、照射領域EA及び供給領域MAは、Z軸に沿って移動する。尚、ヘッド駆動系42は、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つに加えて又は代えて、θX軸、θY軸及びθZ軸の少なくとも一つに沿って移動(つまり、回転)させてもよい。
ヘッド駆動系42X、ヘッド駆動系42Y及びヘッド駆動系42Zの夫々は、例えば、モータを含む駆動系であるが、その他のアクチュエータ(或いは、駆動源)を含む駆動系であってもよい。ヘッド駆動系42Xは、チャンバ46の底面に空気ばね等の防振装置を介して設置される支持フレーム423に固定され且つX軸に沿って延びるXガイド部421Xと、モータ422Xとを備える。ヘッド駆動系42Yは、Y軸に沿って延びるYガイド部421Yと、モータ422Yとを備える。ヘッド駆動系42Zは、Z軸に沿って延びるZガイド部421Zと、モータ422Zとを備える。モータ422Xが駆動すると、Xガイド部421Xに沿って(つまり、X軸に沿って)Yガイド部421Y(更には、Zガイド部421Zを介してYガイド部421Yに連結されている造形ヘッド41)が移動する。モータ422Yが駆動すると、Yガイド部421Zに沿って(つまり、Y軸に沿って)Zガイド部421Z(更には、Zガイド部421Zに連結されている造形ヘッド41)が移動する。モータ422Zが駆動すると、Zガイド部421Zに沿って(つまり、Z軸に沿って)造形ヘッド41が移動する。尚、防振装置はなくてもよい。
ステージ43は、ワークWを保持可能である。更に、ステージ43は、保持したワークWをリリース可能である。上述した照射系411は、ステージ43がワークWを保持している期間の少なくとも一部において光ELを照射する。更に、上述した材料ノズル412は、ステージ43がワークWを保持している期間の少なくとも一部において造形材料Mを供給する。尚、材料ノズル412が供給した造形材料Mの一部は、ワークWの表面からワークWの外部へと(例えば、ステージ43の周囲へと)散乱する又はこぼれ落ちる可能性がある。このため、造形システム1は、ステージ43の周囲に、散乱した又はこぼれ落ちた造形材料Mを回収する回収装置を備えていてもよい。尚、ステージ43は、ワークWを保持するために、機械的なチャック、真空吸着チャック、電磁吸着チャック及び静電吸着チャック等の少なくとも一つを備えていてもよい。
再び図1において、光源5は、例えば、赤外光、可視光及び紫外光のうちの少なくとも一つを、光ELとして射出する。但し、光ELとして、その他の種類の光が用いられてもよい。光ELは、レーザ光である。この場合、光源5は、レーザ光源(例えば、レーザダイオード(LD:Laser Diode)等の半導体レーザを含んでいてもよい。レーザ光源としては、ファイバ・レーザやCO2レーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ等であってもよい。但し、光ELはレーザ光でなくてもよいし、光源5は任意の光源(例えば、LED(Light Emitting Diode)、放電ランプ及びEUV(Extreme Ultra Violet)光源等の少なくとも一つ)を含んでいてもよい。また、光源5に加えて又は代えて、荷電粒子線等のエネルギビームを射出するエネルギ源を用いてもよい。
ガス供給装置6は、不活性ガスの供給源である。不活性ガスの一例として、窒素ガス又はアルゴンガスがあげられる。ガス供給装置6は、造形装置4のチャンバ46内に不活性ガスを供給する。その結果、チャンバ46の内部空間は、不活性ガスによってパージされた空間となる。尚、ガス供給装置6は、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスが格納されたボンベであってもよいし、不活性ガスが窒素ガスである場合には、大気を原料として窒素ガスを発生する窒素ガス発生装置であってもよい。
制御装置7は、造形システム1の動作を制御する。制御装置7は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置や、メモリ等の記憶装置を含んでいてもよい。特に、本実施形態では、制御装置7は、照射系411による光ELの射出態様を制御する。射出態様は、例えば、光ELの強度及び光ELの射出タイミングの少なくとも一方を含む。光ELがパルス光である場合には、射出態様は、例えば、パルス光の発光時間の長さ及びパルス光の発光時間と消光時間との比(いわゆる、デューティ比)の少なくとも一方を含んでいてもよい。更に、制御装置7は、ヘッド駆動系42による造形ヘッド41の移動態様を制御する。移動態様は、例えば、移動量、移動速度、移動方向及び移動タイミングの少なくとも一つを含む。更に、制御装置7は、材料ノズル412による造形材料Mの供給態様を制御する。供給態様は、例えば、供給量(特に、単位時間当たりの供給量)を含む。尚、制御装置7は、造形システム1の内部に設けられていなくてもよく、例えば、造形システム1外にサーバ等として設けられていてもよい。
(2)造形システム1の動作
続いて、造形システム1による3次元構造物STを形成するための造形動作について説明する。造形システム1は、形成するべき3次元構造物STの3次元モデルデータ(例えば、CAD(Computer Aided Design)データ)等に基づいて3次元構造物STを形成する。3次元モデルデータは、3次元構造物STの形状(特に、3次元形状)を表すデータを含む。3次元モデルデータとして、造形システム1内に設けられた不図示の計測装置で計測された立体物の計測データが用いられてもよい。3次元モデルデータとして、造形システム1とは別に設けられた3次元形状計測機の計測データが用いられてもよい。このような3次元形状計測機の一例として、ワークWに対して移動可能であって且つワークWに接触可能なプローブを有する接触型の3次元測定機及び非接触型の3次元計測機の少なくとも一方があげられる。非接触型の3次元計測機の一例として、パターン投影方式の3次元計測機、光切断方式の3次元計測機、タイム・オブ・フライト方式の3次元計測機、モアレトポグラフィ方式の3次元計測機、ホログラフィック干渉方式の3次元計測機、CT(Computed Tomography)方式の3次元計測機、及び、MRI(Magnetic Resonance Imaging)方式の3次元計測機の少なくとも一つがあげられる。3次元モデルデータとして、3次元構造物STの設計データが用いられてもよい。
本実施形態では、造形システム1は、3次元構造物STを形成するべき造形面CSに交差する方向に沿って並ぶ複数の層状の部分構造物(以下、“構造層”と称する)SLを順に形成することで3次元構造物STを形成する第1造形動作を行ってもよい。尚、造形面CSは、ワークWの上面(つまり、+Z側を向いている表面)であるワーク面WSの少なくとも一部に設定されてもよいし、ワーク面WSに形成された既存構造物(例えば、構造層SL)の表面に設定されてもよい。造形システム1は、第1造形動作に加えて、造形面CSに交差する方向に向かって延びた(言い換えれば、延ばされた、伸びた、伸ばされた、伸長した、伸長された、突き出した、突起した、隆起した、盛り上がった、出っ張った、膨らんだ、膨れ出た又は膨れ上がった)延伸構造物SPを形成することで3次元構造物STを形成する第2造形動作を行ってもよい。以下、第1造形動作及び第2造形動作について順に説明する。
(2-1)第1造形動作
初めに、第1造形動作について説明する。第1造形動作を行う造形システム1は、造形面CSに直交する方向に沿って3次元構造物STを輪切りにすることで得られる複数の構造層SLを1層ずつ順に形成していく。その結果、造形面CSに直交する方向に沿って複数の構造層SLが積層された積層構造体である3次元構造物STが形成される。以下、複数の構造層SLを1層ずつ順に形成していくことで3次元構造物STを形成する動作の流れについて説明する。
