JP7195660B1 - 口腔内崩壊錠 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、良好な崩壊性と適度な機械的強度を有する、トラマドール塩酸塩を含有する口腔内崩壊錠を提供することである。【解決手段】本発明によって、有効成分としてトラマドール塩酸塩を含有し、さらにクロスポピドンと結晶セルロースを含む口腔内崩壊錠が提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、トラマドール塩酸塩を有効成分として含有する口腔内崩壊錠に関する。本発明に係る口腔内崩壊錠は、適度な機械的強度を有するとともに小型であり、口腔に入れたときに水なしで迅速に崩壊する。
トラマドールおよびその塩は、非麻薬指定の中枢性鎮痛薬であり、オピオイド作用及びモノアミン増強作用(ノルアドレナリン再取り組み阻害作用、セロトニン再取り込み阻害作用)により鎮痛作用を示すことが知られている。特にトラマドールの塩酸塩を含有する薬剤は、痛みに対する治療剤として広く使用されている(特許文献1)。
しかしながら、トラマドール塩酸塩の優れた鎮痛作用にもかかわらず、トラマドール塩酸塩は強い苦味を有しており、現在使用されている錠剤は、この苦味を軽減するために多くの添加剤を使用し、大きめの形状となっている(非特許文献1)。
また、高齢化社会の進展や生活環境の変化に鑑み、錠剤の便利な特性である簡便性を維持しつつ、嚥下力の弱い高齢者や乳幼児を含む患者が、いつでもどこでも水なしで容易に服用できる口腔内崩壊錠の開発が望まれている。このような錠剤は、高齢者や乳幼児以外の患者でも、水のない屋外では水なしで服用することができ、口腔内崩壊錠はすべての患者の服薬コンプライアンスを向上させることができる。
国際公開第2015/044952号
「トラマール(登録商標)OD錠」医薬品インタビューフォーム2020年11月改訂(第15版)
一般に、口腔内崩壊錠は口腔内で崩壊させるため機械的強度はあまり高くないが、機械的な強度が低すぎると形状を維持できず、例えば、包装や流通の過程、服用時に患者が包装から取り出す際などに錠剤が崩壊してしまうことがある。したがって、口腔内崩壊錠は、口腔内速崩壊性に優れているだけでなく、取り扱いに問題の
Figure 0007195660000002
ない程度の機械的強度を有していることが望ましい。
本発明の課題は、良好な崩壊性と機械的強度を兼ね備えた、トラマドール塩酸塩を含有する口腔内崩壊錠を提供することである。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、良好な崩壊性と機械的強度を確保した口腔内崩壊錠の開発に成功し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明に係る口腔内崩壊錠は、クロスポピドンと結晶セルロースを一定の比率で併用することを特徴とする。
これに限定されるものではないが、本発明は、下記の態様を包含する。
[1] 有効成分としてトラマドール塩酸塩を含有し、クロスポピドンおよび結晶セルロースを含有する口腔内崩壊錠。
[2] クロスポビドンと結晶セルロースの重量比(クロスポビドン/結晶セルロース)が0.2~2.0である、[1]に記載の口腔内崩壊錠。
[3] クロスポピドンの含有量が3~45重量%である、[1]または[2]に記載の口腔内崩壊錠。
[4] クロスポピドンの含有量が10~30重量%である、[1]~[3]のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
[5] クロスポピドンの平均粒子径が15μm以上である、[1]~[4]のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
[6] 結晶セルロースの嵩密度が0.15~0.45g/cmである、[1]~[5]のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
[7] 錠剤の硬度が4.0~10kNであり、崩壊時間が100秒以下である、[1]~[6]のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
[8] トラマドール塩酸塩を含有する口腔内崩壊錠を製造する方法であって、トラマドール塩酸塩、クロスポピドンおよび結晶セルロースを含む材料を混合して打錠する工程を含む、上記方法。
[9] トラマドール塩酸塩を含む顆粒を造粒する工程と、造粒した顆粒にクロスポピドンと結晶セルロースを添加して打錠する工程と、を含む、[8]に記載の方法。
本発明により、適度な機械的強度を保ったままで、口腔内崩壊性に優れる小型のトラマドール塩酸塩含有口腔内崩壊錠の提供が可能となった。
図1は溶出試験結果を示す図である(実施例:サンプル4C、比較例:サンプル1A)。
