以下、図面を参照して本開示の装置・システムを実施するための一つの形態について説明する。なお、本開示の内容は、実施を行うための形態の一例を示しているに過ぎず、開示されている数値や、構成に限定されず、当業者であれば想到することができる均等の範囲も含まれるものである。
[1.第1実施形態]
比較例のシステムの睡眠評価方法は、終夜睡眠のデータを複数日(一般的には一週間以上)計測し、計測期間中の睡眠時間、就床時間、就床時刻、起床時刻、睡眠潜時、睡眠効率、中途覚醒、離床回数、呼吸イベント指数、周期性体動指数といったパラメータ(以下、睡眠を評価するパラメータを「睡眠変数」という)の代表値や、平均値を算出して、一定期間の睡眠の質を評価している。
ここで、上述した睡眠変数は、例えば対象者が飲酒をした日や、体調不良の日の場合であっても、大きな変化がない場合がある。このため、例えば対象者が飲酒をした場合であっても、比較例のシステムが対象者の睡眠評価を行うと、比較例のシステムは睡眠効率が高いと評価してしまう場合がある。しかし、実際には、飲酒や体調不良によって、対象者の睡眠の質は、落ちているのは明らかである。
したがって、比較例のシステムが週平均で睡眠の評価を行った場合、実際には「質の落ちている睡眠の日」があった週も、睡眠の質は悪くない、もしくは、かえって睡眠の質が高いと比較例のシステムが評価してしまう問題が生じてしまう。
そこで、以下記載されたシステムでは、睡眠変数以外の生理的指標として、呼吸数、心拍数といった生体情報値を利用することにより、適切に対象者の飲酒の有無や、体調不良(例えば発熱の有無)を判定することもでき、これらの原因による睡眠の質の低下を判定することができる。
なお、本実施形態で「スタッフ等」とは、医療従事者、施設等のスタッフ、家庭等を含む利用者を介助する者をいう。
また、本実施形態で対象者の情報とは、対象者に関する種々の情報をいい、以下の情報を含むものとする。
第1の情報:対象者のバイタル(生体情報)に関する情報。例えば、心拍数、呼吸数といった、リアルタイムに取得し、算出できる生体情報値等の情報をいう。
第2の情報:対象者の睡眠・覚醒に関する情報。例えば、あるタイミング(日時)で、対象者が睡眠状態であったのか、覚醒状態であったのかを示す情報をいう。
第3の情報:睡眠変数というパラメータに関する情報。睡眠変数(睡眠指数)は、例えば、対象者の睡眠時間、就床時間、就床時刻、起床時刻、睡眠潜時、睡眠効率、中途覚醒回数、中途覚醒時間、離床回数、離床時間、呼吸イベント指数、周期性体動指数、活動量、などのパラメータのうち、1又は複数を含む。
第4の情報:対象者の状態として異常の状態を示す情報。異常の状態とは、例えば、本実施形態では、対象者に飲酒があった状態や、対象者が発熱していた状態をいう。
第5の情報:対象者の疾病等に関する情報である。例えば、対象者に不整脈がある、対象者に睡眠時無呼吸症候群がある、対象者に周期性四肢運動障害があるという情報である。第5の情報は、スタッフ等がシステムに入力してもよいし、システムが他のサーバ(例えば,電子カルテサーバ)から取得してもよい。
[1.1 システム全体]
図1は、本開示による判定装置を適用したシステム1の全体概要について説明するための図である。図1に示すように、システム1は、ベッド10の床部と、マットレス20の間に載置される検出装置3と、検出装置3より出力する値を処理するため処理装置5とを備える。システムは、この検出装置3、処理装置5とで対象者の状態や、対象者の睡眠の質を評価する。また、検出装置3及び処理装置5は、1つの評価装置として構成されてもよい。
検出装置3は、マットレス20に、対象者Pが在床すると、対象者Pの生体信号として体振動(人体から発せられる振動)を検出する。そして、処理装置5は、検出装置3が検出した振動に基づいて、対象者Pの生体情報値を算出する。本実施形態において、処理装置5は、算出した生体情報値(少なくとも、呼吸数、心拍数)を、対象者Pの生体情報値として出力・表示することができる。なお、例えば検出装置3に記憶部、表示部等を設けることにより、処理装置5と一体に形成してもよい。また、処理装置5は、汎用的な装置でよいため、コンピュータ等の情報処理装置に限られず、例えばタブレッドやスマートフォン等といった装置でもよい。
また、「対象者」は、病気療養中の者であったり、介護が必要なものであったりしてもよい。また、「対象者」は、介護が必要でない健康な者であっても、高齢者でも子供でも、障害者でも、人でなくても動物でもよい。
ここで、検出装置3は、厚さが薄くなるようにシート状に構成されている。これにより、検出装置3は、ベッド10と、マットレス20の間に載置されたとしても、対象者Pに違和感を覚えさせることなく使用できる。このため、検出装置3は、寝床での生体情報値を長期間測定できることとなる。すなわち、検出装置3は、対象者が臥床時、静止状態、安静時に対象者の生体情報値等を取得する。
なお、検出装置3は、対象者Pの生体信号(呼吸運動や心弾動等)を取得できればよい。本実施形態において、検出装置3は、体振動に基づいて対象者の生体信号を取得しているが、例えばマイクロ波レーダやレーザースペックルセンサを用いて、対象者の体表面の変位に基づいて対象者の生体信号を取得してもよい。
また、検出装置3は、カメラ装置等から取得した映像等を解析することにより対象者の生体信号を取得してもよい。また、検出装置3は、歪みゲージ付きアクチュエータを利用して生体信号を取得してもよい。また、検出装置3は、対象者に装着可能なウェアラブル装置により生体信号を取得してもよい。
また、検出装置3の代わりに、スマートフォンや、タブレットといった情報処理装置を、ベッド装置上に載置することで、スマートフォンやタブレットに内蔵された振動センサや、加速度センサ等を利用して生体信号を取得してもよい。
[1.2 本実施形態の構成]
つづいて、システム1の構成について、図2を用いて説明する。本実施形態におけるシステム1は、検出装置3と、処理装置5とを含む構成となっており、各機能部(処理)は、生体信号取得部110以外についてはどちらで実現されてもよい。すなわち、これらの装置を組み合わせることにより、評価装置として機能する。
