以下に、冷媒分配器、熱交換器、熱交換器ユニット、及び冷凍サイクル装置の実施の形態について説明する。なお、図面の形態は一例であり、本発明を限定するものではない。また、各図において同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。また、例えば24a、24b、24ax、24bx、24ax1、24bx1等の添字を付けた符号がある場合、添字を付けていない符号は、添字を付けた符号が指すものを総称している。例えば、24は、24a、24b、24ax、24bx、24ax1、及び24bx1を総称するものであり、24aは、24a、24ax、及び24ax1を総称するものであり、24axは、24ax1等を総称するものである。また、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」など)を適宜用いるが、それらの表記は、説明の便宜上、そのように記載しているだけであって、装置あるいは部品の配置及び向きを限定するものではない。更に、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る冷媒分配器60を備えた冷凍サイクル装置100の構成を示す冷媒回路図である。まず、図1を用いて冷媒分配器60を備えた冷凍サイクル装置100について説明する。なお、図1において、点線で示す矢印は、冷媒回路110において、冷房運転時における冷媒の流れる方向を示すものであり、実線で示す矢印は、暖房運転時における冷媒の流れる方向を示すものである。実施の形態1では、冷凍サイクル装置100として空気調和装置を例示しているが、冷凍サイクル装置100は、例えば、冷蔵庫あるいは冷凍庫、自動販売機、空気調和装置、冷凍装置、給湯器などの、冷凍用途または空調用途に使用される。
冷凍サイクル装置100は、圧縮機101、流路切替装置102、室内熱交換器103、減圧装置104及び室外熱交換器105が冷媒配管を介して環状に接続された冷媒回路110を有している。また、冷凍サイクル装置100は、室内熱交換器103、室外熱交換器105のいずれか一方又は双方に接続された冷媒分配器60を有する。冷凍サイクル装置100は、室外機106及び室内機107を有している。室外機106には、圧縮機101、流路切替装置102、室外熱交換器105、冷媒分配器60及び減圧装置104と、室外熱交換器105に室外空気を供給する室外送風機108と、が収容されている。室内機107には、室内熱交換器103と、冷媒分配器60と、室内熱交換器103に空気を供給する室内送風機109と、が収容されている。室外機106と室内機107との間は、冷媒配管の一部である2本の延長配管111及び延長配管112を介して接続されている。なお、室外送風機108及び室内送風機109を総称して送風機と称する場合がある。また、室外機106及び室内機107のように内部に熱交換器10(図2参照)を備える機器を、熱交換器ユニットと称する場合がある。
圧縮機101は、吸入した冷媒を圧縮して吐出する流体機械である。流路切替装置102は、例えば四方弁であり、制御装置(図示は省略)の制御により、冷房運転時と暖房運転時とで冷媒の流路を切り替える装置である。室内熱交換器103は、内部を流通する冷媒と、室内送風機109により供給される室内空気と、の熱交換を行う熱交換器である。室内熱交換器103は、暖房運転時には凝縮器として機能し、冷房運転時には蒸発器として機能する。減圧装置104は、例えば膨張弁であり、冷媒を減圧させる装置である。減圧装置104としては、制御装置の制御により開度が調節される電子膨張弁を用いることができる。室外熱交換器105は、内部を流通する冷媒と、室外送風機108により供給される空気と、の熱交換を行う熱交換器である。室外熱交換器105は、暖房運転時には蒸発器として機能し、冷房運転時には凝縮器として機能する。
室外熱交換器105及び室内熱交換器103の少なくとも一方には、後述する熱交換器10(図2参照)が用いられている。熱交換器10が備える冷媒分配器60は、熱交換器10において液相冷媒がより多くなる位置に配置されるのが望ましい。具体的には、冷媒分配器60は、冷媒回路110での冷媒の流れにおいて、蒸発器として機能する熱交換器10の入口側、すなわち凝縮器として機能する熱交換器10の出口側に配置されるのが望ましい。つまり、実施の形態1においては、図1に示される様に冷媒分配器60は、冷媒回路110において室内熱交換器103及び室外熱交換器105の減圧装置104側に配置されている。なお、冷媒分配器60は、室内熱交換器103と室外熱交換器105との両方の熱交換器に用いられているが、室内熱交換器103又は室外熱交換器105のいずれか一方の熱交換器にのみ用いられてもよい。また、冷媒分配器60は、冷媒回路110での冷媒の流れにおいて、蒸発器として機能する熱交換器10の出口側、すなわち凝縮器として機能する熱交換器10の入口側に配置されていても良い。つまり、冷媒分配器60は、冷媒回路110において室内熱交換器103及び室外熱交換器105の流路切替装置102側に配置されていても良い。
実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100の冷媒回路110の構成について、冷房及び暖房の運転状態の冷媒の流れを基に説明する。図1に示される様に、冷房運転時には、冷媒は、図中の破線矢印が示す方向に流れる。冷房運転では、圧縮機101から吐出された冷媒は、流路切替装置102を経て、室外熱交換器105の熱交換部32に流入する。熱交換部32から流出した冷媒は、冷媒分配器60を経て室外熱交換器105から流出する。その後、冷媒は、減圧装置104を通過し、室外機106から流出し、延長配管112を経て室内機107に流入する。室内機107に入った冷媒は、冷媒分配器60に流入する。冷媒分配器60において各伝熱管に分配された冷媒は、室内熱交換器103の熱交換部32を通過し、室内機107から流出する。室内機107を流出した冷媒は、延長配管111を経て再び室外機106に流入する。室外機106に流入した冷媒は、流路切替装置102を経て圧縮機101に吸入される。
