以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図5は、本実施の形態による紙幣処理システムの構成を示す図である。本実施の形態による紙幣処理システムは、例えば100枚の同一金種のバラ紙幣から小束紙幣を作成し、その後に10個の同一金種の小束紙幣から大束紙幣を作成するものである。
まず、本実施の形態による紙幣処理システムの全体の構成について図1を用いて説明する。図1に示すように、本実施の形態による紙幣処理システム10は、1または複数(図1に示す例では2つ)の小束紙幣生成装置100と、小束紙幣生成装置100により生成された小束紙幣を金種別に分けて集積する小束紙幣集積装置200と、小束紙幣集積装置200により分けて集積された所定数(例えば、10個)の小束紙幣を結束することにより大束紙幣を生成する大束紙幣生成装置300とを備えている。また、本実施の形態による紙幣処理システム10には、各小束紙幣生成装置100により生成された小束紙幣を小束紙幣集積装置200に搬送するための第1の小束紙幣搬送装置12、および小束紙幣集積装置200により分けて集積された所定数(例えば、10個)の小束紙幣をまとめて大束紙幣生成装置300に搬送するための第2の小束紙幣搬送装置14がそれぞれ設けられている。また、大束紙幣生成装置300の近傍には、この大束紙幣生成装置300により生成された大束紙幣が金種毎に集積される複数の集積台20、22、24が形成されている。また、大束紙幣生成装置300の近傍には、第2の小束紙幣搬送装置14により搬送された所定数の小束紙幣をまとめて大束紙幣生成装置300に搬送したり、大束紙幣生成装置300により生成された大束紙幣を各集積台20、22、24に搬送したりするロボットアーム400が設置されている。このような紙幣処理システムにおける各装置100、200、300の構成の詳細について以下に説明する。
まず、小束紙幣生成装置100の構成の詳細について図2を用いて説明する。図2に示すように、小束紙幣生成装置100は略直方体形状の筐体102を有しており、筐体102の上部には、小束紙幣生成装置100の制御部(図示せず)に様々な指令を与えることができるとともに小束紙幣生成装置100による紙幣の処理状態等を表示するための操作表示部104が設けられている。この操作表示部104は例えばタッチパネル等から構成されている。また、筐体102の内部における小束紙幣生成装置100を側方から見たときの上部左側の箇所には分類集積部110が設けられている。ここで、分類集積部110は、小束紙幣生成装置100に投入されたバラ紙幣を筐体102の内部に1枚ずつ繰り出し、複数(例えば、5つ)の整理一時保留部130a~130e(後述)に例えば金種毎に集積させるようになっている。また、小束紙幣生成装置100の筐体102の内部における整理一時保留部130a~130eの下方には、所定枚数(例えば、100枚)の積層状態に集積された紙幣束を帯封するための帯封部160が設けられている。また、小束紙幣生成装置100の筐体102の内部における整理一時保留部130a~130eおよび帯封部160の奥側(すなわち、図2における右方向)には、積層状態に集積された紙幣束を帯封部160や端数紙幣返却部142(後述)に送るための紙幣束搬送機構150が設けられている。
より詳細に説明すると、図2に示すように、分類集積部110は、バラ紙幣を受け入れる紙幣投入口112と、紙幣投入口112に投入されたバラ紙幣を筐体102の内部に取り込むための繰出ローラ114、116と、筐体102の内部に取り込まれたバラ紙幣のうち偽札や識別不能な紙幣等のリジェクトを行うリジェクト口118と、筐体102の内部に取り込まれたバラ紙幣のうち操作表示部104等により設定された金種等以外の紙幣を集積させるための複数(例えば、2つ)の外部集積部140を有している。
紙幣投入口112は、操作者により1または束状態の複数のバラ紙幣が短手方向に一括して投入されるよう構成されている。また、図2に示すように、紙幣投入口112は搬送部120に接続されており、紙幣投入口112に投入された1または束状態の複数のバラ紙幣は、繰出ローラ114、116により1枚ずつ搬送部120に繰り出されて当該搬送部120により搬送されるようになっている。また、リジェクト口118は搬送部120に接続されており、紙幣投入口112により筐体102の内部に取り込まれたバラ紙幣のうち後述する識別部122によりリジェクトすべき紙幣であると識別された紙幣や、識別部122により識別することができなかった紙幣、すなわちリジェクト紙幣が搬送部120からリジェクト口118に送られるようになっている。また、操作者は、このリジェクト口118に送られた紙幣を筐体102の前面側から取り出すことができるようになっている。
搬送部120は、小束紙幣生成装置100の内部でバラ紙幣を1枚ずつ順次搬送する機能を有している。具体的には、搬送部120において、バラ紙幣は一対のベルト間に挟まれて搬送路に沿って搬送されるようになっている。また、図2に示すように、搬送部120に設けられた搬送路は様々な箇所で分岐するようになっており、この搬送路が分岐する箇所には分岐爪等の分岐部材が設けられている。また、搬送部120には、当該搬送部120で搬送されるバラ紙幣の識別を行う識別部122が設けられている。この識別部122は、搬送部120で搬送されるバラ紙幣の金種、真偽、正損、表裏、新旧、搬送状態等を識別するようになっている。