尚、以下では、説明の便宜上、造形面CSがXY平面に沿った面であるものとする。このため、以下では、Z軸方向に沿って3次元構造物STを輪切りにすることで得られる複数の構造層SLを1層ずつ順に形成していくことで、Z軸方向に沿って複数の構造層SLが積層された3次元構造物STを形成するための第1造形動作について説明する。但し、造形面CSがXY平面に対して傾斜した面であってもよいし、XY平面に対して直交する面(つまり、Z軸を含む平面)であってもよい。
まず、各構造層SLを形成する動作について説明する。造形システム1は、制御装置7の制御下で、ワーク面WS又は形成済みの構造層SLのうち最も上層(つまり、最も+Z側の)構造層SLの上面WSLに設定される造形面CSに照射領域EAを設定し、当該照射領域EAに対して光ELが集光されるように照射系411から光ELを照射する。つまり、第1造形動作では、光ELのフォーカス位置(つまり、集光位置、言い換えると、Z軸方向或いは光ELの進行方向において、光ELが最も収斂している位置)は、造形面CSに設定されている。尚、光ELのフォーカス位置は、造形面MSからZ軸方向にずれた位置に設定されてもよい。その結果、図3(a)に示すように、照射系411から射出された光ELによって造形面CS上の所望領域に、照射系411側(つまり、+Z側)を向いた溶融池(つまり、光ELによって溶融した、液状の金属又は樹脂等のプール)MPが形成される。更に、造形システム1は、制御装置7の制御下で、造形面CS上の所望領域に供給領域MAを設定し、当該供給領域MAに対して材料ノズル412から造形材料Mを供給する。ここで、上述したように照射領域EAと供給領域MAとが一致しているため、供給領域MAは、溶融池MPが形成された領域に設定されている。このため、造形システム1は、図3(b)に示すように、溶融池MPに対して、材料ノズル412から造形材料Mを供給する。その結果、溶融池MPに供給された造形材料Mが溶融する。造形ヘッド41の移動に伴って照射領域EAが溶融池MPから移動すると、溶融池MPに光ELが照射されなくなる。このため、溶融池MPにおいて溶融した造形材料Mは、冷却されて再度固化(つまり、凝固)する。その結果、図3(c)に示すように、再固化した造形材料Mが造形面CS上に堆積される。つまり、再固化した造形材料Mの堆積物による造形物が形成される。つまり、造形面CSに造形材料Mの堆積物を付加する付加加工が行われることで、造形面CSの照射系411側(つまり、+Z側)に造形物が形成される。
このような光の照射ELによる溶融池MPの形成、溶融池MPへの造形材料Mの供給、供給された造形材料Mの溶融及び溶融した造形材料Mの再固化を含む一連の造形処理が、造形面CSに沿って造形ヘッド41を移動させながら繰り返される。つまり、一連の造形処理が、造形ヘッド41のZ軸方向の位置を固定したまま造形ヘッド41をX軸及びY軸の少なくとも一方に沿って移動させながら繰り返される。造形面CSに沿って造形ヘッド41が移動すると、造形面CSに沿って照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPもまた移動する。従って、一連の造形処理が、造形面CSに沿って照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPを移動させながら繰り返される。この際、光ELは、造形物を形成したい領域に選択的に照射される一方で、造形物を形成したくない領域に対して選択的に照射されない。尚、造形物を形成したくない領域には照射領域EAが設定されないとも言える。つまり、造形システム1は、造形面CSに沿って照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPを移動させながら、造形物を形成したい領域の分布(つまり、構造層SLのパターン)に応じたタイミングで光ELを造形面CSに照射する。その結果、造形面CS上に、凝固した造形材料Mによる造形物の集合体に相当する構造層SLが形成される。尚、上述した説明では、造形面CSに対して照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPを移動させたが、後述する第2変形例等で説明するように照射領域EAに対して造形面CSを移動させてもよい。
造形システム1は、このような構造層SLを形成するための動作を、制御装置7の制御下で、3次元モデルデータに基づいて繰り返し行う。具体的には、まず、制御装置7は、3次元モデルデータを積層ピッチでスライス処理してスライスデータを作成する。尚、制御装置7は、造形システム1の特性に応じて、スライスデータを少なくとも部分的に修正してもよい。造形システム1は、制御装置7の制御下で、ワーク面WSに相当する造形面CS上に1層目の構造層SL#1を形成するための動作を、構造層SL#1に対応する3次元モデルデータ(つまり、構造層SL#1に対応するスライスデータ)に基づいて行う。その結果、ワーク面WS上には、図4(a)に示すように、構造層SL#1が形成される。その後、造形システム1は、構造層SL#1の上面WSL#1を新たな造形面CSに設定した上で、当該新たな造形面CS上に2層目の構造層SL#2を形成する。構造層SL#2を形成するために、制御装置7は、まず、造形ヘッド41がZ軸に沿って移動するようにヘッド駆動系12を制御する。具体的には、制御装置7は、ヘッド駆動系12を制御して、照射領域EA及び供給領域MAが構造層SL#1のワーク面WSL(つまり、新たな造形面CS)に設定されるように、+Z側に向かって造形ヘッド41を移動させる。これにより、光ELのフォーカス位置が新たな造形面CSに設定される。その後、造形システム1は、制御装置7の制御下で、構造層SL#1を形成する動作と同様の動作で、構造層SL#2に対応するスライスデータに基づいて、構造層SL#2を形成する。その結果、図4(b)に示すように、構造層SL#1の上面WSL#1に構造層SL#2が形成される。以降、同様の動作が、ワークW上に形成するべき3次元構造物STを構成する全ての構造層SLが形成されるまで繰り返される。その結果、図4(c)に示すように、Z軸に沿って(つまり、溶融池MPの底面から上面へと向かう方向に沿って)複数の構造層SLが積層された積層構造物によって、3次元構造物STが形成される。
(2-2)第2造形動作
続いて、第2造形動作について説明する。第2造形動作を行う造形システム1は、造形面CSに交差する方向に向かって延びた延伸構造物SPを形成することで3次元構造物STを形成する。以下、延伸構造物SPを形成する動作の流れについて説明する。
まず、造形システム1は、第2造形動作においても、第1造形動作と同様に、造形面CSに照射領域EAを設定し、当該照射領域EAに対して光ELが集光されるように照射系411から光ELを照射する。更に、造形システム1は、制御装置7の制御下で、造形面CS上の所望領域に供給領域MAを設定し、当該供給領域MAに対して材料ノズル412から造形材料Mを供給する。その結果、図5(a)に示すように、造形面CSの照射系411側に、再固化した造形材料Mの堆積物による造形物Suが形成される。つまり、造形面CSに、造形面CSから造形面CSに交差する方向に突き出す造形物Suが形成される。ここまでの処理は、第2造形動作においても、第1造形動作と同一である。
その後、上述の第1造形動作では、造形システム1は、造形面CSに沿って、照射領域EA及び供給領域MAを造形面CSに対して移動させる(更には、結果として、溶融池MPを移動させる)ことで、造形面CS上に1層目の構造層SL#1を形成している。一方で、第2造形動作では、造形システム1は、照射系411から光ELを照射しながら、造形面CSに交差する方向に沿って、照射領域EAを造形面CSに対して移動させることで、延伸構造物SPを形成する。つまり、造形システム1は、照射系411から光ELを照射しながら、造形面CSに交差する方向に沿って照射領域EAと造形面CSとの位置関係を変更することで、延伸構造物SPを形成する。
