JP7200272B2 - ワイヤハーネス - Google Patents

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Description

本発明は、ワイヤハーネスに関する。
従来、ワイヤハーネスにおいては、電線の端末にコネクタを組み付けたコネクタ付き電線として構成されたものが知られている。そして、そのコネクタについては、電線や端子金具へのノイズの侵入を抑止するために、シールドコネクタとして構成されたものが知られている。このコネクタにおいては、端子金具がハウジングの中で電線の端末に電気的に接続され、かつ、その電線がハウジングの外に引き出されている。更に、このコネクタにおいては、複数のシェル部材が組み合わされたシールドシェルでハウジングが外側から覆われている。この種のワイヤハーネスについては、例えば、下記の特許文献1から3に開示されている。また、ワイヤハーネスにおいては、コネクタから引き出された電線の引出部分へのノイズの侵入も抑えるべく、例えば、下記の特許文献2及び3にも記載されているように、金属材料で網目の筒状に編み上げた編組部材を電線の引出部分とシールドシェルとに被せている。
特開2014-107152号公報 特開2016-192359号公報 特開2018-41554号公報
ところで、ワイヤハーネスにおいては、従来のようにシールドシェルが互いに組み合わされる複数のシールドシェル部材で構成されている場合、それぞれのシールドシェル部材の間に各々を面接触させた合わせ面が形成されるので、その合わせ面に水が浸入してしまうと、この水がシールドシェルの中まで伝わってしまう可能性がある。但し、従来のコネクタにおいては、ハウジングと電線との間の隙間を埋めたシール部材がハウジングの中に設けられているので、このシール部材によって、シールドシェルの中に入り込んだ水の端子金具への到達を防いでいる。その一方で、従来のコネクタは、そのシールドシェルの中の水が例えば電線の引出部分等を伝わりながらシールドシェルの外に抜け出て、この抜け出た水が編組部材にまで到達してしまう可能性がある。
そこで、本発明は、シールドシェルの中に入り込んだ水の編組部材への到達を抑止し得るワイヤハーネスを提供することを、その目的とする。
上記目的を達成する為、本発明は、電線と、前記電線の端末に組み付けられたコネクタと、を備え、前記コネクタは、前記電線の前記端末に対して直接的又は間接的に電気接続された端子金具と、前記電線及び前記端子金具を内方の収容室に収容させつつ、前記電線を前記収容室の引出口から外方に引き出させる絶縁性のハウジングと、前記ハウジングに被せた導電性の第1シールドシェル部材と、前記第1シールドシェル部材に対して端部を面接触させた状態で組み付けられ、かつ、その端部よりも前記電線の引出方向側に配置された筒部の内方の電線収容室に、前記電線における前記収容室から引き出された第1引出部を収容させつつ、前記電線を前記電線収容室の引出口から外方に引き出させる導電性の第2シールドシェル部材と、網目の筒状に編み上げられ、かつ、前記第2シールドシェル部材の前記筒部に密着状態で被せつつ、前記電線における前記電線収容室から引き出された第2引出部を覆う導電性の編組部材と、前記電線収容室の内周壁と前記電線の前記第1引出部との間の隙間を埋める編組側シール部材と、を備えることを特徴としている。
本発明に係るワイヤハーネスは、分割構造を採っているシールドシェル(第1シールドシェル部材、第2シールドシェル部材)の中に入り込んだ水や塵埃が第2シールドシェル部材の筒部中の電線収容室に入り込んだとしても、その電線収容室に配置した編組側シール部材が水等の編組部材側への流出を抑えることができる。従って、このワイヤハーネスは、シールドシェルの中に入り込んだ水による編組部材の耐久性の低下を抑えることができる。
図1は、実施形態のワイヤハーネスを示す斜視図である。 図2は、実施形態のワイヤハーネスをシールドシェル側から見た斜視図である。 図3は、図1のX-X線断面図である。 図4は、実施形態のワイヤハーネスを部分的にばらした分解斜視図である。 図5は、ハウジングの分解斜視図である。 図6は、ハウジングを別角度から見た分解斜視図である。 図7は、第1電線保持具を示す斜視図である。 図8は、第1電線保持具の分解斜視図である。 図9は、シールドシェルを示す斜視図である。 図10は、シールドシェルの分解斜視図である。 図11は、第2電線保持具を示す斜視図である。 図12は、第2電線保持具の分解斜視図である。
以下に、本発明に係るワイヤハーネスの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
[実施形態]
本発明に係るワイヤハーネスの実施形態の1つを図1から図12に基づいて説明する。
図1から図4の符号WHは、本実施形態ワイヤハーネスを示す。このワイヤハーネスWHは、所謂コネクタ付き電線であり、電線Weと、この電線Weの端末に組み付けられたコネクタ1と、を備える。ここで示すワイヤハーネスWHは、極数の数が複数のコネクタ1を備えるものであり、その極数の数に応じた本数の電線Weが具備されている。この例示では、このワイヤハーネスWHが2本の電線Weと2極のコネクタ1を備えている。
コネクタ1は、相手方嵌合部(図示略)に対して先端から挿入嵌合させることによって、相手方端子金具(図示略)に電気接続させる。例えば、ここで示すコネクタ1は、内周壁面を有する孔状の相手方嵌合部の内方に後述するハウジング20の嵌合部20aを挿入嵌合させるものとして構成されている。このコネクタ1は、その孔状の相手方嵌合部に対して、この相手方嵌合部の孔軸方向に沿って嵌合部20aを挿抜させる。相手方嵌合部は、例えば、孔軸方向に対する直交断面が矩形を成すものとして形成されている。尚、相手方嵌合部は、筒状に形成され、その内方の空間に嵌合部20aを挿入嵌合させるものであってもよい。
例えば、このコネクタ1は、相手方機器(図示略)の相手方端子金具に電気接続させることによって、この相手方機器と電線Weの先の機器(図示略)との間を電気接続させる。その相手方機器は、金属製の筐体を備えており、この筐体の壁体に形成された貫通孔を相手方嵌合部として利用する。また、この相手方機器は、その筐体の内部に端子台又は相手方コネクタを備えている。相手方端子金具は、その端子台又は相手方コネクタが備えるものである。よって、コネクタ1は、嵌合部20aが相手方嵌合部の内方に挿入嵌合され、筐体の内部で端子台又は相手方コネクタの相手方端子金具に電気接続させる。