また、搬送部120の搬送路における識別部122の下流側には表裏反転部124(ここでは、スイッチバック機構を含む)が設けられており、識別部122により識別されたバラ紙幣は表裏反転部124によりその表裏が整えられるようになっている。具体的には、表裏反転部124に送られたバラ紙幣のうち、裏面が上側となっている紙幣のみの表裏が反転されることにより、この表裏反転部124から出された紙幣は全て表面(おもてめん)が上側となるようになる。また、搬送部120の搬送路における表裏反転部124の更に下流側には上下反転部125(ここでは、スパイラル機構を含む)が設けられており、表裏反転部124を通過したバラ紙幣は上下反転部125によりその短手方向における向きが整えられるようになっている。具体的には、上下反転部125に送られたバラ紙幣のうち、短手方向における向きが逆向きとなっている紙幣のみの上下が反転されることにより、この上下反転部125から出された紙幣は全て短手方向の向きが揃うようになる。
また、小束紙幣生成装置100の内部には、複数(例えば5つ)の整理一時保留部130a~130eが筐体102の上下方向(すなわち、図2における上下方向)において並列に並ぶよう設けられている。ここで、各整理一時保留部130a~130eは、識別部122により金種や新旧等が識別され、表裏反転部124および上下反転部125により表裏および短手方向の向きが整えられたバラ紙幣を一時的に保留するようになっている。また、各整理一時保留部130a~130eはバラ紙幣が金種毎に保留される。具体的には、例えば、2つの整理一時保留部130a、130bにはそれぞれ一万円のバラ紙幣が保留され、2つの整理一時保留部130c、130dには千円のバラ紙幣が保留され、整理一時保留部130eには五千円のバラ紙幣が保留される。
また、上述したように、分類集積部110の上方には2つの外部集積部140(140a、140b)が設けられており、各外部集積部140a、140bは、搬送部120の搬送路おいて各整理一時保留部130a~130eよりも下流側に設けられている。また、各外部集積部140a、140bには、識別部122により正常であると識別された紙幣(すなわち、リジェクト口118に送られなかった紙幣)のうち、各整理一時保留部130a~130eに集積されなかった紙幣が集積されるようになっている。また、操作者は、各外部集積部140a、140bに集積された紙幣を筐体102の前面側から取り出すことができるようになっている。
また、筐体102の内部における各外部集積部140の奥側には端数紙幣返却部142が設けられており、当該端数紙幣返却部142は、トレイ144と、シャッタ146とを有している。また、端数紙幣返却部142には、各整理一時保留部130a~130eに集積された紙幣のうち、所定枚数(例えば、100枚)に至らなかった紙幣(すなわち、端数紙幣)が積層状態のまま紙幣束搬送機構150により搬送されるようになっている。端数紙幣返却部142は、小束紙幣生成装置100の待機状態において、図2における実線で示す待機位置に待機するようになっている。また、トレイ144が待機位置に待機しているときには、シャッタ146は閉じられており、筐体102の外部からトレイ144にアクセスすることができないようになっている。一方で、端数紙幣が紙幣束搬送機構150により各整理一時保留部130a~130eから端数紙幣返却部142に搬送され、トレイ144上に載置されると、当該トレイ144は図2における二点鎖線で示す進出位置に進出するようになっている。この際に、トレイ144が筐体102の手前側(すなわち、図2における左方向)にスライドするとシャッタ146が開く。このことにより、操作者はトレイ144にアクセスすることができるようになり、よって端数紙幣返却部142に送られた紙幣を容易に取り出すことが可能となる。
紙幣束搬送機構150は、筐体102の上下方向(すなわち、図2における上下方向)に沿って延びるガイド部152と、当該ガイド部152に設けられており、紙幣を挟持するための挟持部154とを有している。また、挟持部154は駆動モータ(図示せず)によりガイド部152に沿って案内されるようになっている。挟持部154は、その間に積層状態の紙幣束を挟持するための上部アーム156および下部アーム158を有しており、これらの上部アーム156および下部アーム158の間に紙幣束が挟持されるようになっている。また、挟持部154に紙幣束が挟持された状態において、当該挟持部154がガイド部152の延びる方向に沿って案内されることにより、紙幣束搬送機構150による紙幣束の搬送が行われるようになっている。また、挟持部154は、図示しない駆動機構により図2における左右方向に移動可能となっている。具体的には、各整理一時保留部130a~130eに積層状態で集積された紙幣束を挟持するとき、あるいは挟持部154により挟持した紙幣束を他の構成部材(具体的には、端数紙幣返却部142または帯封部160)に受け渡すとき等に図2における左右方向に移動するようになっている。このことにより、紙幣束搬送機構150による紙幣束の取り出しや、紙幣束の受け渡し等を行うことができるようになる。
