JP7197546B2 - 堤補強構造及びその施工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、既設堤体を補強するための堤補強構造、及びその堤補強構造の施工方法に関するものである。
近年、巨大台風や集中豪雨等により、各地の河川堤体が決壊し、甚大な被害が発生している。河川堤体の多くは、古くから様々な土質材料を用いた土堤で築造されており、洪水時の越流や土堤内の浸透、または侵食により破堤する事例が多く報告されている。これまでの河川堤体の改修工事では、圧密地盤の地盤改良による耐震化、河川側(堤体の外側)の表法面の被覆による侵食対策、天端部のアスファルト舗装による降雨浸透対策、陸側(堤体の内側)の裏法面の法尻部の補強によるパイピング対策が実施されている。
そこで、上述したパイピング対策の従来技術として特許文献1には、次のように記載されている。
(1)既設堤体の内側法面の下側部分およびこれに続く周辺基礎地盤面の一部を覆うように、それらの上面に繊維混合強化土による押え盛土を行って補強すること。
(2)水位が堤体にかかるような場合であっても堤体が土砂で形成されている場合には、堤体内および基礎地盤内を通り、堤体の内側法面の下側部分およびこれに続く周辺基礎地盤面に至る水の浸透流が発生すること。
(3)当該浸透流によって、堤体外側から堤体内または基礎地盤内を通り、堤体の内側法面の下側部分またはこれに続く周辺基礎地盤面に至る水の道(以下、パイプラインという)が形成され成長していったとしても、繊維混合強化土による押え盛土が洗掘に対して強いので当該押え盛土においてパイプラインの成長が抑えられ、パイプラインが堤体の内外に連通するまでには至りにくいこと。
特許第3357319号公報
上述した特許文献1に記載の既設堤体のパイピング破壊防止補強構造の発明においては、堤体内外に連通するパイプラインの形成は抑制されるものの、堤体の河川側の法面が洗堀されやすく侵食され、結果的に堤体の安定化が失われて、破堤する虞がある。また、近年の被災傾向では、洪水時等による堤体の越流により、堤体の陸側の法面が崩れ始めて、破堤に繋がっている。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、既設堤体において、台風、集中豪雨や津波等などによる破堤を抑制するための堤補強構造及びその施工方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するための手段として、請求項1の堤補強構造に係る発明は、陸側への浸水を防止するために造成された既設堤体を補強するための堤補強構造であって、前記堤体の表面を、該堤体または該堤体の周辺地盤を構成している現地土砂、セメント材、短繊維材、遮水材及び水を混合してなる改良土にて造成して構成されることを特徴とするものである。
請求項1の発明では、改良土には、遮水材が混合されており、既設堤体の表面が当該改良土により造成されるので、堤体内への浸水(大量の水の浸透)を抑制することができ、土堤からなる堤体の安定化に繋がる。また、改良土には、セメント材及び短繊維材が混合されているので、堤体の表面の強度、靭性を向上させることができる。そして、改良土により既設堤体の表面を造成することで、堤体への、水の流れによる侵食を抑制することができ、ひいては、台風、集中豪雨や津波等の有事の際の破堤を抑制することができる。
請求項2の堤補強構造に係る発明は、請求項1の発明において、前記堤体の外側の法面が、前記改良土により造成されることを特徴とするものである。
請求項2の発明では、既設堤体の外側の法面は改良土により造成されているので、堤体の外側の法面から堤体内への水の浸入を抑制すると共に外側の法面の強度、靭性を向上させることができる。
請求項3の堤補強構造に係る発明は、請求項1または2の発明において、前記堤体の内側の法面が、前記遮水材を除く前記改良土により造成されることを特徴とするものである。
