以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[1.実施形態]
(1)画像処理システムの構成
図1に示す本実施形態の情報処理システム1は、画像処理装置10と、情報処理装置30とを備える。画像処理装置10と情報処理装置30とは、第1ネットワーク200を通じて相互にデータ通信可能である。第1ネットワーク200は、どのようなネットワークであってもよい。第1ネットワーク200は、例えば有線のネットワークであってもよいし、無線のネットワークであってもよい。また、有線及び無線のいずれにおいても、具体的な通信方式はどのような通信方式であってもよい。
(2)画像処理装置の構成
図1に示す本実施形態の画像処理装置10は、印刷機能、スキャン機能、コピー機能、ファクス機能などの複数の機能を備えている。印刷機能は、記録用紙3(図1では不図示。図2参照。)へ画像を印刷する機能である。スキャン機能は、原稿の画像を読み取り、その読み取った画像のデータ(以下、「スキャンデータ」と称する)を生成する機能である。コピー機能は、スキャン機能により読み取られた画像を印刷機能により記録用紙3へ印刷する機能である。ファクス機能は、ファクスデータの送受信を行う機能である。なお、ファクスはファクシミリと同義である。
図1に示すように、画像処理装置10は、制御部11と、記憶部12と、表示部13と、入力部14と、読取部15と、印刷部18と、計時部22と、メディアインタフェース部23と、第1通信部24と、第2通信部25とを備え、これらがバス26を介して相互に接続されている。なお、インタフェース部のことを、以下「I/F」と略称する。
画像処理装置10は、さらに、第1トレイ6と、第2トレイ7と、インクカートリッジ8とを備える。第1トレイ6、第2トレイ7、及びインクカートリッジ8は、それぞれ、画像処理装置10の筐体(不図示)に対して着脱可能に構成されている。
第1トレイ6及び第2トレイ7には、記録用紙3が収容される。第1トレイ6及び第2トレイ7には、それぞれ、1種類以上のサイズ及び種別の記録用紙3を収容可能である。第1トレイ6に収容可能な記録用紙3のサイズは、例えば、A4、A3、B5、USレター、L判、2L判、ハガキ、ポストカード、封筒などの複数のサイズのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。第2トレイ7に収容可能な記録用紙3のサイズについても同様である。
第1トレイ6に収容可能な記録用紙3の種別は、例えば、普通紙、インクジェット紙、光沢紙などの複数の種別のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。第2トレイ7に収容可能な記録用紙3の種別についても同様である。
なお、第1トレイ6と第2トレイ7とは、収容可能な記録用紙3のサイズ及び種別が異なっていてもよい。
インクカートリッジ8は、記録用紙3に画像を印刷するために記録用紙3へ吐出されるインクを収容する。インクカートリッジ8には、例えば、黒色のインクが収容されている。 なお、収容されるインクの色が異なる複数のインクカートリッジ8が備えられてもよい。
制御部11はCPUを有する。記憶部12は、例えばROM、RAM、NVRAM、フラッシュメモリなどの半導体メモリを有する。即ち、画像処理装置10は、CPU及び半導体メモリを含むマイクロコンピュータを備えている。
制御部11は、非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより各種機能を実現する。本実施形態では、記憶部12が、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。
以下の説明では、記憶部12における、例えばNVRAM、フラッシュメモリなどの、電源が供給されなくても記憶状態が保持されるメモリ又は記憶領域のことを、「不揮発性メモリ部」と称する。また、記憶部12における、例えばRAMなどの、電源供給が途絶えると記憶されているデータが消去されるメモリ又は記憶領域のことを、「揮発性メモリ部」と称する。
なお、制御部11により実現される各種機能は、プログラムの実行によって実現することに限るものではなく、その一部又は全部について、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現してもよい。
記憶部12における不揮発性メモリ部には、図4~図7に示す画面を含む各種画面のデータが記憶されている。また、不揮発性メモリ部には、図3に示す罫線ずれ補正パターン210を含む各種補正パターンのデータ、図9~図11に示すメイン処理のプログラム、後述する駆動情報、パターン印刷履歴情報および印刷済パターン有効フラグ、なども記憶される。印刷済パターン有効フラグは、後述するように、制御部11によってオン又はオフされ、そのオン又はオフの情報が記憶される。また、印刷済パターン有効フラグは、後述する補正機能の種類毎に個別に設定される。
表示部13は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの、画像を表示可能な表示デバイスを有する。
入力部14は、各種入力操作を受け付けるための入力用デバイスを有する。本実施形態の入力部14は、入力用デバイスとしてタッチパネル14aを有する。タッチパネル14aは、表示部13の表示デバイスにおける、画像が表示される画像表示領域に重畳配置される。
タッチパネル14aは、表示部13の画像表示領域に対する、指示体による接触又は近接による指示操作を検出可能である。即ち、タッチパネル14aは、表示部13の画像表示領域に対して指示体による指示操作が行われている場合に、その指示操作が行われている位置である指示位置を示す位置情報を出力可能に構成されている。本実施形態のタッチパネル14aは、指示体により指示操作が行われている間、位置情報を連続的又は周期的に出力するよう構成されている。
なお、タッチパネル14aは、指示操作として接触のみ検出可能な構成であってもよいし、近接のみ検出可能な構成であってもよいし、接触及び近接の両方を検出可能な構成であってもよい。
制御部11は、タッチパネル14aから出力される位置情報を取得し、その取得した位置情報に基づいて、指示体の指示操作の有無、指示操作が行われている場合における指示位置、指示操作が行われている場合における指示体による少なくとも一種類の特定の操作を検出することができる。
制御部11が検出可能な特定の操作には、例えば、タップ、フリック、ドラッグなどが含まれる。タップは、指示体により指示操作が行われた後、同じ位置で指示体が離れる操作である。指示操作を行うことが可能な指示体の具体的態様は種々考えられ、例えば指先であってもよいし、スタイラスペンなどの特定の指示用デバイスであってもよい。
読取部15は、イメージセンサ16と、イメージセンサ駆動部17とを備える。イメージセンサ駆動部17は、イメージセンサ16を走査させる。イメージセンサ16は、不図示の原稿台に載置された原稿の画像を読み取り、読み取った画像のスキャンデータを生成する。
制御部11は、スキャン機能を実行する際、読取部15を制御してイメージセンサ16に原稿の画像を読み取らせ、その原稿のスキャンデータを取得する。
印刷部18は、例えばインクジェット技術に基づく印刷機構を有し、シート状の記録用紙3に画像を印刷することが可能である。印刷部18は、キャリッジ19aと、記録ヘッド19と、キャリッジ駆動部20と、用紙搬送機構21とを備える。
用紙搬送機構21は、例えば、第1トレイ6又は第2トレイ7から1枚の記録用紙3を取り出して搬送路へ導くための不図示の給紙ローラと、給紙ローラにより取り出された記録用紙3を搬送路に沿って搬送させる不図示の搬送ローラと、画像が印刷された記録用紙3を不図示の排紙トレイへ排出させる不図示の排紙ローラと、給紙ローラ、搬送ローラ及び排紙ローラを駆動させるための少なくとも1つのモータと、を備える。