一方、図1に示される様に、暖房運転時には、冷媒は、図中の実線矢印が示す方向に流れる。圧縮機101から吐出された冷媒は、流路切替装置102を経て、室外機106から流出し、延長配管111を経て室内機107に流入する。室内機107に流入した冷媒は、室内熱交換器103の熱交換部32を通過し、冷媒分配器60を経て室内機107から流出する。室内機107から流出した冷媒は、延長配管112を通過し、室外機106に流入する。室外機106に流入した冷媒は、減圧装置104を通過し、冷媒分配器60で各伝熱管に分配され、室外熱交換器105の熱交換部32を通過する。室外熱交換器105を通過した冷媒は、流路切替装置102を経て圧縮機101に吸入される。
なお、冷凍サイクル装置100の冷媒回路110は、一例であり、室内熱交換器103、室外熱交換器105、冷媒分配器60以外の回路構成を変更しても良い。
(熱交換器10の構造)
図2は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100の熱交換器10の要部構成を示す分解斜視図である。図3は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100の熱交換器10の要部構成を示す側面図である。図2及び図3は、冷凍サイクル装置100の冷媒回路110の室内熱交換器103又は室外熱交換器105として用いられる熱交換器10の冷媒分配器60と熱交換部32とが接続している部分の構造の説明図である。図3に示されるように、熱交換器10は、熱交換部32と冷媒分配器60とを備える。
(熱交換部32)
熱交換部32は、複数の伝熱管30及び伝熱フィン40により構成される。複数の伝熱管30は、管軸方向をz方向に向けて、y方向に間隔を空けて配列されている。y方向は、第1方向と称する場合がある。なお、実施の形態1においては、y方向が重力方向上向きに一致しているが、熱交換器10の配置は、これに限定されるものではなく、y方向を重力方向に対し傾斜させても良い。
実施の形態1において、複数の伝熱管30は、扁平管により構成されている。扁平管は、断面形状の長軸方向をx方向に向け、短軸方向をy方向に向けて配置されている。複数の扁平管の長軸方向の側面同士は、伝熱フィン40により接続されている。
伝熱フィン40は、薄い板状の金属部材であり、板面を複数の伝熱管30の管軸に交差させるように複数の伝熱管に取り付けられている。伝熱フィン40は、z方向に複数配列されており、複数の伝熱フィン40の間を空気が通過するように構成されている。熱交換部32は、複数の伝熱管30及び複数の伝熱フィン40の間に空気等の流体を通過させることにより、複数の伝熱管30の内部を流れる冷媒と流体との間で熱交換を行う部分である。
(冷媒分配器60)
冷媒分配器60は、熱交換部32のz方向端部に接続されている。冷媒分配器60は、冷媒回路110の配管と複数の冷媒流入口50を介して接続されており、熱交換器10に流入する冷媒を複数の伝熱管30のそれぞれに分配する機能を有する。冷媒分配器60は、冷媒流入口50が設けられている第1部材21と、第1部材21に対し複数の伝熱管30側に位置する第2部材22と、第2部材22と複数の伝熱管30との間に位置する第3部材23と、を備える。第1部材21、第2部材22、第3部材23は、z方向に積層して接合されている。第1部材21に設けられている冷媒流入口50には、それぞれに冷媒流入管51が接続されている。
図4は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100の熱交換器10の要部構成の断面図である。図4は、図3のA-A部の断面を示している。第1部材21は、複数の分配流路29を備える。複数の分配流路29のそれぞれは、y方向に延びる半円筒形状の冷媒流路であり、x方向に並列して配置されている。実施の形態1においては、複数の分配流路29は、第1分配流路29a及び第2分配流路29bの2つから構成されている。第1分配流路29a及び第2分配流路29bは、長手方向がy方向に延び、x方向に並列して配置されている。
第1部材21は、平板21cに溝21a及び21bが形成され、その溝21a及び21bのそれぞれを覆う様に平板21cに半円筒部材21dが接合されて構成されている。また、平板21cに接合された2つの半円筒部材21dのy方向の両端は、板部材21eが接合されて塞がれている。第1部材21は、平板21c、半円筒部材21d、及び板部材21eにより、y方向に延びz方向が開放された半円筒形状の空間である流路部26を形成している。
図2に示される様に、第1部材21が備える複数の分配流路29のそれぞれは、仕切部材21fにより内部の流路部26が分割され、複数の分割流路20が形成されている。つまり、第1部材21は、複数の分配流路29のそれぞれをy方向に分割して形成され、z方向に開放された半円筒形状の複数の流路部26を備えている。複数の流路部26は、複数の分割流路20a~20hの内部空間を構成し、冷媒が流動するものである。
第2部材22は、複数の流路孔24が貫通して設けられている平板22aにより構成されている。複数の流路孔24は、第1部材21が有する複数の分配流路29に対応して形成されている。実施の形態1においては、平板22aは、第1分配流路29aに対応してy方向に1列に並べられた複数の第1流路孔24aと、第2分配流路29bに対応してy方向に1列に並べられた複数の第2流路孔24bと、が設けられている。複数の流路孔24は、複数の伝熱管30が配置される間隔と同じ間隔を持ってy方向に並べられている。
第2部材22は、第1部材21の平板21cのz方向側の面に接合されている。第1部材21が備える半円筒形状の複数の流路部26の開放されているz方向側の面は、第2部材22により覆われる。これにより、複数の流路部26は、複数の流路孔24により外部の空間と連通する。