帯封部160は、所定枚数(例えば、100枚)の同一金種のバラ紙幣を帯状の帯封紙により巻くことにより、紙幣束の帯封を行うために設けられている。具体的には、帯封部160の下部には帯封紙供給部162が設けられており、この帯封紙供給部162から帯封紙が帯封部160に送られることによって、帯封部160において例えば100枚の紙幣束が帯封紙により帯封されるようになっている。このことにより小束紙幣が作成される。また、帯封部160には、例えば無端状の搬送ベルト等からなる小束紙幣搬送部164が接続されており、帯封部160により帯封された紙幣(すなわち、小束紙幣)は小束紙幣搬送部164により搬送され、帯封紙幣投出部166により筐体102の外部に1つずつ投出されるようになっている。
第1の小束紙幣搬送装置12はベルトコンベア等から構成されており、小束紙幣生成装置100において帯封紙幣投出部166により筐体102の外部に投出された小束紙幣を1つずつ小束紙幣集積装置200に搬送するようになっている。
小束紙幣集積装置200の構成の詳細について図3および図4を用いて説明する。小束紙幣集積装置200は、小束紙幣を1つずつ把持して搬送する小束紙幣搬送部210と、小束紙幣におけるバラ紙幣の枚数の計数および各バラ紙幣の金種の判定を行う判定部220と、判定部220により判定が行われた小束紙幣の表面の画像を撮像する撮像部230とを有している。また、小束紙幣集積装置200には、所定数(例えば、10個)の小束紙幣が収容される収容ボックス260が載置される収容ボックス載置部250が設けられている。本実施の形態では、小束紙幣の複数の金種に対応するよう、収容ボックス載置部250が金種毎に複数設けられている。また、所定数(例えば、10個)の小束紙幣が収容された収容ボックス260を収容ボックス載置部250から大束紙幣生成装置300に搬送するための第1の搬送コンベア240および第2の搬送コンベア242が設けられている。これらの第1の搬送コンベア240および第2の搬送コンベア242を組み合わせることにより、小束紙幣集積装置200により分けて集積された所定数(例えば、10個)の小束紙幣をまとめて大束紙幣生成装置300に搬送するための第2の小束紙幣搬送装置14(図1参照)が構成されている。
小束紙幣搬送部210は、小束紙幣を把持する複数の把持部214と、各把持部214を案内するためのガイド部212と、ガイド部212に沿って各把持部214を移動させるアーム部とを有している。なお、図3では他の構成部材を見やすくするためにアーム部の図示を省略している。第1の小束紙幣搬送装置12により小束紙幣集積装置200に送られた小束紙幣は、把持部214により1つずつ把持された後、ガイド部212に沿ってまず判定部220に送られる。そして、判定部220において小束紙幣におけるバラ紙幣の枚数の計数および各バラ紙幣の金種の判定が行われた後、正常であると判定された小束紙幣は把持部214によって撮像部230に送られ、この撮像部230により小束紙幣の表面の画像が撮像される。その後、撮像部230により撮像された小束紙幣は、把持部214により、各収容ボックス載置部250に載置されている収容ボックス260に送られてこ収容ボックス260に収容される。この際に、小束紙幣は、判定部220により判定された各バラ紙幣の金種、または撮像部230により撮像された小束紙幣の表面の画像に基づいて判定される金種に対応する収容ボックス260に収容される。このようにして、判定部220により正常であると判定された小束紙幣が金種毎に収容ボックス260に収容される。また、この際に、収容ボックス260に複数の小束紙幣がそれぞれ立った状態で互いに隣り合うよう収容されるようになる。そして、収容ボックス260に所定数(例えば、10個)の小束紙幣が収容されると、この収容ボックス260は収容ボックス載置部250から第2の搬送コンベア242に送られ、さらに第2の搬送コンベア242から第1の搬送コンベア240に送られる。そして、第1の搬送コンベア240により収容ボックス260は大束紙幣生成装置300に搬送されるようになる。
判定部220の構成の詳細について図4を用いて説明する。図4に示すように、判定部220は、把持部214により第1の小束紙幣搬送装置12から判定部220に搬送された小束紙幣がセットされるホルダ221と、ホルダ221を案内するガイド222と、ホルダ221にセットされた小束紙幣を押さえる押さえ棒223と、軸224aを中心として図4における反時計回りの方向に回転する回転盤224と、回転盤224上にそれぞれ設けられ、ホルダ221にセットされた小束紙幣における各バラ紙幣を1枚ずつ吸引する複数の吸引部225とを有している。そして、ホルダ221にセットされた小束紙幣における各バラ紙幣を各吸引部225により吸引させながら軸224aを中心として回転盤224を回転させることにより小束紙幣におけるバラ紙幣が1枚ずつめくれるようになっている。なお、図4において、ホルダ221にセットされた小束紙幣におけるバラ紙幣を参照符合Pで示し、小束紙幣におけるバラ紙幣を帯封する帯封紙を参照符合Wで示している。
より詳細に説明すると、把持部214によりホルダ221に小束紙幣がセットされると、回転盤224が軸224aを中心として図4における反時計回りの方向に回転し始めるとともに、ホルダ221がガイド222に沿って図4において矢印で示す方向に移動し始める。そして、図4において参照符合Aで示すような計測開始位置にホルダ221が達すると、このホルダ221は停止する。このときに、ホルダ221にセットされた小束紙幣における最も外側のバラ紙幣の一部が吸引部225に接触するようバネ等により付勢される。なお、押さえ棒223は、小束紙幣におけるバラ紙幣を1枚ずつめくり取ることを容易にするために設けられている。そして、各吸引部225が回転盤224に対してそれぞれ時計回りの方向に回転しながら、回転盤224が軸224aを中心として反時計回りの方向に回転することにより、各吸引部225に吸引されたバラ紙幣が1枚ずつめくれて参照符合Aで示すような計測開始位置から参照符合Bで示すような計測終了位置に移動する。