記録ヘッド19は、キャリッジ19aに一体的に設けられている。キャリッジ19aは、キャリッジ駆動部20によって移動される。具体的に、キャリッジ19aは、図2に概略的に示すように、主走査ライン5に沿って往復移動される。主走査ライン5は、記録用紙3が搬送される搬送方向に直交する。
キャリッジ19aが移動されると、キャリッジ19aに一体的に設けられている記録ヘッド19も移動される。よって、本実施形態においては、キャリッジ19aが移動されることと、記録ヘッド19が移動されることとは、同義である。
記録ヘッド19は、インクカートリッジ8に収容されているインクを吐出する。インクカートリッジ8は、キャリッジ19aに搭載されてキャリッジ19a及び記録ヘッド19と共に移動されてもよいし、キャリッジ19aとは別に設けられてもよい。
制御部11は、印刷部18を制御することにより印刷機能を実現する。即ち、制御部11は、印刷機能を実行する際、用紙搬送機構21を駆動することによって、いずれかのトレイから記録用紙3を給紙し、所定の搬送ピッチ(例えば1.5インチ)ずつ搬送方向へ搬送させる。記録用紙3が給紙されるトレイは、ユーザが指定可能であってもよいし、制御部11により自動的に選択されてもよい。
制御部11は、記録用紙3を搬送ピッチ搬送させる毎に、記録ヘッド19を主走査ライン5に沿って片方向へ移動又は往復移動させる。制御部11は、その移動させる間に、印刷させるべき画像を示す印刷データに応じて記録ヘッド19からインクを吐出させることにより、記録用紙3へ、その印刷データが示す画像を印刷する。
記録ヘッド19は、所定の正方向起点から逆方向起点までの主走査正方向(以下、「正方向」と略称する)への移動と、逆方向起点から正方向起点までの主走査逆方向(以下、「逆方向」と略称する)への移動とが、交互に繰り返される。制御部11は、記録用紙3を搬送ピッチ搬送させる度に、記録ヘッド19を、正方向又は逆方向へ交互に移動、又は、正方向及び逆方向へ往復移動させる。
制御部11は、記録ヘッド19が主走査正方向へ移動されている間、及び主走査逆方向へ移動されている間、のそれぞれにおいて、所定の吐出タイミング毎に、記録ヘッド19からインクを吐出させることにより、記録用紙3へ画像を印刷する。
制御部11は、印刷機能を実行する際、その実行時に設定されている駆動情報に基づいて印刷部18を駆動する。設定されている駆動情報は、記憶部12に記憶されている。
駆動情報には、用紙搬送機構21を駆動するための搬送駆動情報と、記録ヘッド19を駆動するための吐出駆動情報とが含まれる。搬送駆動情報は、例えば、記録用紙3の搬送方向への搬送ピッチ及び搬送速度を示す情報を含む。搬送駆動情報は、搬送される記録用紙3のサイズ及び種別に応じて異なっていてもよい。
吐出駆動情報は、例えば、記録ヘッド19の正方向及び逆方向それぞれの移動速度を示す情報、記録ヘッド19の正方向への移動時及び逆方向への移動時のそれぞれにおける前述の吐出タイミングを示す情報、などを含む。吐出駆動情報は、搬送される記録用紙3のサイズ及び種別に応じて異なっていてもよい。
制御部11は、印刷機能を実行する際、搬送駆動情報として設定されている搬送ピッチずつ記録用紙3を搬送させる。また、制御部11は、記録用紙3を搬送ピッチ搬送させる毎に、記録ヘッド19を往復移動させつつ、吐出駆動情報として設定されている吐出タイミングで記録ヘッド19からインクを吐出させる。
なお、画像処理装置10においては、例えば、画像処理装置10の製造時或いは出荷時などの特定のタイミングにおいて、予めデフォルトの駆動情報が設定される。ただし、駆動情報は、ユーザの指示によって駆動情報補正機能が実行されると補正され得る。
計時部22は、現在時刻を示す時刻情報を出力する。時刻情報は、秒単位の情報であってもよいし、分単位の情報であってもよいし、時間単位の情報であってもよい。時刻情報には、年、月、日のうち少なくとも1つの情報が含まれていてもよい。計時部22は、例えばバッテリを備え、画像処理装置10に電源電力が供給されていないときにもバッテリから供給される電力によって動作可能であってもよい。計時部22は、例えば、いわゆるリアルタイムクロックを備えていてもよい。
メディアI/F23は、例えばUSBフラッシュメモリなどの、各種の記憶メディアが装着されるインタフェース部であり、装着された記憶メディアに対するデータの書き込み及び読み出しを制御する。
第1通信部24は、画像処理装置10を第1ネットワーク200に接続するための通信インタフェースである。画像処理装置10は、第1通信部24を介して、パソコンやスマートフォン、タブレット端末などの各種情報処理装置と有線又は無線にてデータ通信可能であってもよい。また、画像処理装置10は、第1通信部24を介してインターネットに接続し、インターネットを介して他の各種サーバや各種情報処理装置などとデータ通信可能であってもよい。
第2通信部25は、画像処理装置10を第2ネットワーク150に接続するための通信インタフェースである。第2ネットワーク150は、本実施形態では、ファクスデータを送受信可能なネットワークであり、例えば公衆電話網であってもよい。ファクス機能におけるファクスデータの送受信は、基本的には、第2通信部25を介して行われる。
(3)情報処理装置の構成
情報処理装置30は、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンなどの、各種の情報処理端末である。情報処理装置30は、図1に示すように、制御部31と、記憶部32と、表示部33と、入力部34と、通信部35とを備える。
制御部31は、例えばCPUを有する。記憶部32は、例えばROM、RAM、NVRAM、フラッシュメモリなどの半導体メモリを有する。即ち、本実施形態の情報処理装置30は、CPU及び半導体メモリを含むマイクロコンピュータを備えている。記憶部32には、各種のソフトウェアやデータが記憶されている。
表示部33は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなど、画像を表示可能な表示デバイスを有する。
入力部34は、各種入力操作を受け付けるための入力用デバイスを有する。入力部34が有する入力用デバイスには、例えば、キーボード、マウス、タッチパネルなどが含まれる。タッチパネルは、表示部33が有する表示デバイスにおける画像の表示領域に重畳配置される。
通信部35は、第1ネットワーク200を通じて外部の装置と通信を行うための通信インタフェースである。情報処理装置30は、通信部35を介して画像処理装置10とデータ通信を行うことができる。
制御部31は、記憶部32に記憶されているプログラムやデータ等に基づいて各種の機能を実行可能である。制御部31が実行可能な機能には、印刷指示機能が含まれる。印刷指示機能は、各種機能で生成された印刷データ及び印刷コマンドを外部の印刷装置へ送信することによってその印刷データが示す画像の印刷を指示することによりその画像を印刷装置で印刷させる機能である。印刷データを送信可能な印刷装置には、画像処理装置10が含まれる。
(4)駆動情報補正機能の概要
駆動情報補正機能は、駆動情報を補正することによって、印刷部18による記録用紙3への画像の印刷品質を改善する機能である。駆動情報補正機能は、より具体的には、吐出駆動情報を補正する罫線ずれ補正機能と、搬送駆動情報を補正する送り量補正機能とを含む。本実施形態では、罫線ずれ補正機能及び送り量補正機能のそれぞれに対して個別に前述の印刷済パターン有効フラグが設定される。
罫線ずれ補正機能は、印刷品質の劣化の一種である罫線ずれを改善するための機能である。罫線ずれとは、印刷された画像において、主走査ライン5に平行な方向における画像のずれが生じることを示す。罫線ずれが生じる原因の1つに、記録ヘッド19が正方向に移動される間の吐出タイミングと逆方向に移動される間の吐出タイミングとの不整合が挙げられる。
正方向移動時と逆方向移動時とで吐出タイミングが整合していれば、記録用紙3において、主走査ライン5に沿う方向における、正方向移動時に各吐出タイミングで吐出されるインクが付着する各付着位置と、逆方向移動時に各吐出タイミングで吐出されるインクが付着する各付着位置とが、合致する。