第2造形動作においても、第1造形動作と同様に、造形面CSに対して照射領域EAを移動させるために、造形システム1は、造形面CSに対して造形ヘッド41を移動させる。このとき、造形システム1は、造形面CSに対して照射領域EAが連続的に移動するように、造形ヘッド41を連続的に移動させてもよい。或いは、造形システム1は、造形面CSに対して照射領域EAが段階的に移動するように造形ヘッド41を段階的に移動させてもよい。但し、後述するようにステージ43が移動可能である場合には、造形システム1は、造形ヘッド41に対してステージ43を移動させることで、造形面CSに対して照射領域EAを移動させてもよい。
上述したように、造形材料Mが供給される供給領域MAは、照射領域EAと一致するように位置合わせされている。このため、造形システム1は、照射系411から光ELを照射しながら、造形面CSに交差する方向に沿って供給領域MAを移動させることで、延伸構造物SPを形成するとも言える。つまり、造形システム1は、照射系411から光ELを照射しながら、造形面CSに交差する方向に沿って供給領域MAと造形面CSとの位置関係を変更することで、延伸構造物SPを形成するとも言える。
上述したように、照射領域EAが設定される位置に溶融池MPが形成される。このため、造形システム1は、照射系411から光ELを照射しながら、造形面CSに交差する方向に沿って溶融池MPを移動させることで、延伸構造物SPを形成するとも言える。つまり、造形システム1は、照射系411から光ELを照射しながら、造形面CSに交差する方向に沿って溶融池MPと造形面CSとの位置関係を変更することで、延伸構造物SPを形成するとも言える。
一例として、図5(b)に示すように、造形システム1は、造形面CSに直交する方向に沿って、照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPを移動させてもよい。つまり、造形システム1は、造形面CSに沿った方向における造形面CSと照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPとの位置関係を維持したまま、造形面CSに直交する方向における造形面CSと照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPとの位置関係を変更してもよい。この場合、典型的には、造形システム1は、造形面CSに直交する方向に沿って造形ヘッド41を移動させることで、造形面CSに直交する方向に沿って照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPを移動させることができる。つまり、造形システム1は、造形面CSに沿った方向における造形面CSと造形ヘッド41との位置関係を維持したまま、造形面CSに直交する方向における造形面CSと造形ヘッド41との位置関係を変更するように造形ヘッド41を移動させることで、造形面CSに直交する方向に沿って照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPを移動させることができる。
或いは、図6(a)に示すように、造形システム1は、造形面CSに対して傾斜する方向に沿って、照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPを移動させてもよい。つまり、造形システム1は、造形面CSに沿った方向における造形面CSと照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPとの位置関係を変更しながら、造形面CSに直交する方向における造形面CSと照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPとの位置関係を変更してもよい。この場合、典型的には、造形システム1は、造形面CSに対して傾斜する方向に沿って造形ヘッド41を移動させることで、造形面CSに対して傾斜する方向に沿って照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPを移動させることができる。つまり、造形システム1は、造形面CSに沿った方向における造形面CSと造形ヘッド41との位置関係を変更しながら、造形面CSに直交する方向における造形面CSと造形ヘッド41との位置関係を変更するように造形ヘッド41を移動させることで、造形面CSに対して傾斜する方向に沿って照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPを移動させることができる。このように、造形システム1は、造形面CSと交差する方向に沿って、照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPを移動させて、造形面CSと交差する方向に延びた延伸構造物SPを形成することができる。
造形面CSに対して傾斜する方向に沿って照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPを移動させる場合には、造形システム1は、造形面CSに沿った方向における照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPの移動量(例えば、単位時間当たりの移動量又は移動量の総量、以下同じ)よりも、造形面CSに直交する方向における照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPの移動量が多くなるように、照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPを移動させてもよい。造形システム1は、造形面CSに沿った方向における照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPの移動量よりも、造形面CSに直交する方向における照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPの移動量が少なくなるように、照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPを移動させてもよい。造形システム1は、造形面CSに沿った方向における照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPの移動量が、造形面CSに直交する方向における照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPの移動量と同じになるように、照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPを移動させてもよい。
第2造形動作では特に、造形システム1は、照射系411から光ELを照射しながら、造形面CSに設定されていた照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPを、造形面CSから離れた位置に移動させることで、延伸構造物SPを形成する。造形システム1は、照射系411から光ELを照射しながら、造形面CSに設定されていた照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPを、造形面CSから離れた空間内において移動させることで、延伸構造物SPを形成する。