第3部材23は、長手方向をx方向に向けy方向に配列された複数の冷媒流出口23bが設けられている平板23aにより構成されている。複数の冷媒流出口23bは、複数の伝熱管30のそれぞれに対応して設けられており、伝熱管30の端部が挿し込まれ、接合される。また、第3部材23は、伝熱管30の端部が挿し込まれる側とは反対側の面に第2部材22が接触し、接合される。そして、図4に示される様に、伝熱管30の端面33と第3部材23の複数の冷媒流出口23bと第2部材22の面とにより複数の合流部25が形成される。複数の合流部25は、伝熱管30の端面33に開口を有する冷媒流路と複数の第1流路孔24aと複数の第2流路孔24bとを相互に連通する空間である。
以上のように、冷媒分配器60は、複数の冷媒流入口50からの冷媒を、複数の分配流路29を分割して形成された複数の分割流路20を経て複数の流路孔24のそれぞれから複数の合流部25に流入させることにより、複数の伝熱管30のそれぞれに分配する構造を有する。
(冷媒分配器60の冷媒分配構造の作用)
図5は、実施の形態1に係る冷媒分配器60の複数の分割流路20の配置と伝熱管30の分配流量との関係を示した説明図である。図5(a)は、冷媒分配器60をz方向視点で見たときの複数の分割流路20、複数の流路孔24、複数の合流部25、及び複数の冷媒流入口50の配置の模式図である。冷媒分配器60は、y方向に延びx方向に並列された複数の分配流路29である第1分配流路29a及び第2分配流路29bを備える。第1分配流路29aは、仕切部材21fによりy方向に複数の分割流路20a、20c、20e、20g、及び20iに分割されている。また、第2分配流路29bも、仕切部材21fによりy方向に複数の分割流路20b、20d、20f、20h、及び20jに分割されている。以下、複数の分割流路20a~20jを総称して分割流路20と称する場合がある。
複数の分割流路20a~20hのそれぞれの下端部に示されている実線矢印は、複数の冷媒流入口50a~50hを模式的に表したものである。図2に示される様に、冷媒流入口50a~50hは、複数の分割流路20a~20hのそれぞれの下端部に接続された管であり、冷媒回路110を構成する冷媒配管から分配された冷媒を複数の分割流路20a~20hのそれぞれに流入させる。ここで、第1分配流路29aの内部の流路部26を複数に分割して形成された複数の分割流路20a、20c、20e、及び20gを第1分割流路20a、20c、20e、及び20gと称する。第2分配流路29bの内部の流路部26を複数に分割して形成された複数の分割流路20b、20d、20f、及び20hを第2分割流路20b、20d、20f、及び20hと称する。また、第1分割流路20a、20c、20e、及び20gは、第1流路部26aと複数の第1流路孔24aとを備え、第1冷媒流入口50a、50c、50e、及び50gから流入した冷媒を複数の合流部25に分配する。第2分割流路20b、20d、20f、及び20hは、第2流路部26bと複数の第2流路孔24bとを備え、第2冷媒流入口50b、50d、50f、及び50hから流入した冷媒を複数の合流部25に分配する。
第1分配流路29aに形成された第1分割流路20aは、第1分配流路29aの最も下に配置されている。第1分割流路20aは、8個の流路孔24aを経由して8個の合流部25に連通している。分割流路20aの8個の流路孔24aは、冷媒流入口50aに対し上方に配置されておりy方向に1列に配置されている。
図5(b)は、左側に複数の流路孔24のそれぞれに流れる冷媒流量が示されており、右側に複数の伝熱管30のそれぞれに流れる冷媒流量が示されている。図5(b)に実線で示されている曲線aは、第1分割流路20aに設けられた複数の第1流路孔24aのそれぞれに流れる冷媒流量を示している。第1分割流路20aの複数の第1流路孔24aに流れる冷媒の流量は、第1冷媒流入口50aからのy方向の距離が離れる程増加する。一般的に、第1分割流路20aのような冷媒流路においては、気液二相冷媒等の液相の冷媒が含まれる冷媒は、冷媒流入口から遠い上側の第1流路孔24aに多く分配される。また、上向きに流れる冷媒流速が高いほど、上側に位置する流路孔24aに冷媒が多く分配される。図5(a)に示される曲線a~hは、複数の流路孔24に流れる冷媒流量の一例であり、冷媒の流量及び冷媒の乾き度に応じて複数の流路孔24のそれぞれの高さ方向位置による冷媒流量の値が変わる場合があるが、冷凍サイクル装置100の運転状態においては上側に位置する流路孔24の冷媒の分配量が多いという傾向を有するものである。
第2分配流路29bに形成された第2分割流路20bは、x方向において第1分割流路20aに並列されている。第2分割流路20bの下側の半分は、第1分割流路20aの上側の半分とx方向に隣合って位置している。第2分割流路20bに設けられている複数の第2流路孔24bを流れる冷媒流量も、第1分割流路20aと同様に、冷媒流入口50bからy方向に離れる程増加する。第2分割流路20bは、第1分割流路20aと同様に8個の第2流路孔24bが設けられている。第2分割流路20bの下側の4個の第2流路孔24bのそれぞれは、第1分割流路20aの上側の4個の第1流路孔24aのそれぞれとx方向において隣合って位置しており、4個の合流部25により第1分割流路20aの上側の4個の第1流路孔24aのそれぞれと互いに連通している。なお、x方向において第1分割流路20aに並列されているもう一つの分割流路20jは、流路孔24が設けられておらず、分割流路20jから伝熱管30へ冷媒が流通しない。また、第1分配流路29aのy方向端部に設けられている分割流路20iも流路孔24が設けられておらず、分割流路20iから伝熱管30へ冷媒が流通しない。
ここで、複数の合流部25のうちの1つである第1合流部25a1に着目したときに、第1分配流路29aの第1分割流路20aは、複数の第1流路孔24aのうちの1つである第3流路孔24ax1を介して第1合流部25a1に連通し、第2分配流路29bの第2分割流路20bは、複数の第2流路孔24bのうちの1つである第4流路孔24bx1を介して第1合流部25a1に連通している。