一方、正方向移動時と逆方向移動時とで吐出タイミングが整合していない場合、記録用紙3において、主走査ライン5に沿う方向における、正方向移動時の上記各付着位置と、逆方向移動時の上記各付着位置とが、合致しない。この合致しないことによって、罫線ずれが生じる。
画像処理装置10に設定される吐出駆動情報は、例えば画像処理装置10の出荷前の特定のタイミングで、罫線ずれが発生しない値に調整され、その調整された値に初期設定される。しかし、例えば記録用紙3の種別、記録ヘッド19と記録用紙3との間隔の変化などの、種々の要因で、初期設定された吐出駆動情報に基づいて印刷機能が実行されると罫線ずれが生じる可能性がある。
罫線ずれ補正機能が実行されると、現在設定されている吐出駆動情報が、罫線ずれの発生が抑制されるように補正される。
より具体的には、罫線ずれ補正機能が実行されると、まず、図3に示すように罫線ずれ補正パターン210が記録用紙3に印刷される。その後、その罫線ずれ補正パターン210が印刷された記録用紙3である罫線ずれチェックシート200を原稿台に載置してスキャン機能を実行させることをユーザに促す画面が表示される。これに対し、ユーザが罫線ずれチェックシート200の読み取りを指示すると、制御部11は、読取部15により罫線ずれ補正パターン210を読み取り、その読み取った罫線ずれ補正パターン210のスキャンデータに基づいて、補正処理を行う。
具体的には、例えば、主走査ライン5に沿った方向における画像のずれ量を検出し、その検出したずれ量に基づいて、画像のずれが生じないようにするための吐出駆動情報の補正値(以下、「吐出補正値」と称する)を算出する。そして、例えば、算出した吐出補正値を記憶部12に記憶する。なお、吐出補正値は、例えば、吐出タイミングに対応した補正値であってもよい。
上記のように補正処理において吐出補正値を記憶するように構成されている場合、制御部11は、印刷機能を実行する際、初期設定されている吐出駆動情報と吐出補正値とに基づいて印刷機能を実行してもよい。即ち、制御部11は、印刷機能を実行する際、初期設定されている吐出駆動情報と吐出補正値とを読み込み、吐出駆動情報を吐出補正値によって補正してもよい。そして、その補正された吐出駆動情報に基づいて印刷部18を制御することにより印刷機能を実行してもよい。
あるいは、制御部11は、補正処理において、算出された吐出補正値を用いて現在設定されている吐出駆動情報を補正し、現在設定されている吐出駆動情報をその補正された新たな吐出駆動情報に更新するように構成されていてもよい。この場合、制御部11は、印刷機能を実行する際、現在設定されている吐出駆動情報を読み込み、その読み込んだ吐出駆動情報に基づいて印刷部18を制御することにより印刷機能を実行してもよい。
なお、罫線ずれ補正機能が実行される際、ユーザにより、罫線ずれ補正パターン210を印刷させる記録用紙3の用紙サイズ及び用紙種別が指定される。罫線ずれ補正パターン210は、用紙サイズ及び用紙種別毎に個別に用意されている。つまり、用紙サイズが異なれば罫線ずれ補正パターン210の内容も異なり、用紙種別が異なれば罫線ずれ補正パターン210の内容も異なる。
そして、制御部11は、ユーザにより指定された用紙サイズ及び用紙種別の記録用紙3へ、その指定された用紙サイズ及び用紙種別に対応した罫線ずれ補正パターンを印刷させる。
送り量補正機能は、印刷品質の劣化の一種である搬送ずれを改善するための機能である。搬送ずれとは、印刷された画像において、主走査ライン5に沿って伸びる筋状のラインが、搬送方向に沿って周期的に含まれることを示す。搬送ずれが生じる原因の1つに、搬送駆動情報が示す搬送ピッチ(以下、「規定搬送ピッチ」と称する)と実際の搬送量との不一致が挙げられる。
例えば、実際の搬送量が規定搬送ピッチよりも短い場合、ある搬送位置において印刷された画像の一部と、そこから搬送ピッチ搬送された次の搬送位置において印刷された画像の一部とが、重複して、黒色に近い筋状のラインが現れることがある。また例えば、実際の搬送量が規定搬送ピッチよりも長い場合、ある搬送位置において印刷された画像の一部と、そこから搬送ピッチ搬送された次の搬送位置において印刷された画像の一部との間に、インクが付着していない筋状のラインが現れることがある。
画像処理装置10に設定される搬送駆動情報は、例えば画像処理装置10の出荷前の特定のタイミングで、搬送ずれが発生しない値に調整され、その調整された値に初期設定される。しかし、例えば記録用紙3の種別、記録ヘッド19と記録用紙3との間隔の変化などの、種々の要因で、初期設定された搬送駆動情報に基づいて印刷機能が実行されると搬送ずれが生じる可能性がある。
送り量補正機能が実行されると、現在設定されている搬送駆動情報が、搬送ずれの発生が抑制されるように補正される。
より具体的には、送り量補正機能が実行されると、まず、不図示の送り量補正パターンが記録用紙3に印刷される。その後、その送り量補正パターンが印刷された記録用紙3である搬送ずれチェックシートを原稿台に載置し、スキャン機能を実行させることをユーザに促す画面が表示される。これに対し、ユーザが搬送ずれチェックシートの読み取りを実行させると、制御部11は、読取部15により送り量補正パターンを読み取り、その読み取った送り量補正パターンのスキャンデータに基づいて補正処理を行う。
具体的には、例えば、搬送方向における筋状のラインの色及び幅を検出し、その検出した色及び幅に基づいて、筋状のラインが生じないようにするための搬送駆動情報の補正値(以下、「搬送補正値」と称する)を算出する。そして、例えば、算出した搬送補正値を記憶部12に記憶する。なお、搬送補正値は、例えば、搬送ピッチに対応した補正値である。
上記のように補正処理において搬送補正値を記憶するように構成されている場合、制御部11は、印刷機能を実行する際、初期設定されている搬送駆動情報と搬送補正値とに基づいて印刷機能を実行してもよい。即ち、制御部11は、印刷機能を実行する際、初期設定されている搬送駆動情報と搬送補正値とを読み込み、搬送駆動情報を搬送補正値によって補正してもよい。そして、補正された搬送駆動情報に基づいて印刷部18を制御することにより印刷機能を実行してもよい。
あるいは、制御部11は、補正処理において、算出された搬送補正値を用いて現在設定されている搬送駆動情報を補正し、現在設定されている搬送駆動情報をその補正された新たな搬送駆動情報に更新するように構成されていてもよい。この場合、制御部11は、印刷機能を実行する際、現在設定されている搬送駆動情報を読み込み、その読み込んだ搬送駆動情報に基づいて印刷部18を制御することにより印刷機能を実行してもよい。
なお、送り量補正機能が実行される際、ユーザにより、送り量補正パターンを印刷させる記録用紙3の用紙サイズ及び用紙種別が指定される。搬送罫線ずれ補正パターンは、用紙サイズ及び用紙種別毎に個別に用意されている。つまり、用紙サイズが異なれば送り量補正パターンの内容も異なり、用紙種別が異なれば送り量補正パターンの内容も異なる。
そして、制御部11は、ユーザにより指定された用紙サイズ及び用紙種別の記録用紙3へ、その指定された用紙サイズ及び用紙種別に対応した送り量補正パターンを印刷させる。
制御部11は、駆動情報補正機能を実行することによっていずれかの補正パターンを印刷させる度に、その印刷させた補正パターンに対応したパターン印刷履歴情報を保存、即ち記憶部12に記憶する。パターン印刷履歴情報には、例えば、補正パターン識別情報、用紙サイズ情報、用紙種別情報、補正対象情報などが含まれる。
補正パターン識別情報は、印刷させた補正パターンを示す固有の情報である。異なる複数の補正パターン毎に異なる補正パターン識別情報が対応付けられている。用紙サイズ情報は、補正パターンを印刷させた記録用紙3の用紙サイズを示す。用紙種別情報は、補正パターンを印刷させた記録用紙3の用紙種別を示す。補正対象情報は、印刷させた補正パターンが罫線ずれ補正パターン及び送り量補正パターンのどちらであるかを示す情報であり、換言すれば、実行対象の補正機能を示す情報である。