具体的には、造形システム1は、図5(b)及び図6(a)の夫々に示すように、造形面CSに造形物Suを形成した後に、当該造形物Suのうち延伸構造物SPを延伸させたい方向を向いている表面MSに照射領域EA及び供給領域MAを設定する。つまり、造形システム1は、造形面CS上に設定されていた照射領域EA及び供給領域MAを、造形面CS上に既に形成済みの造形物Suのうち延伸構造物SPを延伸させたい方向を向いている表面MSに移動させる(或いは、近づける)。尚、延伸構造物SPを延伸させたい方向は、造形面CSに交差する。この場合、典型的には、造形システム1は、延伸構造物SPを延伸させたい方向に向かって照射領域EA及び供給領域MAを移動させる(つまり、造形ヘッド41を移動させる)ことで、造形物Suの表面MSの少なくとも一部に照射領域EA及び供給領域MAを設定することができる。造形物Suの表面MSに照射領域EA及び供給領域MAが設定されると、造形物Suの表面MSには、光ELが照射される。特に、造形物Suの表面MSには、当該表面MSよりも延伸構造物SPを延伸させたい方向に分布する空間を介して光ELが照射される。その結果、造形物Suの表面MSには、延伸構造物SPを延伸させたい方向を向いた溶融池MPが形成される。このため、造形システム1は、造形面CS上に形成されていた溶融池MPを、造形面CS上に既に形成済みの造形物Suの表面MSに移動させる(或いは、近づける)とも言える。
その結果、造形物Suの表面MSに形成された溶融池MPに造形材料Mが供給される。このため、造形物Suの表面MSに形成された溶融池MPに供給された造形材料Mが溶融する。造形ヘッド41の移動に伴って照射領域EAが造形物Suの表面MSから移動する(つまり、離れる)と、造形物Suの表面MSに形成された溶融池MPにおいて溶融した造形材料Mは、冷却されて再度固化(つまり、凝固)する。その結果、図5(c)及び図6(b)の夫々に示すように、造形面CS上に既に形成されていた造形物Su(以降、造形面CS上に既に形成されていた造形物Suを、適宜“造形物Su1”と称する)上に、再固化した造形材料Mの堆積物による新たな造形物Su2が形成される。つまり、造形面CS上に既に形成されていた造形物Su1の表面MSに、造形物Su1から延伸構造物SPを延伸させたい方向に突き出す新たな造形物Su2が形成される。その結果、造形面CS上には、造形物Su1及び造形物Su2を含む造形物Suが形成される。このように造形物Su1上に造形物Su2を形成することで、造形システム1は、造形面CSに交差する方向に向かって造形物Suを成長させている。造形システム1は、延伸構造物SPを成長させたい方向に向かって造形物Suを成長させている。造形システム1は、造形面CSから離れる方向に向かって造形物Suを成長させている。造形システム1は、造形面CSから離れた空間内において造形物Suを成長させている。造形システム1は、造形物Suの端部(特に、延伸構造物SPを延伸させたい方向を向いている端部)が、延伸構造物SPを延伸させたい方向に向かって造形面CSから離れていくように造形物Suを成長させている。
以降、造形システム1は、照射系411から光ELを照射しながら、延伸構造物SPを延伸させたい方向に向かって照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPを移動させる動作を繰り返す。つまり、造形システム1は、照射系411から光ELを照射しながら、造形面CS上に既に形成済みの造形物Suのうち延伸構造物SPを延伸させたい方向を向いている表面MSに照射領域EA及び供給領域MAが設定されるように、造形ヘッド41を移動させる動作を繰り返す。その結果、造形システム1は、照射系411から光ELを照射しながら、延伸構造物SPを延伸させたい方向に向かって造形物Suを成長させる動作を繰り返すことになる。このため、造形面CS上に、照射領域EA及び供給領域MAの移動方向に沿って延びる造形物Suである延伸構造物SPが形成される。つまり、造形面CS上に、造形面CSから離れる空間内において造形面CSに交差する方向に沿って延びる造形物Suである延伸構造物SPが形成される。例えば、図5(b)及び図5(c)に示すように造形面CSに直交する方向に沿って照射領域EA及び供給領域MAが移動した場合には、図5(d)及び図5(e)に示すように、造形面CSに直交する方向に沿って延びる造形物Suである延伸構造物SPが形成される。例えば、図6(a)及び図6(b)に示すように造形面CSに対して傾斜する方向に沿って照射領域EA及び供給領域MAが移動した場合には、図6(c)及び図6(d)に示すように、造形面CSに対して傾斜する方向に沿って延びる造形物Suである延伸構造物SPが形成される。尚、このような延伸構造物SPは、図5(d)及び図5(e)、並びに、図6(d)及び図5(e)に示すように、典型的には、線状の、棒状の、角柱状の、円柱状の又は長手形状の構造物となり得る。但し、延伸構造物SPの形状がこれらの形状に限定されることはない。
上述したように、造形面CSは、XY平面に沿った面であってもよい。例えば、造形面CSは、XY平面に沿った面であるワーク面WSに設定されていてもよい。造形面CSがXY平面に沿った面である場合、造形面CSに直交する方向は、Z軸方向(つまり、鉛直方向)となる。この場合、造形システム1は、図7(a)及び図7(b)に示すように、造形面CSから鉛直方向に向かって延びる延伸構造物SPを形成することができる。更に、造形面CSに対して傾斜する方向は、Z軸方向に対して傾斜する方向となる。つまり、造形面CSに対して傾斜する方向は、鉛直方向に沿った方向成分を含む方向となる。この場合、造形システム1は、図7(c)及び図7(d)に示すように、造形面CSから鉛直方向に沿った方向成分を含む方向に向かって延びる延伸構造物SPを形成することができる。
上述したように、造形面CSは、XY平面に対して傾斜した面であってもよい。例えば、造形面CSは、ワーク面WSに形成されている既存構造物SAのうちXY平面に対して傾斜した表面に設定されていてもよい。造形面CSがXY平面に対して傾斜した面である場合、造形面CSに直交する方向は、Z軸方向(つまり、鉛直方向)に対して傾斜した方向となる。更に、造形面CSに対して傾斜する方向もまた、Z軸方向に対して傾斜する方向となり得る。この場合、造形システム1は、図8(a)から図8(f)に示すように、造形面CSから鉛直方向に沿った方向成分を含む方向に向かって延びる延伸構造物SPを形成することができる。尚、造形システム1は、図8(a)から図8(d)に示すように、造形面CSから重力に逆らう方向成分(つまり、+Z側に向かう方向成分)を含む方向に向かって延びる延伸構造物SPを形成してもよい。或いは、造形システム1は、図8(e)から図8(f)に示すように、造形面CSから重力に従う方向成分(つまり、-Z側に向かう方向成分)を含む方向に向かって延びる延伸構造物SPを形成してもよい。或いは、造形面CSに対して傾斜する方向は、Z軸方向に沿った方向となり得る。この場合、造形システム1は、図9(a)及び図9(b)に示すように、造形面CSから鉛直方向に向かって延びる延伸構造物SPを形成することができる。或いは、造形面CSに対して傾斜する方向は、Z軸方向に直交する方向(つまり、XY平面に沿った方向であり、水平方向)となり得る。この場合、造形システム1は、図9(c)及び図9(d)に示すように、造形面CSから水平方向に向かって延びる延伸構造物SPを形成することができる。尚、ワーク面WSが水平方向に沿った面であるため、造形システム1は、ワーク面WSに沿った方向に向かって延びる(つまり、ワーク面WSに平行な)延伸構造物SPを形成することができる。
上述したように、造形面CSは、XY平面に対して直交した面(つまり、Z軸を含む面)であってもよい。例えば、造形面CSは、ワーク面WSに形成されている既存構造物SAのうちXY平面に対して直交した表面に設定されていてもよい。造形面CSがXY平面に対して直交した面である場合、造形面CSに直交する方向は、Z軸方向に直交する方向(つまり、XY平面に沿った方向であり、水平方向)となる。この場合、造形システム1は、図10(a)及び図10(b)に示すように、造形面CSから水平方向に向かって延びる延伸構造物SPを形成することができる。更に、造形面CSに対して傾斜する方向は、Z軸方向に対して傾斜する方向となり得る。この場合、造形システム1は、図10(c)及び図10(d)に示すように、造形面CSから鉛直方向に沿った方向成分を含む方向に向かって延びる延伸構造物SPを形成することができる。また、図示しないものの、造形面CSがXY平面に対して直交した面である場合においても、造形システム1は、造形面CSから重力に逆らう方向成分を含む方向に向かって延びる延伸構造物SPを形成してもよいし、造形面CSから重力に従う方向成分を含む方向に向かって延びる延伸構造物SPを形成してもよい。