システム1は、制御部100と、生体信号取得部120と、記憶部150と、入力部160と、出力部170とを含んでいる。
生体信号取得部120は、対象者の生体信号を取得する。本実施形態では、一例として、生体信号取得部120は、圧力変化を検出するセンサを利用して生体信号の一種である体振動を取得する。そして生体信号取得部120は、取得した体振動を、生体信号(呼吸・心拍)として出力する。
なお、本実施形態における生体信号取得部120は、例えば、圧力センサにより対象者の体振動を取得し、体振動から呼吸や心拍を取得する。生体信号取得部120は、それ以外にも、荷重センサにより、患者の重心位置(体動)の変化により生体信号を取得することとしてもよいし、レーダにより、体表面や寝具の変位に基づいて生体信号を取得することとしてもよいし、マイクロフォンを設けることにより、マイクロフォンが拾う音に基づいて生体信号を取得してもよい。何れかのセンサを用いて、対象者の生体信号を取得できればよい。生体信号取得部120は、体振動データから生体信号を取得する場合は、体動を除いた生体信号(呼吸波形、心拍波形)を取得することができる。
また、生体信号取得部120は、検出装置3のような装置に設けられてもよいし、外部のセンサ装置から生体信号を受信する構成としてもよい。
制御部100は、システム1(評価装置)の動作を制御する。制御部100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の1又は複数の制御装置で構成されている。制御部100は、記憶部150に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種処理を実現する。なお、本実施形態においては、制御部100はシステム全体を制御しているが、検出装置3、処理装置5のそれぞれに設けることもできるものである。
また、制御部100は、記憶部150が記憶しているプログラムを実行することで、生体情報値算出部102、状態取得部104、評価部106、判定部108として機能する。
生体情報値算出部102は、対象者の生体情報値(呼吸数・心拍数等)を算出する。本実施形態では、生体情報値算出部102は、生体信号取得部120が取得した体動から呼吸成分・心拍成分を抽出し、呼吸間隔、心拍間隔に基づいて呼吸数、心拍数を算出する。また、生体情報値算出部102は、体動の周期性を分析(フーリエ変換等)し、ピーク周波数から呼吸数、心拍数を算出してもよい。生体情報値算出部102は、算出した生体情報値を第1の情報として、対象者情報152に記憶する。また、生体情報値算出部102は、呼吸数、心拍数の何れかだけを算出してもよい。
状態取得部104は、対象者の状態を取得する。本実施形態の状態取得部104は、主に対象者の睡眠・覚醒状態を取得したり、例えば電子カルテサーバから、対象者の疾病情報等を取得したりする。
例えば、状態取得部104は、対象者の睡眠・覚醒状態を取得する場合、生体信号取得部120が取得した生体信号に基づいて、対象者の睡眠・覚醒状態を取得する。状態取得部104は、睡眠状態としては「レム睡眠」「ノンレム睡眠」と取得してもよいし、更に眠りの深さを取得してもよい。
対象者の睡眠・覚醒状態を取得する方法としては、種々の方法が利用できるが、例えば、特開2013-45336号公報(発明の名称:睡眠状態評価装置、睡眠状態評価システム及びプログラム、出願日:平成23年8月25日)に記載の方法、特開2015-12948号公報(発明の名称:睡眠評価装置、睡眠評価方法及び睡眠評価プログラム、出願日:平成25年7月4日)に記載の方法を援用できる。この特許出願は援用によりその全体が組み込まれる。また、これ以外の何れかの公知の方法で対象者の睡眠評価を行ってもよい。
状態取得部104は、判定した睡眠・覚醒状態を、第2の情報として対象者情報152に記憶する。また、状態取得部104は、取得した対象者の疾病等に関する情報を、第5の情報として対象者情報152に記憶する。
評価部106は、対象者の睡眠の質を評価する。睡眠の質の評価方法としては、種々の方法が利用できるが、第1の方法としては、生体情報値である心拍数及び呼吸数のうち、少なくとも1つを利用して睡眠の質を評価する。
評価部106は、対象者の状態として、異常がある状態のときは睡眠の質が悪い・低いと評価する。ここで、本実施形態で判定される対象者の状態として、異常がある状態とは「飲酒があった」状態と「発熱があった」状態である。具体的には、評価部106は、後述する図7の処理を実行することで、睡眠の質を評価する。
その他にも、評価部106は、対象者の睡眠の質の評価方法としては、種々の方法が利用できる。例えば、特開2013-45336号公報(発明の名称:睡眠状態評価装置、睡眠状態評価システム及びプログラム、出願日:平成23年8月25日)に記載の評価方法、特開2015-12948号公報(発明の名称:睡眠評価装置、睡眠評価方法及び睡眠評価プログラム、出願日:平成25年7月4日)に記載の評価方法を援用できる。この特許出願は援用によりその全体が組み込まれる。また、評価部106は、これ以外の何れかの公知の方法で対象者の睡眠評価を行ってもよい。
また、評価部106は、評価結果を出力部170から出力してもよい。例えば、評価部106は、睡眠の評価結果を評価レポートとして印刷・表示したり、メールで送信したりする。また、評価部106は、評価結果を他の装置に送信してもよい。また、評価部106は、判定部108で判定された対象者の状態(飲酒があったか、発熱があるか)を出力してもよい。
判定部108は、睡眠の質の評価の原因を判定する。判定部108は、例えば、生体情報値に基づいて、対象者の異常の状態を「飲酒があった」又は「発熱があった」と判定する。また、判定部108は、第3の情報を参照し、就床時刻や、睡眠時間等から対象者の異常の状態を判定する。
記憶部150は、システム1が動作するための各種データ及びプログラムを記憶している。制御部100は、記憶部150に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、各種機能を実現することとなる。記憶部150は、例えば半導体メモリや、磁気ディスク装置等により構成されている。