以下において、特段の言及も無く単に挿入方向と記した場合、その挿入方向は、相手方嵌合部に対するコネクタ1の嵌合部20aの挿入方向のことを示している。また、特段の言及も無く単に抜去方向と記した場合、その抜去方向は、相手方嵌合部に対するコネクタ1の嵌合部20aの抜去方向のことを示している。また、特段の言及も無く単に挿抜方向と記した場合、その挿抜方向は、相手方嵌合部に対するコネクタ1の嵌合部20aの挿抜方向のことを示している。
このコネクタ1は、端子金具10と、電線We及び端子金具10を収容させる絶縁性のハウジング20と、ノイズ低減を図るための導電性のシールドシェル30と、を備える(図1、図3及び図4)。
端子金具10は、金属等の導電性材料で成形される。例えば、この端子金具10は、母材となる金属板に対する折曲げ加工や切断加工等のプレス成形によって所定形状に成形される。
この端子金具10は、相手方端子金具の相手方端子接続部に対して物理的且つ電気的に接続させる端子接続部11を有する(図1、図3及び図4)。例えば、端子接続部11と相手方端子接続部は、嵌合部20aと相手方嵌合部の挿入嵌合に伴って、互いに嵌合接続させる。この形態の端子接続部11と相手方端子接続部は、その内の一方が雌端子形状に形成され、その内の他方が雄端子形状に形成される。また、例えば、端子接続部11と相手方端子接続部は、互いに螺子止め固定させるものであってもよい。この例示では、端子接続部11が円筒状の雌端子形状に形成され、かつ、相手方端子接続部が端子接続部11の内方に嵌入させる軸状の雄端子形状に形成されている。端子金具10においては、この端子接続部11の筒軸方向が挿抜方向になる。この例示の端子接続部11の内方には、弾性変形可能な接点部材(図示略)が組み付けられている。
この端子金具10は、電線Weの端末に対して直接的又は間接的に電気接続させる。例えば、端子金具10は、電線Weの端末に対して物理的且つ電気的に接続させる電線接続部12を設けておくことによって、電線Weの端末に対して直接的に電気接続させる(図3及び図4)。また、例えば、端子金具10は、電線Weの端末との間に中継端子(図示略)を介在させることによって、電線Weの端末に対して間接的に電気接続させる。ここで示す端子金具10は、電線接続部12を有しており、電線Weの端末に対して直接的に電気接続させている。
電線接続部12は、電線Weの端末の剥き出しの芯線に対して、例えば、圧着又は溶着させることによって、この電線Weに対して物理的且つ電気的に接続させる。ここで示す電線接続部12は、2枚のバレル片を剥き出しの芯線に加締め圧着させている。電線Weは、この電線接続部12から引き出されている。
端子金具10は、端子接続部11の筒軸方向と電線接続部12における電線Weの引出方向とが同じ向きのストレート形状に成形される。このストレート形状の端子金具10を用いる場合には、電線接続部12から引き出された電線Weをそのまま引出方向に延在させてハウジング20に収容してもよく、電線接続部12から引き出された電線Weを途中で折り曲げてハウジング20に収容してもよい。この例示では、ストレート形状の端子金具10と、電線接続部12から引き出された後で90度折り曲げられた電線Weと、がハウジング20に収容されている(図3及び図4)。
尚、端子金具10は、端子接続部11の筒軸方向と電線接続部12における電線Weの引出方向とを交差させた(例えば、直交させた)交差形状に成形されたものであってもよい。この場合には、電線接続部12から引き出された電線Weをそのまま引出方向に延在させる。
このコネクタ1は、その対になる端子金具10と電線Weの組み合わせを複数組備えている。ここでは、その組み合わせを2組備えている(図4)。このコネクタ1においては、2つの端子金具10が挿抜方向に対する直交方向に並べて配置されている。また、このコネクタ1においては、2本の電線Weをその直交方向に並べて並走させている。
ハウジング20は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形される。
このハウジング20は、相手方嵌合部に挿入嵌合させる嵌合部20aを有する(図1から図6)。ここで示す嵌合部20aは、挿入方向に沿って孔状の相手方嵌合部の内方に挿入嵌合させ、これとは逆向きの抜去方向に沿って相手方嵌合部の内方から抜き取られる。この嵌合部20aは、相手方嵌合部に対する挿抜方向(挿入方向、挿抜方向)を筒軸方向とする筒状に形成されている。ここで示す嵌合部20aは、角筒状に形成されている。
コネクタ1は、この嵌合部20aと相手方嵌合部との間の環状の隙間を埋めて、その間での防水と防塵を図る環状のシール部材41を備える(図1から図4)。このシール部材41は、合成ゴム等の弾性部材で成形される。そして、このシール部材41は、嵌合部20aの外周面に組み付けられる。
更に、ハウジング20は、その嵌合部20aの外周面の外側に鍔状のフランジ部20bを有している(図1、図3、図5及び図6)。このフランジ部20bは、嵌合部20aと相手方嵌合部とが嵌合完了状態のときに、その相手方嵌合部の周縁の壁面に間隔を空けて対向配置させる対向壁面を有する。コネクタ1は、このフランジ部20bの対向壁面と相手方嵌合部の周縁の壁面との間の隙間を埋めて、その間での防水と防塵を図る環状のシール部材42を備える(図1及び図3)。このシール部材42は、合成ゴム等の弾性部材で成形される。そして、このシール部材42は、フランジ部20bの対向壁面に形成されている環状溝に突出状態で嵌め込まれる。
このハウジング20においては、嵌合部20aの内方に端子金具10が収容される。
このハウジング20は、電線We及び端子金具10を収容させる内方の収容室20cと、電線Weを収容室20cから外方に引き出させる引出口20dと、を有する(図3、図5及び図6)。つまり、このハウジング20は、電線We及び端子金具10を内方の収容室20cに収容させつつ、電線Weを収容室20cの引出口20dから外方に引き出させる。
収容室20cは、端子金具10を収容させる端子収容部20cと、この端子金具10の電線接続部12から引き出された電線Weを収容させる電線収容部20cと、を有する(図3、図5及び図6)。このハウジング20においては、筒状の嵌合部20aの内側の空間を端子収容部20cとして利用する。その端子収容部20cにおいては、例えば、仕切り壁等で端子金具10毎の部屋に分けられている。また、ここで示す電線収容部20cは、挿抜方向に対する交差方向(この例示では直交方向)に電線Weを沿わせながら収容させるものとして形成される。この電線収容部20cにおいては、例えば、仕切り壁等で電線We毎の部屋に分けられている。