尚、造形面CSがワーク面WSに形成されている既存構造物SAの表面に設定されている場合には、造形システム1は、ワーク面WSから離れた延伸構造物SPを形成してもよい。造形システム1は、ワーク面WSとの間に空隙が確保された延伸構造物SPを形成してもよい。図8(a)から図10(d)は、いずれも、ワーク面WSから離れた延伸構造物SPを示している。但し、造形システム1は、少なくとも一部がワーク面WSに接触する又は一体化している延伸構造物SPを形成してもよい。例えば、造形システム1は、造形面CSからワーク面WSに向かって延びる延伸構造物SPを形成してもよい。この場合、延伸構造物SPの端部がワーク面WSと接触する又は一体化する。
造形システム1は、このような延伸構造物SPを形成する動作を、制御装置7の制御下で、3次元モデルデータに基づいて繰り返し行う。具体的には、まず、制御装置7は、3次元モデルデータを、3次元構造物STを線の集合体(いわゆる、立体線画モデル)として示すためのワイヤーフレームデータに変換する。その後、制御装置7は、ワイヤーフレームデータに基づいて、ワイヤーフレームデータが示す各線に対応する延伸構造物SPを形成する順番を決定する。その後、造形システム1は、制御装置7が決定した順番で、ワイヤーフレームデータが示す各線に対応する延伸構造物SPを形成する動作を繰り返す。例えば、図11に示す例では、造形システム1は、(i)造形面CSに直交する第1方向D1に向かって延びる延伸構造物SP1を形成する動作と、(ii)造形面CSに対して傾斜する第2方向D2に向かって延びる延伸構造物SP2を形成する動作と、(iii)造形面CSに平行な第3方向D3に向かって延びる延伸構造物SP3を形成する動作と、(iv)造形面CSに対して傾斜する第4方向D4に向かって延びる延伸構造物SP4を形成する動作とを行うことで、延伸構造物SP1からSP4を含む3次元構造物STを形成する。
このとき、造形システム1は、光ELを照射しながら一の方向に向かって照射領域EAを移動させることで一の方向に向かって延びる一の延伸構造物SPを形成した後に、光ELを照射しながら一の方向とは異なる(つまり、交差する)他の方向に向かって照射領域EAを移動させることで他の方向に向かって延びる他の延伸構造物SPを一の延伸構造物SPに続けて形成してもよい。つまり、造形システム1は、異なる複数の方向に向かって夫々延びる複数の延伸構造物SPが一体化された3次元構造物STを形成してもよい。例えば、図11に示す例では、造形システム1は、まず、造形面CS(つまり、ワーク面WS)から第1方向D1に向かって照射領域EAを移動させることで、造形面CS(つまり、ワーク面WS)から第1方向D1に向かって延びる延伸構造物SP1を形成する。その後、造形システム1は、延伸構造物SP1の端部から第2方向D2に向かって照射領域EAを移動させることで、延伸構造物SP1の端部から第2方向D2に向かって延びる延伸構造物SP2を延伸構造物SP1に続けて形成する。その後、造形システム1は、延伸構造物SP2の端部から第3方向D3に向かって照射領域EAを移動させることで、延伸構造物SP2の端部から第3方向D3に向かって延びる延伸構造物SP3を延伸構造物SP2に続けて形成する。その後、造形システム1は、延伸構造物SP3の端部から第4方向D4に向かって照射領域EAを移動させることで、延伸構造物SP3の端部から第4方向D4に向かって延びる延伸構造物SP4を延伸構造物SP3に続けて形成する。その結果、造形面CS上には、延伸構造物SP1からSP4が一体化された3次元構造物STが形成される。
但し、延伸構造物SP3の端部から第4方向D4に向かって照射領域EAを移動させることで延伸構造物SP4を形成することは、造形システム1にとっては困難である可能性がある。なぜならば、延伸構造物SP4を形成するために照射する光ELが、延伸構造物SP4と照射系411との間に位置し得る延伸構造物SP3によって遮られてしまう可能性があるからである。このため、制御装置7は、ワイヤーフレームデータに基づいて複数の延伸構造物SPを形成する順番を決定した時点で、当該決定した順番で複数の延伸構造物SPを形成しようとした場合に、ある延伸構造物SPを形成するために照射する光ELが、光ELを遮る何らかの物体(例えば、障害物及び既に形成済みの延伸構造物SPの少なくとも一方)によって遮られる可能性があるか否かを判定してもよい。例えば、制御装置7は、ある延伸構造物SPを形成するタイミングで、当該ある延伸構造物SPと照射系411との間における光ELの光路上に、何らかの物体が位置すると推定される場合に、ある延伸構造物SPを形成するために照射する光ELが何らかの物体によって遮られる可能性があると判定してもよい。例えば、制御装置7は、ある延伸構造物SPを形成するタイミングで、当該ある延伸構造物SPと照射系411との間における光ELの光路から所定距離以内に何らかの物体が位置すると推定される場合に、ある延伸構造物SPを形成するために照射する光ELが何らかの物体によって遮られる可能性があると判定してもよい。ある延伸構造物SPを形成するために照射する光ELが何らかの物体によって遮られる可能性があると判定された場合には、制御装置7は、各延伸構造物SPを形成するために照射する光ELが何らかの物体によって遮られる可能性がなくなるように、複数の延伸構造物SPを形成する順番を再度決定してもよい。例えば、図11に示す例では、制御装置7は、延伸構造物SP1、延伸構造物SP2、延伸構造物SP4及び延伸構造物SP3がこの順に形成されるように、複数の延伸構造物SPを形成する順番を決定してもよい。この場合、造形システム1は、延伸構造物SP1及びSP2を形成した後に、延伸構造物SP1の端部から第4方向D4とは逆向きの第5方向D5に向かって照射領域EAを移動させることで、延伸構造物SP1の端部から第5方向D5に向かって延びる延伸構造物SP4を延伸構造物SP1に続けて形成してもよい。その後、造形システム1は、延伸構造物SP2の端部から第3方向D3に向かって又は延伸構造物SP4の端部から第3方向D3とは逆向きの第6方向D6に向かって照射領域EAを移動させることで、延伸構造物SP2の端部から第3方向D3に向かって又は延伸構造物SP4の端部から第6方向D6に向かって延びる延伸構造物SP3を延伸構造物SP2又はSP4に続けて形成してもよい。
尚、制御装置7は、ある延伸構造物SPを形成するタイミングで、当該ある延伸構造物SPと材料ノズル412との間における材料供給路から所定距離以内に何らかの物体が位置すると推定される場合に、ある延伸構造物SPを形成するために供給される造形材料Mが何らかの物体によって遮られる可能性があると判定してもよい。ある延伸構造物SPを形成するための造形材料Mが何らかの物体によって遮られる可能性があると判定された場合には、制御装置7は、各延伸構造物SPを形成するための造形材料Mが何らかの物体によって遮られる可能性がなくなるように、複数の延伸構造物SPを形成する順番を再度決定してもよい。
尚、上述の例では、延伸構造物SP(例えば、図11に示す延伸構造物SP1からSP4)は直線状に延びた形状であるが、延伸構造物SPは直線状に延びた形状に限定されず、曲線に沿って延びた形状であってもジクザクに折れ曲がった線に沿って延びた形状であってもよい。