記憶部150は、対象者情報152と、平均値データ154と、評価データ156とを記憶している。
対象者情報152は、対象者に関する情報が種々記憶されている。対象者に関する情報は、他の装置やサーバから取得してもよいし、制御部100が算出した値でもよい。また対象者に関する情報は、スタッフ等が入力してもよい。
対象者情報152は、上述したように、第1の情報~第5の情報を記憶する。例えば、制御部100は、対象者の睡眠に関する睡眠変数(終夜睡眠のデータを複数日(一般的には一週間以上)計測し、計測期間中の睡眠時間、就床時間、就床時刻、起床時刻、睡眠潜時、睡眠効率、中途覚醒、離床回数、呼吸イベント指数、周期性体動指数等)を第3の情報として記憶する。
また、対象者情報152に記憶される第1の情報(生体情報値の一例)について、図3を参照して説明する。対象者情報152に記憶される第1の情報は、生体情報値が算出された日時(例えば、「2019/06/01 02:30:00」)毎に、生体情報値として心拍数(例えば、「58」)と、呼吸数(例えば、「13」)とを時系列に記憶する。なお、対象者情報152は、所定時間毎の生体情報値を記憶すればよい。したがって、対象者情報152は、生体情報値(心拍数、呼吸数)のみを、所定時間毎に記憶してもよい。
また、対象者情報152が記憶する対象者の情報は、所定時間毎に記憶してもよいし、任意のタイミングで記憶してもよい。例えば、対象者情報152が記憶する生体情報値は、生体情報値算出部102が生体情報値を算出する都度記憶してもよいし、所定時間毎(例えば、10秒毎、1分毎等)に記憶してもよい。
なお、本実施形態では、対象者情報152は、生体情報値として心拍数と呼吸数とを記憶しているが、何れか1つであってもよいし、それ以外の生体情報値(例えば、活動量等)を記憶してもよい。
特に、制御部100は、第5の情報である対象者の疾病に関する情報に応じて、生体情報値を選択して記憶してもよい。例えば、不整脈の病歴がある対象者の場合は、生体情報値として呼吸数を記憶する。また、睡眠時無呼吸症候群の病歴がある対象者の場合は、生体情報値として心拍数を記憶する。
また、対象者情報152が記憶する第2の情報は、対象者の睡眠・覚醒の状態を時系列に記憶したものである。対象者情報152が記憶する第3の情報は、対象者の睡眠評価に用いるパラメータ(睡眠変数)を記憶したものである。対象者情報152が記憶する第4の情報は、判定部108が判定した対象者の状態を記憶したものである。対象者情報152が記憶する第5の情報は、対象者の疾病等に関する情報を記憶したものである。
対象者情報152が記憶する第1の情報~第5の情報は、説明の都合上分けて説明しているが、何れの状態で記憶してもよい。対象者情報152は、第1の情報~第5の情報をそれぞれ異なる領域やファイルに記憶してもよいし、一括で記憶してもよい。また、対象者情報152は、第1の情報~第5の情報は、必要に応じて記憶すればよい。
平均値データ154は、対象者の生体情報値の第1の期間における平均値を記憶している。例えば、図4に示すように、日(例えば、「2019/06/01」)毎に平均値として、平均心拍数(例えば、「60」)と、平均呼吸数(例えば、「13」)とを記憶している。
制御部100が具体的な平均値を算出する方法について、図6を参照して説明する。まず、制御部100(生体情報値算出部102)は、生体情報の測定を開始する条件に一致したら(ステップS52;Yes)、生体情報値を算出する(ステップS54)。また、生体情報値算出部102は、算出した生体情報値を対象者情報152に記憶してもよい。
ここで、生体情報の測定を開始する条件とは、以下のような条件が考えられる。
(1)対象者が在床した時点から
(2)対象者が入眠した時点から
(3)所定時間(例えば、夜9時)から
(4)とくに開始する条件を設けず、終日
そして、生体情報の測定を終了する条件に一致したら(ステップS54;Yes)、制御部100は、生体情報値の平均値を算出する(ステップS58)。また、制御部100は、生体情報値の平均値を平均値データ154に記憶してもよい。
ここで、生体情報の測定を終了する条件とは、以下のような条件が考えられる。
(1)対象者が離床した
(2)対象者が覚醒した
(3)所定時間(例えば、朝8時)
(4)生体情報を測定したから、所定時間経過した
(5)生体信号が取得できなくなった
なお、図6では、一例として生体情報値算出部102が生体情報値を所定期間算出し、制御部100が生体情報値の平均値を算出する例について説明した。この他にも、例えば、生体情報値算出部102は、生体情報値を常時算出し、制御部100は、所定のタイミング毎に生体情報値の平均値を算出してもよい。
上述したように、平均値は、第1の期間に含まれる生体情報値の平均値である。ここで、第1の期間としては、例えば以下のようなものが考えられる。
(1)対象者の就寝時間を第1の期間とする。対象者の就寝時間とは、対象者の入眠から覚醒までの間の時間をいう。
(2)一晩(終夜)を第1の期間とする。ここで、一晩とは、通常対象者が睡眠となる時間帯を含む1日分をいう。例えば、対象者が夜に睡眠をとる場合は、その間(例えば、夜から朝にかけて)を一晩という。なお、対象者が夜勤などで昼に睡眠をとる場合は、その間(例えば、朝から夕方にかけて)を一晩としてもよい。
(3)任意の時間や、予め定められた時間を第1の期間とする。第1の期間として、例えば、1日(24時間)あってもよいし、就寝時刻から起床時刻(例えば、22時~6時)までの時間であってもよい。また、対象者が確実に睡眠している時間帯(例えば、0時~3時)を予め定めてもよい。
(4)対象者が睡眠状態にある所定時間を第1の期間とする。ここで、対象者が睡眠状態にある所定時間とは、1時間以上であればよいが、少なくとも3時間以上であることが好ましい。
ここで、制御部100が平均値を算出する場合、第1の期間に含まれる時間のうち、以下の時間を除外してもよい。