第1分割流路20aの第3流路孔24ax1は、第1分割流路20aにおいて冷媒流入口50aから最もy方向に離れており、第1分割流路20aに設けられた第1流路孔24aの中で最も冷媒流量が多い。一方、第2分割流路20bの第4流路孔24bx1は、第2分割流路20bにおいて冷媒流入口50bからy方向に4番目の位置にある第2流路孔24bであり、第2分割流路20bに設けられた第2流路孔24bの中では冷媒流量が中程度である。従って、第1合流部25aを経て伝熱管30に流入する冷媒流量は、図5(b)に示される点r1となる。第1分割流路20aは、第3流路孔24axが設けられた分割流路20であり、第2分割流路20bは、第4流路孔24bxが設けられた分割流路20である。第3流路孔24axと第4流路孔24bxとは、x方向に沿って並んでおり、同じ第1合流部25aに連通しており、それぞれ冷媒流入口50a又は50bからの経路長さが異なるものである。また、第1伝熱管30aは、第3流路孔24axと第4流路孔24bxとから冷媒が流入する伝熱管30である。なお、第3流路孔24axは、第3流路孔24ax1、24ax2、24ax3、・・・等を総称したものである。また、第4流路孔24bxは、第4流路孔24bx1、24bx2、24bx3・・・等を総称したものである。また、第1合流部25aは、第1合流部25a1、25a2、25a3、・・・等を総称したものである。
また、第1合流部25a2に着目したときに、第1分割流路20aの第3流路孔24ax2は、第1分割流路20aにおいて冷媒流入口50aからy方向に5番目の位置にある第1流路孔24aであり、第1分割流路20aに設けられた複数の流路孔24aの中では冷媒流量が中程度である。一方、第2分割流路20bの第4流路孔24bx2は、第2分割流路20bにおいて冷媒流入口50bに最も近い第2流路孔24bであり、第2分割流路20bに設けられた第2流路孔24bの中で最も冷媒流量が少ない。従って、第1合流部25aを経て伝熱管30に流入する冷媒流量は、図5(b)に示される点r2となる。
実施の形態1に係る冷媒分配器60においては、複数の分割流路20a~20hは、同じ数量の複数の流路孔24を備えるため、図5(b)に示される各流路孔24の冷媒流量を示す曲線a~hは、実質的に同じである。また、ある複数の分割流路20a~20hのうちある1つの特定の第1分割流路20aから見てx方向において並列する第2分割流路20bがx方向に第1分割流路20aと重なり合う部分は、第1分割流路20a及び第2分割流路20bのy方向長さの半分である。実施の形態1において、その関係は、複数の分割流路20a~20hのそれぞれについて同様に構成されている。つまり、例えば、ある複数の分割流路20a~20hのうちある1つの特定の第1分割流路20cに着目すると、第1分割流路20cの下半分は、第2分割流路20bの上半分とx方向に重なり合っている。また、例えば、複数の分割流路20a~20hのうちある1つの特定の第1分割流路20cに着目すると、第2分割流路20dの下半分は、第1分割流路20cの上半分とx方向に重なり合っている。以下、x方向において並列している、分割流路20dと分割流路20e、分割流路20eと分割流路20f、分割流路20fと分割流路20g、及び分割流路20gと分割流路20hのそれぞれの組み合わせについて、第1分割流路20aと第2分割流路20bとの関係が同様に成立する。つまり、実施の形態1においては、分割流路20c、20e、20gは、分割流路20aと同様に第1分割流路に相当する。また、分割流路20d、20f、20hは、分割流路20bと同様に第2分割流路に相当する。
また、第1分割流路20aと第2分割流路20bとがx方向に重なっている部分において、1つの第1合流部25aに冷媒を流入させる第1流路孔24aの少なくとも1つである第3流路孔24axと第2流路孔24bの1つである第4流路孔24bxとは、それぞれ冷媒流入口50からの経路長さが異なる。よって、第3流路孔24axから第1合流部25aに流れ込む冷媒流量と、第4流路孔24bxから第1合流部25aに流れ込む冷媒流量とが異なる。その異なる流量の冷媒が第1合流部25aにて合流し、複数の伝熱管30のそれぞれに流入する。複数の分割流路20a~20hのそれぞれに設けられているそれぞれの流路孔24における冷媒流量は、冷媒流入口50からの流路孔24の高さ位置に応じて変動する。しかし、冷媒流入口50からの経路長さが異なる第3流路孔24ax及び第4流路孔24bxを第1合流部25aにより互いに連通させることにより、第1合流部25aに接続された第1伝熱管30aの冷媒流量は、その他の複数の合流部25に接続された伝熱管30の冷媒流量との差異が小さく抑えられる。
実施の形態1においては、複数の分割流路20同士が並列されている部分のそれぞれの第1合流部25aは、第3流路孔24axの冷媒流量と第4流路孔24bxの冷媒流量とが異なるため、第1合流部25aに接続されている第1伝熱管30aに流入する冷媒流量は、平均値からの乖離が小さく抑えられる。図5(b)において示される曲線Rは、複数の伝熱管30のそれぞれの冷媒流量の一例を示している。実施の形態1に係る熱交換器10においては、第1伝熱管30aにおける冷媒流量は、熱交換器10に流れ込む冷媒流量を複数の伝熱管30の本数で除した平均流量Pに近い値にすることができる。
図6は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100の熱交換器10の比較例である熱交換器1010の要部構成を示す分解斜視図である。図7は、図6の熱交換器1010の冷媒分配器1060の模式図である。比較例に係る熱交換器1010においては、冷媒流入口1050から流入する冷媒は、1つの分配流路1029に流入し、y方向に延びる空間1026をy方向に向かって流れる。空間1026には、複数の伝熱管30の配置に応じて設けられた複数の分流部1025が接続しており、複数の伝熱管30が接続されている。複数の分流部1025のそれぞれは、空間1026から分岐している。このような冷媒分配器1060の場合、空間1026をy方向に向かって流れる冷媒は、冷媒流入口1050から遠い上側の伝熱管30に多く分配される。特に、気液二相冷媒等の液相を含む冷媒は、慣性力により冷媒流入口1050からy方向に最も遠く離れた伝熱管30が最も冷媒流量が多く、y方向において最も近い伝熱管30が最も冷媒流量が少ない。