また、判定部220は、LED発光器等の発光器226aおよびCCDカメラ等の受光器226bを有しており、ホルダ221にセットされた小束紙幣における最も外側のバラ紙幣が吸引部225に接触して吸引口を塞いだときに、発光器226aから照射光線がこのバラ紙幣における参照符合Qと参照符合Rとの間の領域に向けて照射され、バラ紙幣からの反射光線が受光器226bによって受光されるようになっている。このことにより、受光器226bにより取得される画像に基づいて、ホルダ221にセットされた小束紙幣における最も外側のバラ紙幣の金種を識別することができるようになる。このように、ホルダ221にセットされた小束紙幣におけるバラ紙幣を1枚ずつめくりながら、発光器226aおよび受光器226bによって各バラ紙幣における参照符合Qと参照符合Rとの間の領域の画像を取得することにより、小束紙幣におけるバラ紙幣の枚数の計数および各バラ紙幣の金種の判定を行うことができるようになる。
また、図4に示すように、ホルダ221にセットされた小束紙幣における最も外側のバラ紙幣を押さえるストッパ227が設けられており、このストッパ227は軸227aを中心として揺動可能となっている。また、ストッパ227にはバネ227cが接続されているとともに、このストッパ227の基端部にはソレノイド227bが配置されている。ホルダ221にセットされた小束紙幣におけるバラ紙幣を1枚ずつめくるときには、バネ227cの収縮力によってストッパ227は図4において二点鎖線で示すような退避位置に位置する。一方、ホルダ221にセットされた小束紙幣におけるバラ紙幣を1枚ずつめくる動作の途中でバラ紙幣の異常が検出された場合には、未吸引のバラ紙幣がめくれてしまうことを防止するために、ソレノイド227bが作動されてストッパ227が軸227aを中心として回転することによりストッパ227が図4において実線で示すような押さえ位置に移動する。このことにより、ホルダ221にセットされた小束紙幣における最も外側のバラ紙幣がストッパ227により押さえられるため、未吸引のバラ紙幣がめくれてしまうことを防止することができるようになる。
また、図3に示すように、小束紙幣集積装置200において、判定部220の近傍には回収用搬送コンベア270が設けられており、判定部220により正常な小束紙幣でないと判定された小束紙幣は把持部214により回収用搬送コンベア270上に送られるようになっている。具体的には、判定部220により計数された小束紙幣におけるバラ紙幣の枚数が所定の枚数(例えば、100枚)以外であったり、小束紙幣において異なる金種のバラ紙幣が混入していたり、撮像部230により金種違いや方向間違いが検出されたり、紙幣の角折れや帯封異常が検出されたり、帯封紙への押印異常が検出されたりした場合には、このような小束紙幣は正常な小束紙幣ではないと判定部220により判定される。また、回収用搬送コンベア270の下流側端部の近傍には回収ボックス272が設けられており、回収用搬送コンベア270上に送られた小束紙幣は回収用搬送コンベア270により回収ボックス272に送られてこの回収ボックス272に収納されるようになる。このことにより、判定部220により正常な小束紙幣でないと判定された小束紙幣を回収ボックス272ごと回収することができるようになる。
また、本実施の形態では、上述したように、小束紙幣生成装置100は、所定の向きの小束紙幣を生成するようになっているが、小束紙幣集積装置200は、小束紙幣生成装置100により生成された小束紙幣を向きを変えずに金種別に分けて集積するようになっている。具体的には、小束紙幣生成装置100において、表裏反転部124および上下反転部125がそれぞれ搬送部120に設けられていることにより、各整理一時保留部130a~130eには、識別部122により金種や新旧等が識別され、表裏反転部124および上下反転部125により表裏および短手方向の向きが整えられたバラ紙幣が集積される。このため、帯封部160により帯封され、帯封紙幣投出部166により筐体102の外部に投出される小束紙幣も、表裏および短手方向の向きが整えられたものとなり、このような表裏および短手方向の向きが整えられた状態で小束紙幣は第1の小束紙幣搬送装置12により小束紙幣生成装置100から小束紙幣集積装置200に搬送される。そして、小束紙幣集積装置200では、第1の小束紙幣搬送装置12により小束紙幣生成装置100から搬送された小束紙幣を、向きを変えずに金種別に分けて収容ボックス260に集積する。このことにより、収容ボックス260に収容された複数の小束紙幣は、表裏および短手方向の向きが揃ったものとなる。
また、本実施の形態では、判定部220により取得された各バラ紙幣の画像、または撮像部230により撮像された小束紙幣の表面の画像に基づいて、小束紙幣生成装置100により生成された小束紙幣の向きや帯封状態等が検知されるようになっている。ここで、判定部220または撮像部230は、小束紙幣生成装置100により生成された小束紙幣の向きや帯封状態等を検知する状態検知部として機能するようになる。そして、判定部220または撮像部230からなる状態検知部による検知情報に基づいて、所定の向きではないと判定された小束紙幣や正常な状態ではないと判定された小束紙幣は、把持部214により回収用搬送コンベア270上に送られ、この小束紙幣は回収用搬送コンベア270により回収ボックス272に送られてこの回収ボックス272に収納されるようになる。このことにより、所定の向きでないと判定された小束紙幣や正常な状態ではないと判定された小束紙幣を回収ボックス272ごと回収することができるようになる。