(1)対象者が離床している時間
(2)対象者が覚醒している時間
(3)対象者が体を動かしている時間
(4)ベッド装置の状態が所定の状態(例えば、背上げ角度が閾値以上となっている状態や、ローリング機能を実行している状態)になっている時間
(5)生体信号取得部120が生体信号を取得できなかった時間
入力部160は、測定者が種々の条件を入力したり、測定開始の操作入力をしたりするときに利用される。入力部160は、例えば、ハードウェアキーや、ソフトウェアキーといった何れかの入力手段により実現される。
出力部170は、対象者に関する情報や、スタッフへの指示等、各種情報を出力する。出力部170は、ディスプレイ等の表示装置、プリンタ等の印刷装置、通信を行う通信装置等である。
出力部170は、例えば、対象者の睡眠・覚醒状態や、対象者に対する注意事項、対象者の現在及び/又は過去の心拍数、呼吸数といった生体情報値を出力(表示、印刷、メール送信)等するときに利用される。また、出力部170は、警報等を報知する報知装置(音出力装置)であってもよい。
また、図2はシステム1として概念的に構成を説明したものである。システム1は、例えば1つの振動検出可能な装置で実現されてもよいし、図1のように、検出装置3、処理装置5と分かれて構成されてもよい。また、処理装置5は、同じサービスを提供可能な外部サーバで実現されてもよい。
図2のシステム1を、図1の検出装置3及び処理装置5で実現する場合について、図5を参照して説明する。検出装置3は、制御部300と、センサである生体信号取得部320と、記憶部330と、通信部390とを含んでいる。
また、制御部300は、記憶部330に記憶されたソフトウェア(プログラム)を実行することにより、生体情報値算出部310として機能する。生体情報値算出部310は、生体信号取得部320で取得された生体信号に基づいて、生体情報値を算出する。そして、制御部300は、生体情報値を、生体情報値データ340に記憶したり、通信部390を介して、処理装置5に送信したりする。また、制御部300は、併せて生体信号取得部320で取得された生体信号を、通信部390を介して処理装置5に送信してもよい。
検出装置3が、処理装置5に生体情報値(生体情報)を送信するタイミング、生体情報値データ340に生体情報値(生体情報)を記憶するタイミングは、リアルタイムであってもよいし、所定時間毎であってもよい。
なお、生体信号取得部320は、図2の生体信号取得部120であり、生体情報値算出部310は、図2の生体情報値算出部102である。また、通信部390は、例えば、ネットワーク(例えば、LAN/WAN)に接続可能な通信インタフェースである。
処理装置5は、制御部500と、記憶部530と、入力部540と、出力部550と、通信部590とを含んでいる。処理装置5は、検出装置3から、通信部590を介して生体情報値や、生体信号を受信する。制御部500は、通信部590を介して受信した生体情報値を、対象者情報532に記憶する。
制御部500は、記憶部530に記憶されているソフトウェア(プログラム)を実行することにより、状態取得部502、評価部504、判定部506として機能する。受信された生体情報値や、生体信号に基づいて、状態取得部502は、対象者の状態を取得し、評価部504は、対象者情報に基づいて睡眠の評価を行い、判定部506は、睡眠の質に影響する要因を判定する。
なお、状態取得部502は、図2の状態取得部104である。評価部504は、図2の評価部106である。判定部506は、図2の判定部108である。入力部540は、図2の入力部160である。出力部550は、図2の出力部170である。記憶部530は、図2の記憶部150である。
したがって、記憶部530に記憶される対象者情報532は図2の対象者情報152と、平均値データ534は図2の平均値データ154と、評価データ536は評価データ536と同じものである。
[1.3 処理の流れ]
[1.3.1 第1の処理]
制御部100(評価部106)が実行する第1の処理について図7を参照して説明する。第1の処理は、評価部106が、第1の情報(心拍数、呼吸数)に基づいて睡眠の質を評価する処理である。
まず、評価部106は、第2の期間(評価期間)分の平均値を平均値データ154から取得する(ステップS102)。ここで、第2の期間は、本実施形態では最も好ましい期間である7日間を例に説明する。なお、第2の期間は、好ましくは、3日~4週間程度の連続した期間である。第2の期間は、スタッフ等が設定できてもよい。評価部106は、第2の期間の日数分の平均値を、平均値データ154から読み出す。
評価部106は、第2の期間に含まれる平均値に基づいて、平均値のばらつきを判定する(ステップS104)。ここで、評価部106が、平均値のばらつきを判定するためには、ばらつきを判定できる指標、例えば、分散、標準偏差、変動係数、最大値と最小値の差分等を利用することができる。本実施形態では、一例として、第2の期間に含まれる平均値の標準偏差を算出する。
評価部106は、ステップS104で算出した標準偏差が、対象者に異常の状態があったことを判定する閾値(判定閾値)以上となったか否かを判定する(ステップS106)。ここで、対象者の状態に異常がある状態とは、通常の状態と異なり、対象者の睡眠の質が低下する状態(睡眠の質に影響を及ぼす状態)をいう。
本実施形態において、具体的に対象者の状態に異常がある状態があるとは、睡眠の質に影響を与える状態をいい、本実施形態では一例として「飲酒があった」状態か、「発熱があった」の状態とをいう。なお、「飲酒があった」とは、就寝前に対象者が飲酒をしており、就寝時にアルコールの影響が残っている状態であることをいう。また「発熱があった」とは、就寝前又は睡眠中に発熱があった(平熱以上の体温であった)ことをいう。
すなわち、「飲酒があった」「発熱があった」は、対象者の睡眠の質に影響を与える程度のものをいう。例えば、対象者が「飲酒があった」状態は、対象者の睡眠の質が悪くなる程度の飲酒をいうため、飲酒量が少ないため、睡眠の質に影響を及ぼさない程度の状態は含まれないものとする。また、対象者が「発熱があった」状態も、対象者によっては平熱より僅かに高かったり、微熱程度であったりするため、対象者の睡眠の質に影響を及ぼさない程度の状態は含まれないものとする。