(5)駆動情報補正機能の実行時の画面遷移例
(5-1)印刷済パターン有効フラグオフ時の基本的な画面遷移例
制御部11は、不図示の電源スイッチがオンされることにより、制御部11に電源電力が供給されると起動する。制御部11は、起動すると、初期処理を実行し、表示部13に、図4に示す待機画面40を表示させる。待機画面40は、ユーザが画像処理装置10において各種機能を実行させる際の起点となる画面である。
待機画面40には、機能を実行させるための複数の機能ボタンが表示される。図4に示す待機画面40には、複数の機能ボタンとして、ファクスボタン41、コピーボタン42及びスキャンボタン43が例示されている。ファクスボタン41がタップされると、制御部11は、ファクス機能を実行する。コピーボタン42がタップされると、制御部11は、コピー機能を実行する。スキャンボタン43がタップされると、制御部11は、スキャン機能を実行する。
なお、ファクス機能には、ファクスデータを送信するファクス送信機能と、ファクスデータを受信するファクス受信機能とが含まれる。第2通信部25を介してファクスデータが受信された場合、制御部11は、ファクス受信機能を実行する。具体的には、受信したファクスデータが示す画像を印刷部18により印刷する。つまり、ファクス受信機能は、印刷機能を含む。
ただし、本実施形態では、後述するように、印刷済パターン有効フラグがオンに設定されているときにファクスデータを受信した場合は、そのファクスデータの画像がすぐには印刷されずに駆動情報の補正の要否を問う画面が表示される。
受信したファクスデータは、一時的に記憶部12の揮発性メモリ部に記憶され、印刷終了後に削除される。ただし、印刷終了後もファクスデータが記憶部12に保持されてもよい。また、ファクスデータ受信時にすぐに印刷せず、記憶部12の不揮発性メモリ部に記憶してもよい。そして、ユーザ操作に応じて、そのファクスデータの画像を表示部13に表示させたり、その画像を印刷部18で印刷したりすることができてもよい。
コピー機能は、前述の通り、スキャン機能で読み取った画像を印刷機能で印刷するように構成された機能である。
また、ユーザは、待機画面40を起点として、又は情報処理装置30からの印刷コマンドにより、印刷機能を実行させることができる。即ち、印刷機能には、例えば、メディア印刷機能、外部データ印刷機能などが含まれる。
メディア印刷機能は、メディアI/F23に装着された記憶メディアから印刷データを読み込み、その印刷データが示す画像を印刷する機能である。
外部データ印刷機能は、画像処理装置10とデータ通信可能な他の装置から印刷データ及び印刷コマンドを受けることに応じて、印刷データが示す画像を印刷コマンドに基づいて印刷する機能である。
印刷機能が含まれている各種機能においては、ユーザは、印刷機能の実行時における印刷画質を、複数種類の画質選択肢の中からいずれか1つを選択することができる。本実施形態では、画質選択肢として例えば「高画質」、「普通」、及び「低画質」がある。このうち「高画質」が最も画質が高く、「低画質」が最も画質が低い。また、本実施形態では、画質が低くなるほど印刷速度が速くなる。そのため、印刷させる画像が同じであっても、「高画質」での印刷時間が最も長く、逆に「低画質」での印刷時間が最も短い。
待機画面40には、さらに、インクメニューボタン44が表示される。インクメニューボタン44がタップされると、制御部11は、表示部13に不図示のメンテナンスメニュー画面を表示させる。メンテナンスメニュー画面には、画像処理装置10における各種のメンテナンス処理に対応した複数のボタンが表示される。その複数のボタンには、印刷品質メンテナンスボタンが含まれる。印刷品質メンテナンスボタンがタップされると、制御部11は、表示部13に、図4に示す印刷品質メニュー画面45を表示させる。
印刷品質メニュー画面45は、印刷部18によって記録用紙3へ印刷される画像の品質をチェック又は改善するための各種のメニューに対応した複数のボタンが表示される。本実施形態では、印刷品質メニュー画面45には、図4に示すように、例えば、チェックボタン46と、罫線ずれ補正ボタン47と、送り量補正ボタン48とが表示される。
チェックボタン46がタップされると、制御部11は、印刷部18を駆動させることにより、記録用紙3へ特定の品質チェック画像を印刷させる。ユーザは、印刷された品質チェック画像を見ることによって、印刷品質を確認することができる。印刷された品質チェック画像において、例えば、部分的にかすれていたり、印刷されていない部分があったりするなど、印刷品質の劣化が生じている場合は、ユーザは、記録ヘッド19のクリーニング処理を実行させることによって、印刷品質を改善させることができる。
罫線ずれ補正ボタン47がタップされると、制御部11は、前述の罫線ずれ補正機能を開始する。そして、罫線ずれ補正機能に対応した前述の印刷済パターン有効フラグがオフに設定されている場合、制御部11は、図4に示すように、表示部13に罫線ずれ補正案内画面50を表示させる。罫線ずれ補正案内画面50には、罫線ずれ補正機能を開始することを示すメッセージと、次へボタン51とが表示される。次へボタン51がタップされると、不図示の品質確認画面を経て、図4に示す補正方法選択画面65を表示させる。
印刷品質メニュー画面45において送り量補正ボタン48がタップされると、制御部11は、前述の送り量補正機能を開始する。そして、送り量補正機能に対応した前述の印刷済パターン有効フラグがオフに設定されている場合、制御部11は、図4に示すように、表示部13に送り量補正案内画面55を表示させる。送り量補正案内画面55には、送り量補正機能を開始することを示すメッセージと、次へボタン56とが表示される。次へボタン56がタップされると、以降、後述する罫線ずれ補正機能と同様の処理手順にて送り量補正機能が実行される。
ここからは、主に、実行対象の駆動情報補正機能(以下、「対象補正機能」と略称する)が罫線ずれ補正機能である場合の画面遷移例について説明し、対象補正機能が送り量補正機能である場合の画面遷移例については、図示を省略すると共に説明を簡略化する。
補正方法選択画面65には、対象補正機能を自動で実行させるか手動で実行させるかをユーザに問うメッセージと、自動ボタン66と、手動ボタン67とが表示される。手動ボタン67がタップされると、ユーザによる特定の操作を伴う特定の手動補正手順にて対象補正機能が実行される。手動補正手順による対象補正機能の具体的な内容については説明を省略する。自動ボタン66がタップされると、制御部11は、表示部13に、図4に示す用紙サイズ選択画面70を表示させる。
用紙サイズ選択画面70には、補正パターンを印刷可能な1つ以上の用紙サイズの各々に対応したボタンが表示され、ユーザはその中から何れか1つの用紙サイズを選択できる。図4においては、一例として、A4サイズに対応したA4ボタン71と、USレターサイズに対応したUSレターボタン72とが示されている。なお、選択可能な用紙サイズは、どのようなサイズであってもよい。用紙サイズ選択画面70において何れかの用紙サイズが選択されると、制御部11は、表示部13に不図示の用紙種別選択画面を表示させる。
用紙種別選択画面には、補正パターンを印刷可能な1つ以上の用紙種別の各々に対応したボタンが表示され、ユーザはその中から何れか1つの用紙種別を選択できる。選択可能な用紙種別は、どのような種別であってもよい。例えば、普通紙及び光沢紙のうちのいずれかを選択可能であってもよい。用紙種別選択画面において何れかの用紙種別が選択されると、制御部11は、表示部13に、図5に示す印刷開始画面75を表示させる。
印刷開始画面75には、上記各選択画面において選択された用紙サイズ及び用紙種別を示すメッセージと、当該用紙サイズ及び用紙種別に対応した記録用紙3を特定のトレイにセットすることをユーザに促すメッセージと、補正パターンの印刷に要する時間とが表示される。また、印刷開始画面75には、スタートボタン76が表示される。