請求項3の発明では、堤体の内側の法面は、遮水材を除く改良土により造成されているので、堤体内の水を堤体の内側の法面から容易に排出させることができ、堤体内に大量の水が貯溜することによる堤体内の水位上昇を抑制することができる。その結果、堤体を構成する土粒子が水で飽和されることが抑制され、土粒子間のせん断摩擦抵抗力が維持され、法面崩壊を防ぐことができる。また、堤体の内側の法面に造成された改良土には、セメント材及び短繊維材が含まれるので、内側の法面の強度、靭性を向上させることができ、その結果、堤体からの越流による、内側の法面の侵食を抑制することができる。なお、既設堤体の外側の法面は、河川、湖沼や海側の法面であり、一方、内側の法面は、河川、湖沼や海側とは反対側で、陸側の法面である。
請求項4の堤補強構造に係る発明は、請求項1の発明において、前記堤体において、外側及び内側の法面のそれぞれが前記改良土により造成され、外側の法面に造成された前記改良土を構成する遮水材の単位体積当たりの重量が、内側の法面に造成された前記改良土を構成する遮水材の単位体積当たりの重量よりも大きいことを特徴とするものである。
請求項4の発明では、堤体の内側の法面及び外側の法面が改良土にて造成される場合には、外側の法面に造成された改良土を構成する遮水材の単位体積当たりの重量を、内側の法面に造成された改良土を構成する遮水材の単位体積当たりの重量よりも大きく設定することで、外側の法面からの水の浸入を抑制して、且つ内側の法面からの水の排出を多少許容することができ、堤体内への水の浸透を限りなく抑制して、堤体内に大量の水が貯溜することによる堤体内の水位上昇を最大限抑制することができる。
請求項5の堤補強構造に係る発明は、請求項4の発明において、前記堤体の内側の法面に造成される前記改良土には、前記堤体内の水を外部に排出する排水孔が形成されることを特徴とするものである。
請求項5の発明では、堤体の内側の法面に造成された改良土内には、微量であっても遮水材が含まれているために多少の遮水効果が現れるために、内側の法面に造成された改良土に排水孔を設けることで、堤体内に浸透した水を内側の法面から積極的に排水することができる。なお、排水孔の内部には、不織布にて構成される吸出し防止材を配置したほうがよい。当該吸出し防止材により、排水孔からの排水を許容する一方、排水孔からの堤体を構成する土砂等の漏出を防止することが可能になる。
請求項6の堤補強構造に係る発明は、請求項1~5いずれかの発明において、前記短繊維材は、天然材であることを特徴とするものである。
既往技術の繊維材は高分子材料であり、万が一にも改良土が侵食して、周辺の河川、湖沼や海等に流出した場合においてはマイクロプラスチック問題が生じる虞がある。これに鑑みて、請求項6の発明では、短繊維材が麻やワラ等の天然材にて構成されているため、流出時においても水環境を汚染する問題を引き起こす虞がない。
請求項7の堤補強構造に係る発明は、請求項1~6いずれかの発明において、前記遮水材は、ベントナイトを含むことを特徴とするものである。
請求項7の発明では、遮水材としては、粒径が細かいことから透水係数が小さく、遮水材として適用可能な浚渫粘性土やフライアッシュ(石炭灰)にベントナイトを含んだものでもよく、ベントナイト単体でもよい。なお、ベントナイトを混合することで、ベントナイトが水を吸収して膨張し、遮水材としての透水係数を小さくでき、法面からの浸水量をさらに低減させることが可能になる。
請求項8の堤補強構造の施工方法に係る発明は、陸側への浸水を防止するために造成された既設堤体を補強するための堤補強構造の施工方法であって、底面が開放される区画バケツを前記堤体の法面の任意位置に突き刺すように配置するバケツ配置ステップと、セメント材、短繊維材、遮水材及び水を混合してなる混合スラリーを、前記区画バケツ内における前記堤体の法面に圧送する圧送ステップと、前記区画バケツ内で、前記法面を構成している現地土砂を掘り起こしながら、該現地土砂と前記混合スラリーとを攪拌してなる改良土により前記法面を造成する攪拌ステップと、を備えることを特徴とするものである。
請求項8の発明では、少なくとも、圧送ステップ及び攪拌ステップを施すことで、容易に、また安価に、既設堤体の法面を改良土に造成することができる。その結果、多大な手間をかけずに、既設堤体を補強して、安定化させることができ、台風、集中豪雨や津波等の有事の際における破堤を抑制することができる。