また、評価部106が、ステップS106において利用する対象者を異常の状態と判定する閾値(判定閾値)は、以下のものがある。
(1)標準偏差に基づき予め定められた所定の閾値。好ましくは、呼吸数に基づく標準偏差の閾値は「0.2~3.0」程度であり、心拍数に基づく標準偏差の閾値は「2.0~8.0」程度である。一例として、呼吸数に基づく標準偏差の閾値は「0.4」、心拍数に基づく標準偏差の閾値は「4.0」と、予め定めておく。
(2)対象者の個々の平均値から算出された標準偏差。対象者の生体情報値の変動から対象者の傾向を算出し、適切は閾値を算出する。また、閾値は、対象者の標準偏差値の2倍(プラス2倍)としてもよい。
なお、評価部106は、閾値を決定するのに(1)と(2)とを組み合わせてもよい。例えば、評価部106は、基本は予め定められた閾値を利用しつつ、対象者に応じて閾値の補正を行ってもよい。
つづいて、評価部106は、標準偏差が閾値以上となっている場合には(ステップS106;Yes)、対象者の状態に異常があることを判定する(ステップS108)。本実施形態では、対象者が飲酒した又は対象者に発熱があったと判定する。
そして、評価部106は、対象者の状態に異常の状態があることを、第4の情報として、対象者情報152に記憶してもよい。
そして、評価部106は、対象者の睡眠の質を評価する(ステップS110)。評価部106は、第2の期間(評価期間)における対象者の状態に、異常の状態があった場合には、睡眠の質を下げる要因があったとし、睡眠の質が低い(悪い)と評価する。
図8は、従来技術と、上述した実施形態とを対比して説明するための図である。図8(a)は、終夜呼吸数の平均値をプロットしたグラフであり、図8(b)は、終夜心拍数の平均値をプロットしたグラフである。なお、終夜呼吸数の平均値は、就床から起床までの一晩の呼吸数の平均値である。また、終夜心拍数の平均値は、就床から起床までの一晩の呼吸数の平均値である。
ここで、プロットしたグラフにおいて、
白丸(例えば、図8(a)のP14)は、飲酒もなく、発熱もなかった日
二重丸(例えば、図8(a)のP10)は、飲酒があった日
黒丸(例えば、図8(a)のP12)は、発熱があった日
を示している。
そして、5週間分のグラフにおいて、「飲酒無1」は「飲酒がなかった第1週」、「飲酒無2」は「飲酒がなかった第2週」、「飲酒有1」は「飲酒があった第1週」、「飲酒有2」は「飲酒があった第2週」、「発熱あり」は「発熱があった週」を示している。
ここで、領域Rは、対象者の体調に問題があったと判断される週を示している。すなわち、領域Rは、対象者は睡眠の質を低下させる要因である飲酒があったか又は発熱があった週となり、すなわち、対象者の状態に異常があった状態の日が含まれている。
図8(a)、図8(b)のグラフは、対象者の状態に異常があった状態を含む週であっても、特別の傾向は見られない。すなわち、図8(a)、図8(b)のグラフは、対象者が該当週に「飲酒があったこと」や、「発熱があったこと」を判定することはできない。
図8(a)、図8(b)は、生体情報値(呼吸数、心拍数)の平均値を太線破線で示したが、太線破線においても、対象者の状態として異常の状態があることを示す傾向は見られない。
図8(c)、図8(d)は、上述した実施形態の評価方法を適用した場合のグラフである。図8(c)のプロットは、対象者の呼吸数について、週内の標準偏差(7日分の標準偏差)を示している。また、図8(d)のプロットは、対象者の心拍数について、週内の心拍数の標準偏差を示している。
図8(c)を参照すると、領域Rに含まれている飲酒がある第1週、飲酒がある第2週、発熱がある週のプロットは、飲酒がない第1週、第2週と比較して呼吸数の標準偏差が大きくなっている。例えば、閾値として「0.4」を使用した場合、標準偏差が0.4以上になった週は、対象者の状態として異常がある週である。したがって、評価部106は、標準偏差が閾値以上となった週を睡眠の質が低いと評価する。また、評価部106は、単純に標準偏差の大きさに基づいて、対象者が週内において「飲酒があった」か、「発熱があった」かを判定することができる。
図8(d)の心拍数の週内の標準偏差を利用した場合も、同様な傾向となる。判定する閾値として、例えば「4.5」を使用した場合、標準偏差が4.5以上になった週は、対象者の状態として異常がある週である。したがって、評価部106は、標準偏差が閾値以上となった週を睡眠の質が低いと評価する。また、評価部106は、単純に標準偏差の大きさに基づいて、対象者が週内において「飲酒があった」か、「発熱があった」かを判定することができる。
なお、図8では、評価部106が睡眠の質を評価するのに標準偏差を利用した評価方法について説明した。評価部106は、それ以外にも生体情報値のばらつきを判断できる指標であれば評価方法に利用することができる。例えば、評価部106が、睡眠の質を評価するために、変動係数を利用する場合について、図9を参照して説明する。
図9(a)は、呼吸数の週内の平均値に基づく変動係数をプロットしたグラフである。図9(b)は,心拍数の週内の平均値に基づく変動係数をプロットしたグラフである。
評価部106は、変動係数に基づいたとしても、標準偏差を利用した場合と同様に、閾値を設けることにより、対象者の状態に異常があったことを判定し、睡眠の質を評価することができる。
なお、評価部106は、上述した評価方法の他にも、例えば週毎のばらつきを比較することで、睡眠の質を評価してもよい。
評価部106は、図7のステップS106の代わりに、前週と今週との標準偏差を比較する。そして、評価部106は、今回(今週)の標準偏差(第2の期間の標準偏差)が、前回(前週)の標準偏差(第3の期間の標準偏差)と比べて変動している(例えば、大きくなっている)場合には、対象者の状態として異常がある状態と判定する。これにより、評価部106は、対象者の睡眠の質が低いことを評価する。また、評価部106は、今回(今週)の標準偏差と、複数の標準偏差(例えば、前週、前々週の標準偏差)とを比べて増加している場合(例えば、漸増している場合)には、対象者の状態として異常がある状態と判定してもよい。
