JP7195994B2 - 圧力センサ - Google Patents

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Description

本発明は、流体の圧力を測定する圧力センサに関する。
一般に、ダイアフラムに流体を接触させ、オイル等の液体を介して、歪ゲージに伝達された圧力を測定する圧力センサが知られている。
例えば、封入された液体の温度変化に伴う膨張、収縮を吸収するべくメタルダイアフラムの大きな変位を得ることができる液封型圧力センサが開示されている(特許文献1参照)。また、ダイアフラムの外周に凸部が設けられ、零点ドリフトの発生を抑える圧力検出装置が開示されている(特許文献2参照)。
特許第4708679号公報 特開平11-132887号公報
しかしながら、液体の熱膨張による検出誤差を軽減するには、ダイアフラムを薄くすることが有効であるが、ダイアフラムを薄くすると、ダイアフラムが変動限界に達するのが早くなる。このため、基準温度からの温度差が大きくなると、ダイアフラムの変形が鈍くなり、圧力センサの温度特性が2次的に悪化する。これにより、温度特性が2次的カーブになる。このような2次的カーブの温度特性は、温度補償抵抗の追加による温度補償で改善することが困難である。
本発明の実施形態の目的は、ダイアフラムを薄くした上で、温度補償をし易くした圧力センサを提供することにある。
本発明の観点に従った圧力センサは、圧力を測定するセンサ部と、センサ部が収容される空間に充填される液体と、表面に受けた測定対象の流体からの圧力が前記液体を介して前記センサ部に伝達され、前記表面における前記流体と接触する有効面の有効外周直径が6mm以上、及び、厚さが10μm以上30μm以下であり、温度特性が2次的なカーブから1次的なカーブに近似されるように、前記有効外周直径の半分より短い直径の輪状の内側凸部及び前記有効外周直径の半分より長い直径の輪状の外側凸部が同じ中心で前記表面に設けられたダイアフラムとを備える。
本発明の実施形態によれば、ダイアフラムを薄くした上で、温度補償をし易くした圧力センサを提供することができる。
本発明の実施形態に係る圧力センサの構成を示す断面図。 本実施形態に係る圧力センサの圧力導入ポートを取り外した構成を示す斜視図。 本実施形態に係る2つの凸部が設けられたダイアフラムの一例を側面から見た側面図。 本実施形態に係る圧力センサの温度特性を示す特性図。
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る圧力センサ10の構成を示す断面図である。図2は、本実施形態に係る圧力センサ10の圧力導入ポート7を取り外した構成を示す斜視図である。なお、図面における同一部分には同一符号を付して、適宜説明を省略する。
圧力センサ10は、腐食性流体等の圧力を測定する液封型圧力センサである。
圧力センサ10は、ベース部材1、ダイアフラム2、センサチップ3、台座4、液体5、複数の端子6、及び、圧力導入ポート7を備える。
ベース部材1は、底面の中央部分が凹むように空間が形成された高さの低い円柱形状(碗形状)である。ベース部材1は、圧力センサ10の本体部分の外形を形成するハウジングの機能を有する。ベース部材1は、例えば金属製である。
ダイアフラム2は、薄い円板状で、底面側の表面(測定対象の流体との接触面)に2つの同心円状の凸部21,22が設けられた形状の部材である。なお、凸部は、2つ以上であれば、いくつ設けられてもよい。ダイアフラム2は、ベース部材1に設けられた空間を塞ぐように、ベース部材1の底面に設けられる。ダイアフラム2は、測定対象の流体と表面で接触し、流体からの圧力を受ける。ダイアフラム2は、表面で受けた圧力を裏面に接触する液体5を介してセンサチップ3に伝達される。ダイアフラム2は、腐食性流体に晒されても腐食しない耐性を有する材質である。例えば、ダイアフラム2は、ステンレススチール等の金属製である。なお、ダイアフラム2は、少なくとも表面が腐食に対する耐性を有していればよい。
センサチップ3は、ベース部材1に設けられた空間に液体5が充填された状態で収容される。センサチップ3は、液体5の圧力を測定することで、流体の圧力を測定する。センサチップ3は、例えば歪ゲージを備える。歪ゲージは、加えられた圧力により変形することで、変形量を電気的信号(電圧又は抵抗等を示す信号)に変換する。センサチップ3には、圧力を検出するための回路(例えば、ホイートストンブリッジ回路)が形成されてもよい。例えば、センサチップ3は、シリコン基板により構成される。センサチップ3の基板は、全体的に薄い板状になるように、裏面側に空洞が形成された凸形状である。これにより、センサチップ3の基板は、ダイアフラムとして機能する。なお、センサチップ3は、加えられた圧力を電圧に変換する圧電素子を用いてもよい。