また、請求項9の堤補強構造の施工方法に係る発明は、請求項8の発明において、前記区画バケツは、平面視ひし形形状に形成され、前記区画バケツの一方の隣接する側壁部は鋼製にてそれぞれ構成され、他方の隣接する側壁部は弾性ゴム製にてそれぞれ構成され、前記バケツ配置ステップでは、前記区画バケツの一方の隣接する側壁部を、前記堤体の法面に突き刺すことを特徴とするものである。
さらに、請求項10の堤補強構造の施工方法に係る発明は、請求項8または9の発明において、前記堤体の法面は、前記区画バケツで囲む範囲が順次改良土により造成されており、前記区画バケツを造成済の箇所から次の作業箇所に移動させる際、前記バケツ配置ステップでは、前記区画バケツの他方の隣接する側壁部側が、造成済の箇所と所定幅で重なるようにして、前記区画バケツを次の作業箇所に配置することを特徴とするものである。
本発明によれば、既設堤体において、台風、集中豪雨や津波等などによる破堤を抑制することができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る堤補強構造を示す概略断面図である。 図2は、第1実施形態において、堤体の外側の法面を第1改良土により造成する様子を法面近傍から示す概略斜視図である。 図3は、第1実施形態において、区画バケツ内において、堤体の外側の法面を第1改良土により造成する様子を示す図である。 図4は、第1実施形態において、堤体の法面を第1または第2改良土により造成する際に、区画バケツによる造成箇所が互いに一部重なっている状態を示す平面図である。 図5は、本発明の第2実施形態に係る堤補強構造を示す概略断面図である。 図6は、第2実施形態において、内側の法面に造成された第1改良土に設けられ、吸出し防止材を含む排水孔を示す図である。 図7は、第2実施形態において、外側の法面に造成された第1改良土に設けられ、逆止弁を備えた、吸出し防止材を含む排水孔を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態を図1~図7に基づいて詳細に説明する。
以下に、本発明の第1及び第2実施形態に係る堤補強構造を説明する。なお、堤体1は既設のものであって、断面略台形状、または法面上に小段がある形状の土堤にて構成される。堤体1の外側の法面は、河川、湖沼や海側の法面であり、一方、堤体1の内側の法面は、河川、湖沼や海側とは反対側で、陸側の法面である。堤体1は、河川堤体に限らず、海岸堤体等を含むものであり、要するに、本発明の実施形態は、河川、湖沼や海等の水の陸側への浸水を防止するために造成された既設堤体1の全てに適用することができる。
まず、本発明の第1実施形態に係る堤補強構造を図1~図4に基づいて説明する。当該第1実施形態では、図1に示すように、堤体1は、その外側の法面を後述する第1改良土3により造成し、また、その内側の法面を後述する第2改良土4により造成して構成される。第1改良土3は、法面を構成する現地土砂に、短繊維材、遮水材としてのベントナイト、セメント材及び水を混合して構成される。短繊維材は、本実施形態では、麻やワラ等の天然材であり、長さ10~30mm、繊維径10~400μmのものが採用されている。ベントナイトは、モンモリロナイトを主成分とする粘土である。セメント材は、本実施形態では、例えば、普通ポルトランドセメント材が採用されている。
第1改良土3において、ベントナイトの混合量は、0~60kg/mの範囲内にて適宜設定される。セメント材の混合量は、60~80kg/mの範囲内にて適宜設定される。短繊維材は、混合土(第1改良土3)に占める体積比が0.6~1.0%の範囲内になるように適宜設定される。水の量は現地土砂の量に応じて設定されものであり、これらの粒子態材料が材料分離することなく、適切な粘性をもって施工できる程度の量として設定される。すなわち、第1改良土3は、ブリーディングをしない、もしくは許容範囲内となる、施工性の良い状態となるように加水量が設定される。
このように、セメント材、ベントナイト及び短繊維材の混合量は、現地土砂の量に関わらず一定であるため、第1改良土3の一定体積を配合設計する場合には、水量を減らすと土砂量が増加し、逆に土砂量を増やすと水量を減少させるように、土砂量に対する水の量を設定して配合設計することとなる。一方、第2改良土4は、上述した第1改良土3からベントナイトを除き、法面を構成する現地土砂に、短繊維材、セメント材及び水を混合して構成される。
