以下では、具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
図1は、本実施形態に係る撮像装置1が電車Tに設置されている様子を示す概略図、図2は、撮像装置1の詳細な構成を表す模式断面図である。本実施形態に係る撮像装置1は、車窓や家屋の窓などに吸着させ、吸着させた窓などを介して周辺環境を撮像する装置である。図1の例では、撮像装置1は、電車Tの窓ガラスを被吸着面9として、被吸着面9に吸着されている。
図1及び図2に示すように、撮像装置1は、カメラユニット11と、吸着部12と、制御ユニット13と、を含む。カメラユニット11は、被吸着面9を介して電車Tの外側における周辺環境を撮像して画像データを生成する。なお、その視野は、例えば一点鎖線で示すように対角130°程度の拡がりを有する。吸着部12は、カメラユニット11を支持し、ユーザによって固定される。例えば、吸着部12は、外部から吸着方向に押圧されることで被吸着面9に固定される。制御ユニット13は、予め定められた吸着条件が満たされ、かつ周辺環境に移動体を検出した場合に、記録部への画像データの出力を開始する。このような構成によれば、撮像装置1が被吸着面9に吸着し、かつ移動体を検出した時点から、撮像装置1による撮像及び記録を開始することができる。したがって、周辺環境内の移動体を迅速に撮像して記録することができる。
図2に示すように、カメラユニット11はレンズ111を有し、制御ユニット13に連結されている。吸着部12は、吸盤121と、透明板122と、支持部123と、収容部124と、を有する。なお、一点鎖線は、カメラユニット11が撮像可能な撮像方向を示している。
収容部124は、内部に空間を有する容器状の部材である。収容部124の先端は球状に形成されている。使用時において、カメラユニット11は収容部124の内部に収容される。カメラユニット11のレンズ111は、収容部124の先端側に配置される。
支持部123は、軸方向に貫通穴を有する筒状部材であって、当該貫通穴の一部分には、収容部124の先端と同じ球状の空間が形成されている。支持部123に形成された球状の空間内に収容部124が収容されることで、支持部123と収容部124は回転自在に嵌合される。
吸盤121は、可撓性の樹脂材料等で一体的に、ドーム状あるいはスカート状に形成された吸盤である。吸盤121の外周縁部は、被吸着面9に押圧されることで被吸着面9に吸着する。また、吸盤121の凸側の部分には開口部が形成されており、当該開口部には透明板122が嵌め込まれている。吸盤121の凸側の部分及び透明板122は、支持部123と接合されている。
吸着部12のうち、透明板122と収容部124のうち少なくとも撮影方向側は、アクリルやガラスなどの透明な材料で形成されている。また、支持部123のうち少なくとも撮像方向側は開口されている。したがって、吸着部12は、カメラユニット11の光路を遮ることなく、カメラユニット11を支持する。なお、吸盤121及び支持部123は、周りからの光を遮断する遮光性を有することが好ましい。吸盤121及び支持部123が遮光性を有することによって、撮像方向以外からの光の差し込みを抑制し、カメラユニット11の画質を向上させることができる。
図3は、被吸着面9に固定された撮像装置1を表す模式断面図である。図3に示すように、吸着部12は、外部から吸着方向に押圧されることで、被吸着面9との間に減圧された密閉空間91が形成され、被吸着面9に固定される。密閉空間91は、吸盤121、透明板122、及び被吸着面9に囲まれて密閉された空間である。また、吸着方向とは、図3の左矢印の通り、吸着部12から被吸着面9に向かう方向である。
吸着部12は、外部から脱離方向に引っ張られることで、吸盤121と被吸着面9とが引きはがされ、被吸着面9から脱離される。脱離方向とは、図3の右矢印の通り、被吸着面9から吸着部12に向かう方向である。
図4は、被吸着面9に固定されたカメラユニット11を傾けたときの撮像装置1を表す模式断面図である。図4に示すように、収容部124を支持部123の内壁に沿って回転させることで、カメラユニット11の撮像方向を回転させることができる。支持部123の内壁及び収容部124の先端が球形に形成されている場合、カメラユニット11は鉛直方向及び水平方向に回転できる。
なお、図2~図4の例では、吸着部12は透明板122を備えるものとして説明したが、吸着部12は透明板122を有さなくてもよい。この場合、吸盤121と支持部123と収容部124と被吸着面9とで囲まれて密閉された空間が減圧されることで、吸着部12が被吸着面9に吸着する。また、この場合は、支持部123と収容部124の間にグリスのような潤滑剤を塗布することで、密閉空間の気密性を損なわずに収容部124を回転させることができる。