コネクタ1は、その収容室20cの端子収容部20cに収容され、かつ、この端子収容部20cで端子金具10を保持する端子保持部材50を備える(図1から図4)。この端子保持部材50は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形される。この端子保持部材50は、相手方端子接続部の抜き差しが可能な状態で内方に端子金具10を収容させ且つ保持させると共に、嵌合部20aの内周面に保持させる。
この端子保持部材50は、端子金具10毎に設けたものであってもよく、複数の端子金具10の保持が可能な1つの部品として設けたものであってもよい。ここで示す端子保持部材50は、端子金具10毎に設けられている。この端子保持部材50は、例えば、嵌合部20aとの間で引っ掛け合う爪部等を利用したロック機構(図示略)によって、その嵌合部20aの内周面に保持させる。
更に、このコネクタ1は、収容室20cの内周壁と電線Weとの間の隙間を埋めて、その間での防水と防塵を図るシール部材(以下、「端子側シール部材」という。)43を備える(図3及び図4)。この端子側シール部材43は、合成ゴム等の弾性部材で成形される。
この端子側シール部材43は、電線We毎に設けたものであってもよく、収容室20cの内周壁と複数本の電線Weとの間の隙間を埋めるものであってもよい。ここで示す端子側シール部材43は、収容室20cの電線収容部20cの内周壁と2本の電線Weとの間の隙間を埋めるものとして成形されている。
また、ここでは、電線収容部20cが長円形に形成された空間部20c21を有しており、その空間部20c21に端子側シール部材43が配置される(図3、図5及び図6)。よって、ここで示す端子側シール部材43は、長円形に成形され、かつ、電線We毎の円形の貫通孔43aを有している(図4)。そして、この端子側シール部材43においては、外周面に同軸の環状のリップ(以下、「外周リップ」という。)が形成され、かつ、その貫通孔43aの内周面に同軸の環状のリップ(以下、「内周リップ」という。)が形成されている。この端子側シール部材43は、電線収容部20cにおける長円形の空間部20c21の内周壁に外周リップを密着させ、かつ、電線Weの外周面に内周リップを密着させることによって、引出口20dから収容室20cの電線収容部20cに入り込んできた水や塵埃の端子金具10への到達を抑止する。よって、このコネクタ1においては、水による端子金具10の耐久性の低下や塵埃による端子金具10の通電性能の低下を抑えることができる。
更に、このコネクタ1は、収容室20cで電線Weを保持する電線保持具(以下、「第1電線保持具」という。)60を備える(図3、図4、図7及び図8)。この第1電線保持具60は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形される。この第1電線保持具60は、電線We毎に設けたものであってもよく、複数本の電線Weの保持が可能な1つの部品として設けたものであってもよい。ここで示す第1電線保持具60は、複数本(この例示では2本)の電線Weの保持が可能な1つの部品として設けられている。また、ここで示す第1電線保持具60は、収容室20cの電線収容部20cにて、端子金具10の電線接続部12から引き出されて折り曲げられた先で電線Weを保持するものである。
この第1電線保持具60は、円柱状の電線Weを挿通させる円柱状の電線挿通部60aを有する(図3及び図7)。例えば、この第1電線保持具60は、その電線挿通部60aの外径を電線Weの外径よりも小さくして、この電線挿通部60aの内周面から電線Weの外周面に保持力を発生させるものであってもよい。但し、ここで示す第1電線保持具60は、その電線挿通部60aの外径を電線Weの外径よりも大きくしている。そして、この第1電線保持具60は、電線Weの外周面に押圧力を作用させ、その押圧力によって電線Weに対しての保持力を発生させる突起状のリブ60bを有している(図7及び図8)。そのリブ60bは、電線挿通部60aの内周面から突出させる。
ここで示す第1電線保持具60は、電線Weを挟持させる第1電線保持部材61と第2電線保持部材62とを備える(図3、図4、図7及び図8)。この第1電線保持部材61と第2電線保持部材62は、互いに組み付けられた状態で電線Weを挟持するものである。よって、第1電線保持具60は、第1電線保持部材61と第2電線保持部材62との間に、これらを組付け状態のまま維持させる第1ロック機構63と第2ロック機構64を備える(図7及び図8)。この例示では、その第1電線保持部材61と第2電線保持部材62とに同じ部品を用いている。
第1電線保持部材61と第2電線保持部材62は、電線Weの外径よりも大径の半円柱状の空間部65を有している(図8)。この第1電線保持部材61と第2電線保持部材62においては、組付け状態で、それぞれの空間部65を合わせた円柱状の空間部が形成される。ここでは、その円柱状の空間部が電線挿通部60aとして利用される。よって、第1電線保持部材61と第2電線保持部材62は、その空間部65の内周面にリブ60bを設けている。ここで示す空間部65においては、その周方向の一端に軸線方向に間隔を空けて配置した2つのリブ60bを設け、かつ、その周方向の他端に軸線方向に間隔を空けて配置した3つのリブ60bを設けている。ここで示す第1電線保持部材61と第2電線保持部材62においては、空間部65と当該空間部65に設けた5つのリブ60bとが電線We毎に形成されている。
第1ロック機構63は、電線挿通部60aの軸線方向にて、組付け状態の第1電線保持部材61と第2電線保持部材62の両端に各々2つずつ設けている。一方、第2ロック機構64は、その軸線方向に対する直交方向(つまり、2つの電線挿通部60aの配列方向)にて、組付け状態の第1電線保持部材61と第2電線保持部材62の両端に各々1つずつ設けている。
上記の両端における一方の第1ロック機構63は、第1電線保持部材61に設けた第1係止体63aと、第2電線保持部材62に設け、第1電線保持部材61と第2電線保持部材62とが組付け状態のときに、これらの組付け方向に対する逆向きの動きを第1係止体63aとの間で係止させる第2係止体63bと、を備える(図8)。また、上記の両端における他方の第1ロック機構63は、第2電線保持部材62に設けた第1係止体63aと、第1電線保持部材61に設け、第1電線保持部材61と第2電線保持部材62とが組付け状態のときに、これらの組付け方向に対する逆向きの動きを第1係止体63aとの間で係止させる第2係止体63bと、を備える(図8)。