制御装置7は、ワイヤーフレームデータに基づいて、造形面CSから離れた空間内での照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPの移動経路が相対的に短くなるように又は最短になるように、3次元構造物STを構成する複数の延伸構造物SPを形成する順番を決定してもよい。特に、異なる複数の方向に夫々延びる複数の延伸構造物SPが一体化された3次元構造物STを形成する場合には、制御装置7は、ワイヤーフレームデータに基づいて、3次元構造物STを構成する複数の延伸構造物SPを可能な限り連続して形成することができるように、複数の延伸構造物SPを形成する順番を決定してもよい。言い換えれば、制御装置7は、ワイヤーフレームデータに基づいて、複数の延伸構造物SPを順に形成する過程で光ELを照射することなく造形ヘッド41を移動させるだけの期間が可能な限り短くなるように、複数の延伸構造物SPを形成する順番を決定してもよい。一例として、例えば、制御装置7は、ワイヤーフレームデータに基づいて、3次元構造物STを構成する複数の延伸構造物SPをいわゆる一筆書きの要領で形成することができるように、複数の延伸構造物SPを形成する順番を決定してもよい。
以上説明した第2造形動作によれば、第1造形動作と比較して、複数の延伸構造物SPを含む形状を有する3次元構造物をより適切に形成することができる。
(3)変形例
続いて、造形システム1の変形例について説明する。
(3-1)第1変形例
初めに、第1変形例について説明する。第1変形例の造形システム1aは、上述した造形システム1と比較して、造形装置4に代えて造形装置4aを備えているという点で異なっている。造形装置4aは、上述した造形装置4と比較して、ステージ駆動系44を備えているという点で異なっている。造形システム1aのその他の構造は、上述した造形システム1のその他の構造と同一である。以下、図12を参照しながら、第1変形例の造形装置4aについて説明する。
図12に示すように、造形装置4aは、造形ヘッド41、ヘッド駆動系42及びステージ43に加えて、ステージ駆動系44を備えている。ステージ駆動系44は、ステージ43を移動させる(ステージ43の姿勢を変更する)。ステージ43を移動させるために、ステージ駆動系44は、ステージ駆動系44θYと、ステージ駆動系44θZとを備える。ステージ駆動系44θYは、θY軸に沿ってステージ43を移動させる。言い換えれば、ステージ駆動系44θYは、Y軸周りにステージ43を回転させる。ステージ駆動系44θZは、θZ軸に沿ってステージ43を移動させる。言い換えれば、ステージ駆動系44θZは、Z軸周りにステージ43を回転させる。つまり、ステージ駆動系44は、θY軸及びθZ軸の夫々に沿ってステージ43を移動させる。尚、図12(a)及び図12(b)に示した例では、θY軸がワークWを貫通するように(θY軸がステージ43の上面とほぼ一致するように)設定されているが、それに限定されず、θY軸がワークWの上方或いは下方(ステージ43の上面に対して上方(+Z側)、或いはステージ43の上面に対して下方(-Z側))に設定されていてもよい。
ステージ駆動系44θY及びステージ駆動系44θZの夫々は、例えば、回転モータを含む駆動系であるが、その他のモータ(或いは、駆動源)を含む駆動系であってもよい。ステージ駆動系44θYは、ステージ43を保持する板状の保持部材441θY、保持部材441θYの+Y側の端部及び-Y側の端部から+Z側に突き出る板状の壁部材442θYと、Y軸周りに回転可能な回転子を有する回転モータ443θYと、回転モータ443θYの回転子と壁部材442θYとを連結する連結部材444θYとを備える。回転モータ443θYは、チャンバ46の底面に空気ばね等の防振装置を介して設置される支持フレーム445に固定されている。ステージ駆動系44θZは、Z軸周りに回転可能であって且つステージ43に連結された回転子を有する回転モータ443θZを備える。回転モータ443θZは、保持部材441θYに固定されている。回転モータ443θYが駆動すると、Y軸周りに保持部材441θY(更には、保持部材441θYが保持するステージ43)が回転する。回転モータ44θZが駆動すると、Y軸周りに保持部材441θY(更には、保持部材441θYが保持するステージ43)が回転する。回転モータ443θZが駆動すると、Z軸周りにステージ43が回転する。尚、支持フレーム445は、造形システム1aが設置される床からの振動、或いは造形システム1a内であってチャンバ46外からの振動を低減するための防振装置を介してチャンバ46に設置されているが、例えば、造形システム1a内であってチャンバ46外からの振動が無視できれば、造形システム1aと床との間に設けてもよく、この床の振動条件が良好(低い振動)である場合には、防振装置はなくてもよい。
ステージ43がθY軸及びθZ軸の夫々に沿って移動する(θY軸及びθZ軸の夫々の回りに回転する)と、照射系411に対するステージ43(更には、ステージ43が保持するワークW及び3次元造形物STの少なくとも一方)の相対的な位置が変わる。より具体的には、ステージ43がθY軸及びθZ軸の少なくとも一方に沿って移動すると、照射系411に対するステージ43(更には、ステージ43が保持するワークW及び3次元造形物STの少なくとも一方)の姿勢が変わる。照射系411からの光ELの射出方向に対するステージ43(更には、ステージ43が保持するワークW及び3次元造形物STの少なくとも一方)の姿勢が変わる。照射系411からの照射領域EAへと向かう光ELの軸線に対するステージ43(更には、ステージ43が保持するワークW及び3次元造形物STの少なくとも一方)の姿勢が変わる。
このようなステージ駆動系44を備える造形システム1aは、ステージ駆動系44を用いてステージ43を移動させることで、造形面CSに対して照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPを移動させることができる。具体的には、造形システム1aは、照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPに対してステージ43を移動させることで、造形面CSに対して照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPを移動させることができる。造形システム1aは、造形ヘッド41に対してステージ43を移動させることで、造形面CSに対して照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPを移動させることができる。このため、第1変形例の造形システム1aは、上述した造形システム1が享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。
尚、上述した説明では、ステージ駆動系44は、θY軸及びθZ軸の夫々に沿ってステージ43を移動させている。しかしながら、ステージ駆動系44は、θY軸及びθZ軸の少なくとも一方に沿ってステージ43を移動させなくてもよい。ステージ駆動系44は、θY軸及びθZ軸のうちの少なくとも一つに加えて又は代えて、θX軸、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つに沿ってステージ43を移動させてもよい。
(3-2)第2変形例
続いて、第2変形例について説明する。第2変形例の造形システム1bは、上述した第1変形例の造形システム1aと同一の構造を有している。つまり、造形システム1bは、ステージ駆動系44を備えている。
更に、造形システム1bは、第2造形動作によって3次元構造物STを形成する際に、造形物Suを所望方向に向かって成長させて延伸構造物SPを形成するように、ステージ駆動系44を用いて光ELに対するステージ43の姿勢(つまり、造形面CSの姿勢)を変更する。具体的には、造形システム1bは、造形物Suを鉛直方向に沿っており且つ重力に逆らう所望方向に向かって成長させて延伸構造物SPを形成するように、ステージ駆動系44を用いて光ELに対するステージ43の姿勢を変更する。以下、説明の便宜上、鉛直方向に沿っており且つ重力に逆らう所望方向を、“+Z方向”と称する。但し、所望方向は、鉛直方向に沿っており且つ重力に逆らう方向とは異なる方向であってもよい。