また、図2~図4の例では、吸着部12は吸盤121を備えるものとして説明したが、被吸着面9に固定可能な部材であれば、吸盤121に代えて用いることができる。例えば、吸盤121に代えて、粘着性を有するゴムテープや接着テープを用いることができる。
次に、撮像装置1の制御システムについて説明する。図5は、撮像装置1のシステム構成を表すブロック図である。図5に示すように、撮像装置1の制御システムは、主にカメラユニット11と制御ユニット13とで構成される。また、本実施形態に係る撮像装置1は、カメラユニット11及び制御ユニット13の他に、記録部142を更に備える。
カメラユニット11は、主にレンズ111、撮像素子112、及びAFE(アナログフロントエンド)113を備える。制御ユニット13は、制御部131、画像入力IF(インターフェイス)132、ワークメモリ133、システムメモリ134、画像処理部135、移動体判定部136、吸着判定部137、吸着検出部138、画像出力部139、明るさ判定部140、及びバスライン141を主に備える。
吸着検出部138は、吸着部12と被吸着面9との関係を示す物理量を検出する。吸着部12と被吸着面9との関係を示す物理量とは、例えば吸着部12と被吸着面9との間にかかる応力の大きさや、吸着部12と被吸着面9との間の空間(密閉空間91)の圧力である。吸着検出部138は、検出した物理量に対応する電圧信号をバスライン141に出力する。
なお、吸着検出部138は、制御ユニット13の外部に設けられていてもよい。その場合、吸着検出部138は、制御ユニット13に設けられた検出信号IF(不図示)に対して電圧信号を出力する。検出信号IF(不図示)は、吸着検出部138の電圧信号を逐次取得して、バスライン141へと引き渡す。
本実施形態では、吸着検出部138が、吸着部12と被吸着面9との間にかかる応力の大きさを検出する場合の例を説明する。吸着部12と被吸着面9との間にかかる応力とは、撮像装置1に外部から加えられた吸着方向の荷重である。このとき、吸着検出部138は、例えば圧電式またはひずみゲージ式の荷重センサであって、カメラユニット11と制御ユニット13との連結部分など、外部からの荷重に対応して伸縮する箇所に配置される。この場合、吸着検出部138は、外部から加えられた圧縮荷重を吸着方向の荷重として検出することができる。なお、吸着検出部138は、荷重センサの向きを検出する傾斜センサやジャイロセンサを更に備え、荷重センサの向きと吸着方向とのなす角度を取得してもよい。この場合、吸着検出部138は、吸着方向に射影した圧縮荷重のベクトルの長さを吸着方向の荷重として検出する。このような構成では、カメラユニット11及び制御ユニット13が傾いた場合であっても、吸着方向の荷重を正確に求めることができる。
このとき、吸着検出部138は、外部から吸着方向の荷重が加えられた場合に、当該吸着方向の荷重に対応した電圧信号をバスライン141に出力する。具体的には、吸着検出部138は、検出可能な荷重を検出した場合に、検出した荷重の大きさに比例する電圧値の電圧信号をバスライン141に出力する。吸着検出部138は、荷重を検出している間は、電圧信号を連続的に出力する。バスライン141は、吸着検出部138からの電圧信号を電圧値に変換することで、外部から吸着方向に加えられた荷重の大きさを把握することができる。また、バスライン141は、電圧信号が連続的に出力された時間から、外部から吸着方向に加えられた荷重の継続時間を把握することができる。荷重の継続時間とは、吸着検出部138が継続的に荷重を検出した時間の長さである。
また、吸着検出部138は、外部から加えられた脱離方向の荷重をさらに検出してもよい。この場合、吸着検出部138は、外部から加えられた引張荷重を脱離方向の荷重として検出する。なお、吸着検出部138は、荷重センサの向きを検出するジャイロセンサを更に備え、荷重センサの向きと脱離方向とのなす角度を取得してもよい。この場合、吸着検出部138は、脱離方向に射影した引張荷重のベクトルの長さを脱離方向の荷重として検出する。このような構成では、カメラユニット11及び制御ユニット13が傾いた場合であっても、脱離方向の荷重を正確に求めることができる。
このとき、吸着検出部138は、外部から脱離方向に荷重が加えられた場合に、当該脱離方向の荷重に対応した電圧信号をバスライン141に出力する。具体的には、吸着検出部138は、検出可能な荷重を検出した場合に、検出した荷重の大きさに比例する電圧値の電圧信号をバスライン141に出力する。吸着検出部138は、荷重を検出している間は、電圧信号を連続的に出力する。バスライン141は、吸着検出部138からの電圧信号を電圧値に変換することで、外部から脱離方向に加えられた荷重の大きさを把握することができる。また、バスライン141は、電圧信号が連続的に出力された時間から、外部から脱離方向に加えられた荷重の継続時間を把握することができる。