本発明は、口腔内崩壊錠に関する。本発明に係る口腔内崩壊錠は、口腔内において短い時間で崩壊する固形製剤であり、好ましくは100秒以内、より好ましくは60秒以内、さらに好ましくは45秒以内に崩壊し、水を摂取することなく口腔内で崩壊させて服用が可能である。崩壊時間については公知の方法で測定可能であり、例えば、口腔内崩壊錠試験器(富山産業、ODT-101)を用いて測定することができる。
本発明に係る口腔内崩壊錠は適度な機械的強度を備えており、例えば、PTPなどの包材から錠剤を取り出す際に壊れないだけではなく、製造過程や流通過程において問題のない強度を有する。好ましい態様において、本発明に係る口腔内崩壊錠の硬度は3.0kN以上であり、4.5kN以上がより好ましく、6.0~15kNとしてもよい。錠剤硬度は公知の方法で測定することができ、例えば、硬度計(岡田精工、DC-50)を用いて測定することができる。
本発明によれば比較的小型の口腔内崩壊錠を製造することができ、トラマドール塩酸塩を50mg含有する錠剤であれば、例えば、錠剤重量を300mg以下にすることができ、250mg以下や200mg以下にすることも可能である。また、トラマドール塩酸塩を25mg含有する錠剤であれば、例えば、錠剤重量を200mg以下にすることができ、150mg以下にすることも可能である。
本発明に係る口腔内崩壊錠の形状は特に限定されず、例えば、円形錠、円形R錠、円形隅角錠とすることができ、分割錠としてもよい。トラマドール塩酸塩を50mg含有する錠剤であれば、円形錠の場合、例えば、直径を9.5mm以下にすることができ、6.5~9.0mmにすることも可能である。また、トラマドール塩酸塩を25mg含有する錠剤であれば、円形錠の場合、例えば、直径を9.0mm以下にすることができ、6.0~8.0mmにすることも可能である。
本発明に係る口腔内崩壊錠は、適度な溶出性を備えており、例えば、15分経過時点での溶出性が60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。また、好ましい態様において、5分経過時点での溶出性が60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。錠剤の溶出性については、日本薬局方に規定された溶出試験法に基づいて測定することができる。
有効成分
本発明の口腔内崩壊錠は、有効成分としてトラマドール塩酸塩を含有する。トラマドールの化学名は、(±)-トランス-2-[(ジメチルアミノ)メチル]-1-(3-メトキシフェニル)シクロヘキサノール)である。トラマドールは、オピオイド鎮痛薬として主に経口で使用され、関節リウマチ、むずむず脚症候群、運動ニューロン疾患、線維筋痛症の治療など、幅広い用途において広く使用されている。
本発明の口腔内崩壊錠は、有効成分としてトラマドール塩酸塩を含有するが、その製剤中含量は、例えば、5~50重量%であり、好ましくは10~40重量%であり、15~30重量%としてもよい。
トラマドール塩酸塩は、水やエタノールに容易に溶解する白色で無臭の結晶性粉末であるが、苦味を有する。本発明においては、マスキング剤として、甘味剤や矯味剤などを使用することができ、例えば、アスパルテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、ステビア、タウマチン、スクラロース、アセスルファムKなどを好適に使用することができる。
また、トラマドール塩酸塩は、苦味マスキング、溶出制御、安定化などの目的で、その表面の一部または全部を高分子などで被覆してもよい。有効成分の表面にコーティング剤を付着させ、表面の全部または一部を覆う場合、コーティング剤としては、例えば、水溶性高分子、水不溶性高分子、胃溶性高分子、腸溶性高分子などを好適に使用できる。被覆するための装置としては、一般的な流動層造粒機を制限なく使用することができ、一般的なスプレードライヤーを用いて噴霧乾燥することができる。
添加剤
本発明の口腔内崩壊錠は有効成分としてトラマドール塩酸塩を含有するが、クロスポピドンと結晶セルロースを必ず含有する。クロスポビドンは錠剤の崩壊性に寄与し、結晶セルロースは錠剤の機械的強度を維持するのに有効であり、本発明においては、両者を併用することによって優れた口腔内崩壊錠を実現している。クロスポビドンと結晶セルロースを併用する際の重量比(クロスポビドン/結晶セルロース)は特に制限されないが、0.2~2.0が好ましく、0.3~1.5や0.4~1.0としてもよい。
本発明に使用するクロスポビドンに特に制限はないが、平均粒子径が10~250μmが好ましく、50~200μmや100~150μmがより好ましい。すなわち、粒子径が小さすぎると崩壊性が低下する一方、粒子径が大きすぎると成形性や機械的強度が低くなる傾向にあるため、崩壊性や成型性などを踏まえて決定すればよい。平均粒子径は、例えば、レーザー回折式の粒度分布測定機を用いて測定することができる。
また、本発明の錠剤に使用するクロスポピドンの量は特に制限されないが、製剤重量の1~30重量%が好ましく、3~25重量%や6~20重量%としてもよい。例えば、トラマドール塩酸塩を25~50mg含有する錠剤であれば、クロスポピドンの含有量は、例えば、6~25重量%が好ましく、10重量%以上としてもよい。