第1係止体63aは、電線挿通部60aの軸線方向に向けて第1電線保持部材61(第2電線保持部材62)から突出させた爪状の突起体として形成される。一方、第2係止体63bは、第1電線保持部材61と第2電線保持部材62とが組付け状態のときに、これらの組付け方向に対する逆向きの動きを爪状の第1係止体63aとの間で係止させる爪状の第2係止部63bと、この第2係止部63bを自由端に有すると共に、固定端を第2電線保持部材62(第1電線保持部材61)に設けた可撓性を持つ片持ちの可撓片部63bと、を有する(図8)。可撓片部63bは、第1電線保持部材61と第2電線保持部材62とを組み付けているときに第2係止部63bが第1係止体63aを乗り越えることが可能で、かつ、その乗り越え後に第1係止体63aと第2係止部63bとを対向配置させることが可能な弾性変形を行い得るものである。
一方の第2ロック機構64は、第1電線保持部材61に設けた第1係止体64aと、第2電線保持部材62に設け、第1電線保持部材61と第2電線保持部材62とが組付け状態のときに、これらの組付け方向に対する逆向きの動きを第1係止体64aとの間で係止させる第2係止体64bと、を備える(図8)。また、他方の第2ロック機構64は、第2電線保持部材62に設けた第1係止体64aと、第1電線保持部材61に設け、第1電線保持部材61と第2電線保持部材62とが組付け状態のときに、これらの組付け方向に対する逆向きの動きを第1係止体64aとの間で係止させる第2係止体64bと、を備える(図8)。
第1係止体64aは、2つの電線挿通部60aの配列方向に向けて第1電線保持部材61(第2電線保持部材62)から突出させた爪状の突起体として形成される。一方、第2係止体64bは、第1電線保持部材61と第2電線保持部材62とが組付け状態のときに、これらの組付け方向に対する逆向きの動きを爪状の第1係止体64aとの間で係止させる片体状の第2係止部64bと、この第2係止部64bの端部を自由端側で繋ぐと共に、固定端を第2電線保持部材62(第1電線保持部材61)に設けた可撓性を持つ2つの片持ちの可撓片部64bと、を有する(図8)。可撓片部64bは、第1電線保持部材61と第2電線保持部材62とを組み付けているときに第2係止部64bが第1係止体64aを乗り越えることが可能で、かつ、その乗り越え後に第1係止体64aと第2係止部64bとを対向配置させることが可能な弾性変形を行い得るものである。
ハウジング20は、この第1電線保持具60を保持する保持部20gを有する(図3、図5及び図6)。この保持部20gは、ハウジング20に少なくとも1つ設ける。このコネクタ1においては、第1電線保持具60で電線Weを保持し、その第1電線保持具60をハウジング20の保持部20gに保持させることによって、車両走行時に電線Weの引出部分で発生した振れが振動として伝わってきたとしても、その振動の端子金具10への伝播を第1電線保持具60と保持部20gで抑止することができる。そして、このコネクタ1においては、この第1電線保持具60を電線Weの軸線方向で端子側シール部材43に並べて配置しているので、第1電線保持具60と保持部20gによる振動の伝播抑止効果に起因して、収容室20cの中での電線Weの振れも抑えられる。よって、このコネクタ1においては、電線Weの振れに伴う端子側シール部材43の押し潰しを抑止できるので、電線Weと端子側シール部材43との間に隙間ができ難くなっており、端子側シール部材43による防水性能と防塵性能を向上させることができる。
ここで、第1電線保持具60は、端子側シール部材43よりも端子金具10側に配置してもよく、端子側シール部材43よりも収容室20cの引出口20d側に配置してもよい。
このコネクタ1においては、第1電線保持具60を端子側シール部材43よりも端子金具10側に配置している(図3)。これにより、このコネクタ1においては、引出部分から伝わってきた電線Weの振動が先ず端子側シール部材43で吸収され、続いて、ここで吸収しきれなかった残りの振動成分の端子金具10側への伝播が第1電線保持具60と保持部20gで抑止される。よって、このコネクタ1においては、第1電線保持具60と保持部20gによって抑え込む振動を端子側シール部材43で小さくしておくことができるので、振動の端子金具10への伝播抑止効果を高めることができる。
一方、このコネクタ1においては、第1電線保持具60を端子側シール部材43よりも収容室20cの引出口20d側に配置することによって、引出部分から伝わってきた電線Weの振動の端子金具10側への伝播を第1電線保持具60と保持部20gで抑止しきれなかった場合でも、第1電線保持具60と保持部20gで小さくなった振動が端子金具10に伝わる前に、この振動を端子側シール部材43で吸収することができる。よって、このコネクタ1においては、仮に第1電線保持具60と保持部20gで振動を抑え込むことができなかったとしても、振動の端子金具10への伝播を抑止することができる。
具体的に、ここで示すハウジング20は、ハウジング本体21とカバー部材22とフロントホルダ23とを備える(図3から図6)。
ハウジング本体21には、電線We及び端子金具10を収容させる第1空間部21aと、電線We及び端子金具10を第1空間部21aに挿入させる第1開口部21bと、が設けられている(図5)。第1空間部21aは、例えば、先に示した仕切り壁等で電線We及び端子金具10の組み合わせ毎の部屋に分けられている。また、このハウジング本体21には、電線Weを第1空間部21aから引き出させる半円形の開口21aが形成されている(図5)。この開口21aは、電線We毎に設けられる。更に、このハウジング本体21には、端子側シール部材43を収容させる第1シール収容部21cが設けられている(図5)。また更に、このハウジング本体21には、先に示した嵌合部20aとフランジ部20bとが形成されている(図5及び図6)。
カバー部材22には、電線We及び端子金具10を収容させる第2空間部22aと、電線We及び端子金具10を第2空間部22aに挿入させる第2開口部22bと、が設けられている(図6)。第2空間部22aは、例えば、先に示した仕切り壁等で電線We毎の部屋に分けられている。また、このカバー部材22には、電線Weを第2空間部22aから引き出させる半円形の開口22aが形成されている(図6)。この開口22aは、電線We毎に設けられる。更に、このカバー部材22には、端子側シール部材43を収容させる第2シール収容部22cが設けられている(図6)。