スタートボタン76がタップされると、制御部11は、いずれかのトレイに収容されている、選択された用紙サイズ及び用紙種別の記録用紙3に、対象補正機能に対応した複数の補正パターンのうち選択された用紙サイズ及び用紙種別に対応した補正パターンを、現在設定されている駆動情報に基づいて印刷させる。
図5の例では、対象補正機能が罫線ずれ補正機能であることから、複数の罫線ずれ補正パターン210のうち選択された用紙サイズ及び用紙種別に対応した罫線ずれ補正パターン210が印刷される。対象補正機能が送り量補正機能である場合は、複数の送り量補正パターンのうち選択された用紙サイズ及び用紙種別に対応した送り量補正パターンが印刷される。
制御部11は、印刷実行期間における特定の履歴記憶タイミング(例えば前述の情報取得タイミング)で、現在実行している対象補正機能に対応した前述のパターン印刷履歴情報を保存する。
制御部11は、補正パターンの印刷中、表示部13に、図5に示す印刷中画面80を表示させる。補正パターンの印刷が完了すると、制御部11は、表示部13に、図5に示すスキャン指示画面85を表示させる。スキャン指示画面85には、印刷された補正パターンを読取部15に読み取らせることをユーザに促すメッセージと、スタートボタン86とが含まれる。補正パターンが印刷された記録用紙3である補正用チェックシート(罫線ずれチェックシート及び搬送ずれチェックシートのいずれか)がユーザにより原稿台に載置され、スタートボタン86がタップされると、制御部11は、補正用チェックシートに印刷されている画像の読み取りを開始する。
制御部11は、スタートボタン86がタップされることに応じて画像の読み取りを開始すると、読み取りを行っている間、表示部13に、図5に示すスキャン中画面90を表示させる。制御部11は、画像の読み取りを完了すると、読み取った画像のスキャンデータに基づいて、対象補正機能に対応した補正処理を実行する。制御部11は、補正処理の実行中は、表示部13に、図5に示す補正処理中画面95を表示させる。
制御部11は、補正処理を正常に完了した場合は、表示部13に、図5に示す補正完了画面100を表示させる。制御部11は、補正完了画面100を一定時間継続して表示させた後、表示部13に、前述のメンテナンスメニュー画面(不図示)を表示させる。
図5に示すスキャン指示画面85が表示された後、特定の待機解除条件が成立した場合は、制御部11は、対象補正機能に対応した印刷済パターン有効フラグをオンに設定して、表示部13の画面を切り替える。本実施形態では、例えば、待機画面40を表示させる。待機解除条件は、本実施形態では、例えば無操作タイムアウトが発生すること、を含む。無操作タイムアウトとは、スキャン指示画面85が表示された後、スタートボタン86がタップされることなく特定の無操作時間が経過することである。
(5-2)印刷済パターン有効フラグオン時の画面遷移例
印刷品質メニュー画面45において何れかの補正機能が選択された場合に、その選択された補正機能に対応した印刷済パターン有効フラグがオンに設定されている場合は、前述の画面遷移とは異なり、補正パターンの印刷が省略され得る。
具体的に、図6に示すように、罫線ずれ補正機能に対応した印刷済パターン有効フラグがオンに設定されている場合に、印刷品質メニュー画面45において罫線ずれ補正ボタン47がタップされると、制御部11は、罫線ずれ補正機能を開始するが、この場合はまず用紙サイズ選択画面70を表示させる。用紙サイズ選択画面70において用紙サイズが選択されると、制御部11は、不図示の用紙種別選択画面を表示させる。用紙種別選択画面において用紙種別が選択されると、制御部11は、選択された用紙サイズ及び用紙種別が、記憶部12に保存されている罫線ずれ補正機能に対応したパターン印刷履歴情報に一致するか否か判断する。
選択された用紙サイズ及び用紙種別が対応するパターン印刷履歴情報に一致しない場合は、制御部11は、図6に示すように、前述の、印刷済パターンフラグがオフに設定されている場合と同様の画面遷移を実行する。この場合、用紙サイズ及び用紙種別はすでに選択されているため、用紙サイズ選択画面70及び用紙種別選択画面の表示は省いてもよい。
一方、選択された用紙サイズ及び用紙種別が対応するパターン印刷履歴情報に一致する場合は、制御部11は、図6に示すように、表示部13にスキャン移行確認画面110を表示させる。スキャン移行確認画面110には、前回印刷した補正用チェックシートがスキャンされていないこと及びその補正用チェックシートを用いて補正処理を実行させるか否かをユーザに問うメッセージが表示される。さらに、スキャン移行確認画面110には、はいボタン111と、いいえボタン112とが表示される。
いいえボタン112がタップされた場合、制御部11は、図6に示すように、前述の、印刷済パターンフラグがオフに設定されている場合と同様の画面遷移を実行する。
はいボタン111がタップされた場合、制御部11は、図6に示すように、補正パターンを印刷することなく、スキャン指示画面85を表示させる。スキャン指示画面85からの画面遷移は、図5を用いて説明した画面遷移と同様である。
(5-3)印刷済パターン有効フラグオン時に印刷指示を受けた場合の画面遷移例
まず、印刷指示について説明する。印刷指示は、印刷部18により印刷を実行することを直接又は間接的に制御部11に指示するあらゆる態様を含む。具体的に、印刷指示には、例えば、印刷機能の実行指示、印刷機能を含む機能(例えばコピー機能)の実行指示、印刷コマンドの受信、印刷データが入力されるイベントの発生、ファクスデータの受信、などが含まれる。つまり、印刷部18による印刷を行うことを要するあらゆる指示が印刷指示に含まれる。
例えば、ユーザによる待機画面40のコピーボタン42のタップは印刷指示の1つである。また例えば、コピーボタン42以外の、印刷機能を含む特定の機能を実行させるためのボタン等がタップされることも、印刷指示の1つである。また例えば、ユーザによる前述のメディア印刷機能の指示が行われること、即ち、記憶メディアがメディアI/F23に装着されてユーザにより所定の操作が行われることは、印刷指示の1つである。また例えば、ユーザにより前述の外部データ印刷機能の指示が行われること、即ち、外部装置(例えば情報処理装置30)から印刷データ及び印刷コマンドが入力されることも、印刷指示の1つである。
印刷指示には、印刷画質情報が含まれていてもよい。この場合、制御部11は、その印刷指示に含まれている印刷画質情報が示す印刷画質で印刷を実行してもよい。あるいは、印刷指示を受けることに応じてユーザに印刷画質を設定させ、その設定された印刷画質で印刷を実行してもよい。あるいは、印刷指示を受けたときに画像処理装置10においてすでに設定されている印刷画質に従って印刷を実行してもよい。
制御部11は、印刷指示を受けた場合、基本的には、その印刷指示に応じた機能、即ち印刷機能を含む機能を実行して、記録用紙3に画像を印刷する。ただし、本実施形態では、印刷済パターン有効フラグがオンに設定されているときに印刷指示を受けた場合は、制御部11は、すぐには印刷を実行しない。
印刷済パターン有効フラグがオンに設定されているということは、補正パターンが印刷されたものの、その補正パターンを用いた駆動情報の補正がまだ完了していないということを意味する。このように駆動情報の補正が未完の状態で印刷を実行すると、印刷品質が低い印刷結果が得られる可能性がある。そこで、印刷済パターン有効フラグがオンに設定されているときに印刷指示を受けた場合は、制御部11は、すでに印刷されている補正パターンを用いて駆動情報を補正するか否かをユーザに問い合わせる。そして、ユーザから補正を行うよう指示された場合は、印刷指示に基づく印刷を行う前に、駆動情報の補正を行う。
具体的に、図7に示すように、例えば待機画面40が表示されていて、罫線ずれ補正機能に対応した印刷済パターン有効フラグがオンに設定されていること、即ち罫線ずれ補正パターン210がすでに印刷されていること、を想定する。