本発明においては、クロスポビドンとともに結晶セルロースを使用する。結晶セルロースは、医薬品に使用されるものであれば制限なく使用することができるが、崩壊性や機械的強度の観点から、嵩密度は0.15~0.50g/cmが好ましく、0.16m~0.45g/cmがより好ましく、0.17~0.40g/cm、0.18~0.35g/cm、0.19~0.30g/cm、0.20~0.25g/cmとしてもよい。
また、結晶セルロースは錠剤の強度を維持する結合剤として機能し、本発明で使用する結晶セルロースの含有量は特に制限されないが、製剤重量の1~40重量%が好ましく、3~35重量%や6~30重量%としてもよい。例えば、トラマドール塩酸塩を25~50mg含有する錠剤であれば、結晶セルロースの含有量は、例えば、6~30重量%が好ましく、10重量%以上や15重量%以上としてもよい。結晶セルロースの平均粒子径は特に制限されないが、1~200μmが好ましく、10~150μmや20~100μmがより好ましい。
本発明においてはクロスポビドンと結晶セルロースの他にも、発明の効果に支障が無い限り、錠剤の製造に一般に用いられる種々の添加剤を用いることができる。使用する添加剤としては、医薬的に許容されるものであれば1つだけでなく複数を用いることができる。このような添加剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、乳化剤、安定剤、滑沢剤、コーティング剤、可塑剤、着色剤、着香剤、甘味剤、矯味矯臭剤、矯味剤、流動化剤、発泡剤及び界面活性剤等を挙げることができる。
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、カルナウバロウ、L-ロイシン、マクロゴール、フマル酸ステアリルナトリウム及びショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。滑沢剤の含有量は特に制限されないが、例えば、0.01~5重量%の範囲で用いられ、好ましくは0.1~4重量%であり、0.2~3重量%としてもよい。
本発明においては、上記の他にも製剤分野において通常使用される材料を添加してもよく、例えば、ケイ酸カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、マンニトールなどの糖類、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体、カルボキシメチルスターチナトリウムなどの澱粉や澱粉誘導体などが挙げられる。特に本発明においては、マンニトールなどの糖類を配合すると速やかな崩壊性と適度な硬度を有する錠剤を得られやすくなる。マンニトールは、白色の糖アルコールの一種であり、甘味があり口腔内で清涼感を与えることができ、さらに水に容易に溶解する。D-マンニトールには複数の結晶多形が存在することが知られているが、本発明においては、アルファー型、ベータ型、デルタ型のいずれも使用することができる。D-マンニトールなどの糖類の配合量は特に制限されないが、例えば、錠剤の全重量の3~30%とすることができ、5~20%としてもよい。
本発明の口腔内崩壊錠は、公知の方法で製造することができるが、例えば、有効成分と崩壊剤を圧縮成型することによって製造できる。有効成分であるトラマドール塩酸塩については、あらかじめ添加剤と混合したり、造粒したりすることができ、活性成分の含量均一性を良好にするため、篩い分けや粉砕によって造粒物の粒子径を調整してもよい。
圧縮成型の方法は特に制限されないが、ロータリー式打錠機や単発打錠機などの打錠機を使用することができ、例えば、1kN(約100kgf)以上の圧縮力で圧縮成型すればよい。本発明の錠剤は、外部滑沢法を用いなくとも圧縮成型が可能であるが、外部滑沢法を用いても成型可能であり、例えば、滑沢剤を杵臼に噴霧しながら打錠を行ったり、滑沢剤の一部をあらかじめ混合した後、残りの滑沢剤を杵臼に噴霧しながら打錠を行ったりすることができる。
以下に、本発明の実施例を挙げて、より具体的に本発明を説明するが、下記の実施例は説明のために例示したものであり、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
なお、本明細書において、特記しないかぎり、濃度などは重量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
実験1:崩壊剤の種類の検討
(1-1)錠剤の製造
トラマドール塩酸塩(薬物)、結晶セルロース(旭化成、セオラスUF-711)、デキストリン(日澱化學、アミコールNo.10)を表に示す配合比で乳鉢に量り取り、混合した。混合物に精製水を添加してから練合し、16メッシュの篩に通して造粒末を得た。この造粒物を定温乾燥器(ETTAS、ON-600S-R)で60℃、2時間乾燥し、その後、32メッシュの篩を用いて整粒して薬物含有顆粒を得た(顆粒の直径:約0.5mm)。