また、評価部106は、今回(今週)の標準偏差が、前回(前週)の標準偏差と比較したとき、相対的に所定以上大きくなった場合に、対象者の状態として異常がある状態と判定してもよい。例えば、評価部106は、前回(前週)の標準偏差と比較して10%以上大きくなった場合には、対象者の状態として異常がある状態と判定してもよい。
また、評価部106は、今週の標準偏差との比較対象として、数週間分の標準偏差のばらつきと比較してもよいし、全体のばらつきと閾値とを比較してもよい。例えば、評価部106は、4週分の標準偏差のばらつき(標準偏差)を算出することにより、睡眠の質が高いことを評価してもよい。また、評価部106は、睡眠の質が高いことから、睡眠習慣が安定していることを評価してもよい。
[1.3.2 第2の処理]
図10は、評価部106が実行する第2の処理である。第2の処理は、評価部106が、睡眠変数と、生体情報値とに基づいて対象者の睡眠の質を評価する処理である。
まず、評価部106は、対象者の情報を対象者情報152から取得する(ステップS152)。ここでは、主に第3の情報である睡眠変数を取得する。
続いて、評価部106は、第2の期間内に、対象者の状態として、異常となる状態があったか否かを判定する。すなわち、評価部106は、第2の期間内に含まれる日に、「飲酒があった日」、「発熱があった日」があるかを判定する。
そして、評価部106は、対象者の状態として、異常となる状態があった日がある場合には、その旨を出力してもよい(ステップS156)。例えば、評価部106は、睡眠レポートを出力するときに「飲酒があった」「発熱があった」ことを含めた睡眠レポートを出力する。さらに、例えば、心拍数と呼吸数が高い順から1日ずつ除外していき、標準偏差が閾値以下となるまでに除外した日を「飲酒日」と「発熱日」を特定して、その旨を出力してもよい。
そして、評価部106は、睡眠の質を評価するのに、対象者の状態として異常の状態と判定した日を利用するかどうかを判定する(ステップS158)。対象者の状態として異常の状態と判定した日を利用することをスタッフ等が手動で設定してもよい。また、評価部106が、所定日数以上の場合は利用しないと自動で設定してもよい。
評価部106は、対象者の状態として異常の状態と判定した日を利用しない場合には、当該日を除外した上で、第3の情報(睡眠変数)に基づいて睡眠の質を評価する(ステップS158;No→ステップS162)。
他方、対象者の状態として異常の状態と判定した日を利用する場合(ステップS158;Yes)や、そもそも異常の状態と判定した日が第2の期間に含まれていない場合(ステップS154;No)、評価部106は第2の期間の含まれる対象者の第3の情報(睡眠変数)に基づいて睡眠の質を評価する。
[1.4 効果]
上述したように、本実施形態のシステムは、対象者の睡眠の質を評価するときに、日々の睡眠変数の平均値やばらつきだけでなく、心拍数や、呼吸数といった生体情報値の日々のばらつきも併せて利用することで、より正確に睡眠の質を評価することができる。また、本実施形態のシステムは、閾値を用いて評価するのではなく、生体情報値のばらつきが大きいほど睡眠の質が低く、ばらつきが小さいほど睡眠の質が高い、と睡眠の質を評価することもできる。
また、心拍数や、呼吸数といった生体情報値に基づいて、対象者の状態として異常がある状態を判定することができる。
[2.第2実施形態]
第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態と構成・処理等は略同一であり、異なる部分を中心に説明する。第2実施形態では、制御部100(評価部106、判定部108)が、第3の処理を実行することで、睡眠の質を下げる要因を判定することができる。なお、第1の処理と共通の処理については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
評価部106は、算出した標準偏差と判定する閾値(判定閾値)とを比較し、対象者の状態に異常のある状態があることを判定する(ステップS102→ステップS104→ステップS106;Yes)。
つづいて、判定部108は、対象者の体温が平熱か否かを判定する(ステップS202)。具体的には、対象者の通常測定される体温の範囲内であるか、所定の閾値(例えば、37℃)未満であるかを判定する。
ここで、判定部108は、対象者の体温が平熱である場合(ステップS202;Yes)、対象者に飲酒があったと判定する(ステップS108)。これにより、評価部106は、対象者の睡眠の質が低い理由は、飲酒によるものであると判定することができる。
このように、本実施形態のシステムは、対象者の睡眠の質が低いだけでなく、その要因の一つを判定することができる。
なお、判定部108は、第3の処理だけを実行することにより、対象者が飲酒を行っているか否かの判定を行う判定装置としても実現可能である。
[3.第3実施形態]
第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1実施形態と構成・処理等は略同一である。第1実施形態に加えて、具体的に第2の期間内における睡眠の質の低下となる要因を判定する実施形態である。
制御部100は、例えば、以下のように判定する。
(1)標準偏差を利用した方法
制御部100は、標準偏差(δ)を利用してグルーピングを行うことにより、飲酒があった又は発熱があった日を判定する。
例えば、図4で示した平均心拍数(2019/6/1~7の7日間)を利用して説明すると、
平均値≒63.7 標準偏差≒6.58
となる。ここで、平均値から、標準偏差分を超えた分については、異常があった(例えば、飲酒があった)と判定する。
すなわち、図4においては、平均値「63.7」に標準偏差「6.58」を加えた「70.28」を超えているのは「2019/6/2」と「2019/6/5」とになる。したがって、この2日間に、飲酒があった又は発熱があったと判定する。