次に、大束紙幣生成装置300およびロボットアーム400の構成について図5を用いて説明する。大束紙幣生成装置300は、所定数(例えば、10個)の同じ金種の小束紙幣を結束することにより大束紙幣を生成する大束紙幣生成部310を有している。具体的には、大束紙幣生成部310は、所定数の小束紙幣に帯封紙を当該小束紙幣の長手方向および短手方向にそれぞれ巻くことによりこの所定数の小束紙幣を結束するようになっている。また、ロボットアーム400はアーム部410を有している。アーム部410は、第1の搬送コンベア240によりロボットアーム400の近傍に搬送された収容ボックス260から所定数の小束紙幣をまとめて把持することにより取り出し、大束紙幣生成部310に搬送するようになっている。また、アーム部410は、大束紙幣生成部310により作成された大束紙幣を各集積台20、22、24に金種毎に搬送し、これらの集積台20、22、24に載置されている収容ボックス320に収容するようになっている。
このような構成からなる本実施の形態の紙幣処理システム10によれば、小束紙幣生成装置100(小束紙幣生成手段)により生成された様々な金種の小束紙幣を小束紙幣集積装置200(小束紙幣集積手段)により金種別に分けて集積し、小束紙幣集積装置200により金種別に分けて集積された所定数の小束紙幣を大束紙幣生成装置300(大束紙幣生成手段)によって結束することにより大束紙幣を生成することにより、バラ紙幣から大束紙幣を金種別に自動で作成することができる。とりわけ、小束紙幣集積装置200により小束紙幣を金種別に分けて集積するため、大束紙幣を作成するために小束紙幣を手作業により金種別に分ける作業を省略することができ、よって作業者にとっての負担を軽減することができる。
また、本実施の形態の紙幣処理システム10においては、上述したように、小束紙幣集積装置200は、小束紙幣生成装置100により生成された小束紙幣におけるバラ紙幣の枚数の計数および各バラ紙幣の金種の判定を行うことにより小束紙幣が正常であるか否かを判定する判定部220や小束紙幣の向きを確認する撮像部230を有しており、小束紙幣集積装置200において、判定部220および撮像部230により正常であると判定された小束紙幣が金種別に分けて集積されるようになっている。この場合には、正常であると判定された小束紙幣のみが金種別に分けて集積された後、小束紙幣から大束紙幣が生成されるため、最終的に生成される大束紙幣も正常なものとなる。また、小束紙幣集積装置200において、判定部220あるいは撮像部230により正常ではないと判定された小束紙幣を回収する回収部(具体的には、回収用搬送コンベア270および回収ボックス272)が設けられている。この場合には、正常ではないと判定された小束紙幣が回収部により回収されるため、正常ではない小束紙幣を正常な小束紙幣と分けて管理することができるようになる。このことにより、小束紙幣生成装置100から小束紙幣集積装置200に搬送された小束紙幣が判定部220あるいは撮像部230により正常ではないと判定されても、この小束紙幣を回収部によって回収することにより、小束紙幣集積装置200を停止させることなく次の小束紙幣の処理を行うことができるようになる。
また、本実施の形態の紙幣処理システム10においては、上述したように、小束紙幣生成装置100により生成された小束紙幣を小束紙幣集積装置200に搬送する第1の小束紙幣搬送装置12(搬送手段)が設けられており、この第1の小束紙幣搬送装置12は、一回の取引において複数の金種の小束紙幣を小束紙幣生成装置100から小束紙幣集積装置200に搬送するようになっている。このように、一回の取引において複数の金種の小束紙幣が小束紙幣集積装置200に搬送されても、小束紙幣集積装置200において小束紙幣を金種毎に分けて集積することができるため、大束紙幣を作成するために小束紙幣を手作業により金種別に分ける作業を省略することができる。また、本実施の形態では、第1の小束紙幣搬送装置12はコンベアを含んでおり、コンベアにより小束紙幣が1束ずつ小束紙幣生成装置100から小束紙幣集積装置200に搬送されるようになっている。
また、本実施の形態の紙幣処理システム10においては、上述したように、小束紙幣集積装置200は、複数の金種に対応する複数の収容ボックス260(金種毎集積部)を有しており、小束紙幣集積装置200において金種別に分けて集積された小束紙幣は各収容ボックス260に収容された後、収容ボックス260が小束紙幣集積装置200から大束紙幣生成装置300に搬送されるようになっている。この場合には、小束紙幣集積装置200において複数の収容ボックス260に小束紙幣が金種毎に収容されるため、小束紙幣集積装置200により小束紙幣を確実に金種別に分けて集積することができる。なお、小束紙幣集積装置200において小束紙幣が金種別に分けて集積される金種毎集積部は収容ボックス260のようなボックス形状のものに限定されることはない。金種毎集積部として、他の形状のもの(例えば、皿状のもの)が用いられてもよい。