台座4は、ベース部材1の内部の空間に設けられ、表面にセンサチップ3を実装するための部材である。台座4は、ガラス等の電気絶縁性の材料で形成される。
液体5は、ダイアフラム2に加えられた圧力をセンサチップ3に伝達する物質である。液体5は、例えばシリコンオイルである。液体5は、ベース部材1のセンサチップ3が収容された空間を完全に満たすように充填される。液体5は、ベース部材1の底面に設けられたダイアフラム2の裏面と全面的に隙間なく接触する。
端子6は、センサチップ3から出力された電気信号をベース部材1の外部に取り出すための配線である。端子6は、いくつ設けられてもよい。端子6は、センサチップ3と配線WR(例えば、ワイヤボンディング)で電気的に接続される。端子6は、ベース部材1のダイアフラム2と反対側の表面から突き出た状態に設けられる。端子6と端子6が貫通するベース部材1の穴との間の隙間には、ベース部材1の内部の空間を密閉するための絶縁材IS(例えば、ガラス)が充填される。
圧力導入ポート7は、測定対象の流体をダイアフラム2の表面に接触するように誘導するための部材である。圧力導入ポート7は、ベース部材1のダイアフラム2側に取り外し可能に接合される。圧力導入ポート7は、円筒に近い形状であり、中心部分には、測定対象の流体が通り抜ける穴が垂直方向に設けられた形状である。圧力導入ポート7のダイアフラム2側には、厚みのある円板状の空間を形成する凹み部分が設けられる。圧力導入ポート7がベース部材1に取り付けられた状態では、測定対象の流体がダイアフラム2の表面と全面的に接触するような空間が形成される。
次に、図3を参照して、ダイアフラム2の凸部21,22について説明する。
図3は、2つの凸部21,22が設けられたダイアフラム2の一例を側面から見た側面図である。
まず、凸部21,22を設ける基本的な設計方法について説明する。
温度変化によりベース部材1の内部の液体5が膨張又は収縮すると、センサチップ3に膨張圧又は収縮圧がかかるため、圧力を印加していなくても、圧力センサ10の出力に変動が生じる。これを軽減するために、ダイアフラム2を薄くすることで、内部の膨張圧を緩和する。具体的には、ダイアフラム2の有効外周径(測定対象の流体と接触する有効面の外周の直径)が6mm以上の場合、ダイアフラム2の厚さを10μm以上30μm以下とする。
一方、ダイアフラム2を薄くすると、ダイアフラム2が変動限界に達するのが早くなる。即ち、塑性変形し易くなる。このため、基準温度(例えば、室温25度)からの温度差が大きくなると、ダイアフラム2の変動が鈍くなり、圧力センサ10の温度特性が2次的に悪化する。したがって、圧力センサ10の温度特性は、2次的なカーブになる。しかし、2次的なカーブの温度特性は、温度補償抵抗の追加よる温度補償では、十分に温度補償することができない。
例えば、温度補償抵抗は次のとおりである。
センサチップ3がシリコン単結晶の感圧素子で構成され、感圧素子内の拡散抵抗によりブリッジ回路が形成されている場合について説明する。この場合、感圧素子に圧力が加わると、ブリッジ回路に不均衡が生じて、出力端に電圧差が生じる。この電圧差を検出することで、圧力が測定される。
このような構成において、温度補償抵抗には、ゼロ点用温度補償抵抗、ブリッジバランス用温度補償抵抗、及び、スパン(感度)用温度補償抵抗がある。これらの温度補償抵抗をブリッジ回路に設けることで、温度補償が行われる。ゼロ点用温度補償抵抗は、圧力センサに圧力が加えられていないゼロ点の温度補償を行う抵抗である。ブリッジバランス用温度補償抵抗は、ブリッジ回路のブリッジ不平衡を改善するための温度補償を行う抵抗である。スパン用温度補償抵抗は、圧力センサの感度を改善するための温度補償を行う抵抗である。これらの温度補償抵抗の追加による温度補償は、液体5の熱膨張による温度特性分を加味して行うことができる。
そこで、ダイアフラム2の表面に凸部21,22(コルゲーション)を設けることで、液体5の膨張又は収縮によるダイアフラム2の伸び量(変形量)を大きくするとともに、2次的なカーブな温度特性を1次的なカーブになるように修正する。
凸部21,22は、ダイアフラム2と同じ中心の同心円の輪状である。内側凸部21は、ダイアフラム2の有効外周径の半分の長さよりも短い外周径である。外側凸部22は、ダイアフラム2の有効外周径の半分の長さよりも長い外周径である。
2つの凸部21,22は、いずれもダイアフラム2の最大の弾性変形量を大きくする。一方、内側凸部21を設けた場合と外側凸部22を設けた場合では、ダイアフラム2の剛性(変形のし易さ)に対する影響は異なる。例えば、外周径の短い内側凸部21の方が、外周径の長い外側凸部22よりも、ダイアフラム2の剛性を高くする。