吸着判定部137は、吸着部12が被吸着面9に吸着する場合に成立する吸着条件が満たされたか否かを判定する。例えば、吸着判定部137は、吸着検出部138が出力した電圧信号を、吸着方向の荷重の大きさ等の物理量に変換する。そして、吸着判定部137は、得られた物理量の大きさが吸着条件を満たすか否かを判定する。吸着判定部137は、吸着条件が満たされたと判定した場合には、制御部131に対して吸着信号を出力する。
制御部131は、例えばCPUであり、カメラユニット11及び制御ユニット13を構成する各要素を直接的または間接的に制御する。例えば制御部131は、吸着条件が満たされたと吸着判定部137が判定した場合、画像データの生成を開始するようにカメラユニット11を制御する。すなわち、制御部131は、吸着判定部137から吸着信号を取得した場合、画像データの生成を開始するようにカメラユニット11を制御する。
カメラユニット11のレンズ111は、入射する被写体光束を撮像素子112へ導く光学素子である。レンズ111は、複数の光学レンズ群から構成されていても良い。撮像素子112は、例えばCMOSイメージセンサである。撮像素子112は、制御部131から指定される1フレームあたりの露光時間に従って電子シャッタにより電荷蓄積時間を調整し、光電変換を行って画素信号を出力する。撮像素子112は、画素信号をAFE113へ引き渡す。AFE113は、画素信号を制御部131から指示される増幅ゲインに応じてレベル調整してデジタルデータへA/D(アナログ/デジタル)変換し、画像データとして制御ユニット13へ送信する。なお、カメラユニット11は、メカニカルシャッタや虹彩絞りを備えても良い。メカニカルシャッタや虹彩絞りを備える場合には、制御部131は、これらも利用して、撮像素子112へ入射する光量を調整することができる。
画像入力IF132は、カメラユニット11が撮像した画像データを逐次取得する画像データ取得部としての機能を担い、制御ユニット13と接続されているカメラユニット11から画像データを取得して、バスライン141へ引き渡す。
ワークメモリ133は、例えば揮発性の高速メモリによって構成される。ワークメモリ133は、AFE113から画像入力IF132を介して画像データを受け取り、1フレームの画像データとして記憶する。ワークメモリ133は、フレーム単位で画像処理部135へ画像データを引き渡す。また、ワークメモリ133は、画像処理部135が画像処理する途中段階においても一時的な記憶領域として適宜利用される。
画像処理部135は、ワークメモリ133から受け取った画像データに対して各種の画像処理を施し、予め定められたフォーマットに即したフレーム画像を生成する。例えば、MPEGファイル形式の動画像データを生成する場合は、各フレームの画像データに対するホワイトバランス処理、ガンマ処理等を施した後に、各フレームの画像データ内および隣接フレームの画像データ間の圧縮処理を実行する。画像処理部135は、各処理を施したフレーム画像を逐次生成して、バスライン141へ引き渡す。
移動体判定部136は、カメラユニット11が撮像した周辺環境に移動体が存在するか否かを判定する。移動体判定部136は、周辺環境に移動体が存在すると判定した場合には、バスライン141に移動体信号を出力する。
例えば移動体判定部136は、連続するフレーム画像を画像処理部135から受け取り、前後のフレーム画像の差分を、各画素の動きベクトルとして求める。次いで、移動体判定部136は、動きベクトルがゼロである画素の集合を背景領域として抽出する。背景領域とは、周辺環境において移動体がない領域のことである。このような構成においては、移動体判定部136は、カメラユニット11自体が移動していないとき、すなわち電車Tが停止しているときに撮像された背景領域を抽出することができる。なお、移動体判定部136は、互いに平行な動きベクトルを有する画素や、放射状に収縮又は拡大する動きベクトルを有する画素の集合を背景領域として抽出してもよい。この場合は、移動体判定部136は、カメラユニット11自体が移動しているとき、すなわち電車Tが移動しているときに撮像された背景領域を抽出することができる。
その後、移動体判定部136は、背景領域の画素を「0」、背景領域以外の画素を「1」とした二値化画像を生成する。生成された二値化画像は、モルフォロジー変換等の公知のノイズ除去法によってノイズ除去される。ノイズ除去後の二値化画像において「1」の画素が示す領域は、移動体の領域に相当すると推定される。したがって、移動体判定部136は、ノイズ処理した後の二値化画像内に「1」の画素が予め設定された移動体基準値(例えば、全画素数の5%)以上存在する場合に、周辺環境に移動体があると判定することができる。なお、この例において、ノイズ除去に用いる各パラメータや、移動体基準値の具体的な値は、カメラユニット11の解像度や精度等に依存して定められ、物理シミュレーションや予備実験によって決定することができる。
