JP7196663B2 - 連続鋳造プロセスの制御装置、方法及びプログラム - Google Patents
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例えば特許文献1には、連続鋳造鋳片の切断方法に関して、1チャージ内の各切断鋳片に汎用度合に応じた優先順位を付し、その優先順位の最も高い鋳片の長さで余材を切断することが開示されている。
また、特許文献2には、余材スラブの設計方法に関して、予測によって求められたオーダー量の予測値に基づいて、生産する余材スラブの巾、長さを鋳造計画段階で事前に設計することが開示されている。
また、特許文献2は、連続鋳造プロセスを実行する前段のスケジュール作成時における余材スラブの設計方法に関するものであり、連続鋳造プロセスの実行中に、実際に発生する変動を加味して余材を採片できるようにするものではない。
[1] 溶融金属を鋳型で冷却凝固させ、連続的に引抜いて切断することにより鋳造片を得る連続鋳造プロセスを制御する制御装置であって、
将来の所定の期間の注文個数を予測することにより得られた余材情報を記憶する記憶手段と、
注文に基づいて作成された連続鋳造スケジュールに従って制御される連続鋳造プロセスの実行中に、余材が発生すると判定された場合、前記記憶手段に記憶する前記余材情報に合う余材を採片するように前記連続鋳造プロセスを調整する余材採片用調整手段とを備え、
前記余材採片用調整手段は、前記注文に含まれる切断長さの許容値を含む範囲で切断することにより、前記余材を採片することを特徴とする連続鋳造プロセスの制御装置。
[2] 前記鋳型から連続的に引抜かれる金属の長手方向の領域毎に特性値を付与する特性値付与手段と、
前記連続鋳造プロセスの実行中に、前記特性値付与手段で付与する前記特性値と、注文が要求する要求特性値とに基づいて、前記連続鋳造プロセスを調整する機内調整手段とを備えたことを特徴とする[1]に記載の連続鋳造プロセスの制御装置。
[3] 前記機内調整手段は、前記連続鋳造スケジュールに含まれる切断長さを調整する、前記連続鋳造スケジュールに含まれる切断順を入れ替える、及び前記連続鋳造スケジュールに組み込まれていない注文を充当することのうち少なくともいずれか一つを行うことにより、前記連続鋳造プロセスを調整することを特徴とする[2]に記載の連続鋳造プロセスの制御装置。
[4] 前記余材採片用調整手段は、前記機内調整手段による前記連続鋳造プロセスの調整によっても前記特性値が前記要求特性値を満たさないとき、余材が発生すると判定することを特徴とする[2]又は[3]に記載の連続鋳造プロセスの制御装置。
[5] 前記特性値は、前記連続鋳造プロセスにおける事象の情報と、操業実績の情報とに基づいて定められることを特徴とする[2]乃至[4]のいずれか一つに記載の連続鋳造プロセスの制御装置。
[6] 前記記憶手段に記憶する前記余材情報は、少なくとも前記特性値により層別されていることを特徴とする[2]乃至[5]のいずれか一つに記載の連続鋳造プロセスの制御装置。
[7] 前記記憶手段は、前記余材情報として余材の重量を記憶することを特徴とする[1]乃至[6]のいずれか一つに記載の連続鋳造プロセスの制御装置。
[8] 前記余材採片用調整手段は、湯余り又は湯不足のとき、余材が発生すると判定することを特徴とする[1]乃至[7]のいずれか一つに記載の連続鋳造プロセスの制御装置。
[9] 前記記憶手段に記憶する前記余材情報は、予測手段により、注文実績の注文個数の周期性を考慮するように構築された機械学習の予測モデルを用いて、前記将来の所定の期間の注文個数を予測することにより求められたものであることを特徴とする[1]乃至[8]のいずれか一つに記載の連続鋳造プロセスの制御装置。
[10] 溶融金属を鋳型で冷却凝固させ、連続的に引抜いて切断することにより鋳造片を得る連続鋳造プロセスを制御する制御方法であって、
注文に基づいて作成された連続鋳造スケジュールに従って制御される連続鋳造プロセスの実行中に、余材が発生すると判定された場合、記憶手段に記憶する余材情報に合う余材を採片するように前記連続鋳造プロセスを調整する余材採片用調整工程とを有し、