この場合、印刷指示を受けると、制御部11は、図7に示す第1未完了通知画面120を表示部13に表示する。第1未完了通知画面120には、補正再開確認情報121と、はいボタン122と、いいえボタン123とが表示される。補正再開確認情報121は、すでに印刷されている罫線ずれ補正パターンを用いて罫線ずれ補正機能を実行するか否か、即ち罫線ずれ補正パターンを印刷したまま中断された状態にある罫線ずれ補正機能を再開するか否かをユーザに問う情報である。
なお、送り量補正機能に対応した印刷済パターン有効フラグがオンに設定されている場合に表示される補正再開確認情報121は、すでに印刷されている送り量ずれ補正パターンを用いて送り量補正機能を実行するか否かをユーザに問う情報となる。
第1未完了通知画面120において、いいえボタン123がタップされた場合は、罫線ずれ補正機能が行われることなく、印刷指示に基づく印刷が行われる。この場合、現在設定されている駆動情報を用いて印刷が行われる。
一方、はいボタン122がタップされた場合は、駆動情報の補正処理を行って駆動情報を補正する。具体的には、はいボタン122がタップされた場合は、スキャン指示画面85(図5参照)を表示部13に表示する。スキャン指示画面85の表示後の画面遷移は前述と同様である。そして、駆動情報の補正が完了すると、補正後の駆動情報を用いて、印刷指示に基づく印刷を行う。
ただし、本実施形態では、印刷指示を受けたときに印刷済パターン有効フラグがオンに設定されていても、印刷優先条件が成立している場合は、第1未完了通知画面120を表示することなく、即ち駆動情報の補正を行うことなく、印刷指示に基づく印刷を実行する。
本実施形態の印刷優先条件には、例えば、印刷指示がファクスデータの受信である場合に不揮発性メモリ部におけるファクスデータの記憶領域の空き領域が不足していること、が含まれる。また、本実施形態の印刷優先条件には、例えば、印刷速度が高速であること、が含まれる。前述の印刷画質が「低画質」に設定されていることは、印刷速度が高速であることに含まれる。
また、本実施形態では、第1未完了通知画面120が表示された後、はいボタン122及びいいえボタン123のいずれもタップされることなく規定時間が経過した場合は、駆動情報の補正を行うことなく、印刷指示に基づく印刷を実行する。
また、本実施形態では、印刷指示が外部装置からの印刷コマンドであった場合に第1未完了通知画面120を表示する場合は、さらに、外部装置へ、未完了通知要求を送信する。外部装置は、未完了通知要求を受信すると、図8に示す第2未完了通知画面130を、外部装置が備える表示部に表示する。第2未完了通知画面130には、印刷実行確認情報131と、OKボタン132と、キャンセルボタン133とが表示される。印刷実行確認情報131は、罫線ずれ補正機能が中断された状態になっていること、及び中断されている罫線ずれ補正機能を実行させると印刷品質が向上すること、をユーザに知らせると共に、このまま印刷を実行するか否かをユーザに問う情報である。
第2未完了通知画面130において、OKボタン132が選択された場合は、外部装置は、機能実行指令を画像処理装置10へ送信する。機能実行指令を受けた画像処理装置10は、駆動情報を補正することなく印刷を実行する。即ち、第1未完了通知画面120において、いいえボタン123がタップされた場合と同等の処理を行う。
第2未完了通知画面130において、キャンセルボタン133が選択された場合は、外部装置は、補正再開指令を画像処理装置10へ送信する。補正再開指令を受けた画像処理装置10は、補正処理を実行する。即ち、スキャン指示画面85を表示させ、前述の画面遷移を経て、駆動情報を補正する。なお、第1未完了通知画面120で、はいボタン122がタップされた場合と同じように補正終了後に印刷を実行してもよい。
(6)メイン処理
上述した画面遷移及び各補正機能を実現するために制御部11が実行するメイン処理について、図9~図11を用いて説明する。制御部11は、電源電力が供給されることにより起動すると、記憶部12からメイン処理のプログラムを読み込んで実行する。
制御部11は、メイン処理を開始すると、S100で、印刷済パターン有効フラグをオフに設定する。S110では、表示部13に待機画面40を表示させる。S120では、待機画面40におけるインクメニューボタン44がタップされたか否か判断する。
インクメニューボタン44がタップされていない場合は、S130で、印刷指示を受けたか否か判断する。印刷指示を受けていない場合は、S140で、発生したイベントに対応した他の処理を実行する。そして、他の処理が完了したら、S110に移行する。S140で実行される他の処理には、例えば、待機画面40に表示されているスキャンボタン43がタップされることに応じたスキャン機能の処理、ファクスボタン41がタップされることに応じたファクス送信機能の処理、各種設定情報の変更を受け付ける処理、などが含まれる。
S120でインクメニューボタン44がタップされた場合は、S150で、表示部13に前述のメンテナンスメニュー画面を表示させる。メンテナンスメニュー画面における印刷品質メンテナンスボタンがタップされると、S160で、表示部13に印刷品質メニュー画面45を表示させる。
S170では、補正項目を受け付ける処理を行う。具体的には、印刷品質メニュー画面45における罫線ずれ補正ボタン47又は送り量補正ボタン48がタップされることを受け付ける。なお、チェックボタン46がタップされた場合の処理については図9では図示及び説明を省略する。
S180では、S170でタップされたボタンに対応した対象補正機能について、その対象補正機能に対応する印刷済パターン有効フラグがオンに設定されているか否か判断する。
印刷済パターン有効フラグがオフに設定されている場合は、S230で、補正案内処理を実行する。具体的には、表示部13に、対象補正機能に対応した補正案内画面、つまり罫線ずれ補正案内画面50又は送り量補正案内画面55を表示させる。そして、表示されている補正案内画面における次へボタンがタップされた場合、S240で、補正方法受付処理を実行する。具体的には、表示部13に補正方法選択画面65を表示させて、ユーザ入力を受け付ける。
S250では、補正方法選択画面65で自動ボタン66及び手動ボタン67のどちらがタップされたか判断する。手動ボタン67がタップされた場合は、S280で、手動補正処理を実行する。即ち、前述の通り特定の手動補正手順にて対象補正機能を実行する。手動補正処理の実行後は、S400(図10参照)へ移行する。
補正方法選択画面65において自動ボタン66がタップされた場合は、S260で、補正パターンを印刷させる記録用紙3の用紙サイズ及び用紙種別の選択を受け付ける。具体的に、用紙サイズ選択画面70及び用紙種別選択画面(不図示)を順次表示させることによって、ユーザに用紙サイズ及び用紙種別を選択させる。
S270では、S260で選択された用紙サイズ及び用紙種別の記録用紙3に、対象補正機能に対応した補正パターンを、現在設定されている駆動情報を用いて印刷させる。なお、図9では図示を省略したが、印刷を開始する前には、図5に示した印刷開始画面75を表示させる。
補正パターンの印刷中は、表示部13に印刷中画面80を表示させる。さらに、前述の通り、対象補正機能に対応したパターン印刷履歴情報を保存する。補正パターンの印刷が完了すると、S290に移行する。
S180で、印刷済パターン有効フラグがオンに設定されている場合は、S190で、S260と同様、補正パターンを印刷させる記録用紙3の用紙サイズ及び用紙種別の選択を受け付ける。S200では、記憶部12に保存されている、対象補正機能に対応したパターン印刷履歴情報を参照して、S190で選択された用紙サイズ及び用紙種別が、対象補正機能に対応した補正パターンが前回印刷された記録用紙3の用紙サイズ及び用紙種別に一致するか否か判断する。
選択された用紙サイズ及び用紙種別が、対応するパターン印刷履歴情報に一致しない場合は、S230に移行する。