画像出力部139は、制御部131からの指示があった場合に、ワークメモリ133から受け取った画像データを記録部142に出力する。このとき、画像出力部139は、画像処理部135から受け取ったフレーム画像を再び画像データに変換して記録部142に出力してもよい。
記録部142は、出力された画像データを記録可能な装置であって、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリとすることができる。なお、図5には、記録部142が撮像装置1に備えられた例を示しているが、記録部142は撮像装置1の外部の端末に備えられていてもよい。この場合、画像出力部139は、例えば制御ユニット13に備えられた通信IF(不図示)を介して、無線又は有線通信によって画像データを外部の記録部142に出力する。
明るさ判定部140は、画像処理部135から受け取ったフレーム画像の明るさを判定する。例えば、明るさ判定部140は、フレーム画像に含まれる各画素のYCbCr情報から輝度信号Yの値を抽出し、各画素の輝度の平均値をフレーム画像の明るさとする。明るさ判定部140は、求めたフレーム画像の明るさを制御部131に出力する。なお、明るさ判定部140は、フレーム画像に含まれる一部の画素を任意に抽出し、その画素における輝度の平均値をフレーム画像の明るさとして求めてもよい。また、明るさ判定部140は、各画素のYCbCr情報の代わりにRGB情報を取得し、一般に知られる変換式を用いて、RGB情報を輝度情報に変換してもよい。このとき、明るさ判定部140は、RGB情報のうちGの値のみを変換することで画素の輝度値を近似的に求めてもよい。また、明るさ判定部140は、フレーム画像に含まれる各画素のYCbCr情報を明度情報に変換し、各画素の明度の平均値をフレーム画像の明るさとしてもよい。また、明るさ判定部140は、ワークメモリ133から受け取った画像データの各画素のYCbCr情報から輝度信号Yの値を抽出してフレーム画像の明るさを求めてもよい。
システムメモリ134は、例えばSSD(ソリッドステートドライブ)などの不揮発性記録媒体により構成される。システムメモリ134は、撮像装置1の動作時に必要な定数、変数、設定値、制御プログラム等を記録、保持する。制御部131による制御は、システムメモリ134から読み出された制御プログラム等によって実現される。
次に、撮像装置1の制御フローについて説明する。図6は、撮像装置1の制御フローを示すフロー図である。このフローは、制御ユニット13が動作可能となった時点で開始する。制御ユニット13が動作可能となった時点とは、例えば、ユーザが撮像装置1の電源をオンにした時である。本実施形態では、吸着検出部138として、外部から加えられた吸着方向の荷重を検出するセンサを用いた場合の例について説明する。
まず、ステップS10において、吸着検出部138は、吸着部12と被吸着面9との関係を示す物理量を検出する。具体的には、吸着検出部138は外部から加えられた吸着方向の荷重を検出する。この場合、吸着検出部138は、外部から加えられた吸着方向の荷重の大きさに対応する電圧信号をバスライン141に出力する。吸着検出部138は、外部からの吸着方向の荷重を検出できない場合は、電圧信号をバスライン141に出力しなくてもよい。吸着判定部137は、吸着検出部138から受け取った電圧信号を変換し、外部から加えられた吸着方向の荷重の、大きさ及び継続時間を取得する。その後、ステップS20に進む。
ステップS20に進んだ場合、吸着判定部137は、吸着部12と被吸着面9との関係が吸着条件を満たすか否かを判定する。吸着条件とは、吸着部12が被吸着面9に吸着する場合に成立する条件である。本実施形態においては、吸着判定部137は、吸着検出部138が検出した吸着方向の荷重の大きさ及び荷重の継続時間の関係が予め定められた吸着荷重条件を満たすか否かを判定する。吸着荷重条件とは、吸着部12が被吸着面9に吸着する際に必要な荷重が外部から加えられたときに成立する条件である。吸着判定部137は、吸着方向の荷重の大きさ及び荷重の継続時間の関係が吸着荷重条件を満たす場合に、吸着条件が満たされたと判定する。
例えば、吸着方向に対して、予め設定された吸着荷重値(例えば10G)以上の大きさの荷重が予め設定された吸着時間(例えば1秒)以上加えられた場合に、吸着荷重条件が満たされるとすることができる。あるいは、吸着方向に対して、荷重の大きさと荷重の継続時間の積が予め設定された吸着力積値(例えば100N・s)以上加えられた場合に、吸着条件が満たされるとすることができる。これらの例において、吸着荷重値や吸着時間、吸着力積値の具体的な数値については、吸着部12の構造や物性等に依存して定められる。例えば、物理シミュレーションや予備実験によって決定することができる。