上述した第1改良土3及び第2改良土4は、強度試験、すなわち、一軸圧縮強度試験(JIS A 1216)を実施しており、強度qが1000kN/m以上であり、ひずみ10%においても強度が降伏せず、靱性を有していることを確認している。また、第1改良土3においては、ベントナイトを有しており、透水試験(JIS A 1218より試験精度の高い三軸透水試験)を実施して、満足な結果(例えば、透水係数k=1×10-7m/s程度)を得ている。
次に、第1改良土3により堤体1の外側の法面を造成する施工方法を説明する。なお、第2改良土4により堤体1の内側を造成する施工方法は、第1改良土3により堤体1の外側の法面を造成する施工方法と基本的には同じであるために、ここでの説明を省略する。
まず、第1改良土3により堤体1の外側の法面を造成する際に必要な設備を以下に説明する。
図2に示すように、例えばトレーラ等の荷台10に、ベントナイトが貯溜されるベントナイト用タンク11、セメント材が貯溜されるセメント材用タンク12、水が貯溜される水用タンク13、短繊維材が収容される短繊維材用タンク14が搭載されている。また、この荷台10には、ベントナイト用タンク11、セメント材用タンク12、水用タンク13及び短繊維材用タンク14に連通される攪拌装置16が搭載される。さらに、この荷台10には、攪拌装置16と連通して、攪拌装置16からの混合スラリーを法面に圧送する圧送ポンプ17が搭載されている。そして、トレーラ等の荷台10が堤体1の天端面に停車される。
堤体1の天端面であって、前記荷台10の近傍にバックホー23が配置される。バックホー23のアーム24の先端には、区画バケツ27が連結されている。該区画バケツ27は、バックホー23のアーム24の先端に連結された状態で底面が開放される。該区画バケツ27は、平面視ひし形状に形成される。区画バケツ27において、一方の隣接する側壁部28A、28Aは、鋼製にてそれぞれ構成され、他方の隣接する側壁部28B、28Bは、柔軟性を有する弾性ゴム製にてそれぞれ構成される。また、区画バケツ27の天壁部28Cは、鋼製にて構成される。
区画バケツ27の天壁部28Cに、圧送ポンプ17から延びる圧送ホース18の先端が接続される。図3に示すように、区画バケツ27の内部には、掘削攪拌装置32が複数備えられる。該掘削攪拌装置32は、区画バケツ27に回転自在に支持される回転軸33と、該回転軸33の外周面から周方向及び軸方向に沿って間隔を置いて複数延びる掘削攪拌羽34と、を備えている。各掘削攪拌装置32の回転軸33に、電動モータ等の駆動源(図示略)が連結されている。
そして、図2に示すように、まず、バックホー23を操作することで、そのアーム24の先端に連結された区画バケツ27を堤体1の法面の任意箇所に位置させる。このとき、バックホー23を操作して、区画バケツ27を、法面の任意箇所に配置して、図3に示すように、その鋼製の各側壁部28A、28Aを法面から内部に突き刺すようにする。その際、弾性ゴム製の各側壁部28B、28Bは、その先端が法面上に沿うように緩やかに区画バケツ27から外方に屈曲される。
また、図2に示すトレーラ等の荷台10上では、攪拌装置16に、ベントナイト用タンク11から所定量のベントナイトが供給され、またセメント材用タンク12から所定量のセメント材が供給され、さらに水用タンク13から所定量の水が供給され、さらにまた短繊維材用タンク14から所定量の短繊維材が供給される。続いて、図2に示す攪拌装置16内にて、ベントナイト、セメント材、短繊維材及び水が攪拌されて混合スラリーが生成される。そして、圧送ステップとして、攪拌装置16内の混合スラリーは、圧送ポンプ17により、圧送ホース18を介して区画バケツ27内に圧送される。
そこで、図3を参照して、区画バケツ27内においては、各掘削攪拌装置32の回転軸33が駆動源により回転駆動されて、各掘削攪拌羽34が回転することで、法面の区画バケツ27にて区画された範囲が若干掘り起こされている状態である。そして、この状況下において、攪拌ステップとして、区画バケツ27内に圧送された混合スラリーが、各掘削攪拌装置32の各掘削攪拌羽34の回転によって、掘り起こされた現地土砂と攪拌される。そして、この状態を維持しながら、バックホー23のアーム24が操作されて、区画バケツ27が各掘削攪拌装置32と共に法面に向かって徐々に押し込まれることで、各掘削攪拌装置32の各掘削攪拌羽34の回転によって、現地土砂がさらに掘り起こされつつ、圧送された混合スラリーと攪拌されながら押し込まれて、区画バケツ27により区画された範囲が所定深さ第1改良土3により造成される。