以上のように、比較例に係る熱交換器1010においては、上方に位置する伝熱管30と下方に位置する伝熱管30とで冷媒流量が大きく異なるため、熱交換性能が低下してしまう。一方、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100の熱交換器10は、冷媒分配器60により複数の伝熱管30のそれぞれを流れる冷媒流量の偏りを抑えることができ、熱交換性能が向上する。
また、冷媒分配器60の第1分割流路20a、20c、20e、又は20gに接続されている第1冷媒流入口50a、50c、50e、又は50gと第2分割流路20b、20d、20f、又は20hに接続されている第2冷媒流入口50b、50d、50f、又は50hは、y方向即ち第1方向において異なる位置に配置されている。また、第1分割流路20a、20c、20e、又は20gのy方向端部の位置と第2分割流路20b、20d、20f、又は20hのy方向端部の位置とは、y方向即ち第1方向において異なる位置に配置されている。これにより、第1分割流路20a、20c、20e、又は20gに設けられている第1流路孔24aのうちの1つである第3流路孔24axと第2分割流路20b、20d、20f、又は20hに設けられている第2流路孔24bのうちの1つである第4流路孔24bxとは、y方向において同じ位置にあっても、冷媒流入口50からの経路長さが異なる。従って、異なる冷媒流量である第3流路孔24axと第4流路孔24bxとからの冷媒が第1合流部25aにおいて合流して第1伝熱管30aに流入する。そのため、熱交換器10において、複数の分割流路20のそれぞれに設けられている複数の流路孔24のそれぞれは、y方向位置により冷媒流量が異なるが、複数の伝熱管30のそれぞれに流入する冷媒流量は偏りが抑えられる。
なお、実施の形態1において、分配流路29は、第1分配流路29aと第2分配流路29bとをx方向即ち第2方向に並列させて構成しているが、この形態のみに限定されるものではない。例えば、x方向に2列以上の複数の分配流路29を並列させてもよい。
また、冷媒分配器60は、図2~図5に示される構造のみに限定するものではない。例えば、第1部材21、第2部材22、及び第3部材23の何れか2つ又は3つを一体に成形しても良いし、更に多くの部材から冷媒分配器60を構成しても良い。また、冷媒分配器60の形状も適宜変更することができる。また、複数の伝熱管30は、扁平管を用いて説明したが、断面が円形又は楕円形である伝熱管を用いても良い。
また、冷媒分配器60は、第1分配流路29aが1つの分割流路20から構成され、第2分配流路29bが2つの分割流路20から構成されていても良い。このとき、第1分配流路29aに形成された1つの分割流路20が第1分割流路となり、第2分配流路29bが2つの分割流路20が第2分割流路となり、x方向において重なるように第2方向に並べられる。さらに、熱交換器10は、このような冷媒分配器60を第1方向に複数並べて複数の伝熱管30に接続させても良い。
実施の形態2.
実施の形態2に係る熱交換器210は、実施の形態1に係る熱交換器10の冷媒分配器60の構造を変更したものである。実施の形態2に係る熱交換器210においては、実施の形態1に対する変更点を中心に説明する。実施の形態2に係る熱交換器210の各部については、各図面において同一の機能を有するものは実施の形態1の説明で使用した図面と同一の符号を付して表示するものとする。
図8は、実施の形態2に係る熱交換器210の冷媒分配器260の複数の分割流路220の配置と伝熱管30の分配流量との関係を示した説明図である。図8(a)は、冷媒分配器260をz方向視点で見たときの複数の分割流路220、複数の流路孔24、複数の合流部25、及び複数の冷媒流入口50の配置の模式図である。図8(b)は、左側に複数の流路孔24のそれぞれに流れる冷媒流量が示されており、右側に複数の伝熱管30のそれぞれに流れる冷媒流量が示されている。実施の形態2に係る熱交換器210の冷媒分配器260は、複数の分割流路220のそれぞれに設けられている流路孔24の数量を分割流路220のy方向における位置に応じて変更したものである。
実施の形態1に係る熱交換器10の冷媒分配器60においては、複数の分割流路20a~20hは、それぞれ同じ数量の複数の流路孔24が設けられている。しかし、実施の形態2に係る熱交換器210の冷媒分配器260は、熱交換器210のy方向の中央部に位置する複数の伝熱管30に接続されている複数の分割流路220c、220d、220e、及び220fは、その他の複数の分割流路220a、220b、220g、及び220hに設けられた複数の流路孔24よりも少ない数量の複数の流路孔24が設けられている。この少ない数量の複数の流路孔24が設けられている第1分割流路220c及び220eと第2分割流路220d及び220fを、第3分割流路と称する場合がある。
図8(b)に示される様に、複数の分割流路220c、220d、220e、及び220fに設けられた複数の流路孔24は、曲線c、d、e、及びfのようにy方向の高さ位置の変化量に対する冷媒流量の増加量が大きい。つまり、複数の流路孔24のy方向位置が冷媒流入口50から離れる程、流路孔24における冷媒流量の増加量が大きい。従って、図8(b)において、曲線c、d、e、及びfは、曲線a、b、g、及びhよりも寝ている。