吸着方向の荷重の大きさ及び荷重の継続時間の関係が上記の吸着条件を満たす場合(ステップS20のYes)は、吸着判定部137は吸着信号をバスライン141へと出力し、ステップS30に進む。一方、吸着方向の荷重の大きさ及び荷重の継続時間の関係が上記の吸着条件を満たさない場合(ステップS20のNo)は、ステップS10に戻る。
ステップS30に進んだ場合、すなわち制御部131が吸着信号を取得した場合、制御部131は、画像データの生成等を開始させる。具体的には、制御部131はカメラユニット11を動作させ、周辺環境を撮像して画像データを生成させる。また、画像処理部135に対し、生成された画像データに各種画像処理を施させてフレーム画像を複数生成させる。その後、ステップS40に進む。
ステップS40に進んだ場合、制御部131は、明るさ判定部140が判定したフレーム画像の明るさを取得する。そして制御部131は、フレーム画像の明るさが、予め定められた明るさ基準を満たすか否かを判定する。明るさ基準とは、カメラユニット11が周辺環境から光を受光したときに満たされる基準である。換言すると、明るさ基準は、カメラユニット11が周辺環境から光を受光せず、正常な画像データを生成できなかった場合には満たされない。
例えば、フレーム画像に含まれる画素の輝度値の平均が予め設定された輝度基準値(例えば10)以上である場合には、予め定められた明るさ基準が満たされると判定する。この例において、輝度基準値の具体的な数値については、カメラユニット11の撮像精度等に依存して定められる。例えば、暗闇を撮像した場合のフレーム画像の輝度値を輝度基準値として決定することができる。
フレーム画像の明るさが上記の明るさ基準を満たす場合(ステップS40のYes)は、ステップS50に進む。一方、フレーム画像の明るさが上記の明るさ基準を満たさない場合(ステップS40のNo)は、記録部142に画像データを出力せず、ステップS70に進む。なお、後述するステップS60で記録部142への画像データの出力が行われた後にステップS40に戻った場合であれば、制御部131が記録部142への画像データの出力を停止した上でステップS70に進む。このような構成においては、例えば撮像装置1を誤って不透明な物に吸着させた場合など、カメラユニット11の光路が遮断されて正常な画像データを生成できなかった場合に、画像データの出力が開始しないよう抑制することができる。
ステップS50に進んだ場合、移動体判定部136は、撮像した周辺環境内に移動体があるか否かを判定する。周辺環境に移動体があると移動体判定部136が判定した場合(ステップS50のYes)は、移動体判定部136はバスライン141へと移動体信号を出力し、ステップS60に進む。ステップS60以降において、記録部142への画像データの出力が開始される。このような構成においては、撮像装置1が被吸着面9に吸着され、かつ移動体が検出されるとともに画像データの記録が開始されるため、周辺環境内の移動体を迅速に記録することができる。
一方、周辺環境に移動体がないと移動体判定部136が判定した場合(ステップS50のNo)は、ステップS50に戻り、操作を繰り返す。なお、後述するステップS60で記録部142への画像データの出力が行われた後にステップS50に戻った場合であれば、制御部131が記録部142への画像データの出力を停止した上でステップS50に戻り、操作を繰り返す。このような構成においては、移動体が検出されなくなったとともに、画像データの記録を停止することができる。
ステップS60に進んだ場合、すなわち制御部131が移動体信号を取得した場合、制御部131は、画像出力部139を制御して、記録部142への画像データの出力を開始する。画像データの出力を開始するとは、通信IF(不図示)を介して、無線又は有線通信によって画像データを撮像装置1の外部に出力することを含む。その後、ステップS70に進む。
ステップS70に進んだ場合、吸着検出部138は、外部から加えられた脱離方向の荷重を検出する。吸着検出部138は、外部から加えられた脱離方向の荷重の大きさに対応する電圧信号をバスライン141に出力する。吸着検出部138は、外部からの脱離方向の荷重を検出できない場合は、電圧信号をバスライン141に出力しなくてもよい。吸着判定部137は、受け取った電圧信号を変換し、外部から加えられた吸着方向の荷重の大きさや荷重の継続時間に関する情報を取得する。その後、ステップS80に進む。