上述したように、造形システム1bは、異なる複数の方向に夫々延びる複数の延伸構造物SPを含む3次元構造物STを形成することができる。この場合であっても、造形システム1bは、複数の延伸構造物SPを夫々構成する複数の造形物Suの夫々を同じ+Z方向に向かって成長させて複数の延伸構造物SPを形成するように、光ELに対するステージ43の姿勢を変更する。例えば、造形システム1bは、一の造形物Suを+Z方向に向かって成長させて一の延伸構造物SPを形成し、その後、他の造形物Suを+Z方向に向かって成長させることができるようにステージ43の姿勢を変更し、その後、他の造形物Suを+Z方向に向かって成長させて他の延伸構造物SPを形成する。
一例として、図13から図20を参照して、第2変形例における第2造形動作によって図11に示す3次元構造物STが形成される例について説明する。まず、図13に示すように、造形システム1bは、3次元構造物STの一部に相当する延伸構造物SP1を造形面CS(ここでは、ワーク面WS)上に形成する。延伸構造物SP1を形成するために、まずは、造形システム1bは、延伸構造物SP1を構成する造形物Suを+Z方向に向かって成長させることができるように、ステージ43の姿勢を制御する。具体的には、延伸構造物SP1が造形面CSに直交する第1方向D1に向かって延びる構造物であるため、造形システム1bは、造形面CSがXY平面に沿った面となるように、ステージ43の姿勢を変更する。このとき、造形システム1bは、必要に応じて、造形ヘッド41の位置も変更してもよい。その後、造形システム1bは、造形物Suを+Z方向に向かって成長させて延伸構造物SP1を形成する。具体的には、造形システム1bは、光ELを照射しながら、ステージ43に対して造形ヘッド41を+Z方向に向かって移動させる。この際、造形システム1bは、ステージ43の姿勢を維持してもよい。その結果、造形面CSに対して照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPが+Z方向に向かって移動する。このため、造形面CSから造形物Suが+Z方向に向かって成長していく。つまり、造形面CSから+Z方向に向かって成長した造形物Suによって延伸構造物SP1が形成される。言い換えれば、造形面CSから+Z方向に向かって延びる延伸構造物SP1が形成される。
その後、造形システム1bは、延伸構造物SP2を構成する造形物Suを、延伸構造物SP1を構成する造形物Suを成長させた方向と同じ+Z方向に向かって成長させることができるように、ステージ43の姿勢を制御する。具体的には、延伸構造物SP2が造形面CSに対して傾斜する第2方向D2に沿って延びる構造物であるため、図14に示すように、造形システム1bは、造形面CSがXY平面に対して傾斜する面となるように、ステージ43の姿勢を変更する。図14に示す例では、造形システム1bは、Y軸周りにステージ43が回転するように、ステージ43の姿勢を変更している。このとき、造形システム1bは、必要に応じて、造形ヘッド41の位置も変更してもよい。ここで、造形ヘッド41の材料ノズル412による造形材料Mの供給と照射系411による光ELの照射は、ステージ43の姿勢変更時に停止されていてもよい。尚、材料ノズル412による造形材料Mの供給と照射系411による光ELの照射とを行いつつステージ43の姿勢変更を行ってもよい。その後、図15に示すように、造形システム1bは、造形物Suを+Z方向に向かって成長させて延伸構造物SP2を形成する。言い換えると、造形システム1bは、造形物Suを造形面CSに対して傾斜する第2方向D2に向かって成長させて延伸構造物SP2を形成する。具体的には、造形システム1bは、光ELを照射しながら、ステージ43に対して造形ヘッド41を+Z方向(この場合、第2方向D2)に向かって移動させる。この際、造形システム1bは、ステージ43の姿勢を維持してもよい。その結果、既に形成済みの延伸構造物SP1に対して照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPが+Z方向(この場合、第2方向D2)に向かって移動する。このため、延伸構造物SP1の端部から造形物Suが+Z方向(この場合、第2方向D2)に向かって成長していく。つまり、延伸構造物SP1の端部から+Z方向(この場合、第2方向D2)に向かって成長した造形物Suによって延伸構造物SP2が形成される。言い換えれば、延伸構造物SP1の端部から+Z方向(この場合、第2方向D2)に向かって延びる延伸構造物SP2が形成される。尚、造形面CSがXY平面に対して傾斜する面であるため、延伸構造物SP1の端部から+Z方向に向かって延びる延伸構造物SP2は、造形面CSに対して傾斜する第2方向D2に向かって延びる構造物となっている。
その後、造形システム1bは、延伸構造物SP3を構成する造形物Suを、延伸構造物SP1及びSP2を構成する造形物Suを成長させた方向と同じ+Z方向に向かって成長させることができるように、ステージ43の姿勢を制御する。具体的には、延伸構造物SP3が造形面CSに平行な第3方向D3に沿って延びる構造物であるため、図16に示すように、造形システム1bは、造形面CSがXY平面に直交する面となるように、ステージ43の姿勢を変更する。図16に示す例では、造形システム1bは、Y軸周りにステージ43が回転するように、ステージ43の姿勢を変更している。このとき、造形システム1bは、必要に応じて、造形ヘッド41の位置も変更してもよい。ここで、材料ノズル412による造形材料Mの供給と照射系411による光ELの照射は、ステージ43の姿勢変更時に停止されていてもよいし、材料ノズル412による造形材料Mの供給と照射系411による光ELの照射とを行いつつステージ43の姿勢変更を行ってもよい。その後、図17に示すように、造形システム1bは、造形物Suを+Z方向(この場合、第3方向D3)に向かって成長させて延伸構造物SP3を形成する。具体的には、造形システム1bは、光ELを照射しながら、ステージ43に対して造形ヘッド41を+Z方向(この場合、第3方向D3)に向かって移動させる。この際、造形システム1bは、ステージ43の姿勢を維持してもよい。その結果、既に形成済みの延伸構造物SP2に対して照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPが+Z方向(この場合、第3方向D3)に向かって移動する。このため、延伸構造物SP2の端部から造形物Suが+Z方向(この場合、第3方向D3)に向かって成長していく。つまり、延伸構造物SP2の端部から+Z方向(この場合、第3方向D3)に向かって成長した造形物Suによって延伸構造物SP3が形成される。言い換えれば、延伸構造物SP2の端部から+Z方向(この場合、第3方向D3)に向かって延びる延伸構造物SP3が形成される。尚、造形面CSがXY平面に直交する面であるため、延伸構造物SP2の端部から+Z方向に向かって延びる延伸構造物SP3は、造形面CSに平行な第3方向D3に向かって延びる構造物となっている。