前記記憶手段に記憶する前記余材情報は、将来の所定の期間の注文個数を予測することにより得られたものであり、
前記余材採片用調整工程では、前記注文に含まれる切断長さの許容値を含む範囲で切断することにより、前記余材を採片することを特徴とする連続鋳造プロセスの制御方法。
[11] 溶融金属を鋳型で冷却凝固させ、連続的に引抜いて切断することにより鋳造片を得る連続鋳造プロセスを制御するためのプログラムであって、
将来の所定の期間の注文個数を予測することにより得られた余材情報を記憶する記憶手段と、
注文に基づいて作成された連続鋳造スケジュールに従って制御される連続鋳造プロセスの実行中に、余材が発生すると判定された場合、前記記憶手段に記憶する前記余材情報に合う余材を採片するように前記連続鋳造プロセスを調整する余材採片用調整手段としてコンピュータを機能させ、
前記余材採片用調整手段は、前記注文に含まれる切断長さの許容値を含む範囲で切断することにより、前記余材を採片することを特徴とするプログラム。
まず、図2(A)乃至(E)を参照して、連続鋳造設備の概略構成及び連続鋳造プロセスを説明する。取鍋1内の溶鋼2は、タンディッシュ3及び浸漬ノズル4を経由して、上下に開口を有する鋳型5に注入される。この鋳型5で溶鋼2の外側が冷却凝固されて、連続的に引抜かれる。連続鋳造プロセスは、取鍋1一杯分の溶鋼を1チャージとし、複数チャージを1キャストとして行われる。鋳型5から連続的に引抜かれる鋼6は切断機7により切断されて、本実施形態では鋳造片として熱間薄板圧延向けのスラブが得られる。
以下では、スラブを圧延して得られる薄板を巻き取ったコイルを、製品コイルと呼ぶ。製品コイルの注文に基づいて、それに必要なスラブの材質や単重(一つ一つのスラブの重量)が決定される。
連続鋳造プロセスの制御装置100は、特性値付与部101と、制御部102とを備える。制御部102は、機内調整部102aと、余材採片用調整部102bとしても機能する。また、連続鋳造プロセスの制御装置100は、記憶装置103にアクセス可能である。記憶装置103には、予測装置104により、将来の所定の期間の注文個数を予測することにより得られた余材情報、本実施形態ではスラブの単重が記憶されている。
特性値付与部101は、鋳型5から連続的に引抜かれる鋼6の長手方向の領域毎に特性値を付与する。例えば図2(C)に示すように、鋳型5の直下において、鋳型5から連続的に引抜かれる鋼6に一定の間隔で特性値を付与する。特性値は、連続鋳造プロセスにおける事象の情報と、操業実績の情報とに基づいて定められる。例えば事象の情報は、鍋スタート、チャージ注入、タンディッシュ交換等の連続鋳造プロセスにおける事象を表す。鋳型5から連続的に引抜かれる鋼6には、キャストボトムやキャストトップと呼ばれる部位や、チャージ間で形成される異鋼種継目のように品質が不安定となる部位があることから、事象の情報に基づいて特性値を定める。また、操業実績は、例えばタンディッシュ3における溶鋼量、溶鋼温度、酸素濃度、浸漬ノズル4における浸漬深さ、開度変動量、鋳型5におけるエア流量、メニスカス流量等が挙げられる。操業実績は鋳型5から連続的に引抜かれる鋼6の品質に影響を与えるので、操業実績の情報に基づいて特性値を定める。本実施形態では、事象の情報と操業実績の情報とに基づいて、特性値をA(高品質),B(中品質),C(低品質)のように付与するものとするが、特性値の詳細は限定されるものではない。
なお、機内調整部102aによる連続鋳造プロセスの調整は、特性値に基づいて行われるだけでなく、例えば操業異常が発生したとき等にも行われる。
制御部102の余材採片用調整部102bは、余材が発生するか否かを判定し、余材が発生すると判定した場合、記憶装置103に記憶するスラブの単重に合う余材を採片するように連続鋳造プロセスを調整する。