このハウジング20においては、そのハウジング本体21とカバー部材22を組み付けることによって、第1開口部21bと第2開口部22bとが合わさって、第1空間部21a及び第2空間部22aから成る収容室20cが形成される。また、このハウジング20においては、そのハウジング本体21とカバー部材22を組み付けることによって、それぞれの開口21a,22aから成る引出口20dが形成される。また、このハウジング20においては、そのハウジング本体21とカバー部材22を組み付けることによって、第1シール収容部21c及び第2シール収容部22cから成る電線収容部20cの空間部20c21が形成される。
このハウジング20においては、ハウジング本体21とカバー部材22の少なくとも一方に第1電線保持具60用の保持部20gを設ける。ここでは、そのハウジング本体21とカバー部材22の双方に保持部20gを設けている(図3、図5及び図6)。ハウジング本体21の保持部20gは、第1電線保持部材61が収容される空間部であり、その空間部の中での第1電線保持部材61の相対移動を抑止させることによって、この第1電線保持部材61を保持するものである。ここで示すハウジング本体21の保持部20gは、空間部65を塞がずに第1電線保持部材61の外壁を囲い込むことが可能な部屋として形成される。カバー部材22の保持部20gは、第2電線保持部材62が収容される空間部であり、その空間部の中での第2電線保持部材62の相対移動を抑止させることによって、この第2電線保持部材62を保持するものである。ここで示すカバー部材22の保持部20gは、空間部65を塞がずに第2電線保持部材62の外壁を囲い込むことが可能な部屋として形成される。
このハウジング20においては、ハウジング本体21とカバー部材22を組み付けていくことによって、このハウジング本体21とカバー部材22のそれぞれの保持部20gの内壁面で第1電線保持具60が挟み込まれる(図3)。そこで、このハウジング20においては、組付け状態のハウジング本体21とカバー部材22とで第1電線保持具60を挟持させることによって、収容室20cの電線収容部20cの中での第1電線保持具60に対する保持力を高める。これにより、このコネクタ1においては、振動の端子金具10への伝播抑止効果を高めることができる。
このハウジング20は、更に、その互いに組み付けられたハウジング本体21及びカバー部材22を組付け状態のまま維持させるロック機構(以下、「カバーロック機構」という。)24を備える(図3、図5及び図6)。このハウジング20においては、ハウジング本体21とカバー部材22との間におけるそれぞれの外周壁に複数のカバーロック機構24を設けている。
カバーロック機構24は、ハウジング本体21に設けた第1係止体24aと、カバー部材22に設け、ハウジング本体21とカバー部材22とが組付け状態のときに、これらの組付け方向に対する逆向きの動きを第1係止体24aとの間で係止させる第2係止体24bと、を備える(図3、図5及び図6)。
第1係止体24aは、ハウジング本体21の外周壁から突出させた爪状の突起体として形成される(図3、図5及び図6)。一方、第2係止体24bは、ハウジング本体21とカバー部材22とが組付け状態のときに、これらの組付け方向に対する逆向きの動きを爪状の第1係止体24aとの間で係止させる片体状の第2係止部24bと、この第2係止部24bの端部を自由端側で繋ぐと共に、固定端をカバー部材22に設けた可撓性を持つ2つの片持ちの可撓片部24bと、を有する(図3、図5及び図6)。可撓片部24bは、ハウジング本体21とカバー部材22とを組み付けているときに第2係止部24bが第1係止体24aを乗り越えることが可能で、かつ、その乗り越え後に第1係止体24aと第2係止部24bとを対向配置させることが可能な弾性変形を行い得るものである。
また、このハウジング20は、その組み付けられたハウジング本体21とカバー部材22との間に水や塵埃を入り込ませないように、その間での防水と防塵を図るシール部材(以下、「カバーシール部材」という。)44を備える(図3及び図4)。このカバーシール部材44は、合成ゴム等の弾性部材で成形される。ここで示すカバーシール部材44は、角環状に成形され、ハウジング本体21とカバー部材22との間に挟み込ませる。尚、このコネクタ1においては、このカバーシール部材44が先の端子側シール部材43と一体になった1つの部品として成形されている(図4)。
フロントホルダ23は、ハウジング本体21の嵌合部20aの外周面を覆う角筒状に成形され、その嵌合部20aに嵌合させる。ハウジング20は、その互いに組み付けられたハウジング本体21及びフロントホルダ23を組付け状態のまま維持させるロック機構(以下、「ホルダロック機構」という。)25を備える(図5及び図6)。このハウジング20においては、嵌合部20aの内周面とフロントホルダ23との間に複数のホルダロック機構25を設けている。
ホルダロック機構25は、ハウジング本体21の嵌合部20aの内周面に設けた第1係止体25aと、その嵌合部20aの内周面に対向配置させた状態でフロントホルダ23に設け、嵌合部20aとフロントホルダ23とが組付け状態のときに、これらの組付け方向に対する逆向きの動きを第1係止体25aとの間で係止させる第2係止体25bと、を備える(図5及び図6)。
第1係止体25aは、嵌合部20aの内周面から突出させた爪状の突起体として形成される(図6)。一方、第2係止体25bは、嵌合部20aとフロントホルダ23とが組付け状態のときに、これらの組付け方向に対する逆向きの動きを爪状の第1係止体25aとの間で係止させる片体状の第2係止部25bと、この第2係止部25bの端部を自由端側で繋ぐと共に、固定端をフロントホルダ23に設けた可撓性を持つ2つの片持ちの可撓片部25bと、を有する(図5及び図6)。可撓片部25bは、嵌合部20aとフロントホルダ23とを組み付けているときに第2係止部25bが第1係止体25aを乗り越えることが可能で、かつ、その乗り越え後に第1係止体25aと第2係止部25bとを対向配置させることが可能な弾性変形を行い得るものである。
シールドシェル30は、外部のノイズの内方への侵入を抑止して、ハウジング20の中の電線Weや端子金具10にノイズが乗らないように、このハウジング20に被せる。よって、このシールドシェル30は、金属等の導電性材料で成形される。