ステップS80に進んだ場合、吸着判定部137は、吸着部12と被吸着面9との関係が脱離条件を満たすか否かを判定する。脱離条件とは、吸着部12が被吸着面9から脱離する場合に成立する条件である。本実施形態においては、吸着判定部137は、吸着検出部138が検出した脱離方向の、荷重の大きさ及び継続時間の関係が予め定められた脱離荷重条件を満たすか否かを判定する。吸着荷重条件とは、吸着部12が被吸着面9から脱離する際に必要な荷重が外部から加えられたときに成立する条件である。吸着判定部137は、脱離方向の荷重の大きさ及び継続時間の関係が脱離荷重条件を満たす場合に、脱離条件が満たされたと判定する。
例えば、脱離方向に対して、予め設定された脱離荷重値(例えば10G)以上の大きさの荷重が予め設定された脱離時間(例えば1秒)以上加えられた場合に、脱離荷重条件が満たされるとすることができる。あるいは、脱離方向に対して、荷重の大きさと荷重の継続時間の積が予め設定された吸着力積値(例えば100N・s)以上加えられた場合に、脱離荷重条件が満たされるとすることができる。これらの例において、脱離荷重値や脱離時間、脱離力積値の具体的な数値については、吸着部12の構造や物性等との兼ね合いによって定められる。例えば、物理シミュレーションや予備実験によって決定することができる。
脱離方向の荷重の大きさ及び加重の継続時間の関係が上記の脱離条件を満たす場合(ステップS80のYes)は、吸着判定部137は脱離信号をバスライン141へと出力する。制御部131は、脱離信号を取得すると、記録部142への画像データの出力を停止してフローを終了する。一方、脱離方向の荷重の大きさ及び加重の継続時間の関係が上記の脱離条件を満たさない場合(ステップS80のNo)は、ステップS30に戻る。このような構成においては、撮像装置1が被吸着面9から脱離するとともに画像データの生成等が停止されるため、迅速に画像データの出力を停止することができる。
以上で説明したステップS10~S80を繰り返すことにより、撮像装置1は周辺環境内の移動体を迅速に記録することができる。なお、本発明は上記の実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
(変形例)
上記の実施形態では、吸着検出部138が、外部から加えられた吸着方向の荷重を検出する場合について説明した。ここでは、その変形例として、吸着検出部138が、吸盤121の内側の気圧を検出する場合について説明する。
変形例においては、吸着検出部138は、例えばピエゾ抵抗式の気圧センサであって、吸盤121の内側に配置される。吸着検出部138は、吸盤121の内側の気圧を検出し、検出した気圧の大きさに対応した電圧信号を、有線または無線通信を介してバスライン141へと出力する。
このとき、ステップS10では、吸着検出部138は、吸盤121の内側の圧力を検出する。吸盤121が被吸着面9に吸着されている場合は、吸着検出部138は、密閉空間91の圧力を検出する。吸着検出部138は、吸盤121の内側の圧力に対応する電圧信号を、バスライン141に出力する。ステップS10においては、吸着検出部138は、吸盤121の内側の圧力が大気圧付近(例えば9×104Pa以上)である場合には、電圧信号をバスライン141に出力しなくてもよい。吸着判定部137は、受け取った電圧信号を変換し、吸盤121の内側の圧力の大きさを取得する。その後、ステップS20に進む。
ステップS20に進んだ場合、吸着判定部137は、吸着検出部138によって検出された圧力が予め定められた吸着圧力条件を満たすか否かを判定する。本実施形態においては、吸着圧力条件とは、吸盤121の内側の圧力が、吸着部12が被吸着面9に吸着する際に必要な圧力になったときに成立する条件である。吸着判定部137は、吸着検出部138によって検出された圧力が吸着圧力条件を満たす場合に、吸着条件が満たされたと判定する。
例えば、吸着検出部138によって検出された圧力が、予め設定された吸着圧力値(例えば5×104Pa)以下であった場合に、吸着圧力条件が満たされるとすることができる。この例において、吸着圧力値の具体的な数値については、吸着部12の構造や物性等に依存して定められる。例えば、物理シミュレーションや予備実験によって決定することができる。
吸着検出部138によって検出された圧力が上記の吸着条件を満たす場合(ステップS20のYes)は、吸着判定部137は吸着信号をバスライン141へと出力し、ステップS30に進む。一方、吸着検出部138によって検出された圧力が上記の吸着条件を満たさない場合(ステップS20のNo)は、ステップS10に戻る。
変形例におけるステップS30~S60については、上述した実施形態と同一であるので説明を省略する。