例えば材質コード、製品コイルの幅、及び特性値で層別して、次のようにして最適なスラブの単重を求める。図3は、スラブの単重と、予測注文個数との関係の一例を示す。翌月を対象として、図3に示すように、層別に、1トン刻みの重量に対する製品コイルの注文個数を予測し、注文個数が最も多いスラブの単重(図示例では30トン)を最適なスラブの単重、すなわち翌月に注文がある可能性の高いスラブの単重とする。
また、製品コイルの注文個数を予測する予測モデルとして、例えばランダムフォレストといった機械学習の予測モデルを用いることが考えられる。機械学習の予測モデルを用いることにより、注文のパターンを考慮して、翌月の製品コイルの注文個数を予測することができる。例えばある層の製品コイルの過去4ヶ月の注文個数を考えるとして、一月目から順に0個、69個、0個、69個の注文があったとする。この場合、単純モデルでは、翌月(五月目)の製品コイルの注文個数を(69+69)/4≒34個と予測することになり、必ずしも実情と一致しないことがある。それに対して、機械学習の予測モデルでは、その精度にも依るが、翌月(五月目)の製品コイルの注文を0と予測することができ、スポット注文を見抜くことも可能になる。
そして、余材採片用調整部102bは、余材が発生すると判定した場合、記憶装置103に記憶する最適なスラブの単重に合う余材を採片するように連続鋳造プロセスを調整する。具体的には、切断機7による鋼6の切断位置を調整する。
例えば余材となる部分400のうち、特性値が異なる領域間の位置401を切断位置とすることが考えられる。この場合、特性値Cの余材がxトン、特性値Bの余材がyトン得られるが、それに見合う注文が近い将来にあるとは限らない。
それに対して、本実施形態では、翌月に注文がある可能性の高いスラブの単重をめがけて切断位置を決定する。記憶装置103に、余材となる部分400に対応する材質コード及び幅、特性値Cの層で、最適なスラブの単重zトンを記憶しているとする。図4に示すように、余材となる部分400のうちボトム側(下流側)からトップ側(上流側)をみて位置402で切断すれば、当該層のzトンの余材が得られる場合、位置402を切断位置とする。なお、低品質の部位(図4の例では特性値Cの部位)にそれよりも品質の高い部位(図4の例では特性値Bの部位)が混在するとき、特性値Bとして取り扱うことはできないが、特性値Cとして取り扱うことはできる。
なお、機内調整部102aによる連続鋳造プロセスの調整、及び余材採片用調整部102bによる連続鋳造プロセスの調整は、図2(A)~(D)に示すように、鋳型5から連続的に引抜かれる鋼6が切断機7に到達するまでの間は、適宜な間隔で、機内全体(鋳型5の直下から鋼6の先端位置まで)で再構築されるようにすればよい。そして、図2(E)に示すように、鋳型5から連続的に引抜かれる鋼6が切断機7に到達した後は、切断毎に(すなわち、切断をトリガーとして)、機内全体で再構築されるようにすればよい。
例えば上記実施形態では、記憶装置103に記憶する余材情報として、余材の重量であるスラブの単重を説明したが、例えば余材のサイズ(スラブの長さ、幅、厚さ等)としてもよい。
本発明は、本発明の画像生成機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。
101:特性値付与部
102:制御部
102a:機内調整部
102b:余材採片用調整部
103:記憶装置
104:予測装置
Claims (11)
- 溶融金属を鋳型で冷却凝固させ、連続的に引抜いて切断することにより鋳造片を得る連続鋳造プロセスを制御する制御装置であって、
将来の所定の期間の注文個数を予測することにより得られた余材情報を記憶する記憶手段と、
注文に基づいて作成された連続鋳造スケジュールに従って制御される連続鋳造プロセスの実行中に、余材が発生すると判定された場合、前記記憶手段に記憶する前記余材情報に合う余材を採片するように前記連続鋳造プロセスを調整する余材採片用調整手段とを備え、
前記余材採片用調整手段は、前記注文に含まれる切断長さの許容値を含む範囲で切断することにより、前記余材を採片することを特徴とする連続鋳造プロセスの制御装置。 - 前記鋳型から連続的に引抜かれる金属の長手方向の領域毎に特性値を付与する特性値付与手段と、