なお、区画バケツ27の各側壁部28A、28Aの高さは、20~50cmの範囲内の適宜値に設定され、法面に突き刺す深さは10~30cmの範囲内の適宜値に設定される。そこで、経済的な施工として本実施形態では、区画バケツ27の各側壁部28A、28Aの高さを20cmとして、突き刺す深さを10cm、法面と区画バケツ27の天端部28Cとの間の距離を10cmとした初期状態にて、各掘削攪拌装置32の作動により法面が掘り起こされると共に攪拌装置16からの混合スラリーが、各掘削攪拌装置32の作動によって、掘り起こされた現地土砂と攪拌される。その後、区画バケツ27を各掘削攪拌装置32と共に法面に向かって10cm程度押し込むことで、法面からの深さ20cm程度の範囲が第1改良土3により造成される。
そこで、区画バケツ27が法面に向かって徐々に押し込まれると、弾性ゴム製の各側壁部28B、28Bは外方に屈曲されるので、造成済の箇所に対して差し込み孔跡等の不要な様態が残ることはない。その後区画バケツ27による一範囲の作業が完了すると、バックホー23を再び操作して、区画バケツ27を次の位置に移動させた後、上述した工程を繰り返して、法面全域を第1改良土3により造成していく。
なお、上述した工程により、堤体1の外側の法面において、区画バケツ27で囲む範囲が順次第1改良土3により造成されていくが、図3及び図4に示すように、区画バケツ27を造成済の箇所から次の作業箇所に移動させる際には、区画バケツ27の弾性ゴム製の側壁部28B、28B側が、造成済の箇所と所定幅で重なるように(ラップするように)して、区画バケツ27を次の作業箇所に配置する。このように区画バケツ27による造成範囲を一部重なるようにして順次作業していくので、未造成部位を極力無くすことができる。なお、堤体1の内側の法面においても、区画バケツ27で囲む範囲が順次第2改良土4により造成されていくが、図4に示すように、外側の法面に造成される第1改良土3の施工方法と同様に、区画バケツ27による造成範囲が一部重なるようにして順次施工される。
そこで、既設堤体1の多くは土堤であり、その内部に大量の水が浸透、貯溜すること(浸透流の発生)は避けるべきである。すなわち、堤体1内に大量の水が浸透、貯溜することで、土粒子間の摩擦力(せん断摩擦抵抗力)やサクション効果が小さくなるために、堤体1の外側の法面が洗堀されやすく侵食され、結果的に堤体1の安定化が失われて、破堤するものと推測できる。このような事情に鑑みて、上述した第1実施形態では、既設堤体1の外側の法面が第1改良土3(ベントナイトを含む)により造成されている。その結果、堤体1の外側の法面から堤体1内への水の浸入を抑制して、堤体1内への大量の水の浸透を抑制すると共に外側の法面の強度、靭性を向上させることができる。そして、堤体1への、水の流れによる侵食を抑制することができ、ひいては、台風、集中豪雨や津波等の有事の際の破堤を抑制することができる。
また、第1実施形態によれば、堤体1の内側の法面は、ベントナイトを除く、現地土砂、短繊維材、セメント材及び水を混合して構成される第2改良土4により造成されているので、堤体1内の水をその内側の法面から容易に排出させることができ、堤体1内に大量の水が貯溜することによる堤体1内の水位上昇を抑制することができる。その結果、堤体1を構成する土粒子が水で飽和されることが抑制され、土粒子間のせん断摩擦抵抗力が維持され、法面崩壊を抑制することができる。また、堤体1の内側の法面に造成された第1改良土3には、セメント材及び短繊維材が含まれるので、内側の法面の強度、靭性を向上させることができ、その結果、堤体1からの越流による、内側の法面の侵食を抑制することができる。これにより、堤体1を十分に補強でき、その安定化に繋がり、ひいては、台風、集中豪雨や津波等の有事の際の破堤を抑制するための対策として十分なものになる。