この薬物含有顆粒および各種添加剤を表の配合比で量り取り、袋に投入して混合した。さらに、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム(太平化学産業)を下表の配合比で袋に投入して混合し、ハンドプレス式打錠機(市橋精機、HANDTAB-200)を用いて口腔内崩壊錠を製造した。現在市販されているトラマドール塩酸塩を含有する口腔内崩壊錠(トラマールOD錠50mg)のサイズが直径10mm(重量:380mg)であるところ、本実験においては、より小型の錠剤を成型した(直径:9mm、重量:240mg)。
添加剤としては、以下の材料を用いた。
・D-マンニトール(ロッケットジャパン、PEARLITOL200SD)
・ケイ酸カルシウム(富田製薬、フローライト)
・結晶セルロース(旭化成、セオラスUF-711)
・クロスポピドン(アイエスピー・ジャパン、Polyplasdone XL、粒径:145μm)
・低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC、信越化学、LH-21)
・クロスカルメロースナトリウム(デュポン、Ac-Di-Sol)
・カルメロースカルシウム(五徳薬品、ECG-505)
Figure 0007195660000003
(1-2)錠剤の評価
崩壊試験は第17改正日本薬局方に準じて実施し、補助版なしで評価した。また、溶出性に関しては、第17改正日本薬局方の溶出試験法に準じ、下表の条件で評価した。錠剤の硬度は、ロードセル式卓上硬度計(岡田精工、DC-50)を用いて測定した。なお、崩壊試験は2錠、溶出試験は3錠について試験を行い、その平均を算出した。
なお、サンプル1Aと1Bについては、苦味のマスキングについても評価した。錠剤の苦味は、訓練された3名のパネルによる合議により、3段階で評価した(+:わずかに苦い、++:やや苦い、+++、苦い)。
Figure 0007195660000004
(1-3)結果
評価結果を下表に示すが、崩壊剤を添加しないサンプル1Aは、20分以上経過しても崩壊しなかったのに対して、崩壊剤を配合した錠剤は、適度な崩壊性と溶出性を示した。中でも、崩壊剤としてクロスポピドンと結晶セルロースを併用したサンプル1Bは、崩壊性と溶出性が特に好ましいものであった。
なお、サンプル1Aと1Bについて苦味を確認したところ、マスキング剤を添加していないため苦味が確認された(サンプル1A:+++、サンプル1B:+++)。
Figure 0007195660000005
実験2:クロスポビドンの配合比率の検討
(2-1)錠剤の製造
実験1と同様にしてトラマドール塩酸塩(薬物)を含有する顆粒を調製した後、この薬物含有顆粒、各種添加剤を表の配合比で量り取り、袋に投入して混合した。さらに、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム(太平化学産業)を下表の配合比で袋に投入して混合し、実験1と同様にしてハンドプレス式打錠機(市橋精機、HANDTAB-200)を用いて口腔内崩壊錠を成型した。
本実験においては、実験1に記載した添加剤に加えて、マスキング剤として、以下の材料を使用した。
・アスパルテーム(味の素、PAL SWEET DIET)
・L-メントール(高砂工業)
Figure 0007195660000006
(2-2)錠剤の評価
製造した口腔内崩壊錠を実験1と同様にして評価した結果を下表に示すが、クロスポピドンの添加量を増やすことにより崩壊性は良好になった。崩壊時間が90秒以内であるサンプル2C~2Fが好ましく、崩壊時間が40秒以内であるサンプル2D~2Fがより好ましいものであった。
また、サンプル2Aと2Dについて、苦味を実験1と同様に官能評価したところ、効果的に苦味がマスキングされていた(サンプル2A:+、サンプル2D:+)。また、苦味マスキングのための添加剤(アルパルテームおよびL-メントール)を使用しても、崩壊性に大きな影響がないことが確認できた。
さらに、サンプル2Cに関しては分割性も評価した。具体的には、口腔内崩壊錠5錠を2つに分割して得た10個の半錠について、質量を測定してばらつき(標準偏差)を評価した。錠剤は、割線の反対側にスパーテルをあて、割線を押し開けるようにして分割した。10個の半錠について、質量のばらつきは1.8mgと極めて小さいものであり、分割性は良好であった。また、サンプル2Cの半錠について崩壊時間を測定したところ、崩壊時間は40秒であり、口腔内崩壊錠としての崩壊性を損なうこともなかった。
Figure 0007195660000007
実験3:クロスポビドンの粒子径の検討
(3-1)錠剤の製造
実験1と同様にしてトラマドール塩酸塩(薬物)を含有する顆粒を調製した後、この薬物含有顆粒、各種添加剤を表の配合比で量り取り、袋に投入して混合した。さらに、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム(太平化学産業)を下表の配合比で袋に投入して混合し、実験1と同様にしてハンドプレス式打錠機(市橋精機、HANDTAB-200)を用いて口腔内崩壊錠を成型した。