なお、本発明による紙幣処理システムは、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、本発明による紙幣処理システムの他の実施の形態として、図6乃至図8に示すような構成の紙幣処理システム30が用いられてもよい。図6乃至図8に示す紙幣処理システム30では、小束紙幣生成装置100により生成された小束紙幣を小束紙幣集積装置200に搬送するにあたり、第1の小束紙幣搬送装置12により搬送される小束紙幣を収容ボックス510に金種混合状態で収容した後、この収容ボックス510を小束紙幣集積装置200に搬送するようになっている。このような紙幣処理システム30の構成の詳細について以下に説明する。なお、以下の紙幣処理システム30の説明において、上述した図1乃至図5に示す紙幣処理システム10と同じ構成部材については同じ参照符合を付けてその説明を省略する。
図6乃至図8に示す紙幣処理システム30では、小束紙幣生成装置100と小束紙幣集積装置200との間に、小束紙幣生成装置100において帯封紙幣投出部166により筐体102の外部に投出された小束紙幣を立った状態で搬送するコンベア等の第1の小束紙幣搬送装置12と、第1の小束紙幣搬送装置12により搬送される小束紙幣を収容ボックス510に収容する収容装置500と、収容装置500により小束紙幣が収容された収容ボックス510を小束紙幣集積装置200に搬送する第1の収容ボックス搬送装置32と、空の収容ボックス510を小束紙幣集積装置200から収容装置500に搬送する第2の収容ボックス搬送装置34とがそれぞれ設けられている。
図7および図8に示すように、収容装置500は、収容ボックス510を傾斜させることができる傾斜機構520と、傾斜機構520から送られた収容ボックス510を搬送する搬送部530と、搬送部530から送られた収容ボックス510を昇降させる昇降機構540とを有している。収容ボックス510は水平状態で傾斜機構520に搬送されるようになっており、収容ボックス510が傾斜機構520に搬送されるとこの収容ボックス510は傾斜機構520によって図8に示すように傾斜させられる。また、図8における収容ボックス510の手前側の側壁が倒されて開放状態となる。このような状態で第1の小束紙幣搬送装置12から小束紙幣が収容ボックス510に搬送されると、収容ボックス510に収容された小束紙幣は図8における奥方向に押し込まれ、この際に収容ボックス510が傾斜していることにより小束紙幣が斜め下方に片寄せられる。このように、小束紙幣搬送装置12から収容ボックス510に小束紙幣が順次搬送されると、図8における収容ボックス510の奥方向への小束紙幣の押し込みおよび斜め下方への片寄せが繰り返される。また、収容ボックス510には小束紙幣が金種混合状態で収容される。そして、所定の数の小束紙幣が収容ボックス510に収容されると、小束紙幣搬送装置12から収容ボックス510への小束紙幣の送り込みが停止される。具体的には、傾斜機構520に設けられているニアフル検知センサ(図示せず)により収容ボックス510に収容されている小束紙幣がニアフル状態となったことが検知されたり、小束紙幣生成装置100において小束紙幣の生成が終了したタイミングで、小束紙幣搬送装置12から収容ボックス510への小束紙幣の送り込みが停止される。その後、図8における収容ボックス510の手前側の側壁が立てられ、傾斜機構520により収容ボックス510は水平状態に戻される。そして、収容ボックス510は傾斜機構520から搬送部530に送られ、当該搬送部530により昇降機構540に搬送される。そして、図7に示すように、昇降機構540において収容ボックス510が持ち上げられた後、この収容ボックス510は昇降機構540から第1の収容ボックス搬送装置32に送られる。
図7に示すように、第1の収容ボックス搬送装置32および第2の収容ボックス搬送装置34は上下に並ぶよう配置されている。また、小束紙幣集積装置200の近傍には、第1の収容ボックス搬送装置32により小束紙幣集積装置200に送られた収容ボックス510を昇降させる昇降機構36が設けられている。そして、第1の収容ボックス搬送装置32により収容ボックス510が小束紙幣集積装置200に搬送されると、昇降機構36により収容ボックス510が上昇させられた後、小束紙幣搬送部210の把持部214により収容ボックス510から小束紙幣が1つずつ取り出され、この取り出された小束紙幣はガイド部212に沿って判定部220に送られる。また、小束紙幣搬送部210の把持部214により収容ボックス510から小束紙幣が全て取り出され、この収容ボックス510が空状態になると、昇降機構36により収容ボックス510が下降させられる。その後、収容ボックス510は第2の収容ボックス搬送装置34により収容装置500に戻される。収容装置500に戻された空状態の収容ボックス510は水平状態で傾斜機構520に送られる。そして、傾斜機構520により収容ボックス510は図8に示すように傾斜させられた後、図8における収容ボックス510の手前側の側壁が倒されて開放状態となる。このことにより、空状態の収容ボックス510に第1の小束紙幣搬送装置12から小束紙幣を1つずつ搬送することができるようになる。