さらに、第1実施形態によれば、セメント材、短繊維材、ベントナイト及び水を混合してなる混合スラリーを堤体1の法面に圧送する圧送ステップと、該法面を構成している現地土砂を掘り起こしながら、該現地土砂と混合スラリーとを攪拌してなる第1改良土3により法面を造成する攪拌ステップと、を備えている。これにより、現地土砂を有効利用しつつ、そのため外部から大量の土砂を搬入、仮置きする必要がなく、容易に、また安価に、堤体1の外側の法面を、該法面を構成する現地土砂を含む第1改良土3より造成することができる。また、攪拌ステップでは、バックホー23のアーム24の先端に連結された平面視ひし形形状の区画バケツ27と、該区画バケツ27内に備えられた複数の掘削攪拌装置32とを用いて、法面を第1改良土3または第2改良土4により造成しているので、土砂を混合する大掛かりな設備を新規に備える必要がなく、その設備費や施工費等の全体コストを低減させることができる。
次に、第2実施形態に係る堤補強構造を図5~図7に基づいて説明する。図5に示すように、第2実施形態では、堤体1は、その外側の法面を第1改良土3により造成し、また、その内側の法面も第1改良土3により造成して構成される。外側の法面に造成された第1改良土3におけるベントナイトの単位体積当たりの重量が、内側の法面に造成された第1改良土3におけるベントナイトの単位体積当たりの重量よりも大きく設定される。
詳しくは、堤体1の外側の法面に造成される第1改良土3においては、ベントナイトの混合量が最大60kg/mに近い値に設定される。一方、堤体1の内側の法面に造成される第1改良土3においては、ベントナイトの混合量が0kg/mに限りなく近い値に設定される。これにより、遮水性が堤体1の内側の法面よりも外側の法面のほうが高くなる。言い換えれば、堤体1の外側の法面から堤体1内への浸水は許容せず、堤体1の内側の法面から外部への排水が多少許容されることになる。
図6に示すように、堤体1の内側の法面に造成される第1改良土3には、堤体1内の水を外部に排出する排水孔40が間隔を置いて複数形成される。排水孔40は第1改良土3内を水平方向に沿って貫通している。各排水孔40により、陸側の外部と堤体1内(第1改良土3にて造成されていない部位)とが連通される。なお、これらの排水孔40は、第1改良土3を施工した後に、固化する前に排水孔40の設置部位をボーリング等にてくり抜き、管部材等を差し込むことで形成される。各排水孔40の内部には、堤体1の内部側に不織布からなる吸出し防止材41が配置される。この吸出し防止材41を設けることにより、排水孔40からの排水を許容する一方、排水孔40からの堤体1を構成する土砂等の漏出を防止することが可能になる。
なお、図7に示すように、堤体1の外側の法面に造成される第1改良土3に、内部に吸出し防止材41を含む排水孔40を、間隔を置いて複数形成してもよい。その場合には、排水孔40の堤体1側とは反対側の端部開口に逆止弁42を配置することになる。該逆止弁42は、外部(河川など)からの堤体1内への浸水を規制すると共に、堤体1内から外部への排水は許容するものである。そこで、この逆止弁付きの排水孔40を、上述の第1実施形態において、堤体1の外側の法面に造成される第1改良土3に複数設けてもよい。
また、第2実施形態に係る堤補強構造の施工方法は、第1実施形態に係る堤補強構造の施工方法と同じであるので、ここでの説明を省略する。
以上説明したように、第2実施形態では、堤体1は、その外側の法面が第1改良土3により造成され、また、その内側の法面も第1改良土3により造成されて構成されるが、外側の法面に造成された第1改良土3を構成するベントナイトの単位体積当たりの重量が、内側の法面に造成された第1改良土3を構成するベントナイトの単位体積当たりの重量よりも大きく設定される。これにより、堤体1の外側の法面から堤体1内への水の浸入を抑制すると共に内側の法面から堤体1内への排水を多少許容することで、第1実施形態と同様に、堤体1内に大量の水が貯溜することによる堤体1内の水位上昇を最大限抑制することができる。その結果、堤体1を構成する土粒子が水で飽和されることが抑制され、土粒子間のせん断摩擦抵抗力が維持され、法面崩壊を抑制することができる。しかも、第1改良土3には、セメント材及び短繊維材を含むので、堤体1全体の強度、靭性を向上させることができる。その結果、堤体1を十分に補強でき、その安定化に繋がり、ひいては、台風、集中豪雨や津波等の有事の際の破堤を抑制することができる。