選択された用紙サイズ及び用紙種別が、対応するパターン印刷履歴情報に一致する場合は、S210で、表示部13にスキャン移行確認画面110(図6参照)を表示させる。S220では、前回印刷した補正用チェックシートを再利用するか否かのユーザの指示、具体的にはスキャン移行確認画面110に対するユーザ入力を受け付ける。
スキャン移行確認画面110において、いいえボタン112がタップされた場合は、S230に移行する。スキャン移行確認画面110において、はいボタン111がタップされた場合は、S290へ移行する。
S290では、表示部13にスキャン指示画面85(図5参照)を表示させる。S290の処理後は、S300(図10参照)に移行する。
S300では、スキャン指示画面85におけるスタートボタン86がタップされたか否か判断する。スタートボタン86がタップされていない場合は、S310に移行する。
S310では、待機解除条件が成立したか否か判断する。待機解除条件は、例えば、前述の通り無操作タイムアウトが発生すること、を含む。待機解除条件が成立していない場合は、S300に移行する。待機解除条件が成立した場合は、S320に移行する。
S320では、対象補正機能に対応した印刷済パターン有効フラグをオンに設定する。S320の処理後はS110に移行する。つまり、スタートボタン86がタップされることなく待機解除条件が成立した場合は、印刷済パターン有効フラグをオンに設定して、表示部13に表示させる画面を待機画面40に切り替える。
S300でスタートボタン86がタップされた場合は、S330に移行する。なお、この場合は、スタートボタン86がタップされる前に、ユーザにより、対象補正機能に対応した補正用チェックシートが原稿台に載置されていることを想定している。
S330では、表示部13にスキャン中画面90(図5参照)を表示させる。S340では、前回印刷した補正用チェックシートを利用するか否かを判断する。具体的に、S220の処理が実行されて、且つ、その処理において、スキャン移行確認画面110における、はいボタン111がタップされた場合は、前回印刷した補正用チェックシートを利用すると判断して、S350に移行する。
S350では、原稿台に載置されている補正用チェックシートの画像、即ち補正パターンを、前回印刷した対象補正機能に対応した補正用チェックシートの用紙サイズに基づいて読み取る。つまり、前回印刷した補正用チェックシートの用紙サイズを読み取り範囲として読み取る。
S340で、前回印刷した補正用チェックシートを利用すると判断しなかった場合は、S360に移行する。S360では、原稿台に載置されている補正用チェックシートの画像を、今回S270で印刷した補正用チェックシートの用紙サイズに基づいて読み取る。つまり、今回印刷した補正用チェックシートの用紙サイズを読み取り範囲として読み取る。
S370では、表示部13に補正処理中画面95(図5参照)を表示させる。S380では、読み取った画像のスキャンデータを解析して、対象補正機能に対応した駆動情報の補正値、つまり前述の吐出補正値又は搬送補正値を算出する。
S390では、S380で算出された、対象補正機能に対応した駆動情報の補正値を反映させる。具体的に、前述の通り、算出した補正値を記憶部12に保存するか、あるいは、現在設定されている駆動情報を、今回算出された補正値によって補正し、その補正後の駆動情報に更新する。S400では、補正完了画面100(図5参照)を表示させる。
S410では、印刷済パターン有効フラグがオンに設定されているか否か判断する。印刷済パターン有効フラグがオフに設定されている場合は、S430に移行する。印刷済パターン有効フラグがオンに設定されている場合は、S420で印刷済パターン有効フラグをオフに設定して、S430に移行する。
S430では、機能実行待ち状態であるか否か、即ち、後述するS630の処理によって機能実行待ち状態に設定されているか否か判断する。機能実行待ち状態とは、印刷指示を受けたものの、印刷実行前に駆動情報の補正を行うためにその印刷指示に基づく機能を一時的に停止している状態を意味する。
機能実行待ち状態でない場合は、S150(図9)に移行してメンテナンスメニュー画面を表示する。機能実行待ち状態である場合は、S440に移行し、一時停止されている機能、即ち印刷指示に基づく機能を、実行する。
図9のS130において、印刷指示を受けた場合は、S510(図11)に移行する。S510では、印刷済有効フラグがオンに設定されているか否か判断する。印刷済有効フラグがオフに設定されている場合は、S640に移行し、印刷指示に基づく機能を実行する。S640の処理後は、S110(図9参照)に移行する。S510で、印刷済有効フラグがオンに設定されている場合は、S520に移行する。
S520では、印刷指示に基づく機能が、ファクスデータの印刷を含むか否か、即ち、受信したファクスデータが示す画像を印刷することを含むか否か判断する。ファクスデータの印刷を含まない場合は、S550に移行する。ファクスデータの印刷を含む場合は、S530に移行する。
S530では、メモリ不足か否か判断する。具体的には、不揮発性メモリ部におけるファクスデータの記憶領域の空き領域が不足しているか否か判断する。空き容量が不足しているか否かの具体的判断方法はどのような方法であってもよい。例えば、空き容量(即ち残量)が特定の閾値以下の場合に不足していると判断してもよい。
メモリ不足である場合は、S640に移行し、印刷指示に基づく機能を実行する。メモリ不足ではない場合は、S540で、受信したファクスデータを不揮発性メモリ部におけるファクスデータの記憶領域に保存して、S550に移行する。
S550では、印刷指示に基づく印刷の印刷速度は高速であるか否か判断する。例えば、印刷指示がコピー機能の実行指示に基づくものであって、そのコピー機能において設定されている印刷画質が「低画質」に設定されている場合は、印刷速度が高速であると判断される。
印刷速度が高速である場合は、S640に移行し、印刷指示に基づく機能を実行する。例えば印刷画質が「高画質」又は「普通」に設定されている場合のように、印刷速度が高速ではない場合は、S560に移行する。
なお、印刷指示が、ファクスデータの受信に基づくものである場合は、S550の判断を行わずにS560に移行してもよい。
S560では、第1補正未完了通知処理を実行する。具体的には、表示部13に、図7に示した第1未完了通知画面120を表示する。なお、印刷指示が外部装置から行われたものである場合は、S560の処理を省いてS570に移行するようにしてもよい。
S570では、S520と同様に、印刷指示に基づく機能がファクスデータの印刷を含むか否か判断する。印刷指示に基づく機能がファクスデータの印刷を含む場合は、S580に移行する。
S580では、第1未完了通知画面120が表示された後、はいボタン122又はいいえボタン123がタップされることなく規定時間が経過したか否か判断する。規定時間が経過した場合は、S640に移行し、印刷指示に基づく機能を実行する。規定時間が経過していない場合は、S590に移行する。
S590では、第1未完了通知画面120におけるボタン操作の有無を判断する。ボタン操作が行われていない場合は、S570に移行する。いいえボタン123がタップされた場合は、S640に移行し、印刷指示に基づく機能を実行する。はいボタン122がタップされた場合は、S630に移行する。
S630では、機能実行待ち状態に設定し、S290に移行する。つまり、印刷指示に基づく機能を一時的に停止し、S290以降の処理によって、駆動情報を補正する。この場合、一時的に停止された機能は、駆動情報の補正後に、S440(図10参照)において実行される。
S570で、印刷指示に基づく機能がファクスデータの印刷を含まない場合は、S600に移行する。S600では、印刷指示が外部装置(例えば情報処理装置30)から行われたものであるか否か判断する。印刷指示が外部装置から行われたものではない場合は、S620に移行する。印刷指示が外部装置から行われたものである場合は、S610に移行する。