本実験においては、粒子径の影響を確認するため、平均粒子径の異なる下記のクロスポピドンを使用した。
・PolyplasdoneXL(アイエスピー・ジャパン、粒径:145μm)
・Polyplasdone XL-10(アイエスピー・ジャパン、粒径:27μm)
・Kollidon CL(BASF、粒径:118μm)、
・Kollidon CL-SF(BASF、粒径:17μm)、
・Kollidon CL-M(BASF、粒径:5.4μm)
Figure 0007195660000008
(3-2)錠剤の評価
製造した口腔内崩壊錠を実験1と同様にして評価した結果を下表に示すが、錠剤の崩壊性は、崩壊時間が90秒以内であるサンプル3A~3Dが好ましく、崩壊時間が40秒以内であるサンプル3A~3Bがより好ましいものであった。
Figure 0007195660000009
実験4:結晶セルロースの検討
(4-1)錠剤の製造
実験1と同様にしてトラマドール塩酸塩(薬物)を含有する顆粒を調製した後、この薬物含有顆粒、各種添加剤を表の配合比で量り取り、袋に投入して混合した。さらに、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを下表の配合比で袋に投入して混合し、実験1と同様にしてハンドプレス式打錠機(市橋精機、HANDTAB-200)を用いて口腔内崩壊錠を成型した。
本実験においては、嵩密度の影響を確認するため、嵩密度の異なる下記の結晶セルロースを使用した(平均粒子径は、いずれも50μm)。
・セオラスUF-711(旭化成、嵩密度:0.20~0.26g/cm
・セオラスPH-101(旭化成、嵩密度:0.26~0.31g/cm
・セオラスPH-301(旭化成、嵩密度:0.35~0.42g/cm
Figure 0007195660000010
(4-2)錠剤の評価
製造した口腔内崩壊錠を実験1と同様にして評価した。クロスポビドンに加えて結晶セルロースを添加することにより、崩壊性を損なわずに、適度な硬度を有する錠剤を得ることができた。また、打錠の際に添加する結晶セルロースは、嵩密度が小さい方が錠剤の硬度が向上する傾向が確認された。
Figure 0007195660000011
実験5:直接打錠による口腔内崩壊錠の製造
(5-1)錠剤の製造
トラマドール塩酸塩を含有する顆粒を調製することなく、原料を直接打錠することによって口腔内崩壊錠を製造した。すなわち、下表の配合比で原料を袋に投入して混合した後、ハンドプレス式打錠機(市橋精機、HANDTAB-200)を用いて口腔内崩壊錠を製造した(直径:9mm、重量:240mg)。
Figure 0007195660000012
(5-2)錠剤の評価
製造した口腔内崩壊錠を実験1と同様にして評価した結果を下表に示す。顆粒を調製せずに、原料を直接打錠した場合でも、本発明によって優れた口腔内崩壊錠を製造することができた。
Figure 0007195660000013

Claims (9)

  1. 有効成分としてトラマドール塩酸塩を含有し、クロスポピドンおよび結晶セルロースを含有する口腔内崩壊錠であって、クロスポピドンの平均粒子径が100μm以上である、上記口腔内崩壊錠
  2. クロスポビドンと結晶セルロースの重量比(クロスポビドン/結晶セルロース)が0.2~2.0である、請求項1に記載の口腔内崩壊錠。
  3. クロスポピドンの含有量が3~45重量%である、請求項1または2に記載の口腔内崩壊錠。
  4. クロスポピドンの含有量が10~30重量%である、請求項1~3のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
  5. クロスポピドンの平均粒子径が100~250μmである、請求項1~4のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
  6. 結晶セルロースの嵩密度が0.15~0.45g/cmである、請求項1~5のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
  7. 錠剤の硬度が4.0~10kNであり、崩壊時間が100秒以下である、請求項1~6のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
  8. トラマドール塩酸塩を含有する口腔内崩壊錠を製造する方法であって、
    トラマドール塩酸塩、クロスポピドンおよび結晶セルロースを含む材料を混合して打錠する工程を含み、クロスポピドンの平均粒子径が100μm以上である、上記方法。
  9. トラマドール塩酸塩を含む顆粒を造粒する工程と、造粒した顆粒にクロスポピドンと結晶セルロースを添加して打錠する工程と、を含む、請求項8に記載の方法。
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