変形例において、ステップS70に進んだ場合、吸着検出部138は、吸盤121の内側の圧力を検出する。吸盤121が被吸着面9に吸着されている場合は、吸着検出部138は、密閉空間91の圧力を検出する。吸着検出部138は、吸盤121の内側の圧力の大きさに対応する電圧信号をバスライン141に出力する。吸着判定部137は、受け取った電圧信号を電圧値や荷重の継続時間の情報に変換することで、吸盤121の内側の圧力の大きさに関する情報を取得する。その後、ステップS80に進む。
ステップS80に進んだ場合、吸着判定部137は、吸着検出部138によって検出された圧力が予め定められた脱離圧力条件を満たすか否かを判定する。脱離圧力条件とは、吸盤121の内側の圧力が、吸着部12が被吸着面9から脱離する際の圧力、すなわち大気圧付近の圧力に達したときに成立する条件である。吸着判定部137は、吸着検出部138によって検出された圧力が脱離圧力条件を満たす場合に、脱離条件が満たされたと判定する。
例えば、ステップS70において吸着検出部138によって検出された圧力が、予め設定された脱離圧力値(例えば9×104Pa)以上であった場合に、脱離圧力条件が満たされるとすることができる。この例において、脱離圧力値の具体的な数値については、吸着部12の構造や物性等に依存して定められる。例えば、物理シミュレーションや予備実験によって決定することができる。
ステップS70において吸着検出部138によって検出された圧力が上記の脱離圧力条件を満たす場合(ステップS80のYes)は、吸着判定部137は脱離信号をバスライン141へと出力する。制御部131は、脱離信号を取得すると、記録部142への画像データの出力を停止してフローを終了する。一方、ステップS70において吸着検出部138によって検出された圧力が上記の脱離圧力条件を満たさない場合(ステップS80のNo)は、ステップS10に戻る。このような構成においても、撮像装置1が被吸着面9から脱離するとともに画像データの生成等が停止されるため、迅速に画像データの出力を停止することができる。
以上で説明したステップS10~S80を繰り返すことにより、上記の変形例に係る撮像装置1も、周辺環境内の移動体を迅速に記録することができる。
また、上記の実施形態において、本発明に係る撮像装置1を説明するために、被吸着面を介して外部の周辺環境を撮像する装置を例に説明したが、本発明に係る撮像装置1は上述の例に限られない。すなわち、本発明に係る撮像装置1は、吸着方向と逆方向や垂直方向の周辺環境を撮像するような装置であってもよい。そのような装置においても、上述したカメラユニット11及び制御ユニット13に相当する構成を有し、ステップS10~S80の操作を繰り返すことによって、周辺環境内の移動体を迅速に記録することができる。
また、上記の実施形態において、本発明の効果を損なわない範囲で、ステップS10~S80の一部を適宜省略したり、順番を入れ替えたりしてもよい。例えば、一度ステップS80の吸着検出部138によって検出された圧力が上記の脱離圧力条件を満たさない(ステップS80のNo)と判断された後、再びステップS10以降の操作を繰り返す場合は、二度目以降のステップS20の操作を適宜省略してもよい。二度目以降の操作においてステップS20の吸着条件そしてステップS40の明るさ基準を満たされた場合、これらの操作を省略し、ステップS50の移動体が存在するか判断することによって、制御フローを簡易にすることができる。
またステップS40の明るさ基準が満たされていると判定した後も明るさ判定部140は明るさの変化を監視し、画像データの出力中に例えばトンネルの出入りによる急激な明るさの変化が起きた場合、画像データの出力を停止しなくてもよい。また後述するCPUのタイマーを用いて所定時間、明るさが回復しない場合は画像データの出力を停止してもよい。
また、上記の実施形態においては、ステップS20にて吸着条件が満たされたと吸着判定部137が判定したのちに、更にステップS40にて明るさ基準が満たされていると明るさ判定部140が判定し、ステップS50にて移動体が存在すると移動体判定部136が判定し全ての条件が満たした場合に、制御部131が記録部142への画像データの出力を開始する構成について説明した。
しかしながら、吸着条件が満たされたか否かの判定と、明るさの基準が満たされているか否かの判定と、移動体が存在するか否かの判定は、この順番になされなくてもよい。例えば、吸着条件が満たされたと吸着判定部137が判定していない状態であっても、周辺環境内に移動体が存在するか否かを移動体判定部136が判定のちに吸着条件が満たされたと吸着判定部137が判定してもよい。この構成においては、移動体が存在すると移動体判定部136が判定したのち又は移動体が存在すると移動体判定部136が判定したと同時に、明るさ基準が満たされかつ吸着条件が満たされたと吸着判定部137が判定した場合に、制御部131が記録部142への画像データの出力を開始してもよい。