このシールドシェル30は、互いに組み付けられる第1シールドシェル部材31と第2シールドシェル部材32とを備える(図1から図4、図9及び図10)。
第1シールドシェル部材31は、ハウジング20の中へのノイズの侵入を抑えるべく、このハウジング20にカバー部材22側から被せる。ここで示す第1シールドシェル部材31は、カバー部材22を覆う主壁31aと、電線Weの引出方向側を開口させた状態でハウジング本体21を囲う側壁31bと、を有する(図2から図4、図9及び図10)。
この第1シールドシェル部材31は、ハウジング本体21及びカバー部材22による第1電線保持具60の挟持方向を螺子軸方向とする締結構造でハウジング本体21に螺子止め固定される。ここで示す第1シールドシェル部材31の側壁31bには、固定部31cが2つ設けられており、それぞれの固定部31cに雌螺子部N1が形成されている(図1、図2及び図10)。そして、ハウジング本体21には、その固定部31cに取り付けるための固定部21dが固定部31c毎に設けられており(図1、図5及び図6)、それぞれの固定部21dに雄螺子部材B1(図1及び図4)を挿通させるための貫通孔21d(図5及び図6)が形成されている。第1シールドシェル部材31は、その貫通孔21dに雄螺子部材B1を挿通させた上で、この雄螺子部材B1を雌螺子部N1に螺合させることによって、ハウジング本体21に螺子止め固定される。
ここで、そのハウジング本体21と第1シールドシェル部材31との間には、締結構造の軸力がハウジング本体21及びカバー部材22による第1電線保持具60の挟持方向に作用している。そこで、このコネクタ1においては、ハウジング本体21と第1シールドシェル部材31との間に作用させた締結構造の軸力を利用して、第1電線保持具60に対する挟持力をハウジング本体21とカバー部材22との間に発生させる。例えば、ここでは、ハウジング本体21と第1シールドシェル部材31が螺子止め固定されている状態で、主壁31aをカバー部材22に当接させ、かつ、この主壁31aからカバー部材22に対してハウジング本体21に向けた押圧力を作用させることが可能な形状に第1シールドシェル部材31を成形しておく。これにより、このコネクタ1においては、ハウジング本体21とカバー部材22から第1電線保持具60に対して、ばらつきの無い安定した保持力を作用させることができるので、振動の端子金具10への伝播抑止効果を高めることができる。
第2シールドシェル部材32は、電線Weにおける収容室20cから引き出された第1引出部We1へのノイズの侵入を抑止するためのものである。そこで、この第2シールドシェル部材32には、その第1引出部We1を収容させる筒部32aが設けられている(図1から図4、図9及び図10)。ここで示す筒部32aは、長円の筒状に形成され、その内方の空間を第1引出部We1が収容される電線収容室32bとして利用する(図3、図9及び図10)。この第2シールドシェル部材32は、第1シールドシェル部材31に対して端部を面接触させた状態で組み付けられる。そして、この第2シールドシェル部材32は、その端部よりも電線Weの引出方向側に配置された筒部32aの内方の電線収容室32bに第1引出部We1を収容させつつ、電線Weを電線収容室32bの引出口32cから外方に引き出させる(図3)。
この第2シールドシェル部材32には、筒部32aにおける電線Weの引出方向側の開口の周縁に、この筒部32aと同軸で且つ内方に向けて突出させた平板状の環状部32dを設けている(図3、図9及び図10)。この第2シールドシェル部材32においては、その環状部32dの内周面側の開口を電線Weの引出口32cとして利用する。
また、この第2シールドシェル部材32においては、筒部32aにおける引出口32cとは逆側の開口の周縁及びその近傍を端部とし、この端部を第1シールドシェル部材31に面接触させる。
ここで示す第2シールドシェル部材32には、その筒部32aにおける引出口32cとは逆側の開口の周縁に平板状のフランジ部32eが設けられている(図1から図4、図9及び図10)。このフランジ部32eは、その平面を第1シールドシェル部材31の主壁31aにおける電線Weの引出方向側の端面に面接触させる。
ここで、第1シールドシェル部材31には、その主壁31aの端面と同一平面上の壁面を有する2つの固定部31dが側壁31bに設けられている(図1、図2、図9及び図10)。この固定部31dは、フランジ部32eを介して、第2シールドシェル部材32を第1シールドシェル部材31に螺子止め固定させるためのものである。よって、フランジ部32eは、その平面を2つの固定部31dの壁面に面接触させる。ここでは、それぞれの固定部31dに雌螺子部N2が形成されている(図10)。そして、フランジ部32eには、雄螺子部材B2(図1、図2及び図9)を挿通させるための貫通孔32eが固定部31d毎に形成されている(図10)。第2シールドシェル部材32は、その貫通孔32eに雄螺子部材B2を挿通させた上で、この雄螺子部材B2を雌螺子部N2に螺合させることによって、第1シールドシェル部材31に螺子止め固定される。
更に、この第2シールドシェル部材32には、そのフランジ部32eから電線Weの引出方向とは逆側に突出させ、かつ、第1シールドシェル部材31の主壁31aに外側から被せて面接触させる平板状の第1片部32fを有する(図2から図4及び図9)。ここでは、この第1片部32fが矩形の平板状に形成されている。そして、第1シールドシェル部材31の主壁31aには、その第1片部32fが入り込む矩形の溝部31aが形成されている(図2、図3及び図9)。
また更に、この第2シールドシェル部材32には、第1片部32fとは逆側でフランジ部32eから電線Weの引出方向とは逆側に突出させ、かつ、ハウジング本体21に外側から対向配置させた平板状の第2片部32gを有する(図1から図4、図9及び図10)。
このコネクタ1は、網目の筒状に編み上げられ、かつ、この第2シールドシェル部材32の筒部32aに密着状態で被せつつ、電線Weにおける電線収容室32bから引き出された第2引出部We2を覆う導電性の編組部材35を備える(図1から図4)。そして、このコネクタ1は、その編組部材35を筒部32aの外周壁との間に挟みこんで加締め圧着させる環状のシールリング36を備える(図1から図4)。例えば、このコネクタ1は、第1シールドシェル部材31の側壁31bに設けた2つの固定部31e(図1、図2、図9及び図10)を相手方機器の金属製の筐体に螺子止め固定させ、その筐体にシールドシェル30と編組部材35を電気接続させることによってノイズを逃がす。