図6乃至図8に示す紙幣処理システム30でも、小束紙幣生成装置100(小束紙幣生成手段)により生成された様々な金種の小束紙幣を収容ボックス510(収容部)に金種混合状態で収容した後にこの収容ボックス510を小束紙幣集積装置200に搬送する。そして、小束紙幣集積装置200(小束紙幣集積手段)により小束紙幣を金種別に分けて集積し、小束紙幣集積装置200により金種別に分けて集積された所定数の小束紙幣を大束紙幣生成装置300(大束紙幣生成手段)によって結束することにより大束紙幣を生成することにより、バラ紙幣から大束紙幣を金種別に自動で作成することができる。とりわけ、小束紙幣集積装置200により小束紙幣を金種別に分けて集積するため、大束紙幣を作成するために小束紙幣を手作業により金種別に分ける作業を省略することができ、よって作業者にとっての負担を軽減することができる。
なお、収容装置500において小束紙幣生成装置100(小束紙幣生成手段)により生成された様々な金種の小束紙幣が金種混合状態で収容される収容部は収容ボックス510のようなボックス形状のものに限定されることはない。収容部として、他の形状のもの(例えば、皿状のもの)が用いられてもよい。
また、本発明による紙幣処理システムの更に他の実施の形態として、図9に示すような構成の紙幣処理システム40が用いられてもよい。図9に示す紙幣処理システム40では、図1に示す紙幣処理システム10と比較して、小束紙幣集積装置200が設けられておらず、代わりに、小束紙幣計数装置600、小束紙幣撮像装置700、小束紙幣振分装置800がそれぞれ設けられている。また、図9に示す紙幣処理システム40では、小束紙幣生成装置100において搬送部120の搬送路に表裏反転部124(ここでは、スイッチバック機構を含む)は設置されているが上下反転部125(例えば、スパイラル機構を含む)は設置されていない。すなわち、小束紙幣生成装置100では、識別部122により識別されたバラ紙幣について表裏反転部124によりその表裏を整えることができるが、小束紙幣の短手方向における向きを揃えることはできない。このため、小束紙幣生成装置100からは、その短手方向における上下の向きが揃っていない状態の小束紙幣が投出されるようになる。
図9に示す紙幣処理システム40では、各小束紙幣生成装置100から投出された小束紙幣を立った状態で1つずつ小束紙幣振分装置800に搬送するコンベア等の小束紙幣搬送装置42が設けられている。また、小束紙幣搬送装置42には、小束紙幣におけるバラ紙幣の枚数を計数する複数(例えば、3つ)の小束紙幣計数装置600と、小束紙幣における表面の画像を撮像する小束紙幣撮像装置700とがそれぞれ設けられている。小束紙幣撮像装置700により撮像された小束紙幣の表面の画像に基づいて、小束紙幣の最上位紙幣および最下位紙幣について金種および短手方向における上下の向きが判定される。
各小束紙幣計数装置600には小束紙幣搬送部610が設けられている。各小束紙幣搬送部610は、小束紙幣搬送装置42により搬送される小束紙幣を把持して持ち上げた後、小束紙幣計数装置600に搬送する。そして、小束紙幣計数装置600は、小束紙幣搬送部610により小束紙幣搬送装置42から送られた小束紙幣におけるバラ紙幣の計数を行う。小束紙幣計数装置600により計数が行われた小束紙幣は小束紙幣搬送部610により持ち上げられた後、小束紙幣搬送装置42に戻される。ここで、小束紙幣計数装置600が複数設けられていることにより、各小束紙幣計数装置600により小束紙幣の計数を並行して行うことができる。また、小束紙幣計数装置600による小束紙幣の計数時に異常が発生した場合には、この小束紙幣は小束紙幣搬送部610により図示しない回収ボックスに送られ、この回収ボックスに収容される。このことにより、計数時に異常が発生した小束紙幣を回収することができるようになる。
小束紙幣振分装置800は、小束紙幣撮像装置700により撮像された小束紙幣の表面の画像に基づいて判定された小束紙幣の最上位紙幣および最下位紙幣について金種および短手方向における上下の向きに基づいて、小束紙幣を複数(具体的には、9つ)のレーン50a~50c、52a~52c、54a~54cに振り分けるようになっている。具体的には、小束紙幣振分装置800とロボットアーム400との間には、一万円小束紙幣搬送部50、五千円小束紙幣搬送部52および千円小束紙幣搬送部54が並列で配置されている。また、一万円小束紙幣搬送部50には、第1のレーン50a、第2のレーン50bおよび第3のレーン50cからなる3つのレーン50a~50cが並列に設けられており、小束紙幣振分装置800により振り分けられた一万円の小束紙幣は立った状態で各レーン50a~50cにより小束紙幣振分装置800に搬送されるようになっている。また、五千円小束紙幣搬送部52や千円小束紙幣搬送部54にも、それぞれ、第1のレーン52a、54a、第2のレーン52b、54bおよび第3のレーン52c、54cからなる3つのレーン52a~52c、54a~54cが並列に設けられている。そして、小束紙幣振分装置800により振り分けられた五千円や千円の小束紙幣はそれぞれ立った状態で各レーン52a~52cや各レーン54a~54cにより小束紙幣振分装置800に搬送されるようになっている。このように、各レーン50a~50c、52a~52c、54a~54cにはそれぞれ複数の小束紙幣が集積されるようになっている。