また、複数の分割流路220a~220hには、概ね同じ流量の冷媒が流れ込む。従って、複数の分割流路220c、220d、220e、及び220fに設けられた複数の流路孔24のうち、y方向において最も冷媒流入口50から離れて位置する流路孔24における冷媒流量は、その他の複数の分割流路220a、220b、220g、及び220hの複数の流路孔24のうち、y方向において最も冷媒流入口50から離れて位置する流路孔24における冷媒流量よりも多い。つまり、複数の分割流路220c、220d、220e、及び220fが有する複数の第1流路孔24aは、その他の複数の分割流路220a、220b、220g、及び220hが有する複数の第1流路孔24aの数量より少ないため、1つの流路孔24当たりの冷媒流量が多い。
ここで、複数の合流部25のうちの1つである第1合流部25a3に着目したときに、第2分配流路29bに形成された第2分割流路220dは、第4流路孔24bx3を介して第1合流部25a3に連通し、第1分配流路29aの第1分割流路220eは、第3流路孔24ax3を介して第1合流部25a3に連通している。
第2分割流路220dの第2流路孔24bの1つである第4流路孔24bx3は、第2分割流路220dにおいて冷媒流入口50dから最もy方向に離れており、第2分割流路220dに設けられた第2流路孔24bの中で最も冷媒流量が多い。一方、第1分割流路220eの第1流路孔24aの1つである第3流路孔24ax3は、第1分割流路220eにおいて冷媒流入口50eからy方向に4番目の位置にある第1流路孔24aであり、第1分割流路220eに設けられた第1流路孔24aの中では冷媒流量が中程度である。従って、第1合流部25a3を経て第1伝熱管30aに流入する冷媒流量は、図8(b)に示される点r3となる。
分割流路220c、220d、220e、及び220fは、それぞれ設けられている第1流路孔24aの数量が分割流路220a、220b、220g、及び220hより少ないため、流路孔24の1つあたりの冷媒流量が比較的多く、従って、接続されている複数の伝熱管30に流入する冷媒の合計流量も多くなる。よって、図8(b)の右側に表示されている複数の伝熱管30の冷媒流量の曲線は、熱交換器210のy方向の中央部において冷媒流量が高い部分が多い。
図9は、実施の形態2に係る冷凍サイクル装置100の熱交換器210周辺構造の一例の模式図である。図9は、一例として冷凍サイクル装置100が有する熱交換ユニットである室外機106の内部に配置された熱交換器210と送風機108との位置関係を示す図である。実施の形態2に係る冷凍サイクル装置100の室外機106においては、送風機108は、回転軸を水平方向に向けているサイドフローファンである。
図10は、実施の形態2に係る冷凍サイクル装置100の熱交換器210の周辺に配置された送風機108の風量分布図である。送風機108は、回転中心Lを熱交換器210の高さ方向の中央に位置させている。送風機108から熱交換器210に送り込まれる空気は、熱交換器210の高さ方向において均等ではなく、送風機108の回転中心からの距離に応じて風量に差がある。実施の形態2に係る熱交換器210は、送風機108の回転中心と同じ高さにおいて最も流入する風量が多く、回転中心から離れる程風量が少なくなる。従って、熱交換器210の熱交換部32においては、送風機108の回転中心に近いほど流入する空気の量が多い。
熱交換器210は、上記で説明した第1合流部25a3に接続している伝熱管30が熱交換器210のy方向の中央に位置している。熱交換器210は、最も冷媒流量が高い伝熱管30が配置されている部分を送風機108の回転中心から最も近い位置に配置している。そのため、熱交換器210は、熱交換性能が向上する。
なお、実施の形態2に係る熱交換器210の第1合流部25a3に接続している第1伝熱管30aは、厳密に送風機108の回転軸に合わせて配置する必要は無い。図8に示される様に、第1合流部25a3の周辺の合流部25も、第1合流部25aに相当し、y方向の長さが比較的短い分割流路220c、220d、220e、及び220fに接続しており、比較的冷媒流量が高い。そのため、第1合流部25a3の周辺の第1合流部25aに接続されている伝熱管30が送風機108の回転中心に最も近い位置に配置されていれば、熱交換器210は、熱交換性能が向上する。これらの冷媒流量が比較的多い伝熱管30を第1伝熱管30aとする。第1伝熱管30aは、他の複数の分割流路20よりも接続されている複数の伝熱管30の数が少ない分割流路20に接続されているものである。言い換えると、第1伝熱管30aが接続されている第1分割流路220a、220c、220e、又は220g及び第2分割流路220b、220d、220f、又は220hの少なくとも一方は、接続されている伝熱管30の数が他の分割流路220a~220hの少なくとも1つよりも少ない。即ち、第1伝熱管30aが接続されている2つの分割流路220a~220hのうち少なくとも一方は、図8(a)に示されている分割流路220c、220d、220e、又は220f、つまり第3分割流路である。
実施の形態3.
実施の形態3に係る熱交換器310は、実施の形態1に係る熱交換器10の冷媒分配器60の構造を変更したものである。実施の形態3に係る熱交換器310においては、実施の形態1に対する変更点を中心に説明する。実施の形態3に係る熱交換器310の各部については、各図面において同一の機能を有するものは実施の形態1の説明で使用した図面と同一の符号を付して表示するものとする。
図11は、実施の形態3に係る熱交換器310の冷媒分配器360の複数の分割流路320の配置と伝熱管30の分配流量との関係を示した説明図である。図11(a)は、冷媒分配器360をz方向視点で見たときの複数の分割流路220、複数の流路孔24、複数の合流部25、及び複数の冷媒流入口50の配置の模式図である。図11(b)は、左側に複数の流路孔24のそれぞれに流れる冷媒流量が示されており、右側に複数の伝熱管30のそれぞれに流れる冷媒流量が示されている。実施の形態3に係る熱交換器310の冷媒分配器360は、複数の分割流路320のそれぞれに設けられている流路孔24の数量を分割流路320のy方向における位置に応じて変更したものである。