S610では、第2補正未完了通知処理を実行する。具体的には、印刷指示を行った外部装置へ、前述の未完了通知要求を送信する。これにより、外部装置において第2未完了通知画面130(図8参照)が表示される。S610の処理後はS620に移行する。
S620では、ユーザによる指示を受け付け、その指示内容を判断する。具体的には、表示部13に表示されている第1未完了通知画面120に対するユーザの指示内容を判断する。印刷指示が外部装置から行われたものである場合は、さらに、外部装置に表示された第2未完了通知画面130に対するユーザの指示内容を判断する。
第1未完了通知画面120において、いいえボタン123がタップされた場合、及び、第2未完了通知画面130においてOKボタン132が選択された場合は、駆動情報の補正が不要であるとの指示がユーザによりなされたことになる。この場合、S640に移行し、印刷指示に基づく機能を実行する。なお、制御部11は、第2未完了通知画面130が表示されている外部装置においてどのような操作がなされたかについては、外部装置から送信される前述の補正再開指令又は機能実行指令に基づいて判断可能である。
第1未完了通知画面120において、はいボタン122がタップされた場合、及び、第2未完了通知画面130においてキャンセルボタン133が選択された場合は、駆動情報の補正が必要であるとの指示がユーザによりなされたことになる。この場合、S630に移行して機能実行待ち状態に設定し、S290に移行する。これにより、S290以降の処理によって駆動情報が補正され、その補正された駆動情報を用いて印刷指示に基づく印刷が実行されることになる。
なお、S440(図10参照)では、すぐに機能を実行してもよいが、印刷指示に基づく機能を実行してもよいか否かをユーザに問い合わせてもよい。その場合、駆動情報の補正が完了したことをユーザに報知してもよい。そして、その問い合わせに対してユーザから機能実行が指示された場合に、機能を実行するようにしてもよい。
あるいは、S620で補正が必要との指示がなされた場合、S630の処理を行うことなくS290に移行してもよい。その場合、S430及びS440の処理を省き、S410で印刷済パターン有効フラグがオフに設定されている場合及びS420の処理後はS150に移行するようにしてもよい。つまり、印刷済パターン有効フラグがオンの状態で印刷指示を受けた場合であって、S620で補正が必要との指示がなされた場合は、印刷指示を無効にして駆動情報の補正を行うようにしてもよい。そして、例えば、ユーザに対し、駆動情報の補正が行われたことや、印刷指示がキャンセルされたことなどを報知するようにしてもよい。
(7)実施形態の効果
本実施形態の画像処理装置10では、ユーザは、補正パターンが印刷されたもののまだ駆動情報の補正が完了していない未完了状態であっても、印刷指示を行うことができる。
しかも、未完了状態で印刷指示を行った場合、画像処理装置10の表示部13に、第1未完了通知画面120が表示される。外部装置から印刷指示を行った場合は、外部装置に第2未完了通知画面130が表示される。ユーザは、第1未完了通知画面120または第2未完了通知画面130を見ることで、補正が未完了であることを認識できる。
そして、補正が未完了であることを認識したユーザは、印刷済みの補正パターンを用いて駆動情報を補正した後に印刷させることができる一方、駆動情報を補正することなく印刷を実行させることもできる。つまり、より印刷品質の良い印刷結果を得たい場合は、駆動情報の補正を完了させた後に印刷させることができる。逆に、より早く印刷を実行させたい場合は、補正情報を補正することなくすぐに印刷を実行させることができる。
したがって、ユーザの使い勝手の低下を抑えつつ、ユーザの意思に応じて駆動情報を効果的に補正することが可能となる。
また、未完了状態で印刷指示が行われた場合であっても、特定の印刷優先条件が成立した場合は、第1未完了通知画面120が表示されることなく、印刷指示に基づく機能が実行される。このように、駆動情報の補正が完了するのを待つよりも印刷させることを優先すべき状況においては印刷を優先して行うことで、印刷指示に基づく印刷結果を適切に得ることができる。
なお、本実施形態において、第1通信部24は通信部の一例に相当する。第2通信部25はファクシミリ受信部の一例に相当する。記録用紙3は被記録媒体の一例に相当する。スキャン指示画面85は読取通知画面の一例に相当する。オンされた印刷済パターン有効フラグは未完了情報の一例に相当する。S310で無操作タイムアウトが生じることは、待機解除条件の一例に相当する。S530で肯定判定されること、およびS550で肯定判定されることは、いずれも、印刷優先条件の一例に相当する。第1未完了通知画面120及び第2未完了通知画面130は補正再開確認情報の一例に相当する。「低画質」の印刷画質は第1の印刷画質の一例に相当し、「高画質」および「普通」の印刷画質は第2の印刷画質の一例に相当する。第1未完了通知画面120で、はいボタン122がタップされること、および第2未完了通知画面130でキャンセルボタン133が選択されることは、補正再開要求の一例に相当する。第1未完了通知画面120で、いいえボタン123がタップされること、および第2未完了通知画面130でOKボタン132が選択されることは、印刷実行要求の一例に相当する。
S270の処理は補正パターン印刷処理の一例に相当する。S290の処理は読取通知処理の一例に相当する。S350の処理は第1の補正パターン読取処理および第2の補正パターン読取処理の一例に相当する。S380~S390の処理は第1の補正処理および第2の補正処理の一例に相当する。S320、及びS320に続いて実行されるS110の処理は、未完了処理の一例に相当する。S560及びS610の処理は補正再開確認処理の一例に相当する。S590及びS620の処理は応答入力処理の一例に相当する。S440の処理は補正反映印刷処理の一例に相当する。S640の処理は、補正未反映印刷処理、第1の優先印刷処理及び第2の優先印刷処理の一例に相当する。
[2.他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
(2-1)印刷画質を「高画質」、「普通」および「低画質」の3種類から選べることは一例であり、印刷画質の種類や数はいくつあってもよい。また、複数種類の印刷画質のうちどの画質を印刷速度が高速であると扱うか、即ちどの画質がS550で肯定判定されるようにするかについては、適宜決めてよい。
(2-2)印刷済パターン有効フラグがオンの状態で印刷指示を受けた場合(S510でYES)、印刷優先条件を考慮せずにS560の第1補正未完了通知処理を実行してもよい。
また、印刷指示が、受信したファクスデータの印刷であっても、S580~S590の処理を行うことなく、S600以降の処理に進んでもよい。
(2-3)図4~図8に示した各画面の内容はあくまでも一例であり、各画面はどのような内容であってもよい。
(2-4)罫線ずれ補正パターン及び送り量補正パターンのいずれも、用紙サイズ及び用紙種別毎に異ならせることは必須ではない。例えば、同じ用紙サイズであれば用紙種別にかかわらず同じ補正パターンが用いられてもよい。また例えば、複数の用紙サイズのうち特定の2つ以上の用紙サイズに対して共通の補正パターンが用いられてもよい。
(2-5)図3に示した罫線ずれ補正パターン210はあくまでも一例であり、罫線ずれ補正パターンはどのような画像であってもよい。送り量補正パターンについても同様である。
(2-6)印刷部18は、インクジェット技術に基づく構成とは異なる構成であってもよい。例えば、印刷部18は、電子写真方式に基づく構成、即ちいわゆるページプリンタとして構成されていてもよい。そして、ページプリンタにより印刷される画像の品質劣化を抑制するために本発明が適用されてもよい。
(2-7)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。