更に、このコネクタ1は、筒状に形成され、かつ、第2シールドシェル部材32の筒部32aに密着状態で被せつつ編組部材35に被せて、この編組部材35を内方に覆い隠すよう収容させるゴムブーツ70を備える(図3)。このゴムブーツ70は、例えば、外側から結束バンド等の締結部材75を巻き付けて、筒部32aの外周壁に密着状態で固定させる。尚、本図以外では、ゴムブーツ70を省略している。
このコネクタ1においては、このゴムブーツ70によって、編組部材35への外側からの水や塵埃の接触を抑止している。一方、このコネクタ1においては、シールドシェル30が第1シールドシェル部材31と第2シールドシェル部材32による分割構造を採っているので、その間の合わせ面や第2シールドシェル部材32とハウジング本体21との間の隙間等からシールドシェル30の中に水や塵埃が入り込んでしまう可能性がある。その合わせ面とは、第1シールドシェル部材31の主壁31aにおける電線Weの引出方向側の端面と第2シールドシェル部材32のフランジ部32eの平面との間の接触面、そして、第1シールドシェル部材31の2つの固定部31dの壁面と第2シールドシェル部材32のフランジ部32eの平面との間の接触面、更に、第1シールドシェル部材31の主壁31aの溝部31aと第2シールドシェル部材32の第1片部32fとの間の接触面のことである。また、その隙間とは、ハウジング本体21と第2シールドシェル部材32の第2片部32gとの間に形成される隙間のことである。
ここで、ハウジング20においては、そのシールドシェル30の中に入り込んだ水や塵埃が引出口20dから収容室20cに入り込んだとしても、端子側シール部材43によって、その水や塵埃の端子金具10への到達を抑止することができる。よって、このコネクタ1においては、先に示したように、水による端子金具10の耐久性の低下や塵埃による端子金具10の通電性能の低下を抑えることができる。
一方、このコネクタ1においては、シールドシェル30の中に入り込んだ水や塵埃が第2シールドシェル部材32の電線収容室32bに入り込み、この電線収容室32bの引出口32cから抜け出てしまうと、その水や塵埃が編組部材35に到達してしまう可能性があり、例えば、その水による編組部材35の耐久性の低下を引き起こしてしまう虞がある。
そこで、このコネクタ1は、電線収容室32bの内周壁と電線Weの第1引出部We1との間の隙間を埋めて、その間での防水と防塵を図るシール部材(以下、「編組側シール部材」という。)45を備えている(図3及び図4)。この編組側シール部材45は、合成ゴム等の弾性部材で成形される。
この編組側シール部材45は、電線We毎に設けたものであってもよく、電線収容室32bの内周壁と複数本の電線Weの第1引出部We1との間の隙間を埋めるものであってもよい。ここで示す編組側シール部材45は、電線収容室32bの内周壁と2本の電線Weの第1引出部We1との間の隙間を埋めるものとして成形されている。
ここで示す編組側シール部材45は、長円形に成形され、かつ、電線We毎の円形の貫通孔45aを有している(図4)。そして、この編組側シール部材45においては、外周面に同軸の環状のリップ(以下、「外周リップ」という。)が形成され、かつ、その貫通孔45aの内周面に同軸の環状のリップ(以下、「内周リップ」という。)が形成されている。この編組側シール部材45は、筒部32aの内周壁に外周リップを密着させ、かつ、電線Weの第1引出部We1の外周面に内周リップを密着させることによって、合わせ面等からシールドシェル30の中に入り込んで電線収容室32bに到達した水や塵埃の引出口32cからの流出を抑止することができる。よって、このコネクタ1においては、合わせ面等からシールドシェル30の中に入り込んできた水による編組部材35の耐久性の低下を抑えることができる。
また、コネクタ1においては、この編組側シール部材45が先に示した第1電線保持具60と端子側シール部材43よりも電線Weの引出方向側に配置されているので、引出部分から伝わってきた電線Weの振動が第1電線保持具60と端子側シール部材43に伝わる前に、この編組側シール部材45で吸収される。よって、このコネクタ1においては、振動の端子金具10への伝播抑止効果を更に高めることができる。
更に、このコネクタ1は、第2シールドシェル部材32の電線収容室32bで電線Weを保持する電線保持具(以下、「第2電線保持具」という。)80を備える(図3、図4、図11及び図12)。この第2電線保持具80は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形される。この第2電線保持具80は、電線We毎に設けたものであってもよく、複数本の電線Weの保持が可能な1つの部品として設けたものであってもよい。ここで示す第2電線保持具80は、複数本(この例示では2本)の電線Weの第1引出部We1の保持が可能な1つの部品として設けられている。また、ここで示す第2電線保持具80は、先に示した第1電線保持具60と同じように、同じ部品として成形された第1電線保持部材81と第2電線保持部材82とが組み付けられたものである(図3、図4、図11及び図12)。但し、ここで示す第2電線保持具80は、先に示した第1電線保持具60に対して次のような共通点と相違点を有している。
第2電線保持具80は、第1電線保持具60の電線挿通部60aと同じ電線挿通部80aを有するものであるが、その電線挿通部60aに設けたリブ60bの如き突起部を電線挿通部80aに有していない(図3、図11及び図12)。第1電線保持部材81と第2電線保持部材82は、第1電線保持具60の第1電線保持部材61及び第2電線保持部材62に各々設けた空間部65と同じ空間部85を有しており(図12)、第1電線保持具60と同じように、それぞれの空間部85を合わせた円柱状の空間部によって電線挿通部80aを形成する。
また、この第2電線保持具80は、第1電線保持部材81と第2電線保持部材82との間に、第1電線保持部材61と第2電線保持部材62との間の第2ロック機構64と同じロック機構84{第1係止体84a、第2係止体84b(第2係止部84b、可撓片部84b)}を有しているが、第1電線保持部材61と第2電線保持部材62との間の第1ロック機構63に相当するものを有していない(図11及び図12)。