実施の形態1に係る熱交換器10の冷媒分配器60においては、複数の分割流路20a~20hは、それぞれ同じ数量の流路孔24が設けられている。しかし、実施の形態3に係る熱交換器310の冷媒分配器360は、熱交換器310のy方向の端部に位置する伝熱管30に接続されている複数の分割流路320g、320hの少なくとも一方は、その他の分割流路320a~320fよりも少ない数量の流路孔24が設けられている。図11に示されている例では、分割流路320hが他の分割流路320a~320gよりも少ない数量の流路孔24が設けられている。この流路孔24が少ない分割流路320hを第3分割流路と称する。
図11(b)に示される様に、分割流路320hに設けられた複数の流路孔24は、曲線hのようにy方向の高さ位置の変化量に対する冷媒流量の増加量が大きい。つまり、流路孔24のy方向位置が冷媒流入口50から離れる程、流路孔24の冷媒流量の増加量が大きい。従って、曲線hは、曲線a~gよりも寝ている。
また、複数の分割流路320a~320hには、概ね同じ流量の冷媒が流れ込む。従って、第2分割流路320hに設けられた複数の流路孔24のうち、y方向において最も冷媒流入口50から離れて位置する第2流路孔24bにおける冷媒流量は、その他の複数の分割流路320a~320gの複数の流路孔24のうちy方向において最も冷媒流入口50から離れて位置する流路孔24における冷媒流量よりも多い。つまり、第2分割流路320hが有する流路孔24は、その他の分割流路320a~320gが有する流路孔24の数量より少ないため、1つの流路孔24当たりの冷媒流量が多い。
ここで、複数の合流部25のうちの1つである第1合流部25a4に着目したときに、第2分配流路29bの第2分割流路320hは、第4流路孔24bx4を介して第1合流部25a4に連通し、第1分配流路29aの第1分割流路320gは、第3流路孔24ax4を介して第1合流部25a4に連通している。
第2分割流路320hの第4流路孔24bx4は、第2分割流路320hにおいて冷媒流入口50hから最もy方向に離れており、第2分割流路320hに設けられた第2流路孔24bの中で最も冷媒流量が多い。一方、第1分割流路320gの第3流路孔24ax4も、第1分割流路320gにおいて冷媒流入口50gから最もy方向に離れている第1流路孔24aであり、第1分割流路320gに設けられた第1流路孔24aの中では冷媒流量が最も多い。従って、第1合流部25a4を経て第1伝熱管30aに流入する冷媒流量は、図11(b)に示される点r4となる。つまり、熱交換器310の複数の伝熱管30の中で、y方向の端部に位置する伝熱管30の冷媒流量が最も多い。
第2分割流路320hは、その他の分割流路320a~320gよりも設けられている流路孔24の数量が少ないため、流路孔24の1つあたりの冷媒流量が多い。また、第1分割流路320gは、その他の分割流路320a~320cよりも設けられている流路孔24の数量が少ないため、流路孔24の1つあたりの冷媒流量が分割流路320a~320cよりも多い。従って、第1分割流路320g及び第2分割流路320hに接続されている複数の伝熱管30に流入する冷媒の合計流量も多くなる。よって、図11(b)の右側に表示されている複数の伝熱管30の冷媒流量の曲線は、y方向の端部において冷媒流量が高い。
また、実施の形態3に係る冷凍サイクル装置100の熱交換器310は、冷媒分配器360の第1分配流路29aを分割した分割流路320gと第2分割流路320hとは、x方向において隣合って並べられている。そして、x方向において隣合って並べられている第1分割流路320gの端部と第2分割流路320hに接続された冷媒流入口50g及び50hのそれぞれは、y方向、即ち第1方向において異なる位置に配置されている。従って、第3流路孔24ax4と第4流路孔24bx4とは、冷媒流入口50g及び50hからの距離が異なり、異なる冷媒流量となっている。分割流路20において異なる冷媒流量である第3流路孔24axと第4流路孔24bxとからの冷媒が第1合流部25aにおいて合流して第1伝熱管30aに流入する。そのため、熱交換器310は、分割流路20に設けられている複数の流路孔24のy方向位置に応じて流路孔24を流れる冷媒流量が異なるが、複数の伝熱管30のそれぞれに流入する冷媒流量は、偏りが抑えられる。
また、複数の分割流路320a~320hは、y方向に行くほど設けられている流路孔24の数量を減少するように構成されている。そのため、熱交換器310において、y方向に向かうに従い、伝熱管30に流れる冷媒流量は多くなる。
図12は、実施の形態3に係る冷凍サイクル装置100の熱交換器310周辺構造の一例の模式図である。図12は、一例として冷凍サイクル装置100が有する熱交換ユニットである室外機106の内部に配置された熱交換器310と送風機108との位置関係を示す図である。実施の形態3に係る冷凍サイクル装置100の室外機106においては、送風機108は、回転軸を垂直方向に向けているトップフローファンである。
図13は、実施の形態3に係る冷凍サイクル装置100の熱交換器310の周辺に配置された送風機108の風量分布図である。送風機108は、回転中心Lを熱交換器310の上方に位置させている。送風機108から熱交換器310に送り込まれる空気は、熱交換器310の高さ方向において均等ではなく、送風機108の回転中心からの距離に応じて風量に差がある。実施の形態3に係る熱交換器310は、送風機108側において最も流入する風量が多く、回転中心から離れる程風量が少なくなる。従って、熱交換器310の熱交換部32においては、送風機108の回転中心に近いほど流入する空気の量が多い。即ち、熱交換器310は、y方向の端部に向かうに従い流入する空気の量が増加する。
熱交換器310は、上記で説明した第1合流部25a4に接続している第1伝熱管30aが熱交換器310のy方向端部に位置している。熱交換器310は、最も冷媒流量が高い第1伝熱管30aが配置されている部分を送風機108の回転中心から最も近い位置に配置している。そのため、熱交換器310は、熱交換性能が向上する。
実施の形態4.