なお、本実施形態では、制御部100は標準偏差を利用してグルーピングを行っているがそれ以外にも、終夜の平均値の週内最小値、最大値を定め、それ以外が最大値最小値のどちらに近似されるかによってグルーピングする方法でもよい。
(2)判定基準を利用した方法
制御部100(評価部106)は、対象者の状態として異常の状態があるために睡眠の質が低いと評価する。このとき、制御部100(判定部108)は、更に判定基準を利用して睡眠の質が低い要因として「発熱があった」か、「飲酒があった」かを判定する。
判定基準の1つを、図12(a)に示す。具体的には、対象者の状態として、睡眠の質が低下する要因がない状態(通常の状態)と比較して、
・就床時刻:対象者は、発熱がある場合は就床時刻が早くなり、飲酒がある場合は就床時刻が遅くなる。
・睡眠時間:対象者は、発熱がある場合は睡眠時間が多くなるが、飲酒がある場合でも変化がない。
・就床時間:対象者は、発熱がある場合は就床時間が多くなるが、飲酒がある場合でも変化がない。
・離床回数:対象者は、発熱がある場合でも離床回数は変わらないが、飲酒がある場合は多くなる。
・中途覚醒時間:対象者は、発熱がある場合でも中途覚醒時間は変わらないが、飲酒がある場合は多くなる。
判定部108は、上記判定基準に基づいて、睡眠の質が低いと評価された要因を判定する。例えば、図12(b)の点数表に示すように、点数化してもよい。
例えば、評価部106により、対象者の状態に異常な状態があると判定される。このとき、判定部108は、第3の情報から、就床時刻、睡眠時間、就床時間、離床回数、中途覚醒時間を取得し、対象者の通常の状態(平均値や、標準値)と比較する。そして、判定部108は、点数表に基づいて、「発熱あり」「飲酒あり」の合計点数を算出し、点数の高い方が可能性が高いとし、睡眠の質を下げている要因と判定する。
例えば、ある対象者は、睡眠時間、離床回数、中途覚醒時間が通常時より多く、就床時刻、就床時間が通常時と変わらないとする。この場合、判定部108が図12(b)の点数表を参照すると、「発熱あり」と判定する点数を「2」、「飲酒あり」と判定する点数を「5」と算出する。したがって、判定部108は、対象者の状態は「飲酒あり」と判定する。
なお、判定部108は、「発熱あり」と、「飲酒あり」との合計点数が同点の場合、優先度に基づいて判定してもよい。判定部108は、優先度としては、「就床時刻」「就床時間」「睡眠時間」「離床回数」「中途覚醒時間」の順に利用する。
また、対象者の通常の状態の「就床時刻」「就床時間」「睡眠時間」「離床回数」「中途覚醒時間」の平均値・標準値は、予め複数の日を測定し、平均を制御部100が算出してもよい。また、各パラメータの一般的な平均値・標準値を、制御部100が予め他の装置等から取得してもよい。
[4.第4実施形態]
第4実施形態について説明する。第4実施形態は、第1実施形態と構成・処理等は略同一である。第1実施形態において、評価部106が睡眠の質に使用する生体情報値を選択する実施形態である。
例えば、制御部100は、取得者の状態として疾病情報を取得する。評価部106は、取得した疾病情報に基づいて、使用する生体情報の種類を選択したり、重み付けを行ったりする。
具体的には、評価部106は、対象者に不整脈の症状があったり、心不全・心筋梗塞・狭心症といった病歴があったりした場合には、生体情報値として呼吸数を優先的に使用する。また、評価部106は、対象者に睡眠時無呼吸症候群の病歴があった場合には、生体情報値として、心拍数を利用したり、無呼吸イベントが発生していない時間帯に限って日々の平均値を算出し、算出した平均値の複数日のばらつきを使用しても良い。
また、評価部106は、対象者に応じて重み付けをおこなってもよい。これは、対象者によっては、飲酒時であっても心拍数や呼吸数に影響が出にくい場合があるためである。スタッフ等により、対象者毎に、生体情報値のパラメータに重み付けを行うことで、評価部106は、適切に対象者の睡眠の質を評価することが可能となる。
[5.第5実施形態]
第5実施形態について説明する。第5実施形態は、第1実施形態と構成・処理等は略同一であり、異なる処理についてのみ説明する。
評価部106は、生体情報値の平均値を、当日からn日前の間に含まれる生体情報値の各日の平均値を取得する。そして、評価部106は、この当日からn日前の間に含まれる生体情報値の各日の平均値の標準偏差を算出し、算出した標準偏差が閾値以上の場合には、当日の対象者の状態に異常な状態があった(飲酒または発熱があった)と判定する(図7のステップS104~ステップS108)。これにより、評価部106は、当日は睡眠の質が下がっていると評価する。
例えば、評価部106が、6/7の睡眠の質を評価する場合を例に説明する。評価部106は、6/7の睡眠中(入眠から覚醒)の生体情報値(心拍数、呼吸数の少なくとも1つ)の平均値を算出する。同様に、評価部106は、6/1~6/6のそれぞれの日における睡眠中の生体情報値を算出する。
つづいて、評価部106は、6/1~6/7の平均値の標準偏差を算出する。評価部106は、算出した標準偏差が、はじめて閾値を超えた場合、6/1~6/7の中で6/7に対象者の状態が異常な状態になったと判定する。すなわち、評価部106は、6/7に睡眠の質が低くなったと評価する。
どうように、評価部106は、6/8の睡眠の質を6/2~6/8、6/9の睡眠の質を6/3~6/9の期間を対象に評価する。このとき、評価部106は、既に対象者の状態が異常な状態であると判定した日を除外して、標準偏差を算出してもよい。
このように、評価部106は、すくなくとも判定する当日(現在の日)の前日の入眠時から覚醒時までの間の生体情報値の平均値を利用することにより、対象者の状態として異常な状態(飲酒があった又は発熱があった)を判定する。
これにより、評価部106は、評価日毎にリアルタイムに、対象者の睡眠の質を評価できたり、対象者の状態を判定したりすることが可能となる。
[6.第6実施形態]