ここで、第2電線保持具80は、編組側シール部材45よりも端子金具10側に配置してもよく、編組側シール部材45よりも電線収容室32bの引出口32c側に配置してもよい。この例示では、この第2電線保持具80に関わる下記の突出部80cと係止部(環状部32d)を設けるために、第2電線保持具80を編組側シール部材45よりも電線収容室32bの引出口32c側に配置している(図3)。
この第2電線保持具80は、電線収容室32bの引出口32cよりも外方に突出させ、かつ、電線Weの第2引出部We2を収容させる筒状の突出部80cを有する(図3、図11及び図12)。この突出部80cは、電線We毎に設ける。第1電線保持部材81と第2電線保持部材82は、各々、電線挿通部80aの軸線方向における一方の端面81a,82aから突出させた当該電線挿通部80aと同心の半円弧状の突出部86を有している(図3及び図12)。この第1電線保持部材81と第2電線保持部材82は、それぞれの突出部86を合わせて円筒状の突出部80cを形成する。このコネクタ1においては、この突出部80cによって、電線収容室32bの引出口32cの周縁(環状部32dの内周面)への電線Weの接触を防ぐことができるので、この電線Weの耐久性の低下を抑えることができる。
ここで、第2シールドシェル部材32は、この第2電線保持具80を電線収容室32bの引出口32c側で係止させる係止部を有している。例えば、ここで示す第2シールドシェル部材32においては、環状部32dにおける電線収容室32b側の平面が第1電線保持部材81と第2電線保持部材82のそれぞれの端面81a,82aに対向配置されている。そこで、このコネクタ1においては、その環状部32dを第2電線保持具80用の係止部として利用し、この係止部(環状部32d)によって、第2電線保持具80が電線収容室32bから引出口32c側に抜け出てしまうことを防止できる。そして、このコネクタ1においては、その第2電線保持具80が編組側シール部材45の引出口32c側への動きを係止させるので、編組側シール部材45が電線収容室32bから引出口32c側に抜け出てしまうことも防止できる。
このコネクタ1においては、この第2電線保持具80が先に示した第1電線保持具60と端子側シール部材43と編組側シール部材45よりも電線Weの引出方向側に配置されているので、引出部分から伝わってきた電線Weの振動が第1電線保持具60と端子側シール部材43と編組側シール部材45に伝わる前に、この第2電線保持具80で抑えられる。よって、このコネクタ1においては、振動の端子金具10への伝播抑止効果を更に高めることができる。更に、このコネクタ1においては、この第2電線保持具80が電線収容室32bの中での電線Weの振れを抑え、電線Weの振れに伴う編組側シール部材45の押し潰しを抑止できるので、電線Weと編組側シール部材45との間に隙間ができ難くなっており、編組側シール部材45による防水性能と防塵性能を向上させることができる。
以上示したように、本実施形態のワイヤハーネスWHは、分割構造を採っているシールドシェル30の中に入り込んだ水や塵埃が第2シールドシェル部材32の筒部32a中の電線収容室32bに入り込んだとしても、その電線収容室32bに配置した編組側シール部材45が水等の編組部材35側への流出を抑えることができる。従って、このワイヤハーネスWHは、シールドシェル30の中に入り込んだ水による編組部材35の耐久性の低下を抑えることができる。更に、このワイヤハーネスWHは、第2電線保持具80によって電線収容室32bの中での電線Weの振れを抑えられるので、電線Weと編組側シール部材45との間に隙間ができ難く、編組側シール部材45による防水性能と防塵性能を向上させることができる。
1 コネクタ
10 端子金具
20 ハウジング
20c 収容室
20d 引出口
30 シールドシェル
31 第1シールドシェル部材
32 第2シールドシェル部材
32a 筒部
32b 電線収容室
32c 引出口
32d 環状部(係止部)
35 編組部材
43 端子側シール部材
45 編組側シール部材
70 ゴムブーツ
80 第2電線保持具(電線保持具)
80c 突出部
We 電線
We1 第1引出部
We2 第2引出部
WH ワイヤハーネス

Claims (5)

  1. 電線と、
    前記電線の端末に組み付けられたコネクタと、
    を備え、
    前記コネクタは、
    前記電線の前記端末に対して直接的又は間接的に電気接続された端子金具と、
    前記電線及び前記端子金具を内方の収容室に収容させつつ、前記電線を前記収容室の引出口から外方に引き出させる絶縁性のハウジングと、
    前記ハウジングに被せた導電性の第1シールドシェル部材と、
    前記第1シールドシェル部材に対して端部を面接触させた状態で組み付けられ、かつ、その端部よりも前記電線の引出方向側に配置された筒部の内方の電線収容室に、前記電線における前記収容室から引き出された第1引出部を収容させつつ、前記電線を前記電線収容室の引出口から外方に引き出させる導電性の第2シールドシェル部材と、
    網目の筒状に編み上げられ、かつ、前記第2シールドシェル部材の前記筒部に密着状態で被せつつ、前記電線における前記電線収容室から引き出された第2引出部を覆う導電性の編組部材と、
    前記電線収容室の内周壁と前記電線の前記第1引出部との間の隙間を埋める編組側シール部材と、
    を備えることを特徴としたワイヤハーネス。
  2. 前記コネクタは、前記電線収容室で前記編組側シール部材よりも当該電線収容室の前記引出口側に配置され、かつ、前記電線の前記第1引出部を保持する電線保持具を備えることを特徴とした請求項1に記載のワイヤハーネス。
  3. 前記電線保持具は、前記電線収容室の前記引出口よりも外方に突出させ、かつ、前記電線の前記第2引出部を収容させる筒状の突出部を有することを特徴とした請求項2に記載のワイヤハーネス。
  4. 前記第2シールドシェル部材は、前記電線保持具を前記電線収容室の前記引出口側で係止させる係止部を有することを特徴とした請求項2又は3に記載のワイヤハーネス。
  5. 前記コネクタは、
    前記収容室の内周壁と前記電線との間の隙間を埋める端子側シール部材と、
    筒状に形成され、かつ、前記第2シールドシェル部材の前記筒部に密着状態で被せつつ前記編組部材に被せて、前記編組部材を内方に覆い隠すよう収容させるゴムブーツと、
    を備えることを特徴とした請求項1から4の内の何れか1つに記載のワイヤハーネス。
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