また、第2実施形態では、堤体1の内側の法面に造成される第1改良土3には、堤体1内の水を排出する排水孔40が複数形成されるので、堤体1内に浸透、貯溜する水を内側の法面からの積極的に排水することができる。
さらに、第1及び第2実施形態では、第1改良土3及び第2改良土4として混合される短繊維材は、麻やワラ等の天然材が採用されているので、堤体1の法面が第1改良土3または第2改良土4にて造成されても、周辺の河川、湖沼や海等にマイクロプラスチック問題を生じさせる虞がない。
なお、本実施形態では、第1改良土3には、遮水材としてベントナイトが採用されているが、粒径が細かいことから透水係数が小さく、遮水材として適用可能な浚渫粘性土やフライアッシュ(石炭灰)を採用しても良いし、これら浚渫粘性土やフライアッシュ(石炭灰)にベントナイトを含んだものを採用してもよい。
また、本実施形態では、堤体1の法面が第1改良土3や第2改良土4により造成されているが、堤体1の天端面も、特に、第1改良土3(ベントナイトを含む)により造成してもよい。要するに、堤体1の表面全域を第1改良土3や第2改良土4により造成してもよい。
1 堤体,3 第1改良土,4 第2改良土,40 排水孔

Claims (10)

  1. 陸側への浸水を防止するために造成された既設堤体を補強するための堤補強構造であって、
    前記堤体の表面を、該堤体または該堤体の周辺地盤を構成している現地土砂、セメント材、短繊維材、遮水材及び水を混合してなる改良土にて造成して構成されることを特徴とする堤補強構造。
  2. 前記堤体の外側の法面が、前記改良土により造成されることを特徴とする請求項1に記載の堤補強構造。
  3. 前記堤体の内側の法面が、前記遮水材を除く前記改良土により造成されることを特徴とする請求項1または2に記載の堤補強構造。
  4. 前記堤体において、外側及び内側の法面のそれぞれが前記改良土により造成され、
    外側の法面に造成された前記改良土を構成する遮水材の単位体積当たりの重量が、内側の法面に造成された前記改良土を構成する遮水材の単位体積当たりの重量よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の堤補強構造。
  5. 前記堤体の内側の法面に造成される前記改良土には、前記堤体内の水を外部に排出する排水孔が形成されることを特徴とする請求項4に記載の堤補強構造。
  6. 前記短繊維材は、天然材であることを特徴とする請求項1~5いずれかに記載の堤補強構造。
  7. 前記遮水材は、ベントナイトを含むことを特徴とする請求項1~6いずれかに記載の堤補強構造。
  8. 陸側への浸水を防止するために造成された既設堤体を補強するための堤補強構造の施工方法であって、
    底面が開放される区画バケツを前記堤体の法面の任意位置に突き刺すように配置するバケツ配置ステップと、
    セメント材、短繊維材、遮水材及び水を混合してなる混合スラリーを、前記区画バケツ内における前記堤体の法面に圧送する圧送ステップと、
    前記区画バケツ内で、前記法面を構成している現地土砂を掘り起こしながら、該現地土砂と前記混合スラリーとを攪拌してなる改良土により前記法面を造成する攪拌ステップと、
    を備えることを特徴とする堤補強構造の施工方法。
  9. 前記区画バケツは、平面視ひし形形状に形成され、
    前記区画バケツの一方の隣接する側壁部は鋼製にてそれぞれ構成され、他方の隣接する側壁部は弾性ゴム製にてそれぞれ構成され、
    前記バケツ配置ステップでは、前記区画バケツの一方の隣接する側壁部を、前記堤体の法面に突き刺すことを特徴とする請求項8に記載の堤補強構造の施工方法。
  10. 前記堤体の法面は、前記区画バケツで囲む範囲が順次改良土により造成されており、
    前記区画バケツを造成済の箇所から次の作業箇所に移動させる際、前記バケツ配置ステップでは、前記区画バケツの他方の隣接する側壁部側が、造成済の箇所と所定幅で重なるようにして、前記区画バケツを次の作業箇所に配置することを特徴とする請求項8または9に記載の堤補強構造の施工方法。
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