第6実施形態について説明する。第6実施形態は、第1実施形態と構成・処理等は略同一である。第1実施形態と異なるのは、図7の判定処理を、図14(a)の判定処理に置き換えたものである。
評価部106は、生体情報値に基づく標準偏差を算出すると、当該標準偏差、生体情報値の平均値、対象者の就寝時刻、就寝時間、離床回数等に基づいて、対象者の状態を推測する(ステップS400)。
対象者の状態は、状態推測部400が実行する。状態推測部400は、人工知能や各種統計指標を利用することにより、対象者が飲酒したのか、発熱したのかを推測する。
図14に示すように、状態推測部400は、特徴抽出部410と、識別部420と、識別辞書430と、状態出力部440とが含まれている。
まず、状態推測部400に入力される入力データとしては、種々のパラメータが入力され、利用される。例えば、本実施形態においては、生体情報値、生体情報値の平均値、生体情報値の平均値に基づく標準偏差、生体情報値の平均値に基づく変動係数、対象者の就床時刻、起床時刻、就床時間、在床時間、利用回数の中から選択して利用する。
そして、特徴抽出部410により、選択して利用されたパラメータから各特徴点が抽出され、特徴ベクトルとして出力される。そして、特徴抽出部410は、特徴ベクトルを識別部420に出力する。
識別部420は、入力された特徴ベクトルから、対象者の状態に対応するクラスを識別する。このとき、識別辞書430として、事前に用意した複数のプロトタイプと照合することにより、クラスを識別する。プロトタイプは、各クラスに対応する特徴ベクトルとして記憶していてもよいし、クラスを代表する特徴ベクトルを記憶していてもよい。
クラスを代表する特徴ベクトルが記憶されている場合には、最も近いプロトタイプの属するクラスを決定する。このとき、識別部420は、最近傍決定則により決定してもよいし、k近傍法により識別してもよい。
なお、識別部420が利用する識別辞書430は、予めプロトタイプを記憶してもよいし、機械学習を利用して記憶することとしてもよい。
そして、識別部420により識別されたクラスに対応して、状態出力部440は対象者の睡眠の質を評価し、併せて対象者の状態の1つとして「飲酒があった」や、「発熱があった」などが出力される。
このように、本実施形態のシステムは、生体情報値の平均値や、生体情報値の平均値に基づくばらつきを示す指標(標準偏差や変動係数)をパラメータとして、機械学習を利用し、対象者の睡眠の質を評価することができる。また、本実施形態のシステムは、更に睡眠の質を低くする要因である対象者の状態を出力することができる。
[7.適用例]
本実施形態を適用することによって、例えば、システム1の出力部170は、適切な睡眠日誌や睡眠レポートを出力することが可能となる。
図15は、対象者の睡眠日誌の一例を示す図である。睡眠日誌は、対象者の睡眠・覚醒状態を日毎に出力されるとともに、睡眠に関するアドバイス等が出力されてもよい。図15(a)は、対象者の睡眠日誌と共に、「飲酒」があったことを示している。飲酒があったことが出力されることにより、スタッフ等や、対象者は、評価の対象となる期間に飲酒があったことを把握することができ、睡眠の質を高めるために「飲酒」に関するアドバイスを出力することもできる。
また、図15(b)は、対象者の睡眠日誌の中に、「飲酒」があった日を出力している。睡眠日誌の中に飲酒があった日が出力されることで、スタッフ等は対象者がいつ飲酒したかを把握することができる。
図16は、日毎の睡眠レポートを出力する場合の一例である。対象者の前日から当日までの入眠時刻等の睡眠変数に基づく情報が出力されている。併せて、対象者の状態として、「飲酒」があったことが出力されている。
さらに評価部106は、「飲酒」があった日となかった日で睡眠変数を別々に算出し、出力部170は、飲酒日と非飲酒日の睡眠状態の違いを睡眠日誌として出力することができる。スタッフ等は、睡眠レポートに記載された内容で比較検討することもできる。このように、本実施形態を適用することで、睡眠の質を評価するときに、「飲酒」や「発熱があった」などの「体調不良」と関連した睡眠状態の評価やアドバイスをすることができ、睡眠改善に役立てることができる。
また、図14は、「飲酒」があったことを出力しているが、単に識別表示を出力してもよい。すなわち、対象者の状態として異常があったことを示せばよいため、出力部170は「異常」「注意」と表示したり、星マーク、丸印といった記号を表示したり、強調表示をしたりしてもよい。
[8.変形例]
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
また、本実施形態においては、検出装置3で出力された結果に基づき、処理装置5において生体情報を出力しているが、検出装置3で全て算出してもよい。また、端末装置(例えばスマートフォン、タブレット、コンピュータ)にアプリケーションをインストールして実現するだけでなく、例えばサーバ側で処理をして、処理結果を端末装置に返してもよい。
例えば、検出装置3から、生体情報をサーバにアップロードすることで、サーバ側で上述した処理を実現してもよい。この検出装置3は、例えば加速度センサ、振動センサを内蔵したスマートフォンのような装置で実現してもよい。
また、上述した実施形態は、システムは対象者の睡眠の質に影響を及ぼす要因として「飲酒があった」「発熱があった」を例にして説明したが、それ以外の要因であってもよい。すなわち、評価部106は、対象者の生体情報値と、睡眠変数とを利用することで、対象者の状態として、睡眠の質に影響を及ぼす状態があることを判定し、睡眠の質を評価できればよい。
また、実施形態において各装置で動作するプログラムは、上述した実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的に一時記憶装置(例えば、RAM)に蓄積され、その後、各種ROMやHDD、SSDの記憶装置に格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。
また、市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれるのは勿論である。