ここで、本実施の形態による紙幣処理システム40では、大束紙幣生成装置300により生成される大束紙幣は、その表面(おもて面)および裏面の2枚の紙幣の表裏および短手方向における上下方向の向きが揃っていればよく、その他の998枚の紙幣の表裏や短手方向における上下の向きは揃っていなくてもよい。言い換えると、大束紙幣を構成する10個の小束紙幣のうち1束目の小束紙幣の表面(おもて面)側の紙幣が表側を向いており、かつ短手方向における上下の向きが所定の向きとなることが必要とされる。さらに、大束紙幣を構成する10個の小束紙幣のうち10束目の小束紙幣の裏面側の紙幣が裏側を向いており、かつ短手方向における上下の向きが所定の向きとなることが必要とされる。このため、各小束紙幣搬送部50、52、54を構成する3つのレーン50a~50c、52a~52c、54a~54cのうち、第1のレーン50a、52a、54aは、大束紙幣を構成する10個の小束紙幣のうち1束目の小束紙幣を搬送するために用いられ、第2のレーン50b、52b、54bは、大束紙幣を構成する10個の小束紙幣のうち2束目~9束目の小束紙幣を搬送するために用いられ、第3のレーン50c、52c、54cは、大束紙幣を構成する10個の小束紙幣のうち10束目の小束紙幣を搬送するために用いられる。そして、第1のレーン50a、52a、54aには、小束紙幣撮像装置700により撮像された小束紙幣の表面の画像に基づいて、最上位紙幣が表側を向くとともに短手方向における向きが所定の向きの小束紙幣のみが小束紙幣振分装置800により振り分けられる。一方、第3のレーン50c、52c、54cには、小束紙幣撮像装置700により撮像された小束紙幣の表面の画像に基づいて、最下位紙幣が表側(露出するのは裏面)を向くとともに短手方向における向きが所定の向きの小束紙幣のみが小束紙幣振分装置800により振り分けられる。更に、第2のレーン50b、52b、54bには、短手方向における向きが所定の向きとなっている小束紙幣および所定の向きとなっていない小束紙幣の両方が小束紙幣振分装置800により振り分けられる。
図9に示す紙幣処理システム40では、大束紙幣生成装置300が並列に2つ設置されている。そして、各レーン50a~50c、52a~52c、54a~54cによりロボットアーム400の近傍に搬送された小束紙幣は、ロボットアーム400のアーム部410により大束紙幣生成装置300の大束紙幣生成部310に搬送される。このときに、1束目の小束紙幣は第1のレーン50a、52a、54aから取り出され、2~9束目の小束紙幣は第2のレーン50b、52b、54bから取り出され、10束目の小束紙幣は第3のレーン50c、52c、54cから取り出される。また、大束紙幣生成部310により作成された大束紙幣は、ロボットアーム400のアーム部410により各集積台20、22、24に金種毎に搬送され、これらの集積台20、22、24に載置されている収容ボックス320に収容される。
このように、図9に示す紙幣処理システム40では、小束紙幣撮像装置700、小束紙幣振分装置800、各小束紙幣搬送部50、52、54等を組み合わせることにより、小束紙幣生成装置100(小束紙幣生成手段)により生成された小束紙幣を金種別に分けて集積する小束紙幣集積手段が構成されている。このような紙幣処理システム40でも、小束紙幣生成装置100(小束紙幣生成手段)により生成された様々な金種の小束紙幣を小束紙幣振分装置800(小束紙幣集積手段)により金種別に分けて各レーン50a~50c、52a~52c、54a~54cに集積し、小束紙幣振分装置800により金種別に分けて集積された所定数の小束紙幣を大束紙幣生成装置300(大束紙幣生成手段)によって結束することにより大束紙幣を生成することにより、バラ紙幣から大束紙幣を金種別に自動で作成することができる。とりわけ、小束紙幣振分装置800により小束紙幣を金種別に分けて集積するため、大束紙幣を作成するために小束紙幣を手作業により金種別に分ける作業を省略することができ、よって作業者にとっての負担を軽減することができる。
なお、図9に示す紙幣処理システム40において、小束紙幣生成装置100が表裏反転部124および上下反転部125の両方を備えていてもよい。この場合には、小束紙幣生成装置100からは、表裏および短手方向における上下の向きが揃った状態で小束紙幣が投出されるようになる。このような紙幣処理システム40では、各小束紙幣搬送部50、52、54においてそれぞれ3つのレーン50a~50c、52a~52c、54a~54cを設ける必要はなく、金種毎に少なくとも1つのレーンがあればよい。すなわち、第1のレーン50a、52a、54aおよび第3のレーン50c、52c、54cの設置をそれぞれ省略することができるようになる。また、各小束紙幣搬送部50、52、54においてそれぞれ3つのレーン50a~50c、52a~52c、54a~54cが設けられている場合には、小束紙幣振分装置800は小束紙幣を金種毎に小束紙幣搬送部50、52、54に振り分ける際に、各レーン50a~50c、52a~52c、54a~54cに均等に集積させるようにしてもよい。
また、本実施の形態の紙幣処理システム10、30、40では、小束紙幣集積装置200により小束紙幣を金種別に分けて集積する際に10個の小束紙幣の向きを全て揃えるようになっているが、本実施の形態はこのような態様に限定されることはない。変形例に係る紙幣処理システムにおいて、小束紙幣集積装置200により小束紙幣を金種別に分けて集積する際に、図10に示すように、5束ずつ小束紙幣の向きを変えるようにして収容ボックス260に収容してもよい。なお、図10において、小束紙幣におけるバラ紙幣を参照符合Pで示し、小束紙幣におけるバラ紙幣を帯封する帯封紙を参照符合Wで示している。この場合には、大束紙幣を構成する10個の小束紙幣の全体の厚みを均一にすることができる。