実施の形態4に係る熱交換器410は、実施の形態1に係る熱交換器10の冷媒分配器60の流路孔24を変更したものである。実施の形態4に係る熱交換器410においては、実施の形態1に対する変更点を中心に説明する。実施の形態4に係る熱交換器410の各部については、各図面において同一の機能を有するものは実施の形態1の説明で使用した図面と同一の符号を付して表示するものとする。
図14は、実施の形態4に係る熱交換器410の冷媒分配器460の複数の分割流路420の配置と伝熱管30の分配流量との関係を示した説明図である。図14(a)は、冷媒分配器460をz方向視点で見たときの複数の分割流路20、複数の流路孔24、複数の合流部25、及び複数の冷媒流入口50の配置の模式図である。図14(b)は、左側に複数の流路孔24のそれぞれに流れる冷媒流量が示されており、右側に複数の伝熱管30のそれぞれに流れる冷媒流量が示されている。実施の形態4に係る熱交換器410の冷媒分配器460は、複数の分割流路20のそれぞれに設けられている流路孔24の断面積を分割流路20のy方向における位置に応じて変更したものである。
実施の形態1に係る熱交換器10の冷媒分配器60においては、複数の分割流路20a~20hは、それぞれ同じ数量の流路孔24が設けられている。これに対し、実施の形態4に係る熱交換器410の冷媒分配器460は、熱交換器410のy方向の中央部に位置する複数の伝熱管30に接続する複数の分割流路20c、20d、20e、及び20fは、その他の複数の分割流路20a、20b、20g、及び20hよりも流路孔24の流路の断面積が大きい。
図14(b)に示される様に、分割流路20c、20d、20e、及び20fに設けられた複数の流路孔24は、曲線c、d、e、及びfに示されるようにy方向の高さ位置の変化量に対する冷媒流量の増加量が曲線a、b、g、及びhよりも大きい。つまり、分割流路20c、20d、20e、及び20fは、流路孔24のy方向位置が冷媒流入口50から離れる程、流路孔24の冷媒流量の増加量が大きい。従って、図14(b)は、曲線c、d、e、及びfは、曲線a、b、g、及びhよりも寝ている。
また、複数の分割流路20a~20hには、同じ数の流路孔24が設けられているが、分割流路20a、20b、20g、及び20hに設けられている流路孔24は、断面積が分割流路20c、20d、20e、及び20fの流路孔24よりも小さいため、分割流路20a、20b、20g、及び20hは流入する冷媒流量が分割流路20c~20fのそれぞれよりも小さい。従って、複数の分割流路20c、20d、20e、及び20fに設けられた複数の流路孔24のうち、y方向において最も冷媒流入口50から離れて位置する流路孔24における冷媒流量は、その他の分割流路20a、20b、20g、及び20hの流路孔24のうちy方向において最も冷媒流入口50から離れて位置する流路孔24における冷媒流量よりも多い。つまり、分割流路20c、20d、20e、及び20fが有する流路孔24の断面積は、その他の分割流路20a、20b、20g、及び20hが有する流路孔24の断面積より大きいため、1つの流路孔24当たりの冷媒流量が多い。
ここで、複数の合流部25のうちの1つである第1合流部25a5に着目したときに、第2分配流路29bの第2分割流路20dは、第4流路孔24bx5を介して第1合流部25a5に連通し、第1分配流路29aの第1分割流路20eは、第3流路孔24ax5を介して第1合流部25a5に連通している。
第2分割流路20dの第4流路孔24bx5は、第2分割流路20dにおいて冷媒流入口50dから最もy方向に離れており、第2分割流路20dに設けられた流路孔24bの中で最も冷媒流量が多い。一方、第1分割流路20eの第3流路孔24ax5は、第1分割流路20eにおいて冷媒流入口50eからy方向に4番目の位置にある第1流路孔24aであり、第1分割流路20eに設けられた第1流路孔24aの中では冷媒流量が中程度である。従って、第1合流部25aを経て第1伝熱管30aに流入する冷媒流量は、図14(b)に示される点r5となる。
分割流路20c、20d、20e、及び20fは、それぞれ設けられている複数の流路孔24のそれぞれの断面積が分割流路20a、20b、20g、及び20hより多いため、複数の流路孔24の1つあたりの冷媒流量が比較的多く、従って、接続されている複数の伝熱管30に流入する冷媒の合計流量も多くなる。そして、分割流路20a、20b、20g、及び20hは、設けられている複数の流路孔24の断面積が分割流路20c、20d、20e、及び20fより少ないため、流路孔24の1つあたりの冷媒流量が比較的少ない。よって、図14(b)の右側に表示されている複数の伝熱管30の冷媒流量の曲線は、y方向の中央部において冷媒流量が高い部分が多い。
図9に示される様に、実施の形態4に係る冷凍サイクル装置100の室外機106においては、送風機108は、回転軸を水平方向に向けているサイドフローファンである。そして、送風機108は、回転中心Lを熱交換器410の高さ方向の中央に位置させている。図10に示される様に、送風機108から熱交換器410に送り込まれる空気は、熱交換器410の高さ方向において均等ではなく、送風機108の回転中心からの距離に応じて風量に差がある。熱交換器410は、上記で説明した第1合流部25a5に接続している第1伝熱管30aが熱交換器210のy方向の中央に位置している。熱交換器410は、最も冷媒流量が高い伝熱管30が配置されている部分を送風機108の回転中心から最も近い位置に配置している。そのため、熱交換器410は、熱交換性能が向上する。
なお、実施の形態2に係る熱交換器210の第1合流部25a5に接続している第1伝熱管30aは、厳密に送風機108の回転軸に合わせて配置する必要は無い。図14に示される様に、第1合流部25a5の周辺の合流部25も、第1合流部25aに相当し、断面積の比較的大きい流路孔24を有する分割流路20c、20d、20e、及び20fに接続しており、比較的冷媒流量が高い。そのため、第1合流部25a5の周辺の第1合流部25aに接続されている第1伝熱管30aが送風機108の回転中心に最も近い位置に配置されていれば、熱交換器410は、熱交換性能が向上する。第1伝熱管30aは、他の複数の分割流路20よりも断面積が大きい流路孔24が設けられている分割流路20に接続されているものである。言い換えると、第1伝熱管30aが接続されている第1分割流路20a、20c、20e、又は20g及び第2分割流路20b、20d、20f、又は20hの少なくとも一方は、設けられている流路孔24の断面積が他の分割流路20a~20hの少なくとも1つよりも大きい。即ち、第1伝熱管30aが接続されている2つの分割流路20a~20hのうち少なくとも一方は、図14(a)に示されている分割流路20c、20d、20e、又は20fである。
本発明は、上記において説明した構成のみに限定されるものではない。例えば、実施の形態1~4に係る冷媒分配器60、260、360、460は、分割流路20、220、320に設けられている複数の流路孔24の数を変更しても良い。また、複数の分割流路20、220、320の数量も変更しても良い。更に、本発明は各実施の形態を組み合わせて構成されていても良い。例えば、実施の形態2及び3で分割流路220、320に設けられている流路孔24の数量を分割流路220、320のy方向位置に応じて変更したが、更に実施の形態4のように流路孔24の断面積を分割流路220、320のy方向位置に応じて変更しても良い。上記の各実施の形態を適宜変更又は組み合わせることにより、熱交換器10、210、310、410は、複数の伝熱管30のそれぞれの冷媒流量を適宜調整することができ、流入する空気の風速分布に応じた構成にすることができる。