その後、造形システム1bは、延伸構造物SP4を構成する造形物Suを、延伸構造物SP1からSP3を構成する造形物Suを成長させた方向と同じ+Z方向に向かって成長させることができるように、ステージ43の姿勢を制御する。具体的には、延伸構造物SP4が造形面CSに対して傾斜する第5方向D5に沿って延びる構造物であるため、図18に示すように、造形システム1bは、造形面CSがXY平面に対して傾斜する面となるように、ステージ43の姿勢を変更する。図18に示す例では、造形システム1bは、Y軸周りにステージ43が回転するように、ステージ43の姿勢を変更している。このとき、造形システム1bは、必要に応じて、造形ヘッド41の位置も変更してもよい。ここで、ステージ43の姿勢変更時或いは造形ヘッド41の位置変更時に、材料ノズル412による造形材料Mの供給と照射系411による光ELの照射とを停止してもよい。尚、材料ノズル412による造形材料Mの供給と照射系411による光ELの照射とを行いつつステージ43の姿勢変更或いは造形ヘッド41の位置変更を行ってもよい。その後、造形システム1bは、造形物Suを+Z方向(この場合、第5方向D5)に向かって成長させて延伸構造物SP4を形成する。具体的には、造形システム1bは、光ELを照射しながら、ステージ43に対して造形ヘッド41を+Z方向に向かって移動させる。この際、造形システム1bは、ステージ43の姿勢を維持してもよい。その結果、既に形成済みの延伸構造物SP1に対して照射領域EA、供給領域MA及び溶融池MPが+Z方向(この場合、第5方向D5)に向かって移動する。このため、延伸構造物SP1の端部から造形物Suが+Z方向(この場合、第5方向D5)に向かって成長していく。つまり、延伸構造物SP1の端部から+Z方向(この場合、第5方向D5)に向かって成長した造形物Suによって延伸構造物SP4が形成される。言い換えれば、延伸構造物SP1の端部から+Z方向(この場合、第5方向D5)に向かって延びる延伸構造物SP4が形成される。尚、造形面CSがXY平面に対して傾斜する面であるため、延伸構造物SP1の端部から+Z方向に向かって延びる延伸構造物SP4は、造形面CSに対して傾斜する第5方向D5に向かって延びる構造物となっている。
但し、図18に示す例では、延伸構造物SP4を構成する造形物Suを+Z方向に向かって成長させることができるようにステージ43の姿勢が変更されると、延伸構造物SP4を形成するために照射した光ELが、延伸構造物SP4と照射系411との間に位置し得る延伸構造物SP3によって遮られてしまう可能性がある。この場合には、造形システム1bは、上述したように、各延伸構造物SPを形成するために照射する光ELが何らかの物体によって遮られる可能性がなくなるように、複数の延伸構造物SPを適切な順番で形成してもよい。例えば、造形システム1bは、延伸構造物SP2の形成後に延伸構造物SP4を形成し、その後に、延伸構造物SP3を形成してもよい。
或いは、造形システム1bは、ある延伸構造物SPを形成する時点で当該延伸構造物SPを形成するための光ELが何らかの物体によって遮られる可能性がある場合には例外的に、当該延伸構造物SPを構成する造形物Suを+Z方向とは異なる方向に向かって成長させることを許容してもよい。つまり、造形システム1bは、ある延伸構造物SPを構成する造形物Suを+Z方向に向かって成長させることよりも、ある延伸構造物SPを形成するための光ELが何らかの物体によって遮られる可能性をなくすことを優先してもよい。この場合、例えば、図19に示すように、造形システム1bは、ある延伸構造物SPを形成するための光ELが何らかの物体によって遮られる可能性がなくなるように、ステージ43の姿勢を変更してもよい。つまり、造形システム1bは、ある延伸構造物SPを形成するための光ELが何らかの物体によって遮られる可能性がなくなるように、光ELとステージ43(更には、ステージ43上のワークW及びワークW上の延伸構造物SPと等)との位置関係を変更してもよい。このとき、造形システム1bは、必要に応じて、造形ヘッド41の位置も変更してもよい。その後、図20に示すように、造形システム1bは、造形物Suを+Z方向とは異なる方向(図20に示す例では、Z軸方向に対して傾斜した方向)に向かって成長させて延伸構造物SP4を形成してもよい。尚、第2変形例で説明した造形物Suを+Z方向に成長させるように延伸構造物SPを形成する場合に限らず、ある延伸構造物SPを形成するために照射する光ELが何らかの物体によって遮られる可能性がある場合には、造形システム1bは、ある延伸構造物SPを形成するための光ELが何らかの物体によって遮られる可能性がなくなるように、ステージ43の姿勢を変更してもよい。
以上説明した第2変形例の造形システム1bは、上述した造形システム1が享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。更に、第2変形例の造形システム1bは、造形物Suを+Z方向に向かって成長させることで、延伸構造物SPを形成することができる。造形物Suが+Z方向に向かって成長する場合には、造形物Suの+Z方向を向いた表面に照射領域EAが設定される。つまり、ワークWに対して+Z方向に位置している造形ヘッド41から-Z方向に向かって照射される光ELが、造形物Suのうち延伸構造物SPを成長させたい方向を向いた表面MSに適切に照射される。更に、造形物Suが+Z方向に向かって成長する場合には、溶融池MPが+Z方向を向いた面に形成される。このため、ワークWに対して+Z方向に位置している造形ヘッド41から-Z方向に向かって供給される造形材料Mが、溶融池MPに適切に供給される。更に、溶融池MPが+Z方向を向いた面に形成されるがゆえに、溶融池MPにおいて溶融した造形材料Mが、重力に起因して溶融池MPからこぼれ落ちる可能性が小さくなる。このため、このため、造形システム1bは、相対的に適切に3次元構造物STを形成することができる。
(3-3)その他の変形例
上述した説明では、造形システム1は、造形ヘッド41を移動させることで、造形面CSに対して照射領域EAを移動させている。しかしながら、造形システム1は、造形ヘッド41を移動させることに加えて又は代えて、光ELを偏向させることで造形面CSに対して照射領域EAを移動させてもよい。この場合、照射系411は、例えば、光ELを偏向可能な光学系(例えば、ガルバノミラー等)を備えていてもよい。
上述した説明では、造形システム1は、造形材料Mに光ELを照射することで、造形材料Mを溶融させている。しかしながら、造形システム1は、任意のエネルギビームを造形材料Mに照射することで、造形材料Mを溶融させてもよい。この場合、造形システム1は、照射系411に加えて又は代えて、任意のエネルギビームを照射可能なビーム照射装置を備えていてもよい。任意のエネルギビームは、限定されないが、電子ビーム、イオンビーム等の荷電粒子ビーム又は電磁波を含む。また、造形システム1は、熱を造形材料Mに伝達することで、造形材料Mを溶融させてもよい。この場合、造形システム1は、照射系411に加えて又は代えて、造形材料Mに高温の気体(一例として火炎)を加えて造形材料Mを溶融させてもよい。
上述した説明では、造形システム1は、レーザ肉盛溶接法により造形物を形成可能である。しかしながら、造形システム1は、造形材料Mから造形物を形成可能なその他の方式により造形材料Mから造形物を形成してもよい。その他の方式として、例えば、粉末焼結積層造形法(SLS:Selective Laser Sintering)等の粉末床溶融結合法(Powder Bed Fusion)、結合材噴射法(Binder Jetting)又は、レーザメタルフュージョン法(LMF:Laser Metal Fusion)があげられる。
尚、造形システム1は、3次元構造物STの一例として、図21に示すような複数の三角形による骨組み構造であるトラス構造体を、造形してもよい。また、造形システム1は、図22に示すように、延伸構造物SPがサポート材となるように、ワークWのワーク面WSと交差する方向に延びた延伸構造物SPを造形してもよい。このとき、延伸構造物SPの上に構造層SLを造形してもよい。尚、延伸構造物SPの上に造形される構造層SLのうち最下層の構造層SL(つまり、最も延伸構造物SP側の構造層SL)を造形する場合、造形システム1は、この最下層の構造層SLの延伸方向が±Z軸方向を向くようにステージ43の姿勢を変えて造形してもよい。尚、構造層SLの上側に延伸構造物SPを造形してもよい。
上述の各実施形態の構成要件の少なくとも一部は、上述の各実施形態の構成要件の少なくとも他の一部と適宜組み合わせることができる。上述の各実施形態の構成要件のうちの一部が用いられなくてもよい。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態で引用した全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う処理装置及び処理方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。