また、上記の実施形態において、撮像装置1は、周辺環境内における物体との距離を測る距離センサを更に備えてもよい。距離センサは、例えば赤外線や超音波等の電波を発信して、その反射波の強度や反射時間を取得するセンサである。この場合、距離センサは、反射波の強度や反射時間を移動体判定部136に出力する。移動体判定部136は、距離センサから取得した反射波の強度や反射時間を物体との距離に変換する。そして、移動体判定部136は、物体との距離が時間変化する場合に、周辺環境内に移動体が存在すると判定する。この場合においては、移動体判定部136は、上記の実施形態で説明したような画像処理を行う必要がない。
また、上記の実施形態において、撮像装置1のカメラユニット11が複眼であってもよい。この場合においては、移動体判定部136は、複眼画像から対象物までの距離を算出し、周辺環境内に移動体が存在するか否かを判定してもよい。
また、上記の実施形態において、撮像装置1の制御部131は、吸着条件が満たされたと判断した場合にカメラユニット11を動作させた例を説明したが、カメラユニット11は、常時動作するようにしてもよい。あるいは、カメラユニット11は、ユーザの起動操作によって動作を開始してもよい。
なお、上記の実施形態においては、荷重の継続時間が予め設定された吸着時間以上であることを吸着荷重条件に含めることが好ましい。このようにすることで、例えば撮像装置1が何かにぶつかった場合など、吸着方向の荷重が瞬間的に加わった場合に撮像装置1が誤作動することを抑制できる。
また、上記の実施形態においては、荷重の継続時間が予め設定された脱離時間以上であることを脱離荷重条件に含めることが好ましい。このようにすることで、例えば撮像装置1が何かにぶつかった場合など、脱離方向の荷重が瞬間的に加わった場合に撮像装置1が誤作動することを抑制できる。
また、上記の実施形態においては、撮像装置1に外部から加えられた吸着方向の荷重を検出する場合や吸盤の内側の圧力を吸着検出部138が検出する例について説明したが、吸着検出部138が検出する物理量はこれに限られない。吸着検出部138は、吸着部12と被吸着面9との関係を示す物理量を検出すれば、吸着方向の荷重や圧力以外の物理量を検出するものであってもよい。
例えば、吸着検出部138は、自身と被吸着面9との距離を検出する距離センサであってもよい。このとき吸着検出部138は、検出した距離に対応する距離信号をバスラインに出力する。吸着判定部137は、吸着検出部138から受け取った距離信号を変換し、吸着検出部138が検出した距離を取得する。吸着判定部137は、当該距離が予め設定された吸着距離(例えば1cm)以下であった場合に、吸着条件が満たされたと判定することができる。なお、吸着距離の具体的な数値については、吸着検出部138の位置や、吸着部12の構造及び物性等との兼ね合いによって定められ、例えば物理シミュレーションや予備実験によって決定することができる。
また、この例において、吸着判定部137は、当該距離が予め設定された脱離距離(例えば5cm)以上であった場合に、脱離条件が満たされたと判定することができる。なお、脱離距離の具体的な数値については、吸着検出部138の位置や、吸着部12の構造及び物性等との兼ね合いによって定められ、例えば物理シミュレーションや予備実験によって決定することができる。
上述した実施形態及び変形例は、独立に実施されることもできるし、適宜組み合わせて実施されることもできる。これら複数の実施形態及び変形例は、互いに異なる新規な特徴を有している。したがって、これら複数の実施形態及び変形例は、互いに異なる目的又は課題を解決することに寄与し、互いに異なる効果を奏することに寄与する。
また、上記実施の形態において、様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU、メモリ、その他の回路で構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラム等によって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、又はそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。
また、上記のプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、CD-R(CD-Recordable)、CD-R/W(CD-ReWritable)、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されても良い。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。