前記連続鋳造プロセスの実行中に、前記特性値付与手段で付与する前記特性値と、注文が要求する要求特性値とに基づいて、前記連続鋳造プロセスを調整する機内調整手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造プロセスの制御装置。 - 前記機内調整手段は、前記連続鋳造スケジュールに含まれる切断長さを調整する、前記連続鋳造スケジュールに含まれる切断順を入れ替える、及び前記連続鋳造スケジュールに組み込まれていない注文を充当することのうち少なくともいずれか一つを行うことにより、前記連続鋳造プロセスを調整することを特徴とする請求項2に記載の連続鋳造プロセスの制御装置。
- 前記余材採片用調整手段は、前記機内調整手段による前記連続鋳造プロセスの調整によっても前記特性値が前記要求特性値を満たさないとき、余材が発生すると判定することを特徴とする請求項2又は3に記載の連続鋳造プロセスの制御装置。
- 前記特性値は、前記連続鋳造プロセスにおける事象の情報と、操業実績の情報とに基づいて定められることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の連続鋳造プロセスの制御装置。
- 前記記憶手段に記憶する前記余材情報は、少なくとも前記特性値により層別されていることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の連続鋳造プロセスの制御装置。
- 前記記憶手段は、前記余材情報として余材の重量を記憶することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の連続鋳造プロセスの制御装置。
- 前記余材採片用調整手段は、湯余り又は湯不足のとき、余材が発生すると判定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の連続鋳造プロセスの制御装置。
- 前記記憶手段に記憶する前記余材情報は、予測手段により、注文実績の注文個数の周期性を考慮するように構築された機械学習の予測モデルを用いて、前記将来の所定の期間の注文個数を予測することにより求められたものであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の連続鋳造プロセスの制御装置。
- 溶融金属を鋳型で冷却凝固させ、連続的に引抜いて切断することにより鋳造片を得る連続鋳造プロセスを制御する制御方法であって、
注文に基づいて作成された連続鋳造スケジュールに従って制御される連続鋳造プロセスの実行中に、余材が発生すると判定された場合、記憶手段に記憶する余材情報に合う余材を採片するように前記連続鋳造プロセスを調整する余材採片用調整工程とを有し、
前記記憶手段に記憶する前記余材情報は、将来の所定の期間の注文個数を予測することにより得られたものであり、
前記余材採片用調整工程では、前記注文に含まれる切断長さの許容値を含む範囲で切断することにより、前記余材を採片することを特徴とする連続鋳造プロセスの制御方法。 - 溶融金属を鋳型で冷却凝固させ、連続的に引抜いて切断することにより鋳造片を得る連続鋳造プロセスを制御するためのプログラムであって、
将来の所定の期間の注文個数を予測することにより得られた余材情報を記憶する記憶手段と、
注文に基づいて作成された連続鋳造スケジュールに従って制御される連続鋳造プロセスの実行中に、余材が発生すると判定された場合、前記記憶手段に記憶する前記余材情報に合う余材を採片するように前記連続鋳造プロセスを調整する余材採片用調整手段としてコンピュータを機能させ、
前記余材採片用調整手段は、前記注文に含まれる切断長さの許容値を含む範囲で切断することにより、前記余材を採片することを特徴とするプログラム。
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