したがって、凸部21,22の設けられていないダイアフラム2の2次的なカーブの温度特性に対して、1次的なカーブになるように、2つの凸部21,22の位置関係を微調整する。なお、温度特性を1次的なカーブにするために、3つ目の凸部を設けてもよく、この凸部の外周径は任意の長さでよい。
次に、図3を参照し、凸部21,22の具体例を説明する。なお、温度特性が2次的なカーブから1次的なカーブに近付くのであれば、ここで説明する形態に限らず、凸部21,22の位置又は形状等はどのようにしてもよい。
ダイアフラム2は、厚さが20μm、有効外周径が12.5mmである。
内側凸部21は、輪状の内側の直径が4.2mm、輪状の外側の直径が5.8mm、中央に位置する頂点部分の直径が5mmである。
外側凸部22は、輪状の内側の直径が9.4mm、輪状の外側の直径が11mm、中央に位置する頂点部分の直径が10.2mmである。
凸部21,22の高さ(ダイアフラム2の厚さを含む)は、0.175mmである。凸部21,22の形状は、頂点部分と裾野部分とで、互いに異なる曲率で形成される。
図4は、本実施形態に係る圧力センサ10の温度特性を示す特性図である。
図4に示すように、基準温度25度に対して、約0度から約50度までの測定範囲であれば、ほぼ一次的なカーブと見ることができる。したがって、温度補償抵抗の追加による温度補償で、温度特性を改善することができる。なお、デジタル手法による温度補償を同時に行ってもよい。
これに対して、輪状の凸部が1つ以下の場合は、凸部をどの場所に設けても、基準温度25度±約10度の範囲を超えると、温度特性が2次的なカーブになり、1次的なカーブに近似することは困難である。
本実施形態によれば、有効外周径が6mm以上のダイアフラム2において、ダイアフラム2の厚さを10~30μmとし、径の小さい輪状の凸部21と径の大きい輪状の凸部22を、圧力センサ10としての温度特性が一次的なカーブに近似されるように配置することで、圧力センサ10の温度特性変動(温度による出力変動量又は出力変動挙動)を簡易で高精度な温度補償をすることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、構成要素を削除、付加又は変更等をしてもよい。また、複数の実施形態について構成要素を組合せ又は交換等をすることで、新たな実施形態としてもよい。このような実施形態が上述した実施形態と直接的に異なるものであっても、本発明と同様の趣旨のものは、本発明の実施形態として説明したものとして、その説明を省略している。
1…ベース部材、2…ダイアフラム、3…センサチップ、4…台座、5…液体、6…端子、7…圧力導入ポート、10…圧力センサ、21,22…凸部。

Claims (4)

  1. 圧力を測定するセンサ部と、
    前記センサ部が収容される空間に充填される液体と、
    表面に受けた測定対象の流体からの圧力が前記液体を介して前記センサ部に伝達され、前記表面における前記流体と接触する有効面の有効外周直径が6mm以上、及び、厚さが10μm以上30μm以下であり、温度特性が2次的なカーブから1次的なカーブに近似されるように、前記有効外周直径の半分より短い直径の輪状の内側凸部及び前記有効外周直径の半分より長い直径の輪状の外側凸部が同じ中心で前記表面に設けられたダイアフラムと
    を備えることを特徴とする圧力センサ。
  2. 前記ダイアフラムは、前記流体との接触による腐食に対する耐性を有すること
    を特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
  3. 前記温度特性に基づく温度補償をするための温度補償抵抗
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
  4. 圧力を測定するセンサ部が収容される空間に液体が充填された圧力センサの製造方法であって、
    表面に受けた測定対象の流体からの圧力が前記液体を介して前記センサ部に伝達され、前記表面における前記流体と接触する有効面の有効外周直径が6mm以上、及び、厚さが10μm以上30μm以下であるダイアフラムに、温度特性が2次的なカーブから1次的なカーブに近似されるように、前記有効外周直径の半分より短い直径の輪状の内側凸部及び前記有効外周直径の半分より長い直径の輪状の外側凸部を前記ダイアフラムと同じ中心で前記表面に設けること
    を含むことを特徴とする圧力センサの製造方法。
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